JP4121339B2 - 多層配線板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、多層配線板(多層プリント配線板)およびその製造方法に関し、特に、フリップチップ実装などの高密度実装が可能な多層のフレキシブルプリント配線板等の多層配線板およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多層配線基板として、層間接続をスルーホールによらずにIVH(Interstitial Via Hole)によって行い、ビア・オン・ビアが可能な多層配線板が数多く発表されている。スルーホールによる層間接続の場合には、導体層ランド部が厚さ方向同一直線上にある必要があるが、IVHによる層間接続では、その必要がなく、配線の自由度が高いという特徴を有しており、高密度実装を必要とする携帯電話等の小型電子機器に広く利用されている。
【0003】
IVHによる多層プリント配線板としは、例えば、松下電器産業社のALIVH(Any Layer Interstitial Via Hole)基板や(例えば、非特許文献1参照)、ポリイミドによるフレキシブルプリント配線板(FPC)をビルドアップ方式で多層に積層するソニーケミカル社のポリイミド複合多層ビルドアップ集積回路基板(MOSAIC)が(例えば、非特許文献2参照)発表されている。
【0004】
また、ポリイミドフイルムを絶縁層としてそれの片面に銅箔による導電層を貼り付けられている汎用の銅張樹脂基材を出発材料として、簡便な工程によりIVH構造の多層FPCを得る構造と製法が本願出願人と同一の出願人による特願2001−85224号で提案されている。この多層FPCでは、多層化を行う層間接着を、銅張樹脂基材(導電層付き樹脂基材)に形成された熱可塑性ポリイミド(TPI)による接着層(ポリイミド系接着層)により行う。
【0005】
【非特許文献1】
高木 清著 「ビルドアップ多層プリント基板配線板技術」日刊工業新聞社出版、77頁〜79頁
【非特許文献2】
有光 著 「ポリイミド複合多層ビルドアップ集積回路基板(MOSAIC)の開発」、(online)、平成11年3月1日、プレスリリース、(平成14年8月2日検索)、インターネット (URL : http://www.sccj.co.jp/html/topic/990301_r.html)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ポリイミド系接着層によって多層化のための層間接着を行う場合、ポリイミド系接着層を銅張樹脂基材等の基材に形成する工程と、その後にポリイミド系接着層によって多層貼り合わせを行う工程とを含む。即ち、ポリイミド系接着層の2度目の加熱によって多層貼り合わせが実施される。
【0007】
ポリイミド系接着層として代表的なものに熱可塑性ポリイミドがあり、熱可塑性ポリイミドは、ガラス転移温度Tg以上で可塑性を示し、その反応は熱的に可逆である。即ち、一旦加熱可塑化させ、その後、冷却して硬化させたものであっても、再度加熱することで、熱可塑性ポリイミドは再び可塑性を示す。従って、熱可塑性ポリイミドを接着層として使用することで、2度目の加熱でも十分な接着強度が確保される。
【0008】
しかし、熱可塑性ポリイミドの接着層では、基板として完成した後に、リフロー等の加熱が行われた時も、熱可塑性ポリイミドが熱的可逆性を示し、剥がれが生じる虞れがある。この不具合を回避するためには、ガラス転移温度Tgの高い熱可塑性ポリイミドを使用する必要がある。
【0009】
しかしながら、ガラス転移温度Tgの高い熱可塑性ポリイミドを使用すると、多層貼り合わせ時の高温加熱によって多層配線基板の層間導通用の導電性ペーストが劣化してしまうと云う二律相反の問題が生じる。
【0010】
これに対し、多層配線基板の層間接着剤として、熱硬化樹脂系の接着剤を使用した場合には、1度目の加熱によって接着剤の硬化がある程度進んでしまうために、2度目の加熱後の接着強度が上がらず、充分な層間接着強度を得ることが難しい。
【0011】
銅箔付きポリイミド基材に接着層を形成したものは、表裏非対称な構造となるために、接着剤の反応による寸法変化により生じる応力が片面のみに作用し、基材の反りを避けることが難しい。さらに、多層基板として完成後も、非対称性を残していることから、基板自体が反ってしまうという問題がある。この問題を回避するため、多層配線板の層構造は、コア基材に対して表裏同じ層数で構成するのが一般的であり、これにより配線の自由度が制限されている。
【0012】
この発明は、上述の如き問題点を解消するためになされたもので、多層化のための層間接着剤として、ガラス転移温度Tgが高い熱可塑性ポリイミドを使用する必要がなく、銅張樹脂基材(導電層付き樹脂基材)等に加熱貼り付けによる接着層を形成した場合でも、多層積層後の接着強度に影響を与えることがなく、充分な層間接着強度を安定して得ることができ、更には、コア基材に対して表裏が非対称構造でも、反りの発生を回避することができ、配線の自由度が制限されることがなく、マザーボート等に貼り合わせることができる多層配線板およびその製造方法を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、請求項1の発明は、多層配線板の製造方法であって、片面に配線パターンをなす導電層を設けられた絶縁性基材に、熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度Tgが熱硬化成分の硬化開始温度Tsよりも低温である熱硬化機能を付与した熱可塑性ポリイミドシートを、当該熱可塑性ポリイミドシートのガラス転移温度Tgよりも高温で、且つ熱硬化成分の硬化開始温度Tsよりも低温で貼り付ける工程と、片面に配線パターンをなす導電層を設けられ、前記熱可塑性ポリイミドシートを貼り付けられた前記絶縁性基材による多層配線基板用基材同士あるいは前記多層配線基板用基材と他の基板を重ね合わせ、前記熱可塑性ポリイミドシートを層間接着剤とし、これらを前記熱可塑性ポリイミドシートの熱硬化成分の硬化開始温度Tsよりも高温で貼り合わせて多層化する工程と、を含むことを特徴とする。
【0014】
また、請求項2の発明は、前記導電層部分の口径が前記絶縁性基材および前記熱可塑性ポリイミドシート部分の口径より小さい貫通孔をこれらに穿孔する穿孔工程と、層間導通のための導電性樹脂組成物を前記貫通孔に充填する充填工程と、
を含むことを特徴とする。
【0015】
また、請求項3の発明は、前記絶縁性基材として可撓性基材を使用することを特徴とする。
【0016】
また、請求項4の発明は、前記絶縁性基材としてポリイミドフィルム等の可撓性絶縁樹脂フィルムを使用することを特徴とする。
【0017】
また、請求項5の発明は、多層配線板の製造方法であって、配線パターンをなす導体箔に、熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度Tgが熱硬化成分の硬化開始温度Tsよりも低温である熱硬化機能を付与した熱可塑性ポリイミドシートを、当該熱可塑性ポリイミドシートのガラス転移温度Tgよりも高温で、且つ熱硬化成分の硬化開始温度Tsよりも低温で貼り付ける工程と、前記熱可塑性ポリイミドシートを貼り付けられた導体箔による多層配線基板用基材同士あるいは前記多層配線基板用基材と他の基板を重ね合わせ、前記熱可塑性ポリイミドシートを層間接着剤とし、これらを前記熱可塑性ポリイミドシートの熱硬化成分の硬化開始温度Tsよりも高温で貼り合わせて多層化する工程と、を含むことを特徴とする。
【0018】
また、請求項6の発明は、前記導体箔部分の口径が前記熱可塑性ポリイミドシート部分の口径より小さい貫通孔をこれらに穿孔する穿孔工程と、層間導通のための導電性樹脂組成物を前記貫通孔に充填する充填工程と、を含むことを特徴とする。
【0019】
また、請求項7の発明は、層間接着を行う前記熱可塑性ポリイミドシートとして、ガラス転移温度Tgが110℃以下、常温弾性率Eが1300MPa以下である熱硬化機能を付与した熱可塑性ポリイミドシートを使用することを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照してこの発明の実施形態を詳細に説明する。
【0025】
(実施形態1)
図1、図2はこの発明による多層配線板の製造方法の実施形態1を示している。
【0026】
図1(a)に示されているように、ポリイミドフィルムによる絶縁性基材(絶縁樹脂層)11の片面に銅箔(導電層)12を設けられた汎用の銅箔付きポリイミド基材(CCL)を出発材料とし、まず、図1(b)に示されているように、この銅箔12に化学エッチングを施すことによって回路を形成する。
【0027】
銅箔12をエッチングするためのエッチャントは塩化第二鉄が主成分であるものを使用したが、これは塩化第二銅系エッチヤントやアルカリエッチャントでも代替が可能である。
【0028】
つぎに、絶縁性基材11の銅箔12とは反対側の面に、層間接着剤として、熱硬化機能を付与した熱可塑性ポリイミドシート13を貼り付ける。熱可塑性ポリイミドシート13として、新日鐵化学社製エスバネックスSPBシリーズを使用した。
【0029】
熱可塑性ポリイミドシート13は、シリコンユニットを有するポリイミド樹脂に、熱硬化成分としてエポキシ樹脂等を添加したものであり、ガラス転移温度Tg=80℃、熱硬化成分の硬化開始温度Ts=140℃付近のものとし、この熱可塑性ポリイミドシート13を、ガラス転移温度Tg=80℃よりも高く、熱硬化成分の硬化開始温度Ts=140℃よりも低い温度で、絶縁性基材11、つまりCCLに貼り付ける。
【0030】
したがって、このシート貼付工程では、熱可塑性ポリイミドシート13に添加された熱硬化成分は硬化を開始することがなく、熱可塑性ポリイミド自体の接着力によって絶縁性基材11と熱可塑性ポリイミドシート13との貼り合わせが行われる。
【0031】
なお、このシート貼付工程の加熱温度を、熱可塑性ポリイミドシート13のガラス転移温度Tg=80℃より小さい値に設定すると、熱可塑性ポリイミドシート13がCCLに接着されない。これに対し、熱硬化成分の硬化開始温度Ts=140℃以上で貼り合わせを行うと、この後に行われる多層化のための多層貼合の引き剥がし強度の面内分布に大きなばらつきが現れ、充分な引き剥がし強度と均一な面内強度分布を得ることができない。
【0032】
よって、熱可塑性ポリイミドシート13をCCLに貼り付けるシート貼付工程は、熱可塑性ポリイミドシート13のガラス転移温度Tgよりも高く、熱硬化成分の硬化開始温度Tsも低い温度で実施する必要がある。
【0033】
さらに、熱硬化機能を付与した熱可塑性ポリイミドシート13として、▲1▼ガラス転移温度Tg=140℃、常温弾性率E=1500MPa、▲2▼ガラス転移温度Tg=80℃、常温弾性率E=1100MPaのそれぞれについて、CCLへの貼り合わせを実施したところ、▲1▼の場合は、反りが非常に顕著であったが、▲2▼の場合は、反りは発現しなかった。
【0034】
T’℃で熱可塑性ポリイミドシート13の圧着を行い、圧着加圧した状態のまま、T℃まで冷却して解放した場合に、熱可塑性ポリイミドシート13に沿層方向に作用する力F(MPa)は、下式により表される。
【0035】
(1)圧着温度T’>ガラス転移温度Tgの場合
F=(α−α’)E(T−Tg)
(2)圧着温度T’<ガラス転移温度Tgの場合
F=(α−α’)E(T−T’)
但し、α:熱可塑性ポリイミドシート13の線膨張係数(1/℃)
α’:絶縁性基材11(ポリイミドフィルム)の線膨張係数(1/℃)
E:ヤング率(MPa)
▲1▼の場合はF=15MPa程度、▲2▼の場合はF=7.3MPa程度になり、反りの原因になる沿層方向力Fは、▲2▼では、▲1▼の場合に比しして半減する。このことから、熱硬化機能を付与した熱可塑性ポリイミドシート13としては、ガラス転移温度Tgが110℃以下、常温弾性率Eが1300MPa以下、より好ましくは、ガラス転移温度Tgが80℃以下、常温弾性率Eが1100MPa以下のものを使用することで、反りの発現を抑制できると考える。
【0036】
つぎに、図1(d)に示されているように、熱硬化機能付与の熱可塑性ポリイミドシート13の表面にPETマスキングテープ20を貼り付け、図1(e)に示されているように、レーザ光照射によって、所定の位置に、IHVとなる貫通孔14を穿設する。レーザとしてNd:TAGを使用した。
【0037】
貫通孔14は、PETマスキングテープ20と熱可塑性ポリイミドシート13と絶縁性基材11を貫通する絶縁部貫通孔14aの直径を通常のバイアホール径、例えば、100μmとすると、銅箔12を貫通する導電層貫通孔14bの直径は30μm程度とする。
【0038】
貫通孔14の穿孔が完了すれば、貫通孔14内に残存している穿孔による樹脂や銅箔の酸化物等によるスミアを除去するデスミアを行い、その後に、図1(f)に示されているように、スクリーン印刷で使用するようなスクイジプレート(スキージプレート)30を使用してPETマスキングテープ20の面側から導電性樹脂組成物(導電ペースト)15をスクイジングによって貫通孔14の絶縁部貫通孔14aと導電層貫通孔14bの全てに穴埋め充填する。図1(g)は、導電性樹脂組成物15の穴埋め充填完了状態を示している。
【0039】
導電性樹脂組成物15は、後の工程における加熱に対する酸化を避けるため、銀ペーストを使用した。この時、粘度を300dPa・sのものを使用したところ、銅箔12の小孔14bから導電ペーストが抜け落ちることなく的確に穴埋め充填することができた。なお、導電性樹脂組成物15としては、銀ペースト以外に、銅フィラーやカーボン混合物による導電性ペーストを使用することも可能である。
【0040】
この実施の形態では、基材表面にPETマスキングテープ20が貼付されているために、メタルマスクやスクリーンマスクを介さず、スクイジプレート20を直接基板に接触させてスクイジングを行ってよいが、もちろん、メタルマスクやスクリーンマスクを介してスクイジングすることにより、導電性樹脂組成物の無駄を削減することができる。
【0041】
このスクイジングの際に、銅箔12の小孔(導電層貫通孔)14bがエアブリード孔として機能し、この小孔14bから気泡が排出され、貫通孔14内に気泡が残存することがなく、銅箔12と導電性樹脂組成物15との密着が、銅箔12の裏面12aと、導電層貫通孔14bの内周面とで十分に行われる。これにより、銅箔12と導電性樹脂組成物15との密着が、充分な機械的信頼性、電気的信頼性をもって行われる。
【0042】
なお、導電性樹脂組成物15は、充填直後は流動性を維持しているため、次の工程までの間の時間で、小孔14bから流出してきてしまう虞れがある。従って、充填後は、即座に、導電性樹脂組成物15が小孔14bから流出しない程度まで半硬化させておく必要がある。
【0043】
つぎに、図1(h)に示されているように、表面に導電性樹脂組成物15が突出するようにPETマスキングテープ20を剥がして1層目の多層配線用基材10Aが完成し、この1層目の基材10Aに、図1(a)〜(h)に示されているこれまでと同様の製法で作製した2層目の基材10Bと、回路形成済みFPC16(銅箔17+ポリイミドフィルムによる絶縁性基材18)を各々適当な位置合わせしつつ積層加熱圧着(ラミネーション)することで、図2(a)、(b)に示されているように、多層化された多層配線板が達成される。
【0044】
回路形成済みFPC16は、マザーボードFPCのようなものであり、基材10A、10B、それの多層体に反りがないので、これらをマザーボードFPCのような回路形成済みFPC16に貼り合わせることが可能になる。
【0045】
この多層化のための積層加熱圧着は、熱硬化機能を付与した熱可塑性ポリイミドシート13の熱硬化成分の硬化開始温度Tsより高温で行う。これにより、熱可塑性ポリイミドシート13に添加されている熱硬化成分の接着力も含めて層間接着が行われ、十分な接着強度を確保することができる。
【0046】
接着剤熱可塑性ポリイミドシート13は、上述したように、2度の加熱を経ることになるが、熱可塑性ポリイミドとしてガラス転移温度Tg=80℃、硬化成分の硬化開始温度Tsが140℃付近のものにし、ガラス転移温度Tgよりも高く、硬化成分の硬化開始温度Tsよりも低い温度で第1回目の貼り合わせを行い、最後に多層貼り合わせを熱硬化成分の硬化開始温度Tsよりも高温で第2回目の貼り合わせを実施したところ、1回のみの加熱によって基材同士を接着したものに比べ遜色ない引き剥がし強度と面内強度分布を得ることができた。
【0047】
(実施形態2)
図3、図4はこの発明による多層配線板の製造方法の実施形態2を示している。実施形態2は、配線パターンをなす導体箔(単体)に熱硬化機能を付与した層間接着用の熱可塑性ポリイミドシートを貼り付けられ、この層間接着用の熱可塑性ポリイミドシートが多層配線基板用基材の絶縁性基材を兼ねたものである。
【0048】
図3(a)、(b)に示されているように、回路形成以前の銅箔102の片面に、層間接着剤として、熱硬化機能を付与した熱可塑性ポリイミドシート103を貼り付ける。熱可塑性ポリイミドシート103として、新日鐵化学社製エスバネックスSPBシリーズを使用した。
【0049】
熱可塑性ポリイミドシート103は、シリコンユニットを有するポリイミド樹脂に、熱硬化成分としてエポキシ樹脂等を添加したものであり、この実施形態でも、ガラス転移温度Tg=80℃、熱硬化成分の硬化開始温度Ts=140℃付近のものとし、この熱可塑性ポリイミドシート103を、ガラス転移温度Tg=80℃よりも高く、熱硬化成分の硬化開始温度Ts=140℃よりも低い温度で、銅箔102の片面に貼り付ける。
【0050】
したがって、このシート貼付工程では、熱可塑性ポリイミドシート103に添加された熱硬化成分は硬化を開始することがなく、熱可塑性ポリイミド自体の接着力によって絶縁性基材11と熱可塑性ポリイミドシート103との貼り合わせが行われる。
【0051】
なお、このシート貼付工程の加熱温度を、熱可塑性ポリイミドシート103のガラス転移温度Tg=80℃より小さい値に設定すると、熱可塑性ポリイミドシート103が銅箔102に接着されない。これに対し、熱硬化成分の硬化開始温度Ts=140℃以上で貼り合わせを行うと、この後に行われる多層化のための多層貼合の引き剥がし強度の面内分布に大きなばらつきが現れ、充分な引き剥がし強度と均一な面内強度分布を得ることができない。
【0052】
よって、熱可塑性ポリイミドシート103を銅箔102に貼り付けるシート貼付工程は、熱可塑性ポリイミドシート103のガラス転移温度Tgよりも高く、熱硬化成分の硬化開始温度Tsも低い温度で実施する必要がある。
【0053】
この実施形態でも、さらに、熱硬化機能を付与した熱可塑性ポリイミドシート103として、▲1▼ガラス転移温度Tg=140℃、常温弾性率E=1500MPa、▲2▼ガラス転移温度Tg=80℃、常温弾性率E=1100MPaのそれぞれについて、銅箔102への貼り合わせを実施したところ、▲1▼の場合は、反りが非常に顕著であったが、▲2▼の場合は、反りは発現しなかった。
【0054】
熱硬化機能を付与した熱可塑性ポリイミドシート103としては、ガラス転移温度Tgが110℃以下、常温弾性率Eが1300MPa以下、より好ましくは、ガラス転移温度Tgが80℃以下、常温弾性率Eが1100MPa以下のものを使用することで、反りの発現を抑制できる。
【0055】
図3(c)に示されているように、この銅箔102に化学エッチングを施すことによって回路を形成する。この場合も、銅箔102をエッチングするためのエッチャントは塩化第二鉄が主成分であるものを使用したが、これは塩化第二銅系エッチヤントやアルカリエッチャントでも代替が可能である。
【0056】
つぎに、図3(d)に示されているように、熱硬化機能付与の熱可塑性ポリイミドシート103の表面にPETマスキングテープ20を貼り付け、図3(e)に示されているように、レーザ光照射によって、所定の位置に、IHVとなる貫通孔104を穿設する。レーザとしてNd:TAGを使用した。
【0057】
貫通孔104は、PETマスキングテープ20と熱可塑性ポリイミドシート103を貫通する絶縁部貫通孔104aの直径を通常のバイアホール径、例えば、100μmとすると、銅箔102を貫通する導電層貫通孔104bの直径は30μm程度とする。
【0058】
貫通孔104の穿孔が完了すれば、貫通孔104内に残存している穿孔による樹脂や銅箔の酸化物等によるスミアを除去するデスミアを行い、その後に、図3(f)に示されているように、スクリーン印刷で使用するようなスクイジプレート(スキージプレート)30を使用してPETマスキングテープ20の面側から導電性樹脂組成物(導電ペースト)105をスクイジングによって貫通孔104の絶縁部貫通孔104aと導電層貫通孔104bの全てに穴埋め充填する。図3(g)は、導電性樹脂組成物105の穴埋め充填完了状態を示している。
【0059】
この実施形態でも、導電性樹脂組成物105は、後の工程における加熱に対する酸化を避けるため、銀ペーストを使用した。この時、粘度を300dPa・sのものを使用したところ、銅箔102の小孔104bから導電ペーストが抜け落ちることなく的確に穴埋め充填することができた。
【0060】
このスクイジングの際に、銅箔102の小孔(導電層貫通孔)104bがエアブリード孔として機能し、この小孔104bから気泡が排出され、貫通孔104内に気泡が残存することがなく、銅箔102と導電性樹脂組成物105との密着が、銅箔102の裏面102aと、導電層貫通孔104bの内周面とで十分に行われる。これにより、銅箔102と導電性樹脂組成物105との密着が、充分な機械的信頼性、電気的信頼性をもって行われる。
【0061】
つぎに、図3(h)に示されているように、表面に導電性樹脂組成物105が突出するようにPETマスキングテープ20を剥がして1層目の多層配線用基材10Aが完成し、この1層目の基材10Aに、図3(a)〜(h)に示されているこれまでと同様の製法で作製した2層目の基材10Bと、回路形成済みFPC16(銅箔17+ポリイミドフィルムによる絶縁性基材18)を各々適当な位置合わせしつつ積層加熱圧着(ラミネーション)することで、図4(a)、(b)に示されているように、多層化された多層配線板が達成される。
【0062】
回路形成済みFPC16は、マザーボードFPCのようなものであり、基材100A、100B、それの多層体に反りがないので、これらをマザーボードFPCのような回路形成済みFPC16に貼り合わせることが可能になる。
【0063】
この多層化のための積層加熱圧着は、熱硬化機能を付与した熱可塑性ポリイミドシート103の熱硬化成分の硬化開始温度Tsより高温で行う。これにより、熱可塑性ポリイミドシート103に添加されている熱硬化成分の接着力も含めて層間接着が行われ、十分な接着強度を確保することができる。
【0064】
接着剤熱可塑性ポリイミドシート103は、上述したように、2度の加熱を経ることになるが、熱可塑性ポリイミドとしてガラス転移温度Tg=80℃、硬化成分の硬化開始温度Tsが140℃付近のものにし、ガラス転移温度Tgよりも高く、硬化成分の硬化開始温度Tsよりも低い温度で第1回目の貼り合わせを行い、最後に多層貼り合わせを熱硬化成分の硬化開始温度Tsよりも高温で第2回目の貼り合わせを実施したところ、1回のみの加熱によって基材同士を接着したものに比べ遜色ない引き剥がし強度と面内強度分布を得ることができた。
【0065】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように、この発明による多層配線板およびその製造方法によれば、汎用の導電層付き樹脂基材を出発材料として、導電層付き樹脂基材に加熱貼り付けによる接着層を形成した場合でも、多層積層後の接着強度に影響を与えることがなく、充分な層間接着強度を安定して得ることができ、更には、コア基材に対して表裏が非対称構造でも、反りの発生を回避することができ、配線の自由度が制限されることがなく、マザーボート等に貼り合わせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(h)はこの発明による多層配線板の製造方法の実施形態1の基材製造工程を示す工程図である。
【図2】(a)、(b)はこの発明による多層配線板の製造方法の実施形態1の多層化工程を示す工程図である。
【図3】(a)〜(h)はこの発明による多層配線板の製造方法の実施形態2の基材製造工程を示す工程図である。
【図4】(a)、(b)はこの発明による多層配線板の製造方法の実施形態2の多層化工程を示す工程図である。
【符号の説明】
10A 1層目の基材
10B 2層目の基材
11 絶縁性基材
12 銅箔
13 熱硬化機能を付与した熱可塑性ポリイミドシート
104 貫通孔
104a 絶縁部貫通孔
104b 導電層貫通孔
105 導電性樹脂組成物
16 回路形成済みFPC
100A 1層目の基材
100B 2層目の基材
102 銅箔
103 熱硬化機能を付与した熱可塑性ポリイミドシート
104 貫通孔
104a 絶縁部貫通孔
104b 導電層貫通孔
105 導電性樹脂組成物

Claims (7)

  1. 片面に配線パターンをなす導電層を設けられた絶縁性基材に、熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度Tgが熱硬化成分の硬化開始温度Tsよりも低温である熱硬化機能を付与した熱可塑性ポリイミドシートを、当該熱可塑性ポリイミドシートのガラス転移温度Tgよりも高温で、且つ熱硬化成分の硬化開始温度Tsよりも低温で貼り付ける工程と、
    片面に配線パターンをなす導電層を設けられ、前記熱可塑性ポリイミドシートを貼り付けられた前記絶縁性基材による多層配線基板用基材同士あるいは前記多層配線基板用基材と他の基板を重ね合わせ、前記熱可塑性ポリイミドシートを層間接着剤とし、これらを前記熱可塑性ポリイミドシートの熱硬化成分の硬化開始温度Tsよりも高温で貼り合わせて多層化する工程と、
    を含むことを特徴とする多層配線板の製造方法。
  2. 前記導電層部分の口径が前記絶縁性基材および前記熱可塑性ポリイミドシート部分の口径より小さい貫通孔をこれらに穿孔する穿孔工程と、
    層間導通のための導電性樹脂組成物を前記貫通孔に充填する充填工程と、
    を含むことを特徴とする請求項記載の多層配線板の製造方法。
  3. 前記絶縁性基材として可撓性基材を使用することを特徴とする請求項1または2記載の多層配線板の製造方法。
  4. 前記絶縁性基材としてポリイミドフィルム等の可撓性絶縁樹脂フィルムを使用することを特徴とする請求項1または2記載の多層配線板の製造方法。
  5. 配線パターンをなす導体箔に、熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度Tgが熱硬化成分の硬化開始温度Tsよりも低温である熱硬化機能を付与した熱可塑性ポリイミドシートを、当該熱可塑性ポリイミドシートのガラス転移温度Tgよりも高温で、且つ熱硬化成分の硬化開始温度Tsよりも低温で貼り付ける工程と、
    前記熱可塑性ポリイミドシートを貼り付けられた導体箔による多層配線基板用基材同士あるいは前記多層配線基板用基材と他の基板を重ね合わせ、前記熱可塑性ポリイミドシートを層間接着剤とし、これらを前記熱可塑性ポリイミドシートの熱硬化成分の硬化開始温度Tsよりも高温で貼り合わせて多層化する工程と、 を含むことを特徴とする多層配線板の製造方法。
  6. 前記導体箔部分の口径が前記熱可塑性ポリイミドシート部分の口径より小さい貫通孔をこれらに穿孔する穿孔工程と、
    層間導通のための導電性樹脂組成物を前記貫通孔に充填する充填工程と、
    を含むことを特徴とする請求項記載の多層配線板の製造方法。
  7. 層間接着を行う前記熱可塑性ポリイミドシートとして、ガラス転移温度Tgが110℃以下、常温弾性率Eが1300MPa以下である熱硬化機能を付与した熱可塑性ポリイミドシートを使用することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項記載の多層配線板の製造方法。
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