JP4111303B2 - 赤ワイン加工調味料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酒類の調理効果を増強させた酒類含有調味料に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にワインは、赤ワインと白ワインがあり、嗜好飲料のほかに料理に広く利用されている。特に近年は、欧風の料理が多くなり、調味料としてワインを使用する機会が増加しており、飲用とは別に、調理専用ワインも市販されるようになった。
ワインには、料理にこく味とまる味、食欲をそそる香りを増強させ、さらにてり、つやを付与し、見栄えをよくするなどの調理効果が言われている。特に赤ワインは、主として煮込み料理に用いられることが多く、料理の仕上がりが早くなるなどの効果があることが知られている。
【0003】
一方、赤ワインに、食塩、アルコール、その他を加えた赤ワイン調味料が、赤ワインと同様の調理効果を持つことが知られている。
【0004】
しかしながら、赤ワイン及び従来の赤ワイン調味料には、調味料としての調理効果に物足りなさがあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、赤ワインの風味を保持し、さらにその調理効果を高めた赤ワイン加工調味料を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明を概説すれば、本発明の第1の発明は、赤ワインの配合量が40v/v%以上であり、赤ワインと有機酸源を混合してなる赤ワイン加工調味料であって、該調味料中のアルコール濃度が8v/v%〜14v/v%、総有機酸濃度が0.75w/v%〜1.2w/v%であり、総有機酸に占めるリンゴ酸、酒石酸及び乳酸の合計濃度が0.7w/v%〜0.9w/v%、かつリンゴ酸、酒石酸及び乳酸の組成比が3:2:1であることを特徴とする赤ワインの調理効果が増強され、かつ、赤ワインの風味が保持された、赤ワイン加工調味料である。本発明の第2の発明は、第1の発明における有機酸源がリンゴ酸源、酒石酸源及び乳酸源であって、総有機酸濃度が0.8w/v%〜1.0w/v%である赤ワイン加工調味料である。
【0007】
本発明者等は、調理用赤ワインにおける前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、赤ワインを主体とする調味料において、特定の有機酸が特定の濃度になるようにすることで、前記課題を解決できることを見出した。すなわち、赤ワイン加工調味料中の総有機酸濃度を0.75w/v%〜1.2w/v%にすることで調理効果が顕著に高まり、そして総有機酸に占めるリンゴ酸、酒石酸及び乳酸の合計量及び組成比が、それぞれ0.7w/v%〜0.9w/v%及び3:2:1となるように調整することにより、総有機酸濃度が高いにもかかわらず、有機酸の酸味がまろやかとなり、赤ワインの風味、赤ワインらしさを保持することができ、かつ、調理効果も増強されることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいてなされたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の赤ワイン加工調味料は、赤ワインを主成分とする調味料であって、赤ワインと有機酸源及び必要に応じてその他の成分を混合してなる、赤ワイン風味、赤ワインの調理効果に優れた調味料である。
その他の成分としては、食塩、アルコール等を例示することができ、また風味を整えるための成分としてブドウ種子エキス、ブドウ果汁、リンゴ酢、オニオンエキス等を例示することができる。
【0009】
本発明において用いられる赤ワインに、特に限定はない。
本発明における赤ワインの配合量は、赤ワインの特徴を保持するために40v/v%以上、さらに好ましくは45v/v%以上とするのがよい。
【0010】
本発明における有機酸源とは、天然、合成あるいは発酵有機酸及び/又はそれらを含む食品素材のことをいう。
本発明におけるリンゴ酸源とは、天然、合成あるいは発酵リンゴ酸及び/又はそれらを含む食品素材のことをいい、食品添加物として利用可能なものであればいずれも使用でき、その含量も特に限定はない。
本発明における酒石酸源とは、天然、合成あるいは発酵酒石酸及び/又はそれらを含む食品素材のことをいい、食品添加物として利用可能なものであればいずれも使用でき、その含量も特に限定はない。
本発明における乳酸源とは、天然、合成あるいは発酵乳酸及び/又はそれらを含む食品素材のことをいい、食品添加物として利用可能なものであればいずれも使用でき、その含量も特に限定はない。
【0011】
本発明におけるアルコール濃度は、調理効果及びワインらしさを持たせるために最終濃度8v/v%〜14v/v%が好ましい。
【0012】
本発明においては、赤ワインの調理効果を高めるために、赤ワイン加工調味料中の特定の有機酸濃度及び組成を規定する。
一般に、総有機酸濃度を高めることで赤ワインの調理効果を高めることができるが、単に総有機酸濃度を高めるだけでは赤ワインの風味を保持することはできない。クエン酸、コハク酸などの増加は、赤ワインの風味を損なうので好ましくない。例えば、クエン酸が多くなるとフルーティな酸味となり、赤ワインらしさが欠けてしまう。しかし、これらの有機酸が存在したり添加された場合であっても、リンゴ酸、酒石酸及び乳酸を特定の濃度に高め特定の組成にすることにより、赤ワイン風味を保持しながら調理効果を高めることができる。
【0013】
このことから本発明においては、赤ワインらしさを保持するためには、有機酸組成が重要であり、調味料中のリンゴ酸、酒石酸及び乳酸の合計濃度が0.7w/v%〜0.9w/v%になるようにすることが好ましい。
さらに赤ワインとしての味のバランスをよくするためには、リンゴ酸、酒石酸及び乳酸の組成比を3:2:1にすることが好ましい。これは赤ワインの味のバランスに及ぼす影響が、乳酸>酒石酸>リンゴ酸の順に大きいからである。
さらに赤ワイン加工調味料の総有機酸濃度を、0.75w/v%〜1.2w/v%に調整することが好ましく、さらには調理効果と赤ワイン風味を保持する面から0.8w/v%〜1.0w/v%にすることが好ましい。
【0014】
本発明品の赤ワイン加工調味料の製造方法としては、例えば、赤ワイン、食塩、アルコール、有機酸及びその他の原料を所定量の割合で混合し、殺菌、充填することにより製造することができる。
また、味を調えるために他の成分、例えば、ブドウ種子エキス、リンゴ酢、オニオンエキス等を添加してもよい。
【0015】
以上述べたごとく、本発明により調理効果に優れ、しかも赤ワイン風味を保持した赤ワイン加工調味料を提供することができる。
【0016】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0017】
実施例1
市販の加工用赤ワイン470ml、95%変性アルコール38ml、食塩18g、リンゴ酸3g、50%発酵乳酸2.16g、酒石酸2g、リンゴ酢1.8ml、ブドウ果汁1g、ブドウ種子エキス1g、酒石酸ナトリウム0.1g、オニオンエキス0.1gを混合し、全量を1000mlとした。これを70℃達温で殺菌後、本発明品の赤ワイン加工調味料を調製し、その分析を行なった。対照として市販の加工用赤ワイン(対照1)及び市販の赤ワイン調味料(対照2)を用い、それぞれ分析を行なった。その分析値を表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
実施例2 ビーフシチュー
牛肉300gをひと口大に切り、塩・こしょうをし、強火で炒め焼き色をつけた。こうして得られた牛肉と、実施例1で調製した本発明品の赤ワイン加工調味料100mlとトマトケチャップ16gを鍋に入れて煮立て、とろりとなるまで約5分間煮た。対照は、市販の加工用赤ワイン及び市販の赤ワイン調味料を用いてそれぞれ同様に行なった。その後400mlの水を入れ、鍋に蓋をして弱火で40分間煮込んだ。これとは別に、ひと口大に切ったタマネギ140g、ニンジン100gをバター4gで炒めたものと、デミグラスソース290g及び水600mlを上記の鍋に加えて約30分間煮た。さらにこの鍋に水200mlとひと口大に切った中ぐらいのじゃがいも2個分を加え、時々混ぜながら弱火で30分間煮込んだ。
【0020】
上記で試作したビーフシチューの官能評価をそれぞれ行なった。官能評価は、10名のパネラーで行ない、3点法(1;悪、2;普通、3;良)で評価した。その結果の合計値を表2に示す。なお、表中の対照1は市販の加工用赤ワイン、対照2は市販の赤ワイン調味料を用いてそれぞれ試作したビーフシチューである。
【0021】
【表2】
【0022】
表2に示すごとく、本発明品は風味、香り、テクスチュア、酸味及び総合評価において、市販の加工用赤ワイン及び市販の赤ワイン調味料より評価が高く、調理効果に優れていることが示された。
【0023】
実施例3 ビーフステーキ赤ワイン風味
ステーキ用牛肉50gは食べやすい大きさに切り、塩・こしょうをふり約2分後、実施例1で調製した本発明品の赤ワイン加工調味料15mlをふりかけて約15分間おいた。対照は、市販の加工用赤ワイン及び市販の赤ワイン調味料を用いてそれぞれ同様に行なった。その後、フライパンにサラダ油を引き、適当な焼き加減までそれぞれ焼いた。
【0024】
上記で試作したビーフステーキ赤ワイン風味の官能評価をそれぞれ行なった。官能評価は、10名のパネラーで行ない、3点法(1;悪、2;普通、3;良)で評価した。その結果の合計値を表3に示す。なお、表中の対照1は市販の加工用赤ワイン、対照2は市販の赤ワイン調味料を用いてそれぞれ試作したビーフステーキ赤ワイン風味である。
【0025】
【表3】
【0026】
表3に示すごとく、本発明品は風味、香り、テクスチュア、酸味、味の深み及び総合評価において、市販の加工用赤ワイン及び市販の赤ワイン調味料より評価が高く、調理効果に優れていることが示された。
【0027】
実施例4 有機酸濃度の影響
実施例1の本発明品中の総有機酸濃度、リンゴ酸、酒石酸及び乳酸濃度を変化させ、実施例2及び実施例3と同様の方法で調理効果を比較した。その結果、リンゴ酸、酒石酸及び乳酸の合計濃度が0.7w/v%〜0.9w/v%の範囲で調理効果が高く、さらにその組成比が3:2:1の場合に高い調理効果が得られた。また、総有機酸濃度は0.75w/v%〜1.2w/v%、好ましくは0.8w/v%〜1.0w/v%において高い調理効果が得られた。
【0028】
【発明の効果】
本発明により、赤ワインの調理効果が増強され、かつ、赤ワインの風味が保持された赤ワイン加工調味料を提供できる。
Claims (2)
- 赤ワインの配合量が40v/v%以上であり、赤ワインと有機酸源を混合してなる赤ワイン加工調味料であって、該調味料中のアルコール濃度が8v/v%〜1 4v/v%、総有機酸濃度が0.75w/v%〜1.2w/v%であり、総有機酸に占めるリンゴ酸、酒石酸及び乳酸の合計濃度が0.7w/v%〜0.9w/v%、かつリンゴ酸、酒石酸及び乳酸の組成比が3:2:1であることを特徴とする赤ワインの調理効果が増強され、かつ、赤ワインの風味が保持された、赤ワイン加工調味料。
- 有機酸源が、リンゴ酸源、酒石酸源及び乳酸源であって、総有機酸濃度が0.8w/v%〜1.0w/v%である請求項1記載の赤ワイン加工調味料。
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