JP4115360B2 - 電子放出素子の製造方法および画像表示装置の製造方法 - Google Patents

電子放出素子の製造方法および画像表示装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子放出素子の製造方法、並びに画像表示装置の製造方法に関する。
現在主流の画像表示装置はCRT(Cathode Ray Tube)であるが、それに代わる画像表示装置として数多くのフラット・パネル・ディスプレイ、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、ELD(Electro Luminesence Display)、FED(Field Emission Display、電界放出型表示装置)が開発検討及び製品化されてきている。
上記種々のディスプレイの中で、電子放出素子が用いられるものは、その電子放出素子の製造に際して、例えば、電子放出部を含む導電性薄膜を、絶縁性基板上に導電性材料を蒸着、スパッタリング等の堆積技術を用いて直接形成するものが知られている。また最近では真空装置を必要とせず安価に大面積の素子を形成可能な方法として導電性薄膜形成用材料を含む溶液の液滴をインクジェット方式で付与する方法も知られている。インクジェット方式では付与した液滴が所定の位置以外にも拡がるのを防ぎ良好な電子放出素子を形成するために、液滴を付与する基板を予めヘキサメチルジシラザンの疎水化処理剤で処理してから液滴を付与する方法(特許文献1)等が提案されている。また良好な電子放出素子を製造するために液滴を付与する基板の表面エネルギーをジメチルジエトキシシラン等のシランカップリング剤を用いて所望の値に調整する方法(特許文献2号公報)や、加水分解基を一つのみ有するシランカップリング剤を用いて調整する方法(特許文献3)も提案されている。
特開平09―069334号公報 特開平10―326559号公報 特開2000―182513号公報
しかしながら上記のようなヘキサメチルジシラザンで疎水化処理してから液滴を付与する方法では、疎水化処理にバラツキが生じたり、液滴を付与する基板表面の疎水性が大きくなり過ぎて基板上の液滴が縮小するなどして良好な電子放出素子を作製できない場合があった。またジメチルジエトキシシラン等のシランカップリング剤を用いて疎水化処理してから液滴を付与する方法では、液滴を付与する基板表面の疎水性が不十分で液滴が基板の所望の位置以外にまで濡れ拡がってしまったり、疎水化処理にバラツキが生じたりして良好な電子放出素子を作製できない場合があった。さらに加水分解基を一つのみ有するシランカップリング剤を用いて疎水化処理してから液滴を付与する方法では、基板とシランカップリング剤の結合が一つしかないこと及び基板と結合したシランカップリング剤同士の結合がないことから、液滴を付与する基板表面の疎水性が不十分となり液滴が大きく濡れ拡がって電子放出素子が作製困難となる場合があった。
従って本発明の目的は、液滴を付与して電子放出素子を作製する際に、基板上での液滴の形成性を高め、電子放出素子間での電子放出特性の均一性に優れた電子放出素子の製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、液滴を付与して画像表示部材を作成する際に、基板上での液滴の形成性を高め、画像表示部材間での表示特性の均一性に優れた画像表示装置を提供することにある。
本発明は、基板上に設けられた電極と、前記電極に接続された、電子放出部を有する導電性薄膜とを備える電子放出素子の製造方法であって、電極が設けられた基板を、分子中にアセトキシ基を2個以上含有するシランカップリング剤を用いて疎水化処理した後に、前記導電性薄膜を形成するための材料を含有する液滴を前記電極上に付与することを特徴とする電子放出素子の製造方法である。
また、本発明は、基板上に設けられた対向する電極間に導電性薄膜形成用材料を含む液滴を付与し、加熱焼成工程を経て該電極の両方と接続された導電性薄膜を作製した後、該導電性薄膜に電子放出部を形成する電子放出素子の製造方法において、該電極が設けられた基板を、分子中にアセトキシ基を2個以上含有するシランカップリング剤を用いて疎水化処理した後に、該液滴を付与することを特徴とする電子放出素子の製造方法である。
また、本発明は、基板上に設けられた電極と、前記電極に接続された、電子放出部を有する導電性薄膜とを備える電子放出素子の製造方法であって、電極が設けられた基板を、加水分解基の異なる2種以上のシランカップリング剤の混合物を用いて疎水化処理した後に、前記導電性薄膜を形成するための材料を含有する液滴を前記電極上に付与することを特徴とする電子放出素子の製造方法である。
また、本発明は、基板上に設けられた対向する電極間に導電性薄膜形成用材料を含む液滴を付与し、加熱焼成工程を経て該電極の両方と接続された導電性薄膜を作製した後、該導電性薄膜に電子放出部を形成する電子放出素子の製造方法において、該電極が設けられた基板を、加水分解基の異なる2種以上のシランカップリング剤の混合物を用いて疎水化処理した後に、該液滴を付与することを特徴とする電子放出素子の製造方法である。
また、本発明は、分子中にアセトキシ基を2個以上含有するシランカップリング剤を用いて疎水化処理された基板上に、画像表示部材を形成するための材料を含有する液滴をインクジェット法により付与する工程を有することを特徴とする画像表示装置の製造方法である。
また、本発明は、加水分解基の異なる2種以上のシランカップリング剤の混合物を用いて疎水化処理された基板上に、画像表示部材を形成するための材料を含有する液滴をインクジェット法により付与する工程を有することを特徴とする画像表示装置の製造方法である。
本発明によれば、液滴を付与して電子放出素子を作製する際に、基板上での液滴の形成性を高め、電子放出素子間での電子放出特性の均一性に優れた電子放出素子の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、液滴を付与して画像表示部材を作成する際に、基板上での液滴の形成性を高め、画像表示部材間での表示特性の均一性に優れた画像表示装置を提供することができる。
本発明は、基板上に設けられた電極と、前記電極に接続された、電子放出部を有する導電性薄膜とを備える電子放出素子の製造方法であって、電極が設けられた基板を、分子中にアセトキシ基を2個以上含有するシランカップリング剤を用いて疎水化処理した後に、前記導電性薄膜を形成するための材料を含有する液滴を前記電極上に付与することを特徴とする電子放出素子の製造方法である。
また、本発明は、基板上に設けられた対向する電極間に導電性薄膜形成用材料を含む液滴を付与し、加熱焼成工程を経て該電極の両方と接続された導電性薄膜を作製した後、該導電性薄膜に電子放出部を形成する電子放出素子の製造方法において、該電極が設けられた基板を、分子中にアセトキシ基を2個以上含有するシランカップリング剤を用いて疎水化処理した後に、該液滴を付与することを特徴とする電子放出素子の製造方法である。
また、以上に述べた本発明の電子放出素子の製造方法は、前記シランカップリング剤がジアセトキシジメチルシランであることが好ましい。
また、以上に述べた本発明の電子放出素子の製造方法は、前記液滴の付与が、インクジェット方式により行われることが好ましい。
また、本発明は、基板上に設けられた電極と、前記電極に接続された、電子放出部を有する導電性薄膜とを備える電子放出素子の製造方法であって、電極が設けられた基板を、加水分解基の異なる2種以上のシランカップリング剤の混合物を用いて疎水化処理した後に、前記導電性薄膜を形成するための材料を含有する液滴を前記電極上に付与することを特徴とする電子放出素子の製造方法である。
また、本発明は、基板上に設けられた対向する電極間に導電性薄膜形成用材料を含む液滴を付与し、加熱焼成工程を経て該電極の両方と接続された導電性薄膜を作製した後、該導電性薄膜に電子放出部を形成する電子放出素子の製造方法において、該電極が設けられた基板を、加水分解基の異なる2種以上のシランカップリング剤の混合物を用いて疎水化処理した後に、該液滴を付与することを特徴とする電子放出素子の製造方法である。
また、以上に述べた本発明の電子放出素子の製造方法は、前記液滴の付与が、インクジェット方式により行われることが好ましい。
また、以上に述べた本発明の電子放出素子の製造方法は、前記2種以上のシランカップリング剤のうちの一つが、分子中にアセトキシ基を2個以上含有するシランカップリング剤であることが好ましい。
また、以上に述べた本発明の電子放出素子の製造方法は、前記分子中にアセトキシ基を2個以上含有するシランカップリング剤が、ジアセトキシジメチルシランであることが好ましい。
また、以上に述べた本発明の電子放出素子の製造方法は、前記2種以上のシランカップリング剤のうちの一つが、分子中にアセトキシ基を有し、他の一つが、分子中にエトキシ基を有することが好ましい。
また、以上に述べた本発明の電子放出素子の製造方法は、前記液滴の付与は、インクジェット方式により行われることが好ましい。
また、本発明は、分子中にアセトキシ基を2個以上含有するシランカップリング剤を用いて疎水化処理された基板上に、画像表示部材を形成するための材料を含有する液滴をインクジェット法により付与する工程を有することを特徴とする画像表示装置の製造方法である。
また、本発明は、加水分解基の異なる2種以上のシランカップリング剤の混合物を用いて疎水化処理された基板上に、画像表示部材を形成するための材料を含有する液滴をインクジェット法により付与する工程を有することを特徴とする画像表示装置の製造方法である。
また、以上に述べた本発明の画像表示装置の製造方法は、前記画像表示部材が、電極上に配置された部材であって、前記液滴は、当該電極上に付与されることが好ましい。
また、以上に述べた本発明の画像表示装置の製造方法は、前記画像表示部材が、そこに電子が流れる部材であることが好ましい。
また、以上に述べた本発明の画像表示装置の製造方法は、前記画像表示部材が、そこから電子を放出する部材であることが好ましい。
また、以上に述べた本発明の画像表示装置の製造方法においてて、好ましく用いられるシランカップリング剤は、本発明の電子放出素子の製造方法で好ましく用いられる上述のシランカップリング剤と同様である。
尚、本発明が適用される好ましい画像表示装置は、液晶表示装置(LCD)、EL表示装置(ELD)、FE表示装置(FED)、また、後述する表面伝導型電子放出素子を用いた表示装置などである。
上記液晶表示装置の場合、本発明に係る画像表示部材としては、カラーフィルターが好ましく適用され、また、EL表示装置の場合、本発明に係る画像表示部材としては、ホール輸送層、両性輸送層、電子輸送層などの各輸送層が好ましく適用され、上記FE表示装置の場合、本発明に係る画像表示部材としては、エミッターが好ましく適用され、また、後述する表面伝導型電子放出素子にあっては、電子放出部を有する導電性薄膜が好ましく適用される。
以下、まず表面伝導型電子放出素子などの、一対の電極と、これら電極間に、電子放出部を有する導電性薄膜を備える電子放出素子を例に、詳述する。
本発明者は基板上に対向する電極間に導電性薄膜形成用材料を含む溶液の液滴を付与して電子放出素子を製造する場合に、均一性に優れた良好な素子を作製するためには前記液滴を基板上に付与する工程が重要と考え精度よく液滴を付与する方法について検討した結果、アセトキシ基を2個以上含有するシランカップリング剤を用いて基板を処理した後に液滴を付与することにより良好な電子放出素子が作製可能であることを見出し本発明に至った。アセトキシ基を有するシランカップリング剤は、アセトキシ基の加水分解反応性が高いため短時間でガラス表面へ結合可能であり、またアセトキシ基を2個以上含有するシランカップリング剤では加水分解したシランカップリング剤同士の反応性も高いため、基板一部に汚れ等があって基板とシランカップリング剤が反応できない場合でも連鎖したシランカップリング剤の一部が基板表面に結合することで基板の撥水性を発現可能と考えられる。従ってアセトキシ基を2個以上含有するシランカップリング剤を用いて基板を処理することにより液滴の形成性を高め基板表面に多少の汚れ等があっても十分な疎水性を付与してバラツキの少ない均一性の優れた電子放出素子の製造が可能となる。なお、液滴の形成性が高いとは、基板上に付着した液滴が所望の大きさに再現性良く形成できることを意味する。
また、本発明者は基板上に対向する電極間に導電性薄膜形成用材料を含む溶液の液滴を付与して電子放出素子を製造する場合に、加水分解基の異なる2種以上のシランカップリング剤の混合物を用いて、すなわち反応性の異なるシランカップリング剤の混合物を用いて、基板を処理した後に液滴を付与することにより良好な電子放出素子が作製可能であることをも見出し本発明に至った。任意のシランカップリング剤を用いて基板の表面エネルギーが所望の状態に制御しきれない場合に有効な手法であり、組み合わせるシランカップリング剤の種類によって、また混合する量比によって基板の表面エネルギーを制御可能となる。また、この場合、混合される少なくとも一種のシランカップリング剤として、上述のアセトキシ基を2個以上含有するシランカップリング剤を用いることがより好ましい。たとえばジアセトキシジメチルシランによる疎水化処理によって基板の表面エネルギーが低くなり液滴の形成が所望のとおりにいかない場合は、ジアセトキシジメチルシランとジエトキシジメチルシランとを混合して用いて基板処理を行なうことにより液滴の形成が改善される。
〔シランカップリング剤による疎水化処理〕
アセトキシ基を2個以上含有するシランカップリング剤としては、ジアセトキシジメチルシラン、ジアセトキシジフェニルシラン、ジアセトキシメチルフェニルシラン、ジアセトキシメチルシラン、ジアセトキシメチルビニルシラン、トリアセトキシメチルシラン、トリアセトキシフェニルシラン、トリアセトキシビニルシラン等を挙げることができるが、特にジアセトキシジメチルシランが好適に用いられる。
アセトキシ基以外の加水分解基を有するシランカップリング剤としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、2−メトキシエトキシ基、アミノ基、ビニル基、塩素基、臭素基、アリロキシ基、ジエチルアミノキシ基等を有するシランカップリング剤を挙げることができ、特にエトキシ基を有するシランカップリング剤が好適に用いられる。
対向する電極が設けられた基板を、シランカップリング剤を用いて疎水化処理するには、まずこの基板にシランカップリング剤を付着させる。シランカップリング剤を付着させるには公知の方法によれば良く、例えば、シランカップリング剤は原液のまま用いて蒸気として基板に付着させる方法、シランカップリング剤をアルコール水溶液と混合し、この混合物に基板を浸漬させる方法、この混合物を基板に吹き付け塗布する方法を採用できる。シランカップリング剤を基板に付着させた後は基板を室温で放置するか、または例えば120℃程度のベーク処理を行い基板を疎水化することができる。
尚、加水分解基の異なる2種以上のシランカップリング剤を混合して用い処理する場合は、基板の疎水化を効率的に行なうためシランカップリング剤を混合後時間を経過させずに速やかに基板処理に用いることが望ましい。
〔導電性薄膜形成〕
上記疎水化処理を行った後、対向する電極間に導電性薄膜を形成するために、まず電極間に導電性薄膜形成用材料を含む溶液の液滴を付与する。その方法としてはインクジェット方式が好適であり、インクジェット方式にはピエゾ素子等のメカニカルな衝撃により液滴を発生付与するものや、微小ヒータ等で液を加熱し突沸により液滴を発生付与するバブルジェット方式などがある。
前記液滴付与工程においては基板上の同一位置に液滴を必ずしも一回付与するのみに限る必要はなく、液滴を複数回付与して所望量の導電性薄膜形成用材料を基板上に与えてもよい。
本発明で用いることのできる導電性薄膜形成用材料は金属化合物であって、例えば白金やパラジウムの金属塩あるいは金属錯体が挙げられる。前記金属化合物の金属濃度範囲は、用いる金属化合物の種類によって最適な範囲が多少異なるが、一般には質量で0.1%以上8%以下の範囲が適当である。
液滴付与方法としてインクジェット方式を利用する場合はインクジェット吐出性の面から水系材料を吐出するのが好ましく、そのため用いる金属化合物は水溶性のものが好適であり、金属のエタノールアミン・カルボン酸錯体などが望ましい。
導電性薄膜形成用材料を含む溶液は、前記金属化合物を主に水に溶解して調製されるが、さらに水溶性多価アルコール、水溶性一価アルコール、ポリビニルアルコールなどを含有することが望ましい。
基板上に付与された導電性薄膜形成用材料を含む溶液を、加熱焼成工程に付すことよって導電性薄膜を形成することができる。加熱焼成工程においてはまず、公知の自然乾燥、送風乾燥、熱乾燥等の乾燥工程、例えば70℃ないし130℃の電気乾燥器に30秒ないし2分程度入れることにより乾燥することができる。次に公知の加熱手段を用いて焼成工程によって焼成することができる。焼成の温度は有機金属化合物が分解するに充分な温度である。前記の乾燥工程と焼成工程とは必ずしも区別された別工程として行なう必要はなく、連続して同時に行なってもかまわない。
〔表面伝導型電子放出素子〕
表面伝導型電子放出素子の製造について説明する。
これらの表面伝導型電子放出素子の典型的な素子構成としてM.ハートウェルの素子構成を、図1に示した模式図をもとに説明する。
図1において1はガラス等からなる基板であり、その大きさおよびその厚みは、その上に設置される電子放出素子の個数、および個々の素子の設計形状、および電子源の使用時に容器の一部を構成する場合には、その容器を真空に保持するための耐大気圧構造等の力学的条件等に依存して適宜設定される。
ガラスの材質としては、廉価な青板ガラスを使う事が一般的であるが、この上にナトリウムブロック層として、例えば厚さ0.5μm程度のシリコン酸化膜をスパッタ法で形成した基板等を用いることが好ましい。この他にナトリウムが少ないガラスや、石英基板でも作成可能である。
また素子電極2、3の材料としては、一般的な導体材料が用いられ、例えばNi、Cr、Au、Mo、Pt、Ti等の金属やPd−Ag等の金属が好適であり、あるいは金属酸化物とガラス等から構成される印刷導体や、ITO等の透明導電体等から適宜選択され、その膜厚は、好ましくは数十nmから数μmの範囲が適当である。
この時の素子電極間隔L、素子電極長さW、素子電極2、3の形状等は、実素子が応用される形態等に応じて適宜設計されるが、間隔Lは好ましくは数百nmから1mmであり、より好ましくは素子電極間に印加する電圧等を考慮して1μmから100μmの範囲である。また、素子電極長さWは、好ましくは電極の抵抗値、電子放出特性を考慮して、数μmから数百μmの範囲である。
さらにこの素子電極には、市販の白金Pt等の金属粒子を含有したペーストを、オフセット印刷等の印刷法によって塗布形成することができる。またより精密なパターンを得る目的で、白金Pt等を含有する感光性ペーストを、スクリーン印刷等の印刷法で塗布し、フォトマスクを用いて露光、現像するという工程でも形成可能である。
この後、素子電極2、3を跨ぐ形で、電子源となる導電性薄膜4を作成する。導電性薄膜としては、良好な電子放出特性を得るために、微粒子で構成された微粒子膜が特に好ましい。またその膜厚は、素子電極2、3へのステップカバレージ、素子電極間の抵抗値、および後述するフォーミング処理条件等を考慮して適宜設定されるが、好ましくは1nmから数百nmであり、特に好ましくは1nmから50nmの範囲とするのが良い。
本発明者らの研究によると導電性膜材料には、一般にはパラジウムPdが適しているが、これに限ったものではない。また成膜形成方法も、スパッタ法、溶液塗布後に焼成する方法などが適宜用いられる。
後述の実施例では有機パラジウム溶液を塗付後、焼成して酸化パラジウムPdO膜を形成する方法を選んだ。
導電性膜4を形成した後、導電性膜に通電して内部に亀裂を生じさせて電子放出部5を形成するフォーミング工程を経て、表面伝導型電子放出素子を得ることができる。フォーミング工程の後に、電子放出効率を向上させるための活性化工程を行うことが好ましい。
実施例では、導電性膜形成後、水素が共存する還元雰囲気下で導電性膜に通電加熱し、パラジウムPd膜とし、同時に亀裂部を形成した。これが電子放出部5を形成することになる。
尚、図1においては図示の便宜から、電子放出部5は導電性薄膜4の中央に矩形の形状で示したが、これは模式的なものであり、実際の電子放出部の位置や形状を忠実に表現しているわけではない。
(実施例1)
本実施例の電子放出素子として図1に示すタイプの電子放出素子を作成した。図1(a)は本素子の平面図を、図1(b)は断面図を示している。また図1中の1は絶縁性基板、2および3は素子に電圧を印加するための素子電極、4は電子放出部を含む薄膜、5は電子放出部を示す。なお図中のLは素子電極2と素子電極3の素子電極間隔、Wは素子電極の幅、W’は素子の幅を表している。
図2〜6を用いて本実施例の電子放出素子の製造方法を述べる。図2〜6はマトリクス状に電子放出素子を有する基板の平面図である。図2〜6において、21は電子源基板、22、23は素子電極、24はY方向配線、25は絶縁性膜、26はX方向配線、27は表面伝導型電子放出素子膜であり、電子放出部を形成している。以下この素子の作成方法を、図2から図6を用いて説明する。
〔ガラス基板 素子電極形成〕
図2に示すように、基板21上に対向する電極22および23を形成した。画素数7×7とし、従って対向する電極は49対ある。
基板21として、アルカリ成分が少ないPD−200(商品名、旭硝子(株)社製)の2.8mm厚ガラスを用い、更にこの上にナトリウムブロック層としてSiO2膜100nmを塗付焼成したものを用いた。
さらに素子電極22,23は、ガラス基板21上に、スパッタ法によってまず下引き層としてチタニウムTiを5nm、その上に白金Ptを40nmを成膜した後、ホトレジストを塗布し、露光、現像、エッチングという一連のフォトリソグラフィー法によってパターニングして形成した。
本実施例では素子電極の間隔L=10μm、幅W=100μmとした。
〔下配線形成と絶縁膜形成〕
X配線とY配線の配線材料に関しては、多数の表面伝導型素子にほぼ均等な電圧が供給されるように低抵抗である事が望まれ、材料、膜厚、配線巾等が適宜設定される。
図3に示すように、共通配線としてのY方向配線(下配線)24は、素子電極の一方23に接して、かつそれらを連結するようにライン状のパターンで形成した。材料には銀Agフォトぺーストインキを用い、スクリーン印刷した後、乾燥させてから、所定のパターンに露光し現像した。この後480℃前後の温度で焼成して配線を形成した。
配線の厚さ約10μm、幅50μmである。なお終端部は配線取り出し電極として使うために、線幅をより大きくした。
〔絶縁膜形成〕
図4に示すように、上下配線を絶縁するために、層間絶縁層25を配置する。後述のX配線(上配線)下に、先に形成したY配線(下配線)との交差部を覆うように、かつ上配線(X配線)と素子電極の他方22との電気的接続が可能なように、接続部にコンタクトホール28を開けて形成した。
工程はPbOを主成分とする感光性のガラスペーストをスクリーン印刷した後、露光−現像した。これを4回繰り返し、最後に480℃前後の温度で焼成した。この層間絶縁層の厚みは、全体で約30μmであり、幅は150μmである。
〔上配線形成〕
図5に示すように、X方向配線(上配線)26は、先に形成した絶縁膜25の上に、Agぺーストインキをスクリーン印刷した後乾燥させ、この上に再度同様なことを行い2度塗りしてから、480℃前後の温度で焼成した。上記絶縁膜25を挟んでY方向配線(下配線)24と交差しており、絶縁膜のコンタクトホール部分28で素子電極の他方22とも接続されている。
この配線によって他方の素子電極22は連結されており、パネル化した後は走査電極として作用する。
このX方向配線の厚さは、約15μmである。外部駆動回路との引出し配線もこれと同様の方法で形成した。
図示していないが、外部駆動回路への引出し端子もこれと同様の方法で形成した。
このようにしてXYマトリクス配線を有する基板が形成された。
〔疎水化処理〕
上記基板を十分にクリーニングした後、ジアセトキシジメチルシランを用いて基板表面を疎水化処理した。具体的にはジアセトキシジメチルシランの蒸気を飽和させた容器内に基板を設置し、室温(約25℃)にて30分間放置した後、基板を容器から取り出して120℃で15分間加熱し、シランカップリング剤を基板に結合させた。
〔素子膜形成〕
その後図6に示すように、素子電極間にインクジェット塗布方法により、素子膜27を形成した。実際の工程では、基板上における個々の素子電極の平面的ばらつきを補償するために、基板上の数箇所に於いてパターンの配置ずれを観測し、観測点間のポイントのずれ量は直線近似して位置補完し、塗付する事によって、全画素の位置ずれをなくして、対応した位置に的確に塗付するように努めた。
より具体的には、パラジウム−プロリン錯体1.0質量%、88%ケン化ポリビニルアルコール(平均重合度500)0.1質量%、エチレングリコール1.0質量%、2−プロパノール30質量%を水に溶解後ポアサイズ0.25μmのメンブレンフィルターでろ過したパラジウム化合物溶液を作製し、ピエゾ素子を用いたインクジェット噴射装置を用いドット径が60μmとなるように調整して電極間に付与して49個の電子放出素子を作製した。これを大気雰囲気350℃のオーブン中で15分加熱して前記金属化合物を基板上で分解堆積させ電子放出部形成用薄膜であるPdO膜を生成した。
得られた電子放出素子の素子長、すなわち導電性薄膜形成用材料を含む溶液の液滴径を光学顕微鏡で観察して測定したところ、49個の平均液滴径は59μmで、バラツキは3%であった。
〔還元フォーミング〕
フォーミングと呼ばれる本工程に於いて、上記導電性薄膜を通電処理して内部に亀裂を生じさせ、電子放出部を形成する。
具体的な方法は、上記基板の周囲の取り出し電極部を残して、基板全体を覆うようにフード状の蓋をかぶせて基板との間で内部に真空空間を作り、外部電源より電極端子部からXY配線間に電圧を印加し、素子電極間に通電する事によって、導電性薄膜を局所的に破壊、変形もしくは変質させることにより、電気的に高抵抗な状態の電子放出部を形成することができる。
この時若干の水素ガスを含む真空雰囲気下で通電加熱すると、水素によって還元が促進され酸化パラジウムPdOがパラジウムPd膜に変化する。
この変化時に膜の還元収縮によって、一部に亀裂が生じるが、この亀裂発生位置、及びその形状は元の膜の均一性に大きく影響される。
多数の素子の特性ばらつきを抑えるのに、上記亀裂は中央部に起こり、かつなるべく直線状になることが好ましい。
なおこのフォーミングにより形成した亀裂付近からも、所定の電圧下では電子放出が起こるが、この段階ではまだ発生効率が低い。
また得られた導電性薄膜4の抵抗値Rsは、102から107Ωの値である。
フォーミング処理に用いた電圧波形について簡単に紹介する。図7にこの説明図を示す。
印加した電圧はパルス波形を用いたが、パルス波高値が定電圧のパルスを印加する場合(図7(a))と、パルス波高値を増加させながら印加する場合(図7(b))とがある。
図7(a)に於いて、T1及びT2は電圧波形のパルス幅とパルス間隔であり、T1を1μsec〜10msec、T2を10μsec〜100msecとし、三角波の波高値(フォーミング時のピーク電圧)は適宜選択する。
図7(b)では、T1及びT2の大きさは同様にとり、三角波の波高値(フォーミング時のピーク電圧)を、例えば0.1Vステップ程度ずつ増加させる。
なお、フォーミング処理の終了は、フォーミング用パルスの間に、導電性膜4を局所的に破壊、変形しない程度の電圧、例えば0.1V程度のパルス電圧を挿入して素子電流を測定し、抵抗値を求め、例えばフォーミング処理前の抵抗に対して1000倍以上の抵抗を示した時点で、フォーミングを終了とした。
〔活性化−カーボン堆積〕
先に述べたように、フォーミングを行った状態では電子発生効率は低いものである。よって電子放出効率を上げるために、上記素子に活性化と呼ばれる処理を行うことが望ましい。
この処理は有機化合物が存在する適当な真空度のもとで、前記のフォーミングと同様にフード状の蓋をかぶせて基板との間で内部に真空空間を作り、外部からXY配線を通じてパルス電圧を素子電極に繰り返し印加することによって行う。そして炭素原子を含むガスを導入し、それに由来する炭素あるいは炭素化合物を、前記亀裂近傍にカーボン膜として堆積させる工程である。
本工程ではカーボン源としてトルニトリルを用い、スローリークバルブを通して真空空間内に導入し、1.3×10-4Paを維持した。導入するトルニトリルの圧力は、真空装置の形状や真空装置に使用している部材等によって若干影響されるが、1×10-5Pa〜1×10-2Pa程度が好適である。
図8(a)、(b)に、活性化工程で用いられる電圧印加の好ましい一例を示した。印加する最大電圧値は、10〜20Vの範囲で適宜選択される。図8(a)中、T1は、電圧波形の正と負のパルス幅、T2はパルス間隔であり、電圧値は正負の絶対値が等しく設定されている。また、図8(b)中、T1およびT1’はそれぞれ、電圧波形の正と負のパルス幅、T2はパルス間隔であり、T1>T1’、電圧値は正負の絶対値が等しく設定されている。
このとき、図8に示すような装置を用いて通電を行うことができるが、図8に示すように、素子電極3に与える電圧を正としており、素子電流Ifは、素子電極3から素子電極2へ流れる方向が正である。約60分後に放出電流Ieがほぼ飽和に達した時点で通電を停止し、スローリークバルブを閉め、活性化処理を終了した。
以上の工程で、電子源素子を有する基板を作成する事ができた。
本実施例で作成した49個の素子について、素子電極間に印加する電圧12Vにおける放出電流Ieを測定した結果平均0.6μA、電子放出効率は平均0.15%を得た。また素子間の均一性もよく、各素子間でのIeのばらつきは9%と良好な値が得られた。
(実施例2)
シランカップリング剤としてジアセトキシジメチルシランの替わりにジアセトキシメチルフェニルシランを用いた以外は実施例1と同様にして実施例2の電子放出素子を作製した。
得られた電子放出素子の素子長、すなわち導電性薄膜形成用材料を含む溶液の液滴径を実施例1と同様に光学顕微鏡で観察して測定したところ、49個の平均液滴径は57μmで、バラツキは4%であった。
また実施例1と同様にして測定した電子放出特性は、素子電極間に印加する電圧12Vにおける放出電流Ieの平均0.6μA、電子放出効率は平均0.16%を得た。また素子間の均一性もよく、各素子間でのIeのばらつきは9%と良好な値が得られた。
(実施例3)
シランカップリング剤としてジアセトキシジメチルシランの替わりにジアセトキシジフェニルシランを用いた以外は実施例1と同様にして実施例3の電子放出素子を作製した。
得られた電子放出素子の素子長、すなわち導電性薄膜形成用材料を含む溶液の液滴径を実施例1と同様に光学顕微鏡で観察して測定したところ、49個の平均液滴径は57μmで、バラツキは2%であった。
また実施例1と同様にして測定した電子放出特性は、素子電極間に印加する電圧12Vにおける放出電流Ieの平均0.7μA、電子放出効率は平均0.18%を得た。また素子間の均一性もよく、各素子間でのIeのばらつきは6%と良好な値が得られた。
(実施例4)
シランカップリング剤としてジアセトキシジメチルシランの替わりにジアセトキシジメチルシランとジエトキシジメチルシランの5:95(質量比)混合液を用いた以外は実施例1と同様にして実施例4の電子放出素子を作製した。
得られた電子放出素子の素子長、すなわち導電性薄膜形成用材料を含む溶液の液滴径を実施例1と同様に光学顕微鏡で観察して測定したところ、49個の平均液滴径は61μmで、バラツキは4%であった。
また実施例1と同様にして測定した電子放出特性は、素子電極間に印加する電圧12Vにおける放出電流Ieの平均0.6μA、電子放出効率は平均0.16%を得た。また素子間の均一性もよく、各素子間でのIeのばらつきは11%と良好な値が得られた。
(実施例5)
シランカップリング剤としてジアセトキシジメチルシランの替わりにジアセトキシジメチルシランとジエトキシジメチルシランの1:99(質量比)混合液を用いた以外は実施例1と同様にして実施例5の電子放出素子を作製した。
得られた電子放出素子の素子長、すなわち導電性薄膜形成用材料を含む溶液の液滴径を実施例1と同様に光学顕微鏡で観察して測定したところ、49個の平均液滴径は63μmで、バラツキは5%であった。
また実施例1と同様にして測定した電子放出特性は、素子電極間に印加する電圧12Vにおける放出電流Ieの平均0.6μA、電子放出効率は平均0.16%を得た。また素子間の均一性もよく、各素子間でのIeのばらつきは12%と良好な値が得られた。
(実施例6)
本実施例は図11に示す装置により大判の基板を処理した例である。図11(a)において、1101は実施例1と同様の素子電極を画素数200×200で形成した基板、1102は基板を設置する処理容器、1103および1104は処理容器への処理剤供給容器、1105は基板加熱用ヒーター、1106は処理剤導入口であり、これは導入ノズルを多数分岐させ、さらにステンレスメッシュによって処理剤を拡散させる機構となっている。1107は処理剤排気口、1108は処理容器からの処理剤排気用ポンプ、1109は開閉バルブ、1110は配管加熱用ヒーターである。
処理剤供給容器1103には、図11(b)に示すような供給系を設けた。図11(b)において、1103は処理剤を収容してキャリヤガスをハブリングするための容器、1111はキャリヤガスの流量を調整する流量計、1112は処理剤収容容器全体を任意の温度に設定できるヒーターである。キャリアガスとしては窒素ガスを使用した。なお、処理剤供給容器1104も上記1103と同様の構造になっている。
本実施例では、まず、処理剤供給容器1103に処理剤としてジアセトキシジメチルシランを収容し、ヒーター1112を50℃に、処理基板加熱用ヒーター1105および配管加熱用ヒーター1110を80℃にした。
十分にクリーニングした基板1101をヒーター1105上に設置し、排気ポンプ1108で処理容器1102内を1.0kPaまで減圧した。また、ヒーター1105を130℃に昇温させた。
排気ポンプ1108を作動させたままバルブ1109を開き、キャリアガスを10L/minで流し、処理剤を基板1101に吹き付けて反応させた。なお、反応処理時間は3分間とした。
3分後、バルブ1109を閉じ、そのまま排気ポンプ1108で十分未反応処理剤を除いた。バルブを閉じた時点での処理容器内圧力は約8kPaであった。その後、処理容器1102を大気圧に戻し、基板1101を取り出した。
このようにして疎水化処理を行った後の工程は実施例1と同様にして実施例6の電子放出素子を作製した。
得られた電子放出素子の素子長、すなわち導電性薄膜形成用材料を含む溶液の液滴径を実施例1と同様に光学顕微鏡で観察して測定したところ、平均液滴径は61μmで、バラツキは2%であった。
また実施例1と同様にして測定した電子放出特性は、素子電極間に印加する電圧12Vにおける放出電流Ieの平均0.6μA、電子放出効率は平均0.15%を得た。また素子間の均一性もよく、各素子間でのIeのばらつきは9%と良好な値が得られた。
(実施例7)
実施例1と同様の素子電極を画素数200×200で形成した基板を用い、図11(b)に示した処理剤供給容器1103にジアセトキシジメチルシランを、1104にジエトキシジメチルシランを収容し、他は実施例6と同様にして実施例7の電子放出素子を作製した。
得られた電子放出素子の素子長、すなわち導電性薄膜形成用材料を含む溶液の液滴径を実施例1と同様に光学顕微鏡で観察して測定したところ、平均液滴径は62μmで、バラツキは3%であった。
また実施例1と同様にして測定した電子放出特性は、素子電極間に印加する電圧12Vにおける放出電流Ieの平均0.6μA、電子放出効率は平均0.16%を得た。また素子間の均一性もよく、各素子間でのIeのばらつきは10%と良好な値が得られた。
(実施例8)
実施例1で作製した電子放出素子を用い、画像表示装置を製造した。その製造方法を図9を用いて説明する。
〔封着−パネル化〕
図9において、80は電子放出素子が多数配置された電子源基板を指し、81はガラス基板であって、リアプレートと呼ぶ。82はガラス基板83の内面に蛍光膜84とメタルバック85等が形成されたフェースプレートである。86は支持枠であり、リアプレート81、支持枠86及びフェースプレート82をフリットガラスによって接着し、400〜500℃で、10分以上焼成することで、封着して、外囲器90を構成する。
この一連の工程を全て真空チャンバー中で行う事で、同時に外囲器90内部を最初から真空にすることが可能となり、かつ工程もシンプルにすることが可能になった。
図9において、87は本発明の製造方法で製造した電子放出素子である。88、89は、表面伝導型電子放出素子の一対の素子電極と接続されたX方向配線及びY方向配線である。
一方、フェースプレート82、リアプレート81間に、スペーサーと呼ばれる不図示の支持体を設置することにより、大面積パネルの場合にも大気圧に対して十分な強度を持つ外囲器90を構成することもできる。
図10はフェースプレート上に設ける蛍光膜の説明図である。蛍光膜84は、モノクロームの場合は蛍光体のみから成るが、カラーの蛍光膜の場合は、蛍光体の配列によりブラックストライプあるいはブラックマトリクスなどと呼ばれる黒色導電体91と蛍光体92とで構成される。ブラックストライプ、ブラックマトリクスが設けられる目的は、カラー表示の場合必要となる三原色蛍光体の、各蛍光体92間の塗り分け部を黒くすることで混色等を目立たなくすることと、蛍光膜84における外光反射によるコントラストの低下を抑制することである。
また、蛍光膜84の内面側には通常メタルバック85が設けられる。メタルバックの目的は、蛍光体の発光のうち内面側への光をガラス基板82側へ鏡面反射することにより輝度を向上すること、電子ビーム加速電圧を印加するためのアノード電極として作用すること等である。メタルバックは、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理(通常フィルミングと呼ばれる)を行い、その後アルミニウムを真空蒸着等で堆積することで作製できる。
前述の封着を行う際、カラーの場合は各色蛍光体と電子放出素子とを対応させるために、上下基板の突き当て法などで十分な位置合わせを行う。
封着時の真空度は10のマイナス7乗トール程度(10-5Pa程度)の真空度が要求される他、外囲器90の封止後の真空度を維持するために、ゲッター処理を行なう場合もある。これは、外囲器90の封止を行なう直前あるいは封止後に、抵抗加熱あるいは高周波加熱等の加熱法により、外囲器内の所定の位置(不図示)に配置されたゲッターを加熱し、蒸着膜を形成する処理である。ゲッターは通常Ba等が主成分であり、該蒸着膜の吸着作用により、たとえば1×10マイナス5乗ないしは1×10マイナス7乗[Torr](10-3〜10-5Pa)の真空度を維持するものである。
〔画像表示素子〕
電子放出素子は画像表示素子として利用できる。前述した本発明にかかわる表面伝導型電子放出素子の基本的特性によれば、電子放出部からの放出電子は、しきい値電圧以上では対向する素子電極間に印加するパルス状電圧の波高値と巾によって制御され、その中間値によっても電流量が制御され、もって中間調表示が可能になる。
また多数の電子放出素子を配置した場合においては、各ラインの走査線信号によって選択ラインを決め、各情報信号ラインを通じて個々の素子に上記パルス状電圧を適宜印加すれば、任意の素子に適宜電圧を印加する事が可能となり、各素子をONすることができる。
また中間調を有する入力信号に応じて電子放出素子を変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅変調方式が挙げられる。
本発明に係る電子放出素子の一構成例を示す模式図である。 本発明の電子放出素子の製造工程例を示す工程図である(基板上に対向する電極を設けた段階)。 図2に引き続く、電子放出素子の製造工程例を示す工程図である(Y方向配線を設けた段階)。 図3に引き続く、電子放出素子の製造工程例を示す工程図である(絶縁性膜を設けた段階)。 図4に引き続く、電子放出素子の製造工程例を示す工程図である(X方向配線を設けた段階)。 図5に引き続く、電子放出素子の製造工程例を示す工程図である(電子放出素子を形成した段階)。 通電フォーミングの電圧波形の例を示すグラフである。 電子放出素子の活性化工程で用いられる電圧印加の好ましい一例を示すグラフである。 本発明の画像表示装置の表示パネルの概略構成図である。 フェースプレート上に設ける蛍光膜を説明するための模式図である。 実施例6、7における表面処理に用いた装置の模式図である。
符号の説明
1 絶縁性薄膜
2、3 素子電極
4 導電性膜
5 電子放出部
21 電子源基板
22、23 素子電極
24 Y方向配線
25 絶縁性膜
26 X方向配線
27 表面伝導型電子放出素子膜
28 コンタクトホール
80 電子源基板
81 リアプレート
82 フェースプレート
83 ガラス基板
84 蛍光膜
85 メタルバック
86 支持枠
87 電子放出素子
88 X配線
89 Y配線
90 外囲器
91 黒色導電体
92 蛍光体
1101 基板
1102 処理容器
1103 処理剤供給容器
1104 処理剤供給容器
1105 基板加熱用ヒーター
1106 処理剤導入口
1107 処理剤排気口
1108 処理剤排気用ポンプ
1109 開閉バルブ
1110 配管加熱用ヒーター
1111 流量計
1112 ヒーター

Claims (9)

  1. 基板上に設けられた電極と、前記電極に接続された、電子放出部を有する導電性薄膜とを備える電子放出素子の製造方法であって、電極が設けられた基板を、分子中にアセトキシ基を2個以上含有するシランカップリング剤を用いて疎水化処理した後に、前記導電性薄膜を形成するための材料を含有する液滴を前記電極上に付与することを特徴とする電子放出素子の製造方法。
  2. 前記シランカップリング剤がジアセトキシジメチルシランであることを特徴とする請求項1に記載の電子放出素子の製造方法。
  3. 基板上に設けられた電極と、前記電極に接続された、電子放出部を有する導電性薄膜とを備える電子放出素子の製造方法であって、電極が設けられた基板を、加水分解基の異なる2種以上のシランカップリング剤の混合物を用いて疎水化処理した後に、前記導電性薄膜を形成するための材料を含有する液滴を前記電極上に付与することを特徴とする電子放出素子の製造方法。
  4. 前記2種以上のシランカップリング剤のうちの一つが、分子中にアセトキシ基を2個以上含有するシランカップリング剤であることを特徴とする請求項3に記載の電子放出素子の製造方法。
  5. 前記分子中にアセトキシ基を2個以上含有するシランカップリング剤が、ジアセトキシジメチルシランであることを特徴とする請求項4に記載の電子放出素子の製造方法。
  6. 前記2種以上のシランカップリング剤のうちの一つが、分子中にアセトキシ基を有し、他の一つが、分子中にエトキシ基を有することを特徴とする請求項4又は5に記載の電子放出素子の製造方法。
  7. 前記液滴の付与は、インクジェット方式により行われることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の電子放出素子の製造方法。
  8. 分子中にアセトキシ基を2個以上含有するシランカップリング剤を用いて疎水化処理された基板上に、画像表示部材を形成するための材料を含有する液滴をインクジェット法により付与する工程を有することを特徴とする画像表示装置の製造方法。
  9. 加水分解基の異なる2種以上のシランカップリング剤の混合物を用いて疎水化処理された基板上に、画像表示部材を形成するための材料を含有する液滴をインクジェット法により付与する工程を有することを特徴とする画像表示装置の製造方法。
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