JP4114477B2 - 有機el素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、陽極の上に、少なくともホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、陰極が順次積層されてなる有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機EL素子は自己発光のため、視認性に優れ、かつ数V〜数十Vの低電圧駆動が可能なため駆動回路を含めた軽量化が可能である。そこで、有機EL素子は、薄膜型ディスプレイ、照明、バックライトとしての活用が期待されている。
【0003】
また、有機EL素子は色バリエーションが豊富であることも特徴である。また、複数の発光色を組み合わせる混色によってさまざまな発光が可能となることも特徴である。
【0004】
このような有機EL素子は、基板上に陽極を形成し、この陽極の上にホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、陰極が順次積層された構成を有する(例えば特許文献1参照)。さらに、電子輸送層と陰極との間には電子注入層が存在することが多い。
【0005】
そして、陽極と陰極との間の有機層に対し、電界を印加することにより、陰極からは電子が、陽極からはホールがそれぞれ発光層へ向かって移動し、発光層にて電子とホールとが再結合し、そのエネルギーによって発光層が発光するようになっている。
【0006】
【特許文献1】
特許第2597377号公報(第3頁、第1図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、有機EL素子は、電極間(陽極と陰極との間)の距離すなわち有機層の膜厚が100nm程度であるため、基板の欠陥や基板上の導電性の異物により、リーク電流が発生して電極間が導通する。それによって、本来発光すべき部分に発光しない部分すなわち非発光部が発生する。
【0008】
非発光部の発生を抑制するためには、有機層の膜厚を厚くして、上記欠陥や異物による凹凸を緩和することが考えられる。しかし、発光層やこの発光層の両側に位置するホール輸送層および電子輸送層を厚くすると駆動電圧が上昇し、逆に非発光部の発生が増加してしまう。
【0009】
とすると、電極間に介在する層のうちホール輸送層、発光層および電子輸送層以外のホール注入層や電子注入層を厚くすることが考えられる。ここにおいて、ホール移動度は電子移動度と比較して約100倍の移動度があり、特にホール注入層中ではホール移動度が大きいため、唯一ホール注入層は膜厚を厚くしても電圧上昇はほとんどない。
【0010】
一般に、ホール注入層としては、上記特許文献1に記載されているように、ポルフィリン系化合物が用いられるが、この材料は結晶性の有機化合物であるため、膜厚の増加とともに膜表面の凹凸が増大し、その凸部分に電界が集中し、非発光部の発生につながってしまう。
【0011】
また、ホール注入層としてアモルファス性の有機化合物である芳香族第三級アミン系化合物を用いた場合、下地の陽極との密着性が弱く、特に高温での体積変化が大きいため、高温下において陽極からホール注入層が剥離しやすくなってしまう。
【0012】
そこで、本発明は上記問題に鑑み、陽極の上に、少なくともホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、陰極が順次積層されてなる有機EL素子において、有機層の膜厚を適切に厚くし、非発光部の発生を抑制できるようにすることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、陽極(20)の上に、少なくともホール注入層(30)、ホール輸送層(40)、発光層(50)、電子輸送層(60)、陰極(80)が順次積層されてなる有機EL素子において、ホール注入層は、陽極側に位置する結晶性の有機化合物からなる結晶性ホール注入層(31)とホール輸送層側に位置するアモルファス性の有機化合物からなるアモルファス性ホール注入層(32)とからなり、アモルファス性ホール注入層の方が結晶性ホール注入層よりも厚いことを特徴とする。さらに、請求項1ではく、結晶性の有機化合物がポルフィリン系化合物である銅フタロシアニンであり、ポルフィリン系化合物である銅フタロシアニンのX線回折法により現れる回折ピークの値において、有機EL素子の使用温度内の加熱による回折ピーク変化量が、加熱前の回折ピークの±25%以内になっていることを特徴とするが、この回折ピーク変化量の根拠については後述する。
【0014】
本発明は、結晶性ホール注入層はアモルファス性ホール注入層よりも陽極との密着性に優れること、および、アモルファス性ホール注入層は結晶性ホール注入層よりも膜厚の増加とともに凹凸が増大しにくいことを利用したものである。
【0015】
つまり、本発明によれば、結晶性ホール注入層によってホール注入層と陽極との密着性を確保できるとともに、アモルファス性ホール注入層の方を厚くすることによって膜表面の凹凸の増大を抑制しつつホール注入層全体を厚くすることができる。そのため、有機層の膜厚を適切に厚くすることができ、非発光部の発生を抑制することができる。
【0016】
ここで、請求項2に記載の発明のように、結晶性ホール注入層(31)の膜厚が20nm以下であり、アモルファス性ホール注入層(32)の膜厚が50nm以上であることが好ましい。
【0017】
結晶性ホール注入層は一般に色つき物質が多く、厚すぎると結晶性ホール注入層の色が有機EL素子の発光色に影響しやすい。また、結晶性ホール注入層は結晶性であるがゆえ、厚すぎると膜表面の凹凸が増大し、電界集中が生じやすく、非発光部が発生しやすくなる。これらの制約から結晶性ホール注入層の膜厚は20nm以下が好ましい。
【0018】
また、アモルファス性ホール注入層が薄すぎ、膜厚が50nmに満たないと非発光部の発生の抑制効果が十分でなくなる恐れがあるので好ましくない。よって、結晶性ホール注入層(31)の膜厚が20nm以下であり、アモルファス性ホール注入層(32)の膜厚が50nm以上であることが好ましい。
【0019】
また、請求項3に記載の発明では、請求項2の発明において、アモルファス性ホール注入層(32)の膜厚が200nm以下であることを特徴とする。アモルファス性ホール注入層の膜厚が200nmより厚いと駆動電圧が高くなりすぎるので好ましくないためである。
【0020】
また、有機EL素子に用いられる材料において、イオン化ポテンシャルエネルギーIpが小さいほどホール輸送性が大きくなり、このIpが大きいほどホール輸送性が小さくなる。そして、一般にホール輸送性の大きいものはホール注入層、小さいものはホール輸送層として用いられる。
【0021】
この点について有機ELの分野では、一般的に陽極との間のIpの差が−0.2eV以上の材料、例えば当該差が−0.1eVや−0.15eVといった材料がホール注入層として用いられる。陽極との間のIpの差が−0.2eV未満、例えば当該差が−0.3eVといった材料をホール注入層に用いると、陽極とホール注入層との間のエネルギー障壁が大きく高電圧化を招いてしまう。
【0022】
そのような観点から、本発明の有機EL素子におけるホール注入層も、陽極との間のIpの差が−0.2eV以上の材料であることが好ましい。このことは、請求項4の発明として提供される。
【0023】
すなわち、請求項4に記載の発明では、陽極(20)のイオン化ポテンシャルエネルギーから結晶性ホール注入層(31)のイオン化ポテンシャルエネルギーを差し引いた値、および陽極のイオン化ポテンシャルエネルギーからアモルファス性ホール注入層(32)のイオン化ポテンシャルエネルギーを差し引いた値が、ともに−0.2eV以上であることを特徴とする。
【0024】
また、請求項5に記載の発明では、陽極(20)のイオン化ポテンシャルエネルギーから結晶性ホール注入層(31)のイオン化ポテンシャルエネルギーを差し引いた値、および陽極のイオン化ポテンシャルエネルギーからアモルファス性のホール注入層(32)のイオン化ポテンシャルエネルギーを差し引いた値は、ともに0eV以上であることを特徴とする。
【0025】
陽極の上にホール注入層を成膜する前には、陽極表面をUVオゾン処理で清浄化するのが通常であるが、このUVオゾン処理後さらにプラズマ処理して、より陽極表面の清浄化を進めた場合には、陽極とホール注入層との間のIpの差が0eV以上となるときもある。そして、このようなIpの差でも、本発明は適用可能である。
【0026】
さらに、請求項6に記載の発明では、請求項4または請求項5の発明に加えて、結晶性ホール注入層(31)のイオン化ポテンシャルエネルギーからホール輸送層(40)のイオン化ポテンシャルエネルギーを差し引いた値、およびアモルファス性ホール注入層(32)のイオン化ポテンシャルエネルギーからホール輸送層のイオン化ポテンシャルエネルギーを差し引いた値が、ともに+0.05〜−0.4eVの範囲であることを特徴とする。
【0027】
このように、ホール注入層(31、32)との間のIpの差が+0.05〜−0.4eVである材料、例えば当該差が−0.1eVや−0.15eVといった材料を、ホール輸送層に用いることが好ましい。
【0028】
これは、ホール注入層との間のIpの差が−0.4eV未満、例えば当該差が−0.5eVといった材料をホール輸送層に用いると、ホール注入層とホール輸送層との間のエネルギー障壁が大きく高電圧化を招いてしまうためである。
【0029】
ここで、ホール注入層とホール輸送層との間のIpの差が−0.4eV以上というように、陽極とホール注入層との間のIpの差(−0.2eV)に比べてマイナスの範囲が広くなっているのは、ホール注入層とホール輸送層との間の電荷の伝達が、無機材料と有機材料との間の電荷の伝達ではなく、有機材料と有機材料との間の電荷の伝達であるためである。
【0030】
なお、結晶性ホール注入層(31)とアモルファス性ホール注入層(32)との間のIpの差は、好ましくは±0.2eV以下、さらに好ましくは±0.1eV以下である。この差が大きいと高電圧化を招いてしまうためである。
【0031】
ここで、上述したように、請求項1の発明では、結晶性ホール注入層を構成する結晶性の有機化合物としては、ポルフィリン系化合物を採用することができ、具体的にポルフィリン系化合物としては、銅フタロシアニン(CuPc)を採用す。また、請求項7の発明のように、アモルファス性ホール注入層を構成するアモルファス性の有機化合物としては、芳香族第三級アミン系化合物を採用することができる。
【0032】
さらに、高温環境下での安定性を向上させるには、ポルフィリン系化合物の密着性、特に、陽極との界面の密着性を向上させる必要がある。これは、両者の線膨張係数の差が大きいためと考えられる。そこで、陽極と接する結晶性ホール注入層としては、高結晶化させた、形態変化の小さいポルフィリン系化合物層を設けることが好ましい。
【0033】
そこで、本発明者は、陽極と接する結晶性ホール注入層としてポルフィリン系化合物であるCuPcを採用した場合について、そのCuPc膜の結晶状態の変化に着目した。
【0034】
その結果、高温環境下の放置前後で、このCuPc膜の結晶状態が大きく異なることを見出した。このCuPc膜の結晶状態の変化について、具体的に調べた結果を示す。
【0035】
この結晶状態変化の確認は効率良く行うため、放置環境温度を120℃と高くして加速し、放置時間は2Hrで評価することとした。以下、この条件における放置を加速高温放置という。
【0036】
ガラス基板上に、ITO(インジウム−スズの酸化物)からなる陽極を形成し、アルゴンと酸素混合のプラズマによる表面処理を陽極表面に施した後、陽極上にCuPcを成膜した。この場合におけるCuPc膜の結晶性の状態を、上記加速高温放置の前と後でX線回折によって分析した結果を図7に示す。
【0037】
図7に示すように、回折ピークにおいて、2θ=6.68°に発生しているピークがCuPcの結晶構造に由来している。図7では、このピークにおいて実線で図示するものが加速高温放置の前のピークすなわち初期のピークであり、破線で図示するものが加速高温放置の後のピークすなわち120℃、2Hr後のピークである。
【0038】
そして、このピーク値の積分値が大きい、すなわちピーク値が高いほど、CuPc膜の結晶性が高いことを示している。図7では、120℃、2Hrの加速高温放置によって、当該ピーク値(積分値)が加速高温放置前の1.5倍に変化している。
【0039】
このことから、本発明者等は、結晶性ホール注入層であるCuPc膜上にアモルファス性ホール注入層やホール輸送層、発光層、電子輸送層、陰極等が成膜された後、つまり、発光素子形態になってから、CuPc膜がこのような結晶状態の変化を起こすことが、CuPc膜の密着性の低下を引き起こす原因であると考えた。
【0040】
つまり、結晶性を有するCuPc膜の結晶性ができるだけ高くなるように成膜すれば、CuPc膜の密着性、特に、陽極との界面の密着性を向上させることができると考えた。
【0041】
そして、鋭意検討の結果、上記請求項に記載の発明のように、ポルフィリン系化合物である銅フタロシアニン(CuPc)のX線回折法により現れる回折ピークの値において、有機EL素子の使用温度内の加熱による回折ピーク変化量が、加熱前の回折ピークの±25%以内になっているものであれば、よいことがわかった。
【0042】
このように、結晶性ホール注入層としてのCuPc膜の高温環境下における結晶形態の変化を小さくすれば、CuPc膜の密着性を向上できる。また、温度変化により生じるCuPc膜の凹凸を極力低減し、ショートやリークの発生を抑制できる。
【0043】
さらに検討を進めたところ、本発明の有機EL素子においては、陰極にAl(アルミニウム)を用いた場合にアモルファス性ホール注入層の膜厚によっては、輝度寿命の低下が見られた。この原因は次のように考えられる。
【0044】
Al陰極の下の有機層においては、アモルファス性ホール注入層の両界面、例えば、ホール輸送層とアモルファス性ホール注入層との界面やアモルファス性ホール注入層と結晶性ホール注入層との界面、といった界面の密着性が弱い。
【0045】
そのため、これらアモルファス性ホール注入層の界面に対して、Al陰極の応力および熱により増幅される応力が印加されると、界面剥離が発生すると考えられる。このことが輝度寿命の低下を生じさせる原因と考えられる。
【0046】
そこで、アモルファス性ホール注入層の膜厚を大きくすれば、Al陰極からの応力を緩和し易くできるのではないかと考え、Al陰極やアモルファス性ホール注入層の膜厚やこれら両者の膜厚の比に着目して検討を進めた。
【0047】
その結果、アモルファス性ホール注入層の膜厚BとAl陰極の膜厚Aとの比B/Aが所定の範囲であるときや、Al陰極の膜厚やアモルファス性ホール注入層の膜厚が所定の範囲にあるときに、有機EL素子の輝度寿命の悪化が抑制されることを実験的に見出した(図5、図6参照)。
【0048】
すなわち、請求項に記載の発明では、陰極(80)がAlであり、アモルファス性ホール注入層(32)の膜厚Bと前記陰極の膜厚Aとの比B/Aが0.6以上であることを特徴とする。
【0049】
それによれば、さらに、有機EL素子の輝度寿命の悪化を抑制することができる。
【0050】
ここで、請求項9に記載の発明のように、上記比B/Aの上限は5.0にすることができる。これは、上述したように、アモルファス性ホール注入層の膜厚が200nmより厚いと駆動電圧が高くなりすぎ、実用的でないことから、アモルファス性ホール注入層の膜厚が200nm以下が好ましいことに起因する。アモルファス性ホール注入層の膜厚の上限を200nmとすると、駆動電圧を考慮したAlの膜厚が40nm以上であることから、上記比B/Aは5.0が上限として決められる。
【0051】
また、請求項10に記載の発明では、陰極(80)がAlであって、その膜厚が150nm以下であり、かつ、アモルファス性ホール注入層(32)の膜厚が100nm以上であることを特徴とする。
【0052】
また、請求項11に記載の発明では、陰極(80)がAlであって、その膜厚が80nm以下であり、かつ、アモルファス性ホール注入層(32)の膜厚が50nm以上であることを特徴とする。
【0053】
これら請求項10、11に記載の発明によっても、さらに、有機EL素子の輝度寿命の悪化を抑制することができる。
【0054】
また、陽極(20)としてはインジウム−スズの酸化物、いわゆるITOからなるものにできる。
【0055】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0056】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る有機EL素子S1の概略断面構成を示す図である。
【0057】
この有機EL素子S1は、ガラス等の可視光に対して透明性を有する基板10を備えている。そして、基板10の上には、陽極20、ホール注入層30、ホール輸送層40、発光層50、電子輸送層60、電子注入層70および陰極80が順次積層されている。
【0058】
陽極20は、スパッタ法等にて成膜された透明性を有する導電膜からなり、具体的には、インジウム−スズの酸化物(ITO)やインジウム−亜鉛の酸化物の膜からなるものであり、その膜厚は100nm〜1μm程度とすることができる。本例では、陽極20は、膜厚が150nm程度のITO膜からなる。
【0059】
この陽極20の上には、ホール注入材料からなるホール注入層30が形成されている。このホール注入層30は、陽極20側に位置する結晶性の有機化合物からなる結晶性ホール注入層31とホール輸送層40側に位置するアモルファス性の有機化合物からなるアモルファス性ホール注入層32とからなり、アモルファス性ホール注入層32の方が結晶性ホール注入層31よりも厚いことを主たる特徴としている。
【0060】
本例では、結晶性ホール注入層31は、真空蒸着法により成膜された膜厚10nmの銅フタロシアニン(CuPc)からなる膜として形成されており、その上のアモルファス性ホール注入層32は、真空蒸着法により成膜された膜厚80nmの4、4’、4”−トリス(N−ビス(p−tert−ブチルフェニル)アミノ)トリフェニルアミンからなる膜として形成されている。
【0061】
ここで、銅フタロシアニンはポルフィリン系化合物であり、4、4’、4”−トリス(N−ビス(p−tert−ブチルフェニル)アミノ)トリフェニルアミン(以下、TBTAという)は芳香族第三級アミン系化合物である。
【0062】
ホール注入層30のうちのアモルファス性ホール注入層32の上には、ホール輸送層40が形成されている。本例では、ホール輸送層40は真空蒸着法により成膜された膜厚40nmのトリフェニルアミン4量体からなる膜として形成されている。
【0063】
このホール輸送層40の上には発光層50が形成されている。この発光層50は、ホール輸送層40の上に形成された第1の発光層51とこの第1の発光層51の上に形成された第2の発光層52とからなる。
【0064】
本例では、第1の発光層51は、蛍光色素としてのドーパントであるルブレンをホストであるトリフェニルアミン4量体に5wt%添加した膜を、真空蒸着法により膜厚2nmにて形成したものである。この第1の発光層51においてはルブレンによる黄色発光が行われる。
【0065】
また、本例の第2の発光層52は、蛍光色素であるペリレンをアダマンタン誘導体に1wt%添加した膜を、真空蒸着法により膜厚40nmにて形成したものである。この第2の発光層52においてはペリレンによる青色発光が行われる。
【0066】
そして、発光層50の上には電子輸送層60が形成されている。本例では、電子輸送層60は、真空蒸着法により成膜された膜厚20nmのアルミニウムキノレート(Alq3)からなる膜として形成されている。本例では、これらホール注入層30、ホール輸送層40、発光層50および電子輸送層60が有機層として構成されている。
【0067】
さらに、電子輸送層60の上には、膜厚0.5nmのLiF(フッ化リチウム)からなる電子注入層70、膜厚100nmのAl(アルミニウム)からなる陰極80が順次成膜されている。
【0068】
ここで、本例の有機EL素子S1におけるエネルギーバンド図を図2に示す。図2において、陽極20としてのITOは、イオン化ポテンシャルエネルギーを示し、電子注入層70としてのLiFおよび陰極80としてのAlは仕事関数を示し、他の有機層30〜60については、図2の上側が電子親和力(以下、Eaという)、下側がイオン化ポテンシャルエネルギー(以下、Ipという)を示している。
【0069】
具体的に、図2において、ITOのIpは5.0eV、銅フタロシアニンのEa、Ipはそれぞれ3.52eV、5.17eV、TBTAのEa、Ipはそれぞれ2.45eV、5.17eV、トリフェニルアミン4量体のEa、Ipはそれぞれ2.40eV、5.40eV、アダマンタン誘導体のEa、Ipはそれぞれ2.61eV、5.73eV、Alq3のEa、Ipはそれぞれ2.98eV、5.73eV、LiFおよびAlの仕事関数はそれぞれ2.9eV、3.74eVである。
【0070】
このような有機EL素子S1においては、陽極20と陰極80との間に電界を印加することにより、陰極80からは電子が、陽極20からはホールがそれぞれ発光層50へ向かって移動し、発光層50(51、52)にてホールと電子とが再結合し、そのときのエネルギーによって発光層50が発光する。つまり、第1および第2の発光層51、52における各ドーパントが発光し、黄色および青色の混色として白色発光が行われる。
【0071】
具体的に、本例の有機EL素子では白色発光素子が得られ、発光色の色度は(0.30、0.35)であった。このような色度が(0.30±0.05、0.35±0.05)程度の白色発光素子は、自動車のメータやディスプレイ等に用いて好ましいものである。
【0072】
ところで、本実施形態では、ホール注入層30を、陽極20側に位置する結晶性ホール注入層31とホール輸送層40側に位置するアモルファス性ホール注入層32とからなるものとし、アモルファス性ホール注入層32の方が結晶性ホール注入層31よりも厚くした独自の構成を採用している。
【0073】
これは、有機EL素子において膜厚の増加に伴う駆動電圧の上昇が極力小さいホール注入層を厚くする上で、結晶性ホール注入層はアモルファス性ホール注入層よりも陽極との密着性に優れること、および、アモルファス性ホール注入層は結晶性ホール注入層よりも膜厚の増加とともに凹凸が増大しにくいことを利用したものである。
【0074】
つまり、本実施形態のホール注入層30によれば、結晶性ホール注入層31によってホール注入層30と陽極20との密着性を確保できるとともに、アモルファス性ホール注入層32の方を厚くすることによって膜表面の凹凸の増大を抑制しつつホール注入層30全体を厚くすることができる。
【0075】
具体的には、結晶性ホール注入層31の膜厚を10nm以上(本例では10nm)、アモルファス性ホール注入層32の膜厚を50nm以上(本例では80nm)として、ホール注入層30全体の膜厚として60〜70nm以上にまで厚くすることができる。それにより、有機層30〜60全体の膜厚を150nm以上(本例では190nm)にできる。
【0076】
ただし、発光層50からの発光は基板10側から取り出されることから、ホール注入層30(特に結晶性ホール注入層31)を厚くしすぎることは、素子の透過率が悪化するため好ましくない。例えば、有機層30〜60全体の可視光領域の透過率が80%以上確保できるようにホール注入層30の厚さを制御することが好ましい。
【0077】
このように本有機EL素子S1においては、有機層30〜60の膜厚を適切に厚くすることができる。厚い有機層30〜60を実現することにより、基板10の欠陥や基板10上の導電性の異物が存在しても、リーク電流の発生が抑制されて電極間の導通も抑制される。その結果、非発光部の発生を抑制することができる。
【0078】
ここで、本実施形態における、ホール注入層30の好ましい膜厚について述べる。すなわち、結晶性ホール注入層31の膜厚が20nm以下であり、アモルファス性ホール注入層32の膜厚が50nm以上であることが好ましい。
【0079】
有機EL素子において、結晶性ホール注入層31を構成する材料は、一般に色つき物質が多く、厚すぎると結晶性ホール注入層31の色が有機EL素子の発光色に影響しやすい。また、結晶性ホール注入層31は結晶性であるがゆえ、厚すぎると膜表面の凹凸が増大し、電界集中が生じやすく、非発光部が発生しやすくなる。
【0080】
これらの制約から結晶性ホール注入層31の膜厚は20nm以下が好ましい。また、アモルファス性ホール注入層32が薄すぎて、膜厚が50nmに満たないと非発光部の発生の抑制効果が十分でなくなる恐れがあるので好ましくない。よって、結晶性ホール注入層31の膜厚が20nm以下であり、アモルファス性ホール注入層32の膜厚が50nm以上であることが好ましい。
【0081】
さらに、アモルファス性ホール注入層32については、その膜厚が200nm以下であることが好ましい。アモルファス性ホール注入層の膜厚32が200nmより厚いと駆動電圧が高くなりすぎて好ましくないためである。
【0082】
(具体例1)
本実施形態による非発光部の発生抑制効果の具体例として、図2に示した本例の有機EL素子S1を、85℃、500cd/m2で1/64デューティ駆動にて1000時間発光し続けたが、当該素子S1には非発光部は発生しなかった。
【0083】
この非発光部の発生抑制効果について、次の比較例1〜3を参照してさらに具体的に述べる。
【0084】
(比較例1)
TBTAからなるアモルファス性ホール注入層32を設けずに、ホール注入層を銅フタロシアニンからなる結晶性ホール注入層31のみからなるものとした以外は、上記図2に示す例と同様の有機EL素子を作製した。
【0085】
すなわち、図3に示すように、陽極20をITO、結晶性ホール注入層31を膜厚10nmの銅フタロシアニン、ホール輸送層40を膜厚40nmのトリフェニルアミン4量体、第1の発光層51を膜厚2nmのトリフェニルアミン4量体+ルブレン、第2の発光層52を膜厚40nmのアダマンタン誘導体+ペリレン、電子輸送層60を膜厚20nmのAlq3、電子注入層70を膜厚0.5nmのLiF、陰極80を膜厚100nmのAlとした積層構成とした。
【0086】
この有機EL素子は白色発光素子であり、発光色の色度は(0.32、0.36)であった。この素子を85℃、500cd/m2で1/64デューティ駆動にて発光し続けたところ、500時間で当該素子に非発光部が発生した。これは、ホール注入層31が10nmの薄い銅フタロシアニンのみであることから有機層全体も薄くなって電極間で短絡が発生しやすくなったためと考えられる。
【0087】
(比較例2)
銅フタロシアニンからなる結晶性ホール注入層31を設けずに、ホール注入層をTBTAからなるアモルファス性ホール注入層32のみからなるものとした以外は、上記図2に示す例と同様の有機EL素子を作製した。
【0088】
すなわち、図4に示すように、陽極20をITO、アモルファス性ホール注入層32を膜厚80nmのTBTA、ホール輸送層40を膜厚40nmのトリフェニルアミン4量体、第1の発光層51を膜厚2nmのトリフェニルアミン4量体+ルブレン、第2の発光層52を膜厚40nmのアダマンタン誘導体+ペリレン、電子輸送層60を膜厚20nmのAlq3、電子注入層70を膜厚0.5nmのLiF、陰極80を膜厚100nmのAlとした積層構成とした。
【0089】
この有機EL素子は白色発光素子であり、発光色の色度は(0.31、0.36)であった。この素子を85℃、500cd/m2で1/64デューティ駆動にて発光し続けたところ、100時間で当該素子全体が非発光部になった。
【0090】
これは、陽極であるITOとアモルファス性の有機化合物であるTBTAとの密着性が悪いため、耐久試験時にITOとTBTAとの界面で剥離が発生したためと考えられる。
【0091】
(比較例3)
上記図3に示す比較例1と同様、TBTAからなるアモルファス性ホール注入層32を設けずに、ホール注入層を銅フタロシアニンからなる結晶性ホール注入層31のみからなるものとし、さらに本比較例3では、結晶性ホール注入層31の膜厚を90nmと厚くした。
【0092】
すなわち、上記図3に示すように、陽極20をITO、結晶性ホール注入層31を膜厚90nmの銅フタロシアニン、ホール輸送層40を膜厚40nmのトリフェニルアミン4量体、第1の発光層51を膜厚2nmのトリフェニルアミン4量体+ルブレン、第2の発光層52を膜厚40nmのアダマンタン誘導体+ペリレン、電子輸送層60を膜厚20nmのAlq3、電子注入層70を膜厚0.5nmのLiF、陰極80を膜厚100nmのAlとした積層構成とした。
【0093】
この有機EL素子の発光色は青白色であり、発光色の色度は(0.20、0.22)であった。これは、青色の膜である銅フタロシアニンを厚膜化したためと考えられる。上述したように、結晶性ホール注入層は一般に色つき物質が多く、そのような面からも、結晶性ホール注入層のみを厚膜化するには制約が多い。
【0094】
また、この素子を85℃、500cd/m2で1/64デューティ駆動にて発光し続けたところ、300時間で当該素子に非発光部が発生した。これは、結晶性の有機化合物である銅フタロシアニンを厚膜化したことにより、膜表面の凹凸が増大し、その凸部分に電界集中が起こるため、非発光部の発生につながったことによると考えられる。
【0095】
これらの制約から、上述したように、結晶性ホール注入層31の膜厚は20nm以下が好ましい。ちなみに、本発明者の検討によれば、銅フタロシアニンからなる結晶性ホール注入層31が20nmよりも厚いと、有機EL素子の発光色が青味を帯び、しかも、上記同様のデューティ駆動にて発光し続けたところ、300時間で当該素子に非発光部が発生した。
【0096】
これらの実験検討から、結晶性ホール注入層31の膜厚は20nm以下が好ましく、より好ましくは15nm以下が望ましい。
【0097】
これら比較例と比べても、本実施形態の有機EL素子S1は、ホール注入層30を結晶性化合物とアモルファス性化合物とが組み合わされたものとすることで、有機層30〜60の膜厚を適切に厚くすることができ、非発光部の発生を抑制できることがわかる。
【0098】
また、本実施形態においては、ホール注入層30は、陽極20のIpからホール注入層30のIpを差し引いた値が−0.2eV以上である材料を用いることが好ましい。つまり、陽極20のIpから結晶性ホール注入層31のIpを差し引いた値、および陽極20のIpからアモルファス性ホール注入層32のIpを差し引いた値が、ともに−0.2eV以上であることが好ましい。これは、次のような理由による。
【0099】
有機EL素子に用いられる材料において、イオン化ポテンシャルエネルギーIpが小さいほどホール輸送性が大きくなり、このIpが大きいほどホール輸送性が小さくなる。そして、ホール輸送性の大きいものはホール注入層、小さいものはホール輸送層として用いられる。
【0100】
この点について有機ELの分野では、一般的に陽極との間のIpの差が−0.2eV以上の材料、例えば当該差が−0.1eVや−0.15eVといった材料がホール注入層として用いられる。陽極との間のIpの差が−0.2eV未満、例えば当該差が−0.3eVといった材料をホール注入層に用いると、陽極とホール注入層との間のエネルギー障壁が大きく高電圧化を招いてしまう。
【0101】
そのような観点から、本実施形態のホール注入層31、32も、陽極20との間のIpの差が−0.2eV以上の材料であることが好ましい。
【0102】
このことは、図2において、陽極20のIpからホール注入層31、32のIpを差し引いた値がともに−0.17eVであることで例示される。なお、図2では、陽極20のIpからホール輸送層40のIpを差し引いた値は−0.4eVであり、−0.2eV未満となっている。
【0103】
また、陽極20のIpからホール注入層31、32のIpを差し引いた値は、0eV以上であっても良い。陽極20の上にホール注入層31、32を成膜する前には、陽極20表面をUVオゾン処理で清浄化するのが通常であるが、このUVオゾン処理後さらにプラズマ処理して、より陽極20表面の清浄化を進めた場合には、陽極20とホール注入層31、32との間のIpの差が0eV以上となるときもある。
【0104】
図2中、陽極(ITO)20のIpは実線では5.0eVと表されているが、破線では5.4eVと大きくなっている。そして、このようなIpの差でも、本実施形態は適用可能である。
【0105】
図2中、Ipが5.0eVである陽極(ITO)20の場合は、150℃の高温下でUVオゾン表面処理を行ったものである。一方、Ipが5.4eVである陽極(ITO)20の場合は、前記UVオゾン表面処理の後、さらに、アルゴンと酸素混合ガスを用いたプラズマ表面処理を行ったものである。
【0106】
後者の場合は、より陽極20の表面が清浄化されたため、Ipが大きくなったものと考えられる。そして、この後者(Ipが5.4eV)の場合でも、陽極20とホール注入層31、32との間のエネルギー障壁が大きく高電圧化を招くようなことは、抑制できた。
【0107】
さらに、結晶性ホール注入層31のIpからホール輸送層40のIpを差し引いた値、およびアモルファス性ホール注入層32のIpからホール輸送層40のIpを差し引いた値が、ともに+0.05〜−0.4eVの範囲であることが好ましい。
【0108】
このように、ホール注入層31、32との間のIpの差が+0.05〜−0.4eVである材料、例えば当該差が−0.1eVや−0.15eVといった材料を、ホール輸送層40に用いることが好ましい。上記図2の例では、ホール注入層31、32とホール輸送層40の間のIpの差が−0.22eV(=5.17−5.40)である。
【0109】
これは、ホール注入層31、32との間のIpの差が−0.4eV未満、例えば当該差が−0.5eVといった材料をホール輸送層40に用いると、ホール注入層31、32とホール輸送層40との間のエネルギー障壁が大きく高電圧化を招いてしまうためである。
【0110】
ここで、ホール注入層31、32とホール輸送層40との間のIpの差が−0.4eV以上というように、陽極20とホール注入層31、32との間のIpの差(−0.2eV)に比べてマイナスの範囲が広くなっているのは、ホール注入層31、32とホール輸送層40との間の電荷の伝達が、無機材料と有機材料との間の電荷の伝達ではなく、有機材料と有機材料との間の電荷の伝達であるためである。
【0111】
なお、結晶性ホール注入層31とアモルファス性ホール注入層32との間のIpの差は、好ましくは±0.2eV以下、さらに好ましくは±0.1eV以下である。図2の例では0eVである。この差が大きいと高電圧化を招いてしまうためである。
【0112】
また、本実施形態において、結晶性ホール注入層31としては、銅フタロシアニン以外にも、アルミニウムフタロシアニンクロリド、フタロシアニン、ジリチウムフタロシアニン、銅テトラメチルフタロシアニン、クロムフタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、鉛フタロシアニン、チタニウムフタロシアニンオキシド、マグネシウムフタロシアニン、銅オクタメチルフタロシアニン等を使用することができる。
【0113】
また、アモルファス性ホール注入層32としてはTBTA以外にも、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、3−tert−ブトキシ−4’−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン等を使用することができる。
【0114】
(具体例2、3)
さらに、アモルファス性ホール注入層32の密着性が弱いことによる輝度寿命の低下を防止するために、Alからなる陰極80の膜厚、アモルファス性ホール注入層32の膜厚やこれら両者の膜厚の比に着目して検討した結果を、本実施形態の具体例2、具体例3として、それぞれ、図5、図6に示す。
【0115】
(具体例2)
銅フタロシアニンからなる結晶性ホール注入層31の膜厚を15nmとし、Alからなる陰極80の膜厚を150nmとしたこと以外は、上記図2に示したものと同等の素子構造からなる有機EL素子S1を作製した。
【0116】
ここで、Alからなる陰極80の膜厚を150nmと一定にして、TBTAからなるアモルファス性ホール注入層32の膜厚を50nmから180nmまで変化させた。この素子を85℃、500cd/m2、1/64デューティ駆動にて駆動したが、1000時間後でも非発光部は発生しなかった。つまり、本具体例2でも、上記した非発光部の発生抑制効果が発揮された。
【0117】
図5は、本具体例2において、Alからなる陰極80の膜厚を150nmと一定にして、TBTAからなるアモルファス性ホール注入層32の膜厚を50nmから180nmまで変化させたときの輝度寿命を調べた結果を示す図である。
【0118】
ここで、輝度寿命は、上記85℃、500cd/m2、1/64デューティ駆動の200時間後の輝度を初期輝度と比べたパーセンテージで示しており、75%以上ならば、実用上問題なしとしている。
【0119】
図5において、(a)は、アモルファス性ホール注入層32の膜厚(図中では、TBTA層膜厚と図示)と輝度寿命との関係を示し、(b)は、アモルファス性ホール注入層31の膜厚BとAl陰極の膜厚Aとの比B/A(図中では、TBTA層膜厚/Al膜厚と図示)と輝度寿命との関係を示している。
【0120】
図5(a)から陰極80がAlであって、その膜厚が150nmであり、かつ、アモルファス性ホール注入層32の膜厚が100nm以上であれば、200時間後の輝度75%以上すなわち実用的な輝度寿命を確保でき、輝度寿命の悪化を防止できることがわかる。
【0121】
この原因は明確ではないが、Al陰極80の応力および熱により増幅される応力が、ある程度厚くしたTBTA層32により緩和され、TBTA層32の界面の剥離が抑制されるためと考えられる。
【0122】
また、Al陰極80からの応力は陰極80の膜厚が薄いほど小さくなることは、証明するまでもなく言えることである。そのため、図5(a)の結果から、陰極80の膜厚が150nmよりも小さい場合であっても、TBTA層32すなわちアモルファス性ホール注入層32の膜厚が100nm以上であれば、実用的な輝度寿命を確保できると言える。
【0123】
また、図5(b)に示す結果から、アモルファス性ホール注入層32の膜厚Bと陰極80の膜厚Aとの比B/A(TBTA層膜厚/Al膜厚)が0.6以上であれば、200時間後の輝度75%以上を確保でき、輝度寿命の悪化を防止できると言える。
【0124】
ここで、上記比B/Aの上限は5.0にすることができる。これは、上述したように、アモルファス性ホール注入層32の膜厚が200nmより厚いと駆動電圧が高くなりすぎ、実用的でないことから、アモルファス性ホール注入層32の膜厚が200nm以下が好ましいことに起因する。アモルファス性ホール注入層32の膜厚の上限を200nmとすると、駆動電圧を考慮したAlの膜厚が40nm以上であることから、上記比B/Aは5.0が上限として決められる。
【0125】
(具体例3)
銅フタロシアニンからなる結晶性ホール注入層31の膜厚を15nmとし、TBTAからなるアモルファス性ホール注入層32の膜厚を50nmとしたこと以外は、上記図2に示したものと同等の素子構造からなる有機EL素子S1を作製した。
【0126】
ここで、TBTAからなるアモルファス性ホール注入層32の膜厚を50nmと一定にして、Alからなる陰極80の膜厚を40nmから200nmまで変化させた。この素子を85℃、500cd/m2、1/64デューティ駆動にて駆動したが、1000時間後でも非発光部は発生しなかった。つまり、本具体例3でも、上記した非発光部の発生抑制効果が発揮された。
【0127】
図6は、本具体例3において、TBTAからなるアモルファス性ホール注入層32の膜厚を50nmと一定にして、Alからなる陰極80の膜厚を40nmから200nmまで変化させたときの輝度寿命を調べた結果を示す図である。輝度寿命は、上記具体例2と同様に200時間後の輝度とした。
【0128】
図6において、(a)は、陰極80の膜厚(図中では、Al膜厚と図示)と輝度寿命との関係を示し、(b)は、アモルファス性ホール注入層31の膜厚BとAl陰極の膜厚Aとの比B/A(図中では、TBTA層膜厚/Al膜厚と図示)と輝度寿命との関係を示している。
【0129】
図6(a)から、アモルファス性ホール注入層32の膜厚が50nmであり、且つ、Al陰極80の膜厚が80nm以下であれば、200時間後の輝度75%以上すなわち実用的な輝度寿命を確保でき、輝度寿命の悪化を防止できることがわかる。
【0130】
この原因も、Al陰極80の応力および熱により増幅される応力が、Al陰極80を薄くすることによって緩和され、TBTA層32の界面の剥離が抑制されるためと考えられる。
【0131】
また、アモルファス性ホール注入層(TBTA層)32の緩和作用は、アモルファス性ホール注入層32の膜厚が厚いほど大きくなることは、証明するまでもなく言えることである。そのため、図6(a)の結果から、アモルファス性ホール注入層32の膜厚が50nmよりも小さい場合であっても、Al陰極80の膜厚が80nm以下であれば、実用的な輝度寿命を確保できると言える。
【0132】
また、図6(b)に示す結果では、上記図5(b)と同様に、アモルファス性ホール注入層32の膜厚Bと陰極80の膜厚Aとの比B/A(TBTA層膜厚/Al膜厚)が0.6以上であるとき、200時間後の輝度75%以上を確保でき、輝度寿命の悪化を防止できている。
【0133】
また、上記有機EL素子を自動車に搭載して使用する場合、高温環境(例えば70〜80℃程度)となることは避けられない。有機層のうちアモルファス性ホール注入層を含むアモルファス性の有機層はガラス転移温度(Tg)以上になると結晶化して膜表面の凹凸が増大し、電流のリークが生じやすくなる。そこで、車載用とする場合には、素子における有機層全てのTgが120℃以上であることが好ましい。
【0134】
また、本実施形態の有機EL素子S1を、例えば、車載用のディスプレイ等に採用した場合においては、その使用温度は−40℃〜120℃程度のものである。
【0135】
このような使用温度において、高温環境下での安定性を向上させるには、ポルフィリン系化合物であるCuPc膜(結晶性ホール注入層)31の密着性、特に、陽極20との界面の密着性を向上させる必要がある。これは、両者の線膨張係数の差が大きいためと考えられる。
【0136】
そこで、陽極20と接する結晶性ホール注入層31としては、高結晶化させた、形態変化の小さいポルフィリン系化合物層を設けることが好ましい。
【0137】
具体的には、ポルフィリン系化合物である銅フタロシアニン(CuPc)のX線回折法により現れる回折ピークの値において、有機EL素子の使用温度内の加熱による回折ピーク変化量が、加熱前の回折ピークの±25%以内になっているものが好ましい。
【0138】
ここで、CuPcの回折ピークはCuPcの結晶性を示すもので、CuPcからなる結晶性ホール注入層31すなわちCuPc膜31をX線回折法により測定したとき、基板10と平行なCuPc膜31の(200)面の回折ピークである。具体的には、上記図7に示した2θ=6.68°に発生しているピークに相当するものであり、以下、CuPc結晶性ピークという。
【0139】
そして、本実施形態では、このCuPc結晶性ピーク(2θ=6.68°)の値つまりピークの積分値において、有機EL素子S1の使用温度(例えば−40℃〜120℃)内の加熱による当該CuPc結晶性ピーク値の変化量が、加熱前の当該CuPc結晶性ピークの±25%以内とすることが好ましい。
【0140】
このCuPc結晶性ピーク値の加熱前後における変化量を±25%以内に小さく抑えることにより、CuPc膜の密着性を向上させることができる。そして、高温環境下で使用しても、ショートやリークが発生しない程度にまで、有機材料の結晶状態の変化を小さくすることができる。
【0141】
ちなみに、上記図7に示したデータでは、加熱前のCuPc結晶性ピーク値に比べ、加熱後のCuPc結晶性ピーク値は1.5倍と大きく変化しており、ショートおよびリークが発生しやすくなっている。
【0142】
このような、CuPc結晶性ピーク値の加熱前後における変化量を±25%以内に小さく抑えたCuPc膜31は、例えば、下地である陽極20の表面を150℃でUVオゾン処理し、続いて、520℃の材料加熱温度にてCuPcを蒸着して成膜することにより実現可能である。
【0143】
そして、本実施形態において、このようなCuPc膜31とすれば、結晶性ホール注入層31の密着性を向上させ、より高温環境に適した有機EL素子S1を提供することができる。
【0144】
また、上述したように、素子を形成した後、高温環境下において、結晶性ホール注入層31の結晶性が変化しがたい特性を有することが重要である。そのため、陽極(ITO)20の直上の結晶性材料を結晶性が高い安定した膜に成膜するためには、陽極20の表面粗度が重要となる。つまり、より平坦な方が結晶性の高い安定した膜が形成できる。
【0145】
本実施形態では、陽極20はITOを使用しているが、具体的には、その平均表面粗さRaが2nm以下であり、10点平均表面粗さRzが20nm以下であることが望ましい。例えば、上記例において、ガラス基板10上に形成した陽極20としてのITOの表面を研磨してRaを約1nm以下、Rzを約10nmとすることができる。
【0146】
また、ホール注入層が、陽極側の結晶性ホール注入層とホール輸送層側のアモルファス性ホール注入層とからなり、アモルファス性ホール注入層の方が結晶性ホール注入層よりも厚いものであれば、その他の有機層、基板、陽極、陰極等として、有機EL素子に用いられているか、用いられる可能性のある材料を適宜採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る有機EL素子の概略断面図である。
【図2】上記第1実施形態における有機EL素子のエネルギーバンド図である。
【図3】比較例1としての有機EL素子の概略断面図である。
【図4】比較例2としての有機EL素子の概略断面図である。
【図5】Alからなる陰極の膜厚を一定にして、TBTAからなるアモルファス性ホール注入層の膜厚を変化させたときの輝度寿命を調べた結果を示す図である。
【図6】TBTAからなるアモルファス性ホール注入層の膜厚を一定にして、Alからなる陰極の膜厚を変化させたときの輝度寿命を調べた結果を示す図である。
【図7】本発明者等の検討による100℃、2hrで高温放置する前と後でのCuPc膜のX線回折スペクトルを示す図である。
【符号の説明】
20…陽極、30…ホール注入層、31…結晶性ホール注入層、
32…アモルファス性ホール注入層、40…ホール輸送層、50…発光層、
60…電子輸送層、80…陰極。

Claims (12)

  1. 陽極(20)の上に、少なくともホール注入層(30)、ホール輸送層(40)、発光層(50)、電子輸送層(60)、陰極(80)が順次積層されてなる有機EL素子において、
    前記ホール注入層は、前記陽極側に位置する結晶性の有機化合物からなる結晶性ホール注入層(31)と前記ホール輸送層側に位置するアモルファス性の有機化合物からなるアモルファス性ホール注入層(32)とからなり、
    前記アモルファス性ホール注入層の方が前記結晶性ホール注入層よりも厚く、
    前記結晶性の有機化合物がポルフィリン系化合物である銅フタロシアニンであり、
    前記ポルフィリン系化合物である銅フタロシアニンのX線回折法により現れる回折ピークの値において、前記有機EL素子の使用温度内の加熱による前記回折ピーク変化量が、前記加熱前の前記回折ピークの±25%以内になっていることを特徴とする有機EL素子。
  2. 前記結晶性ホール注入層(31)の膜厚が20nm以下であり、前記アモルファス性ホール注入層(32)の膜厚が50nm以上であることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
  3. 前記アモルファス性ホール注入層(32)の膜厚が200nm以下であることを特徴とする請求項2に記載の有機EL素子。
  4. 前記陽極(20)のイオン化ポテンシャルエネルギーから前記結晶性ホール注入層(31)のイオン化ポテンシャルエネルギーを差し引いた値、および前記陽極のイオン化ポテンシャルエネルギーから前記アモルファス性ホール注入層(32)のイオン化ポテンシャルエネルギーを差し引いた値は、ともに−0.2eV以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の有機EL素子。
  5. 前記陽極(20)のイオン化ポテンシャルエネルギーから前記結晶性ホール注入層(31)のイオン化ポテンシャルエネルギーを差し引いた値、および前記陽極のイオン化ポテンシャルエネルギーから前記アモルファス性のホール注入層(32)のイオン化ポテンシャルエネルギーを差し引いた値は、ともに0eV以上であることを特徴とする請求項4に記載の有機EL素子。
  6. 前記結晶性ホール注入層(31)のイオン化ポテンシャルエネルギーから前記ホール輸送層(40)のイオン化ポテンシャルエネルギーを差し引いた値、および前記アモルファス性ホール注入層(32)のイオン化ポテンシャルエネルギーから前記ホール輸送層のイオン化ポテンシャルエネルギーを差し引いた値は、ともに+0.05〜−0.4eVの範囲であることを特徴とする請求項4または5に記載の有機EL素子。
  7. 前記アモルファス性の有機化合物が芳香族第三級アミン系化合物であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一つに記載の有機EL素子。
  8. 前記陰極(80)がAlであり、前記アモルファス性ホール注入層(32)の膜厚Bと前記陰極の膜厚Aとの比B/Aが0.6以上であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一つに記載の有機EL素子。
  9. 前記比B/Aが5.0以下であることを特徴とする請求項に記載の有機EL素子。
  10. 前記陰極(80)がAlであって、その膜厚が150nm以下であり、かつ、前記アモルファス性ホール注入層(32)の膜厚が100nm以上であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一つに記載の有機EL素子。
  11. 前記陰極(80)がAlであって、その膜厚が80nm以下であり、かつ、前記アモルファス性ホール注入層(32)の膜厚が50nm以上であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一つに記載の有機EL素子。
  12. 前記陽極(20)がインジウム−スズの酸化物からなるものであることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一つに記載の有機EL素子。
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