JP4122763B2 - 動物排泄物の処理方法及び処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、畜産農家や動物飼育施設において家畜や飼育動物から生じる糞尿等の動物排泄物の処理方法に関し、特に、動物排泄物を分解して堆肥を生成する動物排泄物の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、廃棄物の処理方法が開発されているが、家畜や飼育動物の糞尿等の排泄物は、一般廃棄物のように処理が進んでおらず、豚、牛、鶏など一部の動物についてのみ肥料化が行われているだけで、しかもその量は1〜2割程度である。畜産農家などにおいて生じる家畜排泄物の処理においては、100m2以下の小規模な畜産農家では個々に処理を行い、200m2以上の畜産農家では、排水基準が適用されるため、これに従って処理する必要がある。このような状況から、一般農家では農地に散布するのが現状であり、動物園や動物関連の学校等では処分が問題となっている。また、糞尿が山林等に不法投棄されることも増えている。このような状況において、農畜産施設や動物飼育施設、養魚場などから排出される糞尿等に起因する水質悪化や赤潮等の微小生物の異常発生が問題となり、水質総量規制における対策強化対象となっている。このため、このような動物の糞尿の処理を進行させる必要があり、動物の糞尿の処理を進行させる用途を開発し需要を拡大することが求められている。
【0003】
従来の畜産農家での家畜の糞尿処理は、糞と尿とを分離し、糞は、山積みにしてシャベル機などで切り返しを行いながら堆肥に発酵させて処理しており、得られる堆肥は農地に施与する。
【0004】
この処理形態には様々なものがあり、それにより処理時間も異なるが、通常、180日から5年もの長期間となる。比較的短期間での処理でも90日を要し、この場合、完熟した堆肥は得られない。また、糞が山積みになっている状態は、悪臭や地下水の汚染など周囲の環境条件の悪化を伴う。さらに、完熟していない堆肥は窒素分が多いため、田畑に施与すると窒素過多を生じ易いため、植物の成長にあまり適していない。
【0005】
また、尿については、生物処理を行っている畜産農家もあるが、思うように処理できないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、家畜排泄物を短期間で堆肥化処理でき、周囲へ悪臭などの害を及ぼすことなく、農地への施与に適した堆肥が得られる処理方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、短期間で処理可能な処理条件を見出し、本発明に係る排泄物の処理方法を成すに至った。
【0008】
本発明の一見地によれば、動物排泄物の処理方法は、動物排泄物と植物繊維質とを含む被処理物を、凹面側を進行方向に向けた屈曲羽を用いて攪拌して雰囲気との接触を促進しながら該被処理物の温度が43〜44℃になるように加熱する攪拌/加熱工程を有し、該攪拌は、該被処理物に対する微生物の作用によって該被処理物の温度が上昇して75℃以上になるまで継続することを要旨とする。
【0009】
上記被処理物の温度が75℃以上になった後に、前記被処理物を80℃以上に加熱する工程を有してよい。
【0010】
また、本発明の一見地によれば、動物排泄物の処理装置は、軸中心が水平になるように配置されて動物排泄物を含有する被処理物が収容される円筒形の処理槽と、該処理槽内で該軸中心と同軸状に回転する複数の攪拌羽根を有する攪拌装置と、温度調節された空気を前記処理槽に供給する送気装置とを有し、前記攪拌羽根は、凹面側を回転進行方向に向けた屈曲羽を有することを要旨とする。
【0011】
また、本発明の他の見地によれば、動物排泄物の処理装置は、動物排泄物を含有する被処理物が収容される処理槽と、該処理槽内で同軸状に回転する複数の攪拌羽根を有する該被処理物を攪拌するための攪拌装置と、温度調節された空気を前記処理槽に供給する送気装置とを有し、該攪拌羽の回転時に該被処理物の雰囲気との接触面において該攪拌羽の回転軸方向と平行の該被処理物の移動が生じるように当該複数の攪拌羽根がずれて配置され、前記攪拌羽根は、凹面側を回転進行方向に向けた屈曲羽を有することを要旨とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
畜産排水処理として、生物処理槽や充填剤などを用いて家畜の尿の処理を試行したが、排水処理基準値以下になるように処理することは極めて難しく、最終的には市水の投入によって基準値以下に希釈することが必要となった。そこで、糞尿を糞便と尿とに分離することなく処理する方法を試みたところ、堆肥化の進行や状態が攪拌によって大きく変化するが、状態によっては非常に早く処理ができ、空気との接触及び酸素の供給が重要であることが確認された。また、外気温度によっても大きく左右され、外気温度が低下する冬季においては処理速度が極度に低下することが確認された。このようなことを考慮した結果、条件設定を適切に行うことによって、3〜4日程度の短時間の処理で家畜や飼育動物等の排泄物を堆肥化できることが見出された。
【0013】
以下、本発明に係る家畜排泄物の処理方法について説明する。
【0014】
例えば反芻動物が植物質を摂食した場合、粉砕された植物質は唾液と混合される。植物質は主にセルロース、ペクチン、デンプン、若干のタンパク質及び脂質からなり、これらの成分は、消化器に共生する微生物(細菌及び原生動物)によって嫌気性条件下での発酵または代謝を介して脂肪酸、アミノ酸、アンモニアなどに分解される。従って、排泄物には、このような植物質成分の未消化(未分解)物や不完全分解物、吸収されずに排出される分解物、共生微生物の分解物などが含まれる。他の雑食性家畜の場合においても、基本的には同様で、餌の動物質の成分であるタンパク質及び脂質由来の差及び家畜の消化特性による差がある。
【0015】
通常、畜産農家や畜舎などでは、糞尿等の排泄物を回収し易くするために、藁、籾殻、チップ材(木質廃材)等のような植物繊維質を用いた敷設物が用いられ、排泄物は敷設物に吸収又は付着した状態で一緒に回収されるので、排泄物の処理はこのような敷設物の共存下で行われる。排泄物のC/N比(炭素/窒素比)は低く、植物繊維質のC/N比は高いので、両者の混合物はC/N比が適性に調整され、窒素、リン及びカリウムの3要素を含む植物の育成に適した良好な堆肥を効率よく得ることが可能である。
【0016】
本発明の排泄物処理方法では、まず、排泄物及び敷設物(以下、これらを併せて被処理物と称する)を処理槽に投入し、糞、尿及び植物繊維質ができる限り均質になるようによく混合して、次の堆肥化処理工程を開始する。
【0017】
堆肥化処理工程では、処理槽内の被処理物と雰囲気との接触が多くなるように攪拌しながら、被処理物の温度が約43〜44℃になるように加熱する。被処理物は粘性のある流動性の固液混合物であるので、バブリング等のような通常のエア供給による方法では空気との接触面積を大きくすることは難しく、また、空気が被処理物内でクローズドセル状態に保持され易い。このため、本発明では、攪拌羽(詳細は後記する)を用いて、空気がクローズドセル状態になり難いように被処理物を攪拌する。雰囲気との接触を多くすることにより、被処理物の酸素吸収を促進すると共に、処理の初期においては被処理物からのアンモニアの放出を容易にする。つまり、界面を挟む物質移動を促進する。処理槽外部の空気を処理槽へ供給して処理槽内の空気を排出することにより、処理槽内の雰囲気を徐々に新たな空気に置換する。空気の供給速度は、約1tの被処理物について、約0.5〜1.5m3/分が好ましい。外部より供給される空気は、43〜50℃、好ましくは44〜46℃程度に加熱され、被処理物を前述の温度に加熱するための熱媒体として利用される。堆肥化処理の進行を促進するためには、被処理物全体が一様に素早く目的温度に到達するような加熱手段を用いるのが好ましく、攪拌される被処理物に供給される空気を熱媒体とする加熱方法は、これに適したものである。処理槽の加熱による被処理物の加熱では、加熱速度が遅く局部過熱や温度のぶれが生じ易いので、あくまでも保温を目的として、43〜50℃、好ましくは44〜46℃程度に処理槽を加熱するのが望ましい。
【0018】
この処理工程の間に、以下の第1〜3段階が進行する。
【0019】
第1段階では、被処理物の加熱及び攪拌によって、被処理物に含まれるアンモニアが徐々に空気中に放出され、放出量は被処理物に最初に含まれるアンモニアの約40%に達する。アンモニアの放出と共に被処理物のpH値が低下して中性に近づき、被処理物の温度が上昇し始める。つまり、アンモニアの放出により微アルカリ性状態になることによって、細菌類、特に好気性菌及び通性嫌気性菌(バチルス、シュードモナス、エンテロバクター、ニトロソモナス、ニトロバクター、ズーグレアなど)の生育が活発化して有機物の分解、好気的発酵が進行し、この活動に伴う発熱によって温度が上昇する。被処理物が静置される場合には発熱は滞留しがちであるが、攪拌により拡散されるため温度は均一になり、有機物の分解も均一に進行する。第1段階の所要時間は約12〜24時間、概して約1日前後であり、この間に、被処理物の温度は徐々に上昇して約50〜55℃に達する。被処理物の温度が上昇しない場合には、被処理物のpH値の測定により攪拌が適切であるか確認し、適切である場合には強制的に約50〜55℃に加熱する。
【0020】
第2段階では、好気性菌(枯草菌、粘液細菌等のセルロース分解性菌など)及び通性嫌気性菌が活発に活動し、水分を含んだ敷設物の繊維質の分解が進行する。繊維質の分解には、被処理物の温度が約50〜55℃に上昇していることが必要であり、第1段階の適正な進行による温度上昇がなければ進行しない。第2段階の所要時間は約36〜48時間、概して約2日(48時間)前後であり、この間に、被処理物の温度は反応熱により更に上昇して、この段階の終了時には約75℃以上、概して約75〜77℃に達する。
【0021】
第3段階では、約75〜77℃の温度で更に微生物の活動が続き、残留アンモニアは多くが高温によって被処理物外に放出される。従って、被処理物中の含窒素成分は、硝化細菌によりアンモニアから生成される亜硝酸塩及び硝酸塩となり、被処理物は良好な堆肥となる。堆肥は、水分が気化することにより次第に粒状化する。この段階に要する時間は約12時間程度である。従って、上記1〜3段階の堆肥化処理に必要な時間は、約3.5〜4日、概して約3.5日(84時間)前後である。
【0022】
上記堆肥化処理工程で得られた堆肥に滅菌処理を施すと、施肥後の病原菌及び病害虫による被害を防止することができる。このような滅菌処理工程は、温度が75〜77℃の第3段階後の堆肥を外部から加熱して温度を約80℃以上、好ましくは約80〜85℃に上げることによって可能である。熱供給は、処理槽及びこれに供給する空気を上記温度に加熱することによって行われる。所要時間は約2〜3時間であるので、約3.5〜4日、概して約3.5日(84時間)前後で上記1〜3段階の堆肥化処理及び滅菌処理を行うことができる。
【0023】
動物の種類によって排泄物の内容に差があるが、牛類の排泄物は塩化ナトリウムの含有量が多く、これから得られる堆肥の塩分量も多くなる。これに関して、上記の排泄物処理法においてカルシウム、マグネシウム等を含むミネラル源を排泄物に添加して堆肥化すると、塩素分の一部は塩化カルシウム、塩化マグネシウム等に変換されるので、施肥後の土壌の塩害等を防止することができる。このようなミネラル源として、例えば、貝殻類などのカルシウム含有物が挙げられる。また、上記の排泄物処理方法において、木炭、竹炭などの炭化物を排泄物に添加することも非常に有効である。炭化物は、脱臭剤として処理中の排泄物の臭気を吸着し、被処理物の水分割合を適度に調節する働きをするので、得られる堆肥の品質を向上させる上でも有効である。また、施肥後の土壌中で有用微生物を適度に繁殖させる効果もある。
【0024】
上述の排泄物処理方法を実施するための装置は、上記堆肥化処理及び滅菌処理が行われる処理槽と、処理槽から排出されるアンモニアを含んだ排気を処理するための排気処理手段とが必要となる。この装置の一実施形態を図1を参照して説明する。
【0025】
図1の装置1は、中心軸が水平になるように設置された円筒形の処理槽3と、温度調節した空気を処理槽3へ供給するための送気部5と、処理槽3から排出される空気を処理するための排気処理部7とを有する。処理槽3は、同軸状に回転するように取り付けられた攪拌装置15を内部に有する。送気部5は、ヒータ及びポンプ(図示省略)を備え、排気処理部7は、水封タンク9と脱臭装置11とを備える。
【0026】
装置1において、処理槽3の軸方向中央部の頂部に設けられたホッパ13から処理槽3内に処理槽容量の6〜9割程度の容積の被処理物を投入すると、処理槽3内に同軸状に回転するように設けられた攪拌装置15によって攪拌され、送気部5でヒータによって温度調節されポンプによって送出された空気が、処理槽3の軸方向両端部の頂部に接続される配管17を介して処理槽3へ供給されて、攪拌される被処理物と接触する。
【0027】
処理槽3から排出される排気は、ホッパ13の首部に周設されて複数の枝管により首部の内側と連通する配管19a及びこれに接続される導管19を通って水封タンク9に導入される。水封タンク9内には処理水を収容する水槽と活性炭充填槽とが設けられており、排気を処理水と接触させた後に活性炭充填槽を通過させるように構成される。これにより、排気に含まれるアンモニア等の水溶性成分が処理水に吸収され、処理水に吸収されずに通過した残留分や水に不溶な有機成分は活性炭に吸着される。水封タンク9で処理された排気は、更に、配管21,23を介して脱臭装置11の2つの直列接続された脱臭カラム25a,25bに送られ、排気に残留する微量の気化臭気成分を除去する。処理槽3から水封タンク9及び脱臭装置11への排気の送出は、シロッコ型の送風器27によって付勢される。
【0028】
処理槽3の外周部はヒータ及びセンサーが取り付けられ、断熱材で被覆され、処理槽3内を所望の温度に加熱・保持可能に構成される。加熱温度はヒータの制御によって調節される。送気部5から供給される空気の温度は、送出部5のヒータの制御によって調節され、被処理物の温度制御は、送気部5から供給される空気の温度制御によって実質的に行われ、空気温度は、被処理物の目的温度より1〜数℃高い温度に設定すると好ましい。
【0029】
上述の排泄物の処理方法を実施する上では、被処理物と雰囲気との接触を多くすることが重要である。通常の場合、空気との接触面積を多くするには、激しい攪拌を行うか、あるいは、被処理物を流動させる方法を採用するが、これらは本発明においては微生物の生育及び活動を阻害する恐れがあるため、さほど好ましい方法ではなく、被処理物からのアンモニア放出が難しくなる。このため、本発明で用いる処理槽3は、微生物を繁殖させながら雰囲気との接触を多くすることを可能とするために、以下に説明するような特定の構造を有する攪拌装置15を備えている。
【0030】
図2は、処理槽3の内部を示すために処理槽3の中央部を切り欠いた斜視図である。攪拌装置15は、処理槽3の軸中心に沿って軸支され外部モータの動力を駆動源として回転される駆動軸29と、駆動軸29に固定される複数の攪拌羽31とを有し、攪拌羽31は、互いの軸方向の間隔が一定になるように配置される。
【0031】
各攪拌羽31は、図3に示すように、120度間隔で駆動軸29から放射方向に延伸する3つの羽軸33と、各羽軸33の先端部及び中央部に取り付けられる6つの屈曲羽35とを有する。屈曲羽35は、長方形を長軸方向中央位置で短軸方向に約135度の角度で屈曲させた対称形状に作製され、駆動軸29の回転時に羽軸33が進行する方向に屈曲羽35の凹面側を向けて羽軸33に固着される。従って、駆動軸が回転すると、屈曲羽35は凹面側に空気を保持しながら被処理物中に浸入するが、空気は屈曲羽35が被処理物に進入する間に容易に被処理物から離脱するので、内部の被処理物が空気と接触し易いが、攪拌抵抗は比較的小さい。しかも、屈曲羽35が浸入した直後の被処理物の表面形状の変化が大きく雰囲気との接触が多い。屈曲羽35は、羽軸33対して垂直に屈曲羽35に立設するリブ37によって補強される。
【0032】
上記のように、軸中心が水平な円筒形状の処理槽内で同軸状に回転する攪拌羽を用いることにより、雰囲気と接触する上面部分に位置する被処理物は常に置き変わり、雰囲気との接触効率が良い。
【0033】
本発明における攪拌装置15は、攪拌羽31の羽軸33の延伸方向の設定に特徴がある。詳細には、6つの攪拌羽31を1組として羽軸33の延伸方向が周期的に変化するように配置され、第1の攪拌羽31の羽軸の位置を回転角度で0度とすると、第2〜第6の攪拌羽31の羽軸位置は、順に、30度、−30度、10度、−10度及び60度だけ各々ずれている。つまり、攪拌羽31の位置は、整列せずにずらして配置されている。このように攪拌羽の回転方向の配置がずれた攪拌装置15を駆動すると、被処理物が駆動軸29の周囲を回転移動するだけでなく、被処理物の上面(雰囲気との接触界面)部分に対して軸方向と平行な引っ張り力及び押圧力が交互に作用して軸方向と平行な移動が生じる。図3のような配置では、被処理物の上面部分が軸方向に集中・拡散を繰り返すような規則的且つ周期的な往復揺動が見られるようになる。この結果、被処理物の雰囲気との接触部分が常に置き変わり、雰囲気と接触する部分が多くなる。
【0034】
図3のような攪拌羽を用いずに被処理物の上面部分を軸方向に移動させることは可能であり、例えば、一般的な整列した攪拌羽を用いて攪拌すると共に、処理槽自体を軸中心方向に揺動させたり傾斜させることによって軸中心方向と平行な力を被処理物に作用させ、類似の被処理物の流れを生じさせることができる。あるいは、処理槽の軸方向両端にポンプ等を設置して被処理物を吸引又は放出して上面部分が軸中心と平行に動くように処理槽内を還流させるようにしてもよい。
【0035】
【実施例】
以下、実験結果に基づいて、本発明をさらに詳細に説明する。
【0036】
(実施例)
スクレイパーを用いて牛40頭から回収した糞尿と藁との混合物である非処理物約2tを図1の処理装置1のホッパ13から処理槽3に投入して貝殻3kg及び木炭3kgを添加し、攪拌装置15を駆動して3時間程度均一に混合した。
【0037】
この後、攪拌装置15の回転速度を10回/分に調節して、処理槽3の温度を約45℃に保温し、45℃程度に温度調節された空気を約2m3/分の速度で送気部5から送出して配管17を介して処理槽3へ供給し、攪拌される被処理物と接触させた。また、送風器27を駆動して、処理槽3内の排気を水槽及び活性炭槽を有する水封タンク9及び活性炭脱臭カラムによる脱臭装置11へ導入した。被処理物の攪拌及び加熱空気の供給は2日間継続した。この間の被処理物の温度は、初期において43〜44℃であったが、徐々に上昇して約1日経過後に約50℃に達し、さらに約2日経過すると約75℃に達した。また、この間の処理槽からの排気は、処理開始から約1日までは多量のアンモニアを含んでいたが、その後急激に減少し少なくなった。
【0038】
被処理物の温度が約75℃の状態でさらに約12時間攪拌した後、送気部5から送出する空気及び処理槽3の温度を約80℃に加熱して被処理物の攪拌を約2時間継続し、攪拌及び加熱を止めて放冷し処理を終了した。
【0039】
上記の処理により得られた堆肥の組成は、分析により、水分量36.6重量%、窒素(N)量1.62重量%、燐酸(P2 O5 )量2.20重量%、カリ(K2 O)量3.50重量%、ナトリウム(Na)0.68重量%であり、pH(乾物:水=1:10)は9.1、全炭素(C)は22.1重量%、炭素率(C/N)は13.6重量%であった。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、農畜産製品の製造に伴って生じる動物排泄物を、悪臭などの害を生じることなく短時間で処理し堆肥化することが可能となる。従って、廃棄物の循環再利用を促進することができ、その工業的価値は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る排泄物の処理装置の一実施形態を示す概略構成図。
【図2】図1の処理装置の攪拌装置の構成を説明するために一部を省略した処理槽の斜視図。
【図3】図2の攪拌装置の攪拌羽を示す斜視図。
【符号の説明】
1 処理装置、 3 処理槽、 5 送気部、 9 水封タンク、
11 脱臭装置、 13 ホッパ、 15 攪拌装置、 27 送風器、
29 駆動軸、 31 攪拌羽、 33 羽軸、 35 屈曲羽、
37 リブ
Claims (4)
- 動物排泄物と植物繊維質とを含む被処理物を、凹面側を進行方向に向けた屈曲羽を用いて攪拌して雰囲気との接触を促進しながら該被処理物の温度が43〜44℃になるように加熱する攪拌/加熱工程を有し、該攪拌は、該被処理物に対する微生物の作用によって該被処理物の温度が上昇して75℃以上になるまで継続することを特徴とする動物排泄物の処理方法。
- 前記被処理物の温度が75℃以上になった後に、前記被処理物を80℃以上に加熱する工程を有することを特徴とする請求項1記載の処理方法。
- 軸中心が水平になるように配置されて動物排泄物を含有する被処理物が収容される円筒形の処理槽と、該処理槽内で該軸中心と同軸状に回転する複数の攪拌羽根を有する攪拌装置と、温度調節された空気を前記処理槽に供給する送気装置とを有し、前記攪拌羽根は、凹面側を回転進行方向に向けた屈曲羽を有することを特徴とする動物排泄物の処理装置。
- 動物排泄物を含有する被処理物が収容される処理槽と、該処理槽内で同軸状に回転する複数の攪拌羽根を有する該被処理物を攪拌するための攪拌装置と、温度調節された空気を前記処理槽に供給する送気装置とを有し、該攪拌羽の回転時に該被処理物の雰囲気との接触面において該攪拌羽の回転軸方向と平行の該被処理物の移動が生じるように当該複数の攪拌羽根がずれて配置され、前記攪拌羽根は、凹面側を回転進行方向に向けた屈曲羽を有することを特徴とする動物排泄物の処理装置。
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