JP4109429B2 - 油溶性モリブデン組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な有機モリブデン錯体そしてそれを潤滑組成物用多機能添加剤として用いることに関する。本発明の新規なモリブデン組成物は長鎖モノカルボン酸とモノアルキル化アルキレンジアミンとグリセリドとモリブデン源の反応生成物を含んで成る。
【0002】
【従来の技術】
自動車またはトラックの内燃機関用の潤滑油は使用中に要求の厳しい環境にさらされる。そのような環境の結果として前記油は酸化に苦しみ、このような酸化は、前記油に存在する不純物、例えば鉄化合物などによる触媒作用を受けかつまた前記油が使用中に高温になることでも助長される。このように潤滑油が使用中に受ける酸化は、典型的に、ある程度ではあるが、抗酸化性添加剤の使用で制御され、そのような添加剤は、特に、容認されない粘度上昇を低下または防止することによって前記油の有効寿命を長くし得る。
【0003】
更に、内燃機関の燃料消費量が少なくなるように前記機関の摩擦を低下させる目的で潤滑油を用いる試みも数多く成されてきた。潤滑油がエンジンに対して示すエネルギー効率を高める摩擦軽減剤(friction modifiers)として用いる目的で多数種の潤滑添加剤が提案されてきた。
【0004】
モリブデン含有添加剤が潤滑油に多様な有利な特性を与えることは知られている。
モリブデンの添加によって利点を受ける潤滑油の例は乗用車用モーターオイル、天然ガスエンジン用オイル、高荷重ディーゼル用オイルおよび鉄道用オイルである。モリブデンを適切に用いると抗摩擦保護の改良、酸化制御の改良、付着物制御(deposit control)の改良および摩擦軽減(friction modification)の向上を与えることで燃料が経済的になることが長年に渡って知られている。モリブデン添加剤を抗酸化剤、付着物制御用添加剤、抗摩擦添加剤および摩擦軽減剤として用いることを示す特許文献に数多くの実施例が示されている。モリブデン含有潤滑油の特許の一部リストを以下に示す。
【0005】
【表1】
Figure 0004109429
【0006】
本技術分野には多数種の油溶性モリブデン化合物およびそれの製造方法が記述されている。例えば、Price他の米国特許第3,285,942号にはグリコールモリブデート錯体が記述されており、Hunt他の米国特許第4,832,857号にはモリブデンを含有する過塩基アルカリ金属およびアルカリ土類金属スルホン酸塩、フェネートおよびサリチル酸塩組成物が開示および請求されており、Rowan他の米国特許第4,889,647号には脂肪油とジエタノールアミンとモリブデン源を反応させることで生じさせたモリブデン錯体が記述されており、Karolの米国特許第5,137,647号には硫黄も燐も含まない有機アミドの有機モリブデン錯体、例えば脂肪酸と2−(2−アミノエチル)アミノエタノールから生じさせたモリブデン含有化合物が教示されており、Gallo他の米国特許第5,143,633号にはアミンとジアミンとアルコキシル化アミンとグリコールとポリオールから生じさせた過塩基モリブデン錯体が記述されており、そしてKarolの米国特許第5,412,130号には2,4−ヘテロ原子置換モリブデナ−3,3−ジオキサシクロアルカンが記述されている。
【0007】
しかしながら、現存のモリブデン技術は、それが潤滑油で広く行き渡って用いられることを制限している数多くの問題に苦しんでいる。そのような問題には着色、油溶性、コストおよび腐食が含まれる。
【0008】
着色 − 特許文献に見られる数多くのモリブデン技術は、それをクランクケースオイルで中程度のレベルで用いた時にさえ高いレベルの着色が生じる。油が高度に着色しているとその油が「使用された」油であると言った印象を最終使用者に与え、従ってエンジンに最大度合の保護を与えることができなくなることから、モリブデン源が変色しないことが重要である。そのように高度に着色しているモリブデン源を用いると、与えられるモリブデンの量が低レベル、例えば酸化制御、付着物制御および摩耗制御で典型的に要求される100−150ppmであると、変色の度合はあまり大きくはないが、それでも目に見えるほどであり得る。しかしながら、そのように高度に着色したモリブデン化合物を用いてモリブデンを高いレベル、例えば摩擦軽減で一般に要求される如き400−1000ppmの量で送り込むと、変色の度合がしばしば大きくなる。伝統的に、完全調合のクランクケースオイル(crankcase oils)の色はASTM D1500カラースケール(color scale)で測定されてきた。容認されない着色は2種類存在するであろう。1番目の種類の変色はD1500スケールで暗色等級(dark rating)をもたらす。完成潤滑油の受け入れられる暗色度は消費者および用途に依存する。容認される変色または暗色化の度合には決まった基準は存在しない。一般的には、5.0に等しいか或はそれ以上のD1500等級であると完成クランクケースオイルにとって容認されないと見なされる。特定の顧客にそのような暗色のクランクケースを市場で販売するのは困難であろう。2番目の種類の変色はD1500カラースケールに「適合せず(no match)」をもたらす。そのような完成潤滑油は、「適合せず」を示すことに加えてまた非常に暗色である。再び、特定の顧客にそのような暗色のクランクケースを市場で販売するのは困難であろう。
【0009】
油溶性 − 潤滑油で用いる目的で設計された多数種の市販モリブデン添加剤が完成潤滑油製品中で示す溶解度は限られている。モリブデン製品が潤滑油用途で広く行き渡って用いられるには、そのような製品が完成潤滑油に摩擦修飾剤処理レベル(friction modifier treat levels)で可溶でなければならないばかりでなくまた完成潤滑油の調製で用いられる添加剤濃縮物にも可溶でなければならない。
【0010】
コスト − モリブデンはこれをクランクケース用途で用いるには高価な添加剤として長年に渡って考えられてきた。このようにコストが高い理由の一つは市販モリブデン製品の数多くに入っているモリブデンのレベルが低く、例えば添加剤中5重量%未満であると言ったことに由来する。ある場合には、商業的モリブデン化合物の製造で高価な有機配位子または高価な製造方法が用いられている。コストがより低い原料を用いてモリブデン含有量がより高い製品を製造する必要がある。
【0011】
腐食 − 特許文献に見られる数多くのモリブデン技術は硫黄を含有する。特定種の硫黄は弾性重合体製シールに適合せずかつ腐食性であることから、硫黄の存在はいろいろなクランクケース用途にとって有害である。あまり攻撃的でない形態の硫黄の場合でもクランクケースの環境は非常に高温であることから酸素と水が有意量で存在していると腐食が起こり得る。また、完成クランクケース潤滑油に存在させる硫黄の量を低くしようとする傾向もある。このような傾向が現実になり始めていることから、硫黄を含有する添加剤はあまり望ましくなくなるであろう。
【0012】
また、特定のモリブデン含有摩擦軽減剤は分解機構で機能を果たす結果としてエンジンの金属表面に硫化モリブデン/酸化モリブデン混合層が形成されることも良く知られている。そのような金属表面上に生じるモリブデン種は多種多様であり得、それらの組成は潤滑油に添加されている添加剤の種類およびエンジンまたは試験企画の影響を受ける。例えば、ジチオカルバミン酸モリブデンは使用時に加熱されると分解して遊離アミンと二硫化炭素を包含する生成物をもたらすことが知られている。両方の生成物ともエンジンの軸受けに存在する銅に対して攻撃的である。更に、遊離アミンは幅広く多様なエンジンに存在する特定種の弾性重合体製シールに対して攻撃的であることも知られている。従って、硫黄と遊離アミンの量が少ない新規な添加剤を開発することは適合性の観点から望ましいことである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
この上に挙げた問題は全部、モリブデン含有量が高く、アミンと硫黄の含有量が低く、油溶性が良好でありかつベースオイル(base oil)も完成クランクケースオイルも変色しないモリブデン添加剤が求められていることを示唆している。本発明のモリブデン添加剤はモリブデン添加剤に通常関連した問題を伴うことなく潤滑組成物に前記利点を与えることを予想外に見いだした。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、1つの面において、優れた油溶性を示しかつ完成クランクケースオイルを着色する傾向が低いモリブデン組成物に向けたものである。本モリブデン添加剤は長鎖モノカルボン酸とモノアルキル化アルキレンジアミンとグリセリドとモリブデン源の反応生成物を含んで成る。
【0015】
本発明は、別の態様において、本発明の新規なモリブデン添加剤を潤滑油に添加することを通して潤滑油の抗酸化性と摩擦特性を向上させる方法に向けたものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のモリブデン錯体は長鎖モノカルボン酸とモノアルキル化アルキレンジアミンとグリセリドとモリブデン源の反応生成物を含んで成る。
【0017】
本発明で用いるに適した長鎖モノカルボン酸は炭素原子を好適には少なくとも8、より好適には少なくとも12含むものである。本発明で用いるに適した酸の例には脂肪酸、例えばヤシ酸(coconut acid)、水添ヤシ酸、メンヘーデン酸、水添メンヘーデン酸、獣脂酸、水添獣脂酸および大豆酸が含まれる。使用可能な追加的長鎖カルボン酸にはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキジン酸(arachidic acid)、ベヘン酸、エルカ酸、オレイン酸、リノール酸およびリノレイン酸が含まれる。また、酸の混合物も使用可能であり、時にはその方が好適である。実際、例えば市販のオレイン酸は炭素鎖長が14から20の範囲の多数種の脂肪酸の混合物である。
【0018】
本発明で用いるに適した一置換アルキレンジアミンはモノアルキル化物であり、第二級アミン基を1つと第一級アミン基を1つ含むものである。使用可能ないくつかのモノアルキル化アルキレンジアミンの例には、メチルアミノプロピルアミン、メチルアミノエチルアミン、ブチルアミノプロピルアミン、ブチルアミノエチルアミン、オクチルアミノプロピルアミン、オクチルアミノエチルアミン、ドデシルアミノプロピルアミン、ドデシルアミノエチルアミン、ヘキサデシルアミノプロピルアミン、ヘキサデシルアミノエチルアミン、オクタデシルアミノプロピルアミン、オクタデシルアミノエチルアミン、イソプロピル−オキソ−プロピル−1,3−プロパンジアミンおよびオクチル−オキソ−プロパン−1,3−プロパンジアミンが含まれる。また、脂肪酸から誘導されたモノアルキル化アルキレンジアミンも使用可能である。その例にはN−ココ(coco)アルキル−1,3−プロパンジアミン[Duomeen(商標)C]、N−トール油アルキル−1,3−プロパンジアミン[Duomeen(商標)T]およびN−オレイル−1,3−プロパンジアミン[Duomeen(商標)O]が含まれ、これらは全部Akzo Nobelから商業的に入手可能である。また、モノアルキル化アルキレンジアミンの混合物を用いることも可能である。
【0019】
本発明で用いるに適したグリセリドは式:
【0020】
【化1】
Figure 0004109429
【0021】
[式中、各Rは独立してHおよびC(O)R’から成る群から選択され、ここで、R’は炭素原子数が3から23の飽和もしくは不飽和アルキル基であり得る]で表される。使用可能なグリセリドの例には、グリセロールのモノラウレート、グリセロールのモノミリステート、グリセロールのモノパルミテート、グリセロールのモノステアレート、そしてヤシ酸、獣脂酸、オレイン酸、リノール酸およびリノレイン酸から誘導されるモノグリセリドが含まれる。典型的な市販モノグリセリドは相当するジグリセリドおよびトリグリセリドを実質的な量で含有する。そのような材料は本モリブデン化合物の製造にとって有害でなく、実際、より高い活性を示す可能性もある。如何なるモノグリセリド対ジグリセリド比も使用可能であるが、しかしながら、有効部位(available sites)の30から70%が遊離ヒドロキシル基を含む(即ち前記式で表されるグリセリドが有する全R基の30から70%が水素である)のが好適である。好適なグリセリドはグリセロールのモノオレエートであり、これは一般にオレイン酸とグリセロールから誘導されるモノ、ジおよびトリ−グリセリドの混合物である。適切な市販グリセリドにはEthyl Corporationから入手可能なHiTEC(商標)7133グリセロールモノオレエートが含まれ、これは遊離ヒドロキシル基を一般に約50%から60%含む。
【0022】
モリブデン組み込み(Molybdenum Incorporation)− モリブデン源は、脂肪酸と一置換ジアミンとグリセリドの反応生成物と反応し得る酸素含有モリブデン化合物である。モリブデン源にはとりわけモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、酸化モリブデンおよびそれらの混合物が含まれる。特に好適なモリブデン源は三酸化モリブデンを含んで成る。
【0023】
本発明の成分を反応させる順は重要でない。前記長鎖酸と前記ジアミンを反応させてアミノアミドを生じさせてもよい。次に、このアミノアミドをグリセリド1種または2種以上およびモリブデン源と反応させる。1つの態様では、前記長鎖酸と前記ジアミンを反応させてカルボン酸アンモニウム塩を生じさせてもよい。次に、この塩を前記グリセリド1種または2種以上およびモリブデン源と反応させる。別の態様では、前記長鎖酸と前記ジアミンを反応させてカルボン酸アンモニウム塩とアミノアミドの混合物を生じさせてもよい。次に、この塩/アミノアミド混合物を前記グリセリド1種または2種以上およびモリブデン源と反応させる。更に別の態様では、前記長鎖酸、ジアミン、モリブデン源およびグリセリド1種または2種以上の全部を一度に反応槽に仕込んでもよい(即ち、アミノアミドもカルボン酸アンモニウムも前以て生じさせておく必要はない)。
【0024】
このような反応に水を添加する必要はないが、しかしながら、水は反応速度を助長しかつモリブデン組み込みを基準にした収率を有意に向上させ得る。反応を完結させかつモリブデンの組み込み量を最大限にしようとする場合には水を除去する必要がある。
【0025】
本油溶性モリブデン化合物の調製で用いる原料の典型的なモル化学量論は下記の通りである:
長鎖酸 1.0
一置換アルキレンジアミン 0.8から1.2(酸を基準)
グリセリド混合物 0.25から0.75(酸を基準)
モリブデン源 0.5から1.5(酸を基準)
水 0から100.0(酸を基準)
好適なモル化学量論の例は下記の通りである:
長鎖酸 1.0
一置換アルキレンジアミン 1.0
グリセリド混合物 0.5(おおよそ)
モリブデン源 1.0
水 5.0
前記長鎖酸とモノアルキル置換ジアミンの間の反応を典型的にはこの2種類の材料を窒素雰囲気下で一緒にして混合しながら75から180℃の範囲に加熱することで実施する。好適な反応温度は100から150℃の範囲である。反応時間は多様であり得、典型的には1時間から12時間の範囲である。反応用溶媒をこれが脂肪油にもジアミンにも反応しない限り用いてもよい。好適な反応用溶媒はトルエン、キシレン、ヘプタンおよびいろいろなナフテン系、パラフィン系および希釈用合成油である。溶媒の使用量は重要でなく、実施の目的で最小限に保持する。反応時間を短くしそして/または反応温度を低くした時には一般にカルボン酸アンモニウム塩が生成する主な生成物である。生じるアミノアミド生成物の量は温度を高くすればするほどかつ反応時間を長くすればするほど多くなる。水を除去するとアミノアミド生成物の生成が助長される。
【0026】
適切なモリブデン組み込み方法の例は下記の通りである:アミノアミド/カルボン酸アンモニウム反応マス(mass)を約60−80℃に維持しながらこれに三酸化モリブデン、グリセリド1種または2種以上および水を添加する。使用する水の量は一般に使用する三酸化モリブデンの重量に等しいが、水をより多いレベルで用いることも可能である。三酸化モリブデン、グリセリド1種または2種以上および水を添加した後、反応物をゆっくり加熱して還流温度にしながら水を徐々に除去する。水の除去は蒸留、真空蒸留または適切な溶媒を用いた共沸蒸留で実施可能である。適切な溶媒にはトルエン、キシレンおよびヘプタンが含まれる。この反応を水の除去で監視することができる。集める水の量は添加した量にモリブデン錯体の生成で生じる量を加えた量に等しい。この反応には一般に1から10時間要する。この反応時間が終了した時点で混合物を冷却し、濾過していくらか存在する未反応の三酸化モリブデンを除去し、そして溶媒を用いた場合にはそれを真空蒸留で除去する。多くの場合、三酸化モリブデンの全部が反応することから濾過を行う必要はない。三酸化モリブデンの全部を反応させるのが実施および費用の観点から望ましい。この方法で生じさせた生成物は暗褐色のワックスまたは粘性のある液体である。
【0027】
本発明のモリブデン錯体は反応性硫黄を実質的に含まない油溶性モリブデン化合物である。用語「反応性硫黄を実質的に含まない油溶性モリブデン化合物」を本明細書で用いる場合、これは、潤滑油または調合した潤滑油パッケージに可溶で反応性硫黄を実質的に含まないモリブデン化合物いずれかを意味する。この用語「反応性硫黄」は時として二価の硫黄または被酸化性硫黄を指す。反応性硫黄にはまた遊離硫黄、不安定な硫黄または元素状硫黄も含まれ、これらを全部時には「活性」硫黄と呼ぶ。活性硫黄を時としてそれがもたらす有害な影響の意味で言及する。そのような有害な影響には腐食および弾性重合体製シールへの不適合性が含まれる。1つの結果として、「活性」硫黄をまた「腐食性硫黄」または「シール不適合性硫黄」とも呼ぶ。遊離、即ち「活性」硫黄を含有する形態の反応性硫黄は、遊離、即ち「活性」硫黄の量が非常に少ない反応性硫黄に比べて、エンジン部品に対する腐食性がずっと高い。腐食性が低い形態の反応性硫黄でも、温度が高くかつ条件が厳しくなると腐食をもたらす可能性がある。従って、あらゆる反応性硫黄も活性硫黄も活性が低い硫黄も実質的に含まないモリブデン化合物が望ましい。「可溶」または「油溶性」は、モリブデン化合物が油溶性であるか或は潤滑油にか或は濃縮物の場合には希釈剤に通常のブレンド条件または使用条件下で溶解し得ることを意味する。「実質的に含まない」は、製造過程の後に残存する不純物または触媒が原因で存在し得る硫黄のレベルが痕跡量であることを意味する。このような硫黄はモリブデン化合物自身の一部ではなく、モリブデン化合物の製造後に残存する硫黄である。そのような不純物は時として最終モリブデン生成物に硫黄を0.05重量パーセントの如き多い量で送り込む可能性がある。
【0028】
この上で考察したように、銅の腐食を回避しかつ弾性重合体シールに関して起こり得る問題を回避する目的で遊離アミンの量が低い添加剤の方が多くの場合望ましい。本発明の1つの態様では、本新規モリブデン化合物が含有するモリブデンに対する窒素の比率(N/Mo)(重量/重量)が≦0.6、好適には≦0.4、より好適には≦0.3であるようにする。
【0029】
本発明のモリブデン添加剤は抗酸化剤、付着物制御用添加剤、抗摩耗添加剤および/または摩擦軽減剤として使用可能である。本モリブデン添加剤の処理率(treat rates)は所望の完成潤滑油特性に依存するが、しかしながら、典型的には、本添加剤をこれがモリブデンを完成潤滑油に少なくとも約50ppm、好適には約50から約1000ppm与えるような量で存在させる。本発明に従う潤滑油のモリブデン濃度には特に上限はないが、しかしながら、経済性の理由で一般に約1000ppmの最大レベルが好適である(必要ではないが)。
【0030】
本発明のモリブデン錯体は幅広く多様な種類のベースストック(basestock)中で優れた溶解性を示しかつ完成クランクケースオイルに色を着ける傾向も低い。更に、本錯体にはモリブデンが高い度合で組み込まれており、低コストの原料を用いて調製可能でありかつこれの製造方法は簡潔である。
【0031】
本潤滑油の組成は消費者および具体的な用途を基礎にして多様であり得る。この油に典型的には本発明のモリブデン化合物に加えて洗浄剤/抑制剤添加剤パッケージ(detergent/inhibitor additive package)および粘度指数改良剤(viscosity index improver)を含有させる。本潤滑油は、一般に、潤滑粘度のベースオイルを65から95重量パーセント(重量%)、高分子量粘度指数改良剤を0から30重量%、追加的添加剤パッケージを約5から15重量%およびモリブデン錯体を典型的にはこれがモリブデンを完成潤滑油に少なくとも約50ppm与えるに充分な量で含有するように調合した油である。
【0032】
前記洗浄剤/抑制剤添加剤パッケージは分散剤(dispersants)、洗浄剤、ジヒドロカルビルジチオ燐酸亜鉛(ZDDP)、追加的抗酸化剤、流動点降下剤、腐食抑制剤、錆抑制剤、泡抑制剤および補足的摩擦軽減剤を含有している可能性がある。
【0033】
前記分散剤は、高分子量の炭化水素鎖に結合している窒素もしくは酸素極性基を含む非金属含有添加剤である。前記炭化水素鎖が炭化水素であるベースストックへの溶解性を与えている。この分散剤は油分解生成物が油内に懸濁したままであるようにする機能を果たす。通常用いられる分散剤の例にはヒドロカルビル置換スクシニミド、ヒドロカルビルアミン、ポリヒドロキシこはく酸エステル、ヒドロカルビル置換マンニッヒ塩基およびヒドロカルビル置換トリアゾールが含まれる。このような分散剤を完成油中に一般に0から10重量%の範囲の量で存在させる。
【0034】
前記洗浄剤は、脂肪族、環状脂肪族またはアルキル芳香族鎖と数個の金属イオンを伴う帯電した極性基、例えばフェナート、スルホン酸塩またはカルボン酸塩を含有する金属含有添加剤である。この洗浄剤は付着物をエンジンのいろいろな表面から持ち上げることで機能を果たす。通常用いられる洗浄剤の例には、アルカリおよびアルカリ土類金属の中性および過塩基スルホン酸塩、アルカリ土類の過塩基サリチル酸塩、ホスホン酸塩、チオピロホスホン酸塩およびチオホスホン酸塩が含まれる。このような洗浄剤を用いる場合、これを完成油中に一般に約0.5から5.0重量%の量で存在させる。
【0035】
前記ZDDPは、調合した潤滑油で最も通常用いられる抗摩耗添加剤である。このような添加剤は、金属表面と反応して新しい表面活性化合物(これ自身が変形することで元々のエンジン表面を保護する)を生じることで機能を果たす。抗摩耗添加剤の他の例にはトリクレゾールホスフェート、ジラウリルホスフェート、硫化テルペンおよび硫化脂肪が含まれる。このZDDPはまた抗酸化剤としても機能する。このZDDPを完成油中に一般に約0.25から1.5重量%の範囲で存在させる。ZDDPのレベルを低くする方が環境の懸念から望ましい。無燐油にはZDDPを含有させない。
【0036】
本モリブデン化合物を含有させると一般に補足的抗酸化剤を用いる必要がなくなる。しかしながら、酸化安定性が低い油または異常に苛酷な条件にさらされる油の場合には補足的抗酸化剤を含有させてもよい。このような補足的抗酸化剤の量はベースストックの酸化安定性に応じて多様である。完成油における典型的な処理レベルは0から2.5重量%に及んで多様であり得る。一般に用いられる補足的抗酸化剤にはジアリールアミン、ヒンダードフェノール、ヒンダードビスフェノール、硫化フェノール、硫化オレフィン、アルキルスルフィドおよびポリスルフィド、ジチオカルバミン酸ジアルキルおよびフェノチアジンが含まれる。
【0037】
本発明に従うベースオイルは合成もしくは天然油またはそれらの混合物のいずれかから選択可能である。このような油は火花点火内燃機関および圧縮点火内燃機関、例えば天然ガスエンジン、自動車およびトラックのエンジン、海洋および鉄道のディーゼルエンジンなどに典型的なクランクケース潤滑油である。合成ベースオイルには、ジカルボン酸とポリグリコールとアルコールから作られたアルキルエステル、ポリ−アルファ−オレフィン(ポリブテンを包含)、アルキルベンゼン、燐酸の有機エステルおよびポリシリコンオイルが含まれる。天然のベースオイルには潤滑鉱油が含まれ、これらはそれらの原油源に関して、例えばそれらがパラフィン系であるか或はナフテン系であるか或はパラフィン系とナフテン系の混合であるかに関して幅広く多様であり得る。このようなベースオイルが100℃で示す粘度は典型的に約2から約15cSt、好適には約2.5から約11cStである。
【0038】
潤滑粘度の油に本モリブデン化合物および任意の補足的添加剤を添加することを通して本発明の潤滑油組成物を生じさせることができる。成分を添加する方法も順も重要でない。別法として、本モリブデン化合物を任意の追加的添加剤と一緒の濃縮物として油に添加することも可能である。
【0039】
そのような潤滑油濃縮物は、典型的に、溶媒を含みかつ本発明のモリブデン化合物と任意の補足的添加剤の組み合わせを約2.5から90重量%、好適には5から75重量%含んで成る。この濃縮物は、好適には、本モリブデン化合物と補足的添加剤の組み合わせを少なくとも25重量%、最も好適には少なくとも50重量%含んで成る。
【0040】
本発明は、1つの態様において、潤滑油の酸化安定性を向上させる方法に向けたものであり、前記方法は、潤滑油に本発明のモリブデン錯体を酸化安定性向上量(oxidation stability improving amount)で添加することを含んで成り、ここで、前記モリブデン錯体の前記酸化安定性向上量は、前記潤滑油の酸化安定性が前記モリブデン錯体を含有しない以外は同じ潤滑油に比較して向上するに有効な量である。前記油の酸化安定性を向上させようとする場合には、前記潤滑油に本モリブデン錯体を典型的にはこれが完成潤滑油にモリブデンを少なくとも50ppm、好適には少なくとも100ppm、より好適には少なくとも150ppm与えるに充分な量で存在させる。
【0041】
本発明は、1つの態様において、内燃機関の燃料経済性を向上させる方法に向けたものであり、前記方法は、本発明のモリブデン錯体を含有させた潤滑油を前記内燃機関用のクランクケース潤滑油として用いることを含んで成り、ここでは、前記モリブデン錯体を、前記クランクケース潤滑油を用いた時の内燃機関の燃料経済性が前記モリブデン錯体を含有しない以外は同じクランクケース潤滑油を用いて同じ様式で運転した時の前記機関に比較して向上するに充分な量で存在させる。燃料経済性を向上させようとする場合には、前記潤滑油に本モリブデン錯体を典型的にはこれが完成潤滑油にモリブデンを少なくとも150ppm、好適には少なくとも400ppm、より好適には少なくとも800ppm与えるに充分な量で存在させる。
【0042】
本発明は、1つの態様において、内燃機関内の付着物を減少させる方法に向けたものであり、前記方法は、本発明のモリブデン錯体を含有させた潤滑油を前記内燃機関用のクランクケース潤滑油として用いることを含んで成り、ここでは、前記モリブデン錯体を前記クランクケース潤滑油を用いて運転した時の内燃機関内の付着物の重量の方が前記モリブデン錯体を含有しない以外は同じクランクケース潤滑油を用いて同じ様式で運転した時の前記機関内の付着物の重量に比較して低くなるに充分な量で存在させる。付着物を減少させようとする場合には、前記潤滑油に本モリブデン錯体を典型的にはこれが完成潤滑油にモリブデンを少なくとも50ppm、好適には少なくとも100ppm、より好適には少なくとも150ppm与えるに充分な量で存在させる。本発明の組成物を用いて減少させることができる付着物の代表例には、ピストン付着物、リングランド(ringland)付着物(deposits)、クラウンランド(crown land)付着物およびトップランド(top land)付着物が含まれる。
【0043】
本発明は、1つの態様において、内燃機関内の摩耗を減少させる方法に向けたものであり、前記方法は、本発明のモリブデン錯体を含有させた潤滑油を前記内燃機関用のクランクケース潤滑油として用いることを含んで成り、ここでは、前記モリブデン錯体を前記クランクケース潤滑油を用いて運転した時の内燃機関内の摩耗の方が前記モリブデン錯体を含有しない以外は同じクランクケース潤滑油を用いて同じ様式で運転した時の前記機関内の摩耗に比較して低くなるに充分な量で存在させる。摩耗を低くしようとする場合には、前記潤滑油に本モリブデン錯体を典型的にはこれが完成潤滑油にモリブデンを少なくとも50ppm、好適には少なくとも100ppm、より好適には少なくとも150ppm与えるに充分な量で存在させる。本発明の組成物を用いて低くすることができる種類の摩耗の代表例にはカムの摩耗およびリフター(lifter)の摩耗が含まれる。
【0044】
以下に示す実施例は本発明およびそれの有利な特性を説明するものであり、限定することを意図したものでない。本実施例ばかりでなく本出願の他の場所に示す部およびパーセントは全部特に明記しない限り重量である。
【0045】
【実施例】
以下の実施例に示すモリブデン化合物を生じさせる一般的合成方法は、最初にアミノアミド/カルボン酸アンモニウム混合物を生じさせた後にモリブデンを組み込む段階を伴う。全ての手順で、4つ口反応フラスコに撹拌機、温度計、還流コンデンサおよび窒素入り口を取り付けた。乾燥窒素を前記入り口に通して反応槽の中に入れて還流コンデンサに通して前記反応槽から排出させた。各反応で用いる反応体の量を表1に示す。一置換アルキレンアミン[Duomeen(商標)C]を前記フラスコに仕込んで混合しながら約100℃に加熱した。反応温度を100℃に維持しながら前記アミンに長鎖酸(オレイン酸)をゆっくり加えた。各サンプルの残りの手順は下記の通りであった:
M.1C[グリセリド1種または2種以上を伴わない対照]−−前記酸を加えた後の混合物を150℃に2時間加熱した。キシレンを添加して、発生する水をディーンスタークトラップ(dean−stark trap)を用いた共沸蒸留で2時間に渡って除去した。この反応物を80−85℃に冷却した後、三酸化モリブデンと水を添加した。この反応物を激しく混合しながら還流温度に持って行った。水を共沸で2時間に渡って除去した。
M.2−−前記酸を加えた後の混合物を160℃に2時間加熱した。キシレンを添加して、発生する水をディーンスタークトラップを用いた共沸蒸留で2時間に渡って除去した。この反応物を80−85℃に冷却した後、三酸化モリブデン、グリセロールのモノオレエート[Ethyl CorporationのHiTEC(商標)7133添加剤]および水を添加した。この反応物を激しく混合しながら還流温度に持って行った。水を共沸で3時間に渡って除去した。
M.3−−この手順は三酸化モリブデンの添加量のみを変える以外はM.2と同じであった。
M.4−−この手順は三酸化モリブデンの添加量を変えかつモリブデン組み込み段階の反応時間を2時間にすることのみ以外はM.2と同じであった。
M.5−−この手順は三酸化モリブデンの添加量を変えかつグリセロールのモノオレエート[HiTEC(商標)7133添加剤]の添加量を変えることのみ以外はM.2と同じであった。
M.6−−前記酸を加えた後の混合物を160℃に2時間加熱した。次に、希釈剤であるパラフィン系加工油を添加した。この反応物を80−85℃に冷却した後、三酸化モリブデン、グリセロールのモノオレエート[HiTEC(商標)7133添加剤]、トルエンおよび水を添加した。この反応物を激しく混合しながら還流温度に持って行った。水をディーンスタークトラップを用いた共沸で3時間に渡って除去した。
M.7−−この手順は希釈剤であるパラフィン系加工油をモリブデン組み込み反応終了時点で添加することのみを変える以外はM.6と同じであった。
M.8−−この手順はグリセロールのモノオレエート[HiTEC(商標)7133添加剤]の使用量および希釈剤であるパラフィン系加工油の使用量を変えることのみ以外はM.7と同じであった。
M.9−−この手順は三酸化モリブデンの使用量および希釈剤であるパラフィン系加工油の使用量を変えることのみ以外はM.7と同じであった。
M.10C−−(中間体であるアミノアミド/カルボン酸アンモニウムを伴わない対照)−−この手順を中間体であるアミノアミド/カルボン酸アンモニウム混合物の存在無しに実施した。フラスコに最初にグリセロールのモノオレエート[HiTEC(商標)7133添加剤]およびキシレンを仕込んだ後、激しく混合しながら85℃に加熱した。三酸化モリブデンと水を添加した後、この反応混合物を還流温度に持って行った。水を共沸で3時間に渡って除去した。
【0046】
モリブデン組み込み段階後の反応混合物を約50−60℃に冷却して濾過した。その濾液をロータリーエバポレーターで溶媒が全部除去されるまで濃縮した。
【0047】
【表2】
Figure 0004109429
表2にいろいろな反応生成物をそれらが示す粘度、TBN、窒素含有量およびモリブデン含有量の意味で挙げる。
【0048】
【表3】
Figure 0004109429
【0049】
完全調合の5W−30乗用車用モーターオイル(PCMO)ばかりでなく希釈剤であるパラフィン系加工油を用いてモリブデン化合物の色および目で見た溶解度検査を測定した。色方法はASTM D1500であった。色の結果をD1500カラースケールを基準にした半単位適合最寄り(nearest one−half unit match)で報告する。表3に示す処理レベルは、油に添加したモリブデン化合物の量(重量パーセント)を基礎にしたレベルであり、油に送り込んだモリブデンの量ではない。
【0050】
【表4】
Figure 0004109429
【0051】
本発明のモリブデン化合物が加工油および完成PCMO中で摩擦軽減剤処理レベルで与える着色が例外的に低いことは表3を調べることで明らかである。グリセリド1種または2種以上を含有させなかった対照であるM.1Cは油の色をより暗くするか或はそれに余分な色を与え、このことは、ASTM D1500スケールを基にして完全調合PCMOに適合しないことを示していた。アミノアミド/カルボン酸アンモニウム混合物を伴わせなかった対照であるM.10Cが含有するモリブデンのレベルは、モリブデンを組み込むアミノアミド/カルボン酸アンモニウムを含まない反応系が有効でないことが理由で低い。商業的油溶性モリブデン化合物が含有するモリブデンの量は一般に4から8重量%である。そのレベルが4%未満であるとモリブデンを摩擦軽減剤レベルで完全調合クランクケースオイルに送り込むには高い処理レベルが必要なことから実用的でないと見られる。本発明のサンプルであるM.2、M.3、M.7、M.8およびM.9はモリブデンを高いレベルで含有し、かつこれを完全調合PCMOに入れた時の着色の度合はD1500スケールを基にして受け入れられる度合である。本発明のサンプルであるM.4、M.5およびM.6は着色および溶解度の点でいくらか否定的な属性を示したが、このような材料でも前記対照に比べて容認されかつこれらはモリブデンをより多い量で含有する。サンプルM.4およびM.5が含有するモリブデンのレベルは非常に高いことを注目されたい。このような材料を高い処理レベルで用いた時に色適合が得られないことはあまり重要でない、と言うのは、そのような材料は処理レベルが低くても必要量のモリブデンを送り込むことができるからである。加うるに、サンプルM.5ではモリブデンに対する窒素の比率も非常に低い。このことは、金属表面上で起こる分解の結果として生じる可能性がある潜在的遊離アミンのレベルが非常に低いと解釈される。
【0052】
本モリブデン添加剤がPCMO中で示す抗酸化性能を加圧示差走査熱量測定(PDSC)で設定した。本モリブデン添加剤を表1に記述するようにプレブレンドオイル(pre−blend oils)に添加することを通して試験油の調製を行った。前記プレブレンドオイル(PCMO AおよびPCMO B)は粘度指数改良剤、分散剤、洗浄剤、ZDDP、補足的抗酸化剤およびベースオイルを完全調合マルチグレード(multi−grade)乗用車用モーターオイルに典型的に見られる濃度で含有していた。
【0053】
用いたPDSC手順はJ.A.WalkerおよびW.Tsang,“Characterization of Lubrication Oils byDifferential Scanning Calorimetry”,SAE Technical Paper Series,801383(1980年10月20−23日)に記述されている手順である。油サンプルをナフテン酸鉄触媒(50ppmのFe)で処理した後、約2ミリグラムを開放型アルミニウム製気密鍋に入れて分析を行った。NO2を酸化触媒として約55ppm含有する400psiの空気でDSCのセルを加圧した。温度を1分当たり2.5℃で250℃にまで上昇させる温度上昇方法を用いた。温度上昇手順中に起こる熱の発熱放出を観察する。このような熱の発熱放出は酸化反応の印である。熱の発熱放出が観察される時の温度を酸化開始温度と呼び、これは当該油の酸化安定性の尺度である(即ち、油の酸化安定性は酸化開始温度が高ければ高いほど高い)。全ての油を複数実験で評価して結果の平均を取った。表4に基礎潤滑油、完成潤滑油のモリブデン含有量およびPDSC結果を示す。
【0054】
【表5】
Figure 0004109429
【0055】
表4に示した開始温度結果は、明らかに、本発明に従うモリブデン化合物が完全調合乗用車用モーターオイル(油番号2−10および12−20)の酸化制御に効力があることを示している。
【0056】
本モリブデン添加剤が完全調合PCMO中で示す付着物制御性能をCaterpillar Modified Micro−Oxidation Test(CMOT)を用いて測定した。このCMOTは、幅広く多様な乗用車およびディーゼル用の潤滑油ばかりでなく鉱物および合成ベースストックが付着物を生じる傾向を評価する目的で通常用いられる技術である。この試験では、潤滑油が高温薄膜酸化条件下で示す酸化安定性および付着物形成傾向を測定する。
【0057】
このCMOTでは、油の薄膜を重量を測定しておいた刻み目付き低炭素鋼製サンプルホルダーに入れ、前記サンプルホルダーを試験管の中に浸漬して、前記試験管を高温浴の中に入れる。前記試験管の中の油サンプルの上に乾燥空気を特定速度で入れて前記試験管から大気の中に排出させる。特定の時間的間隔で前記炭素鋼製サンプルホルダーを前記高温浴から取り出し、溶媒で濯ぐことでいくらか残存する油を除去した後、オーブンに入れて乾燥させる。サンプリング間隔で前記サンプルホルダーの重量を測定することにより、生じた付着物の量を決定する。この方法ではサンプリングをいろいろな時間的間隔で行って各時間的間隔で付着物のパーセントを測定する必要がある。このCMOT試験を220℃の温度、20cc/分の空気流量および90、120、150および180分のサンプリング時間を用いて行った。全てのモリブデン化合物をこれがモリブデンを完成潤滑油に150ppm与えるような量で前記油に存在させた。
【0058】
いろいろなサンプリング時間における付着物の重量%を表5に示す。
【0059】
【表6】
Figure 0004109429
【0060】
表5に示した結果は、明らかに、本発明に従う添加剤成分(油番号2−4および6−8)はモリブデンを含まない潤滑油に比較して付着物生成量がより低いことで明らかなようにCMOTで向上した付着物制御を与えることを示している。
【0061】
流体膜の厚みが向かい合う金属表面が互いに相互作用するに充分なほど薄いと境界潤滑が起こる。このような相互作用が起こると摩擦が高くなる。エンジンでは、摩擦が高くなると結果として燃料経済性が低下する。
【0062】
本モリブデン添加剤が完全調合PCMO中で示す境界摩擦係数(boundary friction coefficient)をHigh Frequency Reciprocating Rig(HFRR)を用いて測定した。このHFRRは、サンプルを1−2ml入れたサンプル用セル内のプレートを横切らせてボールを振動させることで作動する。この振動の振動数、ボールが移動する路長、前記ボールにかかる負荷および試験温度を調節することができる。このようなパラメーターを調節することで流体の境界摩擦特性を評価することができる。
【0063】
粘度指数改良剤、分散剤、洗浄剤、ZDDP、補足的抗酸化剤およびベースオイルを完全調合マルチグレード乗用車用モーターオイルに典型的に見られる濃度で含有するプレブレンドオイルに本発明のモリブデン添加剤を添加した。このような流体の境界摩擦特性を、HFRRを用い、“Predicting Seq.VI and VIA Fuel Economy from Laboratory Bench Tests”C.Bovington,V.AnghelおよびH.A.Spikes著(SAE Technical Paper 961142)に記述されている条件と同じ条件、即ち4Nの負荷、1mmの路長(pathe length)、20Hzの振動数で評価した。この摩擦特性の測定を130℃で行った。
【0064】
表6は、本発明の新規なモリブデン添加剤をモーターオイルに添加した時に得た境界摩擦結果の方がモリブデンを含有しないモーターオイルのそれに比較して向上していることを示している。境界摩擦が低いと言った結果は燃料経済性が向上することの指標である。
【0065】
【表7】
Figure 0004109429
【0066】
本発明のモリブデン添加剤を含有させた油(油番号2−10)が示す境界摩擦の方がモリブデンを含まない潤滑油に比較して向上している(即ち低下している)ことは表6から明らかであり、これは、この上に記述したように燃料経済性が向上することの指標である。
【0067】
本発明は本発明の実施の点でかなりの変形を受け易い。従って、本発明を本明細書の上に挙げた具体的な実施例に限定するものでない。むしろ、本発明は添付請求の範囲の精神および範囲(法の問題として有効な相当物を包含)内である。
【0068】
本特許権保有者は開示した全ての態様を公に捧げることを意図するものでなく、その度合で開示した如何なる修飾形も変形も文字通り本請求の範囲の範囲内に入らないかもしれないが、それらは相当物の原理の下で本発明の一部であると見なす。
【0069】
本発明の特徴および態様は以下のとおりである。
【0070】
1.
i)少なくとも1種の長鎖モノカルボン酸、
ii)少なくとも1種のモノアルキル化アルキレンジアミン、
iii)グリセリド1種または2種以上、および
iv)モリブデン源、
の反応生成物を含んで成る有機モリブデン錯体。
【0071】
2. 前記長鎖モノカルボン酸が炭素原子を少なくとも8個含むモノカルボン酸を含んで成る第1項記載のモリブデン錯体。
【0072】
3. 前記長鎖モノカルボン酸が炭素原子を少なくとも12個含むモノカルボン酸を含んで成る第2項記載のモリブデン錯体。
【0073】
4. 前記長鎖モノカルボン酸がモノカルボン酸の混合物を含んで成る第2項記載のモリブデン錯体。
【0074】
5. 前記長鎖モノカルボン酸がオレイン酸を含んで成る第3項記載のモリブデン錯体。
【0075】
6. 前記グリセリド1種または2種以上がモノ−、ジおよびトリグリセリドの混合物を含んで成る第1項記載のモリブデン錯体。
【0076】
7. 前記グリセリド1種または2種以上がグリセロールとオレイン酸の反応生成物を含んで成る第1項記載のモリブデン錯体。
【0077】
8. 前記反応生成物を生じさせる前の前記グリセリドの有効部位の30から70%がヒドロキシル基を含有する第1項記載のモリブデン錯体。
【0078】
9. 前記モノアルキル化アルキレンジアミンが脂肪酸から誘導されたモノアルキル化アルキレンジアミンを含んで成る第1項記載のモリブデン錯体。
【0079】
10. 前記脂肪酸から誘導されたモノアルキル化アルキレンジアミンがN−ココアルキル−1,3−プロパンジアミン、N−トール油アルキル−1,3−プロパンジアミンおよびN−オレイル−1,3−プロパンジアミンから成る群から選択される少なくとも一員を含んで成る第9項記載のモリブデン錯体。
【0080】
11. 前記モリブデン源がモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウムおよび酸化モリブデンから成る群から選択される少なくとも一員を含んで成る第1項記載のモリブデン錯体。
【0081】
12. (i)と(ii)を反応させて反応生成物を生じさせた後に成分(iii)と(iv)を添加することで得た第1項記載のモリブデン錯体。
【0082】
13. 前記反応生成物がアミノアミド、カルボン酸アンモニウムおよびそれらの混合物から成る群から選択される少なくとも一員を含んで成る第12項記載のモリブデン錯体。
【0083】
14. (i)、(ii)、(iii)および(iv)を一緒にした後に加熱することで得た第1項記載のモリブデン錯体。
【0084】
15. 前記反応生成物が有するモリブデンに対する窒素の比率(N/Mo)(重量/重量)が≦0.6である第1項記載のモリブデン錯体。
【0085】
16. 前記反応生成物が反応性硫黄を実質的に含まない第15項記載のモリブデン錯体。
【0086】
17. 前記反応生成物が≦0.4のN/Moを示す第15項記載のモリブデン錯体。
【0087】
18. 前記反応生成物が反応性硫黄を実質的に含まない第17項記載のモリブデン錯体。
【0088】
19. 前記反応生成物が≦0.3のN/Moを示す第17項記載のモリブデン錯体。
【0089】
20. 前記反応生成物が反応性硫黄を実質的に含まない第19項記載のモリブデン錯体。
【0090】
21. 前記反応生成物が反応性硫黄を実質的に含まない第1項記載のモリブデン錯体。
【0091】
22. 前記反応生成物が含有する硫黄の量が0.05重量パーセント未満である第21項記載のモリブデン錯体。
【0092】
23. 潤滑粘度を有する油を主要量で含みかつ第1項記載のモリブデン錯体を含んで成る潤滑油組成物。
【0093】
24. 前記モリブデン錯体が完成潤滑油にモリブデンを少なくとも約50ppm与えるに充分な量で存在する第23項記載の潤滑油組成物。
【0094】
25. 潤滑油の酸化安定性を向上させる方法であって、前記潤滑油に第1項記載のモリブデン錯体を酸化安定性向上量で添加することを含んで成るが前記モリブデン錯体の前記酸化安定性向上量が前記潤滑油の酸化安定性が前記モリブデン錯体を含有しない以外は同じである潤滑油に比較して向上するに充分な量である方法。
【0095】
26. 前記潤滑油に前記モリブデン錯体をこれがモリブデンを完成潤滑油に少なくとも50ppm与えるに充分な量で存在させる第25項記載の方法。
【0096】
27. 内燃機関の燃料経済性を向上させる方法であって、第23項記載の潤滑油を前記内燃機関用のクランクケース潤滑油として用いることを含んで成るが前記モリブデン錯体を前記クランクケース潤滑油を用いた時の内燃機関の燃料経済性が前記モリブデン錯体を含有しない以外は同じクランクケース潤滑油を用いて同じ様式で運転した時の前記機関に比較して向上するに有効な量で存在させる方法。
【0097】
28. 前記クランクケース潤滑油に前記モリブデン錯体をこれがモリブデンを完成潤滑油に少なくとも200ppm与えるに充分な量で存在させる第27項記載の方法。
【0098】
29. 内燃機関内の付着物を減少させる方法であって、第23項記載の潤滑油を前記内燃機関用のクランクケース潤滑油として用いることを含んで成るが前記モリブデン錯体を前記クランクケース潤滑油を用いて運転した時の内燃機関内の付着物の重量の方が前記モリブデン錯体を含有しない以外は同じクランクケース潤滑油を用いて同じ様式で運転した時の前記機関内の付着物の重量に比較して低くなるに充分な量で存在させる方法。
【0099】
30. 前記クランクケース潤滑油に前記モリブデン錯体をこれがモリブデンを完成潤滑油に少なくとも50ppm与えるに充分な量で存在させる第29項記載の方法。
【0100】
31. 内燃機関内の摩耗を減少させる方法であって、第23項記載の潤滑油を前記内燃機関用のクランクケース潤滑油として用いることを含んで成るが前記モリブデン錯体を前記クランクケース潤滑油を用いて運転した時の内燃機関内の摩耗の方が前記モリブデン錯体を含有しない以外は同じクランクケース潤滑油を用いて同じ様式で運転した時の前記機関内の摩耗に比較して低くなるに充分な量で存在させる方法。
【0101】
32. 前記クランクケース潤滑油に前記モリブデン錯体をこれがモリブデンを完成潤滑油に少なくとも50ppm与えるに充分な量で存在させる第31項記載の方法。
【0102】
33.
i)少なくとも1種の長鎖モノカルボン酸、
ii)少なくとも1種のモノアルキル化アルキレンジアミン、
iii)グリセリド1種または2種以上、および
iv)モリブデン源、
を反応させることを含んで成る有機モリブデン錯体を製造する方法。
【0103】
34. 前記長鎖モノカルボン酸に炭素原子を少なくとも8個含むモノカルボン酸を含める第33項記載の方法。
【0104】
35. 前記長鎖モノカルボン酸に炭素原子を少なくとも12個含むモノカルボン酸を含める第34項記載の方法。
【0105】
36. 前記長鎖モノカルボン酸にモノカルボン酸の混合物を含める第33項記載の方法。
【0106】
37. 前記モノアルキル化アルキレンジアミン(成分ii)を酸(成分i)1モル当たり0.8から1.2モルの量で存在させる第33項記載の方法。
【0107】
38. 前記グリセリド1種または2種以上にモノ−、ジおよびトリグリセリドの混合物を含める第33項記載の方法。
【0108】
39. 前記グリセリド1種または2種以上にグリセロールとオレイン酸の反応生成物を含める第33項記載の方法。
【0109】
40. 前記モリブデン錯体を生じさせる前の前記グリセリドの有効部位の30から70%がヒドロキシル基を含有する第33項記載の方法。
【0110】
41. 前記グリセリド1種または2種以上(成分iii)を酸(成分i)1モル当たり0.25から0.75モルの量で存在させる第33項記載の方法。
【0111】
42. 前記モリブデン源にモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウムおよび酸化モリブデンから成る群から選択される少なくとも一員を含める第33項記載の方法。
【0112】
43. 前記モリブデン源(成分iv)を酸(成分i)1モル当たり0.5から1.5モルの量で存在させる第33項記載の方法。
【0113】
44. 成分(iii)と(iv)を添加する前に成分(i)と(ii)を反応させて反応生成物を生じさせておく第33項記載の方法。
【0114】
45. 前記反応生成物がアミノアミド、カルボン酸アンモニウムおよびそれらの混合物から成る群から選択される少なくとも一員を含んで成る第44項記載の方法。
【0115】
46. (i)と(ii)を反応させた後の反応混合物に水を添加する第44項記載の方法。
【0116】
47. 水を酸(成分i)1モル当たり1から100モル添加する第46項記載の方法。
【0117】
48. 加熱を行う前に成分(i)、(ii)、(iii)および(iv)を一緒にする第33項記載の方法。
【0118】
49. 成分(i)、(ii)、(iii)および(iv)の反応生成物に水を酸(成分i)1モル当たり1から100モル添加する第48項記載の方法。

Claims (4)

  1. i)少なくとも1種の長鎖モノカルボン酸、
    ii)少なくとも1種のモノアルキル化アルキレンジアミン、
    iii)式
    Figure 0004109429
    [式中、各Rは独立してHおよびC ( ) R′から成る群から選択され、ここでR′は炭素原子数が3から23の飽和もしくは不飽和アルキル基である]で表されるグリセリド1種または2種以上、および
    iv)上記(i)、(ii)および(iii)と反応し得る酸素含有モリブデン化合物から選ばれるモリブデン源、
    の反応生成物を含んで成る有機モリブデン錯体から成る潤滑油添加剤
  2. 潤滑粘度を有する油を主要量で含みかつ請求項1記載のモリブデン錯体から成る潤滑油添加剤を含んで成る潤滑油組成物。
  3. 潤滑油の酸化安定性を向上させる方法であって、前記潤滑油に請求項1記載のモリブデン錯体から成る潤滑油添加剤を酸化安定性向上量で添加することを含んで成り、前記モリブデン錯体から成る潤滑油添加剤の前記酸化安定性向上量が前記潤滑油の酸化安定性が前記モリブデン錯体から成る潤滑油添加剤を含有しない以外は同じである潤滑油に比較して向上するに充分な量である方法。
  4. i)少なくとも1種の長鎖モノカルボン酸、
    ii)少なくとも1種のモノアルキル化アルキレンジアミン、
    iii)式
    Figure 0004109429
    [式中、各Rは独立してHおよびC ( ) R′から成る群から選択され、ここでR′は炭素原子数が3から23の飽和もしくは不飽和アルキル基である]で表されるグリセリド1種または2種以上、および
    iv)上記(i)、(ii)および(iii)と反応し得る酸素含有モリブデン化合物から選ばれるモリブデン源、
    を反応させることを含んで成る、有機モリブデン錯体から成る潤滑油添加剤を製造する方法。
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