JP4122773B2 - 画像形成システムならびに画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数のプリンタや複写機等の画像形成装置をネットワーク環境下で使用するのに適した画像形成システムならびに画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、会社やオフィス等に導入されているプリンタ等の複数の画像形成装置は、複数のユーザが共有できるように、各ユーザ毎のパーソナルコンピュータにネットワークを介して接続してシステム化されており、ユーザがパーソナルコンピュータを介して指示したジョブを順次受け付け、このジョブをメモリ部に一旦、記憶して登録し、前記受け付け順にジョブを実行できるようになっている。
【0003】
従来、このようなネットワーク環境下に適用される画像形成システムとして、例えば、特開2000−231465号公報には、ジョブを受信したプリントサーバが別のプリントサーバに処理時間を問い合わせ、別のプリントサーバが早く処理できれば、別のプリントサーバに前記ジョブを転送する技術が開示されている。
【0004】
また、特開2001−105691号公報等には、ジョブの分散処理中のプリンタでエラーが発生した場合には、別のプリンタに前記ジョブ処理を代行させ、代行処理したプリンタをユーザに通知する技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種のシステムにおいて、ユーザが画像形成装置に対して、ジョブについて大量のコピーやプリント指示をした後で、別の画像形成装置が「空き」状態であるのに気がつくことがある。その場合、この別の画像形成装置でもジョブ処理を分担させれば、ジョブ処理時間を短縮させることが可能となる。
【0006】
しかし、上記前者の公知技術では、早く処理できる別のプリントサーバに、ジョブ全体を転送するに過ぎず、登録したジョブの一部を他の画像形成装置に分散させることはできず、ジョブ処理時間を短縮することができない。
【0007】
また、上記後者の公知技術では、ジョブ実行中のプリンタのエラー発生以降のジョブを別のプリンタで代行処理させるのみであり、代行処理によってその後の処理時間が短縮できる保証はない。
【0008】
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、ジョブ実行中もしくは処理待ちにかかわらず、ジョブの分散処理によりジョブ実行が終了するまでの時間を短縮できる画像形成システムならびに画像形成装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、ネットワーク上の複数の画像形成装置のうちの第1の画像形成装置に登録された実行中もしくは処理待ちのジョブを、第1の画像形成装置の識別情報、ジョブ識別識別、ユーザ識別情報のいずれかが第2の画像形成装置へ入力されたときに表示する、第2の画像形成手段に設けられた表示手段と、前記表示手段に表示されたジョブの中から分散対象ジョブを選択する、第2の画像形成手段に設けられた選択手段と、前記選択手段により選択された1つの分散対象ジョブの内容を第1の画像形成装置で実行する内容と第2の画像形成装置で実行する内容とに分散させる、第1の画像形成装置または第2の画像形成装置に設けられた分散手段と、分散手段により分散されたジョブを実行させる制御手段と、を備えていることを特徴とする画像形成システムによって解決される。
【0010】
この画像形成システムでは、ネットワーク上の第1の画像形成装置に登録されて実行中もしくは処理待ちのジョブの内容が、第1および第2の画像形成装置にそれぞれ分散されて実行される。
【0011】
つまり、ユーザが前記第1の画像形成装置にジョブを登録した後、第2の画像形成装置が「空き」状態であるのを知り、この第2の画像形成装置を巻き込んでの分散処理をする指示をすれば、前記ジョブが実行中もしくは処理待ちであっても、その内容が前記第1および第2の画像形成装置にそれぞれ分散されて並列的に実行されるので、その分散対象ジョブの実行終了までの時間が短縮される。
【0012】
また、前記第2の画像形成装置は、第1の画像形成装置に登録された実行中もしくは処理待ちのジョブを、第1の画像形成装置の識別情報、ジョブ識別識別、ユーザ識別情報のいずれかが第2の画像形成装置へ入力されたときに表示する表示手段と、前記表示手段に表示されたジョブの中から分散対象ジョブを選択する選択手段を備えているから、第1の画像形成装置にジョブを登録した後、この場所から離れた第2の画像形成装置へ前記識別情報が入力されると、分散処理したい自分のジョブが表示手段に表示され、選択手段により、表示されたジョブの中から前記分散対象ジョブを選択することにより、分散処理の指示が簡単にかつ迅速に行える。
【0014】
また、前記第1および第2の画像形成装置にそれぞれ設定されている通信エリア内で各画像形成装置と通信可能となるユーザ所有の携帯端末を備え、前記携帯端末は、第2の画像形成装置との通信エリア内において、第1の画像形成装置にジョブを登録するのに伴って取得されたそのジョブに対応するジョブ識別情報(以下、ジョブID情報ともいう)、もしくはジョブ登録ユーザ識別情報(以下、ユーザID情報ともいう)を第2の画像形成装置に送信する送信手段を備え、前記第2の画像形成装置は、送信されてきた前記識別情報を基に分散対象ジョブを特定する特定手段を備えている構成としても良い。
【0015】
この場合は、第1の画像形成装置にユーザがジョブを実行指示したのち、第2の画像形成装置との通信エリア内において、第1の画像形成装置にジョブを登録するのに伴って取得されたそのジョブに対応するジョブID情報、もしくはジョブ登録ユーザID情報が、携帯端末から第2の画像形成装置に送信されると、第2の画像形成装置は、送信されてきた前記識別情報を基に分散対象ジョブを特定する。従って、ユーザは操作の手間を要することなく、この第2の画像形成装置における分散対象ジョブの特定が可能となる。
【0016】
さらにまた、前記分散手段は、最短時間で処理が終了するようにジョブの分散を提案する構成としても良い。
【0017】
この場合は、前記分散対象ジョブの効率的な分散処理が実施される。
【0019】
この画像形成装置では、ユーザが別の画像形成装置にジョブを登録した後、本装置の「空き」であることに気がついて、本装置を巻き込んでの分散処理をすることを指示すれば、前記ジョブが実行中もしくは処理待ちであっても、前記分散対象ジョブの内容が前記両方の画像形成装置にそれぞれ分散されて並列的に実行されるので、その分散対象ジョブの実行終了までの時間が短縮される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は、この発明の一実施形態に係る画像形成システムを示す概略構成図である。
【0022】
図1において、この画像形成システムは、複数の画像形成装置1,2,3・・・と、ユーザ所有の端末装置11とを備え、これら画像形成装置1,2,3と端末装置11とがネットワーク、例えばLAN(Local Area Network)12を介して接続されている。
【0023】
前記画像形成装置1,2,3は、それぞれ例えば複写機、ファクシミリ(FAX)、プリンタ、スキャナ等が挙げられるが、ここでは、前記複写機、FAX、プリンタ、スキャナ等の各機能を集約したMFP(Multi Function Peripherals)を例にしてある。
【0024】
このMFP1〜3は、LANにより相互間で画像データや制御データの授受が可能となっている。
【0025】
前記端末装置11は、例えばパーソナルコンピュータ(PCともいう)から構成されるが、これにこだわるものではない。
【0026】
図2は、前記MFP1,2,3の電気的構成を、MFP1で代表して示すブロック図である。
【0027】
図2において、MFP1は、スキャナ部21、画像メモリ・画像処理部22と、プリンタ部23と、操作部24と、LANインターフェース(図面ではLANIFと記す)部25と、メモリ部26と、制御部27とを備えている。
【0028】
前記スキャナ部21は、原稿台等の所定部所に置かれた原稿の画像を読み込んで、画像データに変換するものである。
【0029】
前記画像メモリ・画像処理部22は、読み込んだ原稿画像ないしはLANインターフェース部25を介して受信した画像データを、一旦記憶するとともに、所定の画像処理を施すものであり、また、前記プリンタ部23は、画像処理された画像データをプリントアウトするものである。
【0030】
前記操作部24は、コピーモードの設定や確認、あるいはコピースタートの操作等により、ユーザがジョブ実行指示を行ったり、分散処理のために使用するものであり、ジョブ選択ボタン24aを含む各種操作ボタン部と、操作入力内容やジョブ情報等を表示するためのLCD等からなる表示部24bとを有している。前記ジョブ選択ボタン24aは、表示部24bに表示されたジョブのうち、分散対象となるジョブを選択するためのものである。
【0031】
前記LANインターフェース部25は、外部の装置、つまり、他のMFP2(3)やPC11との間で画像データや制御データの授受を行うためのものである。
【0032】
前記メモリ部26は、実行すべきジョブを登録するものであり、具体的には、ジョブ内容や各種データを記憶する他、ジョブ実行の進行状況を順次、更新・記憶するものである。
【0033】
前記制御部27は、各部を統括制御する他に、前記メモリ部26に記憶・登録されたジョブを別の第2のMFP2(3)を巻き込んでの分散処理が可能か否かを判断する判断部27としても機能し、さらに、登録したジョブの分散処理が可能と判断された際に、その分散対象ジョブを最短時間で処理できる分散処理案を作成して、表示部24bに表示させたり、前記分散対象となったジョブについて、分散処理案を基に前記第2のMFP2(3)を巻き込んでの処理を実行させる機能をもっている。
【0034】
上記構成の画像形成システムにおいて、いま、ユーザがMFP1を使って原稿画像をコピーする場合、ユーザが操作部24を使ってジョブ処理条件等を設定したコピーモードにおいて、スタートボタンを押せば、原稿画像が前記スキャナ部21で読み込まれ、読み込まれた画像信号は、画像データに変換される。
【0035】
画像データは、画像メモリ・画像処理部22により所定の処理が施された後、前記プリンタ部23により、プリント設定条件に従って用紙にプリントアウトされる。
【0036】
なお、この時、各部の一連の動作が制御部27により制御され、また、前記メモリ部26には、ジョブが登録され、そのコピーモードが記憶される他に、処理の進行状況が順次更新されながら記憶される。
【0037】
また、ユーザがMFP1をプリンタとして使用する場合は、ユーザが前記PC11を介して送信した画像データとその画像データのプリントモードとが前記LANI/F部25を介して入手される。そして、前記画像データは、前記画像メモリ・画像処理部22により前記入手したプリントモードに従って処理が施された後、前記プリンタ部23により、プリント設定条件に従って用紙にプリントアウトされる。
【0038】
なお、この時も、各部の一連の動作が制御部27により制御され、また、前記メモリ部26には、ジョブが登録され、そのプリントモードが記憶される他に、処理の進行状況が順次更新されながら記憶される。
【0039】
次に、上記構成における画像形成システムによるジョブの分散処理について説明する。
【0040】
ユーザがMFP1を使って原稿画像をコピー行うとする。ユーザは、このMFP1の操作部24を操作し、コピーモードを、例えば図3(A)に示すように、「A4原稿5枚をソート機能を用いて10部コピー」と指示した後、スタートを指示(スタートボタンを押す)すれば、MFP1によるコピー動作が開始される。
【0041】
MFP1でのコピーの実行中に、ユーザがこのMFP1を離れ、現在「空き」状態の別のMFP2の近くに来て、このMFP2が「空き」状態であることを知り、コピー処理時間を短縮するために、前記ジョブについて「空き」になっているMFP2を巻き込んだ分散処理を行うとする。
【0042】
ユーザは、まず、MFP2を利用するために、このMFP2の操作部24を使ってMFP1の固有の識別(ID)情報(この実施形態ではID=A)を入力すると、このMFP2は、制御部27の制御により、IF部25を介して前記MFP1に対して、実行中もしくは処理待ちのジョブ情報があるか否かを問い合わせる。
【0043】
この問い合わせに対して、前記MFP1は、メモリ部26の記憶内容、つまり、図3(A)に示すテーブル情報をLANインターフェース部25を介して前記MFP2に通知する。
【0044】
いま、このテーブル情報によれば、現在、MFP1においては、「A4原稿5枚をソート機能を用いて10部コピー」のジョブに対して2部目(2/10部)を実行中であり、処理時間はあと8分であり、他のジョブの予約が入っていないことが分かる。
【0045】
MFP2では、受け取ったテーブル情報のジョブ一覧を、制御部27の指示により操作部24の表示部24bに表示する。これにより、ユーザは、この表示されたジョブ一覧を見て、自分が実行指示したジョブであることを容易に認識することができる。
【0046】
このユーザが、自分のジョブを分散処理したい意向があれば、当該ジョブについて、MFP2のジョブ選択ボタン24aにより分散対象ジョブとして選択指示する。これを受けてMFP2における判断部27aでは、当該ジョブについて、分散処理が可能か否かを判断する。
【0047】
いま、MFP1で実行中のジョブは、ソート機能を使うジョブであるが、前記MFP2は、図3(B)のメモリ内テーブルの×印で示すように、両面コピー機能をもっていないものの、○印で示すように、ソート機能をもっているので、前記ジョブの分散処理が可能である。
【0048】
なお、現在、MFP1については、図3(A)のテーブル情報から2部目を実行中であり、他方、MFP2については、図3(B)のテーブル情報からジョブの予約なしであることが分かる。
【0049】
次に、前記ジョブ処理状況を図5を参照して説明する。
【0050】
図5(A)に示す分散処理前において、前記MFP1は、現時点(△印で示す)で2部目を実行中であり、10部完了するまでに残り8分を要し、MFP2は、ジョブの処理を行っていない「空き」状態を示している。なお、この実施形態では、MFP1に対してMFP2は、2倍の処理速度をもっているとする。
【0051】
前記MFP2は、分散処理の指示を受けると、図3(A)に示す状況を基にして、MFP1で実行中のジョブを最短時間で終了させる分散方法を検討する。なお、前記テーブル情報には、ジョブの画像メモリ容量、処理速度等の情報も含まれており、それにより、前記転送時間やプリントアウト時間を算出することができる。
【0052】
具体的には、MFP2の制御部27において、MFP1から入手したテーブル情報を基に、当該ジョブの画像データをMFP1から分散処理対象のジョブをMFP2に転送させるのに2分を要し、1部当たりのプリントアウト時間に30秒を要することが算出されるものとする。
【0053】
この算出結果から、転送開始時点からジョブを最短時間で終了させることができる分散処理案は、図5(B)となる。つまり、MFP1において、現在実行中の2部の他に、3部〜6部目までの4部の処理を行わせ、MFP2において、7部〜10部までの4部を処理させることにより、残り4分で処理を終了させることができる。そして、MFP2の制御部27は、表示部24bに対して図6に示すように、分散処理案を表示させる。表示画面には、分散選択指示(YES)か否か(NO)をユーザに決定させるための決定ボタン部240も表示される。
【0054】
このMFP2の表示部24bに表示された分散処理案を見たユーザが分散処理の実行を決定(「YES」をタッチ)すれば、MFP2からMFP1に分散処理案が転送される一方、このMFP2においても、分散処理が実行される。
【0055】
このように、前記第1のMFP1で既に実行中のジョブであっても、「空き」状態のMFP2において、前記ジョブの分散処理が可能と判断されば、その分散対象ジョブが第1のMFP1のみならず、MFP2においても並行して処理が実行されるので、ジョブ完了が早められる。
【0056】
なお、前記ジョブを分散処理する際、MFP1のメモリ部26のテーブル情報は、図4(A)に示すように分散処理提案に対応した状態に更新・記憶され、また、MFP2のメモリ部26のテーブル情報も、図4(B)に示すように、分散処理提案に対応した状態に更新・記憶される。
【0057】
次に、前記MFP1で処理待ちのジョブを別のMFP2で分散処理する例を図7〜図9で説明する。
【0058】
ユーザが他のジョブを実行中であるMFP1を利用して予約コピーを行うとし、この時のコピーモードを、例えば図7(A)に示すように、「A4原稿5枚をソート機能を用いて10部コピー」と指示するものとする。
【0059】
このコピーモードの指示がMFP1で受け付けられると、ユーザのスタート指示(スタートボタンを押す)によって予約コピー動作が開始される。
【0060】
ここで、ユーザがMFP1を離れ、現在「空き」状態の別のMFP2の近くに来て、このMFP2が何のジョブも実行していない「空き」状態になっているのを知り、前記MFP1に予約したジョブについて、MFP2を巻き込んだ分散処理を行うとする。
【0061】
ユーザは、まず、MFP2を利用するために、このMFP2の操作部24を使ってMFP1の識別(ID)情報(ID=A)を入力する。これにより、このMFP2は、IF部25を介して前記ジョブ実行中であるMFP1に対して、実行中もしくは処理待ちのジョブ情報があるか否かを問い合わせを行う。
【0062】
この問い合わせに対して、前記MFP1は、メモリ部26の記憶内容、つまり、図7(A)に示すテーブル情報を読み出し、IF部25を介して前記MFP2に通知する。このテーブル情報から、現在、MFP1においては、「A4原稿1枚を25部コピー」のジョブを実行中であり、実行完了まで残り2分を要することが分かり、さらに、このMFP1では、次のジョブとしてジョブ2(ジョブID2)の予約が入っていることが分かる。
【0063】
MFP2では、受け取ったテーブル情報のジョブ一覧を、制御部27の指示により操作部24の表示部24bに表示するので、ユーザは、この表示されたジョブ一覧を見て、ジョブ2について、自分が予約したものであることを容易に認識することができる。
【0064】
ユーザは、ジョブ2を分散処理したい意向があるので、ジョブ選択ボタン24aの操作により、表示されたジョブ2を分散選択ジョブとして指示すると、MFP2では、判断部27aが分散処理可能か否かを判断する。
【0065】
MFP2は、図7(B)のテーブル内の×印で示すように、両面コピー機能をもっていないものの、○印で示すように、ソート機能をもっている。分散処理対象のジョブ2は、図7(A)のテーブルに示すように、ソート機能のみを利用するジョブであるので、このMFP2を利用した分散処理が可能であると判断される。
【0066】
次に、前記ジョブ処理状況を図9を参照して説明する。
【0067】
現時点(図9の△印で示す)において、前記MFP1は、図9(A)に示すように、前のジョブ1を実行中であり、そのジョブ1の実行完了までに残り2分を要し、その後、ジョブ2の処理に10分を要することが分かる。また、MFP2は、図9(B)に示すように、何も処理していない「空き」状態であることが分かる。
【0068】
MFP2のおける制御部27では、図7(A)に示すメモリ内テーブル内容を基に、前記ジョブ2を最短時間で処理できる分散処理案を作成する。まず、先程入手したMFP1のメモリ内テーブル内容から、ジョブ2の画像データをMFP1からMFP2に転送するのに2分を要し、1部当たりのプリントアウト時間に30秒を(MFP2は、MFP1に対して2倍の処理速度をもっている)要することが算出されるものとする。
【0069】
この結果、現時点からジョブ2を最短時間で実行終了させることができる分散処理案は、図9(B)となる。つまり、前記ジョブ2について、MFP1で3部の処理を行わせ、MFP2で7部の処理行わせるのがよく、5分30秒で処理を終了できることが分かる。なお、この時、MFP1からMFP2への画像転送は、MFP1による前のジョブ1の実行と並行して行われるようにしてある。
【0070】
そして、MFP2は、この分散処理案を表示部24bに表示する。ユーザは、表示部24bに表示された分散処理案を見て、分散実行の選択をすれば、MFP2からMFP1に分散処理案が転送される一方、このMFP2においても、分散対象のジョブについて分散処理が実行される。
【0071】
このように、前記第1のMFP1で処理待ちのジョブであっても、「空き」状態のMFP2において、前記ジョブの分散処理が可能と判断されれば、その分散対象ジョブの処理が、第1のMFP1のみならずMFP2においても並行して実行されるので、ジョブ完了が早められる。さらに最適な分散処理案に基づく処理のために、ジョブ実行の効率性は高い。
【0072】
なお、この分散処理する際、MFP1の記憶部26には、分散処理提案に対応した図8(A)に示す処理内容がテーブルとして記憶され、また、MFP2の記憶部26にも、分散処理提案に対応した図8(B)に示す処理内容がテーブルとして記憶される。
【0073】
ところで、図3〜図5に示す前者の例では、MFP1が分散処理対象のジョブ1を実行中において、MFP2が「空き」の場合の前記ジョブ1の分散処理について説明したものであり、また、図7〜図9に示す後者で例では、MFP2がすでに前のジョブ1を実行中において、ジョブ2が処理待ちであり、MFP2が「空き」の場合の前記ジョブ2の分散処理について説明したものであるが、これらに限らず、種々のジョブ処理状況であっても、ジョブ分散処理が可能と判断される限り、前記分散処理の適用により同様の効果が発揮される。
【0074】
また、前記では、ソートコピーを基準にして分散処理する例で説明したが、これに限らず、例えば原稿枚数を基準にした分散処理であってもよい。例えば、原稿画像を100枚、1部コピーする場合、1〜60枚目をMFP1で処理させ、61〜100枚目をMFP2で処理させることも可能である。
【0075】
また、ジョブの検索や指示を行う際に、MFP1のID情報を入力するようにしたが、ユーザID情報やジョブID情報を用いてジョブの検索や指示を行うようにしてもよい。
【0076】
例えばMFP1を使ってコピー指示を行う時に、ユーザID情報を入力しておけば、図3(A)に示したMFP1のメモリ内テーブルには、ジョブと関連してユーザIDも記憶される。このため、MFP2において、ユーザID情報を入力すれば、そのユーザIDに対応するジョブが表示されるので、その表示から分散処理したいジョブを選択するようにしてもよく、ユーザは自分が登録したジョブを簡単に識別することができる。
【0077】
さらに、例えばMFP1を使ってコピー指示を行う時に、そのジョブにかかるジョブIDをMFP1がユーザに開示するようにすれば、ユーザはMFP2において、そのジョブIDを入力して前記ジョブを特定することができる。
【0078】
また、前記MFP1からコピー指示を行う場合に限らず、例えばPC11から画像データをプリント指示する場合にも適用できる。例えばユーザがPC11からMFP1に対してプリント指示した後、MFP2の所に行き、MFP1のID情報/ユーザのID情報/ジョブのID情報を入力することにより、分散処理対象ジョブを特定して、分散処理を実行させることができる。
【0079】
さらに、前記の例では、分散処理を追加して行うMFP2の操作部24からジョブの指示/分散実行の指示を行ったが、ジョブを有しているMFP1の操作部24から分散実行指示を行うようにしてもよい。
【0080】
例えばMFP1の操作部24により分散対象のジョブを指定し、かつ分散処理させるMFP2のID情報を入力すれば、MFP1の操作部24に、MFP1およびMFP2の分散提案が表示される構成としても良い。
【0081】
さらにまた、MFP2側で前記MFP1およびMFP2の分散実行を指示したユーザが別のMFP3に行った時に、同様に、MFPのID情報/ユーザID情報/ジョブID情報を用いてMFP1、MFP2およびMFP3での分散実行することも可能である。この場合、分散提案は、図4および図8のメモリ内テーブル情報を基に検討されることになる。
【0082】
次に、前記画像形成システムにおける分散処理の流れを図10のフローチャートで説明する。
【0083】
例えばMFP1で実行中あるいは処理待ちのジョブのユーザが、例えばMFP2にきて前記ジョブを分散処理させたい場合、MFP2に対してMFP1等のID情報を入力すると、S101で、MFP2の制御部27がこれを認識する。この後、S102で、制御部27は、ID情報が入力されたMFP2の表示部24bに前記ジョブの一覧を表示させる。
【0084】
ユーザが上記ジョブ一覧の表示を見て自分のジョブを分散対象ジョブとして選択指示すると、S103で、制御部27がこれを認識する。
【0085】
この指示を受けてMFP2の判断部27aが、S104で、当該ジョブについて分散処理が可能であるか否かを判断し、分散処理が可能であれば(S104の判定がYES)、S105で、MFP2の表示部24bに分散提案を表示して、S106に進む。分散処理が不可能であれば(S105の判定がNO)、そのまま終了する。
【0086】
S106では、MFP2の制御部27が、ユーザによる決定ボタン240の操作に基づき、前記ジョブの分散処理を実行するか否かを判断する。ジョブの分散処理を実行するのであれば(S106の判定がYES)、S107に進み、ジョブの分散処理を実行するのでなければ(S106の判定がNO)、そのまま終了する。
【0087】
S107では、分散処理案をMFP2からMFP1に転送するとともに、MFP2での分散処理を実行して終了する。
【0088】
次に、この発明の他の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0089】
図11は、この発明の他の実施形態に係る画像形成システムを示す概略構成図、図12は、同じく前記画像形成システムにおけるMFP1,2,3の電気的構成を、MFP1で代表して示すブロック図である。図11においては携帯端末13が追加され、図12においては無線インターフェース部(図面では無線 IF部と記す)が追加されており、それら以外の構成は図1および図2と同一であるので、同一符合を付して説明を省略する。
【0090】
図11において、13はユーザ所有の携帯端末、例えばPDA(Personal Digital Assistant)であり、前記MFP1,2,3・・・に対して、それぞれの一定の通信エリア内で通信可能である。この携帯端末13は、ユーザ固有のID情報を保有しており、MFP1,2,3・・・からID情報が求められた際には、保有している当該ID情報を無線方式等の非接触方式で送信するものである。
【0091】
携帯端末13としては、携帯端末13に限らず、例えば各方式のICード、携帯電話等のモバイル機器が挙げられる。
【0092】
図12において、28は前記携帯端末13とPAN(Personal Area Network)を構成するための通信制御機能を有する無線インターフェース部であり、具体的には、赤外線を利用したIrDA(Infrared Data Association)や近距離無線を利用したBluetoothに対応している。
【0093】
次に、上記携帯端末13を使ったジョブ分散処理について、図13および図14に基づいて説明する。
【0094】
図13は、ジョブ用ID情報を用いてジョブ分散処理を行う例のシーケンス図である。
【0095】
携帯端末13を所有したユーザがMFP1の操作部24を介してコピーモードを指示すると、ジョブが受け付けられる。
【0096】
ジョブの受け付けが完了すると、MFP1は、携帯端末13に対してジョブID情報を送信し、携帯端末13は、このジョブID情報を受信して記憶する。
【0097】
ついで、携帯端末13の所有するユーザが前記MFP2に近づくと、携帯端末13がMFP2と通信可能なエリア内に入り、携帯端末13は、記憶されているジョブID情報をMFP2に自動的に送信する。
【0098】
MFP2は、受信したジョブID情報に対応するジョブがネットワーク12上の処理待ちもしくは実行中ジョブとして存在するか否かを、制御部27で検索して特定し、さらに、判断部27aで、特定したジョブについて分散処理可能か否かを判断する。
【0099】
そのジョブについて、分散処理が可能であれば、MFP2は、携帯端末13に対して分散処理案を送信し、これを受信した携帯端末13は、分散処理案を表示する。
【0100】
これを見てユーザが携帯端末13上で分散実行の指示を行うと、この指示を受けたMFP2は、前記MFP1に対して分散変更した処理内容を送信する。これにより、MFP1およびMFP2が分散処理を実行する。
【0101】
図14は、ジョブID情報の代わりに、ユーザID情報を用いてジョブ分散処理を行う例のシーケンス図である。
【0102】
携帯端末13を所有したユーザがMFP1に近づき、携帯端末13がMFP1と通信可能なエリア内に入ると、MFP1から携帯端末13にユーザID情報が要求され、携帯端末13から発信されたユーザID情報がMFP1に入手される。この状態で、ユーザがMFP1の操作部24を介してコピー指示を行うと、入手されたユーザID情報と関連づけられた状態で、ジョブが受け付けられる。
【0103】
次に、携帯端末13を所有する前記ユーザが前記MFP1を離れた後、MFP2に近づき、携帯端末13がMFP2と通信可能なエリア内に入ると、MFP2は携帯端末13からユーザ用ID情報を自動的に入手する。
【0104】
MFP2は、受信したユーザID情報に対応するジョブがネットワーク15上に実行中もしくは処理待ちのジョブとして存在するか否かを制御部27で検索して特定し、さらに、そのジョブについて、判断部27aが分散処理が可能か否かを判断する。
【0105】
そのジョブについて、分散処理が可能であれば、MFP2は、携帯端末13に対して分散処理案を送信し、これを受信した携帯端末13は、分散処理案を表示する。ユーザがこの表示を見て携帯端末13上で分散実行指示を行うと、この指示を受けたMFP2は、前記MFP1に対して分散変更の処理内容を送信する。これにより、MFP1およびMFP2で分散処理が実行される。
【0106】
この場合、携帯端末13を所有したユーザがMFP2に近づくだけで、分散処理が可能等の情報が直ぐに分かり、後の指示が素早く行える。
【0107】
なお、上記の例では、ジョブの分散処理案をMFP2から携帯端末13に送信し、分散実行指示を携帯端末13からMFP2に送信する例で説明したが、携帯端末13の所有しているユーザは、前記MFP2の近傍にいるので、このMFP2が分散処理案の作成をブザー音等でユーザに知らせるとともに、そのMFP2の表示部24bに表示させるようにしてもよい。
【0108】
また、ジョブID情報に加えて、ジョブモードも前記MFP1、MFP2と携帯端末13との間で送受信させるように構成すれば、MFP2がMFP1に確認をしなくても、ジョブが分散処理可能なものであるか否かを直ぐに判断することできる。
【0109】
例えば対象となるジョブのソート/両面機能の有無のジョブモード情報を前記携帯端末13が前記MFP1から入手していれば、MFP2は、その情報を前記携帯端末13から入手した時点で分散可能なジョブであるか否かを判断することができる。
【0110】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、ネットワーク上の第1の画像形成装置に登録されたジョブが実行中もしくは処理待ちであっても、その内容が前記第1および第2の画像形成装置にそれぞれ分散されて並列的に実行されるので、その分散対象ジョブの実行終了までの時間を短縮することができ、出力物を早期に入手することができる。
【0111】
また、第1の画像形成装置にジョブを登録した後、この場所から離れた第2の画像形成装置に第1の画像形成装置の識別情報、ジョブ識別識別、ユーザ識別情報のいずれかが入力されると、分散処理したい自分のジョブが表示手段に表示されるから、分散対象ジョブを容易に識別することができる。また、選択手段により、表示されたジョブの中から前記分散対象ジョブを選択することにより、分散処理の指示を簡単にかつ迅速に行うことができる。
【0112】
請求項2に係る発明によれば、第1の画像形成装置にユーザがジョブを実行指示したのち、第2の画像形成装置との通信エリア内において、ジョブID情報、もしくはジョブ登録ユーザID情報が、携帯端末から第2の画像形成装置に送信されると、第2の画像形成装置は、送信されてきた前記識別情報を基に分散対象ジョブを特定するから、ユーザは操作の手間を要することなく、この第2の画像形成装置における分散対象ジョブの特定が可能となる。
【0113】
請求項3に係る発明によれば、分散対象ジョブについて、処理時間が最短となる分散処理提案がなされるので、前記ジョブを効率良く処理できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態にかかる画像形成システムを示す概略構成図である。
【図2】同じく画像形成システムにおける画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】(A)第1の画像形成装置のメモリ部の記憶テーブルを示す図である。
(B)第2の画像形成装置のメモリ部の記憶テーブルを示す図である。
【図4】(A)分散処理に変更後の第1の画像形成装置のメモリ部の記憶テーブルを示す図である。
(B)分散処理に変更後の第2の画像形成装置のメモリ部の記憶テーブルを示す図である。
【図5】(A)分散処理に変更前の第1および第2の画像形成装置のジョブ実行状況の説明図である。
(B)分散処理に変更後の第1および第2の画像形成装置のジョブ実行状況の説明図である。
【図6】第2の画像形成装置の表示部に表示された分散提案等の表示画面を示す図である。
【図7】(A)他の分散処理例における第1の画像形成装置のメモリ部の記憶テーブルを示す図である。
(B)同じく、第2の画像形成装置のメモリ部の記憶テーブルを示す図である。
【図8】(A)他の分散処理例における分散処理に変更後の第1の画像形成装置のメモリ部の記憶テーブルを示す図である。
(B)同じく分散処理に変更後の第2の画像形成装置のメモリ部の記憶テーブルを示す図である。
【図9】(A)他の分散処理例における分散処理に変更前の第1および第2の画像形成装置のジョブ実行状況の説明図である。
(B)同じく分散処理に変更後の第1および第2の画像形成装置のジョブ実行状況の説明図である。
【図10】分散処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】この発明の他の実施形態に係る画像形成システムを示す概略構成図である。
【図12】同じく画像形成システムにおける画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図13】ジョブ分散処理の一例における情報授受状況を示すシーケンス図である。
【図14】ジョブ分散処理の他の例における情報授受状況を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
1・・・・・・・・・・・・第1の画像形成装置
2(3)・・・・・・・・・・第2の画像形成装置
12・・・・・・・・・・・ネットワーク
13・・・・・・・・・・・携帯端末
24a・・・・・・・・・・ジョブ選択ボタン(選択手段)
24b・・・・・・・・・・表示部(表示手段)
27・・・・・・・・・・・制御部(分散手段、制御手段)
27a・・・・・・・・・・判断部(判断手段)
Claims (3)
- ネットワーク上の複数の画像形成装置のうちの第1の画像形成装置に登録された実行中もしくは処理待ちのジョブを、第1の画像形成装置の識別情報、ジョブ識別識別、ユーザ識別情報のいずれかが第2の画像形成装置へ入力されたときに表示する、第2の画像形成手段に設けられた表示手段と、
前記表示手段に表示されたジョブの中から分散対象ジョブを選択する、第2の画像形成手段に設けられた選択手段と、
前記選択手段により選択された1つの分散対象ジョブの内容を第1の画像形成装置で実行する内容と第2の画像形成装置で実行する内容とに分散させる、第1の画像形成装置または第2の画像形成装置に設けられた分散手段と、
分散手段により分散されたジョブを実行させる制御手段と、
を備えていることを特徴とする画像形成システム。 - 前記第1および第2の画像形成装置にそれぞれ設定されている通信エリア内で各画像形成装置と通信可能となるユーザ所有の携帯端末を備え、
前記携帯端末は、第2の画像形成装置との通信エリア内において、ジョブ識別情報もしくはジョブ登録ユーザ識別情報を第2の画像形成装置に送信する送信手段を備え、
前記第2の画像形成装置は、送信されてきた前記識別情報を基に分散対象ジョブを特定する特定手段を備えている請求項1に記載の画像形成システム。 - 前記分散手段は、最短時間で処理が終了するようにジョブの分散を提案する請求項1に記載の画像形成システム。
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