JP4110576B2 - Cvd用気化器、溶液気化式cvd装置及びcvd用気化方法 - Google Patents

Cvd用気化器、溶液気化式cvd装置及びcvd用気化方法 Download PDF

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本発明は、CVD用気化器、溶液気化式CVD装置及びCVD用気化方法に係わり、特に、CVD用の原料の流量を精度よく制御することができるCVD用気化器、溶液気化式CVD装置及びCVD用気化方法に関する。
1970年頃から半導体産業に導入採用されたCVD(chemical vapor deposition)技術においては、薄膜材料を形成する場合、ガス状態の反応材料をリアクタに流して、化学反応を起こし、シリコン等の半導体基板上に様々な組成の薄膜材料を形成する。例えば、モノシラン(SiH4)ガスと酸素(O2)ガスを不活性ガスで希釈して混合し、凡そ350℃以上に加熱することにより、半導体基板上にシリコン酸化膜を成膜する事が出来る。同様な手法によって、PSG,BPSG,Poly-Si,SiNx,アモルファスSi,WSix等を成膜できる。CVD技術は、半導体素子の製造に広く採用されており、今では、CVD技術無しでは高性能半導体素子の製造は出来ない必須の製造技術である。
しかし、ガス状の反応材料が用意できなければ、CVD法によっては薄膜を形成する事ができない、というCVD技術の限界があった。
1987年のIEDMにおいて、W.I.KINNEY etalが、強誘電体材料(PZT,SBT等)の分極現象を用いて、高速不揮発性メモリFeRAMを作成する技術を発表した。当時は、Zr,Sr,Biを含有するガス状原料を作製できなかったので、強誘電体材料PZT,SBT等の薄膜をCVD法によって作製する事が出来なかった。このため、フォトレジスト薄膜形成と同様のプロセスである、溶液塗布法がその作成に採用されてきた。溶液塗布法によって作製された強誘電体材料薄膜(膜厚400-300nm)は、段差被覆性が悪く、薄膜化(膜厚150-40nm)するとピンホールが増加して電気絶縁性が低下する等の問題があった。段差が多く、強誘電体材料の薄膜化(膜厚100-50nm)が必須であるFeRAM−LSIの実用化を図るには、高品質強誘電体薄膜をCVD法でもって作製する技術が必須である。
1992年になって京都大学・工学部の塩崎助教授は、世界で初めて、強誘電体薄膜PZTをCVD法でもって作製し、学会に発表した。この時、塩崎助教授が採用したCVD装置は、チタン・ジルコン・鉛の固体化合物原料を昇華させてガス化する方法を採用している(図16参照)。
しかし、固体化合物原料を昇華させてガス化する方法には次のような問題がある。固体原料を昇華させる際の昇華速度が遅いため、反応物質の流量を増加させることが困難であり、また反応物質の流量制御が困難であるから、薄膜の堆積速度が小さく、再現性が悪かった。また昇華させた固体原料を例えば約250℃に加熱した配管を用いて、反応炉まで運ぶ事が困難であった。
本発明者は、塩崎助教授の発表技術を追試するため塩崎助教授の支援を受けて、塩崎助教授が採用した装置を、塩崎助教授と同じ装置メーカーから購入し、成膜試験を行った。しかし、運転開始直後に高温配管が目詰まりした。これの修理直後、今度は高温配管部の一部が異常に過熱されてしまった。このような経験から、配管途中に複数のバルブが設置してある細く長い(1/4インチ外形、長さ1m×数本)ステンレス配管を、250±5℃程度の高温に均一に加熱する事は、極めて困難な技術であると結論した。
本発明者は、上記の経験から昇華式CVD装置を実用化する事は困難と結論した。そこで、溶液気化式CVD法(所謂Flash CVD法)を採用することによって、強誘電体材料SBTの高品質薄膜を成膜することに世界で初めて成功した(図15参照)。これを国際学会ISIF‘96("Performance of SrBi2Ta2O9 Thin Films Grown by Chemical Vapor Deposition for Nonvolatile Memory Applications".C.Isobe,H.Yamoto,H.yagi et al,9th Internatinal Symposium on Integrated Ferroelectrics.Mar.1996)に発表して、高速不揮発性メモリFeRAM−LSIの商品化の可能性を世界で初めて実証した。
溶液気化式CVD法は、蒸気圧が低い固体または液体材料を蒸気圧が高い有機溶媒に溶解させ、この溶液を、高温に加熱した気化器でもって一瞬に蒸発・昇華させてガス化してCVD炉に導き、高温加熱等によって化学反応を起こして基板上に薄膜材料を形成する手法である。溶液気化式CVD法を用いることにより、蒸気圧が低い固体または液体材料をCVD原料に用いて、CVD法による高品質薄膜を形成できるようになった。溶液気化式CVD法を用いることが可能で、蒸気圧が低い固体ないし液体材料及び溶液化用溶媒例の蒸気圧と溶解度等を図19〜23に示す。
図19〜20に、溶液気化式CVD法で成膜することができる膜の一例と、その膜を形成するための原料及びその特性を表形式で示す。例えばSBT薄膜を形成する場合、原料としてSr(DPM)2,BiPh3,Ta(OEt)5,Sr[Ta(OEt)5(OC2H4OMe)]2,Bi(OtAm)3,Bi(MMP)3 等が採用されるが、特に図19に示したSr[Ta(OEt)5(OC2H4OMe)]2及びBi(MMP)3を用いると、低温(350〜420℃)で高速堆積(20−100nm/min.)が可能であり、また形成されたSBT薄膜は、優れた段差被覆性・優れた電気特性を示す。
ところで、溶液気化式CVD法では、固体材料を溶剤に溶解して原料溶液を作製し、この原料溶液をガス化して、SBT薄膜合成反応に必要な反応ガスを作製する必要がある。これを行う気化器として、当初、アメリカATMI製(図17に示す)を採用し、溶液制御装置(図18に示す)を採用した。しかしこの気化器は、十数時間で目詰まりするため量産用CVD装置の気化器には採用出来なかった(特許文献3参照)。
アメリカATMI製気化器が十数時間で目詰まりする原因は次のように考えられる。
(原因1)複数の原料溶液を一定比率で混合し、ポンプで気化器に送り、細管(外形1/16inch配管)を経由して高温に加熱した気化管内部に設置したステンレス粒焼結フィルター上に噴霧し、ガス化させる方式を採用している。原料化合物は、加熱したステンレス粒焼結フィルター上でガス化するが、蒸発速度が遅いため一部のCVD原料化合物は、ステンレス粒焼結フィルター上に滞留し、次第に熱分解してガス化しない化合物を形成し、焼結フィルターを目詰まりさせる。
さらに、複数の原料溶液を一定比率で混合し、ポンプで気化器に送る構造を採用しているため、複数の原料が溶液中で反応して、溶解度が小さい化合物を形成したり、昇華温度が高い化合物を形成し、溶液配管や焼結フィルターを目詰まりさせる。
(原因2)原料溶液は細管(外形1/16inch配管)を経由して、高温に加熱した気化管内部に送り込まれるが、原料溶液が流れる細管(外形1/16inch配管)も高温に加熱される。加圧された溶液が流れている場合は問題が少ないが、溶液流を一旦停止すると、細管内部に滞留した溶液が沸騰し、溶媒だけが蒸発する部分が生じ、取り残されたCVD原料化合物が細管を目詰まりさせる。
このような理由により、アメリカATMI製気化器は、原料溶液を一旦停止し、数分後に再稼動させる事が出来ない構造であり、また焼結フィルターが目詰まりする。そのため、本発明者は、1996年に、島津製作所・吉岡氏や山形大学・工学部・物質工学科・都田教授に対して、高品質SBT薄膜を安定して成膜するために必要な高性能溶液供給制御系と高性能気化器の開発と製造を発注し、納入してもらった。しかし開発納入された装置では、SBT薄膜を安定して成膜する事ができなかった。尚、この装置は特許文献1(特開2000−216150号公報)、特許文献2(特開2002−105646号公報)及び特許文献3(特許第3470055号公報)に開示されている。
本発明者は、上記した気化器でSBT薄膜を安定して成膜する事ができなかった原因が以下であることを解明した。
SBT薄膜を合成するための反応物質は、Sr(DPM)2, BiPh3, Ta(OEt)5, Sr[Ta(OEt)5(OC2H4OMe)]2, Bi(OtAm)3, Bi(MMP)3等が採用されるが、特にSr[Ta(OEt)5(OC2H4OMe)]2+Bi(MMP)3を用いると、350〜420℃の低温で高速堆積(20−100nm/min)が可能であり、優れた段差被覆性と優れた電気特性を示す高品質のSBT薄膜を形成する事ができる。しかし、上記装置(溶液供給制御系と気化器)では、反応原料にSr[Ta(OEt)5(OC2H4OMe)]2+Bi(MMP)3を用いると、装置が短時間(10〜20分)で目詰まりしてしまう。本発明者は、この原因が、Sr[Ta(OEt)5(OC2H4OMe)]2+Bi(MMP)3の溶液を室温で混合するとSr[Ta(OEt)5(OC2H4OMe)]2とBi(MMP)3が反応して、溶解度が小さく、かつ昇華し難い物質が合成されるために溶液を流す流路や気化管先端が目詰まりする事であることを見出した。これを図28に示す。図28については後述する。
さらに、減圧雰囲気下(約5−30Torr)の高温気化管上部に、Sr[Ta(OEt)5(OC2H4OMe)]2とBi(MMP)3および溶剤(例えば、エチルシクロヘキサンECH)とキャリアガス(例えば、アルゴン、窒素等)を噴霧し霧化するが、この時、霧の一部が噴霧口に付着し液化する。そしてこの噴霧口に付着した溶液は、減圧雰囲気と高温気化管からの輻射熱によって溶媒(例えば、エチルシクロヘキサンECH)だけが蒸発するため、溶質が析出し、ついには、噴霧口を目詰まりさせてしまう。
また、特許文献3に開示された気化器には次のような問題がある。2段階噴霧方式を採用しているため、溶媒の蒸発量が大きく、析出した反応原料が噴霧流路と噴霧口を目詰まりさせる。溶媒の蒸発量を抑えるには、蒸気圧が低い溶媒の採用、キャリアガス圧力を高める等の工夫が必須だが、考慮されていない。溶液流路の冷却のみ提案されているが、これだけでは目詰まりを防止出来ない。
また、特許文献2(特開2002−105646号公報)に開示された気化器には次のような問題がある。特許文献2に開示されている溶液を噴霧する機構では、霧の寸法を十分に微細化する事が出来ないと考えられる。さらに、小型の高温気化箱を採用しているため、霧が箱の表面に付着し短時間でガス化する事が困難である。不完全なガス化は、溶解している固体溶質の析出(即ち、微小なパーティクルの形成)を意味し、形成される薄膜の品質を著しく低下させる。
また、これに類似した気化器が特許文献4(特許第2767284号公報)及び特許文献5(特許第3047241号公報)に開示されている。しかし、特許文献4,5に開示された気化器は、TEOS等の蒸気圧が高い液状半導体形成材料の気化を目的としており、Bi(MMP)3等の固体材料溶液のガス化を考慮していない。このため、上記気化器を溶液気化CVD法に転用すると、溶液中の固体材料析出による目詰まりや複数の溶液を混合した場合に起きる配管等の目詰まり、噴霧した霧が高温気化器の壁に付着して溶質が蒸気圧が低い材料に変質する等の問題を招くので、固体材料溶液のガス化には、採用する事が出来ない。
図24は、Sr[Ta(OEt)5(OC2H4OMe)]2のTG CHART(Ar 760/10Torr,O2 760Torr)を示す図である。この図は、圧力が760Torr、流量が100ml/分のアルゴン雰囲気でSr[Ta(OEt)5(OC2H4OMe)]2の試料を30℃から600℃まで10℃/分の昇温速度で昇温させた場合の試料重量の変化を示すグラフ101と、圧力が10Torr、流量が50ml/分のアルゴン雰囲気で前記試料を30℃から600℃まで10℃/分の昇温速度で昇温させた場合の試料重量の変化を示すグラフ102と、圧力が760Torr、流量が100ml/分の酸素雰囲気で前記試料を30℃から600℃まで10℃/分の昇温速度で昇温させた場合の試料重量の変化を示すグラフ103を示している。この図から、Sr[Ta(OEt)5(OC2H4OMe)]2は、アルゴン雰囲気で10Torrの圧力下において、約220℃で完全に昇華する事が分かる。TG特性を用いると、Sr[Ta(OEt)5(OC2H4OMe)]2をアルゴン雰囲気下、10Torrの圧力下において、完全に昇華させるには、気化管温度を230〜240℃以上に加熱する必要がある事が分かる。
図25は、Bi(OtAm)3のTG CHART (Ar 760/10Torr,O2 760Torr)を示す図である。この図は、圧力が760Torr、流量が100ml/分のアルゴン雰囲気でBi(OtAm)3の試料を30℃から600℃まで10℃/分の昇温速度で昇温させた場合の試料重量の変化を示すグラフ111と、圧力が10Torr、流量が50ml/分のアルゴン雰囲気で前記試料を30℃から600℃まで10℃/分の昇温速度で昇温させた場合の試料重量の変化を示すグラフ112と、圧力が760Torr、流量が100ml/分の酸素雰囲気で前記試料を30℃から600℃まで10℃/分の昇温速度で昇温させた場合の試料重量の変化を示すグラフ113を示している。この図から、Bi(OtAm)3は、アルゴン雰囲気で10Torrの圧力下において、約130℃で約98%程度昇華することが分かる。
図26は、Bi(MMP)3のTG CHART (Ar 760/10Torr,O2 760Torr)を示す図である。この図は、圧力が760Torr、流量が100ml/分のアルゴン雰囲気でBi(MMP)3の試料を30℃から600℃まで10℃/分の昇温速度で昇温させた場合の試料重量の変化を示すグラフ121と、圧力が10Torr、流量が50ml/分のアルゴン雰囲気で前記試料を30℃から600℃まで10℃/分の昇温速度で昇温させた場合の試料重量の変化を示すグラフ122と、圧力が760Torr、流量が100ml/分の酸素雰囲気で前記試料を30℃から600℃まで10℃/分の昇温速度で昇温させた場合の試料重量の変化を示すグラフ123を示している。この図から、Bi(MMP)3は、アルゴン雰囲気で10Torrの圧力下において、約150℃で完全に昇華するので、気化管温度を160℃以上に加熱する必要があることが分かる。
図30は、Sr[Ta(OEt)5(OC2H4OMe)]2のTG-DTA CHART (O2 760Torr)を示す図である。この図は、圧力が760Torr、流量が100ml/分の酸素雰囲気でSr[Ta(OEt)5(OC2H4OMe)]2の試料を30℃から600℃まで10℃/分の昇温速度で昇温させた場合の試料重量の変化を示すグラフ104と、示差熱分析結果を示すグラフ105を示している。この図から、Sr[Ta(OEt)5(OC2H4OMe)]2は酸素雰囲気下では示差熱のピークが260℃付近にあることが分かる。Sr[Ta(OEt)5(OC2H4OMe)]2は、酸素雰囲気では、259℃で発熱反応が起きる事が分かる。この特性から高温気化管の温度は、酸素雰囲気では、259℃以上に加熱してはいけない事が分かる。気化管内に酸素を入れる場合、このような点に注意しなくてはならない。また実用的デポ温度は、300℃以上である事も推定される。
図31は、Bi(MMP)3のTG-DTA CHART (O2 760Torr)を示す図である。この図は、圧力が760Torr、流量が100ml/分の酸素雰囲気でBi(MMP)3の試料を30℃から600℃まで10℃/分の昇温速度で昇温させた場合の試料重量の変化を示すグラフ124と、示差熱分析結果を示すグラフ125を示している。この図から、Bi(MMP)3は酸素雰囲気下では示差熱のピークが209℃付近にあることが分かる。Bi(MMP)3は、酸素雰囲気下では209℃で発熱反応が起きる事が分かる。この特性から高温気化管の温度は、酸素雰囲気では209℃以上に加熱してはいけない事が分かる。
Sr[Ta(OEt)5(OC2H4OMe)]2とBi(MMP)3を用いて、酸化物薄膜SBTを作成する場合、気化管温度は230〜240℃に設定すれば良い。アルゴン雰囲気下であれば、完全に昇華し熱分解も発生しない。しかし、酸素雰囲気の場合、Sr[Ta(OEt)5(OC2H4OMe)]2は259℃、Bi(MMP)3は209℃で酸化反応が起きる事がDTA特性(図30,31)から分かる。気化管温度は230〜240℃に設定されるので、気化管に酸素を流してはいけない。酸素は、気化管を経由せず、反応チャンバーに直接供給しなくてはならない。特許文献3(特許第3470055号公報)に開示された気化器において、酸素は、気化管を経由して供給されているので、気化管内で、Bi(MMP)3の酸化反応が起きる可能性が高い。
図32は、Bi(OtAm)3のTG-DTA CHART (O2 760Torr)を示す図である。この図は、圧力が760Torr、流量が100ml/分の酸素雰囲気でBi(OtAm)3の試料を30℃から600℃まで10℃/分の昇温速度で昇温させた場合の試料重量の変化を示すグラフ114と、示差熱分析結果を示すグラフ115を示している。この図から、Bi(OtAm)3は酸素雰囲気下では示差熱のピークが205℃付近にあることが分かる。Bi(OtAm)3は、酸素雰囲気下では205℃で発熱反応が起きる事が分かる。
図33の表は、物質の物性データ(加水分解性;Hydrolysis)を示すものである。Bi(OtAm)3は、僅か180ppmの水分によって、加水分解反応が起きる。これは、Sr[Ta(OEt)5(OC2H4OMe)]2が1650ppmの水分によって、Bi(MMP)3が1170ppmの水分によって加水分解反応が起きるのに比べて、桁違いに水分に敏感であり、Bi(OtAm)3の取り扱いが難しい事を示している。水分は環境中に必ず存在するので、水分とBi(OtAm)3が反応し、作製されたBi酸化物が配管や流量計を目詰まりさせる可能性が高くなる。
図27は、Bi(OtAm)3/Sr[Ta(OEt)6]2混合体のTG CHART (Ar 760/10Torr,O2 760Torr)を示す図である。この図は、圧力が760Torr、流量が100ml/分のアルゴン雰囲気でBi(OtAm)3/Sr[Ta(OEt)6]2混合体の試料を30℃から600℃まで10℃/分の昇温速度で昇温させた場合の試料重量の変化を示すグラフ131と、圧力が760Torr、流量が100ml/分の酸素雰囲気で前記試料を30℃から600℃まで10℃/分の昇温速度で昇温させた場合の試料重量の変化を示すグラフ133を示している。この図からBi(OtAm)3/Sr[Ta(OEt)6]2混合体は、アルゴン雰囲気下で300℃以上まで加熱しても80%程度しか昇華しない事が分かる。
以上のことから、Sr[Ta(OEt)6]2と、Bi(OtAm)3は、単体ではほぼ100%昇華するが、混合すると、昇華しない部分が生じている。この悪化した昇華特性が、気化器の目詰まりを招くと考えられる。
昇華特性悪化の原因は、図28に示すNMR(Hの核磁気共鳴)特性からも分かる。
Bi(OtAm)3とSr[Ta(OEt)6]2を混合すると、新たなNMR特性が観察されるようになり、これは新たな化合物が形成され存在する事を示す。
図29は、Bi(MMP)3/ Sr[Ta(OEt)5(OC2H4OMe)]2混合体のTG CHART (Ar 760Torr)を示す図である。この図は、圧力が760Torr、流量が100ml/分のアルゴン雰囲気でBi(MMP)3/ Sr[Ta(OEt)5(OC2H4OMe)]2混合体の試料を30℃から600℃まで10℃/分の昇温速度で昇温させた場合の試料重量の変化を示すグラフである。この図から、Bi(MMP)3/ Sr[Ta(OEt)5(OC2H4OMe)]2混合体も、アルゴン雰囲気下で80%程度しか昇華しない事が分かる。
図34は、BiPh3のTG CHART (Ar 760/10Torr,O2 760Torr)を示す図である。この図は、圧力が760Torr、流量が100ml/分のアルゴン雰囲気での試料を30℃から600℃まで10℃/分の昇温速度で昇温させた場合の試料重量の変化を示すグラフ141と、圧力が10Torr、流量が50ml/分のアルゴン雰囲気で前記試料を30℃から600℃まで10℃/分の昇温速度で昇温させた場合の試料重量の変化を示すグラフ142と、圧力が760Torr、流量が100ml/分の酸素雰囲気で前記試料を30℃から600℃まで10℃/分の昇温速度で昇温させた場合の試料重量の変化を示すグラフ143を示している。この図からBiPh3は、約200℃で100%昇華することが分かる。
図35は、BiPh3/Sr[Ta(OEt)6]2混合体のTG CHART (Ar 760,O2 760Torr)を示す図である。この図は、圧力が760Torr、流量が100ml/分のアルゴン雰囲気でBiPh3/Sr[Ta(OEt)6]2混合体の試料を30℃から600℃まで10℃/分の昇温速度で昇温させた場合の試料重量の変化を示すグラフ151と、圧力が760Torr、流量が100ml/分の酸素雰囲気で前記試料を30℃から600℃まで10℃/分の昇温速度で昇温させた場合の試料重量の変化を示すグラフ153を示している。この図からBiPh3/Sr[Ta(OEt)6]2混合体は、約280℃でほぼ100%昇華する事が分かる。
図36は、Mixing Stability of BiPh3 & Sr[Ta(OEt)6]2(NMR)特性を示す図である。この図からは、BiPh3/Sr[Ta(OEt)6]2混合体には、新たな物質の合成が見られない。
図37は、BiPh3 TG-DTA CHART (O2 760Torr)を示す図である。この図は、圧力が760Torr、流量が100ml/分の酸素雰囲気でBiPh3の試料を30℃から600℃まで10℃/分の昇温速度で昇温させた場合の試料重量の変化を示すグラフ161と、示差熱分析結果を示すグラフ162を示している。この図に示すように、BiPh3の酸化反応は、465℃で起きる。これは、Sr[Ta(OEt)5(OC2H4OMe)]2の259℃、Bi(MMP)3の209℃、Bi(OtAm)3の205℃に比べて、酸化温度が高すぎるので、BiPh3の採用が困難である事が分かる。
特開2000−216150号公報(第76〜第78段落、第145〜第167段落、図3、図8) 特開2002−105646号公報(第13〜第14段落、図2) 特許第3470055号公報 特許第2767284号公報 特許第3047241号公報
前述した従来技術の問題点を纏めると下記のようになる。
室温で固体のケミカル(原料化合物)を加熱し昇華させてガス化し、これをCVD用反応ガスに用いる技術は、薄膜堆積速度が遅く、ばらつく等の問題があり、製造工程への実用化は困難と考えられる。
また、室温で固体の原料化合物を用いて、これを溶媒に溶解させ、次に高温で気化させる技術である溶液気化式CVD法は、堆積速度が速いが、溶液状態で化学反応が生じる現象等により、溶液配管や気化器を目詰まりさせる問題がある。溶液配管等が目詰まりするとCVD装置を短時間でしか連続使用することができない。従って、溶液供給系や気化器に工夫を施す必要がある。
本発明は上記のような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、CVD用の原料の流量を長時間にわたり精度よく制御することができるCVD用気化器、溶液気化式CVD装置及びCVD用気化方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係るCVD用気化器は、キャリアガス中に原料溶液を微粒子状又は霧状に分散させるオリフィス管と、前記オリフィス管のガス通路に連通された前記原料溶液を供給する原料溶液用通路と、前記オリフィス管に前記キャリアガスを供給するキャリアガス用通路と、前記オリフィス管で分散された前記原料溶液を気化する気化管と、前記気化管内に挿入され前記オリフィス管のガスを噴出する細孔とを有し、前記ガス通路が円柱状であることを特徴とする。
また、前記オリフィス管は、内径が1mm以下であることを特徴とする。
また、前記オリフィス管の先端は、細孔に接続され、前記細孔は、前記オリフィス管内におけるキャリアガスの圧力を500〜1000Torrにするように内径が選定されることを特徴とする。
また、前記細孔の内径は、0.2mm〜0.7mmであることを特徴とする。
また、前記オリフィス管、前記細孔及び前記気化管のうち少なくとも一つを洗浄する洗浄機構をさらに具備することを特徴とする。
また、前記キャリアガスの圧力をモニターする機構をさらに具備することを特徴とする。
また、前記気化管の基端とオリフィス管との間に配置された断熱材を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る溶液気化式CVD装置は、キャリアガス中に原料溶液を微粒子状又は霧状に分散させるオリフィス管と、前記オリフィス管のガス通路に連通された前記原料溶液を供給する原料溶液用通路と、前記オリフィス管に前記キャリアガスを供給するキャリアガス用通路と、前記オリフィス管で分散された前記原料溶液を気化する気化管と、前記気化管内に挿入され前記オリフィス管のガスを噴出する細孔とを有し、前記ガス通路が円柱状であるCVD用気化器と、前記気化管に接続された反応室とを具備することを特徴とする。
また、本発明に係るCVD用気化方法は、オリフィス管の円柱状のガス通路にキャリアガスを供給すると共に、原料溶液用通路から前記ガス通路に原料溶液を供給し、前記オリフィス管で前記キャリアガス中に原料溶液を微粒子状又は霧状に分散させ、前記オリフィス管のガスを噴出する気化管に挿入された細孔から前記オリフィス管のキャリアガスと原料溶液を噴出して、前記原料溶液を霧化させて気化することを特徴とする。
また、前記原料溶液を気化させた後、前記オリフィス管及び前記原料溶液を気化する領域の少なくともいずれか一方を洗浄することを特徴とする。
また、前記原料溶液を気化する際に、前記キャリアガスの圧力をモニターしておき、前記キャリアガスが所定の圧力を超えた場合に、前記原料溶液の前記オリフィス管への供給を停止し、前記オリフィス管及び前記原料溶液を気化する領域の少なくともいずれか一方を洗浄することを特徴とする。
また、洗浄する際は、前記オリフィス管及び前記原料溶液を気化する領域の少なくともいずれか一方に溶剤及びキャリアガスを流し、前記洗浄する際に前記キャリアガスの圧力をモニターしておき、前記キャリアガスが所定の圧力以下になったときに前記溶剤を流すのを停止して洗浄を終了することを特徴とする。
また、本発明に係るCVD用気化器は、1乃至複数の原料溶液を供給する溶液供給系から原料溶液を供給する原料溶液用配管と、前記原料溶液用配管の先端に接続された配管内径の小さい溶液配管と、前記溶液配管の先端に設けられたノズルと、前記ノズルの外側に設けられた導入口と、前記ノズルの先端に設けられた分散部と、前記分散部に接して設けられた噴霧フランジとを備え、前記溶液配管から供給される原料溶液と前記導入口から供給されるキャリアガスとが前記分散部で合流し、前記噴霧フランジ中央部に形成された細孔からキャリアガスと原料溶液とを気化管上部に高速で噴出させることを特徴とする。また、前記細孔は、前記分散部内におけるキャリアガスの圧力を500〜1000Torrにするように内径が選定される。
また、前記細孔の内径は、0.2mm〜0.7mmであることを特徴とする。
また、前記細孔及び前記気化管のうち少なくとも一つを洗浄する洗浄機構をさらに具備することを特徴とする。
また、前記キャリアガスの圧力をモニターする機構をさらに具備することを特徴とする。
また、前記気化管の基端と前記分散部及び前記噴霧フランジとの間に配置された断熱材を備えることを特徴とする。
また、本発明に係るCVD装置は、1乃至複数の原料溶液を供給する溶液供給系から原料溶液を供給する原料溶液用配管と、前記原料溶液用配管の先端に接続された配管内径の小さい溶液配管と、前記溶液配管の先端に設けられたノズルと、前記ノズルの外側に設けられた導入口と、前記ノズルの先端に設けられた分散部と、前記分散部に接して設けられた噴霧フランジとを備え、前記溶液配管から供給される原料溶液と前記導入口から供給されるキャリアガスとが前記分散部で合流し、前記噴霧フランジ中央部に形成された細孔からキャリアガスと原料溶液とを気化管上部に高速で噴出させるCVD用気化器と、前記気化管に接続された反応室とを具備することを特徴とする。
また、本発明に係るCVD用気化方法は、原料溶液用配管から供給される原料溶液をノズルから前記ノズルの先端に設けられた分散部に供給すると共に、ノズルの外側に設けられた導入口からキャリアガスを供給し、前記ノズルから供給される前記原料溶液と前記導入口から供給される前記キャリアガスとが前記分散部で合流し、前記分散部に接して設けられた噴霧フランジの中央部の噴霧口からキャリアガスと原料溶液を、気化管上部に噴霧し、前記気化管でキャリアガスと原料溶液を膨張させて気化することを特徴とする。また、前記原料溶液を気化させた後、前記原料溶液を気化する領域を洗浄することを特徴とする。
また、前記原料溶液を気化する際に、前記キャリアガスの圧力をモニターしておき、前記キャリアガスが所定の圧力を超えた場合に、原料溶液を前記ノズルに供給するのを停止し、前記原料溶液を気化する領域を洗浄することを特徴とする。
また前記洗浄する際は、前記原料溶液を気化する領域に溶剤及びキャリアガスを流し、前記洗浄する際に前記キャリアガスの圧力をモニターしておき、前記キャリアガスが所定の圧力以下になったときに前記溶剤を流すのを停止して洗浄を終了することを特徴とする。
また、前記溶剤は、前記原料溶液に含まれる溶剤と同質であることを特徴とする。
また、前記溶剤は、エチルシクロヘキサン、n-ヘキサン、ベンゼン、トルエン、THF、オクタン、デカン、酢酸ブチルからなる群から選ばれた1種又は複数の混合物であることを特徴とする。
以上説明したように本発明によれば、CVD用の原料溶液の流量を長期間にわたり精度よく制御することができるCVD用気化器、溶液気化式CVD装置及びCVD用気化方法を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1によるCVD用気化器を示す構成図である。このCVD用気化器は、室温で固体又は液体の有機金属化合物を溶剤に溶解した溶液を気化し、この気化した原料ガスを溶液気化式CVD装置へ供給するための装置である。CVD用気化器は溶液供給系を備えており、この溶液供給系は第1〜第5の原料溶液用配管21〜25を有している。
第1の原料溶液用配管21の基端側は原料溶液及び溶剤を供給する第1の供給機構(図示せず)に接続されている。第1の供給機構は原料溶液(例えばSr[Ta(OEt)5(OC2H4OMe)]2溶液)を供給する供給源と溶剤(例えばエチルシクロヘキサンECH)を供給する供給源を有している。原料溶液の供給源と第1の原料溶液用配管21との間には第1のブロックバルブ26及びマスフローコントローラーが設けられている。前記溶剤の供給源と第1の原料溶液用配管21との間にはブロックバルブ26及びマスフローコントローラーが設けられている。また、前記原料溶液及び溶剤の供給源と第1の原料溶液用配管21との間に設置したブロックバルブ出口において、溶剤と原料溶液が合流するようになっている。ブロックバルブは流路のデッドスペースを減少させたバルブである。図1に記載したブロックバルブ構造は、図4等に詳細が記載されているように、流体の入口が2ヶ所と出口2ヶ所がある。流体入口には、原料溶液及び溶媒を供給する機構が接続されている。流体出口は、ベント側(図時せず)及び原料溶液用配管に接続されている。
第2〜第5の原料溶液用配管22〜25それぞれの基端側も第1の原料溶液用配管21と同様の構成とされている。
詳細には、第2の原料溶液用配管22の基端側は原料溶液及び溶剤を供給する第2の供給機構に接続されている。第2の供給機構は原料溶液(例えばBi(MMP)3の溶液)を供給する供給源と溶剤を供給する供給源を有している。原料溶液の供給源と第2の原料溶液用配管22との間には第2のブロックバルブ27及びマスフローコントローラーが設けられている。前記溶剤の供給源と第2の原料溶液用配管22との間にはブロックバルブ27及びマスフローコントローラーが設けられている。また、前記原料溶液及び溶剤の供給源と第2の原料溶液用配管22との間で溶剤と原料溶液が合流するようになっている。
第3の原料溶液用配管23の基端側は原料溶液及び溶剤を供給する第3の供給機構に接続されている。第3の供給機構は原料溶液を供給する供給源と溶剤を供給する供給源を有している。原料溶液の供給源と第3の原料溶液用配管23との間には第3のブロックバルブ28及びマスフローコントローラーが設けられている。前記溶剤の供給源と第3の原料溶液用配管23との間にはブロックバルブ28及びマスフローコントローラーが設けられている。また、前記溶剤の供給源と第3の原料溶液用配管23との間で溶剤と原料溶液が合流するようになっている。
第4の原料溶液用配管24の基端側は原料溶液及び溶剤を供給する第4の供給機構に接続されている。第4の供給機構は原料溶液を供給する供給源と溶剤を供給する供給源を有している。原料溶液の供給源と第4の原料溶液用配管24との間には第4のブロックバルブ29及びマスフローコントローラーが設けられている。前記溶剤の供給源と第4の原料溶液用配管24との間にはブロックバルブ29及びマスフローコントローラーが設けられている。また、前記溶剤の供給源と第4の原料溶液用配管24との間で溶剤と原料溶液が合流するようになっている。
第5の原料溶液用配管25の基端側は原料溶液及び溶剤を供給する第5の供給機構に接続されている。第5の供給機構は原料溶液を供給する供給源と溶剤を供給する供給源を有している。原料溶液の供給源と第5の原料溶液用配管25との間には第5のブロックバルブ30及びマスフローコントローラーが設けられている。前記溶剤の供給源と第5の原料溶液用配管25との間にはブロックバルブ30及びマスフローコントローラーが設けられている。また、前記溶剤の供給源と第5の原料溶液用配管25との間で溶剤と原料溶液が合流するようになっている。
第1〜第5の原料溶液用配管21〜25それぞれの先端はオリフィス管に接続されており、オリフィス管の先端は細孔の基端側に接続されている。細孔及びオリフィス管はノズル32内に設けられており、ノズル32の先端表面は凸形状とされている。オリフィス管の内部においては、第1〜第5の原料溶液用配管それぞれの先端から流れ出る第1〜第5の原料溶液及びキャリアガス用配管33を通って流れ込む窒素ガス等のキャリアガスが混合されて、キャリアガス中に第1〜第5の原料溶液が微粒子状又は霧状に分散される。
また、オリフィス管の基端はキャリアガス用配管33に接続されている。キャリアガス用配管の内径はオリフィス管の内径より大きく形成されている。詳細には、オリフィス管の内径は例えばφ1mm程度であり、オリフィス管の長さは100mm程度である。また、前記細孔の内径は、φ0.2〜0.7mm程度である。
キャリアガス用配管33の基端側は窒素ガスを供給する供給機構に接続されている。この供給機構とキャリアガス用配管33との間にはN2供給バルブ8及びマスフローコントローラー(図示せず)が設けられている。また、キャリアガス用配管33には圧力トランスデューサー9が取り付けられている。この圧力トランスデューサー9は、キャリアガス用配管33内のキャリアガスの圧力とその変動を正確に測定し、記録しながら常時モニターするものである。この圧力トランスデューサー9は図示せぬ制御部に出力信号を送るように構成されている。制御画面にキャリアガスの圧力を表示して監視することが可能となる。
細孔の先端(ノズル32の先端の吐出口)は半球タイプの気化管31の基端に接続されている。この気化管31の周囲にはヒーター12が取り付けられており、このヒーター12によって気化管31を例えば270℃程度に加熱するようになっている。気化管31の基端を半球形状にすることにより、気化管31の基端側を均一に加熱することができる。気化管31の基端側はOリング13によって気密封止されている。また、気化管31の基端とオリフィス管の間には断熱材14が配置されている。この断熱材14によって気化管31からの熱がオリフィス管に伝達されにくいようになっている。また、気化管31の基端側には断熱材15が形成されている。また、気化管31とは分離して水冷プレート16が形成されており、この水冷プレート16の上には前記マスフローコントローラーが配置されている。水冷プレート16は、その内部に水を循環させることによって前記マスフローコントローラーを冷却するものである。マスフローコントローラーを配置するプレートは、加熱された気化管が発生する熱気によって45〜50℃程度まで加熱されてしまうが、水冷冷却することでマスフローコントローラーの温度上昇を防ぎ流量制御の精度を高めることができる。また、気化管31の先端側は図示せぬ反応室に接続されている。
また、細孔から噴霧された霧が気化管壁を濡らさないことが好ましい。理由は、霧に比べて、濡れ壁では蒸発面積が桁違いに減少するからである。つまり、気化管壁が全く汚れない構造が好ましい。また、気化管壁の汚れが簡単に評価出来るように、気化管壁は鏡面仕上げをすることが好ましい。
次に、上記CVD用気化器の動作について説明する。まず、N2供給バルブ8を開けてキャリアガスをキャリアガス用配管33に供給する。そして、このキャリアガスはオリフィス管及び細孔を通って気化管31に導入される。この際、キャリアガスはマスフローコントローラー(図示せず)によって流量制御されている。キャリアガスは例えば窒素ガスである。尚、ここでは、窒素ガスをキャリアガスとして用いているが、ヘリウム、水素等の他のキャリアガスを用いることも可能である。キャリアガスの役割は、溶液を噴霧する事、高温気化管内部で霧を加熱しガス化する事、反応チャンバー内、被処理基板上で化学反応を起こし薄膜を堆積する際に適当な気流を形成する事であるため、特に熱伝導性が良いヘリウムガス、水素ガス、窒素ガスを用いることが好ましい。また、流量制御後のキャリアガスの圧力は、キャリアガスの流量(約0.5〜3.0L/分)、溶液流量及び噴霧口(細孔)の寸法によって増減するが、最終的には噴霧口の寸法を変えてキャリアガスの圧力を制御し、500〜1000Torrにすることが好ましい。
次いで、ブロックバルブ26〜30を開けて第1〜第5の供給機構それぞれから第1〜第5の原料溶液を所定の圧力で第1〜第5の原料溶液用配管21〜25に導入する。そして、この導入された第1〜第5の原料溶液それぞれはオリフィス管内に供給される。この際、第1〜第5の原料溶液それぞれは、マスフローコントローラーによって流量制御されている。このオリフィス管内において、第1〜第5の原料溶液とキャリアガスが混合され、キャリアガス中に第1〜第5の原料溶液が微粒子状又は霧状に分散される。そして、分散された第1〜第5の原料溶液は細孔を通って気化管31に高速(230m/秒〜35km/秒)で噴霧される。気化管31において、分散され霧化した第1〜第5の原料溶液は、ヒーター12によって瞬時に約270℃に加熱される。尚、第1〜第5の原料溶液がオリフィス管内で混合された時から気化管内に噴霧するまでの時間は極めて短時間(好ましくは0.1〜0.002秒以内)であることが好ましい。
ここでオリフィス管内の圧力と気化管31内の圧力とは大きな差がある。気化管31内の圧力は例えば10Torr程度であるのに対し、オリフィス管内の圧力は例えば500〜1000Torrである。このような圧力差を設けることにより、キャリアガスは、高速(例えば230m/秒〜35km/秒)で気化管に噴出し、圧力差に基づいて膨張する。原料溶液及びキャリアガスを高速で気化管に噴霧する事によって、霧の寸法が微細化(霧の直径1μm以下)し、蒸発面積の増大と蒸発速度の増大を図る事ができる。霧の寸法が1桁減少すると、蒸発面積は1桁増大する。さらに、気化管31内を減圧する事により、第1〜第5の原料溶液それぞれに含まれるケミカルの昇華温度は低下し、ヒーター12からの熱で第1〜第5の原料溶液は気化する。また、第1〜第5の原料溶液は、高速のキャリアガス流によって、オリフィス管内で分散させた直後に微細な霧になるために瞬時に気化管31内で気化しやすくなる。また、溶剤のみが気化する現象は抑制される。また、噴霧口から噴出した霧が気化管壁に衝突しないように、噴霧口の角度と気化管の寸法を設計することが好ましい。霧が気化管壁に衝突すると、壁面に付着し、蒸発面積が桁違いに減少して、蒸発速度が低下するからである。また、長時間、気化管壁に付着していると熱分解して蒸発しない化合物に変化する例もあるからである。
このようにしてCVD用気化器で第1〜第5の原料溶液を気化して原料ガスを形成する。この原料ガスが気化管31を通って反応室に送られ、この反応室でCVD法によって薄膜が成膜される。
また、上述した薄膜の成膜方法以外に、次のような成膜方法を適用することも可能である。
第1及び第2の原料溶液とキャリアガスを、気化管を経由して反応室に所定時間流すことにより、第1の薄膜を堆積する。次いで、気化管出口からのガスを排気側に切り替えて第1の薄膜の堆積を中断する。第1及び第2の原料溶液とキャリアガスを止め、その後、第3及び第4の原料溶液とキャリアガスを所定の流量で気化管に流し、第3及び第4の原料溶液の流量の和(容積)がブロックバルブから細孔に至るまでの配管容量の1倍乃至5倍を超えたら、第3及び第4の原料溶液とキャリアガスを、気化管を経由して反応室に所定時間流すことにより、第2の薄膜を堆積する。これにより、組成が異なる2種のCVD薄膜を連続して形成することができる。
また、上記のように原料溶液の切り替えを3回以上行うことにより、3種以上の薄膜を連続して成膜することが可能となる。また、原料溶液を切り替える際に被処理基板の温度、反応圧力等の成膜条件を変えることも可能である。
前述したように原料溶液を気化しているときに、圧力トランスデューサー9によって常にキャリアガスの圧力をリアルタイムでモニターする。前記CVD用気化器を連続して使用していくと、オリフィス管、細孔の少なくともいずれかに徐々に原料溶液中の溶質が析出し、次第に細孔(噴霧口)を目詰まりさせていく事がある。この現象は次のようなものである。
減圧下(約5−20Torr)の高温の気化管31の上部に、原料溶液とキャリアガスを噴霧し霧化するが、この時、霧の一部が細孔(噴霧口)に付着し液化することがある。細孔(噴霧口)に付着した溶液は、減圧雰囲気と高温状態の気化管10からの輻射熱によって、蒸気圧が大きな溶媒だけが蒸発するため、溶質である固体原料が析出し、噴霧口を目詰まりさせる。但し、噴霧口(細孔)を有するノズル32の先端は凸形状となっているため、後述する実施の形態5と同様に噴霧口が目詰まりするまでの時間を延ばすことができる。例えば、噴霧口先端を45〜135°、好ましくは30〜45°にすることにより、析出した固体原料が噴霧口を詰まらせる現象を抑制できる。噴霧口の先端が平面や鈍角の場合析出した少量の固体原料が噴霧口を短時間で簡単に詰まらせてしまう。
前記目詰まりが進むにつれてキャリアガス用配管33内のキャリアガスの圧力が高くなっていく。そしてキャリアガスの圧力が所定圧力(例えば200KPa)を超えたという圧力トランスデューサー9からの出力信号を制御部で受信した後に、原料溶液の供給を停止し、溶剤のみを流す。又は前記高温気化管の出口をリアクタから排気側に切り替え、溶剤及びキャリアガスのみをオリフィス管及び細孔に供給して、洗浄を行う。この時、溶剤の流量は、原料溶液流量の2倍乃至10倍以上に増加させると、洗浄効果を高める事ができる。また、溶剤を流す時間は1〜3分程度が好ましい。これにより、噴霧口から溶剤を噴霧し、析出して付着した原料溶液中の溶質を溶剤によって再び溶かして洗浄除去することができる。尚、前記溶剤は、エチルシクロヘキサン、n-ヘキサン、ベンゼン、トルエン、THF、オクタン、デカン、酢酸ブチルからなる群から選ばれた1種又は複数の混合物であることが好ましい。ここで好ましい溶剤とは、蒸気圧が低く、原料の溶解度が大きく、原料と反応せず、酸化雰囲気でよく燃焼しカーボンが残留せず、水素雰囲気下では容易に分解しカーボンが残留しないものである。従って、溶剤としては、トルエン、エチルシクロヘキサンが特に好ましい。
尚、本実施の形態では、洗浄工程で用いる溶剤を供給機構から供給しているが、これに限定されるものではなく、洗浄工程用の溶剤供給機構を別に設けておき、この溶剤供給機構から洗浄用の溶剤を供給することも可能である。また、洗浄除去する前に、反応室内の被処理基板を取り出しておき、洗浄除去が終了した後に反応室内に新たな被処理基板を投入することが好ましい。原料溶液中の溶質が析出し、噴霧口(細孔)他に付着すると、CVD薄膜の堆積速度の低下や組成の変動が観測され、これはCVD薄膜堆積工程の再現性の低下と品質低下・歩留まり低下を意味する。これを避けるため、実際の製造工程では、気化器の目詰まりが観測される前に洗浄を行う事が望ましく、例えば1枚製造し、次のウエーハをチャンバーに入れてCVD薄膜堆積を開始する数分間の待ち時間中に気化管等の洗浄処理を行えば、再現性の向上を図る事ができる。
前記洗浄工程中においても圧力トランスデューサー9によってキャリアガス用配管33内のキャリアガスの圧力をモニターする。これにより、細孔の目詰まり状況をモニターできる。前記洗浄工程を続けていくと、析出していた溶質を溶かしていくので、次第に細孔(噴霧口)の目詰まりを解消していく。このため、キャリアガスの圧力が低下していく。そしてキャリアガスの圧力が所定圧力(例えば100Kpa)以下となったという圧力トランスデューサー9からの出力信号を制御部で受信した後に、再び原料溶液の供給を開始し、原料溶液の気化を行う。
尚、第1〜第5のブロックバルブ26〜30それぞれから第1〜第5の原料溶液用配管21から25の先端までの配管容量は、CVD時に流す溶液の流量をXcc/分とした場合、8Xcc以下が好ましく、より好ましくは2Xcc以下であり、さらに好ましくはXcc以下である。
また、上記実施の形態1では、噴霧口等に生じた目詰まりを溶剤によって洗浄除去するタイミングを、圧力トランスデューサー9でキャリアガスの圧力をモニターすることにより計っているが、これに限定されるものではなく、所定の時間が経過した後に、溶剤とキャリアガスを流して洗浄除去することも可能である。
上述したように、細孔(噴霧口)等が完全に目詰まりする前に、噴霧口等を溶剤によって洗浄することにより、再び噴霧口等を元の状態に戻すことができる。従って、CVD用気化器を使用する間に洗浄工程を入れることにより、極めて長時間のCVD用気化器の使用が可能となる。目詰まりしたCVD用気化器を分解して洗浄し、再度組み立てる工数は10時間程度かかるが、上記洗浄工程は数分の時間で終了するため、装置稼動時間を大幅に増加させ、製造コストを大幅に低減することが可能となる。
また、上述したとおり、目詰まりを監視するモニターとしての圧力トランスデューサー9を設置しても、洗浄工程を行う必要があるため、CVD用気化器を完全に連続使用することはできない。そこで、1台の反応室に対して、複数の洗浄機構付きCVD用気化器を設置すれば、数百時間以上の連続堆積ができる溶液気化式CVD装置を実現することが可能となる。具体的には、例えば12台の洗浄機構付きCVD用気化器を設置し、そのうち2台は常に洗浄状態にし、他の10台のCVD用気化器を常に連続使用する。こうすれば溶液気化式CVD装置の数百時間以上もの連続運転が可能となるだけでなく、薄膜の堆積速度も格段に向上することが期待できる。このような複数のCVD用気化器を順次洗浄しながら長時間の連続堆積を行う溶液気化式CVD装置は、例えば非常に長いテープ状の基板上に超伝導酸化物薄膜であるYBCOを10μm程度の厚さで成膜する場合に特に有効である。
上記実施の形態1によれば、第1〜第5の原料溶液用配管21〜25を配置し、第1〜第5の原料溶液を互いに分離してオリフィス管に供給することができる。言い換えると、2種以上の反応材料、例えばSr[Ta(OEt)5(OC2H4OMe)]2とBi(MMP)3の溶液をオリフィス管に至る配管途中で混合しないで該オリフィス管に供給する。これにより、原料溶液用配管内部で各々の原料溶液が溶液状態で化学反応を起こすことを防止でき、目詰まりすることを防止できる。よって、CVD用気化器の連続使用時間を長くすることができる。
また、本実施の形態では、キャリアガス用配管33において加圧されたキャリアガスを高速に流してオリフィス管に導入するため(例えばキャリアガスは、500〜1000Torrで、200ml/min.〜2L/min)、オリフィス管における原料溶液の温度上昇を抑制することができる。これにより、オリフィス管において原料溶液中の溶剤のみが蒸発気化することを抑制できると共に、オリフィス管で原料溶液が高濃度化し、粘度の上昇や溶解度を越えて析出する現象を起こすことを抑制できる。従って、細孔が目詰まりすることを抑制できる。
また、本実施の形態では、原料溶液をオリフィス管で分散させ、この分散させた微粒子状又は霧状の原料溶液を細孔(噴霧口)で噴霧し、気化管31内で加熱して瞬時に気化
(ガス化)させることができる。従って、細孔や細孔付近の気化管において原料溶液中の溶剤のみが気化することを抑制できるため、細孔で目詰まりすることを抑制できる。よって、CVD用気化器の連続使用時間を長くすることができる。
また、本実施の形態では、複数の原料溶液をオリフィス管内で混合し、気化管に噴霧してガス化しているのに対し、複数の原料溶液それぞれを独立した気化管を用いてガス化する方法も考えられる。しかし、この場合、複数の気化管が必要となり、コストが高くなる上、気化管数に比例したキャリアガスが流れるため、薄膜の堆積速度が低下する欠点がある。従って、本実施の形態によるCVD用気化器は低コスト化を実現できるといえる。
上述したように本実施の形態では、オリフィス管、細孔及び気化管で目詰まりすることを抑制することにより、CVD用気化器を安定して長時間連続使用することが可能となる。従って、強誘電体材料PZT、SBT等の薄膜、Cu、Ta、Ru等の金属薄膜、超伝導材料YBCOの薄膜、透明電極等に応用できるZnO薄膜を再現性及び制御性良く成膜することができ、CVD用気化器及び溶液気化式CVD装置の高性能化を実現できる。
また、溶液気化式CVD装置の応用範囲は広く、高速不揮発性メモリFeRAM−LSI用、様々なケミカル(蒸気圧が低い物質)を用いて、YBCO(Super Conductive Oxide)、Thick PZT/PLZT/SBT(Filter,MEMS,Optical Interconnect,HD)、Metal (Ir, Pt, Cu)、Barrier Metal(TiN,TaN)、High k(HfOx,Al2O3,BST etc)等様々な分野向けに、様々な薄膜材料を形成し、供給する事ができる。
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2によるCVD用気化器を示す構成図であり、図1と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
気化管34の基端側を球形状とする。これにより、気化管34の基端側を均一に加熱することができる。
上記実施の形態2においても実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
(実施の形態3)
図3、本発明の実施の形態3によるCVD用気化器を示す構成図であり、図1と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
気化管35の基端とオリフィス管の間には、断熱材(ダイフロンパッキン等)が配置されておらず、メタルシール61を採用している。メタルシール61は超高真空に対応し、機械強度が大きい・耐熱性が高い特長があるため、気化管の温度を300℃以上まで加熱する事が出来る。
(実施の形態4)
図4は、本発明の実施の形態4によるCVD用気化器を示す構成図である。このCVD用気化器は溶液供給系を備えており、この溶液供給系は原料溶液用配管1を有している。原料溶液用配管1の先端には配管内径が小さい溶液配管の基端が接続されており、配管内径が小さい溶液配管の先端にはノズル2が設けられている。配管内径が小さい溶液配管の先端はノズル2の先端の吐出口まで延びている。配管内径が小さい溶液配管の内径は原料溶液用配管1の内径より小さく形成されている。詳細には、配管内径が小さい溶液配管の内径は例えばφ1mm程度であり、配管内径が小さい溶液配管の長さは100mm程度である。
原料溶液用配管1の基端側は原料溶液及び溶剤を供給する供給機構に接続されている。この供給機構は原料溶液(例えばPb(DPM)2:0.05mol/L, Zr(IBPM)2:0.03mol/L, Ti(OiPr)2(DPM)2:0.03mol/L, Nb(DPM)4:0.01mol/L混合溶液)を供給する供給源と溶剤を供給する供給源を有している。原料溶液の供給源と原料溶液用配管1との間にはブロックバルブ4及びマスフローコントローラーが設けられている。前記溶剤の供給源と原料溶液用配管1との間にはブロックバルブ5及びマスフローコントローラーが設けられている。また、前記溶剤の供給源と原料溶液用配管1との間で溶剤とケミカルが合流するようになっている。また、溶剤の供給源はブロックバルブ6を介してベント側の配管に接続されている。原料溶液の供給源はブロックバルブ7を介してベント側の配管に接続されている。
前記ノズル2の外側にはキャリアガスを導入する導入口が設けられている。この導入口はキャリアガス用配管3の先端側に繋げられている。キャリアガス用配管3の基端側は窒素ガスを供給する供給機構に接続されている。この供給機構とキャリアガス用配管3との間にはN2供給バルブ8及びマスフローコントローラー(図示せず)が設けられている。また、キャリアガス用配管3には圧力トランスデューサー9が取り付けられている。この圧力トランスデューサー9は、実施の形態1と同様にキャリアガス用配管3内のキャリアガスの圧力を常時モニターするものである。この圧力トランスデューサー9は図示せぬ制御部に出力信号を送るように構成されている。制御画面にキャリアガスの圧力を表示して監視することが可能となる。
ノズル2の先端近傍及びその周囲には分散部が設けられており、この分散部は前記導入口に繋げられている。また、分散部は細孔(噴霧口)を介して直管タイプの気化管10の基端に接続されており、前記細孔は噴霧フランジ11に設けられている。気化管側に位置し細孔の先端を有する噴霧フランジ11の表面には平面形状部分が形成されている。ノズル2の先端は前記細孔から離間されており、気化管10の内部は細孔によって分散部に繋げられている。この分散部は、ノズル2の先端から流れ出る原料溶液及びキャリアガス用配管3を通って前記導入口から流れ出る窒素ガスを混合するものである。
また、気化管10の周囲にはヒーター12が取り付けられており、このヒーター12によって気化管10を例えば270℃程度に加熱するようになっている。気化管10の基端側はOリング13によって気密封止されている。また、気化管10の基端と分散部及び噴霧フランジ11の間には断熱材14が配置されている。この断熱材14によって気化管10からの熱が噴霧フランジ11及び分散部に伝達されにくいようになっている。また、気化管10の基端側には断熱材15が形成されている。また、気化管10とは分離して水冷プレート16が形成されており、この水冷プレート16の上には前記マスフローコントローラーが配置されている。水冷プレート16の構成は実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。また、気化管10の先端側は図示せぬ反応室に接続されている。
次に、上記CVD用気化器の動作について説明する。まず、ブロックバルブ5、6,7を閉じた状態でブロックバルブ4を開けて原料供給機構から原料溶液を所定の圧力で原料溶液用配管1に供給する。この際、原料溶液は、固体化合物等を溶剤に溶解したものであり、マスフローコントローラーによって流量制御されている。また、N2供給バルブ8を開けてキャリアガスをキャリアガス用配管3に供給する。この際、キャリアガスはマスフローコントローラーによって流量制御されている。キャリアガスは例えば窒素ガスである。尚、ここでは、窒素ガスをキャリアガスとして用いているが、ヘリウムガス、水素ガス等の他のキャリアガスを用いることも可能である。
次いで、原料溶液は原料溶液用配管1を通って分散部に供給され、キャリアガスはキャリアガス用配管3を通って分散部に供給される。そして分散部において、原料溶液とキャリアガスが混合される。原料溶液が分散部で混合された時から霧状に噴霧されるまでは1秒以内(より好ましくは0.1秒以内)であることが好ましい。
次いで、分散部でキャリアガス中に分散された原料溶液は細孔を通って気化管10に噴霧され導入される。気化管10において、霧化した原料溶液は、ヒーター12によって瞬時に約270℃に加熱される。
ここで分散部内の圧力と気化管10内の圧力とは大きな差がある。気化管10内は減圧下であり、分散部内は500〜1000Torrである。気化管10内の圧力は例えば5〜30Torrであるのに対し、分散部内の圧力は例えば500〜1000Torrである。分散部内の圧力は、キャリアガス流量と細孔の寸法(0.2〜0.7mmφ)によって変化するので、これらを変える事で、制御する事ができる。このような圧力差を設けることにより、キャリアガスは、超高速で気化管上部に噴出し、圧力差に基づいて膨張する。これにより、原料溶液に含まれる固体等化合物の昇華温度は低下するため、ヒーター12からの熱で原料溶液(ケミカルも含む)は気化する。また、原料溶液は、高速のキャリアガス流によって、分散部で分散させた直後に微細な霧になるために瞬時に気化管10内で気化しやすくなる。また、原料溶液は、高速のキャリアガス流と共に、細孔を通って気化管上部に噴出された直後に微細な霧になるために、表面積が桁違いに増大し瞬時に気化管10内で気化しやすくなる。このようにしてCVD用気化器で原料溶液を気化して原料ガスを形成する。この原料ガスが気化管10を通って反応室に送られ、この反応室でCVD法によって薄膜が成膜される。
前述したように原料溶液を気化しているときに、圧力トランスデューサー9によって常にキャリアガスの圧力をリアルタイムでモニターする。前記CVD用気化器を連続して使用していくと、細孔(噴霧口)に徐々に原料溶液中の溶質が析出し、次第に細孔(噴霧口)を目詰まりさせていく。この現象は次のようなものである。
減圧雰囲気下(約5−30Torr)の高温の気化管10の上部に、原料溶液とキャリアガスを噴霧するが、この時、霧の一部が噴霧口に付着し液化することがある。そしてこの噴霧口に付着した溶液は、減圧雰囲気と高温状態の気化管10からの輻射熱によって、蒸気圧が大きな溶媒だけが蒸発するため、溶質が析出し、噴霧口を目詰まりさせる。
前記目詰まりが進むにつれてキャリアガス用配管3内のキャリアガスの圧力が高くなっていく。そしてキャリアガスの圧力が所定圧力(例えば200KPa)を超えたという圧力トランスデューサー9からの出力信号を制御部で受信した後に、ブロックバルブ4を閉じてケミカルの溶液の供給を停止し、ブロックバルブ5を開いて、溶剤のみを流す。又は前記高温気化管の出口をリアクタから排気側(図示せず)に切り替え、溶剤及びキャリアガスのみを原料溶液用配管1及びキャリアガス用配管3に供給し、洗浄を行う。この時、溶剤の流量は、ケミカル溶液流量の2倍乃至10倍以上に増加させると、洗浄効果を高める事ができる。これにより、噴霧口から溶剤を噴霧し、析出していた原料溶液中の溶質を溶剤によって再び溶かして洗浄除去することができる。尚、本実施の形態では、洗浄工程で用いる溶剤を供給機構から供給しているが、これに限定されるものではなく、洗浄工程用の溶剤供給機構を別に設けておき、この溶剤供給機構から洗浄用の溶剤を供給することも可能である。また、洗浄除去する前に、反応室内の被処理基板を取り出しておき、洗浄除去が終了した後に反応室内に新たな被処理基板を投入することが好ましい。原料溶液中の溶質が析出し、分散部他に付着すると、CVD薄膜の堆積速度の低下や組成の変動が観測され、これはCVD薄膜堆積工程の再現性の低下と品質低下・歩留まり低下を意味する。これを避けるため、実際の製造工程では、気化器の目詰まりが観測される前に洗浄を行う事が望ましく、例えば1枚製造し、次のウエーハをチャンバーに入れてCVD薄膜堆積を開始する数分間の待ち時間中に気化管等の洗浄処理を行えば、再現性の向上を図る事ができる。
前記洗浄工程中においても圧力トランスデューサー9によってキャリアガス用配管3内のキャリアガスの圧力をモニターする。これにより細孔の目詰まり状況をモニターする。前記洗浄工程を続けていくと、析出していた溶質を溶かしていくので、次第に細孔(噴霧口)の目詰まりを解消していく。このため、キャリアガスの圧力が低下していく。そしてキャリアガスの圧力が所定圧力(例えば100Kpa)以下となったという圧力トランスデューサー9からの出力信号を制御部で受信した後に、再びブロックバルブ4を開いて溶液の供給を開始し、原料溶液の気化を行う。
尚、ブロックバルブ4,5から原料溶液用配管1の先端までの配管容量は、CVD時に流す溶液の流量をXcc/分とした場合、8Xcc以下が好ましく、より好ましくは2Xcc以下であり、さらに好ましくはXcc以下である。
また、上記実施の形態4では、噴霧口に生じた目詰まりを溶剤によって洗浄除去するタイミングを、圧力トランスデューサー9でキャリアガスの圧力をモニターすることにより計っているが、これに限定されるものではなく、所定の時間が経過した後に、溶剤とキャリアガスを流して洗浄除去することも可能である。
上述したように、細孔(噴霧口)が完全に目詰まりする前に、噴霧口を溶剤によって洗浄することにより、再び噴霧口を元の状態に戻すことができる。従って、CVD用気化器を使用する間に洗浄工程を入れることにより、極めて長時間のCVD用気化器の使用が可能となる。目詰まりしたCVD用気化器を分解して洗浄し、再度組み立てる工数は10時間程度かかるが、上記洗浄工程は数分の時間で終了するため、装置稼動時間を大幅に増加させ、製造コストを大幅に低減することが可能となる。
また、上述したとおり、目詰まりを監視するモニターとしての圧力トランスデューサー9を設置しても、洗浄工程を行う必要があるため、CVD用気化器を完全に連続使用することはできない。そこで、1台の反応室に対して、複数の洗浄機構付きCVD用気化器を設置すれば、数百時間以上の連続堆積ができる溶液気化式CVD装置を実現することが可能となる。具体的には、例えば12台の洗浄機構付きCVD用気化器を設置し、そのうち2台は常に洗浄状態にし、他の10台のCVD用気化器を常に連続使用する。こうすれば溶液気化式CVD装置の数百時間以上もの連続運転が可能となるだけでなく、薄膜の堆積速度も格段に向上することが期待できる。このような複数のCVD用気化器を順次洗浄しながら長時間の連続堆積を行う溶液気化式CVD装置は、例えば非常に長いテープ状の基板上に超伝導酸化物薄膜であるYBCOを10μm程度の厚さで成膜する場合に特に有効である。
上記実施の形態4によれば、原料溶液を原料溶液用配管1によって分散部に導入し、キャリアガスをキャリアガス用配管3によって分散部に導入する。即ち、原料溶液とキャリアガスを分散部に別々に導入し、分散部において原料溶液を分散させる。そして、分散させた原料溶液を細孔の先端から気化管10に噴霧する。この際、細孔先端の噴霧フランジ11の表面を平面形状としているため、細孔の先端で目詰まりすることを抑制できる。よって、CVD用気化器の連続使用時間を長くすることができる。
図5は、実施の形態4に対する比較例によるCVD用気化器を示す構成図である。このCVD用気化器は、細孔先端の噴霧フランジの表面形状が凹形状となっている点以外は実施の形態4と同様である。このように細孔先端の噴霧フランジの表面形状を細孔の基端側に窪ませた凹形状とすると、細孔の先端で目詰まりし易くなることが確認された。このようなCVD用気化器に比べて実施の形態4のCVD用気化器は目詰まりしにくく、CVD用気化器の連続使用時間を長くすることができる。
また、本実施の形態では、キャリアガス用配管3において加圧されたキャリアガスを高速に流して分散部に導入するため(例えばキャリアガスは、500〜1000Torrで200ml/min.〜2L/min)、分散部における原料溶液の温度上昇を抑制することができる。これにより、分散部において原料溶液中の溶剤のみが蒸発気化することを抑制できると共に、分散部で原料溶液が高濃度化し、粘度の上昇や溶解度を越えて析出する現象を起こすことを抑制できる。従って、細孔が目詰まりすることを抑制できる。
また、本実施の形態では、原料溶液を分散部で分散させ、細孔から噴出して形成した霧状の原料溶液を気化管10内で加熱して瞬時に気化(ガス化)させることができる。従って、細孔や細孔付近の気化管において原料溶液中の溶剤のみが気化することを抑制できるため、細孔や細孔付近の気化管で目詰まりすることを抑制できる。よって、CVD用気化器の連続使用時間を長くすることができる。
上述したように本実施の形態では、分散部、細孔及び気化管で目詰まりすることを抑制することにより、CVD用気化器を安定して長時間連続使用することが可能となる。従って、強誘電体材料PZT、SBT等の薄膜を再現性及び制御性良く成膜することができ、CVD用気化器及び溶液気化式CVD装置の高性能化を実現できる。
(実施の形態5)
図6は、本発明の実施の形態5によるCVD用気化器を示す構成図であり、図4と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
気化管10側に位置し細孔の先端を有する噴霧フランジ11bの表面には凸形状の細孔(噴霧口)が形成されている。マスフローコントローラーが配置されているプレートの水冷機構は設置していない。
上記実施の形態5によれば、分散させた原料溶液を細孔の先端から気化管10に噴霧する際、細孔先端の噴霧フランジ11bの表面を凸形状としているため、細孔の先端で目詰まりすることを抑制できる。よって、CVD用気化器の連続使用時間を実施の形態4より長くすることができる。
(実施の形態6)
図7は、本発明の実施の形態6によるCVD用気化器を示す構成図であり、図6と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
気化管35の基端側を半球形状とし、実施の形態5に比べて気化管35の基端側の噴霧口の近傍までヒーター12を巻き回している。これにより、気化管35の基端側まで均一に加熱することができ、その結果気化管35の先端への析出をより抑制できる。
また、上記実施の形態6においても実施の形態5と同様の効果を得ることができる。
(実施の形態7)
図8は、本発明の実施の形態7によるCVD用気化器を示す構成図である。図9は、図8に示す気化管の基端及びその近傍、ノズルの先端及びその近傍を拡大して示す構成図である。図8及び図9において、図7と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
図8及び図9に示すように、このCVD気化管は洗浄機構36を備えている。この洗浄機構36は、気化管35内の基端側の細孔及びその近傍に洗浄用溶剤粒子流を直接供給するものである。洗浄用溶剤粒子流は窒素ガスに溶剤を混合したものである。細孔の先端近傍に析出物(原料溶液の溶質)が付着した際に、その析出物を洗浄機構36による洗浄用溶剤粒子流によって除去することができる。
次に、上記洗浄機構36による洗浄方法について説明する。原料溶液を気化しているときに、圧力トランスデューサー9によって常にキャリアガスの圧力をリアルタイムでモニターする。CVD用気化器を連続して使用していくと、分散部、細孔の少なくともいずれかに徐々に原料溶液中の溶質が析出し、次第に細孔(噴霧口)を目詰まりさせていく。
前記目詰まりが進むにつれてキャリアガス用配管3内のキャリアガスの圧力が高くなっていく。そしてキャリアガスの圧力が所定圧力(例えば200KPa)を超えたという圧力トランスデューサー9からの出力信号を制御部で受信した後に、ブロックバルブ4を閉じて原料溶液の供給を停止し、ブロックバルブ5を開いて、溶剤のみを流す。又は前記高温気化管の出口をリアクタから排気側(図示せず)に切り替え、溶剤及びキャリアガスのみを原料溶液用配管1及びキャリアガス用配管3に供給し、洗浄を行う。この洗浄は実施の形態6と同様である。本実施の形態では、この洗浄に加えて、洗浄機構36によってキャリアガス(窒素ガス)及び溶剤を気化管35内の基端側の細孔及びその近傍に直接供給する。これにより、細孔の先端近傍の析出物を除去できる。
尚、本実施の形態の洗浄機構36による洗浄は、前記実施の形態6と同様の洗浄を行う際に毎回行う必要は必ずしも無い。例えば、実施の形態6と同様の洗浄を複数回行う毎に洗浄機構36による洗浄を1回行うことも可能であるし、また洗浄機構36による洗浄を単独で行うことも可能である。
(実施の形態8)
図10は、本発明の実施の形態8によるCVD用気化器を示す構成図であり、図8及び図9と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
図10に示すCVD気化管は洗浄機構37を備えている。この洗浄機構37は、気化管35の側面から該気化管35内の基端側の細孔及びその近傍に洗浄用溶剤粒子流を直接供給するものである。洗浄用溶剤粒子流は窒素ガスに溶剤を混合したものである。細孔の先端近傍に析出物(原料溶液の溶質)が付着した際に、その析出物を洗浄機構37による洗浄用溶剤粒子流によって除去することができる。
次に、上記洗浄機構37による洗浄方法について説明する。原料溶液を気化しているときに、圧力トランスデューサー9によって常にキャリアガスの圧力をリアルタイムでモニターする。CVD用気化器を連続して使用していくと、分散部、細孔の少なくともいずれかに徐々に原料溶液中の溶質が析出し、次第に細孔(噴霧口)を目詰まりさせていく。
前記目詰まりが進むにつれてキャリアガス用配管3内のキャリアガスの圧力が高くなっていく。そしてキャリアガスの圧力が所定圧力(例えば200KPa)を超えたという圧力トランスデューサー9からの出力信号を制御部で受信した後に、ブロックバルブ4を閉じて原料溶液の供給を停止し、ブロックバルブ5を開いて、溶剤のみを流す。又は前記高温気化管の出口をリアクタから排気側(図示せず)に切り替え、溶剤及びキャリアガスのみを原料溶液用配管1及びキャリアガス用配管3に供給し、洗浄を行う。この洗浄は実施の形態6と同様である。本実施の形態では、この洗浄に加えて、洗浄機構37によってキャリアガス(窒素ガス)及び溶剤を気化管35内の基端側の細孔及びその近傍に直接供給する。これにより、細孔の先端近傍の析出物を除去できる。
洗浄機構37を運転する際には、予め気化管31の加熱を止め、室温近辺まで冷却する必要がある。
上記実施の形態8においても実施の形態7と同様の効果を得ることができる。
(実施の形態9)
図11は、本発明の実施の形態9による溶液気化式CVD装置を示す構成図である。このCVD装置は、図1に示すCVD用気化器を備えている。水冷プレート16の上にはマスフローコントローラー38,39が配置されている。
気化管31の先端は気化管ベントバルブ40に接続されており、この気化管ベントバルブ40は配管41,42を介して真空ポンプ43に接続されている。また、気化管31は仕切りバルブ44を介してリアクターチャンバ(反応室)45に接続されている。リアクターチャンバ45はO2、N2、H2等のプロセスガスを導入するプロセスガス導入機構46に接続されており、プロセスガス導入機構46によってリアクターチャンバ45内にプロセスガスを導入するようになっている。また、リアクターチャンバ45は配管47を介してリアクター圧力調整バルブ48に接続されている。このリアクター圧力調整バルブ48は配管49を介して主引きバルブ50に接続されており、この主引きバルブ50は配管42を介して真空ポンプ43に接続されている。
第1〜第5のブロックバルブ26〜30それぞれはベントライン51の一端に接続されており、ベントライン51の他端はベントライントラップボトル52に挿入されている。また、ベントライントラップボトル52は配管53を介して配管42に接続されている。
次に、上記溶液気化式CVD装置の動作について説明する。
リアクターチャンバ45の温度を上げて(例えば600℃)、温度が安定したらリアクターチャンバ内にウエーハ等の薄膜を形成する試料を搭載する。次に真空ポンプ43を稼動させ、主引きバルブ50及びリアクター圧力調整バルブ48を開いて、リアクターチャンバ45内を所定の真空度まで減圧し、チャンバー内の酸素等を除去する。次にプロセスガス導入機構46によってプロセスガスをリアクターチャンバ内に導入し、リアクター圧力調整バルブ48によってリアクターチャンバ45内を所定の圧力に調整する。次に、実施の形態1で説明したように所定の流量のキャリアガスと原料溶液を気化管31に流し、気化管ベントバルブ40を開けて配管41,42を経由して真空ポンプ43で引く。キャリアガスと原料溶液の流量安定を確認後気化管ベントバルブ40を閉め、仕切りバルブ44を開けて、原料ガスをリアクターチャンバ45内に導入する。このようにしてCVD法により被処理基板上に薄膜を成膜する。
前記薄膜の成膜が終了した後、気化管ベントバルブ40を開け、仕切りバルブ44を閉めて原料ガスをベント側に流し、薄膜堆積を停止する。次にブロックバルブ26〜30を操作して原料溶液(有機金属化合物の溶液)を止め、所定の流量の溶媒を気化管31に、1〜2分間流して、ノズル32を洗浄する。そして、窒素ガスで気化管31内及びリアクタチャンバー45内をパージする。リアクタチャンバー45内を窒素ガスでパージ後、リアクタから試料を取り出す。
次いで、上記の方法で次の被処理基板上に薄膜を成膜する。このような処理を繰り返す。
上記実施の形態9においても実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
(実施の形態10)
図12は、本発明の実施の形態10による溶液気化式CVD装置を示す構成図であり、図11と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
図12に示すCVD装置では、図11に示す配管47及びリアクター圧力調整バルブ48を設けていない代わりに、配管42に窒素ガスを導入する配管55を設けている。
次に、上記溶液気化式CVD装置の動作について説明する。気化管ベントバルブ40を閉じ、仕切りバルブ44及び主引きバルブ50を開き、真空ポンプ43と、配管42に適切な流量の窒素ガスを導入するによってリアクターチャンバ45内を所定の圧力に調整し、実施の形態1で説明したように気化管31から原料ガスをリアクターチャンバ45内に導入し、プロセスガス導入機構46によってプロセスガスをリアクターチャンバ内に導入する。このようにしてCVD法により被処理基板上に薄膜を成膜する。
前記薄膜の成膜が終了した後、仕切りバルブ44を閉じ、気化管ベントバルブ40を開き、気化管31への原料溶液の導入を停止し約1分間溶剤を流してから停止する。そして、窒素ガスで気化管31内及びリアクターチャンバ45内をパージする。次いで、上記の方法で次の被処理基板上に薄膜を成膜する。このような処理を繰り返す。
上記実施の形態10においても実施の形態9と同様の効果を得ることができる。
(実施の形態11)
図13は、本発明の実施の形態11による溶液気化式CVD装置を示す構成図であり、図11と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
気化管31の先端はリアクターチャンバ(反応室)45に直接接続されている。また、気化管31は気化管ベントバルブ40に接続されている。実施の形態9では、リアクターチャンバ45の横、即ちプロセスガスを導入する側の逆側から原料ガスを導入するように構成されているのに対し、本実施の形態では、リアクターチャンバ45の直上からから原料ガスを導入するように構成されている。
上記実施の形態11においても実施の形態9と同様の効果を得ることができる。
(実施の形態12)
図14は、本発明の実施の形態12による溶液気化式CVD装置を示す構成図であり、図11と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
気化管31の先端はリアクターチャンバ54に接続されている。このリアクターチャンバ54は、テープ状の被処理基板56に超伝導酸化物薄膜YBCOやCu薄膜を成膜するものである。この被処理基板56は一方のロールから供給され、薄膜が成膜された後、他方のロールに巻き取られるようになっている。この被処理基板56は往復して薄膜を成膜することもできる。リアクターチャンバ54はO2、N2、H2等のプロセスガスを導入するプロセスガス導入機構46に接続されている。リアクターチャンバ45は配管47を介してリアクター圧力調整バルブ48に接続されている。このリアクター圧力調整バルブ48は配管49を介して主引きバルブ50に接続されており、この主引きバルブ50は配管42を介して真空ポンプ43に接続されている。
原料溶液供給系を持つ気化器を複数並べて、成膜することもできる。
次に、上記溶液気化式CVD装置の動作について説明する。主引きバルブ50を開き、真空ポンプ43及びリアクター圧力調整バルブ48によってリアクターチャンバ54内を所定の圧力に調整し、実施の形態1で説明したように気化管31から原料ガスをリアクターチャンバ54内に導入し、プロセスガス導入機構46によってプロセスガスをリアクターチャンバ内に導入する。このようにしてCVD法により被処理基板上に薄膜を成膜する。
上記実施の形態12においても実施の形態9と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、気化管にバルブを設けない構成としているため、数μm〜数十μmの膜厚の厚い膜を連続して成膜する場合に適している。つまり、膜厚の厚い膜を成膜する場合にバルブに原料が付着する量が多くなるという問題が生じやすいため、気化管にバルブを設けない構成としたものである。
次に、高温気化管の温度の決め方、酸化ガス(酸素等)の入れる場所の決め方、原料溶液の供給法の決め方について説明する。
高温気化管の最適下限温度は、気化管に流す原料のTG特性から決めることが好ましい。また、酸化ガス(酸素等)の入れる場所は、気化管に流す原料のDTA特性から決めることが好ましい。
図24は、Sr[Ta(OEt)5(OC2H2OMe)]2のTG CHART (Ar 760/10Torr,O2 760Torr)を示す。この図から、Sr[Ta(OEt) 5(OC22H4OMe)]2は、アルゴン雰囲気下10Torrにおいて、約220℃で完全に昇華する事が分かる。TG特性を用いると、Sr[Ta(OEt) 5(OC22H4OMe)] 2をアルゴン雰囲気下10Torrにおいて、完全に昇華させるには、気化管温度を230〜240℃以上に加熱する必要がある事が分かる。
図25は、Bi(OtAm)3のTG CHART (Ar 760/10Torr,O2 760Torr)を示す。この図から、Bi(OtAm)3 は、アルゴン雰囲気下10Torrにおいて、約130℃で、約98%程度昇華する事がわかる。
図26は.Bi(MMP) 3 の TG CHART (Ar 760/10Torr,O2 760Torr)を示す。この図から、Bi(MMP) 3 はアルゴン雰囲気下10Torrにおいて、約150℃で、完全に昇華するので、気化管温度を160℃以上に加熱する必要がある事が分かる。
Sr[Ta(OEt) 5(OC2H4OMe)] 2とBi(MMP) 3を用いて、酸化物薄膜SBTを作成する場合、気化管温度は230〜240℃に設定すれば良い。アルゴン雰囲気下であれば、完全に昇華し熱分解も発生しない。しかし、酸素雰囲気の場合、Sr[Ta(OEt) 5(OC2H4OMe)] 2は259℃、Bi(MMP) 3 は209℃で酸化反応が起きる事がDTA特性(図30,31)から分かる。気化管温度は230〜240℃に設定されるので、気化管に酸素を流さない方が好ましい。酸素は、気化管を経由せず、反応チャンバーに直接供給することが好ましい。尚、山形大学・都田教授氏他の特許第3470055において、酸素は、気化管を経由して供給されているので、気化管内で、Bi(MMP)3の酸化反応が起きる可能性が高い。
図38〜49にキャリアガスの圧力変化をリアルタイムでモニターした結果を示す。
図38、49において、気化管(図6の気化器装置を採用)に原料溶液(ケミカル)を流し始めると、キャリアガスの圧力の上昇が観察される。特に図38の場合溶剤を流したまま、原料溶液(ケミカル)0.3cc/min.を追加しているが、この操作によってキャリアガスの圧力が明らかに上昇している。キャリアガス流量1500cc/min.に、ケミカル0.3cc/min.を追加しただけで、噴霧する細孔流路抵抗が明らかに増大する事が分かる。図6及び図4〜10に示す気化管構造の場合原料溶液及び溶剤の注入が抵抗増大を招くので、原料溶液及び溶剤流量の増大と安定化が難しい事が分かる。図48は、キャリアガス圧力の振動を示しており、噴霧する原料溶液(ケミカル)と溶媒流量の細かな振動が起きていると推定される。
図1〜3等に示すオリフィス管を採用すると原料溶液(ケミカル)は、キャリアガス流路に引き込まれるので、原料溶液(ケミカル)流量の安定化と流量増大が容易である。
図38〜49において、気化器の目詰まりに起因するキャリアガス圧力の上昇は認められない。気化器は水冷プレートが無い図6を採用しているが、気化器の目詰まりは全く観察されないことを確認した。水冷プレートの有無は、マスフローコントローラを配置するプレートの温度上昇を抑える顕著な効果があるが気化器の目詰まり抑制には、全く関係が無いこともわかる。
特に原料溶液(ケミカル)流量が少ない図44,45においても、気化器の目詰まりに起因するキャリアガス圧力の上昇は全く、認められない。キャリアガスと原料溶液を共存させると、原料溶液中の溶剤は平衡蒸気圧に達するまで蒸発する。これを図23に示した。キャリアガスの圧力が912Torrの場合、トルエンは毎分0.17ccも蒸発する。ノルマルヘキサンは1.1cc以上蒸発する。キャリアガスの圧力が532Torrの場合、溶剤の蒸発量は著しく増大する。但しキャリアガス流量は毎分1500cc、温度20℃として算出している。
図44,45において、原料溶液(ケミカル)流量は毎分0.2〜0.3ccと少ないので、噴霧口に達する前に溶媒が殆ど蒸発し、溶質が析出して目詰まりさせる可能性があるが、目詰まりしていない。キャリアガスと原料溶液を共存させた直後、直ちに(0.01秒程度)噴霧するので、溶剤が蒸発し平衡蒸気圧に達する前に噴霧され、さらに噴霧口が凸型であるので目詰まりしないと考えられる。図22,23から、溶媒最適化の重要性とその方法、キャリアガス圧力制御の重要性が理解出来る。
図49において、PZTN CVD用ケミカルは、下記に示す4ケミカル混合溶液(カクテルソース)を採用した。
Pb(DPM)2: 0.05 mol/L, Zr(IBPM) 4:0.01-0.03 mol/L,Ti(Oi-Pr) 2(DPM) 2:0.03 mol/L,Nb(OEt)4 (DPM):0.01 mol/L,溶媒はトルエンを採用した。
図49に示す条件と概ね同様の条件下で作成したPZTN薄膜の組成は、下記のようであった。Zr(IBPM) 4:0.03 mol/Lの時:PbO1.04,Zr0.32,Ti0.48,Nb0.16(Total:2.00)、
Zr(IBPM)4:0.02 mol/Lの時:PbO1.04,Zr0.24,Ti0.54,Nb0.18(Total:2.00)、
堆積速度:100〜25A/min.程度、サセプタ温度:約600℃と設定した。シリコン基板上、Pt/SiO2/Si基板上で殆ど差異は無かった。
本発明の実施の形態1によるCVD用気化器を示す構成図である。 本発明の実施の形態2によるCVD用気化器を示す構成図である。 本発明の実施の形態3によるCVD用気化器を示す構成図である。 本発明の実施の形態4によるCVD用気化器を示す構成図である。 実施の形態4に対する比較例によるCVD用気化器を示す構成図である。 本発明の実施の形態5によるCVD用気化器を示す構成図である。 本発明の実施の形態6によるCVD用気化器を示す構成図である。 本発明の実施の形態7によるCVD用気化器を示す構成図である。 図8に示す気化管の基端及びその近傍、ノズルの先端及びその近傍を拡大して示す構成図である。 本発明の実施の形態8によるCVD用気化器を示す構成図である。 本発明の実施の形態9による溶液気化式CVD装置を示す構成図である。 本発明の実施の形態10による溶液気化式CVD装置を示す構成図である。 本発明の実施の形態11による溶液気化式CVD装置を示す構成図である。 本発明の実施の形態12による溶液気化式CVD装置を示す構成図である。 溶液気化式CVD法の一例を示す図である。 強誘電体薄膜を作成するための従来のCVD装置の一例を示す図である。 従来の溶液気化式CVD法で用いた気化器の構成を示す図である。 従来の溶液気化式CVD法で用いた溶液制御装置の構成を示す図である。 溶液気化式CVD法で成膜することができる膜の一例と、その膜を形成するための原料及びその特性を示す表である。 溶液気化式CVD法で成膜することができる膜の一例と、その膜を形成するための原料及びその特性を示す表である。 溶媒の蒸気圧等の特性を示す表である。 原料の溶解度の溶剤依存性を示す表である。 溶媒の蒸発量の見積もり等を示す表である。 Sr[Ta(OEt)5(OC2H4OMe)]2のTG CHART(Ar 760/10Torr,O2 760Torr)を示す図である。 Bi(OtAm)3のTG CHART (Ar 760/10Torr,O2 760Torr)を示す図である。 Bi(MMP)3のTG CHART (Ar 760/10Torr,O2 760Torr)を示す図である。 Bi(OtAm)3/Sr[Ta(OEt)6]2混合体のTG CHART (Ar 760/10Torr,O2 760Torr)を示す図である。 NMR(Hの核磁気共鳴)特性を示す図である。 Bi(MMP)3/ Sr[Ta(OEt)5(OC2H4OMe)]2混合体のTG CHART (Ar 760Torr)を示す図である。 Sr[Ta(OEt)5(OC2H4OMe)]2のTG-DTA CHART(O2 760Torr)を示す図である。 Bi(MMP)3のTG-DTA CHART (Ar 760/10Torr,O2 760Torr)を示す図である。 Bi(OtAm)3のTG-DTA CHART (Ar 760/10Torr,O2 760Torr)を示す図である。 溶液気化式CVD法に関係する物質の物性データを示す表である。 BiPh3のTG CHART (Ar 760/10Torr,O2 760Torr)を示す図である。 BiPh3/Sr[Ta(OEt)6]2混合体のTG CHART (Ar 760,O2 760Torr)を示す図である。 Mixing Stability of BiPh3 & Sr[Ta(OEt)6]2(NMR)特性を示す図である。 BiPh3 TG-DTA CHART (O2 760Torr)を示す図である。 キャリアガスの圧力変化をリアルタイムでモニターした結果を示す図である。 キャリアガスの圧力変化をリアルタイムでモニターした結果を示す図である。 キャリアガスの圧力変化をリアルタイムでモニターした結果を示す図である。 キャリアガスの圧力変化をリアルタイムでモニターした結果を示す図である。 キャリアガスの圧力変化をリアルタイムでモニターした結果を示す図である。 キャリアガスの圧力変化をリアルタイムでモニターした結果を示す図である。 キャリアガスの圧力変化をリアルタイムでモニターした結果を示す図である。 キャリアガスの圧力変化をリアルタイムでモニターした結果を示す図である。 キャリアガスの圧力変化をリアルタイムでモニターした結果を示す図である。 キャリアガスの圧力変化をリアルタイムでモニターした結果を示す図である。 キャリアガスの圧力変化をリアルタイムでモニターした結果を示す図である。 キャリアガスの圧力変化をリアルタイムでモニターした結果を示す図である。
符号の説明
1…原料溶液用配管
2,32…ノズル
3,33…キャリアガス用配管
4〜7,26〜30…ブロックバルブ
8…N2供給バルブ
9…圧力トランスデューサー
10,31,34,35…気化管
11,11a,11b…噴霧フランジ
12…ヒーター
13…Oリング
14,15…断熱材
16…水冷プレート
21〜25…第1〜第5の原料溶液用配管
36,37…洗浄機構
38,39…マスフローコントローラー
40…気化管ベントバルブ
41,42,47,49,53,55…配管
43…真空ポンプ
44…仕切バルブ
45,54…リアクターチャンバ(反応室)
46…プロセスガス導入機構
48…リアクター圧力調整バルブ
50…主引きバルブ
51…ベントライン
52…ベントライントラップボトル
56…被処理基板
61…メタルシール

Claims (25)

  1. キャリアガス中に原料溶液を微粒子状又は霧状に分散させるオリフィス管と、
    前記オリフィス管のガス通路に連通された前記原料溶液を供給する原料溶液用通路と、
    前記ガス通路に前記キャリアガスを供給するキャリアガス用通路と、
    前記オリフィス管で分散された前記原料溶液を気化する気化管と、
    前記気化管内に挿入され前記オリフィス管のガスを噴出する細孔とを有し、
    前記ガス通路が円柱状である
    ことを特徴とするCVD用気化器。
  2. 前記オリフィス管は、内径が1mm以下である
    ことを特徴とする請求項1記載のCVD用気化器。
  3. 前記オリフィス管の先端は、細孔に接続され、
    前記細孔は、前記オリフィス管内におけるキャリアガスの圧力を500〜1000Torrにするように内径が選定される
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のCVD用気化器。
  4. 前記細孔の内径は、0.2mm〜0.7mmである
    ことを特徴とする請求項3に記載のCVD用気化器。
  5. 前記オリフィス管、前記細孔及び前記気化管のうち少なくとも一つを洗浄する洗浄機構をさらに具備することを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載のCVD用気化器。
  6. 前記キャリアガスの圧力をモニターする機構をさらに具備することを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項に記載のCVD用気化器。
  7. 前記気化管の基端とオリフィス管との間に配置された断熱材を備える
    ことを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1項に記載のCVD用気化器。
  8. キャリアガス中に原料溶液を微粒子状又は霧状に分散させるオリフィス管と、
    前記オリフィス管のガス通路に連通された前記原料溶液を供給する原料溶液用通路と、
    前記ガス通路に前記キャリアガスを供給するキャリアガス用通路と、
    前記オリフィス管で分散された前記原料溶液を気化する気化管と、
    前記気化管内に挿入され前記オリフィス管のガスを噴出する細孔とを有し、
    前記ガス通路が円柱状であるCVD用気化器と、
    前記気化管に接続された反応室とを具備する
    ことを特徴とする溶液気化式CVD装置。
  9. キャリアガス用通路から、オリフィス管の円柱状のガス通路にキャリアガスを供給すると共に、
    原料溶液用通路から前記ガス通路に原料溶液を供給し、
    前記オリフィス管で前記キャリアガス中に原料溶液を微粒子状又は霧状に分散させ、
    前記オリフィス管のガスを噴出する気化管に挿入された細孔から前記オリフィス管のキャリアガスと原料溶液を噴出して、前記原料溶液を霧化させて気化する
    ことを特徴とするCVD用気化方法。
  10. 前記原料溶液を気化させた後、前記オリフィス管及び前記原料溶液を気化する領域の少なくともいずれか一方を洗浄することを特徴とする請求項9に記載のCVD用気化方法。
  11. 前記原料溶液を気化する際に、前記キャリアガスの圧力をモニターしておき、前記キャリアガスが所定の圧力を超えた場合に、前記原料溶液の前記オリフィス管への供給を停止し、前記オリフィス管及び前記原料溶液を気化する領域の少なくともいずれか一方を洗浄することを特徴とする請求項9に記載のCVD用気化方法。
  12. 洗浄する際は、前記オリフィス管及び前記原料溶液を気化する領域の少なくともいずれか一方に溶剤及びキャリアガスを流し、前記洗浄する際に前記キャリアガスの圧力をモニターしておき、前記キャリアガスが所定の圧力以下になったときに前記溶剤を流すのを停止して洗浄を終了することを特徴とする請求項11に記載のCVD用気化方法。
  13. 1乃至複数の原料溶液を供給する溶液供給系から原料溶液を供給する原料溶液用配管と、
    前記原料溶液用配管の先端に接続された配管内径の小さい溶液配管と、
    前記溶液配管の先端に設けられたノズルと、
    前記ノズルの外側に設けられた導入口と、
    前記ノズルの先端に設けられた分散部と、
    前記分散部に接して設けられた噴霧フランジとを備え、
    前記溶液配管から供給される原料溶液と前記導入口から供給されるキャリアガスとが前記分散部で合流し、
    前記噴霧フランジ中央部に形成された細孔からキャリアガスと原料溶液とを気化管上部に高速で噴出させることを特徴とするCVD用気化器。
  14. 前記細孔は、前記分散部内におけるキャリアガスの圧力を500〜1000Torrにするように内径が選定される
    ことを特徴とする請求項13に記載のCVD用気化器。
  15. 前記細孔の内径は、0.2mm〜0.7mmである
    ことを特徴とする請求項13に記載のCVD用気化器。
  16. 前記細孔及び前記気化管のうち少なくとも一つを洗浄する洗浄機構をさらに具備することを特徴とする請求項13〜15のうちいずれか1項に記載のCVD用気化器。
  17. 前記キャリアガスの圧力をモニターする機構をさらに具備することを特徴とする請求項13〜16のうちいずれか1項に記載のCVD用気化器。
  18. 前記気化管の基端と前記分散部及び前記噴霧フランジとの間に配置された断熱材を備える
    ことを特徴とする請求項13〜17のうちいずれか1項に記載のCVD用気化器。
  19. 1乃至複数の原料溶液を供給する溶液供給系から原料溶液を供給する原料溶液用配管と、
    前記原料溶液用配管の先端に接続された配管内径の小さい溶液配管と、
    前記溶液配管の先端に設けられたノズルと、
    前記ノズルの外側に設けられた導入口と、
    前記ノズルの先端に設けられた分散部と、
    前記分散部に接して設けられた噴霧フランジとを備え、
    前記溶液配管から供給される原料溶液と前記導入口から供給されるキャリアガスとが前記分散部で合流し、前記噴霧フランジ中央部に形成された細孔からキャリアガスと原料溶液とを気化管上部に高速で噴出させるCVD用気化器と、
    前記気化管に接続された反応室とを具備する
    ことを特徴とする溶液気化式CVD装置。
  20. 原料溶液用配管から供給される原料溶液をノズルから前記ノズルの先端に設けられた分散部に供給すると共に、
    前記ノズルの外側に設けられた導入口からキャリアガスを供給し、
    前記ノズルから供給される前記原料溶液と前記導入口から供給される前記キャリアガスとが前記分散部で合流し、前記分散部に接して設けられた噴霧フランジの中央部の噴霧口から前記キャリアガスと原料溶液を、気化管上部に噴霧し、前記気化管で前記キャリアガスと原料溶液を膨張させて気化する
    ことを特徴とするCVD用気化方法。
  21. 前記原料溶液を気化させた後、前記原料溶液を気化する領域を洗浄する
    ことを特徴とする請求項20に記載のCVD用気化方法。
  22. 前記原料溶液を気化する際に、前記キャリアガスの圧力をモニターしておき、
    前記キャリアガスが所定の圧力を超えた場合に、原料溶液を前記ノズルに供給するのを停止し、
    前記原料溶液を気化する領域を洗浄する
    ことを特徴とする請求項20又は21に記載のCVD用気化方法。
  23. 前記洗浄する際は、前記原料溶液を気化する領域に溶剤及びキャリアガスを流し、
    前記洗浄する際に前記キャリアガスの圧力をモニターしておき、前記キャリアガスが所定の圧力以下になったときに前記溶剤を流すのを停止して洗浄を終了する
    ことを特徴とする請求の範囲22に記載のCVD用気化方法。
  24. 前記溶剤は、前記原料溶液に含まれる溶剤と同質である
    ことを特徴とする請求の範囲23に記載のCVD用気化方法。
  25. 前記溶剤は、エチルシクロヘキサン、n-ヘキサン、ベンゼン、トルエン、THF、オクタン、デカン、酢酸ブチルからなる群から選ばれた1種又は複数の混合物である
    ことを特徴とする請求の範囲23又は24に記載のCVD用気化方法。
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