JP4126140B2 - 口腔用組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステイン除去効果に優れた口腔用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、歯磨剤組成物に、ステインの溶解作用を有するポリエチレングリコール又はポリビニルピロリドン等を配合し、歯面のステイン除去効果を高めることも知られている。ここでステインとは、歯牙に付着する色素沈着物のことであり、一般に喫煙やコーヒー、紅茶、日本茶などの嗜好品の摂取によって蓄積されるものである。
しかしながら、ポリエチレングリコール及びポリビニルピロリドンの2種類を単に混合しても十分なステイン除去効果が得られない。ステイン除去効果を有する口腔用組成物は種々提案されているものの、未だ十分な効果を有した口腔用組成物は存在していない。
従って、優れたステイン除去効果を有する口腔用組成物が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ステイン除去効果に優れた口腔用組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、アパタイト類からなる群より選ばれる少なくとも1種と、平均分子量200〜20,000のポリエチレングリコールと平均分子量10,000〜360,000のポリビニルピロリドンとを配合することによって、優れたステイン除去効果を付与できることを見出した。
従って本発明は、ヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、炭酸アパタイト、第三リン酸カルシウム、第四リン酸カルシウム及び第八リン酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を0.1〜50質量%、平均分子量200〜20,000のポリエチレングリコールの少なくとも1種を0.1〜30質量%、及び平均分子量10,000〜360,000のポリビニルピロリドンの少なくとも1種を0.01〜3質量%含有することを特徴とする口腔用組成物に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本明細書中でいう口腔用組成物とは、練歯磨剤、液状歯磨剤などの歯磨剤類、トローチ剤、クリーム剤、軟膏剤、添付剤、マウスウォッシュ、口中清涼剤、洗口剤、チューインガム又はうがい液などを含む。
本発明に用いるアパタイトとは、ヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、炭酸アパタイト、第三リン酸カルシウム、第四リン酸カルシウム及び第八リン酸カルシウムを意味する。本明細書中では、ヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、炭酸アパタイト、第三リン酸カルシウム、第四リン酸カルシウム及び第八リン酸カルシウムを総称してアパタイト類と称する。
それぞれ以下の化学式によって表される。
ヒドロキシアパタイト:Ca10(PO4)6(OH)2
フルオロアパタイト:Ca10(PO4)6F2
炭酸アパタイト:CO3Ap
第三リン酸カルシウム:Ca3(PO4)2
第四リン酸カルシウム:Ca4O(PO4)2
第八リン酸カルシウム:Ca8(PO4)6・5H2O
これらの中では、ヒドロキシアパタイトと第三リン酸カルシウムが好ましく使用される。
【0006】
これらのアパタイト類は、歯や骨の主成分(無機成分)であり、生体親和性に優れた極めて安全性の高い素材である。このため、ヒドロキシアパタイトや第三リン酸カルシウムなどは生体材料として人工関節や人工歯根などにも用いられる。また、ヒドロキシアパタイトは、カルシウムイオン、リン酸イオン、水酸化物イオンの位置が様々な微量元素と置換することが知られており、水酸化物イオンがフッ素イオンに置換したものがフルオロアパタイトとなり、結晶内に炭酸イオンが取り込まれると炭酸アパタイトになる。
アパタイトは一般に合成品が用いられており、本発明においてもこのような市販の合成品を用いることができる。これらは特に限定されるものではないが、白色の水性懸濁液若しくは粉末の状態で供給され、その平均粒子径は1〜70μmである。
【0007】
本発明の口腔用組成物におけるヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、炭酸アパタイト、第三リン酸カルシウム、第四リン酸カルシウム及び第八リン酸カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の含有量は、口腔用組成物の全質量に基づいて0.1〜50質量%が適当であり、好ましくは1〜30質量%である。この量は0.1質量%に満たないと本発明が目的とする効果が十分に得られず、一方50質量%を超えても効果の向上は見られない。
【0008】
本発明で使用するポリエチレングリコールは、水またはエチレングリコールに酸化エチレンを付加させた重合体で、H(OCH2CH2)nOHで表される。この重合体は酸化エチレンの付加量によって液状の低分子量のものから固体の高分子量のものまで各種分子量の重合物ができ、その生成物は、種々の重合度のものが混合している。ポリエチレングリコールはその平均分子量をもって分類される。
本発明では、平均分子量200〜20,000のポリエチレングリコールを1種あるいは2種以上使用することができる。すなわち平均分子量が異なるものを2種以上使用してもよい。平均分子量が200に満たないものは、期待される効果が発揮されず、一方平均分子量が20,000を超えるものは剤形上配合が困難となる。
【0009】
このようなポリエチレングリコールは医薬品や化粧品をはじめ、繊維・ゴム・接着剤・金属・窯業・石油・印刷・インキ工業などに広く一般的に使用されるものであり、本発明においてはこれらに使用されている市販品を用いることができる。
本発明の口腔用組成物における1種あるいは2種以上のポリエチレングリコールの含有量は、口腔用組成物の全質量に対して0.1〜30質量%、好ましくは0.5〜10質量%である。この量が0.1質量%未満であると、期待される効果が発揮されず、一方30質量%を超えても含有量に見合った効果が得られず使用性を損ねる場合がある。
【0010】
ポリビニルピロリドンは、アセチレンの高圧合成法レッペ反応による合成化合物の一種であり、ビニルピロリドンの直鎖重合体である。また、重合反応の触媒量、温度、時間などにより本品の分子量は10,000〜700,000程度まで存在する。
本発明では、平均分子量10,000〜360,000のポリビニルピロリドンを1種あるいは2種以上使用することができる。すなわち、平均分子量が異なるものを2種以上使用してもよい。平均分子量が360,000を超えるものは、剤形上配合が困難となる。
【0011】
このようなポリビニルピロリドンは、医薬品や化粧品を始め、織物・紙業・印刷・インキ工業・保護塗料・飲料清澄剤・接着剤・農芸化学・プラスティック工業などに広く一般的に使用されるものであり、本発明においてはこれらに使用されている市販品を用いることができる。
本発明の口腔用組成物における1種あるいは2種以上のポリビニルピロリドンの含有量は、口腔用組成物の全質量に対して0.01〜3質量%、好ましくは0.05〜1質量%である。この量が0.01質量%未満であると期待される効果が発揮されず、一方3質量%を超えると含有量に見合った効果が得られず使用性を損ねる場合がある。
【0012】
本発明の口腔用組成物において、配合するポリエチレングリコールの総質量とポリビニルピロリドンの総質量の比は、1:30〜3,000:1の広範囲で使用することができ、さらに1:30〜1,000:1、好ましくは1:30〜300:1、より好ましくは1:30〜200:1の範囲である。
【0013】
本発明の口腔用組成物にはその種類に応じて、上記成分に加えて、必要により以下の成分を通常の使用量の範囲内で配合することができる。
<研磨剤>
シリカゲル、沈降性シリカ、火成性シリカ、含水ケイ酸、無水ケイ酸、ゼオライト、アルミノシリケート、ジルコノシリケート等のシリカ系研磨剤、第二リン酸カルシウム二水和物、第二リン酸カルシウム無水和物、ピロリン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、合成樹脂系研磨剤などが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。上記研磨剤の配合量は、組成物全体に対して3〜60質量%が好ましく、より好ましくは10〜45質量%である。
【0014】
<湿潤剤>
グリセリン、濃グリセリン、ジグリセリン、ソルビット、マルチトール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、キシリトール等の多価アルコール等の1種または2種以上を使用することができる。
<粘結剤>
カラギーナン(ι、λ、κ)、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルシウム含有アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸アンモニウム等のアルギン酸塩及びその誘導体、キサンタンガム、グァーガム、ゼラチン、寒天、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0015】
<発泡剤>
ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸モノグリセリンスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、N-アシルグルタメート等のN-アシルアミノ酸塩、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、マルチトール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0016】
<甘味剤>
サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン等。
<防腐剤>
メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラベン類、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等。
【0017】
<香料成分>
l-メントール、アネトール、メントン、シネオール、リモネン、カルボン、メチルサリシレート、エチルブチレート、オイゲノール、チモール、シンナミックアルデヒド、トランス-2-ヘキセナールなどの中から1種または2種以上を併用して用いることができる。これらの成分は単品で配合してもよいが、これらを含有する精油等を配合してもよい。
また、上記香料成分に加え、脂肪族アルコールやそのエステル、テルペン系炭化水素、フェノールエーテル、アルデヒド、ケトン、ラクトン等の香料成分、精油を本発明の効果を妨げない範囲で配合してもよい。上記香料の配合量は、組成物全体に対して0.02〜2質量%とすることが好ましい。
【0018】
<有効成分>
塩化リゾチーム、モノフルオロホスフェート、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、ヒノキチオール、アスコルビン酸、クロルヘキシジン塩類、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ビサボロール、酢酸トコフェロール、ε−アミノカプロン酸、トラネキサム酸、アルミニウムヒドロキシルアラントイン、乳酸アルミニウム、ジヒドロコレステロール、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸塩類、銅クロロフィリン塩、塩化ナトリウム、グァイアズレンスルホン酸塩、デキストラナーゼ、ゼオライト、塩酸ピリドキシンなどを1種または2種以上を配合することができる。
【0019】
<その他>
青色1号等の色素、酸化チタン等の顔料、ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤、エデト酸塩等のキレート剤、チャエキス、チャ乾留液、プロポリスエキス、グルタミン酸ナトリウム等の矯味剤など。
なお、本発明の口腔用組成物は、常法に準じて製造できるものであり、その製法は特に限定されるものではない。また、得られた練歯磨剤等の口腔用組成物は、アルミニウムチューブ、ラミネートチューブ、ガラス蒸着チューブ、プラスチックチューブ、プラスチックボトル、エアゾール容器等に充填されて使用することができる。
【0020】
【発明の効果】
本発明の口腔用組成物は、ステイン除去効果に優れたものである。
【0021】
【実施例】
以下、実験例及び実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
表1〜3に示す組成(単位:質量%)にて常法により各種練歯磨剤を調製し、以下の試験に供した。なお、組成中のポリビニルピロリドンK30は重合度約40,000であり、ポリビニルピロリドンK90は重合度約360,000である。
<ステイン除去試験1>
上記の各種練歯磨剤10gにイオン交換水25gを加えて均一に分散させた歯磨剤分散液を試験に用いた。
内径15×7×7cmのアクリルケース内中央に、予めタバコより抽出したタールを前面全体に塗布したヒト抜去歯(上顎前歯)を、タール塗布面を上にして固定し、そこへ上記歯磨剤分散液を30g注ぎ入れた。
通常一般に市販されている歯ブラシを装着した歯磨剤用研磨性試験器に、上記アクリルケースを固定し、ブラッシング加重200g、ブラッシング回数100ストローク、ストローク幅10cmで人工ブラッシングを行った。ブラッシング終了後、流水で歯磨剤分散液を洗い流したヒト抜去歯を披験試料とした。披験試料は下記の評価基準に基づいて、ステイン除去の目視による官能評価を行った。
【0022】
「評価基準」
ステイン除去度合い
◎・・・・・完全にステインが除去されている。
○・・・・・ほとんどステインが除去されている。
△・・・・・ややステインが除去されている。
×・・・・・全くステインが除去されていない。
このステイン除去試験1の結果も表1〜3に併せて示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】
<ステイン除去試験2>
(1)タール含有量10mg以上のタバコを1日20本以上喫煙することを習慣としている男性10名を被験者とした。被験者10名のうち5名は、実施例1の歯磨剤、残り5名は比較例1の歯磨剤を使用して、1週間、1日2回、3分程度通常の歯みがきを行った。1週間の使用試験終了後、各被験者に対して、下記評価基準を記載したアンケートを行った。1ヶ月のブランクを経た後、再び同様の使用試験を行い、同様のアンケートを行った。1回目の使用試験で実施例1の歯磨剤を使用した群は、比較例1の歯磨剤を、1回目の使用試験で比較例1の歯磨剤を使用した群は実施例1の歯磨剤を使用することとした。
(2)上記の試験(1)と同様の手順で、実施例3の歯磨剤と比較例3の歯磨剤を試験した。
【0027】
各歯磨剤の評価は、アンケート結果を基に、10名の平均値を求め、下記の4段階で行った。
4<◎≦3
3<○≦2
2<△≦1
1<×≦0
「評価基準」
ステイン除去度合い
4・・・・・完全にステインが除去されている。
3・・・・・ほとんどステインが除去されている。
2・・・・・ややステインが除去されている。
1・・・・・全くステインが除去されていない。
結果は、実施例1の練歯磨剤について○、比較例1の練歯磨剤について△、実施例3の歯磨き剤について◎、比較例3の歯磨き剤について×であった。
【0028】
以上の実験結果から,本発明による練歯磨剤は、ステイン除去効果に優れていることが判った。また下記に示す実施例9〜24についても上記の実験を行ったところ,全て上記と同様な結果が得られた。
以下、実施例9〜24の練歯磨剤の組成を示す。配合量の単位は質量%である。
【0029】
【実施例9】
【0030】
【実施例10】
【0031】
【実施例11】
【0032】
【実施例12】
【0033】
【実施例13】
【0034】
【実施例14】
【0035】
【実施例15】
【0036】
【実施例16】
【0037】
【実施例17】
【0038】
【実施例18】
【0039】
【実施例19】
【0040】
【実施例20】
【0041】
【実施例21】
【0042】
【実施例22】
【0043】
【実施例23】
【0044】
【実施例24】
Claims (1)
- ヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、炭酸アパタイト、第三リン酸カルシウム、第四リン酸カルシウム及び第八リン酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を0.1〜50質量%、平均分子量200〜20,000のポリエチレングリコールの少なくとも1種を0.1〜30質量%、及び平均分子量10,000〜360,000のポリビニルピロリドンの少なくとも1種を0.01〜3質量%含有することを特徴とする口腔用組成物。
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