JP4112202B2 - 薄膜太陽電池の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、薄膜形成用マスクを用いた薄膜太陽電池の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、環境保護の立場から、クリーンなエネルギーの研究開発が進められている。中でも、太陽電池はその資源(太陽光)が無限であること、無公害であることから注目を集めている。
【0003】
例えば、アモルファスシリコン(a-Si)太陽電池は、薄膜、低温プロセス、大面積化が容易という特徴から低コスト太陽電池の本命として開発が進められている。この太陽電池はガラスやPET(ポリエチレンテレフタレート)等の透光性基板あるいはステンレススティールホイルやポリイミド等の非透光性基板を用い、光入射側から透明電極層、半導体層、金属電極層を順次積層した構造となっている。
【0004】
光照射により半導体層で発生した電子およびホールからなるフォトキャリアは両電極から外部に取り出される。ところで、透明電極層の比抵抗が通常の金属等に比べて大きいため、大面積化するほどジュール損失が大きくなってしまう問題がある。これを解決する一つの方法として、図2に示すような点接触型の太陽電池が知られている。
【0005】
この点接触型の太陽電池は、導電性基板あるいは電気絶縁性を有する基板の表面に導電性薄膜を形成した基板を第1電極とし、この第1電極層の上に絶縁層、第2電極層、半導体層、第3電極層を順次積層し、前記第1電極層と第3電極層とを島状電極部を介して接続させてなる構成を有する。透光性基板を用いて基板側から光を照射する場合を例にとり、その製造プロセスについて、図2に基づき以下に説明する。図2の(a)は平面図、(b)は側断面図を示す。
【0006】
まず、透光性の基板3の上に第1電極層4として、SnO2やITO、ZnO等の透明電極を全面に製膜する。その上に、絶縁層5、第2電極層6を積層した後に、レーザー加工あるいは化学的なエッチング等で絶縁層5、第2電極層6のみを部分的に選択除去する。その上から、発電層である半導体層7を製膜し、その後、絶縁層5、第2電極層6の除去部分よりも内側で、第2回目の選択除去加工を行う。最後に、AgやAlからなる第3電極層8を製膜し完成する。
【0007】
第1電極層4と第3電極層8とは、加工穴に形成された島状電極部8aを介して電気的に接続されており、第2電極層6は、絶縁層5および半導体層7により他の電極と分離されている。通常のa-Si太陽電池では、光入射側がp層であり、この場合、第1、第3電極側がプラス電極、第2電極側がマイナス電極となる。マイナス電極である第2電極の取り出し部分は、図示を省略しているが、必要に応じてマスク製膜を行い電極を露出させるか超音波ハンダ等で半導体層を貫通して接続される。プラス電極の取り出しは第1電極、第3電極のどちらから行ってもよい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記点接触型の太陽電池の製造方法においては、下記のような問題があった。
【0009】
前述のように、点接触型薄膜太陽電池の従来の製造プロセスにおいては、5種類の層の製膜途中で2回の選択除去加工が必要であった。このため、(1)プロセスが複雑になりコストアップの原因となる、(2)穴周辺部での加工残渣によりリークが発生する、(3)選択加工自身が技術的に難しい等の問題があった。
【0010】
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、この発明の課題は、特有の薄膜形成用マスクとその適用により、所定パターンを有する薄膜の形成プロセスを簡略化し、さらに歩留まりの向上を図った薄膜太陽電池の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するため、この発明によれば、導電性基板あるいは電気絶縁性を有する基板の表面に導電性薄膜を形成した基板を第1電極とし、この第1電極層の上に絶縁層、第2電極層、半導体層、第3電極層を順次積層し、前記第1電極層と第3電極層とを島状電極部を介して接続させてなる点接触型の薄膜太陽電池において、前記絶縁層から第3電極層までの全ての薄膜層を、所定パターンを有する薄膜形成用マスクを用いて形成する薄膜太陽電池の製造方法であって、前記薄膜形成用マスクは、前記基板表面と所定の間隔をもって対向する支持体の前記基板表面側に、前記所定パターンの薄膜層の非形成部と当接するマスクユニットを備え、前記マスクユニットを各薄膜層の非形成部に当接した後、前記絶縁層はCVDあるいはスパッタリングにより形成し、前記第2電極層はスパッタリングあるいは蒸着により形成し、前記半導体層はCVDにより形成することとする(請求項1の発明)。
【0012】
上記請求項1の発明のように薄膜太陽電池を製造することにより、マスク製膜のみにより島状の非膜付着領域をもった薄膜形成を行うことが可能となる。これにより、点接触型の太陽電池の製造プロセスの簡略化が可能となり、同時に、ピンホール等の欠陥の発生が抑制され歩留まりが向上する。
【0013】
また、前記請求項1の発明の実施態様としては、下記請求項2ないし3の発明が好ましい。即ち、請求項1記載の製造方法において、前記支持体は、メッシュ状、格子状あるいはハシゴ状等、薄膜形成用のガスが支持体主面を通過可能なものとする(請求項2の発明)。これにより、製膜の均一化が図れる。
【0014】
さらに、請求項1記載の製造方法において、前記マスクユニットは、複数個の島状ユニットからなり、前記島状ユニットの形状は、円形または矩形とする(請求項3の発明)。これにより、複数個の島状の非膜付着領域の形成を同時に行うことが可能となる。なお、前記島状の非膜付着領域をもった薄膜形成は、前記点接触型の薄膜太陽電池以外の太陽電池の製造にも適用できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図面に基づき、本発明の実施例について以下に述べる。
【0016】
図1は、この発明に関わる薄膜形成用マスクの実施例を示す模式図で、図1(a)は平面図、図1(b)は側断面図である。図1に示すマスクは、マスクユニット1とそれを支持する支持体2とから構成される。マスクユニット1の材料としては、真空中加熱雰囲気で使用されるためアムミニウムやステンレススティール等の金属あるいはセラミックやガラス等のようにガス発生の少ないものが好ましい。
【0017】
また、マスクユニット1は、製膜時に基板と直接接触するため、その表面は比較的平坦にし、必要に応じて端部に丸み(R)をつける。支持体2はメッシュ状、格子状あるいはハシゴ状とし、基板と接触しないように一定の距離を設ける。支持体2の好ましい材質は、マスクユニットと同様である。
【0018】
本マスクを用いてCVD、スパッタリング、蒸着により製膜すると、膜がつかない領域はマスクユニットの下のみとなり、支持体の下には、回りこみまたはメッシュ状の隙間からのガス流通により全面に膜が形成される。また、厳密にはマスクユニットの下にも、数mm以下のレベルで膜が回り込むが、この回り込み量は、主として、平均自由工程の関係から、CVD>スパッタリング>蒸着となる。
【0019】
次に、前記マスクを用いて、図2に示す点接触型の太陽電池を作製するプロセスについて、以下に述べる。
【0020】
まず、ガラス等の透光性基板3の上に第1電極層4として、SnO2やITO、ZnO等の透明電極を全面に製膜する。その後、前述のマスクを基板に装着して、絶縁層5、第2電極層6、半導体層7を製膜し、マスクを取り外す。その後、AgやAlからなる第3電極層8を製膜し完成する。この際、第1電極層4と第3電極層8とは、島状電極部8aを介して電気的に接続される。
【0021】
本構造の太陽電池では第1電極層と第3電極層とを確実に接続し、同時にこれらの電極と第2電極層を確実に分離する必要がある。このためには、製膜法によるマスクユニット下部の前記回り込みの程度の違いを利用することが有効である。
【0022】
例えば、第2電極層6の製膜をスパッタリングあるいは蒸着により行い、絶縁層5の製膜をCVDかスパッタリングのいずれか、半導体層7をCVDで製膜すれば、第2電極層6の端面は絶縁層5と半導体層7で確実に被覆される。なお、前記回り込みの量は、CVDで0.5〜3mm程度、スパッタリングで0.1〜0.5mm程度、蒸着では殆んど零であるので、絶縁層の回り込みに起因する電気的接続阻害の発生はない。
【0023】
上記製造方法によれば、従来に比べて、製造プロセスの大幅な簡素化が可能となる。
【0024】
【発明の効果】
この発明によれば、前述のように、導電性基板あるいは電気絶縁性を有する基板の表面に導電性薄膜を形成した基板を第1電極とし、この第1電極層の上に絶縁層、第2電極層 、半導体層、第3電極層を順次積層し、前記第1電極層と第3電極層とを島状電極部を介して接続させてなる点接触型の薄膜太陽電池において、前記絶縁層から第3電極層までの全ての薄膜層を、所定パターンを有する薄膜形成用マスクを用いて形成する薄膜太陽電池の製造方法であって、
前記薄膜形成用マスクは、前記基板表面と所定の間隔をもって対向する支持体の前記基板表面側に、前記所定パターンの薄膜層の非形成部と当接するマスクユニットを備え、前記マスクユニットを各薄膜層の非形成部に当接した後、前記絶縁層はCVDあるいはスパッタリングにより形成し、前記第2電極層はスパッタリングあるいは蒸着により形成し、前記半導体層はCVDにより形成することとしたので、
所定パターンを有する薄膜形成プロセスを簡略化し、さらに薄膜太陽電池の製造歩留まりの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の薄膜形成用マスクの実施例を示す模式図
【図2】 この発明に関わる点接触型の薄膜太陽電池の構成図
【符号の説明】
1:マスクユニット、2:支持体、3:基板、4:第1電極層、5:絶縁層、6:第2電極層、7:半導体層、8:第3電極層、8a:島状電極部。

Claims (3)

  1. 導電性基板あるいは電気絶縁性を有する基板の表面に導電性薄膜を形成した基板を第1電極とし、この第1電極層の上に絶縁層、第2電極層、半導体層、第3電極層を順次積層し、前記第1電極層と第3電極層とを島状電極部を介して接続させてなる点接触型の薄膜太陽電池において、前記絶縁層から第3電極層までの全ての薄膜層を、所定パターンを有する薄膜形成用マスクを用いて形成する薄膜太陽電池の製造方法であって、
    前記薄膜形成用マスクは、前記基板表面と所定の間隔をもって対向する支持体の前記基板表面側に、前記所定パターンの薄膜層の非形成部と当接するマスクユニットを備え、前記マスクユニットを各薄膜層の非形成部に当接した後、前記絶縁層はCVDあるいはスパッタリングにより形成し、前記第2電極層はスパッタリングあるいは蒸着により形成し、前記半導体層はCVDにより形成することを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法
  2. 請求項1記載の製造方法において、前記支持体は、メッシュ状、格子状あるいはハシゴ状等、薄膜形成用のガスが支持体主面を通過可能な構成としたことを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法
  3. 請求項1記載の製造方法において、前記マスクユニットは、複数個の島状ユニットからなり、前記島状ユニットの形状は、円形または矩形とすることを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法
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