JP4113456B2 - コア採取ボーリングシステム及びコア採取ボーリング方法 - Google Patents

コア採取ボーリングシステム及びコア採取ボーリング方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4113456B2
JP4113456B2 JP2003124780A JP2003124780A JP4113456B2 JP 4113456 B2 JP4113456 B2 JP 4113456B2 JP 2003124780 A JP2003124780 A JP 2003124780A JP 2003124780 A JP2003124780 A JP 2003124780A JP 4113456 B2 JP4113456 B2 JP 4113456B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
rod
deoxygenated
core
deoxygenated water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2003124780A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004332205A (ja
Inventor
明文 大鹿
邦夫 荒木
茂 萩原
繁雄 山本
義秋 大保
軍治 岡野
昭二 溝口
真一郎 黒田
一郎 瀬古
Original Assignee
中央開発株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 中央開発株式会社 filed Critical 中央開発株式会社
Priority to JP2003124780A priority Critical patent/JP4113456B2/ja
Publication of JP2004332205A publication Critical patent/JP2004332205A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4113456B2 publication Critical patent/JP4113456B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Sampling And Sample Adjustment (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地質調査や水分地質調査用のコアを採取するためと調査ボーリング掘削のためのコア採取ボーリングシステム及びコア採取ボーリング方法に関するものであり、特に、コアの酸素汚染を防止するために低酸素環境でのコア採取を実現するものである。
【0002】
【従来の技術】
原子力施設の立地・設計における環境安全事前評価用のコアとしては、酸素汚染のないものを採取する必要がある。また、一般環境調査においても、地下水汚染の原因とされるクローム、砒素、マンガン等は、酸化によって化合物(イオン)の形が異なってしまうため、酸素存在下において採取されたコアサンプルでは、高精度な環境調査を行うことができない。
【0003】
更に地下微生物調査においては、嫌気性・好気性の別を問わず、試料採取に伴う地下環境中の酸素濃度あるいは有機物濃度に対する撹乱を避けなければ、高精度の試料採取・環境調査を行うことができない。このため、試料に対する還元剤の添加や水素添加によって還元的雰囲気を再現しようという努力は、無益であるばかりか、試験・調査に対して有害である。
【0004】
そこで微酸素環境下においてボーリングによりコアサンプルを採取する方法が考えられている。即ちこの方法では、ロッドの上端から脱酸素水を供給し、この脱酸素水を、ロッドの内面と、コアサンプルを採取するためのインナーチューブの外面との間を通過させ、ロッドの先端を介してロッドの外面に沿って地上に排出させることにより、コアサンプル周辺の微酸素環境を維持しようとするものである。
【0005】
しかしこのようにしてコアサンプルをインナーチューブに入った状態で引き上げても、地表近くでは大気の酸素が水中に多く溶存しているため、このような環境下においてインナーチューブからコアを取り出し、酸素汚染を防止するための包装を施す作業を行ったとしても、酸素を多く含む水がコア内に浸み込み、コアサンプルが酸素汚染される場合がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、コアサンプルの入ったインナーチューブを引き上げ、酸素汚染防止用の包装を施す間にコアサンプルが酸素汚染されないような微酸素水環境を維持することができるコア採取ボーリングシステム及びコア採取ボーリング方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様に係るコア採取ボーリングシステムは、先端にビットを備えた回転可能な管状のロッド、該ロッドの内側下端に配置されるインナーチューブ、及び前記ロッド内へ圧送された脱酸素水が前記ロッドの内側から該ロッドの内面と前記インナーチューブの外面との間を通過し、前記ロッドの先端を介して前記ロッドの外面に沿って地上に排出される経路を備える掘削機と、脱酸素水生成装置と、脱酸素水生成装置で生成された脱酸素水を前記ロッド内へ供給する手段と、前記掘削機の近傍に配置され、掘削孔を取り囲むように設けられ、脱酸素水を使用したボーリングにより採取した直後のコアを含むインナーチューブを直接大気に触れることなく操作するための貯水槽と、前記貯水槽内の水面下に設けられ、ボーリングにより採取した直後のコアを含むインナーチューブを大気に触れることなく収容可能な脱酸素水作業室とを備え、前記脱酸素水作業室は、閉鎖時に脱酸素水作業室に対して、あるいはインナーチューブ及びコアを取り扱う作業部分を除く脱酸素水作業室の部分に対して、前記貯水槽内の水が自由に脱酸素水作業室に侵入することを防止し気密状態を維持可能な蓋部と、脱酸素水作業室に脱酸素水を供給可能な脱酸素水供給パイプとを備えていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、ボーリング採取直後のコアをインナーチューブ中で微酸素環境を維持するためにシールした状態で、脱酸素環境が維持されている脱酸素水作業室に移行し、そこでインナーチューブからコアを取り出し、空気中で酸素汚染しないような包装を施すことができる。これにより採取されたコアの引き上げ後も、地表近くの酸素が多く溶存している水によりコアが酸素汚染されることを防止することができる。
【0009】
また、本発明の第2の態様に係るコア採取ボーリングシステムは、上記第1の態様において、前記脱酸素水作業室には脱酸素剤が設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の第3の態様に係るコア採取ボーリングシステムは、上記第1または2の態様において、掘削孔を取り囲むように貯水槽が設けられており、該貯水槽にはロッドの先端を介して前記ロッドの外面に沿って地上に排出された脱酸素水を溜めることができ、前記脱酸素水作業室は前記貯水槽内の水位より下方において前記貯水槽内に設けられていることを特徴とするものである。本態様によれば、貯水槽内には使用後の脱酸素水が溜められているため、水中の酸素濃度は通常の地下水に比べて低い。従ってインナーチューブを地表近くまで引き上げても直ちにコアが酸素汚染される心配がなく、脱酸素水を使用したボーリングにより採取した直後のコアを含むインナーチューブ内が大気に触れないように気密された状態のまま、脱酸素水作業室にインナーチューブを移行することにより、酸素汚染の可能性は極めて低くなる。
【0011】
また、本発明の第4の態様に係るコア採取ボーリング方法は、先端にビットを備えた回転可能な管状のロッド、該ロッドの内側下端に配置されるインナーチューブ、及び前記ロッド内へ圧送された脱酸素水が前記ロッドの内側から該ロッドの内面と前記インナーチューブの外面との間を通過し、前記ロッドの先端を介して前記ロッドの外面に沿って地上に排出される経路を備える掘削機を準備する工程と、前記掘削機を使用してボーリングし、目的とする深度において前記経路に脱酸素水を流通させながら、コアを前記インナーチューブ内に取り込む工程と、前記インナーチューブを地表近くまで引き上げ後、インナーチューブを気密化した後、脱酸素環境下に移行する工程と、前記脱酸素環境下で前記インナーチューブからコアを取り出し、空気中においてコアが酸素に汚染されないように包装する工程とを備えることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の第5の態様に係るコア採取ボーリング方法は、上記第4の態様において、前記脱酸素環境は、気密された脱酸素水作業室内に脱酸素水を供給することにより形成されることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の第6の態様に係るコア採取ボーリング方法は、上記第4または第5の態様において、前記脱酸素環境は、更に脱酸素水を使用したボーリングにより採取した直後のコアを含むインナーチューブを大気に触れないように気密した環境と、前記気密された脱酸素水作業室内に脱酸素剤を設ける環境とを含むことを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の第7の態様に係るコア採取ボーリング方法は、上記第5または第6の態様において、掘削孔を取り囲むように貯水槽を準備する工程と、該貯水槽にロッドの先端を介して前記ロッドの外面に沿って地上に排出された脱酸素水を溜める工程とを更に備え、前記脱酸素水作業室は前記貯水槽内の水位より下方において前記貯水槽内に設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1中、符号1は本発明に係るコア採取ボーリングシステムを示し、このシステム1は、大きく分けて掘削機3と、脱酸素環境作業部5と、脱酸素水生成装置7とを備えている。
【0016】
掘削機3は、図2(a)に示す3重管式または図2(b)に示す2重管式の構造を備えている。3重管式は沖積層のように孔壁が自立しない場合に使用され、2重管式は孔壁が自立する深度以深で使用するのが一般的である、また地表より洪積層や三紀層が出現するような場合には2重管式を適用した掘削機を使用する。図2(a)に示す3重管式を適用する場合には、先端にビット9を有するインナーロッド11と、該インナーロッド11の外側に位置し先端にケーシングビット13を備えるケーシング15と、インナーロッド11の内側下端に設けられたインナーチューブ17と、インナーチューブ17の内側下端に設けられ、その内側にコアを収納することができる包装部19(図3参照)とを備えている。包装部19は、採取直後のコアを周囲の環境から隔離された状態で包装することができるものであり、例えば、ビニルスリーブやアクリルパイプなどを用いることができる。またビットとしては、ダイモンモンドビットやメタルクラウンを使用することができる。
【0017】
インナーロッド11及びケーシング15には駆動部21が接続されており、該駆動部21はインナーロッド11及びケーシング15を回転駆動する。このような構造により高速回転でインナーロッド11及びケーシング15を駆動することができる。この場合、ビットの給圧・回転数を変更する工程を備えるようにしてもよい。
【0018】
一方、図2(b)に示す2重管式では、自立性のない地層の掘削時以外ではケーシング15に相当する部材を使用せず、ロッド14と、ロッド14の内側下端に設けられたインナーチューブ17と、インナーチューブ17の内側下端に設けられ、その内側にコアを収納することができる包装部19とを備えている。2重管式の場合にはロッド14が駆動部21に接続されており、3重管の場合同様に、該駆動部21によりロッド14が回転駆動する。なお、包装部19は、3重管式と同様な機能を有する。
【0019】
次に脱酸素環境作業部5は、図5に示すように、掘削孔31を取り囲むように貯水槽33を備えており、貯水槽33内には供給水が一定の水位まで溜められている。また貯水槽33内には閉鎖時に内部が気密可能となる脱酸素水作業室35が設けられており、脱酸素水作業室35の上部には、脱酸素水作業室35を作業中できる限り気密状態に保つために大部分または全てを閉鎖可能な蓋部37が設けられている。この蓋部37の部分的な開閉により、採取したコアを脱酸素水作業室35内に収納し、あるいは取り出すことが可能である。蓋部37は、閉鎖時にインナーチューブ及びコアを取り扱う作業部分を除く脱酸素水作業室の部分に対して、貯水槽33内の水が自由に脱酸素水作業室35に侵入することを防止し気密状態を維持できる構造でもよい。
【0020】
脱酸素水作業室35内には、後述する脱酸素水生成装置7から供給される脱酸素水を脱酸素水作業室35に供給するための脱酸素水供給パイプ39が敷設されていると共に、脱酸素水作業室35内の底壁及び周囲壁には、脱酸素水作業室35内の水に残存する酸素を確実に取り除くための脱酸素剤41が設けられている。
【0021】
このように脱酸素水作業室35は、蓋部37を閉鎖し、脱酸素水供給パイプ39から脱酸素水を供給することにより、内部が脱酸素水で満たされた環境を作り出すことができる。脱酸素水作業室35は、上述の掘削機3により微酸素環境で採取したコアサンプルをインナーチューブから取り出し、気密性容器で完全包装するまでの作業を行うための部屋である。脱酸素水作業室35での作業については後述する。
【0022】
次に脱酸素水生成装置7は図6に示すように、密封チャンバ43内に高速気液混合器として機能するスタティックミキサ45を備えている。本発明で使用するスタティックミキサは、上下方向に延びる筒体の中にワイヤブラシや金属たわしのように細長い金属片、金属繊維片等を塊状にした泡分裂要素が収容されている。そして筒体の下方から不活性ガスと供給水とを混合した状態で供給したときに、不活性ガスが微粒に分散した混合水が上方へ移動し、気体の大きな泡が泡分裂要素間を通過するときに、小さな泡に分裂する過程で生じる渦流等の撹拌効果により不活性ガスと供給水とを混合する作用をなすものである。このようにスタティックミキサは撹拌のために何の動力も使用することなく、水に窒素を混合し、酸素抽出を行わせることができる。
【0023】
スタティックミキサ45の下端付近には、水供給口47と不活性ガス供給口49とが形成されており、水供給口47には供給水51を送水ポンプ53によりスタティックミキサ45に供給するための水供給管55が接続されている。一方、不活性ガス供給口49には、窒素ボンベ57から窒素をスタティックミキサ45に供給するための不活性ガス供給管59が接続されている。
【0024】
本実施の形態では不活性ガスとして窒素を使用しているが、例えばアルゴン、ヘリウム、ネオン等を使用することも可能であり、地下環境の変化を厭わなければ、水素、炭酸ガス等の不活性ガスを窒素等に混合して使用することも可能である。
【0025】
スタティックミキサ45の上部には、窒素及び水が混合されたもの(窒素が微粒状態で分散したもの)を密封チャンバ43内に排出する排出口61が形成されている。排出口61は、密封チャンバ43内の水位より上方に形成される気相63内に位置決めされている。またスタティックミキサ45の頂部には微粒分散した不活性ガスの混合水供給口に相当する窒素混合水供給口65が形成されており、この供給口は弁(図示せず)により必要に応じて開閉可能となっている。この弁が閉鎖されているときには窒素が微粒分散した窒素混合水は排出口61から密封チャンバ43内に排出され、弁の開放されたときには窒素混合水供給口65から窒素混合水供給経路67を経て、窒素混合水を掘削機3で使用することができる。
【0026】
密封チャンバ43内の気相63には脱気管69の一端側が開口しており、この脱気管69の途中に設けられた脱気ポンプ71により、気相63内の気体を強制的に密封チャンバ43の外部へ脱気できるようになっている。
【0027】
密封チャンバ43内の水位よりも低い位置には脱酸素水供給口73が形成されており、脱酸素水供給口73に接続する脱酸素水供給管75の途中には送水ポンプ77が設けられている。送水ポンプ77により送り出される脱酸素水は、それぞれ脱酸素水供給管75、75a、脱酸素水供給管75、75b(図1参照)を介してロッド14の上端及び脱酸素水作業室35へ供給可能である。各脱酸素水供給管75a、75bには調節弁79、81が設けられ、各脱酸素水供給管での流量を調節可能としている。
【0028】
尚、上記実施の形態ではスタティックミキサ45が密封チャンバ43内に収容されているが、スタティックミキサ45を密封チャンバ43の外に置き、排出口61を密封チャンバ43の側壁等に接続する構成を採用しても良い。
【0029】
3重管式を適用する場合には、図4(a)(b)(c)に示すように自走式車両10に付属したロータリーパーカッション掘削機を使用することができる。インナーチューブ17の上端にはヘッド23が形成されており、該ヘッド23には把持部25が形成されている。掘削機3に設けられた懸吊機構27から延びるワイヤ29の先端に接続されたラッチで把持部25を把持することで、コアの入った包装部19を備えたインナーチューブ17を吊り上げて採取することができる。
【0030】
以上が本発明のコア採取ボーリングシステム1及び脱酸素水生成装置7の構成であり、以下、本発明のコア採取ボーリングシステムを使用してコアを採取する工程について説明する。
【0031】
図2(a)に示すように、掘削機は軟弱地層では3重管式を使用して掘削を行い、次いで孔壁が自立するような地層では、図2(b)に示すように2重管式を使用して掘削するなど、両方式を適宜併用できる。即ち地山が表層で軟柔な場合には3重管式を先ず使用し、次いで掘進とともに地山の自立性が向上するに従い、2重管ケーシング併用方式へ移行し、地山あるいは岩盤がしっかりしている地層では(もはやケーシングを併用せず)2重管式を適用する。
【0032】
まず脱酸素水を生成するために送水ポンプ53、77及び脱気ポンプ71を駆動状態とし、併せて窒素ボンベ57の弁を開放して窒素をスタティックミキサ45内へ供給する。尚、本例では窒素混合水供給口65のバルブは閉鎖する。送水ポンプ53の駆動により、供給水51が水供給管55を介してスタティックミキサ45に供給されると、供給水はスタティックミキサ45内で窒素と混合されながら上方へ移行し、排出口61から密封チャンバ43内へ排出される。スタティックミキサ45内で供給水と窒素とが混合されることにより、供給水内の酸素は供給水中から抽出され、密封チャンバ43の気相63に酸素含有窒素ガスとして一旦滞留する。気相63内の気体は脱気ポンプ71により外部へ排出されるため気相63内の圧力が低下し、密封チャンバ43内に溜まった供給水の表面から、供給水内に残存する酸素がさらに気相63内に脱して脱気されていく。このようにして、密封チャンバ43内には脱酸素水が貯留された状態となる。
【0033】
密封チャンバ43内に貯留された脱酸素水は、送水ポンプ77によって脱酸素水供給管75aを介してロッド14の上端へ及び脱酸素水供給管75bを介して脱酸素水作業室35へ供給される。そしてロッド14の上端へ供給された脱酸素水は掘削工程において以下のように使用される。
【0034】
3重管式に脱酸素水を適用する工程では、ロッド11(図2(a))を回転させ、ビット9の掘削作用により所定深さの孔を掘削する。サンプリングする深さまで掘削したら、包装部19を備えたインナーチューブ17をロッド14内に入れ込み、図4(b)に示すようにロッド14を継ぎ足して、その上端に駆動部21を接続する。
【0035】
この状態でインナーチューブ17を再び駆動させて更に深く掘削する。このときロッド14の上端へ供給された脱酸素水が供給ノズル83(図2参照)からロッド14内へ供給され、図2(b)中、矢印で示すように、インナーチューブ17とロッド14の内壁との間を通った後、ビット9を介してロッド14の外側へ回り込み、ロッド14の外面に沿って上昇し、最終的に貯水槽33内へ排出される。
【0036】
インナーチューブ17へ連続的に脱酸素水が供給されることにより、コアサンプルの周囲は微酸素状態となり、コアサンプルの酸素汚染が防止される。またビット周辺への脱酸素水の連続供給により、ビット9が冷却され、円滑な掘進をもたらすという付随的効果もある。
【0037】
掘削中に、インナーチューブ17内に備えられた包装部19内には、微酸素環境下でコアが入り込むため、コアが酸素に触れることはない。次に図4(C)に示すように、インナーチューブ17の把持部25上端近くの通称空気抜き孔をシールして気密な状態にした後、把持部25をワイヤ29の先端に設けられたラッチで把持し、包装部19内に採取されたコアを含むインナーチューブ17を貯水槽33まで吊り上げる(図5中、インナーチューブ17を吊り上げた状態を参照)。
【0038】
一方、送水ポンプ77によって脱酸素水作業室35へ脱酸素水が供給されており、また脱酸素剤41が存在することにより、脱酸素水作業室35は微酸素環境に維持されている。インナーチューブ17が貯水槽33まで吊り上げられたら、蓋部37を開け、インナーチューブ17を脱酸素水作業室35内へ移行して、図5に示すように寝かせた状態とする。この状態から脱酸素水中でインナーチューブ17からコアを取り出し、コアを空気中で取り扱っても酸素汚染されないように完全な包装をする。完全包装が完了したらコアを微酸素水中から取り出し、コアの採取が完了する。
【0039】
尚、図示しないが、送水ポンプ77の下流側に懸濁不活性ガス気泡水生成装置を配置し、1気圧における不活性ガスの気泡と脱酸素水との容積比が5:1〜1:3となるように脱酸素水を不活性ガスと混合して懸濁気泡水を生成し、これをロッド14の上部から脱酸素水に代えて供給するようにしてもよい。このような懸濁気泡水は孔壁、孔底でのボイリングがなく、コアサンプルの流出や孔を壊すこともない。また地下水脈の流水が多いところでも懸濁気泡水の泡が消えることがなく、懸濁気泡水の泡が上昇してくるときに急激に膨張して孔の壁を壊すこともない。更に懸濁気泡水の潤滑性により、円滑な掘進が可能となり、ビット先端部において適度の気泡を発生してビットを冷却するとともに、掘削に伴い発生するスライムを気泡に付着させて排出することが可能となる。
【0040】
供給水には、原位置の地下水を使用することが、地下環境に対する攪乱をさけることから厳密であるが、現地の状況によっては、沢水、水道水を使用しても最使えない。
【0041】
掘削施工の全深度にわたり、経費の都合等により脱酸素水を使用したボーリングによるコア採取を必要としない場合には、窒素等の不活性ガスの使用に代えて、空気を使用することは容易であり、また礫質あるいは破砕岩と砂・粘土等の混在する地層では、微粒気体混合水を、脱酸素水を使用したコア採取工法との間で、相互に切り替えて使用する等の施工が、迅速に且つ円滑に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコア採取ボーリングシステムの全体構成を示す概略図である。
【図2】(a)は3重管式を適用した場合の脱酸素水の流通経路を示す説明図であり、(b)は2重管式を適用した場合の脱酸素水の流通経路を示す説明図である。
【図3】本発明で使用可能なビットの例で、ビット先端部(ボーリング穴底面)を経て、供給、排出される脱酸素水の流通経路を示すビット周辺の拡大図である。
【図4】2重管式を適用してコアを採取する工程を段階的に示す説明図である。
【図5】脱酸素環境作業部を示す側断面図である。
【図6】脱酸素水生成装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1 コア採取ボーリングシステム
3 掘削機
5 脱酸素環境作業部
7 脱酸素水生成装置
9 ビット
10 自走式車両
11 インナーロッド
13 ケーシングビット
14 ロッド
15 ケーシング
17 インナーチューブ
19 包装部
21 駆動部
23 ヘッド
25 把持部
27 懸吊機構
29 ワイヤ
31 掘削孔
33 貯水槽
35 脱酸素水作業室
37 蓋部
39 脱酸素水供給パイプ
41 脱酸素剤
43 密封チャンバ
45 スタティックミキサ
47 水供給口
49 不活性ガス供給口
51 地下水
53 送水ポンプ
55 水供給管
57 窒素ボンベ
59 不活性ガス供給管
61 排出口
63 気相
65 窒素混合水供給口
67 窒素混合水供給経路
69 脱気管
71 脱気ポンプ
73 脱酸素水供給口
75、75a、75b 脱酸素水供給管
77 送水ポンプ
79 調節弁
81 調節弁
83 供給ノズル

Claims (7)

  1. 先端にビットを備えた回転可能な管状のロッド、該ロッドの内側下端に配置されるインナーチューブ、及び前記ロッド内へ圧送された脱酸素水が前記ロッドの内側から該ロッドの内面と前記インナーチューブの外面との間を通過し、前記ロッドの先端を介して前記ロッドの外面に沿って地上に排出される経路を備える掘削機と、
    脱酸素水生成装置と、
    脱酸素水生成装置で生成された脱酸素水を前記ロッド内へ供給する手段と、
    前記掘削機の近傍に配置され、掘削孔を取り囲むように設けられ、脱酸素水を使用したボーリングにより採取した直後のコアを含むインナーチューブを直接大気に触れることなく操作するための貯水槽と、
    前記貯水槽内の水面下に設けられ、ボーリングにより採取した直後のコアを含むインナーチューブを大気に触れることなく収容可能な脱酸素水作業室とを備え、
    前記脱酸素水作業室は、閉鎖時に脱酸素水作業室に対して、あるいはインナーチューブ及びコアを取り扱う作業部分を除く脱酸素水作業室の部分に対して、前記貯水槽内の水が自由に脱酸素水作業室に侵入することを防止し気密状態を維持可能な蓋部と、脱酸素水作業室に脱酸素水を供給可能な脱酸素水供給パイプとを備えていることを特徴とするコア採取ボーリングシステム。
  2. 請求項1において、前記脱酸素水作業室には脱酸素剤が設けられていることを特徴とするコア採取ボーリングシステム。
  3. 請求項1または2において、掘削孔を取り囲むように貯水槽が設けられており、該貯水槽にはロッドの先端を介して前記ロッドの外面に沿って地上に排出された脱酸素水を溜めることができ、前記脱酸素水作業室は前記貯水槽内の水位より下方において前記貯水槽内に設けられていることを特徴とするコア採取ボーリングシステム。
  4. 先端にビットを備えた回転可能な管状のロッド、該ロッドの内側下端に配置されるインナーチューブ、及び前記ロッド内へ圧送された脱酸素水が前記ロッドの内側から該ロッドの内面と前記インナーチューブの外面との間を通過し、前記ロッドの先端を介して前記ロッドの外面に沿って地上に排出される経路を備える掘削機を準備する工程と、
    前記掘削機を使用してボーリングし、目的とする深度において前記経路に脱酸素水を流通させながら、コアを前記インナーチューブ内に取り込む工程と、
    前記インナーチューブを地表近くまで引き上げ後、インナーチューブを気密化した後、脱酸素環境下に移行する工程と、
    前記脱酸素環境下で前記インナーチューブからコアを取り出し、空気中においてコアが酸素に汚染されないように包装する工程とを備えることを特徴とするコア採取ボーリング方法。
  5. 請求項4において、前記脱酸素環境は、気密された脱酸素水作業室内に脱酸素水を供給することにより形成されることを特徴とするコア採取ボーリング方法。
  6. 請求項4または5において、前記脱酸素環境は、更に脱酸素水を使用したボーリングにより採取した直後のコアを含むインナーチューブを大気に触れないように気密した環境と、前記気密された脱酸素水作業室内に脱酸素剤を設ける環境とを含むことを特徴とするコア採取ボーリング方法。
  7. 請求項5または6において、掘削孔を取り囲むように貯水槽を準備する工程と、該貯水槽にロッドの先端を介して前記ロッドの外面に沿って地上に排出された脱酸素水を溜める工程とを更に備え、前記脱酸素水作業室は前記貯水槽内の水位より下方において前記貯水槽内に設けられていることを特徴とするコア採取ボーリング方法。
JP2003124780A 2003-04-30 2003-04-30 コア採取ボーリングシステム及びコア採取ボーリング方法 Expired - Lifetime JP4113456B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003124780A JP4113456B2 (ja) 2003-04-30 2003-04-30 コア採取ボーリングシステム及びコア採取ボーリング方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003124780A JP4113456B2 (ja) 2003-04-30 2003-04-30 コア採取ボーリングシステム及びコア採取ボーリング方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004332205A JP2004332205A (ja) 2004-11-25
JP4113456B2 true JP4113456B2 (ja) 2008-07-09

Family

ID=33502226

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003124780A Expired - Lifetime JP4113456B2 (ja) 2003-04-30 2003-04-30 コア採取ボーリングシステム及びコア採取ボーリング方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4113456B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004332205A (ja) 2004-11-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN106269838A (zh) 一种类芬顿药剂体系的污染场地原位注入修复系统
JP2006263523A (ja) 廃棄物処分場における安定化方法と装置
JP4113456B2 (ja) コア採取ボーリングシステム及びコア採取ボーリング方法
JP5700611B1 (ja) 地中埋設杭撤去方法、及び地中埋設杭撤去装置
JP2015057267A (ja) 汚染地盤の浄化方法
CN103234770B (zh) 底泥与上覆水采集设备及其操作方法
JP4041288B2 (ja) コア採取方法及びコア採取装置
JP4009222B2 (ja) コア採取ボーリングシステム、脱酸素水生成装置及びコア採取ボーリング方法
NO166706B (no) Fremgangsmaate for omdannelse av alkoholer til hydrokarboner.
JP2005087840A (ja) 土壌および地下水の原位置測定方法および原位置浄化方法
CN211652154U (zh) 一种岩土施工用分层取样装置
CN206009406U (zh) 一种类芬顿药剂体系的污染场地原位注入修复系统
JP4012855B2 (ja) コア採取ボーリングシステム、脱酸素水生成装置及びコア採取ボーリング方法
Pierce et al. Novel well completions in small diameter coreholes created using portable rock drills
KR100895336B1 (ko) 지반 보강 공법
JP4625293B2 (ja) コア処理方法
JP2008058060A (ja) 汚染物質濃度計測工法
Nelson et al. A field trial to assess the performance of CO2-supersaturated water injection for residual volatile LNAPL recovery
JP4518503B2 (ja) 汚染土壌浄化工法
JP2006070619A (ja) コア採取ボーリングシステム及びコア採取ボーリング方法
JP2008058046A (ja) 土壌汚染調査装置
CN211773888U (zh) 一种既有原位金属管井氧化腐蚀清障装置
KR20230067382A (ko) 휴대용 토양채취장치
JPH08226117A (ja) 改良土の採取方法及び装置
CN114086542A (zh) 大直径深长嵌岩桩全回转与气举反循环组合钻进施工方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060323

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070720

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070806

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20071204

AA91 Notification that invitation to amend document was cancelled

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971091

Effective date: 20071218

AA91 Notification that invitation to amend document was cancelled

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971091

Effective date: 20071225

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080314

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080411

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4113456

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110418

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130418

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140418

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term