JPH11297615A - 投影露光装置および該装置を用いた半導体デバイスの製造方法 - Google Patents

投影露光装置および該装置を用いた半導体デバイスの製造方法

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JPH11297615A
JPH11297615A JP10114161A JP11416198A JPH11297615A JP H11297615 A JPH11297615 A JP H11297615A JP 10114161 A JP10114161 A JP 10114161A JP 11416198 A JP11416198 A JP 11416198A JP H11297615 A JPH11297615 A JP H11297615A
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JP
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optical system
projection optical
measurement
coma aberration
pattern
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JP10114161A
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Tadashi Nagayama
匡 長山
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Original Assignee
Nikon Corp
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  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 露光を実際に行うことなく、簡素な機構によ
り投影光学系の残存コマ収差量を精度良く計測する。 【解決手段】 投影光学系の残存コマ収差量を計測する
ためのコマ収差計測系を備えている。コマ収差計測系
は、投影光学系の結像面に形成される計測用パターンの
空間像とナイフエッジパターンとを計測方向に沿って相
対移動させ、計測用パターンの空間像の強度分布を検出
する。そして、得られた強度分布を信号処理することに
より計測用パターンの空間像の絶対位置ズレを算出し、
算出した絶対位置ズレに基づいて投影光学系の残存コマ
収差量を検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は投影露光装置および
該装置を用いた半導体デバイスの製造方法に関し、特に
半導体素子または液晶表示素子等をリソグラフィー工程
で製造する際に使用される投影露光装置における投影光
学系の残存コマ収差量の計測に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、投影露光装置における投影光
学系の残存コマ収差量の計測方法として、ウエハ上に塗
布されたレジスト(感光部材)上に限界解像線幅に近い
5本ラインマークからなるマスクパターン像を投影露光
し、現像した後に残存したレジスト像の線幅を走査型電
子顕微鏡(SEM)で測定し、5つのボトム線幅のうち
両端の2つの線幅差から残存コマ収差量を求める方法が
ある。この方法では、投影露光装置の通常の焼き付けと
同様の過程でコマ収差計測用のパターンを焼き付けるた
め、特にコマ収差計測用の特別の機構を付設する必要も
なく投影光学系の残存コマ収差量を計測することができ
る。
【0003】また、投影光学系単体での製造調整時に
は、干渉計とミラーとを用いて投影光学系の波面収差を
測定することにより投影光学系の残存コマ収差量を計測
する方法や、投影光学系を介して形成されたマスクパタ
ーン空間像を結像光学系を介して2次元撮像素子に拡大
投影することにより空間像の劣化から投影光学系の残存
コマ収差量を計測する方法などが用いられている。干渉
計を用いる方法および空間像を用いる方法の使用は、製
造段階および調整段階における投影光学系の検査に限ら
れている。
【0004】また、走査型電子顕微鏡を用いる方法、干
渉計を用いる方法および空間像を用いる方法において、
計測することのできる収差はコマ収差に限定されること
なく、計測可能な諸収差の1つとしてコマ収差が位置づ
けられている。さらに、これらの方法により計測された
残存コマ収差量を規格内に追い込むことができるように
投影光学系には収差調整機構が設けられ、この収差調整
機構の作用により投影光学系の収差調整が良好になされ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、最終的
に製造された投影露光装置において装置に組み込まれた
投影光学系の残存コマ収差量を計測するには、焼き付け
られたレジスト像を走査型電子顕微鏡で観察するしかな
かった。この方法はレジスト像を用いた非常に直接的な
方法であるが、レジスト像の良否を判定するのに、焼き
付け、現像、SEM測定、計算処理などの多くの過程が
必要になり、非常に多くの時間および手間を要する。ま
た、SEMによるCD(Critical Dimension) ボトム線
幅測定は完全には自動化されておらず、測定者に起因す
る誤差の発生も考えられる。
【0006】一方、干渉計を用いる方法では、波面収差
測定装置の構成が大がかりであるため、この装置を投影
露光装置に組み込むと投影露光装置の本来の機能を損な
う可能性がある。また、波面収差測定装置の光学的な構
成が投影露光装置の光学的な構成とかなり異なるため、
最終的な製品としての投影露光装置に波面収差測定装置
を搭載することは現状では困難である。さらに、投影露
光装置に波面収差測定装置を搭載したとしても、投影露
光装置の重要な構成要素である超高速可動ウエハステー
ジやメイン照明光学系に対して波面収差測定装置が大き
な負荷を及ぼすものと考えられる。超高速可動ウエハス
テージやメイン照明光学系についてはより高性能を目指
した技術開発が現在も続いており、上述のような負荷は
回避することが望ましい。
【0007】また、マスクパターン空間像を結像光学系
を介して2次元撮像素子に拡大投影する方法では、空間
像を画像検出するために、ウエハステージの内部に空間
像検出用の結像光学系および2次元撮像素子を搭載しな
ければならない。一般に、ウエハステージの内部空間は
限られており、ウエハステージの内部に搭載される結像
光学系の大きさも制約を受けることになる。したがっ
て、結像光学系は、小型の光学系である必要がある。一
方、結像光学系は、投影光学系を介して形成された空間
像からの光に基づいて像を再形成する光学系である。し
たがって、結像光学系では、その性質上、投影光学系と
比較して十分小さな収差しか許容されない。その結果、
結像光学系を十分小型化することは困難であり、十分小
型化することのできない結像光学系をウエハステージの
内部に搭載して空間像の画像検出により投影光学系のコ
マ収差量を計測する方法は現実的ではない。
【0008】また、高速度で移動を繰り返すウエハステ
ージの内部に上述のようにほぼ無収差の結像光学系を搭
載した場合、発生する振動や熱の結像光学系への影響を
無視することができない。この観点においても、結像光
学系をウエハステージの内部に搭載して空間像の画像検
出により投影光学系のコマ収差量を計測する方法は現実
的ではない。本発明は、前述の課題に鑑みてなされたも
のであり、パターンの焼き付け、現像、SEM測定、計
算処理などの作業を実際に行うことなく、簡素な機構に
より投影光学系の残存コマ収差量を精度良く計測するこ
とのできる投影露光装置および該装置を用いた半導体デ
バイスの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明の第1発明では、マスクを照明するための照
明光学系と、前記マスクに形成された転写用パターンの
像を感光性基板上に投影するための投影光学系と、該投
影光学系の残存コマ収差量を計測するためのコマ収差計
測系とを備えた投影露光装置において、前記コマ収差計
測系は、前記投影光学系の結像面に位置決めされ、計測
方向と交差する方向に沿ったエッジラインを有するナイ
フエッジパターンが形成された計測部材と、前記計測方
向に沿った複数の計測用パターンを有する基準部材が前
記投影光学系の物体面に設定されることにより、前記投
影光学系の結像面に形成される前記各計測用パターンの
空間像からの光を前記ナイフエッジパターンを介して検
出するための光電検出手段と、前記投影光学系の結像面
に形成される前記各計測用パターンの空間像と前記ナイ
フエッジパターンとを前記計測方向に沿って相対移動さ
せるための相対移動手段と、前記相対移動手段により前
記各計測用パターンの空間像と前記ナイフエッジパター
ンとを相対移動させたときの前記光電検出手段からの光
量変化情報に基づいて、前記計測用パターンの空間像の
強度分布を前記各計測用パターン毎に検出するための強
度分布検出手段と、前記強度分布検出手段で得られた強
度分布を信号処理することにより前記各計測用パターン
の位置ズレを算出し、算出した前記位置ズレに基づいて
前記投影光学系の残存コマ収差量を検出するための処理
系とを備えていることを特徴とする投影露光装置を提供
する。
【0010】また、本発明の第2発明では、マスクを照
明するための照明光学系と、前記マスクに形成された転
写用パターンの像を感光性基板上に投影するための投影
光学系と、該投影光学系の残存コマ収差量を計測するた
めのコマ収差計測系とを備えた投影露光装置において、
前記コマ収差計測系は、前記投影光学系の結像面に位置
決めされ、計測方向と交差する方向に沿ったエッジライ
ンを有するナイフエッジパターンが形成された計測部材
と、前記投影光学系の物体面に設定された基準部材に形
成された計測用パターンに基づいて前記投影光学系の結
像面に形成される前記計測用パターンの空間像からの光
を前記ナイフエッジパターンを介して検出するための光
電検出手段と、前記投影光学系の結像面に形成される前
記計測用パターンの空間像と前記ナイフエッジパターン
とを前記所定方向に沿って相対移動させるための相対移
動手段と、前記相対移動手段により前記計測用パターン
の空間像と前記ナイフエッジパターンとを相対移動させ
たときの前記光電検出手段からの光量変化情報に基づい
て、前記計測用パターンの空間像の強度分布を検出する
ための強度分布検出手段と、前記強度分布検出手段で得
られた空間像強度分布の信号波形の一端の谷部または山
部の基準強度における幅と前記信号波形の他端の谷部ま
たは山部の前記基準強度における幅とに基づいてコマ収
差判定係数を求め、求めたコマ収差判定係数に基づいて
前記投影光学系の残存コマ収差量を検出するための処理
系とを備えていることを特徴とする投影露光装置を提供
する。
【0011】また、本発明の第3発明では、マスクを照
明するための照明光学系と、前記マスクに形成された転
写用パターンの像を感光性基板上に投影するための投影
光学系と、該投影光学系の残存コマ収差量を計測するた
めのコマ収差計測系とを備えた投影露光装置において、
前記コマ収差計測系は、前記投影光学系の結像面に位置
決めされ、計測方向と交差する方向に沿ったエッジライ
ンを有するナイフエッジパターンが形成された計測部材
と、前記投影光学系の物体面に設定された基準部材に形
成された計測用パターンに基づいて前記投影光学系の結
像面に形成される前記計測用パターンの空間像からの光
を前記ナイフエッジパターンを介して検出するための光
電検出手段と、前記投影光学系の結像面に形成される前
記計測用パターンの空間像と前記ナイフエッジパターン
とを前記所定方向に沿って相対移動させるための相対移
動手段と、前記相対移動手段により前記計測用パターン
の空間像と前記ナイフエッジパターンとを相対移動させ
たときの前記光電検出手段からの光量変化情報に基づい
て、前記計測用パターンの空間像の強度分布を検出する
ための強度分布検出手段と、前記強度分布検出手段にお
いて得られた合成空間像強度分布を信号処理することに
より、前記結像面に形成される前記計測用パターンの空
間像の所定の2つの空間周波数成分に対するフーリエ係
数を求め、求めた各フーリエ係数に基づいて前記計測用
パターンに関する2つの空間周波数成分間の前記結像面
上の相対位置ずれを算出し、算出した前記相対各位置ず
れに基づいて投影光学系の残存コマ収差量を検出するた
めの処理系とを備えていることを特徴とする投影露光装
置を提供する。
【0012】また、本発明の第4発明では、第1発明乃
至第3発明の投影露光装置を用いて半導体デバイスを製
造する方法において、前記投影光学系の物体面に前記計
測用パターンが形成された前記基準部材を設定し、前記
コマ収差計測系によって前記投影光学系に残存するコマ
収差を計測する計測工程と、前記投影光学系に残存する
コマ収差を補正する補正工程と、前記投影光学系の物体
面に転写用パターンが形成された転写用マスクを設定
し、該転写用マスクを前記照明光学系により照明する露
光用照明工程と、前記投影光学系を介して前記露光用マ
スクのパターンを前記感光性基板に露光する露光工程と
を含むことを特徴とする半導体デバイスの製造方法を提
供する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明では、複数の計測用パター
ンが形成された基準部材を投影光学系の物体面に位置決
めするとともに、各計測用パターンの計測方向と交差す
る(たとえば直交する)方向に沿ったエッジラインを有
するナイフエッジパターンが形成された計測部材を投影
光学系の結像面に位置決めする。そして、投影光学系の
結像面に形成される各計測用パターンの空間像とナイフ
エッジパターンとを所定方向に沿って相対移動させなが
ら、投影光学系の結像面に形成された各計測用パターン
の空間像からの光をナイフエッジパターンを介して光電
検出する。
【0014】こうして、各計測用パターンの空間像とナ
イフエッジパターンとの相対スキャンに伴って検出され
る光量変化情報に基づいて、各計測用パターンの空間像
の強度分布が検出される。検出された空間像強度分布は
信号処理され、各計測用パターンの位置ずれをそれぞれ
算出し、その算出された各位置ずれに基づいて投影光学
系の残存コマ収差量が検出される。
【0015】例えば、信号処理の一例として、処理系に
おいて、結像面に形成される計測用パターン像の固有の
ピッチを基準とする所定の空間周波数成分に対する複数
のフーリエ係数が各計測用パターン毎にそれぞれ求めら
れる。次いで、処理系において、上記各計測用パターン
毎に求めた複数のフーリエ係数に基づいて計測用パター
ンの空間像の結像面上の位置ずれを算出し、算出した各
位置ずれに基づいて投影光学系の残存コマ収差量が検出
される。このように、以上の実施の形態では、計測用マ
スクの所定の領域に形成された複数の計測パターンによ
って、上記所定の領域に対応する投影光学系の結像面の
領域における投影光学系の残存コマ収差量が定量的に検
出される。すなわち、複数の計測用パターンによって投
影光学系に関する1つのコマ収差量が検出される。
【0016】また、本発明の別の第1態様によれば、あ
る1つの計測用パターンに関して得られた空間像強度分
布の信号波形の一端の谷部または山部の基準強度(スラ
イスレベル)における幅と信号波形の他端の谷部または
山部の基準強度における幅とに基づいてコマ収差判定係
数c’を求める。本発明のコマ収差判定係数c’は、従
来技術において現像した後に残存したレジスト像の線幅
に基づいて算出されるコマ収差判定係数cに相当してい
る。したがって、本発明において求めたコマ収差判定係
数c’に基づいて、投影光学系の残存コマ収差量が検出
される。以上の本発明の第1態様では、計測用マスクの
所定の領域に形成された1つの計測パターンによって、
上記所定の領域に対応する投影光学系の結像面の領域に
おける投影光学系の残存コマ収差量が定量的に検出され
る。すなわち、1つの計測用パターンによって投影光学
系に関する1つのコマ収差量が検出される。
【0017】また、本発明のさらに別の第2態様によれ
ば、ある1つの計測用パターンに関して得られた空間像
強度分布に所定の信号処理をすることにより、投影光学
系の結像面に形成される計測用パターンの空間像の所定
の2つの空間周波数成分に対するフーリエ係数が求めら
れる。次いで、求めた各フーリエ係数に基づいて計測用
パターンに関する2つの空間周波数成分間の結像面上の
相対位置ずれを算出し、算出した相対各位置ずれに基づ
いて投影光学系の残存コマ収差量が検出される。
【0018】この本発明の第2態様による信号処理の例
として、処理系において、ある1つの計測用パターンに
関して得られた空間像強度分布に基づいて、結像面に形
成される計測用パターン像の固有のピッチを基準とする
所定の第1空間周波数に対する第1フーリエ係数および
その計測用パターン像の固有のピッチと所定の関係にあ
る所定のピッチを基準とする所定の第2空間周波数に対
するフーリエ係数が求められる。次いで、処理系におい
て、求められた第1フーリエ係数および第2フーリエ係
数に基づいて第1空間周波数成分と第2空間周波数成分
との間での結像面上の相対位置ずれが算出され、算出さ
れた相対位置ずれに基づいて投影光学系の残存コマ収差
量が検出される。以上の本発明の第2態様では、計測用
マスクの所定の領域に形成された1つの計測パターンに
よって、上記所定の領域に対応する投影光学系の結像面
の領域における投影光学系の残存コマ収差量が定量的に
検出される。すなわち、1つの計測用パターンによって
投影光学系に関する1つのコマ収差量が検出される。
【0019】このように、本発明によれば、パターンの
焼き付け、現像、SEM測定、計算処理などの作業を実
際に行うことなく簡素な機構により、投影光学系の残存
コマ収差量を精度良く計測することができる。すなわ
ち、投影光学系のNAや、照明光学系のNAや、照明条
件(通常照明、輪帯照明、変形照明など)を変更し、投
影光学系の結像に重要な影響が及んだとしても、投影光
学系の残存コマ収差量を容易に随時計測することができ
る。その結果、計測した残存コマ収差量に基づいて投影
光学系の収差補正を行い、収差状態の良好な投影光学系
を介して良好な半導体デバイスを製造することができ
る。
【0020】本発明の実施例を、添付図面に基づいて説
明する。図1は、本発明の実施例にかかる投影露光装置
の構成を概略的に示す図である。図1では、投影光学系
10の光軸AXに平行にZ軸が、投影光学系10の光軸
AXに垂直な面内において図1の紙面に平行にX軸が、
投影光学系10の光軸AXに垂直な面内において図1の
紙面に垂直にY軸がそれぞれ設定されている。
【0021】図1の投影露光装置は、露光光源として、
たとえば水銀ランプからなる光源1を備えている。な
お、露光光として、例えば水銀ランプのg線やi線など
の輝線や、KrF、ArFなどを媒体としたエキシマレ
ーザ光などを用いることができる。光源1は、回転楕円
面からなる反射面を有する楕円反射鏡2の第1焦点位置
に位置決めされている。したがって、光源1から射出さ
れた照明光束は、楕円反射鏡2の第2焦点位置3に光源
像を形成する。
【0022】楕円反射鏡2の第2焦点位置3に形成され
た光源像からの光束は、インプットレンズ4によりほぼ
平行な光束に変換された後、所望の波長域の光束のみを
透過するバンドパスフィルター(不図示)に入射する。
バンドパスフィルターで選択された露光波長(たとえば
波長365nmのi線、または波長436nmのg線
等)の照明光は、フライアイインテグレータ5に入射す
る。フライアイインテグレータ5に入射した光束は、フ
ライアイインテグレータ5を構成する複数のレンズエレ
メントにより分割され、フライアイインテグレータ5の
射出側の焦点面に複数の光源像からなる二次光源を形成
する。
【0023】二次光源からの光束は、フライアイインテ
グレータ5の射出側の焦点面の近傍に配置された開口絞
り6により制限された後、コンデンサーレンズ7および
折り曲げミラー8を介して、下面に所定のパターンが形
成されたマスク9を重畳的に照明する。マスク9は、X
Y平面内においてマスクステージ12上に支持されてい
る。マスクステージ12のXY座標、ひいてはマスク9
のXY座標は、不図示のマスクステージ用レーザ干渉計
により常時計測されている。マスク9のパターンを透過
した光束は、投影光学系10を介して、感光性基板であ
るウエハ11に達する。こうして、ウエハ11上には、
マスク9のパターン像が形成される。
【0024】ウエハ11は、ウエハホルダ13を介して
XY平面内においてウエハステージ14上に支持されて
いる。ウエハステージ14は、XY平面内において二次
元的にウエハ11の位置決めを行うXYステージ、Z方
向に沿ってウエハ11の位置決めを行うZステージ、お
よびウエハ11の傾斜角の補正を行うレベリングステー
ジ等から構成されている。なお、XYステージ、Zステ
ージおよびレベリングステージは、処理系43により駆
動系45を介して駆動制御されるように構成されてい
る。また、ウエハステージ14のXY座標、ひいてはウ
エハ11のXY座標は、不図示のウエハステージ用レー
ザ干渉計により常時計測されている。
【0025】したがって、駆動系45を介してウエハス
テージ14を、ひいてはウエハ11を二次元的に駆動制
御しながら投影露光を行うことにより、ウエハ11の各
露光領域にマスク9のパターンを逐次転写することがで
きる。ウエハステージ14上のウエハホルダ13の近傍
には、たとえば光透過性のガラス基板からなるステージ
基板15が設けられている。なお、ステージ基板15の
上面は、ウエハ11の露光面とほぼ同じ高さ(Z方向に
ほぼ同じ位置)に設定されている。ステージ基板15の
上面には、所定のナイフエッジパターンが形成されてい
るが、その詳細については後述する。
【0026】また、ウエハステージ14の上方には、ウ
エハ11の表面(すなわち露光面)の位置またはステー
ジ基板15の表面(すなわち上面)の位置を検出するた
めの焦点検出系が設けられている。この焦点検出系は、
ウエハ11の表面またはステージ基板15の表面に斜め
から光を照射するための照射部40と、ウエハ11の表
面またはステージ基板15の表面からの反射光の位置を
検出するための焦点検出部41とで構成されている。焦
点検出部41は、ウエハ11の表面またはステージ基板
15の表面からの反射光の位置に基づいて、ウエハ11
の表面またはステージ基板12の表面の位置(Z方向の
高さ位置)を検出する。なお、焦点検出部41からの検
出信号は、処理系43へ供給される。
【0027】図2は、投影光学系の残存コマ収差量の計
測に際して用いられる計測用マスクに形成された収差計
測用パターンを模式的に示す図である。図2に示すよう
に、計測用マスクの下面には、ラインアンドスペース
(以下、「L/S」と表記する)パターンが計測用パタ
ーンとして多数形成されている。なお、図2において、
黒線部分は光透過部であり、白色部分は遮光部である。
各計測用パターンの構成的特徴については、図3を参照
して後述する。
【0028】多数の計測用パターンは4つのパターン群
に分けられ、各パターン群はピッチの異なるM個の計測
用パターンを有する。また、各パターン群は、ピッチ方
向がX軸に対してそれぞれ0度、45度、90度、13
5度の方向を向くように配列されている。したがって、
各計測用パターンをLS(m,n) (m=1〜M,n=0,
45,90,135)と表記することができる。すなわ
ち、ピッチ方向がX軸に対して0度の方向を向いた第1
パターン群は、M個の計測用パターンLS(1,0) 、LS
(2,0) ・・・LS(M,0) を有する。また、ピッチ方向が
X軸に対して45度の方向を向いた第2パターン群は、
M個の計測用パターンLS(1,45)、LS(2,45)・・・L
S(M,45)を有する。以下、ピッチ方向がX軸に対して9
0度の方向を向いた第3パターン群およびピッチ方向が
X軸に対して135度の方向を向いた第4パターン群に
ついても同様である。これら4つのパターン群は、計測
用マスクの下面においてN個の位置に配置されている。
【0029】図3は、各計測用パターンの構成的特徴に
ついて説明する図である。図3において斜線で示す部分
は遮光部30であり、遮光部30はたとえば露光光に対
する遮光性を有するクロムなどの蒸着膜により形成され
ている。図3に示すように、各計測用パターンには、図
中鉛直方向に沿って延びた矩形状の光透過部(ライン)
31が図中水平方向に沿って所定のピッチで所定の本数
(図3では6本)だけ配列されている。なお、各パター
ンの絶対位置は座標計測されており、各パターン間の相
対位置関係も容易に知ることができる。
【0030】図4は、ステージ基板の上面に形成された
ナイフエッジパターンを示す図である。図4に示すよう
に、ステージ基板15の上面は全体的に遮光部(図中斜
線で示す)50で覆われ、この遮光部50の所定位置に
2つの正方形状の光透過部51および52が形成されて
いる。遮光部50は、たとえば露光光に対する遮光性を
有するクロムなどの蒸着膜により形成されている。
【0031】正方形状の光透過部51の対向する2つの
辺51aおよび51bはX軸に対して90度の方向を向
くように配置され、他の対向する2つの辺51cおよび
51dはX軸に対して0度の方向を向くように配置され
ている。一方、正方形状の光透過部52の対向する2つ
の辺52aおよび52bはX軸に対して135度の方向
を向くように配置され、他の対向する2つの辺52cお
よび52dはX軸に対して45度の方向を向くように配
置されている。したがって、辺51aおよび51bを挟
む遮光部50および光透過部51の部分は、辺51aお
よび51bからなるナイフエッジ(エッジライン)の法
線がX軸に対して0度の方向を向いたナイフエッジパタ
ーンKE(0) を構成している。
【0032】また、辺51cおよび51dを挟む遮光部
50および光透過部51の部分は、辺51cおよび51
dからなるナイフエッジの法線がX軸に対して90度の
方向を向いたナイフエッジパターンKE(90)を構成して
いる。さらに、辺52aおよび52bを挟む遮光部50
および光透過部52の部分は、辺52aおよび52bか
らなるナイフエッジの法線がX軸に対して45度の方向
を向いたナイフエッジパターンKE(45)を構成してい
る。また、辺52cおよび52dを挟む遮光部50およ
び光透過部52の部分は、辺52cおよび52dからな
るナイフエッジの法線がX軸に対して135度の方向を
向いたナイフエッジパターンKE(135) を構成してい
る。
【0033】再び図1を参照すると、ステージ基板15
の図中下方には、投影光学系10を介して形成される計
測用パターンの空間一次像からの光を集光して計測用パ
ターンの空間二次像を形成するための集光光学系16が
設けられている。集光光学系16の図中下方には、集光
光学系16による空間二次像の形成面に位置決めされた
受光面を有する受光センサ18が設けられている。受光
センサ18の出力は、処理系43に供給される。なお、
集光光学系16は、収差が良好に補正された光学系であ
る必要はなく、空間一次像からの光を受光センサ18の
受光面上にほぼ集光する程度の光学系で十分である。ま
た、受光センサ18は、受光する光束に対して十分広い
面積を有し、受光面の感度ムラおよび受光光に対する角
度方向の感度ムラの少ないことが望ましい。なお、本実
施例では、集光光学系16の光路中に空間一次像からの
光を拡散するための拡散板17が配置されているので、
受光センサ18で受光する際の受光面感度ムラの影響を
抑制することができる。
【0034】次に、本実施例において、投影光学系10
を介してその結像面に形成される計測用パターンの空間
像の強度分布(強度−位置)を検出し、検出した空間像
強度分布に基づいて投影光学系10の残存コマ収差量を
計測する動作について説明する。まず、図2に示す計測
用マスクをマスクステージ12上に載置して、図1に示
すように、計測用マスクのパターン面を投影光学系10
の物体面と一致するように設定する。そして、計測用マ
スクのパターンの空間像強度分布の検出に際して、投影
光学系10の下方にステージ基板15が位置するよう
に、駆動系45を介してウエハステージ14を移動させ
る。この状態において、ステージ基板15上には、投影
光学系10を介して計測用マスクのパターン空間像が形
成される。
【0035】この状態で、駆動系45を介してウエハス
テージ14を所定方向に沿って移動させることによっ
て、計測用パターンのうちの所定のパターン群の空間像
に対してステージ基板15上の所定のナイフエッジパタ
ーンを走査しながら、ナイフエッジパターンを介した空
間像からの光を集光光学系16および拡散板17を介し
て受光センサ18で受光する。こうして、処理系43で
は、図5に示すように、受光センサ18からの出力に基
づいて、空間像に対応した光量分布が得られる。なお、
図5において、横軸は時間であり、縦軸は光量である。
処理系43では、図5に示す光量分布を時間で微分する
ことによって、図6に示すように、空間像の時間に関す
る強度分布(縦軸が強度で横軸が時間)を検出すること
ができる。
【0036】さらに、処理系43では、図6の空間像の
時間に関する強度分布とウエハステージ用のレーザ干渉
計からの位置情報とに基づいて時間情報を位置情報に換
算し、図7に示すように、空間像の位置に関する強度分
布(縦軸が強度で横軸が位置)を検出する。こうして得
られた計測用パターン空間像の強度分布は、投影光学系
10を介してその結像面に形成される計測用パターンの
空間像の実際の強度分布と良く一致している。
【0037】本実施例では、時分割で光量分布を取得し
時間に関する強度分布を得た後、干渉計の位置情報に基
づいて位置に関する強度分布を検出するものとしている
が、別の手法であっても良い。例えば、ステージを駆動
しながら干渉計の位置情報を非常に短い時間間隔で継続
的に取り込み、所望のステージ位置に達したとき同時に
受光素子から信号電圧取り込みを行うことにより、直接
位置に関する強度分布を得ることができる。
【0038】ところで、本実施例では、計測用マスクの
N個の位置に4つのパターン群LS(m,0) 、LS(m,4
5)、LS(m,90)およびLS(m,135) がそれぞれ配置され
ている。したがって、各位置において、4つのパターン
群LS(m,0) 、LS(m,45)、LS(m,90)およびLS(m,1
35) の各空間像と、ナイフエッジパターンKE(0) 、K
E(45)、KE(90)およびKE(135) とを対応する方向に
それぞれ相対スキャンさせることになる。この相対スキ
ャンは、XY平面においてL/Sパターンのピッチ方向
に駆動系(不図示)を介してマスクステージ12を移動
させて(すなわち空間像を移動させて)行っても良い
し、あるいはXY平面においてナイフエッジパターンの
エッジラインの法線方向に駆動系45を介してウエハス
テージ14を移動させて(すなわちナイフエッジを移動
させて)行っても良い。
【0039】こうして、投影光学系10の結像面上の各
位置L(m,n)(ただし、m=1〜M、n=0、4
5、90、135)に形成される4つのパターン群(L
S(m,0) 、LS(m,45)、LS(m,90)、LS(m,135) )の
空間像の各々に対する空間像強度分布を得ることができ
る。なお、空間像強度分布は、4つのすべての方向につ
いて計測することもできるし、各位置でのサジタル方向
とメリディオナル方向との2方向について計測すること
もできる。また、パターン群に対してナイフエッジパタ
ーンが相対的に回転誤差をもつときは、マスクステージ
を微小回転させてナイフエッジパターンに合わせ込めば
よい。
【0040】以上においては、図2および図3に示され
るように、複数のパターン対を持つ計測用マスク上の各
パターン群(LS(m,0) 、LS(m,45)、LS(m,90)、L
S(m,135) )を用いて、投影光学系10を介して得られ
る各計測用パターンの空間像を図4に示すナイフエッジ
パターンを走査させながら受光センサー18にて各計測
用パターンの空間像の位置に関する強度分布を光電検出
する手法並びに各計測用パターンの最適な構成について
説明した。
【0041】次に、以下において、受光センサー18か
らの出力に基づいて処理系43での動作について説明す
る。処理系43内の空間像強度分布検出部43aは、投
影光学系10の結像面内の各位置L(m,n)(ただ
し、m=1〜M、n=0、45、90、135)に形成
された各パターン群の空間像強度分布に関する計測結果
に対して、デジタル処理により微分・スムージング処理
を行い、ノイズ成分を除去した各空間像強度分布データ
を得る(図7参照)。
【0042】その次に、処理系43内のフーリエ係数導
出部43bは、まず、空間像強度分布検出部43aから
出力される各計測用パターン毎の多数の空間像強度分布
(図7参照)に関するデータに基づいて、各空間像強度
分布の中心位置をウエハステージ用レーザ干渉計を介し
て電気的に検出する。一例として、フーリエ係数導出部
43bは、図7に示されるある計測用パターンの空間像
強度分布の両端のピーク位置A、Bを電気的に検出し、
(A+B)/2の関係から得られる中点を電気的に求
め、各計測用パターンの空間像強度分布毎に各空間像強
度分布の中心位置Cをそれぞれ求める。そして、これら
の中心位置Cは各計測用パターンの空間像強度分布の基
準位置とされる。
【0043】同時に、フーリエ係数導出部43bにて得
られる各空間像強度分布の基準位置は、干渉計47によ
って位置検出されるウエハステージ14の2次元的な座
標位置に関する位置情報に基づいて、ウエハステージ1
4の2次元的な座標位置上での対応づけが行われる。こ
こで、説明を分かりやすくするために、図3に示す計測
用パターン31と図7に示す空間像強度分布を代表させ
て、フーリエ係数導出部43bにおけるフーリエ係数の
算出について説明する。
【0044】今、図3に示す計測用パターン31は、そ
れぞれx方向に沿って周期的なピッチPを有しているも
のと仮定し、図7に示す空間像強度分布の情報はウエハ
ステージ14をx方向へ移動させたことにより受光セン
サー18および空間像強度分布検出部43aを介してフ
ーリエ係数導出部43bに出力されたものであると仮定
する。図7に示す空間像強度分布を位置xの関数として
i(x)とし、ウエハステージ14の座標位置における
空間像強度分布の中心位置(基準位置)Cを原点とす
る。すると、以下に示すように、図3に示す計測用パタ
ーン31においては、その計測用パターン31の像(空
間像)のピッチpを基準とする空間周波数(1/p)を
持つサイン関数およびコサイン関数で表現できる2つの
フーリエ係数(a、b)を得ることができる。
【0045】
【数1】
【0046】したがって、フーリエ係数導出部43b
は、以上にて述べたフーリエ係数導出手法によって各計
測用パターン毎の2つのフーリエ係数を算出する。さ
て、次に、フーリエ係数導出部43bから出力される各
計測用パターン群毎の2つのフーリエ係数の情報に関す
るデータに基づいて、位置ずれ検出部43cは、それぞ
れ原点からの位相ずれ成分に対応する計測用パターンの
ピッチを掛け合せることにより、投影光学系10の結像
面での位置ずれを算出する。すなわち、位置ずれ検出部
43cは、計測用パターンの空間像強度分布の中心位置
(基準位置)としての原点位置からの計測用パターン像
の空間周波数成分(1/p)の結像面での位置ずれ量Δ
を各計測パターン毎にそれぞれ算出する。
【0047】例えば、前述した2つのフーリエ係数
(a、b)を例として挙げると、空間像強度分布の中心
位置(基準位置)としての原点位置からの計測用パター
ン31の像の空間周波数成分(1/p)の位置ずれ量Δ
は、角度の単位をラジアンとして、以下のようになる。 Δ=(p/2π)・tan -1(b/a)
【0048】また、計測用マスク上に形成される各計測
用パターンの絶対位置は予め処理系43の内部の記憶部
(位置ずれ検出部43c内部の記憶部)に記憶されてお
り、さらに、投影光学系10の光軸の位置は、干渉計4
7にて得られるウエハステージ14の2次元的な位置情
報から得られるウエハステージの座標系に対応付けられ
て予め処理計43の内部の記憶部(位置ずれ検出部43
c内部の記憶部)に記憶されている。したがって、位置
ずれ検出部43cは、各計測パターンが投影光学系10
の像面上に形成される時のウエハステージ座標での各計
測パターンの絶対位置L(m,n)を投影光学系10の
投影倍率βから換算して求める。
【0049】ここで、投影光学系10の像面上に形成さ
れる計測用パターンLS(m,n)の像(空間像)のピ
ッチをp(m,n)とし、フーリエ係数導出部43bに
て既に求められた各計測用パターンLS(m,n)の像
(空間像)毎に定めた原点Oにおけるウエハステージ座
標系での位置をO(m,n)とし、各計測用パターンL
S(m,n)の像(空間像)の原点O(m,n)からの
空間周波数成分(1/p)のずれをΔ(m,n)とする
と、各計測用パターンLS(m,n)の像(空間像)が
投影光学系10の結像面に本来投影されるべき位置から
の空間周波数成分(1/p)の絶対的位置ずれ量Δ’
(m,n)は以下の式にて算出される。
【0050】Δ’(m,n)=Δ(m,n)+O(m,
n)−L(m,n) 但し、m=1〜Mであり、n=0、45、90、135
である。したがって、位置ずれ検出部43cは、上式に
基づいて各計測用パターンLS(m,n)の像(空間
像)の空間周波数成分(1/p)の絶対的位置ずれ量
Δ’(m,n)をそれぞれ算出する。
【0051】次いで、処理系43内のコマ収差検出部4
3dにおいて、位置ずれ検出部43cで得られた各方向
毎の各計測パターン像のピッチ間の絶対位置ずれを統合
し、ある1つの計測パターン像のピッチを基準として、
図9(a)および(b)に示すような多数の計測パター
ン像のピッチ間の相対位置ずれ関係を求めることができ
る。
【0052】ここで、相対位置ずれ関係について説明す
る。例えば、0°方向の3個の計測用パターンのピッチ
をそれぞれP(1,0)、P(2,0)、P(3,0)
とし、それら3個の計測用パターン像のピッチをそれぞ
れp(1,0)、p(2,0)、p(3,0)とし、そ
れら3個の計測用パターン像に対する投影光学系10で
の空間周波数成分(1/ピッチ)の結像面での絶対位置
ずれ量をそれぞれΔ’(1,n)、Δ’(2,0)、
Δ’(3,0)とする。すると、位置ずれ検出部43c
において、これらの絶対位置ずれ量Δ’(1,n)、
Δ’(2,0)およびΔ’(3,0)がそれぞれ求めら
れる。
【0053】ここで、例えば、p(1,0)=0.8μ
m、p(2,0)=1.2μm、p(3,0)=3μm
とする。そして、横軸をピッチとし、縦軸を相対ずれ量
とし、グラフの基準となるピッチとして例えばp1
(1,0)をとり、その相対位置ずれ量を零とする。但
し、図9(b)においては、p(1,0)をP1、p
(2,0)をP2、p(3,0)をP3、Δ’(1,
n)をΔ1、Δ’(2,n)をΔ2、Δ’(3,n)を
Δ3としてそれぞれ示している。その後、ピッチp1
(1,0)を基準とした各ピッチ毎の相対位置ずれ量
(図9では、Δ2−Δ1およびΔ3−Δ1)をそれぞれ
求めれば、図9(b)に示すように、コマ収差が残存し
ている場合の複数ピッチに対する相対位置ずれ関係が得
られる。
【0054】以上の方法でより多くのピッチ間の相対位
置ずれ関係を求め、グラフ表示した例が図9(a)であ
り、図9(a)ではコマ収差が残存している例を示して
いる。また、図9(a)では全体の傾向を表すために、
計測点間を滑らかな線で結んで表示してる。ここで、図
9(a)に示す縦軸の絶対位置は重要ではなく、計測し
た最小ピッチの値を零としておく。次に、コマ収差検出
部43dは、図9(a)に示される関係から相対位置ず
れ関係の最小ピッチの値(ここでは零)を基準とし、各
ピッチ成分での相対位置ずれ量の平均値と分散値を求
め、さらに平均値から最小ピッチでの値(ここでは零)
を引いたときの符号を求める。このとき、この求められ
た分散値および符号は、投影光学系10を介してその結
像面において発生するコマ収差の大きさおよびその符号
との間に相関関係を有する。
【0055】したがって、コマ収差検出部43dは、所
定の適切な関数(1次関数等)を用いて、求めた分散値
および符号から投影光学系10の残存コマ収差量を算出
する。このように、投影光学系10の結像面上の各位置
L(m,n)(但し、m=1〜M,n=0,45,9
0,135)に形成されるパターン対の像での計測を繰
り返すことにより、投影光学系10の残存コマ収差量を
計測することができる。また、最小ピッチは投影光学系
で解像できる最小ピッチに近い方が望ましい。
【0056】なお、以上においては、処理系43では図
2に示した4つのパターン群を用いることで投影光学系
10に残存する1つのコマ収差量を計測することについ
て説明したが、実際の計測用マスクには、図2に示した
4つのパターン群がN個形成されている。したがって、
計測マスク上の異なる位置に形成された4つのパターン
群をそれぞれ用いて、処理系43は以上にて述べた処理
をN回行い、N個のコマ収差量を検出する。
【0057】また、図9は計測方向nのうちある1つの
方向に関する相対位置関係を示したもので、残存コマ収
差がある時の一例を示している。このように、相対位置
関係とすることにより、前記投影光学系の光軸のウエハ
ステージ座標系での位置設定に計測誤差があったとして
も影響を受けることがない。なお、本実施例ではフーリ
エ係数による位相ズレ検出法により、各パターン像のピ
ッチ毎の相対位置関係を計測しているが、他の方法で計
測を行っても構わない。例えば、前記各パターン像の強
度分布に対して、任意の基準強度(スライスレベル)に
対する各位置座標を求め、パターンの中心座標を演算処
理にて求めることができる。
【0058】一般的に、投影光学系のコマ収差の状態
は、物体面上の1点から出た光線が像面上に到達する際
に発生する横収差量が開口数(NA)の2乗に比例して
大きくなるような分布を有する低次成分(ザイデルの5
収差で定義されるコマ収差と同様の収差形状であり3次
コマ収差とも言う)と、この低次成分に加算され横収差
分布にうねりを生じさせる高次成分とに区分される。低
次成分および高次成分は、設計値においても若干は残存
しているが、各成分の量は必要十分に小さく補正されて
いることが多い。
【0059】一方、投影光学系の製造時および実使用時
においては、一般的に以下のような収差発生要因がある
と考えられる。低次コマ収差は、レンズ製造時にはレン
ズ曲率半径誤差、レンズ間隔誤差、レンズ(またはレン
ズ群)偏心誤差、屈折率誤差により発生する成分であ
り、実使用時には設置温度変化や大気圧変動(環境の屈
折率変化)等の微少変化時に発生する成分である。一
方、高次コマ収差は、製造時にはレンズ表面の凹凸など
のような曲率半径誤差以外の成分や屈折率のレンズ内不
均一分布誤差により発生する成分であり、実使用時には
温度分布のレンズ内不均一等により発生する成分である
と言われている。また、製造時の誤差成分は静的なもの
であり製造以後には変動はしないが、実使用時の誤差成
分は動的なものであり性能の変動要因になり得るもので
ある。ただし動的な変動要因としては、コマ収差変動は
一般的に小さく、倍率変動の方が圧倒的に大きく問題に
なることが多い。
【0060】本実施例によるコマ収差計測はコマ収差と
相関関係のある測定値(分散値および符号)を求めるも
のであるが、求める測定値と低次コマ収差の変化とは非
常に良い相関関係を示し、特に微少発生領域では相関関
係を一次関数で良好に近似することができる。但し、こ
の相関関係は、照明系の照明条件(照明NAや変形照
明)によって変化するという性質を持っている。
【0061】投影光学系10において低次コマ収差成分
しか発生していない場合には、照明条件の変化により前
記相関関係自体は変化するが、投影光学系10の収差調
整機構等により低次コマ収差成分をほぼ0に補正するこ
とができれば、コマ収差自体がほぼ0となるため照明条
件の違いに関わりなく前記分散値はほぼ0になる。換言
すると、ある照明条件において、投影光学系10のコマ
収差をほぼ0に調整することができれば、他の照明条件
においても同様に投影光学系10のコマ収差はほぼ0に
なり得る。つまり、前記相関関係の定数項は照明条件の
違いに関わらず0であり、一次係数(傾き)のみ異なる
と考えられる。また、このような低次コマ収差調整機構
は、投影光学系10を構成する光学部品の間隔調整や偏
心・ティルト調整、レンズ内部圧力の部分変更等により
容易に実現される。
【0062】ところが、投影光学系10において高次コ
マ収差成分が残存している場合には、ある照明条件で前
記分散値がほぼ0になるように調整しても、他の照明条
件においては前記分散値は0にならない。これは、高次
コマ収差成分が残存している場合には前記相関関係の定
数項が0でなく、照明条件に依存して変化することを意
味している。各照明条件毎に前記相関関係の定数項を求
めることができれば、求めた定数項が残存高次コマ収差
量の指標となり得る。例えば、使用する照明条件毎に前
記一次係数を予め求めておけば、各照明条件毎に前記分
散値および符号を計測することにより前記定数項を算出
することができる。一次係数を求める方法としては、低
次コマ収差のみ発生させた場合の光学シミュレーション
で求める方法でも良いし、前記低次コマ収差調整機構に
て確実に低次コマ収差を一定量だけ変化させ、その時の
前記分散値変化を測定し一次係数を求める方法でも良
い。本実施例では、コマ収差検出部43dにおいて、高
次コマ収差の検出を行う。
【0063】本実施例において、コマ収差検出部43d
で高次コマ収差が検出された場合の調整法として、投影
光学系10内の複数の光学部品間隔を変化させる方法
や、投影光学系10の少なくとも1つのレンズ面または
平面板等を補正研磨する方法などが考えられる。また、
投影光学系10のNAを変化させても、照明条件の変更
と同様に相関関係の変化が見られるが、照明条件の変更
と同様に扱うことができる。
【0064】なお、上記記述ではコマ収差と相関のある
測定値として、平均値からの分散値と最小ピッチと平均
値の間の符号を用いているが、他の方法であっても構わ
ない。例えば、図9に示す各ピッチに対する相対位置関
係を線形近似または多項式近似をして、各係数を利用し
ても構わない。例えば、最小二乗直線近似した場合に
は、その傾きおよび符号がコマ収差の量および符号と相
関がありコマ収差量を計測することができる。また、よ
り簡易的な方法として前記分散値の代わりに1つのパタ
ーン対で求められた位置ズレ量を使用することも可能で
ある。ただし、この場合はコマ収差の変化に対して十分
に分解能があり効果的なパターン対を設定する必要があ
る。
【0065】さて、処理系43内のコマ収差検出部43
dにより得られた結果が良好でない場合、すなわち投影
光学系10の結像面でのコマ収差が悪化している場合に
は、処理系43内に設けられた補正量算出部43eは、
コマ収差検出部43dにより得られた結果に基づいて、
投影光学系10のコマ収差を補正するために、投影光学
系10を構成するレンズ素子等の光学素子(L1 、L
2 )の補正量を算出する。そして、この補正量算出部4
3eは、算出した結果に基づき、駆動系46を介して投
影光学系10中の光学素子(L1 、L2 )を投影光学系
10の光軸方向へ移動させたり、光学素子(L1 、L
2 )を投影光学系10の光軸と直交する面内に移動させ
たり、光学素子(L1 、L2 )を投影光学系10の光軸
に対して傾斜するように移動させたりして、投影光学系
10のコマ収差を補正する。
【0066】以上のように、投影光学系10の結像面に
おけるコマ収差特性(あるいは結像特性)が補正される
工程が完了すると、次に、露光の工程(フォトリソグラ
フィ工程)に移行する。まず、露光工程では、投影光学
系10の物体面に設定されている計測用マスクを実際の
露光用マスク9に交換し、マスクステージ12を介して
露光用マスク9を投影光学系10の物体面に設定する。
そして、感光性基板としてのウエハ11がウエハステー
ジ14を介して投影光学系10の結像面に設定される
と、照明光学系(1〜8)によって露光用マスク9が照
明される。そして、露光用マスク9のパターンが投影光
学系10を介してウエハ11上に転写(露光)される。
【0067】なお、以上の露光の工程(フォトリソグラ
フィ工程)を経たウエハ11は、現像する工程を経てか
ら現像したレジスト以外の部分を除去するエッチングの
工程、エッチングの工程後の不要なレジストを除去する
レジスト除去の工程等を経る。そして、露光、エッチン
グ、レジスト除去の工程を繰り返して、ウエハプロセス
が終了する。その後、ウエハプロセスが終了すると、実
際の組立工程にて、焼き付けられた回路毎にウエハを切
断してチップ化するダイシング、各チップに配線等を付
与するボンディイング、各チップ毎にパッケージングす
るパッケージング等の各工程を経て、最終的にLSI等
の半導体デバイスが製造される。
【0068】以上の説明では、露光装置を用いたウエハ
プロセスでのフォトリソグラフィ工程によりLSI等の
半導体デバイスを製造する例を示したが、露光装置を用
いたフォトリソグラフィ工程によって、液晶表示素子、
薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD等)等の半導体デバ
イスも製造することができる。このように、本実施例で
は、投影露光装置にコマ収差計測系を搭載しているの
で、パターンの焼き付け、現像、SEM測定、計算処理
などの作業を実際に行うことなく簡素な機構により、投
影光学系の残存コマ収差量を精度良く計測することがで
きる。すなわち、投影光学系のNAや、照明光学系のN
Aや、照明条件(通常照明、輪帯照明、変形照明など)
を変更し、投影光学系の結像に重要な影響が及んだとし
ても、投影光学系の残存コマ収差量を容易に随時計測す
ることができる。その結果、計測した残存コマ収差量に
基づいて投影光学系の収差調整を行い、収差状態の良好
な投影光学系を介して良好な半導体デバイスを製造する
ことができる。
【0069】なお、上述の実施例では、ウエハステージ
14に受光センサ18を内蔵し、ウエハステージ14の
内部で受光するタイプのコマ収差計測系を搭載した投影
露光装置に本発明を適用しているが、ライトガイドなど
を用いてウエハステージ14の外部で受光するタイプの
コマ収差計測系を搭載した投影露光装置に本発明を適用
することもできる。図10は、ウエハステージの外部で
受光する第1タイプのコマ収差計測系を搭載した投影露
光装置の構成を概略的に示す図である。図10の第1変
形例では、投影光学系10の結像面に形成された空間像
からの光がステージ基板15のナイフエッジパターンを
介して集光光学系81に入射する。集光光学系81を介
した光は、ミラー82で反射された後、たとえば光ファ
イバーのようなライトガイド83の入射端に入射する。
ライトガイド83の内部を伝搬した光は、その射出端ま
で導かれ、射出端に近接して配置された受光センサ84
に達する。受光センサ84の出力は、図示を省略した処
理系43へ供給される。こうして、第1タイプのコマ収
差計測系を搭載した投影露光装置においても上述の実施
例と同様に、投影光学系10の残存コマ収差量が計測さ
れる。
【0070】図11は、ウエハステージの外部で受光す
る第2タイプのコマ収差計測系を搭載した投影露光装置
の構成を概略的に示す図である。図11の第2変形例で
は、投影光学系10の結像面に形成された空間像からの
光がステージ基板15のナイフエッジパターンを介して
集光光学系91に入射する。集光光学系91およびその
内部に配置された拡散板92を介した光は、たとえば光
ファイバーのようなライトガイド93の入射端に入射す
る。ライトガイド93の射出端から射出された光は、た
とえば一対のレンズからなるリレー光学系の一方のレン
ズ94およびウエハステージ14に形成された開口部を
介してウエハステージ14の外部へ導き出される。
【0071】ウエハステージ14の外部へ導き出された
光は、リレー光学系の一方のレンズ95を介して受光セ
ンサ96に達する。ここで、ライトガイド93の射出端
と受光センサ96の受光面とは、リレー光学系(94、
95)を介して共役に配置されている。受光センサ96
の出力は、図示を省略したコマ収差計測系の処理系43
へ供給される。こうして、第2タイプのコマ収差計測系
を搭載した投影露光装置においても上述の実施例と同様
に、投影光学系10の残存コマ収差量が計測される。
【0072】また、第2タイプのコマ収差計測系を搭載
した投影露光装置では、ウエハステージ14の外部に配
置されたレンズ95および受光センサ96からなるユニ
ットと、ウエハステージ14の内部に配置された集光レ
ンズ91、ライトガイド93およびレンズ94からなる
ユニットとが機械的に分離され、コマ収差の計測に際し
てのみ光学的に接続されるように構成されている。した
がって、第2タイプでは、第1タイプとは異なり、ライ
ドガイドがウエハステージの負荷を及ぼすことがなく、
且つライトガイドの使用により送光自由度が高いという
利点を有する。
【0073】次に、図1に示す構成を有する投影露光装
置において投影光学系10の残存コマ収差量を上述の実
施例とは別の形態にしたがって計測する第3変形例につ
いて説明する。一般に、走査型電子顕微鏡を用いる従来
の計測方法では、マスク上に形成された適当な計測用パ
ターン、たとえば5本のラインアンドスペースの残しパ
ターン(図3の抜きパターンの6本のラインを5本にす
るとともに遮光部と光透光部とを逆に形成したパター
ン)をポジレジストが塗布されたウエハ上に焼き付けた
後、レジストの現像処理を行う。現像後に残存するレジ
スト像の断面は、図12に示すように、計測用パターン
の5本の遮光部に対応する5つの領域がウエハ基板12
0から突出した形状となる。
【0074】そして、5つのボトム線幅のうち両端の2
つの線幅aおよびbを走査型電子顕微鏡により計測す
る。計測した2つの線幅aおよびbに基づいて、コマ収
差判定係数cが次の式(1)で求められる。 c=|(a−b)/(a+b)| (1) コマ収差判定係数cの値が0に近いほど良質なレジスト
像が得られる(結像性能がよい)ため、式(1)で求め
たコマ収差判定係数cが投影光学系10の残存コマ収差
量の目安となる。
【0075】第3変形例では、計測用パターンの空間像
の強度分布からコマ収差判定係数cに相当するコマ収差
判定係数c’を求める。この目的のため、図1に示す空
間像強度分布検出部43aにて、上述の5本のラインア
ンドスペースの残しパターンの空間像強度分布を検出す
る。検出された空間像強度分布は、図13に示すよう
に、計測用パターンの5本の遮光部に対応する5つの領
域が波形の谷部を形成する形状となる。ここで、線幅検
出部43b’は、空間像強度分布検出部43aにて得ら
れた空間像強度分布に対し中央のラインの線幅d’が所
定値(計測用パターンのライン幅のウエハ換算値等)と
なる強度値を算出する。そして、算出した強度値をスラ
イスレベルとし両端のラインの線幅a’およびb’を求
める。こうして、判定係数算出部43c’は、線幅検出
部43b’にて求められた2つの線幅a’およびb’に
基づいて、コマ収差判定係数cに相当するコマ収差判定
係数c’を式(1)に相当する次の式(2)で求める。 c’=|(a’−b’)/(a’+b’)| (2)
【0076】近年のシミュレーション技術の進歩によ
り、投影光学系にコマ収差が残存しているときのレジス
ト像シミュレーションや空間像強度分布シミュレーショ
ンは容易に実施可能であり、その精度も相当高いと考え
ることができる。投影光学系に残存しているコマ収差の
サンプルや投影光学系に任意に与えたコマ収差のサンプ
ルを多数用意し、これらのサンプルを元にして2種類の
シミュレーションを行って従来技術のコマ収差判定係数
cと本発明のコマ収差判定係数c’との相関関係を調べ
ることができる。そして、コマ収差検出部43dは、判
定係数算出部43c’にて得られたコマ収差判定係数
c’に基づいて、投影光学系の残存コマ収差量を算出す
ることができる。
【0077】このように、判定係数算出部43c’は、
N個の計測用パターンに関するコマ収差判定係数c’を
それぞれ求め、その後、コマ収差検出部43dは、判定
係数算出部43c’から出力されるN個のコマ収差判定
係数c’に関する情報に基づいて、投影光学系10にて
残存するコマ収差量(各計測用パターン毎のN個のコマ
収差量)を検出する。なお、補正量算出部43eは、図
1に示すようにコマ収差検出部43dからの出力情報に
基づいて、投影光学系10中の光学素子(L1 、L2
の補正量を算出し、駆動系46を介して投影光学系10
中の光学素子(L1 、L2 )を移動または傾斜させて、
投影光学系10に残存するコマ収差を補正することがで
きる。
【0078】これまでの検討によれば、コマ収差判定係
数cと本発明のコマ収差判定係数c’との関係を簡単な
一次関数で表しても、十分実用的な精度が得られるもの
と考えられる。但し、レジスト条件(種類、膜厚等)の
違いや、照明条件の違いにより、従来技術のコマ収差判
定係数cと本発明のコマ収差判定係数c’との間に設定
すべき一次関数の変更が基本的に必要になる。また、本
発明にしたがって求められたコマ収差判定係数c’と従
来技術のコマ収差判定係数cとの相関関係を確認するた
めに、実際に焼き付けを行ったレジスト像によるコマ収
差判定係数cを求め、実際に計測した空間像強度分布に
基づいて求めたコマ収差判定係数c’と比較することは
容易である。
【0079】なお、投影光学系10において低次コマ収
差成分しか発生していない場合には、照明条件の変化に
よりコマ収差量変化に対するコマ収差判定係数c’の変
化率(感度)は変化するが、投影光学系10の収差調整
機構等により低次コマ収差成分をほぼ0に補正すること
ができれば、コマ収差自体がほぼ0となるため照明条件
の違いに関わりなくコマ収差判定係数c’はほぼ0にな
る。換言すると、ある照明条件において、投影光学系1
0のコマ収差をほぼ0に調整することができれば、他の
照明条件においても同様に投影光学系10のコマ収差は
ほぼ0になり得る。このような低次コマ収差調整機構
は、投影光学系10を構成する光学部品の間隔調整や偏
心・ティルト調整、レンズ内部圧力の部分変更等により
容易に実現される。
【0080】一方、投影光学系10において高次コマ収
差成分が残存している場合には、ある照明条件でコマ収
差判定係数c’がほぼ0になるように調整しても、他の
照明条件においてはコマ収差判定係数c’が0にならな
い。これは、基準となる照明条件でコマ収差判定係数
c’が0であるにもかかわらず異なる照明条件において
コマ収差判定係数c’が0にならない場合には、投影光
学系10に高次コマ収差が残存していると判断すること
ができることを意味している。
【0081】第3変形例では、低次コマ収差調整機構に
よって低次コマ収差を一定量だけ確実に変化させ、その
時のコマ収差判定係数c’の変化率を予め計測する。こ
うして、照明条件毎に計測された各コマ収差判定係数
c’が基準となる照明条件で0となるように低次コマ収
差を調整した際の、各照明条件毎のコマ収差判定係数
c’のバラツキ量を求めることができる。第3変形例で
は、コマ収差検出部43dでバラツキ量の検出を行う。
【0082】第3変形例において、高次コマ収差が検出
された場合の調整法として、投影光学系10内の複数の
光学部品間隔を変化させる方法や、投影光学系10の少
なくとも1つのレンズ面または平面板等を補正研磨する
方法などが考えられる。また、投影光学系10のNAを
変化させても、照明条件の変更と同様にコマ収差判定係
数c’の変化が見られるが、照明条件の変更と同様に扱
うことができる。また、計測用パターンのマスク上の配
置に関しては制約がなく、例えば0°、45°、90
°、135°の方向に沿ったパターン群を、マスク上の
任意の場所に複数設置することができる。このように、
本発明のコマ収差判定係数c’を用いる第3変形例にお
いても、パターンの焼き付け、現像、SEM測定、計算
処理などの作業を実際に行うことなく、簡素な機構によ
り投影光学系の残存コマ収差量を精度良く計測すること
ができる。
【0083】次に、図3に示した1つの計測用パターン
の空間像の強度分布(図7参照)を用いて、図1に示す
装置によって投影光学系10に残存するコマ収差を検出
する第4の変形例について説明する。この第4の変形例
においては、前述の第3の変形例と同様に、計測用レチ
クル(マスク)には、図3に示すように、計測用パター
ンが規則的かつ離散的にN個形成されており、この計測
用パターンは、6本のラインを持つライン・アンド・ス
ペースパターン(以下、「LSパターン」と呼ぶ。)で
形成されている。ここで、前述の例と同様に、N個の計
測用パターンの各空間像とナイフエッジパターンとを対
応する方向へそれぞれ駆動系45を介して相対的に走査
する。
【0084】そして、処理系43内の空間像強度分布検
出部43aにて、投影光学系10の結像面上の各位置L
(n)(但し、n=1〜N)に形成されるN個の計測用
パターンに関する空間像強度分布(図7参照)がそれぞ
れ得られる。その次に、処理系43内のフーリエ係数導
出部43bは、まず、空間像強度分布検出部43aから
出力される各計測用パターンの多数の空間像強度分布
(図7参照)に関するデータに基づいて、各空間像強度
分布の中心位置をウエハステージ用レーザ干渉計を介し
て電気的に検出する。
【0085】一例として、フーリエ係数導出部43b
は、図7に示されるある計測用パターンの空間像強度分
布の両端のピーク位置A、Bを電気的に検出し、(A+
B)/2の関係から得られる中点を電気的に求め、各計
測用パターンの空間像強度分布毎に各空間像強度分布の
中心位置Cを求める。そして、これらの中心位置Cは各
計測用パターンの空間像強度分布の基準位置とされる。
同時に、フーリエ係数導出部43bにて得られる各空間
像強度分布の基準位置は、干渉計47によって位置検出
されるウエハステージ14の2次元的な座標位置に関す
る位置情報に基づいて、ウエハステージ14の2次元的
な座標位置上での対応づけが行われる。
【0086】次に、説明を分かりやすくするために、図
3に示すある1つの計測用パターンと図7に示すある1
つの計測用パターンの空間像強度分布を代表させて、フ
ーリエ係数導出部43bにおけるフーリエ係数の算出に
ついて説明する。今、説明を簡単にするために、N個の
計測用パターンが図3に示す6本のLSパターンで形成
されているものとし、この時のある計測用パターンのピ
ッチをP1とする。そして、ピッチP1を持つ計測用パ
ターンの空間像強度分布は図7に示すような分布である
ものとする。そして、ピッチP1を持つ計測用パターン
の空間像強度分布(図7参照)をフーリエ変換した時の
空間周波数分布は、図8に示すような分布となる。な
お、図8に示す空間周波数分布は、投影光学系10が無
収差である時の分布である。
【0087】図8は、縦軸に振幅を、横軸に空間周波数
(1/P2間隔)を示している。なお、ピッチP2は、
ピッチP1を持つ計測用パターンの像のビッチp1との
間に、所定の関係(1/p1=12/P2の関係)を有
する。すなわち、ピッチP2は、計測用パターン像の
「ライン本数×ピッチ」の2倍で定義される。図8に示
す空間周波数分布は、ピッチP1を持つ計測用パターン
の像のピッチp1から定まる空間周波数(1/p1=1
2/P2)を1次成分とし、そのK倍(Kは自然数)で
定められる空間周波数(K/p1=12K/P2)に極
大または零の振幅を有する。
【0088】また、計測用パターンの像の「ライン本数
×ピッチ」の2倍で定義されるピッチP2(=12×p
1)から定まる空間周波数(1/P2)を1次成分と
し、そのK倍(Kは自然数)で定められる空間周波数
(K/P2)に極大または零の振幅を有する傾向が強
い。このように、図8に示されるように、1/p1=1
2/P2の関係にある空間周波数(1次成分)を選択す
ることによって振幅の大きな空間周波数成分による精度
の良い計測が行える。ここで、フーリエ係数導出部43
bは、得られた空間像強度分布に対して、周期パターン
の位相成分が、前述したように予め求めた合成空間像強
度分布の中心位置(基準位置)Cからどの程度ずれたか
を検出する、いわゆる位相差検出手法に基づく位置検出
を実行する。
【0089】今、図5に示す合成空間像強度分布を位置
xの関数としてi(x)とし、ウエハステージ14の座
標位置における図7に示す空間像強度分布の中心位置
(基準位置)Cを原点とする。すると、以下に示すよう
に、図3に示す計測用パターン(LSパターン)におい
ては、計測用パターン自身の像のピッチp1を基準とす
る第1の空間周波数(1/p1)を持つサイン関数およ
びコサイン関数で表現できる2つのフーリエ係数(a
1、a2)を得ることができる。また、以下に示すよう
に、図3に示す計測用パターンの像(空間像)のピッチ
p1と所定の関係にあるピッチP2を基準とする第2の
空間周波数(1/P2)に関する2つのフーリエ係数
(b1、b2)を得ることができる。
【0090】
【数2】
【0091】したがって、フーリエ係数導出部43b
は、以上にて述べたフーリエ係数導出手法によって1つ
の計測用パターンに関して4つのフーリエ係数を算出す
る。さて、次に、フーリエ係数導出部43bから出力さ
れる1つの計測用パターンに関する4つのフーリエ係数
の情報に関するデータに基づいて、位置ずれ検出部43
cは、それぞれ原点からの位相ずれ成分に対応するパタ
ーンのピッチを掛け合せることにより、投影光学系10
の結像面での位置ずれを算出する。すなわち、位置ずれ
検出部43cは、計測用パターンの空間像強度分布の中
心位置(基準位置)としての原点位置からの各空間周波
数毎の位置ずれ量(Δ1、Δ2)をそれぞれ算出し、最
終的には、N個の計測用パターンに関する空間周波数成
分間の相対位置ずれ量Δをそれぞれ求める。
【0092】例えば、前述した4つのフーリエ係数(a
1、a2、b1、b2)を例として挙げると、空間像強
度分布の中心位置(基準位置)としての原点位置からの
第1の空間周波数(1/p1)の位置のずれ量Δ1およ
び空間像強度分布の中心位置(基準位置)としての原点
位置からの第2の空間周波数(1/P2)の位置のずれ
量Δ2は、以下のようになる。 Δ1=(p1/2π)・tan -1(b1/a1) Δ2=(P2/2π)・tan -1(b2/a2)
【0093】これらの各位置ずれ成分から、第1の空間
周波数(1/p1)と第2の空間周波数(1/P2)と
の間の結像面(投影光学系10の結像面)での相対位置
ずれ量Δを以下の式により求めることができる。 Δ=Δ1−Δ2
【0094】したがって、位置ずれ検出部43cは、最
終的に、上式に基づいて、N個の計測用パターンに関す
る空間周波数成分間の相対位置ずれ量Δ(=Δ1−Δ
2)をそれぞれ求める。ここで、位置ずれ検出部43c
にて求められた相対位置ずれ量Δは、投影光学系10の
コマ収差と相関関係にあり、前述した第3の変形例のコ
マ収差判定係数c’の代わりに相対位置ずれ量Δを新た
なコマ収差判定係数c”として用いることが可能であ
る。
【0095】このように、位置ずれ検出部43cは、N
個の計測用パターンに関する相対位置ずれ量Δを求め、
その後、コマ収差検出部43dは、位置ずれ検出部43
cから出力されるN個の相対位置ずれ量Δに関する情報
に基づいて、N個のコマ収差判定係数c”を求め、そし
て、このコマ収差判定係数c”から投影光学系10にて
残存するコマ収差量(N個のコマ収差量)を検出する。
なお、補正量算出部43eは、コマ収差検出部43dか
らの出力情報に基づいて、投影光学系10中の光学素子
(L1 、L2 )の補正量を算出し、駆動系46を介して
投影光学系10中の光学素子(L1 、L2 )を移動また
は傾斜させて、投影光学系10に残存するコマ収差を補
正することができる。
【0096】なお、第4の変形例においても第3の変形
例と同様に、投影光学系10において低次コマ収差成分
しか発生していない場合には、照明条件の変化によりコ
マ収差量変化に対するコマ収差判定係数c”の変化率
(感度)は変化するが、投影光学系10の収差調整機構
等により低次コマ収差成分をほぼ0に補正することがで
きれば、コマ収差自体がほぼ0となるため照明条件の違
いに関わりなくコマ収差判定係数c”はほぼ0になる。
換言すると、ある照明条件において、投影光学系10の
コマ収差をほぼ0に調整することができれば、他の照明
条件においても同様に投影光学系10のコマ収差はほぼ
0になり得る。このような低次コマ収差調整機構は、投
影光学系10を構成する光学部品の間隔調整や偏心・テ
ィルト調整、レンズ内部圧力の部分変更等により容易に
実現される。
【0097】一方、投影光学系10において高次コマ収
差成分が残存している場合には、ある照明条件でコマ収
差判定係数c”がほぼ0になるように調整しても、他の
照明条件においてはコマ収差判定係数c”が0にならな
い。これは、基準となる照明条件でコマ収差判定係数
c”が0であるにもかかわらず異なる照明条件において
コマ収差判定係数c”が0にならない場合には、投影光
学系10に高次コマ収差が残存していると判断すること
ができることを意味している。
【0098】第4変形例では、低次コマ収差調整機構に
よって低次コマ収差を一定量だけ確実に変化させ、その
時のコマ収差判定係数c”の変化率を予め計測する。こ
うして、照明条件毎に計測された各コマ収差判定係数
c”が基準となる照明条件で0となるように低次コマ収
差を調整した際の、各照明条件毎のコマ収差判定係数
c”のバラツキ量を求めることができる。第4変形例に
おいても第3の変形例と同様に、コマ収差検出部43d
でバラツキ量の検出を行う。
【0099】第4変形例において、高次コマ収差が検出
された場合の調整法として、投影光学系10内の複数の
光学部品間隔を変化させる方法や、投影光学系10の少
なくとも1つのレンズ面または平面板等を補正研磨する
方法などが考えられる。また、投影光学系10のNAを
変化させても、照明条件の変更と同様にコマ収差判定係
数c”の変化が見られるが、照明条件の変更と同様に扱
うことができる。また、計測用パターンのマスク上の配
置に関しては制約がなく、例えば0°、45°、90
°、135°の方向に沿ったパターン群を、マスク上の
任意の場所に複数設置することができる。
【0100】このように、本発明のコマ収差判定係数
c”を用いる第4変形例においても、パターンの焼き付
け、現像、SEM測定、計算処理などの作業を実際に行
うことなく、簡素な機構により投影光学系の残存コマ収
差量を精度良く計測することができる。このような構成
により、ウエハステージ干渉計の精度に依存する原点O
の位置には依らずにL&Sパターンの持つ異なる空間周
波数成分間の位置ズレ量の計測ができ、同時計測である
ことからウエハステージのスキャン精度や干渉計誤差の
寄与が2つのパターンに対し同じであると考えられ、高
精度にコマ収差判定係数の測定が可能となる。
【0101】なお、上述の実施例では、計測方向と直交
する方向に沿ったエッジラインを有するナイフエッジパ
ターンを用いているが、計測方向と実質的な角度で交差
する方向に沿ったエッジラインを有するナイフエッジパ
ターンを用いることもできる。
【0102】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の投影露光
装置によれば、パターンの焼き付け、現像、SEM測
定、計算処理などの作業を実際に行うことなく投影光学
系の残存コマ収差量を精度良く計測することができる。
すなわち、投影光学系のNAや、照明光学系のNAや、
照明条件(通常照明、輪帯照明、変形照明など)を変更
し、投影光学系の結像に重要な影響が及んだとしても、
投影光学系の残存コマ収差量を容易に随時計測すること
ができる。その結果、計測した残存コマ収差量に基づい
て投影光学系の収差調整を行い、収差状態の良好な投影
光学系を介して良好な半導体デバイスを製造することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例にかかる投影露光装置の構成を
概略的に示す図である。
【図2】投影光学系の残存コマ収差量の計測に際して用
いられる計測用マスクに形成された収差計測用パターン
を模式的に示す図である。
【図3】各計測用パターンの構成的特徴について説明す
る図である。
【図4】図1のステージ基板の上面に形成されたナイフ
エッジパターンを示す図である。
【図5】図3の計測用パターンの空間像に対して受光セ
ンサで検出された光量分布を示す図である。
【図6】図5の光量分布を時間で微分して得られた空間
像の時間に関する強度分布を示す図である。
【図7】図6の強度分布から得られた空間像の位置に関
する強度分布を示す図である。
【図8】投影光学系が無収差であるときの、図3に示す
計測用パターンの空間像の空間周波数分布を示す図であ
る。
【図9】計測用パターン空間像の各ピッチに対する位置
ズレの関係を示す図である。
【図10】ウエハステージの外部で受光する第1タイプ
のコマ収差計測系を搭載した投影露光装置の構成を概略
的に示す図である。
【図11】ウエハステージの外部で受光する第2タイプ
のコマ収差計測系を搭載した投影露光装置の構成を概略
的に示す図である。
【図12】現像後に残存するレジスト像の断面を示す図
である。
【図13】第3変形例におけるコマ収差判定係数c’の
算出を説明する図である。
【符号の説明】
1 光源 2 楕円反射鏡 3 第2焦点位置 4 インプットレンズ 5 フライアイインテグレータ 6 開口絞り 7 コンデンサーレンズ 8 折り曲げミラー 9 マスク 10 投影光学系 11 ウエハ 12 マスクステージ 13 ウエハホルダ 14 ウエハステージ 15 ステージ基板 16 集光光学系 17 拡散板 18 受光センサ 40 照射部 41 焦点検出部 43 処理系 45、46 駆動系

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マスクを照明するための照明光学系と、
    前記マスクに形成された転写用パターンの像を感光性基
    板上に投影するための投影光学系と、該投影光学系の残
    存コマ収差量を計測するためのコマ収差計測系とを備え
    た投影露光装置において、 前記コマ収差計測系は、 前記投影光学系の結像面に位置決めされ、計測方向と交
    差する方向に沿ったエッジラインを有するナイフエッジ
    パターンが形成された計測部材と、 前記計測方向に沿った複数の計測用パターンを有する基
    準部材が前記投影光学系の物体面に設定されることによ
    り、前記投影光学系の結像面に形成される前記各計測用
    パターンの空間像からの光を前記ナイフエッジパターン
    を介して検出するための光電検出手段と、 前記投影光学系の結像面に形成される前記各計測用パタ
    ーンの空間像と前記ナイフエッジパターンとを前記計測
    方向に沿って相対移動させるための相対移動手段と、 前記相対移動手段により前記各計測用パターンの空間像
    と前記ナイフエッジパターンとを相対移動させたときの
    前記光電検出手段からの光量変化情報に基づいて、前記
    計測用パターンの空間像の強度分布を前記各計測用パタ
    ーン毎に検出するための強度分布検出手段と、 前記強度分布検出手段で得られた強度分布を信号処理す
    ることにより前記各計測用パターンの位置ズレを算出
    し、算出した前記位置ズレに基づいて前記投影光学系の
    残存コマ収差量を検出するための処理系とを備えている
    ことを特徴とする投影露光装置。
  2. 【請求項2】 マスクを照明するための照明光学系と、
    前記マスクに形成された転写用パターンの像を感光性基
    板上に投影するための投影光学系と、該投影光学系の残
    存コマ収差量を計測するためのコマ収差計測系とを備え
    た投影露光装置において、 前記コマ収差計測系は、 前記投影光学系の結像面に位置決めされ、計測方向と交
    差する方向に沿ったエッジラインを有するナイフエッジ
    パターンが形成された計測部材と、 前記投影光学系の物体面に設定された基準部材に形成さ
    れた計測用パターンに基づいて前記投影光学系の結像面
    に形成される前記計測用パターンの空間像からの光を前
    記ナイフエッジパターンを介して検出するための光電検
    出手段と、 前記投影光学系の結像面に形成される前記計測用パター
    ンの空間像と前記ナイフエッジパターンとを前記所定方
    向に沿って相対移動させるための相対移動手段と、 前記相対移動手段により前記計測用パターンの空間像と
    前記ナイフエッジパターンとを相対移動させたときの前
    記光電検出手段からの光量変化情報に基づいて、前記計
    測用パターンの空間像の強度分布を検出するための強度
    分布検出手段と、 前記強度分布検出手段で得られた空間像強度分布の信号
    波形の一端の谷部または山部の基準強度における幅と前
    記信号波形の他端の谷部または山部の前記基準強度にお
    ける幅とに基づいてコマ収差判定係数を求め、求めたコ
    マ収差判定係数に基づいて前記投影光学系の残存コマ収
    差量を検出するための処理系とを備えていることを特徴
    とする投影露光装置。
  3. 【請求項3】 マスクを照明するための照明光学系と、
    前記マスクに形成された転写用パターンの像を感光性基
    板上に投影するための投影光学系と、該投影光学系の残
    存コマ収差量を計測するためのコマ収差計測系とを備え
    た投影露光装置において、 前記コマ収差計測系は、 前記投影光学系の結像面に位置決めされ、計測方向と交
    差する方向に沿ったエッジラインを有するナイフエッジ
    パターンが形成された計測部材と、 前記投影光学系の物体面に設定された基準部材に形成さ
    れた計測用パターンに基づいて前記投影光学系の結像面
    に形成される前記計測用パターンの空間像からの光を前
    記ナイフエッジパターンを介して検出するための光電検
    出手段と、 前記投影光学系の結像面に形成される前記計測用パター
    ンの空間像と前記ナイフエッジパターンとを前記所定方
    向に沿って相対移動させるための相対移動手段と、 前記相対移動手段により前記計測用パターンの空間像と
    前記ナイフエッジパターンとを相対移動させたときの前
    記光電検出手段からの光量変化情報に基づいて、前記計
    測用パターンの空間像の強度分布を検出するための強度
    分布検出手段と、 前記強度分布検出手段において得られた合成空間像強度
    分布を信号処理することにより、前記結像面に形成され
    る前記計測用パターンの空間像の所定の2つの空間周波
    数成分に対するフーリエ係数を求め、求めた各フーリエ
    係数に基づいて前記計測用パターンに関する2つの空間
    周波数成分間の前記結像面上の相対位置ずれを算出し、
    算出した前記相対各位置ずれに基づいて投影光学系の残
    存コマ収差量を検出するための処理系とを備えているこ
    とを特徴とする投影露光装置。
  4. 【請求項4】 前記相対移動手段は、前記感光性基板を
    保持し且つ前記投影光学系に対して移動可能な基板ステ
    ージを有し、 前記計測部材は、前記基板ステージ上において前記感光
    位基板の露光面に対応する位置に設けられていることを
    特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の投影
    露光装置。
  5. 【請求項5】 前記処理系からの出力に基づいて前記投
    影光学系に残存するコマ収差を補正するための補正系が
    さらに配置されていることを特徴とする請求項1乃至4
    のいずれか1項に記載の投影露光装置。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の
    投影露光装置を用いて半導体デバイスを製造する方法に
    おいて、 前記投影光学系の物体面に前記計測用パターンが形成さ
    れた前記基準部材を設定し、前記コマ収差計測系によっ
    て前記投影光学系に残存するコマ収差を計測する計測工
    程と、 前記投影光学系に残存するコマ収差を補正する補正工程
    と、 前記投影光学系の物体面に転写用パターンが形成された
    転写用マスクを設定し、該転写用マスクを前記照明光学
    系により照明する露光用照明工程と、 前記投影光学系を介して前記露光用マスクのパターンを
    前記感光性基板に露光する露光工程とを含むことを特徴
    とする半導体デバイスの製造方法。
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