JP4126960B2 - 異方導電材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、異方導電材料に関し、さらに詳しくは、ゴム材料中に、微細な金属粒が鎖状に連結した形状を有する金属粉末(鎖状金属粉末)が、その長さ方向に配向して分散している異方導電材料に関する。本発明の異方導電材料は、基板間の接続に使用することができるだけではなく、感圧センサー、メンブレンスイッチ等の感圧素子として有用である。
【0002】
【従来の技術】
エレクトロニクス実装技術として、電子部品の接着・接合や基板間の接続に、異方導電材料を用いた接合方式が注目を集めている。また、液晶ドライバー、薄型ICチップ、コンタクトプローブなどの低強度の電子部品の接合分野では、接合部において、機械的な衝撃、ひずみ、振動を吸収することが求められる。
【0003】
このような要求に応える技術として、異方導電エラストマーが考えられる。例えば、特開昭51−93393号公報には、磁気的影響を受ける導電粒子と可撓性絶縁物とが均一に混じり合い、導電粒子を一方向に整列させてなるエラスティック・コンタクトシートが提案されている。
【0004】
このエラスティック・コンタクトシートは、シリコン樹脂のようなポリマーバインダ中に、Fe−Ni合金に代表される残留磁気の小さな導電粒子を混合した異方導電材料である。このエラスティック・コンタクトシートは、両面に圧力を加えることにより、バインダー中の導電粒子同士が接触し、加圧方向には導電性を得るが、横方向には絶縁を維持する異方導電エラストマーである。
【0005】
しかし、このような異方導電エラストマーを含め、異方導電材料で使用されている導電性フィラーは、金属粒子や表面に導電膜を設けた樹脂粒子などの球形または鱗片状のものである。そのため、異方導電エラストマーにおいて、加圧時に安定した導電性を得るには、導電性フィラーを多量に加えなければならない。ところが、導電性フィラーを大量に加えると、エラストマーに固有の弾性が損なわれ、導電性を得るには高圧力が必要となる。ゴム材料が加熱硬化型のゴムである場合には、導電性フィラーを多量に添加すると、硬化反応が阻害される。したがって、従来の異方導電エラストマーは、実際には、電子部品の接着・接合や基板間の接続、あるいは低強度の電子部品の接合分野には使用することが困難なものであった。
【0006】
また、近年、電子部品の小型化や高密度実装化が進むにつれて、回路の狭ピッチ化への対応と接続の高信頼性の確保が強く求められるようになってきている。ところが、従来の異方導電エラストマーでは、導電性フィラーの添加量を多くする必要があるため、隣接電極間の絶縁性を確保することができず、これらの要求に応えることができない。そのため、高導電性と高絶縁性とを兼ね備え、回路の狭ピッチ化にも対応できる高性能の異方導電材料の開発が求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ゴム材料中に導電性材料が配向して分散した異方導電材料であって、低圧力での接続が可能で、かつ、100μm以下の狭ピッチ接続が可能な異方導電材料を提供することにある。
【0008】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究した結果、導電性フィラーとして、微細な金属粒が鎖状に連結した形状を有する金属粉末を用いた異方導電材料に想到した。異方導電材料は、通常、異方導電膜の形態で使用されるが、金属粉末をその長さ方向で異方導電膜の厚み方向に配向(垂直配向)させると、その添加量を大幅に低減しても、加圧方向での導電性が確保され、横方向では高絶縁性が確保されるため、狭ピッチ回路においても、ショートすることなく接続することができる。また、本発明の異方導電材料は、ゴム弾性による復元性を有しているため、その復元性を利用して、感圧センサーなどの感圧素子として有用である。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明によれば、ゴム材料(A)中に、粒径5〜500nmの強磁性金属粒が鎖の径10nm〜2μmで鎖長5〜100μmの鎖状に連結した形状を有する金属粉末(B)が、その長さ方向に配向して分散している異方導電材料が提供される。また、本発明によれば、前記異方導電材料からなる感圧素子が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
1.金属粉末 (B)
本発明で使用する金属粉末(B)は、微細な金属粒が鎖状に連結した形状を有する金属粉末(鎖状金属粉末)であり、その中でも、金属粒が実質的に直鎖状に連結した形状を有する直鎖状金属粉末が好ましい。金属粉末を形成する金属粒を一次粒子ということがある。
【0011】
本発明で使用する金属粉末を形成する金属粒(一次粒子)としては、例えば、強磁性を有する金属単体粒子、強磁性を有する2種以上の金属の合金粒子、強磁性を有する金属と他の金属との合金粒子、強磁性を有する金属を含む複合体粒子などが挙げられる。
【0012】
本発明で使用する金属粉末(B)の具体例としては、下記のものが好ましい。
(a)強磁性を有する金属単体、強磁性を有する2種以上の金属の合金、または強磁性を有する金属と他の金属との合金から形成したサブミクロンオーダーの金属粒(一次粒子)を、自身の磁性によって、その多数個を鎖状に連結させた金属粉末(B1)。
【0013】
(b)上記(a)の金属粉末(B1)の表面に、さらに、強磁性を有する金属単体、強磁性を有する2種以上の金属の合金、または強磁性を有する金属と他の金属との合金からなる金属層を析出させて、連結した金属一次粒子間を強固に結合させた金属粉末(B2)。
【0014】
(c)上記金属粉末(B1)または(B2)の表面に、さらに、磁性をもたない他の金属や合金からなる金属層を析出させて、連結した金属一次粒子間を強固に結合させた金属粉末(B3)。
【0015】
(d)強磁性を有する金属単体、強磁性を有する2種以上の金属の合金、または強磁性を有する金属と他の金属との合金から形成した金属粒を芯材として、その表面を磁性をもたない他の金属や合金で被覆して複合粒子とし、この複合粒子を金属粒(一次粒子)として、芯材の磁性によって、その多数個を鎖状に連結させた金属粉末(B4)。
【0016】
(e)上記金属粉末(B4)の表面に、磁性をもたない他の金属や合金からなる金属層を析出させて、複合体金属粒子間を強固に結合させた金属粉末(B5)。
【0017】
これらの鎖状の金属粉末は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0018】
これらの金属粉末は、気相法や液相法などの各種方法により製造することができるが、それらの中でも、特願2002−057598号に開示されているような液相による還元析出法が直鎖状(針状)に連結した鎖状金属粉末が得られやすいので好ましい。
【0019】
還元析出法では、先ず、還元剤(例えば、三塩化チタンなどの3価のチタン化合物)と錯化剤(例えば、クエン酸三ナトリウム)とを溶解させた溶液(以下、「還元剤溶液」という)に、アンモニア水などのアルカリを加えて、pHを9〜10に調整する。これにより、3価のチタンイオンがクエン酸と結合して配位化合物を形成し、Ti(III)からTi(IV)に酸化する際の活性化エネルギーが低くなり、還元電位が高くなる。具体的には、Ti(III)とTi(IV)との電位差が1Vを超える。この電位差の値は、Ni(II)からNi(0)ヘの還元電位、あるいはFe(II)からFe(0)ヘの還元電位などに比べて、著しく高い値である。よって、この還元剤溶液は、各種金属イオンを効率よく還元して、金属粒や金属膜などを析出または形成することができる。
【0020】
次に、上記還元剤溶液に、例えば、Ni等の強磁性を有する金属単体のイオンを含む溶液、または強磁性を有する金属を含む合金を形成するための2種以上のイオンを含む溶液を加える。そうすると、Ti(III)が還元剤として機能して、自身がTi(IV)に酸化する際に、金属イオンを還元して、金属を液中に粒子として析出させる。すなわち、液中に上記金属単体または合金からなる微細な金属粒が析出する。この析出の際に、これらの金属粒は、それ自身の磁性によって、多数が鎖状に連結して鎖状(針状)物を形成する。この鎖状物が、鎖状金属粉末(B)である。さらに析出を続けると、この鎖状金属粉末の表面に金属層が析出して、金属粒(一次粒子)同士間を強固に結合する。
【0021】
このようにして、前述の(a)、(b)などの金属粉末(B1)や(B2)やその元になる微細な金属粒、あるいは前記の(d)の金属粉末(B4)の元になる複合粒子の芯材などを製造することができる。
【0022】
このような方法によれば、粒径が揃っており、粒度分布がシャープな微細な金属粒(一次粒子)や芯材を得ることができる。その理由は、還元反応が反応系中で均一に進行するためである。したがって、このような金属粒や芯材から製造される鎖状金属粉末は、特に異方導電膜の厚み方向の導電抵抗を、当該異方導電膜の全面にわたって均一な状態とする特性に優れている。
【0023】
微細な金属粒や芯材等を析出させた後の還元剤溶液は、電解再生を行うことにより何度でも繰り返して、還元析出法による鎖状金属粉末の製造に利用することができる。すなわち、金属粒や芯材等を析出させた後の還元剤溶液を電解槽に入れるなどして、電圧を印加することにより、Ti(IV)をTi(III)に還元すれば、再び電解析出用の還元剤溶液として使用することができる。これは、電解析出時に、チタンイオンが殆ど消費されないため、換言すれば、チタンイオンが析出させる金属とともに析出されないためである。
【0024】
微細な金属粒や芯材などを形成する強磁性を有する金属または合金としては、例えば、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、及びこれらの2種以上の合金等を挙げることができる。これらの中でも、Ni単体やNi−鉄合金(パーマロイ)が好ましい。これらの金属や合金から形成した微細な金属粒は、鎖状に繁がる際の磁気的な相互作用が強いため、金属粒間の接触抵抗を低減する特性に優れている。
【0025】
上記の強磁性を有する金属や合金とともに、前記(c)、(d)、(e)の複合粒子を形成する他の金属としては、例えば、Cu、Rb、Rh、Pd、Ag、Re、Pt、及びAuからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属、またはそれらの合金などを挙げることができる。鎖状金属粉末の導電性を向上させる観点からは、これらの他の金属で形成される部分は、鎖状金属粉末の外表面に露出している部分であることが好ましい。つまり、鎖状金属粉末の表面をこれらの他の金属で被覆した前記(c)及び(e)の構造を有する複合体が好ましい。金属による被覆は、例えば、無電解めっき法、電解めっき法、還元析出法、真空状着法などの各種成膜法によって形成することができる。
【0026】
本発明で使用する鎖状金属粉末(B)の径(鎖の径)は、好ましくは2μm以下、より好ましくは1.5μm以下、特に好ましくは1μm以下である。鎖状金属粉末の径は、10nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましく、100nm以上であることが特に好ましい。鎖状金属粉末の径(鎖の径)が大きすぎると、100μm以下という電極間の微細ピッチ化に十分に対応することが困難になり、小さすぎると、鎖状金属粉末の製造過程や異方性電材料の製造過程などでの応力により、鎖状金属粉末が折れやすくなる。
【0027】
金属粉末(B)を形成する微細な金属粒(一次粒子)の粒径は、好ましくは5〜500nm、より好ましくは10〜400nmである。金属粒の粒径が過度に小さすぎると、鎖状に連結された鎖状金属粉末自体のサイズが小さくなりすぎて、導電性フィラーとしての機能が十分に得られないおそれがある。
【0028】
ただし、金属粒(一次粒子)の粒径や鎖状金属粉末の径(鎖の径)は、異方導電材料の用途によっては、前記以外の範囲であっても作製することができる。例えば、用途によっては、鎖状金属粉末の径は、1μm超過20μm以下でも作製することができ、それを形成する微細な金属粒(一次粒子)の粒径も0.5〜2μmの範囲から選択することができる。
【0029】
また、径の小さな細い鎖状金属粉末の多数が束状に凝集した形状を有する鎖状金属粉末を使用することもできる。このような束状の鎖状金属粉末の径は、1μm超過20μm以下であっても作製することができる。
【0030】
鎖状金属粉末の形状は、直鎖状であることが好ましいが、若干の分枝を有するものであってもよい。ただし、分枝が大きすぎると、異方導電膜の横方向の短絡を生じやすくなるので、実質的に直鎖状であることが好ましい。
【0031】
鎖状金属粉末の長さ(鎖長)は、好ましくは5〜100μm、より好ましくは8〜80μm、特に好ましくは10〜50μm程度である。鎖長は、できるだけ揃っていることが好ましいが、ある程度の範囲内で分布していてもよい。鎖状金属粉末の径(鎖の径)と長さとの比は、通常10〜100倍程度である。
【0032】
鎖状金属粉末としては、前記(c)や(e)のように、鎖状金属粉末の表面をCu、Rb、Rh、Pd、Ag、Re、Pt、及びAuからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属で被覆した複合構造を有するものが、導電性を向上させる上で好ましい。
【0033】
2.ゴム材料 (A)
本発明では、バインダーとして、ゴム材料(A)を使用する。ゴム材料としては、ゴム弾性を発現できるものであればよく、その種類は、特に制限されない。ゴム材料の具体例としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、カルボキシル化ニトリルゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ポリエーテルウレタンゴム、ポリエステルウレタンゴム、フッ化シリコーンゴム、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、液状ポリイソプレンゴム、液状ポリブタジエンゴム、液状スチレン−ブタジエンゴム、液状アクリロニトリル−ブタジエンゴム、液状ポリクロロプレンゴム、液状シリコーンゴム、液状ポリスルフィドゴム、液状フッ素ゴム、及びこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。
【0034】
これらの中でも、鎖状磁性粉の分散性、耐熱性、基板への接着性などの観点から、シリコーンゴム、液状シリコーンゴムなどが好ましい。ゴム材料には、それぞれの特性に応じて、架橋剤、架橋助剤などを含有させることができる。
【0035】
3.異方導電材料
本発明の異方導電材料は、ゴム材料(A)と鎖状の金属粉末(B)とを含有するものであり、所望の形状に賦形することができるが、多くの場合、膜状(シート状)であることが望ましい。本発明の異方導電材料では、鎖状の金属粉末 (B) が配向して分散している。
【0036】
異方導電材料を作製するには、ゴム材料と金属粉末との混合物を有機溶剤中に分散または溶解させて、塗布液を調製し、この塗布液を支持体上に塗布し、乾燥させる方法を採用することができる。乾燥時に架橋させれば、ゴム弾性を有する異方導電材料とすることができる。ゴム材料の種類によっては、乾燥時に架橋させることなく、ゴム弾性を有する異方導電材料とすることができる。また、架橋する場合であっても、乾燥時には架橋させずに、電子部品の接着・接合や基板間の接続などの際に、加熱加圧して架橋させ、同時に基板等に接着させてもよい。
【0037】
鎖状金属粉末(B)の充填量は、ゴム材料(A)と金属粉末(B)との合計量基準で、通常0.05〜20体積%、好ましくは0.1〜15体積%、より好ましくは0.5〜10体積%である。多くの場合、1〜5体積%程度であっても、良好な結果を得ることができる。
【0038】
異方導電材料は、異方導電膜とすることが好ましい。異方導電膜の厚みは、用途に応じて適宜定めることができるが、通常10〜500μm、好ましくは30〜400μm、より好ましくは50〜300μm程度である。この膜厚が厚すぎると、異方導電性を発現させたり、電極間のピッチの微細化に対応することが困難になる。この膜厚が薄すぎると、絶縁性と異方導電性を両立させることが困難になる。
【0039】
異方導電膜中に分散されている鎖状金属粉末は、その長さ方向で異方性導電膜の厚み方向に配向(垂直配向)していることが好ましい。このような配向状態を得るには、ゴム材料と鎖状金属粉末とを含有する塗布液を平坦な面をもつ磁石上に塗布し、塗布面に対して垂直方向に磁場を印加しながら乾燥し、固化させて塗膜とする方法を採用することが好ましい。
【0040】
塗布液を磁石上に直接塗布する代りに、透磁性の支持体上に塗布液を塗布し、その上下に磁石を配置して、塗布面に対して垂直方向に磁場を印加しながら乾燥し、固化させてもよい。また、鎖状磁性粉を磁石の平坦面または透磁性の支持体上に散布し、その上にゴム材料を含有する溶液を塗布し、塗布面に対して垂直方向に磁場を印加しながら乾燥し、固化させてもよい。
【0041】
これらの方法を実施する際に印加する磁場の強さは、鎖状金属粉末中に含まれる強磁性を有する金属の種類や割合等によって異なるものの、異方導電膜中の鎖状金属粉末を該膜の厚み方向に十分に配向させるには、磁束密度で表して、好ましくは1,000μT以上、より好ましくは10,000μT以上、特に好ましくは40,000μT以上の磁場を印加することが望ましい。
【0042】
磁場を印加する方法としては、ガラス基板などの支持体の上下に磁石を配置する方法、支持体として磁石の表面を利用する方法などを挙げることができる。後者の方法は、磁石の表面から出る磁力線が、当該表面から異方導電模の厚み程度までの領域では、磁石の表面に対してほぼ重直であることを利用したもので、異方導電膜の製造装置を簡略化することができるという利点がある。
【0043】
図1に、本発明の異方導電膜101をフレキシブルプリント配線板102,102′の間に配置した断面図(部分的な拡大図)を示す。図1の異方導電膜101は、ゴム材料1からなる膜中に、鎖状金属粉末2が該膜厚方向に配向された状態で分散している場合を示している。鎖状金属粉末2は、それぞれ独立に分散されており、膜の横方向での絶縁性が保持されている。フレキシブルプリント配線板102,102′は、フレキシブル基板3,3′上に、バンプ電極4,4′が微細なピッチで配置されている。
【0044】
図2に示すように、図1のフレキシブルプリント配線板102,102′を加圧すると、電極4,4′に鎖状金属粉末が接触するため、その部分だけ上下方向に導通する。異方導電膜の横方向には、鎖状金属粉末が接触していないため、横方向の絶縁性が保持される。このとき、加熱加圧して架橋させれば、導通状態を維持することができる。
【0045】
異方導電膜のゴム材料を架橋させてゴム弾性を発現させたり、架橋することなくゴム弾性を有するゴム材料を用いた場合には、異方導電膜は、ゴム弾性を有するものとなる。そこで、図3に示すように、異方導電膜(a)の一面から圧力を加えると、その部分がゴム弾性によって圧縮され、鎖状金属粉末が電極に接触して導通することになる(b)。ただし、図3には、電極は、図示していない。圧力を除去すると、異方導電膜は、元の状態に復元する(c)。
【0046】
異方導電膜への圧力を小さくすると、膜厚方向で導通するものの、導通抵抗値が比較的高くなる。異方導電膜への圧力を大きくすると、導通抵抗を小さくすることができる。そのため、異方導電膜への圧力を制御することによって、導通抵抗を制御することができる。本発明の異方導電材を用いると、鎖状金属粉末の充填量を比較的低くすることによっても、膜厚方向での加圧による導電性を発現させることができる。
【0047】
これに対して、ゴム材料中に金属粒子や表面に導電膜を設けた樹脂粒子などの通常の導電性フィラーを分散させた異方導電膜では、加圧により膜厚方向での導通を得ようとすると、導電性フィラーの充填量を高濃度にする必要があるが、それによって、ゴム材料の架橋反応が阻害されたり、膜の横方向での絶縁性を確保することが困難になる。
【0048】
本発明の異方導電材は、その異方導電性とゴム弾性という特性を活かして、例えば、パワーウインドーセンサー、着席センサー、戸閉センサーなどの感圧センサー;家電等の操作スイッチ等のメンブレンスイッチ;ガラス基板実装LCDのゼブラコネクターなどの感圧素子(感圧電子部品)として新たな用途展開が可能である。
【0049】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。
【0050】
[実施例1]
ニッケルイオンを含有する溶液と、還元剤として三塩化チタンを含有する溶液とを混合することにより、粒径100nmのニッケル一次粒子が直鎖状に連結した形状を有し、鎖の径が400nmで、鎖の長さが10〜50μmの範囲に分布している直鎖状金属粉末を作製した。
【0051】
この直鎖状金属粉末と液状シリコーンゴム(信越シリコーン社製KE−1950−50)とを、金属充填量が5体積%の割合となるように混合し、次いで、混合物にトルエンを加えてペースト状の塗布液を調製した。この塗布液を平坦な面をもつ磁石上に塗布し、塗布面に対して垂直方向に磁束密度40,000μTの磁場を印加しながら乾燥し、固化させて塗膜を得た。これにより、直鎖状金属粉末を、その長さ方向が塗膜の厚み方向に配向した状態で固定した。塗膜を磁石から剥離することにより、厚さ100μmの異方導電膜を得た。
【0052】
[実施例2]
導電性フィラーとして、粒径200nmのニッケル一次粒子が直鎖状に連結した形状を有し、鎖の径が1μmで、鎖の長さが10〜50μmの範囲に分布している直鎖状金属粉末を使用し、かつ、直鎖状金属粉末の充填量を1体積%の割合となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、厚さ100μmの異方導電膜を作製した。
【0053】
[実施例3]
導電性フィラーとして、粒径100nmのニッケル一次粒子が直鎖状に連結した形状を有し、鎖の径が400nmで、鎖の長さが10〜50μmの範囲に分布している直鎖状ニッケル粉の表面を、厚み50nmの銀で被覆した複合構造を有する直鎖状金属粉末を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、厚さ100μmの異方導電膜を作製した。
【0054】
[比較例1]
導電性フィラーとして、直径5μmの球状ニッケル粉末を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、厚さ100μmの異方導電膜を作製した。
【0055】
[比較例2]
導電性フィラーとして、直径5μmの球状ニッケル粉末を、金属充填量が50体積%となるように混合したこと以外は、実施例1と同様にして、厚さ100μmの異方導電膜を作製した。
【0056】
[比較例3]
導電性フィラーとして、直径5μmの球状銀粉末を、金属充填量が50体積%となるように混合したこと以外は、実施例1と同様にして、厚さ100μmの異方導電膜を作製した。
【0057】
<導通抵抗の測定(厚み/面方向)>
幅60μm、長さ150μm、厚み20μmの金電極が40μm間隔で配列された電極パターンを有するフレキシブルプリント配線板(FPC)2枚を、各電極同士が接触するよう位置合わせし、その間に異方導電膜を挟み込んだ。次に、室温下で10、50、100kgf/cm2の各圧力を加え、各圧力下における上下電極間と隣接電極間の抵抗値を測定し、これらの測定値を、それぞれ厚み方向と面方向の導通抵抗とした。
【0058】
結果を表1及び2に示す。なお、表中の評価は、それぞれ下記の通りとした。(1)導通抵抗(厚み方向)
◎:導通抵抗が0.1Ω以下(厚み方向の導電性が極めて良好)、
○:導通抵抗が0.1Ω超1Ω以下(厚み方向の導電性良好)、
×:導通抵抗が1Ω超(厚み方向の導電性不良)。
【0059】
(2)導通抵抗(面方向)
◎:導通抵抗が1GΩ超(面方向の絶縁性が極めて良好)、
○:導通抵抗が1MΩ超1GΩ以下(面方向の絶縁性良好)、
×:導通抵抗が1MΩ以下(面方向の絶縁性不良)。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、ゴム弾性を有し、加圧すると加圧部が圧縮されて導通し、圧力を除去すると元の形状に復元して絶縁状態となることができる異方導電材料が提供される。また、本発明によれば、隣接する電極間のピッチが小さくても、短絡を生じることなく接続することが可能な異方導電材料が提供される。本発明の異方導電材料は、感圧センサー、メンブレンスイッチ、ゼブラコネクターなどの感圧素子として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、2枚のフレキシブルプリント配線板の間隙に本発明の異方導電膜を配置した断面図である。
【図2】図2は、加圧または加熱加圧することにより、異方導電膜中に分散した鎖状金属粉末が電極に接触して、その部分が導通することを示す断面図である。
【図3】本発明の異方導電膜(a)を加圧して導通させ(b)、その後、圧力を除去すると元の形状に復元する(c)ことを示す断面図である。
【符号の説明】
1:ゴム材料、
2:鎖状金属粉末、
3,3′:フレキシブル基板、
4,4′:電極、
101:異方導電膜、
102,102′:フレキシブルプリント配線板。
Claims (5)
- ゴム材料(A)中に、粒径5〜500nmの強磁性金属粒が鎖の径10nm〜2μmで鎖長5〜100μmの鎖状に連結した形状を有する金属粉末(B)が、その長さ方向に配向して分散している異方導電材料。
- 異方導電膜である請求項1記載の異方導電材料。
- 金属粉末(B)が、その長さ方向で異方導電膜の厚み方向に配向している請求項2記載の異方導電材料。
- 強磁性金属粒または金属粉末(B)が、強磁性を有する金属単体、強磁性を有する2種以上の金属の合金、強磁性を有する金属と他の金属との合金、または強磁性を有する金属を含む複合体から形成されたものである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の異方導電材料。
- 請求項1記載の異方導電材料からなる感圧素子。
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