JP4122207B2 - 排水中の金属除去方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクリル酸の製造プロセスで生じる廃液中の金属の除去方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アクリル酸の製造において、触媒として酸化モリブテンを成分として含有する固体触媒が、助剤として銅化合物が、使用されることが多く、アクリル酸の製造プロセスで生じた廃液中には、上記の金属が含まれている。
【0003】
一般に、アクリル酸の製造プロセスで生じた廃液中の金属除去方法としては、例えば次のような方法がある。(1)廃液のpHを調整し、析出剤を加え、次いで凝集剤を加え、沈降させた固形分をフィルタープレスないし遠心分離器で分離する方法、(2)更に吸着剤、イオン交換樹脂と組み合わせて金属を除去する方法。
【0004】
一方、アクリル酸の製造プロセスで生じた廃液には、酢酸やアルデヒド類等の様々な有機物質が含まれているため、これら有機物質を湿式燃焼又は湿式酸化させることにより、無害な炭酸ガス、水等に変換させる方法がとられている。しかし、有機物質を無害化しても、廃液中に含まれていた金属は処理液の排水中にそのまま混入してくる。
【0005】
上記のような従来の廃液中の金属除去方法においては、湿式燃焼、湿式酸化処理された排水を対象とした手法ではないため、排水に対して上記方法を用いても、排水特有の性状に基づく、金属除去における効率の低下、具体的には使用する薬剤量や残存する金属濃度が通常と比較して増加するという問題点があった。
【0006】
なお、「湿式燃焼」とは、廃液を燃焼処理するとともに燃焼により生じたガスをアルカリ水溶液で捕集することにより、NOX,SOXの発生を抑える廃液の処理方法の一つである。「湿式酸化」とは、高温・高圧下の水に処理する廃液を供給し、さらに酸素を供給することで、廃液を酸化処理することによる廃液の処理方法の一つである。
【0007】
但し、アクリル酸含有廃液のような酸性物質を含む廃液については、予めアルカリによって中和してから処理装置に供給するのが一般的である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、アクリル酸の製造プロセスで生じた排水中の金属を効率的に除去する方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点を解決するため、各種の検討を行った結果、アクリル酸の製造プロセスで生じた廃液の少なくとも一部を湿式燃焼又は湿式酸化処理して発生した排水中の金属を除去する方法において、排水中に存在する金属の析出工程を多段階にすることにより、効率的に金属を除去できることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)プロパン、プロピレンおよび/またはアクロレインの接触気相酸化によりアクリル酸を生成し、蒸留により該アクリル酸を精製する工程を含むアクリル酸製造プロセスにより生成したアクリル酸製造廃液の少なくとも一部を湿式燃焼又は湿式酸化処理して発生した排水中の金属を除去する方法であって、
下記工程(a)〜(c)を含むことを特徴とするアクリル酸製造排水中の金属の除去方法:
(a)前記排水中の固形分を除去する工程、
(b)前記(a)工程で得られた処理液から炭酸イオン及び炭酸塩を除去する工程、
(c)前記(b)工程で得られた処理液から金属を除去する工程。
(2)前記(c)工程で除去される金属がモリブテン及び/又は銅である(1)のアクリル酸製造排水中の金属除去方法。
(3)前記(a)工程と同時又は(a)工程終了後、(b)工程に先立って銅を除去し、前記(c)工程で除去される金属がモリブテンであることを特徴とする(1)のアクリル酸製造排水中の金属除去方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明は、プロパン、プロピレンおよび/またはアクロレインの接触気相酸化によりアクリル酸を生成したアクリル酸製造廃液の少なくとも一部を湿式燃焼又は湿式酸化処理して発生した排水中の金属を除去する方法であって、
下記工程(a)〜(c)を含むことを特徴とするアクリル酸製造排水中の金属の除去方法である:
(a)前記排水中の固形分を除去する工程、
(b)前記(a)工程で得られた処理液から炭酸イオン及び炭酸塩を除去する工程、
(c)前記(b)工程で得られた処理液から金属を除去する工程。
【0013】
本発明におけるアクリル酸製造排水は、プロパン、プロピレンおよび/またはアクロレインの接触気相酸化によりアクリル酸を生成し、蒸留により該アクリル酸を精製する工程を含むアクリル酸製造プロセスにより生成したアクリル酸製造廃液の少なくとも一部を湿式燃焼又は湿式酸化処理して発生したものである。
【0014】
アクリル酸の製造プロセスで生じた廃液には、酢酸やアルデヒド類等の様々な有機物質が含まれているため、これら有機物質を湿式燃焼又は湿式酸化させることにより、無害な炭酸ガス、水等に変換させる方法がとられている。
【0015】
「湿式燃焼」とは、廃液を燃焼処理するとともに燃焼により生じたガスを、苛性ソーダ等のアルカリ水溶液で捕集することにより、NOX,SOXの発生を抑える廃液の処理方法の一つである。アルカリ水溶液として苛性ソーダが使用された場合、排水中にも苛性ソーダが存在し、さらに燃焼で生成した多量の炭酸ガスが炭酸ナトリウムなどの形態で存在する。
【0016】
「湿式酸化」とは、高温・高圧下の水に処理する廃液を供給し、さらに酸素を供給することで、廃液を酸化処理することによる廃液の処理方法の一つである。酸性物質を含む廃液を湿式酸化処理する場合は、装置の腐食防止のため中和用に苛性ソーダ等を使用するのが一般的であるが、この場合は湿式燃焼の場合と同様、排水中に、多量の炭酸ガスが炭酸ナトリウムなどの形態で溶解してくる。
【0017】
上述したようにアクリル酸の製造において、触媒成分の一部として酸化モリブテンが、精製用の助剤として銅化合物が使用されることが多く、アクリル酸の製造プロセスで生じた廃液中には、上記の金属が含まれている。該廃液を湿式燃焼、湿式酸化処理して発生した排水にも、当然、モリブテン、銅の金属が含有されることになるが、通常の水からこれら金属を除去する場合に比べて、この排水からこれらの金属を除去することは困難である。これは、湿式燃焼、湿式酸化に由来する、排水中に存在する多量の炭酸イオン及び炭酸塩に起因するためである。
【0018】
廃液の湿式燃焼、湿式酸化処理は、通常の方法により行われるものである。
【0019】
湿式燃焼、湿式酸化処理により得られた排水は、特に制限されるものではないが、通常以下の組成を持つものである。
【0020】
排水中の金属の一つである銅は、通常その総量が40〜500重量ppm、溶解分が10〜80重量ppm、固形分の主体は、銅塩及び銅酸化物である。
【0021】
排水中の金属の一つであるモリブデンは全て溶解しており、通常濃度は3〜50重量ppmである。
【0022】
炭素微粒子は、1重量ppm未満だが、非定常的に数重量ppmに増加することがある。
【0023】
ナトリウムは0.2〜8重量%であり、主要な形態は炭酸ナトリウム及び苛性ソーダとして存在する。
【0024】
処理後の排水のpHは8〜10.2であり、湿式燃焼、湿式酸化処理され生じた排水の排出時の温度は一般に80℃以上である。
【0025】
本発明は、上記湿式燃焼又は湿式酸化処理して生じた排水を以下の工程に従って処理することにより、効率よく排水中の金属を除去する方法である。
【0026】
本発明における上記(a)工程の排水中の固形分を除去する工程とは、好ましくは固形分として存在する銅を凝集・沈殿させて、固液分離を容易にし、処理液(以下、固形分を除去して得られた処理液を「処理液1」という)を得る工程である。例えば、排水をそのまま沈殿槽に用いて、排水に含有されている固形分を沈降させて濾別により除去したり、又は排水に凝集剤を添加して固形分を発生させ、該固形分を沈殿槽を用いたり、膜分離等を用いて除去して、処理液1を得ることが可能である。
【0027】
排水中に存在する固形分は、銅に由来するものが主であり、具体的には、Cu2O、Cu2(CO3)(OH)2、CuO、Cu等である。
(a)工程において、固形分を発生させる方法として、より金属濃度を低くする為、析出剤と併用するのが一般的であるが、析出剤との併用ではなく凝集剤のみを用いる理由は、析出剤により溶液中の銅分を析出させても、別の形態(例えば炭酸銅)で固体として存在している銅分が溶解してしまい、結果的に溶液中の銅濃度は殆ど下がらないためである。銅濃度を下げるためには、溶解している銅の濃度に対して大過剰の析出剤を加えねばならないことから、(a)工程において析出剤を用いることは期待するほどの効果を得られないことが多く、経済的に不利である。
【0028】
(a)工程に用いられる凝集剤としては、カチオン系高分子凝集剤が好ましい。具体例としては、ダイヤクリヤーMK、MK5000(ダイヤニトリックス(株)製)、アロンフロックC−302、C−303(東亜合成(株)製)、NALCO1450、1460(ナルコ・ジャパン(株)製)等が挙げられる。排水に添加する凝集剤の添加量は、0.001〜2重量%が好ましい。
【0029】
(a)工程に用いられる沈殿槽は、凝集剤を添加して生成した固体分を分離する為の槽である。発生した固体は通常、数分で沈降する。(a)工程において、固形分と液体を完全分離する必要はなく、大半の固体を除去すればよい。
【0030】
本発明において用いられる沈殿槽としては、底部にコーン部(円錘形部)を有する円筒型の容器や円筒形又は多角柱形の容器内に複数の傾斜板を設けたものが例示できる。
【0031】
この操作で銅濃度は10〜30重量ppm程度に減少する。モリブデンの濃度は変化しない。
【0032】
沈殿槽を用いた方法でなく膜分離による場合、微粒子まで捕捉しなくてもよい。溶解している銅濃度が10重量ppm以上あるので効果は低いからである。本発明において用いられる膜分離のための手段としては、中空糸膜による濾別法などがあり、具体的には(株)クラレ製のクラレSFフィルターや旭化成工業(株)製のマイクローザMFなどが挙げられる。
【0033】
上記のようにして処理液1を得る。また(a)工程において、固形分を除去する操作は一度でもよいが、複数回行うことが好ましい。そうすることにより、さらに銅濃度を低くすることができる。
【0034】
(a)工程において固形分を除去する工程を2度以上行う場合、得られた処理液1に、析出剤を添加、好ましくは凝集剤を併用して添加し固形分を析出させ、該固形分を上述の沈殿槽、膜分離の手段等(以下、まとめて「濾別」という)を用いて除去する。ここで用いられる析出剤としては、硫黄化合物、例えば、ジメチルカルバメート、トリメルカプトトリアジン、硫酸ナトリウム、またポリアミン系析出剤、例えば、ナルコ・ジャパン(株)で発売されているナルメット(登録商標)等が挙げられ、添加量は銅(金属)に対して重量比で5〜30倍量が好ましい。凝集剤としては、(a)工程の一度目の固形分を発生させるために用いられたものと同じものが使用でき、添加量は処理対象物の重量に対して、0.01〜2重量%が好ましい。
【0035】
なお、金属の分離に広く用いられている水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の強塩基により金属水酸化物を析出させる方法は、次工程の脱炭酸処理時の酸の使用量が増加するのであまり好ましくない。
【0036】
本発明における(b)工程は、前記処理液1から炭酸イオン及び炭酸塩を除去する工程である。
【0037】
処理液1から炭酸イオン及び炭酸塩を除去するのは、その後の(c)工程において溶解金属を効率よく析出させる為である。
【0038】
炭酸イオン及び炭酸塩を除去(以下、「脱炭酸」ともいう)する方法としては、処理液1に、硫酸、塩酸等の酸を添加して、炭酸基部分を二酸化炭素としてガス化し、放出することによる方法が挙げられる。なお、二酸化炭素の放出速度を高くするため、処理液を加温してもよい(以下、脱炭酸により得られた処理液を「処理液2」とする)。
【0039】
炭酸イオン及び炭酸塩を除去せずに、(c)工程を行った場合(金属を除去するために析出剤を添加した場合)、以下の問題点が生じる。
(1)析出剤の添加時にpHが変化することで炭酸の微泡が発生し、これが析出固体を浮遊させてしまい、沈降・分離を難しくする傾向がある。
(2)処理液1中に含まれる炭酸ナトリウムのpHに対する緩衝作用により、pHの微調整がしにくい。
(3)炭酸の存在により、(c)工程で多量の析出剤が必要となる。
【0040】
また、(a)工程の固形分の除去を行わず、始めに脱炭酸操作を行うと、排水中に既に固体として存在する銅塩も、酸の添加(pHの低下)により溶解してしまう。また、この際に必要な酸の量も(固体の溶解に消費される分だけ)増大することになる。溶解した銅を再度沈める為には、次の工程で用いる析出剤の使用量も当然増加することになることから好ましくない。
【0041】
脱炭酸の完了は、pHが一定値(4.0)以下となることで確認できる。
【0042】
本発明における(c)工程は、前記処理液2から金属を除去する工程であり、該工程で除去される金属は、主にモリブテン及び/又は銅である。上記(a)工程において固形分を除去する工程を2度以上行った場合は、(c)工程で除去される金属はモリブテンとなる。
【0043】
処理液2から、モリブテン及び銅の金属を除去する方法としては、処理液2中に溶存する銅を析出させるための析出剤を添加して、銅成分を沈降させて固形分を除去した後、モリブデンを析出させる為の析出剤を添加し、好ましくは凝集剤を併用して添加しモリブテン成分を沈降させ固形分を除去する方法が挙げられる。
【0044】
(c)工程で用いられる銅を析出させるための析出剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ、処理液中の銅を水酸化銅として析出させて除去する。また、モリブテンを析出させるための析出剤としては、二価や三価の鉄塩、例えば、塩化鉄(III)、硫酸鉄(II)、NALCO8131(ナルコ・ジャパン(株)製)等が挙げられ、凝集剤としては、アニオン系の高分子凝集剤が好ましい。具体例としては、ソイルハード(ダイヤニトリックス(株)製)、ダイヤクリヤーMA(ダイヤニトリックス(株)製)、アロンフロックA−104、A−101(東亜合成(株)製)、NALCO9601(ナルコ・ジャパン(株)製)等が挙げられる。
【0045】
処理液2に添加する析出剤の添加量としては、銅を析出させるための析出剤は銅の重量の5〜30倍量が好ましく、モリブデンを析出させる為の析出剤はモリブテンの重量に対し3〜30倍量が好ましく、凝集剤は処理対象物(析出物)の重量に対して0.01〜2重量%を用いるのが好ましい。
【0046】
沈降した固形分は、濾別等により除去する。
【0047】
(a)工程において固形分を除去する工程を2度行った場合、(c)工程においては、モリブテンの除去のみを行う。
【0048】
なお、上記(a)工程、(c)工程で生成した固形分は、多量の水分を含むため、これをフィルタープレスや遠心分離(脱水)機等により水分含量を50%程度まで下げ、固形分除去された液は、金属を除去するための(a)〜(c)等のいずれかの工程に循環させることが好ましい。
【0049】
上記のようにして、金属が除去された排水は、充分に環境基準を満たすものとなりそのまま環境に放出しても問題にならない。また、アクリル酸の製造プロセスに再利用することも可能である。
【0050】
以下に、本発明の一つの実施の形態を図を用いて説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0051】
図1は、本発明の一つの実施の形態を示す系統図である。
【0052】
まず、湿式燃焼装置で処理された排水に凝集剤1が添加され、沈殿槽1で固形分が除去され、処理液1が得られる((a)工程)。なお、除去された固形分には液体も含まれるため、遠心分離器やフィルタープレス等により液体を分離し、該液体中の金属を除去するために、再び循環させることが好ましい。
【0053】
次いで、処理液1に析出剤2、凝集剤2を添加し、析出した固形分を沈殿槽2で除去する。
【0054】
さらに酸を加え、脱炭酸を行い、処理液2を得る((b)工程)。得られた処理液2に析出剤3、凝集剤3を加え、析出した固形分を沈殿槽3で除去し、最終処理液とする。
【0055】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例によって限定されるものではない。
【0056】
なお、実施例において用いた薬剤は以下の通りである。
薬剤▲1▼:NALCO1460(ナルコ・ジャパン(株)製)
薬剤▲2▼:ナルメット(ナルコ・ジャパン(株)製)
薬剤▲3▼:NALCO8131(ナルコ・ジャパン(株)製)
薬剤▲4▼:NALCO9601(ナルコ・ジャパン(株)製)
【0057】
【実施例1】
<廃液組成>
アクリル酸製造プロセスにより発生した廃液を湿式燃焼装置により湿式燃焼処理を行ったところ、下記の組成の、不透明な茶褐色(泥水のよう)の排水が発生した。
銅:200重量ppm(固形分を含む)
モリブデン:10重量ppm
固形分総量:600重量ppm
pH:9.4
<操作1−1>凝集剤の添加((a)工程の固形分の除去)
排水全量に対し4重量ppmの凝集剤(薬剤▲1▼)を添加し、3分間攪拌した後、3分間静置した。固形分全て(目視)を凝沈させ濾別し、処理液1を得た。
【0058】
処理液1は極僅かに青みを帯びた透明であり、処理液1中の金属濃度は、銅15重量ppm、モリブデン10重量ppmであった。
<操作1−2>析出剤+凝集剤の添加(銅除去)
上記(操作1−1)により得られた処理液1に対し、析出剤(薬剤▲2▼)を300重量ppm添加して5分間攪拌した後、凝集剤(薬剤▲1▼)を4重量ppm添加して、3分間攪拌し、次いで3分間静置した。
【0059】
固形分全て(目視)を凝沈させ濾別した。得られた処理液は無色透明であり、金属濃度は、銅0.1重量ppm、モリブデン10重量ppmであった。
<操作1−3>pHの調整((b)工程の脱炭酸)
上記(操作1−2)により得られた処理液に対し、攪拌しながら、硫酸を5000重量ppm添加してpHを4に調整して、処理液2を得た。
<操作1−4>析出剤+凝集剤の添加((c)工程の金属(モリブデン)除去)上記(操作1−3)により得られた処理液2に対し、析出剤(薬剤▲3▼)を500重量ppm添加して5分間攪拌した後、凝集剤(薬剤▲4▼)を4重量ppm添加して、3分間攪拌し、5分間静置した。
【0060】
固形分全て(目視)を凝沈させ濾別し、最終処理液を得た。最終処理液は無色透明であり、最終処理液中の金属濃度は、銅<0.1重量ppm、モリブデン0.5重量ppmであった。表1に詳しく示す。
【0061】
【実施例2】
<操作2−1>((a)工程の固形分の除去)
実施例1と同様の排水を用い、一分間攪拌のち一時間静置して、凝集剤を使用せずに固形分を沈降させ、濾別し処理液1を得た。
【0062】
処理液1は微粒子の浮遊により、僅かに不透明であり、処理液1中の金属濃度は、銅30重量ppm、モリブデン10重量ppmであった。
<操作2−3>pHの調整((b)工程の脱炭酸)
上記(操作2−1)により得られた処理液1に対し、攪拌しながら、硫酸を5500重量ppm添加してpHを4に調整して、処理液2を得た。
<操作2−4’>((c)工程の金属(銅)の除去)
処理液2に、水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム800重量ppm)を添加して3分間攪拌した後、20分静置して濾別した。上澄み液のpHは10であり、金属濃度は銅2.0重量ppm、モリブテン10重量ppmであった。
<操作2−4>((c)工程の金属(モリブデン)除去)
上記操作2−4’で得られた上澄み液に対して、実施例1の操作1−4を同様に行い、最終処理液を得た。最終処理液は、無色透明であり、金属濃度は、銅1重量ppm、モリブデン1重量ppmであった。また、最終処理液の硫酸濃度は300重量ppmであった。表1に詳しく示す。
【0063】
【実施例3】
<操作3−2>(銅の除去)
実施例1で行った操作1−1(固形分の除去)を行わずに、実施例1の操作1−2において、排水に対して薬剤▲2▼の量を1500重量ppmとした以外は同様に行い、処理液1を得た。処理液1は無色透明であり、処理液1中の金属濃度は、銅2重量ppm、モリブデン10重量ppmであった。
<操作3−3>pHの調整((b)工程の脱炭酸)
上記(操作3−2)により得られた処理液1に対し、攪拌しながら、硫酸を5000重量ppm添加してpHを4に調整して、処理液2を得た。
<操作3−4>((c)工程の金属(モリブデン)除去)
上記操作3−3で得られた処理液2に対して、実施例1の操作1−4を同様に行い、最終処理液を得た。最終処理液は、無色透明であり、金属濃度は、銅0.3重量ppm、モリブデン0.9重量ppmであった。表1に詳しく示す。
【0064】
【比較例1】
<操作4−4>((c)工程の金属(モリブデン)除去)
実施例3において、操作3−3(脱炭酸)を行わずに、上記3−2で得られた処理液1に対して、実施例1の操作1−4において薬剤▲3▼の使用量を1000ppmとした以外は同様に行い、最終処理液を得た。最終処理液は、無色透明であり、金属濃度は、銅1.1重量ppm、モリブデン2.0重量ppmであった。表1に詳しく示す。
【0065】
【比較例2】
<操作5−3>pHの調整((b)工程の脱炭酸)
実施例1で行った操作1−1(固形分の除去)及び操作1−2(銅除去)を行わずに、排水に対し、攪拌しながら、硫酸を8300重量ppm添加してpHを4に調整して、処理液2を得た。
<操作5−4’>((c)工程の金属(銅)の除去)
処理液2に、水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム2300重量ppm)を添加して3分間攪拌した後、20分静置して濾別した。上澄み液のpHは10であり、金属濃度は銅3.3重量ppm、モリブテン10重量ppmであった。
<操作5−4>((c)工程の金属(モリブデン)除去)
上記操作5−4’で得られた上澄み液に対して、実施例1の操作1−4において薬剤▲3▼の使用量を1000ppmとした以外は同様に行い、最終処理液を得た。最終処理液は、無色透明であり、金属濃度は、銅2.0重量ppm、モリブデン1.7重量ppmであった。表1に詳しく示す。
【0066】
【比較例3】
<操作6−1>((a)工程の固形分の除去)
実施例1と同様の排水を用い、実施例1と同様に処理液1を得た。
【0067】
処理液1は極僅かに青みを帯びた透明であり、処理液1中の金属濃度は、銅15重量ppm、モリブデン10重量ppmであった。
<操作6−2>(銅除去)
上記(操作6−1)により得られた処理液1に対し、析出剤(薬剤▲2▼)を300重量ppm添加して5分間攪拌した後、凝集剤(薬剤▲1▼)を4重量ppm添加して、3分間攪拌し、次いで3分間静置した。
【0068】
固形分全て(目視)を凝沈させ濾別し、処理液1を得た。処理液1は無色透明であり、金属濃度は、銅0.1重量ppm、モリブデン10重量ppmであった。
<操作6−4>((c)工程の金属(モリブデン)除去)
上記(操作6−3)により得られた処理液に対し、実施例1の操作1−4における薬剤▲3▼を1000重量ppm使用した以外は、同様に行い、最終処理液を得た。最終処理液は無色透明であり、最終処理液中の金属濃度は、銅<0.1重量ppm、モリブデン2.0重量ppmであった。表1に詳しく示す。
【0069】
【表1】
Figure 0004122207
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、アクリル酸の製造プロセスで生じた廃液を湿式燃焼、湿式酸化処理して発生した排水中の金属を効率的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の排水中の金属除去方法の一つの実施の形態を示す系統図である。

Claims (3)

  1. プロパン、プロピレンおよび/またはアクロレインの接触気相酸化によりアクリル酸を生成し、蒸留により該アクリル酸を精製する工程を含むアクリル酸製造プロセスにより生成したアクリル酸製造廃液の少なくとも一部を湿式燃焼又は湿式酸化処理して発生した排水中の銅及びモリブデンを除去する方法であって
    (a)前記排水中の固形分を除去して処理液1を得る工程、(b)前記(a)工程で得られた処理液から炭酸イオン及び炭酸塩を除去して処理液2を得る工程、(c)前記(b)工程で得られた処理液からモリブデンを析出させて除去する工程を含み、(d)前記(a)工程と同時、又は(a)工程終了後(b)工程に先立って、又は(b)工程終了後(c)工程に先立って、前記排水、処理液1及び処理液2のいずれかから銅を析出させて除去する工程をさらに含むことを特徴とするアクリル酸製造排水中の金属の除去方法
  2. 前記(c)工程で除去される金属がモリブテン又はモリブデン及び銅である請求項1に記載のアクリル酸製造排水中の金属除去方法。
  3. 前記工程(d)は、前記(a)工程と同時又は(a)工程終了後、(b)工程に先立って、前記排水又は前記(a)工程で得られた処理液から銅を析出させて除去ることを特徴とする請求項1に記載のアクリル酸製造排水中の金属除去方法。
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