JP4117614B2 - 人工毛髪 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、かつら、ヘアピース・エクステンション・ウィッグ等に代表される頭飾製品、理美容室教育用マネキン、人形用毛髪などに用いられる人工毛髪において、天然人毛に近似した風合い、及び機能を有する人工毛髪に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、我が国における社会的要因を反映して、ホルモン性脱毛症、心因性脱毛症、抗ガン剤による脱毛症発症者の低年齢化や増加が進行しており、また、ファッション用途の浸透なども相まって、かつら、ヘアピース・エクステンション・ウィッグ等に代表される頭飾製品の需要は増加の一途を辿っている。また、消費者の趣向の多様化やカリスマ美容師ブームなどに伴い、理美容室教育用マネキンなどの需要も高まっている。
【0003】
これら製品群は、現状、我が国においては黒毛、直毛の天然人毛の使用が一般的になされているが、天然人毛産出国の経済成長、地球規模での環境汚染など諸般の事情から、入手の難化、毛質の低下、及び製品化時の歩留の低下などが起こっており、また、同じ天然人毛を使用する業界同士での原料確保への競合、廃棄時の問題(産業廃棄物扱い、場合によっては供養なども必要)などにより、安定的に入手可能で、しかも天然人毛に近似した風合い、及び機能を有する人工毛髪の開発への期待が大きくなっている。
【0004】
人工毛髪において要求される特性としては、風合い、弾性回復性、親水性、染色・発色性、耐熱性、難燃性、及びデザイニング性などが挙げられるが、これらの特性に以下のような問題がある場合は、使用の機会、期間、及び用途が限定されてしまう。
【0005】
ここで言う風合いとは、ドライ時並びにウェット時の外観(太さ、つや(光沢)、漏れ感など)、触感(滑らかさ、強さ、伸びなど)、櫛通りなどのことを指し、これに難がある場合、一見して人工毛髪であると判定される。弾性回復性とは、印加した力学的外力に対する反発回復性(形態安定性)のことを指し、これに難がある場合、長時間一定応力下に置かれた際、「く」の字型の折り癖が付き易くなり、更に、この癖が捻れ、縮み、白化などの原因となる。親水性とは、水との濡れ感、吸湿・保湿・放湿性のバランスのことを指し、これに難がある場合、入浴時や雨天時、逆にドライヤー乾燥時に、天然人毛と人工毛髪との差が原因となって、頭飾製品全体が浮き上がる、あるいは段状に見える現象が発生し、一見して人工毛髪であると判定されてしまう。染色・発色性とは、染色後の発色性(色合い)のことを指し、天然人毛に近似の色相を表現できるか否かは風合いに大きく影響する。
【0006】
さらに、耐熱性とは、印加された熱的外力に対する耐久性のことを指し、これに難がある場合、ドライヤーやコテによる折り癖の解消やブローセット、パーマネントセット・ウェーブなどのヘアデザイン性に大きく影響を及ぼす。難燃性は、何らかの原因で人工毛髪に着火したときの燃焼に対する耐久性のことを指し、これに難があることは、即ち、使用者の安全性に大きく関わる。ヘアデザイン・保持性とは、ドライヤーのコテによる折り癖の解消やブローセット、パーマネント・ウェーブなどの自由度、及び保持力のことを指し、上記のような特性において難がある場合、使用者の心理的欲求などを満足することが出来ない。
【0007】
現在上市されている人工毛髪としては、塩化ビニル・塩化ビニリデン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアミド系樹脂などを原料とする合成繊維などが挙げられる。これらの人工毛髪については多数の開発、研究がなされているが、それぞれ何らかの難点を有する。
【0008】
ポリアミド系樹脂を原料とするもので、高強度で硬さを自由に設定できる人工毛髪が知られ(例えば特許文献1参照)、色彩の互変性に関するもの(特許文献2参照)、も知られているが、合成繊維特有のテカリが出やすく、また、剛性が低いため、猫毛になりやすく、近年若者を中心として流行の量感のあるデザイニングが困難である上、親水性にも難があることが指摘されている。しかも、ポリエステルやポリアミド系樹脂を原料とした人工毛髪は、製造時に熱固定を行うとそれによる効果が顕著で、パーマ・ウェーブなどのヘアデザインが困難であるということも指摘されていた。
【0009】
上述の共通課題を更に高度に改善すべく、コラーゲンなどの天然タンパク質を原料とした場合も検討されている。例えばコラーゲンを単官能エポキシ化合物及びアルミニウム塩で処理してなる再生コラーゲン(特許文献3参照)は、風合い、親水性などに優れた人工毛髪を得られる利点があるものの、原料が非常に高価にもかかわらず、品質や保存の安定性に難があり、繊維生産性、安定性にも難があることが指摘されている。また、人造毛の表面にグラフト化高分子鎖を導入し、コラーゲンを化学的に結合させることも試みられているが、高分子鎖の導入には放射線または紫外線の照射が必要である(特許文献4参照。)。
【0010】
一方、塩化ビニリデン系合成繊維を原料とした人工毛髪において、合成繊維特有のテカリのように原料に起因する欠点を改善するために、他の熱可塑性樹脂をブレンドしたり、芯鞘、中空糸などの複合繊維化を行なうことや、異形断面化すること(例えば、特許文献5参照。)も試みられているが、製造が容易であり、しかも天然人毛が有する風合いと機能に近似した人工毛髪は今だ完成されていない。
【0011】
【特許文献1】
特開平6−287807号公報 (第1頁)
【特許文献2】
特開2002−242017号公報 (第1頁)
【特許文献3】
国際公開WO01/000920号公報 (第4頁)
【特許文献4】
国際公開WO96/40301号公報 (第8−9頁)
【特許文献5】
特開2002−129432号公報 (第1頁、図3−7)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、安価で、安定的に供給可能であり、且つ天然人毛に近似した風合い、及び機能を備えた人工毛髪を提供することにある。
本発明者等は、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、ベースとなる樹脂として、耐熱性、難燃性、弾性反発性、染色・発色性などに優れたポリアミド系樹脂を選択した。ベースとなるポリアミド系樹脂からなる繊維は、剛性繊維特有のテカリ、剛性の低さ、親水性という欠点を有するが、構造上親和性が高いタンパク質の架橋ゲルを複合することで顕著な改善が見られた。そこで、更に繊維の風合いを向上させるめ、タンパク質架橋ゲルを含有するポリアミド系樹脂を用いた成分Aとポリアミド系樹脂からなる成分Bとを、複合、繊維化したところ、驚くべき効果が得られ、上記目的が達成されることを見出し、本発明に到達した。
【0013】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、タンパク質架橋ゲルを含有するポリアミド系樹脂からなる成分Aが芯部に、ポリアミド系樹脂からなる成分Bが鞘部に配された芯鞘型の2成分からなる人工毛髪よりなる。成分Aにおけるタンパク質架橋ゲル含有率は、5〜20重量%の範囲であり、 タンパク質架橋ゲルは、ゼラチンの反応物であることが好ましい。成分Aと成分Bの比率は重量比としてA/B=1.5/8.5〜8.5/1.5である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、タンパク質架橋ゲルを含有するポリアミド系樹脂からなる成分Aとポリアミド系樹脂からなる成分Bの2成分とからなる人工毛髪である。成分A並びに成分Bで使用されるポリアミド系樹脂としては、従来公知のポリアミド樹脂を一種、あるいは二種以上の混合物として用いることが出来るが、中でも原料品質、紡糸性、風合い、親水性、及び成分Aに含有せしめるゼラチン架橋ゲルの安定性などの点から、ナイロン6を用いるのが好ましいが、ナイロン6,6、ナイロン12、ナイロン6,12、芳香族含有ナイロン、ナノコンポジットナイロン等も使用することができる。
【0015】
本発明の成分Aにおいてポリアミド系樹脂に含有せしめるタンパク質架橋ゲルとしては、従来公知のタンパク質架橋ゲルを用いることが出来るが、紡糸性、風合い、親水性、安定性などから、ゼラチンと硫酸ジルコニウムとの反応物(以下ゼラチン架橋ゲルと称する)を用いるのが好ましい。
【0016】
成分Aのゼラチン架橋ゲル含有量は5重量%〜20重量%の範囲とすることが好ましく、5重量%〜15重量%の範囲でポリアミド系樹脂と混合することがより好ましい。ゼラチン架橋ゲルの含有率が5重量%以下であると親水性、及び風合いが悪化し、好ましくなく、ゼラチン架橋ゲルの含有率が20重量%を越えると紡糸性が悪化するので好ましくない。
【0017】
本発明の人工毛髪は成分Aと成分Bとの複合繊維であり、本発明の成分Aと成分Bとの混合比率としては、風合い、親水性などの観点から、重量比として成分A/成分B=1.5/8.5〜8.5/1.5の範囲、特に3/7〜7/3の範囲にあることが好ましく、4/6〜6/4の範囲にあることがより好ましい。混合率として成分Aが15重量%未満であると風合い、及び親水性が悪化するので好ましくなく、逆に成分Aが85重量%を越えると紡糸性の低下が起こる上、風合いの悪化が生じるので好ましくない。
【0018】
本発明の人工毛髪は、成分Aと成分Bとの複合繊維でありフィラメント単糸の形状を示すが、繊維の複合形態については、紡糸性、及び風合いなどの観点から芯鞘型が好ましい。一般に複合繊維はサイドバイサイド、芯鞘、海島、分割、剥離などの各種形態を取ることが出来るが、本発明の人工毛髪は、紡糸性の観点から芯鞘型や海島型が好ましく、繊維の風合いを加味すると成分Aが繊維表面に露出しない芯鞘型がより好ましい。成分Aが繊維表面に露出すると、ザラツキの発生や色調の悪化が生じるため好ましくない。その断面形状は、図1に示す円形、図2に示す偏平、図3に示すW字、図4に示すS字などの各種形状を用途、及び使用部位に応じて好適に用いることが出来る。各図において、1は成分Aを、2は成分Bを示す。断面形状を、W字、S字のように、繊維の縦方向に細溝が形成される場合は、この溝が毛細管現象によって水分を吸い上げ拡散保持する効果がある。
【0019】
本発明の人工毛髪の平均繊度は、天然人毛の平均的な太さが80μmであることから、20dtex〜90dtexの範囲、特に30dtex〜70dtexの範囲の範囲であることが好ましく、40dtex〜60dtexのの範囲にあることがより好ましい。平均繊度が20dtex以下であると、天然人毛に比して細過ぎる上、剛性が低すぎて、ハリやコシが低下するなど、風合いの観点から好ましくなく、逆に90dtex以上であると、繊維剛性が高すぎて風合いが悪化し、ヘアデザイニング性も低下するので好ましくない。
【0020】
本発明の人工毛髪は複合繊維用紡糸口金を用い、通常の溶融紡糸法によりモノフィラメント、またはマルチフィラメントとして製造することが出来る。即ち、先ず、押出機、ギヤポンプ、口金などの温度を適宜調整して溶融紡糸した後、糸条をガラス転移点以下まで冷却し、引き取ることで未延伸糸が得られる。得られた未延伸糸は延伸を受けるが、延伸は直接紡糸延伸法、及び二工程法の何れの方法でも良い。延伸は、一段延伸、または多段延伸法で行われ、その際の加熱方法は、加熱ローラー、ヒートプレート、スチームジェット、温水槽などを使用すること、あるいは、これらを適宜併用することが出来る。繊維表面には本発明の目的を損なわない範囲で油剤などを塗布することが出来る。
【0021】
本発明の人工毛髪の製造方法において、人工毛髪の性能、機能をより向上させるために、プロセス中において、本発明の目的を損なわない範囲で、他の高分子材料、例えば少量のポリアミドエラストマー、ウレタン等、無機充填剤、可塑剤、滑剤としてステアリン酸金属塩等の金属石鹸、柔軟剤、高温時の劣化を防止する酸化防止剤、耐侯安定剤、帯電防止剤、難燃剤、消臭剤、抗菌剤、マイナスイオン除放剤、電磁波遮断剤、防虫・忌避剤、芳香剤、顔料などの各種機能剤を添加し、あるいは、後加工によって付与することが出来る。
【0022】
【実施例】
次に実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。なお、実施例中の特性は、以下の評価方法により求めた。
【0023】
(1) 引張強度(g/dtex)、伸度(%):定速伸長型引張試験機(東洋ボールドウィン社製テンシロンRTA)を用い、試料長200mm、つかみ間隔50mm、引張速度200mm/分で伸長し、得られた切断時加重値(g)を単位繊度当たりに換算し、その平均値を繊維の引張強度(g/dtex)とした。また、切断時伸長率(%)の平均値を伸度(%)とした。これらの処方においては何れも測定回数10回とし、その値は平均値で示した。
(2) 紡糸性:生産量500Kgに対して発生した糸切れの回数を測定した。
(3) 染色・発色性(染色後の発色性):かせ状にリワインドした人工毛髪を黒色酸性染料5%owf、浴比1:20、温度90℃で染色し、その発色性を10名の判定者が5段階で評価した。
◎:非常に良い、○:良い、△:染まる、×:悪い、−:非常に悪い
【0024】
(4) ドライ地の風合い:天然人毛,及び人工毛髪を用いて長さ30cm、重量15gの毛束を作成し、湿度50%、温度22℃の室内で一昼夜放置したものにつき、10名の判定者が目視観察で毛束のつやを、手で触れることで触感を、市販の櫛で梳かすことによって櫛通りを、それぞれ5段階で評価した。
◎:非常に似ている、○:良く似ている、△:似ている、×:似ていない、
−:全く似ていない
(5) ウエット時の風合い:天然人毛、及び人工毛髪を用いて長さ30cm、重量15gで作製した毛束を湿度50%、温度22℃の室内で一昼夜放置した。その後、水中に5分間浸漬し、タオルで水分を拭き取ったものについて、10名の判定者が、目視観察で毛束のつやを、濡れ感を、手で触れることで触感を、市販の櫛で梳かすことによって櫛通りを、それぞれ5段階で評価した。
◎:非常に似ている、○:良く似ている、△:似ている、×:似ていない、
−:全く似ていない
【0025】
(6) ドライヤー乾燥:天然人毛と人工毛髪を5gずつ混合し、長さ30cm、重量10gの毛束を作製した後、湿度50%、温度22℃の室内で一昼夜放置した。その後、水中に5分間浸漬し、タオルで水分を拭き取ったものに対し、市販のドライヤーを用いて全体が乾くまで手櫛でブローし、目視観察にて乾燥速度の差による浮き上がりの有無を10名の判定者が5段階で評価した。
◎:非常に似ている、○:良く似ている、△:似ている、×:似ていない、
−:全く似ていない
(7) ヘアデザイ性:天然人毛と人工毛髪を用いて長さ30cm、重量15gで作製した毛束を、湿度50%、温度22℃の室内で一昼夜放置した。その後、水中に5分間浸漬し、タオルで水分を拭き取ったものを市販の櫛で梳かした後、毛束から1gを分取して15cmの丸棒に等間隔で30回巻き付け、120℃のドライオーブン中で2分間熱処理を行ったものについてヘアデザイン性を10名の判定者が、5段階で評価した。
◎:非常に良い、○:良い、△:許容範囲、×:悪い、−:非常に悪い
【0026】
〔実施例1〕
粒子径5μmのゼラチン架橋ゲル(岸本産業製、商品名HP−1)含有率を2.5重量%(試料1)、5.0重量%(試料2)、12重量%(試料3)、20重量%(試料4)、及び25重量%(試料5)、酸化防止剤(日本サイアナミド製、CYANOX−1790)0.3重量%をナイロン6(三菱エンジニアリングプラスチック製、商品名ノバミッド1020A7)樹脂に添加し、常法にて成分Aのマスターバッチを調製した。別に滑剤、酸化防止剤をそれぞれ0.3重量%、ナイロン6(三菱エンジニアリングプラスチック製、商品名ノバミッド1020A7)に添加し、常法にて成分Bのマスターバッチを調製した。成分Aをエクストルーダー型溶融紡糸機に供給して245℃で芯成分として溶融し、同時に上記ナイロン6よりなる成分Bを更に別のエクストルーダー型溶融紡糸機に供給して紡糸温度245℃で鞘成分として溶融し、芯鞘混合率が重量比として芯/鞘=5/5になる様にそれぞれのエクストルーダーの回転数を調整し、両者を直径1.0mm、紡糸孔数36個の同心円状に配置された芯鞘口金から紡出し、延伸、熱セット工程を経て、巻き取ることにより、繊度40dtexの図1に示す断面形状の芯鞘型複合繊維巻糸体を得た。得られた巻糸体を、恒温・恒湿(22℃、RH50%)の室内で一昼夜保管した後、ヘアデザイン性試験に供し、得られた結果を表1に示した。恒温・恒湿(22℃、RH50%)の室内で一昼夜保管した芯鞘型複合繊維巻糸体を120℃で5分間スチームセッターにてセットし、直毛タイプの人工毛髪を得た。
【0027】
得られた直毛タイプの人工毛髪を用いて引張強度、及び伸度を測定し、その結果を表1に示した。次いで、得られた人工毛髪をかせ状に捲き取り、黒色酸性染料で染色・発色性試験の評価方法に従って黒色に染色し、アミノシリコーン系の仕上げ油剤(日華化学製、ニッカシリコンAMZ)の3%水溶液に常温で浸漬し、ピックアップ率80%で油剤を付与し、50℃で乾燥した後、長さ30cmにカットし、重量として15gの毛束を作製し、ドライ時風合い試験、ウエット時風合い試験に供し、その結果を表1に示した。得られた人工毛髪の内、ゼラチン架橋ゲル含有量が、5〜20重量%の範囲である試料2、試料3は、天然人毛に近似の風合い、機能を有するものとなっており、満足できる品質であった。同じく該範囲内である試料4は、若干紡糸安定性に乏しい傾向があるが、天然人毛に近似の風合い、機能を有するものとなっており、満足できる品質であった。しかし、上記範囲よりもゼラチン架橋ゲルの含有量が少ない試料1は、染色・発色性、つや消し効果、及び、親水性に乏しく、満足できる品質ではなく、逆に上記範囲よりも含有量が多い試料5は、マスターバッチ調製時にベントアップや吐出不良によるストランド切れなどが起こり、安定的にマスターバッチを得ることが出来ず、また、得られた少量の成分Aのマスターバッチと本実施例と同一の成分Bのマスターバッチを用いて本実施例と同様の方法で紡糸を試みても、吐出不良、糸切れ、延伸不良、複合ムラ等のトラブルが多発し、人工毛髪を得ることすら出来なかった。
【0028】
【表1】
Figure 0004117614
【0029】
〔実施例2〕
ゼラチン架橋ゲル含有量を12%に固定し、鞘成分に粒子径15nmのナノアルミナ(巴工業製、商品名CAM9010)を5重量%添加した以外は実施例1と同様の方法で人工毛髪を得た。得られた人工毛髪を用いて実施例1と同様に評価試験を実施し、その結果を表2に試料6として示した。得られた人工毛髪は、天然人毛に近似の風合い、機能を有するものとなっており、満足できる品質であった。
【0030】
【表2】
Figure 0004117614
【0031】
〔実施例3〕
ゼラチン架橋ゲル含有率を12重量%に固定し、芯鞘複合比率を重量比として芯/鞘=1/9(試料7)、3/7(試料8)、5/5(試料9)、7/3(試料10)、9/1(試料11)とした以外は実施例1と同様の方法で人工毛髪を得た。得られた人工毛髪を用いて実施例1と同様に評価試験を実施し、その結果を表3に示した。得られた人工毛髪の内、芯鞘複合比率がA/B=1.5・8.5〜8.5・1.5の範囲内にある試料8、試料9、及び、試料10は、天然人毛に近似の風合い、機能を有するものとなっており、満足できる品質であった。しかし、鞘成分が過剰な試料7は染色・発色性、つや消し効果、及び、親水性に乏しく、逆に芯成分が過剰な試料11は触感、つやに乏しく、満足できる品質ではなかった。
【0032】
【表3】
Figure 0004117614
【0033】
〔比較例1〕
成分A、及び成分Bをナイロン6のみとし、他の添加剤を加えず、実施例1と同様の方法で繊度40dtexのナイロン6の人工毛髪を得た。得られた人工毛髪を用いて実施例1と同様に評価試験を実施し、その結果を表4に示した。得られた人工毛髪は、合成繊維特有のテカリが強く、また、親水性に乏しく、満足できる品質ではなかった。
【0034】
〔比較例2〕
成分A、及び成分Bを共にナイロン6に実施例1と同一のゼラチン架橋ゲル12重量%添加した樹脂とし、実施例1と同様の方法で繊度40dtexの人工毛髪を得た。得られた人工毛髪を用いて実施例1と同様に評価試験を実施し、その結果を表4に示した。得られた人工毛髪は、触感が悪く、また、つやにも乏しく、満足できる品質ではなかった。
【0035】
〔比較例3〕
芯部と鞘部の樹脂組成を逆転させて、即ち、実施例1と同一の成分Bを芯、実施例1と同一の成分Aを鞘として、実施例1と同様の方法で人工毛髪を得た。得られた人工毛髪を用いて実施例1と同様に評価試験を実施し、その結果を表4に示した。得られた人工毛髪は、触感が悪く、また、つやにも乏しく、満足できる品質ではなかった。
【0036】
【表4】
Figure 0004117614
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、天然人毛に総合的に近似した風合い、及び機能を有する人工毛髪を提供することが出来る。この為、かつら、ヘアピース・ヘアウィッグ・エクステンションなどの広範な頭飾製品、理美容教育用マネキン、人形用毛髪などに好適に使用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】人工毛髪の円形断面形状
【図2】人工毛髪の楕円断面形状
【図3】人工毛髪のW字断面形状
【図4】人工毛髪のS字断面形状
【符号の説明】
1 成分A
2 成分B

Claims (4)

  1. タンパク質架橋ゲルを含有するポリアミド系樹脂からなる成分Aが芯部に、ポリアミド系樹脂からなる成分Bが鞘部に配された芯鞘型の人工毛髪。
  2. 成分Aにおけるタンパク質架橋ゲル含有率が5〜20重量%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の人工毛髪。
  3. タンパク質架橋ゲルがゼラチンの反応物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の人工毛髪。
  4. 成分Aと成分Bの比率が重量比としてA/B=1.5/8.5〜8.5/1.5であることを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3に記載の人工毛髪。
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