JP4127973B2 - ブレーキ用プレート並びにその製造方法および装置 - Google Patents

Description

【０００１】
［技術分野］
本発明はブレーキに関し、特に改良されたブレーキプレート、並びにこのプレートの製造方法および装置に関する。
【０００２】
［背景技術］
近年自動車の数が非常に増加している。ブレーキ製造と部品取り替えの費用を低減する方法は自動車メーカーとブレーキ部品の供給者の双方にとっての関心事である。使用の増加により販売後ブレーキの取り替えと修理が顕著に増加した。ブレーキはまた飛行機、列車、二輪車、すべての地上走行車およびオートバイのような自動車について需要が増加しつつある。
【０００３】
ブレーキは、現在製造されているように、２枚のメインプレート、すなわちプレート（バッキングプレート（ｂａｃｋｉｎｇ ｐｌａｔｅ）ともいう）と、摩擦パッドとを組み合わせたものである。このプレートはブレーキアッセンブリに搭載されており、種々のボス、穴その他の、摩擦パッドを受容し保持するための特徴を有するプレートを作製することによって形成することができる。高速低コスト製造方法を使用する必要からしばしばプレートが不揃いになり、このため高速回転するブレーキローターに摩擦パッドが接触するブレーキ動作中に、またはブレーキパッドアッセンブリの予備取り付け操作中でさえも、摩擦パッドをプレート上に当てて保持するのが困難になることがある。
【０００４】
摩擦パッドをプレートに取り付ける方法としては種々の方法が知られている。一つの方法は、リベットを用いて摩擦パッドをプレートに取り付けることである。リベット法の一つの欠点は、プレートと摩擦パッドとの間に堅固な結合を生じることであり、この結合により急激な衝撃の結果、摩擦パッドのブレーキ動作を生じることがある。さらに、この方法は１つ以上の追加の製造工程を要求することが多く、コスト増につながる。加えて、摩擦パッドが時間の経過により疲労すると、リベットが露出されブレーキローターを擦り、このローターを損傷し、その修理にコストがかかる。
【０００５】
もう一つの、より最近になって開発された摩擦パッドのプレートへの搭載方法は、加圧成形方法を用いて摩擦パッドを直接プレート上に成形する方法である。この方法では、摩擦パッドの調製は摩擦パッドの成分を混合してプリフォームまたはケーキにする。慣用の加圧成形システムを用いて摩擦パッドプリフォームをプレート上に成形する。セメントまたは糊の層をプレートの接触面に適用してプレートと摩擦パッドの間の接着を改善することが多い。
【０００６】
圧力が成形アッセンブリに対して適用されるので、プリフォームは加熱され、流動し始め、金型を満たし、プレートの適当な表面を覆う。この方法では、プリフォーム材料は種々の特徴構造の中および周りに流入してプレートと摩擦パッドとの間の結合を改善することが意図されている。
【０００７】
プレートに対しては走行中の乗り物の揺れ、並びにローターにより引き起こされた振動および騒音など、多くの力が働いている。従来技術の方法およびプレートの問題点は、プレートに型押しされている穴やボスのような特徴構造のために摩擦パッドとプレートとの間の結合における剪断力および／または引っ張り強度が不十分になることが多いことである。結合強度を増すために追加の特徴構造を型押しすると、追加の製造工程が必要となり、追加コストが発生する。
【０００８】
プレートに型押しされるもっとも一般的な従来技術構造は円形穴である。これらの穴は不十分な結果を生じることが多いが、これは成形工程中にプリフォームケーキがすべての穴を完全に満たさず、そのためプレートと摩擦パッドとの間の結合が不完全になるためである。不完全な穴の充填は明白に目視可能であり、購入者が点検したときに品質上問題となる。不完全な穴の充填は美観の点からも不快な外観をしており、顧客に対して魅力に乏しいものとなり得る。従って、従来技術のプレートでは充填の不完全な穴にパテを充填しその上を塗装して不満足な成形結果を隠蔽するとともに外観を改善するのが一般的に行われている。これらの追加の製造工程はディスクブレーキの製造コストを増加させるという欠点を追加している。
【０００９】
さらに、従来技術の方法により型押しされた穴はプレートの構造強度が低下しており、そのためそれに働く種々の力の影響をより受け易くなっている。これらの力はプレートを変形し、摩擦パッド上での磨耗を不均一にしたり、プレートの構造的欠陥を生じたりすることがある。
【００１０】
ブレーキプレートのもう一つの問題は摩擦により生じる熱により引き起こされる。プレートの膨張収縮値は摩擦材料のそれらとは異なる。ブレーキ動作により熱が発生し、プレートと摩擦材料は頻繁に加熱と冷却にさらされる。膨張収縮値が異なるので、特にプレートが平坦であるか平坦な領域が大きい場合に、プレートと摩擦材料との間に分離が生じる。そこで、プレートと摩擦材料との間にさびが生じることがあり、それにより騒音が発生したり、ブレーキが故障したりする。
【００１１】
従って、プレートの製造コストを増加させずに摩擦パッドとの結合を改善することができるブレーキプレートおよびその製造方法が必要とされている。
【００１２】
［発明の要約］
本発明の目的は、プレートの製造コストを増加させずにプレートと摩擦パッドとの間の結合を改善し、プレートの構造的強度を向上させたプレートを提供することである。さらに、本発明の目的は、製造工程の必要数が少なく、同時にバッキングプレートの構造的強度を保持することにより時間とコストを低減したプレートの製造方法および装置を提供することである。
【００１３】
本発明のさらなる特徴は以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【００１４】
本発明は、摩擦材料をブレーキアッセンブリに保持するためのプレートであって、
前記摩擦材料を前記プレートに取り付けるための接触面と、
前記接触面と対抗する第２の面と、
前記接触面上に形成された複数の保持構造であって、各保持構造が前記接触面と前記第２の面との間の一点から延びている突出部材を備え、前記部材が前記接触面から外方に延びて前記摩擦材料と係合する保持構造とを備えるプレートを含む。前記保持構造が前記突出部材に当接する凹面を有する凹部をさらに備え、該凹面が前記接触面内に延びていてもよい。前記接触面が湾曲していてもよく、または実質的に平坦であってもよい。前記ブレーキがディスクブレーキまたはドラムブレーキを備えていてもよい。前記プレートが一体保持構造を備えていてもよい。前記保持構造を前記プレートから形成することができ、好ましくは切削または刻設することができる。変形例では、前記突出部材をかえり（ｂｕｒｒ）としてもよい。前記かえりが任意にフック形状を備え、該フックの遠位端が該フックに隣接する凹部から逸れていてもよい。前記保持構造は任意に複数の列に配列される。前記列は任意に実質的に平行である。前記列は長さ方向に配列されているのが有効である。
【００１５】
本発明はまた、摩擦材料をブレーキ用プレートの接触面に固定するための当該プレートの製造方法であって、
前記摩擦材料を前記プレートに取り付けるための接触面と、
前記接触面と対向する第２の面と、
前記接触面上に形成された複数の保持構造であって、各保持構造が前記接触面と前記第２の面との間の一点から延びている突出部材を備え、前記部材が前記接触面から外方に延びて前記摩擦材料と係合する保持構造と
を用意することを備える。
【００１６】
本発明は、本発明の方法に従ってまたは本発明の装置を用いて製造されたブレーキプレート、好ましくはドラムブレーキまたはディスクブレーキを含む。
【００１７】
一つの方法において、前記保持構造が前記接触面を切削することにより形成される。あるいはまた、前記保持構造は前記接触面を刻設することにより形成される。もう一つの変形例において、前記保持構造が前記接触面上に複数列の保持構造を切削することにより形成される。前記列は任意に実質的に平行におよび／または長さ方向に配列されている。
【００１８】
一つの実施態様においては、前記切削が複数のナイフにより行われ、各ナイフは切削刃先を有し、該刃先は複数の歯に接続している。各保持構造が１つの歯によって形成されるのが好ましい。各歯が前記接触面から突出部材を切削して隣接する凹部を形成するのが好ましい。前記ナイフが前記プレートに関して長さ方向に配列されているのが好ましい。前記ナイフは実質的に平行であってもよい。隣接するナイフが対向する方向に移動するのが好ましい。前記複数のナイフが前記プレートに衝突する前に前記接触面に平行に移動するのが好ましい。前記複数のナイフが前記プレートとの衝突時に前記接触面に平行に移動し始めるのが好ましい。前記プレートはナイフにより刻設されている間静止していてもよい。前記ナイフは任意に前記接触面に垂直な方向に固定され、前記プレートは前記ナイフに衝突する。
【００１９】
本発明のもう一つの変形例は、ブレーキプレートの接触面上に形成された、摩擦材料を保持するための複数の保持構造を有するブレーキプレートの製造装置であって、
前記接触面上に、それぞれが前記接触面と前記第２の面との間の一点から延びている突出部材を備え、前記部材が前記接触面から外方に延びて前記摩擦材料と係合する複数の保持構造を切削する手段であって、前記接触面に一般に平行に移動して前記保持構造を切削するように適合された切削手段と、
前記切削手段と前記プレートの接触面に衝突して前記保持構造を形成する駆動手段とを備える装置である。
【００２０】
前記切削手段が複数のナイフを備え、各ナイフが切削歯先を有し、該刃先が複数の歯に接続され、各歯が前記接触面との衝突時に複数の保持構造の一つを形成するように適合されているのが好ましい。
【００２１】
前記装置は、任意に、
前記複数のナイフのそれぞれの少なくとも一方の側面に滑動可能に接続された少なくとも１つの駆動部材と、
前記駆動部材に滑動可能に接続された少なくとも１つのスライド部材とをさらに備え、
前記ナイフと前記接触面との間の衝突の際、前記スライド部材は前記接触面から遠ざかるように適合され、前記スライド部材は前記駆動部材を前記接触面に一般に平行に移動するように適合され、前記駆動部材は前記ナイフを前記接触面に一般に平行に移動するように適合されている
【００２２】
前記スライド部材は傾斜した滑動面を有していてもよく、該滑動面は前記スライド部材の移動時に前記駆動部材を前記接触面に一般に平行に移動するように適合されている。少なくとも１つのスライド部材が２つのスライド部材であってもよく、少なくとも１つの駆動部材が第１および第２の駆動部材を含んでいてもよく、かつ前記ナイフのそれぞれの少なくとも一方の側面が第１の側面と第２の側面とを含んでいてもよく、ここで該第１の駆動部材は該少なくとも１つのナイフの第１の側面に近接しており、かつ該第２の駆動部材は前記ナイフの残りの第２の側面に近接している。交互のナイフの前記第１および第２の側面が前記第１および第２の駆動部材にそれぞれ近接しているのが好ましい。隣接するナイフが前記接触面との衝突時に対向する方向に移動するのが好ましい。前記装置は前記ナイフを出発位置に復帰させる復帰手段をさらに備えていてもよい。前記復帰手段が、任意に、第１および第２のスライドロッドに取り付けられた少なくとも１つのスプリングであり、該スライドロッドは各ナイフの前記第１および第２の側面に近接して画成された第１および第２のガイドスロット内に配置されている。前記複数のナイフが前記プレートに関して長さ方向に配列されているのが好ましい。前記装置のナイフが相互に対して実質的に平行であるのが好ましい。
【００２３】
前記スライド部材と前記複数のナイフが、前記プレートとの衝突の前に前記接触面に一般に平行に移動するように適合されているのが好ましい。前記複数のナイフが前記プレートとの衝突時に前記接触面に一般に平行に移動するように適合されているのが好ましい。前記プレートは、任意に、前記ナイフにより押し抜きされる間、静止していてもよい。前記ナイフは、任意に、前記接触面に垂直な方向に固定され、かつ前記プレートが前記ナイフ上で駆動される。前記衝突手段は、任意に、頂部可動部分と底部静止部分とを有するプレスを含む。
【００２４】
前記装置は、任意に、
前記プレスの前記頂部に固定されたベースプレートと、
前記ベースプレートに固定され、それから下方に突出している２つのサイドプレートと、
前記ナイフを相互に近接して維持するための位置決め手段であって、前記サイドプレートに接続された位置決め手段と、
前記ナイフの前記接触面に対する衝突の力を調製するための力調整手段であって、前記ベースプレートに一般に平行である圧力プレートと、前記ベースプレートと前記圧力プレートとの間に配置された少なくとも１つのスプリングとを有し、前記圧力プレートは前記ナイフに接続されている力調整手段とを備え、
前記第１および第２のスライドロッドは前記ベースプレートから吊り下げられている。前記ナイフが前記接触面と衝突する前に前記第１および第２の滑動部材が前記プレスの底部と衝突し、それにより前記ナイフが前記接触面と衝突する前に前記ナイフを前記接触面に対して一般に平行に移動するのが好ましい。また、前記ナイフが前記接触面と衝突するのと実質的に同時に前記第１および第２の滑動部材が前記プレスの前記底部と衝突し、それにより前記ナイフが前記接触面と衝突するのと実質的に同時に前記ナイフを前記接触面に対して一般に平行に移動するのが好ましい。
【００２５】
本発明をより明確に理解できるようにするために本発明の好適な実施態様を、添付図面を参照しながら実施例により詳細に説明する。
【００２６】
［発明の詳細な説明］
本発明は摩擦材料をブレーキアッセンブリに保持するためのプレートである。このプレートは好ましくは下記を含んでなる。
（ａ）摩擦材料を前記プレートに取り付けるための接触面、
（ｂ）前記接触面と対向する第２の面、および
（ｃ）前記接触面上に形成された複数の保持構造であって、各保持構造が前記接触面と前記第２の面との間の一点から延びている突出部材を備え、前記部材が前記接触面から外方に延びて前記摩擦材料と係合する保持構造とを備えるプレート。
【００２７】
上記保持構造は、突出部材に当接する、前記接触面内に延びている凹面をさらに備えていてもよい。
【００２８】
本発明によるブレーキプレート、並びにその製造方法および装置は乗り物のブレーキ部品の製造分野において有用である。このプレートは任意のモーター付き乗り物、例えば自動車、トラック、飛行機、列車、すべての地上乗り物またはオートバイ用のブレーキに有用である。
【００２９】
図１は本発明の好適な実施態様によるブレーキプレート１を示す。このプレート１は従来型の形状をしており、任意の適当な厚さ（１／８インチ〜１／２インチ）を持ち、慣用のブレーキシステムの過酷さに耐えるように適合された金属または金属複合体から製造するのが好ましい。プレート上の円形穴は必須ではなく、もっぱら説明の目的で含められている。このバッキングプレートは慣用の成形方法により摩擦材料（図示しない）をそれに成形するための接触面を有する。
【００３０】
任意の適当な数の保持構造３がバッキングプレートの第１の面に接続されている。保持構造はバッキングプレートを押し抜きすることにより一体的に形成するのが好ましいが、以下により詳細に説明する。各保持構造は第１の面から突出する突出部材としてのかえり４を含み、このかえり４は接触面２に画成された対応する凹部５に隣接して配置されている。各かえりはバッキングプレートの第１の面からかえりを切削することにより一体的に形成し、その結果対応する凹部５を創成するのが好ましい。突出部材は接触面と第２の面３６の間の点から延びており（図６において、第２の面は接触面と対向し上記プレートの平坦な底面として現れている）、そのため突出部材は接触面から外方に延びて摩擦材料と係合する。各かえりは湾曲形状をしているのが好ましく、これはその対応する凹部から逸れて湾曲している。
【００３１】
保持構造３は長さ方向に配列されている実質的に平行な列６に配置されているのが好ましい。かえり４と凹部５の位置が各列について同じであるが、隣接する列とは図１に示すように交互に配置されているのが好ましい。列の数はバッキングプレート１の全表面積を覆うのに十分な数であるのが好ましい。凹部の深さとかえりの高さは特定の用途に要求される結合強度によって決まる。図６は各列の構造間のスペースが増加しているプレートの変形例を示す。各列の保持構造の間隔は図１に示すものよりも離隔している。
【００３２】
本発明によるプレート１は摩擦材料との必要な結合強度を達成するのに接着剤を塗布する必要がない。プレートは多数の突出部材を有するので、プレートと摩擦材料とは分離しない。これはプレートと摩擦材料は頻繁に加熱冷却されるからである。このプレートはより長続きし、より安全である。
【００３３】
図１に示すディスクブレーキについては、部材の高さは接触面の上方に約０．０３０インチ〜０．０７５インチであるのが好ましい。１平方インチ当り少なくとも約２０個の突出部材が存在するのが好ましい。チップ作製方向の部材間の水平ピッチ（各部材間の距離）は０．１２０インチと０．２５０インチの間の範囲内であるのが好ましい。列間のピッチは約０．１００インチ〜０．２００インチが好ましい。接触面上の部材の被覆度はディスクブレーキについて少なくとも約６５％であるのが好ましい。
【００３４】
図６に示すディスクブレーキについては、部材の高さは接触面上方に約０．０３０インチ〜０．０７５インチであるのが好ましく、より好ましくは約０．０４５インチ〜０．０６０インチである。１平方インチ当り少なくとも約３０個の突出部材が存在するのが好ましい。チップ作製方向の部材間の水平ピッチ（それぞれの間の距離）は０．１２０インチと０．２５０インチの間の範囲内であるのが好ましく、０．０６０インチであるのがより好ましい。接触面上の部材の被覆度はディスクブレーキについて少なくとも約６５％であるのが好ましい。
【００３５】
本発明によるバッキングプレート１の製造方法は慣用のプレス下でバッキングプレートを平坦面上に置き、バッキングプレートの接触面２を一連の実質的に平行なナイフ１０で押し抜きすることを含む。図２を参照すると、これらのナイフはバッキングプレートの長軸に実質的に平行に配置されているのが好ましい。各ナイフはその切削刃先に沿って画成された複数の好ましくは同一の歯１１を有する。各歯は１つの保持構造の凹部５とかえり４とを形成する。これらの歯の形状は列によって交互に変えて１つおきの列同士が同じ形状を持つようにしてもよい。図６において、オフセット歯を有するナイフを用いて同じナイフにより切削された列間に格子縞パターン（交互保持構造パターン）を創成するのが好ましい。
【００３６】
図２は本発明によるバッキングプレートの製造装置１２を示す。この装置は、上述のようにバッキングプレート１を押し抜きするために、任意の適当な方法で慣用のプレスに搭載される。
【００３７】
図２〜図４を参照すると、装置１２はベースプレート１３を備え、これから２つのサイドプレート１４が好ましくは４つの慣用のねじ１５により懸荷されている。好ましくは、２つの横スライドロッド１６が４つの支持スプリング（図示しない）から懸荷され、それらの支持スプリングはそれぞれ一端がねじの一つに、他端がスライドロッドの一端に取り付けられている。これらのスライドロッドは好ましくはナイフに画成されたガイドスロット１７内に配置することにより滑動可能に確保（ｓｅｃｕｒｅ）される。例えば２つの復帰スプリング１８のようなバイアス手段が各スライドロッドに接続されていてスライドロッドを相互に向けてバイアスする。圧力プレート１９がナイフの非切削刃先上方に配置されている。好ましくは、ベースプレートと圧力プレートとの間に複数の調整スプリング２０を配置して２つを引き離すようにする。２つのブロックハウジング２１をベースプレート上に横にナイフの刃先に隣接して搭載する。駆動ブロック２２を、ナイフの長軸に実質的に平行に配置したスライドボルト２３により、各ブロックハウジング上に搭載する。スライドブロック２４を駆動ブロックに隣接する各ハウジングに滑動可能に搭載する。
【００３８】
図５Ａは装置１２の操作の最初の工程を示す。慣用のプレス（図示しない）が装置１２を駆動してこれをプレートブランク２５上に載せ、スライドブロック２４が好ましくはナイフ１０がこのブランクに衝突する前にプレス２６の底面と衝突する。プレートが底面に対して衝突するとスライドブロックを駆動ブロック２２に関して上方に駆動し、そのためスライドブロック滑動面２７が駆動ブロックにナイフの長軸に実質的に平行に力を及ぼす。この力により各駆動ブロックが交互ナイフをそれらの長軸に沿って移動させる。衝突前は交互ナイフだけが各駆動ブロックに接触するので、隣接するナイフは各駆動ブロックにより対向する方向に押される。ナイフはブランクがナイフに接触する前に移動しつつあるのが好ましい。
【００３９】
ナイフの刃はナイフの長軸に沿って配置して単一の列を形成するようにしてもよい。図８Ｄに示すように、歯が存在しない部分があってもよい。各歯１１はナイフ１０の軸を横断する案内面３２を有する。この案内面は、鋤（プラウ）に角度を付けるのと同様に、角度を付けてかえりの形状を決定してもよい。歯はすべて同様の案内面を持っていてもよく、それらの案内面は異なっていてもよい。
【００４０】
ナイフの変形例では、歯は偏心（ｏｆｆｓｅｔ）しており、好ましくは図９に示すように、歯は２列以上に配列される。従って、各ナイフは（好ましくは実質的に平行な２つの列を形成している）２つの長軸に沿って歯の列を切削して図６に示すようなブレーキパッドを提供する。
【００４１】
図５Ｂおよび図５Ｃを参照すると、ナイフ１０のブランク２５に対する衝突はバイアス手段、好ましくは調整スプリング２０（図２に示す）により調節することができる。調整スプリングにより装置１２は異なる力の仕様を持つプレスに搭載可能になる。調整スプリングはプレスに適用される力に関係なく、ナイフに一定の力が及ぼされることを効果的に確実にする。変形例では、これらのスプリングは図５Ｄに示すようにプレートの下方に配置されている。ナイフがブランク内に押し下げられると、それらはまたスライドロッド１６に沿ってそれらの長軸に平行に滑動し隣接するナイフがそれらが切削するにつれて対向する方向に移動する。これらの同時的な下方および滑動運動によりナイフの各歯１１が一つの保持構造３を形成する。
【００４２】
本装置は１回の押し抜きで全プレートを完成することが可能である。プレスが装置１２を上昇させると、スライドブロック２４が重力によりその開始位置に復帰し、ナイフ１０と駆動ブロック２２がスライドスプリングによりそれらの開始位置に復帰する。当業者がナイフを使用してドラムブレーキプレートを調整するのは容易にできるであろう。
【００４３】
摩擦材料をプレート上に成形、固定する工程の間に、プリフォーム材料を型内にセットし、プレートに対してプレスする。この材料は各保持構造３に流入しこれを包囲してプレート１と結合する。これらの保持構造により引っ張り強度が改善されるとともに耐剪断力が改善される。引っ張り強度と剪断強度はカット（すなわち、凹部５）の深さを変えること（これはまたかえり４の高さを増すこと）によっても変えることができる。これらの結果は２工程方法を用いて、しかも穴のような追加の特徴構造を必要とせずに達成され、そのため製造時間が短縮され、コストも顕著に節約される。
【００４４】
図５Ｄはスプリングが固定プレスベッドに搭載され、スプリングがこのプレスの下方にある装置の変形例を示す。このスプリングは慣用のコイルスプリングまたは窒素スプリングであってもよい。任意の他の適当なバイアス手段を用いてもよい。本発明のナイフを図７および図８に示す。これらの図においては、各ナイフの歯はナイフによって画成される軸に沿って整列される。しかしながら、歯を偏心して偏心した歯を持つナイフを示す図６、図７に示すタイプのブレーキパッドを提供することもできる。
【００４５】
図７はまた取り外し可能なナイフインサート３０を用いて作製することもできる。破壊されたまたは鈍った歯を、ナイフを廃棄せずに容易に取り替えることができる。歯のないブランクインサートも使用することができる。ナイフインサート３０は、任意に、ナイフに永久的に固着してもよい。図８Ａおよび図８Ｂは連続した歯を持つナイフを示す。図８Ｃおよび８Ｄは歯のないブランク表面を持つナイフを示す。プレートはナイフがブランクである場合には保持構造が形成されない。図９Ａおよび図９Ｂは偏心した歯を示す。図９Ｃは偏心した歯がナイフ上方にほぼ同じ高さであるのが好ましい。
【００４６】
上記説明は好適な実施態様の単なる例示であって、本発明に多くの変更を施すことは当業者には自明であり、そのような自明な変形例は明記されていると否とにかかわらず、説明され特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内であることが了解される。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明によるプレートの好適な実施態様の斜視図である。
【図２】 本発明によるプレートの製造装置の好適な実施態様の斜視図である。
【図３Ａ】 前記装置の平面図である。
【図３Ｂ】 図３Ａに示す装置のナイフと歯を示す拡大図である。
【図４】 サイドプレートを取り外した前記装置の立面図である。
【図５Ａ】 慣用のプレスの底部と衝突する前記装置を示す断面図である。
【図５Ｂ】ブランクに切削を開始したナイフを示す断面図である。
【図５Ｃ】 ブランクに切削を完了したナイフを示す断面図である。
【図５Ｄ】 プレスと衝突する装置を示す断面図である。
【図６】 本発明によるプレートの別の好適な実施態様の斜視図である。
【図７】 本発明によるバッキングプレートを製造するための、オフセット歯の列を有するナイフの好適な実施態様の斜視図である。
【図８Ａ】 ナイフの上面図である。
【図８Ｂ】 ナイフの側面図である。
【図８Ｃ】 ナイフの上面図である。
【図８Ｄ】 ナイフの側面図である。
【図９Ａ】 オフセット歯を有する取り外し可能なナイフインサートの斜視図である。
【図９Ｂ】 オフセット歯を有する取り外し可能なナイフインサートの斜視図である。
【図９Ｃ】 取り外し可能なナイフインサートの斜視図である。
【符号の説明】
１ バッキングプレート
２ 接触面
３ 保持構造
４ かえり
５ 凹部
６ 列
１０ ナイフ
１１ 歯
１２ 製造装置
１３ ベースプレート
１４ サイドプレート
１５ ねじ
１６ 横スライドロッド
１７ ガイドスロット
１８ 復帰スプリング
１９ 圧力プレート
２０ 調整スプリング
２１ ブロックハウジング
２２ 駆動ブロック
２３ スライドボルト
２４ スライドブロック
２５ プレートブランク
２６ プレス
２７ スライドブロック滑動面
３０ ナイフインサート
３２ 案内面
３６ 第２の面

Claims (6)

1. 摩擦材料をブレーキアッセンブリに保持するためのプレートであって、前記プレートは
   （ａ）接触面と、
   （ｂ）前記接触面と対向する第２の面と、
   （ｃ）前記接触面上に形成された複数の交差しない列の保持構造であって、それぞれ
   (i) 前記接触面と前記第２の面との間の一点から外方に延びている、前記摩擦材料と係合するための突出部材と、
   (ii) 前記突出部材に当接する凹面を有し、かつ前記接触面に延びている凹部とを有する保持構造と、
   を備え、
   前記保持構造により覆われる前記プレートの面積は前記プレートに接合されるべき摩擦材料の面積とほぼ等しく、かつ
   前記突出部材は、前記凹部から逸れて湾曲しているかえりであり、
   一列の各保持構造が同一軸上にあり、かつその凹部の凹面がその突出部材から離れるように延びていて、互いに隣接する２つの列の一方の列の保持構造の突出部材と他方の列の保持構造の突出部材とは互いに反対方向に延びているプレート。
2. 摩擦材料をブレーキ用プレートの接触面に固定するための当該プレートの製造方法であって、
   前記プレートの接触面に隣接して切削装置を配置し、前記切削装置は少なくとも１つの歯を持つ少なくとも１つのナイフを備え、前記少なくとも１つの歯は単一の案内面を備え、少なくともその一部の案内面には、プラウに角度を付けるのと同様に、角度が付けられ、かつ
   前記接触面上に複数の平行な列の一体保持構造を作製し、各保持構造は
   （ａ）前記接触面から外側に延びてかつ前記角度が付けられた歯から生じる成形構造を有する、前記摩擦材料と係合するための突出部材と、
   （ｂ）前記突出部と当接する凹部であって、前記接触面を穿孔せずに前記接触面内に延びている凹面を有する凹部と
   を備える方法。
3. ブレーキ用プレートの接触面上に形成された、摩擦材料を保持するための複数の保持構造を有する前記プレートの製造装置であって、
   前記接触面上に複数の平行な列の一体保持構造を切削する切削手段であって、各列は前記プレートに沿う長軸を定義し、各保持構造は前記接触面から延び前記長軸から側方の角度で突出して前記摩擦材料と係合するための突出部材を備え、前記切削手段は複数のナイフを備え、各ナイフは切削端を有し、前記切削端は複数の歯を結合され、各歯は前記ナイフの軸を横断する案内面を有して前記複数の保持構造の各一の突出部材に、前記接触面と衝突した際に側方角度を形成するようにした切削手段と、
   前記切削手段と前記プレートの接触面に衝突して前記保持構造を形成する駆動手段と
   を備える装置。
4. 前記装置は、さらに、
   前記複数のナイフのそれぞれの少なくとも一方の側に滑動可能に結合された少なくとも１つの駆動部材と、
   前記駆動部材に滑動可能に結合された少なくとも１つのスライド部材を備え、
   前記ナイフと前記接触面との間の衝突の際、前記スライド部材は前記接触面から遠ざかるように適合され、前記スライド部材は前記駆動部材を前記接触面に一般に平行に移動するように適合され、前記駆動部材は前記ナイフを前記接触面に一般に平行に移動するように適合されている請求項３に記載の装置。
5. 前記ナイフを出発位置に復帰させる復帰手段をさらに備える請求項４に記載の装置。
6. さらに、
   プレスの頂部に固定されたベースプレートと、
   前記ベースプレートに固定され、それから下方に突出している2つのサイドプレートと、
   前記ナイフを相互に近接して維持するための位置決め手段であって、前記サイドプレートに接続された位置決め手段と、
   前記ナイフの前記接触面に対する衝突の力を調整するための力調整手段であって、前記ベースプレートに一般に平行である圧力プレートと、前記ベースプレートと前記圧力プレートとの間に配置された少なくとも1つのスプリングとを有し、前記圧力プレートは前記ナイフに接続されている力調整手段とを備え、
   第１および第２のスライドロッドが前記ベースプレートから吊り下げられている請求項３〜５のいずれか一項に記載の装置。

Images