JP3573448B2 - 熱電変換素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温側熱源および低温側熱源の間に熱電素子を挟んで発電を行う熱電変換素子に関する。さらに詳述すると、本発明は、激しい振動および過酷な熱過渡条件のもとで使用されるのに適した熱電変換素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の熱電変換素子を利用する熱電変換システムでは、例えば発電性能よりも設備の簡易さや低コスト化を重視する場合に以下のような構成が採用されていた。
【0003】
熱電変換素子の第1の従来例は、セラミック板に挟まれた熱電素子を備えた市販の熱電変換モジュールを加熱ダクトおよび冷却ダクトの間に挟んで成るものである。これを利用する熱電変換システムでは、ダクトの上下から加圧力を与えることにより、各ダクトと熱電素子との熱伝導率を上げて出力を上げることができる。
【0004】
熱電変換素子の第2の従来例は、第1の従来例の熱電変換モジュールと加熱ダクトおよび冷却ダクトとの間にゴムシートを介在させて成るものである。これを利用する熱電変換システムでは、柔軟なゴムシートが熱応力を緩和することができる。
【0005】
熱電変換素子の第3の従来例は、熱電変換モジュールと加熱ダクトおよび冷却ダクトとの間に熱伝導性の良いグリースを介在させて成るものである。これを利用する熱電変換システムでは、ダクトの上下から加圧力を与えることにより、各ダクトと熱電素子との熱伝導率を上げて更に出力を上げることができる。
【0006】
一方、例えば発電性能を重視する熱電変換システムにおいては、熱電素子の上下面にできるだけ大きい温度差を与える必要がある。これを実現しようとする熱電変換素子の第4の従来例は、温度差の大きい加熱ダクトおよび冷却ダクトにより熱電変換モジュールを挟んで成るものである。
【0007】
ここで、熱電変換素子の上下部は大きな温度差により熱膨張量を大きく異ならせて変形するため、熱電素子と各ダクトとの間に熱応力緩和パッドを介在させて接合する必要がある。熱応力緩和パッドは熱伝導率が高いと共に熱応力を緩和できるものであるので、各ダクトと熱応力緩和パッドと熱電素子とをそれぞれ接合して接触抵抗を排除して熱電素子と各ダクトとの熱伝導率を高く維持したままで、熱膨張した熱電素子の大きな変形を吸収して破損を防止することができる。
【0008】
そして、本願発明者は、熱伝導率が大きく弾性定数の小さな材料から成る熱応力緩和材兼熱導伝体と電気絶縁材とを接合せずに両者の組成割合を徐々に変化させた傾斜機能材料を含む熱応力緩和パッドを提案している(特許第3056047号)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した熱電変換素子の第1の従来例では、各ダクトから熱電変換モジュールへの加圧力が弱いと接触抵抗が大きくなり熱電素子の温度差が小さくなって出力が低下する一方、加圧力を過度に強くすると出力は上がるが熱電素子を破壊するおそれがあるので、加圧力の調整が難しく実用性が良くない。各ダクトと熱電変換モジュールとの接触抵抗を低減するには、熱電変換モジュールのセラミック板と各ダクトとの接触面を高精度に仕上げて平面度および表面粗さを高め、密着度を向上させる必要がある。ところが、温度差を与えれば、セラミック板および各ダクト自体が面外変形するため、常に良好な密着をさせることは非常に困難である。また、この熱電変換システムでは、熱電変換システムの起動時および停止時には熱過渡に起因する熱応力を回避するために加圧力を必ず緩める必要があるので、実用性の点で劣ってしまう。
【0010】
また、熱電変換素子の第2の従来例では、熱電変換モジュールと各ダクトとの間にゴムシートを介在させているので、ゴムの熱伝導率が低いことから熱電素子の温度差が著しく小さくなってしまい、出力が大幅に低下してしまう。
【0011】
さらに、熱電変換素子の第3の従来例では、グリースが熱で劣化し易く短期間で使用できなくなってしまうので、耐久性に劣りメンテナンスが煩雑になってしまう。
【0012】
一方、熱応力緩和パッドを利用する第4の従来例では、熱電素子と各ダクトとの間に熱応力緩和パッドを介在させて接合する必要があるため、熱電変換素子の組立および熱電素子の交換が煩雑になってしまう。また、接合部が剥離すると発電性能が損なわれてしまうので、激しい振動および過酷な熱過渡条件のもとで使用される熱電変換素子においては、接合部が剥離することのないように十分な裕度を必要としてしまい経済性が良くない。
【0013】
また、熱電素子とダクトとの間の温度差が非常に大きくて熱電素子の熱膨張による変位量が過度に大きくなってしまうときには、熱応力緩和パッドを採用しても熱電素子と各ダクトとが剥離してしまうことがあり、耐久性が低い。
【0014】
そこで、本発明は、加熱ダクトや冷却ダクト等の熱源部材と熱電素子との間の熱伝導率を高めて発電性能を向上させると共に、熱電素子の熱応力を緩和して耐久性を高めることができ、尚かつ組立や各部材の交換を容易にできる熱電変換素子を提供することを目的とする。
【0015】
【発明が解決するための手段】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の発明は、高温側熱源と低温側熱源との間に挟んで使用される熱電素子を有する熱電変換素子において、高温側熱源及び低温側熱源の少なくとも一方と熱電素子との間に熱伝導性の液体を介在させるようにしている。
【0016】
液体は毛管現象により界面に入り込むと共に、表面張力の作用により界面からの流出が防止される。このため、高温側熱源及び低温側熱源の少なくとも一方と熱電素子との間の部材間が熱伝導性の液体により密着されるので、界面での熱抵抗を小さくして熱伝導率を高めることができる。
【0017】
また、液体が介在する部材同士は接合されていないため面に平行な方向および直角な方向に相対移動可能になるので、熱電素子の熱応力緩和を図ることができる。しかも、熱電変換システムの起動時や停止時に高温側熱源および低温側熱源の熱膨張差により液体が介在する部材間で相対移動があっても、液体は毛管現象により常に隙間を埋めるように存在するので界面の良好な熱伝導を維持することができる。
【0018】
そして、請求項2記載の発明は、請求項1記載の熱電変換素子において、熱源と熱電素子との間に熱応力緩和パッドが介在されていると共に、熱伝導性の液体が熱源と熱応力緩和パッドとの間に設けられるようにしている。したがって、熱源と熱応力緩和パッドとの良好な熱伝導を維持することができる。
【0019】
さらに、請求項3記載の発明は、請求項1記載の熱電変換素子において、熱源と熱電素子との間に熱応力緩和パッドが介在されていると共に、熱伝導性の液体が熱電素子と熱応力緩和パッドとの間に設けられるようにしている。したがって、熱電素子と熱応力緩和パッドとの良好な熱伝導を維持することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1に、本発明の熱電変換素子1の実施形態の一例を示す。ここでは、熱電変換素子1を宇宙用原子炉における直接発電システムに使用するものとしている。この熱電変換素子1は、高温側熱源2と低温側熱源3との間に挟んで使用される熱電素子4を有するものである。そして、高温側熱源2及び低温側熱源3の少なくとも一方と熱電素子4との間に熱伝導性の液体5を介在させるようにしている。このため、高温側熱源2及び低温側熱源3の少なくとも一方と熱電素子4との間の部材間が熱伝導性の液体5により密着されるので、界面での熱抵抗を小さくして熱伝導率を高めることができる。また、液体5が介在する部材間では、各部材が面に平行な方向および直角な方向に相対移動可能になるので、熱電素子4の熱応力緩和を図ることができる。しかも、液体5が介在する部材間で相対移動があっても、液体5は毛管現象により常に隙間を埋めるように存在するので界面の良好な熱伝導を維持することができる。
【0022】
ここで、この熱電変換素子1に使用される液体5に求められる要件としては、例えば熱電変換素子1の運転温度で液体5であること(停止中の温度では固体でも可)、部材の間から漏れ出さない程度に表面張力が高いこと、接触する部材と濡れ性が良好なこと、接触する要素と反応性がないこと、雰囲気ガスにより酸化されず安定であること、熱伝導率が高いことが挙げられる。また、例えば図4に示す熱電変換素子1のように、導電部位の界面に液体5を介在させる場合は、電気抵抗率が小さいことが必要になる。
【0023】
本実施形態では液体5として液体金属リチウムを使用している。これにより、液体5として望まれる要件を満たすことができる。すなわち、リチウムは、融点181℃で熱電変換素子1の運転温度で液体であり、表面張力は375mN/mで常温の水の5倍もあって十分高い。また、接触する部材と濡れ性が良好で、モリブデン・レニウム(MoRe)などの金属および窒化珪素(Si3N4)などの電気絶縁体とは反応せず反応性は低い。ただし、リチウムは空気や水と反応するため、熱電変換素子1の全体を気密性容器に収容し、アルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気にする必要がある。また、リチウムは、熱伝導率が45W/mKでゴム(0.1W/mK)の450倍と十分高いので良好な熱伝導特性を得られると共に、電気抵抗率は半田の半分程度と小さいので良好な導電性を得ることができる。
【0024】
本実施形態では液体5として液体金属リチウムを使用しているが、これには限られず液体金属リチウム以外でも上述した各種の要件を満たす液体であれば良い。例えば、スズ(融点232℃)等の一般の金属を利用することもできる。この場合には空気雰囲気での使用が可能である。または、銅、銀、パラジウムのように、それだけでは濡れ性が不十分な金属であっても、銀やチタンやインジウムなどの元素を微少に添加することにより濡れ性を改善して使用可能になるものもある。
【0025】
熱電変換素子1は、高温側熱源2と低温側熱源3との間に、熱電素子4および熱応力緩和パッド13,14を金属板8で挟んだ構造の熱電変換モジュール9を挟んで形成されている。
【0026】
熱電変換モジュール9の両側部に金属板8を設けているので、熱電変換モジュール9の強度を確保することができる。このため、熱電変換モジュール9を一つの部材として扱えるので熱電変換素子1の組立性を良くすることができると共に、熱電変換モジュール9の交換作業を容易にすることができる。そして、通常は、一辺が25mmから50mm程度の正方形の金属板8に数十対の熱電変換素子1を取り付けた熱電変換モジュール9を使用する。
【0027】
金属板8は接合される相手部材と線膨張率が近い材質であることが好ましく、また熱伝導率は高い方が好ましく、さらに液体5との反応性が低いことが望ましい。これらの理由から、例えば液体5としてリチウムを使用する場合には、金属板8としてMoReまたはSi3N4を使用することが好ましい。但し、金属板8の代わりに、接合される相手部材と線膨張率が近いセラミック等から成る板を用いることも可能である。
【0028】
また、熱電変換モジュール9と低温側熱源3とを接合する一方で、熱電変換モジュール9と高温側熱源2との接合を省略して間に液体5を介在させている。液体5は毛管現象により界面に入り込むと共に、表面張力の作用により界面から流出することが防止されている。また、熱電変換モジュール9と高温側熱源2との間は例えば約1〜2mm程度の間隔に設定している。
【0029】
高温側熱源2は加熱ダクトであると共に、低温側熱源3は冷却ダクトである。高温側熱源2は例えばインコネル600により、低温側熱源3は例えば銅によりそれぞれ形成されている。高温側熱源2内には高温の流体が、低温側熱源3内には低温の流体が流れており、各熱応力緩和パッド13,14が熱を伝える媒体となって各熱電素子4の両側に温度差を生じさせる。なお、高温側熱源2の外面の温度は例えば約840℃程度であり、また低温側熱源3の外面の温度は例えば約530℃程度である。
【0030】
熱電変換モジュール9は、シリコン−ゲルマニウム(SiGe)半導体素子から成る熱電素子4を中心として、その両側に熱応力緩和パッド13,14を配置すると共に、その外側に金属板8が設けられて形成されている。熱電素子4と熱応力緩和パッド13,14と金属板8とは、銀を主成分とし、イソジウムやチタンなどの添加物を含む接合材12により接合されている。
【0031】
熱電素子4はシリコン−ゲルマニウム半導体素子としているが、シリコン−ゲルマニウム半導体素子の他に、ビスマス−テルル(BiTe)半導体素子、鉛−テルル(PbTe)半導体素子等の使用が可能である。これらの半導体素子のうち何れを選択するかは、使用温度領域等に応じて決定される(表1)。いずれの素子も、正孔の濃度が高いP型半導体と電子の濃度が高いN型半導体より成り、両者の組み合わせにより起電力を発生する。実際には、複数対のP型半導体とN型半導体を電気的に直列に接続することにより出力を増大させる。
【0032】
【表1】
高温側熱応力緩和パッド13及び低温側熱応力緩和パッド14は、熱伝導性の傾斜機能材料6,7と、熱電素子4の拡散防止層であり電極も兼ねるグラファイト層10,11とにより構成されている。各傾斜機能材料6,7は、電気絶縁材と熱応力緩和材兼熱導伝体を接合せずに両者の組成割合を徐々に変化させた熱伝導性のものである。
【0033】
高温側の傾斜機能材料6はパラジウムと窒化珪素からなる。また、低温側の傾斜機能材料7は銅と窒化珪素からなる。ここで、高温側の傾斜機能材料6としてパラジウムを、低温側の傾斜機能材料7として銅を使用しているのは、次の通りである。即ち、表2のパラジウムと銅の物性値に示されるように、共に熱伝導率が大きく弾性定数が小さい材料であることが熱応力緩和材料として使用した理由である。そして、特に銅は熱伝導率に対する弾性定数の比率が非常に小さく、高い熱伝導性を維持しながら熱応力の緩和が可能な材料であり、非常に好ましいものである。しかしながら、銅の融点はそれほど高くはない。このため、宇宙用原子炉等のように高温側の使用温度が銅の融点を超えるものでは、銅を使用できないので、銅は低温側のみに使用し、高温側には銅についで性能の優れたパラジウムを使用するようにしている。
【0034】
【表2】
そして、各傾斜機能材料6,7は、パラジウムや銅等の熱応力緩和材が100%となる熱応力緩和材料部6a,7aを両側に配置し、その各内側に組成割合が変化する傾斜組成部6b,7bを、そして中央に窒化珪素等の電気絶縁物が100%の電気絶縁材料部6c,7cを設けて形成されている。これにより、各傾斜機能材料6,7において両側部を絶縁することができるので、熱電素子4を各熱源2,3から絶縁することができる。また、各グラファイト層10,11に接する各傾斜機能材料6,7の熱応力緩和材料部6a,7aは、各熱電素子4を電気的に直列に接続する電極としても機能する。さらに、熱応力の影響を考慮し、この熱電素子4よりも高温側の各部材の厚さを、低温側の各部材の厚さに比べ薄くすることが好ましい。
【0035】
ここで、パラジウムと窒化珪素からなる熱伝導性の傾斜機能材料6及び銅と窒化珪素からなる熱伝導性の傾斜機能材料7の各製造は次の通り行う。即ち、パラジウム及び銅と窒化珪素とはいずれも粉末が入手可能であり、粉末冶金法により製造する。この製造方法は、まず2本のノズルから粉末を噴射する装置を使用し、そのノズルの一方からパラジウムまたは銅を噴射し、他方のノズルから窒化珪素を噴射し、両ノズルの噴射比率を制御することにより組成割合を変化させたペレット(粉末の塊)を作成する。次に、このペレットを炉で焼結することにより傾斜機能材料6,7を得る。このほか、窒化珪素の代わりにアルミナを使用することもできる。
【0036】
このようにして製造される傾斜機能材料6,7では、線膨張率が大きく異なる熱応力緩和材兼熱導伝体と絶縁性材料との組成割合を徐々に変化させているので、各熱応力緩和パッド13,14として使用した場合には内部に発生する熱応力を特定箇所に集中させることなく分散させることができる。
【0037】
上述したように本実施形態の熱電変換素子1によれば、熱電変換モジュール9の高温側の金属板8および高温側熱源2との間に液体5を介在させているので、金属板8や熱源2に生じた熱膨張によって接触面が面外変形しても常に良好な密着を実現することができ、各接触面の平面度および表面粗さの要求条件を緩和することができる。このため、熱電変換素子1の製造コストを下げることができる。
【0038】
また、熱電変換モジュール9と高温側熱源2との間に液体5を介在させることによりこれらを接合する必要が無いので、熱電変換モジュール9の組立や交換が容易になる。よって、熱電変換素子1の製造コストを下げることができる。
【0039】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、本発明の用途としては、宇宙用原子炉における直接発電システムの他に、自動車等のエンジンや工場の炉等から排気される高温のガスに使用したり、工場や一般の原子炉等から排出される各種の高温排熱水等に適用することができる。
【0040】
そして、本実施形態では、高温側熱源2として加熱ダクトを使用する場合について説明したが、これには限られず炉の外壁や内燃エンジンの熱源等を高温側熱源2としても良い。また、本実施形態では、低温側熱源3として冷却ダクトを使用する場合について説明したが、これには限られず放熱フィンを備えるプレート等の放熱手段等を低温側熱源3としても良い。
【0041】
また、熱電素子4としては、熱エネルギーを電力に変換することが可能なものであれば他のものでも良い。例えば、SiGeの他に、FeSi2、CrSi2等の金属珪化物、NiO等の金属酸化物、鉛−テルル(PbTe)やビスマス−テルル(BiTe)等のテルル系の半導体等があり、使用温度領域等に応じて適宜選択される。また、これらの物質をアモルファス状の薄膜とすることも可能である。
【0042】
電気絶縁材としては、窒化珪素の他にアルミナ(Al2 O3 )や炭化珪素等のセラミックを適用することができる。炭化珪素等の各種のセラミックは、熱伝導性が良く、熱による変形が少なくしかも電気絶縁性に優れているため好ましい材料といえる。ただし、電気絶縁材として使用する材料は、必ずしもアルミナや窒化珪素等のセラミックに限るものではないことは勿論である。また、熱応力緩和材料としては、パラジウムや銅の他、各種の金属材料を採用できるが、その中では、熱伝導率が大きく弾性定数の小さいもの、即ち熱伝導率に対する弾性定数の比率がより小さいものがより好ましい。
【0043】
さらに、上述した実施形態では、熱電変換モジュール9と低温側熱源3とを接合しているが、これには限られずその接合を省略して間に液体5を介在させるようにしても良い。この場合、図2に示すように熱電変換モジュール9と高温側熱源2との接合を省略しても良く、あるいは熱電変換モジュール9と低温側熱源3とは接合するようにしても良い。これらの場合、熱電変換モジュール9が振動などによって面方向に大きく移動しないように、熱源2,3の少なくとも一方に溝を設けて熱電変換モジュール9を嵌め込んだり、あるいは移動防止部材を設けて熱電変換モジュール9を固定する。例えば、図2に示す実施形態では、低温側熱源3に溝3aを設けて熱電変換モジュール9を嵌め込むようにしている。この熱電変換素子1によれば、熱電変換モジュール9の両面と各熱源2,3との間に液体5を介在させているので、出力効率をより高めることができる。
【0044】
また、上述した各実施形態では、熱電変換モジュール9の両側部に金属板8を備えているが、これには限られず図3に示すように熱電変換モジュール9の片側部に金属板8を備えるようにしても良い。そして、熱電変換モジュール9の片側に露出された熱応力緩和パッド13と高温側熱源2との間に液体5を介在させるようにする。この場合、金属板8を1枚省略することができるので、設備の簡素化を図ることができる。また、ここで熱電変換モジュール9と低温側熱源3との接合を省略して間に液体5を介在させるようにしても良く、この場合、熱電変換モジュール9と高温側熱源2との接合を省略したり、あるいは熱電変換モジュール9と低温側熱源3とは接合するようにしても良い。
【0045】
さらに、上述した各実施形態では、熱電変換モジュール9と熱源2,3との間に液体5を介在させているが、これには限られず熱電素子4と熱応力緩和パッド13,14との間に液体5を介在させるようにしても良い。例えば図4に示す実施形態では、熱電素子4と高温側熱応力緩和パッド13との間に液体5を介在させている。この場合は、熱電素子4と熱応力緩和パッド13との接合を省略することができる。
【0046】
ここで、図4に示す実施形態では熱電素子4と高温側熱応力緩和パッド13との間に液体5を介在させているが、逆に熱電素子4と低温側熱応力緩和パッド14との間、あるいは両方の熱応力緩和パッド13,14との間に液体5を介在させるようにしても良い。また、図4に示す実施形態では熱電変換モジュール9と熱源2,3とは接合しているが、これらの間を接合せずに液体5を介在させるようにしても良い。
【0047】
また、上述した各実施形態では、傾斜機能材料6,7を有する熱電変換モジュール9を使用しているが、これには限られず図5,6に示すように熱電素子4と、その両側の設けた電極であるグラファイト層10,11と、これを挟む金属板8とから成る市販の熱電変換モジュール9を使用するようにしても良い。例えば図5に示す実施形態では、熱電変換モジュール9と低温側熱源3とを接合すると共に熱電変換モジュール9と高温側熱源2とを接合せずに液体5を介在させている。また、図6に示す実施形態では、熱電変換モジュール9と各熱源2,3とを接合せずに液体5を介在させている。あるいは、熱電変換モジュール9と高温側熱源2とを接合すると共に熱電変換モジュール9と低温側熱源3とを接合せずに液体5を介在させるようにしても良い。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の熱電変換素子によれば、高温側熱源及び低温側熱源の少なくとも一方と熱電素子との間の部材間が熱伝導性の液体により密着されるので、界面での熱抵抗を小さくして熱伝導率を高めることができる。これにより、熱電変換素子の出力を高めることができる。
【0049】
また、液体が介在する部材間では、各部材が面に平行な方向および直角な方向に相対移動可能になるので、熱電素子の熱応力緩和を図ることができる。よって、耐久性および信頼性の高い熱電変換素子を得ることができる。
【0050】
しかも、液体が介在する部材間で相対移動があっても、液体は毛管現象により常に隙間を埋めるように存在するので界面の良好な熱伝導を維持することができる。これにより、熱電変換素子を例えばディーゼル発電機や自動車あるいは電車のような激しい振動および過酷な熱過渡条件のもとで使用される各種産業機器に設置することができるようになり、それらの機器の廃熱を熱源として熱電変換を行うことができるようになる。
【0051】
さらに、各熱源の少なくとも一方と熱電素子との間の部材間に液体を介在させているので、熱電素子や各熱源に生じた熱膨張によって接触面が面外変形しても常に良好な密着を実現することができ、各接触面の平面度および表面粗さの要求条件を緩和することができる。このため、熱電変換素子の製造コストを下げることができる。また、各熱源の少なくとも一方と熱電素子との間の部材間に液体を介在させることにより接合する必要が無いので、熱電変換素子の組立や修理あるいは交換が容易になって製造コストを下げることができる。
【0052】
そして、請求項2記載の熱電変換素子によれば、熱伝導性の液体が熱源と熱応力緩和パッドとの間に設けられているので、熱源と熱応力緩和パッドとの良好な熱伝導を維持することができる。
【0053】
さらに、請求項3記載の熱電変換素子によれば、熱伝導性の液体が熱電素子と熱応力緩和パッドとの間に設けられているので、熱電素子と熱応力緩和パッドとの良好な熱伝導を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る熱電変換素子を示す縦断面側面図である。
【図2】熱電変換素子の他の実施形態を示す縦断面側面図である。
【図3】熱電変換素子の別の実施形態を示す縦断面側面図である。
【図4】熱電変換素子の更に他の実施形態を示す縦断面側面図である。
【図5】熱応力緩和パッドを用いない熱電変換素子の実施形態を示す縦断面側面図である。
【図6】熱応力緩和パッドを用いない熱電変換素子の他の実施形態を示す縦断面側面図である。
【符号の説明】
1 熱電変換素子
2 高温側熱源
3 低温側熱源
4 熱電素子
5 液体
13,14 熱応力緩和パッド
Claims (3)
- 高温側熱源と低温側熱源との間に挟んで使用される熱電素子を有する熱電変換素子において、前記高温側熱源及び低温側熱源の少なくとも一方と前記熱電素子との間に熱伝導性の液体を介在させたことを特徴とする熱電変換素子。
- 前記熱源と前記熱電素子との間に熱応力緩和パッドが介在されていると共に、前記液体は前記熱源と前記熱応力緩和パッドとの間に設けられていることを特徴とする請求項1記載の熱電変換素子。
- 前記熱源と前記熱電素子との間に熱応力緩和パッドが介在されていると共に、前記液体は前記熱電素子と前記熱応力緩和パッドとの間に設けられていることを特徴とする請求項1記載の熱電変換素子。
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