JP4110811B2 - 熱電変換モジュール及びその製造方法 - Google Patents

熱電変換モジュール及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱を直接電気に変換する熱電変換モジュール及びその製造方法に関するものである。本発明の熱電変換モジュールは、特に発電プラントやゴミ焼却施設などの大規模な排熱を熱源とする熱電発電装置において有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
熱電変換モジュールは、通常複数個のp型熱電素子とn型熱電素子とを交互に配置し、これらの熱電素子を金属などの導電性材料を介して電気的に直列に接続することによって作製される。この熱電変換モジュールは、熱電素子に温度差を与えることによりゼーベック効果による熱起電力を発生し、電気的な負荷を接続することにより熱の一部を電力に変換して取り出すことができる。この熱電変換モジュールを用いた発電装置は、構造が簡単で、振動、騒音、摩耗などを生じる可動部がなく、熱源の規模を選ばないなどの特徴があるため、携帯型電源や、各種の排熱を電力として回収し有効利用する手段として注目されている。
【0003】
一般に、このような熱電変換モジュールは、例えば、次のような方法で作製される。まず、p型及びn型熱電材料を焼結し、得られた焼結体を、電極との接合面にはんだ付けをするためのニッケルめっきなどの表面処理を施した後、所望の大きさに切断し、p型及びn型熱電素子を作製する。次に、p型及びn型熱電素子を交互に配置し、所定の電気的接続となるように金属電極にはんだ付けして、熱電変換モジュールを得る。また、熱電変換モジュールの電極面を電気的に絶縁する必要があることと、機械的強度の向上のため、熱電変換モジュールの電極面は、通常、熱伝導性の良いアルミナセラミックスなどの電気的な絶縁板とはんだ接合される。また、この他にも、電極面が絶縁板と固定されていないスケルトンタイプといわれるものが一般的に知られている。このような熱電変換モジュールに係わる全般的な技術は、例えば、「熱電半導体とその応用」(西田勲夫、上村欣一著:日刊工業新聞社、昭和63年12月20日発行、第113〜144頁参照)や「熱電変換システム技術総覧」(梶川武信他編、リアライズ社発行、平成7年6月30日発行、第24〜28頁参照)に詳述されている。
【0004】
また、信頼性を向上させた熱電変換モジュールとして、各接合部での熱膨張率の差によって生ずる破損を解決するために、各熱電素子を金属ペーストを介して金属セグメントで挟み込みネジ止めによって固定する方法(例えば、特開平8−255935号公報、特開平8−306965号公報などを参照)や、小型の素子を用いた熱電変換モジュールの機械的強度の向上のため、熱電素子が樹脂、セラミックス、ガラスなどの絶縁性の物質に埋め込まれた構造を有する熱電変換モジュール(例えば、特開平8−18109号公報、特開平8−153899号公報などを参照)も提案されている。
また、樹脂の型枠に熱電素子が埋め込まれ、電極としてアルミニウム溶射層を用いた熱電変換モジュール(米国特許第5,856,210 号明細書を参照)が発明されている。しかし、この熱電変換モジュールでは、下地層であるモリブデン層を厚く、強固に付着させている。このため、溶射時の素子割れを防止するために、アルミニウム電極層の空隙を多くしているものと推察される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、熱電変換モジュールは、大きい温度差を印加するほど発電性能が向上することが知られているが、熱電素子と電極などの接合にはんだなどのろう材を使用すると、上限温度がろう材に支配されるとともに、ろう材の成分が熱電素子中へ拡散することによる発電性能の低下が懸念される。
【0006】
また、機械的強度を向上させるために、電極面が絶縁板とはんだ接合された熱電変換モジュールでは、各部材の熱膨張率の差によって素子破壊が生じやすく、信頼性が劣るといった問題点があった。この点を解決するために、スケルトンタイプの熱電変換モジュールも提案されているが、機械的強度が低く、取扱いが不便であるといった問題点が指摘されている。
【0007】
また、従来の熱電素子は、断面積がせいぜい1〜5mm角程度であるため、一つのモジュールでの出力電流は制限される。大電流出力を得るためには、小断面積素子を並列接続する方法があるが、接触する熱源の温度バラツキにより、モジュール間の出力電圧にバラツキが生じ、そのまま並列接続することは技術的問題がある。
【0008】
また、大規模な排熱を熱源とした場合に、設計施工上やメンテナンス上の観点から熱電変換モジュールそのものも大型のものが望まれるが、従来の熱電変換モジュールは大型化には不向きであった。
【0009】
また、現在市販されている熱電変換モジュールは何れも、熱電素子が1〜5mm角程度の小断面積素子であり、大電力発電用途に広く使われるには至っていない。
【0010】
大断面積素子を用いた熱電変換モジュールが製造されていない理由は、電極としてアルミニウム層を形成した熱電変換モジュールでは、アルミニウム電極及び該電極と熱電素子との間の下地層であるモリブデン層が、素子を破壊するほどの大きい応力集中を起こすため、それを緩和するため止むを得ず、素子断面積を小さくしていると推定される。
【0011】
従来はこの応力発生の対策として、上述のように、素子断面積を小さくすることに加え、アルミニウム電極に多量の空隙を導入して、熱膨張係数及びヤング率を調整し、熱履歴により素子に発生する応力をさらに緩和していた。しかしながら、アルミニウム電極中に空隙を導入することは、電極に本来要求される低抵抗特性とは明らかに矛盾する。
【0012】
上述の現状に鑑み、本願出願人は、先に、素子断面積が113mm2 程度の大断面積をもつ熱電素子を使用し、1基で59W程度の大電力を発生する熱電変換モジュールを提案した(特開平11−340526号公報を参照)。しかしながら、この熱電変換モジュールにおいても、3ヵ月の長期の耐久試験により15%程度の発電量の低下が起こり、また溶射電極の形成時の熱応力によって素子にクラックが発生しやすく、作製歩留りが若干低いという課題があった。また、本願出願人は、電極の形成時に下地層を溶射により形成する場合、その構造を制御することにより、耐久性のある熱電変換モジュールを提案した(特開2001−230457公報を参照)。しかしながら、このような下地層構造を作製する場合、効率が悪いという問題があった。
【0013】
従って、本発明の目的は、従来よりはるかに空隙の少ない、緻密で優れた電気伝導性を保持した電極構造でありながら、熱電素子に対して破壊に至る応力を発生せしめず、信頼性及び変換効率が高く、しかも大型化が容易な電極構造を有し、且つ効率的に製造可能な熱電変換モジュール及びその製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を、下記の熱電変換モジュール及びその製造方法を提供することにより達成したものである。
【0015】
「複数の貫通孔及び該貫通孔間を連結する複数の電極用溝が設けられた電気的かつ熱的絶縁性型枠に、p型熱電素子とn型熱電素子とを上記貫通孔に交互に配列し、これらのp型熱電素子とn型熱電素子とを交互に電気的に直列に接続する溶射電極を上記電極用溝に埋設した熱電変換モジュールであって、上記溶射電極がアルミニウム溶射電極であり、該溶射電極の下地層としてニッケルアルミニウムからなる溶射層を有し、該ニッケルアルミニウムが、ニッケル組成70〜98%の範囲のニッケルアルミニウムであることを特徴とする熱電変換モジュール。」
【0017】
「上記ニッケルアルミニウムからなる溶射層の厚みが、30〜200μmである上記の熱電変換モジュール。」
【0018】
「上記アルミニウム溶射電極が、空隙率10%以下のアルミニウム溶射層からなる上記の熱電変換モジュール。」
【0019】
「上記p型及びn型熱電素子が何れも、断面積0.36cm2 以上のものである上記の熱電変換モジュール。」
【0020】
上記の熱電変換モジュールを製造する方法であって、電気的かつ熱的絶縁性型枠に、複数の貫通孔と電極を埋設するための複数の電極用溝とを設ける工程と、上記型枠の上記貫通孔にp型熱電素子とn型熱電素子とを交互に配列する工程と、上記熱電素子を配列した型枠の両面に下地層としてニッケルアルミニウムからなる溶射層を形成する工程と、該下地層の上にアルミニウム溶射電極を形成する工程と、該アルミニウム溶射電極の不要部分を除去する工程とを含むことを特徴とする熱電変換モジュールの製造方法。」
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、まず本発明の熱電変換モジュールを図1に示す実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態の熱電変換モジュール10は、複数の貫通孔12及び複数の電極用溝13が設けられた電気的且つ熱的絶縁性枠11と、該型枠11の上記貫通孔12に交互に配列されたp型熱電素子14及びn型熱電素子15と、上記型枠11の上記電極用溝13に埋設されたアルミニウム溶射電極17と、該溶射電極17と上記p型及びn型熱電素子14及び15との間に形成された下地層のニッケルアルミニウムからなる溶射層(以下、ニッケルアルミニウム下地層という)16とから構成されている。
【0022】
そして、上記p型熱電素子14と上記n型熱電素子15とは、上記アルミニウム溶射電極17を介して交互に電気的に直列に接続されている。また、上記p型及び上記n型熱電素子14及び15、上記ニッケルアルミニウム下地層16並びに上記アルミニウム溶射電極17は、上記型枠11に一体的に固着してある。
【0023】
上記熱的且つ電気的絶縁性型枠11としては、珪酸カルシウムの成型体からなる型枠を使用することができる。珪酸カルシウムはゾノトライト及びトバモライトと言われる結晶相があり、これらに有機バインダーを混入し成型したものは人造木材と言われる。この人造木材は、不燃、低熱伝導率、軽量、さらには加工性が良いなどの特徴を有するため、熱電変換モジュールの絶縁性型枠として好適である。例えば、熱伝導率においては、一般的な鉛ガラスが1.2W/mKであるのに比べ、珪酸カルシウムの成型体は0.08W/mKであり1/15程度と小さく、また、一般的な耐熱性樹脂であるポリイミドの0.4W/mKと比較しても1/5程度と小さい。また、比重においては、鉛ガラス及びポリイミドがそれぞれ3.0及び1.4であるのに比べ、0.5程度と小さく、熱電変換モジュールの絶縁性型枠材料として望ましい。
【0024】
また、上記p型熱電素子14及び上記n型熱電素子15として使用される熱電材料は、公知であるBi2Te3系、BiSb系、FeSi2 系、PbTe系、SiGe系などの熱電半導体の単結晶や焼結体などを使用することが可能であるが、絶縁性型枠11として上記の珪酸カルシウムの成型体からなる型枠を使用する場合は、該型枠の使用可能な温度領域からBi2Te3系が望ましい。
また、上記p型及びn型熱電素子14及び15は何れも、断面積が0.36cm2 以上のものを用いることが好ましい。
【0025】
また、上記ニッケルアルミニウム下地層16は、薄い層であること、具体的には厚みが30〜200μm、特に30〜100μmであることが好ましい。
また、上記ニッケルアルミニウム下地層16を構成するニッケルアルミニウムとしては、ニッケル組成70〜98%、特に80〜95%の範囲のものが好ましい。
上記ニッケルアルミニウム下地層16の形成方法としては、一般的なプラズマ溶射、ガス溶射、アーク溶射、フレーム溶射などの方法が挙げられる。この時、溶射時の粉末供給量を減らしたり、溶射パス数を調整することにより、ニッケルアルミニウムの薄い層を得ることができる。
【0026】
また、上記アルミニウム溶射電極17は、上記ニッケルアルミニウム下地層16と同様に、一般的なプラズマ溶射、ガス溶射、アーク溶射、フレーム溶射などの方法により形成可能であるが、緻密で均一な電極を得るためには、プラズマ溶射及びガス溶射が望ましい。
また、上記アルミニウム溶射電極17を構成するアルミニウム溶射層は、空隙率10%以下、特に3〜5%のものが好ましい。
【0027】
本発明の熱電変換モジュールは、発電所などの排熱、ゴミ焼却設備の排熱、自動車の排熱、太陽光などを利用した熱電発電システムに適用することが可能である。
【0028】
次に、本発明の熱電変換モジュールの製造方法を、上述した図1に示す実施形態の熱電変換モジュールを製造する場合を例にとり、図2を参照しながら説明する。
まず、電気的且つ熱的絶縁材料を用いて、図2(a)に示すような、複数の貫通孔12及び該貫通孔12間を連絡する複数の電極用溝13が設けられた電気的且つ熱的絶縁性型枠11を作製する。
【0029】
上記絶縁性材料として珪酸カルシウムを用いる場合は、まず珪酸カルシウムの成型体を、例えば特開昭62−123058号公報や特開平3−3635号公報に記載されている製造方法により製造し、得られた成型体を機械加工することにより上記絶縁性型枠11を作製すると良い。
【0030】
次に、図2(b)に示すように、上記絶縁性型枠11の上記貫通孔12に、p型熱電素子14とn型熱電素子15とを、素子スペーサー18及び19を用いて交互に配列する。
【0031】
次いで、素子スペーサー18及び19を取り外し、図2(c)に示すように、ニッケルアルミニウム下地層16をプラスマ溶射などにより上記p型熱電素子14及び上記n型熱電素子15の両面に形成した後、アルミニウムを用いて、上記絶縁性型枠11の両面を被覆するように、アルミニウム溶射電極17を形成する。
【0032】
次いで、図2(d)に示すように、上記絶縁性型枠11の上記電極用溝13以外に形成された不要な溶射電極を平面研削盤などを用いて研削除去して、図1に示す実施形態の熱電変換モジュールを得る。
この不要な溶射電極を研削除去する際、絶縁性型枠11の表面も僅かに削り込むことによって、電極面の平面性が確保できる。
【0033】
【作用】
請求項1に係る本発明の熱電変換モジュールは、電極がアルミニウム溶射電極で、下地層がニッケルアルミニウムからなる溶射層であるため、熱電素子に対して破壊の原因となる応力集中が少なく素子割れがない。そのため、安定して熱電変換モジュールの製造ができ、歩留りが向上する。
【0034】
また、請求項に係る本発明の熱電変換モジュールは、ニッケルアルミニウム下地層が薄いため、さらに熱電素子に対して破壊の原因となる応力集中が少なく素子割れがない。そのため、さらに安定して熱電変換モジュールの製造ができ、歩留りがさらに向上する。
【0035】
また、請求項に係る本発明の熱電変換モジュールは、アルミニウム溶射電極が空隙率10%以下のアルミニウム溶射層からなるため、緻密で優れた電気伝導性を保持した電極構造であり、発電性能がさらに向上する。
【0036】
また、請求項に係る本発明の熱電変換モジュールは、素子断面積が大きいため、電力用途への利用が容易である。
【0037】
また、請求項に係る本発明の熱電変換モジュールの製造方法によれば、比較的簡単な工程で歩留り良く、大面積の熱電変換モジュールが作製でき、大規模な熱源に適応した熱電変換モジュールを得ることができる。
【0038】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明の効果を具体的に説明する。
【0039】
実施例1
本実施例では、内燃力発電所の400℃程度の排ガスを熱源とし、熱電素子材料としてBi2Te3系を、絶縁性型枠として珪酸カルシウムの成型体からなる型枠を、溶射電極として空隙率4%のアルミニウム溶射電極を、下地層として厚み80μm程度のニッケルアルミニウム溶射層を、それぞれ使用した。
まず、珪酸カルシウムの成型体〔宇部興産(株)製、登録商標;ウッディセラム〕を用いて、図2(a)に示すような絶縁性型枠11を機械加工(NCルーター)によって作製した。珪酸カルシウムの成型体は上述したように不燃、低熱伝導率、軽量、さらには加工性が良いなどの特徴を有するため、熱電変換モジュールの絶縁性型枠として好適である。ここで示す珪酸カルシウムの成型体の製造方法は、例えば、特開昭62−1235053号公報や特開平3−3635号公報に詳しく記述されている。
【0040】
次に、Bi2Te3系熱電素子を次のようにして作製した。まず、原子比でBi0.3 Sb1.7 Te3 (p型)、Bi2 Te2.4 Se0.6 (n型)となるように各原料を秤量した。n型には、SbI3を0.1重量%添加し、キャリア密度の調整を行った。次に、これらの原料をガラス管に真空封入し、650℃で1時間溶融攪拌し、Bi2Te3系熱電材料を作製した。これらの熱電材料をスタンプミル及びボールミルで平均粒径10μm程度まで粉砕した後、390℃で12時間の還元処理を行った。得られた熱電材料粉末をホットプレスを用いて490℃で15分の焼結により熱電材料の焼結体を得た。得られた焼結体を薄切り盤、超音波加工機などを用いて円柱状の熱電素子(12φ×7mmh)を作製した。
【0041】
次に、p型熱電素子14とn型熱電素子15をサンドブラスト処理し表面を粗面化した後、図2(b)に示すように素子スペーサー18及び19を用いて絶縁性型枠に交互に配列した。次いで、図2(c)に示すように、熱電素子とアルミニウム溶射電極の密着強度を向上させるためプラズマ溶射によりニッケルアルミニウム(組成比ニッケル:アルミニウム=95:5)の下地層16を80μm程度の厚みで形成した後、その上に空隙率4%のアルミニウム溶射電極17を2mm程度の厚みで形成した。裏面のニッケルアルミニウム下地層とアルミニウム溶射電極の形成も同様にして行った。但し、素子スペーサーは裏面の溶射時には必要ない。
【0042】
次に、図2(d)に示すように、絶縁性型枠11の両面に形成されたアルミニウム溶射電極17を平面研削盤を用いて不要な部分を研削除去し、熱電変換モジュール10を作製した。この時、電極面の平面性を確保するために、絶縁性型枠も僅かに削り込んだ。
【0043】
以上のようにして作製した熱電変換モジュール(素子数15対、モジュール寸法80×150×10mm)を電気ヒーターと水冷板で挟み込み、低温面を30℃、高温面を230℃に設定することにより200℃温度差を印加し、発電特性の評価を行った。
測定には電子負荷装置を使用し、負荷抵抗は0.15Ωで測定を行った。この時、1つの熱電変換モジュールで9.58Wの最大電気出力を発生することができた。また、上述の条件で3ヵ月の連続試験を行ったが、発電性能の低下は認められず信頼性においても優れたものであることが確認された。また、熱電変換モジュールを5基作製した場合、内部抵抗の増加はなく、5基の熱電変換モジュールの作製に成功し、歩留りも良好であった。また、ニッケルアルミニウム下地層を利用することにより、下記比較例1のモリブデン下地層の場合に比較して溶射工程にかかる時間を2/3に短縮でき、効率的に熱電変換モジュールを作製できた。
【0044】
比較例1
下地層としてモリブデンを使用した以外は、実施例1と同一の工程により熱電変換モジュールを作製した。この熱電変換モジュールについて、実施例1と同様の試験を実施した。その結果、最大電気出力は9.24Wであった。
【0045】
【発明の効果】
本発明の熱電変換モジュールは、従来よりはるかに空隙の少ない、緻密で優れた電気伝導性を保持した電極構造でありながら、熱電素子に対して破壊に至る応力を発生せしめず、信頼性及び変換効率が高く、しかも大型化が容易な電極構造を有し、且つ効率的に製造可能なものである。
また、本発明の熱電変換モジュールの製造方法によれば、上記の本発明の熱電変換モジュールを効率的に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の熱電変換モジュールの一実施形態を示す断面図である。
【図2】図2(a)、(b)、(c)及び(d)は、本発明の熱電変換モジュールの製造方法の一例を示す工程図である。
【符号の説明】
10 熱電変換モジュール
11 絶縁性型枠
12 貫通孔
13 電極用溝
14 p型熱電素子
15 n型熱電素子
16 ニッケルアルミニウム下地層
17 アルミニウム溶射電極

Claims (5)

  1. 複数の貫通孔及び該貫通孔間を連結する複数の電極用溝が設けられた電気的かつ熱的絶縁性型枠に、p型熱電素子とn型熱電素子とを上記貫通孔に交互に配列し、これらのp型熱電素子とn型熱電素子とを交互に電気的に直列に接続する溶射電極を上記電極用溝に埋設した熱電変換モジュールであって、上記溶射電極がアルミニウム溶射電極であり、該溶射電極の下地層としてニッケルアルミニウムからなる溶射層を有し、該ニッケルアルミニウムが、ニッケル組成70〜98%の範囲のニッケルアルミニウムであることを特徴とする熱電変換モジュール。
  2. 上記ニッケルアルミニウムからなる溶射層の厚みが、30〜200μmである請求項1記載の熱電変換モジュール。
  3. 上記アルミニウム溶射電極が、空隙率10%以下のアルミニウム溶射層からなる請求項1又は2記載の熱電変換モジュール。
  4. 上記p型及びn型熱電素子が何れも、断面積0.36cm2 以上のものである請求項1〜の何れかに記載の熱電変換モジュール。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の熱電変換モジュールを製造する方法であって、電気的かつ熱的絶縁性型枠に、複数の貫通孔と電極を埋設するための複数の電極用溝とを設ける工程と、上記型枠の上記貫通孔にp型熱電素子とn型熱電素子とを交互に配列する工程と、上記熱電素子を配列した型枠の両面に下地層としてニッケルアルミニウムからなる溶射層を形成する工程と、該下地層の上にアルミニウム溶射電極を形成する工程と、該アルミニウム溶射電極の不要部分を除去する工程とを含むことを特徴とする熱電変換モジュールの製造方法。
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