JP3685964B2 - 光電変換装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜太陽電池の集積構造およびその作製方法に関するものであり、生産性および信頼性の高い薄膜膜太陽電池を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
アモルファスシリコン(以下a−Siと記す)を用いた薄膜太陽電池は、安価なガラス基板上に大面積で設けることができ、しかも半導体層の厚さを1μm以下の厚さで形成できるので生産コスト、資源節約の点から有望視されている。特に、レーザースクライブ(レーザー光による切断加工)を用いた集積化方法は、生産性が高く大面積化が容易に計れるという特徴がある。
【0003】
ここでいう薄膜太陽電池というのは、気相化学反応法、蒸着法、スパッタ法等で作製される薄膜の半導体を用いた太陽電池のことをいうものである。
a−Siを用いた薄膜太陽電池は、ガラス基板だけではなく、可とう性すなわち柔軟性を有したプラスチックフィルム基板等の表面にも形成が可能であることが知られている。このプラスチックフィルム基板を用いた薄膜太陽電池は、可とう性を有しており、曲面等にも設置することができ、しかも極めて軽量にすることができるので応用範囲が極めて広いという特徴を有している。
【0004】
以下、図2を用いて従来のレーザースクライブ法を用いて集積構造を有した薄膜太陽電池を作製する際の工程を示す。
【0005】
先ず、ガラス基板21上に透明電極としてSnO2 やITO等の透明導電膜22を成膜し、レーザースクライブにより図2(A)のような状態を得る。つづいて、PIN型に光電変換層23を形成する。この光電変換層23としては、a−Siを用いたものが一般的である。そしてレーザースクライブ法を再び用いることにより図2(C)に示すように加工する。この後、裏面電極となるメタル電極24をアルミやクロムで形成することにより図2(D)の状態を得る。もちろん22をアルミやクロムで形成し、24を透明導電膜として形成されているものもあるし、22、24の両方を透明導電膜としたシースルータイプのものもあるが基本的構成は同一である。
【0006】
そして、最後に再びレーザースクライブ法によって加工を行い図2(E)に示すような状態を得て、集積型の薄膜太陽電池を完成する。
【0007】
図2(E)には、25、26、27で示す各光電変換ユニットが直列に接続されている様子が示されている。実際には、必要に応じてこのような集積構造が適当に選ばれる。ここでいう光電変換ユニットというのは、それ一つで薄膜太陽電池を構成する最小単位の光電変換装置をいう。そして、この光電変換ユニットを複数集積化したものを薄膜太陽電池と記載することにする。
【0008】
一方、前述のようにガラス基板の代わりにフレキシブルな可とう性の基板であるプラスチックフィルム基板を用いてフレキシブルな薄膜太陽電池を作製する方法が知られており、このフレキシブルな薄膜太陽電池を上記のようなレーザースクライブ法によって集積化することが試みられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
集積型の薄膜太陽電池を作製する際には、以下(A)(B)に示すような問題があった。
【0010】
〔問題点(A)について〕
この問題点(A)は、基板の種類に関係なく、基板上に集積化される薄膜太陽電池を作製する際の問題である。
【0011】
図2(E)に示すガラス基板を用いた従来の集積化された薄膜太陽電池を作製する際においては、図2(D)から図(E)に至最終工程において行われる裏面電極24のみをレーザースクライブによって切断する工程で不都合が生じることが多かった。すなわち、この工程は裏面電極24のみを切断する選択加工であるのであるが、裏面電極のみを切断しようとして最小パワーでレーザースクライブを行うと、裏面電極を上手く切断できずショートしまい、また裏面電極を確実に切断しようとしてレーザーのパワーを高くして加工部分の切断を行うと、光電変換層23と透明電極22をも同時に切断してしまったり、ダメージを与えたりしてしまい、集積化された薄膜太陽電池の歩留りを低下させる原因となっていた。
【0012】
以上のように集積型の薄膜太陽電池を作製しようとする際には、裏面電極を選択的にレーザースクライブする際に問題が生じていた。
【0013】
〔問題点(B)について〕
この問題点(B)は、プラスチックフィルム等の可とう性を有する基板上に集積化される薄膜太陽電池を作製する際に特に問題となる点である。
【0014】
可とう性の基板であるプラスチックフィルム基板を用いて集積型の薄膜太陽電池を作製する場合も、図2に示すガラス基板を用いた場合と同様の作製方法を適用することができる。もっとも、プラスチックフィルム基板が耐えうる温度以下で作製を行わなければならないことはいうまでもない。一般に可とう性を有する基板としては、プラスチックフィルム基板に代表される工業用プラスチックや樹脂フィルム等を用いることが知られている。また、可とう性すなわち柔軟性を有するフレキシブルな材料は、耐熱性が低く、100度以上の温度では変質してしまうものが一般的である。
【0015】
ここでは可とう性基板としてプラスチックフィルム基板を用いた例で従来の問題点を指摘するが、これは一般的に可とう性基板を用いた場合の共通の問題点である。
【0016】
以下、図2(A)において、基板はプラスチックフィルム基板であるとする。この場合、図2(A)に示すようにプラスチックフィルム基板21上に成膜された透明導電膜22をレーザースクライブ法によって切断しなければならないのであるが、この際、レーザー光が基板表面にも当然到達してしまう。前述のようにプラスチックフィルム基板に代表される可とう性基板は耐熱性が乏しので、瞬間的にしても1000度以上に被照射面が加熱されるレーザー光の照射によって、図3に示すようにプラスチックフィルム基板30の広い範囲わたって基板表面がダメージを受け変質してしまう。この図3は、図2(A)のレーザースクライブされた部分を拡大して図示したものである。
【0017】
このプラスチックフィルム基板表面のダメージの状況は、図3に示すようにレーザー光が照射された部分である所望の加工幅よりもさらに広い範囲わたって生じてしまうので、図3に示すようにそのレーザースクライブが行われた部分で、透明導電膜31がプラスチックフィルム基板30から剥離したり、フレークが発生するという現象が生じてしまっていた。これは、プラスチックフィルム基板の表面が変質することで、透明導電膜がプラスチックフィルム基板の表面から剥がれてしまうのが原因である。
【0018】
このように、従来の集積化方法では、透明導電膜がこのレーザースクライブされた部分周辺において部分的に剥離したり、フレークが発生したりしてしまっていた。この剥離による凹凸は容易に数μmに達し、またフレークも数μmのものが発生するので、1μm以下の厚さしかない光電変換層23を設けた場合、容易に裏面電極24と透明電極(透明導電膜)22との間でショートが発生してしまっていた。この問題は、プラスチックフィルム基板等の可とう性を有した基板を用いた場合には非常に高い割合で発生してしまい、可とう性を有しつつしかもレーザー照射に従う瞬間的な加熱に耐えうる材料がない現状においては避けがたい問題であった。
【0019】
このようにプララスチックフィルム基板を用いた集積型の薄膜太陽電池を作製しようとする場合、従来のガラス基板を用いた集積型の薄膜太陽電池を作製する際に問題であった、上記問題点(A)に加えて、上記問題点(B)が加わり、さらにレーザースクライブ法を用いた集積化工程を困難にしているという問題があった。
【0020】
もちろん上記問題点は、それほど顕著なものではないにしても従来のガラス基板上に設けられた光電変換装置についてもいえることである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は、図1に示すように、絶縁基板41上に第1の電極である透明導電膜421と光電変換層431と第2の電極である裏面電極461とからなる第1の光電変換ユニット401と、第1の電極である透明導電膜422と光電変換層432と第2の電極である裏面電極462とからなる第2の光電変換ユニット403とを有し、開溝404に充填された絶縁物44によって第1の光電変換ユニット401の第1の電極である透明導電膜421と第2の光電変換ユニット403の第1の電極である透明導電膜422とが分離され、同時に第1の光電変換ユニット401の光電変換層431と第2の光電変換ユニット403の光電変換層432とが分離され、開溝405に充填された裏面電極461を構成する導電材料によって第1の光電変換ユニットの第2の電極である裏面電極461と第2の光電変換ユニットの第1の電極である透明導電膜422とは接続され、開溝463によって第1の光電変換ユニット401の第2の電極である裏面電極461と第2の光電変換ユニット403の第2の電極である裏面電極462とは分離された構成をとることによって、第1の光電変換ユニットと第2の光電変換ユニットとが直列に接続されていることを特徴とする薄膜太陽電池である。
【0022】
上記構成を要約すると、第1の光電変換ユニットの第1の電極〜光電変換層〜第2の電極〜第2の光電変換ユニットの第1の電極〜光電変換層〜第2の電極と電気的な接続がされていることになる。そして、この構成を繰り返すことにより任意の数の光電変換ユニットを直列に連結した構成を得ることができる。
【0023】
ここで、45は絶縁物の層であり、開溝463をレーザー光によって形成する際に光電変換層432や透明導電膜422にレーザー光が到達しないように作用するものである。特に、この絶縁物の層45を設けることは、裏面電極のレーザー加工の際に、レーザー光が光電変換層432や透明導電膜422を切断することが無くなるので、歩留りを大幅に高めることができるという顕著な効果を得ることができる。
【0024】
上記構成において、基板としては絶縁基板であれば何ら限定されるものではないのであるが、特に本発明においては特に耐熱性の低い、可とう性を有するプラスチックフィルム基板や樹脂の基板、その他工業用プラスチックを材料とする基板を用いた薄膜太陽電池を主な対象としている。もちろん一般に用いられるガラス基板であってもよいことはいうまでもない。
【0025】
透明導電膜としてはITO、SnO2 等を用いることができる。また、裏面電極としてはアルミ、クロム等を用いることができる。また、光電変換層としては、PIN型に構成されたアモルファスシリコンが一般に用いられるが、本発明の構成においては何ら限定されるものではなく、必要に応じて適当な構成を採用することができる。
【0026】
光電変換層というのは、PIN型やPINPIN型に構成された半導体層であり、透明導電膜と裏面電極で挟み込むことによって、光電変換装置または太陽電池となるものである。
【0027】
光電変換ユニットというのは、一対の電極である第1の電極と第2の電極、例えば透明導電膜と裏面電極とに挟まれた光電変換層からなる最小単位の光電変換装置のことである。
【0028】
なお、ここでは透明な基板側を光入射側として、基板から第1の電極として透明導電膜、光電変換層、第2の電極として裏面電極としたが、この形式に限定されるものではなく、基板側から第1の電極、光電変換層、第2の電極と構成されて、第1の電極または第2の電極の何れか一方または両方が透明電極となるな構成をとってもよいことはいうまでもない。
【0029】
また、開溝の大きさも作製条件やその他の都合によって自由に設定してよいことはいうまでもない。
【0030】
絶縁物としては、酸化珪素、有機樹脂(レジスト、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコンゴム)等適当なものを用いることができる。特に、有機樹脂を用いた場合には、スクレーン印刷法を用いることができるので作製工程が簡単になり有利である。
【0031】
また、本発明は上記構成を得るために以下の作製工程をとるものである。図1において、その一部分を示す薄膜太陽電池を作製する方法であって、基板41上に透明導電膜42と光電変換層43とを積層する工程と、レーザー光の照射によって開溝404と開溝405とを形成する工程と、開溝404に絶縁物44を充填するとともに開溝405によって分離された光電変換層43上に絶縁物の層45を設ける工程と、裏面電極46を形成するとともに開溝405を裏面電極46を構成する導電材料で充填する工程と、前記絶縁物の層45上の裏面電極46をレーザー光によって切断することによって開溝463を形成する工程とによって、第1の光電変換ユニット401の第1の電極(透明導電膜421)〜光電変換層431〜第2の電極(裏面電極461)〜第2の光電変換ユニットの第1の電極(透明導電膜422)〜光電変換層432〜第2の電極(裏面電極462)と電気的な接続がされている集積化された薄膜太陽電池を作製する方法である。
【0032】
上記工程において用いられるレーザー光としては、波長600nm以下のものを用いることが好ましい、なぜならば、絶縁物の層45として有機樹脂を用いた場合には、有機樹脂の種類によっては、600nm以上の波長を有するレーザー光を透過してしまう場合があり、この場合には、レーザー光に対するバリアである絶縁物の層45の作用が半減してしまうからである。しかしながら、波長600nm以上のレーザー光も吸収してしまうような絶縁物を用いて層45を形成すならば、必要に応じてレーザー光の波長を設定すればよい。以下実施例を用いて本発明の構成、特にその作製工程を詳細に説明する。
【0033】
【発明の実施の形態】
【0034】
【実施例】
〔実施例1〕
図1に示す本実施例において、集積化された薄膜太陽電池は、プラスチックフィルム基板41、透明導電膜42、PIN型の光電変換層43、裏面電極46、絶縁物であるエポキシ樹脂からなる絶縁物44、45からなる。
【0035】
ここで401、403がそれぞれ光電変換装置の一つのユニットとなる。そして、第2の溝405を埋めた裏面電極46の導電性材料によって光電変換ユニット401の裏面電極461と光電変換ユニット403の透明導電膜422とが電気的に接続されている。また、第1の開溝404によって光電変換ユニット401と第2の光電変換ユニット403の透明導電膜である421と422、並びに光電変換層431と432とはそれぞれ絶縁され、裏面電極46はレーザースクライブによって461と462に分割され開溝463によって互いに絶縁されている。結果として、裏面電極462〜光電変換層432〜透明導電膜422(以上、光電変換ユニット403)〜裏面電極461〜光電変換層431〜透明導電膜421(以上、光電変換ユニット401)という経路でもって、2つの光電変換ユニットが直列に接続された集積型の薄膜太陽電池が構成される。そして、上記集積化構造を多数箇所において用いることによって、任意の数の光電変換ユニットを集積化できるものである。
【0036】
以下、本実施例の作製工程を図4以下を用いて説明する。まず、柔軟性を有する可とう性基板であるプラスチックフィルム基板(以下単に基板と記す)41上に透明導電膜42としてITOをスパッタ法によって4000Åの厚さに成膜し、図4の状態を得る。本実施例では、プラスチックフィルム基板としてポリエチレンテレフタレートを用いた。
【0037】
ITOの成膜はDCマグネトロンスパッタ装置を用い、以下の成膜条件で行った。
アルゴン分圧 6×10-3Torr
酸素分圧 1×10-4Torr
DC電流 1A
基板温度 室温
【0038】
この後、図5に示すように光電変換層43を形成する。この光電変換層は何ら限定されるものではないが、プラスチックフィルム基板の耐熱性を考えると100度以下の基板温度で形成できる方法が好ましい。
【0039】
本実施例においては、光電変換層43として光入射側である基板側からP型、I型、N型の順に成膜しPIN型の光電変換層(計4500Å厚)を作製した。作製はプラズマCVD法を用い、以下に示す条件で行った。
【0040】
こうして図5の状態を得たら、レーザースクライブ法(レーザー光を用いた加工方法)により図6に示すごとく透明導電膜42と光電変換層43とからなる積層を2ヶ所において切断する。この際、レーザースクライブが行われた部分は開溝が形成され、第1の開溝404と第2の開溝405が形成される。
【0041】
このレーザースクライブは、KrFエキシマレーザー(波長248nm)を用い以下の条件で行った。
第1の開溝に対して
1.0 J/cm2 ×7ショット
第2の開溝に対して
1.0 J/cm2 ×4ショット
【0042】
ここで、第1の開溝404を形成する際のレーザー光の照射のトータルのパワーが第2の開溝405の開溝を形成する際よりも大きいのは、図1に示すように第1の開溝404が光電変換ユニット401と403とを電気的に分離するために設けられるためであるのに対して、第2の開溝405は、裏面電極461と透明導電膜422とを電気的に接続するために設けられるものであり、透明導電膜42を完全に切断する必要がないからである。もちろん同一条件で行うことも可能である。
【0043】
また、本実施例においては、レーザービームを線状に光学系で成形したものを用い、1ショットで線状にレーザー加工を行ったが、スポットビームを線状に操作していって加工を行う方法でもよい。
【0044】
また、レーザースクライブを行うためのレーザー光の種類としては、その用途に応じて、ArFエキシマレーザー、XeFエキシマレーザー、YAGレーザー(スポット加工)等を用いることができる。前述のようにレーザー光の波長としては、600nm以下のものが好ましいが、YAGレーザー(波長1.06μm)でも用いることは可能である。
【0045】
ここで重要なのは、従来と異なり透明導電膜42と光電変換層43とを積層した状態でレーザースクライブを行うことによって、透明導電膜のレーザースクライブ時におけるプラスチックフィルム基板からの剥離、ささくれ、フレークの発生を大幅に抑えることができるという顕著な特徴を有する点である。
【0046】
これは、プラスチックフィルム基板上に透明導電膜(ここではITO)を設け、さらにPIN構成の光電変換層を積層した状態で、レーザースクライブを行い光電変換層と透明導電膜とを同時に切断した場合、プラスチックフィルム基板上の透明導電膜のみをレーザースクライブによって切断する場合に比較して、透明導電膜の剥離やささくれ、フレークの発生がはるかに減少したという実験事実に基づくものである。ここでは基板としてプラスチックフィルム基板を用いたが、他の可とう性基板においても同様な効果を得ることができる。
【0047】
図6に示す状態を得たら、図7に示すように絶縁物であるエポキシ樹脂44、45をスクリーン印刷法によって2μm〜20μmの厚さに設けた。こうして、所定のパターンに形成することによって、第1の開溝404に絶縁物であるエポキシ樹脂44が充填され、同時にエポキシ樹脂よりなる絶縁物の層45が設けられる。ここで、スクリーン印刷法を用いることで絶縁物44と絶縁物の層45とを同時に形成すことができ、不良が発生する大きな原因の一つであるパターニング工程が簡略化されるという顕著な効果を得ることができる。さらに、本発明の構成をとるとパターニング工程が上記の絶縁物の加工のみですむので、上記のようなスクリーン印刷法を用いて、絶縁物のパターニング工程における不良の発生を抑えることは、完成品の歩留りを向上させるのに大きな効果がある。
【0048】
また、ここでは加工がし易すいのでエポキシ樹脂を絶縁物をして用いたが、絶縁物であれば特に限定されるものではなく、酸化珪素、さらにはポリイミド、シリコンゴム等の有機樹脂、ウレタン、アクリル等を用いることができる。しかしながら、後のレーザースクライブ工程に際してレーザー光が照射されることになるので、弱いレーザー光の照射によって焼ききれたり昇華してしまわない程度に耐熱性を有していた方が好ましく、また、レーザー光を完全に透過してしまうような材料は好ましくない。
【0049】
この様にして図7の状態を得る。また、開溝404、405さらには絶縁物44、45の実際の位置関係は、パターニング工程(本実施例ではスクリーン印刷法)やレーザースクライブ工程の精度によって決定されるもので、図で示される位置関係に限定されるものでないことはいうまでもない。
【0050】
図7の状態を得た後、裏面電極46を3000Åの厚さに成膜する。この際、第2の溝405は裏面電極材料によって充填され、裏面電極46と透明導電膜422とは電気的に接続されることになる。この工程は、裏面電極の形成と同時に行えるので、特別な方法で裏面電極46と透明導電膜422とを電気的に接続する必要がないという作製工程上の特徴を有する。裏面電極としてはアルミを真空蒸着によって成膜したが、他に裏面電極の材料としては、Ag、Cr、Ni、Mo、SUS等を用いることができ、また裏面電極を透明電極としてITOやSnO2 で形成してもよい。また、その形成方法も多様であるが、本実施例のように耐熱性の乏しいプラスチックフィルム基板を用いる場合には、基板に熱ダメージを与えない低温成膜方法が好ましい。
【0051】
このようにして図8の状態を得る。そして、絶縁物の層45上に成膜された裏面電極46をレーザースクライブ法によって切断することによって、図1に示すような集積型の薄膜太陽電池が完成する。この時、絶縁物の層45が遮蔽物となり光電変換層43にはレーザー光が届かないようにすることは重要である。従来は、この透明導電膜のみを切断するレーザースクライブ工程で、下の光電変換層432と透明導電膜422をも一緒に加工してしまうことが多々あり、そうすると、この領域で合金化しショートが発生する等の問題が発生し、集積化を困難としていた。しかしながら、本実施例に示すような構成をとること、絶縁物の層45がレーザー光によってダメージを受けることになるので、この層が実質的にバリアとなり、光電変換層43がレーザースクライブによって切断されることがなく、しかも確実に裏面電極を切断することができ、プロセスの再現性および歩留りの向上に極めて優れた効果があった。
【0052】
以上の工程を経ることによって、プラスチックフィルム基板上に設けられた集積型の薄膜太陽電池を完成することができた。
【0053】
なお、本実施例においては基板としてプラスチックフィルム基板用いた例を記載したが、他の種類の可とう性基板またはガラス基板等の一般の絶縁基板を用いた場合であっても本実施例と同様にして集積型の薄膜太陽電池が作製できることはいうまでもない。
【0054】
【発明の効果】
本発明のように、基板上に透明導電膜と光電変換層を積層した状態で、レーザースクライブを行うことによって、耐熱性のない基板を用いた場合であっても欠陥のない開溝を形成することができ、また、透明導電膜並びに光電変換層上に設けられた裏面電極をレーザースクライブによって切断する際、このレーザースクライブされる部分の裏面電極下に絶縁体の層を設けておくことで、他の部分にダメージを与えずにしかも確実に裏面電極をレーザースクライブによって切断することができ、さらにこの絶縁体の層と隣合う光電変換ユニットを絶縁分離する絶縁物を同じ材料で同時に形成することで、結果として3回のレーザースクライブと1回のパターニングのみで集積化構造を形成することができ、この工程を繰り返すことで、任意の数集積化された薄膜太陽電池を再現性良く大量生産できるという顕著な効果を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例を示す。
【図2】 従来の集積型の薄膜太陽電池の作製工程を示す。
【図3】 従来のレーザースクライブ工程における基板表面の様子を示す。
【図4】 本発明の実施例の作製工程を示す。
【図5】 本発明の実施例の作製工程を示す。
【図6】 本発明の実施例の作製工程を示す。
【図7】 本発明の実施例の作製工程を示す。
【図8】 本発明の実施例の作製工程を示す。
【符号の説明】
41 プラスチックフィルム基板
42 透明導電膜
43 光電変換層
44 絶縁物
45 絶縁物の層
46 裏面電極
401 第1の光電変換ユニット
403 第2の光電変換ユニット
404 第1の開溝
405 第2の開溝
463 第3の開溝
421 第1の光電変換ユニットの透明導電膜
422 第2の光電変換ユニットの透明導電膜
431 第1の光電変換ユニットの光電変換層
432 第2の光電変換ユニットの光電変換層
461 第1の光電変換ユニットの裏面電極
462 第2の光電変換ユニットの裏面電極
Claims (6)
- 絶縁基板上の第1の導電膜と、
前記第1の導電膜上に接して形成された光電変換層と、
レーザースクライブによって前記光電変換層および前記第1の導電膜を貫通して予め設けられた第1の開溝および第2の開溝と、
予め設けられた前記第1の開溝を充填する第1の絶縁体と、
前記光電変換層上に接して、前記第1の絶縁体と同時に形成された第2の絶縁体と、
前記光電変換層、前記第1の絶縁体および前記第2の絶縁体の上に接して形成され、かつ予め設けられた前記第2の開溝を充填して前記第1の導電膜に接続する第2の導電膜と、
前記第2の導電膜を貫通して前記第2の絶縁体上に設けられた、第3の開溝とを有し、
前記第2の開溝は、前記第1の開溝と前記第3の開溝との間に位置することを特徴とする光電変換装置。 - 請求項1において、前記第2の開溝は前記第1の開溝に平行であることを特徴とする光電変換装置。
- 請求項1または2において、前記絶縁基板は透光性であることを特徴とする光電変換装置。
- 請求項1、2または3において、前記絶縁基板は可撓性であることを特徴とする光電変換装置。
- 請求項1乃至4のいずれか一において、前記第1の絶縁体および前記第2の絶縁体は、同時にかつ同一材料で形成されていることを特徴とする光電変換装置。
- 請求項1乃至5のいずれか一において、前記第1の絶縁体および前記第2の絶縁体は、酸化珪素、有機樹脂、ウレタンまたはアクリルであることを特徴とする光電変換装置。
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