JP4111873B2 - 補修用継手 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は補修用継手に関し、特にたとえば、陶管やヒューム管等で形成された下水管路の補修に使用する、補修用継手に関する。
【0002】
【従来技術】
下水管としてたとえば陶管やヒューム管等が使用されている。このような陶管等で形成された既設下水管路の一部がたとえば破損した場合は、図15に示すように、たとえば陶管製の下水管路1のその破損箇所を切断して撤去する。そして、下水管路1の上流側管路2の端部(差口)2aと、下流側管路3の受口3aとの間に合成樹脂製の補修用継手4を取り付けて補修する(たとえば、非特許文献1参照。)。
【0003】
この合成樹脂製の補修用継手4は、図15に示すように、第1接続継手5と第2接続継手6とを備えている。第1接続継手5は、第1短管部5aを有している。この第1短管部5aの一端には、陶管が接続される第1受口5bが形成されており、他端には差口5cが形成されている。第2接続継手6は、第2短管部6aを有している。この第2短管部6aの一端には、陶管の受口3aに受容される差口6bが形成されており、他端には第1短管部5aの差口5cを受容するゴム輪受口6cが形成されている。なお、第1受口5bおよび差口6bの外周面には、モルタル等の接合材7が充填されている。
【0004】
この補修用継手4によると、第1接続継手5と第2接続継手6とが互いにゴム輪接合しているので、この補修用継手4を予め定めた範囲内で伸縮させることができる。したがって、下水管路1の端部(差口)2aと、受口3aとの間隔M1が、陶管の破損状態や、交換される陶管の長さに応じて相違することがあっても、この補修用継手4をその間隔M1と対応する長さに調整して、その端部2aと受口3aとの間に取り付けて補修することができる。
【0005】
【非特許文献1】
編者「塩化ビニル管・継手協会」、「JPPFA 下水道用硬質塩化ビニル管 AS19」、平成14年7月1日改正、第15頁
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の補修用継手4では、最も短縮させた状態での長さがたとえばM1以上であると、この短縮させた補修用継手4を下水管路1の端部2aと、受口3aとの間に配置できないことがあり、その場合、この補修用継手4を端部2aと受口3aとの間に取り付けて補修することができないことがある。このような場合は、端部2aと受口3aとの間隔M1を広げるために、たとえば掘削孔8を広げることが考えられるが、費用が嵩む。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、短縮させたときの補修用継手が長過ぎるために、この補修用継手を補修箇所に取り付けることができない場合でも、その補修箇所に取り付けて補修できるようにする、補修用継手を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、陶管やヒューム管等で形成された管路の端部どうしを接続するための合成樹脂製の補修用継手において、差口を有し、目盛りが付された第1短管部、および差口を受容するゴム輪受口を有する第2短管部を備え、管路の端部どうしの間隔と対応する目盛りで第1短管部を切断することによって、端部どうしを接続するための長さに形成される、補修用継手である。
【0009】
第2の発明は、第1および第2短管部のそれぞれの一端に陶管やヒューム管等で形成された管路の端部を受容するための第1および第2受口が形成され、第1および第2受口と端部とのそれぞれの隙間が接合材によって封止される合成樹脂製の補修用継手であって、第2短管部の他端に第1短管部の他端に形成された差口を受容するゴム輪受口が形成され、第1短管部に目盛りが付されており、管路の端部どうしの間隔と対応する目盛りで第1短管部を切断することによって、管路の端部どうしを接続するための長さに形成される、補修用継手である。
【0010】
【作用】
第1および第2の発明によると、第1短管部と第2短管部とがゴム輪接合されているので、この補修用継手を伸縮させることができる。これによって、この補修用継手を管路の補修箇所に形成される端部どうしの間隔に応じてその長さを調整して、その補修箇所に取り付けることができる。
【0011】
つまり、補修用継手を使用して、たとえば陶管等で形成された埋設既設下水管路を補修するときは、まず、地面を掘削して既設下水管路の破損等の箇所を露出させる。そして、既設下水管路のたとえば破損部分を切断して除去する。次に、たとえば補修用継手を短縮させて、補修箇所の端部どうしの間に配置する。そして、この補修用継手を伸張させて、補修用継手の各端部を補修箇所の対応する各端部と接続すればよい。
【0012】
ただし、補修用継手を短縮させたときの長さが、補修箇所の端部どうしの間隔よりも長いために、この補修用継手を補修箇所に取り付けることができない場合は、補修箇所の端部どうしの間隔と対応する目盛りで第1短管部を切断して短くする。これによって、補修用継手を補修箇所の端部どうしを接続できる長さに形成することができ、補修箇所に取り付けて補修することができる。
【0013】
また、第2の発明によると、第1受口は、既設下水管路を切断して形成された2つの差口のうち、上流側差口に接続され、第2受口は下流側差口に接続される。
【0014】
【発明の効果】
第1および第2の発明によると、短縮させたときの補修用継手が長過ぎるために、この補修用継手を補修箇所に取り付けることができない場合に、補修箇所の端部どうしの間隔と対応する目盛りで第1短管部を切断して短くすることによって、補修用継手を補修箇所の端部どうしを接続できる長さに形成することができる。したがって、従来のように、補修用継手を補修箇所の端部に取り付けられるように、補修個所の端部の間隔および掘削孔を広げる必要がないし、補修箇所の端部どうしを接続できる長さの補修用継手を品揃えする必要もない。
【0015】
また、第2の発明の補修用継手では、この継手の両端の第1および第2受口を、既設管路の切断端部(差口)に接続するものであるから、既設管路の端部に受口が配置されるように掘削する必要がない。よって、図15に示す従来のように、既設管路の受口を露出させるために掘削孔を広げる必要がなく経済的である。
【0016】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0017】
【実施例】
この発明の第1実施例に係る補修用継手を図1〜図7等を参照して説明する。この補修用継手10は、合成樹脂製であり、図2に示すように、たとえば陶管やヒューム管等によって形成された埋設既設下水管路12の一部がたとえば破損した場合に、その破損箇所を補修することができるものである。この補修用継手10は、図2に示すように、第1接続継手14と第2接続継手16とを備えている。
【0018】
第1接続継手14は、図2に示すように、第1短管部18を有している。この第1短管部18の一端には、たとえば陶管の差口20が接続される第1受口22が形成されており、他端には差口24が形成されている。第1受口22は、その内径が第1短管部18の内径よりも大きく、かつその中心が第1短管部18の中心と一致している。そして、下水管路12を構成する陶管26は、図8に示すように、短管部26aおよび受口26bを備えている。
【0019】
そして、第1受口22の内面には、陶管26の管底位置決め用の突起28がたとえば3つ形成されている。この28は、図2に示すように、上流側管路30の差口(上流側差口)20を第1受口22内に嵌め込んだ状態で、上流側差口20の管底(内面)20aおよび第1短管部18の管底(内面)18aが同一の高さとなるように、高さH1に形成されている。
【0020】
さらに、図2に示すように、第1受口22の開口縁における頂部(上部)には、第1受口22の周方向に沿って約90°の範囲にわたって接合材充填用の切欠34が形成されている。この切欠34の幅(第1受口22の奥行き方向の幅)W1は、この切欠34を含むスペースK1から接合材32をたとえば手で供給して、上流側差口20の外周面と、第1受口22の内周面との隙間36に接合材32を充填できる大きさである。
【0021】
そして、図1に示すように、第1短管部18の差口24の外表面には、目盛り62が付されている。この目盛り62は、たとえば図4に示すように、短縮させたときの補修用継手10が長過ぎるために、この補修用継手10を既設下水管路12の補修箇所に取り付けることができない場合に、図6に示すように、補修箇所の上流側および下流側差口20と46との間隔(たとえばL3)と対応する目盛り(たとえばL3が表示されている目盛り)62で第1短管部18を切断して短くすることによって、補修用継手10を補修箇所の差口20,46どうしを接続できる長さ(たとえばT2)に形成することができるものである。
【0022】
第2接続継手16は、図2に示すように、第2短管部38を有している。この第2短管部38の一端には、たとえば陶管の差口(下流側管路44の差口)46が接続される第2受口40が形成されており、他端にはゴム輪受口42が形成されている。ゴム輪受口42は、第2短管部38と同径に形成されており、開口端部の内周に沿って環状のゴム輪受容部42aが形成されている。このゴム輪受容部42aにはゴム輪42bが装着されている。このゴム輪受口42は、第1短管部18の差口24が接合されるように形成されている。
【0023】
第2受口40は、第1受口22と同等の大きさおよび形状であり、陶管(下流側差口46)の管底位置決め用のたとえば3つの突起28、および接合材充填用の切欠34が形成されている。これら3つの突起28および切欠34は、第1受口22に設けられているものと同等のものである。
【0024】
ただし、第2受口40は、その中心が第2短管部38の中心よりもこの第2短管部38の管底38a側にS1だけ偏心して形成されている。この偏心量S1は、第1短管部18の厚み、および第1短管部18と第2短管部38との隙間の合計の寸法である。これによって、図2に示すように、下流側差口46を第2受口40内に嵌め込んだ状態で、下流側差口46の管底(内面)46aおよび第2短管部38の管底(内面)38aが同一の高さとなる。
【0025】
また、第2接続継手16は、図2に示すように、第2短管部38と第2受口40とが結合する環状の結合部において、その上半円部分よりも広い範囲にわたって縮径部56が形成されている。
【0026】
縮径部56は、ゴム輪受口42の側から管軸に対して所定角度で傾斜して、管軸に接近しながら第2受口40に向かって延びている。そして、この縮径部56は、第2受口40の奥部に形成されている漏斗状の傾斜部58と結合している。
【0027】
この縮径部56によると、第1接続継手14の差口24を第2接続継手16のゴム輪受口42に接合し、そして奥側に向かって挿入したときに、差口24の先端が縮径部56の内面に当接して、第1接続継手14の差口24がそれよりも奥側に向かって移動しないように係止することができる。したがって、たとえば第1接続継手14の第1短管部18が第2接続継手16の第2短管部38よりも長い場合でも、第1接続継手14の差口24が第2受口40の内側に進入したり、差口24が第2受口40から外側に突出する状態となることを防止できる。これによって、第1短管部18の外面に、第2受口40内に予め充填された接合材32が付着したり、その第1短管部18の外面に付着した接合材32が第2短管部38の内面に付着しないようにすることができる。
【0028】
この補修用継手10によると、第1接続継手14を切断せずに、この補修用継手10を使用して接続することができる補修箇所の上流側および下流側差口20と46との間隔は、最も短い場合が図1に示すようにL1であり、最も長い場合が図3に示すようにL2である。
【0029】
補修用継手10で接続できる差口20,46どうしの間隔としてL1が最も短いとされる理由は、図1に示すように、第1接続継手14の差口24が第2接続継手16の縮径部56と当接する状態(短縮状態)の補修用継手10の長さがT1であり、差口20,46どうしの間隔L1よりも少し短い寸法であるので、その間隔がL1よりも短くなると、この差口20と46との間に補修用継手10を配置できないからである。なお、この切断されていない状態の第1接続継手14の差口24の先端の目盛り62には、L1が表示されている。この表示されているL1は、図1に示す長さの第1接続継手14を備える補修用継手10を使用した場合に、接続することができる差口20,46の最も短い間隔L1を表している。
【0030】
そして、補修用継手10で接続できる差口20,46どうしの間隔としてL2が最も長いとされる理由は、図3に示すように、第1接続継手14の差口24と、第2接続継手16のゴム輪受口42との接合長さをこれ以上短くできないからである。
【0031】
また、補修用継手10によると、第1接続継手14を切断することによって、この補修用継手10を使用して接続することができる補修箇所の上流側および下流側差口20と46との間隔は、最も短い場合が図6に示すようにL3である。その理由は、図6に示すように、第1接続継手14の第1受口22が第2接続継手16のゴム輪受口側端部と当接する状態(短縮状態)の補修用継手10の長さがT2であり、差口20,46どうしの間隔L3よりも少し短い寸法であるので、間隔がL3よりも短くなると、この差口20と46との間に補修用継手10を配置できないからである。なお、第1接続継手14の第1受口22が第2接続継手16のゴム輪受口側端部と当接しているので、第1接続継手14をこれ以上短く切断しても、補修用継手10をこれ以上短くすることはできない。また、この切断された状態の第1接続継手14の差口24の先端の目盛り62には、L3が表示されている。この表示されているL3は、図6に示す長さの第1接続継手14を備える補修用継手10を使用した場合に、接続することができる差口20,46の最も短い間隔L3を表している。
【0032】
つまり、図1に示すように、切断されていない第1接続継手14を備える補修用継手10の短縮状態では、第1受口22とゴム輪受口42の先端部とが間隔を隔てて配置されており、これによって、第1接続継手14を切断したときに、補修用継手10の短縮状態の長さをさらに短くできるようになっている。
【0033】
次に、図1〜図3を参照して、切断されていない第1接続継手14を備える補修用継手10を使用して、たとえば埋設された陶管製の既設下水管路12を補修する手順を説明する。図1に示すように、この場合の補修用継手10が取り付けられる上流側および下流側差口20と46との間隔は、最も短い場合でありL1である。まず、既設下水管路12の破損や水漏れ等の箇所を調査する。そして、図1に示すように、その破損等の箇所を露出させるために、地面を掘削して掘削孔48を形成する。この場合、たとえば陶管26の受口26bと差口との接合部から漏水しているとすると、この漏水箇所を除去するために、図1に示すように、既設下水管路12の漏水箇所を切断する。この際、この切断によって形成された既設下水管路12の上流側差口20および下流側差口46のそれぞれの突出長さはK2である。次に、図1に示すように、この切断によって形成された上流側差口20と下流側差口46との間に、この補修用継手10を短縮させた状態で配置して、図2に示すように取り付ける。
【0034】
補修用継手10を取り付けるときは、まず、たとえば地上において、この補修用継手10の第1および第2受口22,40内であって、突起28が形成されている範囲、またはその程度の範囲に接合材32を充填する。ただし、図1には、この予め充填された接合材32を図示していない。
【0035】
そして、図2に示すように、たとえば上流側差口20を第1受口22内にその奥まで嵌め込んで突起28に当てがい、上流側差口20に対する第1受口22の位置決めを行う。この突起28は、下側となるように配置される。そして、この当てがった状態を保持するために、この第1受口22を土等の固定材50で固定する。同様に、下流側差口46を第2受口40内にその奥まで嵌め込んで突起28に当てがい、下流側差口46に対する第2受口40の位置決めを行う。この突起28は、下側となるように配置される。そして、この当てがった状態を保持するために、この第2受口40を土等の固定材50で固定する。この状態で、陶管製の既設下水管路12の上流側差口20および第1短管部18のそれぞれの管底20a,18aの高さが同一となっており、下流側差口46および第2短管部38のそれぞれの管底46a,38aの高さも同一となっている。これによって、上流側差口20と第1受口22との接合部、および下流側差口46と第2受口40との接続部のそれぞれに、下水や泥が溜まらないようにすることができる。
【0036】
次に、第1および第2受口22,40に形成されている各切欠34を含むスペースK1からモルタル等の接合材32を供給して、上流側差口20の外周面と第1受口22の内周面との間に形成されている隙間36、および下流側差口46の外周面と第2受口40の内周面との間に形成されている隙間36に接合材32を充填する。そして、この充填された接合材32が固化すると、上流側差口20と第1受口22との隙間36、および下流側差口46と第2受口40との隙間36がこの接合材32で密封されて、上流側差口20および第1受口22、ならびに下流側差口46および第2受口40のそれぞれが互いに結合する。しかる後に、掘削孔48の埋め戻しを行う。これによって、既設下水管路12の破損箇所の補修が終了する。
【0037】
図3は、切断されていない第1接続継手14を備える補修用継手10を使用して、埋設された陶管製の既設下水管路12を補修した状態を示す他の例である。この場合の補修用継手10が取り付けられる上流側および下流側差口20と46との間隔は、最も長い場合でありL2である。
【0038】
次に、図4〜図7を参照して、切断された第1接続継手14を備える補修用継手10を使用して、埋設された陶管製の既設下水管路12を補修する手順を説明する。図7に示すように、この場合の補修用継手10が取り付けられる上流側および下流側差口20と46との間隔は、切断された第1接続継手14を備える補修用継手10を使用して接続できる最も短い間隔のL3である。
【0039】
図4に示すように、切断されていない第1接続継手14を備える補修用継手10を短縮させた状態の長さがT1であり、この長さT1は、上流側および下流側差口20と46との間隔L3よりも長いので、補修用継手10を差口20と46との間に配置することができない。したがって、間隔L3の差口20と46とをこの補修用継手10で接続することが困難である。
【0040】
そこで、図5(A)に示す第1接続継手14の目盛り62のうち、L3が表示されている目盛り62の箇所で第1短管部18を切断して、図5(B)に示すように、この第1接続継手14の長さを短くする。第1短管部18をL3が表示されている目盛り62の箇所で切断するのは、この補修用継手10を取り付けようとする差口20と46との間隔がL3だからである。
【0041】
したがって、差口20と46との間隔がたとえばLa(L3<La<L1)の場合は、La(図示せず)が表示されている目盛り62の箇所で第1短管部18を切断して、この第1接続継手14の長さを短くすればよい。もちろん、L3が表示されている目盛り62の箇所で第1短管部18を切断した場合でも、第1接続継手14と第2接続継手16とのゴム輪接合部でこの補修用継手10の長さを調整して、間隔Laの差口20,46に補修用継手10を取り付けることができる場合は、L3の目盛り62の箇所で第1短管部18を切断してもよい。
【0042】
図6に示すように、L3が表示されている目盛り62の箇所で切断された第1接続継手14を備える補修用継手10は、短縮させた状態で、長さがT2となり、差口20と46との間隔L3よりも短くなり、差口20と46との間に配置することができる。したがって、切断されていない第1接続継手14を備える図3に示す補修用継手10と同様にして、図7に示すように、切断された第1接続継手14を備える補修用継手10によって上流側および下流側差口20と46とを接続することができる。
【0043】
この補修用継手10によると、第1接続継手14と第2接続継手16とがゴム輪接合されているので、この補修用継手10を伸縮させることができる。これによって、この補修用継手10を既設下水用管路12の補修箇所に形成される差口20,46どうしの間隔Lに応じてその長さを調整して、その補修箇所に取り付けることができる。
【0044】
ただし、図4に示すように、補修用継手10を短縮させたときの長さT1が、補修箇所の差口20,46どうしの間隔のたとえばL3よりも長いために、この補修用継手10を補修箇所に取り付けることが困難な場合は、補修箇所の差口20,46どうしの間隔L3と対応する目盛りL3で第1接続継手14を切断して短くする。これによって、補修用継手10を補修箇所の差口20,46どうしを接続できる長さT2に形成することができ、補修箇所に取り付けて補修することができる。
【0045】
また、従来では、図15に示すように、掘削壁面から突出する下流側管路3の端部に、陶管の受口3aが配置されている必要があるので、受口3aが露出するまで掘削孔48を広げる必要がある。これに対して、この補修用継手10では、両端の第1および第2受口22,40を、上流側および下流側の各差口(切断端部)20,46に接続するものであるから、下流側端部に受口3aが配置されるように掘削する必要がない。よって、陶管の受口3aを露出させるために、掘削孔48を広げる必要がなく経済的である。
【0046】
次に、この発明の第2実施例に係る補修用継手52を図8〜図12等を参照して説明する。第2実施例と第1実施例とが相違するところは、図1に示す第1実施例の第1受口22には突起28および切欠34が設けられているのに対して、図8に示す第2実施例の第1受口22には、これら突起28および切欠34が設けられていないところ、および、第1実施例の第2接続継手16には第2受口40が設けられているのに対して、第2実施例では、第2受口40が設けられておらず、その代わりに差口54が設けられているところである。これ以外は、第1実施例と同等であり、同等部分を同一の図面符号で示し、それらの詳細な説明を省略する。
【0047】
差口54は、図8に示すように、第2接続継手60の第2短管部38の先端部を縮径して形成されたものであり、第1実施例の縮径部56と同等の機能を有している。つまり、第2接続継手60のこの縮径された差口54によると、第1接続継手14の差口24を第2接続継手60のゴム輪受口42に接合し、そして奥側に向かって挿入したときに、差口24の先端が差口54の内面に当接して、第1接続継手14の差口24がそれよりも奥側に向かって移動しないように係止することができる。
【0048】
図8に示す補修用継手52によると、第1接続継手14を切断せずに、この補修用継手52を使用して接続することができる補修箇所の上流側差口20と下流側受口26bとの間隔は、図には示さないが、最も短い場合がL5であり、最も長い場合が第1接続継手14の差口24と、第2接続継手60のゴム輪受口42との接合長さが最低限度必要とされる規準の長さとなるときである。
【0049】
補修用継手52で接続できる差口20と受口26bとの間隔としてL5が最も短いとされる理由は、図8に示す第1接続継手14の差口24が第2接続継手60の差口54の内面と当接する状態(短縮状態)の補修用継手52の長さT3が、差口20と受口26bとの間隔L5よりも少し短い寸法となるからである。なお、この切断されていない状態の第1接続継手14の差口24の先端の目盛り62には、L5が表示されている。この表示されているL5は、図8に示す長さの第1接続継手14を備える補修用継手52を使用した場合に、接続することができる差口20と受口26bとの最も短い間隔L5を表している。
【0050】
また、この補修用継手52によると、第1接続継手14を切断することによって、この補修用継手52を使用して接続することができる補修箇所の上流側差口20と下流側受口26bとの間隔は、最も短い場合が図8に示すようにL6である。その理由は、図8に示す第1接続継手14の第1受口22が第2接続継手60のゴム輪受口側端部と当接する状態(短縮状態)の補修用継手52の長さT4が、差口20と受口26bとの間隔L6よりも少し短い寸法であるので、間隔がL6よりも短くなると、この差口20と受口26bとの間に補修用継手52を配置できないからである。なお、この切断された状態の第1接続継手14の差口24の先端の目盛り62には、L6が表示されている状態となる。この表示されているL6は、この切断された第1接続継手14を備える補修用継手52を使用した場合に、接続することができる差口20と受口26bとの最も短い間隔L6を表している。
【0051】
次に、図8を参照して、切断されていない第1接続継手14を備える補修用継手52を使用して、たとえば埋設された陶管製の既設下水管路12を補修する手順を説明する。図8に示すように、この場合の補修用継手52が取り付けられる上流側差口20と下流側受口26bとの間隔は、L4である。まず、第1実施例と同様にして、既設下水管路12の漏水箇所を切断して撤去する。この際、既設下水管路12の上流側には上流側差口20が形成され、下流側には下流側受口(陶管の受口)26bが露出するように掘削孔48を形成する。次に、この切断によって形成された上流側差口20と下流側受口26bとの間に、この補修用継手52を短縮させた状態で配置して、図8に示すように取り付ける。
【0052】
補修用継手52を取り付けるときは、第1実施例と同等であり、たとえば上流側差口20を第1受口22内にその奥まで嵌め込む。同様に、第2接続継手60の差口54を下流側受口26b内にその奥まで嵌め込む。そして、上流側差口20の外周面と第1受口22の内周面との間に形成されている隙間36、および下流側受口26bの内周面と第2接続継手60の差口54の外周面との間に形成されている隙間36に接合材32を充填する。この状態で、陶管製の既設下水管路12の上流側差口20および第1短管部18のそれぞれの管底20a,18aの高さが同一となるように調整するとともに、下流側受口26bおよび第2短管部38のそれぞれの管底46a,38aの高さも同一となるように調整する。そして、この充填された接合材32が固化した後に、掘削孔48の埋め戻しを行う。これによって、既設下水管路12の破損箇所の補修が終了する。
【0053】
次に、図9〜図12を参照して、切断された第1接続継手14を備える補修用継手52を使用して、埋設された陶管製の既設下水管路12を補修する手順を説明する。図12に示すように、この場合の補修用継手52が取り付けられる上流側差口20と下流側受口26bとの間隔はL7であり、切断された第1接続継手14を備える補修用継手52を使用して接続できる最も短い間隔L6よりも長い寸法である。
【0054】
図9に示すように、切断されていない第1接続継手14を備える補修用継手52を短縮させた状態の長さがT3であり、この長さT3は、上流側差口20と下流側受口26bとの間隔L7よりも長いので、補修用継手52を差口20と受口26bとの間に配置することができない。したがって、間隔L7の差口20と受口26bとをこの補修用継手52で接続することが困難である。
【0055】
そこで、図10(A)に示す第1接続継手14の目盛り62のうち、L7が表示されている目盛り62の箇所で第1短管部18を切断して、図10(B)に示すように、この第1接続継手14の長さを短くする。第1短管部18をL7が表示されている目盛り62の箇所で切断するのは、この補修用継手52を取り付けようとする差口20と受口26bとの間隔がL7だからである。
【0056】
したがって、差口20と受口26bとの間隔がたとえばL6(L6<L7<L5)の場合は、L6が表示されている目盛り62の箇所で第1短管部18を切断して、この第1接続継手14の長さを短くすればよい。もちろん、L6が表示されている目盛り62の箇所で第1短管部18を切断した場合でも、第1接続継手14と第2接続継手60とのゴム輪接合部でこの補修用継手52の長さを調整して、間隔L7の差口20と受口26bとに補修用継手52を取り付けることができる場合は、L6の目盛り62の箇所で第1短管部18を切断してもよい。
【0057】
図11に示すように、L7が表示されている目盛り62の箇所で切断された第1接続継手14を備える補修用継手52は、短縮させた状態で、長さがT5となり、差口20と受口26bとの間隔L7よりも短くなり、差口20と受口26bとの間に配置することができる。したがって、切断されていない第1接続継手14を備える図8に示す補修用継手52と同様にして、図12に示すように、切断された第1接続継手14を備える補修用継手52によって上流側差口20と下流側受口26bとを接続することができる。
【0058】
ただし、第1および第2実施例の第1受口22等は、陶管26の差口20等と接続できる大きさおよび形状としたが、これに代えて、ヒューム管の差口等を接続できる大きさおよび形状としてもよい。
【0059】
第1実施例では、第1受口22および第2受口40に接合材充填用の切欠34を形成したが、これら切欠34を形成しなくてもよい。
【0060】
第1受口22および第2受口40に突起28を形成したが、これら突起28を形成しなくてもよい。また、この3つの突起28に代えて、図13および図14に示す突起64を設けてもよい。この突起64は各開口縁の一部を内側に屈曲させて形成させたものであり、たとえば鉛直下方向に対し左右に2つ設けられる。突起64の高さは突起28の高さH1に等しい。さらに、各開口縁の底になる部分で2つの突起64の間を内側に曲げて、水平面を形成する。つまり、この実施例の拡径受口22および40の各々は、管底側において受口外面より内方に位置する水平部66を有し、この水平部66の両側から立ち上がって、内方に突出する2つの突起64が形成される。これら開口縁の2つの突起64ならびに水平部66が突起28に相当し、上流側管路および下流側管路の差口20および46を支える。このような構成にすると、継手とは別に突起を形成し、突起を各受口に接続する必要がなく、拡径受口と同時に一体成形できるため、作業の手間やコストなど点で優れている。つまり、拡径受口22および40を形成するとき、外形の形状をこの実施例のように水平部66および突起64を有する形状にするだけで、受口22および40と突起64とを同時に成形することができる。
【0061】
これら受口22および40の内面に砂付加工68を施すと、上流側管路および下流側管路の差口20および46との結合を強固にすることができる。この際、図14(A)に示すように差口20の外周面が第1受口22の開口縁の水平部66の一部70および突起64の頂点と接するため、これらの部分には砂付加工68を施さない。第2受口40についても同様に図14(B)に示すように突起64の頂点と水平部66の一部72に砂付加工を施さない。
【0062】
第1実施例では、第2接続継手16に縮径部56を設けたが、この縮径部56を省略してもよい。縮径部56を省略した場合の補修用継手の短縮状態は、第2受口40内に予め接合材32を充填する場合は、たとえば第1接続継手14の差口24の先端部が第2受口40の手前の位置に配置されている状態としてもよい。そして、第2受口40内に予め接合材32を充填しない場合は、第1接続継手14の差口24の先端部が第2受口40の開口縁とほぼ一致する位置に配置されている状態を短縮状態としてもよい。そして、第1実施例と同様に、この第1接続継手14を目盛り62の位置で切断することによって、元の短縮状態の長さよりも短い間隔であって、その目盛り62と対応する間隔の差口20,46どうしを接続できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例に係る短縮状態の補修用継手を既設下水管路の各差口の間に配置した状態を示す縦断面図である。
【図2】図1の第1実施例に係る補修用継手の使用状態を示す縦断面図である。
【図3】図1の第1実施例に係る補修用継手の他の使用状態を示す縦断面図である。
【図4】図1の第1実施例に係る短縮状態の補修用継手を既設下水管路の各差口の間隔と比較する状態を示す縦断面図である。
【図5】(A)は図1の第1実施例に係る補修用継手が備える第1接続継手を示す縦断面図、(B)は図5(A)の第1接続継手をL3の目盛り位置で切断した状態を示す縦断面図である。
【図6】図5(B)の切断された第1接続継手を備える補修用継手を既設下水管路の各差口の間に配置した状態を示す縦断面図である。
【図7】図6の第1実施例に係る補修用継手の使用状態を示す縦断面図である。
【図8】この発明の第2実施例に係る補修用継手の使用状態を示す縦断面図である。
【図9】図8の第2実施例に係る短縮状態の補修用継手を既設下水管路の差口と受口との間隔と比較する状態を示す縦断面図である。
【図10】(A)は図8の第2実施例に係る補修用継手が備える第1接続継手を示す縦断面図、(B)は図10(A)の第1接続継手をL7の目盛り位置で切断した状態を示す縦断面図である。
【図11】図10(B)の切断された第1接続継手を備える補修用継手を既設下水管路の差口と受口との間に配置した状態を示す縦断面図である。
【図12】図11の第2実施例に係る補修用継手の使用状態を示す縦断面図である。
【図13】図1実施例に係る両受補修用継手の他の実施例を示す縦断面図である。
【図14】(A)は図13実施例の第1受口を示す平面図である。(B)は図13実施例の第2受口を示す平面図である。
【図15】従来の補修用継手の使用状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
10,52 …補修用継手
12 …既設下水管路
14 …第1接続継手
16,60 …第2接続継手
18 …第1短管部
18a,20a,38a,46a …管底
20 …上流側差口
22 …第1受口
24,54 …差口
28 …突起
30 …上流側管路
32 …接合材
34 …切欠
36 …隙間
38 …第2短管部
40 …第2受口
42 …ゴム輪受口
44 …下流側管路
46 …下流側差口
56 …縮径部
62 …目盛り

Claims (2)

  1. 陶管やヒューム管等で形成された管路の端部どうしを接続するための合成樹脂製の補修用継手において、
    差口を有し、目盛りが付された第1短管部、および
    前記差口を受容するゴム輪受口を有する第2短管部を備え、
    前記管路の端部どうしの間隔と対応する前記目盛りで前記第1短管部を切断することによって、前記端部どうしを接続するための長さに形成される、補修用継手。
  2. 第1および第2短管部のそれぞれの一端に陶管やヒューム管等で形成された管路の端部を受容するための第1および第2受口が形成され、前記第1および第2受口と前記端部とのそれぞれの隙間が接合材によって封止される合成樹脂製の補修用継手であって、
    前記第2短管部の他端に前記第1短管部の他端に形成された差口を受容するゴム輪受口が形成され、前記第1短管部に目盛りが付されており、前記管路の端部どうしの間隔と対応する前記目盛りで前記第1短管部を切断することによって、前記管路の端部どうしを接続するための長さに形成される、補修用継手。
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