JP3406592B1 - ゼオライトの製造方法及び装置 - Google Patents
ゼオライトの製造方法及び装置Info
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- JP3406592B1 JP3406592B1 JP2002194946A JP2002194946A JP3406592B1 JP 3406592 B1 JP3406592 B1 JP 3406592B1 JP 2002194946 A JP2002194946 A JP 2002194946A JP 2002194946 A JP2002194946 A JP 2002194946A JP 3406592 B1 JP3406592 B1 JP 3406592B1
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Abstract
【要約】
【課題】効率的にゼオライトを製造することのできる製
造技術を提供する。 【解決手段】ゼオライトの製造方法において、以下の工
程:(a) 焼却灰と第1のアルカリ溶液とを加熱・混
合する工程、及び(b) 前記工程で得られた処理物に
水及び/又はアルカリ溶液を供給し、前記焼却灰と前記
第1のアルカリ溶液よりも低い濃度の第2のアルカリ溶
液との反応用組成物を調製し、この反応用組成物を加熱
して前記焼却灰とアルカリとを反応させる工程、とを備
えるようにする。前記(a)工程を実施することで、
(b)工程における水熱反応が促進される。この結果、
焼却灰から効率的にゼオライトが生成される。
造技術を提供する。 【解決手段】ゼオライトの製造方法において、以下の工
程:(a) 焼却灰と第1のアルカリ溶液とを加熱・混
合する工程、及び(b) 前記工程で得られた処理物に
水及び/又はアルカリ溶液を供給し、前記焼却灰と前記
第1のアルカリ溶液よりも低い濃度の第2のアルカリ溶
液との反応用組成物を調製し、この反応用組成物を加熱
して前記焼却灰とアルカリとを反応させる工程、とを備
えるようにする。前記(a)工程を実施することで、
(b)工程における水熱反応が促進される。この結果、
焼却灰から効率的にゼオライトが生成される。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、焼却灰をアルカ
リと反応させてゼオライトに改質する方法及び/又は装
置に関し、特に、焼却灰を効率よく反応させて、ゼオラ
イトを得る技術に関する。
リと反応させてゼオライトに改質する方法及び/又は装
置に関し、特に、焼却灰を効率よく反応させて、ゼオラ
イトを得る技術に関する。
【0002】
【従来の技術】石炭灰を始めとする焼却灰の利用方法と
して、石炭灰に水酸化ナトリウムなどのアルカリ溶液を
加えてスラリー化し、水熱処理することにより多孔性物
質であるゼオライトに改質する技術が特開昭59−86
687号公報などに開示されている。このような改質ゼ
オライトは、人工ゼオライトとも言われ、ゼオライトの
一種として、イオン交換能力、吸着能力、触媒能力、分
子ふるい能力などの各種機能を有することから、多くの
産業においてその利用が期待されている。
して、石炭灰に水酸化ナトリウムなどのアルカリ溶液を
加えてスラリー化し、水熱処理することにより多孔性物
質であるゼオライトに改質する技術が特開昭59−86
687号公報などに開示されている。このような改質ゼ
オライトは、人工ゼオライトとも言われ、ゼオライトの
一種として、イオン交換能力、吸着能力、触媒能力、分
子ふるい能力などの各種機能を有することから、多くの
産業においてその利用が期待されている。
【0003】石炭灰をゼオライトに改質する方法として
は、高温及び高圧下で反応効率が高いことが知られてい
る。また、特許第2019792号公報などには、特定
の結晶組成の石炭灰を用いた場合に、大気圧下での煮沸
状態で水熱反応を実施することが開示されている。ま
た、特開平7−109117号公報には、石炭灰と固形
の水酸化ナトリウムとの混合物を加熱処理する方法が開
示されている。
は、高温及び高圧下で反応効率が高いことが知られてい
る。また、特許第2019792号公報などには、特定
の結晶組成の石炭灰を用いた場合に、大気圧下での煮沸
状態で水熱反応を実施することが開示されている。ま
た、特開平7−109117号公報には、石炭灰と固形
の水酸化ナトリウムとの混合物を加熱処理する方法が開
示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特許第
2019792号による技術では、反応が長時間に及ぶ
とともに煮沸によるエネルギーの損失が大きくかつ回分
方式のために装置が大型化してしまうという欠点があ
る。しかも、ランニングコストを低減させるため水酸化
ナトリウム溶液を回収し再利用しようとすると、新しい
水酸化ナトリウム水溶液を使用した場合に比べ、得られ
るゼオライトの品質が低下するという問題がある。ま
た、高温高圧下での水熱反応の場合、反応時間は短縮化
されるが、耐圧容器を使用するため回分方式にならざる
を得ず、規模に比して処理能力が小さく、しかもコスト
が著しく増大するという欠点がある。また、特開平7−
109117号公報の方法では、固形の水酸化ナトリウ
ムを大量に使用するため、コストが増大するという欠点
がある。そこで、本発明では、焼却灰から効率的にゼオ
ライトを製造することのできる製造技術を提供すること
を目的とする。
2019792号による技術では、反応が長時間に及ぶ
とともに煮沸によるエネルギーの損失が大きくかつ回分
方式のために装置が大型化してしまうという欠点があ
る。しかも、ランニングコストを低減させるため水酸化
ナトリウム溶液を回収し再利用しようとすると、新しい
水酸化ナトリウム水溶液を使用した場合に比べ、得られ
るゼオライトの品質が低下するという問題がある。ま
た、高温高圧下での水熱反応の場合、反応時間は短縮化
されるが、耐圧容器を使用するため回分方式にならざる
を得ず、規模に比して処理能力が小さく、しかもコスト
が著しく増大するという欠点がある。また、特開平7−
109117号公報の方法では、固形の水酸化ナトリウ
ムを大量に使用するため、コストが増大するという欠点
がある。そこで、本発明では、焼却灰から効率的にゼオ
ライトを製造することのできる製造技術を提供すること
を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
課題を解決するために、焼却灰とアルカリとの水熱反応
に先んじて焼却灰とアルカリとの反応を促進させる前処
理について検討したところ、焼却灰を所定の濃度のアル
カリ溶液で加熱処理した後、その後、より低い濃度のア
ルカリ溶液で水熱反応処理することにより、効率よくゼ
オライトを生成させることができることを見出し、本発
明を完成した。すなわち、本発明によれば以下の手段が
提供される。
課題を解決するために、焼却灰とアルカリとの水熱反応
に先んじて焼却灰とアルカリとの反応を促進させる前処
理について検討したところ、焼却灰を所定の濃度のアル
カリ溶液で加熱処理した後、その後、より低い濃度のア
ルカリ溶液で水熱反応処理することにより、効率よくゼ
オライトを生成させることができることを見出し、本発
明を完成した。すなわち、本発明によれば以下の手段が
提供される。
【0006】(1)ゼオライトの製造方法であって、以
下の工程: (a) 焼却灰と第1のアルカリ溶液とを加熱・混合
し、スラリー状の処理物を調製する工程、及び (b) 前記工程で得られたスラリー状処理物に水及び
/又はアルカリ溶液を供給し、前記焼却灰と前記第1の
アルカリ溶液よりも低い濃度の第2のアルカリ溶液との
反応用組成物を調製し、この反応用組成物を加熱して前
記焼却灰とアルカリとを反応させる工程、を備える、方
法。 (2)前記(a)工程における加熱温度は100℃未満
である、(1)記載の方法。 (3)前記(b)工程における加熱温度は100℃未満
である、(1)又は(2)に記載の方法。 (4)前記(b)工程における反応用組成物中に、ケイ
素あるいはケイ素供給体を含有する、(1)〜(3)の
いずれかに記載の方法。 (5)前記第2の濃度のアルカリ溶液においてケイ素と
して3g/l以上のケイ素イオン濃度となっている、
(4)記載の方法。 (6)前記(a)工程における混合物における焼却灰に
対するアルカリの供給量は、当該焼却灰をアルカリと反
応させてゼオライトを得る際のアルカリ消費量に相当す
る量とする、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。 (7)前記第1のアルカリ溶液のアルカリ濃度は、12
wt%以上36wt%以下である、(1)〜(6)のい
ずれかに記載の方法。 (8)前記(a)工程における焼却灰と第1アルカリ溶
液とは、焼却灰:固形換算アルカリ分の重量比が10
0:10〜20となるように配合する、(1)〜(7)
のいずれかに記載の方法。 (9)前記(b)工程において、前記処理物に供給され
るアルカリ溶液のアルカリ濃度は、3.5wt%以上1
0.5wt%以下である、(1)〜(8)のいずれかに
記載の方法。 (10)前記(b)工程における反応用組成物における
焼却灰濃度は15wt%以上30wt%以下である、
(1)〜(9)のいずれかに記載の方法。 (11)前記(a)工程で得られた混練物を、連続的に
前記(b)工程に供給する、(1)〜(10)のいずれ
かに記載の方法。 (12)ゼオライトを得るための焼却灰の前処理方法で
あって、焼却灰と12wt%以上36wt%以下の濃度
のアルカリ溶液とを加熱・混合してスラリー状の処理物
を調製する工程、を備える方法。 (13)前記焼却灰は、石炭灰である、(1)〜(1
2)のいずれかに記載の方法。 (14)ゼオライトの製造装置であって、焼却灰とアル
カリ溶液とを100℃未満の温度で混合しながら加熱す
る、1あるいは2以上の処理手段と、前記処理手段のい
ずれかに水及び/又はアルカリ溶液を供給して混合物に
おける前記アルカリ濃度を低下させる希釈手段、とを備
える、装置。 (15)前記処理手段は、焼却灰と第1のアルカリ溶液
とを混合しながら加熱する第1の処理手段と、前記混合
手段のうち少なくとも一つは、焼却灰と前記第1のアル
カリ溶液よりも濃度の低い第2の濃度のアルカリ溶液と
を加熱しながら混合する第2の混合手段とを備え、前記
希釈手段は、前記第2の処理手段に対して、水及び/又
はアルカリ溶液を供給する、(14)記載の装置。 (16)さらに、前記処理手段において得られる処理物
を固液分離する手段と、固液分離後の液体を前記希釈手
段に備えられる貯留槽に供給する手段、とを備える、
(14)又は(15)に記載の装置。
下の工程: (a) 焼却灰と第1のアルカリ溶液とを加熱・混合
し、スラリー状の処理物を調製する工程、及び (b) 前記工程で得られたスラリー状処理物に水及び
/又はアルカリ溶液を供給し、前記焼却灰と前記第1の
アルカリ溶液よりも低い濃度の第2のアルカリ溶液との
反応用組成物を調製し、この反応用組成物を加熱して前
記焼却灰とアルカリとを反応させる工程、を備える、方
法。 (2)前記(a)工程における加熱温度は100℃未満
である、(1)記載の方法。 (3)前記(b)工程における加熱温度は100℃未満
である、(1)又は(2)に記載の方法。 (4)前記(b)工程における反応用組成物中に、ケイ
素あるいはケイ素供給体を含有する、(1)〜(3)の
いずれかに記載の方法。 (5)前記第2の濃度のアルカリ溶液においてケイ素と
して3g/l以上のケイ素イオン濃度となっている、
(4)記載の方法。 (6)前記(a)工程における混合物における焼却灰に
対するアルカリの供給量は、当該焼却灰をアルカリと反
応させてゼオライトを得る際のアルカリ消費量に相当す
る量とする、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。 (7)前記第1のアルカリ溶液のアルカリ濃度は、12
wt%以上36wt%以下である、(1)〜(6)のい
ずれかに記載の方法。 (8)前記(a)工程における焼却灰と第1アルカリ溶
液とは、焼却灰:固形換算アルカリ分の重量比が10
0:10〜20となるように配合する、(1)〜(7)
のいずれかに記載の方法。 (9)前記(b)工程において、前記処理物に供給され
るアルカリ溶液のアルカリ濃度は、3.5wt%以上1
0.5wt%以下である、(1)〜(8)のいずれかに
記載の方法。 (10)前記(b)工程における反応用組成物における
焼却灰濃度は15wt%以上30wt%以下である、
(1)〜(9)のいずれかに記載の方法。 (11)前記(a)工程で得られた混練物を、連続的に
前記(b)工程に供給する、(1)〜(10)のいずれ
かに記載の方法。 (12)ゼオライトを得るための焼却灰の前処理方法で
あって、焼却灰と12wt%以上36wt%以下の濃度
のアルカリ溶液とを加熱・混合してスラリー状の処理物
を調製する工程、を備える方法。 (13)前記焼却灰は、石炭灰である、(1)〜(1
2)のいずれかに記載の方法。 (14)ゼオライトの製造装置であって、焼却灰とアル
カリ溶液とを100℃未満の温度で混合しながら加熱す
る、1あるいは2以上の処理手段と、前記処理手段のい
ずれかに水及び/又はアルカリ溶液を供給して混合物に
おける前記アルカリ濃度を低下させる希釈手段、とを備
える、装置。 (15)前記処理手段は、焼却灰と第1のアルカリ溶液
とを混合しながら加熱する第1の処理手段と、前記混合
手段のうち少なくとも一つは、焼却灰と前記第1のアル
カリ溶液よりも濃度の低い第2の濃度のアルカリ溶液と
を加熱しながら混合する第2の混合手段とを備え、前記
希釈手段は、前記第2の処理手段に対して、水及び/又
はアルカリ溶液を供給する、(14)記載の装置。 (16)さらに、前記処理手段において得られる処理物
を固液分離する手段と、固液分離後の液体を前記希釈手
段に備えられる貯留槽に供給する手段、とを備える、
(14)又は(15)に記載の装置。
【0007】本発明の方法によれば、前記混合工程に次
いで前記反応工程を実施することにより、結果として、
焼却灰に含まれるケイ素とアルミニウムとがアルカリ溶
液に溶解しやすくなる。このため、効率よくゼオライト
を製造することができる。すなわち、時間的コスト、エ
ネルギーコストなどを抑制して一定以上の品質のゼオラ
イトを得ることができる。
いで前記反応工程を実施することにより、結果として、
焼却灰に含まれるケイ素とアルミニウムとがアルカリ溶
液に溶解しやすくなる。このため、効率よくゼオライト
を製造することができる。すなわち、時間的コスト、エ
ネルギーコストなどを抑制して一定以上の品質のゼオラ
イトを得ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明の方法は、以下の工程: (a) 焼却灰と第1のアルカリ溶液とを加熱・混合す
る工程(以下、単に前処理工程という。)、及び (b) 前記工程で得られた処理物にアルカリ溶液を供
給し、前記焼却灰と前記第1のアルカリ溶液よりも低い
濃度の第2のアルカリ溶液との反応用組成物を調製し、
この反応用組成物を加熱して前記焼却灰とアルカリとを
反応させる工程(以下、単に、反応工程という。)、を
備えている。また、本発明は、ゼオライトを得るための
焼却灰の前処理方法であって、焼却灰と12wt%以上
36wt%以下のアルカリ濃度のアルカリ溶液とを加熱
・混合する工程、を備えている。さらに、本発明の装置
は、焼却灰とアルカリ溶液とを混合しながら加熱する、
1又は2以上の処理手段と、前記処理手段のいずれかに
水及び/又はアルカリ溶液を供給して混合物におけるア
ルカリ濃度を低下させる希釈手段、とを備えている。
て詳細に説明する。本発明の方法は、以下の工程: (a) 焼却灰と第1のアルカリ溶液とを加熱・混合す
る工程(以下、単に前処理工程という。)、及び (b) 前記工程で得られた処理物にアルカリ溶液を供
給し、前記焼却灰と前記第1のアルカリ溶液よりも低い
濃度の第2のアルカリ溶液との反応用組成物を調製し、
この反応用組成物を加熱して前記焼却灰とアルカリとを
反応させる工程(以下、単に、反応工程という。)、を
備えている。また、本発明は、ゼオライトを得るための
焼却灰の前処理方法であって、焼却灰と12wt%以上
36wt%以下のアルカリ濃度のアルカリ溶液とを加熱
・混合する工程、を備えている。さらに、本発明の装置
は、焼却灰とアルカリ溶液とを混合しながら加熱する、
1又は2以上の処理手段と、前記処理手段のいずれかに
水及び/又はアルカリ溶液を供給して混合物におけるア
ルカリ濃度を低下させる希釈手段、とを備えている。
【0009】焼却灰としては、非結晶質のケイ素とアル
ミニウム(典型的には、ケイ酸アルミニウム塩)とを含
有する限り、石炭をエネルギー源とする発電設備などに
おいて発生する石炭灰(フライアッシュ)の他、製紙ス
ラッジ、都市ゴミ、汚泥などの可燃物を燃焼させた後に
生ずる焼却残渣などの各種焼却灰を用いることができ
る。焼却灰としては、これらの各種焼却灰を1種あるい
は2種以上を組み合わせて使用することができる。好ま
しくは石炭灰を用い、より好ましくは石炭灰のみを用い
る。本発明においては、焼却灰として、例えば、石炭の
燃焼の際に発生する粉塵を集塵器などで捕集した石炭灰
をそのまま用いることができる。焼却灰の組成について
は特に限定しないが、好ましくは、SiO2、Al2O3
を主成分として、さらに、CaO、Na2O、K2O、F
e分などを含有している。好ましくは、Al2O3約15
wt%以上約25wt%以下、SiO2約50wt%以
上約75wt%以下のものを用いることができる。な
お、本発明の出発原料としては、焼却灰の他、ガラス、
スラグ、鋳物廃砂、火山噴出物等を含んでいてもよい。
また、後述するような、アルカリ溶液中においてSiイ
オンを供給できるような化合物を含有させることもでき
る。
ミニウム(典型的には、ケイ酸アルミニウム塩)とを含
有する限り、石炭をエネルギー源とする発電設備などに
おいて発生する石炭灰(フライアッシュ)の他、製紙ス
ラッジ、都市ゴミ、汚泥などの可燃物を燃焼させた後に
生ずる焼却残渣などの各種焼却灰を用いることができ
る。焼却灰としては、これらの各種焼却灰を1種あるい
は2種以上を組み合わせて使用することができる。好ま
しくは石炭灰を用い、より好ましくは石炭灰のみを用い
る。本発明においては、焼却灰として、例えば、石炭の
燃焼の際に発生する粉塵を集塵器などで捕集した石炭灰
をそのまま用いることができる。焼却灰の組成について
は特に限定しないが、好ましくは、SiO2、Al2O3
を主成分として、さらに、CaO、Na2O、K2O、F
e分などを含有している。好ましくは、Al2O3約15
wt%以上約25wt%以下、SiO2約50wt%以
上約75wt%以下のものを用いることができる。な
お、本発明の出発原料としては、焼却灰の他、ガラス、
スラグ、鋳物廃砂、火山噴出物等を含んでいてもよい。
また、後述するような、アルカリ溶液中においてSiイ
オンを供給できるような化合物を含有させることもでき
る。
【0010】(前処理工程)
前処理工程では、焼却灰(典型的には、石炭灰である。
以下、同じとする。)と第1のアルカリ溶液とを加熱す
る。前処理工程に供される焼却灰と第1のアルカリ溶液
は前処理組成物を構成する。第1のアルカリ溶液は、こ
の前処理組成物において液相を構成している。第1のア
ルカリ溶液のアルカリとしては、水酸化ナトリウムの
他、水酸化カリウムを使用できる。第1のアルカリ溶液
の濃度は、好ましくは約12wt%以上である。12w
t%未満であると、従来の水熱反応時のアルカリ濃度と
差があまりなく、前処理による水熱反応促進効果を得る
ことができない。また、アルカリ溶液のアルカリ濃度の
上限は約36wt%とする。36wt%を超えると、後
段の反応工程で焼却灰が使用用途が限られるソーダライ
トに変質しやすくなるからである。下限は、より好まし
くは、約16wt%である。16wt%未満であると、
水熱反応促進効果はあるが、短時間(3時間程度)の反
応時間では効果の発現がやや不安定であるからである。
さらに好ましくは約20wt%である。20wt%以上
であると、短時間でも安定した水熱反応促進効果を得る
ことができる。また、上限は、約30%以下であること
が好ましい。より好ましくは、約24%以下である。本
発明の前処理工程では、後段の反応工程で使用するアル
カリ溶液よりも高濃度のアルカリ溶液と焼却灰とを接触
させることにより、後段の反応工程における反応の促進
効果を焼却灰に均一にかつ確実に付与することができ
る。なお、本発明で使用する固体換算アルカリと同量の
固体状アルカリと接触させた場合、直接接触部が部分的
にゼオライト化反応が進行してしまったり、前処理の効
果が発揮されにくいおそれがある。また、かかる不均一
性を回避するには、長時間に渡る混合や固形アルカリの
使用量を増大させることになり効率的でない。
以下、同じとする。)と第1のアルカリ溶液とを加熱す
る。前処理工程に供される焼却灰と第1のアルカリ溶液
は前処理組成物を構成する。第1のアルカリ溶液は、こ
の前処理組成物において液相を構成している。第1のア
ルカリ溶液のアルカリとしては、水酸化ナトリウムの
他、水酸化カリウムを使用できる。第1のアルカリ溶液
の濃度は、好ましくは約12wt%以上である。12w
t%未満であると、従来の水熱反応時のアルカリ濃度と
差があまりなく、前処理による水熱反応促進効果を得る
ことができない。また、アルカリ溶液のアルカリ濃度の
上限は約36wt%とする。36wt%を超えると、後
段の反応工程で焼却灰が使用用途が限られるソーダライ
トに変質しやすくなるからである。下限は、より好まし
くは、約16wt%である。16wt%未満であると、
水熱反応促進効果はあるが、短時間(3時間程度)の反
応時間では効果の発現がやや不安定であるからである。
さらに好ましくは約20wt%である。20wt%以上
であると、短時間でも安定した水熱反応促進効果を得る
ことができる。また、上限は、約30%以下であること
が好ましい。より好ましくは、約24%以下である。本
発明の前処理工程では、後段の反応工程で使用するアル
カリ溶液よりも高濃度のアルカリ溶液と焼却灰とを接触
させることにより、後段の反応工程における反応の促進
効果を焼却灰に均一にかつ確実に付与することができ
る。なお、本発明で使用する固体換算アルカリと同量の
固体状アルカリと接触させた場合、直接接触部が部分的
にゼオライト化反応が進行してしまったり、前処理の効
果が発揮されにくいおそれがある。また、かかる不均一
性を回避するには、長時間に渡る混合や固形アルカリの
使用量を増大させることになり効率的でない。
【0011】焼却灰と第1のアルカリ溶液との配合比と
は特に限定しないが、当該焼却灰の量からみて、後段の
反応工程において当該焼却灰中のケイ素やアルミニウム
とアルカリと反応させてゼオライトを得るのに必要な量
のアルカリを供給することが好ましい。当該アルカリ量
は、換言すれば、当該焼却灰が、後段での反応工程で消
費するアルカリ量である。前処理工程において、一定量
の焼却灰からゼオライトを得るために必要な量のアルカ
リを供給することで、この処理物を反応させて得られる
反応液を固液分離して回収したアルカリ溶液を再び反応
工程でリサイクル利用する場合、当該反応工程では、消
費されるアルカリが前処理工程の処理物から供給される
ため、おおよそ、一定のアルカリ濃度を容易に維持する
ことができる。例えば、焼却灰:固形物換算アルカリ分
の重量比が100:10〜20の範囲であることが好ま
しい。固形物換算アルカリ分の重量比が前記10未満で
あると、アルカリ量が不足するため、前処理効果が発揮
されないおそれがあり、また、当該重量比が前記20を
超えると、アルカリ量が過剰になる傾向があるからであ
る。好ましくは、焼却灰:固形物換算アルカリ分が10
0:約15である。
は特に限定しないが、当該焼却灰の量からみて、後段の
反応工程において当該焼却灰中のケイ素やアルミニウム
とアルカリと反応させてゼオライトを得るのに必要な量
のアルカリを供給することが好ましい。当該アルカリ量
は、換言すれば、当該焼却灰が、後段での反応工程で消
費するアルカリ量である。前処理工程において、一定量
の焼却灰からゼオライトを得るために必要な量のアルカ
リを供給することで、この処理物を反応させて得られる
反応液を固液分離して回収したアルカリ溶液を再び反応
工程でリサイクル利用する場合、当該反応工程では、消
費されるアルカリが前処理工程の処理物から供給される
ため、おおよそ、一定のアルカリ濃度を容易に維持する
ことができる。例えば、焼却灰:固形物換算アルカリ分
の重量比が100:10〜20の範囲であることが好ま
しい。固形物換算アルカリ分の重量比が前記10未満で
あると、アルカリ量が不足するため、前処理効果が発揮
されないおそれがあり、また、当該重量比が前記20を
超えると、アルカリ量が過剰になる傾向があるからであ
る。好ましくは、焼却灰:固形物換算アルカリ分が10
0:約15である。
【0012】焼却灰と第1のアルカリ溶液とを加熱する
温度は、好ましくは100℃以下である。100℃を超
えると、焼却灰中のケイ素と水酸化ナトリウムにより水
ガラスが生成し、アルカリ溶液の水が蒸発し混合物が固
化してしまうと同時に、気化熱に消費熱エネルギーの増
大によりランニングコストが上昇してしまうからであ
る。また、焼却灰とアルカリとの水熱反応が進行してし
まい、用途が限定されるソーダライトに変質してしまう
おそれがあるからである。さらに、加圧容器が必要にな
り、生産能力の低下及び装置コストが上昇し、前処理工
程を回分式とせざるを得ないからである。上限は好まし
くは100℃未満であり、さらに好ましくは、80℃以
下である。80℃を超えると、ソーダライトが生成しや
すくなるからである。また、下限は、好ましくは、50
℃以上である。50℃未満であると、短時間で有効な前
処理を達成することが困難であるからである。より好ま
しくは、60℃以上である。さらに好ましくは、70℃
以上80℃以下である。
温度は、好ましくは100℃以下である。100℃を超
えると、焼却灰中のケイ素と水酸化ナトリウムにより水
ガラスが生成し、アルカリ溶液の水が蒸発し混合物が固
化してしまうと同時に、気化熱に消費熱エネルギーの増
大によりランニングコストが上昇してしまうからであ
る。また、焼却灰とアルカリとの水熱反応が進行してし
まい、用途が限定されるソーダライトに変質してしまう
おそれがあるからである。さらに、加圧容器が必要にな
り、生産能力の低下及び装置コストが上昇し、前処理工
程を回分式とせざるを得ないからである。上限は好まし
くは100℃未満であり、さらに好ましくは、80℃以
下である。80℃を超えると、ソーダライトが生成しや
すくなるからである。また、下限は、好ましくは、50
℃以上である。50℃未満であると、短時間で有効な前
処理を達成することが困難であるからである。より好ま
しくは、60℃以上である。さらに好ましくは、70℃
以上80℃以下である。
【0013】前処理工程に対する熱の供給形態は特に限
定しない。焼却灰と第1のアルカリ溶液とを混合できる
混合槽などの混合手段に対して、加熱手段を備えるよう
にすることができる。また、加熱した焼却灰を使用する
ことにより、熱を供給することもできる。さらに、加熱
した第1のアルカリ溶液を供給することもできる。さら
に、これらの手段を2種類以上組み合わせて用いること
もできる。なお、前処理工程においては、焼却灰と第1
のアルカリ溶液とは、加熱と同時に混合されることが好
ましい。焼却灰粒子に前処理効果を均一に付与するため
である。より好ましくは、予め、加熱した焼却灰に対し
て、第1のアルカリ溶液(予め加熱されていてもよいし
加熱されていなくてもよい)を供給し、加熱及び混合す
ることが好ましい。
定しない。焼却灰と第1のアルカリ溶液とを混合できる
混合槽などの混合手段に対して、加熱手段を備えるよう
にすることができる。また、加熱した焼却灰を使用する
ことにより、熱を供給することもできる。さらに、加熱
した第1のアルカリ溶液を供給することもできる。さら
に、これらの手段を2種類以上組み合わせて用いること
もできる。なお、前処理工程においては、焼却灰と第1
のアルカリ溶液とは、加熱と同時に混合されることが好
ましい。焼却灰粒子に前処理効果を均一に付与するため
である。より好ましくは、予め、加熱した焼却灰に対し
て、第1のアルカリ溶液(予め加熱されていてもよいし
加熱されていなくてもよい)を供給し、加熱及び混合す
ることが好ましい。
【0014】焼却灰と第1のアルカリ溶液との混合状態
は、粘性の高いスラリー状であることが好ましい。好ま
しくは、固形分(焼却灰)が80wt%以下である。ま
た、好ましくは、35wt%以上である。固形分が多す
ぎてもまた少なすぎても、後段の反応工程においてソー
ダライトが生成しやくなるからである。また、固形分が
35wt%以上80wt%以下であると、焼却灰粒子表
面とアルカリとをよく接触させることができる。例え
ば、アルカリ濃度の上記好適範囲(12wt%以上36
wt%以下)内の濃度のアルカリ溶液を用いて、上記焼
却灰:アルカリの重量比の上記好適比(100:10〜
20)を達成しようとすると、焼却灰100gに対し
て、アルカリ溶液は約27g(水量約18g)〜約16
7g(水量約147g)の範囲となる。この範囲におい
ては、同時に、好ましい水分量のスラリーを得ることが
できる。
は、粘性の高いスラリー状であることが好ましい。好ま
しくは、固形分(焼却灰)が80wt%以下である。ま
た、好ましくは、35wt%以上である。固形分が多す
ぎてもまた少なすぎても、後段の反応工程においてソー
ダライトが生成しやくなるからである。また、固形分が
35wt%以上80wt%以下であると、焼却灰粒子表
面とアルカリとをよく接触させることができる。例え
ば、アルカリ濃度の上記好適範囲(12wt%以上36
wt%以下)内の濃度のアルカリ溶液を用いて、上記焼
却灰:アルカリの重量比の上記好適比(100:10〜
20)を達成しようとすると、焼却灰100gに対し
て、アルカリ溶液は約27g(水量約18g)〜約16
7g(水量約147g)の範囲となる。この範囲におい
ては、同時に、好ましい水分量のスラリーを得ることが
できる。
【0015】前処理工程における加熱時間は、特に限定
しないが、焼却灰粒子の表面が十分にアルカリと接触で
きる程度の範囲で行うことが好ましい。好ましくは、1
分以上20分以下とする。1分未満では、反応促進効果
が得られにくく、20分を超えると、後段の反応工程
で、水熱反応が促進されすぎてソーダライトが生成する
おそれがあるからである。より好ましくは、5分以上1
5分以下であり、もっとも好ましくは10分程度であ
る。
しないが、焼却灰粒子の表面が十分にアルカリと接触で
きる程度の範囲で行うことが好ましい。好ましくは、1
分以上20分以下とする。1分未満では、反応促進効果
が得られにくく、20分を超えると、後段の反応工程
で、水熱反応が促進されすぎてソーダライトが生成する
おそれがあるからである。より好ましくは、5分以上1
5分以下であり、もっとも好ましくは10分程度であ
る。
【0016】前処理工程を実施することにより、焼却灰
粒子とアルカリとの反応性を向上させることができる。
このことは、前処理工程を実施しない焼却灰を用いた対
比実験においても明らかである。本発明者らが確認した
ところによれば、前処理により、焼却灰粒子のケイ素及
びアルミニウム(特にアルミニウム)が第2のアルカリ
溶液中に溶解しやすくなることがわかっている。すなわ
ち、前処理後の焼却灰と第2のアルカリ溶液とからなる
反応用組成物とすると、前処理をしていない焼却灰より
も速やかに当該液相中にケイ素とアルミニウムの濃度が
高くなる。これにより、反応用組成物においては、ゼオ
ライト化反応が開始されるのに必要なケイ素とアルミニ
ウム濃度に早く到達し、ゼオライト化反応が速やかに進
行するもの推測される。
粒子とアルカリとの反応性を向上させることができる。
このことは、前処理工程を実施しない焼却灰を用いた対
比実験においても明らかである。本発明者らが確認した
ところによれば、前処理により、焼却灰粒子のケイ素及
びアルミニウム(特にアルミニウム)が第2のアルカリ
溶液中に溶解しやすくなることがわかっている。すなわ
ち、前処理後の焼却灰と第2のアルカリ溶液とからなる
反応用組成物とすると、前処理をしていない焼却灰より
も速やかに当該液相中にケイ素とアルミニウムの濃度が
高くなる。これにより、反応用組成物においては、ゼオ
ライト化反応が開始されるのに必要なケイ素とアルミニ
ウム濃度に早く到達し、ゼオライト化反応が速やかに進
行するもの推測される。
【0017】また、本発明の前処理工程によれば、非常
に短時間で十分な反応促進効果を得ることができる。し
たがって、前処理工程から後段の反応工程へ処理物を断
続的にあるいは連続的に供給することに適している。特
に、加熱温度が100℃未満でも十分に促進効果を得る
ことができるため、連続式の反応工程を容易に実施する
ことができる。
に短時間で十分な反応促進効果を得ることができる。し
たがって、前処理工程から後段の反応工程へ処理物を断
続的にあるいは連続的に供給することに適している。特
に、加熱温度が100℃未満でも十分に促進効果を得る
ことができるため、連続式の反応工程を容易に実施する
ことができる。
【0018】(反応工程)
次に、前処理工程で得られた処理物に水及び/又はアル
カリ溶液を供給し、前記焼却灰と前記第1のアルカリ溶
液よりも低い濃度の第2のアルカリ溶液との反応用組成
物を調製する。この反応用組成物は、前処理された焼却
灰と第2のアルカリ溶液から構成される。第2のアルカ
リ溶液は、反応用組成物の液相を構成している。前記処
理物は、焼却灰と第1のアルカリ溶液とを含んでいる。
この処理物に、水及び/又はアルカリ溶液を供給するこ
とにより、焼却灰と第1のアルカリ溶液よりも低い濃度
の第2のアルカリ溶液との反応用組成物を調製すること
ができる。すなわち、反応工程においては、第1のアル
カリ溶液は希釈される。
カリ溶液を供給し、前記焼却灰と前記第1のアルカリ溶
液よりも低い濃度の第2のアルカリ溶液との反応用組成
物を調製する。この反応用組成物は、前処理された焼却
灰と第2のアルカリ溶液から構成される。第2のアルカ
リ溶液は、反応用組成物の液相を構成している。前記処
理物は、焼却灰と第1のアルカリ溶液とを含んでいる。
この処理物に、水及び/又はアルカリ溶液を供給するこ
とにより、焼却灰と第1のアルカリ溶液よりも低い濃度
の第2のアルカリ溶液との反応用組成物を調製すること
ができる。すなわち、反応工程においては、第1のアル
カリ溶液は希釈される。
【0019】希釈に用いる水及び/又はアルカリ溶液の
量や濃度は、特に限定しない。反応工程において、第2
のアルカリ溶液(液相)のアルカリ濃度が、第1のアル
カリ溶液のアルカリ濃度よりも低くなるように調製され
ていればよい。一般的に、第2のアルカリ溶液の濃度
が、焼却灰とアルカリ溶液とを混合してゼオライト化反
応を生じさせるために用いられる当該アルカリ溶液の濃
度となっていることが好ましい。すなわち、約8wt%
以上約12wt%以下のアルカリ濃度となっていること
が好ましい。このためには、3.5wt%以上10.5
wt%以下のアルカリ濃度の添加用アルカリ溶液を前記
処理物に添加することが好ましい。3.5wt%未満で
あると、ゼオライト化反応が進まない又は遅れるおそれ
があり、10.5wt%を超えるとアルカリ溶液の濃度
が高すぎて使用用途の狭いソーダライトが生成するおそ
れがある。好ましくは、5wt%以上であり、また8w
t%以下である。
量や濃度は、特に限定しない。反応工程において、第2
のアルカリ溶液(液相)のアルカリ濃度が、第1のアル
カリ溶液のアルカリ濃度よりも低くなるように調製され
ていればよい。一般的に、第2のアルカリ溶液の濃度
が、焼却灰とアルカリ溶液とを混合してゼオライト化反
応を生じさせるために用いられる当該アルカリ溶液の濃
度となっていることが好ましい。すなわち、約8wt%
以上約12wt%以下のアルカリ濃度となっていること
が好ましい。このためには、3.5wt%以上10.5
wt%以下のアルカリ濃度の添加用アルカリ溶液を前記
処理物に添加することが好ましい。3.5wt%未満で
あると、ゼオライト化反応が進まない又は遅れるおそれ
があり、10.5wt%を超えるとアルカリ溶液の濃度
が高すぎて使用用途の狭いソーダライトが生成するおそ
れがある。好ましくは、5wt%以上であり、また8w
t%以下である。
【0020】特に、本発明では、反応工程に存するアル
カリは、前処理工程の処理物中のアルカリと、添加用ア
ルカリ溶液から供給されるが、処理物中に、反応工程で
消費されるであろうアルカリ分を補填するようにすれ
ば、添加用アルカリ用溶液の濃度は反応工程前後でほぼ
一定とすることができる。すなわち、無駄なアルカリの
使用を抑制することができる。さらに、添加用アルカリ
溶液を、反応工程後の生成組成物中の液相を用いること
により、さらにアルカリを効率よく使用することができ
る。なお、反応工程後の液相を用いる場合には、一旦、
アルカリ濃度を、上記範囲、すなわち、3.5wt%〜
10.5wt%に調整しておくことが好ましい。
カリは、前処理工程の処理物中のアルカリと、添加用ア
ルカリ溶液から供給されるが、処理物中に、反応工程で
消費されるであろうアルカリ分を補填するようにすれ
ば、添加用アルカリ用溶液の濃度は反応工程前後でほぼ
一定とすることができる。すなわち、無駄なアルカリの
使用を抑制することができる。さらに、添加用アルカリ
溶液を、反応工程後の生成組成物中の液相を用いること
により、さらにアルカリを効率よく使用することができ
る。なお、反応工程後の液相を用いる場合には、一旦、
アルカリ濃度を、上記範囲、すなわち、3.5wt%〜
10.5wt%に調整しておくことが好ましい。
【0021】反応用組成物に、ケイ素(Siを含むイオ
ン化合物)が含まれていると、水熱反応をより一層促進
し、また、好ましい人工ゼオライト(典型的にはフィリ
ップサイト型)を得ることができる。すなわち、前述し
たように、前処理物における焼却灰においては、特にア
ルミニウムが溶出しやすくなっているため、予め反応用
組成物中にケイ素が存在すると、人工ゼオライトの生成
条件に速やかに到達しゼオライト化が進行し、結果とし
てゼオライト化が促進されるからである。かかる反応用
組成物を調製するには、予め、前記した添加用のアルカ
リ溶液中に、ケイ素あるいはケイ素供給体を含有させて
おくことが好ましい。添加用アルカリ溶液におけるこれ
らの含有量は、ケイ素供給量として3.0g/L以上と
なる量であることが好ましい。3g/L未満であると、
ケイ素による水熱反応の促進効果が発現しにくくなる、
あるいは用途の狭いソーダライトが生成するおそれがあ
るからである。特に、当該ケイ素供給量は、石炭灰を出
発原料とする場合において好ましい。なお、石炭灰以外
の焼却灰を出発原料とする場合、石炭灰に比較した珪酸
塩含有量の多少を考慮して、当該ケイ素供給量を調節す
ることができる。なお、反応用組成物に、ケイ素を含有
させるには、例えば、水ガラス、メタケイ酸ソーダなど
のケイ素供給体を直接添加することもできる。
ン化合物)が含まれていると、水熱反応をより一層促進
し、また、好ましい人工ゼオライト(典型的にはフィリ
ップサイト型)を得ることができる。すなわち、前述し
たように、前処理物における焼却灰においては、特にア
ルミニウムが溶出しやすくなっているため、予め反応用
組成物中にケイ素が存在すると、人工ゼオライトの生成
条件に速やかに到達しゼオライト化が進行し、結果とし
てゼオライト化が促進されるからである。かかる反応用
組成物を調製するには、予め、前記した添加用のアルカ
リ溶液中に、ケイ素あるいはケイ素供給体を含有させて
おくことが好ましい。添加用アルカリ溶液におけるこれ
らの含有量は、ケイ素供給量として3.0g/L以上と
なる量であることが好ましい。3g/L未満であると、
ケイ素による水熱反応の促進効果が発現しにくくなる、
あるいは用途の狭いソーダライトが生成するおそれがあ
るからである。特に、当該ケイ素供給量は、石炭灰を出
発原料とする場合において好ましい。なお、石炭灰以外
の焼却灰を出発原料とする場合、石炭灰に比較した珪酸
塩含有量の多少を考慮して、当該ケイ素供給量を調節す
ることができる。なお、反応用組成物に、ケイ素を含有
させるには、例えば、水ガラス、メタケイ酸ソーダなど
のケイ素供給体を直接添加することもできる。
【0022】また、既に記載したように、本発明の反応
工程の反応液の固液分離工程で分離された液相を、添加
用アルカリ溶液あるいはその調製用の液として用いるこ
とは、反応用組成物へのケイ素の供給の点においても有
用である。一般的に、焼却灰とアルカリとのゼオライト
合成反応後の液相には、未反応のケイ素が残留する。従
来において、反応後の液相を回収して繰り返し使用する
場合には、この未反応ケイ素が蓄積することにより、例
えば、アルカリ溶液の水ガラス化、生成ゼオライトの品
質低下等の焼却灰のゼオライト化に支障をきたしてい
た。しかしながら、本発明の反応工程において、既に説
明した前処理によりアルミニウムイオンが溶出しやすく
なっており、反応系に予めケイ素が存在すると、速やか
にゼオライト化反応が進行する。すなわち、予め存在し
ていたケイ素は速やかに消費されはじめる。その一方、
焼却灰からもケイ素が溶出する。反応終了後には、予め
存在していたケイ素+溶出したケイ素の総量から消費さ
れたケイ素を差し引いた量が未反応ケイ素として残存す
ることになる。消費されるケイ素量及び溶出するケイ素
量は、反応条件が一定であるならば、反応系における焼
却灰の量に応じておおよそ決まってくるものである。し
かも、両者はほぼ等しい量となる。したがって、上記好
ましい量のケイ素濃度となるように調整された添加用ア
ルカリ溶液(ある程度再利用を繰り返したアルカリ溶液
であって、上記濃度に到達したもの、あるいは上記濃度
に調整したものを同等に使用することができる。)を用
いて反応用組成物を調製し、水熱反応後の液相を、添加
用アルカリ溶液として再利用することにより、従来と異
なり、逆にゼオライト化が促進される。すなわち、本発
明の当該形態によれば、アルカリ有効利用と水熱反応促
進との双方を実現することができる。
工程の反応液の固液分離工程で分離された液相を、添加
用アルカリ溶液あるいはその調製用の液として用いるこ
とは、反応用組成物へのケイ素の供給の点においても有
用である。一般的に、焼却灰とアルカリとのゼオライト
合成反応後の液相には、未反応のケイ素が残留する。従
来において、反応後の液相を回収して繰り返し使用する
場合には、この未反応ケイ素が蓄積することにより、例
えば、アルカリ溶液の水ガラス化、生成ゼオライトの品
質低下等の焼却灰のゼオライト化に支障をきたしてい
た。しかしながら、本発明の反応工程において、既に説
明した前処理によりアルミニウムイオンが溶出しやすく
なっており、反応系に予めケイ素が存在すると、速やか
にゼオライト化反応が進行する。すなわち、予め存在し
ていたケイ素は速やかに消費されはじめる。その一方、
焼却灰からもケイ素が溶出する。反応終了後には、予め
存在していたケイ素+溶出したケイ素の総量から消費さ
れたケイ素を差し引いた量が未反応ケイ素として残存す
ることになる。消費されるケイ素量及び溶出するケイ素
量は、反応条件が一定であるならば、反応系における焼
却灰の量に応じておおよそ決まってくるものである。し
かも、両者はほぼ等しい量となる。したがって、上記好
ましい量のケイ素濃度となるように調整された添加用ア
ルカリ溶液(ある程度再利用を繰り返したアルカリ溶液
であって、上記濃度に到達したもの、あるいは上記濃度
に調整したものを同等に使用することができる。)を用
いて反応用組成物を調製し、水熱反応後の液相を、添加
用アルカリ溶液として再利用することにより、従来と異
なり、逆にゼオライト化が促進される。すなわち、本発
明の当該形態によれば、アルカリ有効利用と水熱反応促
進との双方を実現することができる。
【0023】なお、反応用組成物において、固形分(焼
却灰)濃度が約15wt%以上約30wt%以下である
ことが好ましい。この範囲内で反応用組成物の取り扱い
が容易であり、焼却灰とアルカリ溶液とを効率よく反応
させることができる。30wt%を超えると、反応用組
成物の取り扱いが困難となり、15wt%未満である
と、アルミニウム及びケイ素の濃度がゼオライト化反応
が開始される濃度に到達するのに時間を要し、前処理の
効果を得られにくくなる。最も好ましくは約20wt%
〜25wt%である。
却灰)濃度が約15wt%以上約30wt%以下である
ことが好ましい。この範囲内で反応用組成物の取り扱い
が容易であり、焼却灰とアルカリ溶液とを効率よく反応
させることができる。30wt%を超えると、反応用組
成物の取り扱いが困難となり、15wt%未満である
と、アルミニウム及びケイ素の濃度がゼオライト化反応
が開始される濃度に到達するのに時間を要し、前処理の
効果を得られにくくなる。最も好ましくは約20wt%
〜25wt%である。
【0024】反応用組成物には、また、必要に応じてア
ルミン酸ナトリウムや水酸化アルミニウムなどを添加し
て、所望の組成ないし型のゼオライトが生成するように
調整することができる。
ルミン酸ナトリウムや水酸化アルミニウムなどを添加し
て、所望の組成ないし型のゼオライトが生成するように
調整することができる。
【0025】反応用組成物を加熱して焼却灰とアルカリ
との水熱反応によりゼオライトを生成させる加熱温度
は、好ましくは、100℃未満あるいは煮沸させない程
度とする。前処理工程を経ることにより、100℃未満
あるいは煮沸させなくても、短時間で効率よくゼオライ
ト化を達成することができる。また、100℃未満ある
いは煮沸させない温度範囲であると、アルカリ溶液を煮
沸することなく、すなわち、蒸発による熱エネルギーロ
スなく、水熱反応を達成することができる。さらに、前
段の前処理工程からの処理物を反応工程に連続的あるい
は断続的に供給して、反応工程を連続的に実施すること
ができるようになる。一方、100℃以上とすると、加
圧容器を要することになり、装置コストの他、回分方式
に採用せざるを得なくなり、生産効率の向上が困難とな
る。好ましくは、98℃以下とする。また、好ましくは
90℃以上とする。
との水熱反応によりゼオライトを生成させる加熱温度
は、好ましくは、100℃未満あるいは煮沸させない程
度とする。前処理工程を経ることにより、100℃未満
あるいは煮沸させなくても、短時間で効率よくゼオライ
ト化を達成することができる。また、100℃未満ある
いは煮沸させない温度範囲であると、アルカリ溶液を煮
沸することなく、すなわち、蒸発による熱エネルギーロ
スなく、水熱反応を達成することができる。さらに、前
段の前処理工程からの処理物を反応工程に連続的あるい
は断続的に供給して、反応工程を連続的に実施すること
ができるようになる。一方、100℃以上とすると、加
圧容器を要することになり、装置コストの他、回分方式
に採用せざるを得なくなり、生産効率の向上が困難とな
る。好ましくは、98℃以下とする。また、好ましくは
90℃以上とする。
【0026】反応時間は、特に限定しないが、本反応工
程では、3時間〜4時間程度でおおよそ好ましい品質の
ゼオライトを得ることができる。かかる反応時間内で反
応工程を終了することにより、連続的な反応工程の実施
が容易になる。より好ましくは4時間程度である。一
方、4時間を超えて反応させても陽イオン交換容量の増
加率は小さく、エネルギーコストの点から効率的でなく
なる傾向がある。
程では、3時間〜4時間程度でおおよそ好ましい品質の
ゼオライトを得ることができる。かかる反応時間内で反
応工程を終了することにより、連続的な反応工程の実施
が容易になる。より好ましくは4時間程度である。一
方、4時間を超えて反応させても陽イオン交換容量の増
加率は小さく、エネルギーコストの点から効率的でなく
なる傾向がある。
【0027】前処理工程と反応工程によれば、前処理工
程を行うことにより、反応工程における反応性が向上さ
れているため、反応条件を緩やかにしても十分に短時間
で反応を実施し、一定以上の品質のゼオライトを得るこ
とができる。また、前処理工程と反応工程とをいずれも
100℃未満の温度で行うことにより、これらの工程を
連続的に実施することが可能となり、ゼオライトの製造
効率を一層向上させることができる。なお、反応性が向
上されているために、高温高圧での反応条件で反応工程
を実施すれば、より一層の時間短縮を図ることができ
る。また、本工程によれば、例えば、焼却灰から、フィ
リップサイト型ゼオライトや、条件を合わせることによ
りフォージャサイト型ゼオライトを効率的に得ることが
できる。さらに、得られるゼオライトの陽イオン交換容
量(CEC)は、約150以上約230以下のものを効
率よく得ることができる。より好ましくは、約180以
上約210以下のものを効率よく得ることができる。な
お、本発明方法は、連続式でも回分式でもいずれの反応
方式でも容易に実施することができる。
程を行うことにより、反応工程における反応性が向上さ
れているため、反応条件を緩やかにしても十分に短時間
で反応を実施し、一定以上の品質のゼオライトを得るこ
とができる。また、前処理工程と反応工程とをいずれも
100℃未満の温度で行うことにより、これらの工程を
連続的に実施することが可能となり、ゼオライトの製造
効率を一層向上させることができる。なお、反応性が向
上されているために、高温高圧での反応条件で反応工程
を実施すれば、より一層の時間短縮を図ることができ
る。また、本工程によれば、例えば、焼却灰から、フィ
リップサイト型ゼオライトや、条件を合わせることによ
りフォージャサイト型ゼオライトを効率的に得ることが
できる。さらに、得られるゼオライトの陽イオン交換容
量(CEC)は、約150以上約230以下のものを効
率よく得ることができる。より好ましくは、約180以
上約210以下のものを効率よく得ることができる。な
お、本発明方法は、連続式でも回分式でもいずれの反応
方式でも容易に実施することができる。
【0028】(製造装置)
上記前処理工程、反応工程を実施する装置については特
に限定しないが、好ましくは、焼却灰とアルカリ溶液と
を混合しながら加熱する、1又は2以上の処理手段と、
前記処理手段の少なくとも一つに水及び/又はアルカリ
溶液を供給して混合物におけるアルカリ濃度を低下させ
る希釈手段、とを備えている。以下、本装置の一実施形
態の概略を図1に例示し、図1を参照しながら説明す
る。なお、図1に示す実施形態は、説明のための例示で
あり、本発明の装置を当該形態に限定するものではな
い。
に限定しないが、好ましくは、焼却灰とアルカリ溶液と
を混合しながら加熱する、1又は2以上の処理手段と、
前記処理手段の少なくとも一つに水及び/又はアルカリ
溶液を供給して混合物におけるアルカリ濃度を低下させ
る希釈手段、とを備えている。以下、本装置の一実施形
態の概略を図1に例示し、図1を参照しながら説明す
る。なお、図1に示す実施形態は、説明のための例示で
あり、本発明の装置を当該形態に限定するものではな
い。
【0029】図1に示すように、本装置2は、処理手段
として、第1の処理手段4と、第2の処理手段24とを
備えている。また、本装置2は、希釈手段44を備えて
いる。 (処理手段) 処理手段は、容器と、容器内の内容物を攪拌、振動、循
環などして混合ないし均一化する混合手段と、内容物に
熱を供給する加熱手段とを備えている。前処理工程と反
応工程においては、後段の反応工程で使用するアルカリ
溶液の濃度が前段の前処理工程で使用するアルカリ溶液
の濃度よりも低く、また、後段の反応工程におけるスラ
リー濃度が前段のスラリー濃度よりも低くなっている。
すなわち、後段工程では、前段工程の処理物を希釈する
形態となる。したがって、それぞれの工程を別の処理手
段で実施することもできるが、単一の処理手段におい
て、前処理工程と反応工程とを実施することも容易であ
る。図1に示す形態では、両工程をそれぞれ別の処理手
段で実施するように、第1の処理手段4と第2の処理手
段24とを備えている。
として、第1の処理手段4と、第2の処理手段24とを
備えている。また、本装置2は、希釈手段44を備えて
いる。 (処理手段) 処理手段は、容器と、容器内の内容物を攪拌、振動、循
環などして混合ないし均一化する混合手段と、内容物に
熱を供給する加熱手段とを備えている。前処理工程と反
応工程においては、後段の反応工程で使用するアルカリ
溶液の濃度が前段の前処理工程で使用するアルカリ溶液
の濃度よりも低く、また、後段の反応工程におけるスラ
リー濃度が前段のスラリー濃度よりも低くなっている。
すなわち、後段工程では、前段工程の処理物を希釈する
形態となる。したがって、それぞれの工程を別の処理手
段で実施することもできるが、単一の処理手段におい
て、前処理工程と反応工程とを実施することも容易であ
る。図1に示す形態では、両工程をそれぞれ別の処理手
段で実施するように、第1の処理手段4と第2の処理手
段24とを備えている。
【0030】第1の処理手段4は、前処理工程を実施す
るための手段として備えられている。当該処理手段4
は、容器6と、混合手段10と、加熱手段14とを備え
ている。容器6は、前処理工程の被処理物であるスラリ
ー状体の処理に適した構造を備えていればよく、特にそ
の形態を限定しない。なお、内容物を100℃以上に加
熱する場合には、加圧容器である必要がある。混合手段
10は、特に限定しないで各種公知の混合手段を用いる
ことができる。加熱手段14は、容器6内の内容物に熱
を供給可能であれば足りる。特に、前処理工程を実施す
る処理手段においては、容器6に装備され、容器6内の
内容物を直接加熱可能な形態の他、容器6に供給すべき
原材料、すなわち、焼却灰あるいはアルカリ溶液のいず
れかあるいは双方を、容器6に供給前に加熱可能な形態
も採用することができる。さらに、この形態の双方を備
えることもできる。内容物を直接加熱可能な形態として
は、図1に示すように、容器6の外部にジャケット式に
設けた加熱手段14の他、内部コイル式加熱手段あるい
は容器6内の内容物の外部循環径路を設け、この循環径
路に加熱手段を備えることもできる。また、加熱された
原材料を供給する形態にあっては、アルカリ溶液および
/または焼却灰をインラインで加熱しながら供給する手
段あるいはこれらを貯留して加熱し、その後供給する手
段などを採用することができる。
るための手段として備えられている。当該処理手段4
は、容器6と、混合手段10と、加熱手段14とを備え
ている。容器6は、前処理工程の被処理物であるスラリ
ー状体の処理に適した構造を備えていればよく、特にそ
の形態を限定しない。なお、内容物を100℃以上に加
熱する場合には、加圧容器である必要がある。混合手段
10は、特に限定しないで各種公知の混合手段を用いる
ことができる。加熱手段14は、容器6内の内容物に熱
を供給可能であれば足りる。特に、前処理工程を実施す
る処理手段においては、容器6に装備され、容器6内の
内容物を直接加熱可能な形態の他、容器6に供給すべき
原材料、すなわち、焼却灰あるいはアルカリ溶液のいず
れかあるいは双方を、容器6に供給前に加熱可能な形態
も採用することができる。さらに、この形態の双方を備
えることもできる。内容物を直接加熱可能な形態として
は、図1に示すように、容器6の外部にジャケット式に
設けた加熱手段14の他、内部コイル式加熱手段あるい
は容器6内の内容物の外部循環径路を設け、この循環径
路に加熱手段を備えることもできる。また、加熱された
原材料を供給する形態にあっては、アルカリ溶液および
/または焼却灰をインラインで加熱しながら供給する手
段あるいはこれらを貯留して加熱し、その後供給する手
段などを採用することができる。
【0031】第1の処理手段4は、回分方式及び連続方
式のいずれの形態も採ることができる。ゼオライトの効
率的製造の観点からは、連続式であることが好ましい。
特に、100℃未満の加熱温度にて前処理する場合に
は、容易に連続方式とすることができ、また、処理物を
後段の反応工程へ連続的に供給可能となる。図1に例示
する第1の処理手段4には、回分式であり、容器6内の
処理物を排出し後段の反応工程に供給するための配管1
6とバルブ18とを備えている。
式のいずれの形態も採ることができる。ゼオライトの効
率的製造の観点からは、連続式であることが好ましい。
特に、100℃未満の加熱温度にて前処理する場合に
は、容易に連続方式とすることができ、また、処理物を
後段の反応工程へ連続的に供給可能となる。図1に例示
する第1の処理手段4には、回分式であり、容器6内の
処理物を排出し後段の反応工程に供給するための配管1
6とバルブ18とを備えている。
【0032】第2の処理手段24は、反応工程を実施す
るために備えられている。第1の処理手段と同様に、容
器26と、混合手段30と、加熱手段34とを備えてい
る。容器26と混合手段30については、第1の処理手
段4に採用できる手段を本処理手段24においても同様
に採用することができる。加熱手段34については、第
1の処理手段4における加熱手段14と同様に、容器6
内の内容物に熱を供給可能であれば足り、同様の加熱手
段を採用することができるが、特に、本処理手段24に
おいては、反応工程が時間単位で実施されるため、容器
26に装備され、容器26内の内容物を直接加熱可能な
形態を採用することが好ましい。したがって、前段の反
応工程の処理物や他の材料(例えば、後述する希釈手段
から供給される水及び/又はアルカリ溶液)などを、容
器26に供給前に加熱可能な形態も採用できるが、直接
加熱可能な形態に併用して採用することが好ましい。し
たがって、第2の処理手段24には、図1に示すように
ジャケット式加熱手段などの直接加熱方式の加熱手段3
4を備えていることが好ましい。なお、第2の処理手段
24は、第1の処理手段4の下方に配置されていると、
前処理工程の処理物が容易に第2の処理手段24の容器
26内に搬送することができる。
るために備えられている。第1の処理手段と同様に、容
器26と、混合手段30と、加熱手段34とを備えてい
る。容器26と混合手段30については、第1の処理手
段4に採用できる手段を本処理手段24においても同様
に採用することができる。加熱手段34については、第
1の処理手段4における加熱手段14と同様に、容器6
内の内容物に熱を供給可能であれば足り、同様の加熱手
段を採用することができるが、特に、本処理手段24に
おいては、反応工程が時間単位で実施されるため、容器
26に装備され、容器26内の内容物を直接加熱可能な
形態を採用することが好ましい。したがって、前段の反
応工程の処理物や他の材料(例えば、後述する希釈手段
から供給される水及び/又はアルカリ溶液)などを、容
器26に供給前に加熱可能な形態も採用できるが、直接
加熱可能な形態に併用して採用することが好ましい。し
たがって、第2の処理手段24には、図1に示すように
ジャケット式加熱手段などの直接加熱方式の加熱手段3
4を備えていることが好ましい。なお、第2の処理手段
24は、第1の処理手段4の下方に配置されていると、
前処理工程の処理物が容易に第2の処理手段24の容器
26内に搬送することができる。
【0033】第2の処理手段24は、回分方式及び連続
方式のいずれの形態も採ることができる。ゼオライトの
効率的製造の観点からは、連続式であることが好まし
い。特に、100℃未満の加熱温度にて反応させる場合
には、容易に連続方式とすることができ、また、反応用
組成物を後段へ連続的に供給可能となる。なお、図1に
例示する第2の処理手段24は、回分式となっている。
方式のいずれの形態も採ることができる。ゼオライトの
効率的製造の観点からは、連続式であることが好まし
い。特に、100℃未満の加熱温度にて反応させる場合
には、容易に連続方式とすることができ、また、反応用
組成物を後段へ連続的に供給可能となる。なお、図1に
例示する第2の処理手段24は、回分式となっている。
【0034】本装置2には、反応工程を実施する処理手
段である第2の処理手段24には、前処理工程の処理物
を反応工程の反応用組成物に調整するための手段、すな
わち、希釈手段44を備えている。希釈手段44は、前
処理工程の処理物に水及び/又はアルカリ溶液を供給す
る手段である。本手段44は、水及び/又はアルカリ溶
液である希釈用液を貯留する貯留手段46と、貯留手段
46から第2の処理手段24にこれらの希釈用液を供給
する配管50とを備えることができる。貯留手段46の
希釈溶液は、配管50を介して、バルブ52の開閉に制
御されて、図示しない制御手段により定量的に第2の処
理手段24へ供給されるようになっている。貯留手段4
6は、多くの場合アルカリ溶液を貯留するが、別途水の
貯留手段を備えるようにして、水のみを処理手段に供給
するように構成することもできる。
段である第2の処理手段24には、前処理工程の処理物
を反応工程の反応用組成物に調整するための手段、すな
わち、希釈手段44を備えている。希釈手段44は、前
処理工程の処理物に水及び/又はアルカリ溶液を供給す
る手段である。本手段44は、水及び/又はアルカリ溶
液である希釈用液を貯留する貯留手段46と、貯留手段
46から第2の処理手段24にこれらの希釈用液を供給
する配管50とを備えることができる。貯留手段46の
希釈溶液は、配管50を介して、バルブ52の開閉に制
御されて、図示しない制御手段により定量的に第2の処
理手段24へ供給されるようになっている。貯留手段4
6は、多くの場合アルカリ溶液を貯留するが、別途水の
貯留手段を備えるようにして、水のみを処理手段に供給
するように構成することもできる。
【0035】貯留手段46は、水及び/又はアルカリ溶
液を希釈用液として貯留するが、アルカリ濃度を調整可
能になっていることが好ましい。この場合、水とアルカ
リ溶液(濃度の高い原液の場合もある)の供給源(図示
しない)からそれぞれの液体が貯留手段46に供給され
るようにすることができる。それぞれの供給量は、バル
ブの開閉で制御されるようにすることができる。さら
に、好ましくは、貯留手段46には貯留するアルカリ溶
液のアルカリ濃度を検出するためのアルカリ濃度検出手
段を備えるようにする。
液を希釈用液として貯留するが、アルカリ濃度を調整可
能になっていることが好ましい。この場合、水とアルカ
リ溶液(濃度の高い原液の場合もある)の供給源(図示
しない)からそれぞれの液体が貯留手段46に供給され
るようにすることができる。それぞれの供給量は、バル
ブの開閉で制御されるようにすることができる。さら
に、好ましくは、貯留手段46には貯留するアルカリ溶
液のアルカリ濃度を検出するためのアルカリ濃度検出手
段を備えるようにする。
【0036】貯留手段46へ供給されるアルカリ溶液の
供給源は、反応用組成物の固液分離後の液体とすること
ができる。当該液体には、アルカリが含まれているとと
もに、ケイ素を含有している観点から、反応工程に供給
するアルカリ溶液源としては好ましい。この場合には、
後段の固液分離手段から、分離後の液体を貯留手段46
へ搬送する配管系54を備えるようにすることが好まし
い。
供給源は、反応用組成物の固液分離後の液体とすること
ができる。当該液体には、アルカリが含まれているとと
もに、ケイ素を含有している観点から、反応工程に供給
するアルカリ溶液源としては好ましい。この場合には、
後段の固液分離手段から、分離後の液体を貯留手段46
へ搬送する配管系54を備えるようにすることが好まし
い。
【0037】また、貯留手段46には、別途、反応用組
成物にケイ素を供給できるケイ素供給体を添加できるよ
うにすることもできる。また、貯留手段46には、攪拌
装置や外部循環経路などの混合手段を備えることが好ま
しい。さらに、貯留手段46には、反応工程において調
製される反応用組成物の温度を安定化し、早期に好まし
い温度に到達させるために、希釈用液を一定温度に加熱
する加熱手段を備えることが好ましい。なお、単一の処
理手段において前処理工程と反応工程とを実施する場合
には、希釈手段44は、前処理工程を実施した後の処理
手段の容器に希釈用液を供給するように構成される。
成物にケイ素を供給できるケイ素供給体を添加できるよ
うにすることもできる。また、貯留手段46には、攪拌
装置や外部循環経路などの混合手段を備えることが好ま
しい。さらに、貯留手段46には、反応工程において調
製される反応用組成物の温度を安定化し、早期に好まし
い温度に到達させるために、希釈用液を一定温度に加熱
する加熱手段を備えることが好ましい。なお、単一の処
理手段において前処理工程と反応工程とを実施する場合
には、希釈手段44は、前処理工程を実施した後の処理
手段の容器に希釈用液を供給するように構成される。
【0038】本装置2は、さらに、通常のゼオライト製
造装置と同様に、固液分離手段64、洗浄手段84、乾
燥手段104を備えることができる。固液分離手段64
は、反応工程を実施する処理手段の後段、すなわち、図
1においては第2の処理手段24の後段に配置されてい
る。固液分離手段64には、遠心力、ろ過などの各種公
知の手段を採用することができる。固液分離後の液体
は、前述したように、希釈手段44の貯留手段46に供
給するように構成することができる。また、固液分離後
の固形分は、洗浄手段84に供給され、固形分に残留す
るアルカリを洗浄する。なお、洗浄手段84には、通
常、同時に、脱水手段を付随している。次いで、洗浄さ
れた固形分は乾燥手段104に供給され、乾燥される。
造装置と同様に、固液分離手段64、洗浄手段84、乾
燥手段104を備えることができる。固液分離手段64
は、反応工程を実施する処理手段の後段、すなわち、図
1においては第2の処理手段24の後段に配置されてい
る。固液分離手段64には、遠心力、ろ過などの各種公
知の手段を採用することができる。固液分離後の液体
は、前述したように、希釈手段44の貯留手段46に供
給するように構成することができる。また、固液分離後
の固形分は、洗浄手段84に供給され、固形分に残留す
るアルカリを洗浄する。なお、洗浄手段84には、通
常、同時に、脱水手段を付随している。次いで、洗浄さ
れた固形分は乾燥手段104に供給され、乾燥される。
【0039】以下、本装置2を用いて焼却灰からゼオラ
イトを製造する工程について説明する。まず、第1の処
理手段4の容器6に所定重量の焼却灰を投入し、混合手
段10を作動させながら、加熱手段14を作動させるこ
とにより、焼却灰を所定温度にまで加熱する。その後、
第1のアルカリ溶液の所定量を供給して、加熱手段14
により前処理温度を所定時間維持して、前処理工程を実
施する。
イトを製造する工程について説明する。まず、第1の処
理手段4の容器6に所定重量の焼却灰を投入し、混合手
段10を作動させながら、加熱手段14を作動させるこ
とにより、焼却灰を所定温度にまで加熱する。その後、
第1のアルカリ溶液の所定量を供給して、加熱手段14
により前処理温度を所定時間維持して、前処理工程を実
施する。
【0040】次いで、第1の処理手段4の容器6内の処
理物を、配管16のバルブ18を開いて下方に配置され
た第2の処理手段24の容器26に供給する。処理手段
24の容器26には、予め、希釈手段44から、アルカ
リ濃度などが調整された希釈用液を供給しておくことが
できる。さらに、加熱手段34により、希釈用液を反応
温度に予め加熱しておくことができる。この容器26に
おいて、処理物と希釈用液とを供給し、混合手段30に
より混合することにより、焼却灰と第2のアルカリ溶液
とを含む反応用組成物を調製する。このとき、添加する
希釈用液により同時にスラリー濃度も調整することが好
ましい。なお、希釈用液としては、必要に応じて水のみ
を単独供給することもありうる。反応用組成物を、混合
手段30で混合しつつ加熱手段34を作動させて所定温
度に所定時間維持することにより、反応工程を実施す
る。
理物を、配管16のバルブ18を開いて下方に配置され
た第2の処理手段24の容器26に供給する。処理手段
24の容器26には、予め、希釈手段44から、アルカ
リ濃度などが調整された希釈用液を供給しておくことが
できる。さらに、加熱手段34により、希釈用液を反応
温度に予め加熱しておくことができる。この容器26に
おいて、処理物と希釈用液とを供給し、混合手段30に
より混合することにより、焼却灰と第2のアルカリ溶液
とを含む反応用組成物を調製する。このとき、添加する
希釈用液により同時にスラリー濃度も調整することが好
ましい。なお、希釈用液としては、必要に応じて水のみ
を単独供給することもありうる。反応用組成物を、混合
手段30で混合しつつ加熱手段34を作動させて所定温
度に所定時間維持することにより、反応工程を実施す
る。
【0041】反応工程後、反応生成物を、所定経路を通
じて、固液分離手段64、洗浄手段84、乾燥手段10
4に順次搬送・供給し、乾燥されたゼオライトを得る。
じて、固液分離手段64、洗浄手段84、乾燥手段10
4に順次搬送・供給し、乾燥されたゼオライトを得る。
【0042】以上説明したように、本装置2によれば、
本発明方法を効率的に実施することができる。特に、希
釈手段44により、容易に前処理工程と反応工程におけ
る第1のアルカリ溶液から第2のアルカリ溶液への希釈
を容易に実現することができる。また、固液分離後の液
相を希釈用液の少なくとも一部として利用する構成の場
合には、アルカリの効率的利用とケイ素による反応性向
上とを同時に実現できる。
本発明方法を効率的に実施することができる。特に、希
釈手段44により、容易に前処理工程と反応工程におけ
る第1のアルカリ溶液から第2のアルカリ溶液への希釈
を容易に実現することができる。また、固液分離後の液
相を希釈用液の少なくとも一部として利用する構成の場
合には、アルカリの効率的利用とケイ素による反応性向
上とを同時に実現できる。
【0043】
【実施例】以下、本発明を実施した具体例について説明
するが、これらの具体例は本発明を限定するものではな
い。石炭灰300gに対して、表1に示す、16wt
%、20wt%、24wt%、36wt%の各種濃度の
NaOH水溶液(本発明における第1のアルカリ溶液に
相当する。)を、石炭灰:水酸化ナトリウムの重量比が
100:15となるように添加し、4種類の前処理用組
成物(試料1〜4)を調製した。試料1及び2について
は80℃にて10分間、試料3及び4については60℃
にて10分間、それぞれ混練することにより、前処理工
程を実施した。次いで、得られた各処理物に、ケイ素
(Si4+)を含有しない6wt%水酸化ナトリウム溶
液、あるいはSi4+として、3.56g/Lが溶解して
いる6wt%水酸化ナトリウム溶液を、それぞれ石炭灰
(固形分)濃度が20wt%となるように添加して合計
8種類の反応用組成物を得た。なお、ケイ素(Si4+)
を含有しない6wt%水酸化ナトリウム溶液を添加した
反応用組成物を表1において、それぞれaを付して示
し、Si4+として、3.56g/Lが溶解している6w
t%水酸化ナトリウム溶液を添加した反応用組成物を表
1において、それぞれbを付して示した。なお、最終的
に得られた反応生成物の液相(第2のアルカリ溶液に相
当する)におけるアルカリ濃度は、試料1〜4につい
て、それぞれ約8wt%であった。また、Si4+とし
て、3.56g/Lが溶解している6wt%水酸化ナト
リウム溶液は、石炭灰をゼオライト化するのに使用した
水酸化ナトリウム水溶液を、水酸化ナトリウム濃度を6
wt%に調整したものであった。
するが、これらの具体例は本発明を限定するものではな
い。石炭灰300gに対して、表1に示す、16wt
%、20wt%、24wt%、36wt%の各種濃度の
NaOH水溶液(本発明における第1のアルカリ溶液に
相当する。)を、石炭灰:水酸化ナトリウムの重量比が
100:15となるように添加し、4種類の前処理用組
成物(試料1〜4)を調製した。試料1及び2について
は80℃にて10分間、試料3及び4については60℃
にて10分間、それぞれ混練することにより、前処理工
程を実施した。次いで、得られた各処理物に、ケイ素
(Si4+)を含有しない6wt%水酸化ナトリウム溶
液、あるいはSi4+として、3.56g/Lが溶解して
いる6wt%水酸化ナトリウム溶液を、それぞれ石炭灰
(固形分)濃度が20wt%となるように添加して合計
8種類の反応用組成物を得た。なお、ケイ素(Si4+)
を含有しない6wt%水酸化ナトリウム溶液を添加した
反応用組成物を表1において、それぞれaを付して示
し、Si4+として、3.56g/Lが溶解している6w
t%水酸化ナトリウム溶液を添加した反応用組成物を表
1において、それぞれbを付して示した。なお、最終的
に得られた反応生成物の液相(第2のアルカリ溶液に相
当する)におけるアルカリ濃度は、試料1〜4につい
て、それぞれ約8wt%であった。また、Si4+とし
て、3.56g/Lが溶解している6wt%水酸化ナト
リウム溶液は、石炭灰をゼオライト化するのに使用した
水酸化ナトリウム水溶液を、水酸化ナトリウム濃度を6
wt%に調整したものであった。
【表1】
【0044】このようにして得られた試料1〜4の計8
種の反応生成物を、98℃で6時間加熱・混合する工程
を実施し、水熱反応を行った。水熱反応2時間、3時
間、4時間、5時間及び6時間経過時の反応生成物中の
固形分を採取し、X線回折分析を行った。この結果を図
2〜4に示す。また、水熱反応4時間及び6時間の反応
生成物中の固形分を採取して、陽イオン交換容量を測定
した。結果を表2に示す。
種の反応生成物を、98℃で6時間加熱・混合する工程
を実施し、水熱反応を行った。水熱反応2時間、3時
間、4時間、5時間及び6時間経過時の反応生成物中の
固形分を採取し、X線回折分析を行った。この結果を図
2〜4に示す。また、水熱反応4時間及び6時間の反応
生成物中の固形分を採取して、陽イオン交換容量を測定
した。結果を表2に示す。
【表2】
【0045】なお、比較例として、石炭灰300gに対
して、Si4+として3.56g/Lを溶解している、あ
るいは溶解していない8wt%NaOH水溶液を、スラ
リー(石炭灰固形分)濃度が約20wt%となるように
添加して、2種類の比較例の反応用組成物を得た。な
お、Siイオン含有アルカリ溶液を用いた反応用組成物
を従来例1の組成物とし、Siイオンを含有しないアル
カリ溶液を用いた反応用組成物を従来例2の組成物とい
うものとする。これらの反応用組成物を、100℃で6
時間加熱して、水熱反応を行った。水熱反応2時間、3
時間、4時間、5時間及び6時間経過時の反応生成物中
の固形分を採取し、X線回折分析を行った。この結果を
図5に示す。また、水熱反応4時間及び6時間の反応生
成物中の固形分を採取して、陽イオン交換容量を測定し
た。
して、Si4+として3.56g/Lを溶解している、あ
るいは溶解していない8wt%NaOH水溶液を、スラ
リー(石炭灰固形分)濃度が約20wt%となるように
添加して、2種類の比較例の反応用組成物を得た。な
お、Siイオン含有アルカリ溶液を用いた反応用組成物
を従来例1の組成物とし、Siイオンを含有しないアル
カリ溶液を用いた反応用組成物を従来例2の組成物とい
うものとする。これらの反応用組成物を、100℃で6
時間加熱して、水熱反応を行った。水熱反応2時間、3
時間、4時間、5時間及び6時間経過時の反応生成物中
の固形分を採取し、X線回折分析を行った。この結果を
図5に示す。また、水熱反応4時間及び6時間の反応生
成物中の固形分を採取して、陽イオン交換容量を測定し
た。
【0046】図2〜4には、試料1〜3の各種反応時間
におけるゼオライト(フィリップサイト型)の特性ピー
ク角度(回折角度)におけるピーク強度と、同反応時間
における比較例の反応組成物(従来例1:Si含有)の
ピーク強度に対する%とを併せて示してある。図2〜4
によれば、特に、水熱反応3時間〜4時間の範囲で、試
料のピーク強度は、従来例1に比較して大きかった。一
方、水熱反応6時間では、大きな差がなかった。この結
果によれば、試料の反応生成物においては、ゼオライト
化の反応が、従来例1に比較して速やかに進行していた
ことを示している。さらに、反応用組成物中におけるケ
イ素の有無に着目すると、特に、試料1及び2の反応用
組成物において、水熱反応3時間〜4時間の範囲で、ケ
イ素を含有する反応用組成物に、より大きなピーク強度
が得られていた。このことは、ケイ素が存在することに
より、より一層ゼオライト化反応が促進されることを意
味している。
におけるゼオライト(フィリップサイト型)の特性ピー
ク角度(回折角度)におけるピーク強度と、同反応時間
における比較例の反応組成物(従来例1:Si含有)の
ピーク強度に対する%とを併せて示してある。図2〜4
によれば、特に、水熱反応3時間〜4時間の範囲で、試
料のピーク強度は、従来例1に比較して大きかった。一
方、水熱反応6時間では、大きな差がなかった。この結
果によれば、試料の反応生成物においては、ゼオライト
化の反応が、従来例1に比較して速やかに進行していた
ことを示している。さらに、反応用組成物中におけるケ
イ素の有無に着目すると、特に、試料1及び2の反応用
組成物において、水熱反応3時間〜4時間の範囲で、ケ
イ素を含有する反応用組成物に、より大きなピーク強度
が得られていた。このことは、ケイ素が存在することに
より、より一層ゼオライト化反応が促進されることを意
味している。
【0047】なお、図5には、従来例1と従来例2から
は、前処理を行わない場合には、ケイ素含有組成物にお
いて、ケイ素を含有しない組成物に比較してより低いピ
ーク強度となっていた。すなわち、反応用組成物中にケ
イ素を含有することにより、ゼオライト化が抑制される
ことが明らかであった。
は、前処理を行わない場合には、ケイ素含有組成物にお
いて、ケイ素を含有しない組成物に比較してより低いピ
ーク強度となっていた。すなわち、反応用組成物中にケ
イ素を含有することにより、ゼオライト化が抑制される
ことが明らかであった。
【0048】さらに、表2及び図6に示す陽イオン交換
容量(CEC)の測定結果によれば、試料1〜3の反応
生成物(ケイ素含有)において、従来例1のCECより
も高い数値が得られていた。特に、4時間〜6時間の範
囲において、相対的に高いCEC値が得られていること
がわかった。このように、CECの測定結果からも、本
発明によれば、短い反応時間において、ゼオライト化反
応が促進され、相対的に高いCECのゼオライトを得ら
れることがわかった。特に、このような促進効果は、試
料1及び試料2において顕著であった。
容量(CEC)の測定結果によれば、試料1〜3の反応
生成物(ケイ素含有)において、従来例1のCECより
も高い数値が得られていた。特に、4時間〜6時間の範
囲において、相対的に高いCEC値が得られていること
がわかった。このように、CECの測定結果からも、本
発明によれば、短い反応時間において、ゼオライト化反
応が促進され、相対的に高いCECのゼオライトを得ら
れることがわかった。特に、このような促進効果は、試
料1及び試料2において顕著であった。
【図1】本発明のゼオライトの製造装置の概略を示す図
である。
である。
【図2】実施例の試料1の水熱反応の各経過時間におけ
るX線回折分析結果を示す表である。
るX線回折分析結果を示す表である。
【図3】実施例の試料2の水熱反応の各経過時間におけ
るX線回折分析結果を示す表である。
るX線回折分析結果を示す表である。
【図4】実施例の試料3の水熱反応の各経過時間におけ
るX線回折分析結果を示す表である。
るX線回折分析結果を示す表である。
【図5】従来例1及び2の水熱反応の各経過時間におけ
るX線回折分析結果を示す表である。
るX線回折分析結果を示す表である。
【図6】実施例の試料1b、2b、3bと従来例1にお
ける水熱反応の経過時間とCECとの関係を示す図であ
る。
ける水熱反応の経過時間とCECとの関係を示す図であ
る。
2 製造装置
4 第1の処理手段
6 容器
10 混合手段
14 加熱手段
16 配管
18 バルブ
24 第2の処理手段
26 容器
30 混合手段
34 加熱手段
44 希釈手段
46 希釈用液の貯留手段
50 配管
52 バルブ
64 固液分離手段
84 洗浄手段
104 乾燥手段
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 伊藤 禎保
愛知県名古屋市港区新茶屋五丁目3011番
地 株式会社吉田鉄工所内
(56)参考文献 特開 平2−14811(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C01B 39/00 - 39/54
B01J 29/00
B01J 20/18
JICSTファイル(JOIS)
Claims (16)
- 【請求項1】ゼオライトの製造方法であって、以下の工
程: (a) 焼却灰と第1のアルカリ溶液とを加熱・混合
し、スラリー状の処理物を調製する工程、及び (b) 前記工程で得られたスラリー状処理物に水及び
/又はアルカリ溶液を供給し、前記焼却灰と前記第1の
アルカリ溶液よりも低い濃度の第2のアルカリ溶液との
反応用組成物を調製し、この反応用組成物を加熱して前
記焼却灰とアルカリとを反応させる工程、を備える、方
法。 - 【請求項2】前記(a)工程における加熱温度は100
℃未満である、請求項1記載の方法。 - 【請求項3】前記(b)工程における加熱温度は100
℃未満である、請求項1又は2に記載の方法。 - 【請求項4】前記(b)工程における反応用組成物中
に、ケイ素あるいはケイ素供給体を含有する、請求項1
〜3のいずれかに記載の方法。 - 【請求項5】前記第2の濃度のアルカリ溶液においてケ
イ素として3g/l以上の濃度となっている、請求項4
記載の方法。 - 【請求項6】前記(a)工程における混合物における焼
却灰に対するアルカリの供給量は、当該焼却灰をアルカ
リと反応させてゼオライトを得る際のアルカリ消費量に
相当する量とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方
法。 - 【請求項7】前記第1のアルカリ溶液のアルカリ濃度
は、12wt%以上36wt%以下である、請求項1〜
6のいずれかに記載の方法。 - 【請求項8】前記(a)工程における焼却灰と第1アル
カリ溶液とは、焼却灰:固形換算アルカリ分の重量比が
100:10〜20となるように配合する、請求項1〜
7のいずれかに記載の方法。 - 【請求項9】前記(b)工程において、前記処理物に供
給されるアルカリ溶液のアルカリ濃度は、3.5wt%
以上10.5wt%以下である、請求項1〜8のいずれ
かに記載の方法。 - 【請求項10】前記(b)工程における反応用組成物に
おける焼却灰濃度は15wt%以上30wt%以下であ
る、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。 - 【請求項11】前記(a)工程で得られた混練物を、連
続的に前記(b)工程に供給する、請求項1〜10のい
ずれかに記載の方法。 - 【請求項12】ゼオライトを得るための焼却灰の前処理
方法であって、 焼却灰と12wt%以上36wt%以下の濃度のアルカ
リ溶液とを加熱・混合してスラリー状の処理物を調製す
る工程、を備える方法。 - 【請求項13】前記焼却灰は、石炭灰である、請求項1
〜12のいずれかに記載の方法。 - 【請求項14】ゼオライトの製造装置であって、 焼却灰とアルカリ溶液とを100℃未満の温度で混合し
ながら加熱する、1あるいは2以上の処理手段と、 前記処理手段のいずれかに水及び/又はアルカリ溶液を
供給して混合物における前記アルカリ濃度を低下させる
希釈手段、とを備える、装置。 - 【請求項15】前記処理手段は、焼却灰と第1のアルカ
リ溶液とを混合しながら加熱する第1の処理手段と、前
記混合手段のうち少なくとも一つは、焼却灰と前記第1
のアルカリ溶液よりも濃度の低い第2の濃度のアルカリ
溶液とを加熱しながら混合する第2の混合手段とを備
え、 前記希釈手段は、前記第2の処理手段に対して、水及び
/又はアルカリ溶液を供給する、請求項14記載の装
置。 - 【請求項16】さらに、前記処理手段において得られる
処理物を固液分離する手段と、 固液分離後の液体を前記希釈手段に備えられる貯留槽に
供給する手段、とを備える、請求項14又は15に記載
の装置。
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JP2002194946A JP3406592B1 (ja) | 2002-07-03 | 2002-07-03 | ゼオライトの製造方法及び装置 |
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CN113857201A (zh) * | 2021-09-01 | 2021-12-31 | 四川轻化工大学 | 一种流水线形式的酒糟综合处理系统 |
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2002
- 2002-07-03 JP JP2002194946A patent/JP3406592B1/ja not_active Expired - Fee Related
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