JP4125499B2 - ワイパ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ワイパブレードで払拭面を拭うワイパ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ワイパブレードで払拭面を拭うワイパ装置としては、通電によりワイパモータの出力軸が回転することにより、その出力軸に固定されたモータアームが回転され、このモータアームの回転により、モータアームに回動可能に結合されたリンク機構が往復移動され、リンク機構の往復移動によりワイパブレードが払拭面上の第1の反転位置と第2の反転位置との間を往復で拭うものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のワイパ装置において、ワイパの不使用時にワイパブレードを第1の反転位置の下方の格納位置までしまい込み移動させるための偏芯メタルをモータアーム上に配置して、この偏芯メタルにリンク機構のリテーナを回動可能に連結することによって、ワイパモータの出力軸の中心からリテーナの中心までのピッチを変更するようにしたものがあるが、偏芯メタルの回動範囲が大きく設定されていたため、ワイパブレードが第1の反転位置や第2の反転位置で反転した後に払拭面上を払拭中の位置で、偏芯メタルがリンク機構のリテーナに対し回動してしまい、その結果、払拭中のワイパブレードが一時的に停止するような動きをするという問題点があった。
【0004】
【発明の目的】
この発明は、払拭中のワイパブレードが停止するような動きをすることがなく、円滑な作動を行うことができるワイパ装置を提供することを目的としている。
【0005】
【発明の構成】
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に係わるワイパ装置では、電流の供給により出力軸を正回転または逆回転するワイパモータと、ワイパモータの出力軸に一端部が結合されたモータアームと、モータアームの他端部に固定された枢軸と、枢軸の中心に対して偏芯した回動中心をもって回動可能に該枢軸に支持されている偏芯メタル部材と、偏芯メタル部材に球面対偶を介して回動可能に連結されたリテーナをもつリンク機構と、リンク機構に連結され、ワイパモータの正回転により払拭面上の第1、第2の反転位置の間を往復で払拭するとともに、ワイパモータの逆回転によりこの第1の反転位置より下方の格納位置まで移動されるワイパブレードと、モータアームの回転に伴いリテーナに対しては回動されずに該モータアームとの相対的な位置が徐々に変更されるように回動する偏芯メタル部材の回動範囲を規制する回動規制機構とを備えたワイパ装置であって、回動規制機構は、モータアームに固定された枢軸の周りの該モータアーム上に固定されたピンと、偏芯メタル部材に一体に形成され、該ピンが遊嵌される円弧状の切欠き形にされた回動範囲規制部とから構成され、回動範囲規制部の円弧状の切欠きの両端部の一方の端部には、ワイパブレードが第1または第2の反転位置に到達するとピンに衝突して偏芯メタル部材のモータアームとの相対的な回動を規制する第1のピン衝突部が形成されるとともに、該切欠の両端部の他方の端部には、ワイパブレードが格納位置に到達するとピンに衝突して偏芯メタル部材のモータアームとの相対的な回動を規制する第2のピン衝突部が形成され、ワイパブレードが第1または第2の反転位置での反転直後に、ピンに衝突している第1のピン衝突部が形成された回動範囲規制部を一体に有する偏芯メタル部材を、リンク機構からかけられたリンク荷重により第2のピン衝突部がピンに近づく位置まで瞬間的に自ら回動させ、該偏芯メタル部材をリテーナに対して相対的に回動させた構成としたことを特徴としている。
【0007】
この発明の請求項2に係るワイパ装置では、請求項1の構成に加え、偏芯メタル部材は、ワイパブレードが第1,第2の反転位置の間を往復移動する際に、回動範囲規制部の一方の端部に形成した第1のピン衝突部がピンに衝突することにより、モータアームとリテーナとのアームピッチが最短に設定される構成としたことを特徴としている。
【0008】
この発明の請求項3に係るワイパ装置では、請求項1または2の構成に加え、偏芯メタル部材は、ワイパブレードが格納位置から作動を開始するとき、および、格納位置で作動を停止するときに、回動範囲規制部の他方の端部に形成した第2のピン衝突部がピンに衝突することにより、モータアームとリテーナとのアームピッチが最長に設定される構成としたことを特徴としている。
【0009】
【発明の作用】
この発明に係わるワイパ装置において、偏芯メタル部材は、ワイパブレードの第1または第2の反転位置での反転直後にリンク機構からリンク荷重がかけられると、リテーナに対し瞬間的に自ら回動される。それ故、ワイパブレードが第1の反転位置や第2の反転位置で反転した後の払拭面上を払拭中の位置では、偏芯メタル部材はリテーナに対して既に回動し終わっているので、該払拭中の位置では、偏芯メタル部材がリテーナに対して相対的に回動することはなく、払拭中のワイパブレードが一時的に停止するような動きをする原因にならない。
【0010】
【発明の実施の形態】
【0011】
【実施例】
図1ないし図7には、この発明に係わるワイパ装置の一実施例が示されている。図示するワイパ装置1は、主として、ワイパモータ2、モータアーム3、枢軸4、偏芯メタル部材5、回動規制機構6、リンク機構7、第1,第2のワイパアーム8,9、第1,第2のワイパブレード10,11から構成されている。回動規制機構6は、ピン12、回動範囲規制部13からなる。リンク機構7は、第1のリンクコンロッド14、第1のピボットアーム15、第2のリンクコンロッド16、第2のピボットアーム17からなる。
【0012】
ワイパモータ2には、通電により回転する出力軸2aが備えられているとともに図示しないワイパ格納回路が内蔵されている。ワイパモータ2は、図示しないワイパ制御回路に電気的に接続されているため、ワイパ制御回路のワイパスイッチがオンされることにより出力軸2aが正回転する。ワイパ格納回路は、出力軸2aに結合された図示しない位置スイッチにより、第1,第2のワイパブレード10,11が払拭面50上の停止位置兼用の第1の反転位置A、第2の反転位置B、格納位置Cにあることをそれぞれ電気的に検出し、第1,第2のワイパブレード10,11が第1の反転位置Aと第2の反転位置Bとの間にそれぞれあるときにワイパ制御回路のワイパスイッチがオフされた際、第1,第2のワイパブレード10,11が第2の反転位置Bにそれぞれ到達するまでは、出力軸2aを正回転させるための電流を供給し、第1,第2のワイパブレード10,11が第2の反転位置Bにそれぞれ到達したら、第1,第2のワイパブレード10,11が第1の反転位置Aの下方の格納位置Cにそれぞれ到達するまで、出力軸2aを逆回転させるための電流を供給し、第1,第2のワイパブレード10,11が格納位置Cにそれぞれ到達したところで電流の供給をカットオフする。
【0013】
モータアーム3には、図2に示されるように、板形にされたモータアーム本体3aが備えられている。モータアーム本体3aの基端の中央部には、丸孔形の出力軸取付孔3bが形成されている。モータアーム本体3aの先端の中央部には、丸孔形の枢軸取付孔3cが形成されている。枢軸取付孔3cの外側には、回動規制機構6の一部を構成するピン12がモータアーム本体3aに一体的に突出形成されている。出力軸取付孔3bは、ワイパモータ2の出力軸2aに通されてから、図示しないナットがその出力軸2aにねじ込まれることにより出力軸2aに固定されている。枢軸取付孔3cには、枢軸4に備えられたモータアーム固定部4aが圧入固定されている。
【0014】
偏芯メタル部材5には、図2に示されるように、球体の上下を切除した樽形状の偏芯メタル部材本体5aが備えられている。偏芯メタル部材本体5aには、図3(a)に示されるように、偏芯メタル部材本体5aの外形中心5a0に対し距離L1だけ離れた位置に孔中心5b0をもつ枢軸孔5bが形成されている。枢軸孔5bは、偏芯メタル部材本体5aの上下に貫通している。枢軸孔5bには、枢軸4が挿通されている。偏芯メタル部材本体5aのモータアーム3側の底部には、回動規制機構6の他の一部を構成する回動範囲規制部13が一体に形成されている。この回動範囲規制部13は、円弧状の切欠き形にされ、ピン12を遊嵌しており、両端部に形成された第1,第2のピン衝突部13a,13bにピン12が衝突する150度の範囲でもって、モータアーム3に対する偏芯メタル部材5の相対的な偏芯回動を許容する。つまり、回動範囲規制部13の第1のピン衝突部13aがピン12に衝突している図3(a)の状態では、モータアーム3上において、出力軸取付孔3bの孔中心3b0から偏芯メタル部材5の外形中心5a0までが、最も短いアームピッチを設定するための長さ寸法L2にされており、これに反して、回動範囲規制部13の第2のピン衝突部13bがピン12に衝突している図3(b)の状態では、モータアーム3上において、出力軸取付孔3bの孔中心3b0から偏芯メタル部材5の外形中心5a0までが、最も長いアームピッチを設定するための長さ寸法L3にされる。
【0015】
偏芯メタル部材5(偏芯メタル部材本体5a)には、第1のリンクコンロッド14の一端部に取付けられたリテーナとしての第1のボールリテーナ18が球面対偶を介して回動可能に連結されているため、偏芯メタル部材5は、枢軸4に自由に回動可能に支持され、且つ、偏芯によるモーメントが偏芯メタル部材5を保持するフリクションによるモーメントよりも小さくなっている。偏芯メタル部材5は、上記のモーメントにより、モータアーム3が回転する際に与えられるモーメントと、第1のリンクコンロッド14より与えられるモーメントとにより偏芯回動することによって、上記のアームピッチの変更を行って、モータアーム3と第1のリンクコンロッド14とのレバー比を変更する。
【0016】
第1のリンクコンロッド14の一端部には、第1のボールリテーナ18が配置され、他端部には、第2のボールリテーナ19が取付けられている。第2のボールリテーナ19には、第1のピボットアーム15の先端部寄りに設けられた図示しない第1のボールピンが球面対偶を介して結合されている。第1のピボットアーム15の基端部には、図示しない第1のピボット軸が結合され、その先端部には、図示しない第2のボールピンが設けられている。第1のピボット軸は、ウインドスクリーン60の下方に突出して配置され、第2のワイパアーム9の基端部がねじ止めされている。第2のワイパアーム9の先端部には、第2のワイパブレード11が装着されている。第2のワイパブレード11は、第2のワイパアーム9に内蔵された図示しないアームスプリングによってウインドスクリーン60上の払拭面50に押し付けられる。
【0017】
第1のピボットアーム15の先端部に設けられた図示しない第2のボールピンには、第2のリンクコンロッド16の一端部に取付けられた第3のボールリテーナ20が球面対偶を介して結合されている。第2のリンクコンロッド16の一端部には、第3のボールリテーナ20が配置され、他端部には、第4のボールリテーナ21が取付けられている。第4のボールリテーナ21は、第2のピボットアーム17の先端部に設けられた図示しない第3のボールピンが球面対偶を介して結合されている。第2のピボットアーム17の基端部には、図示しない第2のピボット軸が結合されている。第2のピボット軸は、ウインドスクリーン60の下方に突出して配置され、第1のワイパアーム8の基端部がねじ止めされている。第1のワイパアーム8の先端部には、第1のワイパブレード10が装着されている。第1のワイパブレード10は、第1のワイパアーム8に内蔵された図示しないアームスプリングによってウインドスクリーン60上の払拭面50に押し付けられる。
【0018】
第1,第2のリンクコンロッド14,16は、モータアーム3の回転動力を第1,第2のピボットアーム15,17の往復回動にそれぞれ変換するため、第1,第2のワイパアーム8,9がウインドスクリーン60上を往復で揺動され、第1,第2のワイパブレード10,11によってウインドスクリーン60上の払拭面50が拭われる。
【0019】
このようなワイパ装置1では、第1,第2のワイパブレード10,11が格納位置Cにある不使用時に、図4(a)に示されるように、モータアーム3は、位置a1にあり、偏芯メタル部材5の回動範囲規制部13の第2のピン衝突部13bがピン12に衝突して回動を規制されているので、モータアーム3上において、最も長いアームピッチが設定されている。
【0020】
ワイパ制御回路のワイパスイッチがオンされると、ワイパモータ2の出力軸2a、モータアーム3が図4(a)に示される位置a1から矢印の時計回転方向に正回転を始め、第1,第2のワイパブレード10,11が格納位置Cから第1の反転位置Aを通って第2の反転位置Bに向け往動を開始する。モータアーム3が、図4(b)に示される位置a2、図4(c)に示される位置a3、図4(d)に示される位置a4、図4(e)に示される位置a5、図4(f)に示される位置a6まで回動することによって、第1,第2のワイパブレード10,11が第2の反転位置Bに到達するまでの間、偏芯メタル部材5は、回動範囲規制部13の第1のピン衝突部13aがピン12に衝突するまで、第1のボールリテーナ18に保持されたままで第1のボールリテーナ18に対して回動されずにモータアーム3との相対的な位置が徐々に変更され、モータアーム3が図4(f)に示される位置a6に到達することによって第1,第2のワイパブレード10,11が第2の反転位置Bに到達したところで、モータアーム3上において、最も短いアームピッチに設定変更される。
【0021】
モータアーム3が、図4(f)に示される位置a6から、図5(g)に示される位置a7、図5(h)に示される位置a8、図5(i)に示される位置a9、図5(j)に示される位置a10、図5(k)に示される位置a11、図5(m)に示される位置a12、図6(n)に示される位置a13まで引続き時計回転方向に正回転することによって、第1,第2のワイパブレード10,11が第2の反転位置Bで反転して第1の反転位置Aまで復動を行う。このとき、第1,第2のワイパブレード10,11が第2の反転位置Bを離れようとするときであるモータアーム3が図4(f)に示される位置a6から図5(g)に示される位置a7まで回転するとき、即ち、第2の反転位置Bでの反転直後に偏芯メタル部材5に、第1のリンクコンロッド14からのリンク荷重が第1のボールリテーナ18を介してかけられているが、この偏芯メタル部材5に一体に有する回動範囲規制部13の第1のピン衝突部13aがピン12に衝突しているため、該偏芯メタル部材5は、第1のボールリテーナ(リテーナ)18に対して瞬間的に自ら回動し、図5(g)に示されるように、回動範囲規制部13の第2のピン衝突部13bがピン12に近づく位置まで図中時計回転方向に瞬間的に回動される。円弧状の切欠き形にされた回動範囲規制部13の第1のピン衝突部13aがピン12から離れ、第2のピン衝突部13bが該ピン12に近づくまでの間、第1,第2のワイパブレード10,11は、第2の反転位置Bにおいて停止したままとなるが、第1の反転位置Aに向けて払拭動を始めてからの途中ではないので、払拭中の第1,第2のワイパブレード10,11が一時的に停止するような動きにならない。モータアーム3が、図5(h)に示される位置a8、図5(i)に示される位置a9、図5(j)に示される位置a10、図5(k)に示される位置a11、図5(m)に示される位置a12、図6(n)に示される位置a13まで引続き時計回転方向に正回転する際、偏芯メタル部材5は、モータアーム3との相対的な位置が徐々に変更されるように図中時計回転方向に徐々に回動され、回動範囲規制部13の第1のピン衝突部13aがピン12に衝突することにより回動が規制される。
【0022】
第1,第2のワイパブレード10,11が第1の反転位置Aに到達してからも、モータアーム3は、図中時計回転方向に回転を続けるため、図6(n)に示される位置a13から、図6(p)に示される位置a14、図6(q)に示される位置a15、図6(r)に示される位置a16、図6(s)に示される位置a17、図6(t)に示される位置a18、図6(u)に示される位置a6まで回動することによって、第1,第2のワイパブレード10,11が第1の反転位置Aで反転して第2の反転位置Bまで往動を行う。このとき、第1,第2のワイパブレード10,11が第1の反転位置Aを離れようとするときであるモータアーム3が図6(n)に示される位置a13から図6(p)に示される位置a14まで回転するとき、即ち、第1の反転位置Aでの反転直後に偏芯メタル部材5に、第1のリンクコンロッド14からのリンク荷重が第1のボールリテーナ18を介してかけられているが、この偏芯メタル部材5に一体に有する回動範囲規制部13の第1のピン衝突部13aがピン12に衝突しているため、該偏芯メタル部材5は、第1のボールリテーナ(リテーナ)18に対して瞬間的に自ら回動し、図6(p)に示されるように、回動範囲規制部13の第2のピン衝突部13bがピン12に近づく位置まで図中時計回転方向に瞬間的に回動される。回動範囲規制部13の第1のピン衝突部13aがピン12から離れ、第2のピン衝突部13bが該ピン12に近づくまでの間、第1,第2のワイパブレード10,11は、第1の反転位置Aにおいて停止したままとなるが、第2の反転位置Bに向けて払拭動を始めてからの途中ではないので、払拭中の第1,第2のワイパブレード10,11が一時的に停止するような動きにならない。モータアーム3が、図6(q)に示される位置a15、図6(r)に示される位置a16、図6(s)に示される位置a17、図6(t)に示される位置a18、図6(u)に示される位置a6まで引続き時計回転方向に正回転する際、偏芯メタル部材5は、モータアーム3との相対的な位置が徐々に変更されるように図中時計回転方向に徐々に回動され、回動範囲規制部13の第1のピン衝突部13aがピン12に衝突することにより回動が規制される。モータアーム3は、さらに回動を続けるため、第1,第2のワイパブレード10,11が第1の反転位置Aで反転され、上記と同様にして、第1,第2の反転位置A,B間を繰り返し払拭作動される。この間、偏芯メタル部材5は、モータアーム3上において、最も短いアームピッチに設定されたままとなる。
【0023】
第1,第2のワイパブレード10,11により払拭面50を拭っている途中において、ワイパスイッチがオフされると、第1,第2のワイパブレード10,11が第2の反転位置Bに到達するまでは、ワイパ格納回路によりワイパモータ2に出力軸2aを正回転させるための電流が供給され、第1,第2のワイパブレード10,11が第2の反転位置Bに到達したところで、ワイパモータ2の出力軸2aが逆回転されてモータアーム3が逆回転を始める。すると、モータアーム3は、図7(v)に示される位置a6、図7(w)に示される位置a4、図7(x)に示される位置a3、図7(y)に示される位置a2、図7(z)に示される位置a1まで図中反時計回転方向に回転され、第1,第2のワイパブレード10,11が第2の反転位置Bから第1の反転位置Aを通って格納位置Cに向け移動される。モータアーム3が、図7(v)に示される位置a6から図7(z)に示される位置a1まで回動する際、偏芯メタル部材5は、回動範囲規制部13の第1のピン衝突部13bがピン12に衝突するまで、第1のボールリテーナ18に保持されたままで第1のボールリテーナ18に対して相対的な回動をせずにモータアーム3との相対的な位置が変更されるように回動され、モータアーム3上において、最も長いアームピッチに設定変更される。そして、モータアーム3が図7(z)に示される位置a1まで回動されることによって、第1、第2のワイパブレード10,11が格納位置Cにそれぞれ到達したところで、ワイパ制御回路によりワイパモータ2に対する電流の供給がカットオフされ、第1,第2のワイパブレード10,11が格納位置Cにて停止する。
【0024】
上述したように、偏芯メタル部材5は、第1,第2のワイパブレード10,11の第1,第2の反転位置A,Bでの反転と同時的にリンク機構7からリンク荷重がかけられると、第1のボールリテーナ18に対し150度の回動範囲でもって自ら回動される。それ故、第1,第2のワイパブレード10,11が第1の反転位置Aや第2の反転位置Bで反転した後の払拭面50上を払拭中の位置では、偏芯メタル部材5は第1のボールリテーナ18に対して既に回動し終わっているので、該払拭中の位置では、偏芯メタル部材5がリテーナ18に対して相対的に回動することはなく、払拭中の第1,第2のワイパブレード10,11が一時的に停止するような動きをする原因にならないものとなる。
【0025】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明に係わるワイパ装置によれば、偏芯メタル部材は、ワイパブレードの第1、第2の反転位置での反転直後にリンク機構からリンク荷重がかけられると、リテーナに対し瞬間的に自ら回動される。それ故、ワイパブレードが第1の反転位置や第2の反転位置で反転した後に払拭面上を払拭中の位置では、偏芯メタル部材はリテーナに対して既に回動し終わっているので、該払拭中の位置では、偏芯メタル部材がリテーナに対して相対的に回動することはなく、払拭中のワイパブレードが一時的に停止するような動きをする原因にならない。よって、払拭中のワイパブレードが停止するような動きをすることがなく、円滑な作動を行うことができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係わるワイパ装置の一実施例の正面図である。
【図2】図1に示したワイパ装置においての偏芯メタル部材のモータアームとの組付け関係を説明する外観斜視図である。
【図3】(a)は図1に示したワイパ装置においての偏芯メタル部材とモータアームとの位置関係を説明する最短位置での正面図、(b)は(a)の最長位置での正面図である。
【図4】(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)は図1に示したワイパ装置においてのワイパブレードが格納位置から作動を開始する際のモータアームの位置に対応した偏芯メタル部材の動きを説明するそれぞれ正面図である。
【図5】(g)、(h)、(i)、(j)、(k)、(m)は図1に示したワイパ装置においてのワイパブレードの通常動作時でのモータアームの位置に対応した偏芯メタル部材の動きを説明するそれぞれ正面図である。
【図6】(n)、(p)、(q)、(r)、(s)、(t)、(u)は図1に示したワイパ装置においてのワイパブレードの通常動作時でのモータアームの位置に対応した偏芯メタル部材の動きを説明するそれぞれ正面図である。
【図7】(v)、(w)、(x)、(y)、(z)は図1に示したワイパ装置においてのワイパブレードが格納位置で停止する際のモータアームの位置に対応した偏芯メタル部材の動きを説明するそれぞれ正面図である。
【符号の説明】
1 ワイパ装置
2 ワイパモータ
2a 出力軸
3 モータアーム
4 枢軸
5 偏芯メタル部材
6 回動規制機構
7 リンク機構
10 (ワイパブレード)第1のワイパブレード
11 (ワイパブレード)第2のワイパブレード
12 ピン
13 回動範囲規制部
13a 第1のピン衝突部
13b 第2のピン衝突部
18 (リテーナ)第1のボールリテーナ
50 払拭面
A 第1の反転位置
B 第2の反転位置
C 格納位置
Claims (3)
- 電流の供給により出力軸を正回転または逆回転するワイパモータと、
前記ワイパモータの出力軸に一端部が結合されたモータアームと、
前記モータアームの他端部に固定された枢軸と、
前記枢軸の中心に対して偏芯した回動中心をもって回動可能に該枢軸に支持されている偏芯メタル部材と、
前記偏芯メタル部材に球面対偶を介して回動可能に連結されたリテーナをもつリンク機構と、
前記リンク機構に連結され、前記ワイパモータの正回転により払拭面上の第1、第2の反転位置の間を往復で払拭するとともに、前記ワイパモータの逆回転によりこの第1の反転位置より下方の格納位置まで移動されるワイパブレードと、
前記モータアームの回転に伴い前記リテーナに対しては回動されずに該モータアームとの相対的な位置が徐々に変更されるように回動する前記偏芯メタル部材の回動範囲を規制する回動規制機構とを備えたワイパ装置であって、
前記回動規制機構は、前記モータアームに固定された前記枢軸の周りの該モータアーム上に固定されたピンと、前記偏芯メタル部材に一体に形成され、該ピンが遊嵌される円弧状の切欠き形にされた回動範囲規制部とから構成され、
前記回動範囲規制部の円弧状の切欠きの両端部の一方の端部には、前記ワイパブレードが第1または第2の反転位置に到達すると前記ピンに衝突して前記偏芯メタル部材の前記モータアームとの相対的な回動を規制する第1のピン衝突部が形成されるとともに、該切欠の両端部の他方の端部には、前記ワイパブレードが格納位置に到達すると前記ピンに衝突して前記偏芯メタル部材の前記モータアームとの相対的な回動を規制する第2のピン衝突部が形成され、
前記ワイパブレードが第1または第2の反転位置での反転直後に、前記ピンに衝突している第1のピン衝突部が形成された前記回動範囲規制部を一体に有する前記偏芯メタル部材を、前記リンク機構からかけられたリンク荷重により第2のピン衝突部が前記ピンに近づく位置まで瞬間的に自ら回動させ、該偏芯メタル部材を前記リテーナに対して相対的に回動させたことを特徴とするワイパ装置。 - 偏芯メタル部材は、ワイパブレードが第1,第2の反転位置の間を往復移動する際に、回動範囲規制部の一方の端部に形成した第1のピン衝突部がピンに衝突することにより、モータアームとリテーナとのアームピッチが最短に設定されることを特徴とする請求項1に記載のワイパ装置。
- 偏芯メタル部材は、ワイパブレードが格納位置から作動を開始するとき、および、格納位置で作動を停止するときに、回動範囲規制部の他方の端部に形成した第2のピン衝突部がピンに衝突することにより、モータアームとリテーナとのアームピッチが最長に設定されることを特徴とする請求項1または2に記載のワイパ装置。
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