JP4120076B2 - 熱接着性複合繊維、その製造法及び繊維成形体 - Google Patents
熱接着性複合繊維、その製造法及び繊維成形体 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は熱接着性複合繊維に関する。さらに詳しくは、産業用資材、特にフィルター材などの用途として適した耐熱性を有する熱接着性複合繊維及びこれを用いた繊維成形体に関するものである。
【0002】
【背景技術】
熱接着性複合繊維は、ポリオレフィン系、ポリエステル系複合繊維が一般的であり、例えばポリエチレン/ポリプロピレン、ポリプロピレン/ポリプロピレン系共重合体、ポリエステル/ポリエチレン或いはポリエステル/ポリエステル系共重合体等からなる鞘芯あるいは並列型複合繊維が挙げられる。これらは主に衛生材料に代表されるディスポーザブル用途に利用されている。
しかし、産業資材、特にフィルター材などの分野では、オレフィン系複合繊維が耐熱性の点で、またポリエステル系複合繊維は耐薬品性の点で使用が制限されていた。このようなことから、耐熱性、耐薬品性の両者に優れ、かつ熱接着性を有する複合繊維の開発が望まれていた。
【0003】
これまで、シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体からなる単一成分繊維については、特開平8−60433号公報などに記載されている。また、特開平7−305221号公報、特開平8−278963号公報、特開平8−81829号公報には、シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体と非相溶性成分からなる複合繊維において、シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体をより多く繊維表面に露出させ、積極的に複合成分同士を剥離させる旨の記載がある。また、シート化については、ニードルパンチ、ウォータージェットパンチなどで分繊、交絡してシート化するため、繊維交点を熱融着するという熱接着性複合繊維については何ら言及されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐熱性、耐薬品性が要求される一般産業資材分野の利用を始めとして、フィルター材などに好適に利用できる実質的に鞘芯間で剥離せず、高温中でも熱収縮の少ない熱接着性複合繊維及びこれを用いた繊維成形体を提供しようとするものであるが、一般に熱可塑性樹脂からなる繊維からなるウエブは高温中で保持した場合には熱収縮が大であるため、安定した形状の繊維成形体を作成することは困難である。特に汎用用途に広く用いられているポリオレフィン系樹脂同士からなる複合繊維の場合には、150℃以上の温度に保持するとウエブの熱収縮率が急激に増大する。尚、ここで「実質的に鞘芯間で剥離せず」とは、ウオタージェット工程、或いはニードルパンチ工程において複合繊維の鞘芯間で剥離しないということである。
【0005】
本発明者らは、この様な従来技術の欠点を改良するために、鋭意検討を重ねた結果、シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体とそれよりも低融点の熱可塑性重合体との複合繊維とすることにより、耐熱性、耐薬品性が要求される一般産業資材分野の利用を始めとして、フィルター材などに好適に利用できる熱接着性複合繊維及びそれを用いた繊維成形体を提供できることを知り、本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記技術課題を解決するために以下の構成を有する。
(1) 融点の異なる2種以上の熱可塑性重合体からなる鞘芯型複合繊維であって、芯成分がシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(A)であり、鞘成分が前記シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(A)よりも低融点の熱可塑性重合体で構成され、かつ180℃、5分間加熱保持後における繊維ウェブの熱収縮率が10%以下であり、実質的に鞘芯間で剥離しないことを特徴とする熱接着性複合繊維を用いた不織布。
(2) 鞘芯型複合繊維が偏心構造である(1)項に記載の熱接着性複合繊維。
(3) 低融点の熱可塑性重合体がポリオレフィン系樹脂である(1)または(2)項に記載の不織布。
(4) 低融点の熱可塑性重合体がシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(B)である(1)または(2)項に記載の不織布。
(5) シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(B)が、シンジオタクチック構造を有するスチレン系共重合体である(4)項に記載の不織布。
(6) 低融点の熱可塑性重合体がポリフッ化ビニリデン若しくはポリ3フッ化エチレンである(1)または(2)項に記載の不織布。
(7) 芯成分がシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(A)であり、鞘成分が前記シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(A)よりも低融点の熱可塑性重合体で構成される樹脂成分を溶融紡糸し、延伸した後、熱処理を行なうことにより鞘芯型若しくは偏心鞘芯型複合繊維において、熱処理後の緩和率が2−20%であり、180℃、5分間加熱保持後における繊維ウェブの熱収縮率が10%以下であり、実質的に鞘芯間で剥離しないことを特徴とする熱接着性複合繊維を用いた不織布。
(8) 融点の異なる2種以上の熱可塑性重合体からなる鞘芯型複合繊維であって、芯成分がシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(A)であり、鞘成分が前記シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(A)よりも低融点の熱可塑性重合体で構成され、かつ180℃、5分間加熱保持後における繊維ウェブの熱収縮率が10%以下であり、実質的に鞘芯間で剥離しないことを特徴とする熱接着性複合繊維を用いたフィルター。
(9) 芯成分がシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(A)であり、鞘成分が前記シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(A)よりも低融点の熱可塑性重合体で構成される樹脂成分を溶融紡糸し、延伸した後、熱処理を行なうことにより鞘芯型若しくは偏心鞘芯型複合繊維において、熱処理後の緩和率が2−20%であり、180℃、5分間加熱保持後における繊維ウェブの熱収縮率が10%以下であり、実質的に鞘芯間で剥離しないことを特徴とする熱接着性複合繊維を用いたフィルター。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱接着性複合繊維は高融点樹脂(A)とそれより低融点である低融点樹脂(B)からなる。
高融点成分であるシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(A)(以下SPSと略称する。)とは、炭素-炭素結合から形成される主鎖に対して側鎖であるフェニル基や置換フェニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を有するものであり、そのタクティシティーは同位体元素による核磁気共鳴法(13C−NMR法)により定量される。
【0008】
13C−NMR法により測定されるタクティシティーは、連続する複数個の構造単位の存在割合、例えば2個の場合はダイアッド、3個の場合はトリアッド、5個の場合はペンタッドによって示すことができるが、本発明の熱接着性複合繊維に用いる主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(A)とは、通常はペンダットで85%以上、好ましくは95%以上のシンジオタクティシティーを有するポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリエチルスチレン、ポリイソプロピルスチレンなどのポリアルキルスチレン、ポリクロロスチレン、ポリブロモスチレン、ポリフルオロスチレンなどのポリハロゲン化スチレン、ポリクロロメチルスチレンなどのポリハロゲン化アルキルスチレン、ポリメトキシスチレン、ポリエトキシスチレンなどのポリアルコキシスチレン、ポリ安息香酸エステルスチレンなどがあり、これらを単独で又は混合して使用することができる。或いはスチレン系共重合体を使用することができる。スチレン系共重合体とはこれら重合体を構成するモノマー群相互の共重合体を意味する。熱接着性複合繊維の高融点成分として用いる場合には、低融点成分との融点差が大きい方が、熱加工により不織布及び繊維成形物への加工時の繊維自体の強度劣化が少ない。このため高融点成分としては、シンジオタクチック構造を有するスチレン重合体の中でも高融点のものが好適に使用できる。
【0009】
本発明に用いるSPSの平均分子量は繊維として使用可能であれば特に制限はない。また分子量分布(Mw/Mn)についてもとくに制限を受けることなく使用することができるが、分子量分布は狭い方が紡糸時の曳糸性は良く、1.8〜8.0の範囲内にあれば特に問題はない。
【0010】
一方、本発明の熱接着性複合繊維に用いる低融点成分とは、高融点成分、即ちシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(A)よりも融点が低い熱可塑性重合体であればよく、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、エチレン及びプロピレンからなるランダム、ブロック共重合体などのオレフィン系重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートを主成分とするポリエステル系重合体、6−ナイロン、66−ナイロンなどのポリアミド系重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリ3フッ化エチレンなどのフッ素系重合体等の汎用樹脂も使用することができる。芯成分が耐熱、耐薬品性に優れたSPSを使用するため、これらの性質においてある程度劣る樹脂を鞘成分として使用しても、全体を上述した樹脂を使用した場合に比較して、これらの特性は優れているからである。
【0011】
これらの中で好ましいものとして、ポリオレフィン系重合体、フッ素系重合体等が挙げられる。ポリオレフィン系重合体の中では特に、耐薬品、耐熱性の高い結晶性のポリプロピレンが好ましい。この結晶性ポリプロピレンとしては、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレンなどが挙げられるがアイソタクチックポリプロピレンがより好ましい。前述したフッ素系重合体は耐熱性、耐薬品性共に優れるため好ましい。また複合繊維の高融点成分を低融点成分にブレンドすることにより非相溶性成分同士からなる複合繊維の鞘芯剥離防止も可能となる。この場合、その添加量は30%以下であることが好ましい。30%を大きく超えると曳糸性が悪くなる場合がある。
【0012】
しかし、耐熱、耐薬品性の面でより好ましい低融点成分としては、前記複合繊維の高融点成分であるSPS(A)よりも融点の低いSPSを挙げることができる。この融点の低いSPS(B)とは、前記複合繊維の高融点樹脂のA成分として選択されたSPS(A)よりも融点の低いものである。この融点の低いシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体とは、上述したポリスチレンのフェニル基に種々の置換基を有するもの、例えば、ポリメチルスチレン、ポリエチルスチレン、ポリイソプロピルスチレンなどのポリアルキルスチレン、ポリクロロスチレン、ポリブロモスチレン、ポリフルオロスチレンなどのポリハロゲン化スチレン、ポリクロロメチルスチレンなどのポリハロゲン化アルキルスチレン、ポリメトキシスチレン、ポリエトキシスチレンなどのポリアルコキシスチレン、ポリ安息香酸エステルスチレンなどがある。これらを単独で又は混合して使用することができる。或いはこれら重合体を構成するモノマーにスチレンモノマーを加えたモノマー群の2種以上のモノマーからなる共重合体、或いはこれらのモノマーを主成分とした共重合体である。
【0013】
即ち、後者の例としては、上述したモノマー群から選択される1種以上のモノマーとエチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン等のオレフィンモノマー、ブタジエン、イソプレン等のジエンモノマー、環状オレフィンモノマー、環状ジエンモノマー、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、アクリロニトリル等の極性ビニルモノマーとのシンジオタクチックスチレン構造を有する共重合体である。
【0014】
本発明の目的を損なわない程度ならA成分、もしくはB成分であるSPSにアタクチック、アイソタクチック構造を有するスチレン系重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブチルゴム、エチレン−プロピレン共重合体または天然ゴム等、高融点樹脂のA成分よりも低融点になるものであれば特に限定することなく添加することができる。
【0015】
このように複合繊維の高融点樹脂のA成分、低融点樹脂のB成分とも同じスチレン系重合体であると複合繊維とした場合に両成分の相溶性が非常に良くなるためA成分とB成分の剥離などが起こらない。このため、熱融着させて不織布とした場合、剥離が起こりにくく、不織布強度低下も抑えることができる。
【0016】
本発明の熱接着性複合繊維の高融点成分と低融点成分の融点差は15℃以上、より好ましくは、20℃以上の温度差であることが熱処理により繊維成形体にする場合に繊維の高融点成分への熱的ダメージが少なく、高強力が維持できるため好ましい。また、本発明の目的のひとつである耐熱性を維持するためには低融点成分の融点は好ましくは130℃以上、より好ましくは160℃以上であり、更に好ましくは200℃以上である。
【0017】
2種類以上の熱可塑性樹脂からなる複合繊維は、鞘芯型、偏心鞘芯型,並列型、多層型、海島型等の複合形式による繊維が例示できる。繊維表面にはできるだけ低融点成分を露出させておくと熱処理して繊維成形体とするときに接着点が強固に溶融結合し、強度の高いものとすることができる。このため、高融点成分の繊維表面の露出割合は、全表面積の60%以下、より好ましくは、50%以下であることが好ましい。高融点成分が60%を大きく超えると熱処理により繊維成形体とした場合に繊維交絡点の接着力が充分でない場合がある。
【0018】
本発明の熱接着性複合繊維の複合比は、重量比で20/80〜80/20であることが好ましく、特に40/60〜60/40であることがより好ましい。一方の成分が20%未満では、その樹脂の特徴が反映されないばかりか、紡糸安定性も損なうことがある。
【0019】
本発明の熱接着性複合繊維の繊維径は特に限定されるわけではないが、繊維径が太すぎると、本発明に用いるスチレン重合体(A)及び(B)は、結晶性が高く、ガラス転移温度が100℃前後と室温より高いため、繊維成形体に加工する場合、柔軟性に欠け、加工工程での繊維折れなどが問題となることがある。従って繊維の柔軟性が確保できる繊維径とすることが好ましい。特にフィルターなどの素材として用いる場合には、繊維径は細い方が好ましく、1〜100μmとすることが好ましい。また、繊維長も特に限定されるわけではないが、不織布の成形法によって適宜選択する。カーディング法、エアーレイド法などの乾式法では5〜110mm程度とすることが好ましく、湿式法では、3〜20mm程度とすることが好ましい。
【0020】
本発明の熱接着性複合繊維の断面形状は、円形、異形状とすることができる。異形断面の場合には、複合繊維の形態を保持していれば、扁平形、三角形〜八角形等の多角形、T字型、多葉形、楕円形、中空断面形、等任意の形状とすることができ、特に限定されるものではない。さらに本発明の熱接着性複合繊維は通常使用される界面活性剤、安定剤、難燃剤、着色剤等の添加剤を本発明の効果を妨げない範囲において、必要に応じて使用することができる。
【0021】
本発明の熱接着性複合繊維を製造する方法の一例として、まず通常の溶融紡糸機を用いて、前記重合体の組合せからなる樹脂成分を290〜330℃の温度で溶融紡糸し、温度100〜120℃、延伸比1.5〜2.0で延伸する。延伸は必要に応じて多段延伸を行っても良い。さらに延伸後、熱収縮性の低減及び鞘芯間の剥離防止のために必要に応じて熱処理を行う。この熱処理は、140〜250℃の乾熱雰囲気中、緩和率が5〜20%になるように、1〜50秒間熱処理を行なう。得られた繊維は必要に応じて機械捲縮を付与し短繊維に切断する。以上は、短繊維の製造工程の一例を示したが、トウを切断せず、長繊維トウを分繊ガイドなどによりウェブとすることもできる。その後は必要に応じて高次加工工程を経て繊維成形体などが形成される。
【0022】
かかる工程において、繊維を紡出後、繊維の静電気防止、繊維成形体への加工性向上のための平滑性付与などを目的として、界面活性剤を付着させる。界面活性剤の種類、濃度は用途に合わせて適宜選択する。付着の方法は、ローラ法、浸漬法、噴霧法、パットドライ法などを用いることができる。付着は、紡糸工程、延伸工程、捲縮工程のいずれで付与しても差し支えない。さらに短繊維、長繊維に問わず、紡糸工程、延伸工程、捲縮工程以外の、例えば繊維成形体に成形後、界面活性剤を付与させることもできる。ここで繊維成形体とは、布状の形態であればいかなるものでも良く、例えば織物、編物、不織布あるいは不織繊維集合体などがある。また、混綿、混紡、混繊、交撚、交編、交繊などの方法で混合した繊維を前記方法で布状の形態にすることもできる。不織繊維集合体とは、例えばカード法、エアレイド法、あるいは抄紙などの方法で均一にしたウェブ状物あるいはこのウェブ状物に織物、編物等を積層したものをいう。
【0023】
本発明の熱接着性複合繊維からなる不織布の製造方法としては、例えば、前記熱接着性複合繊維の短繊維を用いてカーディング法、エアーレイド法を用いて必要な目付けのウェブを作成する。またメルトブロー法、スパンボンド法などで直接ウェブを作成してもよい。前記方法で作成したウェブを、ニードルパンチ法、サクションドライヤー法、高圧水流法、熱風乾燥装置、超音波融着装置あるいは熱ロール法等の公知の方法で加工して不織布を得ることができる。この不織布の目付けは、特に限定されるものではないが、10〜500g/m2 のものが好ましい。より好ましくは15〜300g/m2 のものが好ましい。目付けが10g/m2 未満であると、均一な不織布を製造することが困難であるばかりでなく、不織布としての利用価値が乏しい。一方、目付けが500g/m2を超えると、不織布が厚くなるとともに硬くなり、熱接着複合繊維の特徴である熱処理による不織布化工程でウェブ内部まで熱が伝わりにくく強度の高い不織布とすることが難しくなる。このような場合には、ニードルパンチ法、高圧水流法、で予め交絡させておき、その後、熱処理を行うことにより、高目付でも強度の高い不織布とすることができる。
【0024】
前記で得た熱接着性複合繊維に必要に応じて他の繊維を混合して、不織布や繊維成形体を製造することができる。この他の繊維としては、例えば、フッ素系繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリアリーレン繊維等のエンジニアリングプラスチック繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンなどの合成繊維などが挙げられる。
【0025】
また本発明で得られた熱接着性複合繊維を用いた繊維成形体は、そのもの単体で使用してもよいし、他の不織布、編織物あるいはメッシュ状物、フィルム、成形品などと積層あるいは一体化した状態で使用してもよい。また不織布は短繊維あるいは、長繊維からなるものでもよく、長繊維の場合、メルトブロー法、スパンボンド法など直接不織布化してもよい。
【0026】
以下、実施例、比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、実施例中の性能評価は、下記方法に従った。
【0027】
(繊維引張強伸度)
JIS−L1017法に準じ、島津製作所(株)製オートグラフ AGS500Dを用い、試長100mm、引張速度100mm/分で測定した。
【0028】
(不織布引張強伸度)
5cm幅の不織布を島津製作所(株)製オートグラフ AGS500Dを用い、MD方向の不織布破断強度を測定した。試長100mm、試験速度200mm/分で測定し、測定温度は室温とした。
【0029】
(緩和率)
延伸工程の熱処理前後の繊維径を測定し、以下の式により算出した。
{1−熱処理前の繊維径(μm)/熱処理後の繊維径(μm)}×100
【0030】
(曳糸性)
溶融紡糸時の曳糸性を糸切れの発生率により、次の3段階で評価した。
○:糸切れが全く発生せず、操作性が良好である。
△:糸切れが1時間あたり2回
×:糸切れが1時間あたり3回以上発生し、操作上問題がある。
【0031】
(融点)
樹脂ペレットをDupont社製熱分析装置DSC10を用いて、昇温速度10℃/分で測定した。
【0032】
(耐熱性)
本発明の繊維を145℃の空気中に、弛緩して50時間放置後、引張強伸度を測定し、その保持率(%)から耐熱性を判断した。
○:強度保持率 80%以上
△:強度保持率 50以上80%未満
×:強度保持率 50%未満
【0033】
(耐薬品性)
(1)濃度10%の塩酸水溶液中に、複合繊維を60℃で24時間浸漬し、浸漬後の強度保持率を測定した。
(2)濃度10%の水酸化ナトリウム水溶液中に、複合繊維を60℃で24時間浸漬し、浸漬後の強度保持率を測定した。
(1)、(2)の試験後の強度保持率(%)から耐薬品性を判断した。
○:(1)、(2)共に強度保持率が80%以上
△:(1)、(2)の少なくとも一方の強度保持率が
50%以上80%未満
×:(1)、(2)共に強度保持率が50%未満
【0034】
(熱収縮率)
本発明の熱接着性複合繊維をローラーカード機で目付50g/m2のウェブとし、80メッシュの平織りネット上に置いて、ノズル径0.1mm、ピッチ1mmのノズルプレートから、30kg/cm2 の水圧で2回処理し、次いでこの交絡ウェブを反転させ、同様のノズルプレートから30kg/cm2 の水圧で2回処理し80℃で乾燥した。
この不織布を15cm×15cmに裁断し、180℃ドライヤーに5分放置した後の不織布の収縮率を以下の式より算出した。
熱処理後の不織布の面積/熱処理前の不織布の面積×100(%)
【0035】
(不織布地合)
熱処理後の不織布の外見にしわ、たるみ、波立ち等の有無で不織布の地合を判断した。
○:しわ、たるみ、波打ち等はなく、地合良好
×:しわ、たるみ、波打ち等が確認され。不織布地合不良
【0036】
【実施例】
実施例1
シンジオタクチックポリスチレン(MFR:20g/10分、300℃、2.16kg荷重)を芯成分とし、ポリプロピレン(MFR:15g/10分、230℃、2.16kg荷重)を鞘成分として、孔径0.8mm、孔数600の鞘芯型口金を用い、鞘芯比50/50(重量比)、未延伸糸の繊維径を18μmの鞘芯型複合繊維を紡糸した。引き取り工程において、アルキルフォスフェートカリウム塩を付着させた。得られた未延伸糸を120℃で1.5倍延伸し、150℃の乾熱雰囲気中、緩和率10%になるように弛緩熱処理を行い、機械捲縮をかけ所定長に切断して短繊維とした。これらの短繊維は、捲縮数15個/25mm、カット長51mm、繊維径15μmであった。
得られた短繊維をローラーカード機にてウェブとし、サクションバンドドライヤーを用いて、170℃で熱処理して、目付51g/m2 の不織布を得た。
不織布物性の測定結果は表1に示した様に耐熱性、耐薬品性共に良好であった。
【0037】
【表1】
【0038】
実施例2
実施例1で得られた短繊維をローラーカード機でウェブとし、加工温度140℃、加圧圧力10kg/cm、エンボス面積率25%の条件でカレンダー加工を行い、目付53g/m2 の不織布を得た。不織布物性の測定結果は表1に示した様に耐熱性、耐薬品性共に良好であった。
【0039】
実施例3
シンジオタクチックポリスチレン(MFR:20g/10分、300℃、2.16kg荷重)を芯成分とし、ポリプロピレン(MFR:15g/10分、230℃、2.16kg荷重)を鞘成分として、孔径0.8mm、孔数600の偏心鞘芯型口金を用い、鞘芯比50/50(重量比)、未延伸糸の繊維径を18μmの鞘芯型複合繊維を紡糸した。引き取り工程において、アルキルフォスフェートカリウム塩を付着させた。得られた未延伸糸を120℃で1.5倍延伸し、150℃の乾熱雰囲気中、緩和率10%になるように弛緩熱処理を行い、機械捲縮をかけ所定長に切断して短繊維とした。これらの短繊維は、捲縮数15個/25mm、カット長51mm、繊維径15μmであった。
得られた短繊維をエアレイド機で嵩高なウェブとし、サクションバンドドライヤーを用い、170℃で熱処理して、目付55g/m2 の不織布を得た。不織布物性の測定結果は表1に示した様に耐熱性、耐薬品性共に良好であった。
【0040】
実施例4
シンジオタクチックポリスチレン(MFR:20g/10分、300℃、2.16kg荷重)を芯成分とし、ポリプロピレン(MFR:15g/10分、230℃、2.16kg荷重)を鞘成分として、孔径0.8mm、孔数50の鞘芯型口金を用い、鞘芯比40/60(重量比)、未延伸糸の繊維径を66μmの鞘芯型複合繊維を紡糸した。引き取り工程において、アルキルフォスフェートカリウム塩を付着させた。得られた未延伸糸を120℃で2.0倍延伸し、150℃の乾熱雰囲気中、緩和率10%になるように弛緩熱処理を行い、機械捲縮をかけ所定長に切断して短繊維とした。これらの短繊維は、捲縮数15個/25mm、カット長51mm、繊維径90μmであった。
得られた短繊維をローラーカード機にてウェブとし、サクションバンドドライヤーを用いて、170℃で熱処理して、目付48g/m2 の不織布を得た。不織布物性の測定結果は表1に示した様に耐熱性、耐薬品性共に良好であった。
【0041】
実施例5
シンジオタクチックポリスチレン(MFR:20g/10分、300℃、2.16kg荷重)を芯成分とし、スチレン90重量部、p−メチルスチレン10重量部からなるシンジオタクチックポリスチレンコポリマー(MFR:25g/10分、300℃、2.16kg荷重)を鞘成分として、孔径0.8mm、孔数600の鞘芯型口金を用い、鞘芯比50/50(重量比)、未延伸糸の繊維径を18μmの鞘芯型複合繊維を紡糸した。引き取り工程において、アルキルフォスフェートカリウム塩を付着させた。得られた未延伸糸を120℃で1.5倍延伸し、機械捲縮をかけ、収縮を抑えるために220℃の乾熱雰囲気中、緩和率10%になるように弛緩熱処理を行い所定長に切断して短繊維とした。これらの短繊維は、捲縮数15個/25mm、カット長51mm、繊維径15μmであった。
得られた短繊維をローラーカード機でウェブとし、加工温度230℃、加圧圧力10kg/cm、エンボス面積率25%の条件でカレンダー加工を行い、目付50g/m2 の不織布を得た。不織布物性の測定結果は表1に示した様に耐熱性、耐薬品性共に良好であった。
【0042】
実施例6
実施例5で得たウェブをドライヤーを用いて、240℃で熱処理して、目付55g/m2 の不織布を得た。
【0043】
実施例7
シンジオタクチックポリスチレン(MFR:20g/10分、300℃、2.16kg荷重)を芯成分とし、スチレン90重量部、p−クロロスチレン10重量部からなるシンジオタクチックポリスチレンコポリマー(MFR:20g/10分、300℃、2.16kg荷重)を鞘成分として、孔径0.8mm、孔数100の鞘芯型口金を用い、鞘芯比50/50(重量比)、未延伸糸の繊維径を85μmの鞘芯型複合繊維を紡糸した。引き取り工程において、アルキルフォスフェートカリウム塩を付着させた。得られた未延伸糸を120℃で2.0倍延伸し、機械捲縮をかけ、220℃の乾熱雰囲気中、緩和率10%になるように弛緩熱処理を行い所定長に切断して短繊維とした。これらの短繊維は、捲縮数15個/25mm、カット長51mm、繊維径60μmであった。
得られた短繊維をローラーカード機でウェブとし、加工温度230℃、加圧圧力10kg/cm、エンボス面積率25%の条件でカレンダー加工を行い、目付56g/m2 の不織布を得た。不織布物性の測定結果は表2に示した様に耐熱性、耐薬品性共に良好であった。
【0044】
【表2】
【0045】
実施例8
シンジオタクチックポリスチレン(MFR:20g/10分、300℃、2.16kg荷重)を芯成分とし、スチレン85重量部、p−クロロスチレン15重量部からなるシンジオタクチックポリスチレンコポリマー(MFR:25g/10分、300℃、2.16kg荷重)を鞘成分として、孔径0.8mm、孔数600の偏心鞘芯型口金を用い、鞘芯比50/50(重量比)、繊維径18μmの未延伸糸繊維を紡糸した。引き取り工程において、アルキルフォスフェートカリウム塩を付着させた。得られた未延伸糸を120℃で1.5倍延伸し、機械捲縮をかけ、180℃の乾熱雰囲気中、緩和率10%になるように弛緩熱処理を行い所定長に切断して短繊維とした。これらの短繊維は、捲縮数15個/25mm、カット長51mm、繊維径15μmであった。
得られた短繊維をローラーカード機でウェブとし、超音波溶着機(ブラザー(株)BU3−115S)を用いて加圧1kg/cm2、加工速度6m/minで不織布化した。さらにドライヤーを用いて、260℃で熱処理を行い、目付60g/m2のスパイラル状捲縮が発現した嵩高な不織布を得た。不織布物性の測定結果は表2に示した様に耐熱性、耐薬品性共に良好であった。
【0046】
実施例9
シンジオタクチックポリスチレン(MFR:20g/10分、300℃、2.16kg荷重)を芯成分とし、ポリフッ化ビニリデン(アトケム社、商品名カイナー、MFR:14g/10分、230℃、2.16kg荷重)を鞘成分として、孔径0.8mm、孔数600の鞘芯型口金を用い、鞘芯比60/40(重量比)、未延伸糸の繊維径を30μmの鞘芯型複合繊維を紡糸した。引き取り工程において、アルキルフォスフェートカリウム塩を付着させた。得られた未延伸糸を120℃で1.5倍延伸し、機械捲縮をかけ、170℃の乾熱雰囲気中、緩和率10%になるように弛緩熱処理を行い、所定長に切断して短繊維とした。これらの短繊維は、捲縮数15個/25mm、カット長51mm、繊維径25μmであった。
得られた短繊維をローラーカード機でウェブとし、加工温度185℃、加圧圧力10kg/cm2、エンボス面積率25%の条件でカレンダー加工を行い、目付55g/m2 の不織布を得た。不織布物性の測定結果は表2に示した様に耐熱性、耐薬品性共に良好であった。
【0047】
比較例1
ポリプロピレン(MFR:15g/10分、230℃、2.16kg荷重)を芯成分とし、高密度ポリエチレン(MFR:16g/10分、190℃、2.16kg荷重)を鞘成分として、孔径0.8mm、孔数600の鞘芯型口金を用い、鞘芯比50/50、未延伸糸の繊維径を40μmの鞘芯型複合繊維を紡糸した。引き取り工程において、アルキルフォスフェートカリウム塩を付着させた。得られた未延伸糸を120℃で4.0倍延伸し、機械捲縮をかけ、所定長に切断して短繊維とした。これらの短繊維は、捲縮数15個/25mm、カット長51mm、繊維径20μmであった。
得られた短繊維をローラーカード機にてウェブとし、サクションバンドドライヤーを用いて、140℃で熱処理して、目付47g/m2 の不織布を得た。不織布物性は表2に示した。しかし、不織布加工時に熱収縮により不織布にしわ、波打ち等が発生し、地合不良な不織布となり、また、鞘芯成分は剥離し易いため、不織布の引張強力も低いものであった。
【0048】
比較例2
極限粘度[η]が0.65のポリエチレンテレフタレートを芯成分とし、ポリプロピレン(MFR:15g/10分、230℃、2.16kg荷重)を鞘成分として、孔径0.8mm、孔数600の鞘芯型口金を用い、鞘芯比50/50(重量比)、未延伸糸の繊維径を34μmの鞘芯型複合繊維を紡糸した。引き取り工程において、アルキルフォスフェートカリウム塩を付着させた。得られた未延伸糸を120℃で3.0倍延伸し、機械捲縮をかけ、収縮を抑えるためにアニール処理を行った後、所定長に切断して短繊維とした。これらの短繊維は、捲縮数15個/25mm、カット長51mm、繊維径20μmであった。
得られた短繊維をローラーカード機にてウェブとし、サクションバンドドライヤーを用いて、170℃で熱処理して、目付53g/m2 の不織布を得た。不織布物性は表2に示した。これによるとこの不織布は耐薬品性に劣ることが明らかである。
【0049】
比較例3
シンジオタクチックポリスチレン(MFR:20g/10分、300℃、2.16kg荷重)を芯成分とし、ポリプロピレン(MFR:15g/10分、230℃、2.16kg荷重)を鞘成分として、孔径0.8mm、孔数600の鞘芯型口金を用い、鞘芯比50/50(重量比)、未延伸糸の繊維径を18μmの鞘芯型複合繊維を紡糸した。引き取り工程において、アルキルフォスフェートカリウム塩を付着させた。得られた未延伸糸を110℃で1.5倍延伸し、機械捲縮をかけ所定長に切断して短繊維とした。これらの短繊維は、捲縮数15個/25mm、カット長51mm、繊維径15μmであった。
得られた短繊維をローラーカード機にてウェブとし、サクションバンドドライヤーを用いて、170℃で熱処理して、目付53g/m2 の不織布を得た。不織布物性は表2に示した。しかし、繊維製造時に延伸後の熱処理工程を省略しているため、ウエブの熱収縮率が大であり、不織布加工時に熱収縮により不織布にしわ、波打ち等が発生し、地合の良い不織布とすることはできなかった。
【0050】
表1,表2からも明らかなように、本発明の実施例1〜9の熱接着性繊維からなる不織布は、比較例1〜3に比べて不織布加工時に不織布地合が乱れることもなく、耐熱性、耐薬品性を維持しながら形態安定性に優れた不織布及び繊維成形体とすることができる。
【0051】
実施例10
実施例1で作製した不織布を用いて、縦250mm、直径150mmのバグフィルターを作製した。このフィルターを用いて、高温時の使用に耐えるかどうかについて試験を行った。
140℃の熱風を循環させたたところ、24時間使用しても繊維の劣化、融着は確認されず、高温での使用に充分耐えることがわかった。
【0052】
【発明の効果】
本発明の熱接着性複合繊維は、耐熱性を維持しながら十分使用に耐える形態安定性を有している。さらに樹脂自体が耐薬品性を有しているため、耐熱性、耐薬品性も要求される一般産業資材分野の利用を始めとして、特にフィルター材などに好適に利用できる。
Claims (9)
- 融点の異なる2種以上の熱可塑性重合体からなる鞘芯型複合繊維であって、芯成分がシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(A)であり、鞘成分が前記シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(A)よりも低融点の熱可塑性重合体で構成され、かつ180℃、5分間加熱保持後における繊維ウェブの熱収縮率が10%以下であり、実質的に鞘芯間で剥離しないことを特徴とする熱接着性複合繊維を用いた不織布。
- 鞘芯型複合繊維が偏心構造である請求項1に記載の不織布。
- 低融点の熱可塑性重合体がポリオレフィン系樹脂である請求項1または2に記載の不織布。
- 低融点の熱可塑性重合体がシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(B)である請求項1または2に記載の不織布。
- シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(B)が、シンジオタクチック構造を有するスチレン系共重合体である請求項4に記載の不織布。
- 低融点の熱可塑性重合体がポリフッ化ビニリデン若しくはポリ3フッ化エチレンである請求項1または2に記載の不織布。
- 芯成分がシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(A)であり、鞘成分が前記シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(A)よりも低融点の熱可塑性重合体で構成される樹脂成分を溶融紡糸し、延伸した後、熱処理を行なうことにより鞘芯型若しくは偏心鞘芯型複合繊維において、熱処理後の緩和率が2−20%であり、180℃、5分間加熱保持後における繊維ウェブの熱収縮率が10%以下であり、実質的に鞘芯間で剥離しないことを特徴とする熱接着性複合繊維を用いた不織布。
- 融点の異なる2種以上の熱可塑性重合体からなる鞘芯型複合繊維であって、芯成分がシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(A)であり、鞘成分が前記シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(A)よりも低融点の熱可塑性重合体で構成され、かつ180℃、5分間加熱保持後における繊維ウェブの熱収縮率が10%以下であり、実質的に鞘芯間で剥離しないことを特徴とする熱接着性複合繊維を用いたフィルター。
- 芯成分がシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(A)であり、鞘成分が前記シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(A)よりも低融点の熱可塑性重合体で構成される樹脂成分を溶融紡糸し、延伸した後、熱処理を行なうことにより鞘芯型若しくは偏心鞘芯型複合繊維において、熱処理後の緩和率が2−20%であり、180℃、5分間加熱保持後における繊維ウェブの熱収縮率が10%以下であり、実質的に鞘芯間で剥離しないことを特徴とする熱接着性複合繊維を用いたフィルター。
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