JP4109765B2 - 結像性能評価方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は結像光学系の結像性能を評価する結像性能評価方法に関するものである。特に半導体デバイス製造用のステップアンドリピート方式やステップアンドスキャン方式の露光装置における投影光学系のディストーションやアライメント精度等の光学性能を検査する為に使用する、重ね合わせ検査装置における結像光学系の性能検査の為の結像性能評価方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より半導体デバイス製造用の投影露光装置においては、集積回路の高密度化に伴いレチクル面上の回路パターンをウエハー面上に高い解像力で投影露光できることが要求されている。回路パターンの投影解像力を向上させる方法としては、例えば露光光の波長を固定にして投影光学系のNAを大きくする方法や露光光の波長を、より短波長化する、例えばg線よりi線、i線よりエキシマレーザー発振波長、更にF2、レーザー発振波長やSOR 光を使用する露光方法が提案、検討されている。
【0003】
一方、回路パターンの微細化に伴い電子回路パターンの形成されているレチクルとウエハーを高精度にアライメントすることも要求されてきている。このとき要求されるアライメント精度は、回路パターンの線幅の1/3 以下と言われており、例えば1G ビットDRAMでは、0.18μm ルールの回路パターンとすると、60nm以下のオバーレー精度(露光領域全体のアライメント)が必要である。
【0004】
更に、このオバーレー精度を測定する重ね合わせ検査装置においては、オバーレー精度の1/10程度が要求され、1G ビットDRAMでは、6nm 以下が必要となる。
【0005】
そこで、重ね合わせ検査装置において、より高精度の計測の為に、計測誤差発生要因における検出系要因であるTIS(Tool Induced Shift)の影響を軽減する、TIS 補正法も実施されている。
【0006】
図10はTIS 補正法の説明図である。図10では、例として、シリコンウエハー1をエッチングにより段差を作り、その段差に基づくエッチングパターン(第1マーク)2とアライメント実施後、露光現像したレジスト像パターン(第2マーク)3との相対関係を計測する状態を示している。TIS 補正法では、二回計測を行なう。その時二回目の計測は一回目の計測に比べてウエハー1を180度回転して計測する。この為一回目を0度計測値(Δ0度)、二回目を180度計測値(Δ180度)と呼んでいる。TIS 補正法では、0度計測値から180度計測値を引いて2で割った値を計測値として使用して、この事で、検出系要因の誤差を軽減して高精度計測を可能としている。この時、0度計測値と180度計測値をたして2で割った値を、TIS と呼んでいる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
TIS 補正法を使用すると、検出系要因の計測誤差を軽減することができるが、これだけでは十分でない事が判明している。例えば、図11に示す様に同一のウエハーを異なる二つの測定機でTIS 補正法で計測しても大きな差が発生する。このアライメント精度は、露光装置のアライメントシーケンスにグローバルアライメント方式を使用している為、露光装置の、ウエハーを駆動する干渉計付ステージ精度のルート2倍以上には悪くならない。
【0008】
図11の重ね合せ検査装置2の結果は、露光装置の、ウエハーを駆動する干渉計付ステージ精度のルート2倍以上に悪いので、明らかに重ね合せ検査装置の要因によるものである。
【0009】
これは計測誤差発生要因におけるウエハー要因であるWIS (Wafe Induced Shift)のある場合での、TIS-WIS 相互作用によるものである。この場合では、TIS 補正法では不十分な事が例えば図11の結果で明らかである。今後も例えばCu-CMPプロセスの様な新規半導体プロセスが導入されていくであろうし、その時、WIS は存在すると考えるべきで、そうすると、重ね合せ検査装置において高精度化の為にはTIS をできるだけ取除いて、TIS-WIS 相互作用を防ぐ必要がある。
【0011】
次にTIS をできるだけ多く取除く為にまず、光学要因によるTIS の発生原因と今までの対応例について述べる。重ね合わせ検査装置やアライメント検出系において、現在実際に使用されている方式のほとんどは、明視野画像処理方式である。
【0012】
図2は、重ね合わせ検査装置の実施形態の概略図である。同図はウエハー1上に専用マーク(第1マーク2,第2マーク3)を構成し、それの像を光学系でCCD 等の撮像素子上に形成し、その電気信号を各種信号処理を実施することにより、第1マーク2,第2マーク3との位置検出を行なっている。この光学系において最も必要とする結像性能は、第1マーク2,第2マーク3に関する像の対称性である。光学系(結像光学系)に像の対称性を劣化させるものが有る場合に、TIS が存在している事になる。
【0013】
この種のアライメント検出系においては、倍率を100 倍程度の高い倍率とし、ほとんど、軸上近傍で使用している。この為、マーク像の対称性の劣化要因の主要因は、軸外収差等ではなく、光学系の軸上近傍の、偏心コマ収差と照明系の不均一性によるものである。
【0014】
更にマーク像の対称性は、計測するウエハーの段差量により変化することが判っている。
【0015】
図12は図2のウエハー1に設けた第1マーク2と第2マーク3の概略図と、第1マーク2,3に基づく信号(波形強度)より得られる対称性SOIの計算方法を示している。
【0016】
第1マーク2の両端2a,2bに基づく波形強度をa,b、ウエハー上面に基づく波形強度をとしたとき対称性SOIをSOI=100(a−b)/cより求めている。
【0017】
図2中に定義した光学像の対称性SOI を、段差量SHを変えて実験により求めた結果を図3に示す。この実験においては、光学系の偏心コマ収差をλ/4と- λ/20として像の対称性SOI を計測した(λは照明波長)。
【0018】
図3で判る様に、光学像の対称性SOI は、段差量SHに対し、周期λ/2(λは照明波長)のサイン関数で変化し、更にその振幅は、光学系のコマ収差に依存している。更に照明系の不均一性の場合も同じ周期のサイン関数で変化し、振幅は、照明系の不均一性に依存している事も判明している。 又、実験からだけでなく、シミュレーションやモデル化した解析的な検討からもこの現象を確認できている。
【0019】
図2に示した様に、反射で計測する場合では、段差量が照明波長λの1 /8 の奇数倍3.(λ/8、3λ/8..)では光学像は最も非対称となり、照明波長λの1 /8 の偶数倍(2λ/8、4λ/8..)ではコマ収差や照明系の不均一に寄らずに光学像は対称のままである。言い換えれば、コマ収差と照明系の均一性に敏感な段差量と鈍感な段差量が存在すると言う事である。
【0020】
そこで、この敏感な段差量SHを使う事で、光学系の、コマ収差と照明系の均一性を高精度で評価する評価方法を既に本出願人により提案、出願され、実際に適用し効果の確認も終了されている(特開平9-280816号公報)。
【0021】
この評価方法を二マーク間隔計測法TIS 2 と呼ぶ事にする。この概要を、図4に示す。二マークD1,D2の段差量として、λc /8と3λc /8の値(あるいはその整数倍)を使用する。今までは照明波長幅の無い単色の照明光λで説明してきたが、これからは有る幅をもった照明光を使用するとし、λc は、アライメント光学系で使用する有る幅をもった照明波長の中心波長を示すこととする。
【0022】
λc /8と3λc/8の段差量は、両方とも光学系のコマ収差と照明系の不均一性を敏感に反映する値で、その非対称性の方向が反対となり、その計測値への影響も図4の様にマークD1とマークD2(マークD1とマークD2は正の値)の方向が逆に発生する。
【0023】
ウエハーを180 度回転させても、マークD1とマークD2の方向は変わらないので、0 度、180 度両方での間隔の計測値の差の半分が、マークD1とマークD2の和 TIS 2となり、一つの段差量を使用するのに比べて倍の感度で計測できる。
【0024】
次に、この評価方法を実際に適用させて、その効果の確認を行なった結果を説明する。まず評価項目である二マーク間隔計測 TIS 2を図2 で示した光学系例にほぼ等しい、半導体デバイス製造用の露光装置における位置合わせの為の、アライメント光学系に適用し、その対応性について調べた。アライメント光学系の一部分を変化させて、偏心コマ収差と照明系の均一性を変化させて、二マーク間隔計測 TIS 2 との関係を求めたものを図5,図6に示す。
【0025】
両方共、TIS 2 に対して相関のある事が、両図より認識できる。この二マーク間隔計測の評価方法では、敏感な段差量で、その非対称性の方向が逆な二つの段差量を必要とし、マークの大きさに寄る事ではあるが、計測範囲に二つの段差量のマークが同時に入らない場合には、計測方向に駆動して計測する必要がある。再度述べるが、二マーク間隔計測 TIS2 で使用するマークの段差量として、アライメント光学系で使用する照明波長の中心波長λc に対して、1/8 、3/8 のもの(λc /8、3λc /8)を提案している。
【0026】
確かにこの段差量を使用する事で効果を確認できているが、厳密には、照明波長の中心波長λc に対して考えるのでは不十分であり、オーバーレー精度の1/10以下の精度を要求されている、重ね合わせ検査装置においては、他の多くの変数も考慮にいれた評価基準を作成する必要がある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決する為、本発明においては、高感度で、光学系の結像性能を評価する評価方法を提案するもので、これを適用することで、重ね合せ検査装置のTIS をできるだけ取除いて、TIS-WIS 相互作用を防ぐ事ができ、高精度化のアライメントの要求を達成する事を可能としている。
【0029】
更に二マーク間隔計測 TIS2 法での提案に必要な二つのシリコンエッチング段差マーク(第1,第2マーク)も駆動精度も必要としない方法を提案する。そして重ね合わせ検査装置等に要求されている、より高精度化の検出の為に、多くの変数も考慮にいれた段差量を使用した評価基準も提案する。
【0030】
本発明で提案する評価方法は、上記までの問題点を解消する方式であり、フォーカスを変化させた時のTIS 値を評価値とするため、デフォーカスTIS 法と今後呼ぶとする。このデフォーカスTIS 法においては、最も高感度で光学系を評価する方法として、使用するシリコンウエハー(第1マーク)+レジストパターン(第2マーク)を、光学系のコマ収差(含む偏心コマ収差)と照明系の均一性に対して、多くの変数も考慮に入れた上での厳密に最も敏感な段差量とする事である。
【0031】
この段差量は、段差量を変えた時に非対称性が変わる、非対称性カーブにおいて、非対称性カーブがピークとなる段差量で構成し、更にシリコンウエハー(光学部材)とレジストパターン(第1,第2マーク)とも非対称カーブのピークの段差量とするが、その非対称方向が、シリコンウエハーとレジストパターンでは逆側のピークとなる段差量となる様に構成し、そこで、フォーカスを変化させて、TIS 値を取る事で、高感度で光学系を評価する事が可能となる。
【0032】
本発明の結像性能評価方法は、重ね合わせ検査装置の結像光学系の結像性能を評価する結像性能評価方法であって、
所定の段差量で計測マークを設けた基板に対し前記結像光学系の焦点深度内でフォーカスを変化させて該計測マークに基づく信号を検出し、該検出された信号に基づいて該計測マークの位置ずれの計測を行い、該フォーカスの変化に対する計測値の変化に基づいて該結像光学系の結像性能の評価基準を算出し、
該計測マークは、該計測マークを照明する複数の波長を含む光に関して該段差量と該信号の非対称性との関係を示す非対称性カーブが最初のピークとなる段差量を有する、該基板のエッチングパターンとしての第1マークと、該非対称性カーブにおいて該非対称性が二番目のピークであって該最初のピークとは逆方向のピークとなる段差量を有する、レジストパターンとしての第2マークとを含み、
前記信号の検出は、該第1マークと該第2マークとを180度回転させる前後それぞれにおいて行い、
前記位置ずれの計測は、該第1マークと該第2マークとの位置ずれ量を計測し、
前記評価基準の算出は、該第1マークと該第2マークとを180度回転させる前後における計測値の差の半分の値を算出し、該半分の値の該フォーカスの変化に対する変化に基づいて該結像光学系の結像性能の評価基準を算出する、
ことを特徴としている。
【0041】
【発明の実施の形態】
図2は本発明に係る重ね合わせ検査装置を示した実施形態の要部概略図である。同図において1は、シリコンエッチングウエハー(重ね合わせ用の第1マーク)2上にレジストパターン(重ね合わせ用の第2マーク)3を形成したウエハである。
【0042】
二つのマーク2 、3 へ、ハロゲンランプ5から射出した光束6は、ファイバー7、照明系8、ミラー4を透過して偏光ビームスプリッタ9、λ/4板10を透過し、対物レンズ11を透過して、照明される。二つのマーク2,3からの反射光は、照明した時の光路とは逆の光路を通り、対物レンズ11、λ/4板10を透過し偏光ビームスプリッタ9で反射し、リレー12を透過し、エレクター13 によりCCD カメラ14の撮像面上に形成される。
【0043】
二つのマーク2,3の像はCCD カメラ14により光電変換され、回線を通じてコンピュータ(演算手段)15に入力している。コンピュータ15で、その信号を画像処理して、二つのマーク2,3の相対位置関係を検出している。ウエハー(光学部材)1は、ウエハーチャック(不図示)上に置かれている。ウエハーチャックはθ−Z ステージ(駆動手段:不図示)上に構成され、ウエハー1をチャック表面に吸着することにより、各種振動に対して、ウエハー1の位置がずれないようにしている。
【0044】
θ−Z ステージはチルトステージ(不図示)の上に構成され、ウエハー1をフォーカス方向(光学系の光軸方向)に上下動かす事を可能としてている。尚、各要素9〜13は結像光学系の一要素を構成している。
【0045】
本実施形態では、第1マーク2の上に第2マークのパターンを転写し、前記第1,第2マーク間の重ね合わせ精度を計測する。このとき光学系により、前記第1,第2マークを光電変換素子上に結像させ、そのビデオ信号から、前記第1,第2マーク間の重ね合わせ精度を計測する。
【0046】
前記光学系の結像性能を、前記第1マークのパターンを、照明に使用する波長域において、照明波長の強度分布、光学系の分光透過率、光電変換素子の分光−光電変換効率、前記第1,第2マークの分光反射率を重みに入れた上での非対称性カーブがピークとなる段差量で構成し、前記第2マークのパターンを、非対称カーブがピークとなるが、その非対称方向が、前記第1マークのパターンの非対称ピークと逆側のピークとなる段差量で構成し、前記光学系の光学深度(焦点深度)内でフォーカスを変化させて、前記第1,第2マーク間の重ね合わせ精度の計測を一回行ない、更に、前記第1,第2マークを180度回転させて、もう一回行ない、それぞれのフォーカスでの二回の計測値の差の半分を算出し、その値を使用して結像性能を評価している。
【0047】
図1は本発明の結像性能評価方法に係るデフォーカスTIS 法の説明図である。図1はウエハー(光学部材)を、フォーカス(光軸方向)に変化させてTIS を計測し、そこから、コマ収差と照明系の均一性を評価する状態を示している。
【0048】
ここでは、コマ収差と照明系の評価基準を下記の様なTISc,TISi と定義して考えている。
【0049】
コマ収差用評価基準 TISc ≡(TISa - TISb )/2
照明系用評価基準 TISi ≡(TISa + TISb )/2
但し TISa ≡(TIS2-TIS1 )/( F2 - F1)
TISb ≡(TIS3-TIS2 )/( F3 - F2)
この評価方法は、TIS のTelecentricityを評価しているとも言える。
【0050】
尚、Telecentric とは瞳が無限遠にある光学系で、軸外の主光線が光軸と平行となる場合の光学系であるが、今回は、軸上近傍の画角についての、検出系の垂直性と言う意味で使用した。
【0051】
次にデフォーカスTIS 法に使用する段差量について説明を行なう。前述の二マーク(第1マーク2,第2マーク3)間隔計測 TIS2 で使用するマークの段差量として、アライメント光学系で使用する照明波長の中心波長λc に対して、1/8 、3/8 のもの(λc /8、3λc /8)を提案している。ここではさらなる高精度の要求の為、他の多くの変数も考慮にいれた評価基準を作成する。この他の多くの変数として、照明に使用する波長域においての照明波長の強度分布、光学系の分光透過率、光電変換素子の分光電変換効率、シリコンウエハー(第1マーク)、レジストパターン(第2マーク)の分光反射率などがある。
【0052】
図7にまず最も単純なケースを上げて本発明の結像性能評価方法の原理の説明を行なう。図7においては、照明光に波長500nm から波長700nm まで等しい強度分布となる場合について考えるとする。
【0053】
この等しい強度分布は光源だけでなく、光源から、ファイバー、照明光学系、ウエハーの反射率、結像光学系の透過率、撮像素子の分光感度、全てを考慮した上で等しい場合についてである。
【0054】
図7では、横軸にマークの段差量、縦軸に像の非対称性を示した非対称性カーブと呼ぶものを示した。非対称性は、波長500nm 、600nm,700nm 各波長では、それぞれの波長の半分の周期のサイン関数として変化する。今、仮定として、照明光に波長500nm から700nm まで等しい強度分布として使用するとする。
【0055】
その時の像の非対称性は、波長500nm から700nm までの非対称性がたし合わされて、合成された非対称性となり、実際の計測にはこの合成された非対称性が影響を及ぼす事になる。この合成された非対称性を有した曲線を、図7に記載した合成非対称性カーブと呼ぶとするが、その合成非対称性カーブでのピークの段差量は、二マーク間隔計測法TIS2で提案した段差量である、照明波長幅の中心波長λc (=600nm )の1/8 (75nm)からずれている。
【0056】
同じく照明波長幅の中心波長λc (=600nm )の3/8 (225nm )からもずれている。
【0057】
本提案では、実際の使用条件による最も敏感な段差量を使用する事であり、図7に示した、合成非対称性カーブのピークの段差量を使用する事になる。又、図7は、照明光に波長500nm から700nm まで等しい強度分布となる場合と言う最も単純なケースで説明したので、二マーク間隔計測法TIS2で提案した段差量からのずれ量は少なくなっているが、もっと実際の条件を入れるとこのずれは大きくなる。
【0058】
更にシリコンウエハーとレジストとの分光反射率は異なる為、この合成非対称性カーブも異なる事になる。本発明では、シリコンウエハーに図7の合成非対称性カーブの最初のピークの段差量に、レジスト厚は合成非対称性カーブの二番目のピーク、但し、シリコンウエハーに使用した段差量の非対称性とは合成非対称性カーブで異なる方向のピークの段差量にする事で、多くの変数(照明に使用する波長域においての照明波長の強度分布、光学系の分光透過率、光電変換素子の分光−光電変換効率、シリコンウエハー、レジストパターの分光反射率)を考慮した厳密な意味での最もコマ収差、照明系の不均一性を反映する段差量を使用する事になる。
【0059】
図1は本発明で提案した敏感な段差量と逆に鈍感な段差量を使用したデフォーカスTIS の計測結果を示している。敏感な段差量な場合には、フォーカスF2位置の前後で線形性がコマ収差の影響で変化している事がわかる。一方鈍感な段差量ではデフォーカスTIS はほとんど変化しない。
【0060】
次にレジスト厚について説明を行なう。レジスト厚については既にその厚さが敏感度を決めていて、レジストの屈折率には寄らない事を実験から判明している。図8はシリコンウエハー(第1マーク2)とレジストパターン(第2マーク3)を使用してTIS を計測する時にレジスト厚を変化させてTIS を求めた説明図である。
【0061】
この時、シリコンウエハーの段差量は、本発明の合成非対称性カーブの最初のマークの段差量である。レジスト厚をほぼλc /8ずつ変化させて、TIS を求めるとに3λc /8近傍(正しくはレジストの条件による合成非対称性カーブでの二番目のピーク)で最大TIS となり、5λc /8近傍(正しくはレジストの条件による合成非称性カーブでの三番目のピーク)で最小TIS となっている。
【0062】
これは、シリコンウエハーの段差量λ c /8近傍とレジスト厚3λc /8近傍との組合せでは前述の合成非対称性カーブで言う非対称性の方向が逆になり、TIS が最大となり、シリコンウエハーの段差量λ c /8近傍とレジスト厚5λc /8近傍との組合せでは、シリコンウエハーの段差量の非対称性の方向が同じ方向となる為、最小のTIS となるものである。
【0063】
図9にシリコンとレジストパターンの境界での光の振る舞いについての概略図を示す。重ね合せ検査装置の照明の波長に一般に使用されている波長域は、波長500nm から700nm の波長で、この波長に対してレジストは、透過性のある材質である。
【0064】
そこで、レジストの上部から散乱光(SL3,4 とSL9,10)と下部からの散乱光(SL2,5 とSL8,11)による干渉と、シリコンからの反射光(SL1 とSL12)とレジスト上面からの反射光(SL7 )とレジスト下面からの反射光(SL6 )からの干渉により、シリコンとレジストの境界の光学像は影響をうける事になる。
【0065】
この量は、レジスト厚をd 、レジストの屈折率をN とすると、図8の実験結果では、レジストの上部から散乱光(SL3,4 とSL9,10)と下部からの散乱光(SL2 とSL11)による干渉の空気領域(レジスト内の散乱光(SL5 とSL8 )ではなく)が支配的で、レジスト厚d によると言う事である。
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば、重ね合わせ検査装置の結像光学系の結像性能評価を高感度に行うことができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る結像性能評価方法の1つであるデフォーカスTIS 法を示す説明図
【図2】重ね合わせ検査装置の実施形態1の要部概略図
【図3】図2の重ね合わせ検査装置に偏心コマ収差が有る場合の像の対称性が、ウエハーの段差量で変化する事を示す図
【図4】既に提案されている評価方法の二マーク間隔計測法TIS 2 を示す図
【図5】コマ収差を変化させた時の二マーク間隔計測法TIS 2 の変化を示す図
【図6】照明系の垂直性を変化させた時の二マーク間隔計測法TIS 2 の変化を示す図
【図7】段差量と像の非対称性と波長500nm から700nm まで等しい強度分布の場合での合成非対称性カーブ示した図
【図8】シリコンウエハーとレジストパターを使用して、TIS を計測した時、レジスト厚を変化させたTIS を示す図
【図9】シリコンウエハーとレジストパターの境界での光の振る舞いを示した図
【図10】 TIS補正法を示す図
【図11】 TIS-WIS 相互作用による重ね合せ検査装置1、2での同一ウエハー使用での大きく異なった計測結果を示した図
【図12】図2の一部分の拡大説明図
【符号の説明】
1 ウエハー
2 重ね合わせ用第1マーク(シリコンエッチングウエハー)
3 重ね合わせ用第2マーク(レジストパターン)
4 ミラー
5 光源(例えばハロゲンランプ)
6 使用する照明波長
7 ファイバー
8 照明光学系
9 偏光ビームスプリッタ
10 λ/4板
11 対物レンズ
12 リレーレンズ
13 エレクター
14 CCD カメラ
15 コンピュータ

Claims (1)

  1. 重ね合わせ検査装置の結像光学系の結像性能を評価する結像性能評価方法であって、
    所定の段差量で計測マークを設けた基板に対し前記結像光学系の焦点深度内でフォーカスを変化させて該計測マークに基づく信号を検出し、該検出された信号に基づいて該計測マークの位置ずれの計測を行い、該フォーカスの変化に対する計測値の変化に基づいて該結像光学系の結像性能の評価基準を算出し、
    該計測マークは、該計測マークを照明する複数の波長を含む光に関して該段差量と該信号の非対称性との関係を示す非対称性カーブが最初のピークとなる段差量を有する、該基板のエッチングパターンとしての第1マークと、該非対称性カーブにおいて該非対称性が二番目のピークであって該最初のピークとは逆方向のピークとなる段差量を有する、レジストパターンとしての第2マークとを含み、
    前記信号の検出は、該第1マークと該第2マークとを180度回転させる前後それぞれにおいて行い、
    前記位置ずれの計測は、該第1マークと該第2マークとの位置ずれ量を計測し、
    前記評価基準の算出は、該第1マークと該第2マークとを180度回転させる前後における計測値の差の半分の値を算出し、該半分の値の該フォーカスの変化に対する変化に基づいて該結像光学系の結像性能の評価基準を算出する、
    ことを特徴とする結像性能評価方法。
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