JP4124077B2 - 易開封性容器蓋 - Google Patents

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本発明は、パーシャルオープンタイプの易開封性容器蓋に関し、より詳細には、容器内の陽圧を容器蓋の開封前に解放することができ、内容物の吹き出しが防止された易開封性容器蓋に関する。
易開封性容器蓋(イージーオープン蓋)は、食品や飲料等を内容物とする食品容器の蓋として広く使用されており、特に清涼飲料や、ビール等の各種飲料を内容物とする飲料缶ではパーシャルオープンタイプの易開封性容器蓋が使用されている。このようなパーシャルオープンタイプの易開封性容器蓋としては、易破断開口片が開封により容器蓋から完全に切り離される所謂プルトップタブタイプのものと、易破断開口片の一部を容器蓋に連結させたまま容器内に押し込むなどにより、開封後も破断開口片が容器蓋から切り離されない所謂ステイオンタブタイプのものとがある。
またこのようなステイオンタブタイプの易開封性容器蓋は、蓋部材にスコア加工及びリベット加工を施すスコア破断型のもののと、蓋部材に予め開口を形成し、この開口周囲を覆うように可撓性のテープタブを接着して成る接着型のものに大別され、後者の接着型のものとして、例えば、易開封性とバリヤー性に優れ、且つ耐内圧強度を強化する目的で開口を有する蓋体と成る基材にヒートシール性を有する積層体を、接着層を介して接着し、積層体の接着強度が積層体の層間接着強度より強く、接着層の引っ張り強度を積層体の層間接着強度より弱くした構成の易開封性蓋体(特許文献1参照)や、両面樹脂被覆した金属箔積層体から成る開封片と予め開口形成され、該開口の周縁端部が特定構造に保護被覆された樹脂被覆金属板蓋体とを熱接着させて成る易開封性容器蓋(特許文献2参照)が提案されている。
特開平11−11526号公報 特公昭60−1216号公報
しかしながら、このようなテープタブを接着して成る易開封性容器蓋においては、炭酸飲料等のような自生圧力を有する内容物を充填した場合、テープタブが可撓性を有するため、テープタブが内圧により膨張してしまうという問題がある。またこのようなテープタブによる易開封性容器蓋においても、温度の上昇等により内圧が上昇し、これにより開封と同時に内容物が吹き出すおそれがある。従って、炭酸飲料等の容器内を陽圧にする内容物を充填する容器においては、容器蓋の開封の前に多少容器内の内圧を解放しておくことができれば、開封時の内容物の吹き出しを防止する上で好ましい。特にパーシャルオープンタイプのように開口部の小さいものでは、吹き出し圧力が強くなりやすいので、開封の前に予め内圧を解放しておくことが望ましい。
従って本発明の目的は、開封用タブによる易開封性容器蓋において、開封前に容器内の圧力を解放することができ、内容物の吹き出しが防止された易開封性容器蓋を提供することである。
本発明によれば、予め形成された開口部及びガス抜き孔を備えた蓋部材と該蓋部材の外面側に該開口部を覆い且つ開口周辺部で密封接着するように施された開封用タブとから成り、該開封用タブが、可撓性タブ部材と該タブ部材に接着一体化すると共に前記蓋部材の開口部に嵌合可能に形成されたプラグ部材とから成る易開封性容器蓋において、前記開封用タブは、前記蓋部材の外面側に接着固定される密封部と、該密封部と接続する折り返し部から成り、該折り返し部は少なくとも前記ガス抜き孔を密封するように蓋部材外面側に接着固定されており、該折り返し部を蓋部材外面側から剥離することにより開口部よりも先にガス抜き孔が開通することを特徴とする易開封性容器蓋が提供される。
本発明の易開封性容器蓋によれば、
1.蓋部材の開口部及びガス抜き孔の端縁が、蓋外側への折り曲げ又はカーリング、或いは樹脂被覆により端縁処理されていること、
2.折り返し部が、密封部の引き剥がし方向と直交する方向の端部で密封部と接続していること、
が好ましい。
本発明の易開封性容器蓋においては、開封用タブが、可撓性タブ部材と蓋部材の開口部に嵌合可能に形成されたプラグ部材とから成り、かかるプラグ部材が開口部に嵌合されているため、容器内が陽圧であっても可撓性タブのみから成るものと異なり、開封用タブが膨らんでしまうことがない。また可撓性タブ部材が、密封部と折り返し部から成り、最初に引き剥がす折り返し部が蓋部材に設けられたガス抜き孔を密封するように蓋部材外面側に接着固定されているので、折り返し部を蓋部材外面側から剥離することにより開口部よりも先にガス抜き孔が開通し、容器内が陽圧になる場合でも内容物の吹き出しを有効に防止することができる。
また本発明の易開封性容器蓋においては、開封用タブにプラグ部材が接着一体化されているためリシール性を有しており、ガス抜き孔は小径であることからガス抜き孔を通じての内容物の流出や容器内への異物の侵入はほとんどなく、リシール後の内容物の漏洩或いは容器内に埃等が混入すること等が有効に防止されている。
しかもリシール後、温度の上昇や内容物の変質等により内圧が高くなった場合でも、ガス抜き孔から内圧を解放できるため、内圧が異常に上昇してしまうようなことが防止される。
本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の易開封性容器蓋の折り返し部を引き剥がしガス抜き孔を開けた状態を示す斜視図であり、図2は、図1の易開封性容器蓋の開封前の状態を示す断面斜視図であり、図3は、図2のX部分の拡大図であり、図4及び図5は、ガス抜き孔の位置の異なる易開封性容器蓋の他の例を示す平面図である。
全体を1で示す本発明の易開封性容器蓋は、図1乃至図3から明らかなように、概略的に言って、蓋部材2、可撓性タブ部材10及びプラグ部材30から成る開封用タブから成っている。
蓋部材2は、内容物の流出口と成る開口部3及び開口部3に比して小径のガス抜き孔4が、蓋部材の直径上に並んで予め形成されており、周縁部には巻締加工部5が形成されており、容器と巻き締め可能な巻き締め加工部5が形成されている。巻締加工部5を缶等の容器口部に巻き締めること等によって容器口部に固定する。また開口部3の開口端部6は、端縁保護の目的のため外側にカール加工されている。
可撓性タブ部材10は、密封部11及び折り返し部12から成っており、この密封部11及び折り返し部12は単一の可撓性部材を2つに折り曲げるように形成され、密封部11の引き剥がしの起点となる引き剥がし開始端13で連続し、この引き剥がし開始端13が蓋部材の開口部3側に位置し、引き剥がし開始端13から蓋部材の開口部3、次いでガス抜き孔4と並ぶ方向が密封部の引き剥がし方向となるように蓋部材2に接着固定される。
密封部11の蓋部材2と接する側には、蓋部材2に予め形成された開口部3に対応する位置に、開口部3と嵌合する形状のプラグ部材30が接着固定されている。密封部11は、蓋部材の開口部3を覆うように蓋部材に接着固定されるが、ガス抜き孔4に対応する部分には開口14が形成されており、蓋部材のガス抜き孔4に対応する部分は折り返し部12が接触するようになっている。また、密封部11には、蓋部材2に形成された開口部3に対応する部分15を挟むように引き剥がし開始端13の反対側に、密封部の引き剥がし方向と直交する方向の切り欠き16が両側に形成され、密封部の幅が狭められている。これにより密封部11の引き剥がしがこの切り欠き16の部分で止まり、開封用タブ10が蓋部材2から完全に取外されることが防止されている。
折り返し部12の引き剥がし開始端13の他方の端部には把持用リング17が形成されている。またこの態様においては、把持用リング17の把持部17aと相対する位置に突出部18が形成されており、この突出部18が密封部11側に折り曲げられて、ガス抜き孔4を覆うように接着固定されている。
図1乃至3に示す態様においては、可撓性タブ部材10は、密封部11を蓋部材2に接着固定するために、密封部11の蓋部材2と接する側の面にヒートシール性樹脂から成る層20が形成されている。従って、折り返し部12の外面側もヒートシール性樹脂から成る層20が形成されているため、上述したように突出部18を密封部側に折り曲げることにより、別途接着剤等を用いることなく、ガス抜き孔4を密封し得ると共に、折り返し部12を蓋部材に固定することが可能となる。
本発明の易開封性容器蓋を開封するには、まず折り返し部12の把持用リング(把持部)17を把持して引き剥がし開始端13を支点として上方に引き上げる。これにより、ガス抜き孔4の周囲に接着する突出部18の接着部分が引き剥がされ、容器内の内圧が解放されると共に、折り返し部12が蓋部材2及び密着部11と引き剥がし開封端13でのみ接触した、図3に示す状態となる。
次いで、折り返し部12の把持用リング17に指を掛けて密封部の引き剥がし方向に引っ張り、密封部11と蓋部材2の接着部分を引き剥がす。この密封部11の引き剥がしと同時にプラグ部材30も開口部3から取り除かれることにより開封されるが、密封部11の引き剥がしの進行は切り欠き16の部分で止まるため、密封部11は完全に蓋部材2から取り除かれることがなく、開封用タブは固定部19で蓋部材2に固定された状態で開封操作が終了する。
リシール操作は、プラグ部材30を蓋部材2の開口部3に嵌合することにより容易に行うことができる。
本発明においては、蓋部材に内容物の流出のための開口と共にガス抜き孔を形成し、このガス抜き孔を折り返し部で密封する限り、種々の変更が可能である。
例えば、前述した通り、可撓性タブ部材10の蓋部材2への固定は、可撓性タブ部材10の密封部11の蓋部材2と接する面にヒートシール性樹脂から成る層を形成しておくことにより、可撓性タブ部材10を蓋部材2及びプラグ部材30に接着固定することができると共に、折り返し部12の固定も可能となるので好ましいが、勿論、接着剤を用いて開封用タブの密封部11を蓋部材2に固定することもできる。
また、ガス抜き孔4の折り返し部12による密封も、同様に折り返し部外面側のヒートシール性樹脂層を利用して、折り返し部12を折り曲げて蓋部材2に接着固定することもできるが、勿論、接着剤を用いて折り返し部12の密着部側を直接蓋部材2に接着固定することもできる。
また折り返し部12は、図1乃至3に示す態様では、折り返し部の外面側にヒートシール樹脂層が形成されており、突出部18を密封部11側に折り曲げて折り返し部12を蓋部材21又は密封部11に接着固定していたが、勿論、突出部以外にも、例えばプラグ部材に対応する部分の外周縁を密封部側に折り曲げ、蓋部材又は密封部に折り返し部を接着固定することもできる。
ガス抜き孔の位置は、図1乃至3に示す態様のものに限定されるものでなく開口部3よりも先に開封される限り、ガス抜き孔4は任意の箇所に設けることができる。
例えば、図4に示すように、ガス抜き孔4を密封部の固定部19の端部21よりも外側位置に形成し、折り返し部12の把持部17を密封部の端部21よりも長くして、このガス抜き孔4を覆うようにしてもよいし、また図5に示すように、密封部11の切り欠き16の位置にガス抜き孔4を形成し、折り返し部12がこの切り欠き16を覆うようにすること等もできる。
(開封用タブ)
本発明の易開封性容器蓋において、蓋部材に設けられた開口を覆うための開封用タブは、前述した通り、可撓性タブ部材とプラグ部材から成り、可撓性タブ部材は単一の可撓性部材を2つに折り曲げて、蓋部材に接着固定され密封性を確保するための密封部及び密封部を引き剥がすための把持部となる折り返し部とすることにより成っている。
可撓性タブ部材は、通常この種の容器蓋に用いられる開封片やタブ構成部材に用いられるものを使用でき、一般的には、金属箔の両面に樹脂皮膜が形成された積層体から成るものが、引き剥がしに際して破断したり或いは伸びたりすることがなく、可撓性と開封性のバランスに優れており、またガスバリヤー性や耐腐食性にも優れているので特に好ましい。
また可撓性タブ部材は、前述した通り、少なくとも蓋部材と接する側の面に接着性樹脂から成る層を有することが、生産性の点から好ましいが、勿論接着剤により接着固定することも可能である。接着層を可撓性タブ部材の両面に設ける場合は特に必要ないが、接着層を可撓性タブ部材の一方の面に設ける場合には、前述した通り、折り返し部の端部を折り曲げ又はカール加工することにより、折り返し部を蓋部材又は密封部と容易に接着固定することが可能である。
接着層は、オレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂等の従来公知のヒートシール性樹脂により形成することができる。
可撓性タブ部材としては、これに限定されないが、(蓋部材側)PP/アルミニウム箔/PET等の積層体を好適に用いることができる。
(蓋部材)
本発明の蓋部材は、予め開口部及びガス抜き孔が設けられており、かかる開口部及びガス抜きの端縁は外側に向けて折り曲げ或いはカール処理されているか、或いはポリエステル樹脂やポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂により樹脂被覆されていることが好ましい。これにより開口端縁がスムーズで接触しても切り傷などの損傷を与えることがなく、且つ腐食性にも優れている。また開口部においてはリシールを繰り返してもプラグ部材を傷つけることがなく、良好な嵌合状態を長期にわたって維持できる。またガス抜き孔では、開口部に比して小径であることから、塗料による樹脂被覆(塗膜)を施すことにより、端縁処理することが好適である。また蓋部材の周縁部には、缶胴体部との巻き締め加工による密閉接合が可能なように巻締加工部が形成されていることが好適である。
蓋部材は、従来缶蓋に用いられていた素材から形成することができるが、開封用タブを接着固定する蓋部材表面は、開封用タブの密封部又は折り返し部とも熱接着性を有するように、ヒートシール樹脂から成る被膜が設けられていることが好ましい。一方、蓋部材の内面側は開封用タブ及びプラグ部材に対し、非接着性であることが可撓性タブ部材やプラグ部材と密着することがなく、開封性の点から好ましい。
蓋部材に形成するガス抜き孔の大きさは、蓋部材の径によっても相違するが、一般には、0.5乃至5mm、特に1乃至2mmの範囲にあることが好ましい。この範囲にあることにより、有効なガス抜きが可能であると共に、ガス抜き孔からの内容物の漏洩或いは容器内部への異物の侵入を防止することができ、リシール性を損なうことがない。
(プラグ部材)
本発明の易開封性容器蓋においては、開封用タブの密封部内面にプラグ部材が接着一体化されていることにより、リシール性、耐圧性や耐衝撃性等が確保されると共に、容器の密封性をより向上させることができる。
プラグ部材としては、これに限定されないが、樹脂製プラグと金属製プラグが使用できる。比較的低温で使用される容器や腐食性内容物を収容する容器、或いは高い耐圧性能が求められない容器などの場合には柔軟でシール弾性に富み、繰り返しのリシールが可能な樹脂製プラグを使用することが好ましく、一方ホット充填、レトルト処理など特に高い温度に曝される容器や高い耐圧性能が求められる容器、或いはプラグ部材の厚さが制限される容器などには高強度で高温耐性に優れた金属製又は樹脂被覆金属製のプラグを使用することが好ましい。
樹脂製プラグに用いる樹脂材料としては、これに限定されないが、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、6ナイロン、6,6ナイロン等のポリアミド樹脂等を挙げることができる。
金属製プラグに用いる金属材料としては、これに限定されないが、アルミニウム、スチールなどを挙げることができ、樹脂被覆金属の場合は、可撓性タブ部材と接する面に、該部材と接着性を有する樹脂被覆、たとえばポリプロピレン等の被膜が形成されていることが好ましく、蓋部材と接する面は、内容物に対する耐腐食性を有する樹脂被覆、例えばポリエステル等の被膜が形成されていることが好ましい。
本発明の易開封性容器蓋の折り返し部を引き剥がしガス抜き孔を開けた状態を示す斜視図である。 図1の易開封性容器蓋の開封前の状態を示す断面斜視図である。 図2のX部分の拡大図である。 ガス抜き孔の位置が異なる他の易開封性容器蓋を示す平面図である。 ガス抜き孔の位置が異なる他の易開封性容器蓋を示す平面図である。
符号の説明
1 易開封性容器蓋、2 蓋部材、3 開口部、4 ガス抜き孔、10 可撓性タブ部材、11 密封部、12 折り返し部、13 引き剥がし開始端、16 切り欠き、
17 把持部、18 突出部、19 固定部、30 プラグ部材。

Claims (3)

  1. 予め形成された開口部及びガス抜き孔を備えた蓋部材と該蓋部材の外面側に該開口部を覆い且つ開口周辺部で密封接着するように施された開封用タブとから成り、該開封用タブが、可撓性タブ部材と該タブ部材に接着一体化すると共に前記蓋部材の開口部に嵌合可能に形成されたプラグ部材とから成る易開封性容器蓋において、
    前記開封用タブは、前記蓋部材の外面側に接着固定される密封部と、該密封部と接続する折り返し部から成り、該折り返し部は少なくとも前記ガス抜き孔を密封するように蓋部材外面側に接着固定されており、該折り返し部を蓋部材外面側から剥離することにより開口部よりも先にガス抜き孔が開通することを特徴とする易開封性容器蓋。
  2. 前記蓋部材の開口部及びガス抜き孔の端縁が、蓋外側への折り曲げ又はカーリング、或いは塗料又は樹脂による被覆で端縁処理されている請求項1記載の易開封性容器蓋。
  3. 前記折り返し部が、前記密封部の引き剥がし方向と直交する方向の端部で密封部と接続している請求項1又は2記載の易開封性容器蓋。
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