JP4120810B2 - 燃焼装置 - Google Patents

燃焼装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4120810B2
JP4120810B2 JP2003143154A JP2003143154A JP4120810B2 JP 4120810 B2 JP4120810 B2 JP 4120810B2 JP 2003143154 A JP2003143154 A JP 2003143154A JP 2003143154 A JP2003143154 A JP 2003143154A JP 4120810 B2 JP4120810 B2 JP 4120810B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
combustion
vaporization
unit
temperature
self
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003143154A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004347204A (ja
Inventor
嘉史 跡部
洋伸 安福
昌樹 ▲高▼田
剛 山下
山渕  正彦
康二 橋本
裕亮 本下
尚則 木梨
直樹 峠田
宏和 桑原
忠彦 大塩
賢謙 久保谷
若山  義洋
佳和 濱谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Noritz Corp
Original Assignee
Noritz Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Noritz Corp filed Critical Noritz Corp
Priority to JP2003143154A priority Critical patent/JP4120810B2/ja
Publication of JP2004347204A publication Critical patent/JP2004347204A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4120810B2 publication Critical patent/JP4120810B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Control Of Combustion (AREA)
  • Spray-Type Burners (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体燃料を用いた燃焼装置に係り、更に詳しくは、液体燃料の不気化成分を容易に気化処理するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
都市ガスやプロパンガスが普及した現在でも、給湯器や暖房機等には、ランニングコスト低減のために、安価な灯油等の液体燃料を使用する燃焼装置が多用されている。またこの中でも、比較的発熱量が小さい用途に使用される場合は、気化部によって液体燃料を気化し、この気化された燃料ガスを燃焼部に送って燃焼させる形式のものが多用されている
【0003】
図14は、従来技術の燃焼装置の気化部の例を示す断面図である。この例では、気化部500は燃焼部501の中央部に設けられる。気化部500は、有底円筒形の気化室502の内部に回転部材504を回転自在に収容した構成である。気化室502の底部には電気ヒータ503が内蔵され、気化室502の内壁は昇温可能である。回転部材504は円板の周囲を切り起こして撹拌羽根を形成した部材であり、回転軸505に固定され、図示しないモータによって高速で回転されるものである。また回転部材504の上部には、燃料パイプ506が固定されている。
【0004】
そして、電気ヒータ503に通電して気化室502を加熱し、図示しないモータによって回転部材504をを回転させ、さらに一次空気導入筒507から気化室502の内部に空気を供給しつつ、燃料パイプ506から回転部材504へ灯油を噴射する。すると、回転部材504へ噴射された灯油は遠心力によって気化室502の内壁に向かって飛散し、加熱された気化室502の内壁から熱を受けて気化し、気化した燃料は、一次空気導入筒507から気化室502内に供給される空気と混合される。そしてこの混合ガスは上部の開口508から燃焼部501に送られて燃焼に供される。則ち、この種の給湯器等では、液体燃料を飛散させつつ熱エネルギーを与えて気化させている。
【0005】
ところが、図14に示した気化部500を備えた従来の燃焼装置では、電気ヒータ503によって気化室502が液体燃料の気化可能な温度に昇温するまでに時間を要するものであった。このため、気化室502が昇温するまでは燃料ガスが生成されず、それまでは燃焼が開始されないため、使い勝手が悪く改善が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本出願人は気化部500を電気ヒータで加熱する構成に代えて、電磁誘導加熱方式を用いて気化部を短時間に昇温させる燃焼装置を試作した。電磁誘導加熱方式を用いた燃焼装置においては、気化部を短時間に効率良く加熱することができ、無駄水の排出を効率良く低減することが可能である。
【0007】
このような、電磁誘導加熱方式を採用した燃焼装置は、電磁誘導によって加熱される第1の発熱部と、燃焼による火炎によって加熱される第2の発熱部とを備えた構成が採られている。則ち、燃焼運転の開始初期は、電磁誘導加熱によって短時間に第1の発熱部を加熱して液体燃料を気化し、その後、燃焼運転が継続して第2の発熱部が昇温すると、第1の発熱部の加熱を停止し、第2の発熱部によって液体燃料を気化させる構成が採られている。
【0008】
ところで、燃焼装置では、燃焼の継続に伴って、気化部に液体燃料の不気化成分がタール状に付着滞留する。不気化成分が気化部の内面に付着すると、気化部の気化効率の低下を引き起こしたり、燃焼中に不気化成分が炭化するような不具合が生じる。このため、滞留した不気化成分を定期的に気化させるべく、第2の気化部を不気化成分を気化可能な温度まで昇温させる必要がある。
【0009】
ところが、前記した電磁誘導方式を採用した燃焼装置では、第2の発熱部は主として燃焼中の火炎によって加熱されるため、燃焼制御に応じた温度以上には上昇させることができない。このため、第2の発熱部に不気化成分を気化させるためだけに電気ヒータなどの熱源を設けなければならず、部材点数が増加して省コスト化を図ることができなかった。また、不気化成分を気化可能な温度まで第2の発熱部を昇温させるために時間を要し、この間、電気ヒータに大電力が通電されるため改善が望まれていた。
【0010】
本発明は、前記事情に鑑みて提案されるもので、簡単な構成によって液体燃料の燃焼によって生じる不気化成分を確実に気化させて除去する燃焼装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために提案される請求項1に記載の発明は、液体燃料を加熱して気化させる気化部を有し、当該気化部で液体燃料を気化し燃焼部に供給して燃焼させる燃焼装置において、前記気化部は、独立した熱源を有し当該熱源から熱を受けて昇温する予備発熱部と、予備発熱部とは別途に設けられ予備発熱部の下流側に位置して主として燃焼部の熱を受けて昇温する自己発熱部とを備え、当該自己発熱部の温度を検知する自己発熱部温度検知手段と、前記予備発熱部の昇温制御を含む各部の制御を行う制御手段を備え、前記制御手段によって通常の燃焼制御と不気化成分除去モードによる燃焼制御が行われ、通常の燃焼制御においては自己発熱部が昇温後自己発熱部で燃料が気化されて燃焼され、不気化成分除去モードにおいては、自己発熱部の熱によって液体燃料を気化して燃焼させている燃焼運転中に、前記予備発熱部を強制的に昇温させて前記自己発熱部前記気化部に残留する不気化成分の気化温度以上に昇温させ、当該気化部に残留する不気化成分を気化させる構成とされている。
【0012】
本発明によれば、気化部は、燃焼部の熱を受けて昇温する自己発熱部の上流側に、独立した熱源を有する予備発熱部を備える。ここで、予備発熱部は、燃焼運転の開始初期など気化部の温度が低い場合に、熱源によって短時間に気化部を昇温させ、燃焼運転を短時間に開始させる機能を有する。また、自己発熱部は、燃焼運転に伴う燃焼部の熱を受けて昇温し、予備発熱部による加熱を停止しても、自己発熱部によって液体燃料を気化させて燃焼運転を継続させる機能を有する。
【0013】
従って、本発明の燃焼装置において通常の燃焼運転を行う場合、自己発熱部が気化可能な温度まで昇温すると、熱源による予備発熱部の加熱を低減または停止しても、自己発熱部によって液体燃料を充分気化可能であり、安定燃焼を継続可能である。しかし、液体燃料は気化部の自己発熱部の熱で気化されるため、燃焼運転の積算時間が増大するに連れて、気化部に不気化成分がタール状に付着滞留する。特に、液体燃料として灯油を用いる場合、灯油は種々の脂肪族炭化水素および芳香族炭化水素からなる成分の混合物であり、これらの成分のなかで炭素数が多く沸点の高い成分が液状のまま不気化成分として残留し易い。
【0014】
しかし、本発明によれば、制御手段は、自己発熱部によって液体燃料を気化して燃焼運転中に、予備発熱部を強制的に昇温させる。則ち、自己発熱部が液体燃料を気化させ得る温度に昇温しているにも拘わらず、予備発熱部を強制的に昇温させる。これにより、気化部に印加される熱量が増大し、上流側の誘導発熱部において液体燃料を完全に気化させ、且つ、自己発熱部を液体燃料の不気化成分の気化温度以上に昇温させて、不気化成分の気化処理を行うことが可能となる。
【0015】
則ち、本発明によれば、気化部の昇温機能を有する予備発熱部を利用して、燃焼運転中に気化部を液体燃料の不気化成分の気化温度以上に容易に昇温させることができる。これにより、気化部を不気化成分の気化温度以上に昇温させるための電気ヒータなどが不要となる。また、本発明によれば、燃焼運転中に不気化成分除去モードを実行させることができ、メンテナンスのための煩わしい操作が不要となる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、予備発熱部は、電磁誘導加熱手段によって発熱するものであり、不気化成分除去モードにおいては、自己発熱部温度検知手段の検知温度が前記気化部に残留する不気化成分の気化温度以上となるように予備発熱部に昇温させる構成とされている。
【0017】
本発明は、請求項1に記載の燃焼装置において、予備発熱部の構成を電磁誘導加熱手段によって発熱する誘導発熱部に置き換えたものであり、請求項1に記載の燃焼装置と同様の作用・効果を奏する。ここで、前記したように、電磁誘導加熱は、高周波電流を誘導コイルに通電して生じる磁界を導電体に加えることにより、導電体に生じる渦電流によって発熱させるものである。従って、誘導コイルの近傍に誘導発熱部以外の導電体を近接させない構造を採れば、誘導発熱部のみを短時間に効率良く加熱昇温することが可能である。また、誘導コイルの通電電力を調整するだけで、誘導発熱部の加熱温度を容易に調節することができる。
【0018】
誘導発熱部は鉄やステンレスなどの導電率の低い素材で製するのが良い。電磁誘導による加熱は導電体であれば可能であるが、アルミニウムや銅などの導電率の高い金属材は、渦電流の発生に伴う発熱が低く不向きである。導電率の低い鉄やステンレスを用いて誘導発熱部を構成することにより、加熱効率を向上させることができ、安価である。
【0019】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の燃焼装置において、電磁誘導加熱手段によって発熱する誘導発熱部の有する熱量と、燃焼運転中における前記自己発熱部の有する熱量の和が、燃焼運転中に気化部を液体燃料の不気化成分の気化温度以上に昇温させるのに要する熱量よりも高い構成とされている。
【0020】
燃焼運転に際して、気化部に、当該気化部を不気化成分の気化温度以上に昇温させるのに要する熱量を超える熱量を印加すると、気化部は当該気化温度を超える温度を安定して維持することができる。
本発明によれば、自己発熱部の有する熱量に加えて、誘導発熱部の有する熱量を気化部に印加するので、上記熱量を上回る熱量を受けて気化部は安定して不気化成分の気化温度以上に昇温される。これにより、不気化成分除去モードにおける不気化成分の気化処理を効率良く行うことが可能である。
【0021】
請求項に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の燃焼装置において、制御手段は、燃焼運転中における燃焼量が所定範囲内のときに不気化成分除去モードに移行して不気化成分の気化処理を行う構成とされている。
【0022】
ここで、燃焼運転中における燃焼量が高い場合は、燃焼による発生熱量は増大するが、気化部への液体燃料の供給量も増大する。このため、燃焼量が低い場合に比べて自己発熱部の温度は上昇するが、反面、予備発熱部または誘導発熱部で気化を要する液体燃料の増加に伴い、かえって不気化成分が生じ易い。
【0023】
本発明によれば、不気化成分除去モードに移行する燃焼量を、自己発熱部が燃焼部から受ける熱量が大きく、且つ、気化部への液体燃料の供給量が少ない所定範囲に設定することにより、予備発熱部または誘導発熱部で完全に液体燃料を気化させて下流側の自己発熱部へ供給することができ、不気化成分を安定して気化させることが可能となる。
【0024】
請求項に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の燃焼装置において、燃焼運転時間を積算する運転時間積算手段を有し、制御手段は、予め定められた燃焼運転時間が積算される毎に自動的に不気化成分除去モードに移行して不気化成分の気化処理を所定時間だけ継続する構成とされている。
【0025】
燃焼装置では、燃焼運転を繰り返すと、液体燃料の不気化成分が気化部に滞留し、不気化成分の滞留量は、燃焼運転時間の積算値に応じて増大する。
本発明によれば、運転時間積算手段による運転時間の積算値が所定値に達する毎に不気化成分の気化処理が自動的に行われる。これにより、使用者は、通常の燃焼運転を行うだけで不気化成分を除去することができ、煩わしい操作が不要となる。
【0026】
請求項に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の燃焼装置において、制御手段は、不気化成分除去モードにおいて液体燃料の不気化成分の気化処理が所定時間継続される前に燃焼運転が停止されたときは、当該不気化成分除去モードにおける処理を中止し、引き続く燃焼運転中に再度不気化成分除去モードに移行して不気化成分の気化処理を再開する構成とされている。
【0027】
液体燃料の不気化成分を気化するには、滞留した不気化成分の量にもよるが、所定時間継続して気化部を不気化成分の気化温度以上に維持する必要がある。ここで、前記した本発明の燃焼装置は、予備発熱部または誘導発熱部の熱量と自己発熱部の熱量とによって気化部を不気化成分の気化温度以上に維持して気化処理を行うものである。このため、燃焼運転が停止すると、自己発熱部の温度が低下し、気化部を不気化成分の気化温度以上に維持できず不気化成分の気化処理ができない。
【0028】
本発明によれば、不気化成分除去モードに移行してから燃焼運転が所定時間継続されないときは、次の燃焼運転中に再度不気化成分除去モードに移行して気化処理を再実行する。これにより、不気化成分を完全に気化させて除去することが可能となる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る燃焼装置の気化部周辺および制御系の構成を示す説明図である。図2は、図1の燃焼装置で実施される制御を示すフローチャートである。図3は、図2に示す制御における気化部の温度を、各部の動作状態を示すタイムチャートと対比させて示す説明図である。図4は、図1の燃焼装置で実施される別の制御を示すフローチャートである。図5は、図4に示す制御における気化部の温度を、各部の動作状態を示すタイムチャートと対比させて示す説明図である。
【0030】
本実施形態の燃焼装置1は、液体燃料(本実施形態では灯油を使用)を燃焼させて火炎を発生させるものであり、実施形態の説明に際しては、気化部周辺の構造を模式的に説明すると共に、制御の詳細を説明する。尚、燃焼装置1の詳細な構造については、後述する実施例で説明する。
【0031】
本実施形態の燃焼装置1は、図1の様に、燃焼制御を統括する制御回路部(制御手段)200と、リモートコントローラ201と、燃焼運転時間を積算する運転時間積算手段205を備えている。リモートコントローラ201には、燃焼運転の開始、停止を行う運転スイッチ202が設けられている。
また、燃焼装置1に採用される気化部8は、図1の様に、燃焼部7の中央に位置する。気化部8は、誘導コイル(電磁誘導加熱手段)77によって加熱される誘導発熱部10と、主として燃焼部7の熱を受けて昇温する自己発熱部11を備えている。また、誘導発熱部10の内部には第1回転部材23が回転自在に配され、自己発熱部11の内部には第2回転部材25が回転自在に配されている。
【0032】
誘導発熱部10は上下方向に中心軸を有する中空円筒形であり、高さ方向の略中央から上部は一定内径の円筒形であり、高さ方向の略中央から下部は、下方へ向かうに連れて先細りになる円錐形状を有する。高さ方向の略中央から上部の外周壁には、誘導コイル77が巻装されている。また、誘導発熱部10の上部には、温度を検知する温度センサー(誘導発熱部温度検知手段)100が設けられている。また、誘導発熱部10の外側には、当該誘導発熱部10よりもひとまわり大きい空気導入筒71が誘導発熱部10を包むように配置されている。空気導入筒71は、上下方向に中心軸を有する中空円筒形であり、高さ方向の上部側は一定内径の円筒形であり、高さ方向の下部側は下方へ向かうに連れて先細りになる円錐形状を有する。
【0033】
空気導入筒71と誘導発熱部10は中心軸を一致させて配され、各々の上部側の開口面の高さは略一致しており、下部側の開口面は、誘導発熱部10の下部側の開口面よりも空気導入筒71の下部側の開口面が低く位置する。
空気導入筒71と誘導発熱部10を同心軸上に配することにより、誘導発熱部10と空気導入筒71との間には環状の空間部131が形成される。
【0034】
一方、自己発熱部11は有底円筒形であり、その内径は、誘導発熱部10の最大外径よりも大きく、空気導入筒71の最大外径よりも小さい。また、誘導発熱部10の内径は、空気導入筒71の下端の最小外径よりも大きい。自己発熱部11は、空気導入筒71および誘導発熱部10と中心軸を一致させ、上部開口面を空気導入筒71の下部開口面に略一致させて固定されている。これにより、誘導発熱部10の内部および空間部131は自己発熱部11の内部に連通し、自己発熱部11の上部側と空気導入筒71の下部側との間は外部に開放され、当該開放部分を介して燃焼部7へ連通する燃料ガス流路51が形成されている。
自己発熱部11の上部には、温度を検知する温度センサー(自己発熱部温度検知手段)115が設けられている。
【0035】
気化部8の内部には、上下方向に回転軸21が配されている。回転軸21は、空気導入筒71、誘導発熱部10および自己発熱部11の中心軸上に位置し、空気導入筒71および誘導発熱部10を貫通して自己発熱部11の底面近傍に至る。回転軸21には、第1回転部材23および第2回転部材25が固定されている。第1回転部材23は誘導発熱部10の最大内径よりも小さく、誘導発熱部10の上下方向中央部に固定されている。また、第2回転部材25は自己発熱部11の内径よりも小さく、自己発熱部11の上下方向中央部に固定されている。
則ち、回転軸21を回転すると、第1回転部材23が誘導発熱部10の内部で回転すると共に、第2回転部材25が自己発熱部11の内部で同時に回転する構造である。
【0036】
気化部8の上部には、燃料パイプ116が開口端を第1回転部材23の上面に対向するようにして固定されている。第1回転部材23および第2回転部材25は、燃料パイプ116から噴射される液体燃料を回転に伴う遠心力によって微粒状に飛散させつつ撹拌する機能を有する。
【0037】
このような構成の気化部8では、誘導コイル77に高周波電流を通電すると、発生する磁界が導電体である誘導発熱部10に渦電流を生じて発熱する。従って、燃料パイプ116から第1回転部材23に噴射された液体燃料は、誘導発熱部10の内壁に向けて飛散し、加熱された内壁に衝突して気化される。ここで、気化部8の上流側から空気供給を行うと、誘導発熱部10の内部を流動する空気は一次空気として気化された液体燃料と混合撹拌され、混合された燃料ガスは下流側の自己発熱部11へ流入する。同時に、空間部131を流動する空気も一次空気として自己発熱部11へ流入する。自己発熱部11に流入した燃料ガスおよび空気は、第2回転部材25で更に混合され、燃料ガス流路51へ向けて流出し、燃焼部7に至って燃焼に供する。
【0038】
また、燃焼部7において火炎が発生すると、火炎に煽られて自己発熱部11が昇温する。自己発熱部11が液体燃料の気化温度を超えると、誘導コイル77の通電を停止しても、液体燃料を気化可能となる。則ち、自己発熱部11が気化温度以上に上昇し、誘導コイル77の通電を停止すると、燃料パイプ116から噴射された液体燃料は第1回転部材23で飛散され、誘導発熱部10の内壁を伝って第2回転部材25の上部に垂下する。そして、第2回転部材25の遠心力を受けて自己発熱部11の内壁に向けて飛散し、加熱された内壁に衝突して気化される。そして、誘導発熱部10の内部および空間部131を介して自己発熱部11に流入する一次空気と混合撹拌され、周部から燃料ガス流路51へ向けて流出し、燃焼部7に至って燃焼に供する。
【0039】
次に、本実施形態の燃焼装置1において実施される制御の詳細を図1〜図5を参照して説明する。尚、説明に際しては、燃焼装置1の基本制御を先立って説明し、その後に本発明に関する制御を説明する。また、以下の説明において、初期フラグとは、誘導発熱部10の初期加熱処理の実行中を示すフラグであり、昇温フラグとは、誘導発熱部10が初期加熱処理を既に行ったことを示すフラグである。
【0040】
運転スイッチ202をオンにした状態で、燃焼指令信号が到来すると、燃焼が開始されていないので火炎は検知されず、初期フラグおよび昇温フラグはオフである。従って、制御回路部200はステップ305へ進んで、温度センサー100の検知温度を参照して誘導発熱部10の温度が気化温度T2(本実施形態では灯油の気化温度である略250℃に設定)以上か否かを判別する。更に、制御回路部200は、温度センサー115の検知温度を参照して自己発熱部11の温度が気化温度T2以上か否かを判別する(以上、図3ステップ300〜306参照)。
【0041】
判別の結果、誘導発熱部10または自己発熱部11の少なくともいずれか一方の温度が気化温度T2以上の場合は、ステップ310以降の処理に進んで燃焼制御が開始される(以上、図3ステップ305,306,310参照)。
【0042】
一方、判別の結果、誘導発熱部10または自己発熱部11のいずれの温度も気化温度T2未満の場合、制御回路部200は、初期フラグをオンにし、誘導コイル77へ通電を開始する(以上、図3ステップ305〜308、図4参照)。そして、ステップ300〜303,308,309の制御を繰り返しつつ、誘導発熱部10の温度が初期加熱温度T1(本実施形態では300℃に設定)まで上昇するのを待機する。
【0043】
ここで、誘導発熱部10の温度上昇の待機中に燃焼指令信号の到来が停止すると、この状態では、燃焼が行われておらず、初期フラグがオンであるので、ステップ318へ進んで、制御回路部200は誘導コイル77の通電を停止し、初期フラグをオフにして次の燃焼指令信号の到来を監視する(以上、図3ステップ300,301,315,318〜320参照)。則ち、誘導発熱部10を初期加熱温度T1まで昇温する途中で燃焼指令信号の到来が停止すると、初期加熱処理は一旦中止される。
【0044】
一方、燃焼指令信号の到来が継続したまま、誘導発熱部10の温度が初期加熱温度T1まで上昇すると、ステップ309から310へ進んで、初期フラグをオフすると共に昇温フラグをオンにし、着火処理に移行する。この際、制御回路部200は、誘導発熱部10の温度が気化温度となるように誘導コイル77を通電制御する(図4参照)。着火処理は、所定のプリパージを行った後に行われる。着火が完了すると、以降は、燃焼制御が開始される。燃焼制御中は、制御回路部200は、自己発熱部11の温度を監視しつつ誘導コイル77の通電制御を行う。本実施形態では、自己発熱部11の温度が気化温度(略250℃)を超えると、以降は、誘導コイル77の通電を停止し、ランニングコストの低減を図っている(以上、図3ステップ309〜314、図4参照)。
【0045】
着火が行われて燃焼制御が開始すると、制御回路部200は、ステップ300〜302,313,314の制御を繰り返して燃焼運転を継続する。この後、燃焼指令信号の到来が停止すると、ポストパージなどの必要な燃焼停止処理を行い、誘導コイル77の通電電力を低減して誘導発熱部10の温度を待機温度T3(本実施形態では略100℃に設定)に維持する(以上、図3ステップ300,301,315〜317、図4参照)。
【0046】
誘導発熱部10が待機温度T3に加熱されている状態で再度燃焼指令信号が到来すると、既に昇温フラグがオンであるので、誘導発熱部10を初期加熱温度T1まで昇温する処理は行わず、ステップ304からステップ311へ進み、誘導コイル77へ通電制御して誘導発熱部10を待機温度T3から気化温度T2まで昇温させ、その後着火処理を経て燃焼制御に移行する(以上、図3ステップ301〜304,311〜314、図4参照)。
【0047】
また、リモートコントローラ201の運転スイッチ202をオフにすると、制御回路部200は、初期フラグや昇温フラグをオフにすると共に、必要な運転停止処理を行う。この後、運転スイッチのオン操作の監視を継続する。
尚、図3のステップ317において、誘導発熱部10を待機温度T3に維持する制御を所定時間だけ行わせ、以降は、誘導コイル77の通電を遮断する構成としても良く、通電電力が削減されランニングコストの低減を図ることができる。
【0048】
本実施形態の燃焼装置1は、前記した燃焼制御を行うが、運転時間積算手段205による運転時間の積算値が所定値t(本実施形態では50時間)に達すると、燃焼運転中において、次に示す不気化成分除去モードに移行して不気化成分の気化処理を行う。
【0049】
燃焼装置1が燃焼中は、運転時間積算手段205によって燃焼時間が積算され、制御回路部200は、燃焼中には、運転時間積算手段205による積算時間を常時参照する。燃焼運転の積算時間が所定値t(本実施形態では50時間に設定)以上になると、制御回路部200は、そのときの燃焼運転における燃焼量(燃焼号数)を参照する。そして、燃焼量が所定値α以下であれば、不気化成分除去モードに移行して燃焼運転を継続しつつ不気化成分の気化処理を開始する(以上、図5ステップ330〜333参照)。
【0050】
不気化成分除去モードに移行すると、制御回路部200は、タイマー(不気化成分の気化処理を継続する時間を規定するタイマー)を起動し、タイマーがタイムアップするまでの期間は、自己発熱部11の温度が不気化成分の気化温度T2よりも高い所定温度Toとなるように、誘導コイル77の通電制御を行う。
則ち、所定温度Toに維持するべく、自己発熱部11の温度が所定温度Toよりも低い設定温度T5未満のときは誘導コイル77を通電制御し、自己発熱部11の温度が所定温度Toよりも高い設定温度T4を超えるときは誘導コイル77の通電を停止する制御を行う。また、自己発熱部11の温度が設定温度T5以上であり設定温度T4以下のときは、その時点の誘導コイル77の通電または通電停止状態を維持する制御を行う(以上、図5ステップ334〜337,341,342、図6参照)。
【0051】
この状態では、燃焼中における火炎の熱と、誘導コイル77への通電による誘導発熱部10の熱により、自己発熱部11が所定温度Toに維持され、燃焼運転を継続しつつ不気化成分の気化処理が行われる。言い換えると、この状態では、誘導発熱部10の熱により、液体燃料を完全に気化した状態で自己発熱部11へ供給されるので、自己発熱部11は高温に維持されつつ乾燥状態に至り、空焼き状態となって不気化成分を効果的に気化(蒸発)させる。
【0052】
不気化成分の気化処理が継続されている状態でタイマーがタイムアップ(本実施形態では、タイムアップ時間を2分に設定)すると、制御回路部200は、運転時間積算手段205の積算時間を0にリセットすると共にタイマーをリセットして不気化成分の気化処理を終了し、不気化成分除去モードから通常の燃焼運転に戻る(以上、図5ステップ338〜340、図6参照)。
【0053】
一方、不気化成分の気化処理が継続されている状態で、タイマーがタイムアップするまでに、燃焼指令信号の到来が停止すると、制御回路部200は、運転時間積算手段205の積算時間を0にリセットせず、タイマーのみをリセットする(以上、図5ステップ338,330,343参照)。則ち、不気化成分の気化処理が中断したときは、誘導コイル77の通電を、通常の燃焼制御の状態に戻す。この後、再び燃焼指令信号が到来すると、運転時間積算手段205の積算時間は、既に所定値tを超えているので、再び前記した不気化成分除去モードに移行して不気化成分の気化処理が再開される(以上、図5ステップ330〜342参照)。
【0054】
このように、本実施形態の燃焼装置1によれば、燃焼運転の積算時間が所定値tに達すると、自動的に不気化成分除去モードに移行して不気化成分の気化処理を行う。これにより、使用者は不気化成分を除去するための煩わしい操作を行う必要がなく使い勝手が向上する上に、不気化成分が除去されて安定した燃焼を継続することが可能となる。
【0055】
【実施例】
次に、本発明の燃焼装置の具体的実施例について説明する。なお以下の説明において上下の関係は、燃焼装置を給湯装置等に設置した状態を基準とする。
図6は、本発明の実施例の燃焼装置の断面図である。図7は、本発明の実施例の燃焼装置の全体的な部品構成を表す分解斜視図である。
【0056】
図6において、1は、本発明の実施例の燃焼装置を示す。本実施例の燃焼装置1は、図13の様に炎孔を下に向けて給湯装置2に内蔵されるものであり、上から送風機3、駆動機械部5、空気量調整部6が積層され、その下部に燃焼部7及び気化部8が設けられたものである。気化部8は、後記する様に誘導発熱部10と自己発熱部11を持つ。そして誘導発熱部10は、前記した空気量調整部6と燃焼部7の間にあり、自己発熱部11は、燃焼部7に位置している。
【0057】
上部側から順次説明すると、送風機3は、鋼板を曲げ加工して作られた凹状のハウジング12の中にファン13が回転可能に配されたものである。ハウジング12の中央部には、開口15が設けられている。
【0058】
駆動機械部5は、箱体16を有し、その天板17の中央にモータ18が取り付けられている。モータ18は、両端部から回転軸20,21が突出しており、回転軸20,21は、燃焼装置1の略全長を貫通している。そして後記する様に、モータ18の上方側の回転軸20は、ファン13に接続され、下方側の回転軸21は、気化部8の第一回転部材23及び第二回転部材25に接続されている。
【0059】
空気量調整部6は、図7に示すように、固定側板状部材27の上に円盤状の移動側板状部材26が重ねられている。移動側板状部材26は、中央の軸挿通孔28の周りに略三角形の開口30を放射状に複数個設けたものである。また、固定側板状部材27には、移動側板状部材26の軸挿通孔28および開口30に相当する位置に軸挿通孔35および開口33が設けられている。また、固定側板状部材27には、移動側板状部材26を重ね合わせた時に両者が重複しない位置に多数の小孔36が設けられている。
【0060】
空気量調整部6は、箱体16に外付けされたステップモータ38の回転軸40が回転すると、回転軸40および移動側板状部材26に係合した駆動片37が揺動する。その結果、移動側板状部材26が、固定側板状部材27の上で中央の軸挿通孔28を中心として相対的に回転する。
移動側板状部材26の回転により、移動側板状部材26と固定側板状部材27を連通する開口の面積が変化し、これによって空気量が調節される。
【0061】
燃焼部7は、図6,図8に示すように分流部材41と炎孔ベース43及び炎孔部材45によって形成され、これらの構成部品が燃焼部ハウジング14(図6)内に収納されたものである。
【0062】
分流部材41、炎孔ベース43および炎孔部材45は、いずれも長方形をした板状の部材であり、各々、中央部に大きな開口46,52,58が設けられている。
【0063】
分流部材41は、平板状の部材であり、開口46の周囲に多数の開口47,48,50が設けられたものである。炎孔ベース43は、アルミダイカストによって作られたものであり、複雑な枠組みと開口及び溝が設けられている。炎孔ベース43の上面側は、主として燃料ガス及び二次空気の流路構成面として機能し、下面側は炎孔取付け面として機能する。則ち、炎孔ベース43は、図6に示す様に外周を囲む外側燃焼壁49を有し、その内部に実際に火炎が発生する燃焼部7が形成される。炎孔ベース43には、気化部8において気化された燃料ガスと空気との混合ガスが流れる流路と、分流部材41の開口47,48,50から流入する二次空気が流れる流路とが形成されている。炎孔ベース43には、図6に示すように温度センサー59(炎孔ベース温度検知手段)が取付けられている。
【0064】
炎孔部材45は、図8に示すように炎孔ベース43と重ね合わせられる板状の部材であり、中央に設けられた自己発熱部11用の開口58を取り巻いて多数の丸孔60と小孔61とが規則正しく配列されている。
【0065】
燃焼部7は、炎孔ベース43、分流部材41および炎孔部材45を上記した状態に組み合わせた状態で燃焼部ハウジング14内に配置されている。そして、燃焼部7には、分流部材41側から炎孔ベース43を通過し炎孔部材45側に抜ける二次空気流路と、炎孔ベース43内の流路および炎孔部材45の小孔61を介して外部に連通した燃料ガス流路が形成されている。
【0066】
次に気化部8について説明する。図8は、本実施形態の燃焼装置の気化部周辺の分解斜視図である。図9は、気化部の誘導発熱部を構成する燃料通過筒の斜視図である。図10は、気化部の誘導発熱部を構成する燃料通過筒の正面図、平面図、左右側面図及び底面図である。図11は、気化部の誘導熱源部の一部断面斜視図である。図12は、図6の燃焼装置の燃焼部近傍を上から見た斜視図である。
【0067】
本実施例の燃焼装置1で採用する気化部8は、二種類の熱源を持つ。則ち、本実施例で採用する気化部8は、図6〜図8の様に誘導熱源部9と、自己発熱部11を有する。そして両発熱部の近傍にそれぞれ第一回転部材23と第二回転部材25が設けられている。また誘導熱源部9と自己発熱部11に適切な一次空気を供給するための空気導入筒71が設けられている。
【0068】
則ち、気化部8は、図8の様に、第一回転部材23、ドーナツ状断熱材73、燃料通過筒(誘導発熱部 予備発熱部)75、円筒状断熱材76、コイル部材(誘導コイル)77、第一空気導入筒78、第二空気導入筒80、第二回転部材25、及び自己発熱部11によって形成されている。
そして前記した燃料通過筒75、円筒状断熱材76、ドーナツ状断熱材73及びコイル部材77の四者によって誘導熱源部9が構成され、第一空気導入筒78及び第二空気導入筒80によって空気導入筒71が構成されている。
【0069】
順次説明すると、燃料通過筒75は、誘導発熱部(予備発熱部)10として機能するものであり、電気伝導性があり、かつある程度の電気抵抗を有する素材で作られた筒である。より具体的には、燃料通過筒75は、誘導加熱し易いように薄い磁性体のステンレス鋼材で作られている。
燃料通過筒(誘導発熱部10)75は、両端が開口するものではあるが、図8〜図10の様な特殊な形状をしており、上部側と下部側で形状が大きく異なる。則ち、燃料通過筒75の上部側約半分の領域81は、直径が略一定の円筒形状である。燃料通過筒75の開口端(上部側の開口)は、燃料通過筒75の軸線X−X(図10a)方向に開口している。また燃料通過筒75の開口端(上部側の開口)には、フランジ部83が形成されている。
【0070】
これに対して燃料通過筒75の下部側約半分の領域82は、円錐形をしている。そして燃料通過筒75の下部側の開口85は、図10の様に燃料通過筒75の軸線X−X(図10)に対して傾斜方向に開口している。
則ち、燃料通過筒75は、使用時の姿勢を基準として、下部側の開口85が傾斜しており、下部側の開口端に高低差がある。
また下部側の開口85は、その内側部分が折り返されており、開口端内部の樋状の溝87が形成されている。則ち、燃料通過筒75の内面は、予備発熱周壁64として機能するものであり、本実施例では、予備発熱周壁64たる燃料通過筒75の内面の下部に樋状の溝87が形成された構造である。
そして開口85の最も下部に位置する部位の溝87には開口88が形成されている。開口88は、具体的には小孔であり、気化しなかった燃料を集めて下部の自己発熱部11側に滴下するために設けられている。
【0071】
円筒状断熱材76は、耐熱性と断熱性を兼ね備えた素材で作られ円筒である。円筒状断熱材76の内径は、前記した燃料通過筒75の上部側の領域81の外径と等しい。また円筒状断熱材76の高さは、燃料通過筒75の上部側の領域81の長さに等しい。
円筒状断熱材76は、前記した様に耐熱性と断熱性を兼ね備えた素材で作られ、具体的にはグラスウールやセラミック等が採用されている。
【0072】
ドーナツ状断熱材73は、円盤状であり、中央に大きな開口が設けられている。ドーナツ状断熱材73もグラスウールやセラミックのように耐熱性と断熱性を兼ね備えた材質で作られている。
【0073】
コイル部材77は、図11の様にボビン90とコイル線91によって構成されたものである。ボビン90は、これ自体が断熱部材としての機能を兼ね備えるものであり、断熱性と耐熱性を兼ね備えた不飽和ポリエステルを素材としている。ボビン90の形状は、図11の様に筒体部92の両端にフランジ部93,94が設けられたものである
【0074】
コイル線91は、通常の銅線であり、螺旋状に巻き付けられている。なおコイル線の形状は、螺旋形に限定されるものではなく、例えば鞍形であってもよい。 コイル線91は、リッツ線であり、ボビン90の筒体部92の外周に螺旋状に巻き付けられ、さらにコイル線91が解けないようにシリコンワニス等で固められている。また、コイル線91の外周部には、通電により発生する磁界を加熱すべき燃料通過筒75に集中させるために、数個(本実施形態では8個)のフェライトガイド95が固定されている。
【0075】
誘導熱源部9は、前記した燃料通過筒75、円筒状断熱材76、ドーナツ状断熱材73及びコイル部材77の四者によって構成されており、燃料通過筒75の外周に円筒状断熱材76が設けられ、さらにその外周にコイル部材77が設けられている(図11では、作図の関係上、円筒状断熱材76を略している)。従ってコイル線91と燃料通過筒75の間には、円筒状断熱材76と断熱材としての機能を備えたボビン90が介在されており、コイル線91と燃料通過筒75の間は両者によって二重に断熱されている。
また燃料通過筒75の開口端(上部側の開口)のフランジ部83と、ボビン90のフランジ部93の間にはドーナツ状断熱材73が介在されている(図11では、作図の関係上、ドーナツ状断熱材73を略している)。
【0076】
また誘導熱源部9には、発熱部材たる燃料通過筒75の温度を検知する温度センサー(誘導発熱部温度検知手段)100が設けられている。温度センサー100は、具体的にはサーミスタであり、平板状の温度検知部101を持つ。
本実施例では、図11の様に、ボビン90のフランジ部93に貫通孔102を設け、温度センサー100の一部を保持すると共に信号線等を当該貫通孔102から外部に導出している。また温度検知部101とボビン90のフランジ部93の間にはクッション材103が設けられ、温度検知部101を燃料通過筒75のフランジ部83に押圧している。クッション材103は具体的にはシリコンゴムやステンレススチール等の皿バネや板バネ等である。またこれらに代わって小径のオーリングの様なものをクッション材として使用することもできる。
【0077】
則ち、本実施例では、断熱材としての機能を備えたボビン90によって温度センサー(誘導発熱部温度検知手段)100が保持されている。そしてさらに温度検知部101は、断熱材としての機能を備えたボビン90から反力を受けて燃料通過筒75の外側表面に押し当てられている。また温度検知部101の表面にはシリコン等の熱伝導性に優れたぺーストを塗布しておくことが望ましい。
【0078】
自己発熱部11は、図6,図7の様に底部96と周部97を持つ円筒体であり、底部96は閉塞し、上部は開口している。則ち、自己発熱部11は窪んだ形状をしており、底部96及び周部97は閉塞していて気密・水密性を持ち、上部は開放されている。
【0079】
自己発熱部11は、前記した様に底部96及び周部97を持ち、あたかもコップの様な形状をしていて、図6,図7の様に、炎孔ベース43の中央の開口52部分に取り付けられている。自己発熱部11の位置は、炎孔ベース43の中央にあり、炎孔(小孔61)に囲まれていて燃焼部7に近接して位置する。また自己発熱部11の大部分は、燃焼部7側に露出する。より具体的には、自己発熱部11の底部96の全部と、周部97の大部分が燃焼部7側に露出する。従って後記する様に燃焼時には炎孔(小孔61)から発生する火炎により、自己発熱部11が外側から加熱される。その結果、自己発熱部11の内周面(自己発熱周壁)66及び底面部67が加熱され、昇温する。
また自己発熱部11には、温度センサー(自己発熱部温度検知手段)115が埋め込まれている(図6)。
【0080】
第一回転部材23は、燃料通過筒75の内部で液体燃料を効率良く気化させるために、燃料パイプ116から噴射された液体燃料(本実施例では灯油を使用)を微粒子状にし、燃料通過筒(誘導発熱部、予備発熱部)75の予備発熱周壁64に向かって飛散させると共に、気化した燃料ガスと一次空気とを撹拌させて均一に混合する働きを行うものである。
【0081】
一方、第二回転部材25は、上方から滴下される液体燃料を自己発熱部11の自己発熱周壁66へ向けて飛散させると共に、燃料ガスと一次空気との撹拌混合を行うためのものである。
【0082】
図8に示すように、第一空気導入筒78及び第二空気導入筒80によって空気導入筒71が構成される。
第一空気導入筒78は、薄板を曲げて作られたものであり、図8の様に外フランジ部127と円筒部128及び内フランジ部129によって構成されている。則ち、外フランジ部127は、円筒部128の一方の開口端にある。外フランジ部127は、使用時には上部側に位置する。
円筒部128は、内径が前記した誘導発熱部10の外径よりも大きく、空気の流れ方向の先端側は、やや内径が絞られている。
【0083】
そして円筒部128の空気流の先端側には内フランジ部129が設けられている。
これに対して第二空気導入筒80は円錐形をしている。第二空気導入筒80の上部の開口130は、前記した第一空気導入筒78の先端部の開口径に等しい。また第二空気導入筒80の下部の開口径は、前記した自己発熱部11の開口径よりも小さい。
第一空気導入筒78と第二空気導入筒80は重ねられて一連の空気流路を構成する。第一空気導入筒78の接合部分には図示しないパッキンが介在されている。
【0084】
気化部8は、前記した様に誘導熱源部9と自己発熱部11を持つ。そして誘導発熱部10は、前記した空気量調整部6と燃焼部7の間にあり、自己発熱部11は、燃焼部7に位置している。
気化部8は、前記した様に、第一回転部材23、ドーナツ状断熱材73、燃料通過筒75、円筒状断熱材76、コイル部材77、第一空気導入筒78、第二空気導入筒80、第二回転部材25、及び自己発熱部11によって構成されているが、これらはいずれも同一軸線状に並べて配されている。則ち、第一空気導入筒78と第二空気導入筒80によって構成される空気導入筒71の内部に燃料通過筒75、円筒状断熱材76、ドーナツ状断熱材73及びコイル部材77の四者から成る誘導発熱部10が配されており、空気導入筒71の中心軸と、誘導発熱部10の中心軸は一致する。
【0085】
空気導入筒71と誘導熱源部9の下部に自己発熱部11があり、空気導入筒71の先端部は、自己発熱部11の開口(奥側)に向かって開いている。また誘導発熱部10を構成する燃料通過筒(誘導発熱部 予備発熱部)75についても自己発熱部11の奥側に向かって開いている。
また第一回転部材23は誘導発熱部10の内部に位置し、第二回転部材25は自己発熱部11の内部に位置する。より詳細には、第一回転部材23は誘導発熱部10を構成する燃料通過筒(予備発熱部)75内にあり、予備発熱周壁64に囲まれた空間に位置する。また第二回転部材25は自己発熱部11の自己発熱周壁66に囲まれた空間に位置する。
【0086】
また燃料通過筒75(誘導発熱部10)の内部には燃料パイプ116が挿入され、燃料パイプ116は図7の様に第一回転部材23の上部に至っている。
より具体的に説明すると、燃料パイプ116は誘導発熱部10の上部の開口から真っ直ぐに垂下され、上から第一回転部材23の上部に至る。そして燃料パイプ116から第一回転部材23に灯油等の液体燃料が滴下される。
【0087】
また誘導発熱部10には前記した様に開口85に傾斜した溝87があり、当該溝87には開口88が形成されているが、この開口88は、第二回転部材25の上部に位置する。則ち、開口88は、第二回転部材25の中心近傍の上部にある。
【0088】
次に、本実施例の燃焼装置1の各部の組み立て構造について説明する。
本実施例の燃焼装置1は、送風機3、駆動機械部5、空気量調整部6及び気化部8が中心軸を一致させて順次積み重ねられたものであり、駆動機械部5の天板17に送風機3が直接的にネジ止めされている。則ち、本実施例では、送風機3の回転中心と空気量調整部6の軸挿通孔28,35と気化部8の中心軸が同一軸線上に直線的に並べられている。なお気化部8自体の構成部品についても同一軸線状に並べて配されているので、前記した送風機3の回転中心と空気量調整部6の軸挿通孔28,35と気化部8の中心軸に対して気化部8の二つの回転部材23,25の回転中心軸も一致する。
【0089】
そして駆動機械部5の上部に空気量調整部6がネジ止めされている。また空気量調整部6の下部には、気化部8が位置する。則ち、空気量調整部6の中心部に、パッキンを介して空気導入筒71の大きいほうの開口が取り付けられている。
【0090】
空気導入筒71の中心軸は、空気量調整部6の移動側板状部材26および固定側板状部材27の軸挿通孔28,35と一致し、空気導入筒71は固定側板状部材27の中心側のエリアを覆う様に位置することとなる。従って空気量調整部6の中心側のエリアから排出された空気は、空気導入筒71によって捕捉される。
なお空気導入筒71内には前記した様に誘導発熱部10があり、誘導発熱部10は、中心に燃料通過筒75があって上下に連通するため、空気量調整部6の中心側のエリアから排出された空気は、空気導入筒71によって捕捉され、中心部の燃料通過筒75を流れる空気と、誘導発熱部10の周辺部を流れる空気に分流される。
【0091】
則ち、空気導入筒71内には燃料通過筒75があるため、空気の一部は燃料通過筒75を通過して自己発熱部11に至る。
また空気導入筒71の内面と誘導発熱部10の外周との間には環状の空間部131が有るため、空気の残部は当該空間部131を通過して直接的に自己発熱部11に入る。
空気導入筒71に入った空気は、いずれの経路を通る場合でも、一次空気として燃焼に寄与する。
【0092】
また駆動機械部5のモータ18の回転軸21は、空気量調整部6の中央の軸挿通孔28,35を連通して空気導入筒71及び誘導発熱部10を通過し、自己発熱部11の内部に至る。
そしてモータ18の回転軸21は、誘導発熱部10の内部、より詳細には燃料通過筒75の内部において第一回転部材23と係合している。またモータ18の回転軸21は、自己発熱部11の内部において第二回転部材25と係合している。
則ち、駆動機械部5のモータ18の回転軸21は、その先端部分が第二回転部材25と係合し、中間部分が第一回転部材23と係合している。そして第一回転部材23は誘導発熱部10の燃料通過筒75内に位置し、第二回転部材25は自己発熱部11内に位置し、いずれもモータ18によって回転される。
【0093】
またモータ18の後端側の回転軸20は、ファン13にも接続されているから、本実施例では、単一のモータ18によって気化部8の二つの回転部材23,25とファン13の三者が駆動される。
なお軸挿通孔28,35は、移動側板状部材26の回転中心でもあるから、移動側板状部材26が回転する際に移動することはない。そのため軸挿通孔28,35にモータ18の回転軸21があっても、移動側板状部材26の回転の妨げとならない。
【0094】
本実施例の燃焼装置1は、炎孔を下に向けて使用される。以下、燃焼装置1の取付方向について説明する。図13は、図6の燃焼装置を採用した給湯装置2の配管系統図である。本実施例の燃焼装置1は、図13の様な給湯装置2に使用される。そして燃焼装置1は、熱交換器135が内蔵された缶体136の上部に設置され、下部の熱交換器135に向かって火炎を発生させる。
【0095】
給湯装置2は、図13に示すように、本実施例の燃焼装置1と、燃焼装置1において発生した燃焼ガスと湯水などの熱媒体とが熱交換を行う熱交換器135と流水回路141及び燃料供給部142によって構成されている。また流水回路141は、外部から湯水を供給する流入側流路143と、熱交換器135において加熱された湯水を外部に流出させる流出側流路145とを備えている。流入側流路143は熱交換器135の入水口146に接続されており、流出側流路145は熱交換器135の出水口147に接続されている。
【0096】
流入側流路143の中途には、流量センサー150(最小作動水量検知手段)と入水温度センサー151(入水温度検知手段)とが設けられている。流量センサー150は、流入側流路143を介して供給される湯水の量を検知するものであり、当該流量センサー150が所定の水量を検知すると、燃焼装置1が点火動作を開始する。また、入水温度センサー151は、外部から供給される湯水の水温を検知するものである。
【0097】
流出側流路145は、熱交換器135において燃焼ガスとの熱交換により加熱された高温の湯水を給湯栓152に供給するものである。流出側流路145の中途には、温度センサー153と、攪拌部154と、水量調整弁155(出湯量制限手段)と、出湯温度センサー156(出湯温度検知手段)とが設けられている。水量調整弁155は、流出側流路145の流路を開閉することにより、給湯栓152から出湯される湯の総量を規制するものである。
また、温度センサー153は、熱交換器135において加熱された高温の湯水の温度を検知するものである。
【0098】
攪拌部154は、流出側流路145と、後述するバイパス流路158との接続部に設けられている。攪拌部154では、熱交換器135において加熱された高温の湯水と、バイパス流路158を介して流入する比較的低温の湯水とが混合される。攪拌部154の下流側には、出湯温度センサー156が設けられている。出湯温度センサー156は、攪拌部154において攪拌された湯水の温度を検知するものである。
【0099】
流入側流路143と流出側流路145とは、バイパス流路158によってバイパスされている。バイパス流路158の流出側流路145側の端部は、上記した攪拌部154に接続されている。バイパス流路158の中途には、バイパス流量調整弁159が設けられている。バイパス流量調整弁159は、攪拌部154に流れ込む水量を調整するものである。
【0100】
次に本実施例の燃焼装置1の機能について説明する。
本実施例の燃焼装置1では、モータ18を起動してファン13と第一回転部材23及び第二回転部材25を回転させる。
ファン13の回転により、図6の矢印の様に送風機3のハウジング12の中央部に設けられた開口15から空気が吸い込まれ、空気は駆動機械部5に入る。そして空気は、駆動機械部5から上部の空気量調整部6を経て気化部8及び燃焼部7に流れるが、本実施例では空気量調整部6によって流量調整される。則ち、気化部8および燃焼部7側に流れる空気量は、ステップモータ38を動作させ、移動側板状部材26を固定側板状部材27に対して回転させて開口面積を変化させることにより調整される。
【0101】
空気量調整部6を通過した空気は、一次空気として燃焼に寄与するものと、二次空気として燃焼に寄与するものに別れる。則ち、空気量調整部6の中心部のエリアを通過した空気は、直接的に空気導入筒71に捕捉され、その一部は燃料通過筒75に入って燃料ガスと混合され、残部は直接的に自己発熱部11の中に入って燃料ガスと混合される。
また送風の残部は、図12に示すように分流部材41に列状に設けられた長孔状の開口48から、炎孔ベース43を横切って流れ、炎孔部材45の丸孔60へ経て燃焼部7に至る。
【0102】
そして送風機3の送風により、上記した様に気化部8内に大量に一次空気が導入され、誘導発熱部10の燃料通過筒75内及び自己発熱部11を通風雰囲気とする。
また誘導発熱部10のコイル線91に図示しない高周波インバータから高周波電流を流し、高周波誘導加熱の原理によって誘導発熱部10たる燃料通過筒75を発熱させる。
【0103】
則ち、コイル線91に高周波電流を流すことにより、コイルの内部に変動磁場が生成し、当該変動磁場中に置かれた燃料通過筒75を変動する磁力線が貫く。ここで燃料通過筒75はステンレス鋼で作られており、導電性を有するから、燃料通過筒75の内部に渦電流が生じる。そして前記した様に燃料通過筒75はステンレス鋼で作られており、相当の電気抵抗を有するから、渦電流に起因するジュール熱によって燃料通過筒75が発熱する。
また高周波誘導加熱による発熱は、熱効率が高く、且つ早期に昇温する。そのため燃料通過筒75は、従来の電気ヒータを使用した場合に比べて極めて短時間の間に昇温し、液体燃料を気化し得る温度に達する。
【0104】
なお本実施例では、高周波誘導加熱によって燃料通過筒75を加熱する際に、コイル線91が昇温しない様に工夫がなされている。
則ち、本実施例の様に燃焼装置1の内部に誘導加熱用のコイル線91を設けると、内部の熱によってコイル線91が加熱され、断線等のおそれが生じる。そこで本実施例では、コイル線91が過度に加熱されない様に工夫がなされている。
則ち、本実施例では、コイル線91は、ボビン90に巻かれているが、ボビン90は、樹脂で作られており、導電性がないので発熱しない。またボビン90は断熱性と耐熱性を具備した不飽和ポリエステルを素材としている。そのためボビン90が断熱材として機能し、燃料通過筒75の熱をコイル線91に伝えない。
【0105】
またボビン90と燃料通過筒75の間にも発熱せず、且つ断熱性に優れた断熱材(円筒状断熱材76)が介在されている。
また燃料通過筒75は、フランジ部83を有するが、当該フランジ部83とコイル線91との間にも、ドーナツ状断熱材73とボビン90のフランジ部93が存在し、コイル線91の昇温を防いでいる。
さらに本実施例では、後記する様に誘導発熱部10の外側に一次空気が流れる構造となっているので、当該一次空気によってもコイル線91が冷却される。
【0106】
上記した様に、コイル線91に通電し、高周波誘導加熱によって燃料通過筒75を発熱させ、燃料通過筒75の内壁全体を昇温させる。この状態において、燃料パイプ116から灯油を第一回転部材23に対して滴下する。
滴下された灯油は、第一回転部材23から遠心力を受け、燃料通過筒(誘導発熱部)75の予備発熱周壁64に向かって飛散する。なお本実施例で採用した第一回転部材23は、上下方向へ延びる回転軸と一体的に回転する板体の外縁から放射状に撹拌羽根を延出させて形成され、当該撹拌羽根は、板体の外縁に沿って全周に渡って複数設けられると共に、板体に対して所定角度だけ傾斜させた構成とされている。
【0107】
そのため第一回転部材23の板体の表面に噴射された液体燃料は、遠心力によって板体の表面を流動し、一部は傾斜した撹拌羽根の表面に沿って流動して撹拌羽根の先端から燃料通過筒75の予備発熱周壁64へ向けて飛散する。
従って、撹拌羽根の先端が板体に対して回転軸方向(上下方向)に位置する構成とすれば、板体に対して上方や下方に位置する部位から液体燃料を分散させて飛散させることができ、飛散した液体燃料に気化部内周壁の熱エネルギーを効率良く加えて気化を促進させることが可能となる。
【0108】
そして飛散した灯油は、第一回転部材23の周囲に配された燃料通過筒75の内面に接触し、熱を受けて気化する。このとき、燃料通過筒75に接触した液体燃料はほぼ完全に気化され、気化されずに液体燃料が残留することはない。
また前記した様に空気導入筒71に捕捉された空気の一部が燃料通過筒75の内部を通過するので、燃料通過筒75の内面から熱を受けて気化した燃料は、燃料通過筒75を通過する空気と混合される。
【0109】
ここで本実施例では、第一回転部材23に撹拌羽根が設けられているから、第一回転部材23の内面に設けられた撹拌羽根によって燃料通過筒75内の空気が攪拌され、燃料ガスと空気との混合が促進される。
また本実施例では、燃料通過筒75が筒状であるから、飛散された燃料及び気化した燃料は、筒状の部分を通過する間、加熱され続ける。則ち、本実施例では、誘導発熱部分が筒状であるから、燃料が当該筒状の部分を通過する際に加熱昇温される。そのため本実施例の燃焼装置は、燃料と発熱体との接触距離及び接触時間が長く、燃料の気化が確実であるばかりでなく、気化した燃料ガスの温度が高い。
【0110】
こうして発生した混合ガスは、燃料通過筒75を通過して自己発熱部11内に入る。
一方、前記した様に、空気導入筒71に捕捉された空気の残部は、空気導入筒71の内面と誘導発熱部10の外周との間に形成された空間部131を通過して自己発熱部11に入る。
また本実施例では、自己発熱部11内にも回転部材が設けられている。則ち、本実施例では、二段に回転部材が設けられ、その一つたる第二回転部材25は、自己発熱部11の中で回転する。
そのため自己発熱部11内に入った燃料ガスと空気との混合ガスは、再度第二回転部材25によって攪拌混合される。
【0111】
特に本実施例では、燃料通過筒75の先端側が絞られており、前記した第一回転部材23によって混合攪拌された燃料ガスは、狭い燃料通過筒75の先端を通過する際に互いに激しく衝突し、混合が進む。そして当該燃料ガスは、狭い部分から第二回転部材に対して吹き込まれ、再度第二回転部材25によってかき混ぜられる。また燃料ガスは、自己発熱部11内において、新たに空間部131を通過して自己発熱部11に導入された空気とも混合される。
こうして発生し、さらに一次空気と混合された燃料ガスは、図6の矢印の様に、第二回転部材25の外壁と自己発熱部11の内周面66によって形成される空隙138を流れて下流に向かう。則ち、混合ガスは、自己発熱部11の円筒状の内周面66に沿って一旦上方に流れる。ここで自己発熱部11の開口部近傍には空気導入筒71の吹き出し口側があるので、混合ガスの流路は極めて狭い。そのため混合ガスの攪拌は、当該部位においてさらに進行する。
【0112】
こうして空気導入筒71から自己発熱部11の内部に供給された空気は、飛散した燃料と混合され、高温状態となって自己発熱部11の上部の開口部140から排出される。そして自己発熱部11を出た混合ガスは、炎孔ベース43に流れ込む。
【0113】
そして混合ガスは、炎孔ベース43の下部に設けられた炎孔(小孔61)から放出される。
前記した様に、本実施例の燃焼装置1では、気化部8で液体燃料が気化されて炎孔ベース43を流れ、炎孔(小孔61)から放出されるが、気化部8を出る際における燃料ガスの温度が高いので、炎孔(小孔61)に至るまでの間で再液化することはない。
【0114】
一方、他の部位から下流側に流れた空気は、燃料と混合されることなく、直接燃焼部7側に流れ込み、二次空気として燃焼に寄与する。
そして図示しない点火装置によって燃料ガスに点火されると、炎孔(小孔61)から下向きの火炎が発生する。
【0115】
ここで本実施例の燃焼装置1では、気化部8が、燃焼部7の中央に直接的に露出しているので、燃焼が開始されると、自己発熱部11が火炎によって加熱される。そのため自己発熱部11内の温度が上昇し、燃料の気化がさらに促進される。
【0116】
所定時間の間、燃焼が行われ、自己発熱部11の温度が十分に昇温すると、
誘導発熱部10のコイル線91への通電を停止し、誘導加熱を終了する。そして以後は、自己発熱部11の発熱だけに頼って燃料を気化させる。
【0117】
則ち、誘導加熱を停止すると、燃料通過筒75の温度が低下し、誘導発熱部10での気化は殆ど行われなくなり、実質的に自己発熱部11のみで燃料は気化される。
誘導発熱部10で気化されない液体燃料は、燃料通過筒75の内面を伝い、重力によって下方に至る。ここで本実施例では、燃料通過筒75の下端部に樋状の溝87が形成されている。そのため燃料通過筒75の内面を伝い落ちた燃料は、下部の溝87に集められる。さらに本実施例では、下部側の開口85が傾斜しているから、端部の溝87にも傾斜があり、集められた燃料は、溝87内を流れてさらに下方に集まる。そして本実施例では、溝87の最下部に開口88が設けられているから、溝87を流れた燃料は、最終的に溝87の最下部に形成された開口88から滴下する。
【0118】
ここで燃料通過筒75に設けられた開口88は、第二回転部材25の上部であってさらに第二回転部材25の中心近傍に開いているから、開口88から滴下した燃料は、常に一定の位置に落下し、第二回転部材25と接触する。より具体的には、気化されなかった燃料は、すべて第二回転部材25の中央部分に集中的に滴下され、第二回転部材25に巻き込まれて飛散する。
【0119】
そして飛散した燃料は、自己発熱部11の内周面66に衝突し、自己発熱部11から熱を受けて気化する。
また前記した空気導入筒71の内外を流れて自己発熱部11に入った空気とも混合される。
また燃料の一部は、遠心力によって飛散する前に第二回転部材25から零れ落ちるが、このように落下した燃料は、自己発熱部11の底面部67に接触し、熱を受けて気化する。
そして第一回転部材23の内面に設けられた羽根部によって自己発熱部11内の空気が攪拌され、燃料ガスと空気との混合が促進される。
その後の燃料ガスの流れは、前述した通りであり、高温状態となって自己発熱部11の上部の開口部140から排出される。そして自己発熱部11を出た混合ガスは、一旦炎孔ベース43の上部側の通路に流れ込み、炎孔ベース43の炎孔(小孔61)から放出され、燃焼する。
【0120】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、気化部を加熱する予備発熱部を利用して、燃焼運転中に気化部の不気化成分の除去を行うことが可能となる。これにより、不気化成分を除去するための別の加熱ヒータなどが不要となり、安定燃焼が維持され、省コスト化が図れると共に、不気化成分を除去するための煩わしい操作が不要となる。
請求項2に記載の発明によれば、電磁誘導作用によって気化部を短時間に効率良く昇温させて不気化成分を除去することができ、安定燃焼を維持可能な燃焼装置を提供できる。
請求項3〜に記載の発明によれば、気化部を加熱する誘導発熱部を利用して、燃焼運転中に気化部の不気化成分の除去を行うことが可能となる。これにより、不気化成分を除去するための別の加熱ヒータなどが不要となり、省コスト化が図れると共に、不気化成分を除去するための煩わしい操作が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る燃焼装置の気化部周辺の構造および制御系を示す説明図である。
【図2】 図1の給湯装置で実施される制御を示すフローチャートである。
【図3】 図2に示す制御における気化部の温度を、各部の動作状態を示すタイムチャートと対比させて示す説明図である。
【図4】 図1の燃焼装置で実施される不気化成分の気化処理制御を示すフローチャートである。
【図5】 図4に示す制御における気化部の温度を、各部の動作状態を示すタイムチャートと対比させて示す説明図である。
【図6】 本発明に係る燃焼装置の具体的な実施例を示す断面図である。
【図7】 図6に示す燃焼装置の全体的な部品構成を表す分解斜視図である。
【図8】 図6に示す燃焼装置の気化部周辺の分解斜視図である。
【図9】 図6に示す燃焼装置の気化部の誘導発熱部を構成する燃料通過筒の斜視図である。
【図10】 図6に示す燃焼装置の気化部の誘導発熱部を構成する燃料通過筒の正面図、平面図、左右側面図及び底面図である。
【図11】 図6に示す燃焼装置の気化部の誘導熱源部の一部断面斜視図である。
【図12】 図6に示す燃焼装置の燃焼部近傍を上から見た斜視図である。
【図13】 図6に示す燃焼装置を用いて構成した給湯装置の流路系統図である。
【図14】 従来技術の燃焼装置で採用される気化部の断面図である。
【符号の説明】
1 燃焼装置
7 燃焼部
8 気化部
10 予備発熱部
10 誘導発熱部
11 自己発熱部
77 電磁誘導加熱手段
115 自己発熱部温度検知手段
200 制御手段(制御回路部)
265 運転時間積算手段

Claims (6)

  1. 液体燃料を加熱して気化させる気化部を有し、当該気化部で液体燃料を気化し燃焼部に供給して燃焼させる燃焼装置において、前記気化部は、独立した熱源を有し当該熱源から熱を受けて昇温する予備発熱部と、予備発熱部とは別途に設けられ予備発熱部の下流側に位置して主として燃焼部の熱を受けて昇温する自己発熱部とを備え、当該自己発熱部の温度を検知する自己発熱部温度検知手段と、前記予備発熱部の昇温制御を含む各部の制御を行う制御手段を備え、前記制御手段によって通常の燃焼制御と不気化成分除去モードによる燃焼制御が行われ、通常の燃焼制御においては自己発熱部が昇温後自己発熱部で燃料が気化されて燃焼され、不気化成分除去モードにおいては、自己発熱部の熱によって液体燃料を気化して燃焼させている燃焼運転中に、前記予備発熱部を強制的に昇温させて前記自己発熱部前記気化部に残留する不気化成分の気化温度以上に昇温させ、当該気化部に残留する不気化成分を気化させることを特徴とする燃焼装置。
  2. 予備発熱部は、電磁誘導加熱手段によって発熱するものであり、不気化成分除去モードにおいては、自己発熱部温度検知手段の検知温度が前記気化部に残留する不気化成分の気化温度以上となるように予備発熱部に昇温させることを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。
  3. 前記電磁誘導加熱手段によって発熱する誘導発熱部の有する熱量と、燃焼運転中における前記自己発熱部の有する熱量の和が、燃焼運転中に気化部を液体燃料の不気化成分の気化温度以上に昇温させるのに要する熱量よりも高いことを特徴とする請求項に記載の燃焼装置。
  4. 前記制御手段は、燃焼運転中における燃焼量が所定範囲内のときに前記不気化成分除去モードに移行して前記不気化成分の気化処理を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の燃焼装置。
  5. 燃焼運転時間を積算する運転時間積算手段を有し、前記制御手段は、予め定められた燃焼運転時間が積算される毎に自動的に前記不気化成分除去モードに移行して不気化成分の気化処理を所定時間だけ継続することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の燃焼装置。
  6. 前記制御手段は、不気化成分除去モードにおいて液体燃料の不気化成分の気化処理が所定時間継続される前に燃焼運転が停止されたときは、当該不気化成分除去モードにおける処理を中止し、引き続く燃焼運転中に再度不気化成分除去モードに移行して不気化成分の気化処理を再開することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の燃焼装置。
JP2003143154A 2003-05-21 2003-05-21 燃焼装置 Expired - Fee Related JP4120810B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003143154A JP4120810B2 (ja) 2003-05-21 2003-05-21 燃焼装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003143154A JP4120810B2 (ja) 2003-05-21 2003-05-21 燃焼装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004347204A JP2004347204A (ja) 2004-12-09
JP4120810B2 true JP4120810B2 (ja) 2008-07-16

Family

ID=33531018

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003143154A Expired - Fee Related JP4120810B2 (ja) 2003-05-21 2003-05-21 燃焼装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4120810B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004347204A (ja) 2004-12-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2011513930A (ja) 混合プラズマ発生装置及び方法、並びに混合プラズマを利用した電熱調理装置
JP4120810B2 (ja) 燃焼装置
JP4129634B2 (ja) 燃焼装置
JP4147479B2 (ja) 気化式燃焼装置および給湯装置
JP4110399B2 (ja) 給湯装置
JP4129635B2 (ja) 燃焼装置
JP4131196B2 (ja) 燃焼装置
JP4092569B2 (ja) 気化式燃焼装置
JP4129637B2 (ja) 燃焼装置
JP4182418B2 (ja) 燃焼装置
JP4147478B2 (ja) 燃焼装置
JP4129636B2 (ja) 燃焼装置
TW318879B (ja)
JP4258632B2 (ja) 燃焼装置
JP3904165B2 (ja) 車両用燃焼式ヒータ
JP2000508760A (ja) ガス加熱装置
JP4039747B2 (ja) 灯油ガス化燃焼装置
JPH0344984Y2 (ja)
JPH0113220Y2 (ja)
JP3843882B2 (ja) 液体燃料燃焼装置
JP2003232504A (ja) 燃焼装置
JP4626789B2 (ja) 燃焼装置
CN101280952B (zh) 电热管旁热式热水器
JP3642193B2 (ja) 液体燃料燃焼装置
JP3901310B2 (ja) 給湯器およびその制御方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060518

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071011

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071121

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080118

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080402

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080415

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110509

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120509

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees