JP3673783B2 - 収差計測方法及び投影露光装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、収差計測方法及びそれを用いて投影光学系の収差が計測される投影露光装置に関し、例えば半導体素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等をリソグラフィー工程で製造する際に使用される投影露光装置の投影光学系の波面収差やフォーカス等を計測し、補正する際に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子、液晶表示素子又は薄膜磁気ヘッド等をリソグラフィー工程で製造する際に、フォトマスク又はレチクル(以下「レチクル」と総称する)のパターンの像を投影光学系を介して感光基板上に結像する投影露光装置が使用されている。かかる投影露光装置の投影光学系(たとえばレンズ)の収差によるデバイスパターンへの影響が今日深刻な問題になっており、投影光学系の収差計測の重要度が増している。
【0003】
これに対し現在様々な計測方法が提案され、球面収差、像面、非点、コマ、波面収差などの収差測定が実際に行なわれている。これら収差測定の中でも波面収差は収差そのものであり、レンズ製造現場では通常干渉計を用いて計測を行っている。しかしながら、投影露光装置本体上では、スペースの制約が大きい為、干渉計による計測が難しい。そのため干渉計を使わないで波面収差を計測できる方法が検討されている。
【0004】
一般に、波面収差をZernike多項式等で近似する事で、この多項式のファクターである球面収差、像面、非点、コマなどといった代表的な収差を算出可能である。またZernike係数を使った実デバイスパターンでのSimulationの結果から、マスクやプロセス、更には露光装置へのフィードバックも活発に行われており、露光装置本体上で波面収差を計測し、それによりZernike係数を高い精度で計測する事を、強く求められている。
【0005】
波面収差の測定方法としては、米国特許第5,828,455号や米国特許第5,978,085号で示される方式がある。この測定方式は、レチクルのガラスのパターン面(下面)に格子状のパターンがあり、このパターンの中心の真下に少し距離をおいてピンホールがあり、且つレチクルのガラス非パターン面(上面)には上記パターン中心の真上に凸レンズを置いた、特殊なレチクルを用いる。露光装置の照明系から出た照明光は前記凸レンズによりσ(シグマ)≧1の幅広い照明角度をもつ光線束により、その下にある格子パターンを照射する。格子パターンを透過した光はその下にあるピンホールを通過する。
【0006】
この時、格子パターンを通過できる光線は前記格子パターンそれぞれの点と前記ピンホールを結んだ角度の線に限定される。従って前記格子パターンの各点から出た光線は互いに異なる角度(光軸に対する角度)の光となって進む。これら互いに角度の異なる光線束は投影光学系の瞳面上の互いに異なる位置に到達し、投影光学系の波面収差の影響を受けた後にウエハー上に結像する。この時ウエハ上に結像した格子パターンの各点は異なる波面収差(位相)の影響を受けており、これらの点を結像する光線は、その波面の法線方向に進むため、結像した各点は、この波面の傾き分だけ理想位置からシフトすることになる。よって格子パターンの各点の結像位置の理想位置からのずれを測定することにより、瞳面内各点の波面の傾きが得られ、様々な数学的手法から波面を算出することができる。
【0007】
Zernike係数を求める場合、前述した干渉計によって投影光学系の瞳面全面に渡って均一に分布している微小なエリア毎の位相差を計測することにより波面収差を計測し、この波面収差をZernike多項式で近似を行いZernike係数を求めている。Zernike多項式は直交多項式であるため、上記条件下での適用は最適であり、絶対精度を保証し得る最高の計測方法と言える。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記米国特許に示されるような露光装置本体上での波面収差(Zernike係数)計測方法は、像面におけるパターンの位置ずれから直接位相差(波面)を算出する方法や、同じく像面におけるパターンの位置ずれから波面の微係数(スロープ)を算出し、その微分波面から位相波面を再生する方法が採れる。どちらの方法においても、Zernike多項式の近似を行うことは可能であるが、いずれにしても直交条件を十分満たすだけの計測点が必要である。直交条件を満たさないという事はZernike項同士が干渉するため、Zernikeの項をどの次数まで算出するか、どの項は計算しないかによって、Zernike係数の値が変わってしまうからである。しかしながら、上記米国特許方法では、像高や計測時間の問題がある。
【0009】
像高の問題とは測定マーク群の領域がある広さを必要とするため、瞳面上での測定個所を増やそうと、するとそれだけ被測定マークの数が多くなってマーク群の領域が広くなり、1像高と言える範囲を逸脱していまうという問題である。マーク自体の大きさを小さくて全体のマーク群の領域を小さくすることも考えられるが、計測器側の精度の問題や計測方法自体の原理的な問題にも発展するため、難しい。この像高の問題はマスクと結像面を光軸に垂直な面内で移動させることで問題を避けることは可能であるが、当然露光回数も被測定マークの数分増えるため、計測値を繋ぎ合わせて波面を再生させる際、フォーカス誤差(場合によっては移動誤差)が波面計測の精度に影響を与えてしまう。更に計測時間の問題が大きくなることは避けられない。
【0010】
本発明の目的は、比較的容易にZernike係数を求めることにより、光学系の収差やフォーカス位置等を比較的容易に計測することができる収差計測方法及び投影露光装置の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、あるZernike係数の変化量に対するテストパターン像の位置ずれ変化量を示す“Zernike敏感度”を利用する。たとえば、Zernike多項式における各項(Zernike項)毎に、そのZernike係数の変化量に対する、点光源照明又は微小領域光源照明によるテストパターンの像の位置ずれ変化量(Zernike敏感度)を、全ての有効な点光源位置又は微小領域位置に対しデータベース化し、このデータベースから、上記各項のうちの特定のZernike項の測定・抽出を可能にする点光源又は微小領域光源の組み合わせ、即ち有効光源を決定する。
【0012】
本発明の一形態の投影光学系の収差を計測する方法は、テストパターンを投影光学系を介して結像させるステップと、前記結像させるステップにおいて結像させたテストパターン像から(所定位置からの)位置ずれ量を測定するステップと、前記測定するステップの測定結果を用いて前記投影光学系の収差を測定するステップとを有し、前記結像させるステップにおいて、前記位置ずれ量から特定のZernike項の係数が1:1の関係で求められるように前記テストパターンからの光の前記投影光学系の瞳での通過領域を制限することを特徴としている。
【0013】
本発明の一形態の投影光学系の収差を計測する方法は、テストパターンを投影光学系を介して結像させるステップと、前記結像させるステップにおいて結像させたテストパターン像から(所定位置からの)位置ずれ量を測定するステップと、前記測定するステップの測定結果を用いて前記投影光学系の収差を測定するステップとを有し、前記結像させるステップにおいて、前記位置ずれ量から、特定のZernike項の係数が前記位置ずれ量に主に依存して求められるように前記テストパターンからの光の前記投影光学系の瞳での通過領域を制限することを特徴としている。
【0014】
テストパターンからの光の前記投影光学系の瞳での通過領域の制限は、上記有効光源が決定されれば得られる、前記テストパターンを照明する照明系の開口絞りや、前記テストパターンが形成されたレチクル上に設けた前記テストパターン照明用の開口を有する絞り(遮光部)や、前記投影光学系の瞳面フィルターにより行える。照明系の開口絞りやレチクルの絞りは、前記有効光源を定めるものであり、同絞りの開口形状と相似な有効光源形状(分布)を形成する。この照明系の開口絞りには、特に、主として0次回析光が投影光学系の瞳面を通過し高次回析光は同瞳面を通過せず従って像面に達しないようなラインアンドスペースを有するテストパターン(マーク)を組み合わせて用いる。また、テストパターン照明用の開口を有する絞りを持つレチクルに対してはσ>1の照明光を当てる。
【0015】
本発明の投影露光装置は、上記テストパターンが形成されたレチクルを所望の有効光源からの光で照明できる照明系を有する投影露光装置である。
【0016】
本発明のデバイス製造方法は、上記投影露光装置によりデバイスパターンで基板を露光するステップと、該露光した基板を現像するステップとを含む。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明は、特定のZernike項(係数)に対し投影光学系の瞳面を通過する光束の領域を決定するよう有効光源およびテストパターンの最適化を行い、前記光束より形成された先のテストパターンの位置ずれを測定する事により、Zernike係数の算出をおこなっている。
【0018】
本発明の実施形態を説明する前にZernike係数を求める方法について説明する。
【0019】
投影露光装置本体上において、投影レンズによる複数のパターンの像のそれぞれの位置ずれを測定することによりZernike係数を算出する方式では、幾つかの問題が指摘されている。Zernike多項式は直交多項式であるため、各Zernike項(係数)は互いに影響を及ぼしあわない。つまり各Zernike係数は独立に計算が可能で、従って、より高次な項を付け加えて無限に計算可能である。しかしながら、このメリットを利用するには、離散的な計測点の集合が直交条件を満たさなければならず計測上の制約も大きい。そこで、直交性にこだわらない方法について以下考察する。
【0020】
実際、Zernike多項式において、投影レンズの結像性能に主に影響をおよぼす項は低次項であり、今後、デバイスの微細化が進みより高次項の影響を考慮する必要が出てきたとしても、表1に示すような現在一般的に議論されているZernikeの1〜36項程で十分と思われる。特に1〜36項に限る必要性は無いが、現実の投影光学系のZernikeの低次の成分と比較し、その高次の項の成分が十分に小さいと見なせる高次項までを考慮すれば良い。言い換えると、直交系でない近似計算を行う計測において、問題となる低次項の係数に影響をおよぼすであろう高次項までに限って近似計算を行う。
【0021】
【表1】
Figure 0003673783
【0022】
【外1】
Figure 0003673783
【0023】
投影レンズの波面を表わすZernikeの1〜36の項を求める為には上記行列式(1)を解くことになるが、実際は計測値Siには誤差が含まれ、更にデータの欠落、測定法の違いや測定法の条件(設計)変更などによって計測点(ri,θi)、i=1…qのサンプリングのしかた(測定点数、測定個所)が異なることによって、解Cjは影響を受けることになる。
【0024】
【外2】
Figure 0003673783
【0025】
行列式から見ると、行列Z→Z’とベクトルS→S’の変化がおこり結果として異なる結果を算出する(ベクトルc→c’)。上記問題は今まで挙げてきた計測方法共通の問題と言える。これらの問題を避ける方法としては、行列Zを固定すること、更に行列Zは直交条件を満たしてないので解が一意に決まる対角行列のような形を計測法自身が持つ事が望ましい。
【0026】
【外3】
Figure 0003673783
【0027】
ここで上記対角行列の、行ベクトル(λ1,0,0,…,0)だけに着目して、次のような方程式(2)による最適化を考える。
【0028】
【外4】
Figure 0003673783
【0029】
上記連立方程式(2)は、計測される投影レンズの瞳座標に対応した任意の位置kにおける、結像面での像の位置ずれ変化量がZernikeの各項ごとにあらかじめわかっていれば(Zernike敏感度)、重み係数Wkおよび瞳領域kを最適化することにより、満足させることができる。つまり(2)式を満足する計測法を構築することにより、像の位置ずれ量S1は被計測投影光学系の1項のZernike係数のみを独立に示す事になる。
【0030】
【外5】
Figure 0003673783
【0031】
他のZernike項についても同様に、重み係数Wkおよび瞳領域kを最適化することで独立にZernike係数を抽出可能となる。従って互いに異なる計測条件(重み係数Wkおよび瞳領域k)にてZernikeの各係数を計測することにより、Zernike項同士の干渉のない独立した計測法が実現できる。
【0032】
ここで像の位置ずれとZernike敏感度の関係について述べておく。波面のスロープもしくは位相差はその瞳位置とZernike係数であらわされる。従って、それらによって生じる像の位置ずれ量S1は、(3)式で示すように結像の際、瞳面を通過した光束の位置(微小な領域)での波面のスロープもしくは位相差に線形である。
【0033】
S1=g・Σ ・Z (r ,θ …(3)
S1…瞳座標( ,θ )に対する位置ずれ
g…定数
Ci…Zernike係数
Zi(r,θ)…瞳位置(r,θ)でのi項のZernike敏感度
様々な光束が互いに異なる瞳位置を通過した後で結像すると、その線形性から
前記(3)式より、
=ΣWk・Sk
=ΣWk・Σg・Ci・Zi(xk,yk)
=gΣCiΣWk・Zi(xk,yk)…(4)
(4)式から、像の位置ずれは、各微小な瞳領域ごとの位置ずれSkの総和であり、また、それはあるZernike項iについて言えば、瞳位置k毎のZernike敏感度の和にZernike係数を掛けたものであることが分かる。本発明は、この瞳位置k毎のZernike敏感度の和を最適化することを特徴としている。
【0034】
以上の考え方を利用したZernike係数計測方法を実施することで、直交条件の問題から生じる像高や絶対値の問題を解決することができる。更に一般に1つの係数を求めるのに1つの計測値でよい為、計測時間を大幅に向上でき、これに関しても解決することができた。また、通常考えられる位置ずれから波面の微係数(微分波面スロープ)を算出し、その微分波面から位相波面を再生してからZernike多項式の近似を行う方法においては、多項式が直交である必要が無いため、直接、微分波面に対し微分したZernike多項式で近似を行い、Zernike係数を求める。
【0035】
以上本発明では、前述したように投影レンズの瞳位置に対応した像の位置ずれにおけるZernike敏感度を計算もしくは実験からデータベースとして持ち、投影光学系の瞳領域および、その領域内での重みを特定の収差に対し最適化することで、前記投影光学系の瞳領域内だけに光束が通過するような計測系を構築し、前記光束により形成された像の位置ずれを計測することにより先の特定の収差に対し収差量を計測し、計測結果から前記投影光学系の収差を補正する手段を設けている。
【0036】
次に本発明の収差計測法の実施形態を、レチクル上の回路パターンを投影光学系を介し感光基板(ウエハ)上に投影する投影露光装置に適用し、投影光学系のZernike係数を求める場合について説明する。但し、本実施形態では前提条件としてZernike項を1〜36としている。
【0037】
前述したように、本発明では、投影光学系(投影レンズ)の瞳面に、最適な形状および透過率の開口絞り(瞳フィルター)を設けることにより、特定のZernike係数を計測可能であるが、レンズ鏡筒構造のスペース的な制約や厳しい環境コントロールの必要性から、投影光学系の瞳面にそのような特殊な開口絞りを様々なZernike項に対してそれぞれ設けることは非常に難しいときには、以下述べる実施例の如く構成する。
【0038】
図1は本実施形態の投影露光装置の一部分の要部概略図である。図1において、レチクル9上に形成されたパターンもしくはパターン群(テストパターン)TPに照明光学系の有効光源面に設けられた特殊な形状の照明絞り4を介して、主光線LPをもつ照明光が照射し、このレチクル9上のテストパターンTPが投影レンズ10で感光基板W側に結像し、空中像もしくは感光基板Wに転写したパターン像TPaの位置を測定する。尚、テストパターンTPはレチクル9でなく、別の基準プレート上に形成したものであっても良い。これら空中像もしくは転写パターン像TPaの位置を測定することにより投影光学系10の収差を測定している。
【0039】
前記テストパターンには、本出願人が先の特願2001−264582号で提案したライン間もしくはスペース間のピッチ(間隔)がほぼ等しい周期パターンであり、かつ光が透過する個々のスペースの幅が周期パターンの中心のスペースから外側のスペースに向かって減少するパターンや他の同じ機能を有するパターンを用いる。
【0040】
このようなパターンは回折光を低減することにより、主として同パターンからの0次光により投影レンズ10の瞳面10aにおいて、ほぼ照明用絞り4の開口形状に近い光強度分布を形成することができ、且つ又投影レンズ10を介し結像した空中像もしくはパターン像TPaの光強度分布をライン間が解像しない歪の少ない1つの大きなパターンと見なし得るものとすることができる。この空中像もしくは感光基板上に転写したパターン像TPaをある基準からの位置ずれ量として測定している。前記照明開口絞り4の開口形状は、前記投影レンズ10の瞳面上の各位置に対応してあらかじめ計算により求めておいた位置ずれ量のZernike敏感度のデータベースより特定のZernike項について最適化を行ったものである。
【0041】
即ち、該テストパターン像の所定位置からの位置ずれ量がZernike多項式における特定のZernike項の1つの係数に主に依存するように、該照明系の有効光源分布を設定することによって、該投影光学系の瞳を通過する光束の瞳内での通過領域を特定領域に制限している。
【0042】
特に該テストパターン像の所定位置からの位置ずれ量と特定のZernike項の係数が1:1の関係となるように該照明系の有効光源分布を設定することにより、該投影光学系の瞳領域を通過する光束の瞳内での通過領域を特定領域に制限するようにしている。
【0043】
本実施形態では、図1の状態で、上述したようにレチクル9上に形成されたテストパターンTPに最適化を施された開口を有する絞り4を有する照明光学系を介して、主光線LPをもつ照明光を照射することによりレチクル9上のテストパターンTPを結像し、その空中像を測定したり、もしくは感光基板にパターン像TPaを転写する。次に前記照明用開口絞り4を回転させるか、もしくは異なる開口絞りに変更する事により、照明光の主光線の進行方向を変え、この状態でレチクル上のテストパターンが結像した空中像を測定するか、もしくは感光基板の異なる場所にパターン像TPaを転写する。上記工程を繰り返す事により、測定した複数の空中像位置にもとづいて、あるいは、転写した複数のパターン像TPaを現像後その位置を夫々測定することで、投影光学系10の瞳面10a上の波面収差の特定Zernike係数を測定している。この測定プロセスについて、以下、Zernike項ごとに具体的な例を挙げて説明する。
【0044】
図2は本実施形態の投影露光装置全体の概略図である。図1は図2の一部分の概略斜視図に相当している。
【0045】
図2において、1は露光光用の光源であり、高圧水銀灯やエキシマレーザ等が使用できる。高圧水銀灯を用いる場合には、光源1から射出された露光光は楕円鏡1aで集光された後に、インプットレンズ2を経てフライアイレンズ3の光入射面3aに入射する。フライアイレンズのレチクル側焦点面3b(レンズ面又は空中)には多数の2次光源が形成され、これら多数の2次光源から射出された露光光は、照明用開口絞り4、第1リレーレンズ5、投影式レチクルブラインド6、第2リレーレンズ7、メインコンデンサーレンズ8を経てレチクル9のパターン面全体を均一な照度で照明する。ここで、開口絞り4は図にある駆動系4aにより、図3に示すように、その開口部4bの位置を回転方向に自由に変えられる。これにより照明光の主光線LPのレチクル9への入射方向(方位角)を自由に変え、テストパターン15とセットで使用することにより選択的に投影レンズ10の瞳領域10aにパターンからの光束を集めることができる。投影式レチクルブラインド6とレチクル9のパターン形成面とは共役であり、投影式レチクルブラインド6によりレチクル9上の照明領域が設定される。なお、フライアイレンズ3の後側焦点面3bは投影光学系10の瞳面10aとほぼ共役である。
【0046】
レチクル9のパターンは投影光学系10によって感光基板(ウエハ)Wに投影される。
【0047】
開口絞り4を通った露光光によりレチクル9のパターン形成面に形成されたテストパターン15の像が、投影光学系10を介して、エウハステージ12上に載置された検出系11を構成するプレート11a上に結像される。図4は検出系11の拡大図である。
【0048】
図4に示すとおりプレート11aにはスリット11bが形成されており、スリット11bを透過した光は受光器11cにより光電変換され検出される。前記プレート11aとスリット11bと受光器11cを構成する検出系11はウエハステージ12上に載置されている。ウエハステージ12は、投影光学系10の光軸10bに垂直な面内の任意の位置にウエハや検出系11を位置決めするXYステージ12aと投影光学系10の光軸10bに平行な方向でウエハや検出系11の位置(フォーカス位置)を設定するZステージ12b等より構成されている。
【0049】
また、本実施形態では、検出系11のフォーカス位置を検出するためのフォーカス系13が設けられている。オートフォーカス系13は、プレート11a上の上面に例えばスリット状の検出パターンの像を、投影光学系10の光軸10bに対して斜めに投影する送光系13aと、その結像面からの反射光を受光してその検出パターンの像を再結像する受光系13bとより構成されている。プレート11aの上面のフォーカス位置が変化すると、受光系13bにおいてその再結像される検出パターンの像の位置が変化することから、この像位置を検出することでプレート11aのフォーカス位置の変化を検出することができる。受光系11bには、その再結像された検出パターンの位置に応じて変化するフォーカス信号を生成する光電検出器13cが組み込まれ、そのフォーカス信号が光学系10の像面位置に対応する所定のレベルに維持されるように制御系13dによってウエハステージ12中のZステージ12bを駆動することにより、プレート11a上の上面のフォーカス位置を投影光学系10の像面に維持する(フォーカスを維持する)ことができる。
【0050】
また、フォーカス信号は所定の範囲内(光軸方向の所定の範囲内)でフォーカス位置の変化に対してほぼ直線的に変化するので、逆にフォーカス信号のレベル変動からフォーカス位置の変動を知ることができる。更に、ウエハステージ12中のZステージ12bにも投影光学系10の光軸10b方向の位置を検出するための高さセンサ(不図示)が組み込まれている。14はオフ・アクシスのウエハアライメント系を示し、ウエハアライメント系14はウエハWの各ショット領域の近傍に形成されたアライメントマークを検出する。この場合、ウエハアライメント系14の検出中心14aとレチクル9の中心の共役像との間の間隔、即ち所謂ベースライン量BDを求めておくことにより、ウエハアライメント系14で計測したアライメントマークの位置に基づいてウエハWの各ショット領域のアライメントを正確に行うことができる。更に、ウエハアライメント系14は種々のマークの検出をも行うことができる。
【0051】
図5(A)、(B)は本実施形態で使用するテストパターンの詳細図で、基本的にどちらか一方の種類のパターンが用いられる。図6、図7は、使用するテストパターン(マーク)の配置例である。これらのテストパターンに開口絞り4により形成される第一の照明光を照射し、これらのテストパターン像を投影光学系10を通しウエハステージ12上に設けたプレート11a上に結像させ、前記ウエハステージ12を像面に沿って(XY面内で)移動して前記プレート11a上に設けたスリットパターン11bを透過する光を光強度検出器もしくは光量検出器等の受光器11cにより検出する。そして、前記ウエハステージ12を前記投影光学系10の光軸10b方向(Z方向)に移動した後に、前記第1の照明光の入射方向と同じ方向にウエハステージ12を像面に沿って移動させて前記スリットパターン11bを透過する光を前記検出器11cにより検出する。そして、スリットパターン11bのX,Y位置とその位置で検出した光強度もしくは光量からなる図18が示す検出信号を用いて前記プレート11a上に結像したテストパターン(像)15の中心位置を算出する。次に開口絞り4の開口部4bの位置を回転もしくは開口形状を変更後、前記同様に同一のZ位置とXY平面上で前記テストパターン像15の中心位置を算出する。これによりテストパターンの位置ずれ量を求める。更に開口絞り4の開口部4bの位置を回転もしくは開口形状を変更後、上記工程を数回繰り返す。ここで、使用する照明開口絞り4の開口部4bは計測するZernike項(係数)によってその形状を異にする。
【0052】
図8(A)〜(F)はZernike項に対応した開口絞り4b−1〜4b−6の説明図である。
図中、4bは開口部である。図9(A)〜(K)はこれらの開口絞り(開口形状)毎のZernike敏感度を示すグラフである。図10は計測プロセスの説明図である。
【0053】
図9に示すグラフは、図10に示した各Zernike係数ごとに異なるプロセスを経た結果のものである。図9により、これらの開口絞りおよび図10に示す計測方法が各特定のZernike項に対して敏感になるよう最適にデザインされていることがわかる。
【0054】
図10において、記号CはZernike係数を示し、その後の数字がその項を示している。その他▲1▼・▲2▼は互いにプロセスおよび開口形状が異なる同じZernike係数を意味している。C5▲1▼およびC6▲1▼は開口部の形状は等しいが配置する方向が異なっている。以下一例としてC5▲1▼について順を追って説明する。始めの開口絞り位置d1に対し、開口部4b−1の位置を180°回転させ2回目の位置をd2とすると、両者の開口絞り位置から形成される前記テストパターン15の像のそれぞれの中心位置を求めて両者の差に対応する位置ずれ量S(d1−d2)を得る事ができる。この時各開口絞り位置毎に位置ずれ量として2つの量が計測される。1つはVパターン(X方向のずれ)でもう1つはそれに直交するHパターン(Y方向のずれ)である。それぞれについての位置ずれ量SをSV(d1−d2)、SH(d1−d2)と表せる。次に前記同様d1の開口位置から90°回転させたd3位置とさらに180°回転させたd4位置の2つの状態から形成された像の位置ずれ量SV(d3−d4)、SH(d3−d4)が得られる。これらと、あらかじめ計算より求めた図9(A)、(B)のグラフのC5係数のZernike敏感度Zer5▲1▼もしくは実験からもとめた敏感度係数などから、C5▲1▼は次の様な計算により求めることができる。
C5▲1▼={SV(d1−d2)−SH(d3−d4)}/Zer5…▲1▼
【0055】
同様に開口部4b−1の形状はそのままで開口位置を相対的に45°回転させた状態d1′,d2′,d3′,d4′から以下の計算によりC6▲1▼が求まる。
C6▲1▼={SV(d1′−d2′)+SH(d1′−d2′)+SV(d3′−d4′)−SH(d3′−d4′)}/Zer6…▲1▼
【0056】
図10には、C5,C6を計測する他の計測プロセス例としてC5▲2▼、C6▲2▼を示してある。開口部4b−2を使用し前記同様開口絞り回転位置状態e1〜e4、およびe1′〜e4′から各々像の中心位置を計測することで、以下の定義式からC5▲2▼およびC6▲2▼が求まる。
C5▲2▼={SV(e1−e2)−SH(e1−e2)+SH(e3−e4)+SV(e3−e4)}/Zer5…▲2▼
C6▲2▼={SH(e1′−e2′)+SV(e3′−e4′)}/Zer6…▲2▼
【0057】
敏感度係数Zer5▲2▼、Zer6▲2▼は、先と同様あらかじめ計算より求めた図9(C)、(D)グラフのZernike敏感度、もしくは実験からもとめたものを使用する。
【0058】
次に球面収差(0θ)項C4、C9、C16のZernike係数計測ならびに算出方法を図10を用いて説明する。開口絞りはC4、C9、C16各々に対して、一例として図8の4b−3、4b−4、4b−5がある。図10よりC4、C9、C16に対応した開口絞り回転位置状態はf1〜f8の8通りで、全て45°回転刻みで回転方向に違いがある。前記同様C4、C9、C16の計算式は下記のように定義されている。
C4={√2{SV(f1−f2)+SH(f3−f4)}+SH(f5−f6)+SV(f5−f6)+SH(f7−f8)−SV(f7−f8)}/2/Zer4
C9={√2{SV(f1−f2)+SH(f3−f4)}+SH(f5−f6)+SV(f5−f6)+SH(f7−f8)−SV(f7−f8)}/2/Zer9
C16={√2{SV(f1−f2)+SH(f3−f4)}+SH(f5−f6)+SV(f5−f6)+SH(f7−f8)−SV(f7−f8)}/2/Zer16
Zer4、Zer9、Zer16は前記同様図9(E)、(F)、(G)のZernike敏感度もしくは実験より求めたものを使用する。
【0059】
またここでは挙げていないが、C25、C36項のZernike係数も同じ式で定義できる。
【0060】
続いてコマ収差項と呼ばれる、C7、C8、C10、C11項について先と同様、図10を用いて説明する。C7、C8、C10、C11項の開口絞りは共通で図8 4b−6がその1例である。図10より、開口絞り回転位置状態はg1〜g4のイメージ図で示す様にg1を0°状態とすると、g2は90°、g3は45°、g4は135°状態になっている。先と同様4つの状態で像の中心位置を求め、その相対位置ずれ量から下記計算式よりZernike係数を算出する。
C7={SV(g1−g2)+SH(g3−g4)}/Zer7
C8={−SH(g1−g2)+SV(g3−g4)}/Zer8
C10={SV(g1−g2)−SH(g3−g4)}/Zer10
C11=(SH(g1−g2)+SV(g3−g4))/Zer11
Zer7、Zer8、Zer10、Zer11は前記同様図9(H)、(I)、(J)、(K)のZernike敏感度もしくは実験より求めたものを使用する。
【0061】
以上述べた方式で、実際の投影レンズ数本分について絶対相関を調べた結果を図11(A)〜(K)に示す。この際、実際のレンズのZernike係数は波面収差計測用の干渉計にて計測に基づく値を使用した。
【0062】
図11から、本計測方法がZernike係数(レンズ収差)を求めるのに十分な計測精度を持つことが分かる。また先の実施形態では開口絞り4の開口部4bは光を通すか遮光するかのデジタルな選択のみで最適化を行ったが、減光材料などで開口部の濃度を変えてやれば、更に精度の高い最適化が行える。そして更に次数を高く設定して最適化を進めていけば、高次収差の測定も可能である。先の実施形態では検出系11を使用して像の中心位置を測定したが、他にも、装置内ウエハステージ12上に設けたホトクロ材料基板上に転写したテストパターン像を使用して現像することなく、そのまま、装置内のオフアクシスアライメント検出系14を使用して像の中心位置を測定することも可能である。
【0063】
更に、照明系の開口絞り4による有効光源の最適化という手段以外にも、図12に示す様にレチクル9のパターン面の反対のガラス面に照明系開口絞り4bと同様な被計測パターンに対し、最適な有効光源の形状になるよう光束を遮光するようクロム等より成る遮光パターン121を付ける方法も可能である。また前記遮光パターンを装置内レチクルステージ上にもちレチクルと組み合わせて使用することも可能である。これらの場合、被計測マークと遮光パターンの開口の位置関係は図10に示す照明モード分作る必要がある。
【0064】
また図16、図17に示すように得られた計測値を、本体系にフィードバック系161、162や系171を設けるとよく、図16において、駆動手段161により投影レンズ10内にある補正光学系162を駆動させたり、図17に示すように、波長可変手段171でレーザー172からの発振波長の中心波長を変える等の補正手段により、露光装置の投影光学系の収差を自動補正できる。
【0065】
次に本発明の実施形態2を説明する。
【0066】
図13〜図15は実施形態2のテストパターン像を感光基板(ウエハ)Wへの転写する形態についての具体例の説明図である。使用するテストパターンは実施形態1とは異なり、互いに重ねたマーク同志(図13)の位置ずれを計測するための2種類のマークを有し、図14および図15はこの2種類のマークを示す。
【0067】
図14、図15において、各マーク14a、15aのグリッドの一部TPXが前述した図5(A)又は(B)に示すパターン形状より成っている。
【0068】
図14、図15の各マーク14a、15aは、いずれも同一の線幅でデザインされており、それぞれのライン幅は図6や図7のマークと同じ、2μmのライン幅とした。次にZernike係数計測の為の露光手順を説明する。実施形態2同様、求めるZernike係数によって照明開口形状4bを決め、この形状4bである1つの回転位置の状態でマーク14aおよび15aをウエハ上に露光し、次にマーク14aと15aが重なり合うようにウエハステージ12(又は不図示のレチクルステージ)を移動させ、同じ照明開口形状4bで但し今度は回転位置を変えてマーク14aおよび15aを露光する。この時使用した2つの照明用開口絞り4の回転位置の状態は図10の定義式に従う組み合わせで行う。この工程を図10で定義した回数分繰り返し行う。そして、これら工程により転写された数個のマーク14aと15aの相対位置ずれ量を測定機を使って測定する。得られた位置ずれ量から図10の定義式の計算処理よりZernike係数を算出する。
【0069】
更に前記テストパターン14a、15aを同一のレチクルもしくは別レチクルに数箇所配置しておけば、前記手法に従い露光を行い、各像高毎に収差(Zernike係数)を計測可能となる。
【0070】
また図12で示したようにレチクルのパターン面よりも照明系に近いレチクル上の面に遮光パターンを設け最適な有効光源を作ることも可能である。また図16、図17で示したように計測結果を本体系にフィードバックすることにより投影レンズの収差の自動補正可能である。
【0071】
以上のように各実施形態によれば、最適な有効光源の形状と回折光の少ないパターンを組み合わせる事により、特定のZernike項に対し最適な瞳フィルターを作り出す事ができた。そしてこれによりZernike係数そのものを独立して精度よく計測することができた。またその効果は、様々な測定したいパターン寸法や様々な露光装置の投影レンズのNAに対して最適化が可能で、高いスループット、高精度な計測および露光装置の収差補正系にフィードバックかけることにより自動補正または実デバイスに応じた最適化した補正が実現できる露光装置を達成することができる、という点である。
【0072】
次に上記説明した投影露光装置を利用したデバイスの生産方法の実施例を説明する。
【0073】
図19は微小デバイス(ICやLSI半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造のフローを示す。ステップ1(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行う。ステップ2(露光制御データ作成)では設計した回路パターンに基づいて露光装置の露光制御データを作成する。一方、ステップ3(ウエハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウエハを製造する。ステップ4(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、上記用意した制御データが入力された露光装置とウエハを用いて、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。次のステップ5(組み立て)は後工程と呼ばれ、ステップ4によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ6(検査)ではステップ5で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップ7)される。
【0074】
図20は上記ウエハプロセスの詳細なフローを示す。ステップ11(酸化)ではウエハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)ではウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ13(電極形成)ではウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ14(イオン打込み)ではウエハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)ではウエハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では上記説明した露光装置によって回路パターンをウエハに焼付露光する。ステップ17(現像)では露光したウエハを現像する。ステップ18(エッチング)では現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)ではエッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
【0075】
次に、図12を用いて簡単に説明したテストレチクル(又は基準プレート)を使って走査型投影露光装置(図2参照)の投影光学系の波面収差(即ちZernike係数)を計測する実施例について詳細に述べる。
【0076】
本実施例のレチクル(プレート)で使用するテストパターン15の詳細図を図21に示す。図21において一見ライン&スペースに見える各ラインTPXは、前述した図5(B)に示すパターンより成っている。勿論、このラインTPXのパターンとして図5(A)に示すパターンも使える。
【0077】
図21のマークはいずれのラインもその幅が図5(B)のものと同じとした。但し、図21のマークの各ライン巾には特に制限は無く、感光基板上に各ラインを転写した際のできあがり寸法幅が転写パターンを計測する計測器の適正パターン寸法を満たすようにしてやれば良い。ここでは各ラインの幅を2μmとした。また図12を用いて説明したように、レチクル9のテストパターン15のある面とは反対側の面上には各ラインTPX毎に対応する開口部16をもつクロム等より成る遮光パターンを設け、通常の照明条件(大σ)で、照明系又はアライメントスコープ19にて開口部に露光光を照射する。その際、開口部16の形状やテストレチクル9の裏面内での位置は、計測したい収差の種類に応じて既にデザインされた設計値に従い決められ、1つもしくは1グループの収差に互いに形状が異なる複数個の開口部を配し、且つ各開口部に対応したテストパターンをレチクルの表面側(開口部の反対面)に配置する。ここで、前記テストパターンは全て互いに同一のパターンである。それら複数個の開口部およびテストパターンのセットを測定したい像高の近傍に配置する。図22は開口部側から見たテストレチクルの開口部の配置例である。図7の例では一連の開口部16が走査型投影露光装置のレチクルステージのスキャン方向に沿って配列している。これら各開口部の中心PHCの(基板の)反対面には対応するテストパターンの中心がある。これら図中の点線PHAで囲まれた領域はσ1.0の光束の照明領域であり、各光束が対応する開口部とラインTPXの組以外の開口部&ラインTPXの組に影響を及ぼさないよう設計されている。この場合レチクルステージをスキャン方向にスキャンすることで、これら一連のテストパターン群(ライン群)は同一像高で計測できる。更に照明系から供給される照明光の入射角度がσ1.0よりも小さい場合で、かつ1.0以上の入射角が必要な場合は、図23に示す様に、開口部16のガラス面上に拡散効果を生む微細格子状クロムパターンを配置したものや、図24に示すように、開口部16のガラス面上に段差構造を持たせまた拡散効果を生む構成をしたものとする。また、図25に示すように開口部16の上部に散乱素子のように光学部材17を配置させることにより光を散乱(拡散))させσ1.0以上の照明をテストパターン15に供給可能とし、かつ走査型投影露光装置の有効光源の光強度分布を平坦にしてやる事が出来る。その際光学部材17はテストレチクル9から少し離れた上部に例えば他のプレートに付けた状態で在っても良い。
【0078】
以上説明した開口部(遮光部)付レチクル9のテストパターン像を図2に示す投影光学系10を通しウエハステージ12上に設けたプレート11a上に結像させ、前記ウエハステージ12を移動して前記プレート11a上に設けたスリットパターン11bを透過する光を光強度検出器(光量検出器)等の受光器11cにより検出する。つまり、前記ウエハステージ12を前記投影光学系10の光軸10b方向(Z方向)に移動してテストパターン像をプレート11の上にフォーカスさせ、ウエハステージ12を光軸方向と直交する面内(X,Y方向)で、テストパターン像のラインに対し直交する方向に移動させ、この移動に同期して前記スリットパターン11bを透過する光を前記検出器11cにより検出しつづけ、各X,Y位置とその位置でのスリットパターン11b透過検出光強度(光量)からなる図26(A)に示すような検出信号を用いて前記プレート11a上に結像したテストパターン15の像中心位置を算出する。この際スリット11bは図26(B)に示すよう空中像の半値幅程度の幅であることが望ましい。また図21に示す様にテストパターン15のマークTPXの本数を増やすとともに、スリット11bのスリットの本数も増やす事で、受光器11cに与える光量も増え、また平均化効果による精度向上も期待できる。また縦ラインのテストパターンと横ラインのテストパターンで像に対するスリットの方向は違うため、異なるスリット方向毎に互いに異なる受光器11cを持ち、計測するライン像の縦横の向きによってスリット&受光器の組を切り換えて計測することも可能である。続けて、不図示のレチクルステージ(テストレチクル)を次のテストパターン位置に順次移動させ、同様にエウハーステージ12も順次移動させながらテストレチクル9上に配置した一連のテストパターン群の計測を順次を行う。この計測手順を図29に示す。また上記方法をウエハーステージ12は動かさないで、レチクルステージ20のみをスキャンさせ、同期をとりながら検出器11cにより検出波形を一連のテストパターンそれぞれに対して採り、位置計測を行う事も可能である。
【0079】
また空中像ではなく感光基板上に焼き付けた像の位置計測を行う方法においては、図27に示したようなサイズの異なるフレームタイプのマーク、例えば18aと18bを使用する。図28に前記マークの配置例を示す。テストレチクル9上の測定したい像高の近傍に18aおよび18bを複数個交互に配置し、同様にそれらのマークの基板の反対側の面上には形状は同じだが回転位置が異なる開口部をそれぞれ配置しておく。前記テストパターン中心位置を測定したい像高位置にくるまでレチクルステージ20を駆動させ、その像高位置で感光基板上にマーク18aを露光する。続けてレチクルステージ20を所定量駆動させ、先ほど露光されたマーク18aに重なるようサイズの異なるマーク18bを露光する。更にウエハステージ位置を駆動させ、露光されていない領域に再度前記工程を繰り返し、一連のテストパターン群全てに対して重ね露光を行う。また前記一連の重ね露光の工程で、レチクルステージを止めることなくスキャンさせても同様に重ね露光が可能である。露光工程終了、後感光基板を現像し、上記重なり合ったマーク同志の位置ずれを、既存の位置ずれ測定機で計測し、前記同様Zernike係数抽出もしくは実デバイス収差を求める。上記露光による手順を図30に示す。
【0080】
以上例をあげて、図12に示したテストレチクルと、検出系11や位置ずれ測定機とを使用した実施形態について述べた。他にも図2に示す装置内のウエハステージ12上に設けたホトクロ材料基板上に転写したテストパターン像を使用して、現像することなく、そのまま図12に示す装置内のオフアクシスアライメント検出系14を使用してテストパターン像の中心位置を測定することも可能である。また前記テストパターン15および開口部16を同一のレチクル9に数箇所配置しておけば、前記手法に従い露光を行い、各像高毎に前記手法にて波面収差を計測可能である。
【0081】
更に図16に得られた計測値(収差値)を本体系にフィードバックすることによって、図16に示すように駆動手段161により投影レンズ10内にある補正光学系162を駆動させたり、図17に示すように、波長可変手段171でレーザー172からの発振波長の中心波長を変えることにより、露光装置の収差を自動補正できる点は、先の実施例で説明したとおりである。
【0082】
また本発明を他の計測方式、例えば干渉方式におけるシステムのキャリブレーションとして使用することも可能である。現在の干渉計は、露光装置本体上に搭載したり本体上で計測可能な工具としては存在していない。従って本体上における投影レンズの波面収差量は、先に干渉計のシステム上で計測された投影レンズの波面収差量で置き換えられている。つまり先の干渉計システム上と露光装置本体上の両者間での環境の違い等による投影レンズの波面収差の差を保証する必要がある。そこで装置およびシステム負荷の少ない本方式を用いて露光装置の本体上と干渉計システム上の両方で投影レンズの波面収差計測を行い、干渉計測による波面収差量の校正用として使用する。
【0083】
【発明の効果】
本発明によれば光学系の波面収差を露光装置本体上で高精度に計測可能な投影露光装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の投影露光装置の一部分の要部概略図。
【図2】本発明の投影露光装置の全体の要部概略図。
【図3】本発明に係る照明系の一部分の説明図。
【図4】位置ずれ検出における検出系の説明図。
【図5】本発明に係るテストパターンの説明図。
【図6】本発明に係るテストパターンの説明図。
【図7】本発明に係るテストパターンの説明図。
【図8】本発明に係る照明用開口絞りの説明図。
【図9】図8の絞りを用いたときの最適化の説明図。
【図10】本発明に係る計測プロセスの説明図。
【図11】図8の絞りを用いたときの評価結果の説明図。
【図12】本発明に係る他方式を用いたときの説明図。
【図13】本発明の実施形態2に係るテストパターンの説明図。
【図14】本発明の実施形態2に係るテストパターンの説明図。
【図15】本発明の実施形態2に係るテストパターンの説明図。
【図16】本発明に係る補正系本体の説明図。
【図17】本発明に係る補正系本体の説明図。
【図18】本発明に係る位置ずれ検出におけるマーク像の光強度分布の説明図。
【図19】微小デバイスの製造フローチャート。
【図20】図19のウエハプロセスの詳細フローチャート。
【図21】本発明に係るテストパターンの説明図。
【図22】本発明に係るテストレチクルの説明図。
【図23】本発明に係るテストレチクルの説明図。
【図24】本発明に係るテストレチクルの説明図。
【図25】本発明に係るテストレチクルの説明図。
【図26】検出系11の一部詳細図。
【図27】本発明に係るテストパターンの説明図。
【図28】本発明に係るレチクルの説明図。
【図29】本発明に係るフローチャート。
【図30】本発明に係るフローチャート説明図。
【符号の説明】
1 光源
2 インプットレンズ
3 フライアイレンズ
4 開口絞り
5 第1リレーレンズ
6 投影式レチクルブラインド
7 第2リレーレンズ
8 メインコンデンサーレンズ
9 レチクル
10 投影光学系
11 検出系
12 ウエハーステージ
13 オートフォーカス系
14 ウエハーアライメント系
15 テストパターン
16 開口部
17 光学部材
18a,b テストパターン
10b 光軸
161 レンズ駆動手段
162 補正光学系
171 波長可変手段
172 レーザー
LP 主光線
TP テストパターン
TPa テストパターン像
TPX ライン
PHA 開口部σ1.0の領域
PHC 開口部設計中心
W ウエハー

Claims (4)

  1. 投影光学系の収差を計測する方法において、
    テストパターンを投影光学系を介して結像させるステップと、
    前記結像させるステップにおいて結像させたテストパターン像から位置ずれ量を測定するステップと、
    前記測定するステップの測定結果を用いて前記投影光学系の収差を測定するステップとを有し、
    前記結像させるステップにおいて、前記位置ずれ量から特定のZernike項の係数が1:1の関係で求められるように前記テストパターンからの光の前記投影光学系の瞳での通過領域を制限することを特徴とする収差計測方法。
  2. 投影光学系の収差を計測する方法において、
    テストパターンを投影光学系を介して結像させるステップと、
    前記結像させるステップにおいて結像させたテストパターン像から位置ずれ量を測定するステップと、
    前記測定するステップの測定結果を用いて前記投影光学系の収差を測定するステップとを有し、
    前記結像させるステップにおいて、前記位置ずれ量から、特定のZernike項の係数が前記位置ずれ量に主に依存して求められるように前記テストパターンからの光の前記投影光学系の瞳での通過領域を制限することを特徴とする収差計測方法。
  3. 請求項1又は2の測定方法により投影光学系の収差を測定する測定モードを有する投影露光装置。
  4. 請求項3の投影露光装置によりデバイスパターンでウエハを露光する段階と、該露光したウエハを現像する段階とを含むデバイス製造方法。
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