JP4118416B2 - 車両用シートの上下動サスペンション装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用シートの上下動サスペンション装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から車両用シートの上下動サスペンション装置に関しては、各種の技術が提案されている。例えば、特開平10−129323号公報に提示されているハイト機構付のサスペンション装置を有する車両用シートを図9に示す。図中(70)はアッパーフレーム(2)の前部を上方に付勢する圧縮コイルバネ、(71)は操作ハンドル(71A)と一体で圧縮コイルバネ(70)の弾性を調節する調節カム、(72)は調節カム(71)を回動自在に支持する固定筒を夫々示す。
【0003】
サスペンション装置を構成するリンクA(30)、リンクB(31)、リンクC(32)、リンクD(33)は、ロアフレーム(2)に対する枢着部を回転中心に起立状に回転してアッパーフレーム(2)が上昇し、夫々前方に倒伏することによりアッパーフレーム(2)が下降する。そして、アッパーフレーム(2)に加わる上下方向の衝撃は、ショックアブソーバ(35)と前記圧縮コイルバネ(70)によって吸収される。
【0004】
そして、ハイト機構の操作ハンドルを回動操作することにより、ピニオンギャを介してラックが前方に移動し、このラックの前方の移動によって連結片が連動して前方に移動して昇降リンクを回動させる。これにより、昇降リンクに連結されている取付ブラケット(4)が上下に移動するため、シートクッション(SC)の高さが高く調節される。
【0005】
操作ハンドルを逆方向に回動操作すると、ラックが後方に移動してシートクッション(SC)の高さが低く調節される。そして、シートクッション(SC)の高さが上、下に調節された状態においても、前記サスペンション装置が有効に作用して、シートクッション(SC)に加わる衝撃を吸収する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記提案技術においては、コイルスプリングを垂直に(または斜めに)設けているから、機構的に高さが必要となるという不都合があった。
【0007】
本発明の目的は、上記課題を解決するためになされたものであり、機構部分の高さが低く、コンパクトな構造でありながら、着座者の体重調整が可能で、上下方向の衝撃を十分吸収させることのできる車両用シートの上下動サスペンション装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、スライドレール組立体と、前側連結部材及び後側連結部材と、前側シャフト及び後側シャフトと、前側シャフト及び後側シャフトの両側に形成された支持部材と、摺動レールと、操作ダイヤルと、ロッドと、付勢手段と、ダンパと、を備えた車両用シートの上下動サスペンション装置であって、前側連結部材及び後側連結部材並びに前側シャフト及び後側シャフトを介して前記スライドレール組立体と摺動レールとを連結し、前記操作ダイヤルとリンク部材を介してロッドと連結し、中央側で軸支され両側で付勢手段と連結されたロッドと、前記付勢手段と係合されると共に連結部材と係合された回転金具と、前記連結部材と前記前側シャフトの支持部材とが連結され、前記操作ダイヤルの回動により前記ロッドを揺動し、付勢手段及び回転金具を介して連結部材により、前記支持部材を上下方向に可動することにより、解決される。
【0009】
このように、本発明によれば、操作部を操作することにより、操作部に連結されたロッドを揺動して水平方向の力を発生させ、この水平方向の力を付勢手段及び回転金具を介して連結部材により上下方向の力に変換し、支持部材を上下方向に可動可能に構成されているので、従来から使用されているギア等の部品を必要とすることなく、より簡易な構成の部品を使用することにより部品組付性及び生産性を向上させることが可能となる。また付勢手段を介して支持部材を上下方向に保持しているので、シートに上下方向の衝撃が加わっても、支持部材にかかる荷重(すなわち着座等による荷重)が直に操作部やロッドにかからず、付勢手段によって緩衝されるため、着座感を良好にできる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の車両用シートの上下動サスペンション装置Sは、スライドレール組立体1と、前側連結部材2及び後側連結部材3と、前側シャフト4及び後側シャフト5と、前側シャフト4及び後側シャフト5の両側に形成された支持部材4a,5aと、摺動レールR1,R2と、操作部としての操作ダイヤル9と、ロッド7と、付勢手段としてのばね部材6と、ダンパ17と、を備えている。
【0011】
スライドレール組立体1と摺動レールR1,R2とは、前側連結部材2及び後側連結部材3並びに前側シャフト4及び後側シャフト5を介して連結されている。また操作ダイヤル9とロッド7とは、リンク部材としてのコ字部材8,第1連結部材14,第2連結部材15を介して連結されており、ロッド7は中央側で軸支され両側でばね部材6と連結されている。
【0012】
回転金具12,13はばね部材6と係合されると共に連結部材10,11と係合され、また連結部材10,11は前側シャフト4の支持部材4aと連結されている。そして操作ダイヤル9の回動によりロッド7を揺動し、ばね部材6及び回転金具12,13を介して連結部材10,11により支持部材4a,5aを上下方向に可動する。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
【0014】
図1乃至図7は本発明の一実施例を示すものであり、図1は上下動サスペンション装置の説明図、図2は上下動サスペンション装置の側部断面図、図3は上下動サスペンション装置の分解説明図、図4は連結部材を示す拡大説明図、図5は前側シャフトの支持片を示す拡大説明図、図6は後側シャフトの支持片を示す拡大説明図、図7はばね部材,ロッド,回転金具を示す拡大説明図である。
本発明の上下動サスペンション装置は、車両用シートのスライドレール組立体1、摺動レールR1,R2、前側連結部材2、後側連結部材3、前側シャフト4、後側シャフト5、ばね部材6、ロッド7、コ字部材8、操作ダイヤル9、連結部材10,11、回転金具12,13、第1連結部材14、第2連結部材15、アーム16、ダンパ17、を主な構成要素としている。
【0015】
スライドレール組立体1は、前方側に位置する枠体1aと、両側に位置する断面略L字状の側部1b,1bと、この側部間に架設される横板材1cとから構成されており、このスライドレール組立体1上に図示しないシートフレーム及びクッション材を載置して、車両用シートとするものである。
【0016】
本例の摺動レールR1,R2は、図示しない車体のフレームに対して固定されており、アッパーレールがロアーレールに対して摺動する構成とし、摺動レールR1,R2に組み付けられた部材を車体に対して前後に移動可能としている。
【0017】
摺動レールR1,R2には、前側連結部材2及び後側連結部材3が組み付けられている。前側連結部材2及び後側連結部材3は、後述する前側シャフト4及び後側シャフト5と連結しており、これら前側連結部材2,後側連結部材3及び前側シャフト4,後側シャフト5を介して、前記スライドレール組立体1と、摺動レールR1,R2とが連結されている。前側連結部材2には、後述するダンパ17を介して後側シャフト5と連結するための突出部2aが形成されている。
【0018】
前側シャフト4は、図2に示すようにスライドレール組立体1をシート前側で支持するためのものであり、前側シャフト4の両端部には、スライドレール組立体1と連結されて、スライドレール組立体1を支持する支持片4aがそれぞれ配設されている。支持片4aには図5に示すように、スライドレール組立体1と連結するためのねじ穴4bと、前側シャフト4と後側シャフト5とを連結するアーム16を配設するためのねじ穴4cと、前側連結部材2と連結するためのねじ穴4dと、後述する連結部材10,11を係合するための係合孔4eと、がそれぞれ形成されている。
【0019】
後側シャフト5は、図2に示すようにスライドレール組立体1をシート後側で支持するためのものであり、後側シャフト5の両端部には、スライドレール組立体1と連結されて、スライドレール組立体1を支持する支持片5aがそれぞれ配設されている。支持片5aには図6に示すように、スライドレール組立体1と連結するためのねじ穴5bと、後側シャフト4と前側シャフト5とを連結するアーム16を配設するためのねじ穴5cと、後側連結部材3と連結するためのねじ穴5dと、がそれぞれ形成されている。
【0020】
付勢手段としてのばね部材6は、図7に示すように、コイル状のばねを巻回して筒状に形成したものであり、両端部にばね端部が延出して、後述するロッド7及び回転金具13に係合可能に構成されている。
またロッド7は、図7に示すように、一方の端部が湾曲した板状体であり、スライドレール組立体1に連結するためのねじ穴7aと、後述する第1連結部材14及び第2連結部材15と連結するためのねじ穴7bと、ばね部材6を係合させる2つの係合孔7cとが形成されている。ばね部材6との係合孔7cのうち一方は、前記湾曲した端部に形成されている。
【0021】
本発明のコ字部材8は、図8に示すように、断面略コ字型に形成され、スライドレール組立体1に組み付けられるものである。コ字部材8は中間に、上下動サスペンション装置を作動させるための操作ダイヤル9のロッド9aを挿入する孔8aを備えている。さらにコ字部材8の上下部分には、第1連結部材14と第2連結部材15の一方の端部がソケット,ワッシャ,カラーを介して取り付けられている。また第1連結部材14と第2連結部材の他方の端部は、前記ロッド7に連結されている。
【0022】
連結部材10,11は、前記前側シャフト4の両端部に設けられた支持片4aと回転金具13とを連結するためのものであり、図4に示すように、縦方向に形成されたU字形の第1の係合部と、この第1の係合部に連続して、横方向に形成されたU字形の第2の係合部とから構成されており、左右対称の形状で一対が使用されている。図4(a)(b)はそれぞれ同一形状の連結部材を示しており、連結部材10の第1の係合部を10aとし、第2の係合部を10bとする。
【0023】
回転金具12,13は、図7に示すように、スライドレール組立体1に回動可能に配設されて、前記ばね部材6と連結部材10,11とに連結され、回動するように構成されている。回転金具12,13のスライドレール組立体1との連結部12a,13aはスライドレール組立体1側に突出するように形成されており、回転金具12,13に係合孔12b,13bを介して連結されたばね部材6や、回転金具12,13に係合孔12c,13cを介して連結された連結部材10,11が動いたときに、スライドレール組立体1に接触しないように構成されている。
【0024】
次に本発明の上下動サスペンション装置の組付け及び作動について説明する。
スライドレール組立体1には、乗務員がシートの高さを調整するための操作ダイヤル9が取り付けられている。この操作ダイヤル9の回動から水平の動きを発生させる水平作動機構をスライドレール組立体1に設ける。水平作動機構は、ばね部材6と、ロッド7と、連結部材10,11とから主に構成されている。
【0025】
操作ダイヤル9は、コ字部材8と、第1連結部材14,第2連結部材15を介してロッド7と連結されている。またロッド7は、スライドレール組立体1にねじ穴7aを介して回動可能に取り付けられている。さらにロッド7には係合孔7cを介して、ばね部材6の端部が係合されている。
【0026】
スライドレール組立体1にはまた、回転金具12,13が取り付けられており、この回転金具12,13には、前記ロッド7に係合された2つのばね部材6の他方の端部が係合されている。さらに回転金具12,13には連結部材10,11が係合している。
【0027】
上記のように構成されているので、操作ダイヤル9を回動させて、操作ダイヤル9の軸9aをスライドレール組立体1側に進入させると、操作ダイヤル9と連結したコ字部材8及び第1連結部材14,第2連結部材15が押し出される。さらに、この第1連結部材14,第2連結部材15と連結されたロッド7が押し出され、ロッド7が回動する。ロッド7が回動することによりばね部材6が図1の矢印方向に押圧され、ばね部材6の押圧力により、回転金具12,13が回動する。
【0028】
次に上記水平作動機構から発生される水平方向の力を垂直方向の力に変換する垂直作動機構について説明する。
垂直作動機構は、連結部材10,11と、前側シャフト4と、後側シャフト5とから主に構成されている。
【0029】
水平作動機構において水平方向に回転する回転金具12,13には、係合孔13cを介して連結部材10,11の一方の係合部が係合されている。図1の図中上部に位置する回転金具12の係合孔12cには、図4(a)(b)に示す連結部材10の第1の係合部10aが係合している。また図1の図中下部に位置する回転金具13の係合孔13cには、図4に示す連結部材10と対称形状に形成された連結部材11が係合している。
【0030】
さらに上記連結部材10の第2の係合部10bと、連結部材11の第2の係合部11bはそれぞれ前側シャフト4の支持片4aに係合している。このように構成されているので、回転金具12,13が水平方向に回動することにより、回転金具12,13に係合した連結部材10,11が作動し、連結部材10,11と係合した前側シャフト4の支持片4aが作動される。
【0031】
また前側シャフト4は前側連結部材2に固定されており、この前側連結部材2は突出部2aにダンパ17が配設されて、このダンパ17を介して後側シャフト5と連結されている。また前側シャフト4と後側シャフト5とはアーム16により連結されている。従って、前側シャフト4の支持片4aが作動することにより、後側シャフト5が前側シャフト4の作動に合わせて回動し、後側シャフト5の支持片5aが作動する。このようにして、前側シャフト4の支持片4a及び後側シャフト5の支持片5aにより、図2に示すようにスライドレール組立体1の上下動がなされる。
【0032】
なお、本発明の車両用シートの上下動サスペンション装置Sは、ばね部材6を配設した構成とされているため、乗務員が車両用シートに着座したときに、このばね部材6が伸縮し、着座時の衝撃を吸収して着座感を向上させることが可能となる。
【0033】
さらにばね部材6は乗務員の体重に応じて伸縮する。これにより、例えば体重の重い乗務員が着座したときには、ばね部材6の初期張力が大きくなる。体重の重い乗務員の場合は、一般的に操作ハンドル9の操作時の力が大きいため、ばね部材6の初期張力を大きくすることにより、操作ハンドル9の過回転を防止することができる。従って操作ハンドル9の微調整が可能となり、好みの高さへ簡単に調整することができる。また体重の軽い乗務員が着座したときには、ばね部材6の初期張力が小さくなり、操作ハンドル9への操作力が小さくても、車両用シートの上下動を楽に行うことができる。
【0034】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、操作ダイヤルを回動させることにより発生する水平方向の力を、連結部材を係合させることにより、垂直方向の力に変換して車両用シートの上下動を行うことができる。また従来から使用されているギア等の部品を必要とすることなく、より簡易な構成の部品を使用することにより部品生産性及び装置の組付性を向上させることが可能となる。
【0035】
また、水平方向の力を上下方向の力に変換する連結部材は、縦方向に形成されたU字形の第1の係合部と、この第1の係合部に連続して、横方向に形成されたU字形の第2の係合部とから構成されているため、配設のためのスペースを大きく取る必要がなく、車両用シート全体を軽量・小型化することができる。
【0036】
さらにばね部材が配設されていることにより、乗務員の着座時における衝撃を吸収するとともに、乗務員の体重に応じて、操作ハンドル操作時に必要となる力を変化させるように構成されているので、乗務員にとって快適、且つ操作性のよい車両用シートの上下動サスペンション装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用シートの上下動サスペンション装置を示す説明図である。
【図2】本発明の車両用シートの上下動サスペンション装置を示す側部断面図である。
【図3】本発明の車両用シートの上下動サスペンション装置を示す分解説明図である。
【図4】連結部材を示す拡大説明図である。
【図5】前側シャフトの支持片を示す拡大説明図である。
【図6】後側シャフトの支持片を示す拡大説明図である。
【図7】ばね部材,ロッド,回転金具を示す拡大説明図である。
【図8】操作ダイヤル,コ字部材,第1連結部材,第2連結部材を示す拡大説明図である。
【図9】従来例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 スライドレール組立体
2 前側連結部材
3 後側連結部材
4 前側シャフト
5 後側シャフト
6 ばね部材
7 ロッド
8 コ字部材
9 操作ダイヤル
10,11 連結部材
12,13 回転金具
14 第1連結部材
15 第2連結部材
16 アーム
17 ダンパ
R1,R2 摺動レール
S 車両用シートの上下動サスペンション装置
Claims (1)
- スライドレール組立体と、前側連結部材及び後側連結部材と、前側シャフト及び後側シャフトと、前側シャフト及び後側シャフトの両側に形成された支持部材と、摺動レールと、操作ダイヤルと、ロッドと、付勢手段と、ダンパと、を備えた車両用シートの上下動サスペンション装置であって、前側連結部材及び後側連結部材並びに前側シャフト及び後側シャフトを介して前記スライドレール組立体と摺動レールとを連結し、前記操作ダイヤルとリンク部材を介してロッドと連結し、
中央側で軸支され両側で付勢手段と連結されたロッドと、
前記付勢手段と係合されると共に連結部材と係合された回転金具と、前記連結部材と前記前側シャフトの支持部材とが連結され、前記操作ダイヤルの回動により前記ロッドを揺動し、付勢手段及び回転金具を介して連結部材により、前記支持部材を上下方向に可動することを特徴とする車両用シートの上下動サスペンション装置。
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1998
- 1998-10-19 JP JP31538698A patent/JP4118416B2/ja not_active Expired - Fee Related
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