JP4121931B2 - ダンパー及び制振装置 - Google Patents

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本発明は、ダンパー及び制振装置に関し、特にその減衰対象となる振動の振幅領域をワイドレンジにするための対策に関するものである。
従来、例えば中層、高層の建築物等には、風や地震等による振動を減衰するための制振装置が設置されている。この種の制振装置に用いられるダンパーとして、例えば特許文献1〜4に開示されているように、鉛などの金属系材料からなるエネルギー吸収材を塑性変形させることによって振動エネルギーを吸収するようにしたものが知られている。
特許文献1に開示された増幅機構付きダンパー装置では、建築物の柱に連結棒を連結させる一方、梁には、鉛が鋳込まれた鉛ダンパーを連結している。そして、連結棒の中間部に球状に膨出した抵抗球部を設けるとともに、この抵抗球部を鉛ダンパー内に配置させ、この抵抗球部が変位すると鉛が塑性変形することでエネルギーを吸収するようになっている。一方、前記柱と連結棒との間に油圧シリンダを介装させることにより、柱の振動の振幅を増幅させ、この増幅された振動を減衰させるようにすることで、振動を速やかに減衰させている。
特許文献2に開示されたシリンダ型エネルギー吸収装置では、シリンダ内に鉛を装入するとともに、このシリンダ内に多数の筒状の滑動輪を同心状に重合配置している。そして、振動がこのエネルギー吸収装置に伝達されると、滑動輪が順次段階的に変位し、これにより滑動輪相互のずれが生じるようになっている。これにより、鉛がせん断変形し、エネルギーを吸収するようになっている。このエネルギー吸収装置では、入力された振動エネルギーに応じた数の滑動輪が変位するので、大きな変形エネルギーから小さな変形エネルギーまで広範囲に対処できる、とこの文献に記載されている。
特許文献3に開示された軸力型制振装置は、ブレースに取り付けられるものであり、このブレースに生ずる軸力(圧縮力、引張力)をエネルギー吸収部材で吸収するものである。このエネルギー吸収部材を、強度に対するひずみ速度の依存性が高い金属系材料により構成することにより、風による微小な変形及び地震による大変形に対処できるようになっている。
特許文献4に開示された制振装置では、エネルギー吸収部材を正方形の平板状に形成するとともに、このエネルギー吸収部材を、梁及びブレースと同一面上になるように配設している。このエネルギー吸収部材は、特許文献3のものと同様に、強度に対するひずみ速度の依存性が高い金属系材料により構成されている。このエネルギー吸収部材は、ひずみ速度が低い小変形領域では早期に降伏して塑性化する一方、ひずみ速度が高い大変形領域では、降伏及び塑性化を遅らせることでエネルギー吸収能力が高められるようになっている。
特許第2829767号明細書 特許第2805346号明細書 特開2002−242988号公報 特開2002−250149号公報
しかしながら、前述した各文献に開示された従来のものは、何れもワイドレンジな振幅領域に必ずしも対応できるものではなかった。
例えば、特許文献1のものでは、柱の振動の振幅を増幅した上で鉛ダンパーにおいて鉛を塑性変形させることで、振動を速やかに減衰させることができる。しかしながら、このものでは、微小相対変位を増幅させた上で、振動減衰させる構成であるので、大きな振幅の振動にまで被減衰対象とすると、鉛ダンパーを大型化させる必要が生ずる。したがって、このものでは、被減衰対象の振動の振幅をワイドレンジにすることについて考慮していないと考えられる。
また、特許文献2のものは、小さな地震エネルギーから大きな地震エネルギーまで幅広く吸収することを目的としているが、エネルギー吸収部としての鉛が振動方向に変形することで振動を吸収する構成であるために、対処できる振幅の範囲には自ずと限界がある。
また、特許文献3及び4のものは、エネルギー吸収部材として、強度に対するひずみ速度の依存性の高い金属系材料を用いることにより、小変形から大変形に亘ってエネルギー吸収能力を高めるようにしている。しかしながら、これらは、双方とも梁等が変位する方向にエネルギー吸収部材が変形するように配設されるものであるために、対処可能な振幅の範囲には自ずと限界がある。
すなわち、前記各特許文献に開示された制振装置では、何れも地震による振動から風による振動まで幅広いレンジに亘って振動吸収できるように設計するのは至難であり、それ故に、それぞれの振動領域に合ったダンパーを有する制振装置を別個に設置しなければならないという問題があった。例えば従来の制振装置を高層建築物用の制振装置として設計した場合、地震時に生ずる振動を減衰する目的で設計された制振装置では、風によって生ずる程度の振動領域に対しては、金属系材料の変形が弾性変形内に止まるか、塑性変形が起きたとしても僅かなので、この程度の微振動を有効に吸収できない。例えば、図12に示すように、地震用に設計された制振装置では、ダンパーの減衰力を高く設定する関係上、結果的に風による微振動ではこの金属系材料に生ずる応力が小さく、弾性変形内に止まるか、塑性変形が起きたとしても僅かなので、エネルギー減衰がほとんどなく、振動を減衰させることは困難である。
逆に、風による微振動を減衰する目的で設計された制振装置では、風による微振動ではダンパーを構成する金属系材料の受ける歪量が小さくなるように設計されているために、地震時に生ずる大変形に対しては金属系材料の破断を招く虞がある。したがって、従来の制振装置では、各振動領域に対応した制振装置をそれぞれ適宜設置しなければならなかった。
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、広範囲な振幅領域に亘って振動を減衰できるダンパー及び制振装置を提供することにある。
前記の目的を達成するため、本発明は、折れ曲がり部が設けられた作動孔が貫通するシリンダ部と、この作動孔内に配置される金属系材料からなる振動吸収体とを備え、この振動吸収体が、作動孔内を移動するとともに折れ曲がり部でヒステリシス減衰を生じることにより、振動を吸収するようにしたものである。
具体的に、請求項1の発明は、第1部材と一対の第2部材との相対振動を減衰するためのダンパーを前提として、前記第1部材に対して相対移動不能に配置され、折れ曲がり部が設けられた作動孔が貫通するシリンダ部と、前記作動孔内に該作動孔の孔軸方向に移動可能に配置される金属系材料からなる振動吸収体とを備え、前記シリンダ部の作動孔は、その両端から前記第2部材がそれぞれ進退移動可能に挿入されるように構成され、前記振動吸収体は、前記第2部材から受ける押圧力により、折れ曲がり部の両側に跨った状態で作動孔内を移動するとともに、折れ曲がり部でヒステリシス減衰を伴う曲げ及びせん断の少なくとも一方の変形が生ずることにより、前記両部材の相対振動を吸収する構成とされている。
この発明では、第2部材がシリンダ部(第1部材)に対して相対変位すると、振動吸収体がこの第2部材から押圧力を受けて作動孔内を移動する。このとき、振動吸収体は、作動孔の折れ曲がり部において、ヒステリシス減衰を伴う曲げ及びせん断の少なくとも一方の変形を生ずることによりダンパーとしての機能を発揮する。これにより、シリンダ部に対する第2部材の相対振動が減衰される。
つまり、本発明に係るダンパーでは、作動孔内での振動吸収体の移動方向と、この作動孔に挿入される第2部材の相対変位方向とが一致し、振動吸収体が第2部材に押圧されると、この振動吸収体は、全体として作動孔内を孔軸方向に移動し、折れ曲がり部でヒステリシス減衰を伴う曲げ変形、せん断変形が生じることによって振動を吸収する。このため、振動吸収体は、作動孔の折れ曲がり部において強制的に且つ一定の変形量で変形されるので、相対振動の振幅に影響を受けることなく、振動を減衰することができる。そして、振幅の大きな相対振動が入力されたとしても、その振幅に相当するストロークだけ振動吸収体が全体として移動し、これにより、変形する部位が順次移動する構成であるので、大きな振幅の振動によって振動吸収体を構成する金属系材料が破断することはない。一方、振幅の小さな相対振動が入力されたときでも、振動吸収体が折れ曲がり部で局所的に変形することで振動を吸収する構成であるので、振幅の小さな振動についても有効に減衰効果を発揮することができる。
したがって、本発明によれば、振幅の影響を受けることなく一定程度のヒステリシス減衰を常に生じさせることができるので、広範囲な振幅領域に対して有効に振動減衰することができる。
また、請求項2の発明は、建築物の振動を減衰するための制振装置を前提として、請求項1に記載のダンパーを備え、前記第1部材は、前記建築物の柱又は梁により構成され、前記第2部材は、前記建築物に設けられたブレース又はこのブレースに対して相対移動不能に配置される押圧部材により構成されている。
この発明では、風を受けることにより生ずる建築物の微振動を有効に減衰できるとともに、地震により発生する建築物の大きな振動をも有効に減衰できる制振装置を設計することが可能となる。したがって、1台の制振装置で、風による振動から地震による振動まで非常に広範囲な振幅領域に対して有効に振動減衰することができる。
なお、本明細書では、風に対する振動の減衰を目的とした制振と、地震による振動の減衰を目的とした制震とを含め、これらの振動を減衰するための装置を「制振装置」としている。
また、請求項3の発明は、第1部材と第2部材との相対振動を減衰するためのダンパーを前提として、前記第1部材に対して相対移動不能に配置され、折れ曲がり部が設けられた作動孔が貫通するシリンダ部と、前記作動孔内に該作動孔の孔軸方向に移動可能に配置される金属系材料からなる振動吸収体と、前記第2部材に対して相対移動不能に配置され、前記作動孔の両端からそれぞれ進退移動可能に挿入される一対の押圧部とを備え、前記振動吸収部材は、前記押圧部から受ける押圧力により、折れ曲がり部の両側に跨った状態で作動孔内を移動するとともに、折れ曲がり部でヒステリシス減衰を伴う曲げ及びせん断の少なくとも一方の変形が生ずることにより、前記両部材の相対振動を吸収する構成とされている。
この発明では、第2部材が第1部材(シリンダ部)に対して相対変位すると、振動吸収体は、第2部材に対して相対移動不能に配置される押圧部により押圧力を受けて作動孔内を移動する。このとき、振動吸収体は、作動孔の折れ曲がり部において、ヒステリシス減衰を伴う曲げ及びせん断の少なくとも一方の変形を生ずることによりダンパーとしての機能を発揮する。これにより、第1部材に対する第2部材の相対振動が減衰される。
つまり、本発明に係るダンパーでは、作動孔内での振動吸収体の移動方向と、この作動孔に挿入される押圧部の相対変位方向とが一致し、振動吸収体が押圧部に押圧されると、この振動吸収体は、全体として作動孔内を孔軸方向に移動し、折れ曲がり部でヒステリシス減衰を伴う曲げ変形、せん断変形が生じることによって振動を吸収する。このため、振動吸収体は、作動孔の折れ曲がり部において強制的に且つ一定の変形量で変形されるので、相対振動の振幅に影響を受けることなく、振動を減衰することができる。そして、振幅の大きな相対振動が入力されたとしても、その振幅に相当するストロークだけ振動吸収体が全体として移動し、これにより、変形する部位が順次移動する構成であるので、大きな振幅の振動によって振動吸収体を構成する金属系材料が破断することはない。一方、振幅の小さな相対振動が入力されたときでも、振動吸収体が折れ曲がり部で局所的に変形することで振動を吸収する構成であるので、振幅の小さな振動についても有効に減衰効果を発揮することができる。
したがって、本発明によれば、振幅の影響を受けることなく一定程度のヒステリシス減衰を常に生じさせることができるので、広範囲な振幅領域に対して有効に振動減衰することができる。
また、請求項4の発明は、建築物の振動を減衰するための制振装置を前提として、前記建築物に設けられたブレースの途中に配設された請求項3に記載のダンパーを備え、前記第1部材は、前記ブレースを構成する一方の部材により構成され、前記第2部材は、前記ブレースを構成する他方の部材により構成されている。
この発明では、風を受けることにより生ずる建築物の微振動を有効に減衰できるとともに、地震により発生する建築物の大きな振動をも有効に減衰できる制振装置を設計することが可能となる。したがって、1台の制振装置で、風による振動から地震による振動まで非常に広範囲な振幅領域に対して有効に振動減衰することができる。
また、請求項5の発明は、請求項1又は3に記載のダンパーにおいて、前記振動吸収体は、超塑性金属材料からなる。
本明細書において、超塑性金属材料とは、強度に対するひずみ速度の依存性が高い金属材料を差している。この依存性が高いとは、ひずみ速度の対数値の変化に対する強度の対数値の変化を示す指数が0.33以上であることを意味している。言い換えると、横軸にひずみ速度を取り、また縦軸に強度を取った対数グラフにおいて、その傾きが0.33以上であることを意味している。
この超塑性金属材料は、強度に対するひずみ速度の依存性が高いものである。このため、振幅の小さな領域では、ひずみ速度が小さいことから、振動吸収体が早期に降伏して塑性化しやすく振動吸収効果を有効に発揮することができる。一方、振幅の大きな領域では、ひずみ速度が大きいことから、降伏及び塑性化を遅らすことができて振動吸収能力を高めることができる。
また、請求項6の発明は、請求項5に記載のダンパーにおいて、前記振動吸収体は、亜鉛とアルミニウムの合金(Zn−Al合金)からなる。
この発明では、振動吸収体としてZn−Al合金のような高強度で且つ非常に伸びの大きな金属材料を採用しているので、例えば建築物の揺れのように大きなエネルギーを有する振動に対しても、破断することなく有効に減衰することができる。
また、請求項7の発明は、請求項1,3,5及び6の何れか1項記載のダンパーにおいて、前記シリンダ部は、振動吸収体を成形するための成形型を備えてなる。
この発明では、強度の大きな金属系材料により振動吸収体を構成する場合においても、振動吸収体を容易にシリンダ部内に配置させることができる。
また、請求項8の発明は、請求項2又は4に記載の制振装置において、前記振動吸収体は、超塑性金属材料からなる。
この発明では、振幅の小さな領域ではひずみ速度が小さいことから、振動吸収体が早期に降伏して塑性化しやすく振動吸収効果を有効に発揮することができる。一方、振幅の大きな領域では、ひずみ速度が大きいことから、降伏及び塑性化を遅らすことができて振動吸収能力を高めることができる。
また、請求項9の発明は、請求項8に記載の制振装置において、前記振動吸収体は、亜鉛とアルミニウムの合金(Zn−Al合金)からなる。
この発明では、振動吸収体としてZn−Al合金のような高強度で且つ非常に伸びの大きな金属材料を採用しているので、建築物の揺れのように大きなエネルギーを有する振動に対しても、破断することなく有効に減衰することができる。
以上説明したように、本発明によれば、第1部材に取り付けられたシリンダ部の作動孔内に配置された振動吸収体が、第1部材と第2部材との相対変位に伴って作動孔内を移動し、折れ曲がり部でヒステリシス減衰を伴う曲げ変形及びせん断変形の少なくとも一方が生じることによって相対振動を吸収するようにしているので、振幅の大きさに関係なく相対振動を減衰することができる。この結果、広範囲な振幅領域に対して両部材の相対振動を有効に減衰することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
図1及び図2に示すように、本実施形態1に係る制振装置10は、高層ビル等の建築物に設置されるものである。この制振装置10は、建築物の梁31と一対のブレース35との相対振動を減衰するためのダンパー11を備えている。このダンパー11は、くの字形に折れ曲がった管状に形成されたシリンダ部13と、このシリンダ部13内に配置された振動吸収体15(図2参照)とを備えている。
シリンダ部13には、建築物の梁31に取り付けるための平板状に形成された固定部17が設けられている。そして、シリンダ部13が梁31に固定されることで、このシリンダ部13は、梁31に対して相対移動不能に配置されている。尚、本実施形態1では、シリンダ部13を梁31に固定する構成としているが、これに代え、シリンダ部13を柱33に固定する構成としてもよい。
シリンダ部13の内側は、くの字形に折れ曲がった細長形状の作動孔19(図2参照)として構成されている。本実施形態における作動孔19では、その孔軸方向の中央部が折れ曲がり部21となっている。作動孔19は、この折れ曲がり部21を除いて孔軸方向の全体に亘り同じ断面を有するように形成されている。本実施形態では、作動孔19は、折れ曲がり部21において約90度に屈曲している。
作動孔19には、その両端から一対のブレース35,35がそれぞれ挿入されている。各ブレース35は、作動孔19内をその孔軸方向に進退移動可能に挿入されている。つまり、作動孔19は、ブレース35の断面形状に対応した断面を有しており、ブレース35の一端が挿入可能に構成されている。このブレース35の他端は、前記シリンダ部13が固定されている梁31よりも下方に配置されている梁31と柱33との接合部に固定されている。
尚、本実施形態1では、作動孔19にブレース35を直接挿入する構成としているが、これに代え、ブレース35の先端に固定された押圧部材(図示省略)を作動孔19に挿入する構成としてもよい。この押圧部材は、作動孔19に進退移動可能に挿入でき、ブレース35に対して相対移動不能に配置されるものでブレース35と一緒になって移動するものであれば、どのようなものでもよい。
前記振動吸収体15は、この作動孔19内に配置されている。振動吸収体15は、超塑性金属材料である亜鉛アルミニウム合金(Zn−Al合金)からなる。このZn−Al合金として、例えば特開平11−222643号に開示されているように、Zn:30〜99wt%、残部Al及び不可避不純物からなるZn−Al合金であって、平均結晶粒径が5μm以下のα相又はα'相中に、平均結晶粒径が0.05μm以下のβ相が微細分散した組織を有しているものを挙げることができる。振動吸収体15を構成する金属系材料として、このようなZn−Al合金を用いれば、振動吸収体15は、160%超の伸びを有することとなる。また、このZn−Al合金であれば、一度塑性化すると加工硬化を起こすという問題もほとんどない。つまり、塑性ひずみ履歴による材料強度の上昇がほとんどない。
なお、制振用のZn−Al合金の降伏点は、一般に60〜200MPaであり、降伏点が5MPa程度で且つ伸びが約54%の鉛(Pb)よりも非常に高い強度を有する。
振動吸収体15は、円柱状に形成された後、作動孔19内に収容されたものである。振動吸収体15は、作動孔19の両端を除いた部位に配置されていて、折れ曲がり部21の両側に跨るように配置されている。振動吸収体15は、前記ブレース35間に挟まれており、孔軸方向に移動可能に挿入されている。この振動吸収体15は、ブレース35が作動孔19内を進退移動しても折れ曲がり部21の両側に跨った状態で移動するような大きさに形成されている。
振動吸収体15には、図3に示すように、塑性曲げ及び塑性せん断の少なくとも一方の変形を生じている塑性変形部15aが存在している。この塑性変形部15aは、作動孔19の折れ曲がり部21によって生ずるものである。つまり、振動吸収体15には、折れ曲がり部21でヒステリシス減衰を伴う曲げ及びせん断の少なくとも一方の変形が生じている。塑性変形部15aは、折れ曲がり部21において生ずるものなので、振動吸収体15が軸孔方向に移動するのに伴い、振動吸収体15内を順次移行する。図3では、塑性変形部15aは、便宜上点線で示している。
ここで、振動吸収体15が作動孔19内を移動する際の変形挙動を図3を参照しながら説明する。図3(a)に示すように、梁31と一対のブレース35,35との相対振動がないときには、振動吸収体15は、作動孔19のほぼ中央に位置している。この状態では、振動吸収体15のほぼ中央部に、塑性曲げ変形あるいは塑性せん断変形が生じている塑性変形部15aが位置している。
そして、梁31とブレース35,35との相対的な変位が生じたときには、図3(b)に示すように、振動吸収体15は、この相対変位量に応じ、ブレース35,35からの押圧力を受けて作動孔19の中央から孔軸方向に移動する。このとき、振動吸収体15の塑性変形部15aは、やはり作動孔19の折れ曲がり部21によって生じているために、この塑性変形部15aは、振動吸収体15内を順次移行することとなる。また、このときも塑性変形部15aにおける塑性変形量は、常に一定となっている。
つまり、本実施形態1に係るダンパー11では、作動孔19内における振動吸収体15の移動方向と、この作動孔19に挿入されるブレース35の相対変位方向とが一致し、振動吸収体15がブレース35,35によって押圧されると、この振動吸収体15は、ブレース35の振幅に相当するストロークだけ全体として作動孔19内を移動し、折れ曲がり部21でヒステリシス減衰を伴う変形である塑性曲げ変形及び塑性せん断変形の少なくとも一方が生じることにより、梁31とブレース35との相対振動を吸収する。このため、振動吸収体15は、作動孔19の折れ曲がり部21において強制的に且つ一定の変形量で変形されるので、相対振動の振幅に影響を受けることなく、振動を減衰することができる。
例えば、図4に示すように、地震による大きな振幅の振動が生じ、振動吸収体15の変位が大きなときでも、また風や台風によって小さな又は中間程度の振幅の振動が生じ、振動吸収体15の変位が小さな又は中間程度のときでも、振動吸収体15は容易に塑性変形を生じ、エネルギー吸収能力を発揮する。そして、本実施形態1に係るダンパー11は、振動吸収体15の変位に伴って振動吸収体15に応力が生ずるという構成であるので、振動の振幅によらず応力の立ち上がりレスポンスが非常に良いという特徴を有している。なお、風のように小さな振幅の振動のときには、超塑性金属の特徴である応力に対する歪速度の感受性の変化を利用することにより、図4に示すように応力を下げることができるので、この図に示すような履歴ループを描くこととなる。
そして、地震のときのように振幅の大きな相対振動が入力されたとしても、振動吸収体15が全体として移動し、これにより、塑性変形部15aが順次移動する構成であるので、大きな振幅の振動によって振動吸収体15を構成する金属系材料が破断することはない。
一方、風による建築物の揺れのように振幅の小さな相対振動が入力されたときでも、振動吸収体15が折れ曲がり部21で局所的に塑性変形する構成であるので、振幅の小さな振動についても有効に減衰効果を発揮させることができる。
したがって、本実施形態に係る制振装置10によれば、振幅の影響を受けることなく振動吸収体15を早期に塑性化させることができ、常に目的とするヒステリシス減衰を生じさせることができるので、1台の制振装置10で広範囲な振幅領域に対して有効に振動減衰することができる。
また、本実施形態1に係る制振装置10では、振動吸収体15がシリンダ部13内を往復移動するのみの構成であるために、対象となる振動の振幅領域に合わせて作動孔19の長さ及び振動吸収体15の長さを設計すれば足り、ダンパー11を容易に設計することができる。
また、本実施形態1では、強度に対するひずみ速度の依存性が高い超塑性金属材料であるZn−Al合金を振動吸収体15に使用している。このため、振幅の小さな領域では、ひずみ速度が小さいことから、振動吸収体が早期に降伏して塑性化しやすく振動吸収効果を有効に発揮することができる。一方、振幅の大きな領域では、ひずみ速度が大きいことから、降伏及び塑性化を遅らすことができて振動吸収能力を高めることができる。しかも、このZn−Al合金は、高強度で且つ非常に伸びの大きな金属材料であるので、建築物の揺れのように大きなエネルギーを有する振動に対しても、破断することなく有効に減衰することができる。
また、本実施形態1では、振動吸収体15を構成する材料として、無害な金属で且つPbの比重の約半分であるZn−Al合金を使用しているので、軽量で安全な、環境に優しい制振装置10とすることができる。
ここで、本実施形態1に係る制振装置10の好ましい設置形態について説明する。図5に示すように、1つの梁31に対して2つの制振装置10,10が互いに上下逆向きになるように制振装置10,10を設置するのがよい。具体的に、梁31を挟んで上下に2つの制振装置10,10を配置し、このとき下側の制振装置10は、シリンダ部13を梁31の下面に固定すると共に、ブレース35が柱33からシリンダ部13へ向かって上方へ延びるように配設する。一方、上側の制振装置10は、シリンダ部13を梁31の上面に固定するとともに、ブレース35が柱33からシリンダ部13へ向かって下方へ延びるように配設する。つまり、ブレース35がX字状に配設される。このような設置形態とすることで、梁31とブレース35との相対振動が発生したときに、上下のブレース35からダンパー11を介して梁31にそれぞれ伝達される力の方向が逆向きとなる。これにより、各ダンパー11を通して梁31に大きな力が伝わることによる変形を抑制することができる。
《発明の実施形態2》
図6及び図7は本発明の実施形態2を示す。ここでは、実施形態1と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。この実施形態2では、シリンダ部13は、振動吸収体15を成形するための成形型41,42を備えてなる。
具体的に説明する。前記成形型41,42は、重ね合わせることで1つの箱形となる一対の型からなる。この一対の型、即ち第1型41と第2型42は、それぞれほぼ同形の箱形に形成されるものであり、それぞれ合わせ面に細長形状の溝部41a,42aが設けられている。この溝部41a,42aは、それぞれ半円形状の横断面を有する一方、軸方向の中間部において湾曲部が設けられており、前記合わせ面が対向するように両型41,42を重ね合わせることにより前記溝部41a,42aによって円形断面の作動孔19が形成されている。つまり、本実施形態2では、作動孔19の折れ曲がり部21は、曲線状に湾曲した形状に構成されている。この作動孔19は、一端が成形型41,42の図7における上面に開口する一方、他端が図7における右側の側面に開口している。
また、第1型41の合わせ面には、雌ねじが切られた凹部41bが設けられる一方、第2型42の合わせ面には、凹部41bに螺合するためのボルト44を挿通するための挿通孔42bが設けられている。ボルト44を凹部41bに螺合することにより、第1型41と第2型42の位置決めが行われるようになっている。
そして、Zn−Al合金からなる略棒状に形成された金属材料を溝部41a,42aに載置し、この状態で第1型41と第2型42とを重合してプレス成形を行う。これにより、成形型41,42の作動孔19内に振動吸収体15が成形される。尚、成形時において、作動孔19の両端には、図示省略するが成形用インサート部材がそれぞれ挿入配置される。これにより、振動吸収体15が成形時において作動孔19内に所望の長さに成形されるようになっている。例えば、作動孔19は、全長が140mm、振動吸収体15は、長さ100mm、直径20mmに形成される。
シリンダ部13には、成形型41,42に外嵌される筒状の嵌合部47と、成形型41,42を上下から挟み込むための一対の押え板49,50とが設けられている。嵌合部47には、作動孔19に連通するように貫通孔47aが設けられている。この貫通孔47aは、一方のブレース35を挿通させるためのものである。各押え板49,50には、その中央部に貫通孔49a,50aが形成されている。図7における上側に配置される押え板49の貫通孔49aは、作動孔19に連通するように設けられている。この貫通孔49aは、もう一方のブレース35を挿通させるためのものである。また、各押え板49,50には、それぞれボルト(図示省略)を挿通するためのボルト孔49bが設けられている。両押え板49,50は、成形型41,42及び嵌合部47を挟み込んだ状態でボルトによって締結されている。
本実施形態2に係る制振装置10では、振動吸収体15において、作動孔19の折れ曲がり部21において塑性曲げ変形又は塑性せん断変形が生じている。そして、ブレース35が相対変位することにより、このブレース35によって振動吸収体15が押圧されて孔軸方向に振幅に相当するストロークだけ移動する。これにより、振動吸収体15において、塑性変形を受けている塑性変形部15aが順次移行する。この結果、振動吸収体15は、一定の塑性変形を受けつつ、この塑性変形部15aが順次移行するので、梁31とブレース35との相対振動の振幅によらず、破断することなく常に相対振動を吸収することができる。
例えば、本発明者が行った実験では、80トン油圧プレス機を使用し、低サイクル疲労試験において、荷重が60000N(6トン)のときでも安定したヒステリシス減衰を生じた。
また、本実施形態2によれば、シリンダ部13が振動吸収体15を成形するための成形型41,42を備えるようにしているので、強度の大きなZn−Al合金を容易にシリンダ部13内に配置させることができる。
その他の構成、作用及び効果は前記実施形態1と同様である。
《発明の実施形態3》
図8は本発明の実施形態3を示す。ここでは、実施形態2と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。前記実施形態2では、作動孔19の折れ曲がり部21は、湾曲した曲線状としたが、本実施形態3では、作動孔19の折れ曲がり部21は、直角に折れ曲がった鉤状に形成されている。つまり、図9にも示すように、折れ曲がり部21に位置する振動吸収体15では、この振動吸収体の長さ方向に対し45度方向にせん断面61が形成される。そして、ブレース35の相対変位により、振動吸収体15が孔軸方向に移動すると、この振動吸収体15においてせん断面61が順次移行するようになっている。
その他の構成、作用及び効果は前記実施形態2と同様である。
《発明の実施形態4》
図10は本発明の実施形態4を示す。ここでは、実施形態1と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。この実施形態4に係る制振装置10は、建築物に設けられたブレース35の途中に配設されるものである。この制振装置10のダンパー11は、1つのブレース35を構成する第1部材35a及び第2部材35b間においてこれら両部材35a,35bと同軸上に配置され、これらの両部材35a,35b同士の相対振動を減衰するように構成されている。
以下、具体的に説明する。本実施形態に係る制振装置10は、第1管部71と、第2管部72と、両管部71,72を取り囲むように配置された補強管部74と、ダンパー11とを備えている。
第1管部71の一端には、端部プレート71aが設けられている。この第1管部71の一端は、端部プレート71aを第1部材35aの先端に締結することにより、この第1部材35aに接続固定されている。つまり、第1管部71は、第1部材35aに対して相対移動不能に配置されている。
一方、第1管部71の他端は、前記補強管部74の一端に挿入されている。そして、この補強管部74は、第1管部71に対して相対移動不能に固定されている。この補強管部74の他端には、第2管部72の一端が挿入されている。補強管部74には、軸方向に延びる補強用のリブ74aが複数設けられている。このリブ74aは、第1管部71と第2管部72との間の不連続部分を保護すべく、この部分を補強するためのものである。尚、図10では、第1管部71と第2管部72との間に間隙が形成された状態を示している。
第2管部72の一端には、端部プレート72aが設けられている。この第2管部72の一端は、端部プレート72aを第2部材35bの先端に締結することにより、この第2部材35bに接続固定されている。つまり、第2管部72は、第2部材35bに対して相対移動不能に配置されている。そして、第2管部72のもう一方の端部が、前記した通り補強管部74に挿入されており、第2管部72は、補強管部74に対して軸方向に相対移動可能に構成されている。このことで、第2管部72は、第1管部71に対して相対移動可能となっている。
前記ダンパー11は、第2管部72の内側に配置されている。ダンパー11は、シリンダ部13と、このシリンダ部13内の作動孔19に挿入される一対の押圧部としての一対のプランジャー75,76とを備えている。
シリンダ部13は、補強管部74に固定されている。つまり、このシリンダ部13は、ブレース35の第1部材35aに対して相対移動不能に配置されている。
シリンダ部13は、Zn−Al合金からなる振動吸収体15を成形するための金型により構成されており、シリンダ部13の内側は、軸方向に貫通する作動孔19として形成されている。尚、本実施形態3では、シリンダ部13を、振動吸収体15を成形するための金型により構成しているが、本発明は、この構成に限られるものではない。
振動吸収体15は、作動孔19内に孔軸方向に移動可能に配置されている。図11にも示すように、この作動孔19には、その孔軸方向の略中央部において湾曲した形状の折れ曲がり部21が設けられている。尚、図11(a)は、シリンダ部13を上方から見た断面図である。図11(b)は、シリンダ部13を側方から見た断面図であり、図10と同じ方向から見たものである。
前記各プランジャー75,76は、シリンダ部13を挟み込むように第2管部72の内側に配置されており、この各プランジャー75,76は、それぞれ第2管部72に固定されている。つまり、プランジャー75,76は、第2管部72及びブレース35の第2部材35bに対して相対移動不能に配置されている。
各プランジャー75,76は、第2管部72に固定された平板状の支持部75a,76aと、この支持部75a,76aに一体的に形成され、孔軸方向に延びる円柱状のプランジャー本体75b,76bとからなる。各プランジャー75,76のプランジャー本体75b,76bは、それぞれ同軸上に配置されるとともに、互いに対向し合っている。そして、各プランジャー本体75b,76bは、それぞれシリンダ部13の両端から、シリンダ部13に対して進退移動可能に作動孔19内に挿入されている。この両プランジャー75,76は一体となって移動するものであり、作動孔19内において、両プランジャー本体75b,76b間の間隔は一定となっている。振動吸収体15は、両プランジャー本体75b,76b間に挟まれている。振動吸収体15は、プランジャー75,76の移動に伴って作動孔19内を孔軸方向に移動することとなるが、このときにも振動吸収体15は、常に折れ曲がり部21の両側に跨った状態となっている。
したがって、本実施形態4に係る制振装置10では、第1部材35aと第2部材35bとが互いに近づくように両部材35a,35b間に相対的な変位が生じたときには、第2部材35bと一体となって第2管部72、即ちプランジャー75,76が、相対変位量に応じたストロークだけ第1管部71へ向かって(図10における左向き)移動する。これにより、図10における右側のプランジャー76は、振動吸収体15を図10における左向きに押圧する。振動吸収体15は、右側のプランジャー76による押圧力を受けて作動孔19内を左向きに移動し、このとき、折れ曲がり部21において曲げ及びせん断の少なくとも一方の塑性変形を生じるので、本実施形態3においても、前記実施形態1と同様に、エネルギー吸収能力を発揮することができる。
一方、第1部材35aと第2部材35bとが互いに離れるように両部材35a,35b間に相対的な変位が生じたときには、プランジャー75,76は、相対変位量に応じたストロークだけ第1管部71から離れる方向(図10における右向き)へ移動する。これにより、図10における左側のプランジャー75は、振動吸収体15を図10における右向きに押圧する。このときも前記同様に、振動吸収体15は、作動孔19内を右向きに移動し、折れ曲がり部21において曲げ及びせん断の少なくとも一方の塑性変形を生じるので、振動を減衰することができる。つまり、本制振装置10は、ブレース35の途中に配設されるものであるので、ブレース35の引張、圧縮に伴う伸び及び縮みに対するそれぞれにおいてエネルギー吸収能力を発揮し、振動を減衰させることができる。
その他の構成、作用及び効果は前記実施形態1と同様である。
《その他の実施形態》
前記各実施形態では、建築物に設置される制振装置10について説明したが、これに限られるものではなく、本発明は、広範囲な振幅領域を有する振動を減衰させるために使用される種々の制振装置10に使用することができる。
また、高層建築物用の制振装置10としてではなく、もっとエネルギーの小さな振動を減衰させるための制振装置10に本発明を適用する場合には、振動吸収体15は、Zn−Al合金に代え、鉛、スズ、ビスマス等の軟質金属により構成してもよい。また、振動吸収体15は、超弾性金属材料や形状記憶合金により構成してもよい。
また、例えば100℃以上の温間雰囲気下に設置される制振装置10に本発明を適用する場合には、振動吸収体15は、マグネシウムとジルコニウムとの合金(Mg−Zr合金)、マグネシウムとアルミニウムとの合金(Mg−Al合金)等のマグネシウム系の合金により構成してもよい。
また、前記各実施形態について、材料特性を変えることによって減衰特性を変更するだけでなく、折れ曲がり部21における曲げ角度や湾曲度、あるいは曲げ方を変更することによっても減衰特性を変更することが可能である。したがって、要求される減衰特性に応じて曲げ角度や湾曲度を変更することが可能である。また、折れ曲がり部21として、例えば湾曲している個所を複数設ける構成としてもよい。言い換えると、本発明によるダンパー11は、折れ曲がり部21の形状を調整することにより、振動吸収体15に付与する変形量(塑性歪量)及び変形箇所数を簡単に調整することができ、自由に減衰特性をコントロールできる。この場合において、折れ曲がり部21は、制振ダンパー11の用途に応じて、超塑性材料での変形応力に対する歪速度感受性を積極的に引き出せるような折れ曲がり形状とすることも容易に可能である。
尚、アルミニウム等のように加工硬化の顕著なものによって振動吸収体15を構成する場合には、前記各実施形態のように建築物用の制振装置10に適用するのは好ましくないが、相対振動の激しくない部材間に設置されるような制振装置10に本発明を適用する場合には、振動吸収体15をアルミニウム等の加工硬化の激しいものによって構成することも可能である。
本発明の実施形態1に係る制振装置の全体構成を示す正面図である。 本発明の実施形態1に係る制振装置の要部を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る制振装置における振動吸収体の動きを示す特性図であり、(a)は、無荷重時又は微振動時を示し、(b)は大振幅振動時を示している。 本発明の実施形態1に係る制振装置における振動吸収体の変位と、この振動吸収体に生ずる応力との相関関係を示す特性図である。 本発明の実施形態1に係る制振装置の設置形態の例を示す図である。 本発明の実施形態2に係るダンパーの全体構成を示す上面図である。 図6のVII−VII線における断面図である。 本発明の実施形態3に係るダンパーの要部を示す概念図である。 本発明の実施形態3における振動吸収体に生ずるせん断変形の変化を示す特性図である。 本発明の実施形態4に係る制振装置の全体構成を示す断面図である。 本発明の実施形態4に係る制振装置の要部を示す断面図であり、(a)は上方から見た断面図であり、(b)は側方から見た断面図である。 従来の地震用の制振装置における図4相当図である。
符号の説明
10 制振装置
11 ダンパー
13 シリンダ部
15 振動吸収体
19 作動孔
21 折れ曲がり部
31 梁(第1部材)
35 ブレース(第2部材)
35a 第1部材
35b 第2部材
41 第1型(成形型)
42 第2型(成形型)
75 プランジャー(押圧部)
76 プランジャー(押圧部)

Claims (9)

  1. 第1部材と一対の第2部材との相対振動を減衰するためのダンパーであって、
    前記第1部材に対して相対移動不能に配置され、折れ曲がり部が設けられた作動孔が貫通するシリンダ部と、
    前記作動孔内に該作動孔の孔軸方向に移動可能に配置される金属系材料からなる振動吸収体とを備え、
    前記シリンダ部の作動孔は、その両端から前記第2部材がそれぞれ進退移動可能に挿入されるように構成され、
    前記振動吸収体は、前記第2部材から受ける押圧力により、折れ曲がり部の両側に跨った状態で作動孔内を移動するとともに、折れ曲がり部でヒステリシス減衰を伴う曲げ及びせん断の少なくとも一方の変形が生ずることにより、前記両部材の相対振動を吸収する構成とされているダンパー。
  2. 建築物の振動を減衰するための制振装置であって、
    請求項1に記載のダンパーを備え、
    前記第1部材は、前記建築物の柱又は梁により構成され、
    前記第2部材は、前記建築物に設けられたブレース又はこのブレースに対して相対移動不能に配置される押圧部材により構成されている制振装置。
  3. 第1部材と第2部材との相対振動を減衰するためのダンパーであって、
    前記第1部材に対して相対移動不能に配置され、折れ曲がり部が設けられた作動孔が貫通するシリンダ部と、
    前記作動孔内に該作動孔の孔軸方向に移動可能に配置される金属系材料からなる振動吸収体と、
    前記第2部材に対して相対移動不能に配置され、前記作動孔の両端からそれぞれ進退移動可能に挿入される一対の押圧部とを備え、
    前記振動吸収部材は、前記押圧部から受ける押圧力により、折れ曲がり部の両側に跨った状態で作動孔内を移動するとともに、折れ曲がり部でヒステリシス減衰を伴う曲げ及びせん断の少なくとも一方の変形が生ずることにより、前記両部材の相対振動を吸収する構成とされているダンパー。
  4. 建築物の振動を減衰するための制振装置であって、
    前記建築物に設けられたブレースの途中に配設された請求項3に記載のダンパーを備え、
    前記第1部材は、前記ブレースを構成する一方の部材により構成され、
    前記第2部材は、前記ブレースを構成する他方の部材により構成されている制振装置。
  5. 前記振動吸収体は、超塑性金属材料からなる請求項1又は3に記載のダンパー。
  6. 前記振動吸収体は、亜鉛とアルミニウムの合金からなる請求項5に記載のダンパー。
  7. 前記シリンダ部は、振動吸収体を成形するための成形型を備えてなる請求項1,3,5及び6の何れか1項に記載のダンパー。
  8. 前記振動吸収体は、超塑性金属材料からなる請求項2又は4に記載の制振装置。
  9. 前記振動吸収体は、亜鉛とアルミニウムの合金からなる請求項8に記載の制振装置。
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