JP4121629B2 - 接着剤組成物、接着シート、および接着構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に、溶融亜鉛メッキ法等のメッキ法によりメッキされた表面(以下、「メッキ表面」と呼ぶ場合がある。)に、物品を接着するのに特に適した接着剤組成物、およびその様な接着剤組成物を用いた接着シートに関する。本発明の接着シートを、上記の様なメッキ表面を有する被着体に接着して形成した接着構造は、通常の接着シートを用いた場合に生じる、耐候性および耐水性の低下、すなわち、風雨にさらされた場合の、接着力の経時での低下を効果的に防止できる。なお、本明細書において「接着シート」とは、ラベル、ステツカー、ストライプテープ等のマーキングフィルム、粘着フイルム、粘着シートまたは粘着テープを包含する。また、接着シートの支持体の表面から装飾性の外観が観察できる、いわゆる装飾シートも包含する。
【0002】
【従来の技術】
溶融亜鉛メッキ鉄板等のメッキ表面を有する材料は、
▲1▼ 土木関連 ・・・橋梁、ガードレール、フェンス、標識柱、照明柱、コルゲートパイプ等、
▲2▼ 建築関係 ・・・工場建屋、鋼管(ガス、水道、建築用)、手すり、階段、安全柵等、
▲3▼ 電力・通信 ・・・鉄塔、鉄骨構造物、パラボナアンテナ、ボルト・ナット、腕金等、
▲4▼ 鉄道運輸 ・・・架線鉄構、車両収容庫、防音壁支柱、駅舎、屋外構造物、ボルト等、
▲5▼ その他船舶・漁業関係、農業・園芸関係等、
の多分野で使用されている。すなわち、この様な材料は、屋外に配置される構造物等の外表面を形成するのに用いられている。これは、上記の様なメッキ皮膜が、▲1▼保護作用(溶融亜鉛メッキの緻密な皮膜により、環境中の腐食性物質の材料素地面への接触を防ぐ)、および▲2▼犠牲防食作用(溶融亜鉛メッキ皮膜にピンホールや傷が生じ、鉄面が露出した場合でも、周囲の亜鉛が犠牲電極となって溶出すると同時に、材料素地面へ防食電流を流し込み、電気化学的に素地面を保護する)を有し、鉄、鉄鋼等の材料素地面の腐食を抑制できるからである。しかしながら、材料素地面に溶融亜鉛メッキ等のメッキを施しただけでは保護皮膜としては不充分であり、ほとんどの場合、さらにメッキ表面を塗装等で被覆している。
【0003】
ところが、塗装作業は一般には手間のかかる上、作業場所付近への塗料の飛散を防止する処置が必要なため、かなり費用がかかる作業である。この様な塗料の飛散防止は、特に、鉄塔等の屋外構造物の近隣が住宅地である場合に強く望まれる。そこで、従来から、上記の様なメッキ表面を有する被着体に、ポリマーフィルムを接着し、メッキ表面の保護や装飾を行うことも知られている。
【0004】
たとえば、特開平9−109325号公報には、ポリフッ化ビニリデン系ポリマーフィルムをラミネートした亜鉛メッキ鋼板が提案されている。ポリマーフィルムのラミネートは、架橋用触媒またはシランカップリング剤を含有するアクリル系樹脂を接着剤として使用し、さらに、亜鉛メッキ鋼板のメッキ表面を改質処理(化成処理)皮膜を設けた後、その接着剤を介してポリマーフィルムを接着している。また、特開平7−137197号公報にも、上記と類似したフッ素系ポリマーフィルムをラミネートした亜鉛メッキ鋼板が提案されている。この公報に開示の方法では、メッキ表面を化成処理することに加えて、防錆顔料を含有する下塗り層を設けることを特徴としている。すなわち、上記化成処理、下塗り層等の下地処理は、長期にわたりメッキ表面の腐食を防止し、接着力の低下を防ぎ、ポリマーフィルムのはがれを防止するためには必要な操作であった。
【0005】
一方、上記の様な下地処理を行わず、特定の添加物を含む粘着剤を用い、金属表面に対する接着力の経時での低下を効果的に防止する手段も知られている。たとえば、特許第2602888号公報には、支持体層および、支持体層の裏面に配置された粘着層を有する粘着シートにおいて、前記粘着剤層が(イ)1〜20重量%のアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル又はメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル及び、(ロ)80〜99重量%の1種または2種以上のアクリル酸アルキルエステルをモノマー成分とするアクリル系共重合体(A)に、重金属不活性剤(B)及び架橋剤(C)を添加してなることを特徴とする粘着シートが開示されている。一般のアクリル粘着剤は、それ自体の耐候性は優れている。しかしながら、無処理のステンレスや鉄等の基材に貼り付けた場合、紫外線によりこれら基材の金属と反応して、アクリル粘着剤が分解、劣化し、フイルムが収縮したり、メクレたり、剥れたりする問題点を有していた。そのため、透明または半透明で光を透過する支持体を有する粘着シートを、ステンレスや鉄等の基材に貼り付けて屋外で使用することはできなかった。上記特許に開示の粘着シートでは、▲1▼アクリル系共重合体(A)がカルボン酸成分を含まず、かつ▲2▼重金属不活性剤を含有するので、透明支持体を用いた場合でも、粘着剤の紫外線による分解、劣化がなく、フイルムの剥れ等を生じさせない。なお、上記重金属不活性剤としては、金属イオンをとり込んで安定な錯化合物を形成しやすい芳香族化合物が使用できる。特に、ベンゼン環のオルソ位に水酸基とカルボニル基を持ち、かつこのカルボニル基とα位、β位にトリアゾールのNH基があるデカメチレンジカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール等が好ましいとされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の特開平9−109325号及び特開平7−137197号に記載されるようなポリマーフィルムをラミネートする場合、必ず下地処理が必要である。したがって、鉄塔の先端付近等の比較的高所に位置する部分に、ポリマーフィルムを接着する場合には、この様な手段は適さない。特に、一定以上の高さの鉄塔では、航空法で赤および白のマーキングが義務づけされており、塗装法や、前記の様な下地処理を含む手段では、再塗装または再ラミネート(再被覆)を含めたメンテナンス性に難があり、再被覆のたびにこの様な問題点が繰り返し生じる。
【0007】
一方、特許第2602888号公報に開示されている様に、特定の粘着剤を用いて形成したマーキングフィルムを使用し、下地処理を行わずに済めば、上記の様なメンテナンス性は当然改善される。しかしながら、前記の公報には、メッキ表面等の金属表面の腐食を効果的に抑制し、金属表面に対する接着力の経時での低下を防止するために効果的な粘着剤組成(特に、芳香族化合物の化学構造や含有割合)については具体的に開示されていない。
【0008】
すなわち、本発明の目的は、金属表面の腐食を効果的に抑制し、特にメッキ表面に対する接着力の経時低下を効果的に防止でき、かつ、再被覆を含めたメンテナンス性が良好な(すなわち、再被覆操作が容易な)接着シートの形成が可能な接着剤組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は分子内に、カルボン酸基をまったく含まないか、またはポリマー全体の重合単位に占めるカルボン酸単位の重量比で10重量%未満のカルボン酸基を含むアクリル系粘着性ポリマーと、芳香族化合物とを含有する接着剤組成物において、
上記芳香族化合物が、安息香酸誘導体から選ばれる芳香族カルボン酸化合物であることを特徴とする、接着剤組成物を提供する。ここで、本発明の構成および作用について説明する。以下、分子内にカルボン酸基を含まないか、または、上記の量でしか含まないアクリル系粘着性ポリマーを「分子内にカルボン酸を実質的に含まないアクリル系粘着性ポリマー」とも呼ぶ。
【0010】
本発明の接着剤組成物は、(1)分子内にカルボン酸基(カルボキシル基:−COOH)を実質的に含まないアクリル系粘着性ポリマーと、(2)分子内にカルボン酸基を含む、芳香族カルボン酸化合物(以下、「芳香族カルボン酸」と呼ぶ場合もある)とを必須成分とする。このような接着剤組成物は、マーキングフィルム等の接着シートの接着層を形成するのに特に適している。すなわち、本発明の1つの形態は、支持体と、その支持体の一方の主要面に配置された接着層とを含んでなる接着シートにおいて、その接着層が上記接着剤組成物からなることを特徴とする接着シートを提供する。この様な接着シートでは、メッキ表面等の金属表面に適用するときに金属表面に対する接着力の経時低下が効果的に防止されるので、下地処理を行わずに済み、再被覆を含めたメンテナンス性が良好に(すなわち、再被覆操作が容易に)なる。
【0011】
支持体は、防湿性フィルムを含んでなるのが好適である。これにより、外部から金属表面への水の浸透を防止し、接着力の経時低下をいっそう効果的に防止できる。防湿性フィルムは、たとえば、フッ素系ポリマーを含むフィルムである。
【0012】
上述の様に、上記接着シートは、金属表面を有する被着体に接着して使用するのに適している。したがって、上記接着シートは、(a)金属表面を有する被着体と、(b)その金属表面に、接着層を介して接着された上記接着シートとを含んでなる、接着構造を形成するのに適している。この様な接着構造では、金属表面に対する接着力の経時低下が効果的に防止されるので、下地処理を行わずに済み、再被覆を含めたメンテナンス性が良好に(すなわち、再被覆操作が容易に)なる。
【0013】
なお、この様な接着構造における被着体は、従来技術の説明の項で述べた溶融亜鉛メッキ鉄板等のメッキ表面を有する材料や、アルミニウム等の無処理の金属表面を有する材料から形成されたものが挙げられ、特に限定されない。しかしながら、腐食抑制効果が顕著であり、かつ、上記接着シートが長期にわたり高接着力で接着できる点から、特に好適にはメッキ表面を有する被着体である。
【0014】
【発明の実施の形態】
(接着剤組成物)
前述の様に、本発明の接着剤組成物は、(1)分子内にカルボン酸基を実質的に含まないアクリル系粘着性ポリマーと、(2)芳香族カルボン酸とを必須成分とする。接着剤組成物中に含まれる上記粘着性ポリマーの割合は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されない。接着剤組成物全体に対して、通常50重量%以上、好適には70重量%以上である。
【0015】
(分子内にカルボン酸基を実質的に含まないアクリル系粘着性ポリマー)
分子内にカルボン酸基を実質的に含まないアクリル系粘着性ポリマー(以下、「粘着性ポリマー」と呼ぶ場合もある)は、常温(約25℃)で粘着性を示すアクリル系ポリマーである。粘着性ポリマーは、アクリル系ポリマーの1種単独、または2種以上の混合物を含む。アクリル系ポリマーとしては、エチレン系不飽和カルボン酸エステルのホモポリマーまたはコポリマー、特に(メタ)アクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマーが好ましい。
【0016】
カルボン酸フリーの(分子内にカルボン酸基を含まない)ポリマーは、出発モノマーとして、アクリル酸等の分子内にカルボン酸基を有するモノマーを含まない原料を用いて重合して得ることができる。あるいは、分子内にカルボン酸基を含むモノマーを原料として用いて重合した後、分子内のカルボン酸基を反応させてカルボン酸基以外の官能基に変換しても良い。
【0017】
ここで、本発明で用い得るアクリル系ポリマーの好適な1例について説明する。出発モノマーとして、(A)1または2以上のアクリル酸アルキルエステルと、必要に応じて(B)(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとを含有する原料を、通常の方法、たとえば、乳化重合、溶液重合、塊状重合、懸濁重合等により共重合させて調製することができる。アクリル酸アルキルエステルとしては、たとえば、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリルを挙げることができる。アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとしてはたとえば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシメチルを挙げることができる。メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとしては、たとえば、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピルを挙げることができる。
【0018】
アクリル系ポリマーを、アクリル酸アルキルエステルからなる出発モノマーから重合してつくる場合、通常、(A−1)アルキル基の炭素数が4〜12のアクリル酸アルキルエステルと、(A−2)アルキル基の炭素数が1〜3のアクリル酸アルキルエステルとを混合して用いる。(A−1)成分と(A−2)成分との混合重量比、(A−1):(A−2)は、通常50:40〜90:10、好適には55:45〜70:30である。
【0019】
上記(A)アクリル酸アルキルエステル(1種または2種以上)と、(B)(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル(1種または2種以上)とを含む、出発モノマーから重合してアクリル系ポリマーをつくる場合、(A)の配合割合は通常80〜99重量%、好適には85〜95重量%、(B)の配合割合は、(A)の割合に対応して、通常1〜20重量%、好適には5〜15重量%である。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが少なすぎると凝集力が低下するおそれがあり、反対に多すぎると、耐水性が低下するおそれがある。
【0020】
また、上記(A)および(B)成分の他に、ヒドロキシ基を含まないメタクリル酸アルキルエステル等の、共重合可能な他のモノマーを併用することもできる。
【0021】
粘着性ポリマーの分子量は、所定の接着力が発揮される範囲であれば良く、通常は重量平均分子量で10, 000〜100, 000の範囲である。粘着性ポリマーは、溶液型(ポリマーが溶媒に溶解して含まれる)、または、エマルション型やサスペンジョン型(ポリマーが溶媒中に分散して含まれる)のどの様なタイプでも使用でき、それらを混合して用いることもできる。
【0022】
(芳香族カルボン酸化合物)
芳香族カルボン酸化合物は、分子内に、少なくとも1つのベンゼン環と、ベンゼン環と共役した少なくとも1つのカルボン酸基とを含む化合物である。また、組成物中に芳香族カルボン酸金属塩として添加し、使用中に(被着体に接着された状態で)分解されて芳香族カルボン酸に変化したものも包含される。芳香族カルボン酸の分子量は特に限定されないが、通常121(安息香酸の分子量)〜1,000である。
【0023】
芳香族カルボン酸化合物の具体例として、安息香酸や、ヒドロキシ安息香酸(サリチル酸を含む)、メチル安息香酸、フタル酸、アミノ安息香酸等の安息香酸誘導体を挙げることができる。また、この様な単量体が2以上重合したもの(オリゴマー等)でも良い。
【0024】
芳香族カルボン酸の含有割合は、上記粘着性ポリマー100重量部に対して、通常0.1〜25重量部、好適には0.5〜20重量部、特に好適には1〜18重量部である。芳香族カルボン酸が少なすぎると、腐食抑制作用が低下し、接着力の経時低下が防止できないおそれがあり、反対に多すぎると、初期の接着力が低下するおそれがあるからである。
【0025】
本発明の接着剤組成物は、接着成分として粘着性ポリマーを含むので、通常の粘着剤と同様にして使用することができ、例えば、従来の粘着剤と同様に、本発明の接着剤組成物は粘着性ポリマーとともに粘着付与剤を使用することもできる。また、接着剤組成物に熱可塑ポリマーを添加し、ホットメルト型または熱活性型の接着剤として使用することもできる。
【0026】
本発明の接着剤組成物中の粘着性ポリマーは、熱または放射線により架橋可能なものであっても良い。粘着性ポリマーの架橋は、被着体に接着する前または/および後に硬化することができる。または、接着剤組成物は硬化剤を含んでもよい。硬化剤は、組成物(接着層)の凝集力や、耐水性を高めることができる。硬化剤としては、たとえば、イソシアネート化合物、メラミン化合物、エポキシ化合物、ポリ(メタ)アクリレート化合物等が使用できる。硬化剤の接着剤組成物全体に占める割合は、通常30重量%未満、好適には0.1〜20重量%である。特に好適には0.2〜15重量%である。硬化剤が少なすぎると、接着層の凝集力や耐水性を高めることができないおそれがあり、反対に多すぎると、接着力が低下するおそれがある。なお、接着剤組成物の硬化は、被着体に接着する前または/および後に硬化することができる。ただし、接着剤組成物からなる接着層を有する接着シートを、通常の粘着シートと同様にして用い、接着層の硬化を被着体に接着する前に行う場合は、接着層の粘着性を失わない様にする必要がある。また、この様な場合、硬化された接着層が加熱により粘着性を発現する様にしても良い。
【0027】
また、接着剤組成物に、本発明の効果を損なわない限り、従来公知の添加剤を加えることができる。たとえば、粘度調製剤、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料、防黴剤、ガラスビーズ等の無機粒子、粘着性ポリマーまたは非粘着性のゴム系ポリマーからなる弾性微小球等である。
【0028】
メッキ表面等の金属表面に対する接着力の経時低下が防止される理由は、次の様に考えられる。まず、芳香族カルボン酸は、金属表面に対して化学的に作用し、金属表面の腐食(錆の発生等)を効果的に抑制するものと思われる。この様な腐食抑制作用により、接着界面(金属表面と接着層との界面)の化学変化が効果的に抑制され、接着力の経時低下が防止されるものと考えられる。この様な腐食抑制作用は、二重結合と共役したカルボン酸基の存在が必要であると考えられる。芳香族カルボン酸では、カルボン酸基とベンゼン環とが共役している。一方、メッキ表面に接着された接着剤組成物(接着層)中で接着成分として機能する粘着性ポリマーが、分子内にカルボン酸基を実質的に含まないことは、芳香族カルボン酸の腐食抑制作用を助けるものと考えられる。
【0029】
芳香族カルボン酸は、金属表面に吸着して、接着剤組成物との接着界面において安定な分子膜を形成するものと考えられる。この様な界面分子膜が安定に存在すると、水が金属表面に作用するのを効果的に防止し、腐食を抑制できる。この様な界面分子膜の安定性は、接着剤組成物に含まれる粘着性ポリマーが、芳香族カルボン酸に対して親和性が低い場合ほど高められると思われる。なぜならば、芳香族カルボン酸に対して親和性の高いポリマーが組成物中に存在すると、組成物(接着層)中に芳香族カルボン酸を取り込む(相溶する)傾向が強くなるからである。分子内にカルボン酸基を実質的に含まないポリマー(カルボン酸基をまったく含まない、いわゆる「カルボン酸フリー」のポリマーも包含される。)は、分子内にカルボン酸基を含むポリマーに比べて芳香族カルボン酸に対する親和性が低いので、界面分子膜の安定化効果が高いものと考えられる。この様な観点から、粘着性ポリマーは、カルボン酸フリーであるのが好適である。しかしながら、本発明の効果を損なわない限り、微量のカルボン酸基が分子内に含まれる粘着性ポリマーも使用できる。カルボン酸基が分子内に含まれる場合、ポリマー全体の重合単位に占めるカルボン酸単位の割合(重量比)は、通常10重量%未満、好適には5重量%以下、特に好適には2重量%以下にすべきである。
【0030】
(接着剤組成物の製造方法)
本発明の接着剤組成物は、通常の混合操作により、各原料を均一に混合して調製できる。たとえば、粘着性ポリマー、芳香族カルボン酸、溶剤、必要に応じて加えられる硬化剤等の添加剤を、ホモミキサ−、プラネタリーミキサー等の混合装置で混合し、各材料を均一に溶解または分散させ、液体の接着剤組成物を調製することができる。
【0031】
この様にして調製された液体組成物を、基材上に塗布、乾燥し、接着剤組成物からなるフィルム状接着剤を形成することもできる。フィルム状接着剤は、後述する接着シートの接着層として利用できる。塗布手段には、ナイフコーター、ロールコーター、ダイコーター、バーコーター等の公知の手段が使用できる。
【0032】
上記基材としては、ライナー等の剥離性を有するもの、接着シートの支持体、メッキ面を有する被着体等が利用できる。ライナー等の剥離性を有するものを用いた場合、接着剤組成物からなるフィルム状接着剤を単離して得ることができる。たとえば、ライナー付きフィルム状接着剤を用意した後、支持体上にフィルム状接着剤を転写して接着シートを形成することもできる。
【0033】
(接着シート)
本発明の接着シートは、たとえば次の様にして作製できる。上記の様にして調製した液体の接着剤組成物を、支持体の一方の主要面上に塗布し、乾燥した接着剤組成物からなる接着層を形成する。塗布手段には、前述の公知の手段が使用できる。また、乾燥は、通常60〜180℃の温度にて行われる。乾燥時間は、通常、数十秒から数分である。接着層の厚みは、通常10〜100μm、好適には15〜80μmである。薄すぎると初期の接着力が低下したり、接着力の経時低下が防止できないおそれがあり、反対に厚すぎると、接着シート全体の柔軟性や可撓性が低下し、貼り付け作業が困難になるおそれがある。
【0034】
本発明の接着シートに用いられる支持体は、特に限定されないが、通常は、従来の接着シートのベースフィルムとして使用されているものであって、可撓性を有するものが使用される。たとえば、紙、金属フィルム、プラスチックフィルム等が使用できる。プラスチックとしては、ポリ塩化ビニル、アクリル系ポリマー(ポリメチルメタクリレート等)、フッ素系ポリマー(ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等)、ポリエステル(PET等)、ポリウレタン等の合成ポリマーが使用できる。
【0035】
支持体は、可視光や紫外線を透過するものであっても、着色されたものや、印刷等ににより装飾が施されたものであっても良い。また、金属光沢性の外観を付与するために、または、反射膜として金属蒸着膜が設けられたものであっても良い。さらに、接着シートに光学的な機能を付与するために、偏光フィルム、誘電反射フィルム、再帰反射フィルム、プリズムフィルム、蛍光フィルム、フィルム状エレクトロルミネッセンス素子等を支持体として用いることもできる。一方、支持体表面の耐汚染性を高めるためには、支持体表面に光触媒層を形成するのが好適である。
【0036】
支持体は、2以上の異なる層から構成されていても良い。たとえば、前述の様に支持体は、防湿性フィルムを含んでなるのが好適である。たとえば、接着層側に配置された基層と、最表面側に配置された防湿フィルムからなる層とを含む様にすることができる。基層には、接着層に対して良好な接着性を有する材料(ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート等)を用い、防湿性フィルムには、フッ素系ポリマーを含むフィルムを用いるのが好適である。これにより、外部からメッキ表面等の金属表面への水の浸透を防止し、接着力の経時低下をいっそう効果的に防止できる。防湿性フィルムの厚みは、通常5〜200μm、好適には10〜100μmである。厚みが薄すぎると防湿性が低下し、反対に厚すぎると、接着シート全体の柔軟性や可撓性が低下し、貼り付け作業が困難になるおそれがある。
【0037】
フッ素系ポリマーを含むフィルムの具体例として、たとえば、電気化学工業(株)社製「(品名)DXフィルム」、DUPONT(株)社製「(品名)テドラーフィルム」、旭硝子工業(株)社製「(品名)アフレックスフィルム」等を挙げることができる。
【0038】
たとえば、上記「(品名)DXフィルム」は、ポリメチルメタクリレートを多く含有する下層と、ポリフッ化ビニリデンを多く含有する上層とからなる2層フィルムである。これをそのまま支持体として用い、接着層を下層側に配置することができる。また、上記 「(品名)DXフィルム」の下層の表面にポリ塩化ビニルを含む基層を積層し、支持体として使用することもできる。
【0039】
上記の様な多層フィルムは、たとえば、1つの層の上に、2つめの層となる材料を含む塗液を塗布し、その塗膜からなる層を1つめの層に密着させて形成することができる。また、各層の材料を共押出しして作製することもできる。さらに、別々に用意した層を、積層用の接着剤を介して貼り合わせて良い。
【0040】
支持体全体の厚みは、通常5〜500μm、好適には10〜300でμmである。厚みが薄すぎると接着シートの機械的強度が低下し、耐久性が低下するおそれがあり、反対に厚すぎると、接着シート全体の柔軟性や可撓性が低下し、貼り付け作業が困難になるおそれがある。
【0041】
支持体の接着層を形成する側の面には、プライマー層を設けることもできる。通常、プライマーは、プライマーとなる材料を含む塗液を調製し、これを支持体の一方の主要面上に塗布してプライマー層を形成する。
【0042】
接着層の接着面は、通常ライナーで保護しておく。ライナーは、通常、紙、プラスチックフィルム、またはこれら両者を積層したフィルムから形成される。
【0043】
本発明による接着シートは、金属表面の腐食を防止するための仮接着シート(剥離性の保護シート)としても使用できる。この様な保護シートでは、メッキ鋼板等の材料を運搬および保管する間は、接着力が経時で低下することなく良好にメッキ表面に接着し、腐食を防止するが、使用時には、剥離可能な様に接着層の組成を設計する。この様な接着層は、いわゆる再剥離性の粘着剤を含有させることにより、形成できる。剥離力は、通常1Kgf/25mm未満と、比較的小さな値に設定するが、その値が経時で低下しない様にするべきである。再剥離性の粘着剤は、たとえば、分子内にカルボン酸を実質的に含まない粘着性ポリマーと、弾性微小球とを含有する。弾性微小球は、分子内にカルボン酸を実質的に含まない、粘着性ポリマーまたはゴム状ポリマーから形成することができる。
【0044】
【実施例】
(実施例1および比較例1)
まず、カルボン酸フリーの粘着性ポリマーを調製した。モノマー成分としてn−ブチルアクリレート80重量部、イソブチルアクリレート10重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート10重量部、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.01重量部を、酢酸エチルに溶解し、酢酸エチルの還流温度で6時間反応させ、カルボン酸フリーのアクリル系粘着性ポリマーを得た。
【0045】
次に、上記粘着性ポリマー100重量部(不揮発分)を含む酢酸エチル溶液に、硬化剤として綜研化学(株)社製のイソシアネート「(品番)D−90」を0.5重量部、および芳香族カルボン酸としてサリチル酸を16重量部を添加し、すべての材料が均一に混合されるまで攪拌し、液体の接着剤組成物を調製した。この液体組成物を、後述する支持体の基層表面に、ナイフコーターで塗布し、100℃で3分間乾燥した。これにより、本例の接着剤組成物からなる接着層を有する接着シートを作製した。なお、乾燥後の接着層の厚さは25μmであった。また、接着層は通常の粘着シートの粘着層と同様に適度なタックを有していた。
【0046】
上記支持体は、防湿性フィルムとして電気化学工業(株)社製「(品名)DX−14Sフィルム(厚さ20μm)」を、基層として60μmの厚みの塩化ビニルフィルムを用いて形成した。この支持体は、上記「(品名)DX−14Sフィルム」のポリメチルメタクリレートを多く含有する下層表面に、塩化ビニルホモポリマーフィルムを熱ラミネートして作製した。
【0047】
本例の接着シートの耐湿接着力の評価を次の様にして行った。まず、150mm×25mmにカットした接着シートを、20℃、65%RHの条件下で、鉄塔用溶融亜鉛メッキ鉄板のメッキ面に、通常の粘着シートの場合と同様にして圧着して貼り付け、同条件下で24時間放置し、試験片を作製した。なお、この状態での接着力(剥離力)は2.55Kgf/25mmであった。剥離速さは300mm/分、剥離角度は180°であった。
【0048】
続いて、上記と同様にして作製した試験片を、40℃、95%RHの環境下に14日間放置してエージングし、その後20℃、65%RHの環境に1時間放置して常態に戻したものについて剥離力を測定し、この測定値をもって耐湿接着力とした。剥離速さは300mm/分、剥離角度は180°であった。本例の接着シートのメッキ面に対する耐湿接着力は3.05kgf/25mmであり、エージング後も十分な接着力を維持できることが分かった。
【0049】
一方、比較例1として、芳香族カルボン酸を含まない以外は実施例1と同様にして作製した接着シートについて、実施例1と同様にして評価を行ったところ、エージング前の接着力が1.55Kgf/25mmあったのに対し、耐湿接着力は0.42kgf/25mmであり、エージング後に十分な接着力を維持できないことが分かった。
【0050】
(比較例2)
本例は、分子内にカルボン酸を含むアクリル系粘着性ポリマーを用いた例である。粘着性ポリマーの調製に用いたモノマー組成は、2−エチルヘキシルアクリレート90重量部、およびアクリル酸10重量部であった。
【0051】
上記の分子内にカルボン酸を含むアクリル系粘着性ポリマーを用い、かつ、芳香族カルボン酸として、7重量部の安息香酸を用いた以外は実施例1と同様にして作製した接着シートについて、実施例1と同様にして評価を行ったところ、エージング前の接着力が2.87Kgf/25mmあったのに対し、耐湿接着力は0.17kgf/25mmであり、エージング後に十分な接着力を維持できないことが分かった。すなわち、分子内にカルボン酸を実質的に含まない粘着性ポリマーを用いなければ、芳香族カルボン酸の腐食抑制効果はほとんど得られないことが示された。
【0052】
(実施例2)
芳香族カルボン酸として、10重量部の安息香酸を用いた以外は実施例1と同様にして、本例の接着剤組成物および接着シートを作製した。この接着シートについて、実施例1と同様にして評価を行ったところ、エージング前の接着力は1.81Kgf/25mmで、耐湿接着力は2.20kgf/25mmであり、エージング後も十分な接着力を維持できることが分かった。
【0053】
(実施例3)
本例では、イソオクチルアクリレート60重量部−エチルアクリルレート40重量部からなるモノマー組成の原料から調製された粘着性ポリマーを用いた例である。
上記のカルボン酸フリーの粘着性ポリマーを用い、かつ、サリチル酸の量を1.5重量部に代えた以外は実施例1と同様にして、本例の接着剤組成物および接着シートを作製した。この接着シートについて、実施例1と同様にして評価を行ったところ、エージング前の接着力は2.00Kgf/25mmで、耐湿接着力は2.33kgf/25mmであり、エージング後も十分な接着力を維持できることが分かった。
【0054】
(実施例4)
本例は、支持体が防湿性フィルムを含まない例である。支持体として、前記塩化ビニルフィルム(厚み=60μm)を用いた以外は実施例3と同様にして、本例の接着剤組成物および接着シートを作製した。この接着シートについて、実施例1と同様にして評価を行ったところ、エージング前の接着力は1.42Kgf/25mmで、耐湿接着力は1.58kgf/25mmであった。耐湿接着力は、実施例1〜3(支持体が防湿性フィルムを含む例)に比べて低い値を示したが、エージング後も実用可能なレベルの接着力を維持できることが分かった。
【0055】
(実施例5および6)
サリチル酸の量を、3重量部(実施例5)、および10重量部(実施例6)に代えた以外は、実施例1と同様にして、各例の接着剤組成物および接着シートを作製した。これらと、実施例1の接着シートとを比較するため、次の2つの条件にてエージングした以外は、実施例1と同様にして評価を行った。
(条件A)−30〜80℃のヒートサイクルを5回繰り返した後、10日間、40℃、95%RHに一定に保つ。
(条件B)前述と同じ(40℃、95%RHの環境下に14日間放置)
条件Aにおける耐湿接着力は、それぞれ、1.35kgf/25mm(実施例5)、2.18kgf/25mm(実施例6)、および3kgf/25mm(実施例1)であった。一方、比較例1(芳香族カルボン酸なし)の試験片についても条件Aにおける耐湿接着力を測定したところ、1.10kgf/25mmであった。いずれの実施例の場合もサリチル酸の効果が確認できた。また、この範囲では、サリチル酸の量が増えるに従い、腐食抑制効果が向上することも確認された。
【0056】
(実施例7〜9および比較例3)
防湿性フィルムを含まない支持体として、前記塩化ビニルフィルム(厚み=100μm)を用いた以外は、実施例5、6、1および比較例1と同様にして、それぞれ、実施例7(サリチル酸=3重量部)、実施例8(サリチル酸=10重量部)、実施例9(サリチル酸=16重量部)および比較例3(芳香族カルボン酸なし)の接着シートを作製した。これらの例の接着シートについて、アルミニウム板およびメラミン塗装板に対する常態接着力(20℃、65%RHの条件下での90°剥離接着力)を測定したところ、以下の様な結果が得られた。
これらの結果から、本発明の接着シートは、メッキ面以外の被着体においても、十分な接着力で接着できることが確認された。
さらに、比較例3、実施例7、8および9の接着シートについて、アルミニウム板に対する耐湿接着力を測定したところ、以下の様な結果が得られた。なお、測定方法は、前述の場合と同様であるが、エージング条件は以下の様にした。
これらの結果から、本発明の接着シートは、メッキ面以外の金属表面に対しても、十分な耐湿接着力を示すことが確認された。
【0057】
(比較例4および5)
実施例2との比較のため、次の様にして、比較例4および5の接着剤組成物および接着シートを作製し、条件Aにおける耐湿接着力を測定した。
比較例4:粘着性ポリマーを比較例2のアクリル酸含有タイプに代え、かつ安息香酸を用いなかった以外は実施例2と同様であった。耐湿接着力は、0.42kgf/25mmであった。
比較例5:粘着性ポリマーを比較例2のアクリル酸含有タイプに代えた以外は実施例2と同様であった。耐湿接着力は、0.35kgf/25mmであった。また、実施例2について、前述の条件Aにおける耐湿接着力を測定したところ、2.20kgf/25mmであった。すなわち、分子内にカルボン酸を実質的に含まない粘着性ポリマーを用いなければ、芳香族カルボン酸の腐食抑制効果はほとんど得られないことが確認された。
【0058】
(実施例10〜14)
芳香族カルボン酸の種類をそれぞれ以下の様に変えた以外は実施例6(芳香族カルボン酸の量は10重量部)と同様にして、各例の接着剤組成物および接着シートを作製した。これらの接着シートと、前述の比較例1の接着シートについて、実施例1と同様にして評価を行った結果を以下に示す。ただし、前述の条件Cにてエージングした。
【0059】
(比較例6)
芳香族化合物として、分子内にカルボン酸基を持たない、サリチル酸エステル(サリチル酸メチル10重量部)を用いた以外は、実施例1と同様にして本例の接着剤組成物および接着シートを作製した。
本例の接着シートについて、実施例1と同様にして評価を行ったところ(エージング条件は、40℃、95%RH、10日間)、エージング前の接着力が1.55Kgf/25mmあったのに対し、耐湿接着力は0.95kgf/25mmであり、エージング後に十分な接着力を維持できないことが分かった。すなわち、分子内にカルボン酸基を有する、芳香族カルボン酸を用いなければ、十分な腐食抑制効果は得られないことが示された。
【0060】
(実施例15〜18)
本例は、分子内にカルボン酸を微量に含むアクリル系粘着性ポリマーを用いた例である。粘着性ポリマーの調製に用いたモノマー混合物は、下記表Aに示す組成からなっていた。アクリル酸の量は、それぞれ、0.5重量部(実施例15)、1.0重量部(実施例16)、2.0重量部(実施例17)および3.0重量部(実施例18)であった。
粘着性ポリマーとして、上記各例のアクリル系粘着性ポリマーを用い、芳香族カルボン酸として、その粘着性ポリマー100重量部に対して10重量部のサリチル酸を用いた以外は、実施例1と同様にして、各例の接着剤組成物および接着シートを作製した。
これらの接着シートを、実施例1と同様にして評価を行った結果を以下に示す。ただし、エージング条件は、40℃、95%RH、10日間であった。
【0061】
【発明の効果】
以上の結果により、分子内にカルボン酸を実質的に含まない粘着性ポリマーと、芳香族カルボン酸化合物とを組み合わせて用いることにより、接着剤組成物(および接着シート)の接着力の経時低下が効果的に防止できることが分かった。すなわち、本例の接着シートでは、下地処理を行わずにメッキ面に貼り付けることができるので、再被覆を含めたメンテナンス性が良好である。
Claims (3)
- 溶融亜鉛メッキ表面を有する被着体と接着シートとを含んでなる接着構造において、前記接着シートが、支持体とその支持体の一方の主要面に配置された接着層からなり、
前記接着層が、ポリマー全体の重合単位に占めるカルボン酸単位の重量比で10重量%未満のカルボン酸基を含むアクリル系粘着性ポリマーと、安息香酸誘導体から選ばれる芳香族カルボン酸化合物とを含有する接着剤組成物からなり、
前記接着シートは、前記溶融メッキ表面に、前記接着層を介して接着されている接着構造。 - 溶融亜鉛メッキ表面を有する被着体と接着シートとを含んでなる接着構造において、前記接着シートが、支持体とその支持体の一方の主要面に配置された接着層からなり、
前記接着層が、分子内にカルボン酸基をまったく含まないアクリル系粘着性ポリマーと、安息香酸誘導体から選ばれる芳香族カルボン酸化合物とを含有する接着剤組成物からなり、
前記接着シートは、前記溶融メッキ表面に、前記接着層を介して接着されている接着構造。 - 前記安息香酸誘導体は、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、メチル安息香酸、フタル酸及びアミノ安息香酸からなる群より選ばれる、請求項1または2に記載の接着構造。
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