JP4128306B2 - α−オレフィン重合用触媒成分 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なα−オレフィン重合用の触媒成分に関する。詳しくは、本発明は、高融点のα−オレフィン重合体の製造を可能にするα−オレフィン重合用触媒成分、及び該触媒成分を含むα−オレフィン重合用触媒、並びに該重合用触媒を用いるα−オレフィン重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
α−オレフィン重合用触媒として用いられる物質として、メタロセン錯体と、助触媒としてアルミノキサンやホウ素化合物などを組み合わせて用いる、いわゆるメタロセン系触媒が知られている。この触媒は、一般に、非常に重合活性が高く、分子量分布が狭い重合体が得られるという特徴がある。
かかるメタロセン錯体のうち、特に工業的に価値の高いアイソタクチックポリプロピレンを製造するためのメタロセン錯体としては、主としてC2対称性を有する錯体が用いられてきた。
【0003】
このようなC2対称性を有するメタロセン錯体の代表例の一つとして、例えば、Journal of Polymer Science: Part A 33巻,1305頁に記載されたもの(具体的な錯体は以下の構造式で表されるものである)を挙げることができる。
【0004】
【化4】
【0005】
この文献によれば、触媒成分として[ジメチルシランジイルビス(3,3’−(2−メチルベンズ[e]インデニル)))]ジルコニウムジクロリドを用い、60℃における重合で得られるアイソタクチックポリプロピレンは、立体規則性の指標である[mmmm]が92.8%と比較的高い値を示す。
【0006】
しかしながら、これらC2対称性を有する錯体を用いて得られるポリプロピレンのほとんどは、ポリマーの主鎖内に異種結合と呼ばれる構造欠陥があることが知られており、この欠陥の存在により、ポリマーの融点は低下してしまう。例えば、上述の例では、2,1−インバージョンと呼ばれる欠陥が0.2%存在するために、ポリプロピレンの融点は150.1℃と、あまり高い値ではない。
【0007】
一方、このような異種結合の発生を抑制しうる錯体として、C1対称、すなわち対称性を有さない錯体の研究が行われてきた。オレフィン重合触媒成分としてC1対称メタロセン錯体を用いた最初期の例としては、1988年のEwenらの例が挙げられる(Journal of American Chemical Society,110巻,6255頁)。ここで用いられている錯体は、2,2−プロピリデン(シクロペンタジエニル(9−フルオレニル)ハフニウムジクロリドであるが、この錯体を用いた場合、シンジオタクチックポリプロピレンが得られることが明らかにされている。
【0008】
その後も種々のオレフィン重合用C1対称メタロセン錯体が報告されているが、それらの多くはシンジオタクチックポリプロピレン向け(例えば、特開平2−274703、特開平2−274704、特開平3−179006、ヘミアイソタクチックポリプロピレン向け(特開平3−193796)、あるいはシンジオ−アイソブロックポリプロピレン向け(特開平3−9913)である。
【0009】
一方、より用途が広く、工業的にも価値の高いアイソタクチックポリプロピレンの合成にC1対称メタロセン錯体を用いた例としては、まず、フルオレン骨格を配位子に有する錯体に関する報告が、いくつかのグループからなされている。その初期の例として、2,2−プロピリデン(3−t−ブチルシクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、及びジメチルシリレン(3−t−ブチルシクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを用いた例が挙げられる(特開平6−122718)。
【0010】
しかしながら、これらの錯体を用いて工業的に実用的な温度でプロペンの重合を行うと、得られるポリプロピレンの融点は高いものではなく、ポリマーの立体規則性あるいは位置選択性がよくないことがわかる。また、別のグループからも、ジメチルシリレン(3−t−ブチルシクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを用いたプロピレンの重合例が報告されているが、重合温度が3℃と極めて低い場合に得られたポリプロピレンの融点は159.1℃であり、工業的に実用的なより高温での重合で得られるポリプロピレンの融点は、これより大きく低下するものと考えられる。
【0011】
上述したようなフルオレン骨格を有する錯体とは別に、インデン骨格を有するC1錯体によるアイソタクチックポリプロピレンの製造例も報告されている。例えば、特開平7−118316では、2,2−プロピリデン(3−t−ブチル−1−インデニル)(2−メチル−4−t−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドを用いた例が記載されている。しかし、ここでは得られたポリマーの融点や立体規則性が報告されておらず、また重合温度は3℃と、非実用的な温度である。その後、特開平8−127612では、1,2−エタンジイル(1−インデニル)(2−インデニル)ジルコニウムジクロリド及びジメチルシリレン(1−インデニル(2−インデニル)ジルコニウムジクロリドを用いた例が報告されているが、得られるアイソタクチックポリプロピレンは融点80℃程度の、立体規則性が非常に低いものである。
【0012】
以上の例も含め、これまで報告されてきたC1対称のアイソタクチックα−オレフィン向けメタロセン錯体は、いずれも副環を有さない、すなわち共役五員環に縮合した環を有さないか、あるいはインデニル基やフルオレニル基のように副環が六員環のみであるものに限られていた。そして、それらを用いて工業的に実用的な温度で重合して得られるα−オレフィン重合体は、立体規則性が十分に高いとは言いがたい、実用には不満足なものであった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、工業的に実用的な重合温度において、高性能のC2対称メタロセン錯体を用いた場合のように立体規則性が高く、しかも従来型C1対称錯体を用いた場合のように異種結合が少ないα−オレフィン重合体を得ることを可能にするα−オレフィ重合触媒成分、及びα−オレフィン重合触媒、並びにα−オレフィン重合体の製造方法を提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果なされたものである。すなわち、本発明は、下記式(2)又は(3)で表される構造を有する遷移金属錯体からなるα−オレフィン重合用触媒成分を提供する。
【0019】
【化6】
【0020】
(式(2)中、R 1 は水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素、及びホウ素からなる群から選ばれる原子を含有していてもよい炭化水素基を表し、隣接する2つのR 1 が相互に結合して環を形成してもよい。また、4個のR 1 は相互に同じでも異なっていてもよい。Qは、2つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を表す。Mは、周期律表第4族の遷移金属原子を表す。Xは、Mと結合した水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素、及びホウ素からなる群から選ばれる原子を含有していてもよい炭化水素基を表す。nは遷移金属原子Mの価数を表し、n−2個のXは同一でも異なっていてもよい。C1は共役五員環に直接結合する炭素原子を示す。R 3 はハロゲン、窒素、硫黄、リン、ケイ素、及びホウ素からなる群から選ばれる原子を含有していてもよい炭素数3〜30の2価の飽和又は不飽和炭化水素基を表し、且つそれが結合する共役五員環以上の2つの原子と共に六員環を形成するように選ばれる。R4はハロゲン、窒素、硫黄、リン、ケイ素、及びホウ素からなる群から選ばれる原子を含有していてもよい炭素数3〜30の2価の飽和又は不飽和炭化水素基を表し、該R4と炭素原子C1は、それらが結合する共役五員環上の2つの炭素原子と共に七員環を形成する。R5及びR6 は、それぞれ独立に水素原子又は水素原子でない置換基を表し、その少なくとも一つは水素原子でない置換基を表す。但し、R 5 及びR 6 が水素原子でない置換基を表す場合は炭素数1〜14の炭化水素基、又は炭素数1〜14の炭素及び水素以外の原子を含む炭化水素基であって該炭素及び水素以外の原子がハロゲン、酸素、窒素、及びケイ素からなる群から選ばれるものである。さらに、前記R 1 、R 3 、R 4 は、前記遷移金属錯体がいかなるQ及びXの場合でもC 1 対称性を有するように選ばれる。)
【0021】
【化7】
【0022】
(式(3)中、R 1 は水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素、及びホウ素からなる群から選ばれる原子を含有していてもよい炭化水素基を表し、隣接する2つのR 1 が相互に結合して環を形成してもよい。また、4個のR 1 は相互に同じでも異なっていてもよい。Qは、2つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を表す。Mは、周期律表第4族の遷移金属原子を表す。Xは、Mと結合した水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素、及びホウ素からなる群から選ばれる原子を含有していてもよい炭化水素基を表す。nは遷移金属原子Mの価数を表し、n−2個のXは同一でも異なっていてもよい。C2は共役五員環に直接結合する炭素原子を示す。R 2 は、ハロゲン、窒素、硫黄、リン、ケイ素、及びホウ素からなる群から選ばれる原子を含有していてもよい炭素数3〜30の2価の飽和又は不飽和炭化水素基を表し、且つそれが結合する共役五員環以上の2つの原子と共に六員環を形成するように選ばれる。R7はハロゲン、窒素、硫黄、リン、ケイ素、及びホウ素からなる群から選ばれる原子を含有していてもよい炭素数3〜30の2価の飽和又は不飽和炭化水素基を表し、該R7と炭素原子C2は、それらが結合する共役五員環上の2つの炭素原子と共に七員環を形成する。R8及びR9 は、それぞれ独立に水素原子又は水素原子でない置換基を表し、その少なくとも一つは水素原子でない置換基を表す。但し、R 8 及びR 9 が水素原子でない置換基を表す場合は炭素数1〜14の炭化水素基、又は炭素数1〜14の炭素及び水素以外の原子を含む炭化水素基であって該炭素及び水素以外の原子がハロゲン、酸素、窒素、及びケイ素からなる群から選ばれるものである。さらに、前記R 1 、R 2 、R 7 は、前記遷移金属錯体がいかなるQ及びXの場合でもC 1 対称性を有するように選ばれる。)
【0023】
また、本発明は、前記式(2)におけるR 5 が水素原子、R 6 がフェニル基であり、前記式(3)におけるR 8 が水素原子、R 9 がフェニル基であることを特徴とする、請求項1記載のα−オレフィン重合用触媒成分を提供する。
また、本発明は、前記いずれかのα−オレフィン重合用触媒成分と、アルミニウムオキシ化合物、前記α−オレフィン重合用触媒成分を構成する遷移金属錯体と反応して該遷移金属錯体をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物、ルイス酸、珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物、及び無機珪酸塩からなる群より選ばれる1種以上の物質からなる助触媒成分と、必要に応じて使用される任意成分である有機アルミニウム化合物とを含む、α−オレフィン重合用触媒を提供する。
【0024】
また、本発明は、前記助触媒成分が、珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物及び無機珪酸塩からなる郡より選ばれる1種以上の物質からなる前記α−オレフィン重合用触媒を提供する。
また、本発明は、前記α−オレフィン重合用触媒の存在下にα−オレフィンを重合することを特徴とする、α−オレフィン重合体の製造方法を提供する。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
1.α−オレフィン重合用触媒成分
本発明のα−オレフィン重合用触媒成分は、上記一般式(1)で表される、少なくとも2つの共役五員環配位子を含む遷移金属錯体(以下、「メタロセン錯体」又は「メタロセン化合物」という場合がある)である。
【0026】
▲1▼R1
式(1)中、共役五員環に結合する4個のR1は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素及び水素以外の原子を含んでいてもよい炭化水素基を表す。該炭素及び水素以外の原子としては、ハロゲン、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素、及びホウ素からなる群から選ばれる。前記炭化水素基が炭素及び水素以外の原子を含むものである場合、シクロペンタジエニル環に結合する原子は炭素原子であっても、炭素及び水素以外の原子であってもよい。例えば、酸素含有炭化水素基ならば、シクロペンタジエニル環に結合する原子が炭素原子と酸素原子のいずれの場合も含まれる。
【0027】
前記炭化水素基の炭素原子数は特に限定されないが、好ましくは炭素原子数1〜20、特に好ましくは1〜15である。すなわち、これらのR1のうち、好ましいものは、水素原子、ハロゲン原子、又は炭化水素基もしくは炭素及び水素以外の原子を含む炭化水素基であって炭素数1〜20のものである。なお、隣接する2つのR1は相互に結合して環を形成してもよい。また、4個のR1は相互に同じでも異なっていてもよい。
【0028】
R1が炭化水素基の場合の具体例としては、メチル基、t−ブチル基、フェニル基、1−フェニル−1,3−ブタジエニレン基等が挙げられる。R1が炭素及び水素以外の原子を含む炭化水素基の場合の具体例としては、ハロゲン含有炭化水素基についてはトリフルオロメチル基、4−クロロフェニル基、2,3,4,5,6,7,8−ヘプタフルオロ−1−ナフチル基等が挙げられ、酸素含有炭化水素基についてはメトキシ基、t−ブトキシ基、2−フリル基等が挙げられ、窒素含有炭化水素基についてはジメチルアミノ基、ジメチルアミノメチル基、2−ピリジル基等が挙げられ、硫黄含有炭化水素基についてはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基等が挙げられ、リン含有炭化水素基についてはジメチルホスフィノ基、ジエチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基等が挙げられ、ケイ素含有炭化水素基についてはトリメチルシリル基、トリメチルシリルオキシ基等が挙げられ、ホウ素含有炭化水素基についてはジメチルボリル基、ジエチルボリル基、ジフェニルボリル基等が挙げられる。
【0029】
▲2▼Q
Qは、2つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を表し、a)炭素数1〜20、好ましくは1〜15の2価の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、又は、b)炭素数1〜20、好ましくは1〜15の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を置換基として有するシリレン基、オリゴシリレン基、又はゲルミレン基、等が挙げられる。
【0030】
a)のうちの好ましいものとしては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基等の不飽和炭化水素基、又は、ハロアルキレン基、ハロアリーレン基等のハロゲン化不飽和炭化水素基が挙げられ、より具体的には、2,2−プロピリデン基、ジフェニルメチリデン基、1,2−エタンジイル基等が挙げられる。
【0031】
b)のうちの好ましいものとしては、炭化水素基を置換基として有するシリレン基あるいはオリゴシリレン基等が挙げられる。置換基となる炭化水素基としては、メチル基、フェニル基等が挙げられる。かかる置換基を有するシリレン基あるいはオリゴシリレン基の具体例としては、ジメチルシランジイル基、ジフェニルシランジイル基、テトラメチルジシラン−1,2−ジイル基等が挙げられる。
【0032】
(M)
Mは、周期律表第4族から選ばれる遷移金属原子を表し、好ましくはチタン、ジルコニウム、及びハフニウムからなる群から選ばれる。なお、本発明における周期律表の族番号は、IUPACが1985年に推奨した新しい方法に基づいて付したものである。
【0033】
▲4▼X
Mに結合するn−2個のXは、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素及び水素以外の原子を含有していてもよい炭化水素基を表す。該炭素及び水素以外の原子としては、ハロゲン、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素、及びホウ素からなる群から選ばれる。これらのうち好ましいものは、炭化水素基もしくは炭素及び水素以外の原子を含む炭化水素基であって炭素数1〜20、好ましくは1〜12のものである。さらに好ましいものは、ハロゲン原子、炭素数1〜8の炭化水素基、又は炭素数1〜12の窒素含有炭化水素基である。
【0034】
Xが炭化水素基の場合の具体例としては、メチル基、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。Xが炭素及び水素以外の原子を含む炭化水素基の場合の具体例としては、ハロゲン含有炭化水素基についてはトリフルオロメチル基、4−クロロフェニル基、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基等が挙げられ、酸素含有炭化水素基についてはメトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基等が挙げられ、窒素含有炭化水素基についてはジメチルアミノ基、1−インドリル基、2−ピリジル基等が挙げられ、硫黄含有炭化水素基についてはメチルチオ基、2−チオフェニル基、フェニルチオ基等が挙げられ、リン含有炭化水素基についてはジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、トリメトキシホスフィノ基等が挙げられ、ケイ素含有炭化水素基についてはトリメチルシリル基、ビス(トリメチルシリル)メチル基、トリメトキシシリル基等が挙げられ、ホウ素含有炭化水素基についてはジメチルボリル基、ジフェニルボリル基、ジメトキシボリルオキシ基等が挙げられる。
【0035】
なお、nは遷移金属原子Mの価数を表し、好ましくは3〜6である。n−2個のXは同一でも異なっていてもよい。
【0036】
▲5▼R2及びR3
R2及びR3は、それぞれ共役五員環に結合し、該共役五員環上の二つの原子とともに環を形成する基であって、それぞれ独立に、炭素数3〜30、好ましくは5〜20の2価の飽和又は不飽和炭化水素基を表す。該炭化水素基は、炭素及び水素以外の原子として、ハロゲン、窒素、硫黄、リン、ケイ素、及びホウ素からなる群から選ばれる原子を含んでいてもよい。また、R2及びR3の少なくとも一方は、結合する共役五員環上の2つの原子とともに形成する環が七員環以上の環である。
【0037】
R2、R3の具体例としては、プロピレン、1−メチルプロペニレン、1−フェニルプロペニレン、3−メトキシプロペニレン、2−トリメチルシリルプロペニレン、テトラメチレン、1−ブテニレン、1−フェニル−1,3−ブタジエニレン、1−メトキシ−1−ブテニレン、1,4−シクロヘキシレン、o−キシリレン、ペンタメチレン、1−(2−ナフチル)−1,4−ペンタジエニレン、1−ジメチルホスフィノ−2,4−ペンタジエニレン、1−フェニル−2−ペンテニレン、ヘキサメチレン、2−ジフェニルボリルヘキサニレン、1−メチル−1−ヘキセニレン、2−ジフェニルホスフィノ−2,4−ヘキサジエニレン、1,2,3,4,5,6−ヘキサメチル−1,3,5−ヘキサトリエニレン、ヘプタメチレン、2−フェニルヘプタニレン、2−メチル−3,5,7−ヘプタトリエニレン、4−クロロヘプタニレン、オクタメチレン、3,8−ジフェニルオクタニレン、2−(4−メトキシフェニル)−3,5,7−オクタトリエニレン、ノナメチレン、2−トリメトキシシリルノナニレン、2−フェニル−4−ノネニレン、1−イソプロピル−2,7−ノナジエニレン、1,3,5,7−ノナテトラエニル、デカメチレン、3−ジエチルアミノデカメチレン、5,6−エポキシ−2,8−デカジエニレン、2−シクロヘキシル−3,5,7−デカトリエニレン、2,4,6,8−デカテトラエニレン、5−デシニレン、などが挙げられる。
【0038】
これらのうち好ましいのは、R2又はR3とそれらが結合する共役五員環上のそれぞれ2つの原子とによって形成される環が七〜十員環をなすものである。具体的には、ペンタメチレン、1−(2−ナフチル)−1,4−ペンタジエニレン、1−ジメチルホスフィノ−2,4−ペンタジエニレン、1−フェニル−2−ペンテニレン、ヘキサメチレン、2−ジフェニルボリルヘキサニレン、1−メチル−1−ヘキセニレン、2−ジフェニルホスフィノ−2,4−ヘキサジエニレン、1,2,3,4,5,6−ヘキサメチル−1,3,5−ヘキサトリエニレン、ヘプタメチレン、2−フェニルヘプタニレン、2−メチル−3,5,7−ヘプタトリエニレン、4−クロロヘプタニレン、オクタメチレン、3,8−ジフェニルオクタニレン、2−(4−メトキシフェニル)−3,5,7−オクタトリエニレン、などである。
【0039】
なお、前記R1〜R3、Q、Xの構造に関しては、前記一般式(1)で表される遷移金属錯体を形成する上で妨げとならない限り、各々の幾何異性体、光学異性体等の構造異性体をも含むものとする。さらに、前記R1〜R3は、前記遷移金属錯体がいかなるQ及びXの場合でもC1対称性を有するように選ばれる。
【0040】
前記一般式(1)で表される遷移金属錯体が、下記式(2)又は(3)で表される構造を有する場合、本発明において特に優れた効果を発揮する。
【0041】
【化8】
【0042】
式(2)中、C1は共役五員環に直接結合する炭素原子を示す。R3は、上述した2価の飽和又は不飽和炭化水素基のなかから、それが結合する共役五員環以上の2つの原子と共に六員環を形成するように選ばれる。R4はR2として挙げられるものの中から選択され、すなわちハロゲン、窒素、硫黄、リン、ケイ素、及びホウ素からなる群から選ばれる原子を含有していてもよい炭素数3〜30の2価の飽和又は不飽和炭化水素基を表し、そのうち該R4と炭素原子C1が結合する共役五員環上の2つの炭素原子と共に七員環を形成するように選ばれる。R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子又は水素原子でない置換基を表し、その少なくとも一つは水素原子でない置換基を表す。
【0043】
【化9】
【0044】
式(3)中、C2は共役五員環に直接結合する炭素原子を示す。R2は、上述した2価の飽和又は不飽和炭化水素基のなかから、それが結合する共役五員環以上の2つの原子と共に六員環を形成するように選ばれる。R7はR3として挙げられるものの中から選択され、すなわちハロゲン、窒素、硫黄、リン、ケイ素、及びホウ素からなる群から選ばれる原子を含有していてもよい炭素数3〜30の2価の飽和又は不飽和炭化水素基を表し、そのうち該R7と炭素原子C2が結合する共役五員環上の2つの炭素原子と共に七員環を形成するように選ばれる。R8及びR9は、それぞれ独立に、水素原子又は水素原子でない置換基を表し、その少なくとも一つは水素原子でない置換基を表す。
【0045】
ここで、R5、R6、R8及びR9が水素原子以外の置換基である場合、炭素数1〜14の炭化水素基、又は炭素数1〜14の炭素及び水素以外の原子を含む炭化水素基であって該炭素及び水素以外の原子がハロゲン、酸素、窒素、及びケイ素からなる群から選ばれるものである。
【0046】
また、上記のような化合物の、前記一般式(2)又は(3)におけるX部分をなす塩素原子の一部又は全部が水素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メチル基、フェニル基、4−フルオロフェニル基、ベンジル基、メトキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルホスフィノ基、ビス(トリメチルシリル)メチル基などに代わった化合物も明示することができる。また、先に例示した化合物の中心金属(M)がジルコニウムの代わりに、スカンジウム、イットリウム、ランタノイド系列原子、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステンに代わった化合物も例示することができる。
【0047】
以上述べたような本発明のα−オレフィン重合用触媒成分の具体例のいくつかについて、その構造式を以下に化合物1〜188として例示する。
【0048】
【化10】
【0049】
【化11】
【0050】
【化12】
【0051】
【化13】
【0052】
【化14】
【0053】
【化15】
【0054】
【化16】
【0055】
【化17】
【0056】
【化18】
【0057】
【化19】
【0058】
【化20】
【0059】
【化21】
【0060】
【化22】
【0061】
【化23】
【0062】
【化24】
【0063】
【化25】
【0064】
【化26】
【0065】
【化27】
【0066】
【化28】
【0067】
【化29】
【0068】
【化30】
【0069】
【化31】
【0070】
【化32】
【0071】
【化33】
【0072】
【化34】
【0073】
【化35】
【0074】
【化36】
【0075】
【化37】
【0076】
【化38】
【0077】
【化39】
【0078】
【化40】
【0079】
【化41】
【0080】
【化42】
【0081】
【化43】
【0082】
かかるα−オレフィン重合用触媒成分の合成方法は特に限定されず、一般的な有機合成の技術を組み合わせて合成することができる。
【0083】
2.オレフィン重合用触媒
本発明のオレフィン重合用触媒は、上述した一般式(1)で表される遷移金属錯体(以下、「成分A」とする)と、助触媒成分(以下、「成分B」とする)と、必要に応じて使用される任意成分(以下、「成分C」とする)とを含むものである。
【0084】
[助触媒成分B]
本発明において助触媒成分として用いられる成分Bは、アルミニウムオキシ化合物、本発明のα−オレフィン重合用触媒成分を構成する前記一般式(1)で表される遷移金属錯体と反応して該遷移金属錯体をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物、ルイス酸、珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物、及び無機珪酸塩からなる群より選ばれる一種以上の物質からなる。なお、ルイス酸のある種のものは、前記遷移金属錯体と反応して該遷移金属錯体をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物として把握することもできるため、本発明においては、このような上記ルイス酸及びイオン性化合物の両者に属する化合物は、いずれか一方に属するものとして取り扱う場合がある。
【0085】
▲1▼アルミニウムオキシ化合物
上記アルミニウムオキシ化合物としては、具体的には次の一般式(4)、(5)又は(6)で表される化合物が挙げられる。
【0086】
【化44】
【0087】
【化45】
【0088】
【化46】
【0089】
上記各一般式中、R10は、水素原子、又は炭化水素基、好ましくは炭素数1〜10の炭化水素基、特に好ましくは炭素数1〜6の炭化水素基を示す。また、複数のR10はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。また、pは0〜40、好ましくは2〜30の整数を示す。R11は炭素数1〜10の炭化水素基、好ましくは炭素数1〜6の炭化水素基である。
【0090】
一般式(4)及び(5)で表される化合物は、それぞれアルミノキサンとも呼ばれる化合物であって、一種類のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムと水との反応により得られる線状又は環状の有機アルミニウムの重合体である。具体的には、(a)一種類のトリアルキルアルミニウムと水から得られる、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、プロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン等、(b)二種類のトリアルキルアルミニウムと水から得られる、メチルエチルアルミノキサン、メチルブチルアルミノキサン、メチルイソブチルアルミノキサン等が例示される。これらの中では、メチルアルミノキサン及びメチルイソブチルアルミノキサンが好ましい。上記アルミノキサンは、複数種併用することも可能である。そして、上記アルミノキサンは、公知の様々な条件下に調製することができる。
【0091】
一般式(6)で表される化合物は、一種類のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムと次の一般式(7)で表されるアルキルボロン酸との10:1〜1:1(モル比)の反応により得ることができる。一般式(7)中、R12は炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基を示す。
【0092】
【化47】
R12−B−(OH)2 ・・・ (7)
【0093】
具体的には、以下のような反応生成物が例示できる。
・トリメチルアルミニウムとメチルボロン酸の2:1の反応物
・トリイソブチルアルミニウムとメチルボロン酸の2:1の反応物
・トリメチルアルミニウムと取りイソブチルアルミニウムとメチルボロン酸の1:1:1の反応物
・トリメチルアルミニウムとエチルボロン酸の2:1の反応物
・トリエチルアルミニウムとブチルボロン酸の2:1の反応物
【0094】
▲2▼イオン性化合物
前記一般式(1)で表される遷移金属錯体と反応して該遷移金属錯体をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物としては、一般式(8)で表される化合物が挙げられる。
【0095】
【化48】
[K]e+[Z]e− ・・・ (8)
【0096】
一般式(8)中、Kはカチオン成分であって、例えばカルベニウムカチオン、トロピリウムカチオン、アンモニウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ホスフォニウムカチオン等が挙げられる。また、それ自身が還元されやすい金属の陽イオンや有機金属の陽イオン等も挙げられる。
【0097】
上記カチオンの具体例としては、トリフェニルカルベニウム、ジフェニルカルベニウム、シクロヘプタトリエニウム、インデニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、N,N−ジメチルアニリニウム、ジプロピルアンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、トリフェニルホスホニウム、トリメチルホスホニウム、トリス(ジメチルフェニル)ホスホニウム、トリス(メチルフェニル)ホスホニウム、トリフェニルスルホニウム、トリフェニルオキソニウム、トリエチルオキソニウム、ピリリウム、銀イオン、金イオン、白金イオン、銅イオン、パラジウムイオン、水銀イオン、フェロセニウムイオン等が挙げられる。
【0098】
上記一般式(8)のうち、Zはアニオン成分であり、一般式(1)で表される遷移金属錯体が変換されたカチオン種に対して対アニオンとなる成分(一般には非配位の成分)である。Zとしては、例えば、有機ホウ素化合物アニオン、有機アルミニウム化合物アニオン、有機ガリウム化合物アニオン、有機リン化合物アニオン、有機ヒ素化合物アニオン、有機アンチモン化合物アニオン等が挙げられ、具体的には次の化合物が挙げられる。
【0099】
(a)テトラフェニルボレート、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}ボレート、テトラキス{3,5−ジ(t−ブチル)フェニル}ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等
(b)テトラフェニルアルミニウム、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)アルミニウム、テトラキス{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}アルミニウム、テトラキス{3,5−ジ(t−ブチル)フェニル}アルミニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム等
(c)テトラフェニルガリウム、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ガリウム、テトラキス{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}ガリウム、テトラキス{3,5−ジ(t−ブチル)フェニル}ガリウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガリウム等
(d)テトラフェニルリン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)リン等
(e)テトラフェニルヒ素、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ヒ素等
(f)テトラフェニルアンチモン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)アンチモン等
(g)デカボレート、ウンデカボレート、カルバドデカボレート、デカクロロデカボレート等
【0100】
▲3▼ルイス酸
本発明で用いられるルイス酸、特に一般式(1)で表される遷移金属錯体をカチオンに変換可能なルイス酸としては、種々の有機ホウ素化合物、金属ハロゲン化合物、固体酸などが例示され、その具体例としては次の化合物が挙げられる。
【0101】
(a)トリフェニルホウ素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、等の有機ホウ素化合物
(b)塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化臭化マグネシウム、塩化ヨウ化マグネシウム、臭化ヨウ化マグネシウム、塩化マグネシウムハイドライド、塩化マグネシウムハイドロオキシド、臭化マグネシウムハイドロオキシド、塩化マグネシウムアルコキシド、臭化マグネシウムアルコキシド等の金属ハロゲン化合物
(c)アルミナ、シリカ−アルミナ等の固体酸
【0102】
▲4▼イオン交換性層状化合物
珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物は、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとる化合物であり、含有するイオンが交換可能なものをいう。なお、このような化合物は、後述する担体として機能する場合もある。
【0103】
珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物は、六方最密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、CdI2型等の層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物等を例示することができる。このような結晶構造を有するイオン交換性層状化合物の具体例としては、α−Zr(HAsO4)2・H2O、α−Zr(HPO4)2、α−Zr(KPO4)2・3H2O、α−Ti(HPO4)2、α−Ti(HAsO4)2・H2O、α−Sn(HPO4)2・H2O、γ−Zr(HPO4)2、γ−Ti(HPO4)2、γ−Ti(NH4PO4)2・H2O等の多価金属の結晶性酸性塩が挙げられる。
【0104】
▲5▼無機珪酸塩
無機珪酸塩としては、粘土、粘土鉱物、ゼオライト、珪藻土等が挙げられる。これらは合成品を用いてもよいし、天然に産出する鉱物を用いてもよい。
【0105】
粘土、粘土鉱物の具体例としては、アロフェン等のアロフェン族、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト等のカオリン族、メタハロイサイト、ハロイサイト等のハロイサイト族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ソーコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母鉱物、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、ヒシンゲル石、パイロフィライト、リョクデイ石群等が挙げられる。これらは混合層を形成していてもよい。
【0106】
人工合成物としては、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライト等が挙げられる。
これらのうち好ましくは、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト等のカオリン族、メタハロイサイト、ハロイサイト等のハロイサイト族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ソーコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母鉱物、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライト等が挙げられ、特に好ましくはモンモリロナイト、ソーコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライトが挙げられる。これらは、特に処理を行うことなくそのまま使用してもよいし、ボールミル、篩い分け等の処理を行った後に使用してもよい。また、単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。
【0107】
なお、前記粘土及び粘土鉱物は、吸着水及び層間水を除去してから使用することが好ましい。粘土及び粘土鉱物は、通常、吸着水及び層間水を含んでいる。ここで吸着水とは、イオン交換性層状化合物又は無機珪酸塩の表面あるいは結晶破面に吸着された水であり、層間水とは、結晶の層間に存在する水である。
【0108】
かかる吸着水及び層間水の脱水方法は、特に制限されないが、加熱脱水、気体流通下の加熱脱水、減圧下の加熱脱水及び有機溶媒との共沸脱水などの方法が使用される。加熱温度は、吸着水及び層間水が残存しないような温度範囲とされ、通常100℃以上、好ましくは150℃以上とされるが、構造破壊を生じるような高温条件は好ましくない。加熱時間は0.5時間以上、好ましくは1時間以上である。その際、脱水乾燥した後の成分Bの重量減少は、温度200℃、圧力1mmHgの条件下で2時間吸引した場合の値として3重量%以下であることが好ましい。本発明においては、成分Bの重量減少を3重量%以下に調整して使用する場合、前記遷移金属錯体(成分A)及び任意成分(成分C)と接触する際にも、同様の重量減少が示されるような状態で取り扱うことが好ましい。
【0109】
なお、上記イオン交換性層状化合物及び無機珪酸塩は、それぞれ触媒の担体として用いてもよい。
【0110】
本発明では、前記助触媒成分として、珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物及び無機珪酸塩からなる郡より選ばれる1種以上の物質を用いるのが特に好ましい。
上記イオン交換性層状化合物及び無機珪酸塩は、塩類処理及び/又は酸処理により、固体の酸性質を変えることができる。また、塩類処理においては、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体などを形成することにより、表面積や層間距離を変えることができる。すなわち、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと置換することにより、層間が拡大した状態の層状物質を得ることができる。
【0111】
上述した前処理を行っていない化合物においては、含有される交換可能な金属陽イオンを次に示す塩類及び/又は酸より解離した陽イオンとイオン交換することが好ましい。
【0112】
上記イオン交換に使用する塩類は、1〜14族原子からなる群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンを含有する化合物であり、好ましくは1〜14族原子からなる群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲン原子、無機酸及び有機酸からなる群より選ばれた少なくとも一種の原子又は原子団より誘導される陰イオンとかなる化合物である。さらに好ましくは、2〜14族原子からなる群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、Cl、Br、I、F、PO4、SO4、NO4、CO4、C2O4、ClO4、OOCCH3、CH3COCHCOCH3、OCl2、O(NO3)2、O(ClO4)2、O(SO4)、OH、O2Cl2、OCl3、OOCH、及びOOCCH2CH3からなる群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンとからなる化合物である。また、これら塩類は2種以上を同時に使用してもよい。
【0113】
上記イオン交換に使用する酸は、好ましくは塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸から選択され、これらは2種以上を同時に使用してもよい。塩類処理と酸処理とを組み合わせる方法としては、塩類処理を行った後に酸処理を行う方法、酸処理を行った後に塩類処理を行う方法、塩類処理と酸処理を同時に行う方法、塩類処理を行った後に塩類処理と酸処理を同時に行う方法などがある。なお、酸処理は、イオン交換や表面の不純物を取り除く効果の他、結晶構造のAl、Fe、Mg、Li、等の陽イオンの一部を溶出させる効果がある。
【0114】
塩類及び酸による処理条件は特に制限されない。しかしながら、通常、塩類及び酸濃度は0.1〜30重量%、処理温度は室温から使用溶媒の沸点までの範囲の温度、処理時間は5分から24時間の条件を選択し、被処理化合物の少なくとも一部を溶出する条件で行うことが好ましい。また、塩類及び酸は一般的には水溶液で使用される。上記の塩類処理及び/又は酸処理を行う場合、処理前、処理間、処理後に粉砕や造粒などで形状制御を行ってもよい。また、アルカリ処理や有機物処理などの他の化学処理を併用してもよい。
【0115】
このようにして得られる成分Bとしては、水銀圧入法で測定した半径20Å(オングストローム)以上の細孔容積が0.1cc/g以上、特には0.3〜5cc/gであることが好ましい。
【0116】
前記助触媒成分Bにおいて、アルミニウムオキシ化合物、一般式(1)で表される前記遷移金属錯体と反応して該遷移金属錯体をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物、ルイス酸、珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物及び無機珪酸塩からなる群より選ばれる一種以上の物質は、それぞれ単独で使用される他、これらの成分を適宜組み合わせて使用することができる。
【0117】
[任意成分C]
本発明の重合用触媒において、成分Cは必要に応じて添加される任意成分であり、該重合用触媒に用いても用いなくてもよい。かかる成分Cは、有機アルミニウム化合物からなり、好ましくは一般式(9)で表される有機アルミニウム化合物が好適に使用される。
【0118】
【化49】
AlRaP3−a ・・・ (9)
【0119】
一般式(9)中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、Pは水素、ハロゲン、アルコキシ基、又はシロキシ基を示し、aは0より大きく3以下の数を示す。一般式(9)で表される有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノメトキシド、ジメチルアルミニウムモノフェノキシド等のハロゲン又はアルコキシ含有アルキルアルミニウム、アリールオキシ含有アルキルアルミニウム等が挙げられる。これらのなかでは、トリアルキルアルミニウムが好ましい。また、メチルアルミノキサン等のアルミノキサン類なども、成分Cとして使用できる。なお、成分Bがアルミノキサンの場合は、成分Cの例示としてアルミノキサンは除く。
【0120】
[重合用触媒の調製]
本発明のオレフィン重合用触媒は、前記一般式(1)で表される遷移金属錯体(成分A)と、上記助触媒成分(成分B)及び任意成分(成分C)とを接触させることにより調製される。接触方法は、特に限定されないが、次のような方法を例示することができる。なお、この接触は、触媒調製時だけでなく、オレフィンによる予備重合時又はオレフィンの重合(本重合)時に行ってもよい。
(1)成分Aと成分Bとを接触させる。
(2)成分Aと成分Bとを接触させた後に成分Cを添加する。
(3)成分Aと成分Cとを接触させた後に成分Bを添加する。
(4)成分Bと成分Cとを接触させた後に成分Aを添加する。
(5)成分Aと成分Bと成分Cとを同時に接触させる。
【0121】
上述した各成分の接触の際もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体、シリカ、アルミナ等の無機酸化物の固体を共存させるか、又は、接触させてもよい。
【0122】
また、上記各成分の接触は、窒素などの不活性ガス中、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素溶媒中で行ってもよい。接触は、−20℃から溶媒の沸点の間までの温度で行い、特に室温から溶媒の沸点の間までの温度で行うのが好ましい。
【0123】
成分A及び成分Bの使用量は任意である。例えば溶媒重合の場合、成分Aの使用量は、遷移金属原子として通常10−7〜102mmol/L、好ましくは10−4〜1mmol/Lの範囲とされる。成分Bがアルミニウムオキシ化合物の場合、Al/遷移金属原子のモル比は、通常10〜105、好ましくは100〜2×104、さらに好ましくは100〜104の範囲とされる。成分Bとしてイオン性化合物又はルイス酸を使用した場合、遷移金属原子に対するこれらのモル比は、通常0.1〜1000、好ましくは0.5〜100、さらに好ましくは1〜50の範囲とされる。
【0124】
また、成分Bとして珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物、無機珪酸塩を使用した場合、該成分B1g当たり、前記成分Aは、通常10−4〜10mmol/L、好ましくは10−3〜5mmol/Lであり、任意成分Cは通常0.01〜104mmol/L、好ましくは0.1〜100mmol/Lである。また、前記成分A中の遷移金属原子と任意成分C中のアルミニウムの原子比は、通常1:0.01〜106、好ましくは1:0.1〜105である。このようにして調製された触媒は、調製後に洗浄せずに使用してもよく、また、洗浄した後に使用してもよい。
【0125】
なお、本発明における前記任意成分Cは、このようにして調製される本発明の重合用触媒に、さらに必要に応じて新たに組み合わせる成分として使用してもよい。すなわち、前記遷移金属錯体成分A及び/又は助触媒成分Bと任意成分Cとを使用して重合用触媒を調製したのち、得られた重合用触媒とは別にさらに任意成分Cを重合反応系に添加してもよい。この際、使用される任意成分Cの量は、前記成分A中の遷移金属原子に対する任意成分C中のアルミニウムの原子比で1:0〜104となるように選ばれる。
【0126】
また、さらに前記重合用触媒に、別の任意成分Dとして微粒子担体を加え、上記成分A〜Cと共存させてもよい。前記微粒子担体は、無機又は有機の化合物からなり、通常5μm〜5mm、好ましくは10μm〜2mmの粒径を有する微粒子状の担体である。なお、前記助触媒成分Bには、上述したように担体としての機能を有するものもあるので、該助触媒成分Bとして担体の機能を有するものを選択した場合は、この成分Dは、必ずしも使用する必要はない。
【0127】
上記微粒子担体として用いられる無機化合物としては、例えば、SiO2、Al2O3、MgO、ZrO、TiO2、B2O3、ZnO等の酸化物、SiO2−MgO、SiO2−Al2O3、SiO2−TiO2、SiO2−Cr2O3、SiO2−Al2O3−MgO等の複合酸化物などが挙げられる。
【0128】
上記微粒子担体として用いられる有機化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素数2〜14のα−オレフィンの(共)重合体、スチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族不飽和炭化水素の(共)重合体などからなる多孔質ポリマーが挙げられる。これらの比表面積は、通常20〜1000m2/g、好ましくは50〜700m2/gであり、細孔容積は通常0.1cm2/g以上、好ましくは0.3cm2/g以上、さらに好ましくは0.8cm2/g以上である。
【0129】
さらに、本発明のオレフィン重合用触媒には、上記微粒子担体以外のさらなる任意成分として、例えば、H2O、メタノール、エタノール、ブタノール等の活性水素含有化合物、エーテル、エステル、アミン等の電子供与性化合物、ホウ酸フェニル、ジメチルメトキシアルミニウム、亜リン酸フェニル、テトラエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のアルコキシ含有化合物等を含むことができる。
【0130】
本発明のオレフィン重合用触媒の各成分の好ましい組み合わせとしては、成分Aとして上記構造式で示した化合物のうちの化合物15又は化合物18を用い、成分Bとしてメチルアルミノキサン、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、又はモンモリロナイトを用い、任意成分Cとしてトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、又はトリイソブチルアルミニウムを用いた場合である。また、任意成分Cを使用する場合に該成分Cとして低級アルキルアルミニウム、ハロゲン含有アルキルアルミニウム、アルキルアルミニウムヒドリド、アルコキシ含有アルキルアルミニウム又はアリールオキシ含有アルキルアルミニウムの1種又は2種以上を用いる場合は、成分Bのうちアルミニウムオキシ化合物、イオン性化合物又はルイス酸と併用するのが好ましい。
【0131】
前記遷移金属錯体成分A、助触媒成分B及び任意成分Cを予め接触させる際、重合させるモノマーを存在させてα−オレフィンの一部を重合させる、いわゆる予備重合を行うこともできる。すなわち、本格的な重合(本重合)の前にエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレン等のオレフィンを添加して予備重合を行い、必要に応じて洗浄して予備重合生成物を得た後、かかる予備重合生成物を触媒として使用し本重合を行うこともできる。この予備重合は、不活性溶媒中で穏和な条件で行うことが好ましく、固体触媒1g当たり、通常0.01〜1000g、好ましくは0.1〜100gの重合体が生成するように行うのが好ましい。
【0132】
3.α−オレフィンの重合
本発明のα−オレフィンの重合方法においては、上述した本発明のα−オレフィン重合用触媒の存在下にα−オレフィンを重合する。
【0133】
前記重合用触媒は、溶媒を用いる溶媒重合に適用されるのは勿論であるが、実質的に溶媒を用いない液相無溶媒重合、気相重合にも適用される。また、連続重合及び回分式重合のいずれにも適用される。
【0134】
溶媒重合の場合の溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族又は芳香族炭化水素の単独あるいは混合物が用いられる。
【0135】
重合温度は−78〜200℃程度、好ましくは−20〜100℃、さらに好ましくは20〜100℃である。反応系のオレフィン圧には特に制限はないが、好ましくは常圧〜50kG/cm2・Gの範囲である。また、重合に際しては公知の手段、例えば温度、圧力の選定あるいは水素の導入、により分子量調節を行うことができる。
【0136】
本発明の重合用触媒により重合しうるα−オレフィン、すなわち本発明の方法において重合反応に用いられるα−オレフィンは、炭素数3〜20、好ましくは3〜10のα−オレフィンである。具体的には、例えばプロペン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−エイコセン等がある。好ましくはプロペン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンであり、特に好ましくはプロペン、1−ヘキセンである。これらのオレフィン類は、2種以上混合して重合もしくは共重合に供することができる。
【0137】
また、本発明の重合用触媒は、上記α−オレフィンと共重合可能な他の単量体、例えばブタジエン、1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン等のような共役及び非共役ジエン類や、エチレンとの共重合にも有効である。
【0138】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例によって制約を受けるものではない。なお、本実施例で用いた溶媒は全て窒素下で脱水処理されており、助触媒として用いたメチルアルモキサン(MAO)は東ソー・アクゾ社製MMAO−3A(ロットMM5X01、トルエン溶液、Al含量5.9重量%)である。また、本実施例における各種物性等の測定方法は以下の通りである。
【0139】
(1)ポリプロピレンの融点測定:DSC(デュポン社製「TA2000型」)を使用し、10℃/分で20〜200℃までの昇降温を1回行った後の2回目の昇温時の測定により求めた。
【0140】
(2)ポリプロピレンの一次構造決定:核磁気共鳴装置(日本電子製「EX−270」)を使用し、試料300mgをオルトジクロロベンゼン2.5mlと重ベンゼン0.5mlに溶解し、130℃で照射時間0.744秒、パルスディレイ2.256秒で積算を20000回行うことにより測定した。
【0141】
アイソタクチックポリプロピレンの構造欠陥である2,1−インバージョン及び1,3−インサーションの量は、次の式で計算した。
【0142】
【数1】
2,1−インバージョンの割合(%)=(Y/X)×1000×1/5
1,3−インサーションの割合(%)=(Z/X)×1000×1/5
X=27〜48ppmの積分値の和
Y=(A▲1▼+A▲2▼+A▲3▼+A▲4▼+A▲5▼+A▲6▼)/6
Z=(A▲7▼+A▲8▼+A▲9▼)/6
【0143】
上記A▲1▼、A▲2▼、A▲3▼、A▲4▼、A▲5▼、A▲6▼、A▲7▼、A▲8▼、A▲9▼は、それぞれ42.3ppm(以下、同じ)、35.9、38.6、30.6、36.0、31.5、31.0、37.2、27.4の面積であり、次の部分構造I、II中で示した炭素の存在量比を示す。
【0144】
【化50】
【0145】
(3)ベンズ[a]アズレンは、文献(Helvetica Chimica Acta,78巻,765項)に従って合成した。
(4)rac−ジメチルシリレンビス{1,1’−(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)}ジルコニウムジクロリドは、文献(特開平10−226712)に従って合成した。
【0146】
【実施例1】
2,2−プロピリデン(3−t−ブチルシクロペンタジエニル){(10−(5−フェニル−5−ヒドロベンズ[a]アズレニル)}ジルコニウムジクロリド(化合物18)の合成:
(1)2−t−ブチル−6,6−ジメチルフルベンの合成
窒素雰囲気下、t−ブチルシクロペンタジエン(二重結合の位置異性体の混合物)7.33g(60.0mmol)の乾燥メタノール(60ml)溶液に、室温下、アセトン4.4mlを加え、さらにピロリジン7.51ml(90mmol)を8分かけて滴下した。室温で27時間撹拌後、酢酸10.8mlを加えた。この反応混合物に水300mlとエーテル300mlを加えて有機相と水相とに分けた。水相をエーテルで抽出し、抽出溶媒と有機相を合わせて水及び飽和食塩水で洗った。 硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去し、残渣を蒸留して橙色の液体を得た。このものの沸点は116℃(38mmHg)、収量は3.24g、収率は33%であった。このものの1H−NMR測定結果を以下に示す。
1H−NMR(CdCl3):δ1.21(s,9H)、2.16(s,3H)、2.17(s,3H)、6.15(m,1H)、6.54(m,2H)。
【0147】
(2)2,2−プロピリデン(3−t−ブチルシクロペンタジエニル){(10−(5−フェニル−5−ヒドロベンズ[a]アズレニル)}ジルコニウムジクロリド(化合物18)の合成
窒素雰囲気下、0.63g(3.53mmol)のベンズ[a]アズレンの乾燥テトラヒドロフラン(10ml)溶液に、−23℃でフェニルリチウムのシクロヘキサン−エーテル溶液(0.94mol/l)3.8mlを5分かけて滴下した。滴下終了後30分この温度で撹拌し、その後反応溶液を−78℃にて2−t−ブチル−6,6−ジメチルフルベン0.57g(3.51mmol)の乾燥テトラヒドロフラン(5ml)溶液を10分かけて滴下した。滴下終了後、温度を徐々に室温まで上げながら、15時間撹拌し、その後飽和塩化アンモニウム水溶液40mlを加えて反応を停止した。
【0148】
有機相を分液後、水相をエーテルで抽出し、抽出溶媒と有機相を合わせて水及び飽和食塩水で洗った。硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下室温で留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン)で精製してアモルファス状の(2−t−ブチル−4−メチルシクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(5−フェニル−5,10−ジヒドロベンズ[a]アズレン−10−イル)シラン及びその二重結合の位置異性体の混合物0.37gを得た。
【0149】
これを乾燥エーテル(10ml)に溶かして−78℃に冷却し、これにn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.54mol/l)1.45mlを5分かけて滴下した。反応液を徐々に室温まで昇温しながら15時間撹拌した後、溶媒を減圧下室温で留去した。残渣を乾燥トルエン(14.5ml)及び乾燥エーテル(0.5ml)の混合溶媒に懸濁し、−78℃で四塩化ジルコニウム0.25g(1.1mmol)を1分かけて加えた。
【0150】
反応混合物を室温まで徐々に昇温しながら9時間撹拌した後、溶媒を減圧下室温で留去した。残渣を乾燥塩化メチレンに懸濁して窒素雰囲気下濾過し、濾液を減圧下室温で5mlに濃縮した。これに乾燥n−ヘキサン30mlを加え、析出した沈殿を窒素下濾別し、さらに沈殿を乾燥n−ヘキサンで洗った。濾液と洗液の溶媒を減圧下室温で留去し、残渣を最小量の乾燥塩化メチレンに溶かしてこれに乾燥n−ヘキサンを加えて沈殿を析出させた。窒素雰囲気下沈殿を濾別し、これを乾燥n−ヘキサンで洗った。得られた濾液と洗液を合わせて溶媒を減圧下室温で留去し、黄色の固体を得た。質量分析測定により、目的物(2,2−プロピリデン(3−t−ブチルシクロペンタジエニル){(10−(5−フェニル−5−ヒドロベンズ[a]アズレニル)}ジルコニウムジクロリド;化合物18)のピーク(m/e 576)を検出した。
【0151】
【実施例2】
ジメチルシリレン(4−t−ブチル−2−メチルシクロペンタジエニル){(10−(5−フェニル−5−ヒドロベンズ[a]アズレニル)}ジルコニウムジクロリド(化合物15)の合成:
(1)2,6,6−トリメチルフルベンの合成
窒素雰囲気下、室温でメチルシクロペンタジエン(二重結合の位置異性体の混合物)55.5g(0.693mol)の乾燥メタノール(700ml)溶液にアセトン51mlを加え、さらにピロリジン87ml(1.0mol)を30分かけて滴下した。16時間撹拌後、反応溶液をエーテル1000mlと水1000mlの混合物に注いだ。有機相を分液後、水相をエーテルで抽出し、抽出液と有機相を水洗し、さらに飽和食塩水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、残った液体を減圧蒸留して橙色の液体を得た。このものの沸点は91℃(38mmHg)、収量は45.3g、収率は54%であった。このものの1H−NMR測定結果を以下に示す。
1H−NMR(CdCl3):δ2.08(s,3H)、2.15(s,3H)、2.16(s,3H)、6.19(brs,1H)、6.33(brd,1H,J=4.9Hz)、6.50(dd,1H,J=21Hz,J=4.9Hz)。
【0152】
(2)(2−t−ブチル−4−メチル−1,3−シクロペンタジエン−5−イル)クロロジメチルシラン及びその異性体混合物の合成
操作は全て窒素雰囲気下で行った。2,6,6−トリメチルフルベン10.0g(83.2mmol)の乾燥エーテル(80ml)溶液に、室温でメチルリチウムのエーテル溶液(1.14mol/l)73mlを60分かけて滴下した。4時間撹拌後、この溶液をジクロロジメチルシラン400mlと乾燥エーテル200mlの混合溶液に、0℃で60分かけて滴下した。室温まで徐々に昇温しながら12時間撹拌後、溶媒とジクロロジメチルシランを減圧下留去した。残渣を簡そうジクロロメタンに懸濁させ、濾過して得られた濾液から減圧下溶媒を留去し、残渣を減圧蒸留して無色透明の液体を得た。このものの沸点は74℃(0.42mmHg)、収量は8.25g、収率は43%であった。
【0153】
(3)ジメチルシリレン(4−t−ブチル−2−メチルシクロペンタジエニル){(10−(5−フェニル−5−ヒドロベンズ[a]アズレニル)}ジルコニウムジクロリド(化合物15)の合成
窒素雰囲気下、ベンズ[a]アズレン1.41g(7.91mmol)の乾燥テトラヒドロフラン(40ml)溶液に、−23℃でフェニルリチウムのシクロヘキサン−エーテル溶液(0.94mol/l)8.4mlを30分かけて滴下した。30分撹拌後、反応混合物を−78℃に冷却し、2−メチルイミダゾール15μlを加え、さらに(2−t−ブチル−4−メチル−1,3−シクロペンタジエン−5−イル)クロロジメチルシラン(及びその異性体混合物)2.12g(9.26mmol)の乾燥テトラヒドロフラン(10ml)溶液を20分かけて滴下した。2時間かけて室温まで昇温しながら撹拌後、1N塩酸を加えて反応を停止した。分液後、水相をエーテルで抽出し、抽出溶媒と有機相を合わせて飽和食塩水で洗った。硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:ジクロロメタン=19:1)で精製し、緑色の油状物質1.45gを得た。
【0154】
窒素雰囲気下、この油状物質1.45gの乾燥エーテル(20ml)溶液を−78℃に冷却後、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.54mol/l)4.2mlを3分かけて滴下した。滴下終了後、室温まで徐々に昇温しながら15時間撹拌し、その後減圧下溶媒を留去し、残渣を乾燥トルエン14.5mlと乾燥エーテル0.5mlの混合溶媒に懸濁させた。懸濁液を−78℃に冷却し、これに四塩化ジルコニウム0.76g(3.3mmol)を加えた。その後、150分かけて室温まで徐々に昇温し、溶媒を減圧下留去して得られた残渣を乾燥ジクロロメタンに懸濁させた。窒素雰囲気下で濾過し、濾液の溶媒を減圧下留去し、残渣を少量のジクロロメタンに溶かした。これに乾燥n−ヘキサンを加えて析出した沈殿を乾燥n−ヘキサンで洗い、真空乾燥して黄色の固体を得た。質量分析測定により、目的物(ジメチルシリレン(4−t−ブチル−2−メチルシクロペンタジエニル){(10−(5−フェニル−5−ヒドロベンズ[a]アズレニル)}ジルコニウムジクロリド;化合物15)のピーク(m/e 606)を検出した。
【0155】
【実施例3】
窒素下、室温で内容積1リットルのオートクレーブにMMAO(15mmol)のトルエン溶液(7.9ml)、化合物18(5.2μmol)のトルエン溶液(3.0ml)、をこの順に加えた後、液体プロピレン700mlを加え、70℃に昇温して1時間重合を行った。得られたポリマーを熱風下で乾燥した。ポリマーの収量は9.8gであった。結果を表1に示す。
重合活性:1700g(PP)/mmol(Zr)
Tm:153.8℃
[mm]:98%
2,1−インバージョン:0.2%
1,3−インサーション:0.1%
【0156】
【比較例1】
窒素下、室温で内容積1リットルのオートクレーブにMMAO(3.0mmol)のトルエン溶液(1.6ml)、rac−ジメチルシリレンビス{1,1’−(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)}ジルコニウムジクロリド(0.30μmol)のトルエン溶液(0.40ml)、をこの順に加えた後、液体プロピレン700mlを加え、70℃に昇温して1時間重合を行った。
【0157】
得られたポリマーを熱風下で乾燥した。ポリマーの収量は32.7gであった。結果を表1に示す。
重合活性:110000g(PP)/mmol(Zr)
Tm:150.9℃
[mm]:98%
2,1−インバージョン:0.9%
1,3−インサーション:0.1%
【0158】
【実施例4】
窒素下、室温で内容積1リットルのオートクレーブにトリイソブチルアルミニウム(1.5mmol)のトルエン溶液(3.0ml)、ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフェニルフルオロボラート(10μmol)のトルエン溶液(10ml)、化合物18(5.2μmol)のトルエン溶液(3.0ml)、をこの順に加えた後、液体プロピレン700mlを加え、70℃に昇温して1時間重合を行った。
【0159】
得られたポリマーを熱風下で乾燥した。ポリマーの収量は8.1gであった。結果を表1に示す。
重合活性:1600g(PP)/mmol(Zr)
Tm:154.1℃
[mm]:98%
2,1−インバージョン:0.3%
1,3−インサーション:0.1%
【0160】
【実施例5】
重合温度を50℃にする以外は全て実施例4と同一条件でプロピレンの重合を行った。ポリマーの収量は10.5gであった。結果を表1に示す。
重合活性:2000g(PP)/mmol(Zr)
Tm:156.1℃
[mm]:99%
2,1−インバージョン:0.3%
1,3−インサーション:検出されず
【0161】
【実施例6】
重合温度を80℃にする以外は全て実施例4と同一条件でプロピレンの重合を行った。ポリマーの収量は7.9gであった。結果を表1に示す。
重合活性:1500g(PP)/mmol(Zr)
Tm:148.2℃
[mm]:99%
2,1−インバージョン:0.3%
1,3−インサーション:0.1%
【0162】
【実施例7】
窒素下、室温で内容積1リットルのオートクレーブにトリイソブチルアルミニウム(1.5mmol)のトルエン溶液(3.0ml)、ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフェニルフルオロボラート(10μmol)のトルエン溶液(10ml)、化合物15(4.9μmol)のトルエン溶液(6.0ml)、をこの順に加えた後、液体プロピレン700mlを加え、70℃に昇温して1時間重合を行った。
【0163】
得られたポリマーを熱風下で乾燥した。ポリマーの収量は1.5gであった。結果を表1に示す。
重合活性:280g(PP)/mmol(Zr)
Tm:159.3℃
[mm]:>99%
2,1−インバージョン:検出されず
1,3−インサーション:検出されず
【0164】
【表1】
【0165】
【発明の効果】
本発明によれば、工業的に実用な重合温度において、立体規則性が高く、且つ異種結合が少ないα−オレフィン重合体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の触媒の製造工程を示すフローチャート図である。
Claims (5)
- 下記式(2)又は(3)で表される構造を有する遷移金属錯体からなるα−オレフィン重合用触媒成分。
- 前記式(2)におけるR 5 が水素原子、R 6 がフェニル基であり、前記式(3)におけるR 8 が水素原子、R 9 がフェニル基であることを特徴とする、請求項1記載のα−オレフィン重合用触媒成分。
- 請求項1又は2記載のα−オレフィン重合用触媒成分と、アルミニウムオキシ化合物、前記α−オレフィン重合用触媒成分を構成する遷移金属錯体と反応して該遷移金属錯体をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物、ルイス酸、珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物、及び無機珪酸塩からなる群より選ばれる1種以上の物質からなる助触媒成分と、必要に応じて使用される任意成分である有機アルミニウム化合物とを含む、α−オレフィン重合用触媒。
- 前記助触媒成分が、珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物及び無機珪酸塩からなる郡より選ばれる1種以上の物質からなる、請求項3記載のα−オレフィン重合用触媒。
- 請求項3又は4記載のα−オレフィン重合用触媒の存在下にα−オレフィンを重合することを特徴とする、α−オレフィン重合体の製造方法。
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