JP4110757B2 - リミットスイッチのヘッド構造 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、物体検知等に用いられるリミットスイッチのアクチュエータ部を取付けたヘッド構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のリミットスイッチのヘッド構造は、図3及び図4に示すようにヘッドケース40に回転可能に支承された回転軸41を備えており、この回転軸41の一端側にはローラレバー49が固着してあり、この回転軸41の他端側には、カム部材42が、その内孔42Aで嵌合装着してある。そして、このカム部材42には、内部スイッチ52の作動用のプランジャ53を作動させるカム部46が設けてある。
【0003】
そして、カム部材42には、ローラレバー49側に開口する半円形の溝状のばね挿入支持部45を回転軸41の軸線上に延在形成させることによって円筒状のばね保持部43が形成してあり、また、ばね挿入支持部45の延在形成により、このばね挿入支持部45の外壁部44が半円形に形成されており、この外壁部44は片持形状である。
【0004】
そして、ばね保持部43には復帰用ねじりコイルばね47が捲回してあり、この復帰用ねじりコイルばね47がばね挿入支持部45により保持されている。また、復帰用ねじりコイルばね47の一端部47a及び他端部47bが、ばね挿入支持部45の外壁部44の縁部44a、44b及びヘッドケース40側のばね係止部48A、48Bに接触させてある。
【0005】
そして、リミットスイッチの作動時において、回転軸41を介してカム部材42が回転した場合に、カム部材42が復帰用ねじりコイルばね47の一端部47aを押し上げるが、この復帰用ねじりコイルばね47の他端部47bがばね係止部48Bに接しているために、この復帰用ねじりコイルばね47がねじられて圧縮される。また、回転軸41の回転によりカム部材42が回転し、このカム部材42のカム部46がプランジャ53を復帰ばね部材に抗して押し下げ、内部スイッチ52をオン作動させる。
【0006】
また、リミットスイッチの作動が終了すると、復帰用ねじりコイルばね47の圧縮反力でカム部材42を介して回転軸41を逆回転させ、アクチュエータ部 (ローラ49A、ローラレバー49、回転軸41、カム部材42)を元に位置に復帰させると共に、復帰ばね部材のばね力によりプランジャ53が押し上げられて、このプランジャ53の先端部がカム部46の凹部46Aに挿入されて内部スイッチ52をオフ作動させる。
【0007】
上記のように構成されたリミットスイッチのヘッド構造の場合は、ヘッド構造が大きくカム部材42のサイズが大きいために、復帰用ねじりコイルばね47を保持するための半円形の溝状のばね挿入支持部45は、カム部材42の内部に入り込んでいるがカム部46に対応する部分にまでは達していない。
【0008】
すなわち、復帰用ねじりコイルばね47のサイズは、アクチュエータ部の復帰力を得ることによって、リミットスイッチの特性を安定させるために小さくすることはできない。したがって、カム部材42のサイズが大きい場合には、ばね挿入支持部45をカム部46に対応する部分にまで切り込む必要がない。このために、カム部材42には極度の剛性不足は生じない。
【0009】
しかしながら、図5に示すように、内部スイッチ52が小さいためにスイッチ本体50のサイズが小さくなっていて、ヘッド構造を含めた全体のサイズが小さいリミットスイッチの場合、ヘッド構造のサイズも小さくせざるを得ず、カム部材42のサイズも小さくなる。
【0010】
しかし、復帰用ねじりコイルばね47のサイズは、内部スイッチ52を小サイズにしたからといって、アクチュエータ部の復帰力を得ることによってリミットスイッチの特性を安定させるために小さくすることはできない。また、カム部材42のサイズが小さくなっても、このカム部材42のカム部46の位置は、プランジャ53との位置関係上及びプランジャ53に押圧力を加える関係上、カム部材42の略中央に配置することが必要である。
【0011】
したがって、カム部材42のサイズが小さくなっても、ばね挿入スペース45を小さくすることができず、このために、ばね挿入スペース45を、カム部材42の内部に深く入り込ませて、プランジャ53を押し込んでいるカム部46に対応する部分を越える位置まで形成しなければならなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、従来のサイズの小さいリミットスイッチのヘッド構造では、ばね挿入支持部45の外壁部44は片持形状であり、しかも、ばね挿入支持部45がカム部材42の内部に入り込んでいてプランジャ53を押し込むカム部46に対応する部分を越える位置まで形成されるために、カム部材42に剛性不足が生じていた。
【0013】
このために、リミットスイッチの作動時に、すなわち、操作体であるドッグがアクチュエータ部のローラ49Aに接して、ローラレバー49が倒されることにより回転軸41が回転しカム部材42が回転する場合に、カム部材42が変形してプランジャ53を正常に作動させることができず、内部スイッチ52のスイッチ動作が円滑に行われなくなり、リミットスイッチの特性が不安定になるという問題点があった。
【0014】
本発明は、上記の問題点に着目して成されたものであって、その目的とするところは、カム部材の剛性不足を解消し得て、リミットスイッチの作動時にカム部材の変形を無くして、リミットスイッチの特性を安定させることができるリミットスイッチのヘッド構造を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係るリミットスイッチのヘッド構造は、一端側にローラレバーを固着した回転軸をヘッドケースに回転可能に支承し、回転軸の他端側を、内部スイッチ作動用のプランジャを作動させるカム部を有するカム部材の内孔に嵌合装着し、且つカム部材にローラレバー側に開口する溝状のばね挿入支持部を回転軸の軸線上に延在形成させることによって円筒状のばね保持部を形成して、このばね保持部に回転軸の復帰用ねじりコイルばねを捲回して、この復帰用ねじりコイルばねがばね挿入支持部により保持されるように構成したリミットスイッチのヘッド構造であって、カム部材のローラレバー側端部に、内孔を拡径させると共にローラレバー側端部に延在する延長部を形成し、この延長部を回転軸に形成した拡径段部に当接させて、カム部材が、延長部及び内孔に支持されることによって、回転軸に二点支持されるように構成したものである。
【0016】
かかる構成により、カム部材は、回転軸に装着された内孔によって回転軸に支持されるのみならず、カム部材のローラレバー側端部に設けた延長部を回転軸に形成した拡径段部に当接させることで、カム部材が回転軸に二点支持されるようになるために、カム部材の剛性不足を解消することができる。
【0017】
このために、例えば、ばね挿入支持部が、カム部材の内部に入り込んでいてカム部に対応する部分を越える位置まで形成してある場合においても、リミットスイッチの作動時において回転軸が回転してカム部材が回転する際に、このカム部材の変形が無く、プランジャを正常に作動させることができて、内部スイッチのスイッチ動作を円滑ならしめ、リミットスイッチの特性を安定させることができる。
【0018】
ここで、回転軸の復帰用ねじりコイルばねとは、回転軸が回転しカム部材が回転した場合に、このカム部材によりその一端部が押し上げられることによりねじられて圧縮され、また、カム部材の回転解除により圧縮反力でカム部材を介して回転軸を復帰(逆回転)させるねじりコイルばねである。また、ばね挿入支持部とは、回転軸の復帰用ねじりコイルばねがばね保持部に保持された状態で、この復帰用ねじりコイルばねが挿入保持される空間である。
【0019】
また、本発明に係るリミットスイッチのヘッド構造は、上記した本発明に係るリミットスイッチのヘッド構造において、ばね挿入支持部が、カム部材の内部に入り込んでいて、カム部に対応する部分を越える位置まで形成してある。
【0020】
かかる構成により、サイズの小さいリミットスイッチのヘッド構造の場合、ばね挿入支持部の外壁部は片持形状であり、しかも、ばね挿入支持部がカム部材の内部に入り込んでいてプランジャを押し込むカム部に対応する部分を越える位置まで形成されることでカム部材に剛性不足を生じるが、カム部材が延長部及び内孔によって回転軸に二点支持されるために、サイズの小さいリミットスイッチのヘッド構造においてもカム部材の剛性不足を解消することができる。
【0021】
このために、小形のリミットスイッチの作動時において回転軸が回転してカム部材が回転する際に、このカム部材の変形が無く、プランジャを正常に作動させることができて、内部スイッチのスイッチ動作を円滑ならしめ、小形のリミットスイッチの特性を安定させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面を参照して説明する。
【0023】
図1は本発明に係るヘッド構造を備えたリミットスイッチの縦断面図、図2は同ヘッド構造におけるアクチュエータ部の一部の分解状態の斜視図である。
【0024】
本発明に係るリミットスイッチのヘッド構造はヘッドケース1を備えており、このヘッドケース1の一方側の端面部1aには軸支承孔部2が、この端面部1aに対向する他方側の端面部1bの内面には支承用凹部3がそれぞれ設けてある。また、ヘッドケース1は、図2に仮想線で示すように、その内面側に形成されたばね係止部4、5を備えている。
【0025】
また、回転軸6は、図1及び図2に示すように、その軸線上に沿って、その先端側から後端側にかけて、レバー保持部7と、先側支承軸部(支承軸部)8と、拡径段部9と、カム装着部10と、端側支承軸部11とが形成してある。
【0026】
すなわち、先側支承軸部8は断面円形状の軸部で構成してある。また、レバー保持部7はその端面部に雌ねじ部7bを有している。このレバー保持部7は先側支承軸部8より小径である。
【0027】
また、拡径段部9は先側支承軸部8の延長部分で構成してあり、拡径段部9と先側支承軸部8との中間には止めリング用溝部12が形成してある。また、カム装着部10は、先側支承軸部8より小径な円形軸部13Aと、この円形軸部13Aに平坦面部14を形成した平坦面形成部13Bとを有する。また、端側支承軸部11は平坦面形成部13Bの延長部分で構成してある。
【0028】
また、カム部材15はカム主体15Aを有しており、このカム主体15Aには、カム部材15の回転中心線a上に位置させて内孔16が設けてある。この内孔16は、カム装着部10の円形軸部13Aが挿入される円形軸挿入部16Aと、平坦面形成部13Bが挿入される平坦面挿入部16Bとを有している。
【0029】
また、カム部材15には、ローラレバー26側に開口する半円形の溝状のばね挿入支持部22を回転軸6の軸線上に延在形成させることによって円筒状のばね保持部17が形成してあり、また、ばね挿入支持部18の延在形成により、このばね挿入支持部22の外壁部18が半円形に形成されており、この外壁部18は片持形状である。
【0030】
また、カム部材15の外周部には、ばね挿入支持部22の外壁部18の外面部に位置させて半円形状のカム部20が形成してあり、このカム部20の中央には凹部20Aが形成してある。
【0031】
そして、ばね挿入支持部22は、カム部材15の内部に入り込んでいてカム部20に対応する部分を越える位置まで形成してある。そして、カム部材15のローラレバー側端部には、内孔16を拡径させると共にローラレバー側端部に延在する延長部19が形成してある。
【0032】
そして、カム部材15は、そのばね保持部17に復帰用ねじりコイルばね23が嵌めてあり、この復帰用ねじりコイルばね23はばね挿入支持部22に挿入されている。このカム部材15はヘッドケース1の内部に挿入してあり、復帰用ねじりコイルばね23の一端部23aがばね挿入支持部22の外壁部18の一方の縁部18a及び一方のばね係止部4に載せてあり、復帰用ねじりコイルばね23の他端部23aが外壁部18の他方の縁部18b及び他方のばね係止部5に載せてある。
【0033】
次に、ヘッドケース1への回転軸6及びカム部材15の組付けを説明する。
【0034】
回転軸6は、ヘッドケース1の軸支承孔部2からヘッドケース1に挿入してあって、この回転軸6の先側支承軸部8が軸支承孔部2に回転可能に支承されている。そして、回転軸6のカム装着部10は、カム部材15の内孔16に挿入してあって、カム装着部10の円形軸部13Aが円形軸挿入部16Aに挿入され、平坦面形成部13Bが平坦面挿入部16Bに挿入されていて、平坦面形成部13Bに形成された平坦面部14が平坦面挿入部16Bの平坦面部16bに当接している。
【0035】
そして、回転軸6の拡径段部9が、カム部材15の延長部19の内面に当接している。そして、回転軸6の端側支承軸部11が、ヘッドケース1の支承用凹部3に回転可能に支承されている。
【0036】
このように、カム部材15は、その内孔16の部分で回転軸6に支持されるのみならず、ばね挿入支持部22の外壁部18の延長部19が回転軸6の拡径段部9で支持されることで、回転軸6に対してカム部材15は2つの支持点イ、ロで支持されるようになり、カム部材15の剛性不足が解消されている。
【0037】
そして、回転軸6の止めリング用溝部12には止めリング部材24が係止されていて、この止めリング部材24がヘッドケース1の内部に形成したストッパー面部25に接触していて、回転軸6がヘッドケース1に対して位置決めされている。
【0038】
また、回転軸6のレバー保持部7はヘッドケース1外に突出しており、このレバー保持部7には、先端部にローラ27を回転可能に保持したローラレバー26の基部がねじ部材28で固着してある。そして、ローラ27と、ローラレバー26と、回転軸6と、カム部材15と、復帰用ねじりコイルばね23とでアクチュエータ部を構成してある。
【0039】
上記のように構成されたヘッド構造は、スイッチ本体30のヘッド取付部31の取付ねじ部材(図示せず)により取付けてある。そして、スイッチ本体30の内部スイッチ32のプランジャ33は復帰ばね部材(図示せず)により持ち上げられていて、このプランジャ33の端部がカム部材15のカム部20の凹部20Aに当接している。
【0040】
そして、操作体であるドッグ(図示せず)を移動して、このドッグをリミットスイッチのローラ27に接して、ローラレバー26を倒し、リミットスイッチを作動させるのであるが、このローラレバー26が倒されることにより回転軸6が回転して、この回転軸6に装着されたカム部材15が回転し、ねじりコイルばね23の一端部23aを押し上げるが、このねじりコイルばね23の他端部23bがばね係止部5に接しているために、このねじりコイルばね23がねじりられて圧縮される。また、回転軸6の回転によりカム部材15が回転し、このカム部材15のカム部20がプランジャ33を復帰ばね部材に抗して押し下げ、内部スイッチ32をオン作動させる。
【0041】
そして、ローラ27からドッグが離れると、ねじりコイルばね23の圧縮反力でカム部材15を介して回転軸6が逆回転すると共に、復帰ばね部材のばね力によりプランジャ33が押し上げられて、このプランジャ33の先端部がカム部20の凹部20Aに挿入されて、アクチュエータ部を元の位置に復帰させると共に、内部スイッチ32をオフ作動させる。
【0042】
上記したように、本実施の形態によれば、カム部材15は、その内孔16で回転軸6に支持されるのみならず、ばね挿入支持部22の外壁部18の延長部19が回転軸6の拡径段部9で支持されることで、回転軸6に対してカム部材15は2つの支持点イ、ロで支持されるようになり、ばね挿入支持部22が、カム部材15の内部に入り込んでいてばね挿入支持部22の外壁部18の外面部に設けられたカム部20に対応する部分を越える位置まで形成されていて、カム部材15の剛性不足が顕著な場合にでも、このカム部材15の剛性不足が解消される。
【0043】
このために、操作体であるドッグがローラ27に接して、アクチュエータ部のローラレバー26を倒されることにより回転軸6が回転しカム部材15が回転する場合に、カム部材15の変形は無く、プランジャ33を正常に作動させることができて、内部スイッチ32のスイッチ動作を円滑ならしめリミットスイッチの特性を安定させることができる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るリミットスイッチのヘッド構造によれば、カム部材は、回転軸に装着された内孔によって回転軸に支持されるのみならず、カム部材のローラレバー側端部に設けた延長部を回転軸に形成した拡径段部に当接させることで、カム部材が回転軸に二点支持されるようになるために、カム部材の剛性不足を解消することができる。
【0045】
このために、例えば、ばね挿入支持部が、カム部材の内部に入り込んでいてカム部に対応する部分を越える位置まで形成してある場合においても、リミットスイッチの作動時において回転軸が回転してカム部材が回転する際に、このカム部材の変形が無く、プランジャを正常に作動させることができて、内部スイッチのスイッチ動作を円滑ならしめ、リミットスイッチの特性を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るヘッド構造を備えたリミットスイッチの縦断面図である。
【図2】同ヘッド構造におけるアクチュエータ部の一部の分解状態の斜視図である。
【図3】従来のヘッド構造を備えたリミットスイッチの一部省略した縦断面図である。
【図4】図3のX方向からの矢視図である。
【図5】従来の他のヘッド構造を備えたリミットスイッチの縦断面図である。
【符号の説明】
1 ヘッドケース
6 回転軸
8 先側支承軸部(支承軸部)
9 拡径段部
15 カム部材
15A カム主体
17 ばね保持部
18 外壁部
19 延長部
20 カム部
22 ばね挿入支持部
23 復帰用ねじりコイルばね
32 内部スイッチ
33 プランジャ
a カム部材15の回転中心線
【発明の属する技術分野】
本発明は、物体検知等に用いられるリミットスイッチのアクチュエータ部を取付けたヘッド構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のリミットスイッチのヘッド構造は、図3及び図4に示すようにヘッドケース40に回転可能に支承された回転軸41を備えており、この回転軸41の一端側にはローラレバー49が固着してあり、この回転軸41の他端側には、カム部材42が、その内孔42Aで嵌合装着してある。そして、このカム部材42には、内部スイッチ52の作動用のプランジャ53を作動させるカム部46が設けてある。
【0003】
そして、カム部材42には、ローラレバー49側に開口する半円形の溝状のばね挿入支持部45を回転軸41の軸線上に延在形成させることによって円筒状のばね保持部43が形成してあり、また、ばね挿入支持部45の延在形成により、このばね挿入支持部45の外壁部44が半円形に形成されており、この外壁部44は片持形状である。
【0004】
そして、ばね保持部43には復帰用ねじりコイルばね47が捲回してあり、この復帰用ねじりコイルばね47がばね挿入支持部45により保持されている。また、復帰用ねじりコイルばね47の一端部47a及び他端部47bが、ばね挿入支持部45の外壁部44の縁部44a、44b及びヘッドケース40側のばね係止部48A、48Bに接触させてある。
【0005】
そして、リミットスイッチの作動時において、回転軸41を介してカム部材42が回転した場合に、カム部材42が復帰用ねじりコイルばね47の一端部47aを押し上げるが、この復帰用ねじりコイルばね47の他端部47bがばね係止部48Bに接しているために、この復帰用ねじりコイルばね47がねじられて圧縮される。また、回転軸41の回転によりカム部材42が回転し、このカム部材42のカム部46がプランジャ53を復帰ばね部材に抗して押し下げ、内部スイッチ52をオン作動させる。
【0006】
また、リミットスイッチの作動が終了すると、復帰用ねじりコイルばね47の圧縮反力でカム部材42を介して回転軸41を逆回転させ、アクチュエータ部 (ローラ49A、ローラレバー49、回転軸41、カム部材42)を元に位置に復帰させると共に、復帰ばね部材のばね力によりプランジャ53が押し上げられて、このプランジャ53の先端部がカム部46の凹部46Aに挿入されて内部スイッチ52をオフ作動させる。
【0007】
上記のように構成されたリミットスイッチのヘッド構造の場合は、ヘッド構造が大きくカム部材42のサイズが大きいために、復帰用ねじりコイルばね47を保持するための半円形の溝状のばね挿入支持部45は、カム部材42の内部に入り込んでいるがカム部46に対応する部分にまでは達していない。
【0008】
すなわち、復帰用ねじりコイルばね47のサイズは、アクチュエータ部の復帰力を得ることによって、リミットスイッチの特性を安定させるために小さくすることはできない。したがって、カム部材42のサイズが大きい場合には、ばね挿入支持部45をカム部46に対応する部分にまで切り込む必要がない。このために、カム部材42には極度の剛性不足は生じない。
【0009】
しかしながら、図5に示すように、内部スイッチ52が小さいためにスイッチ本体50のサイズが小さくなっていて、ヘッド構造を含めた全体のサイズが小さいリミットスイッチの場合、ヘッド構造のサイズも小さくせざるを得ず、カム部材42のサイズも小さくなる。
【0010】
しかし、復帰用ねじりコイルばね47のサイズは、内部スイッチ52を小サイズにしたからといって、アクチュエータ部の復帰力を得ることによってリミットスイッチの特性を安定させるために小さくすることはできない。また、カム部材42のサイズが小さくなっても、このカム部材42のカム部46の位置は、プランジャ53との位置関係上及びプランジャ53に押圧力を加える関係上、カム部材42の略中央に配置することが必要である。
【0011】
したがって、カム部材42のサイズが小さくなっても、ばね挿入スペース45を小さくすることができず、このために、ばね挿入スペース45を、カム部材42の内部に深く入り込ませて、プランジャ53を押し込んでいるカム部46に対応する部分を越える位置まで形成しなければならなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、従来のサイズの小さいリミットスイッチのヘッド構造では、ばね挿入支持部45の外壁部44は片持形状であり、しかも、ばね挿入支持部45がカム部材42の内部に入り込んでいてプランジャ53を押し込むカム部46に対応する部分を越える位置まで形成されるために、カム部材42に剛性不足が生じていた。
【0013】
このために、リミットスイッチの作動時に、すなわち、操作体であるドッグがアクチュエータ部のローラ49Aに接して、ローラレバー49が倒されることにより回転軸41が回転しカム部材42が回転する場合に、カム部材42が変形してプランジャ53を正常に作動させることができず、内部スイッチ52のスイッチ動作が円滑に行われなくなり、リミットスイッチの特性が不安定になるという問題点があった。
【0014】
本発明は、上記の問題点に着目して成されたものであって、その目的とするところは、カム部材の剛性不足を解消し得て、リミットスイッチの作動時にカム部材の変形を無くして、リミットスイッチの特性を安定させることができるリミットスイッチのヘッド構造を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係るリミットスイッチのヘッド構造は、一端側にローラレバーを固着した回転軸をヘッドケースに回転可能に支承し、回転軸の他端側を、内部スイッチ作動用のプランジャを作動させるカム部を有するカム部材の内孔に嵌合装着し、且つカム部材にローラレバー側に開口する溝状のばね挿入支持部を回転軸の軸線上に延在形成させることによって円筒状のばね保持部を形成して、このばね保持部に回転軸の復帰用ねじりコイルばねを捲回して、この復帰用ねじりコイルばねがばね挿入支持部により保持されるように構成したリミットスイッチのヘッド構造であって、カム部材のローラレバー側端部に、内孔を拡径させると共にローラレバー側端部に延在する延長部を形成し、この延長部を回転軸に形成した拡径段部に当接させて、カム部材が、延長部及び内孔に支持されることによって、回転軸に二点支持されるように構成したものである。
【0016】
かかる構成により、カム部材は、回転軸に装着された内孔によって回転軸に支持されるのみならず、カム部材のローラレバー側端部に設けた延長部を回転軸に形成した拡径段部に当接させることで、カム部材が回転軸に二点支持されるようになるために、カム部材の剛性不足を解消することができる。
【0017】
このために、例えば、ばね挿入支持部が、カム部材の内部に入り込んでいてカム部に対応する部分を越える位置まで形成してある場合においても、リミットスイッチの作動時において回転軸が回転してカム部材が回転する際に、このカム部材の変形が無く、プランジャを正常に作動させることができて、内部スイッチのスイッチ動作を円滑ならしめ、リミットスイッチの特性を安定させることができる。
【0018】
ここで、回転軸の復帰用ねじりコイルばねとは、回転軸が回転しカム部材が回転した場合に、このカム部材によりその一端部が押し上げられることによりねじられて圧縮され、また、カム部材の回転解除により圧縮反力でカム部材を介して回転軸を復帰(逆回転)させるねじりコイルばねである。また、ばね挿入支持部とは、回転軸の復帰用ねじりコイルばねがばね保持部に保持された状態で、この復帰用ねじりコイルばねが挿入保持される空間である。
【0019】
また、本発明に係るリミットスイッチのヘッド構造は、上記した本発明に係るリミットスイッチのヘッド構造において、ばね挿入支持部が、カム部材の内部に入り込んでいて、カム部に対応する部分を越える位置まで形成してある。
【0020】
かかる構成により、サイズの小さいリミットスイッチのヘッド構造の場合、ばね挿入支持部の外壁部は片持形状であり、しかも、ばね挿入支持部がカム部材の内部に入り込んでいてプランジャを押し込むカム部に対応する部分を越える位置まで形成されることでカム部材に剛性不足を生じるが、カム部材が延長部及び内孔によって回転軸に二点支持されるために、サイズの小さいリミットスイッチのヘッド構造においてもカム部材の剛性不足を解消することができる。
【0021】
このために、小形のリミットスイッチの作動時において回転軸が回転してカム部材が回転する際に、このカム部材の変形が無く、プランジャを正常に作動させることができて、内部スイッチのスイッチ動作を円滑ならしめ、小形のリミットスイッチの特性を安定させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面を参照して説明する。
【0023】
図1は本発明に係るヘッド構造を備えたリミットスイッチの縦断面図、図2は同ヘッド構造におけるアクチュエータ部の一部の分解状態の斜視図である。
【0024】
本発明に係るリミットスイッチのヘッド構造はヘッドケース1を備えており、このヘッドケース1の一方側の端面部1aには軸支承孔部2が、この端面部1aに対向する他方側の端面部1bの内面には支承用凹部3がそれぞれ設けてある。また、ヘッドケース1は、図2に仮想線で示すように、その内面側に形成されたばね係止部4、5を備えている。
【0025】
また、回転軸6は、図1及び図2に示すように、その軸線上に沿って、その先端側から後端側にかけて、レバー保持部7と、先側支承軸部(支承軸部)8と、拡径段部9と、カム装着部10と、端側支承軸部11とが形成してある。
【0026】
すなわち、先側支承軸部8は断面円形状の軸部で構成してある。また、レバー保持部7はその端面部に雌ねじ部7bを有している。このレバー保持部7は先側支承軸部8より小径である。
【0027】
また、拡径段部9は先側支承軸部8の延長部分で構成してあり、拡径段部9と先側支承軸部8との中間には止めリング用溝部12が形成してある。また、カム装着部10は、先側支承軸部8より小径な円形軸部13Aと、この円形軸部13Aに平坦面部14を形成した平坦面形成部13Bとを有する。また、端側支承軸部11は平坦面形成部13Bの延長部分で構成してある。
【0028】
また、カム部材15はカム主体15Aを有しており、このカム主体15Aには、カム部材15の回転中心線a上に位置させて内孔16が設けてある。この内孔16は、カム装着部10の円形軸部13Aが挿入される円形軸挿入部16Aと、平坦面形成部13Bが挿入される平坦面挿入部16Bとを有している。
【0029】
また、カム部材15には、ローラレバー26側に開口する半円形の溝状のばね挿入支持部22を回転軸6の軸線上に延在形成させることによって円筒状のばね保持部17が形成してあり、また、ばね挿入支持部18の延在形成により、このばね挿入支持部22の外壁部18が半円形に形成されており、この外壁部18は片持形状である。
【0030】
また、カム部材15の外周部には、ばね挿入支持部22の外壁部18の外面部に位置させて半円形状のカム部20が形成してあり、このカム部20の中央には凹部20Aが形成してある。
【0031】
そして、ばね挿入支持部22は、カム部材15の内部に入り込んでいてカム部20に対応する部分を越える位置まで形成してある。そして、カム部材15のローラレバー側端部には、内孔16を拡径させると共にローラレバー側端部に延在する延長部19が形成してある。
【0032】
そして、カム部材15は、そのばね保持部17に復帰用ねじりコイルばね23が嵌めてあり、この復帰用ねじりコイルばね23はばね挿入支持部22に挿入されている。このカム部材15はヘッドケース1の内部に挿入してあり、復帰用ねじりコイルばね23の一端部23aがばね挿入支持部22の外壁部18の一方の縁部18a及び一方のばね係止部4に載せてあり、復帰用ねじりコイルばね23の他端部23aが外壁部18の他方の縁部18b及び他方のばね係止部5に載せてある。
【0033】
次に、ヘッドケース1への回転軸6及びカム部材15の組付けを説明する。
【0034】
回転軸6は、ヘッドケース1の軸支承孔部2からヘッドケース1に挿入してあって、この回転軸6の先側支承軸部8が軸支承孔部2に回転可能に支承されている。そして、回転軸6のカム装着部10は、カム部材15の内孔16に挿入してあって、カム装着部10の円形軸部13Aが円形軸挿入部16Aに挿入され、平坦面形成部13Bが平坦面挿入部16Bに挿入されていて、平坦面形成部13Bに形成された平坦面部14が平坦面挿入部16Bの平坦面部16bに当接している。
【0035】
そして、回転軸6の拡径段部9が、カム部材15の延長部19の内面に当接している。そして、回転軸6の端側支承軸部11が、ヘッドケース1の支承用凹部3に回転可能に支承されている。
【0036】
このように、カム部材15は、その内孔16の部分で回転軸6に支持されるのみならず、ばね挿入支持部22の外壁部18の延長部19が回転軸6の拡径段部9で支持されることで、回転軸6に対してカム部材15は2つの支持点イ、ロで支持されるようになり、カム部材15の剛性不足が解消されている。
【0037】
そして、回転軸6の止めリング用溝部12には止めリング部材24が係止されていて、この止めリング部材24がヘッドケース1の内部に形成したストッパー面部25に接触していて、回転軸6がヘッドケース1に対して位置決めされている。
【0038】
また、回転軸6のレバー保持部7はヘッドケース1外に突出しており、このレバー保持部7には、先端部にローラ27を回転可能に保持したローラレバー26の基部がねじ部材28で固着してある。そして、ローラ27と、ローラレバー26と、回転軸6と、カム部材15と、復帰用ねじりコイルばね23とでアクチュエータ部を構成してある。
【0039】
上記のように構成されたヘッド構造は、スイッチ本体30のヘッド取付部31の取付ねじ部材(図示せず)により取付けてある。そして、スイッチ本体30の内部スイッチ32のプランジャ33は復帰ばね部材(図示せず)により持ち上げられていて、このプランジャ33の端部がカム部材15のカム部20の凹部20Aに当接している。
【0040】
そして、操作体であるドッグ(図示せず)を移動して、このドッグをリミットスイッチのローラ27に接して、ローラレバー26を倒し、リミットスイッチを作動させるのであるが、このローラレバー26が倒されることにより回転軸6が回転して、この回転軸6に装着されたカム部材15が回転し、ねじりコイルばね23の一端部23aを押し上げるが、このねじりコイルばね23の他端部23bがばね係止部5に接しているために、このねじりコイルばね23がねじりられて圧縮される。また、回転軸6の回転によりカム部材15が回転し、このカム部材15のカム部20がプランジャ33を復帰ばね部材に抗して押し下げ、内部スイッチ32をオン作動させる。
【0041】
そして、ローラ27からドッグが離れると、ねじりコイルばね23の圧縮反力でカム部材15を介して回転軸6が逆回転すると共に、復帰ばね部材のばね力によりプランジャ33が押し上げられて、このプランジャ33の先端部がカム部20の凹部20Aに挿入されて、アクチュエータ部を元の位置に復帰させると共に、内部スイッチ32をオフ作動させる。
【0042】
上記したように、本実施の形態によれば、カム部材15は、その内孔16で回転軸6に支持されるのみならず、ばね挿入支持部22の外壁部18の延長部19が回転軸6の拡径段部9で支持されることで、回転軸6に対してカム部材15は2つの支持点イ、ロで支持されるようになり、ばね挿入支持部22が、カム部材15の内部に入り込んでいてばね挿入支持部22の外壁部18の外面部に設けられたカム部20に対応する部分を越える位置まで形成されていて、カム部材15の剛性不足が顕著な場合にでも、このカム部材15の剛性不足が解消される。
【0043】
このために、操作体であるドッグがローラ27に接して、アクチュエータ部のローラレバー26を倒されることにより回転軸6が回転しカム部材15が回転する場合に、カム部材15の変形は無く、プランジャ33を正常に作動させることができて、内部スイッチ32のスイッチ動作を円滑ならしめリミットスイッチの特性を安定させることができる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るリミットスイッチのヘッド構造によれば、カム部材は、回転軸に装着された内孔によって回転軸に支持されるのみならず、カム部材のローラレバー側端部に設けた延長部を回転軸に形成した拡径段部に当接させることで、カム部材が回転軸に二点支持されるようになるために、カム部材の剛性不足を解消することができる。
【0045】
このために、例えば、ばね挿入支持部が、カム部材の内部に入り込んでいてカム部に対応する部分を越える位置まで形成してある場合においても、リミットスイッチの作動時において回転軸が回転してカム部材が回転する際に、このカム部材の変形が無く、プランジャを正常に作動させることができて、内部スイッチのスイッチ動作を円滑ならしめ、リミットスイッチの特性を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るヘッド構造を備えたリミットスイッチの縦断面図である。
【図2】同ヘッド構造におけるアクチュエータ部の一部の分解状態の斜視図である。
【図3】従来のヘッド構造を備えたリミットスイッチの一部省略した縦断面図である。
【図4】図3のX方向からの矢視図である。
【図5】従来の他のヘッド構造を備えたリミットスイッチの縦断面図である。
【符号の説明】
1 ヘッドケース
6 回転軸
8 先側支承軸部(支承軸部)
9 拡径段部
15 カム部材
15A カム主体
17 ばね保持部
18 外壁部
19 延長部
20 カム部
22 ばね挿入支持部
23 復帰用ねじりコイルばね
32 内部スイッチ
33 プランジャ
a カム部材15の回転中心線
Claims (2)
- 一端側にローラレバーを固着した回転軸をヘッドケースに回転可能に支承し、前記回転軸の他端側を、内部スイッチ作動用のプランジャを作動させるカム部を有するカム部材の内孔に嵌合装着し、且つ前記カム部材に前記ローラレバー側に開口する溝状のばね挿入支持部を前記回転軸の軸線上に延在形成させることによって円筒状のばね保持部を形成して、このばね保持部に前記回転軸の復帰用ねじりコイルばねを捲回して、この復帰用ねじりコイルばねが前記ばね挿入支持部により保持されるように構成したリミットスイッチのヘッド構造であって、
前記カム部材の前記ローラレバー側端部に、前記内孔を拡径させると共に前記ローラレバー側端部に延在する延長部を形成し、この延長部を前記回転軸に形成した拡径段部に当接させて、前記カム部材が、前記延長部及び前記内孔に支持されることによって、前記回転軸に二点支持されるように構成したことを特徴とするリミットスイッチのヘッド構造。 - 前記ばね挿入支持部が、前記カム部材の内部に入り込んでいて、前記カム部に対応する部分を越える位置まで形成してあることを特徴とする請求項1に記載のリミットスイッチのヘッド構造。
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