JP3735632B2 - 堆肥の製造方法及び装置 - Google Patents
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Description
本発明者が住む日本国沖縄県では、サトウキビの収穫量が年々少なくなっている。これは、土壌が化学肥料や除草剤等で汚染されていることはもとより、大量のケイ素がその他の微量元素と共に土壌から流出したり作物によって持ち出されるために土壌中に不足しており、全体的に地力が低下していることが原因であると思われる。
なお、糞尿等の有機廃棄物の処理をするために、従来から実に様々な方法が提案され実施されてきたが、ケイ素を含むウォラストナイトを使用して有機質肥料を得る方法はすでに提案されている(特許文献1参照)。
本発明は、家畜の糞尿や人糞尿等、含水率の高い有機廃棄物から得られた堆肥、及び含水率の高い有機廃棄物を処理して堆肥をつくるにあたり、処理量の多い実施化レベルにおいても、確実に発酵させて堆肥をつくることができる堆肥の製造方法及び装置を提供することを目的とする。
第1の発明にあっては、
家畜の糞尿や人糞尿など含水率の高い有機廃棄物にウォラストナイトを混合し、次いで濃硫酸を混合し反応させて固化または粒状化した混合物を得、
上記混合物を有効微生物が繁殖できる温度まで冷却したものに発酵が良好な状態で進むように有機廃棄物を加熱油で油浸処理し含水率を低下させて減容化し油切りをした加熱油浸処理物を15〜25重量%混合したもの、または上記混合物に発酵が良好な状態で進むように上記加熱油浸処理物を15〜25重量%混合した後有効微生物が繁殖できる温度まで冷却したもの、
を培地として有効微生物を加えて発酵させることを特徴とする、
堆肥の製造方法である。
亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、鉄(Fe)のうち、選ばれた1または2以上を添加することを特徴とする、
第1の発明に係る記載の堆肥の製造方法である。
家畜の糞尿や人糞尿など、含水率の高い有機廃棄物を供給する有機廃棄物供給装置と、
ウォラストナイト供給装置と、
濃硫酸供給装置と、
供給された有機廃棄物とウォラストナイトを混合する有機廃棄物攪拌装置と、
有機廃棄物攪拌装置で混合した混合物と供給された濃硫酸を混合し反応させる反応装置と、
有機廃棄物を加熱油で油浸処理し含水率を低下させて減容化し油切りをしたものを供給する加熱油浸処理物供給装置と、
反応装置で得られたものと加熱油浸処理物供給装置から供給されるものの混合物に有効微生物を加えて発酵させる発酵装置と、
を備えており、
上記ウォラストナイト供給装置は、少なくとも複数設けられている有機廃棄物攪拌装置と連通し、各有機廃棄物攪拌装置へウォラストナイトを選択的に供給するとともに供給する部分から有機廃棄物攪拌装置内の臭気が外部へ漏れないようにした分給装置を有していることを特徴とする、
堆肥製造装置である。
また、ウォラストナイトが25重量部を超えるか濃硫酸が15重量部を超えても、固化または粒状化の程度や反応温度にほとんど違いはないので、ウォラストナイトや濃硫酸が過剰な分だけ無駄になる。また、ウォラストナイトが25重量部を超えると、固くなりすぎて処理が困難になる傾向がある。
連作障害等、堆肥が土壌に悪影響を与えないようにするためには、加熱油で油浸処理して含水率を低下させたものの油の含有率は5%以下が好ましい。油の含有率はこれに限定はされない。
加熱油浸処理には、一般的な油が使用される。使用される油は、油が堆肥に含まれて使用されることを考えれば、環境保全の観点から安全で問題が生じにくい植物油(なたね油等)や動物油(ラード等)であるのが好ましい。
加熱油で油浸処理する装置は、有機廃棄物を常圧下で処理するものでもよいし、常圧より高圧下で常圧の場合より高温で処理するものでもよい。また、常圧より低圧下で常圧の場合より低温で処理するものでもよい。
本発明は次のように作用する。
糞尿等の含水率の高い有機廃棄物と、厨芥等の有機廃棄物を加熱油で油浸処理して含水率を低下させたものをそれぞれタンク等の貯留部に適量貯留しておく。また、ウォラストナイトと濃硫酸もタンク等の貯留部に適量貯留しておく。そして、例えばウォラストナイトに適量の亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、鉄(Fe)のうち、選ばれた1または2以上を添加しておく。
有機廃棄物攪拌装置で混合・攪拌した混合物に濃硫酸を混合し反応装置内で攪拌し反応させる。
この反応(ウォラストナイトと濃硫酸の反応)により、混合物はごく短時間で固化または粒状化し、併せて糞尿等の有機廃棄物特有の臭気も改善される。また、反応熱が生じ、混合物の温度は、条件により異なるが、例えば75〜85℃になり、これによって混合物に存在していた病原菌等の有害菌を含む雑菌はほとんどが死滅する。
なお、混合したものの発酵装置への搬送は、例えばスクリューコンベヤやベルトコンベヤ等の各種コンベヤを使用したり、輸送コンテナ等の容器を天井クレーンを使用して搬送する等して行われる。
更には、濃硫酸がスクリューコンベヤの搬送基部(搬送前部)で混合されることにより、混合物は搬送後部(出口側)に送られるまでには十分に攪拌されることになり、ウォラストナイトと濃硫酸は比較的早い反応を示すが、全体的にほぼ均一な固化と粒状化が可能である。これにより、効率的な堆肥製造が可能になる。
また、有機廃棄物の臭気が実質的に外部に漏れないので、悪臭により作業環境が悪化することや周辺地域に迷惑がかかることも防止できる。
(a)本発明によれば、家畜の糞尿や人糞尿等、含水率の高い有機廃棄物をウォラストナイトと濃硫酸の反応を利用し固形化または粒状化処理した混合物に、有機廃棄物を加熱油で油浸処理して含水率を低下させたものを所要の割合で混ぜ、更に有効微生物を加えることにより、処理量の多い実施化レベルにおいても良好な状態で発酵させて堆肥を得ることができる。
また、例えば生の豚糞尿や人糞尿等の有機廃棄物の臭気が実質的に外部に漏れることはないので、悪臭により作業環境が悪化することや周辺地域に迷惑がかかることも防止できる。
図1は本発明に係る堆肥製造プラントの概略を示す平面図、
図2は本発明に係る堆肥製造プラントの一部を拡大した概略平面図、
図3は図2の概略側面図である。
図2、図3において、反応装置2は、便宜上、フレーム9の外側に表している。図3においては、ウォラストナイト供給装置7の一部及び濃硫酸供給装置8の図示は省略している。
図5は有機廃棄物攪拌装置の構造を示す平面視説明図、
図6は有機廃棄物攪拌装置の構造を示す側面視説明図、
図7は図4におけるA−A部分断面図である。
図8は二基の有機廃棄物攪拌装置にウォラストナイトを選択的に投入するロータリーバルブ装置の一部断面説明図、
図9は反応装置の構造を示す断面説明図である。
図4ないし図8を主に参照する。
有機廃棄物攪拌装置1、1aはフレーム9の内部側の上部に設けてある。有機廃棄物攪拌装置1、1aには、有機廃棄物供給装置6から糞尿が供給され、ウォラストナイト供給装置7からウォラストナイトが供給される。有機廃棄物供給装置6とウォラストナイト供給装置7(いずれも図2に図示)については後で説明する。
有機廃棄物攪拌装置1、1aは、それぞれ攪拌タンク10と、攪拌タンク10に設けてある攪拌機12とを有している。
攪拌タンク10は、円筒形で上部と下部が本質的に密閉された(各導入口、排出口は除く)タンクである。
攪拌タンク10の底面板105の中央部には排出管106が設けてあり、排出管106には、バルブ107を介在させて送給管108が接続されている。
なお、送給管108は、他方の有機廃棄物攪拌装置1aの送給管108と接続合流させてあり、後述する反応装置2に供給管109によってつながれている。
なお、攪拌スクリュー122は糞尿を上方向へ送るよう回転するようにしてあるので、攪拌効率をよくするためには攪拌スクリュー122の高さを下側に位置させるのが望ましいが、その高さを限定するものではない。
有機廃棄物供給装置6は、密閉型のタンク60を有している。タンク60と上記各攪拌タンク10間には、タンク60内部の糞尿を各攪拌タンク10へ送給するための送給管61が設けてある。送給管61の経路中には、ポンプ(図示省略)が設けてある。また、タンク60内部の臭気は、ブロワ650を有する送給管65を通り、後述する発酵装置4の発酵槽40底部へ送られるようにしてある。
ウォラストナイト供給装置7は、密封型のウォラストナイトタンク70と、攪拌タンク10の上部に設けてある分給装置72を有している。
分給装置72は、ウォラストナイトを下方へ落とすサイクロン73の下部の排出管730に設けてある。サイクロン73の上部には、導入されたウォラストナイトを内部で散らすブロワ731が設けてある。
分給装置72は、各有機廃棄物攪拌装置1、1aへウォラストナイトを選択的に供給するとともに供給する部分から有機廃棄物攪拌装置1、1a内の臭気が外部へ漏れないようにするものである。
また、排出口724、725には排出管724a、725aが設けてある。排出管724a、725aには、それぞれ下部側が「く」状に曲がった連結管112が接続されている。連結管112の下端部は、上記した各攪拌タンク10の導入管102に接続されている。
この切替弁726の回転(回動)により、導入側となる排出口724または排出口725を切り替えることができる。
なお、切替弁726の回動と回転弁727の回転は、図示していない制御手段により制御される。
図9を主に参照する。図9(a)は全体の説明図、(b)は分岐管の接続部構造を示す断面説明図である。
反応装置2は、有機廃棄物攪拌装置1、1aの下方に設けてある。反応装置2は水平に設けられたスクリューコンベヤ20を有している。スクリューコンベヤ20は円管201とスクリュー202を有し、スクリュー202はモータ21により回転駆動される。円管201の先端部には接続管26が設けてある。また、円管201は固定金具25により底板94に固定されている。
加熱油浸処理物供給装置3は有機廃棄物攪拌装置1、1aの後方(図2において上側)に配置してある。
本実施の形態では、加熱油浸処理物供給装置3として、油温減圧式乾燥装置(TEMPLAR−M21:株式会社プロレックス製)を採用している。なお、加熱油浸処理物供給装置3としては、各種有機廃棄物を加熱油で油浸処理して含水率を低下させることができる機能を有しているものであれば、他の装置を採用することもできる。
加熱油浸処理物供給装置3は、(1)原料ライン、(2)乾燥ライン(加熱油浸処理ライン)、(3)搾油・精製ライン、(4)製品ライン、(5)真空ライン、(6)脱臭ライン、(7)蒸気ラインで構成されている。なお、加熱油浸処理物を後工程へ送るためのスクリューコンベヤ等の搬送装置を設けることもできる。
図1を参照する。
図1に示すように、発酵装置4は、有機廃棄物攪拌装置1、1aと離れた箇所に設けてある。発酵装置4は、発酵槽40と、発酵槽40の側壁に沿って往復移動して内部の混合物を攪拌し、排出側へ送る移動攪拌装置41を備えている。発酵槽40内では、処理物とともにタンク60から送られる臭気も一緒に発酵処理される。
なお、発酵槽40と移動攪拌装置41を有する発酵装置4は、公知の一般的な構造であるので、詳細な説明については省略する。
図1ないし図9を参照し、処理の対象物として含水率の高い豚糞尿または人糞尿を処理する場合を例にとり、堆肥製造プラントPの作用を説明する。
糞尿をタンク60に適量貯留しておく。また、ウォラストナイトをウォラストナイトタンク70に適量貯留し、濃硫酸も濃硫酸タンク80に適量貯留しておく。ウォラストナイトには、適量(通常は微量でよい)の亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、鉄(Fe)のうち、選ばれた1または2以上を添加しておく。これは、堆肥中に十分なミネラルを補給するためである。なお、通常は上記の全種類を添加するのが好ましいが、施肥する土壌の状態等に合わせて適宜選択したものを添加してもよい。また、その配合割合も適宜調整でき、特に限定はされない。
濃硫酸供給装置8により供給される濃硫酸は、反応装置2の硫酸導入管23に注入管83により相対向する二方から注入される。濃硫酸は、糞尿100重量部に対し、8重量部の割合で配合される。
混合物と濃硫酸が混合・攪拌されることにより、混合物に混じっているウォラストナイトと濃硫酸が化学反応を起こす。
この反応により、混合物はごく短時間で固化または粒状化し、併せて糞尿特有の臭気も改善される。また、反応熱が生じ、混合物の温度は75〜85℃になり、混合物に存在していた病原菌等の有害菌を含む雑菌はほとんどが死滅する。
この理由は定かでないが、加熱油浸処理物に多く含まれる窒素か、あるいは加熱油浸処理物に多く含まれる蛋白質が濃硫酸で分解されてできるアミノ酸が有効微生物の活動に必要なエネルギーを補給しているためであろうと思われる。
豚糞尿処理物は、いずれの実験例においても、豚糞尿100重量部に対し、ウォラストナイト25重量部を混合し、次いで濃硫酸15重量部を混合し反応させて粒状化させた混合物を使用した。
表1に示した実験例1においては、余剰汚泥を加熱油浸処理物の原料とした。また、表2に示した実験例2では、厨芥を加熱油浸処理物の原料とした。
(混合物重量(比率))
豚糞尿処理物 240kg(50%)
戻し堆肥 120kg(25%)
加熱油浸処理物(余剰汚泥を処理) 120kg(25%)
表1から分かるとおり、余剰汚泥を加熱油浸処理物の原料とした実験例1では、培地となる混合物に有効微生物を加えた翌々日、つまり二日後には急激に温度が上昇し、発酵が確認された。
以降、良好な状態で発酵が進み、七日目にはほぼ完熟した。
(混合物重量(比率))
豚糞尿処理物 120kg(50%)
戻し堆肥 60kg(25%)
加熱油浸処理物(厨芥を処理) 60kg(25%)
表2から分かるとおり、厨芥を加熱油浸処理物の原料とした実験例2では、培地となる混合物に有効微生物を加えた翌日、つまり一日後には急激に温度が上昇し、発酵が確認された。
以降、全般的に天気は悪かったが良好な状態で発酵が進み、十一日目にはほぼ完熟した。
1、1a 有機廃棄物攪拌装置
10 攪拌タンク
101 上面板
102 導入管
103 ハッチ
104 取付管
105 底面板
106 排出管
107 バルブ
108 送給管
109 供給管
110 側面板
111 ステー
112 連結管
12 攪拌機
120 モータ
121 回転軸
122 攪拌スクリュー
123 攪拌制御体
2 反応装置
20 スクリューコンベヤ
201 円管
202 スクリュー
21 モータ
22 導入管
23 硫酸導入管
230 側壁
231 邪魔板
24 継手
25 固定金具
26 接続管
27 スクリューコンベヤ
3 加熱油浸処理物供給装置
4 発酵装置
40 発酵槽
41 移動攪拌装置
5 輸送用コンテナ
6 有機廃棄物供給装置
60 タンク
61 送給管
62 切替バルブ
63、64 送給管
65 供給管
650 ブロワ
7 ウォラストナイト供給装置
70 ウォラストナイトタンク
71 送給コンベヤ
72 分給装置
720 ハウジング
721、722 周壁
723 導入口
724、725 排出口
723a 導入管
724a、725a 排出管
726 切替弁
726a 短弁部
726b 長弁部
727 回転弁
727a 回転軸管
727b 弁板
73 サイクロン
730 排出管
731 ブロワ
8 濃硫酸供給装置
80 濃硫酸タンク
81 送給管
82 ポンプ
83 注入管
830 分岐管
9 フレーム
90 支柱
91 連結部材
94 底板
92 作業足場
93 手摺り
Claims (3)
- 家畜の糞尿や人糞尿など含水率の高い有機廃棄物にウォラストナイトを混合し、次いで濃硫酸を混合し反応させて固化または粒状化した混合物を得、
上記混合物を有効微生物が繁殖できる温度まで冷却したものに発酵が良好な状態で進むように有機廃棄物を加熱油で油浸処理し含水率を低下させて減容化し油切りをした加熱油浸処理物を15〜25重量%混合したもの、または上記混合物に発酵が良好な状態で進むように上記加熱油浸処理物を15〜25重量%混合した後有効微生物が繁殖できる温度まで冷却したもの、
を培地として有効微生物を加えて発酵させることを特徴とする、
堆肥の製造方法。 - 亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、鉄(Fe)のうち、選ばれた1または2以上を添加することを特徴とする、
請求項1記載の堆肥の製造方法。 - 家畜の糞尿や人糞尿など、含水率の高い有機廃棄物を供給する有機廃棄物供給装置(6)と、
ウォラストナイト供給装置(7)と、
濃硫酸供給装置(8)と、
供給された有機廃棄物とウォラストナイトを混合する有機廃棄物攪拌装置(1,1a)と、
有機廃棄物攪拌装置(1,1a)で混合した混合物と供給された濃硫酸を混合し反応させる反応装置(2)と、
有機廃棄物を加熱油で油浸処理し含水率を低下させて減容化し油切りをしたものを供給する加熱油浸処理物供給装置(3)と、
反応装置(2)で得られたものと加熱油浸処理物供給装置(3)から供給されるものの混合物に有効微生物を加えて発酵させる発酵装置(4)と、
を備えており、
上記ウォラストナイト供給装置(7)は、少なくとも複数設けられている有機廃棄物攪拌装置(1,1a)と連通し、各有機廃棄物攪拌装置(1,1a)へウォラストナイトを選択的に供給するとともに供給する部分から有機廃棄物攪拌装置(1,1a)内の臭気が外部へ漏れないようにした分給装置を有していることを特徴とする、
堆肥製造装置。
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