JP4126962B2

JP4126962B2 - ディスクブレーキ

Info

Publication number: JP4126962B2
Application number: JP2002158773A
Authority: JP
Inventors: 太熊本; 剛内藤
Original assignee: 国産部品工業株式会社
Priority date: 2002-05-31
Filing date: 2002-05-31
Publication date: 2008-07-30
Anticipated expiration: 2022-05-31
Also published as: JP2004003533A; US20030221919A1

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスクブレーキ、特に、パッドの裏板と同パッドをディスクロータに向けて押圧する押圧部材との間に、裏板に取付けられたブレーキ鳴き防止用の積層シムが介装されるディスクブレーキに関する。
【０００２】
【従来の技術】
この種のディスクブレーキは、例えば、特開平６−１２９４５１号公報に示されていて、押圧部材が積層シムを介してパッドをディスクロータに押し付けることにより制動力を発生させる。上記した公報にて採用されている積層シムは、パッドの裏板に取付けられる第１シム（押圧部材側シム）と、潤滑剤保持用のスリットを有して裏板と第１シムとの間に介在される第２シム（パッド側シム）によって構成されている。なお、積層シムには、パッド側シムとしてゴムコーティングシムを採用したものや、パッド側シムと押圧部材側シムが接着剤により接合固着されているものもある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来のディスクブレーキにおいては、パッドの裏板と押圧部材間に介装した積層シムによる振動の吸収と面圧分布の安定化によって、制動時のブレーキ鳴きの低減を図っている。しかし、従来のディスクブレーキにおいては、制動時にパッドがディスクロータの回転方向に移動することがあり、これに伴って、積層シムにおけるパッド側シムと押圧部材側シムが相対移動することがある。かかる場合には、積層シムによる振動の吸収と面圧分布の安定化が損なわれて、積層シムによるブレーキ鳴き防止効果が十分に得られないことがある。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した問題に対処すべくなされたものであり、パッドの裏板と同パッドをディスクロータに向けて押圧する押圧部材との間に、前記裏板に取付けられたブレーキ鳴き防止用の積層シムが介装されていて、前記押圧部材が前記積層シムを介して前記パッドを前記ディスクロータに押し付けることにより制動力を発生させるディスクブレーキにおいて、前記積層シムが積層構造板からなるパッド側シムと板状部材からなる押圧部材側シムにより構成され、前記パッド側シムには貫通穴が設けられ、前記押圧部材側シムには前記貫通穴からパッド側へ突出しないように前記貫通穴に嵌合する凸部であって、外縁に剪断端面が形成され、この剪断端面が貫通穴の内面に当接することで、押圧面に沿った前記パッド側シムと前記押圧部材側シムの相対移動を規制する凸部が設けられていること（請求項１に係る発明）に特徴がある。
【０００５】
この場合において、前記凸部は前記押圧部材側シムの押圧部材側に凹部を形成することにより形成されていて、この押圧部材側凹部は前記押圧部材の押圧面と少なくとも一部が重なるように設けられていること（請求項２に係る発明）も可能である。また、前記パッド側シムと前記押圧部材側シムは接着剤により接合固着されていること（請求項３に係る発明）も可能である。
【０００６】
【発明の作用・効果】
本発明によるディスクブレーキ（請求項１〜３に係る発明）においては、積層シムがパッド側シムと押圧部材側シムにより構成され、パッド側シムには貫通穴が設けられ、押圧部材側シムには前記貫通穴に嵌合して押圧面に沿った前記パッド側シムと前記押圧部材側シムの相対移動を規制する凸部であって、外縁に剪断端面が形成され、この剪断端面が貫通穴の内面に当接することで、押圧面に沿った前記パッド側シムと前記押圧部材側シムの相対移動を規制する凸部が設けられている。
【０００７】
このため、制動時にパッドがディスクロータの回転方向に移動することがあって、積層シムにおけるパッド側シムと押圧部材側シムが相対移動しようとしても、その相対移動は上記した貫通穴と凸部の嵌合により抑制される。したがって、積層シムにおけるパッド側シムと押圧部材側シムの接合が的確に維持されて、積層シムによる振動の吸収と面圧分布の安定化が長期間損なわれることなく得られ、積層シムによるブレーキ鳴き防止効果が長期間安定して得られる。
【０００８】
また、本発明によるディスクブレーキ（請求項２に係る発明）においては、パッド側シムの貫通穴に嵌合する押圧部材側シムの凸部が、押圧部材側シムの押圧部材側に凹部を形成することにより形成されていて、この押圧部材側凹部は押圧部材の押圧面と少なくとも一部が重なるように設けられている。このため、押圧部材側シムの押圧部材側凹部を面圧調整手段（面圧を下げる手段）としても利用することが可能である。また、本発明によるディスクブレーキ（請求項３に係る発明）においては、パッド側シムと押圧部材側シムを接合固着している接着剤の機能が長期間維持されて、積層シムによるブレーキ鳴き防止効果が長期間安定して得られる。
【０００９】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図１〜図３は本発明によるディスクブレーキを示していて、このディスクブレーキにおいては、ディスクロータ１１を挟持して制動させるインナーパッド１２及びアウターパッド１３がマウンティング１４にロータ軸方向（図１の左右方向）へは所要量移動可能に、またロータ周方向（ディスクロータ１１の回転方向で、正確には接線方向）には僅かに移動可能に組付けられている。また、可動キャリパ１５が、マウンティング１４にロータ軸方向へ移動可能に組付けられている。
【００１０】
インナーパッド１２は、裏板１２ａとライニング１２ｂを備えていて、可動キャリパ１５のシリンダ部１５ａにロータ軸方向へ移動可能に組付けたピストン１６により、ディスクロータ１１に向けて押圧・押動されて移動するようになっている。また、このインナーパッド１２の裏板１２ａには、ピストン１６との間に介装されるブレーキ鳴き防止用の積層シム２０が組付けられている。
【００１１】
一方、アウターパッド１３は、裏板１３ａとライニング１３ｂを備えていて、可動キャリパ１５において両パッド１２，１３をオーバーハングするようにして形成した反力アーム部１５ｂにより、ディスクロータ１１に向けて押圧・押動されて移動するようになっている。また、このアウターパッド１３の裏板１３ａには、反力アーム部１５ｂとの間に介装されるブレーキ鳴き防止用の積層シム２０が組付けられている。
【００１２】
各積層シム２０は、図２および図３に示したように、各パッド１２，１３の裏板１２ａ，１３ａの裏面（背面）に添着されるゴムコーティングシム２１と、このゴムコーティングシム２１の裏面に接着剤２３を用いて接合固着したＳＵＳシム２２によって構成されている。ゴムコーティングシム２１は、軟鋼（ＳＰＣＣ）製の基板２１ａの表面に耐熱性ゴム（ＮＢＲ系ゴム）層２１ｂを積層した積層構造板である。また、ＳＵＳシム２２は、ステンレス鋼（ＳＵＳ）製のシムプレートである。
【００１３】
上記のように構成したこのディスクブレーキにおいては、その制動時に、可動キャリパ１５のシリンダ部１５ａに圧油が供給されると、その油圧力によりピストン１６が積層シム２０を介してインナーパッド１２をディスクロータ１１に向けて押動・押圧するとともに、その反力により可動キャリパ１５の反力アーム部１５ｂが積層シム２０を介してアウターパッド１３をディスクロータ１１に向けて押動・押圧する。このため、インナーパッド１２とアウターパッド１３がディスクロータ１１に押し付けられてディスクロータ１１を挟持し制動力を発生させる。
【００１４】
ところで、この実施形態のディスクブレーキにおいては、図２および図３に示したように、積層シム２０のゴムコーティングシム２１に二個の円形貫通穴２１ｃが設けられるとともに、積層シム２０のＳＵＳシム２２に二個の円形凸部２２ａが設けられている。各円形凸部２２ａは、図２における上下左右の４箇所に傾斜連結部２２ａ１を有していて、円形貫通穴２１ｃ（ゴムコーティングシム２１に設けた貫通穴）に嵌合しており、積層シム２０におけるゴムコーティングシム２１とＳＵＳシム２２の押圧面（可動キャリパ１５の反力アーム部１５ｂまたはピストン１６が当接するＳＵＳシム２２の裏面）に沿った相対移動を規制している。
【００１５】
このため、制動時に各パッド１２，１３がディスクロータ１１の回転方向に移動することがあって、積層シム２０におけるゴムコーティングシム２１とＳＵＳシム２２が押圧面に沿って相対移動しようとしても、その相対移動は上記した二個の円形貫通穴２１ｃと二個の円形凸部２２ａの嵌合により抑制される。したがって、積層シム２０におけるゴムコーティングシム２１とＳＵＳシム２２の接合が的確に維持されて、積層シム２０による振動の吸収と面圧分布の安定化が長期間損なわれることなく得られ、積層シム２０によるブレーキ鳴き防止効果が長期間安定して得られる。
【００１６】
また、この実施形態のディスクブレーキにおいては、図３に示したように、各円形凸部２２ａがＳＵＳシム２２の裏面側（ピストン１６または反力アーム部１５ｂ側、すなわち、押圧部材側）に凹部２２ｂを形成することにより形成されていて、この凹部２２ｂは、図２の仮想線で示したように、反力アーム部１５ｂ（またはピストン１６）の押圧面と少なくとも一部が重なるように設けられている。このため、ＳＵＳシム２２の裏面側に形成した凹部２２ｂを面圧調整手段（面圧を下げる手段）としても利用することが可能である。
【００１７】
また、この実施形態のディスクブレーキにおいては、上述した構成（二個の円形貫通穴２１ｃと二個の円形凸部２２ａの嵌合）により、積層シム２０におけるゴムコーティングシム２１とＳＵＳシム２２の押圧面に沿った相対移動が規制されるため、ゴムコーティングシム２１とＳＵＳシム２２を接合固着している接着剤２３の機能が長期間維持されて、積層シム２０によるブレーキ鳴き防止効果が長期間安定して得られる。
【００１８】
上記実施形態においては、積層シム２０におけるゴムコーティングシム２１とＳＵＳシム２２の押圧面に沿った相対移動を、二個の円形貫通穴２１ｃと二個の円形凸部２２ａの嵌合により抑制するようにして実施したが、図４および図５に例示したマイナス字状（非円形形状）の一個の矩形貫通穴２１ｃと一個の矩形凸部２２ａの嵌合、または、図６に例示したプラス字状（非円形形状）の一個の十字状貫通穴２１ｃと一個の十字状凸部２２ａの嵌合により抑制するようにして実施することも可能である。
【００１９】
なお、図４および図６に示した実施形態においては、各凸部２２ａが上下左右４箇所に傾斜連結部２２ａ１を有していて、各貫通穴２１ｃ（ゴムコーティングシム２１に設けた貫通穴）に嵌合しており、上下左右の剪断端面にても積層シム２０におけるゴムコーティングシム２１とＳＵＳシム２２の押圧面に沿った相対移動を規制する構成（図５の破線参照）となっている。
【００２１】
また、上記各実施形態においては、ゴムコーティングシム２１とＳＵＳシム２２が接着剤２３を用いて接合固着される積層シム２０を採用するディスクブレーキに本発明を実施したが、ゴムコーティングシムとＳＵＳシムが単に接合される積層シムを採用するディスクブレーキにも、本発明は同様にまたは適宜変更して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明によるディスクブレーキの一実施形態を示す縦断側面図である。
【図２】図１に示した積層シムをパッド側から見た正面図である。
【図３】図２のＡ−Ａ線に沿った拡大断面図である。
【図４】本発明の他の実施形態を示す図２相当の正面図である。
【図５】図４のＢ−Ｂ線に沿った拡大断面図である。
【図６】本発明のその他の実施形態を示す図２相当の正面図である。
【符号の説明】
１１…ディスクロータ、１２，１３…パッド、１２ａ，１３ａ…裏板、１２ｂ，１３ｂ…ライニング、１４…マウンティング、１５…可動キャリパ、１５ａ…シリンダ部、１５ｂ…反力アーム部、２０…積層シム、２１…ゴムコーティングシム、２１ａ…基板、２１ｂ…耐熱性ゴム層、２１ｃ…円形貫通穴（凹部）、２２…ＳＵＳシム、２２ａ…凸部、２２ｂ…凹部、２３…接着剤。

Claims

パッドの裏板と同パッドをディスクロータに向けて押圧する押圧部材との間に、前記裏板に取付けられたブレーキ鳴き防止用の積層シムが介装されていて、前記押圧部材が前記積層シムを介して前記パッドを前記ディスクロータに押し付けることにより制動力を発生させるディスクブレーキにおいて、前記積層シムが積層構造板からなるパッド側シムと板状部材からなる押圧部材側シムにより構成され、前記パッド側シムには貫通穴が設けられ、前記押圧部材側シムには前記貫通穴からパッド側へ突出しないように前記貫通穴に嵌合する凸部であって、外縁に剪断端面が形成され、この剪断端面が貫通穴の内面に当接することで、押圧面に沿った前記パッド側シムと前記押圧部材側シムの相対移動を規制する凸部が設けられていることを特徴とするディスクブレーキ。
前記凸部は前記押圧部材側シムの押圧部材側に凹部を形成することにより形成されていて、この押圧部材側凹部は前記押圧部材の押圧面と少なくとも一部が重なるように設けられていることを特徴とする請求項１に記載のディスクブレーキ。
前記パッド側シムと前記押圧部材側シムは接着剤により接合固着されていることを特徴とする請求項１または２に記載のディスクブレーキ。