JP4141951B2 - 摩擦調整剤としての有機モリブデン配位化合物 - Google Patents

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Description

(1.発明の分野)
潤滑油に添加されたモリブデン化合物は、それらの構造によって決まるが、摩擦調整剤(friction modifiers; フリクションモディファイヤ)としての役割と耐磨耗性添加剤としての役割の両方の重要な役割を果たすことがある。本発明は、潤滑油添加剤と潤滑剤組成物とに関し、一層詳しく言えば、潤滑油の中に組み入れることのできる有機イミドモリブデン配位化合物から得られる、新しいタイプのモリブデンベース摩擦調整剤添加剤(molybdenum-based friction modifier additives)に関する。本発明の目的は、摩擦を減少させ、エンジンオイルの配合者の助けとなり、乗用自動車用エンジンオイルのための新しい規定(例えば、ILSAC GF−3)を満たすことのできる添加剤を提供することである。
(2.関連技術の記述)
規制当局は現在、そのような経済を達成する義務を自動車の製造業者等に負わせる法律(メーカー別燃費規制(CAFE)の規定)によって、自動車の燃料経済を改善しようとしている。自動車の製造業者等は、今度はこの義務の少なくとも一部分を、エンジンオイルの仕様によって潤滑油の製造業者等に転換している。これらの燃料経済の規定は益々厳格になっているので、潤滑剤組成物の中に摩擦調整剤添加剤を組み入れることが益々重要になっている。エンジンオイルの燃料効率は摩擦減少性添加剤を使用することによって改善し得ることは周知である。また、これらの添加剤は、最も効果的であるためには、エンジンの作動温度で活性でなければならないことも十分理解されている。
加えて、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDDP)は、50年以上の間、耐磨耗添加剤及び酸化防止添加剤として配合油の中で使用されてきた。しかし、ジアルキルジチオリン酸亜鉛は灰分を増加させ、この灰分は、自動車排気物質中の粒状物質の原因となる。規制当局は、環境への亜鉛の排出を低減しようと努めている。更に、ジアルキルジチオリン酸塩中に存在するリンはまた、汚染を減らすために車に使用されている触媒コンバータの運用寿命を制限するのではないかと思われる。毒性及び環境の理由で、エンジン使用の間に形成される粒状物質及び汚染物質を制限することは重要であるが、潤滑油の耐磨耗性を低減しないように保持することも重要である。既知の亜鉛含有添加剤及びリン含有添加剤に関する前述の諸欠点を考慮して、本発明の更なる目的は、亜鉛もリンも含有しない耐磨耗性添加剤を提供することである。
潤滑油の開発において、減磨性又は油性向上特性(oiliness properties)を与える添加剤を提供しようという試みが数多くあった。モリブデン化合物は、摩擦調整剤及び酸化防止剤として有用であること、並びに、潤滑油組成物に耐磨耗性及び極圧抵抗特性を与えることが知られている。
潤滑油用のチオカルバメート添加剤(とりわけ、モリブデン含有チオカルバメート)は、特許文献に開示されている。
米国特許第3,419,589号明細書は、アルカリ・ジアルキルジチオカルバミン酸塩とアルカリ・モリブデン酸塩とを希硝酸で酸性化し、次いで、それらを硫化水素で処理して反応生成物の硫化誘導体を形成することによって、ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン(VI)配位化合物及びそれの硫化誘導体をかなり高い収率で調製する方法を開示する。これらの化合物は潤滑性添加剤として有用であるという。
米国特許第3,509,051号明細書は、潤滑油及びグリースであって、それらが、一般式:[RN−CS−S−]Mo(式中、m+n=4、mは2.35〜3の範囲であり、nは1.65〜1の範囲であり、Rは1〜24個の炭素の原子を有する炭化水素基である)の硫化ジチオカルバミン酸オキシモリブデンを含有しているとき、優れた極限圧力特性、酸化防止剤特性及び耐磨耗性を示すという該潤滑油及びグリースを開示する。
米国特許第3,541,014号明細書は、改善された極限圧力可能性及び耐磨耗性を有するという潤滑剤組成物であって、その中に油溶性モリブデン含有有機配位化合物が存在することを特徴とする該潤滑剤組成物を開示する。これらの配位化合物は、モリブデン含有アニオンの一部分がII族金属と反応するまで、該アニオンを該II族金属含有組成物と接触させることによって生成する。潤滑油、切削油、グリース等は、開示されている潤滑剤組成物の実例である。
米国特許第4,098,705号明細書は、化学式:
Figure 0004141951

(式中、R及びRは1〜24個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を表わし、xは0.5〜2.3の数である)の化合物を開示する。この化合物は、潤滑性添加剤として有用であるという。
米国特許第4,164,473号明細書は、ヒドロカルビル基置換のヒドロキシアルキル化アミン[例えば、N,N',N'−トリス(2−ヒドロキシエチル)−n−タロウ(tallow)−1,3−ジアミノプロパン]と、モリブデン化合物(例えば、モリブデン酸アンモニウム)の約1モル当量との反応生成物として得られる炭化水素可溶性有機モリブデン配位化合物を開示する。この配位化合物は、とりわけ油溶性イオウ供与体(例えば、金属ジアルキルジチオリン酸塩)と組み合せて、有用な炭化水素添加剤となり、潤滑油用添加剤コンビネーション(combination; 組み合せ物)を提供するという。これら共添加剤(coadditives)を含有する潤滑性組成物は、改善された減摩性と耐磨耗性とを示すことが開示されている。
米国特許第4,259,194号明細書は、テトラチオモリブデン酸アンモニウムと塩基性窒素化合物配位化合物とを組み合せて、イオウ及びモリブデンを含有する組成物を形成することによって調製される潤滑油用酸化防止添加剤を開示する。
米国特許第4,259,195号明細書は、極性促進剤と、酸性モリブデン化合物と、ある塩基性窒素化合物とを組み合せて、モリブデン含有組成物を形成することによって調製される潤滑油用酸化防止添加剤を開示する。
米国特許第4,263,152号明細書は、水と、酸性モリブデン化合物と、塩基性窒素化合物配位化合物と、イオウ源とを組み合せて、イオウ及びモリブデンを含有する組成物を形成することによる、潤滑油用酸化防止添加剤の製法を開示する。
米国特許第4,265,773号明細書は、酸性モリブデン化合物と、油溶性塩基性窒素化合物と、二硫化炭素とを組み合せて、イオウ及びモリブデンを含有する組成物を形成することによって調製される潤滑油用酸化防止添加剤を開示する。
米国特許第4,266,945号明細書は、モリブデン酸又はそれの塩と、フェノール又はそれとのアルデヒド縮合生成物と、第一級アミン又は第二級アミンとの反応による、モリブデン含有組成物の製法を開示する。好ましいアミンは、タロウ(tallow)置換トリメチレンジアミン等のジアミン類、及びそれらのホルムアルデヒド縮合生成物である。その反応混合物中の、任意的であるが好ましい成分は、少なくとも1種の油溶性分散剤である。該モリブデン含有組成物は、燃料及び潤滑剤の中の添加剤として有用である(とりわけ、活性イオウを含有する化合物と組み合せたときの潤滑剤の中ではそうである)という。
米国特許第4,272,387号明細書は、酸性モリブデン化合物と、塩基性窒素化合物配位化合物と、イオウ源とを組み合せて、イオウ及びモリブデンを含有する組成物を形成することによって調製される潤滑油用酸化防止添加剤を開示する。
米国特許第4,283,295号明細書は、極性促進剤と、テトラチオモリブデン酸アンモニウムと、塩基性窒素化合物配位化合物とを組み合せて、イオウ及びモリブデンを含有する組成物を形成することによって調製される潤滑油用酸化防止添加剤を開示する。
米国特許第4,285,822号明細書は、(1)極性溶媒と、酸性モリブデン化合物と、油溶性塩基性窒素化合物とを組み合せて、モリブデン含有配位化合物を形成し、次いで、(2)前記配位化合物を二硫化炭素と接触させて、イオウ及びモリブデンを含有する組成物を形成することによって調製される潤滑油用酸化防止添加剤を開示する。
米国特許第4,289,635号明細書は、活性イオウと反応し得るオレフィン不飽和化合物と、(d)極性溶媒の存在下、(a)化学式:
Figure 0004141951

(式中、X及びX'は独立して酸素又はイオウであり、nは0又は1であり、各々のRは独立して、同一の又は相違する炭化水素ベース基である);及び(b)少なくとも1種の6価の酸化モリブデン化合物;及び(c)硫化水素;を反応させることにより調製される化合物とを反応させることによって調製されるモリブデン含有組成物を開示する。それら組成物は、潤滑性添加剤として有用であり、しかも、内燃機関に注油するとき、該内燃機関は燃料経済が改善されるという。
米国特許第4,315,826号明細書は、二硫化炭素を、塩基性窒素官能基を有するポリアルケニルスクシンイミドのチオモリブデン誘導体と反応させることによって調製される多目的潤滑性添加剤を開示する。主題の添加剤は、優れた減摩性を有する分散剤として作用し、しかも、潤滑剤に耐磨耗性と酸化防止特性とを与えるという。
米国特許第4,369,119号明細書は、(a)酸性モリブデン化合物、塩基性窒素化合物、及びイオウ化合物を反応させることによって調製されるイオウ含有モリブデン化合物を(b)有機イオウ化合物と組み合わせることによって調製される潤滑油用酸化防止添加剤を開示する。
米国特許第4,370,246号明細書は、(a)酸性モリブデン化合物、塩基性窒素化合物、及びイオウ化合物を反応させることによって調製されるイオウ含有モリブデン化合物を(b)芳香族アミン化合物と組み合わせることによる、潤滑油用酸化防止添加剤組み合せの製法を開示する。
米国特許第4,395,343号明細書は、(a)酸性モリブデン化合物、塩基性窒素化合物、及び二硫化炭素を反応させることによって調製されるイオウ含有モリブデン化合物を(b)有機イオウ化合物と組み合わせることによって調製される潤滑油用酸化防止添加剤を開示する。
米国特許第4,402,840号明細書は、(a)チオモリブデン酸アンモニウム化合物及び塩基性窒素化合物を反応させることによって調製されるイオウ含有モリブデン化合物を(b)有機イオウ化合物と組み合わせることによって調製される潤滑油用酸化防止添加剤を開示する。
米国特許第4,428,848号明細書は、ホスホ硫化(phosphosulfurized)されたポリイソアルキレンの付加物又はα−オレフィンの付加物と;潤滑剤に組み入れたとき、非モリブデン処理済み付加物と比較して銅の腐食防止を向上させるという酸性化六価モリブデン塩と;を反応させることによって調製される化合物を開示する。また、そのような諸化合物とジアルキルジチオリン酸亜鉛との組み合せも開示する。その組み合せによって、ジアルキルジチオリン酸亜鉛単独又はモリブデン含有付加物単独で得られる酸化防止効果よりも一層大きいという酸化防止効果が、潤滑剤に与えられる。
米国特許第4,474,673号明細書は、活性水素を有する又は活性水素を潜在的に有する硫化有機化合物をハロゲン化モリブデンと反応させることによって調製される、潤滑油用減摩性添加剤を開示する。
米国特許第4,479,883号明細書は、とりわけ摩擦減少特性が改善されたという潤滑油組成物であって、ポリカルボン酸とグリコール又はグリセロールとのエステル、及び選定された金属ジチオカルバメートを含有し;且つ、比較的低い濃度のリンを含有する;該潤滑油組成物を開示する。
米国特許第4,501,678号明細書は、ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンを含有する潤滑剤であって、ギアの疲労寿命を改善するのに有用であるという該潤滑剤を開示する。
米国特許第4,765,918号明細書は、トリグリセリドを塩基性窒素化合物と反応させて反応生成物を形成する工程、該反応生成物を酸性モリブデン化合物と反応させて中間反応生成物を形成する工程、及び、該中間反応生成物をイオウ化合物と反応させる工程によって調製される潤滑油添加剤を開示する。
米国特許第4,889,647号明細書は、(a)脂肪油と、(b)ジエタノールアミンと、(c)モリブデン源とを反応させることによって調製されるモリブデン配位化合物を開示する。それら配位化合物は、潤滑性組成物に減摩性と耐磨耗性とを与え、しかも、内燃機関の燃料消費を低減するという。
米国特許第4,995,996号明細書は、多量の潤滑性粘度油と;化学式Mo[式中、Lは、(とりわけ、該添加剤を該潤滑性粘度油に溶解させるのに十分な個数の炭素原子を有する)キサントゲン酸塩類及びそれらの混合物から選ばれる配位子]を有する少量の添加剤と;を含有する潤滑性組成物を開示する。キサントゲン酸塩配位子は通常、約2〜30個の炭素原子を有する。
米国特許第5,605,880号明細書は、(A)潤滑油組成物の全重量に基づき、基油中の芳香族成分の含有量が3.0重量%であり、Nが50重量ppm以下であり、Sが50重量ppmであり、粘度が2.0〜50.0mm/sである該基油の中に、(B)(1種以上の)アルキルジフェニルアミン及び/又は(1種以上の)フェニル−α−ナフチルアミン0.05〜2.0重量%と、(C)モリブデンの量に換算して50〜2000重量ppmの量の、C8〜23及び/又はC3〜18のMoDTCとを含有させることによって得られる上記潤滑油組成物を開示する。そのような潤滑油組成物は、耐熱性が大きく、酸化安定性が大きく、且つ摩擦特性が改善されているという。また、該潤滑油組成物は、とりわけ内燃機関用潤滑油として適切に使用される。
米国特許第5,650,381号明細書は、活性イオウを実質的に含有していないモリブデン化合物からのモリブデン約100〜450ppmと、第二級ジアリールアミン約750〜5000ppmとを含有する潤滑油組成物を開示する。諸成分から成るこの組み合せは、該潤滑油に、改善された酸化制御と摩擦調整剤の性能を与えるという。該組成物はクランクケース(crankcase)潤滑剤として使用するのにとりわけ適している。
米国特許第5,688,748号明細書は、窒素酸化物による酸化に対する高い抵抗性と、長期間の間維持される優れた摩擦特性と、長期間の燃料消費を減少させる能力とを有するという内燃機関用潤滑油組成物を開示する。該潤滑油組成物は、100℃で2〜20mm/sの動的粘度を有し、更に、芳香族成分を全体で3重量%以下と、1環及び2環のナフテンを全体で45重量%以上と、イオウを50重量ppm以下と、窒素を50重量ppm以下とを含有する炭化水素油から主として成る基油を含有し;しかも、該組成物には、該組成物の全重量に関し、ジチオカルバミン酸モリブデンをモリブデンとして0.02〜0.2重量%と、ジチオリン酸亜鉛をリンとして0.02〜0.15重量%と、フェノールベース酸化防止剤0.05〜3重量%とが添加されている。該潤滑油組成物は、低い摩擦係数を有し、この摩擦係数は、窒素酸化物によって酸化された後でさえ長期間の間維持されているという。
米国特許第5,840,672号明細書は、(A)少なくとも1種の第二級ジアリールアミンと、(B)少なくとも1種の硫化オレフィン及び/又は硫化ヒンダードフェノールと、(C)少なくとも1種の油溶性モリブデン化合物とを含有する酸化防止組成物を開示する。これら酸化防止組成物は、潤滑剤組成物に酸化安定性を与えるのに非常に効果的である(とりわけ、高度に飽和された、低イオウ潤滑性基油に対してはそうである)という。
米国特許第6,103,674号明細書は、潤滑油添加剤であって、
(a)不飽和若しくは飽和のエステル又は酸と、
(b)化学式:
Figure 0004141951

(式中、Rは炭素原子1〜40個のアルキル基であり、R及びR10は独立して、脂肪族化合物又は芳香族化合物の部分から選ばれており、Wは酸素、イオウ、又は−CH−である)のジアミンと、
(c)二硫化炭素と、
(d)モリブデン化合物と
から成る反応生成物を含有する上記潤滑油添加剤を開示する。該添加剤は、摩擦調整特性、有利な耐摩擦特性、極圧特性、及び酸化安定性を潤滑油に与える。
米国特許第6,117,826号明細書は、潤滑油用の、多機能性添加剤として有用なジチオカルバミル誘導体を開示する。
欧州特許第719313B1号明細書は、潤滑油中のアルキル化ジフェニルアミン及びジアルキルチオカルバミン酸モリブデンを請求している。
前述の諸文献の開示内容は、言及することによってそっくりそのまま本明細書に組み入れる。
(発明の概要)
本発明は、潤滑剤に摩擦調整特性を与える、潤滑油用有機イミドモリブデン配位化合物を提供する。
一層詳しく言えば、本発明は、化学式
(Z−N=)Mo(SCNR
(式中、Z及びRは独立して、直鎖炭化水素基、枝分かれ炭化水素基、環状炭化水素基、及びそれらの混合物から成る群から選ばれている)の化合物を含有する組成物に向けられている。
もう一つの具体例において、本発明は、化学式
(Z−N=)Mo(SCNR
(式中、Z及びRは独立して、直鎖炭化水素基、枝分かれ炭化水素基、環状炭化水素基、及びそれらの混合物から成る群から選ばれている)の化合物を含有する潤滑性添加剤に向けられている。
更にもう一つの具体例において、本発明は、潤滑剤の摩擦係数を低減する方法において、化学式
(Z−N=)Mo(SCNR
(式中、Z及びRは独立して、直鎖炭化水素基、枝分かれ炭化水素基、環状炭化水素基、及びそれらの混合物から成る群から選ばれている)の化合物を、潤滑剤に添加する段階を包含する上記低減方法に向けられている。
(好ましい諸具体例の記述)
上記に開示する通り、本発明は、潤滑剤(とりわけ、潤滑油)に摩擦調整添加剤として有用な組成物に向けられている。該組成物は、化学式
(Z−N=)Mo(SCNR
(式中、Z及びRは独立して、直鎖炭化水素基、枝分かれ炭化水素基、環状炭化水素基、及びそれらの混合物から成る群から選ばれている)の化合物である。
該炭化水素基は、好ましくは1〜44個の炭素原子を、一層好ましくは1〜22個の炭素原子を有するものが言及される。それら炭化水素基は、完全に飽和しているか、又は部分的に飽和している場合があり、また、直鎖若しくは枝分かれ鎖を有する場合があるか、又はそれら炭化水素基は環状である場合がある。このように、R及びZは、例えば、独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、tert−オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、オレイル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘネイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、トリアコンチル基、ペンタトリアコンチル基、テトラアコンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等、並びにそれらの異性体及び混合物である場合がある。加えて、R及び/又はZの内部には、エステル基又はヘテロ原子(例えば、酸素及びイオウであり、これらは、エーテル、ポリエーテル及び/又は硫化物の形態をとることがある
)が含有されている場合がある。
本発明の添加剤は、次のスキーム:
(Z−N=)MoCl*DME+2LiSCNR→(Z−N=)Mo(SCNR+2LiCl+DME
(式中、Z及びRは独立して、直鎖炭化水素基、枝分かれ炭化水素基、及びそれらの混合物から成る群から選ばれる)によって合成することができる。
出発物質の(Z−N=)MoCl*DMEは、直鎖及び/又は枝分かれのアルキルアミンと[NaMoO+DME(ジメトキシエタン)+トリメチルシリルクロリド]との反応によって造ることができる。
LiSCNRは、ブチルリチウムを第二級アミンと反応させ、次いで、二硫化炭素と反応させることによって造ることができる。例えば、
LiBu+HNR→LiNR
LiNR+CS→RNCS Li
本発明の添加剤は、現在使用されている他の摩擦調整剤の部分的代替品として、又は該摩擦調整剤の完全な代替品として、該摩擦調整剤と一緒に、又は該摩擦調整剤なしで使用することができる。本発明の添加剤はまた、他の無灰耐磨耗性添加剤及び他の酸化防止剤だけでなく、モーター油中に典型的に存在する他の添加剤とも組み合せて使用することができる。モーター油中に存在する典型的な添加剤は、分散剤、洗浄剤、腐食/さび抑制剤、酸化防止剤(例えば、第二級アミン酸化防止剤、ヒンダードフェノール酸化防止剤、イオウ含有ヒンダードフェノール酸化防止剤、硫化オレフィン、チアジアゾール)、金属不活性化剤、耐磨耗剤(例えば、ジアルキルジチオリン酸亜鉛)、消泡剤、摩擦調整剤、密封膨張剤、乳化破壊剤、VI改良剤、流動点降下剤である。例えば、米国特許第5,498,809号明細書を参照。有用な潤滑油組成物用添加剤を記述するものとして、この米国特許明細書は言及することによって本明細書に組み入れる。
分散剤の諸例には、ポリイソブチレンスクシンイミド、コハク酸ポリイソブチレンエステル、マンニッヒ塩基無灰(Mannich Base ashless)分散剤等が包含される。洗浄剤の諸例には、金属石炭酸塩、金属スルホン酸塩、金属サリチル酸塩、金属カレックスレイン(metallic calexranes)等が包含される。本発明の摩擦調整剤と組み合せて使用することのできる摩擦調整剤の諸例には、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、グリセロールモノオレエート、有機モリブデン化合物、ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン、ジアルキルジチオリン酸モリブデン等が包含される。消泡剤の例には、ポリシロキサン等が包含される。さび抑制剤の例には、ポリオキシアルキレンポリオール等が包含される。VI改良剤の諸例には、オレフィン共重合体、分散剤共重合体等が包含される。流動点降下剤の例には、ポリ(メタクリル酸メチル)等が包含される。
本発明の添加剤と組み合せて使用することのできる酸化防止添加剤の諸例には、アルキル化ジフェニルアミン及びN−アルキル化フェニレンジアミンが包含される。第二級ジアリールアミンは、周知の酸化防止剤であり、本発明の実施において使用することのできる第二級ジアリールアミンの種類に何ら特別の制限はない。潤滑油における第二級ジアリールアミンタイプの酸化防止添加剤は、本発明の添加剤と共に相乗(synergistic)酸化防止混合物を与える。第二級ジアリールアミン酸化防止添加剤は、一般式R11−NH−R12(式中、R11及びR12はそれぞれ独立して、6〜46個の炭素原子を有する置換アリール基又は非置換アリール基を示す)のものが好ましい。該アリール基の代わりの置換基の実例は、脂肪族炭化水素基(例えば、1〜40個の炭素原子を有するアルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、N−アルキル化アミノ基、N',N−アルキル化アミノ基、ニトロ基、又はシアノ基)である。該アリール基は、置換又は非置換のフェニル基又はナフチル基であって、とりわけ、該アリール基の一方又は両方がアルキル基(例えば、4〜24個の炭素原子を有するもの)で置換されているものが好ましい。本発明の実施において採用することのできる好ましいアルキル化ジフェニルアミンには、ノニル化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン[例えば、ジ(オクチルフェニル)アミン]、スチレン化ジフェニルアミン、オクチル化スチレン化ジフェニルアミン、及びブチル化オクチル化ジフェニルアミンが包含される。
1〜40個の炭素原子のアルキル基部分は、完全飽和の炭化水素鎖、又は部分的に不飽和の炭化水素鎖である場合がある、直鎖又は枝分かれ鎖(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、オレイル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘネイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、トリコンチル基、ペンタトリアコンチル基、テトラコンチル基等、並びにそれらの異性体及び混合物)を有することがある。
本発明の実施において採用することのできる幾つかの第二級ジアリールアミンの諸例には、ジフェニルアミン、ジアルキル化ジフェニルアミン、トリアルキル化ジフェニルアミン、又はそれらの混合物;3−ヒドロキシジフェニルアミン、4−ヒドロキシジフェニルアミン、N−フェニル−1,2−フェニレンジアミン、N−フェニル−1,4−フェニレンジアミン、モノブチルジフェニルアミン及び/又はジブチルジフェニルアミン、モノオクチルジフェニルアミン及び/又はジオクチルジフェニルアミン、モノノニルジフェニルアミン及び/又はジノニルジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、ジヘプチルジフェニルアミン、モノ(α−メチルスチリル)ジフェニルアミン及び/又はジ(α−メチルスチリル)ジフェニルアミン、モノスチリルジフェニルアミン、N,N'−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N'−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N'−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジ−(ナフチル−2)−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N'−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N'−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1−メチルペンチル)−N'−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N'−フェニル−p−フェニレンジアミン、4−(p−トルエンスルホンアミド)ジフェニルアミン、4−イソプロポキシジフェニルアミン、tert−オクチル化N−フェニル−1−ナフチルアミノ;並びに、モノアルキル化t−ブチル−t−オクチルジフェニルアミンとジアルキル化t−ブチル−t−オクチルジフェニルアミンの混合物;が包含される。
本発明の添加剤と組み合せて使用することのできる酸化防止剤タイプのもう一つの例は、ヒンダードフェノールタイプである。油溶性のフェノール化合物の実例として、アルキル化モノフェノール;アルキル化ヒドロキノン;ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル;アルキリデンビスフェノール;ベンジル化合物;アシルアミノフェノール;並びにヒンダードフェノール置換アルカン酸のエステル及びアミド;を挙げることができる。本発明の好ましい具体例の潤滑剤組成物には、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロケイ皮酸、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールのC〜C枝分かれアルキルエステル、及びそれらの混合物が包含される。
本発明の添加剤と組み合せて使用することのできる酸化防止剤タイプのもう一つの例は、油溶性銅化合物等である。
本発明の添加剤と組み合せて使用することのできる耐磨耗性添加剤の諸例には、有機ホウ酸塩、有機亜リン酸塩、有機イオウ含有化合物、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアリールジチオリン酸亜鉛、ホスホ硫化炭化水素等が包含される。
耐磨耗性剤として使用するための適切なリン酸塩には、ジチオリン酸ジヒドロカルビルであって、ヒドロカルビル基が平均で少なくとも3個の炭素原子を有するものが包含される。少なくとも1種の亜リン酸ジヒドロカルビルの金属塩であって、ヒドロカルビル基が平均で少なくとも3個の炭素原子を有する該金属塩は、とりわけ有用である。該ジチオリン酸ジヒドロカルビルを誘導することのできる酸は、化学式
Figure 0004141951

(式中、R16及びR17は、同一であるか若しくは相違しており、アルキル遊離基、シクロアルキル遊離基、アラルキル遊離基、アルカリール遊離基、又は置換された実質的炭化水素遊離基誘導体若しくは上記諸基のいずれかであり、しかも、該酸中のR16及びR17基は、それぞれ、平均で少なくとも3個の炭素原子を有する)の諸酸によって例示することができる。「実質的炭化水素(substantially hydrocarbon)」は、例えば、遊離基の炭化水素特性に実質的に影響を及ぼさないエーテル、エステル、ニトロ又はハロゲンのような置換基(例えば、遊離基部分1箇所当り1〜4個の置換基)を含有する該遊離基を意味する。
適切なR16及びR17遊離基の具体的な例には、イソプロピル遊離基、イソブチル遊離基、n−ブチル遊離基、sec−ブチル遊離基、n−ヘキシル遊離基、ヘプチル遊離基、2−エチルヘキシル遊離基、ジイソブチル遊離基、イソオクチル遊離基、デシル遊離基、ドデシル遊離基、テトラデシル遊離基、ヘキサデシル遊離基、オクタデシル遊離基、ブチルフェニル遊離基、o,p−ジペンチルフェニル遊離基、オクチルフェニル遊離基、ポリイソブテン(分子量350)置換フェニル遊離基、テトラプロピレン置換フェニル遊離基、β−オクチルブチルナフチル遊離基、シクロペンチル遊離基、シクロヘキシル遊離基、フェニル遊離基、クロロフェニル遊離基、o−ジクロロフェニル遊離基、ブロモフェニル遊離基、ナフテニル遊離基、2−メチルシクロヘキシル遊離基、ベンジル遊離基、クロロベンジル遊離基、クロロペンチル遊離基、ジクロロフェニル遊離基、ニトロフェニル遊離基、ジクロロデシル遊離基、キセニル遊離基等が包含される。約3〜約30個の炭素原子を有するアルキル遊離基、及び約6〜約30個の炭素原子を有するアリール遊離基が好ましい。とりわけ好ましいR16及びR17は、4〜18個の炭素原子のアルキルである。
ホスホロジチオ酸(phosphorodithioic acids)は、五硫化リンとアルコール又はフェノールとの反応によって容易に得ることができる。その反応には、約20℃〜約200℃の温度で、アルコール又はフェノールの4モルを、五硫化リン1モルと混合する段階が含まれる。該反応が行われるとき、硫化水素が遊離する。複数のアルコールの混合物、複数のフェノールの混合物、又はそれら両者(例えば、C〜C30の複数のアルコール、C〜C30の複数の芳香族アルコール、等)を使用することができる。
それらリン酸塩を造るのに有用な金属には、I族金属、II族金属、アルミニウム、鉛、スズ、モリブデン、マンガン、コバルト及びニッケルが包含される。好ましい金属は亜鉛である。該酸と反応し得る金属化合物の諸例には、酸化リチウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、リチウムペンチラート、酸化ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムプロピラート、ナトリウムフェノキシド、酸化カリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、カリウムメチラート、酸化銀、炭酸銀、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、マグネシウムエチラート、マグネシウムプロピラート、マグネシウムフェノキシド、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、カルシウムメチラート、カルシウムプロピラート、カルシウムペンチラート、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、亜鉛プロピラート、酸化ストロンチウム、水酸化ストロンチウム、酸化カドミウム、水酸化カドミウム、炭酸カドミウム、カドミウムエチラート、酸化バリウム、水酸化バリウム、バリウム水和物、炭酸バリウム、バリウムエチラート、バリウムペンチラート、酸化アルミニウム、アルミニウムプロピラート、酸化鉛、水酸化鉛、炭酸鉛、酸化スズ、スズブチラート、酸化コバルト、水酸化コバルト、炭酸コバルト、コバルトペンチラート、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、等が包含される。
ある場合には、金属反応物と一緒に使用されるある成分、とりわけカルボン酸又は金属カルボン酸塩(例えば、少量の金属酢酸塩、又は酢酸)を組み入れると、該反応が容易となり、改良された生成物が得られる結果となる。例えば、所要量の酸化亜鉛と組み合せて酢酸亜鉛を約5%以下で使用することによって、ホスホロジチオ酸亜鉛(zinc phosphorodithioate)の形成が容易になる。
金属ホスホロジチオ酸塩の製法は、当該技術では周知であり、米国特許第3,293,181号;第3,397,145号;第3,396,109号;及び第3,442,802号明細書を包含する、多数の公開特許明細書に記述されている。これら米国特許明細書の開示内容は、言及することによって、そっくりそのまま本明細書に組み入れる。
米国特許第3,637,499号明細書に記述されているようなジチオリン酸化合物のアミン誘導体は、耐磨耗性添加剤としても有用である。その米国特許明細書の開示内容は、言及することによって、そっくりそのまま本明細書に組み入れる。
それら亜鉛塩は、潤滑油組成物の全重量に基づき、0.1〜10重量%の量、好ましくは、0.2〜2重量%の量で、該潤滑油中の耐磨耗性添加剤として最も一般的に使用されている。それら亜鉛塩は、先ず、通常、アルコール又はフェノールをPと反応させて、ジチオリン酸を形成し;次いで、そのジチオリン酸を適切な亜鉛化合物で中和する;ことによる既知技術に基づいて調製することができる。
改善された耐磨耗性を通常与える第二級アルコールと、温度安定性を通常与える第一級アルコールの混合物を含有するアルコール混合物を使用することができる。通常、塩基性又は中性の亜鉛化合物であれば如何なるものも使用することができるが、酸化物、水酸化物及び炭酸塩は、最も一般的に使用することができる。市販の添加剤は、中和反応において過剰の塩基性亜鉛化合物が使用されるため、しばしば過剰の亜鉛を含有している。
ジチオリン酸ジヒドロカルビル亜鉛(ZDDP)は、ジチオリン酸のジヒドロカルビルエステルの油溶性塩であり、次の化学式
Figure 0004141951

(式中、R16及びR17は、前述の化学式との関連で記述される通りである)で表わすことができる。
本発明の実施において追加の添加剤を使用する場合、それら添加剤は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアリールジチオリン酸亜鉛、アルキル化ジフェニルアミン、ヒンダードアルキル化フェノール、及びそれらの混合物から成る群から選定することが、とりわけ好ましい。
組成物がこれら添加剤を含有する場合、該組成物は典型的には、それら添加剤が通常の付随的作用を与えるのに効果的な量で基油に混ぜる。そのような添加剤の典型的な効果的量は次のように例示される:
Figure 0004141951
他の添加剤を使用する場合、必ずではないが、(上述の濃縮物量の)1種以上の他の添加剤と一緒に、本発明の主題の添加剤の、濃縮された溶液又は分散液を含有する添加剤濃縮物を調製することが望ましいことがあり(該濃縮物が添加剤混合物の構成要素となっているとき、該濃縮物は、本明細書では添加剤パッケージと呼ぶ)、そうすることによって、潤滑油組成物を形成するために、幾つかの添加剤は基油に同時に添加することができる。該添加剤濃縮物の潤滑油中への溶解は、溶媒を使用し、混合し、次いで、穏やかに加熱することによって容易にすることができるが、このことは、不可欠な訳ではない。該濃縮物、即ち添加剤パッケージは典型的には、適切な量の諸添加剤を含有するように配合して、該添加剤パッケージを基油の所定量と混合したとき、最終製剤中に所望の濃度を与える。従って、本発明の主題の添加剤は、少量の基油又は他の相溶性(compatible)溶媒に、他の所望の添加剤と一緒に添加して、典型的には約2.5〜約90重量%、好ましくは約15〜約75重量%、最も好ましくは約25〜約60重量%の、適切な割合の諸添加剤の全体量で、諸活性成分を含有し;残部が基油である;添加剤パッケージを形成することができる。最終製剤は、添加剤パッケージを典型的には約1〜20重量%使用し、残部は基油とすることができる。
本明細書で示す重量%は全て(別に指摘しない限り)、添加剤の活性成分(AI)含有量;及び/又は、いずれかの添加剤パッケージ若しくは製剤の全重量;に基づく。この全重量は、各々のAI重量と、油若しくは希釈剤の重量との合計となる。
本発明の潤滑剤組成物は通常、約0.05〜約30重量%の範囲の濃度でそれら添加剤を含有している。該油組成物の全重量に基づき約0.1〜約10重量%の範囲の、それら添加剤の濃度範囲が好ましい。好ましい濃度範囲は、約0.2〜約5重量%である。それら添加剤の油濃縮物は、潤滑油の粘度のキャリヤ又は希釈油(diluent oil)の中に、添加剤反応生成物を約1〜約75重量%を含有し得る。
本発明のそれら添加剤は通常、種々の潤滑油ベース原料油(basestocks)に有用である。潤滑油ベース原料油は、100℃で約2〜約200cSt、一層好ましくは約3〜約150cSt、最も好ましくは約3〜約100cStの動粘性係数を有する、天然又は合成のいずれかの潤滑油ベース原料油の留分である。潤滑油ベース原料油は、天然潤滑油、合成潤滑油、及びそれらの混合物から得ることができる。潤滑油の適切なベース原料油には、合成ろう及びろうの異性化によって得られるベース原料油だけでなく、原油の芳香族及び極性成分を(溶媒抽出するよりもむしろ)水素化分解することによって生成される水素化分解物ベース原料油が包含される。天然潤滑油には、動物油、植物油(例えば、なたね油、ひまし油、及びラード油);石油;鉱油;並びに、石炭又はシェールから得られる油;が包含される。
合成油には、炭化水素油並びにハロ置換炭化水素油(例えば、重合オレフィン及び共重合オレフィン、アルキルベンゼン、ポリフェニル、アルキル化ジフェニルエーテル、硫化アルキル化ジフェニル、並びにそれらの類似物及び同族体、等)が包含される。合成潤滑油には、アルキレン酸化物の重合体、インターポリマー(interpolymers)、共重合体、及びそれらの誘導体であって、その末端基がエステル化、エーテル化等によって変性されたものも包含される。もう1つの適切な種類の合成潤滑油は、ジカルボン酸と種々のアルコールのエステルを含有する。合成油として有用なエステルには、C〜C12のモノカルボン酸とポリオールとポリオールエーテルとから造られたエステルも包含される。
ケイ素ベース油[例えば、ポリアルキル−、ポリアリール−、ポリアルコキシ−、又はポリアリールオキシ−シロキサン油及びシリケート油(silicate oils)]は、もう1つの有用な種類の合成潤滑油を含有している。他の合成潤滑油には、リン含有酸の液体エステル、高分子テトラヒドロフラン、ポリアルファオレフィン、等が包含される。
該潤滑油は、粗製油、精製油、再精製油、又はそれらの混合物から得ることができる。粗製油は、天然源又は合成源(例えば、石炭 シェール、又はタール及びビチューメン)から、更なる精製も処理もすることなく直接得ることができる。粗製油の例には、乾留操作によって直接得られるシェール油、蒸留によって直接得られる石油、又はエステル化プロセスから直接得られるエステル油が包含される。それら油は、次いで、更なる処理をすることなく使用される。精製油は、該精製油が1回以上の精製工程で処理されて、1つ以上の特性が改善されているということを除き、粗製油に類似している。適切な精製技術には、蒸留、水素化処理、脱ろう、溶媒抽出、酸抽出又は塩基抽出、濾過、及びパーコレーション(percolation)が包含される。それらは全て、当業者に知られている。再精製油は、精製油を得るのに使用されるプロセスに類似するプロセスによって精製油を処理することによって得られる。これらの再精製油は、再生油又は再処理油としても知られており、また、しばしば追加的に、使用済み添加剤及び油分解生成物を除去する技術によって処理される。
ろうを水素異性化することによって得られる潤滑油ベース原料油はまた、単独で、又は、前述の天然ベース原料油及び/若しくは合成ベース原料油と組み合せて使用することができる。そのようなろう異性化油は、水素異性化触媒上で、天然ろう、合成ろう、又はそれらの混合物を水素異性化することによって造られる。天然ろうは典型的には、鉱油を溶剤脱ろうすることによって回収される粗ろう(slack waxes)であり;合成ろうは典型的には、フィッシャー・トロプシュ法によって生成されるろうである。結果として得られる異性化生成物は典型的には、溶剤脱ろう及び精留(fractionation)を行って、特定の粘度範囲の種々の留分を回収する。ろう異性化物はまた、非常に高い粘度指数(通常、少なくとも130、好ましくは少なくとも135以上のVI(粘度指数)を有する)を処理することと、続いて脱ろうを行うことと、約−20℃以上の流動点とを特徴とする。
本発明の諸添加剤はとりわけ、多くの種々の潤滑油組成物の諸成分として有用である。それら添加剤は、潤滑性粘度を有する種々の油(天然潤滑油、合成潤滑油、及びそれらの混合物を包含する)の中に含有させることができる。それら添加剤は、火花点火(spark-ignited)内燃機関、及び圧縮点火(compression-ignited)内燃機関のための、クランク室用潤滑油の中に含有させることができる。それら組成物はまた、ガス機関潤滑剤、タービン潤滑剤、自動変速機油、ギア潤滑剤、圧縮機用潤滑剤、金属工業用潤滑剤、作動液(hydraulic fluids)、並びに、他の潤滑油組成物及びグリース組成物の中にも含有させることができる。それら添加剤はまた、自動車ガソリン組成物中で使用することができる。
本発明の利点及び重要な特徴は、次の諸実施例から一層明白になるであろう。
二塩化ビス−tert−ブチルイミドモリブデン(VI)、DME付加物
モリブデン誘導体を用いる操作は全て、乾燥アルゴンの雰囲気の中で実施した。無水NaMoO(30.9g、0.15モル)、絶対化DME(0.5リットル)、トリエチルアミン(84ml、0.6モル)、トリメチルシリルクロリド(152ml、1.2モル)、及びtert−ブチルアミン(31.3ml、0.3モル)を、1リットルフラスコ中で混合し、次いで、12時間の間還流した。NaMoOは、完全に溶解した。反応混合物は濾過し、固形分(EtHNCl)は、DMEで2回洗浄し、熱ヘプタンで1回洗浄した。それら溶媒は、混合液相から真空で除去し、次いで、得られた緑がかった固体塊は、冷ヘキサンと共に強く振盪した。そのヘキサンを濾過して、黄色の結晶42.5g(70)%を生成した。
二塩化ビス−tert−オクチルイミドモリブデン(VI)、DME付加物
モリブデン誘導体を用いる操作は全て、乾燥アルゴン雰囲気中で実施した。MoOCl・DME(18g、0.0625モル)、tert−オクチルアミン(20.1ml、0.125モル)、トリエチルアミン(35ml、0.25モル)、トリメチルシリルクロリド(31.6ml、0.25モル)、及びDME(200ml)を、一緒に混合し、次いで、5時間の間還流した。該溶液を室温まで冷却した後、沈降物は濾過し;溶液は、該溶液の初期容積の1/4になるまで減圧下で蒸発させ;次いで、その濾過段階を繰返した。次いで、残部の溶媒は、真空で除去して、赤色の油状生成物を得た。この赤色油状生成物は、ペンタンによって−110℃で2回再結晶させた。赤色の結晶質固体を得た。収量は23g(72)%であった。
ビス−(tert−ブチルイミド)−ビス−(ジイソオクチルジチオカルバマト)モリブデン(VI) C 42 86 MoN
モリブデン誘導体を用いる操作は全て、乾燥アルゴン雰囲気中で実施した。0℃のジエチルエーテル(200ml)に入れたビス−(イソ−オクチル)アミン(10.6ml、0.0351モル)の溶液に、ヘキサン(24ml、0.0351モル)に入れたブチルリチウムの1.48M溶液を、撹拌しながら注意深く添加した。該混合物を10分間撹拌した後、CS(2.1ml、0.0351モル)を注意深く添加し、次いで、その温度を20℃に上昇させた。次いで、DME50mlに入れた、実施例1の生成物(0.0175モル)7gの溶液を添加し、次いで、2時間の間撹拌した後、それら溶媒は、減圧下で50mlの容積まで蒸発させた。n−ヘキサン100mlを添加し、次いで、該溶液は濾過した。濾液は真空で蒸発させ、暗赤色の油15.5gを得た。
ビス−(tert−オクチルイミド)−ビス−(ジイソオクチルジチオカルバマト)モリブデン(VI) C 50 102 MoN
モリブデン誘導体を用いる操作は全て、乾燥アルゴン雰囲気中で実施した。0℃のジエチルエーテル(100ml)に入れたビス−(イソ−オクチル)アミン(4.1ml、0.0137モル)の溶液に、ヘキサン(9.3ml、0.0137モル)に入れたブチルリチウムの1.48M溶液を、撹拌しながら注意深く添加した。該混合物を10分間撹拌した後、CS(0.83ml、0.0137モル)を注意深く添加し、次いで、その温度を20℃に上昇させた。次いで、DME30mlに入れた、実施例2の生成物(0.00686モル)3.5gの溶液を添加し、次いで、10分間撹拌した後、それら溶媒は、減圧下で30mlの容積まで蒸発させた。n−ヘキサン70mlを添加し、次いで、該溶液は濾過した。濾液は真空で蒸発させ、暗赤色油7.2gを得た。
(tert−オクチルN) Mo{S CN(Coco)
モリブデン誘導体を用いる操作は全て、乾燥アルゴン雰囲気中で実施した。0℃のジエチルエーテル200mlに入れたジココアミン10gの溶液に、ヘキサン(15.3ml、0.0242モル)に入れたブチルリチウムの1.58M溶液を、撹拌しながら注意深く添加した。該混合物を15分間撹拌した後、CS(0.0242モル)1.46mlを注意深く添加し、次いで、その温度を20℃に上昇させた。次いで、DME20.9mlに入れた、実施例2の生成物6.18g(0.0121モル)の溶液を添加し、次いで、2時間の間撹拌した後、それら溶媒は、減圧下で50mlの容積まで蒸発させた。n−ヘキサン100mlを添加し、次いで、該溶液は濾過した。濾液は真空で蒸発させ、暗赤色油16.8gを得た。
(tert−ブチルN) Mo{S CN(Coco)
モリブデン誘導体を用いる操作は全て、乾燥アルゴン雰囲気中で実施した。0℃のジエチルエーテル200mlに入れたジココアミン10gの溶液に、ヘキサン(15.3ml、0.0242モル)に入れたブチルリチウムの1.58M溶液を、撹拌しながら注意深く添加した。該混合物を15分間撹拌した後、CS(0.0242モル)1.46mlを注意深く添加し、次いで、その温度を20℃に上昇させた。次いで、DME(37.3ml、0.0121モル)に入れた、実施例1の生成物の0.324モル溶液を添加し、次いで、20分間撹拌した後、それら溶媒は、減圧下で50mlの容積まで蒸発させた。n−ヘキサン100mlを添加し、次いで、該溶液は濾過した。濾液は真空で蒸発させ、暗赤色油13.6gを得た。
カメロン・プリントTE77高周波摩擦機械による摩擦係数試験
完全に配合した潤滑油の中の新規反応生成物の減摩特性は、カメロン・プリント(Cameron Plint)TE77摩擦試験で測定した。試験を行った該完全配合済み潤滑油に、試験すべき添加剤を1重量%含有させた。諸添加剤は、上昇する複数の温度点(temperature points)で、モーター油での有効性について試験し、次いで、減摩添加剤あり及び減摩添加剤なしの、同一の配合物と比較した。表1の試験結果(摩擦係数)の数値は、有効性が増大するにつれて減少する。換言すれば、摩擦係数の値が小さくなればなる程、その添加剤の摩擦の減少は一層良好になる。
カメロン・プリントTE77高周波摩擦機械を用いて摩擦係数を測定するための試験手順は、次の通りである。添加剤を含有する油試料10mlを試験室中に置いて、平形固定焼入れ済み接地用(flat stationary hardened ground)NSOHB01ゲージ・プレート(Gauge Plate)(RC60/0.4μ)を覆う。往復動供試体(reciprocating specimen)[長さ16mmの窒化鋼ドエルピン(dowel pin)(直径6mm、60Rc)]を、50ニュートンの負荷をかけた鋼板の頂部に置き、10分間かけて室温から35℃まで加熱し、35℃に5分間維持する。次いで、所定位置に50ニュートンの負荷をかけ、5mm振幅ストロークで5ヘルツ周期の往復運動を開始する。次いで、温度を10分間かけて50℃まで上昇させる。次いで、負荷は、100ニュートンに増大し、温度は1時間かけて165℃まで上昇させる。60〜160℃の間の摩擦係数データを収集する。平形供試体は、ラン(runs)の間、ヘキサン及び500番エメリー布で清浄化する。毎回、新しいドエルピン、又はドエルピンの新しい表面を使用する。対照油は、実験油の間に交互に実験を行う。対照油が再現性のある結果をもはや与えなくなるまで、同一の平形供試体を使用する。
試験したモーター油配合物は、分散剤、洗浄剤、酸化防止剤、さび抑制剤、流動点降下剤、OCP VI改良剤、及び耐磨耗添加剤を含有する「SAE 10W−30」グレイド(grade)である。摩擦調整剤は、トップ処理(top treat)としてこの配合物に添加した。
Figure 0004141951

対照油は、摩擦調整剤(friction modifier)を全く含有しない、完全配合済み10W−30ガソリン・クランク室モーター油である。
CFMは、脂肪酸アミドとグリセロールエステルとグリセロールの混合物をベースとする、市販の無灰摩擦調整剤である。
四球耐磨耗試験
完全配合済み潤滑油中における新規な反応生成物の耐磨耗性は、「ASTM D4172」の試験条件下での四球磨耗試験(Four-Ball Wear Test)により測定した。試験を行った該完全配合済み潤滑油にも、クメンヒドロペルオキシドを1重量%含有させ、稼動エンジン内部の環境をシミュレートするのに役立てた。諸添加剤は、2種類のモーター油配合物(表2を参照)での有効性について試験し、次いで、いずれかのジアルキルジチオリン酸亜鉛あり、なしの同一の配合物と比較した。表3の試験結果(磨耗跡の平均直径、mm)の数値は、有効性が増大するにつれて減少する。
Figure 0004141951

Figure 0004141951
本発明の基礎にある原理から逸脱することなく成し得る多くの変形及び部分的修正を考慮すれば、本発明に与えられるべき保護範囲を解釈するためには、特許請求の範囲を参照すべきである。

Claims (34)

  1. 化学式
    (Z−N=)Mo(SCNR
    (式中、Z及びRは独立して、直鎖炭化水素基、枝分かれ炭化水素基、環状炭化水素基、及びそれらの混合物から成る群から選ばれている)の化合物を含有する潤滑添加剤用組成物。
  2. 炭化水素基の少なくとも1つが完全に飽和している、請求項1に記載の組成物。
  3. 炭化水素基の少なくとも1つが部分的に飽和している、請求項1に記載の組成物。
  4. 炭化水素基の少なくとも1つが枝分かれしている、請求項1に記載の組成物。
  5. 炭化水素基の少なくとも1つがtert−ブチル基である、請求項4に記載の組成物。
  6. 炭化水素基の少なくとも1つがイソオクチル基である、請求項4に記載の組成物。
  7. 炭化水素基の少なくとも1つがtert−オクチル基である、請求項4に記載の組成物。
  8. 化合物が、ビス−(tert−ブチルイミド)−ビス−(ジイソオクチルジチオカルバマト)−モリブデン(VI)である、請求項1に記載の潤滑添加剤用組成物。
  9. 化合物が、ビス−(tert−オクチルイミド)−ビス−(ジイソオクチルジチオカルバマト)−モリブデン(VI)である、請求項1に記載の潤滑添加剤用組成物。
  10. 化合物が、(tert−オクチルN)Mo{SCN(Coco)である、請求項1に記載の潤滑添加剤用組成物。
  11. 化合物が、(tert−ブチルN)Mo{SCN(Coco)である、請求項1に記載の潤滑添加剤用組成物。
  12. 潤滑剤を更に含有する、請求項1に記載の組成物。
  13. 潤滑剤が潤滑油である、請求項12に記載の組成物。
  14. 分散剤、洗浄剤、さび止め剤、酸化防止剤、硫化オレフィン、チアジアゾール、金属不活性化剤、耐磨耗剤、消泡剤、摩擦調整剤、密封膨張剤、乳化破壊剤、VI改良剤、及び流動点降下剤から成る群から選ばれる少なくとも1種の追加の添加剤を更に含有している、請求項12に記載の組成物。
  15. アルキル化ジフェニルアミン、ヒンダードアルキル化フェニル、ヒンダードアルキル化フェノールエステル、イオウ含有ヒンダードフェノールエステル、及びイオウ含有ヒンダードアルキル化フェノールから成る群から選ばれる少なくとも1種の追加の添加剤を更に含有している、請求項12に記載の組成物。
  16. 少なくとも1種の追加の添加剤がアルキル化ジフェニルアミンである、請求項15に記載の組成物。
  17. アルキル化ジフェニルアミンが、ノニル化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、スチレン化ジフェニルアミン、オクチル化スチレン化ジフェニルアミン、及びブチル化オクチル化ジフェニルアミンから成る群から選ばれている、請求項16に記載の組成物。
  18. 3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロケイ皮酸、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールのC〜C枝分かれアルキルエステル、及びそれらの混合物から成る群から選ばれる要素を更に含有している、請求項12に記載の組成物。
  19. ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアリールジチオリン酸亜鉛、及びそれらの混合物から成る群から選ばれる要素を更に含有している、請求項12に記載の組成物。
  20. 少なくとも1種のアルキル化ジフェニルアミンと少なくとも1種のジアルキルジチオリン酸亜鉛の混合物を更に含有している、請求項12に記載の組成物。
  21. 混合物が、少なくとも1種のヒンダードアルキル化フェノール類を更に含有している、請求項20に記載の組成物。
  22. 化学式
    (Z−N=)Mo(SCNR
    (式中、Z及びRは独立して、直鎖炭化水素基、枝分かれ炭化水素基、環状炭化水素基、及びそれらの混合物から成る群から選ばれている)の化合物を含有する潤滑添加剤。
  23. 潤滑剤の摩擦係数を低減する方法において、化学式
    (Z−N=)Mo(SCNR
    (式中、Z及びRは独立して、直鎖炭化水素基、枝分かれ炭化水素基、環状炭化水素基、及びそれらの混合物から成る群から選ばれている)の化合物を、潤滑剤に添加する段階を包含する上記低減方法。
  24. 炭化水素基の少なくとも1つが完全に飽和している、請求項23に記載の方法。
  25. 炭化水素基の少なくとも1つが部分的に飽和している、請求項23に記載の方法。
  26. 炭化水素基の少なくとも1つが枝分かれしている、請求項23に記載の方法。
  27. 炭化水素基の少なくとも1つがtert−ブチル基である、請求項26に記載の方法。
  28. 炭化水素基の少なくとも1つがイソオクチル基である、請求項26に記載の方法。
  29. 炭化水素基の少なくとも1つがtert−オクチル基である、請求項26に記載の方法。
  30. 化合物が、ビス−(tert−ブチルイミド)−ビス−(ジイソオクチルジチオカルバマト)−モリブデン(VI)である、請求項23に記載の方法。
  31. 化合物が、ビス−(tert−オクチルイミド)−ビス−(ジイソオクチルジチオカルバマト)−モリブデン(VI)である、請求項23に記載の方法。
  32. 化合物が、(tert−オクチルN)Mo{SCN(Coco)である、請求項23に記載の方法。
  33. 化合物が、(tert−ブチルN)Mo{SCN(Coco)である、請求項23に記載の方法。
  34. 潤滑剤が潤滑油である、請求項23に記載の方法。
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