JP4118660B2 - トリガプローブおよびトリガプローブの組立て方法 - Google Patents
トリガプローブおよびトリガプローブの組立て方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トリガプローブに関するものであり、該トリガプローブは通常、計測機械に利用され、プローブのスタイラスと計測すべき部品との間の接触を検出するのに使用されるものである。本発明は、このようなプローブの組立て方法にも関するものである。
【0002】
トリガプローブは、電気機械的な、計測用エレメントであり、該エレメントは、その利用に限られるものではなく、機械的な部品の生産ラインにおいて、例えば生産機械の調整や品質の検査のために広く利用されている。該トリガプローブは、寸法の正確な審査、あるいは表面や生産ロットの規格合致性の検査に使用される。
【0003】
【従来の技術】
トリガプローブは通常、計測機械の可動アームに固定されており、その位置は例えば容量性、誘導性、磁気性、またはオプトエレクトロニクスなどの計測システムを使って正確に測定されている。計測機械のアームは、プローブのスタイラスが部品あるいは計測すべき表面と接触するまで、定められた軌道に従って空間において位置を変えられる。接触の際、計測用の偏向力は、スタイラスに押し当てられ、このように、スタイラスはその最初の静止位置から離れる。検出用電気回路は、このとき閉じているかあるいは開いており、また信号は一般的に、一方では例えば光信号の形で利用者に、他方では計測機械のソフトウェアに送られるが、該計測機械は、このように計測システムのデータを使って、与えられた座標系における接触点の座標を測定するものである。ソフトウェアは、つぎに二つの計測点間の距離を計算すること、そして特定の場合においては、計測すべき物体を一連の計測点を使って二次元または三次元で表すことを可能にする。
【0004】
他の実施例において、トリガプローブは、表面や生産ロットの規格合致性の検査に使用される。プローブは、不動のエレメントに固定されており、表面や一連の部品は、スタイラスにそっと触れる仕方でプローブの前に次々と続く。もし表面が不ぞろいであったりあるいは部品が規格内の寸法でないならば、プローブのスタイラスは、スタイラスをその静止位置から離れる力を受けることになり、このように、プローブの検出用電気回路により発信される信号は変更されることになる。
【0005】
トリガプローブの主要なエレメントは、通常は、固定子、スタイラス、および検出用電気回路である。
【0006】
固定子は、固定用エレメントに対して固定しており、この固定用エレメントは一般的に、プローブのケースに組み入れられており、プローブを例えば計測機械の可動アームに固定することを可能にするものである。
【0007】
スタイラスは力学的なエレメントであり、計測すべき表面または部品と接触することを目的としている。スタイラスは、弾性のエレメントにより、固定子に対する静止位置において保持される。この静止位置は、定められており、かつ再現可能である。スタイラスは、単数または複数の自由度を固定子に対し有している。計測すべき表面との接触の際、計測用の偏向力はスタイラスにかかるが、該スタイラスは、固定子に対する単数または複数のそれらの自由度に応じて、その静止位置から離れる。力がスタイラスに押し当てられなくなると、スタイラスはその静止位置に戻る。
【0008】
検出用電気回路は、スタイラスのその静止位置に対する動きの検出に使用される。検出用電気回路は、少なくとも一つのスイッチを有し、該スイッチは、一定の場合においてスタイラスが静止位置にあるときに閉じるかもしくは開くの状態にあり、スタイラスがこの静止位置に対し偏向状態のとき、その逆の状態であるものである。検出用電気回路のインピーダンスの変化は、信号の処理回路により検出されて処理されるが、該信号の処理回路は、そのあとで情報を利用者に、もしくは必要があれば計算ソフトウェアに伝達するものであり、該計算ソフトウェアは、情報を計測システムのデータと組合わせて処理することとなるものである。
【0009】
スタイラスと計測すべき表面または部品との間の接触を検出する精度と速さは、大部分は検出用電気回路のインピーダンスの変化が信号の処理回路により検出され、かつ処理される精度および速さによる。それはしかし、プローブの各エレメントの製法の品質、それらの組立ての精度、および、かつてのそれらの管理にもよる。
【0010】
したがって、スイッチのコンタクトエレメントの位置決めと固定が、この精度においてきわめて重要な役割を果たしていることが容易に理解できることとなる。
【0011】
コンタクトエレメントは、一般に導電性の球体エレメントから成り、該エレメントの固定子の支えへの配置は、時間がかかる緻密な作業であり、それゆえコスト高になる。
【0012】
特許文献1(米国特許第4,270,275号明細書)は、例えば一つのトリガプローブを提案しているが、ここにおいて、スイッチのコンタクトエレメントは、接着された導電性材料の球体から成り、例えばエポキシ樹脂を使って固定子の収納部においてなされている。検出用電気回路を補う接続用エレメントは、スイッチを直列で接続する柔軟な導体である。この特許文献1は、接触がどのような仕方で球体と柔軟な導体の間で確実になるかを明確にしていない。柔軟な導体が、組立ての前に球体にはんだ付けまたは接着される場合には、組立ての操作の際に球体から離れたりまたは壊れるおそれがあるし、また、球体と柔軟な導体の間との固定点が、作業の終わりに正しく方向づけられていることを保証するのは難しい。さらに、銅線の堅い金属球体へのはんだ付けは困難で、接着はあまり頼りにならない。もし線が、単純に接着剤に包まれて球体と接触が保たれるなら、接触の品質は保証するのが困難であるし、また、柔軟な線は、使っているうちに壊れたりそれらの収納部から離れ、このように、球体との接触を失う可能性がある。したがって、検討される解決法がどうであろうと、それは作業もしくは緻密な作業の連続であり、プローブの価格を大幅に上げるものである。
【0013】
特許文献2(米国特許第6,275,053号明細書)は、固定子において定められた奥行きの収納部に挿入され、そしてトリガプローブのケースによりこれら収納部内に保持される球体から成るコンタクトエレメントを提案することによって、これらの問題を改善しようとしている。このように構成されるスイッチは、球体とケースの間に押し込まれるフレキシブルな接続用エレメントにより直列に接続される。しかしながら、このような実施には、いくつも重大な不都合がある。
【0014】
まず初めに、球体の収納部は複雑な形をしているが、それは球体の収納部は、球体を位置に保持するのに十分な程に閉じ、かつ、球体が接触されるに十分な程に開いていなければならないからであり、この接触は、一方ではスタイラスが静止位置にあるときにスイッチを閉じる導電性エレメントにより、他方では検出用電気回路を補うフレキシブルな接続用エレメントによるものである。収納部の寸法、とりわけそれらの奥行きは、収納部への取付けの後、球体がそのケースにおいて動けなくなるように、また、球体が十分な圧力を及ぼしてフレキシブルな接続用エレメントとの良好な接触を確立するように、十分に精密である必要もある。これらの理由により、この特許文献2において様々な実施例に従って記述されたようなプローブの固定子の製法は、コストがかかり緻密である。
【0015】
このようなプローブの組立ても同様に緻密な作業である、というのは検出用電気回路の全てのエレメントが、該回路が正しく構成され機能的であるために、正確に一直線上に並べられなければならないからである。
【0016】
さらに、球体とフレキシブルな接続用エレメントとの間の接触が単なる圧力により実現されており、球体および/または接続用エレメントは、経時的にそれらの接触点で酸化する傾向をもつようになり、それに伴い検出用電気回路のインピーダンスは変更され、ついにプローブの良好な働きを妨げるまでになる。
【0017】
【特許文献1】
米国特許第4,270,275号明細書
【特許文献2】
米国特許第6,275,053号明細書
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、トリガプローブにおいて、コンタクトエレメントの電気接触と位置決めを、より精密確実にするとともに、その組立作業にかかる経済性を図ることを課題とするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明では以下の各手段を提案するものである。
第1には、計測すべき表面への計測用偏向力による接触を検出するためのトリガプローブであって、一つの固定子と一つのスタイラスと一つの案内子と六つの接続用エレメントと六つのコンタクトエレメントと前記計測用偏向力によって導かれる三つのピンと検出用電気回路とを含み、
前記固定子は、少なくとも表面は電気絶縁されており、
前記スタイラスは前記固定子に対し、静止位置において弾性要素により保持されるものであり、前記静止位置は反復性があることができ、前記スタイラスは前記静止位置から前記計測用偏向力に対応して移動すること、および、前記計測用偏向力が押し当てられなくなると前記静止位置に戻ることができ、
前記案内子は、電気絶縁材料で製作されて前記固定子の内部に配設され、前記六つの接続用エレメントを保持し、かつ、前記スタイラスを案内し、
前記六つのコンタクトエレメントが、導電体で前記固定子に対して該固定子内部の収納部に整列されるとともに、前記三つのピンが、前記スタイラスに対して整列され、前記静止位置において前記六つのコンタクトエレメントが、前記三つのピンによって二つのコンタクトエレメントごとに互いに接触するようになり、
前記検出用電気回路が、その中で、前記六つの接触点が、前記接続用エレメントと導体とを介して電気的に直列接続される三つのスイッチを閉じ、該三つのスイッチが、前記スタイラスが前記静止位置にあるときには閉じまたは開きの状態にあり、また、前記スタイラスが前記静止位置に対して偏向であるときには、逆の状態にあり、前記スイッチが前記コンタクトエレメントを含み、前記コンタクトエレメントが前記接続用エレメントに連結しているものであり、
前記接続用エレメントが剛体金属製ロッドであって、前記固定子に対して整列されるとともにそれぞれ少なくとも一つの前記コンタクトエレメントと連結しており、該コンタクトエレメントが、金属製の球を有することを特徴とする、トリガプローブを提案し、
第2には、前記接続用エレメントが、前記コンタクトエレメントにはんだ付けもしくは蝋付けされていることを提案し、
第3には、前記接続用エレメントおよび前記コンタクトエレメントが、同一部材で構成されることを提案し、
第4には、前記検出用電気回路が、前記接続用エレメントにはんだ付けされた柔軟な電気の導体によって補い合い完成するものとなることを提案し、
第5には、前記検出用電気回路が、前記接続用エレメントに対する圧力により印加される導電性の材料のばねにより補い合い完成するものとなることを提案し、
第6には、前記接続用エレメントが、該接続用エレメントの端のそれぞれと連結するコンタクトエレメントを含むことを提案し、
第7には、計測すべき表面への計測用偏向力による接触を検出するためのトリガプローブであって、一つの固定子と一つのスタイラスと一つの案内子と六つの接続用エレメントと六つのコンタクトエレメントと前記計測用偏向力によって導かれる三つのピンと検出用電気回路とを含み、
前記固定子は、少なくとも表面は電気絶縁されており、
前記スタイラスは前記固定子に対し、静止位置において弾性要素により保持されるものであり、前記静止位置は反復性があることができ、前記スタイラスは前記静止位置から前記計測用偏向力に対応して移動すること、および、前記計測用偏向力が押し当てられなくなると前記静止位置に戻ることができ、
前記案内子は、電気絶縁材料で製作されて前記固定子の内部に配設され、前記六つの接続用エレメントを保持し、かつ、前記スタイラスを案内し、
前記六つのコンタクトエレメントが、導電体で前記固定子に対して該固定子内部の収納部に整列されるとともに、前記三つのピンが、前記スタイラスに対して整列され、前記静止位置において前記六つのコンタクトエレメントが、前記三つのピンによって二つのコンタクトエレメントごとに互いに接触するようになり、
前記検出用電気回路が、その中で、前記六つの接触点が、前記接続用エレメントと導体とを介して電気的に直列接続される三つのスイッチを閉じ、該三つのスイッチが、前記スタイラスが前記静止位置にあるときには閉じまたは開きの状態にあり、また、前記スタイラスが前記静止位置に対して偏向であるときには、逆の状態にあり、前記スイッチが前記コンタクトエレメントを含み、前記コンタクトエレメントが前記接続用エレメントに連結しているものであり、
前記接続用エレメントが剛体金属製ロッドであって、前記固定子に対して整列されるとともにそれぞれ少なくとも一つの前記コンタクトエレメントと連結しており、該コンタクトエレメントが、金属製の球を有するトリガプローブの組立て方法であって、
固定子に少なくとも一つのコンタクトエレメントを、電気回路の接続用エレメントを使って配置することの過程を含むことを特徴とする、トリガプローブの組立て方法を提案し、
第8には、前項の組立て方法において、コンタクトエレメントの前記配置が、取付け工 具を使って行われ、該取付け工具は前記接続用エレメントを、前記コンタクトエレメントを前記収納部に挿入することを可能にする位置において保持するものであることを提案するものである。
【0020】
なお、本発明の各手段の要点は、以下のとおりである。
第1の手段として、
プローブであり、
固定子(1);
スタイラス(2)を含み、該スタイラスは前記固定子に対し、静止位置において弾性のエレメントにより保持されるものであり、前記静止位置は反復性があることができ、前記スタイラス(2)は前記静止位置から計測用の偏向力に対応して移動すること、および、前記力が押し当てられなくなると前記静止位置に戻ることができ;
検出用電気回路が、少なくとも一つのスイッチおよび接続用エレメント(4)を、前記少なくとも一つのスイッチとして統合され、前記少なくとも一つのスイッチが、前記スタイラス(2)が前記静止位置にあるときには閉じまたは開きの状態にあり、また、前記スタイラス(2)が前記静止位置に対して偏向状態であるときには、逆の状態にあり、前記少なくとも一つのスイッチがコンタクトエレメント(3)を含み、少なくとも一つの前記コンタクトエレメント(3)が少なくとも一つの前記接続用エレメント(4)に連結されたものである、
前記少なくとも一つの接続用エレメント(4)が剛体であることを特徴とする、プローブを提案するものである。
【0021】
第2の手段として、第1の手段に加えて、
少なくとも一つの前記スイッチが、二つのコンタクトエレメント(3)を含み、該二つのコンタクトエレメントは、それらを他のスイッチのコンタクトエレメント(3)に、電気的に接続するためにそれぞれ一つの剛体の接続用エレメント(4)につながっている、プローブを提案するものである。
【0022】
第3の手段として、第1の手段に加えて、
前記少なくとも一つの接続用エレメント(4)が、前記少なくとも一つのコンタクトエレメント(3)に、金属接合、すなわちはんだ付けもしくは蝋付けされている、プローブを提案するものである。
【0023】
第4の手段として、第2の手段に加えて、
前記少なくとも一つの接続用エレメント(4)および前記少なくとも一つのコンタクトエレメント(3)が、同じ部品の二つの部分を構成する、プローブを提案するものである。
【0024】
第5の手段として、第2の手段に加えて、
前記少なくとも一つの接続用エレメント(4)が、剛体の金属製棒から成る、プローブを提案するものである。
【0025】
第6の手段として、第5の手段に加えて、
前記検出用電気回路が、前記接続用エレメント(4)にはんだ付けされた柔軟な電気の導体(5)によって補い合って完成されたものとなる、プローブを提案するものである。
【0026】
第7の手段として、第5の手段に加えて、
前記検出用電気回路が、前記接続用エレメント(4)に対する圧力により印加される導電性の材料のばねにより補い合って完成されたものとなる、プローブを提案するものである。
【0027】
第8の手段として、第1の手段に加えて、
前記少なくとも一つの接続用エレメント(4)が、該接続用エレメントの端のそれぞれと連結された一つのコンタクトエレメント(3)を含む、プローブを提案するものである。
【0028】
第9の手段として、
プローブの組立て方法であり、以下の過程を含む方法:
固定子(1)に、少なくとも一つのコンタクトエレメント(3)を、検出用電気回路の少なくとも一つの接続用エレメント(4)を使って配置することを提案するものである。
【0029】
第10の手段として、第9の手段に加えて
少なくとも一つのコンタクトエレメント(3)の前記配置が、取付け工具を使って行われ、該取付け工具は少なくとも一つの接続用エレメント(4)を、少なくとも一つのコンタクトエレメント(3)をその収納部に挿入することを可能にする位置において保持するものである、プローブの組立て方法を提案するものである。
【0030】
【実施例】
本発明は、例として与えられる付属の図面により説明される詳細な説明を読むことにより、更に理解されるであろう。
【0031】
図1は、本発明で推奨される実施例の主要なエレメントの図を表している。
【0032】
図2は、軸I−Iにそった、図1の断面図を表している。
【0033】
図3は、軸II―IIにそった、図1の断面図を表している。
【0034】
図4は、軸III−IIIにそった、図1の断面図を表している。
【0035】
図5は、プローブの検出用電気回路の原理の概要図を表している。
【0036】
本発明の推奨実施例は、Boysの結合の原理に基づいて製造されたトリガプローブであり、該スタイラス2が外側の偏向力の作用により、与えられた座標系の三次元において、その静止位置から向きを変えることができるものである。
【0037】
このようなトリガプローブは、スタイラス2と、スタイラスの支持体20と、ケースの一部を成す固定子1と、保持機構22と、案内子6と、検出用電気回路(図5)との主要なエレメントを有している。
【0038】
スタイラス2は、軸に従って延び、かつ球体により終端される部品から成り、該球体の幾何学的中心の位置は完全に反復性がある。
【0039】
スタイラス支持体20は、スタイラス2を支えることを目的としている。スタイラス2は、スタイラス支持体にねじ留めされており、したがって、応用例に応じてまたは損傷の場合には容易に替えることができる。スタイラス支持体20は、同様に軸の周りに幾何学的に製造されており、そしてスタイラス2がスタイラス支持体20にねじ留めされているとき、二つの部分の軸は一直線上にある。スタイラス支持体20は導電性材料のピン21を三つ含んでおり、それらのピンは間で互いに絶縁されている。三つのピン21は、スタイラス支持体20の軸に垂直な穴に固定されており、また、その円周上に規則的な間隔で並べられる。第一の実施例において、スタイラス支持体20は絶縁材料で製造されており、三つのピン21の間での互いの絶縁を導いている。第二の実施例において、スタイラス支持体20は、例えばアルミニウムのような導電性の材料で製造され、各ピン21は、スタイラス支持体20の陽極酸化処理により、または、各ピンの固定の前あるいはその時に絶縁材料を付加することにより絶縁される。
【0040】
固定子1は、固定用エレメント11に対して固定されているが、それにより、プローブを、例えば計測機械の可動アームに固定することが可能となっている。このように、固定子1の位置は、固定用エレメントに、広義では例えば計測機械の可動アームに、相対的に固定されている。固定子1は六つの収納部を含み、該六つの収納部は、それぞれが一つずつのコンタクトエレメント3を受けることを目的としている。スタイラスのもっとも小さい運きを迅速に検出するために、これらの六つの収納部は、スタイラス2の球体23のできるだけ近くに位置しており、したがって、距離dを小さくする。製造の精度の理由から、固定子1は、好ましくはアルミニウムで製造されており、それに加え、コンタクトエレメント間に良好な電気の絶縁を保証するために陽極酸化処理されている。
【0041】
保持機構22は、ばね220からなるが、該ばねは一方の側でわずかに応力を受けてふた222を押し、もう一方は、スタイラス支持体20の中心を押す円錐体221で終端されており、このことにより、スタイラス支持体の中心の心出しをし、その静止位置に保持することを可能にしている。ばね220の応力は、ねじ224を使って調整することができるが、このねじはふた63に対するふた222の位置を変更することを可能にするものである。
【0042】
案内子6は、絶縁材料で作られる。案内子6は本来円筒形であり、スタイラス支持体20および保持機構22を収めることを可能にするが、該保持機構は、スタイラス2をその静止位置に保持するのに役立つものである。三つの切欠部61は、案内子6の周囲において分配されるが、それはスタイラス支持体20のピン21を収め、また、スタイラス2への計測用の偏向力の押し当ての際のピンの運きを導くためである。各切欠部61の各側には、穴60があり、この穴は、接続用エレメント4の収納のために準備されたものである。
【0043】
トリガプローブの検出用電気回路は、電気的に直列で取付けられた六つの接触点を含む。これらの六つの接触点は、三つのスイッチとして見ることができ、それは図5において表されている通りであり、Boysの結合の原理として、知られている。それぞれが二つのコンタクトエレメント3および一つの接触器を含み、該接触器は、本発明の推奨実施例において、スタイラス支持体20のピン21のうちの一つにより具体化されるものである。スイッチは、図5の概要に従って、剛体の接続用エレメント4および柔軟な導体5により、その間で互いにつながっている。スイッチのコンタクトエレメント3は、金属製の球体である。各コンタクトエレメント3は、接続用エレメント4にはんだ付けされるが、該接続用エレメントは、剛体の、また場合によってコンタクトエレメント3の近くでわずかにL字型に曲げられる金属製の棒で形成されるものである。コンタクトエレメント3への接続用エレメント4のはんだ付けは、好ましくは蝋付け、すなわち火炎で溶解する溶接棒を使ってなされるが、その溶解点は、組み立てるべきエレメントの溶解点より低いものである。コンタクトエレメント3および接続用エレメント4は、ただ一度の作業で加工された部品の二つの部分であることもできる。
【0044】
プローブの組立ての際、ごく少量の接着剤、例えばエポキシ樹脂が各コンタクトエレメント3の収納部(図1の下部両側の凹部)のそれぞれに置かれる。各コンタクトエレメント3にはんだ付けされた各接続用エレメント4は、図示されていない取付け工具に保持されるが、該取付け工具は、案内子6の製造に類似した製造のものである。取付け工具は、案内子6の穴60と同じ仕方で置かれる円筒形の収納部を含む。接続用エレメント4は、これらの収納部に挿入されて保持され、このようにコンタクトエレメント3の位置が決定する。取付け工具は、つぎに固定子1の中に差し込むことで、各コンタクトエレメント3を固定子1の収納部に導き、そしてそこに接着剤が完全に乾くまで保持するようにする。取付け工具は、このように剛体の接続用エレメント4のおかげで、六つのコンタクトエレメントを同時に接着する際の案内および保持を可能にする。球体の位置は、このように正確に収納部によって定義される。仮のピンは、最終的なピン21に類似しており、接着の間、利用することができる。
【0045】
接着剤が一旦乾くと、取付け工具は取り去られる。スタイラス支持体20は、案内子6に挿入されるが、スタイラス支持体20の位置は、切欠部61におけるピン21の配置により決定されている。案内子6はつぎに、取付け用部品の所定の位置に置かれるが、接続用エレメント4は、したがって穴60の中に挿入されている。検出用電気回路は、柔軟な導体5の、接続用エレメント4の端へのはんだ付けにより補われているが、該エレメントの端は、図5の概略図によるとコンタクトエレメント3の反対側にある。つぎに、保持機構22は、スタイラス支持体20にねじを押し当て、案内子6のふたを閉めることにより取付けられる。ばね220の応力は、ねじ224により調整される。最後に、組立ては、ケース10の最上部のねじ留めにより仕上がる。
【0046】
スタイラス2が静止位置にあるとき、三つの各ピン21は、それぞれは二つのコンタクトエレメント3と接触しており、該二つのコンタクトエレメントは中でピンが移動することができる切欠部61を一部ふさいでおり、この切欠部ごとに各スイッチが閉じられることになり、したがって検出用電気回路は閉じられる。
【0047】
スタイラス2へ計測用の偏向力を押し当てる場合、スタイラスはその静止位置から外れ、このことにより、スタイラス支持体20の三つのピン21の少なくとも一つが、切欠部61の中で移動するという結果がもたらされ、該切欠部は、該ピンにとって案内の役目を果たし、また対応するコンタクトエレメント3から離れるものである、このように、少なくとも一つのスイッチが開かれる。検出用電気回路はそのとき開かれており、信号処理回路7により検出され処理される。
【0048】
計測用の偏向力がスタイラス2に最早かかっていないとき、スタイラスは保持機構22の作用によりその静止位置に戻り、このように全てのスイッチが元のように閉じられる。検出用電気回路は、改めて閉じられる。
【0049】
第二の実施例において、柔軟な導体5は、図示されていないフレキシブルな導体に替えられるが、該フレキシブルな導体は、接続用エレメントの端に対して圧力により印加され、また、ケース10の最上部により位置に保持されるものである。
【0050】
第三の実施例において、隣接した二つのスイッチ間の接続は、ただ一つの剛体の接続用エレメントにより確実になっており、該剛体の接続用エレメントは、両端のそれぞれに、つながれるスイッチのうちの一つのためのコンタクトエレメントを持っている。該実施例は、柔軟な導体5のはんだ付けを避け、したがって組立てに必要な作業の数が減らされる。
【0051】
本発明によるプローブの組立ての際、コンタクトエレメント3の位置決めおよび固定は、接続用エレメント4が剛性であることでより大いに容易になっているが、該接続用エレメントは、適合した取付け工具が、コンタクトエレメントを固定子1のそれらの収納部に容易に置くことを可能にするものであって、これは、これらの収納部が固定子1の奥のその位置により容易に手が届かない場合でも同様である。
【0052】
検出用電気回路の全てのエレメントは、スイッチを開閉するピン21は別にして、その間で互いにはんだ付けしている。したがって、検出用電気回路の品質の悪化をまねく接触点での酸化のおそれは取り除かれ、このことにより、このようなプローブの寿命は長くなる。
【0053】
上記の実施例は全て、三次元のトリガプローブを説明している。しかしながら当業者は、本発明の原理が、二次元または一次元のトリガプローブにも適用することができることを理解するだろう。
【0054】
本発明の他の実施例において、トリガプローブは検出用電気回路を持っているが、そのスイッチは、電気的に並列に取付けられ、またスタイラスが静止位置にあるとき全て開いているものである。スタイラスが計測用の偏向力の作用によりその静止位置から外れているとき、スイッチの少なくとも一つは閉じ、このように検出用電気回路のインピーダンスが変えられる。
【0055】
【発明の効果】
本発明は、以上述べたようなトリガプローブおよびリガプローブの組立て方法を提案するが、検出用電気回路を構成する剛体の特定の接続用エレメントが、スイッチのコンタクトエレメントと直接連結され、これらのコンタクトエレメントの位置決めに関与するという理由で、その組立てを大いに容易にするものである。組立ての際、コンタクトエレメントは接続用エレメントを使って取付け工具において保持され、このようにそれらの位置決めとそれらの固定がただ一度の作業で可能にする。本発明により提案されるプローブは、コンタクトエレメントが接続用エレメントに、はんだ付けされることで、接触点での酸化の問題も避けている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るトリガプローブの推奨実施例の主要な要素の図を表している。
【図2】 軸I−Iに従った、図1の断面図を表している。
【図3】 軸II−IIに従った、図1の断面図を表している。
【図4】 軸III−IIIに従った、図1の断面図を表している。
【図5】 本発明に係るプローブの検出用電気回路の原理の概要を表している。
【符号の説明】
1.固定子 2.スタイラス 3.コンタクトエレメント
4.接続用エレメント 5.導体 6.案内子
7.信号処理回路
10.ケース 11.固定用エレメント 20.スタイラス支持体
21.ピン 22.保持機構 23.球体
60.穴、開口部 61.切欠部 63.ふた
220.ばね 221.円錐体 222.ふた 224.ねじ
Claims (8)
- 計測すべき表面への計測用偏向力による接触を検出するためのトリガプローブであって、一つの固定子と一つのスタイラスと一つの案内子と六つの接続用エレメントと六つのコンタクトエレメントと前記計測用偏向力によって導かれる三つのピンと検出用電気回路とを含み、
前記固定子は、少なくとも表面は電気絶縁されており、
前記スタイラスは前記固定子に対し、静止位置において弾性要素により保持されるものであり、前記静止位置は反復性があることができ、前記スタイラスは前記静止位置から前記計測用偏向力に対応して移動すること、および、前記計測用偏向力が押し当てられなくなると前記静止位置に戻ることができ、
前記案内子は、電気絶縁材料で製作されて前記固定子の内部に配設され、前記六つの接続用エレメントを保持し、かつ、前記スタイラスを案内し、
前記六つのコンタクトエレメントが、導電体で前記固定子に対して該固定子内部の収納部に整列されるとともに、前記三つのピンが、前記スタイラスに対して整列され、前記静止位置において前記六つのコンタクトエレメントが、前記三つのピンによって二つのコンタクトエレメントごとに互いに接触するようになり、
前記検出用電気回路が、その中で、前記六つの接触点が、前記接続用エレメントと導体とを介して電気的に直列接続される三つのスイッチを閉じ、該三つのスイッチが、前記スタイラスが前記静止位置にあるときには閉じまたは開きの状態にあり、また、前記スタイラスが前記静止位置に対して偏向であるときには、逆の状態にあり、前記スイッチが前記コンタクトエレメントを含み、前記コンタクトエレメントが前記接続用エレメントに連結しているものであり、
前記接続用エレメントが剛体金属製ロッドであって、前記固定子に対して整列されるとともにそれぞれ少なくとも一つの前記コンタクトエレメントと連結しており、該コンタクトエレメントが、金属製の球を有することを特徴とする、トリガプローブ。 - 前記接続用エレメントが、前記コンタクトエレメントにはんだ付けもしくは蝋付けされている、請求項1に記載のトリガプローブ。
- 前記接続用エレメントおよび前記コンタクトエレメントが、同一部材で構成される、請求項1に記載のトリガプローブ。
- 前記検出用電気回路が、前記接続用エレメントにはんだ付けされた柔軟な電気の導体によって補い合い完成するものとなる、請求項1に記載のトリガプローブ。
- 前記検出用電気回路が、前記接続用エレメントに対する圧力により印加される導電性の材料のばねにより補い合い完成するものとなる、請求項1に記載のトリガプローブ。
- 前記接続用エレメントが、該接続用エレメントの端のそれぞれと連結するコンタクトエレメントを含む、請求項1に記載のトリガプローブ。
- 計測すべき表面への計測用偏向力による接触を検出するためのトリガプローブであって、一つの固定子と一つのスタイラスと一つの案内子と六つの接続用エレメントと六つのコンタクトエレメントと前記計測用偏向力によって導かれる三つのピンと検出用電気回路とを含み、
前記固定子は、少なくとも表面は電気絶縁されており、
前記スタイラスは前記固定子に対し、静止位置において弾性要素により保持されるものであり、前記静止位置は反復性があることができ、前記スタイラスは前記静止位置から前記計測用偏向力に対応して移動すること、および、前記計測用偏向力が押し当てられなくなると前記静止位置に戻ることができ、
前記案内子は、電気絶縁材料で製作されて前記固定子の内部に配設され、前記六つの接続用エレメントを保持し、かつ、前記スタイラスを案内し、
前記六つのコンタクトエレメントが、導電体で前記固定子に対して該固定子内部の収納部に整列されるとともに、前記三つのピンが、前記スタイラスに対して整列され、前記静止位置において前記六つのコンタクトエレメントが、前記三つのピンによって二つのコンタクトエレメントごとに互いに接触するようになり、
前記検出用電気回路が、その中で、前記六つの接触点が、前記接続用エレメントと導体とを介して電気的に直列接続される三つのスイッチを閉じ、該三つのスイッチが、前記スタイラスが前記静止位置にあるときには閉じまたは開きの状態にあり、また、前記スタイラスが前記静止位置に対して偏向であるときには、逆の状態にあり、前記スイッチが前記コンタクトエレメントを含み、前記コンタクトエレメントが前記接続用エレメントに連結しているものであり、
前記接続用エレメントが剛体金属製ロッドであって、前記固定子に対して整列されるとともにそれぞれ少なくとも一つの前記コンタクトエレメントと連結しており、該コンタクトエレメントが、金属製の球を有するトリガプローブの組立て方法であって、
固定子に少なくとも一つのコンタクトエレメントを、電気回路の接続用エレメントを使って配置することの過程を含むことを特徴とする、トリガプローブの組立て方法。 - コンタクトエレメントの前記配置が、取付け工具を使って行われ、該取付け工具は前記接続用エレメントを、前記コンタクトエレメントを前記収納部に挿入することを可能にする位置において保持するものである、請求項7に記載のトリガプローブの組立て方法。
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