JP4126093B2 - 薄膜電子部品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜電子部品に関するものであり、更に具体的には、高周波特性が改善された電子部品に関するものである。
【0002】
【背景技術】
ペロブスカイト型の結晶構造をもつ酸化物誘電体薄膜は、種々の優れた誘電特性を示す。このため、近年は、その高誘電性を利用した高集積化対応のDRAM用キャパシタや、その強誘電性を利用した不揮発性メモリ用キャパシタの応用が盛んに検討されている。更に、最近の高周波通信機器デバイスの発展に伴い、これら誘電体薄膜の高周波(GHz)帯域における優れた誘電特性や直流バイアスに対する誘電率の非線形性(チューナビリティ)を利用した高周波バイパスキャパシタ,各種高周波チューナブルフィルタ,高周波チューナブルフェイズシフタなどへの応用も注目されており、研究開発が活発化している。特に、自発分極の反転に起因する誘電率の大きな周波数分散を示さない典型的な常誘電体材料であるSrTiOや、固溶化率を変化させることにより常誘電体/強誘電体構造の相転移温度をシフトさせ、室温付近で優れた常誘電体特性が得られるBaTiO−SrTiO固溶体材料などは、上述した高周波帯域で使用される誘電体素子に好適な材料として注目されている。
【0003】
一般に、多結晶SrTiO薄膜は、100GHz以上の高周波動作においても分極反転(主にイオン分極)が追従し、誘電率は周波数に対しておおよそ200〜300程度の一定の値を示すとともに、誘電率の印加電界に対する非線形応答も保持されることが知られている。また、SrTiO薄膜よりも高い誘電率をもつ(Ba,Sr)TiO系薄膜(BaTiO−SrTiO固溶体)は、高周波帯域における誘電率低下が一部示唆されているが、数十GHzまでは高誘電率及び高非線形性を維持することが確認されている。いずれの材料系も、上述した高周波帯域用の誘電体素子として適用可能な特性を有しているが、実用レベルに達するには更なる高チューナビリティ化,低損失化などの特性改善が必要とされている。
【0004】
これらのうち、特に低損失化に対しては様々な検討がなされており、上述したSrTiO薄膜や(Ba,Sr)TiO系薄膜のようなペロブスカイト型構造の酸化物材料に対して、遷移金属のMnやアルカリ土類金属のMg等といった微量添加物の導入や、あるいはTi過剰域での非化学量論組成の導入による低損失化が図られている。また、薄膜微細構造を、一般的な多結晶柱状構造からエピタキシャル単結晶構造とすることにより、結晶性の向上による低損失化を図るとともに、格子ミスマッチに基づいた基板拘束による2次元応力効果を有効に利用して、高誘電率(高容量)化やチューナビリティの向上を目指した検討もなされている。
【0005】
ところで、上記のようなキャパシタをシリコン基板上に形成する場合には、上述した薄膜材料自体の損失だけではなく、下地となる基板による損失や、素子を構成する電極等に起因する導体損も重要であり、電子部品全体としての構造最適化が必要となる。
【0006】
まず、基板に関しては、半導体プロセスで一般的に使用されているシリコン基板は、ドープ量を調整した高抵抗(1kΩcm以上)のものであっても、DCバイアス印加時の導電性に伴うリーク電流,MOS構造形成,比較的高い誘電体損(1GHzにおいてtanδ=0.015)等の理由により、上述した高周波帯域用の誘電体素子への適用が難しい。このため、半導体プロセスではあまり一般的でない低損失,低誘電率,高絶縁性のMgOやLaAlOなどの単結晶が研究開発用として用いられている。ただし、前記シリコン基板は、その表面を熱酸化することにより、低誘電率,低損失の高品位のSiO層を形成することが可能であり、その上に素子を形成することで損失を低減することができる。特に、既存の膨大な技術蓄積があるシリコン半導体技術を流用できるという利点もある。
【0007】
次に、電極層に関しては、上記SiO層上に高温高酸素雰囲気下での誘電体薄膜層成長に耐えうる高耐蝕性を有し、かつ高周波特性において極めて重要な導体抵抗による損失が小さい貴金属系をベースとした多結晶薄膜電極が一般に用いられている。この場合、貴金属多結晶電極層は表面エネルギー低減のため、自発的に(111)結晶面を最表面とする優先配向を示すため、下記特許文献1で開示されているように、層状ペロブスカイト緩衝層を電極/SiO層間に挿入することにより電極層の配向性を制御し、誘電特性の優れたc軸配向ペロブスカイト誘電体層を形成することも行われている。一方、強誘電体メモリ応用として、以下の特許文献2に見られるように、非晶質SiO上にYSZを形成し、その上に誘電膜をエピタキシャル成長させる方法もある。
【0008】
【特許文献1】
特表平8−505265号公報
【特許文献2】
特開平8−181289号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特許文献1の技術では、非晶質SiO上に層状ペロブスカイトを緩衝層として形成しているため、この緩衝層はc軸のみが配向した微構造、即ち、面内配向性がない微構造となり、その結果、この緩衝層上に局所的にエピタキシャル成長させた誘電膜も同様の構造となる。このため、方位が不規則に異なる結晶粒子間の原子配列の乱れた接合面(粒界)の存在により信頼性、誘電特性は低下し、十分な特性改善が期待できない。また、上述した特許文献2に見られる構造は、MIM型構造ではなくMFIS(Metal-Ferroelectrics-Insulator-Semiconductor)構造でゲート機能を主にしたものであるため、キャパシタとしては高抵抗性Si、及び低誘電率絶縁層のため、高周波化,大容量化に限界が生じる。
【0010】
本発明は、以上の点に着目したもので、その目的は、シリコン基板を利用したときに、基板による損失を低減するとともに、該基板上にエピタキシャル構造を有するMIM型キャパシタを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため本発明は、シリコン基板上にエピタキシャル成長した酸化物緩衝層,該酸化物緩衝層と前記シリコン基板の間に形成されたSiO 層,前記酸化物緩衝層上にエピタキシャル成長するとともに、面内配向性を有し、かつ面垂直方向には単一の結晶方位をもつ貴金属下部電極層,該下部電極層上にエピタキシャル成長した誘電体薄膜とを備えたことを特徴とする。この面内配向性を有する新規な薄膜キャパシタ構造は、キャパシタの特性改善に大きく貢献する。ここで、面内配向性とは、面内の結晶軸(例えばc軸配向立方晶構造薄膜の場合、a軸およびb軸が面内結晶軸)がある幾何学的規則をもって整列することを意味し、単一の規則で完全整合する場合が単結晶構造に相当するが、下地膜との表面構造の対称性の関係から相互に結晶学的方位関係をもつ数種のドメインから構成されている場合も含むものとする。この場合、ドメイン間は整合界面を形成し、単結晶構造のみならず、これら面内構造を整合させることが誘電体薄膜の物性値制御に大きく影響する。例えば、酸化物緩衝層(100)YSZ上にはある成長条件下で(111)Ptが成長し、これらPtは通常の(111)配向多結晶構造とは異なり、面内配向性は有し、4つの結晶学的方位関係をもつドメインから構成される。
【0012】
この構造により、大容量、高信頼性に適した面内、及び面垂直方向の配向性を有するMIM型キャパシタを低損失状態で得ることができる。
【0013】
本発明の新規な点は、酸化物緩衝層(例えばYSZ)とシリコン基板の間に非晶質SiOを成長させたときに、酸化物緩衝層が面内配向性を維持し、該酸化物緩衝層の上に形成した貴金属下部電極層(例えばPt)もこの面内配向を受けつぎ、その結果、面内、及び面垂直方向の配向性を有する誘電膜を備えたMIM型キャパシタを形成することが可能な点にある。
【0014】
この新規な構造はシリコン基板の上に、非晶質SiOを介して面内、及び面垂直方向の配向性を有するMIM型キャパシタを形成するという技術検討があって初めて想到し得る独特の構造である。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【0015】
【発明の実施の形態】
<実施形態の基本構成>……以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。最初に、図1〜図3を参照して、実施形態1について説明する。図1(A)は、本形態の基本構造を示す断面図である。同図に示すように、本形態のキャパシタ素子10は、下地基板12上に、キャパシタ層20が形成された平行平板型の構成となっている。下地基板12は、表面に自然酸化膜程度のSiOが被覆した,あるいは、湿式処理等を施し表面の酸化膜および不純物を除去したシリコン基板14上に、シリコン結晶と格子整合性を有し、かつ、高い酸素拡散性を有する第1の酸化物緩衝層18をエピタキシャル成長させたのち、高温酸素雰囲気下でアニールすることにより、シリコン基板14と第1の酸化物緩衝層18との界面に、SiO層16を成長させたものである。ここで、形成されたSiO層16は、アモルファスないし非結晶質の状態である。
【0016】
キャパシタ層20は、前記下地基板12の酸化物緩衝層18と良好な構成整合性を有する導電性酸化物または金属をエピタキシャル成長させた下部電極層22,該下部電極層22と格子整合性を有するペロブスカイト型酸化物をエピタキシャル成長させて形成した誘電体層24,該誘電体層24上に形成された上部電極層26,の積層構造により構成されている。
【0017】
まず、第1の酸化物緩衝層18としては、シリコン結晶格子(格子定数0.5431nm)と10%以内の格子整合性を有し、かつ、低原子価陽イオン(Ca2+,Y3+,Mg2+,Sc3+,Yb3+,Gd3+,Nd3+等)を添加することにより、補償酸素空孔を介した高い酸素拡散性をもつとともに、高温立方構造が安定化された蛍石型酸化物ZrO、HfO、ThO固溶体の一群,例えば、ThO−CaO,ThO−Y,ZrO−CaO(CSZ),ZrO−Y(YSZ),HfO−CaO,HfO−Y等が用いられる。
【0018】
これら蛍石型酸化物固溶体の一群の中から選択される第1の酸化物緩衝層18の酸化エンタルピーは、SiOよりエネルギー的に安定である。このため、シリコン基板14上への初期成長段階において、シリコン表面が過剰に酸化されない程度の低酸素分圧下であれば、若干酸素欠損した蛍石型酸化物が、酸素と結合したシリコン基板表面上の非晶質SiO層を容易に還元し、シリコン結晶格子の構造を受け継いだ高結晶性のエピタキシャル酸化物緩衝層を形成することができる。図2(A)には、シリコン基板14と、該シリコン基板14上にエピタキシャル成長により10nmの厚みに形成されたYSZ(8mol%Y添加ZrO)酸化物緩衝層との界面付近の高分解能電子顕微鏡による断面像が示されている。同図より、シリコン基板14の表面は、非晶質のSiO層16を介して、蛍石型立方晶YSZの酸化物緩衝層18により被覆されていることが分かる。
【0019】
前記第1の酸化物緩衝層18は、高温において高い酸素拡散性を示すため、シリコン熱酸化膜が形成されるような高温高酸素雰囲気化で熱処理を行うと、酸化物緩衝層18−シリコン基板14界面に、従来の熱酸化膜同様の高品位な非晶質のSiO層16を成長させることができる。図2(B)には、前記図2(A)のシリコン基板14を、1000℃で2時間、酸素雰囲気中で熱処理した後の断面高分解能電子顕微鏡像が示されており、シリコン基板14と酸化物緩衝層18の界面のSiO層16が成長している様子が見られる。
【0020】
図3(A)及び(B)には、それぞれ、前記図2(A)及び(B)の酸化物緩衝層18に対応する電子線回折図形が示されている。これら図2及び図3に示すように、上述した高酸素雰囲気下での熱処理前後において、高い融点をもつ酸化物緩衝層18の結晶性,エピタキシャル及び表面ラフネスはほとんど変化が見られず、エピタキシャル成長のための緩衝層としての機能を失っていないことが分かる。また、酸化物緩衝層18が被覆している場合の熱酸化膜(すなわちSiO膜)の膜厚成長速度は、図2に示した酸化物緩衝層18としてYSZ(8mol%Y添加ZrO)を10nm被覆した場合を例にあげると、ベースのシリコン基板14の熱酸化膜厚成長速度の約1/3となる。また、SiO層16の膜厚をより厚くするため、SOI(Silicon On Insulator)基板を用いてもよい。この場合、表層部のシリコン層が1μm以下で、かつ、SiO層が数十μmのSOI基板を利用することにより、短時間の熱処理で数十μm以上のSiO層をもつ低損失の下地基板12が容易に得られる。
【0021】
第1の酸化物緩衝層18とシリコン基板14の界面に成長させるSiO層16の厚みは、高周波における基板損失を低減するという観点から、1μm以上が好ましい。また、酸化物緩衝層18は、酸素拡散性を高めるためには薄膜化したほうが好都合であり、更に、比誘電率が約20と高く、若干のイオン導電性も示すことから、その厚みは、数nm程度に設定することが好ましい。
【0022】
次に、下部電極層22としては、第1の酸化物緩和層18と格子整合性が良好で、かつ耐蝕性のある金属系のPt,Ir,Pd,Au及びその合金だけでなく、導電性酸化物,例えば、Ca{R1}O(R1はV,Cr,Fe,Ruのいずれか),Sr{R2}O(R2はV,Cr,Fe,Ruのいずれか),La{R3}BO(R3はTi,Co,Ni,Cuのいずれか),La1−xSr{R4}O(R4はV,Mn,Coのいずれか,x>0.23),BaPbO,SrRuO,SrIrO,SrRuO,SrIrO及び(La1−xSRCuO(x<0.3),La,Nb−doped SrTiOなどが適用可能であるが、GHz帯などの高周波領域における応用においては、電極層の抵抗による導体損失が重要となるため、抵抗値が低い金属系電極材料が最良で、その膜厚は更なる抵抗低下のため、100nm以上であることが好ましい。
【0023】
なお、第1の酸化物緩衝層18と下部電極層22との間で充分な格子整合性が確保できず、良好なエピタキシャル成長が行われない場合には、図1(B)に示すように、必要に応じて他の酸化物緩衝層28を挿入するようにしてもよい。他の酸化物緩衝層28は、1層のみでもよいし、必要に応じて複数層挿入してもよい。例えば、YSZを用いた第1の酸化物緩衝層18上に、下部電極層22としてPtを再現性良くエピタキシャル成長させる場合は、PtとYSZの中間の格子定数を有するCeO(0.5411nm)を第2の酸化物緩衝層28として挿入することが有効である。他の酸化物緩衝層28としては、MgO,MgAl,Alなどが適用可能である。
【0024】
前記下部電極層22上にエピタキシャル成長により形成される誘電体層24としては、高周波帯域で強誘電性の自発分極反転に伴う誘電分散や損失を示さず、かつ、動作温度範囲内で常誘電体相を示すペロブスカイト型構造のSrTiOや(Ba,Sr)TiO,Ba(Zr,Ti)O固溶体,それらに各種添加物を導入した系が用いられる。
【0025】
次に、上部電極層26としては、必ずしも誘電体層24とエピタキシャル方位関係をもつ必要はなく、多結晶質や非結晶質でも特性上問題はない。しかしながら、導体損失を低減するという観点からは、膜厚が厚く、かつ、抵抗値の低い材料あるいは当該材料を含む積層電極構造を有する積層膜などを用いることが好ましい。
【0026】
前記酸化物緩衝層18及び28,下部電極層22,誘電体層24,上部電極層26の各層は、レーザアブレーション法,MBE(Molecular Beam Epitaxy)法,CVD(Chemical Vapor Deposition)法,ゾルゲル法,スパッタリング法など、各種の薄膜作成方法によって形成することができる。
【0027】
本実施形態を具体的な例を上げて説明すると、例えば、典型的な蛍石型立方晶酸化物(Y0.5Zr0.851.93の格子定数は0.5139nm)は、シリコン(100)基板14上にCube-on-Cubeの幾何学的な関係で容易にエピタキシャル成長し、(100)[100]YSZ//(100)[100]Siの結晶学的方位関係を保つ。このような蛍石型立方晶酸化物からなる第1の酸化物緩衝層18の(100)面内格子に対し、ペロブスカイト誘電体薄膜の代表的な下部電極層22として用いられる貴金属のPt(格子定数0.3923nm),Ir(格子定数0.3839nm),Au(格子定数0.4079nm)などの(100)面内格子は、若干不整合性が大きいものの、成長条件を適切に設定することにより、酸化物緩衝層18上にエピタキシャル成長させることが可能である。例えば、下部電極層22としてPtを用いる場合、Pt(100)[110]//(100)[100][YSZ]//(100)[1000]Siの結晶学的関係を持つ積層構造が得られる。
【0028】
これらエピタキシャル形成した下部電極層22上には、例えば、SrTiO,(Ba,Sr)TiO,BaTiO,PZT等のペロブスカイト誘電体薄膜(誘電体層24)が容易にエピタキシャル成長可能である。そして、更に、誘電体層24の表面に任意の上部電極層26を形成することにより、優れた誘電特性を有するエピタキシャル構造の誘電体層24と、低損失の下地基板12を備えたキャパシタ素子10を得ることができる。
【0029】
本実施形態のように、上部電極層26/エピタキシャル誘電体層24/エピタキシャル下部電極層22/単層あるいは積層酸化物緩衝層22(及び28)/SiO層16/シリコン基板14の積層構造を備えたキャパシタ素子10は、高周波帯域でも優れた特性を示すため、高周波平行平板型MIM(Metal Insulator Metal)バイパスキャパシタ,チューナブルキャパシタなどに適用可能である。
【0030】
<実施例>……以下、図4及び図5を参照しながら、本発明の実施例について説明する。図4は、本実施例の積層構造を示す断面図であり、図5は、本実施例の製造手順を示す図である。これらの図に示すように、本実施例のキャパシタ素子50は、平行平板型の積層構造を有している。
【0031】
まず、製造手順から説明すると、表面に自然酸化膜程度の極薄層SiO(図示せず)が被覆した高抵抗(3kΩcm)の(100)シリコン基板54を用意する。そして、第1の酸化物緩衝層58として、このシリコン基板14上に、基板温度600℃,Ar雰囲気中で、スパッタ法により1〜2nm程度の初期YSZ層を成膜したのち、酸素を導入しながら10nmの膜厚までYSZ(Y0.08Zr0.921.96)層を成膜する。(100)YSZ層は、シリコン基板14の結晶格子の構造を反映し、Cube-on-Cubeの形態でエピタキシャル成長するが、その成長段階において、酸化物緩衝層58とシリコン基板14の界面に、1nm程度の厚さのSiO層56が成長する。次に、図5(A)に示すように、酸化物緩衝層(YSZ)58で被覆されたシリコン基板14を、1000℃,大気圧100%雰囲気下の熱処理炉でアニール化し、図5(B)に示すように、SiO層56を約1μmまで成長させる。
【0032】
そして、図5(C)に示すように、前記第1の酸化物緩衝層58上に、第2の酸化物緩衝層60,下部電極層62,誘電体層64を順に積層する。まず、第1の酸化物緩衝層58上には、次に積層する下部電極層62との格子整合性を良好なものとするために、(100)CeO層が第2の酸化物緩衝層60としてエピタキシャル成長により形成され、シリコン基板54,SiO層56,第1の酸化物緩衝層58と合わせて下地基板52となる。
【0033】
次いで、平行平板型のキャパシタ素子50を形成するため、前記(100)CeO層上に、Ar/O分圧比9:1,基板温度500℃の条件下で、スパッタ法により、Ptを約200nmの膜厚になるまでエピタキシャル成長させ、下部電極層62を形成する。この場合、最密安定面である(111)面を表面とするPt粒の成長を抑制し、(100)Pt層を優先的に成長させるためには、スパッタガスであるArに対し10%程度の酸素を導入することが有効である。その後、エピタキシャル成長により形成された(100)Pt下部電極層62上に、Mnを0.5%添加した(Ba0.3Sr0.7)TiOをAr/O分圧比2:1,基板温度600℃の条件下で、膜厚約200nmとなるまでエピタキシャル成長させ、下部電極層62/誘電体層64の積層膜構造を形成する。
【0034】
続いて、前記誘電体層64上に、フォトリソグラフィによりフォトレジストをパターニングし(図示せず)、図5(D)に示すように、下部電極層62と誘電体層64を、2段階でBCl/Arによるプラズマイオンエッチングにより加工する。その後、図5(E)に示すように、プラズマCVDにより、保護膜層66としてSiO層を全面に成膜し、フォトリソグラフィとプラズマエッチングにより、下部電極層62からの引出用電極74を形成するための開口70を設けるとともに、上部電極層72を形成するための適切な位置に、キャパシタ容量に対応するサイズで開口68を設ける。そして、図5(F)に示すように、開口68に、250℃,真空中でのスパッタにより、Pt及びAuを、それぞれ膜厚50nm,150nmとなるように順に成膜,加工し、上部電極層72を形成する。同時に、引出用電極74も形成される。
【0035】
以上のようにして、酸化物緩衝層58及び60で被覆された厚いSiO層56を有するシリコン基板54(ないし下地基板52)上に、下部電極層62と上部電極層72との間に、エピタキシャル成長により形成されたペロブスカイト型構造を有する誘電体層64が挟まれた積層キャパシタ素子構造が形成される。実際にデバイスとして機能させるため、公知の各種の層間絶縁膜や配線の形成が引き続き行われる。
【0036】
以上のようにして得られた実施例のMIM型キャパシタ素子50のサンプルについてデバイス損失を示すQ値を測定したところ、10GHzにおいて「52」であり、10kHzにおけるDC(直流)電界0.5MV/cm印加に至る容量変化比は「85%」であった。これは、従来の多結晶薄膜で構成されたMIM型キャパシタ素子のQ値「41」,容量変化比「72%」と比べて、優れた低損失性及び容量変化特性を示しており、高周波帯域での誘電特性が良好に改善されていることが分かる。
【0037】
<他の実施形態>……本発明には数多くの実施形態があり、以上の開示に基づいて多様に改変することが可能である。例えば、次のようなものも含まれる。
(1)前記形態及び実施例で示した製造方法や製造条件は一例であり、何ら前記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、同様の作用を奏する他の公知のものを適用してよい。
(2)前記形態で示した形状・寸法も一例であり、同様の作用を奏するように設計変更可能である。酸化物緩衝層の積層数,電極の引き出し構造なども任意であり、それぞれ必要に応じて変更してよい。
(3)本発明は、上述したキャパシタ素子のほか、高周波回路基板などにも適用可能である。また、いわゆる集積回路中に他の回路素子ととともに形成される場合が多いが、単独の回路素子として形成することを妨げるものではない。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、シリコン基板上にエピタキシャル成長した酸化物緩衝層と、該酸化物緩衝層と前記シリコン基板の間に形成されたSiO 層と、前記酸化物緩衝層上にエピタキシャル成長するとともに、面内配向性を有し、かつ面垂直方向には単一の結晶方位をもつ貴金属下部電極層と、該前記下部電極層上にエピタキシャル成長した誘電体薄膜とを備えたMIM型構造の薄膜キャパシタを形成することとしたので、高周波帯域での良好な誘電特性を備えた薄膜電子部品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるキャパシタ素子の積層構造を示す断面図である。
【図2】前記形態の基板表面付近の断面を示す図であり、(A)は緩衝層で被覆した基板表面付近を示し、(B)は、前記(A)の熱処理後の状態を示す図である。
【図3】前記図2の緩衝層に対応する電子線回析図形を示す図である。
【図4】本発明の実施例のキャパシタ素子の積層構造を示す断面図である。
【図5】前記実施例の製造工程を示す図である。
【符号の説明】
10…キャパシタ素子
12…下地基板
14…シリコン基板
16…SiO
18…酸化物緩衝層
20…キャパシタ層
22…下部電極層
24…誘電体層
26…上部電極層
28…酸化物緩衝層
50…キャパシタ素子
52…下地基板
54…シリコン基板
56…SiO
58,60…の酸化物緩衝層
62…下部電極層
64…誘電体層
66…保護膜層
68,70…開口
72…上部電極層
74…引出用電極

Claims (2)

  1. シリコン基板上にエピタキシャル成長した酸化物緩衝層,
    該酸化物緩衝層と前記シリコン基板の間に形成されたSiO
    前記酸化物緩衝層上にエピタキシャル成長するとともに、面内配向性を有し、かつ面垂直方向には単一の結晶方位をもつ貴金属下部電極層,
    下部電極層上にエピタキシャル成長した誘電体薄膜,
    を備えたことを特徴とする薄膜電子部品。
  2. 前記酸化物緩衝層は、低原子価陽イオンを添加した蛍石型酸化物の固溶体であり、前記下部電極層はPt,Ir,Au,Pd及びそれらを含む合金から選択されることを特徴とする請求項記載の薄膜電子部品。
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