JP4118663B2 - 浄水場の発生土を原料とするゼオライト化発生土の製造方法及びゼオライト化発生土 - Google Patents

浄水場の発生土を原料とするゼオライト化発生土の製造方法及びゼオライト化発生土 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は浄水場の凝集沈澱処理プロセスの過程で発生する発生土を原料とするゼオライト化発生土の製造方法及びゼオライト化発生土に関する。
【0002】
【従来の技術】
浄水場においては、取水した原水中にポリ塩化アルミニウム等のアルミニウム分を主成分とした凝集剤を注入して、原水中の粘土質等の濁質分及びフミン質等の有機物を凝集沈澱処理して除去することが行われている。この凝集沈殿処理過程において、除去された濁質分及びフミン質等はアルミニウム分を含む汚泥として回収されることになる。しかし、浄水場で発生したこの汚泥(以下、発生土と称する)の付加価値が低いため、その大半が埋立て処分されているのが現状で有効に再利用されていない。しかも、例えば水道協会雑誌(第70巻、第8号(第803号)pp38−pp41、平成13年8月)で知られているように発生土の処分に際し、運搬及び処分費に多大の費用を要するため、浄水場の運営管理費の低減が困難である。
【0003】
このような背景から、浄水場の発生土の有効利用方法が検討されるようになった。発生土は元来のシリカ成分と共に凝集剤に由来するアルミナ成分を多く含有することから、アルカリ溶液と発生土を混合し水熱合成反応によってゼオライトを製造する方法が提案されている。例えば、浄水場の発生土を原料としたゼオライト製造方法として特開平9−59016号公報が知られている。ゼオライトはイオン交換能及び吸着能等の機能性を有することから、この機能性を利用してゼオライト化した発生土を土壌改良剤、吸着剤等に使用でき、付加価値を有する発生土として有効利用を図ることができる。
【0004】
ここで、水熱合成法により浄水場の発生土から有用物のゼオライトを製造するためには、ゼオライトの品質評価の基準となる陽イオン交換容量(CEC:Cation Exchange Capacity、以下、CEC値と称する)を満足するものを低コストで製造することが要求される。
【0005】
また、特開平2001−220132号公報には汚泥の焼却灰などを60〜80℃でアルカリ溶出し、濃縮したものを100〜300℃に加熱してゼオライトを製造する技術が開示されている。
【特許文献1】
特開平9−59016号公報(要約、段落番号0013)
【特許文献2】
特開2001−220132号公報(段落0008、請求項1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
浄水場の発生土を原料としたゼオライトの製造においては、まずアルカリ溶出が行われる。これは、発生土に水酸化ナトリウム溶液などをアルカリ溶液として加熱混合し、所定の反応温度及び反応時間を維持して行われる。これにより、発生土からシリカ成分及びアルミナ成分が溶出し、この溶液を所定の温度で所定の時間反応させることによって、溶出シリカ及びアルミナが反応しゼオライトが水熱合成される。しかし、発生土をゼオライト化する際、例えば、約120℃程度で2乃至3時間の合成反応を行うと、多量の熱エネルギーを必要とし、発生土からのゼオライト製造コストが高くなる。対応策として反応温度を低くするか、または反応時間を短縮すれば、熱エネルギーが低減できて製造コストの削減が可能である。しかし、反応温度を低くするとゼオライト化反応が遅延し、熱エネルギーの低減ができる反面、ゼオライト化発生土のCEC値が低下する問題がある。一方、反応時間を短縮しても同様にCEC値が低下し、発生土の付加価値が低くなる。
【0007】
本発明は上述した幾つかの不都合に鑑みてなされたもので、その目的は低コストで浄水場の発生土からゼオライト化発生土を製造する方法を提供することにある。更に、本発明は高いCEC値を有する浄水場の発生土からのゼオライト化発生土を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は浄水場の発生土とアルカリ溶液を低温域で加熱混合し、前記発生土中のシリカ、アルミナをアルカリ溶液中に溶出させる溶出工程、溶出されたアルカリ溶液中のSiとAlのモル比(Si/Al)を1以上に保持するようにシリカ源を補充する工程及及び前記溶出工程終了後に前記溶出工程時の溶出操作温度よりも高い温度にて水熱合成反応によりゼオライト化する合成反応工程を含むゼオライト化発生土の製造法を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明者は、アルカリ溶液中への発生土中のシリカ及びアルミナの溶出量と溶出操作温度の関係について調べた。溶出操作は、予め600℃〜800℃で焼成して有機物を除去した発生土(SiO2:48wt%、Al23:29wt%)とアルカリ溶液(NaOH:3.0mol/l)を加熱混合(固液比1:5)して行った。
【0010】
図7に発生土の焼成温度と有機物残留率r(%)及び発生殿焼成減少率w(重量%)の関係を示す。図から明らかなように、600℃以上で焼成すれば、ほぼ完全に発生土中の有機物を除去することができる。
また、アルカリ溶液中のシリカ及びアルミナ濃度の経時変化を調べた。図4に溶出操作温度とアルカリ溶液中のシリカ及びアルミナ濃度の関係を示す。この結果、シリカ及びアルミナは共に溶出操作温度が低くなるに従い溶出量が多くなる一方、溶出時間の経過に伴いアルカリ溶液中のシリカ、アルミナ濃度が減少することを見出した。
【0011】
発生土を原料としてゼオライトを製造するに際して、水熱合成反応によるゼオライト化工程の前にシリカ、アルミナの溶出操作を低温域で短時間に行うことによって、シリカ、アルミナの溶出量を高く維持できると共に操作温度を下げることができる。これにより、発生土のゼオライト化に要する熱エネルギーが低減でき、かつ溶出シリカ及びアルミナ量を高く維持でき、低コストで高いCEC値を有する浄水場の発生土からゼオライト化発生土を製造することができる。
本発明において、好ましくは、溶出工程の溶出操作温度を80℃以下及び溶出操作時間を1時間以内とする。発生土からシリカ、アルミナを溶出させる溶出工程において、前述したように溶出時間の経過に伴いアルカリ溶液中のシリカ、アルミナ濃度が低下する。特に、溶出操作時間が1時間以上経過すると、アルカリ溶液中のシリカ濃度が半減する。一方、溶出操作温度が80℃以上になると、前記同様アルカリ溶液中のシリカ濃度が半減する。
【0012】
このため、溶出操作時間が長く、かつ溶出操作温度が高くなると、アルカリ溶液中のシリカ、アルミナ濃度の低下に伴い、次工程の水熱合成反応工程においてゼオライト化反応に寄与するシリカ、アルミナ、特にシリカ分が不足してゼオライトの合成が低下する。結果的にCEC値の低いゼオライト化発生土が製造されることになる。
【0013】
本発明において、浄水場の発生土を原料とした場合の溶出操作工程の適正化を図り、好ましくは、溶出操作温度を80℃以下及び溶出操作時間を1時間以内とする。これによって、アルカリ溶液中に溶出したシリカ、アルミナの減少を抑制して高い溶出量が得られるようにしたものである。このため、溶出操作工程後のゼオライト化合成反応工程においては、高溶出量のシリカ、アルミナを有する状態での水熱合成反応が進行する。その結果、前工程でのシリカ、アルミナ量の減少が防止されることと相俟って高いCEC値を有するゼオライト化発生土の製造方法を提供することができる。
【0014】
本発明においては、ゼオライト化の合成反応工程前にシリカ源をアルカリ溶液に補充し、Si/Alのモル比を1以上とし、この溶液を水熱合成することによりCEC値の高いゼオライト化発生土を製造することができる。
【0015】
浄水場の発生土を原料としてゼオライト化発生土を製造する場合に、シリカ及びアルミナの溶出操作において、アルカリ溶液中へのシリカ及びアルミナの溶出量に特徴的な現象があることを見出した。すなわち、発生土を800℃以下で焼成した場合、原料発生土中のシリカ、アルミナの含有量がシリカ(48wt%)≫アルミナ(29wt%)の状態にあるにも拘らず、図4で示したように溶出量はアルミナ≫シリカの関係となる。図5に示すように、溶出率も、アルミナ溶出率≫シリカ溶出率の関係となりアルミナは溶出し易いがシリカは溶出しずらい。
【0016】
このため、溶出操作後のゼオライト合成反応工程において、シリカ分が不足することになり、ゼオライトの合成率が低下する。ゼオライトには種々の結晶形があるが、水熱合成によって少なくとも代表的なゼオライトAが形成されることが必要である。
溶出率(Me)=(Co−Ct)/Co ………………………………(式1)
ここで、Coは初期シリカ及びアルミナの含有量、Ctは溶出経過時間毎の発生土中のシリカ及びアルミナの含有量である。
水分及び有機物を除いた発生土の主成分はシリカとアルミナからなるが、アルミナは凝集剤に由来する可溶性アルミニウムであり、アルカリ溶液中に溶出し易い。しかして、発生土は生成過程において高温下(800℃超)での温度履歴を受けていないため、アルミナの溶出は容易である。
【0017】
焼成温度を変えて発生土を焼成し、焼成温度とシリカ及びアルミナの溶出量の関係を求めてみると、図6に示すようにアルミナは焼成温度が高くなるに従い結晶化が進行して溶出量が減少し、特に800℃より高い高温下での温度履歴の影響が現れる。一方、シリカは800℃以下の焼成温度では溶出量はほぼ一定となるが、800℃を越える高温下の焼成温度になると溶出量が増加し、温度履歴の現象が現れる。
【0018】
この結果から、発生土の生成過程において高温下の温度履歴を受けていない浄水場の発生土にあってはシリカ及びアルミナの溶出量の関係がアルミナ≫シリカとなることがわかる。このシリカとアルミナ溶出量の差異の関係は浄水場の発生土をゼオライト原料とした場合の固有の現象である。
【0019】
従って、単に発生土の溶出操作を行っただけではシリカ及びアルミナの組成比が均衡状態にならない。この結果、この状態発生土の水熱合成反応ではゼオライト合成が良好に遂行されず、CEC値の低いゼオライトが合成されることになる。この現象は、浄水場の発生土を原料とする場合の固有の現象である。
これに対し、浄水場からの800℃以上の高温で焼成した焼却灰を用いた場合(特開2001−220132号公報)には、図6から理解されるように、SiのほうがAlよりも溶出しやすくなるので、シリカ源を添加する必要が無い。一方、発生土を800℃以上で焼成するには多大の熱エネルギーが必要で、低コストのゼオライト化土を作るという課題に反している。
本発明者は、浄水場の発生土について、種々調査し、図4、図5、図6の関係から、以下のことを発見した。すなわち、高温熱履歴を受けていない浄水場の発生土を、コストを上げないでゼオライト化発生土を得るには、合成反応工程前にシリカ源をアルカリ溶液に補充してSi/Alのモル比を1以上とすれば、ゼオライトAを発生土内に十分に形成することができ、CEC値の高いゼオライト発生土を得ることができる。シリカ源の添加時期は、水熱合成前であれば特に限定されない。予め原料となる発生土のSi/Al(モル比)及びその発生土のアルカリ溶出時のSi,Alの溶出量を求めておけば、アルカリ溶出前の発生土にシリカ源を混合するか、アルカリ溶液にシリカ源を添加しておいても良い。
シリカ源としては、例えば珪酸ナトリウム、コロイダルシリカ等が用いられるが特に限定されない。シリカ、アルミナの溶出量の関係が前述のようにアルミナ≫シリカであっても、不足分のシリカ源が補充されることによって、アルカリ溶液中のシリカ、アルミナの組成比の均衡が保持される。この結果、次工程のゼオライト合成反応工程においては、シリカ分が不足することなくゼオライトの合成が遂行されて高い合成率が得られ、高いCEC値を有するゼオライト化発生土を製造することができる。
【0020】
前述したシリカ源をゼオライト合成反応工程前に補充する場合、アルカリ溶液中のSiとAlのモル比が均衡することが重要で、モル比が1以上に保持されないとゼオライト、特にゼオライトAの合成率が低下する。そこで、この方法においては、シリカ源を補充するに際して、SiとAlのモル比を1以上に保持する。
【0021】
シリカ源の補充量の設定は、予め設定した溶出操作温度及び溶出操作時間に従って発生土を用いた溶出操作を行い、そのとき求めたAl、Si濃度の差分に基づいて行う。この方法によれば、アルカリ溶液中のSiとAlのモル比が1以上に保持されることによって、ゼオライトの合成率が低下することなく高いCEC値を有するゼオライト化発生土を製造することができる。
【0022】
本発明によれば、合成反応終了後、発生土を含有するアルカリ溶液を固液分離した後、固形分として回収されたゼオライト化発生土を水洗いした後固液分離し、水洗後に回収されたゼオライト化発生土を乾燥することができる。この方法によれば、浄水場の発生土を原料として付加価値の高いゼオライト化発生土を提供することができる。
【0023】
以下、本発明に係る浄水場の発生土からのゼオライト製造方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は浄水場の発生土からのゼオライト製造方法のフローを示す。河川または湖沼から取水された原水RWは着水井1を経て急速混和池2に導入され、ここで、ポリ塩化アルミニウムまたは硫酸バンド等の凝集剤3が注入されて急速混和される。急速混和池2の下流側に位置するフロック形成池4では、凝集剤注入に伴って形成されたマイクロフロックの成長が促進される。
【0024】
その後成長した粒径の大きなフロックはこの形成池の下流側に位置する沈殿池5で沈降分離される。ここで、沈殿池5で沈降したフロックが汚泥Sとなる。一方、沈殿池5からの沈殿水SWはろ過池6に導入され、沈殿地5で沈降分離されなかった微細なフロックがろ過分離される。ろ過水はその後、配水地(図示せず)を経て需要端に供給される。
【0025】
沈殿地5からの汚泥Sは、堆積度合いに応じて引きぬかれて汚泥濃縮槽7に導入される。ここで、汚泥が濃縮された後、高含水率を有する濃縮汚泥CSは脱水機8に送られ、濃縮汚泥CS中の水分が脱水される。脱水後の汚泥は発生土Trとなる。表1に発生土の組成の一例を示す。発生土の含水率は63wt%、焼成前の発生土中にはシリカ(SiO2)、アルミナ(Al23)がそれぞれ27wt%、28wt%含まれている。有機物含有の指標となる強熱減量は28wt%である。
【0026】
【表1】
Figure 0004118663
【0027】
次に、図2は図1における原料発生化土Tr後のゼオライト発生化土の製造工程フローである。脱水後の発生土Trは有機物除去のため必要に応じて焼成された後、ゼオライト製造装置9を構成する低温溶出槽10に秤量されて供給される。一方、所定の濃度に調整されたアルカリ溶液Ar(例えば、NaOH)が秤量されて供給される。
【0028】
図3は溶出操作工程とゼオライト合成反応工程との操作温度と操作時間のプロフィールである。この低温溶出槽10では発生土Trとアルカリ溶液Arとが加熱混合され、加熱手段(図示せず)と温度調節器(図示せず)によって所定の溶出操作温度Toに維持される。ここで、発生土Tr中のシリカ、アルミナの溶出操作工程が行われる。溶出操作温度Toとしては80℃を越えるとシリカ、アルミナの溶出量が急減するので、80℃以下が好ましい。また、同工程における溶出操作時間Tsは1時間以内が好ましく、それ以上の時間が経過すると、アルカリ溶液中のシリカ及びアルミナの濃度が低下する。
【0029】
前記溶出操作工程終了後、発生土Trを含有するアルカリ溶液Arは次のゼオライト化合成反応工程の操作を行う高温反応槽11に高圧供給ポンプ12を介して供給される。この高温反応槽11では前記同様加熱混合が行われる。ここで加熱手段(図示せず)と温度調節器(図示せず)によって前記低温溶出槽10での溶出操作温度Toよりも高いゼオライト合成反応温度Tzに維持され、水熱合成反応によるゼオライトの合成反応が行われる。
【0030】
ゼオライト合成反応温度Tzとしては、120℃から160℃の範囲が好ましく、この範囲外になるとゼオライト化発生土のCEC値が低くなる。また、ゼオライト合成反応時間Rtは1時間乃至2時間が好ましく、この範囲外となるとCEC値が低下する一方、反応時間が長くなると、熱エネルギーの負荷が増大し、ゼオライト化発生土の製造コストが高くなる。
【0031】
前記したゼオライト化の合成反応工程終了後、ゼオライト化発生土Ztを含有するアルカリ溶液Arは、供給ポンプ13を介して次の固液分離工程を行う固液分離手段14に供給される。固液分離手段としては、遠心分離機、フィルタープレス機等があるが、その手段は特に限定されない。固液分離手段14によりゼオライト化発生土Ztとアルカリ溶液Arとの固液分離が行われた後、固形分として回収されたゼオライト化発生土Ztは、次の水洗工程を行う洗浄槽15に供給される。この槽15に別途洗浄水Wsが供給され、両者が撹拌混合されて、ゼオライト化発生土Zt中に含有する余分なアルカリ溶液が洗浄される。なお、前記固液分離工程で分離された使用済のアルカリ溶液は必要に応じて返送ポンプ(図示せず)を介して低温溶出槽10に供給されて再利用される。
【0032】
前記水洗工程終了後、ゼオライト化発生土Ztを含有する洗浄水は、次の固液分離工程を行う固液分離手段16に供給ポンプ17を介して供給される。ここで、固液分離後に固形分としてゼオライト化発生土Ztが回収される。一方、固液分離された後の洗浄水Whは、硫酸または塩酸等の注入手段を有する中和手段(図示せず)を介して排出される。なお、本発明の実施例では、ゼオライト化の合成反応工程終了後の固液分離工程での固液分離手段14と水洗工程終了後の固液分離工程での固液分離手段16を独立させている。
【0033】
しかし、各工程が重複しなければ単独であってもよく、固液分離手段の個数が特に限定されるものではない。前記固液分離工程後、回収されたゼオライト化発生土Ztは、次の乾燥工程を行う乾燥機18に導入される。乾燥温度は110℃前後が好ましいが、特に限定されず、自然乾燥であってもよい。乾燥終了によって、発生土がゼオライト化発生土Ztとして回収される。なお、本発明の実施例においては、各操作工程を連続的に行っているが、発生土からのゼオライト化発生土の製造方法は回分方式であってもよく、特に方式が限定されるものではない。
【0034】
表2は浄水場の発生土を原料としたゼオライト合成に関し、本発明に対する比較例を示す。比較例3は表1に示した発生土自体のCEC値であり、アルカリ溶出も水熱合成も行っていない場合の値である。
比較例1は焼成(600℃/2h)した発生土をボールミルで微粉砕し、発生土とアルカリ溶液(NaOH:3.0mol/l)を混合して、溶出温度70℃、溶出時間30minの条件下でアルカリ溶出操作を行った。その後、水熱合成反応によるゼオライト合成反応を反応温度130℃、反応時間2hの条件下で行った。この場合、シリカ源の添加は行わなかった。
【0035】
反応終了後、発生土を含むアルカリ溶液を遠心分離機で固液分離した後、回収した発生土を水洗し、更に固液分離した後、回収した発生土を乾燥温度105℃で4h乾燥してゼオライト化発生土を得た。
【0036】
比較例2は、前記焼成発生土とアルカリ溶液を加熱混合して、反応温度130℃、反応時間2.5hの条件下で水熱合成反応によるゼオライト合成反応を行った。この場合、比較例1と異なり、70℃30分のアルカリ溶出を行わないで、水熱合成とアルカリ溶出を同時に行った形態をとっている。
反応終了後の操作は前記操作に倣った。比較例3においてもシリカ源の添加は行われていない。
比較試験1、2及び実施例1,2,3で得られたゼオライト化発生土の評価は、ショーレンベルガー法の酢酸アンモニウム浸透法によるCEC値の測定によって行った。
【0037】
【表2】
Figure 0004118663
【0038】
表2に示すように、比較例1で得られたゼオライト化発生土のCEC値は、ゼオライト合成反応とアルカリ溶出を同時に行った比較例2のゼオライト化発生土よりも高いCEC値を示す。このことは、アルカリ溶出を適切な温度で適切な時間行ったほうが良いことを示している。また、低温でアルカリ溶出を行えば、熱エネルギーの節減になる。
前述のように浄水場の発生土を原料としてゼオライトを製造する場合、発生土とアルカリ溶液を水熱合成反応させゼオライト化反応を行う前に、その合成反応温度よりも低い溶出操作温度で発生土からシリカ及びアルミナの溶出操作を行うことがひつようである。
【0039】
これにより、発生土からのシリカ、アルミナの溶出量を高く維持できると共にゼオライト製造全工程の中で操作温度を下げることができ、熱エネルギーの低減が可能となる。この結果、浄水場の発生土から低コストである程度高いCEC値を有するゼオライト化発生土が得られる。しかし、このゼオライト化土のCEC値は高々120であり、十分な特性とはいえない。
次に、本発明において、600℃〜800℃で焼成した発生土を用いてゼオライトの合成反応をするに先立ち、図1、図2に示すようにシリカ源Shを補充した。これにより、次工程のゼオライト合成反応工程においては、シリカ分が不足することなくゼオライトの合成が良好に遂行される。
【0040】
表3は浄水場の発生土を原料とするゼオライト化の合成反応工程に先立ってシリカ源Shを補充した実施例1,2,3の結果を示す。実施例1は表1に示した発生土を焼成(600℃/2h)して、ボールミルにより微粉砕した発生土を用いた。この発生土と予めシリカ源Shを補充したアルカリ溶液(NaOH:3.0mol/l)を混合し、溶出温度70℃、溶出時間30分の条件下で混合撹拌を継続した。
【0041】
シリカ源としてはメタ珪酸ナトリウム(Na2SiO3・9H2O)を用いた。シリカ源Shの補充量は、予め行った溶出温度及び溶出時間に対するシリカ、アルミナの溶出量の試験結果に基づいて設定した。
【0042】
実施例1においては、シリカ源Shを補充した後のアルカリ溶液中のSi/Alのモル比が1.0になるように調整した。前記工程終了後、水熱合成反応によるゼオライト合成反応を反応温度130℃、反応時間2hの条件下で行った。
【0043】
反応終了後、発生土を含むアルカリ溶液を遠心分離機により固液分離した後、固形分として発生土を回収した。この発生土を水洗した後、洗浄水と共に固液分離し、回収した発生土を乾燥温度105℃にて4h乾燥し、ゼオライト化発生土を得た。
【0044】
実施例2においては、シリカ源Shを補充した後のアルカリ溶液中のSi/Alのモル比を1.5に調整したアルカリ溶液を用いて、実施例1と同条件にてゼオライト化発生土を得た。
【0045】
実施例3においては、アルカリ溶液中のSi/Alのモル比を2.5に調整したアルカリ溶液を用いて、実施例1に倣ってゼオライト化発生土を得た。実施例1,2、3で得られたゼオライト化発生土の評価は前述のCEC値を測定して行った。表3にその結果を示す。
【0046】
【表3】
Figure 0004118663
【0047】
ゼオライト化の合成反応工程の前段階でシリカ源Shを補充したゼオライト化発生土(実施例1、2、3)は、シリカ源を補充しない比較例1,2と比較して高いCEC値を有することがわかる。シリカ源Shの適正な補充量は、溶出工程における発生土からのシリカ、アルミナの溶出量の変動幅を考慮すると、Si/Alモル比は1〜2、特に1.5近傍が好ましい。
【0048】
前述のようにして浄水場の発生土を原料としてゼオライトを製造する場合、ゼオライトの合成反応工程前の段階でシリカ源を補充するようにした。この結果、ゼオライト合成前のアルカリ溶液中のシリカ及びアルミナの組成比の均衡が保持され、シリカ分が不足することなくゼオライトの合成が遂行され、高いCEC値を有するゼオライト化発生土を製造することができる。
【0049】
【発明の効果】
本発明による浄水場の発生土からのゼオライト製造方法によれば、発生土からのシリカ、アルミナの溶出工程において熱エネルギーの負荷を低減でき、低コストで浄水場の発生土からCEC値の高いゼオライト化発生土を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す浄水場の発生土からのゼオライト化発生土の製造方法のシステムフロー図。
【図2】本発明の一実施例を示す浄水場の発生土からのゼオライト化発生土の製造方法の工程フロー図。
【図3】本発明の一実施例を示すゼオライト化発生土の製造方法の操作温度及び操作時間のプロフィール図。
【図4】アルカリ溶液に対する浄水場発生土中のシリカとアルミナの溶出量の関係を示すグラフ。
【図5】アルカリ溶液に対する浄水場発生土からのシリカ及びアルミナの溶出率を示すグラフ。
【図6】発生土の焼成温度と焼成発生土からのアルカリ溶液に対するシリカ及びアルミナの溶出量の関係を示すグラフ。
【図7】発生土の焼成温度と焼成発生土中の有機物残留率との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1…着水井、2…急速混和地、3…凝集剤、4…フロック形成池、5…沈殿地、6…ろ過池、7…汚泥濃縮槽、8…脱水機、9…ゼオライト製造装置、10…低温溶出槽、11…高温反応槽、12…高圧供給ポンプ、13…供給ポンプ、14…固液分離手段、15…洗浄槽、16…固液分離手段、17…供給ポンプ、18…乾燥機。

Claims (3)

  1. 浄水場の発生土とアルカリ溶液を低温域で加熱混合し前記発生土中のシリカ及びアルミナをアルカリ溶液中に溶出させる溶出工程、溶出されたアルカリ溶液中のSiとAlのモル比(Si/Al)を1以上に保持するようにシリカ源を補充する工程及び前記溶出工程の溶出操作温度よりも高い温度で水熱合成反応によりゼオライト化する合成反応工程を含むことを特徴とする浄水場の発生土からのゼオライト化発生土の製造方法。
  2. 請求項1記載の方法において、溶出工程の溶出操作温度を80℃以下とし、溶出操作時間を1時間以内とすることを特徴とする浄水場の発生土からのゼオライト化発生土の製造方法。
  3. 請求項1記載の方法において、合成反応終了後、発生土を含有するアルカリ溶液を固液分離した後、固形分として回収されたゼオライト化発生土を水洗した後固液分離し、水洗後に回収されたゼオライト化発生土を乾燥する浄水場の発生土からのゼオライト化発生土の製造方法
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