JP4117532B2 - 自動二輪車の防音構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動車輪を取付ける出力軸を備えた伝動ケースに防音手段を設けてある自動二輪車の防音構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記の伝動ケースはスクータ型自動二輪車等に採用されており、ケース本体内に設けたベルト式伝動機構でエンジンの動力を伝達するとともに、ベルト式伝動機構からの動力を、ケース本体内の後部に配置した減速ギア機構で駆動車輪としての後輪に減速伝達している。
この動力伝達の際にベルト式伝動機構や減速ギア機構から騒音が発生するが、伝動ケースは、フレームカバーで覆われたエンジンとは異なって露出しているために、騒音がケース本体の外側に洩れやすい。ケース本体内で発生した騒音のうち減速ギア機構の噛合い音は最も大きくて、伝動ケースの後部からケース本体の外側に大きな音のまま洩れ出る。そこで伝動ケースの後部に防音手段を設けてある。
従来、自動二輪車の防音構造は、減速ギア機構の周りの伝動ケースの外面に、吸音材等から成る防音カバーを被せて構成してあった[特開平7−232685号公報参照]。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、減速ギア機構の周りの伝動ケース部分は段部が多く複雑な形状をしているために、従来の構成によれば、防音カバーを被せる作業に手間がかかっていた。
そして、ディスクブレーキ式の自動二輪車ではキャリパやブレーキホースを伝動ケースに支持させるので、キャリパやブレーキホースの周りの伝動ケース部分に防音カバーを被せることができなくなって防音効果を上げにくかった。
また前記伝動ケースは、減速ギア機構を左右方向でベルト無段変速機構よりも後輪側に偏らせるとともに、左右方向で減速ギア機構及びこれを収容するケース本体部分を後輪のリムの内側に入り込ませる構造にするのが普通であり[上記の公報参照]、この構造では、後輪の側面と、これに対向するケース本体の側面との隙間がかなり小さくなるために、前記側面に防音カバーを被せることができなくなって防音効果を上げにくかった。
これらの構造に加えて、後輪のホイールのスポークを鋼板やアルミ合金板で形成した場合、防音カバーを被せてない箇所から洩れ出た騒音がスポークで反射し、その反射騒音が横外方や後方に洩れて防音効果をより上げにくくなっていた。
【0004】
本発明は上記実状に鑑みて成されたもので、その目的は、防音効果を上げることができ、しかも簡単に製作できる自動二輪車の防音構造を提供する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の特徴構成は、請求項1に記載したように、
駆動車輪を取付ける出力軸を備えた伝動ケースに防音手段を設け、
前記伝動ケースは、エンジンの動力を伝達するベルト式伝動機構と、このベルト式伝動機構によって伝達される動力を前記駆動車輪に減速伝達する減速ギア機構とを、前記減速ギア機構が左右方向で前記ベルト式伝動機構よりも前記駆動車輪側に偏る状態にケース本体内に配設して構成し、
前記減速ギア機構を収容するケース本体部分を、左右方向で前記駆動車輪のリムの内側に入り込ませてある自動二輪車の防音構造であって、
前記防音手段は、前記伝動ケースの後部から後方及び後ろ上方に向かう騒音と前記駆動車輪の側面で反射した騒音とを遮る防音カバーを前記伝動ケースに支持させて構成し、
前記防音カバーを形成するに、前記駆動車輪の側面に対向する第1遮音壁と、前記伝動ケースの後端面に対向する第2遮音壁とを一体に連設し、前記第2遮音壁の一側縁を前記駆動車輪のリムに近接させて沿わせてある点にある。
【0006】
そして請求項2に記載したように、請求項1による発明の構成において、前記防音カバーは、前記駆動車輪のリムの径方向内方側で、かつ、車体側面視で前記駆動車輪の後ろ上半部に対応する領域に配置してある点にある。
【0007】
請求項3の特徴構成は、請求項1又は2による発明の構成において、前記伝動ケースの後部近傍に設けた制動用のキャリパを、車体側面視で前記防音カバーで覆ってある点にある。
【0008】
請求項4の特徴構成は、請求項1による発明の構成において、前記防音カバーは、前記駆動車輪のリムの径方向内方側で、かつ、車体側面視で前記駆動車輪の後ろ上半部及び後ろ下半部に対応する領域に配置し、前記駆動車輪の後ろ上半部に対応する領域に配置した制動用のキャリパを車体側面視で上側の防音カバー部分で覆うとともに、下側の防音カバー部分に放熱用の貫通孔を形成してある点にある。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1にスクータ型自動二輪車を示してある。このスクータ型自動二輪車は、車体前部に、ディスク式制動装置1を備えた前輪2、操向ハンドル6、フロントカバー3、ウインドスクリーン4、前輪2を支持するフロントフォーク7、前照灯8、バックミラー9、フロントフェンダ5等を設け、車体後部に、前シート部10aと後シート部10bとから成る二人乗り用のシート10、フレームカバー11、リヤーキャリヤー12、背凭れ13、リヤ−フェンダ14、消音器15、駆動車輪としての後輪16等を設け、車体中央部に、フロアステップ17、アンダーカウル18、後部ステップ19、サイドスタンド20、センタースタンド21等を設けて構成してある。
【0012】
図1,図2に示すように、エンジンEは、シリンダ23の軸芯(ピストンの移動方向)が少し前上がり傾斜した水平型に形成し、前シート部10aの下方の車体フレーム内に配置してある。そして、シリンダヘッド24の直上にキャブレター(気化器)30とエアクリーナ(濾過器)31を設け、クランクケース部26の上部に、防振ステー32を連結する懸架用ブラケット26Aを一体に設けるとともに、下部に、リンク機構33を連結する緩衝用ブラケット26Bを一体に設けてある。つまり、前記防振ステー32を介して車体にクランクケース部26を横軸心Z周りに揺動自在に支持させ、リンク機構33を介して後輪用緩衝器34にクランクケース部26を連係させてある。25はヘッドカバーである。
【0013】
前記クランクケース部26に、後輪16を取付ける出力軸29(図3参照)を備えた伝動ケース22を接続してある。エンジンEと伝動ケース22とでパワーユニットUを構成し、これらのうち伝動ケース22は、図3に示すように、エンジンEの動力を伝達するべルト無段変速機構27(ベルト式伝動機構に相当)と、このべルト無段変速機構27によって伝達される動力を後輪16に減速伝達する減速ギア機構28とを、減速ギア機構28が左右方向でべルト無段変速機構27よりも後輪16側に偏る状態にケース本体77内に配設して構成してある。
【0014】
前記ケース本体77は、クランクケース部26に連なる主ケース部77Aと、この主ケース部77Aにボルト連結する蓋ケース部77Bと、ケースカバー77Cとから成る。主ケース部77Aと蓋ケース部77Bは強度が必要で、材質は鋳造アルミ合金である。これらよりも強度が弱くて済むケースカバー77Cの材質はポリエチレン(PE)等の合成樹脂である。前記減速ギア機構28を収容する主ケース部分(ケース本体部分に相当し、以下、「突出主ケース部分81」と称する)は、左右方向で後輪16のリム45の内側に入り込ませてある。
【0015】
前記べルト無段変速機構27は、クランク軸35に駆動プーリ36を支持させるとともに、主ケース部77Aに回転自在に支持させた従動軸37に従動プーリ38を支持させ、両プーリ36,38にわたってVベルト80を巻回して構成してある。
【0016】
駆動プーリ36は、クランク軸35にスプライン嵌合した可動プーリ部36Aと、クランク軸35に固定した固定プーリ部36Bとから成る。そしてクランク軸35の回転速度が速くなるに伴って、可動プーリ部36Aをベルト80の張力に抗して固定プーリ部36B側に強制スライド移動させる自動スライド機構40を設けてある。前記張力は後述の巻バネ41でベルト80に付与する。Fは固定プーリ部36Bに設けたベルト冷却用のファンである。
【0017】
従動プーリ38は、軸芯方向にスライド移動自在な可動プーリ部38Aと、固定プーリ部38Bとから成り、巻バネ41で可動プーリ部38Aを固定プーリ部38Bに向けて押圧付勢してある。
そして前記従動軸37を、筒状の外側軸78にカウンタ軸42を挿通させて構成し、これらの一端側に遠心クラッチ機構39を設けてある。この遠心クラッチ機構39により、外側軸78の回転速度が設定値を超えるとその回転をカウンタ軸42に伝達し、設定値以下になると伝達を断つ。
【0018】
前記減速ギア機構28は、カウンタ軸42の従動プーリ38とは反対側の端部に第1駆動小ギヤ47を形成し、主ケース部77Aに回転自在に支持させた中間軸43の一端側に、第1駆動小ギヤ47と噛み合う第1従動大ギヤ48をスプライン嵌合するとともに、中間軸43の他端側に第2駆動小ギヤ49を形成し、これに噛み合う第2従動大ギヤ50を、主ケース部77Aに回転自在に支持させた出力軸29にスプライン嵌合して構成してある。各ギヤ47〜50側の空間は従動プーリ38側の空間から仕切りケース51(この仕切りケース51は主ケース部77Aを構成する)で仕切って各ギヤ47〜50をオイル潤滑してある。
【0019】
出力軸29と後輪16との連結構造、及びその周りの構造について説明すると、主ケース部77Aから突出させた出力軸29の先端部29aに、ディスク用ハブ52と、後輪用ホイール44のハブ53とを、前記先端部29aの外方側からこの順でスプライン嵌合してナット締めするとともに、ディスク用ハブ52の外周部にディスクプレート54を一体に設けてある。
そして、ディスクプレート54を締付け自在なピンスライド型のキャリパ55を、突出主ケース部分81に一体形成した支持ステー56に支持させてある。この構造でディスク式の制動装置Bを構成している。
【0020】
また、突出主ケース部分81を左右方向で後輪16のリムの内側に十分入り込ませることができるように、後輪用ホイール44のスポーク46を、リム45の幅方向の中心よりも伝動ケース22とは反対側に寄せてある。Tはタイヤであり、このタイヤTと後輪用ホイール44で後輪16を構成している。後輪用ホイール44を構成するリム45・スポーク46・ハブ53は鋳造アルミ合金で一体に形成してある。
【0021】
前記伝動ケース22の後部に、伝動ケース22の後部から後方及び後ろ上方に向かう騒音と、後輪16の側面(つまり、後輪用ホイール44・ディスク用ハブ52・ディスクプレート54等の側面)で反射する騒音とを、ポリエチレン(PE)等の合成樹脂材製の防音カバー57で遮る防音手段を設けてある。
【0022】
図2に示すように前記防音カバー57は、後輪16のリム45の径方向内方側で、かつ、車体側面視で後輪16の後ろ上半部に対応する領域に配置してある。
詳しくは、図4〜図7にも示すように、後輪16の側面に対向する扇形の第1遮音壁57Tと、伝動ケース22の曲がった後端面に対向する円弧状の第2遮音壁57Yとを一体に連設して形成し、第2遮音壁57Yの一側縁57aを後輪16のリム45に近接させて沿わせた状態で、第1遮音壁57Tの一側部をケースカバー77Cと共に主ケース部77Aに複数のボルト58で共締めしてある。つまり防音カバー57を伝動ケース22に支持させてある。前記第1遮音壁57Tの一側部側の縁部57Bは伝動ケース22の後端面に沿うように形成してある。図3における60はクッションゴム、61はフランジ付きワッシャ、図4〜図7における69はボルト挿通孔、70はボルト取り付け座である。
【0023】
図2に示すように、上記の構造の防音カバー57は、伝動ケース22の上部側のキャリパ55や、キャリパ55に圧油を給排するブレーキホース64、それに、キャリパ55を駐車ブレーキとして作動させる操作ワイヤー65等を車体側面視で覆っている。
【0024】
本実施形態にかかるスクータ型自動二輪車を運転しているときは、伝動ケース22の後部から減速ギア機構28の噛合い音や伝動ベルト80の走行音が後方及び後ろ上方に向かうが、これらの騒音を上記の構造の防音カバー57によって遮ることができる。また、突出主ケース部分81から右側に向かう減速ギア機構28の噛合い音が後輪用ホイール44のスポーク46等で反射されるが、この騒音も防音カバー57で遮ることができる。
【0025】
本発明者は、後輪16に対する防音カバー57の大きさと防音効果との関係について実験した。次に、この実験について説明する。
図8(a)に、リム45におけるタイヤ取り付け部の内径をA(図3参照)、扇形の防音カバー57の最大径をBとした模式図を示し、図8(b)に実験結果であるB/Aと騒音低減量との関係を示している。防音カバー57の両側辺(リムと交差する方向に沿う一対の側辺)の開き角度は、本実施形態による防音カバー57の両側辺の開き角度と同じである。図8(b)の四角・三角・ひし形のマークはそれぞれ1回目・2回目・3回目の測定結果を示している。
図8(b)によれば、防音カバー57の最大径がリム径に近づくほど、騒音低減効果が大きくなることや、B/Aが50%付近を越えると騒音低減効果が著しく大きくなることを確認することができる。従って、外周部をリム45に近接させてある本実施形態による防音カバー57は優れた騒音低減効果を得ることができる。
【0026】
〔別実施形態〕
[1]図9に示すように前記防音カバー57は、後輪16のリム45の径方向内方側で、かつ、車体側面視で後輪16の後ろ上半部及び後ろ下半部に対応する領域に配置してあってもよい。上側及び下側のカバー部分91,92は複数のボルト58で伝動ケース22に固定してある。また、上側のカバー部分91のうち、リム45に近い側のカバー部93を、伝動ケース22に近い側のカバー部94よりも後輪16の側面に近接させてある。
図9において、66は緩衝器(ショックアブソーバ)を連結するブラケットであり、上側のカバー部分91に、ブラケット66に対する逃がし部67を形成してある。下側のカバー部分92の一側部95は伝動ケース22の後端面に隙間なく沿わせてある。
[2]図10に示すように、前記防音カバー57は、後輪16のリム45の径方向内方側で、かつ、車体側面視で後輪16の後ろ上半部及び後ろ下半部に対応する領域に配置し、後輪16の後ろ上半部に対応する領域に配置した制動用のキャリパ55を車体側面視で上側の防音カバー部分91で覆うとともに、下側のカバー部分92に放熱用の複数の貫通孔63を形成してあってもよい。
[3]本発明は、突出主ケース部分81にドラムブレーキ(内拡カム式制動装置)を備えた構造や、伝動ケース前部に連結するエンジンを駆動車輪の横外方側に配置した原動機付き自転車型の自動二輪車にも適用できる。
[4]前記防音カバー57は、車体側面視で後輪用ホイール44のスポーク46が隠れる程度の大きさに形成してあってもよい。
[5]後輪用ホイール44は、鋼板プレス製のリムと、鋼板プレス製のスポークと、鋳鉄製のハブ(後輪用はボス状となる)とを溶接によって一体形成した鉄製ホイールで構成してあってもよい。
[6]前記防音カバー57の内面に吸音材を貼着してあってもよい。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、防音カバーを伝動ケースに支持させただけの構造であるから、例えば吸音材等からなる防音カバーを複雑な形状の伝動ケースの後部に被せる構造に比べて、製作に手間がかからない。
【0028】
また、吸音材等からなる防音カバーを伝動ケースの後部に被せる構造では、ディスクブレーキ式の自動二輪車の場合、伝動ケースに支持させるキャリパやブレーキホースの周りの伝動ケース部分に防音カバーを被せることができなくなって、騒音が後方及び後ろ上方に洩れやすいが、本発明によれば、伝動ケースに防音カバーを支持させてあるから、キャリパやブレーキホースの周りの伝動ケース部分から洩れて後方及び後上方に向かう騒音や、駆動車輪の側面で反射する騒音も防音カバーで遮ることができる。
【0029】
例えば、伝動ケースの減速ギア機構を左右方向でベルト無段変速機構よりも駆動車輪側に偏らせるとともに、左右方向で減速ギア機構及びこれを収容するケース本体部分を駆動車輪のリムの内側に入り込ませてあり、そのために、駆動車輪の側面と、これに対向するケース本体の側面との隙間がかなり小さくなっていても、この隙間から洩れて後方及び後上方に向かう騒音や、前記隙間から洩れて駆動車輪の側面で反射された騒音を防音カバーで遮ることができる。
【0030】
そして、ケース本体の側面との隙間がかなり小さい上記の構造に加えて、駆動車輪のホイールのスポークを鋼板やアルミ合金板で形成してあっても、前記隙間から洩れてスポークで反射した騒音を防音カバーで遮ることができる。
【0031】
従って、伝動ケースの後部から後方及び後ろ上方に向かう騒音と、駆動車輪の側面で反射した騒音とを防音カバーで遮って防音効果を上げることができ、しかも簡単に製作できる自動二輪車の防音構造を提供することができた。
【0032】
本発明において、防音カバーは、前記駆動車輪のリムの径方向内方側で、かつ、車体側面視で前記駆動車輪の後ろ上半部に対応する領域に配置してあると、伝動ケースの後部から後方及び後ろ上方に向かう騒音と、前記駆動車輪の側面で反射した騒音とを遮りやすくなって、より防音効果を上げることができる。
【0033】
また、前記伝動ケースの後部近傍に設けた制動用のキャリパを、車体側面視で防音カバーで覆ってあると、キャリパで発生する制動騒音も遮ることができてより防音効果を上げることができるとともに、防音カバーでキャリパが他物に接触するのを防ぐことができ、キャリパの故障を防止することができる。
【0034】
そして前記防音カバーは、駆動車輪のリムの径方向内方側で、かつ、車体側面視で駆動車輪の後ろ上半部及び後ろ下半部に対応する領域に配置し、駆動車輪の後ろ上半部に対応する領域に配置した制動用のキャリパを車体側面視で上側の防音カバー部分で覆い、下側の防音カバー部分に放熱用の貫通孔を形成してあると、キャリパで発生する制動騒音も遮ることができてより防音効果を上げることができるとともに、防音カバーでキャリパが他物に接触するのを防いでキャリパの故障を防止できる効果に加え、キャリパが挟持するディスクプレートを冷却しやすくすることができる。
【0035】
前記防音カバーを形成するに、前記駆動車輪の側面に対向する第1遮音壁と、前記伝動ケースの後端面に対向する第2遮音壁とを一体に連設し、前記第2遮音壁の一側縁を前記駆動車輪のリムに近接させて沿わせてある構成では、駆動車輪の側面で反射した騒音を第1遮音壁で遮り、後方及び後上方に向かう騒音を第2遮音壁で遮ることができる。そして、第2遮音壁の一側縁を駆動車輪のリムに近接させて沿わせたことで、防音カバーとリムでラビリンス構造を形成することができ、これら両者の隙間をできるだけ小さくして両者の間から騒音が漏れにくくすることができる。しかも、リムは剛体であって変形しないからタイヤ交換の有無にかかわらず、前記両者の間から騒音が漏れにくいという効果を得ることができる。
【0036】
前記伝動ケースは、エンジンの動力を伝達するベルト式伝動機構と、このベルト式伝動機構によって伝達される動力を前記駆動車輪に減速伝達する減速ギア機構とを、減速ギア機構が左右方向でベルト式伝動機構よりも駆動車輪側に偏る状態にケース本体内に配設して構成し、減速ギア機構を収容するケース本体部分を、左右方向で駆動車輪のリムの内側に入り込ませてある構成では、伝動ケースをコンパクトにすることができながら、駆動車輪の側面と、これに対向するケース本体の側面との小さい隙間から洩れて後方及び後上方に向かう騒音や、前記隙間から洩れて駆動車輪の側面で反射された騒音を防音カバーで遮ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スクータ型自動二輪車の側面図
【図2】後輪付きパワーユニット及び防音カバーを示す側面図
【図3】防音カバーと後輪等との関係と構造を示す伝動ケース後部の断面図
【図4】防音カバーの側面図
【図5】防音カバーの正面図
【図6】図4のX−X視図
【図7】図4のY−Y視図
【図8】 (a)は後輪と防音カバーとを示す模式図、(b)は防音カバーの大きさと騒音低減量との関係を示す図
【図9】別実施形態の防音カバーを示す側面図
【図10】別実施形態の防音カバーを示す側面図
【符号の説明】
16 駆動車輪
22 伝動ケース
27 ベルト式伝動機構
28 減速ギア機構
29 出力軸
45 リム
54 ディスクプレート
55 キャリパ
57 防音カバー
57T 第1遮音壁
57Y 第2遮音壁
63 貫通孔
77 ケース本体
81 ケース本体部分
91 上側のカバー部分
92 下側のカバー部分
E エンジン
Claims (4)
- 駆動車輪を取付ける出力軸を備えた伝動ケースに防音手段を設け、
前記伝動ケースは、エンジンの動力を伝達するベルト式伝動機構と、このベルト式伝動機構によって伝達される動力を前記駆動車輪に減速伝達する減速ギア機構とを、前記減速ギア機構が左右方向で前記ベルト式伝動機構よりも前記駆動車輪側に偏る状態にケース本体内に配設して構成し、
前記減速ギア機構を収容するケース本体部分を、左右方向で前記駆動車輪のリムの内側に入り込ませてある自動二輪車の防音構造であって、
前記防音手段は、前記伝動ケースの後部から後方及び後ろ上方に向かう騒音と前記駆動車輪の側面で反射した騒音とを遮る防音カバーを前記伝動ケースに支持させて構成し、
前記防音カバーを形成するに、前記駆動車輪の側面に対向する第1遮音壁と、前記伝動ケースの後端面に対向する第2遮音壁とを一体に連設し、前記第2遮音壁の一側縁を前記駆動車輪のリムに近接させて沿わせてある自動二輪車の防音構造。 - 前記防音カバーは、前記駆動車輪のリムの径方向内方側で、かつ、車体側面視で前記駆動車輪の後ろ上半部に対応する領域に配置してある請求項1記載の自動二輪車の防音構造。
- 前記伝動ケースの後部近傍に設けた制動用のキャリパを、車体側面視で前記防音カバーで覆ってある請求項1又は2記載の自動二輪車の防音構造。
- 前記防音カバーは、前記駆動車輪のリムの径方向内方側で、かつ、車体側面視で前記駆動車輪の後ろ上半部及び後ろ下半部に対応する領域に配置し、前記駆動車輪の後ろ上半部に対応する領域に配置した制動用のキャリパを車体側面視で上側の防音カバー部分で覆うとともに、下側の防音カバー部分に放熱用の貫通孔を形成してある請求項1記載の自動二輪車の防音構造。
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