JP4124834B2 - 光学活性ジヒドロスフィンゴシン誘導体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は医薬品や化粧品の有効成分の合成中間体として有用な光学活性ジヒドロスフィンゴシン誘導体を有利に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明の製造方法により得られる式(4)
【化11】
(式中、R3 は炭素数7〜21の直鎖アルキル基を示し、R4 はアミノ基の保護基を示す。)
で表される光学活性ジヒドロスフィンゴシン誘導体から、アミノ基の保護基を脱離させた光学活性ジヒドロスフィンゴシン類は、たとえば皮膚外用剤の成分として利用されることが知られている(特開平5−85924号公報)。また、角質層保湿作用を有するセラミド類や、種々の生理活性を有するセレブロシドおよびガングリオシドの化学構造の重要な構成成分であることが知られている。
【0003】
従来より、光学活性ジヒドロスフィンゴシン類は、次の(A)〜(C)の方法によって製造されていた。
(A)ラセミ体のジヒドロスフィンゴシン類を光学分割する方法。
(B)光学活性な天然物を原料とする方法。
(C)不斉合成による方法。
【0004】
(A)の方法は、目的とする光学活性体と同量の不要な鏡像体が生じるため、無駄の多い方法である。
(B)の方法としては、たとえば光学活性なアミノ糖を原料とし、ウィッティッヒ反応を経て製造する方法が報告されている(E.J.Reist ら、J.Org.Chem., Vol.35, p.3521 (1970))が、ウィッティッヒ反応での収率が30%と低いうえに工程数が多く実用的ではない。また、L−セリンを原料とし、長鎖アルキンを付加後還元する方法が報告されている(T.Hinoら、Chem.Lett., p.1407 (1990) )が、目的とするエリトロ形の選択性が90%と低いうえに、原料のL−セリンが高価であるため、工業化には不向きである。
【0005】
(C)の方法としては、パルミチルアルデヒドからホルナー−エモンス反応により(2E)−オクタデカン−2−エン−1−オールを得、次いでtert−ブチルヒドロペルオキシドを用いた不斉エポキシ化反応により光学活性なエポキシドを得、これを水素化ナトリウムと反応させてオキサゾリジノン誘導体を得、これを開環して炭素数18の光学活性ジヒドロスフィンゴシンを製造する方法が報告されている(W.R.Roush ら、J.Org.Chem., Vol.50, p.3752-3757 (1985) )が、高い光学純度のエポキシドを得るためには高純度の(2E)−オクタデカン−2−エン−1−オールが必要であり、また、取扱いが困難な、爆発性試薬であるtert−ブチルヒドロペルオキシドのような過酸を大量に使用しなければならなかった。
【0006】
また、ラセミ体のジヒドロスフィンゴシン類の場合は、たとえば、トランス−2−オクタデセン酸メチルをクロロホルム中で過安息香酸と反応させて、本発明の式(5)で表される化合物と同一の平面構造を有する式(5′)
【化12】
で表される2,3−エポキシオクタデカン酸メチルを得、次いで加水分解後、ベンジルアミンと反応させて開環し2−ベンジルアミノ−3−ヒドロキシオクタデカン酸を得(開環反応の収率:68%)、再度メチルエステルとしてからエーテル溶媒中で水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)で還元する(還元反応の収率:71%)方法が報告されている(K.Sisidoら、J.Org.Chem., Vol.29, No.9, p.2783-2784 (1964) )。
【0007】
この方法のように、従来より、2−ベンジルアミノ−3−ヒドロキシオクタデカン酸のようなカルボン酸をアルコールまで還元する場合には、カルボン酸をエステル化した後、還元剤としてLiAlH4を用いるのが一般的である。しかし、LiAlH4は、高価で、しかも、空気中の水分と反応してしまうため取扱いが困難であるため、工業化には不向きな試薬である。
【0008】
本発明の化合物(3)と類似の構造を有する2−アミノ−3−ヒドロキシ−4−オクタデセン酸エチルをアルコールまで還元する場合に、LiAlH4より安価なテトラヒドロホウ酸ナトリウム(NaBH4)を用いた例も報告されている(A.S.Cavallo ら、J.Org.Chem., Vol.59, No.11, p.3240-3242 (1994))。しかし、この場合は、反応時間が4日間と長く、また、LiAlH4の例と同様にカルボン酸をエステル化してから還元しているため工程数が多く、収率が低下する恐れがあった。
【0009】
尚、L−バリン、L−メチオニン等のアミノ酸や、ヒドロキシプロリン誘導体のようなアミノ酸誘導体を、カルボキシル基をエステル化することなく、NaBH4とルイス酸触媒(三フッ化ホウ素・エーテル錯塩)を用いてボランを発生させて還元を行い、対応するアミノアルコールを得る方法が報告されている(A.Abikoら、Tetrahedron Lett., Vol.33. No.38, p.5517-5518 (1992)およびT.F.Braishら、J.Org.Chem., Vol.55, p.1684-1687)が、本発明の出発化合物である2−アミノ−3−ヒドロキシアルカン酸(3)のように、アミノ基が置換した炭素原子と水酸基が置換した炭素原子が隣接し、かつ、炭素数が10以上で、鎖状の構造を有するアルカン酸を、エステル化することなくNaBH4 で還元した例は、報告されていない。
【0010】
以上のように、種々の方法で光学活性ジヒドロスフィンゴシン類の製造が試みられていたが、光学純度、ならびに、試薬の取扱いの困難性や工程数の多さなど、大量生産を行う工業化への適性において、いずれも充分満足できるものではなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明は、高い光学純度で、かつ、工業化に適する安全かつ簡単な方法で、光学活性ジヒドロスフィンゴシン類の製造を可能にする、光学活性ジヒドロスフィンゴシン誘導体の製造方法を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、炭素数10〜24の(2R,3R)−2−アミノ−3−ヒドロキシアルカン酸のアミノ基に保護基が置換した誘導体を出発化合物とし、このカルボン酸を一段階で還元して対応するアルコールである光学活性ジヒドロスフィンゴシン誘導体へと導く方法を検討した。その結果、酸の存在下、特定の相間移動触媒を添加してテトラヒドロホウ酸ナトリウム(NaBH4)で還元すれば、カルボン酸をエステル化することなく、一段階でアルコールまで導くことができることを見いだし、本発明を完成した。
【0014】
(a)式(3)
【化15】
(式中、R3 は炭素数7〜21の直鎖アルキル基を示し、R4 はアミノ基の保護基を示す。)で表される(2R,3R)−2−アミノ−3−ヒドロキシアルカン酸誘導体を、酸の存在下、NaBH4で還元する際に、相間移動触媒として、塩化メチルトリ−n−オクチルアンモニウムを添加することを特徴とする式(4)
【化16】
(式中、R3 およびR4 は前記と同じ意味を有する。)で表される光学活性ジヒドロスフィンゴシン誘導体の製造方法、および
【0015】
(b)式(5)
【化17】
(式中、R3 は炭素数7〜21の直鎖アルキル基を示し、R5 は水素原子または炭素数1〜4の低級アルキル基を示す。)で表される(2S,3R)−2,3−エポキシアルカン酸またはそのエステルを、エステルの場合は加水分解を行いアルカン酸誘導体に変換させてから、式(6)
【化18】
R4 NH2 (6)
(式中、R4 はアミノ基の保護基を示す。)で表される第一級アミンと反応させて前記式(3)で表される(2R,3R)−2−アミノ−3−ヒドロキシアルカン酸誘導体とし、これを酸の存在下、NaBH4で還元する際に、相間移動触媒として、塩化メチルトリ−n−オクチルアンモニウムを添加することを特徴とする前記式(4)で表される光学活性ジヒドロスフィンゴシン誘導体の製造方法を提供するものである。
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。式(3)中、R3 で表される炭素数7〜21の直鎖アルキル基としては、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、n−ヘンエイコシル基が挙げられる。中でも、最も幅広く医薬品や化粧品の有効成分の合成中間体として用いられるジヒドロスフィンゴシン誘導体の原料となるのは、R3 がn−トリデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘプタデシル基の化合物である。
【0022】
式(3)中、R4 で表されるアミノ基の保護基は、アミノ基の保護基として通常用いられるものであれば特に限定されないが、好ましい例としては、置換基を有していてもよいベンジル基を挙げることができ、具体的には、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、3,4−メチレンジオキシベンジル基等を挙げることができる。
【0023】
以下、(a)の方法を例にとり、出発化合物の合成方法から順を追って説明する。
【0024】
出発化合物である(2R,3R)−2−アミノ−3−ヒドロキシアルカン酸誘導体(3)は、たとえば(b)の方法に従い、(2S,3R)−2,3−エポキシアルカン酸またはそのエステル(5)を、エステルの場合は加水分解を行いアルカン酸に変換させてから、第一級アミン(6)と反応させて、エポキシドを開環し2位を優先的にアミノ化することによって得ることができる。
【0025】
(2R,3R)−2−アミノ−3−ヒドロキシアルカン酸誘導体(3)は、それと同一の平面構造で表されるラセミ体は従来合成された公知の化合物であるが、特定の立体配置を有する光学活性な化合物としては新規な化合物であり、(b)の方法に従って、本発明者らによって初めて合成されたものである。
【0026】
(b)の方法の出発化合物である(2S,3R)−2,3−エポキシアルカン酸またはそのエステル(5)において、R5 で表される炭素数1〜4の低級アルキル基とは、炭素数1〜4の直鎖または分枝鎖アルキル基を意味し、具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等を挙げることができ、中でも、メチル基が特に好ましい。
【0027】
(2S,3R)−2,3−エポキシアルカン酸またはそのエステル(5)と同一の平面構造で表されるラセミ体は従来合成された公知の化合物である。また、式(5)中、R3 で表される炭素数7〜21の直鎖アルキル基の代わりにメチル基が置換した化合物については、式(5)と同様の特定の立体配置を有する光学活性な化合物が公知である(E.J.Coreyら、Tetrahedron Lett., Vol.33, No.45, p.6735-6738 (1992))。しかし、メチル基よりもかなり長い炭素鎖を有する(2S,3R)−2,3−エポキシアルカン酸またはそのエステル(5)は、新規な化合物であり、本発明者らによって初めて合成されたものである。
【0028】
この化合物(5)は、本発明(b)の光学活性ジヒドロスフィンゴシン誘導体の製造方法の出発化合物として用いることができるほか、常法に従い還元剤を用いてエステル部分を還元すれば(2R,3R)−2,3−エポキシアルカノールを得ることができ、このものも、たとえば J.Michael Chongら、J.Org.chem., Vol.50, p.1560-1563 (1985) に記載の方法により開環して光学活性ジヒドロスフィンゴシン誘導体へと導くことができる有用な化合物である。
【0029】
化合物(5)のエステル部分を還元する具体的な方法としては、たとえば、還元剤として NaBH4を用い、テトラヒドロフラン中で還流する方法を採用すれば、高収率で(2R,3R)−2,3−エポキシアルカノールを得ることができる(後述の参考例1参照)。
【0030】
【発明の実施の形態】
(b)の製造方法の出発化合物である(2S,3R)−2,3−エポキシアルカン酸またはそのエステル(5)は、たとえば、特開平5−1000号公報に記載された(2S,3R)−2,3−エポキシ−4−シクロヘキシル酪酸エステルの製造法を応用すれば、容易に得ることができる。以下にその反応式を示す。
【0031】
【化19】
(式中、R3 は前記と同じ意味を有し、R6 は低級アルキル基を示し、X1 はハロゲン原子を示す。)
【0032】
すなわち、2−ハロ−3−オキソアルカン酸エステル(7)を、ルテニウム−光学活性ホスフィン錯体を触媒として不斉水素化し、得られた(3R)−2−ハロ−3−ヒドロキシアルカン酸エステル(8)を、塩基でエポキシ化すれば、(2S,3R)−2,3−エポキシアルカン酸エステル(5−I)(=式(5)においてR5 が炭素数1〜4の低級アルキル基である化合物)を得ることができる。さらに加水分解を行えば、(2S,3R)−2,3−エポキシアルカン酸(5−II)(=式(5)においてR5 が水素原子である化合物)を得ることができる。
【0033】
式(7)中、X1 で表されるハロゲン原子は、塩素原子または臭素原子であることが好ましく、特に塩素原子が好ましい。また、式(7)中、R6 で表される低級アルキル基は、式(5)中のR5 が炭素数1〜4の低級アルキル基と同一であり、すなわち炭素数1〜4の直鎖または分枝鎖アルキル基を意味し、具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等を挙げることができ、中でも、メチル基が特に好ましい。
【0034】
2−ハロ−3−オキソアルカン酸エステル(7)は、3−オキソアルカン酸エステルを、公知の方法に従いハロゲン化することにより得ることができる。たとえば、特開昭63−101387号公報に記載されているように、3−オキソアルカン酸エステルをトルエンや酢酸エチル等の有機溶媒に溶解し、これに、約0〜5℃の温度で、ハロゲン分子、ハロゲン化スルフリル(たとえば塩化スルフリル)またはN−ハロゲン化合物(たとえばN−クロロコハク酸イミドなど)のようなハロゲン化試薬を約同当量加え、次いで室温で約12〜24時間、好ましくは一晩攪拌して反応させればよい。
【0035】
尚、2−ハロ−3−オキソアルカン酸エステル(7)の合成原料の3−オキソアルカン酸エステルは市販品または合成品を用いる。合成する場合は、公知の方法に従い、たとえば、アセト酢酸エステルに、その約1〜1.1倍モルの所望の炭素鎖を有する塩化アシルを、テトラヒドロフランのような適当な溶媒中で反応させ、次いで脱アシル化反応を行えばよい。
【0036】
2−ハロ−3−オキソアルカン酸エステル(7)を不斉水素化するための触媒としては、ルテニウム−光学活性ホスフィン錯体を用いる。好ましく用いられるルテニウム−光学活性ホスフィン錯体としては、たとえば式(9)および式(10)で表される錯体が挙げられる。
【0037】
【化20】
Rua H b (X2)c [(+)-R7-BINAP]2(T)d (9)
(式中、R7-BINAP は式(11)
【化21】
で表される第三級ホスフィンを示し、R7 は水素原子、メチル基、tert−ブチル基またはメトキシ基を示し、X2 はハロゲン原子を示し、Tは第三級アミンを示し、bは0または1を示し、bが0のとき、aは2、cは4、dは1を示し、bが1のとき、aは1、cは1、dは0を示す)
【0038】
【化22】
{RuX3(Q)[(+)-R7-BINAP] }X4 (10)
(式中、R7-BINAP は前記と同じ意味を有し、X3 はハロゲン原子を示し、Qは置換基を有していてもよいベンゼンを示し、X4 はX3 と同一のハロゲン原子またはClO4 、PF6 、BF4 もしくはBPh4 を示し、Phはフェニル基を示す。)
【0039】
式(9)および式(10)中のR7-BINAP で表される第三級ホスフィンの具体例としては、次のものを挙げることができる。
ホスフィン1:
2,2′−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1′−ビナフチル(以下、単に「BINAP 」と略記する)
ホスフィン2:
2,2′−ビス(ジ−p−トリルホスフィノ)−1,1′−ビナフチル(以下「Tol-BINAP 」と略記)
ホスフィン3:
2,2′−ビス(ジ−p−tert−ブチルフェニルホスフィノ)−1,1´−ビナフチル(以下、「t-Bu-BINAP」と略記)
ホスフィン4:
2,2′−ビス(ジ−p−メトキシフェニルホスフィノ)−1,1′−ビナフチル(以下「Methoxy-BINAP 」)
【0040】
尚、これらの第三級ホスフィンは、いずれも(+)-体、(-)-体またはラセミ体が存在するが、(a)の光学活性ジヒドロスフィンゴシン誘導体の製造方法の出発化合物の原料化合物である、特定の立体配置を有する(3R)−2−ハロ−3−ヒドロキシアルカン酸エステル(8)を得るためには、(+)-体を用いる。尚、(-)-体を用いれば、(3S)−2−ハロ−3−ヒドロキシアルカン酸エステルが得られ、ラセミ体を用いれば、ラセミ体の2−ハロ−3−ヒドロキシアルカン酸エステルが得られる。
【0041】
これらの第三級ホスフィンは、特開昭61−63690号公報または特開平1−68386号公報に記載の方法によって調製することができる。
【0042】
前記式(9)で表されるルテニウム−光学活性ホスフィン錯体(以下、「錯体(9)」と略記する)は、例えば特開昭61−63690号公報または特開平1−68386号公報に記載の方法により得ることができる。すなわち、塩化ルテニウムとシクロオクタ−1,5−ジエン(以下、「COD 」と略記する)をエタノール溶媒中で反応させることにより得られる[Ru(X2)2(COD)]n (nは自然数を示す)と(+)-R7-BINAP を、Tで表される第三級アミンの存在下、トルエンまたはエタノール等の溶媒中で加熱反応させることにより製造される。Tで表される第三級アミンとしては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン、ジメチルアニリン、ピリジン、N−メチルピペリジン等が挙げられ、特にトリエチルアミンが好ましく用いられる。X2 で表されるハロゲン原子としては、塩素原子が好ましく用いられる。
【0043】
錯体(9)の具体例としては次のものを挙げることができる。
錯体1:Ru2Cl4[(+)-BINAP]2NEt3
(Etはエチル基を示す。以下同様)
錯体2:Ru2Cl4[(+)-Tol-BINAP]2NEt3
錯体3:Ru2Cl4[(+)-t-Bu-BINAP]2NEt3
錯体4:Ru2Cl4[(+)-Methoxy-BINAP]2NEt3
錯体5:RuHCl[(+)-BINAP]2
錯体6:RuHCl[(+)-Tol-BINAP]2
錯体7:RuHCl[(+)-t-Bu-BINAP]2
錯体8:RuHCl[(+)-Methoxy-BINAP]2
【0044】
前記式(10)で表されるルテニウム−光学活性ホスフィン錯体(以下、「錯体(10)」と略記する)は、例えば特開平2−191289号公報に記載の方法により得ることができる。すなわち、X4 がX3 と同一のハロゲン原子の場合は、[RuX3 2(Q)]2 (X3 およびQは前記と同じ意味を有する。)と(+)-R7-BINAP を適当な溶媒中反応させることにより製造される。X4 がClO4 、PF6 、BF4 またはBPh4 の場合は、得られた{RuX3(Q)[(+)-R7-BINAP] }X3にMX4'(MはNa、K、Li、MgおよびAgの金属を示し、X4'はClO4 、PF6 、BF4 またはBPh4 を示す。)で表される塩を反応させることにより製造される。
【0045】
Qで表される置換基を有してもよいベンゼンとは、ベンゼン、および、低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子等で置換されたベンゼンであり(ここで、「低級」とは、炭素数1〜4の直鎖または分枝鎖を意味する)、具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、ヘキサメチルベンゼン、エチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、p−シメン、クメン、アニソール、メチルアニソール、安息香酸メチルエステル、メチル安息香酸メチルエステル、クロロ安息香酸メチルエステル、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ブロモベンゼン、フルオロベンゼン等を挙げることができる。X3 およびX4 で表されるハロゲン原子とは、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子を意味する。
【0046】
錯体(10)の具体例としては次のものを挙げることができる。
錯体9:{RuCl(ベンゼン)[(+)-BINAP]}Cl
錯体10:{RuCl(ベンゼン)[(+)-Tol-BINAP]}Cl
錯体11:{RuBr(ベンゼン)[(+)-BINAP]}Br
錯体12:{RuI(p-シメン)[(+)-BINAP]}I
錯体13:{RuCl(安息香酸メチル)[(+)-BINAP]}Cl
錯体14:{RuCl(ベンゼン)[(+)-BINAP]}ClO4
錯体15:{RuCl(ベンゼン)[(+)-t-Bu-BINAP] }ClO4
錯体16:{RuCl(ベンゼン)[(+)-BINAP]}PF6
錯体17:{RuCl(ベンゼン)[(+)-BINAP]}BF4
錯体18:{RuCl(ベンゼン)[(+)-BINAP]}BPh4
【0047】
不斉水素化を実施するには、窒素置換した耐圧容器に、2−ハロ−3−オキソアルカン酸エステル(7)、ルテニウム−光学活性ホスフィン錯体および溶媒を入れ、水素雰囲気下で反応させる。触媒であるルテニウム−光学活性ホスフィン錯体の使用量は、化合物(7)に対し約0.0001〜0.01倍モル、好ましくは約0.0002〜0.005倍モルとする。0.0001モルより少ない量では触媒としての効果を充分奏さず、0.01モルより多い量では不経済となる。
【0048】
使用される溶媒は、通常の不斉水素化に使用される溶媒であればよい。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブタノールのようなアルコール類、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、アセトン等の有機溶媒を挙げることができる。溶媒の量は特に限定されないが、化合物(7)に対し容量比で約2〜10倍とするのが好ましい。
【0049】
反応温度は約0〜80℃、好ましくは約30〜50℃とし、水素圧は約10〜100atm 、好ましくは約30〜50atm で、約15〜30時間反応を行わせるとよい。反応後は、溶媒を留去し、精製することなく次の反応に用いてもよいが、たとえばシリカゲルカラムクロマトグラフィーや再結晶法等の常法によって精製してもよい。
【0050】
このようにして、高い光学純度で、目的とする(3R)−2−ハロ−3−ヒドロキシアルカン酸エステル(8)を得ることができる。(3R)−2−ハロ−3−ヒドロキシアルカン酸エステル(8)は、同一の平面構造で表されるラセミ体は従来合成された公知の化合物であるが、特定の立体配置を有する光学活性な化合物としては新規な化合物である。
【0051】
次いで、(3R)−2−ハロ−3−ヒドロキシアルカン酸エステル(8)をエポキシ化して(2S,3R)−2,3−エポキシアルカン酸エステル(5−I)を得るために使用される塩基としては、たとえばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムイソプロポキシド、ナトリウムブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムプロポキシド、カリウムイソプロポキシド、カリウムブトキシド、カリウムtert−ブトキシドのようなアルカリ金属アルコキシドや、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムのようなアルカリ金属塩等が挙げられる。中でも、ナトリウムメトキシドが好ましく用いられる。塩基の使用量は、化合物(8)に対し約1〜2倍モル、好ましくは約1.01〜1.10倍モルとする。
【0052】
エポキシ化反応で使用される溶媒は、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、アセトン等があげられ、その使用量は、特に限定されないが、化合物(8)に対し容量比で約5〜20倍とするのが好ましい。反応温度は、(3R)−2−ハロ−3−ヒドロキシアルカン酸エステル(8)の溶液に塩基の溶液を添加する際には約−20〜35℃、好ましくは約0〜20℃とし、その後室温に戻し、約1〜2時間反応させる。
【0053】
反応後は、たとえば反応溶媒を留去後、リン酸緩衝液等でpHを約8〜9に整え、酢酸エチル、イソプロピルエーテル、塩化メチレン、クロロホルム等の溶媒で抽出し、抽出溶媒を留去する。更にシリカゲルカラムクロマトグラフィーや再結晶法等の常法によって精製してもよい。
【0054】
得られた(2S,3R)−2,3−エポキシアルカン酸エステル(5−I)を(b)の方法でエポキシドを開環しアミノ化するためには、予め加水分解を行い(2S,3R)−2,3−エポキシアルカン酸(5−II)に変換させる。加水分解は、常法に従って行えばよく、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのような塩基を適量用い、溶媒としては、メタノール、エタノール等の極性溶媒を用い、室温または約30〜80℃で約1〜20時間反応させ、反応後、希塩酸等でpHを約5〜6に整え、酢酸エチルのような有機溶媒で抽出し、抽出溶媒を留去する。更にシリカゲルクロマトグラフィーや再結晶法等の常法によって精製してもよい。
【0055】
(2S,3R)−2,3−エポキシアルカン酸(5−II)を、第一級アミン(6)と反応させれば、(a)の光学活性ジヒドロスフィンゴシン誘導体の製造方法の出発化合物である(2R,3R)−2−アミノ−3−ヒドロキシアルカン酸誘導体(3)を得ることができる。
【0056】
第一級アミン(6)の種類は、目的とする化合物(3)のR4 で表されるアミノ基の保護基の種類に応じて決定するが、特に好ましくはベンジルアミンを用いるとよい。第一級アミン(6)の添加量は、化合物(5−II)に対し約1〜3倍モルとするのが好ましい。尚、第一級アミン(6)とともに、塩基を添加するとよい。塩基としては、水酸化ナトリウム水溶液が好ましく用いられる。
【0057】
また、反応を促進するために、さらに、相間移動触媒を添加してもよい。ここで用いられる相間移動触媒としては、後述する(2R,3R)−2−アミノ−3−ヒドロキシアルカン酸誘導体(3)の還元の際に添加することができるものと同一のものから選ばれる。相間移動触媒を添加する場合の添加量は、出発化合物である(2S,3R)−2,3−エポキシアルカン酸(5−II)の種類に応じて異なるが、出発化合物(5−II)1モルに対し通常約0.00001〜0.001モルの範囲とするとよい。特に、出発化合物(5−II)が反応溶媒に溶けにくい場合は、多めに添加するとよい。
【0058】
エポキシドの開環反応で使用される溶媒としては、水、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等があげられ、その使用量は、特に限定されないが、化合物(5−II)に対し容量比で約5〜10倍とするのが好ましい。反応温度は約0〜100℃、好ましくは、相間移動触媒を加える際には室温程度とし、第一級アミン(6)を加える際には約0〜5℃とし、その後、室温〜100℃で約1〜16時間撹拌または還流して反応させる。反応後は、適宜、希塩酸や希硫酸等でpHを約5〜6に整え、酢酸エチルやジイソプロピルエーテル等の有機溶媒で抽出後、乾燥して精製する。
【0059】
得られた(2R,3R)−2−アミノ−3−ヒドロキシアルカン酸誘導体(3)を酸の存在下、相間移動触媒を添加して、NaBH4 で還元すれば目的とする光学活性ジヒドロスフィンゴシン誘導体(4)を得ることができる。
【0060】
NaBH4 の使用量は、出発化合物(3)に対し通常約0.5〜4倍モルの範囲とするのがよく、更に好ましくは、約2.5〜3倍モルの範囲とするとよい。0.5倍モルより少ない量では還元剤としての効果を示さず、また4倍モルより多い量では、経済的に価値がない。
【0061】
反応に関与するボランを発生させるためには、酸の存在下でNaBH4 を用いる。ここで用いられる酸としては、塩酸、硫酸のような無機酸および三フッ化ホウ素・エーテル錯塩(BF3・O(C2H5)2)のようなルイス酸を挙げることができる。中でも、塩酸および硫酸は、安価であるため、好ましく用いられる。
【0062】
尚、ヨウ素、ヨウ化メチル、ジメチル硫酸、p−トルエンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸等の試薬の存在下でもボランを発生させることができるが、これらの試薬を用いた場合には、還元生成物を精製する際、分離が容易ではなく、あまり好ましくない。
【0063】
酸の添加量は、出発化合物(3)に対し、約1〜2倍モルの範囲とするとよい。また、反応終了後、添加した酸を中和するために、水酸化ナトリウム水溶液のような塩基を加える。塩基の添加量は、酸を中和するのに必要な量、すなわち、添加した酸と約同当量となるようにする。
【0064】
(a)の還元反応に使用される溶剤としては、反応に不活性な溶剤ならいずれも使用することができ、具体的には、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタンのようなエーテル類、メタノール、エタノールのようなアルコール類等の有機溶媒が挙げられるが、出発化合物(3)の種類に応じ、適宜選択するとよい。
【0065】
本発明においては、出発化合物(3)が前記有機溶媒に溶解しにくく、溶媒中で出発化合物が均一とならないため、還元反応が進みにくくなりやすいので、反応を促進するために、相間移動触媒を添加する。
【0066】
相間移動触媒としては、式(12)
【化23】
R8R9R10R11A + Z - (12)
(式中、R8 ,R9 ,R10およびR11は各々同一または異なる炭素数1〜20のアルキル基、アラルキル基またはアリール基を示し、A+ はアンモニウムイオンまたはホスホニウムイオンを示し、Z- はフッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、ヒドロキシイオンまたは過塩素酸イオンを示す。)
で表される触媒が好ましく用いられる。
【0067】
式(12)中、R8 ,R9 ,R10およびR11で表されるアルキル基とは、炭素数1〜20の直鎖または分枝鎖アルキル基である。アラルキル基とは、直鎖または分枝鎖アルキル基の水素原子がアリール基で置換されたもので、置換するアリール基の数および種類は、炭素数がアラルキル基全体で1〜20のものであれば特に限定されないが、フェニル基またはアルキル基のような置換基を有しているフェニル基が置換したものが好ましい。アリール基とは、炭素数が全体で1〜20で、フェニル基またはアルキル基のような置換基を有しているフェニル基が好ましい。
【0068】
式(12)で表される相間移動触媒の具体例としては、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラ−n−プロピルアンモニウム、塩化テトラ−n−ブチルアンモニウム、塩化メチルトリ−n−オクチルアンモニウム、塩化メチルトリ−n−デシルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化ベンジルトリ−n−プロピルアンモニウム、塩化ベンジルトリ−n−ブチルアンモニウム、塩化フェニルトリメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラ−n−プロピルアンモニウム、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、臭化テトラ−n−ペンチルアンモニウム、臭化テトラ−n−ヘキシルアンモニウム、臭化テトラ−n−ヘプチルアンモニウム、臭化テトラ−n−オクチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化ミリスチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルジメチルエチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラ−n−ブチルアンモニウム、ヨウ化エチルトリメチルアンモニウム、ヨウ化メチルトリ−n−ブチルアンモニウム、ヨウ化ベンジルトリメチルアンモニウム、ヨウ化フェニルトリメチルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム、水酸化セチルトリメチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリエチルアンモニウム、水酸化フェニルトリメチルアンモニウム、過塩素酸テトラ−n−プロピルアンモニウム、過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム、塩化ベンジルトリフェニルホスホニウム、塩化テトラフェニルホスホニウム、臭化テトラ−n−ブチルホスホニウム、臭化エチルトリフェニルホスホニウム、臭化n−ブチルトリフェニルホスホニウム、臭化n−ヘプチルトリフェニルホスホニウム、臭化セチルトリフェニルホスホニウム、臭化テトラフェニルホスホニウム、ヨウ化メチルトリフェニルホスホニウム、ヨウ化テトラフェニルホスホニウム等を挙げることができる。
【0069】
相間移動触媒を添加する場合、その添加量は、出発化合物(3)1モルに対し通常約0.00001〜0.1モルの範囲とするのがよく、更に好ましくは、約0.00005〜0.05モルの範囲とするとよい。0.00001モルより少ない量では触媒としての効果を示さず、また0.1モルより多い量では、経済的に価値がない。
【0070】
(a)の還元反応を実施するには、出発化合物(3)、NaBH4 、酸および相間移動触媒を溶媒に均一に懸濁させ、通常約0〜30℃、または室温で撹拌する。反応に要する時間は、出発化合物(3)の種類、反応温度およびその他の反応条件により若干異なるが、通常、約8〜30時間とするのがよい。
【0071】
反応終了後、必要に応じ、メタノールを加えて過剰に発生したボランを分解し、塩基を加えて加熱撹拌または還流して酸を中和する。次いで、分離抽出、カラムクロマトグラフィーによる精製、晶析等の常法に従って処理することにより、目的とする光学活性ジヒドロスフィンゴシン誘導体(4)を得ることができる。
【0072】
得られた光学活性ジヒドロスフィンゴシン誘導体(4)のR4 で表されるアミノ基の保護基を脱離すれば、医薬品もしくは化粧品の有効成分またはこれらの合成中間体として有用な光学活性ジヒドロスフィンゴシン類を得ることができるが、アミノ基の保護基を脱離する方法は、常法に従えばよく、たとえば保護基がベンジル基の場合は、パラジウム炭素のような触媒を用いてアルコール溶媒中水素化すればよい(後述の参考例2参照)。
【0073】
こうして得られたジヒドロスフィンゴシン類は、更に医薬品もしくは化粧品の有効成分またはこれらの合成中間体として有用なセラミド類へ導くことができる(後述の参考例3参照)。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、医薬品や化粧品の有効成分の合成中間体として有用な光学活性ジヒドロスフィンゴシン誘導体を有利に得ることができる。
【0075】
【実施例】
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の分析等は以下の機器および条件で行った。
融点;
機器:MP−S3(柳本商事株式会社製)
比旋光度;
機器:DIP−4(日本分光工業株式会社製)
プロトン核磁気共鳴スペクトル(H1-NMR);
機器:AM−400(400MHz)(ブルッカー社製)
内部標準物質:テトラメチルシラン
質量分析(MS);
M80B(イオン化電圧:20eV)(株式会社日立製作所製)
元素分析;
機器:CHN−2400(パーキンエルマー社製)
ガスクロマトグラフィー;
機器:HP−5890(ヒューレットパッカード社製)
カラム:OV−101シリカキャピラリー
(0.25mm×25m)(ジーエルサイエンス社製)
温度:100℃から250℃まで10℃/分で昇温
尚、試料注入温度は200℃
高速液体クロマトグラフィー;
機器:ウォーターズ510(ウォーターズ社製)
検出器:UV検出器ウォーターズ484
(ウォーターズ社製)
【0076】
実施例1 ジヒドロスフィンゴシン誘導体(4)〔(2S,3R)−2−ベンジルアミノ−1,3−デカンジオール〕の製造
2−クロロ−3−オキソデカン酸メチル(7)の合成
60%水素化ナトリウム440g(11mol)の乾燥テトラヒドロフラン懸濁液4L(リットル)を0℃に冷却し、アセト酢酸メチル1.161kg(10mol)のテトラヒドロフラン溶液1.8Lを滴下し、室温で1時間攪拌した。次いで0〜5℃で塩化オクタノイル1.789kg(11mol)を滴下し、室温で一晩攪拌した。薄層クロマトグラフィーで塩化オクタノイルの消失を確認後、テトラヒドロフランを留去し、氷水中に注入して酢酸エチル8Lで抽出した。酢酸エチルを留去後、28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液400gとメタノール1.2Lの混合液中に注ぎ、60〜65℃で6時間加熱攪拌して脱アシル化反応を行った。生成物を氷冷後、10%硫酸水溶液を加えてpH5としてから酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を5%炭酸ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄後酢酸エチルを留去し、得られた濃縮物を減圧蒸留して、3−オキソデカン酸メチル1.10kg(5.5mol 、収率50%、沸点121℃/5mmHg)を得た。得られた3−オキソデカン酸メチル160g(0.8mol)をトルエン500mlに溶解した溶液を0〜5℃に冷却し、これに塩化スルフリル108g(0.8mol)を滴下し、室温で一晩攪拌した。トルエンを留去して、目的とする2−クロロ−3−オキソデカン酸メチル(7)187.8g(0.8mol 、3−オキソデカン酸メチルからの収率100%)を得た。
【0077】
(3R)−2−クロロ−3−ヒドロキシデカン酸メチル(8)の合成
予め窒素置換した500mlのハステロイ製オートクレーブに、上記で得た2−クロロ−3−オキソデカン酸メチル(7)100g(0.426mol)、ルテニウム−光学活性ホスフィン錯体Ru2Cl4[(+)-Tol-BINAP]2NEt3780mg(0.426mmol) の塩化メチレン溶液5mlおよびメタノール300mlを入れ、50℃、水素圧30atm で18時間反応を行った。メタノールを留去し、目的とする(3R)−2−クロロ−3−ヒドロキシデカン酸メチル(8)95.78g(0.405mol 、収率95.0%)を得た。
【0078】
このものの光学純度は、常法に従って、(R)−(+)−α−メトキシ−α−トリフロロメチルフェニル酢酸クロリドと反応させ3−ヒドロキシ基をエステル化して高速液体クロマトグラフィーで分析し、92%e.e.の(2R,3R)−体および91%e.e.の(2S,3R)−体の混合物であることが分かった。
【0079】
このものの物性値は以下の通りであった。
1H-NMR(CDCl3, δppm):0.88 (t, 3H, J=7.0Hz),
1.25〜1.70 (m, 13H), 3.81 (s×2, 3H),
4.05 (m, 1H), 4.19 (d, 0.56H, J=6.7Hz),
4.32 (d, 0.44H, J=4.0Hz)
MS:237(M + )
元素分析:C11H21ClO3として
理論値(%)C:55.80, H:8.94
実測値(%)C:55.52, H:8.76
【0080】
(2S,3R)−2,3−エポキシデカン酸メチル(5−I)の合成
上記で得た(3R)−2−クロロ−3−ヒドロキシデカン酸メチル(8)90g(0.384mol)のメタノール溶液500ml中に28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液78g(0.4mol)を0〜5℃で滴下し、室温で1時間攪拌した。薄層クロマトグラフィーで(3R)−2−クロロ−3−ヒドロキシデカン酸メチル(8)の消失を確認後、メタノールを留去した。濃縮物を冷却後、リン酸緩衝液〔リン酸一ナトリウム(NaH2PO4.2H2O)5.55gおよびリン酸水素ナトリウム(Na2HPO4.12H2O)21.5gを水1Lに溶解したもの〕500mlを加えてpH8〜9としてからイソプロピルエーテル1Lで抽出して、イソプロピルエーテルを留去し、蒸留して目的とする(2S,3R)−2,3−エポキシデカン酸メチル(5−I)65.3g(0.326mol 、収率85.0%、沸点135℃/0.3mmHg)を得た。
【0081】
ガスクロクマトグラフィーおよびH1-NMRで分析した結果、(2S,3R)−体の割合は、98%であった。
さらに、このものの光学純度は、対応するアルコールである(2R,3R)−2,3−エポキシデカノールに導いてから、MTPAクロリドと反応させエステル化して高速液体クロマトグラフィーで分析し、92%e.e.と決定した。
【0082】
このものの物性値は以下の通りであった。
比旋光度 [α] D 25=+25.6°(c=1.0, CHCl3)
1H-NMR(CDCl3, δppm):0.88 (t, 3H, J=6.9Hz),
1.25 (brs, 8H),1.47 (m, 2H), 1.60 (m, 2H),
3.16 (dt, 1H, J=1.9Hz, 4.9Hz),
3.23 (d, 1H, J=1.9Hz), 3.78 (s, 3H),
MS:200(M + )
元素分析:C11H20O3として
理論値(%)C:65.97, H:10.06
実測値(%)C:65.49, H:9.98
【0083】
(2S,3R)−2,3−エポキシデカン酸(5− II )の合成
上記で得た(2S,3R)−2,3−エポキシデカン酸メチル(5−I)60.0g(0.3mol)および水酸化ナトリウム12.4g(0.31mol)をメタノール500mlに溶解し、室温で16時間攪拌した。薄層クロマトグラフィーで(2S,3R)−2,3−エポキシデカン酸メチル(5−I)の消失を確認後、メタノールを留去し、得られた濃縮物に希塩酸500mlを加えpH5〜6としてから酢酸エチル500mlで抽出し、乾燥後、酢酸エチルを留去して粗結晶を得た。これを5倍容量のヘプタンを用いて再結晶して目的とする(2S,3R)−2,3−エポキシデカン酸(5−II)41.9g(0.225mol 、収率75%、融点36〜37℃)を得た。
【0084】
このものの光学純度は、対応するアルコールである(2R,3R)−2,3−エポキシデカノールに導いてから、MTPAクロリドと反応させエステル化して高速液体クロマトグラフィーで分析し、95%e.e.と決定した。
【0085】
このものの物性値は以下の通りであった。
比旋光度 [α] D 25=+15.68 °(c=1.0, CHCl3)
1H-NMR(CDCl3, δppm):0.88 (t, 3H, J=7.0Hz),
1.25 (brs, 8H), 1.45 (m, 2H),
1.60 (m, 2H), 3.18 (d, 1H), 3.21 (d, 1H)
MS:186(M + )
元素分析:C10H18O3として
理論値(%)C:64.49, H:9.74
実測値(%)C:64.10, H:9.30
【0086】
(2R,3R)−2−ベンジルアミノ−3−ヒドロキシデカン酸(3)の合成
上記で得た(2S,3R)−2,3−エポキシデカン酸(5−II)18.6g(0.10mol)に水100mlおよび相間移動触媒Aliquat 336 (ヘンケル社登録商標、塩化メチルトリ−n−オクチルアンモニウム、以下同様)1.5mg(0.0037mmol) を室温下で加えた。これを2〜3℃で攪拌し、ここへベンジルアミン(6)32.1g(0.30mol)を滴下し、続いて約5分間攪拌した。次いで5N(規定度)水酸化ナトリウム水溶液16ml(0.08mol)を加え2時間還流した後、室温で16時間攪拌した。反応溶液を0〜5℃に冷却後、5N水酸化ナトリウム水溶液4ml(0.02mol)を加え、ジイソプロピルエーテル100mlで二回洗浄した。攪拌しながら水層に2N塩酸水溶液を加えpH5〜6として、析出した白色結晶を取りだし水洗、乾燥して目的とする(2R,3R)−2−ベンジルアミノ−3−ヒドロキシデカン酸(3)26.6g(0.099mol 、収率91.0%、融点197〜199℃)を得た。
【0087】
このものの光学純度は、ジアゾメタンと反応させて(2R,3R)−2−ベンジルアミノ−3−ヒドロキシデカン酸メチルとしてから、MTPAクロリドと反応させて、3位の水酸基および2位のベンジルアミノ基にMTPA基を導入して高速液体クロマトグラフィーで分析し、95%e.e.と決定した。
【0088】
このものの物性値は以下の通りであった。
比旋光度 [α] D 25=+7.92°
(c=0.1, CHCl3:CH3OH=1:1)
1H-NMR(CDCl3, δppm):0.88 (t, 3H, J=7.0Hz),
1.25 (brs, 8H), 1.45 (m, 2H),1.60 (m, 2H),
3.78 (s, 2H), 7.3〜7.5 (5H, aromatic)
MS:294(M + +1)
元素分析:C17H27NO3 として
理論値(%)C:69.59, H:9.27, N:4.77
実測値(%)C:69.48, H:9.30, N:4.80
【0089】
ジヒドロスフィンゴシン誘導体(4)〔(2S,3R)−2−ベンジルアミノ−1,3−デカンジオール〕の合成
上記で得た(2R,3R)−2−ベンジルアミノ−3−ヒドロキシデカン酸(3)14.65g(0.05mol)をNaBH4 5.55g(0.15mol)のテトラヒドロフラン懸濁液に室温下で加えた。次いで、3倍容量のジイソプロピルエーテルに溶解した濃硫酸3.06g(0.0625mol)を0〜5℃で滴下し、同温で攪拌しながら相間移動触媒Aliquot 336 を1mg(0.0025mmol) 加え、20〜25℃で一晩撹拌した。次いで、メタノールを加えて過剰に発生するボランを分解し、5N水酸化ナトリウム水溶液を25ml(0.125mol)加え80〜90℃以下で溶媒を濃縮し、100℃で3時間攪拌した。室温で塩化メチレンで抽出し、水洗してから濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製して目的とする(2S,3R)−2−ベンジルアミノ−1,3−デカンジオール(4)11.2g(0.04mol 、収率80%、油状)を得た。
【0090】
このものの物性値は以下の通りであった。
比旋光度 [α] D 25=+7.1 °(c=1.0, CHCl3)
1H-NMR(CDCl3, δppm):0.88 (t, 3H, J=7.0Hz),
1.25 (brs, 8H), 1.50 (m, 4H), 2.61 (m, 1H),
3.72 (dd, 2H, J=1.5Hz, 4.2Hz), 3.77 (1H,m),
3.80 (d, 1H, J=13.2Hz),
3.87 (d, 1H, J=13.2Hz),7.30 (5H, aromatic)
MS:280(M + +1)
元素分析:C17H29NO2 として
理論値(%)C:73.07, H:10.46, N:5.02
実測値(%)C:72.98, H:10.26, N:4.96
【0091】
参考例4(2S,3R)−2−ベンジルアミノ−1,3−ペンタンジオール(2)の製造
2−クロロ−3−オキソペンタン酸メチルの合成
3−オキソペンタン酸メチル(ワッカーケミカル社製)104g(0.8mol)をトルエン500mlに溶解した溶液を0〜5℃に冷却し、これに塩化スルフリル108g(0.8mol)を滴下し、室温で一晩攪拌した。トルエンを留去して、目的とする2−クロロ−3−オキソペンタン酸メチル131.6g(0.8mol、収率100%)を得た。
【0092】
(3R)−2−クロロ−3−ヒドロキシペンタン酸メチルの合成
予め窒素置換した100mlのハステロイ製オートクレーブに、上記で得た2−クロロ−3−オキソペンタン酸メチル10g(0.0607mol)、ルテニウム−光学活性ホスフィン錯体Ru2Cl4[(+)-Tol-BINAP]2NEt326mg(0.144mmol) の塩化メチレン溶液0.2mlおよびメタノール30mlを入れ、50℃、水素圧30atm で18時間反応を行った。メタノールを留去し、目的とする(3R)−2−クロロ−3−ヒドロキシペンタン酸メチル9.61g(0.0577mol 、収率95.0%)を得た。
【0093】
このものの物性値は以下の通りであった。
比旋光度 [α] D 25=+6.35°(c=0.976, CHCl3)
1H-NMR(CDCl3, δppm):1.03(t, 3H, J=7.5Hz),
1.67 (m, 2H), 3.81(s ×2, 3H),
4.0〜4.1(m, 1H), 4.20(d, 0.56H, J=6.7Hz),
4.32 (d, 0.44H, J=3.9Hz)
MS:166.5(M + )
【0094】
(2S,3R)−2,3−エポキシペンタン酸メチルの合成
上記で得た(3R)−2−クロロ−3−ヒドロキシペンタン酸メチル25.5g(0.153mol)のメタノール溶液130ml中に28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液30g(0.155mol)を0〜5℃で滴下し、室温で1時間攪拌した。薄層クロマトグラフィーで(3R)−2−クロロ−3−ヒドロキシペンタン酸メチルの消失を確認後、メタノールを留去した。濃縮物を冷却後、リン酸緩衝液120mlを加えてpH8〜9としてからイソプロピルエーテル300mlで抽出して、イソプロピルエーテルを留去し、カラムクロマトグラフィーにより精製して目的とする(2S,3R)−2,3−エポキシペンタン酸メチル16.5g(0.126mol 、収率82.87%)を得た。
【0095】
ガスクロクマトグラフィーおよびH1-NMRで分析した結果、(2S,3R)−体の割合は98%であった。
このものの物性値は以下の通りであった。
比旋光度 [α] D 25=+3.0 °(c=0.5, CHCl3)
1H-NMR(CDCl3, δppm):1.03 (t, 3H, J=7.5Hz),
1.68 (m, 2H), 3.16 (dt, 1H, J=1.9Hz, 4.9Hz),
3.24 (d, 1H, J=1.9Hz), 3.78 (s, 3H)
MS:130(M + )
【0096】
(2S,3R)−2,3−エポキシペンタン酸の合成
上記で得た(2S,3R)−2,3−エポキシペンタン酸メチル6.24g(0.02mol)および水酸化ナトリウム0.74g(0.02mol)をメタノール50mlに溶解し、3時間攪拌した。薄層クロマトグラフィーで(2S,3R)−2,3−エポキシペンタン酸メチルの消失を確認後、メタノールを留去し、得られた濃縮物に希塩酸50mlを加えpH5〜6としてから酢酸エチル50mlで抽出し、乾燥後、酢酸エチルを留去し、カラムクロマトグラフィーにより精製して目的とする(2S,3R)−2,3−エポキシペンタン酸4.26g(0.015mol 、収率75%)を得た。
【0097】
このものの物性値は以下の通りであった。
比旋光度 [α] D 25=+6.07°(c=1.07, CHCl3)
1H-NMR(CDCl3, δppm):1.03 (t, 3H, J=7.5Hz),
1.67 (m, 2H),3.16 (d, 1H), 3.21 (d, 1H),
7.2 (br, 1H)
MS:116(M + )
【0098】
(2R,3R)−2−ベンジルアミノ−3−ヒドロキシペンタン酸の合成
上記で得た(2S,3R)−2,3−エポキシペンタン酸14.2g(0.05mol)に水500mlおよび水酸化ナトリウム6.4g(0.16mol)を加え、ベンジルアミン(6)42.6g(0.15mol)を加えて8時間還流した。水を留去し、希塩酸500mlを加えpH5〜6としてから、酢酸エチル500mlで抽出し、乾燥後、酢酸エチルを留去して、目的とする(2R,3R)−2−ベンジルアミノ−3−ヒドロキシペンタン酸8.36g(0.0375mol 、収率75%)を得た。
【0099】
このものの物性値は以下の通りであった。
比旋光度 [α] D 25=+12.84 °
(c=0.1, CHCl3:CH3OH=1:1)
1H-NMR(CDCl3, δppm):0.88 (t, 3H, J=7.0Hz),
1.25 (br, 2H), 1.45 (m, 2H), 1.60 (m, 2H),
3.78 (s, 2H), 7.3 〜7.5 (5H, aromatic)
MS:178(M + −45)
【0100】
(2S,3R)−2−ベンジルアミノ−1,3−ペンタンジオールの合成
上記で得た(2R,3R)−2−ベンジルアミノ−3−ヒドロキシペンタン酸8.0g(0.0358mol)をジメトキシエタン100mlに懸濁させ、NaBH4 3.31g(0.0895mol)および相間移動触媒Aliquat 336 を1mg(0.0025mmol)加え、室温で18時間攪拌した。次いで、0〜5℃で濃硫酸3.06g(0.0625mol)を加え、20〜25℃で一晩攪拌した。次いで、5N水酸化ナトリウム水溶液25ml(0.125mol)を加え5時間加熱還流した。反応終了後、イソプロピルエーテルで抽出して、目的とする(2S,3R)−2−ベンジルアミノ−1,3−ペンタンジオール5.225g(0.025mol 、収率70%)を得た。
【0101】
このものの物性値は以下の通りであった。
比旋光度 [α] D 25=−6.33°(c=0.1, CHCl3)
1H-NMR(CDCl3, δppm):0.88 (t, 3H, J=7.0Hz),
1.25 (br, 2H), 1.50 (m, 4H), 2.61 (m, 1H),
3.70 (dd, 2H, J=1.5Hz, 4.2Hz), 3.77 (m, 1H),
3.80 (d, 1H, J=13.0Hz), 3.87(d, 1H, J=13Hz),
7.20 〜7.30 (5H, aromatic)
MS:210(M + +1)
【0102】
実施例2 ジヒドロスフィンゴシン誘導体(4)〔(2S,3R)−2−ベンジルアミノ−1,3−オクタデカンジオール〕の製造
2−クロロ−3−オキソオクタデカン酸メチル(7)の合成
60%水素化ナトリウム228g(5.7mol)の乾燥テトラヒドロフラン懸濁液2Lを0℃に冷却し、アセト酢酸メチル638g(5.5mol)のテトラヒドロフラン溶液1.8Lを滴下し、室温で1時間攪拌した。次いで0〜5℃で塩化パルミトイル1.511kg(5.5mol)を滴下し、室温で一晩攪拌した。薄層クロマトグラフィーで塩化パルミトイルの消失を確認後、テトラヒドロフランを留去し、氷水中に注入して酢酸エチル2Lで抽出した。酢酸エチルを留去後、28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液400gとメタノール1.2Lの混合液中に注ぎ、60〜65℃で6時間加熱攪拌して脱アシル化反応を行った。生成物を氷冷後、10%硫酸水溶液を加えてpH5としてから酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を5%炭酸ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄後、酢酸エチルを留去し、得られた粗結晶をメタノールを用いて再結晶して、3−オキソオクタデカン酸メチル858g(2.75mol 、収率50.0%、融点45℃)を得た。
【0103】
得られた3−オキソオクタデカン酸メチル249.6g(0.8mol)をトルエン500mlに溶解した溶液を0〜5℃に冷却し、これに塩化スルフリル108g(0.8mol)を滴下し、室温で一晩攪拌した。トルエンを留去して目的とする2−クロロ−3−オキソオクタデカン酸メチル(7)277.2g(0.8mol 、3−オキソオクタデカン酸メチルからの収率100%、融点38℃)を得た。
【0104】
(3R)−2−クロロ−3−ヒドロキシオクタデカン酸メチル(8)の合成
予め窒素置換した500mlのハステロイ製オートクレーブに、上記で得た2−クロロ−3−オキソオクタデカン酸メチル(7)100g(0.2886mol)、ルテニウム−光学活性ホスフィン錯体Ru2Cl4[(+)-Tol-BINAP]2NEt3260mg(0.144mol)の塩化メチレン溶液2mlおよびメタノール300mlを入れ、50℃、水素圧30atm で18時間反応を行った。メタノールを留去し、目的とする(3R)−2−クロロ−3−ヒドロキシオクタデカン酸メチル(8)95.8g(0.275mol 、収率95.3%、融点39〜40℃)を得た。
このものの光学純度は、常法に従って、MTPAクロリドと反応させ3−ヒドロキシ基をエステル化して高速液体クロマトグラフィーで分析し、89%e.e.の(2R,3R)−体および91%e.e.の(2S,3R)−体の混合物であることが分かった。
【0105】
このものの物性値は以下の通りであった。
1H-NMR(CDCl3, δppm):0.88 (t, 3H, J=7.0Hz),
1.25〜1.70 (m, 29H), 3.81(s ×2, 3H),
4.00〜4.10(m, 1H),4.20(d, 0.56H, J=6.7Hz),
4.32 (d, 0.44H, J=3.9Hz)
MS:349(M + )
元素分析:C19H37ClO3として
理論値(%)C:65.39, H:10.69
実測値(%)C:65.21, H:10.55
【0106】
(2S,3R)−2,3−エポキシオクタデカン酸メチル(5−I)の合成
上記で得た(3R)−2−クロロ−3−ヒドロキシオクタデカン酸メチル(8)262g(0.75mol)のメタノール溶液1.3L中に28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液150g(0.777mol)を0〜5℃で滴下し、室温で1時間攪拌した。薄層クロマトグラフィーで(3R)−2−クロロ−3−ヒドロキシオクタデカン酸メチル(8)の消失を確認後、メタノールを留去した。濃縮物を冷却後、リン酸緩衝液1.2Lを加えてpH8〜9としてからイソプロピルエーテル3Lで抽出して、イソプロピルエーテルを留去し、得られた粗結晶をヘプタンを用いて再結晶して目的とする(2S,3R)−2,3−エポキシオクタデカン酸メチル(5−I)165g(0.529mol 、収率70.5%、融点54〜55℃)を得た。
【0107】
ガスクロクマトグラフィーおよびH1-NMRで分析した結果、(2S,3R)−体の割合は98%であった。
さらに、このものの光学純度は、対応するアルコールである(2R,3R)−2,3−エポキシオクタデカノールに導いてから(参考例1参照)、MTPAクロリドと反応させエステル化して高速液体クロマトグラフィーで分析し、95%e.e.と決定した。
【0108】
このものの物性値は以下の通りであった。
比旋光度 [α] D 25=+13.5°(c=0.511, CHCl3)
1H-NMR(CDCl3, δppm):0.88 (t, 3H, J=6.9Hz),
1.25(brs, 24H), 1.45(m, 2H), 1.60(m, 2H),
3.18 (dt, 1H, J=2.0Hz, 4.9Hz),
3.21 (d, 1H, J=2.0Hz), 3.78 (s, 3H)
MS:312(M + )
元素分析:C19H36O3として
理論値(%)C:73.03, H:11.61
実測値(%)C:72.98, H:11.22
【0109】
(2S,3R)−2,3−エポキシオクタデカン酸(5− II )の合成
上記で得た(2S,3R)−2,3−エポキシオクタデカン酸メチル(5−I)62.4g(0.2mol)および水酸化ナトリウム7.4g(0.2mol)をメタノール500mlに溶解し、3時間攪拌した。薄層クロマトグラフィーで(2S,3R)−2,3−エポキシオクタデカン酸メチル(5−I)の消失を確認後、メタノールを留去し、得られた濃縮物に希塩酸500mlを加えpH5〜6としてから酢酸エチル500mlで抽出し、乾燥後、酢酸エチルを留去して粗結晶を得た。これを5倍容量のヘプタンを用いて再結晶して目的とする(2S,3R)−2,3−エポキシオクタデカン酸(5−II)42.6g(0.15mol 、収率75%、融点186℃)を得た。
【0110】
このものの光学純度は、対応するアルコールである(2R,3R)−2,3−エポキシオクタデカノールに導いてから、MTPAクロリドと反応させエステル化して高速液体クロマトグラフィーで分析し、95%e.e.と決定した。
【0111】
このものの物性値は以下の通りであった。
比旋光度 [α] D 25=+6.5 °(c=0.246, CHCl3)
1H-NMR(CDCl3, δppm):0.88 (t, 3H, J=7.0Hz),
1.25 (brs, 24H),1.45 (m, 2H), 1.60 (m, 2H),
3.18 (dt, 1H, J=1.9Hz, 5.0Hz),
3.21 (d, 1H, J=1.9Hz)
MS:298(M + )
元素分析:C18H34O3として
理論値(%)C:72.44, H:11.48
実測値(%)C:72.41, H:11.43
【0112】
(2R,3R)−2−ベンジルアミノ−3−ヒドロキシオクタデカン酸(3)の合成
上記で得た(2S,3R)−2,3−エポキシオクタデカン酸(5−II)44.7g(0.15mol)に水150mlおよび相間移動触媒Aliquat 336 を1.6g(4mmol)室温下で加えた。これを2〜3℃で攪拌し、ここへベンジルアミン(6)48.2g(0.45mol)を滴下し、続いて約5分間攪拌した。次いで5N水酸化ナトリウム水溶液48.7ml(0.12mol)を加え2時間還流した後、室温で16時間攪拌した。反応溶液を0〜5℃に冷却後、5N水酸化ナトリウム水溶液12.2ml(0.03mol)を加え、ジイソプロピルエーテル800mlで抽出した。水層に2N塩酸水溶液100mlを加えpH5〜6として、析出した白色結晶をジイソプロピルエーテル1600mlで抽出した。これを氷冷下でろ取して目的とする(2R,3R)−2−ベンジルアミノ−3−ヒドロキシオクタデカン酸(3)26.6g(0.91mol 、収率91.0%、融点197〜199℃)を得た。
【0113】
このものの光学純度は、ジアゾメタンと反応させて(2R,3R)−2−ベンジルアミノ−3−ヒドロキシオクタデカン酸メチルとしてから、MTPAクロリドと反応させて、3位の水酸基および2位のベンジルアミノ基にMTPA基を導入して高速液体クロマトグラフィーで分析し、95%e.e.と決定した。
【0114】
このものの物性値は以下の通りであった。
比旋光度 [α] D 25=+11.0°
(c=0.2, CHCl3:CH3OH=1:1)
1H-NMR(CDCl3, δppm):0.88 (t, 3H, J=7.0Hz),
1.25 (brs, 24H), 1.45(m, 2H), 1.60(m, 2H),
3.78 (s, 2H),4.10 (m,1H),
7.3〜7.5 (5H, aromatic)
MS:360(M + −45)
元素分析:C25H43NO3 として
理論値(%)C:74.03, H:10.68, N:3.45
実測値(%)C:73.99, H:10.65, N:3.42
【0115】
ジヒドロスフィンゴシン誘導体(4)〔(2S,3R)−2−ベンジルアミノ−1,3−オクタデカンジオール〕の合成
上記で得た(2R,3R)−2−ベンジルアミノ−3−ヒドロキシオクタデカン酸(3)36.0g(0.1mol)をテトラヒドロフラン300mlに懸濁させ、NaBH4 9.45g(0.25mol)および相間移動触媒Aliquat 336 を2mg(0.005mmol)加え、室温で18時間攪拌した。次いで、0〜5℃で硫酸12.25g(0.125mol)を加え、20〜25℃で一晩攪拌した。反応終了後、イソプロピルエーテルで抽出して、目的とする(2S,3R)−2−ベンジルアミノ−1,3−オクタデカンジオール(4)27.5g(0.07mol 、収率70%、融点69〜70℃)を得た。
【0116】
このものの物性値は以下の通りであった。
比旋光度 [α] D 25=−8.33°(c=0.264, CHCl3)
1H-NMR(CDCl3, δppm):0.88 (t, 3H, J=7.0Hz),
1.25(brs, 24H), 1.50(m, 4H), 2.35(br, 3H),
2.61(m, 1H), 3.70(dd, 2H, J=1.5Hz, 4.2Hz),
3.77 (m, 1H), 3.80 (d, 1H, J=13.0Hz),
3.87(d, 1H, J=13Hz),
7.20 〜7.30(5H, aromatic)
MS:392(M + +1)
元素分析:C25H45NO2 として
理論値(%)C:76.67, H:11.58, N:3.58
実測値(%)C:76.64, H:11.54, N:3.55
【0117】
参考例1 (2S,3R)−2,3−エポキシオクタデカン酸メチル(5−I)の還元による(2R,3R)−2,3−エポキシオクタデカノールの合成
上記で得た(2S,3R)−2,3−エポキシオクタデカン酸メチル(5−I)62.4g(0.2mol)およびNaBH4 7.4g(0.2mol)をテトラヒドロフラン500mlに懸濁し3時間加熱還流した。薄層クロマトグラフィーで(2S,3R)−2,3−エポキシオクタデカン酸メチル(5−I)の消失を確認後、テトラヒドロフランを留去し、水20ml、次いで飽和塩化アンモニウム水溶液500mlを加えpH5〜6にしてから酢酸エチル500mlで抽出した。乾燥後、酢酸エチルを留去して粗生成物を得、これをヘプタンを用いて再結晶して、目的とする(2R,3R)−2,3−エポキシオクタデカノール42.6g(0.15mol 、収率75%、融点77〜78℃)を得た。
【0118】
このものの物性値は以下の通りであった。
比旋光度 [α] D 25=+24.5°(c=0.285, CHCl3)
1H-NMR(CDCl3, δppm):0.87 (t, 3H, J=6.6Hz),
1.23〜1.57(m, 27H),
1.65(dd, 2H, J= 5.6Hz, 7.3Hz), 2.91(m, 2H),
3.61 (ddd, 1H, J=3.1Hz, 4.2Hz, 12.6Hz),
3.90 (ddd, 1H, J=2.5Hz, 5.5Hz, 12.6Hz)
MS:284(M + )
【0119】
参考例2 (2S,3R)−2−ベンジルアミノ−1,3−オクタデカンジオール(4)の水素化によるジヒドロスフィンゴシン〔(2S,3R)−2−アミノ−1,3−オクタデカンジオール〕の合成
実施例3で得た(2S,3R)−2−ベンジルアミノ−1,3−オクタデカンジオール(4)1.2g(2.6mmol)をエタノール15mlに溶解し、5%パラジウム炭素51mgを加え、10atm で水素化反応を行った。反応液から5%パラジウム炭素を除去し、次いでエタノールを留去して、目的とするジヒドロスフィンゴシン665mg(2.21mmol、収率85%、融点86〜88℃)を得た。
【0120】
このものの物性値は以下の通りであった。
比旋光度 [α] D 25=+5.8 °
(c=1.0, CHCl3:CH3OH=10:1)
1H-NMR(D-pyridine,δppm):0.87(t, 3H, J=7.0Hz),
1.28〜1.40 (m, 24H), 1.55 (m, 1H),
1.80(m, 3H), 3.25(m, 1H), 3.97(m, 1H),
4.07 (dd, 1H, J=7.2Hz, 10.4Hz),
4.25 (dd, 1H, J=4.4Hz, 10.4Hz)
MS:302(M + +1)
【0121】
参考例3 ジヒドロスフィンゴシンからジヒドロセラミド〔(2S,3R)−N−ミリストイルジヒドロスフィンゴシン〕の合成
参考例2で得たジヒドロスフィンゴシン520mg(1.72mmol)をテトラヒドロフラン10mlに溶解し、ミリスチン酸p−ニトロフェニル610mg(1.75mmol)およびジメチルアミノピリジン5mgを加え室温で18時間攪拌した。反応液に炭酸ナトリウムを加えて生成したp−ニトロフェノールを中和し、除去した。得られたテトラヒドロフラン溶液をろ過、次いでテトラヒドロフランを留去し、酢酸エチルで抽出し、得られた酢酸エチル層を5%炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。酢酸エチルを留去して粗生成物を得、これをヘプタンを用いて再結晶して、目的とするジヒドロセラミド838mg(1.64mmol、収率95%、融点101〜102℃)を得た。
【0122】
このものの物性値は以下の通りであった。
比旋光度 [α] D 25=+3.27°(c=0.122, CHCl3)
1H-NMR(CDCl3, δppm):0.88(t, 3H×2, J=7.0Hz),
1.27(brs, 48H), 1.54(m, 2H), 1.64(m, 2H),
2.23(dd, 2H, J=7.4Hz, 7.8Hz), 2.30(br, 3H),
3.76(d,d, 1H, J=3.1Hz, 11.3Hz),3.78(1H, m),
3.84(m, 1H),4.00(d,d, 1H, J=3.5Hz, 11.3Hz),
6.37 (d, 1H, J=7.8Hz)
MS:494(M + −17)
Claims (2)
- 式(5)
で表される(2S,3R)−2,3−エポキシアルカン酸またはそのエステルを、エステルの場合は加水分解を行いアルカン酸誘導体に変換させてから、式(6)
R4 NH2 (6)
(式中、R4 はアミノ基の保護基を示す。)
で表される第一級アミンと反応させて式(3)
で表される(2R,3R)−2−アミノ−3−ヒドロキシアルカン酸誘導体とし、これを酸の存在下、テトラヒドロホウ酸ナトリウムで還元する際に、相間移動触媒として、塩化メチルトリ−n−オクチルアンモニウムを添加することを特徴とする式(4)
で表される光学活性ジヒドロスフィンゴシン誘導体の製造方法。
Priority Applications (4)
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JP23904595A JP4124834B2 (ja) | 1995-08-25 | 1995-08-25 | 光学活性ジヒドロスフィンゴシン誘導体の製造方法 |
US08/696,161 US5925792A (en) | 1905-08-25 | 1996-08-13 | Process for preparing 2-amino-1,3-alkanediol or derivative thereof, process for preparing optically active dihydrosphingosine derivative, and intermediates for optically active dihydrosphingosine derivative |
EP96306147A EP0761642B1 (en) | 1995-08-25 | 1996-08-22 | Process for preparing 2-amino-1, 3-alkanediol or a derivative thereof, process for preparing optically active dihydrosphingosine derivatives and intermediates used in that process |
DE69611746T DE69611746T2 (de) | 1995-08-25 | 1996-08-22 | Verfahren zur Herstellung von 2-Amino-1,3-Diol oder eines Derivates davon, Verfahren zur Herstellung von optisch aktiven Dihydrosphingosin-Derivaten und Intermediaten zu deren Herstellung |
Applications Claiming Priority (1)
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JP23904595A JP4124834B2 (ja) | 1995-08-25 | 1995-08-25 | 光学活性ジヒドロスフィンゴシン誘導体の製造方法 |
Publications (2)
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