JP4120513B2 - 車両用暗視装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用暗視装置に関するものである。
従来、夜間の車両走行時において、車両前方の暗い場所は運転者にとって視界が悪く、交通事故を誘発する原因となっていた。そこで、近年では、夜間の運転者の視界を補助して安全運転を支援する次のような車両用暗視装置が提案されている。
すなわち、赤外線投光器および赤外線カメラを備え、投光器から車両前方に投光された赤外線のうち車両前方の対象物にて反射した赤外線をカメラで受光することで、車両前方の映像を撮影し、当該映像を表示装置にて表示するといった暗視装置である。
このような暗視装置に対し、車両前側遠方を照明する走行用投光器(所謂ハイビーム用ランプ)に、可視光のみならず赤外線波長成分を含む光を発する投光器を採用し、当該走行用投光器を赤外線投光器として利用することにより、専用の赤外線投光器を不要にすることを図った暗視装置が特許文献1にて提案されている。
特許文献1に記載の暗視装置では、可視光を遮断して赤外線を透過するフィルターを備え、当該フィルターは、走行用投光器を覆う第1位置と走行用投光器から離れた第2位置とに切替移動するように構成されている。そして、車室内に設けられた起動スイッチをオン操作すると、暗視装置が起動して、すれ違い用投光器(所謂ロービーム用ランプ)および走行用投光器が点灯した状態、かつ、フィルターを第1位置に移動させた状態で、表示装置に前記映像を表示するように作動する。
特開2000−205949号公報
ここで、暗視装置は、夜間の運転者の視界を補助して安全運転を支援するものであり、換言すれば、暗視装置を使用するような場合には夜間走行であるため、可視光による照明が必要となる。
しかしながら、上記特許文献1に記載の暗視装置では、単純に、起動スイッチをオン操作するだけで、暗視装置が起動してフィルターの第1位置への移動により走行用投光器からの可視光が遮断されるので、すれ違い用投光器が消灯している時に起動スイッチをオン操作させた場合には、すれ違い用投光器のみならず走行用投光器からも可視光の出射が無い状態となってしまう。よって、可視光照明が無い状態で暗視装置を用いた夜間走行となってしまい、安全運転支援の妨げとなってしまう。
また、上述のように単純に起動スイッチをオン操作するだけで暗視装置を起動させると、走行用投光器が点灯している時に起動スイッチをオン操作させた場合には、運転者の意図に反して走行用投光器からの可視光が遮断されてしまうため、運転者の意図しない照明状態での夜間走行となってしまい、安全運転支援の妨げとなってしまう。
また、上記特許文献1には特に記載されていないが、起動スイッチのオフ操作により暗視装置を停止させるにあたり、単純に、フィルターの第2位置への移動および走行用投光器の消灯を行うだけでは、走行用投光器が消灯する前にフィルターが第1位置から外れ、運転者の意図に反して走行用投光器からの可視光が出射されてしまうため、運転者の意図しない照明状態での夜間走行となってしまい、安全運転支援の妨げとなってしまう。
本発明は上記点に鑑みて、車両用暗視装置による安全運転の支援を確実にすることを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項に記載の発明では、車両前側遠方に可視光および赤外線を投光する走行用投光器(11)と、車両前側近方に可視光を投光するすれ違い用投光器(12)と、赤外線のうち車両前方の対象物にて反射した赤外線を受光することで、車両前方の映像を撮影する暗視カメラ(20)と、暗視カメラ(20)にて撮影された映像を表示する表示装置(30)と、可視光を遮断して赤外線を透過するフィルター(13)と、フィルター(13)を、走行用投光器(11)を覆う第1位置と走行用投光器(11)から離れた第2位置とに切替移動させる移動手段(16b、17)とを備え、車室内に設けられた起動操作手段(51)をオン操作すると、両投光器(11、12)が点灯し、フィルター(13)が第1位置に移動し、表示装置(30)が前記映像を表示するように作動する車両用暗視装置であって、
フィルター(13)が第1位置にあって走行用投光器(11)が点灯しているときに起動操作手段(51)がオフ操作された場合には、走行用投光器(11)を消灯させた後にフィルター(13)を第2位置へ移動させることを特徴とする。
これにより、起動操作手段(51)をオフ操作して暗視装置を停止させるにあたり、走行用投光器(11)が消灯する前にフィルター(13)が第1位置から外れ、運転者の意図に反して走行用投光器(11)からの可視光が出射されてしまうことを回避できるので、車両用暗視装置による安全運転支援を確実にできる。
ここで、走行用投光器(11)を消灯させた直後にフィルター(13)を第1位置から移動させると、走行用投光器(11)の残光が出射されてしまう恐れがある。これに対し、請求項に記載の発明では、前記オフ操作された場合には、走行用投光器(11)を消灯させてから所定時間以上経過した後に、フィルター(13)を第2位置へ移動させることを特徴とするので、上述のように残光が出射されてしまうことを回避できる。
請求項に記載の発明では、車室内に設けられたハイビーム操作手段(52)をオン操作すると、走行用投光器(11)が点灯するように構成されており、フィルター(13)が第1位置にあって走行用投光器(11)が点灯した状態で、ハイビーム操作手段(52)をオン操作した場合には、走行用投光器(11)を点灯させたままフィルター(13)を第2位置へ移動させることを特徴とする。
これにより、フィルター(13)が第1位置にあって走行用投光器(11)が点灯した状態で暗視装置を起動している最中に、乗員が意図的に走行用投光器(11)による可視光照明を要求した場合には、当該要求に応えて照明することができる。
請求項に記載の発明では、移動手段(16b、17)は、フィルター(13)に設けられた金属製部材(16b)と、車両に設けられたソレノイド(17)とから構成され、ソレノイド(17)に電流を流すことにより生じる電磁力により、金属製部材(16b)はソレノイド(17)に吸引されることで、第1位置および第2位置をフィルター(13)は移動することを特徴とする。
これにより、第1位置と第2位置とにフィルター(13)を切替移動させることを容易に実現できる。また、フィルター(13)の第2位置から第1位置への移動時間を短時間(例えば0.1秒以下)にできる。
請求項に記載の発明では、金属製部材(16b)がソレノイド(17)に吸引されると、フィルター(13)は第1位置に移動するようになっており、フィルター(13)が第1位置に移動したことを検出する検出手段(18)を備え、ソレノイド(17)に所定時間以上電流を流しても、検出手段(18)にて第1位置への移動が検出されない場合には、ソレノイド(17)への通電を停止させることを特徴とする。
ここで、フィルター(13)が固着して移動不能な状態になった場合や、ソレノイド(17)が故障した場合等、ソレノイド(17)に電流を流してもフィルター(13)が正常に作動しないといった故障が生じた場合には、ソレノイド(17)に電流を流し続けてしまい、ソレノイド(17)における異常発熱、発煙の恐れが懸念される。
これに対し、上記請求項に記載の発明では、ソレノイド(17)に所定時間以上電流を流しても、第1位置へのフィルター(13)の移動が検出されない場合には、ソレノイド(17)への通電を停止させるので、上述の異常発熱、発煙の危険性を回避できる。
しかしながら、ソレノイド(17)が劣化して通電による電磁力が弱くなってきた場合には、第1位置でフィルター(13)を保持する吸引力が不足する恐れがあり、その場合には、所定時間内に第1位置に移動するものの、移動直後にフィルター(13)が第1位置から外れた位置にずれてしまい、再度ソレノイド(17)の吸引力で所定時間内に第1位置に移動する。つまり、第1位置とそこからずれた位置との間をフィルター(13)が繰り返し往復動してしまう危険性があり、しかも、所定時間より短い時間間隔で往復動する場合には、請求項に記載の通電停止機能が働かない。
そこで、請求項に記載の発明では、ソレノイド(17)への通電中において、フィルター(13)が第1位置から移動した後再度第1位置に移動するといった動作を所定回数以上繰り返した場合には、ソレノイド(17)への通電を停止させることを特徴とする。
これにより、ソレノイド(17)の劣化に起因してフィルター(13)が上述の繰り返し往復動してしまうことを回避できる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
以下、本発明の一実施形態を図に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の車両用暗視装置を車両に搭載した状態を模式的に示す断面図、図2は、車両のヘッドランプユニット10を車両前方側から見た正面図、図3は、ヘッドランプユニット10の詳細を模式的に示す断面図、図4は、暗視装置の作動制御を説明するブロック図である。なお、図2は車両左側に配置されたヘッドランプユニット10を示しており、車両右側にも同様のヘッドランプユニット10が配置されている。
これらの図1ないし図4に示すように、本実施形態に係る車両用暗視装置は、ヘッドランプユニット10と、暗視カメラ20と、表示装置としてのヘッドアップディスプレイ30と、制御手段としての電子制御装置(ECU)40とから構成されている。
ヘッドランプユニット10は、車両前方部分に搭載されており、走行用投光器としてのハイビーム用バルブ11と、すれ違い用投光器としてのロービーム用バルブ12とを別々に備えた、4灯式タイプである。ハイビーム用バルブ11は車両前側遠方に照明光を投光するものであり、ロービーム用バルブ12は車両前側近方に照明光を投光するものである。
因みに、日本の法規では、対向車や先行車があるときを除いて、ハイビーム用バルブ11を点灯して走行しなければならない決まりになっており、対向車や先行車のドライバーが眩惑してしまうことの防止が図られている。そして、ロービーム用バルブ12では前方約40m以上先の障害物が確認できるような配光および照度に設定されており、ハイビーム用バルブ11では前方約100m以上先の障害物が確認できるような配光および照度に設定されている。なお、本実施形態では、ハイビーム用バルブ11の点灯時にはロービーム用バルブ12が必ず点灯するように設計されている。
また、両バルブ11、12の照明光には、主に可視光域の波長成分が含まれており、少なくともハイビーム用バルブ11の照明光には、可視光域の波長成分の他に、赤外線波長成分が含まれている。本実施形態のハイビーム用バルブ11には、赤外線のうち近赤外線の波長成分を含むバルブ11が採用されている。このようなハイビーム用バルブ11の具体例としては、周知のハロゲンランプが挙げられる。
また、ヘッドランプユニット10には、可視光を遮断して近赤外線を透過するフィルター13が備えられており、当該フィルター13は、ハイビーム用バルブ11を覆う第1位置とハイビーム用バルブ11から離れた第2位置とに切替移動されるようになっている。この移動構造については後に詳述する。
暗視カメラ20は、車室内にてフロントウインドシールド1の上縁近傍に支持され、フロントウインドシールド1を通して車両の前方を撮影するものであり、ハイビーム用バルブ11から出射した赤外線のうち車両前方の対象物にて反射した赤外線を受光することで、車両前方の映像を撮影するものである。本実施形態の暗視カメラ20は図示しない望遠レンズ、撮像手段、ビデオ信号発生手段等から構成されている。
具体的には、撮像手段は、車両前方の映像を電気信号に変換する電荷結合素子(CCD素子)である。ビデオ信号発生手段は、CCD素子により変換された電気信号に基づき垂直同期信号、水平同期信号、バースト信号等が付与されたビデオ信号を発生するマイクロコンピュータである。なお、本実施形態のビデオ信号は、周知のNTSC方式によるものである。
ヘッドアップディスプレイ30は、フロントウインドシールド1の下縁から車室内側へ向けて延出するインストルメントパネル2に配設されており、表示部としてのTFT型液晶パネル31及びバックライト32を有しており、液晶パネル31は、図1にて示すごとく、インストルメントパネル2の上壁2aの開口部2b内にて水平状に支持されている。この液晶パネル31は、バックライト32からの光を受けて、表示画面31aにて表示画像を表示する。
この表示画像による表示光はフロントウインドシールド1に入射し、当該フロントウインドシールド1により、運転席に着座した運転者Mの眼部に向けて図1にて図示破線Rに沿い反射されることで、フロントウインドシールド1の前方に虚像mとして結像する。
なお、液晶パネル31の裏面側にはバックライト32が支持されており、このバックライト32の点灯により、液晶パネル31にその裏面側から光を入射する。そして、液晶パネル31を図示しないマトリックス駆動回路で駆動させることにより、上述の暗視カメラ20にて撮影された車両前方の映像を、表示光として出射する。これにより、夜間の車両前方の映像を虚像mとして運転者に視認させることができるので、夜間の運転者の視界を補助して安全運転を支援することができる。
ECU40は、暗視装置全体の制御を行う電子制御装置であり、フィルター13の移動制御、暗視カメラ20の作動制御、およびヘッドアップディスプレイ30の作動制御等を行う。
次に、ヘッドランプユニット10の構造を図3を用いて詳細に説明する。なお、図3中の上下前後方向を示す矢印は、ヘッドランプユニット10が車両に搭載された状態における車両の上下前後方向を示すものである。
ヘッドランプユニット10は、両バルブ11、12の背面に位置する反射鏡14と、カバー15とを組み合わせて形成されたケーシング内に、両バルブ11、12およびフィルター13を備えて構成されている。本実施形態の反射鏡14は金属製であり、バルブ11、12から出射した光を車両前方側に反射する機能を有している。また、本実施形態のカバー15はガラス製であり、レンズとしての機能を有している。
フィルター13は、ケーシング14、15内にてハイビームバルブ11の車両前方側に配置されており、車両前後方向に延びる筒状に形成されている。本実施形態のフィルター13は両端が開口した円筒形状に形成されている。
フィルター13には、ケーシング14、15外方に延びるアーム16aが結合されており、アーム16aには金属製部材としての支柱(移動手段)16bが結合されている。そして、アーム16aおよび支柱16bにてリンク機構を構成している。
そして、支柱16bに対向配置されたソレノイド(移動手段)17に電流を流すと、ソレノイド17にて生じた電磁力により、支柱16bはソレノイド17に吸引され、リンク機構が作動する。これにより、フィルター13は車両後方に向けて移動して、ハイビームバルブ11を覆う第1位置に移動することとなる。
ここで、リンク機構には、ばね等の弾性部材16cが備えられている。そして、フィルター13が第1位置に移動すると弾性部材16cは弾性変形するようになっている。そして、ソレノイド17への通電を停止すると、弾性部材16cの弾性力によりリンク機構が作動する。これにより、フィルター13は車両前方に向けて移動して、ハイビームバルブ11から離れた第2位置に移動することとなる。
図3の実線に示すフィルター13の位置は、第2位置を示しており、筒状のフィルター13の外部にハイビームバルブ11が位置している。一方、図3の一点鎖線に示すフィルター13の位置は、第1位置を示しており、筒状のフィルター13の内部にハイビームバルブ11が位置している。
また、図3中の符号18は、フィルター13が第1位置に移動したことを検出する検出手段を示している。本実施形態の検出手段18には、接触式の自己復帰型押動スイッチが採用されており、フィルター13が第1位置に移動すると、支柱16bにより第1位置検出スイッチ18が押し動かされてオン状態となり、第1位置検出スイッチ18からECU40に向けてオン信号S1が出力される。一方、フィルター13が第2位置に移動すると、支柱16bが第1位置検出スイッチ18から離れる。すると、第1位置検出スイッチ18は自己復帰してオフ状態となり、オン信号S1の出力が停止される。
ここで、ソレノイド17に流す電流には、フィルター13を移動させる際には弾性部材16cの弾性力に打ち勝つほどの吸引力が必要であるため、大電流が必要となる。一方、フィルター13を第1位置に保持させる際には小電流で保持可能である。従って、ソレノイド17に通電させるにあたり、第1位置検出スイッチ18にてオン信号S1が出力されていない場合には大電流が流れるように通電制御され、オン信号S1が出力されている場合には小電流が流れるように通電制御される。
また、ケーシング14、15内には、フィルター13を車両前方側から覆うシェード19が備えられており、当該シェード19により、フィルター13が車両外部から視認されて車両の外観が損なわれてしまうことを防止している。なお、バルブ11、12から出射してシェード19に入射した光は、シェード19にて反射した後、反射鏡14で反射し、カバー15を透過して、照明光として車両前方に出射する。
次に、暗視装置の作動制御を図4を用いて説明する。
車室内には、暗視装置の起動停止を操作する暗視装置起動スイッチ(起動操作手段)51と、ハイビームバルブ11の点灯消灯を操作するハイビームスイッチ(ハイビーム操作手段)52とが設置されている。両スイッチ51、52は運転者の手の届く位置に設置されており、ハイビームスイッチ52は、周知のコラムスイッチにてロービームバルブ12の点灯消灯を操作するスイッチと一体に構成されている。そして、ECU40には、両スイッチ51、52からの信号S2、S3が入力されるようになっている。
暗視装置起動スイッチ51がオン操作されて、オン操作信号S2がECU40に入力され、後述する起動禁止条件が満たされていない場合には、ECU40は暗視装置を起動させるように各種機器の作動を制御する。具体的には、点灯信号S4を両バルブ11、12に出力して両バルブ11、12を点灯させる。また、ソレノイド17に通電信号S5を出力してソレノイド17に電流を流し、フィルター13を第1位置に移動させる。また、暗視カメラ20を起動させる。また、ヘッドアップディスプレイ30を起動させる。
このように暗視装置を起動させると、ハイビームバルブ11からの近赤外線のうち車両前方の対象物にて反射した近赤外線を暗視カメラ20で撮影し、暗視カメラ20は、撮影された映像をNTSC方式のビデオ信号にて出力する。そして、当該ビデオ信号に基づいて液晶パネル31が駆動され、バックライト32により表示画面31aから表示光が出射される。すると、撮影された車両前方の映像が虚像mとして運転者に視認されることとなる。
従って、ロービームバルブ12からの可視光により車両前側近方を照明しつつ、夜間の車両前方映像を表示させることで、運転者の夜間視界を補助して安全運転を支援することができる。しかも、ハイビームバルブ11を点灯させているにも拘わらず、フィルター13によりハイビームバルブ11からの可視光は遮断されるので、対向車や先行車のドライバーを眩惑させることなく、夜間の車両前方映像を表示させることができる。
但し、フィルター13が第2位置にあって、次の3つの起動禁止条件のうち少なくとも一つを満たす場合には、暗視装置起動スイッチ51がオン操作された場合であっても、ECU40はフィルター13の第1位置への移動を禁止する。すなわち、ロービームバルブ12が消灯しているといった条件と、ハイビームバルブ11が点灯しているといった条件と、照度センサにより夜間である旨が検出されていないといった条件である。
具体的には、第1位置検出スイッチ18からのオン信号S1がECU40に入力されていない場合において、ロービームバルブ12が点灯し、かつ、ハイビームバルブ11が消灯している場合に限り、ECU40は、暗視装置起動スイッチ51からのオン操作信号S2の入力に応じて暗視装置を起動させる。
以上により、ロービームバルブ12が点灯していなければ、フィルター13が第1位置に移動することはないので、両バルブ11、12からの可視光照明が無い状態で暗視装置を用いた夜間走行が為されてしまうことを禁止でき、車両用暗視装置による安全運転支援を確実にできる。また、ハイビームバルブ11が消灯していなければ、フィルター13が第1位置に移動することはないので、運転者の意図に反してハイビームバルブ11からの可視光が遮断されてしまうことを回避でき、車両用暗視装置による安全運転支援を確実にできる。
また、本実施形態では、車速30km/h以上であり、かつ、ソレノイド17への通電信号S5が出力されており、かつ、第1位置検出スイッチ18からのオン信号S1が出力されているといった条件を満たした場合に限り、ハイビームバルブ11への点灯信号S4出力を許可している。
また、暗視装置起動中に、ハイビームスイッチ52をオン操作すると、ECU40は、ハイビームバルブ11を点灯させたままフィルター13を第2位置へ移動させるように制御することにより、暗視装置起動中であってもハイビームスイッチ52の操作に応じた照明状態にすることを図っている。なお、ハイビームスイッチ52がパッシング用のスイッチである場合も同様である。
具体的には、第1位置検出スイッチ18からのオン信号S1がECU40に入力され、かつ、ECU40からハイビームバルブ11に点灯信号S4が出力されている場合において、ハイビームスイッチ52からの点灯信号S3がECU40に入力された場合には、ハイビームバルブ11への点灯信号S4出力を維持させたまま、ソレノイド17への通電信号S5出力を停止する。
なお、ハイビームスイッチ52がオンからオフに切替操作された場合であって、上述した少なくとも一つの起動禁止条件を満たさない場合には、ソレノイド17に通電信号S5を出力してフィルター13を第1位置に移動させる。因みに、ハイビームスイッチ52がパッシング用のスイッチである場合には、所定時間(例えば約1秒)が経過した後に通電信号S5を出力する。これにより、短時間で連続パッシングを行った場合であっても、短時間で断続的に通電信号S5が出力してソレノイド17の寿命が短くなってしまうことを防止できる。
また、フィルター13が第1位置にあってハイビームバルブ11が点灯しているときに暗視装置起動スイッチ51がオフ操作された場合には、ハイビームバルブ11を消灯させた後にフィルター13を第2位置へ移動させる。
具体的には、ECU40に第1位置検出スイッチ18からのオン信号が入力され、かつ、ECU40からハイビームバルブ11に点灯信号が出力されているときに、ECU40に暗視装置起動スイッチ51からのオフ信号S2が入力された場合には、ECU40はハイビームバルブ11を消灯させ、その後、所定時間(例えば2.5秒)が経過した後に、ソレノイド17への通電を停止する。
これにより、暗視装置起動スイッチ51をオフ操作して暗視装置を停止させるにあたり、ハイビームバルブ11が消灯して残光が出射している前にフィルター13が第1位置から外れ、運転者の意図に反してハイビームバルブ11からの可視光が出射されてしまうことを回避できるので、車両用暗視装置による安全運転支援を確実にできる。
また、本実施形態では、ソレノイド17への通電信号S5を所定時間(例えば500ms)以上出力しても、第1位置検出スイッチ18からのオン信号S1がECU40に入力されない場合には、通電信号S5の出力を停止させる。これにより、フィルター13異常時に通電してしまうことによる、ソレノイド17の異常発熱や発煙を防止できる。
また、ソレノイド17への通電中において、フィルター13が第1位置から移動した後再度第1位置に移動するといった動作を所定回数(例えば4回)以上繰り返した場合には、通電信号S5の出力を停止させる。これにより、ソレノイド17が劣化して通電による電磁力が弱くなってしまっても、第1位置とそこからずれた位置との間をフィルター13が繰り返し往復動してしまうといった不具合を防止できる。
そして、上述のような異常発生時には、暗視装置の作動を強制的に停止させ、「フィルタ異常」或いは「ソレノイド異常」というダイアグノーシスを記憶する。この場合、ウォーニングランプを点灯させて運転者に故障を報知し、次回イグニッションスイッチオンまで暗視装置の起動を禁止する。或いは、強制的にソレノイド17の電源フューズを切断するようにしてもよい。
なお、本実施形態では、以下に説明するロービームモードによる可視光照明とハイビームモードによる可視光照明とが切替可能であるとともに、以下に説明するロービーム暗視モードによる視界補助とハイビーム暗視モードによる視界補助とが切替可能に構成されている。
ロービームモードとは、ハイビームバルブ11を消灯させ、ロービームバルブ12を点灯させ、かつ、ヘッドアップディスプレイ30を非表示として、ロービームバルブ12による可視光照明を行うモードである。
ハイビームモードとは、両バルブ11、12を点灯させ、かつ、フィルター13を第2位置に移動させてヘッドアップディスプレイ30を非表示として、両バルブ11、12による可視光照明を行うモードである。
ロービーム暗視モードとは、両バルブ11、12を点灯させ、かつ、フィルター13を第1位置に移動させてヘッドアップディスプレイ30にて夜間車両前方映像を表示させることにより、ロービームバルブ12による可視光照明を行いつつ視界補助を行うモードである。
ハイビーム暗視モードとは、両バルブ11、12を点灯させ、かつ、フィルター13を第2位置に移動させてヘッドアップディスプレイ30にて夜間車両前方映像を表示させることにより、両バルブ11、12による可視光照明を行いつつ視界補助を行うモードである。
(他の実施形態)
上記実施形態では、移動手段をソレノイド17および支柱16bから構成しているが、本発明の実施にあたり、モータにより移動手段を構成してフィルター13をモータ駆動させるようにしてもよい。
本発明の一実施形態に係る車両用暗視装置を、車両に搭載した状態を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る車両ヘッドランプユニット10を車両前方側から見た正面図である。 図2のヘッドランプユニット10の詳細を模式的に示す断面図である。 図1ないし図3に示す暗視装置の作動制御を説明するブロック図である。
符号の説明
11…ハイビームバルブ(走行用投光器)、
12…ロービームバルブ(すれ違い用投光器)、13…フィルター、
16b…支柱(移動手段)、17…ソレノイド(移動手段)、
20…暗視カメラ、30…ヘッドアップディスプレイ(表示装置)。

Claims (6)

  1. 車両前側遠方に可視光および赤外線を投光する走行用投光器(11)と、
    車両前側近方に可視光を投光するすれ違い用投光器(12)と、
    前記赤外線のうち車両前方の対象物にて反射した赤外線を受光することで、車両前方の映像を撮影する暗視カメラ(20)と、
    前記暗視カメラ(20)にて撮影された映像を表示する表示装置(30)と、
    可視光を遮断して赤外線を透過するフィルター(13)と、
    前記フィルター(13)を、前記走行用投光器(11)を覆う第1位置と前記走行用投光器(11)から離れた第2位置とに切替移動させる移動手段(16b、17)とを備え、
    車室内に設けられた起動操作手段(51)をオン操作すると、前記両投光器(11、12)が点灯し、前記フィルター(13)が前記第1位置に移動し、前記表示装置(30)が前記映像を表示するように作動する車両用暗視装置であって、
    前記フィルター(13)が前記第1位置にあって前記走行用投光器(11)が点灯しているときに前記起動操作手段(51)がオフ操作された場合には、前記走行用投光器(11)を消灯させた後に前記フィルター(13)を前記第2位置へ移動させることを特徴とする車両用暗視装置。
  2. 前記オフ操作された場合には、前記走行用投光器(11)を消灯させてから所定時間以上経過した後に、前記フィルター(13)を前記第2位置へ移動させることを特徴とする請求項に記載の車両用暗視装置。
  3. 車室内に設けられたハイビーム操作手段(52)をオン操作すると、前記走行用投光器(11)が点灯するように構成されており、
    前記フィルター(13)が前記第1位置にあって前記走行用投光器(11)が点灯した状態で、前記ハイビーム操作手段(52)をオン操作した場合には、前記走行用投光器(11)を点灯させたまま前記フィルター(13)を前記第2位置へ移動させることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用暗視装置。
  4. 前記移動手段(16b、17)は、前記フィルター(13)に設けられた金属製部材(16b)と、車両に設けられたソレノイド(17)とから構成され、
    前記ソレノイド(17)に電流を流すことにより生じる電磁力により、前記金属製部材(16b)は前記ソレノイド(17)に吸引されることで、前記第1位置および前記第2位置を前記フィルター(13)は移動することを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の車両用暗視装置。
  5. 前記金属製部材(16b)が前記ソレノイド(17)に吸引されると、前記フィルター(13)は前記第1位置に移動するようになっており、
    前記フィルター(13)が前記第1位置に移動したことを検出する検出手段(18)を備え、
    前記ソレノイド(17)に所定時間以上電流を流しても、前記検出手段(18)にて前記第1位置への移動が検出されない場合には、前記ソレノイド(17)への通電を停止させることを特徴とする請求項に記載の車両用暗視装置。
  6. 前記ソレノイド(17)への通電中において、前記フィルター(13)が前記第1位置から移動した後再度前記第1位置に移動するといった動作を所定回数以上繰り返した場合には、前記ソレノイド(17)への通電を停止させることを特徴とする請求項またはに記載の車両用暗視装置。
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