JP4109403B2 - コンバインにおける作業クラッチの継断制御装置 - Google Patents

コンバインにおける作業クラッチの継断制御装置 Download PDF

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Description

【発明の属する技術分野】
本発明は、コンバインにおける作業クラッチの継断制御装置に関する。
【0001】
【従来の技術】
従来のコンバインにおいて、刈取前処理装置や脱穀部等の作業部に対してエンジンからの動力伝達を継断する各作業クラッチは、動力伝達ベルトの中途部にそのベルトの緊張、緩みを選択するようにテンションプーリが取付けられたアームを回動させる機械的な構成が採用されていた。このような機械的な作業クラッチに対応させて、前記アームに連結した作業クラッチレバーを作業者が手動でON(入り)位置又はOFF(切り)位置に切換えることによって、前記エンジンから前記作業部への動力を伝達するようにON作動させるか(以下、この状態を動力接続状態という)、又は、前記エンジンから前記作業部への動力伝達を遮断するようにOFF作動させていた(以下、この状態を動力遮断状態という)。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記各作業クラッチが機械的な構成であるときには、レバー操作のために、ある程度の腕力が必要となる。そのため、作業者が例えば老人や女性等の場合には、前記各作業クラッチレバーの切換え操作が負担となることがあり、前記各作業クラッチをON・OFF作動させる手段については改善の余地があった。
【0003】
また、前記従来の構成では、例えば、前記刈取前処理装置や前記脱穀部等の作業部に過大な負荷が作用する等の異常事態が発生した場合には、作業者がこの異常事態に気づいて前記各作業クラッチレバーを手動でOFF位置に切換えるまで、この異常事態を放置することになるから、前記作業部が故障するおそれがあった。
【0004】
さらに、前記従来の機械的にON・OFFさせる作業クラッチの構成では、前記刈取前処理装置や前記脱穀部等の作業部の状態に応じて自動的に動力継断する切換ができないという問題もあった。
【0005】
そこで、本発明は、これらの問題を解消したコンバインにおける作業クラッチの継断制御装置を提供することを技術的課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この技術的課題を解決するため、請求項1に記載したコンバインにおける作業クラッチの継断制御装置は、エンジンを搭載した走行機体の前方に、刈取前処理装置を昇降調節可能に装着し、前記走行機体には、前記刈取前処理装置から送られた穀稈を脱穀するための扱胴を有する脱穀部を備え、前記刈取前処理装置や前記脱穀部等の作業部に対する前記エンジンからの動力継断用の各作業クラッチを備えて成るコンバインにおいて、前記各作業クラッチを作動させる継断用アクチュエータと、当該各継断用アクチュエータのON・OFF状態を設定するための作業クラッチスイッチとを、前記各作業クラッチに対応させて設け、前記各作業クラッチスイッチのON操作又はOFF操作により、それぞれ対応した作業クラッチを前記継断用アクチュエータにて作動させて動力継断状態となるように制御するコントローラを設け、前記コントローラは、前記各継断用アクチュエータの負荷が所定値より大きくなれば、前記各継断用アクチュエータへの出力を停止して、それぞれ対応した作業クラッチを動力遮断状態とするとともに、警報を発する警報装置を作動させるように制御したものである。
【0007】
【0008】
請求項に記載したコンバインにおける作業クラッチの継断制御装置は、請求項1において、前記各作業クラッチが動力遮断位置にあることを検知する切側検知センサと、前記各作業クラッチが動力接続位置にあることを検知する入側検知センサとを、前記各作業クラッチに対応させて設け、前記コントローラは、前記コンバインの電源が入力されたときに前記入側検知センサからの検出信号によって少なくとも一つの作業クラッチが動力接続位置にあると判断した場合には、それぞれ対応した作業クラッチを前記継断用アクチュエータにて作動させて動力遮断状態となるように制御するか、又は、前記コンバインの電源が入力されたときに前記切側検知センサからの検出信号によって全ての作業クラッチが動力遮断位置にあると判断した場合のみ、前記エンジンを始動できるように制御したものである。
【0009】
請求項に記載したコンバインにおける作業クラッチの継断制御装置は、請求項1又は において、前記コントローラは、前記各作業クラッチのうち前記脱穀部に対する脱穀クラッチが動力接続状態のときのみ、前記各作業クラッチのうち前記刈取前処理装置に対する刈取クラッチを、それと対応する継断用アクチュエータにて作動させて動力接続可能となるように制御したものである。
【0010】
請求項に記載したコンバインにおける作業クラッチの継断制御装置は、請求項1〜のいずれかにおいて、前記作業クラッチスイッチとして、前記各継断用アクチュエータを作動させるための作業クラッチ入側スイッチを設け、前記コントローラは、前記各作業クラッチ入側スイッチを所定時間だけON作動させたときのみ、それぞれ対応した継断用アクチュエータを作動可能となるように制御したものである。
【0011】
【発明の効果】
請求項1のように構成すると、作業者が前記各作業クラッチスイッチを押下するだけで、それぞれに対応した作業クラッチは、前記継断用アクチュエータにてON作動して動力接続状態となるか、又は、前記継断用アクチュエータにてOFF作動して動力遮断状態となることができるから、前記各作業クラッチをON・OFF作動させるための操作がスイッチ操作というワンタッチ操作となるので、力仕事が不用となり、至極簡単になるという効果を奏する。
【0012】
また、例えば、前記刈取前処理装置や前記脱穀部等の作業部に過大な負荷が作用する等の異常事態が発生した場合には、その構成上、前記各継断用アクチュエータにも過大な負荷が作用する。このときの前記各継断用アクチュエータの負荷が所定値より大きいならば、直ちに、前記各継断用アクチュエータへの出力が停止することにより、それぞれ対応した作業クラッチがOFF作動して動力遮断状態となることができる。
【0013】
従って、異常事態を放置することがないから、前記作業部を保護できるという効果を奏する。また、このときには、ブザーやランプ等の警報装置を作動させて、作業者に異常事態であることを報知でき、安全性も向上するという効果も奏する。
【0014】
請求項のように構成すると、前記コンバインの電源が入力されたときに少なくとも一つの作業クラッチが動力接続位置(動力接続状態となるときの前記各作業クラッチの位置、以下同じ)にあれば、それぞれ対応した作業クラッチは、前記継断用アクチュエータにてOFF作動して、動力遮断状態となるか、又は、前記コンバインの電源が入力されたときに全ての作業クラッチが動力遮断位置(動力遮断状態となるときの前記各作業クラッチの位置、以下同じ)にあるときのみ、前記エンジンを始動することができる。
【0015】
従って、いずれの場合でも、前記コンバインの電源が入力された後に前記エンジンを始動させるときには、前記各作業クラッチがいずれも動力遮断位置に保持されていることになる。これにより、前記エンジンを始動させるときには、作業の負荷が掛かっておらず、また作業部がエンジンの始動と同時に、駆動する危険がなくなるという効果を奏する。
【0016】
請求項のように構成すると、脱穀クラッチ(前記各作業クラッチのうち前記脱穀部に対するもの、以下同じ)が動力接続状態のときのみ、刈取クラッチ(前記各作業クラッチのうち前記刈取前処理装置に対するもの、以下同じ)は、それと対応する継断用アクチュエータにてON作動して、動力接続状態となることができる。従って、前記脱穀部への動力伝達が遮断されたまま、前記刈取前処理装置へ動力伝達して刈取り作業を行うことがなくなり、前記脱穀部の前端側で穀稈詰まりが発生しないという効果を奏する。
【0017】
請求項のように構成すると、前記各作業クラッチ入側スイッチを所定時間だけON作動させたときのみ、それぞれ対応した継断用アクチュエータを駆動させて、当該各継断用アクチュエータに対応した作業クラッチを動力接続状態に保持することができる。従って、作業者が不用意に前記各作業クラッチ入側スイッチに接触した場合に、前記各作業クラッチが誤って作動することがなくなるという効果を奏する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面(図1〜図13)に基づいて説明する。
【0019】
本発明に係る汎用コンバイン1は、左右一対の走行クローラ2,2にて支持された走行機体3の前面に、刈取前処理装置4を昇降調節可能に装着するとともに、前記走行機体3に、エンジン5と、前記刈取前処理装置4から送られた穀稈を脱穀するための脱穀部6と、搖動選別及び風選別を行うための選別部7とを搭載するように構成されている。
【0020】
刈取前処理装置4には、図1及び図2に示すように、横長でバケット状のプラットホーム8における前端下部に刈刃9が横設され、当該プラットホーム8の前側上方に、左右一対の昇降リンク11,11を介して掻き込みリール10が配設してある。刈刃9にて刈取った穀稈はプラットホーム8内に掻き込まれる。プラットホーム8内には、横送りオーガ12を横設しており、当該横送りオーガ12を回転駆動させることによって、プラットホーム8の左右中央から進行方向に向かってやや左寄り位置に、前記刈取られた穀稈を集積するようにしている。尚、プラットホーム8の両側前端には、分草体15,15を配設している。
【0021】
プラットホーム8における前記穀稈の集積部から後方に延びた略矩形筒状のフィーダハウス13の後端は、脱穀部6の前端側における穀稈投入口20に連通するとともに、走行機体3に対して昇降回動自在に支持されている。そして、走行機体3の前端とフィーダハウス13の下面とを油圧シリンダ95(図12参照)にて連結することにより、刈取前処理装置4は昇降調節可能に構成される。尚、前記穀稈投入口20の前方には、左右水平方向に回転軸心を有する円筒状のビータ21を配設しており(図1及び図3参照)、前記集積された穀稈は、フィーダハウス13内の搬送コンベア14にてビータ21の前端側へ搬送された後、当該ビータ21によって、穀稈投入口20を経て脱穀部6へ強制的に搬送される。
【0022】
また、フィーダハウス13の上方であって、走行機体3の前端には、運転席17、操向丸ハンドル18及び各種レバーやスイッチ類を備えた操作盤19が配置された操縦室16を有する(図1、図2及び図4参照)。当該操縦室16は、プラットホーム8内や掻き込みリール10等が見渡せるように視界が良好な位置にあり、左右両側より乗降できるようにしている。
【0023】
走行機体3内における脱穀部6には、図1〜図3に示すように、第一扱室22と第二扱室23とを隣接させ、両扱室22,23内の扱胴24,25を、その回転軸線が平行となるように配設している。即ち、走行機体3の前側寄りの第一扱室22内にはロータ状の第一扱胴24を、その後側の第二扱室23内には同じくロータ状の第二扱胴25を、それぞれの回転軸線が汎用コンバイン1の進行方向に対して左右水平方向に延びるように配設している。尚、各扱胴24,25の外周面には、図示しない複数の扱歯を有するスクリュー羽根24a,25aをそれぞれ螺旋状に巻回突設している。
【0024】
各扱胴24,25の下方には、それぞれ円弧状の受け網26,27を、各スクリュー羽根24a,25aから所定距離隔てて配置し、各扱胴24,25の上方には、それぞれ上部カバー28,29を配置して、各扱室22,23が構成されている。また、前低後高に緩やかな円弧状となるように傾斜させた第一受け網26の右側後部には、連通口26aを、第二扱胴25における上部外周面の接線方向に向かって延びるように形成している。当該連通口26aの後端は、第二扱胴25における回転軌跡の前端部近傍まで延出されている。第二受け網27の左側後部には、排出口27aを設けている(図3参照)。
【0025】
第一扱胴24における外周面のうち前記連通口26aに接近する部位には、図2に示すように、第一扱胴24の半径方向に突出する板状の送り羽根24b,24b・・を形成し、同様に、第二扱胴25における外周面のうち前記排出口27aに接近する部位には、第二扱胴25の半径方向に突出する板状の送り羽根25b,25b・・を形成している。
【0026】
前記排出口27aの後側下方には、ガイドプレート30を、その後方に向かって延びるように設け、当該ガイドプレート30の後側上方には、排稈を強制的に後方へ送り出す排稈ビータ31を設けている(図1〜図3参照)。当該排稈ビータ31は、前記各扱胴24,25の外径に比べて、その外径を小さくした組立容易な形状であり、その回転速度を第二扱胴25の回転速度よりも速くして、その周速度を各扱胴24,25より同等以上の速度とすることにより、排稈を後方に送り出す性能を高めている。
【0027】
この構成において、前記エンジン5の出力軸からプーリ及びベルト伝動により、前記各扱胴24,25が図1及び図3において反時計方向に回転すると、フィーダハウス13から穀稈投入口20へ搬送された穀稈は、第一扱室22内の第一受け網26上に引き込まれ、この第一受け網26上を連通口26aに近づく方向に送られながら脱穀処理される。次いで、第一扱胴24の送り羽根24b,24b・・にて排出された未処理穀稈は、連通口26aを介して、第二扱室23内の第二受け網27上に引き込まれ、この第二受け網27上を排出口27aに近づく方向に送られながら脱穀処理される。
【0028】
脱穀後の排稈は、第二扱胴25の送り羽根25b,25b・・にて、排出口27aより排出され、排稈ビータ31が図1及び図3において反時計方向に回転することによって、ガイドプレート30上に引き込まれる。次いで、前記排稈は、前記排稈ビータ31の後方に配設された吸引ファン32に取込まれたのち、走行機体3の後端に左右全幅に渡って横架されたチッパー式のスプレッダ33に受け継がれて、当該スプレッダ33における複数の鉈状の刃によって切断され、走行機体3の後端から圃場に排出される。各受け網26,27を漏下した排藁混じりの穀粒は、後述する選別部7に落下させて選別される。
【0029】
尚、前記各上部カバー28,29における水平状に形成した上部内周面には、送塵弁34,34を、左右水平方向に適宜間隔を隔てて、前記各上部カバー28,29の上部に対して上下回動自在に枢支しており、当該送塵弁34,34を回動操作することによって、穀稈が各扱胴24,25内を移動する時間は、穀稈の品種や穀稈の状態に合わせて調整される。
【0030】
脱穀部6の下方に配置された選別部7は、図1及び図3に示すように、走行機体3の前後方向に一体的に搖動する搖動本体36、選別風を発生させる唐箕ファン40、選別された一番物を左右方向に搬送する一番コンベア41及び二番物を搬送する二番コンベア42等により構成されている。一番コンベア41及び二番コンベア42は、図1に示すように、側面視で走行クローラ2,2の後側上方に横設されており、一番コンベア41の左端部に連通して立状に配設したバケット式の揚穀コンベア43及び二番コンベア42の左端部に連通するように設けた還元コンベア44並びに走行クローラ2,2が互いに干渉しないように構成されている。尚、一番コンベア41及び二番コンベア42の下方には、後述するグレンパン36a及びチャフシーブ39によって選別された穀粒を受けるための受樋35a,35bが設けられている。
【0031】
搖動本体36は、第一扱胴24の前端下方から選別部7の後端までに渡って配置され、搖動リンク機構37によって搖動自在に支持されている。搖動本体36前部には、各扱胴24,25の下方に渡って落下した穀稈を受けるグレンパン36aを形成している。当該グレンパン36aは、図3に示すように、側面視波状に形成されており、グレンパン36a上に落下した穀稈は、搖動本体36の搖動にて後方に搬送される。
【0032】
グレンパン36aの後端には、フルイ線38を連設し、当該フルイ線38の下方から搖動本体36の後端部にかけて、搖動本体36の左右水平方向に横架した複数のチャフフィンから成るチャフシーブ39を配設している。当該チャフシーブ39の下方における搖動本体36の底面には、落下口36bを設け、図示しないクリンプ網を被装している。また、搖動本体36のグレンパン36aにおける前後中途部の下方には唐箕ファン40を横設している。
【0033】
この構成において、前記エンジン5の出力軸からプーリ及びベルト伝動にて唐箕ファン40及び搖動本体36等を駆動させると、各受け網26,27から落下した排藁混じりの穀粒は、グレンパン36a及びチャフシーブ39によって、排藁と微塵混じりの穀粒とに分離され、排藁は走行機体3の後端から圃場へ排出される。微塵混じりの穀粒は、グレンパン36a及びチャフシーブ39の下方を流れる唐箕ファン40からの選別風によって、穀粒と微塵とに分離され、微塵は走行機体3の後端から圃場へ排出される。
【0034】
選別された穀粒のうち二番コンベア42側の受樋35bに集まったものは、二番コンベア42及び還元コンベア44を介して第一扱室22内へ還流させる。一番コンベア41側の受樋35aに集まった穀粒は、一番コンベア41及び揚穀コンベア43を介して脱穀部6上に設けられたグレンタンク45に集積される。尚、当該グレンタンク45には、穀粒を均等分散させるためのレべリングディスク46とガイド板47とを内設している。また、符号48は、前記グレンタンク30の内部に貯留された穀粒を排出する排出オーガである。
【0035】
次に、汎用コンバイン1の動力伝達系統と、動力継断用の各作業クラッチの構成とについて説明する。
【0036】
図5に示すように、エンジン5の回動軸49における両端には、二連プーリ50,51を固設している。エンジン5からの出力の一方は、二連プーリ50を介して、排出オーガ48内のスクリューコンベア(図示せず)及びラジエータファン52に動力伝達される。エンジン5からの他方の出力は、二連プーリ51から脱穀入力軸54に分岐して、脱穀部6及び選別部7の各部、即ち、各扱胴24,25、レベリングディスク46、排稈ビータ31、一番コンベア41、揚穀コンベア43、二番コンベア42、還元コンベア44、搖動リンク機構37及び吸引ファン32等に動力伝達される。
【0037】
前記回動軸49の二連プーリ51側の長手方向中途部には、三連プーリ53を固設している。これにより、前記したエンジン5からの他方の出力は、この三連プーリ53から走行用の変速操作可能な油圧ポンプ油圧モータ式(HST式)走行駆動部55への駆動軸56にも分岐して動力伝達される。また、エンジン5から当該駆動軸56に伝達された動力は、この駆動軸56の長手方向中途部に固設した刈取伝動プーリ57を介して、刈取前処理装置4の各部、即ち、搬送コンベア14、横送りオーガ12、刈刃9、掻き込みリール10及びビータ21等に伝達される。
【0038】
前記回動軸48の一方の二連プーリ51と前記脱穀入力軸54に固設されたプーリ58との間には、両プーリ51,58に巻回したベルト59のテンションを緊張・緩和することにより、エンジン5から回動軸48に伝達された動力を継断するための脱穀クラッチ60(前記各作業クラッチのうち脱穀部6に対するもの、以下同じ)を設けている(図6及び図7参照)。
【0039】
また、前記駆動軸56の刈取伝動プーリ57とベルト62により刈取伝動プーリ57に連動するプーリ61との間には、同様にして、前記ベルト62のテンションを緊張・緩和することで、エンジン5から駆動軸56に伝達された動力を継断するための刈取クラッチ63(前記各作業クラッチのうち刈取前処理装置4に対するもの、以下同じ)を設けている(図8参照)。
【0040】
図6及び図7には、脱穀クラッチ60の構成を示している。脱穀クラッチ60は、前記駆動軸56と平行状となるように前記ベルト59の上部位置に配設した軸64に回動自在に取付けた略L字状のテンションアーム65と、当該テンションアーム65の一端に回動自在に取付けて前記ベルト59の外周に当接可能なテンションプーリ66と、前記ベルト59の上方に配設した継断用アクチュエータとしての脱穀クラッチモータ67のモータ軸68に回動自在に取付けた回動レバー69と、当該回動レバー69と前記テンションアーム65とを連結した伸縮可能な連結バー70とにより構成されている。また、正逆回転可能な脱穀クラッチモータ67には、図6の二点鎖線状態(動力遮断状態)のときの回動レバー69の下面に当接する切側検知センサとしての脱穀切側リミットスイッチ71と、図6の実線状態(動力接続状態)のときの回動レバー69の下面に当接する脱穀入側検知センサとしての入側リミットスイッチ72とを設けている。
【0041】
この構成において、図6の二点鎖線状態のように、脱穀クラッチモータ67のモータ軸68が図6で反時計方向に回動して、連結バー70を介してテンションアーム65を押圧し、当該テンションアーム65を上向き回動させてテンションプーリ66がベルト59から離れると、前記ベルト59が緩み、エンジン5からの動力が遮断される(以下、この状態を動力遮断状態という)。逆に、図6の実線状態のように、脱穀クラッチモータ67のモータ軸68が時計方向に回動して、連結バー70を介してテンションアーム65を引っ張り、当該テンションアーム65を下向き回動してテンションプーリ66がベルト59を押圧すると、前記ベルト59が緊張して、エンジン5からの動力が伝達される(以下、この状態を動力接続状態という)。
【0042】
図8には、刈取クラッチ63の構成を示している。前記ベルト61の上部位置に配設した支持部材73には、継断用アクチュエータとしての刈取クラッチモータ74を配設し、当該刈取クラッチモータ74には、回動ディスク75を回動自在に設けている。当該回動ディスク75に突設されたピン75aと前記支持部材73に突設されたピン73aとの間には、引っ張りばね76を装架して、回動ディスク75側のピン75aを引っ張り付勢している。一方、前記ベルト62により刈取伝動プーリ57に連動するプーリ61の支軸には、図示しない支持部材に連結固定された円筒部材77を嵌挿し、当該円筒部材77に溶接にて固着した回動支持部材78には、前記ベルト62と当接可能なテンションプーリ80を備えたテンションアーム79を回動自在に取付けている。
【0043】
当該テンションアーム79に突設されたピン79aには、クラッチばね81の一端を引っ掛ける一方、前記回動ディスク75に突設されたピン75aには、クラッチワイヤ82の一端を引っ掛けている。そして、前記クラッチばね81の他端と前記クラッチワイヤ82の他端とが連結されている。また、支持部材73には、図8の二点鎖線状態(動力遮断状態)のときの回動ディスク75におけるピン75aの回動位置を検知する切側検知センサとしての刈取切側リミットスイッチ83と、図6の実線状態(動力接続状態)のときの回動ディスク75におけるピン75aの回動位置を検知する入側検知センサとしての刈取入側リミットスイッチ84とを設けている(図9参照)。
【0044】
この構成において、図8の二点鎖線状態のように、刈取クラッチモータ74にて回動ディスク75が回動して、クラッチワイヤ82及びクラッチばね81を下げ、テンションアーム79を下向き回動させてテンションプーリ80がベルト62から離れると、前記ベルト62が緩み、動力遮断状態となる。逆に、図8の実線状態のように、刈取クラッチモータ74にて回動ディスク75が回動して、クラッチワイヤ82及びクラッチばね81を引き上げ、テンションアーム79を上向き回動させてテンションプーリ80がベルト62を押圧するように当接すると、前記ベルト62が緊張して、動力接続状態となる。
【0045】
次に、脱穀クラッチ60及び刈取クラッチ63の継断制御するための構成について説明する。図9は、これらの制御を実行するマイクロコンピュータ等の電子式コントローラ85における機能ブロック図を示しており、図示しないが各種演算処理や制御を実行するための中央処理装置(CPU)、制御プログラムを記憶させた読み出し専用メモリ(ROM)、各種の検出値やデータ等を一次的に記憶させる随時読み書き可能メモリ(RAM)、制御装置の電源を切っても記憶データを保持する不揮発性メモリ、タイマ機能としてのクロック、インターフェイス及びバス等を備えている。
【0046】
電子式コントローラ85の入力側には、前記脱穀クラッチモータ67をOFF状態に設定するための脱穀クラッチ切側スイッチ86と、同じくON状態に設定するための脱穀クラッチ入側スイッチ87と、前記刈取クラッチモータ74をOFF状態に設定するための刈取クラッチ切側スイッチ88と、同じくON状態に設定するための刈取クラッチ入側スイッチ89と、前記した脱穀切側リミットスイッチ71及び脱穀入側リミットスイッチ72からの入力信号と、前記した刈取切側リミットスイッチ83及び刈取入側リミットスイッチ84からの入力信号と、前記脱穀クラッチモータ67及び前記刈取クラッチモータ74からの入力信号とをそれぞれ接続している。
【0047】
また、前記電子式コントローラ85の出力側には、前記脱穀クラッチモータ67及び前記刈取クラッチモータ74への出力信号と、警報を発するためのブザーやランプ等の警報装置90とをそれぞれ接続している。
【0048】
前記した脱穀クラッチ切側スイッチ86、脱穀クラッチ入側スイッチ87、刈取クラッチ切側スイッチ88及び刈取クラッチ入側スイッチ89は、図4に示すように、操縦室16における運転席17の左方に位置する操作盤19の箇所に配置されており、いずれのスイッチ86〜89も、各スイッチの一回の押下により一つのONパルス信号が出るいわゆるプッシュスイッチであり、ノンロック式のものである。
【0049】
本実施形態では、作業者が操縦室16に搭乗して、汎用コンバイン1の電源を入力すると、エンジン5を始動させる前に、脱穀クラッチ60の位置を前記した脱穀切側リミットスイッチ71及び脱穀入側リミットスイッチ72にて、刈取クラッチ63の位置を前記した刈取切側リミットスイッチ83及び刈取入側リミットスイッチ84にて、それぞれ検知するようにしている。
【0050】
さらに、本実施形態では、脱穀クラッチ60及び刈取クラッチ63のうちいずれか一方若しくは両方が動力接続位置(動力接続状態となるときの脱穀クラッチ60若しくは刈取クラッチ63の位置、以下同じ)にあれば、その作業クラッチを動力遮断状態にするように、対応する作業クラッチモータ(脱穀クラッチモータ67や刈取クラッチモータ74)への出力を停止するか、又は、汎用コンバイン1の電源が入力されたときに、脱穀クラッチ60及び刈取クラッチ63がともに動力遮断位置(動力遮断状態となるときの脱穀クラッチ60若しくは刈取クラッチ63の位置、以下同じ)にあるときのみ、前記エンジン5を始動できるように構成されている。
【0051】
従って、汎用コンバイン1の電源が入力された後にエンジン5を始動させるときには、脱穀クラッチ60及び刈取クラッチ63がいずれも動力遮断位置に保持されていることになる。これにより、エンジン5を始動させると同時に、刈取前処理装置4及び脱穀部6等に動力が伝達されて、これらが駆動する危険がなくなるという効果を奏するのである。
【0052】
次に、電子式コントローラ85による脱穀クラッチ60及び刈取クラッチ63の制御態様について、図10のフローチャートを参照して説明する。
【0053】
まず、スタートに続き、脱穀クラッチ入側スイッチ87を押下している時間Xが所定時間T1よりも大きいか否かを判別する(S1)。押下時間Xが所定時間T1以下のときには(S1:NO)、脱穀クラッチ入側スイッチ87が押下されていないか、又は、押下されても所定時間T1を経過していないから、後述するステップS4ヘ行く。押下時間Xが所定時間T1より大きいときには(S1:YES)、脱穀クラッチ入側スイッチ87を押下げた状態で所定時間T1が経過しており、作業者が脱穀作業のみ、又は、刈取り・脱穀作業をしようとしているから、脱穀クラッチモータ67を駆動させて脱穀クラッチ60を動力接続状態にし(S2)、脱穀クラッチ60の回動レバー69にて脱穀入側リミットスイッチ72をON作動させる(S3)。
【0054】
次いで、脱穀クラッチモータ67の負荷Yが所定値P1より大きいか否かを判別する(S4)。脱穀クラッチモータ67の負荷Yが所定値P1より大きいときには(S4:YES)、脱穀部6等に過大な負荷が作用する等の異常事態が発生しているから、脱穀クラッチモータ67への出力を停止して脱穀クラッチ60を動力遮断状態にし(S5)、脱穀クラッチ60の回動レバー69にて脱穀切側リミットスイッチ71をON作動させる(S6)。そして、警報を発するためのブザーやランプ等の警報装置90を作動させ(S7)、その後リターンする。
【0055】
ステップS4において、脱穀クラッチモータ67の負荷Yが所定値P1以下のときには(S4:NO)、脱穀入側リミットスイッチ72がON状態か否かを判別する(S9)。脱穀入側リミットスイッチ72がOFF状態のときには(S9:NO)、脱穀クラッチ60が動力遮断位置にあるので、後述するステップS13ヘ行く。脱穀入側リミットスイッチ72がON状態のときには(S9:YES)、脱穀クラッチ60が動力接続位置にあるので、次いで、刈取クラッチ入側スイッチ89を押下している時間Zが所定時間T2よりも大きいか否かを判別する(S10)。押下時間Zが所定時間T2以下のときには(S10:NO)、刈取クラッチ入側スイッチ89が押下されていないか、又は、押下されても所定時間T2を経過していないから、後述するステップS13ヘ行く。
【0056】
押下時間Zが所定時間T2より大きいときには(S10:YES)、刈取クラッチ入側スイッチ89を押下げた状態で所定時間T2が経過しており、作業者が刈取り・脱穀作業をしようとしているから、刈取クラッチモータ74を駆動させて刈取クラッチ63を動力接続状態にし(S11)、刈取クラッチ60における回動ディスク75のピン75aにて刈取入側リミットスイッチ84をON作動させる(S12)。
【0057】
次いで、刈取クラッチモータ74の負荷Wが所定値P2より大きいか否かを判別する(S13)。刈取クラッチモータ74の負荷Wが所定値P2より大きいときには(S13:YES)、刈取前処理装置4に過大な負荷が作用する等の異常事態が発生しているから、刈取クラッチモータ74への出力を停止して刈取クラッチ63を動力遮断状態にし(S14)、刈取クラッチ60における回動ディスク75のピン75aにて刈取切側リミットスイッチ83をON作動させる(S15)。そして、警報を発するためのブザーやランプ等の警報装置90を作動させ(S16)、その後リターンする。
【0058】
ステップS13において、刈取クラッチモータ74の負荷Wが所定値P2以下のときには(S13:NO)、刈取クラッチ切側スイッチ88がON状態か否かを判別する(S9)。刈取クラッチ切側スイッチ88がON状態のときとは(S17:YES)、作業者が刈取クラッチ切側スイッチ88を押下して、刈取り作業を停止するときであるから、刈取クラッチモータ74への出力を停止して刈取クラッチ63を動力遮断状態にし(S18)、刈取クラッチ60における回動ディスク75のピン75aにて刈取切側リミットスイッチ83をON作動させ(S19)、その後リターンする。
【0059】
ステップS17において、刈取クラッチ切側スイッチ88がOFF状態のときには(S17:NO)、脱穀クラッチ切側スイッチ86がON状態か否かを判別する(S20)。脱穀クラッチ切側スイッチ86がON状態のときには(S20:YES)、作業者が脱穀クラッチ切側スイッチ86を押下して、刈取り・脱穀作業を停止するときであるから、まず、刈取クラッチモータ74への出力を停止して刈取クラッチ63を動力遮断状態にし(S21)、刈取クラッチ60における回動ディスク75のピン75aにて刈取切側リミットスイッチ83をON作動させる(S22)。その後、脱穀クラッチモータ67への出力を停止して脱穀クラッチ60を動力遮断状態にし(S23)、脱穀クラッチ60の回動レバー69にて脱穀切側リミットスイッチ71をON作動させ(S24)、その後リターンする。刈取クラッチ74への動力伝達を遮断した後、脱穀クラッチ63への動力伝達を遮断するようにしているのは、刈取前処理装置4内に刈取った穀稈が残っているときに、先に脱穀部6を動力遮断状態にして、脱穀部6の前端側で穀稈詰まりを発生させることがないようにするためである。脱穀クラッチ切側スイッチ86がOFF状態のときには(S20:NO)、ステップS1へ戻る。
【0060】
尚、前記した所定時間T1及びT2並びに脱穀クラッチモータ67の負荷における所定値P1及び刈取クラッチモータ74の負荷における所定値P2に関するデータはそれぞれROMに記憶させることで予め設定しておく。
【0061】
以上のように制御すると、まず、作業者が脱穀クラッチ切側スイッチ86又は脱穀クラッチ入側スイッチ87を押下すると、脱穀クラッチ60は、継断用アクチュエータとしての脱穀クラッチモータ67にてOFF作動して動力遮断状態にしたり、脱穀クラッチモータ67にてON作動して動力接続状態にしたりすることができる。同様にして、作業者が刈取クラッチ切側スイッチ88又は刈取クラッチ入側スイッチ89を押下すると、刈取クラッチ63は、継断用アクチュエータとしての刈取クラッチモータ74にてOFF作動して動力遮断状態にしたり、刈取クラッチモータ74にてON作動して動力接続状態にしたりすることができる。従って、脱穀クラッチ60及び刈取クラッチ63をON・OFF作動させるための操作が至極簡単になるという効果を奏する。
【0062】
また、例えば、刈取前処理装置4や脱穀部6等に過大な負荷が作用する等の異常事態が発生した場合には、その構成上、脱穀クラッチモータ67や刈取クラッチモータ74に過大な負荷が作用するから、そのときの脱穀クラッチモータ67の負荷が所定値P1よりも大きいか、又は、刈取クラッチモータ74の負荷が所定値P2より大きくなれば、直ちに、脱穀クラッチモータ67又は刈取クラッチモータ74への出力が停止して、脱穀クラッチ60又は刈取クラッチ63を動力遮断状態にすることができる。従って、異常事態を放置することがなく、刈取前処理装置4や脱穀部6等を保護できるという効果を奏する。また、このときには、ブザーやランプ等の警報装置90を作動させて、作業者に異常事態であることを報知でき、安全性も向上するという効果も奏する。
【0063】
さらに、刈取クラッチ63は、脱穀クラッチ60が動力接続状態のときのみ、刈取クラッチモータ74にてON作動して動力接続状態となるから、脱穀部6への動力伝達が遮断されたまま、刈取前処理装置4へ動力伝達して刈取り作業をすることがなくなり、脱穀部6の前端側で穀稈詰まりが発生しないという効果を奏する。
【0064】
さらにまた、脱穀クラッチ入側スイッチ87を所定時間T1だけ継続してON作動させたときのみ、脱穀クラッチモータ67を駆動させて、脱穀クラッチ60を動力接続状態に保持することができ、同様に、刈取クラッチ入側スイッチ87を所定時間T2だけ継続してON作動させたときのみ、刈取クラッチモータ74を駆動させて、刈取クラッチ63を動力接続状態に保持することができる。従って、作業者が不用意に脱穀クラッチ入側スイッチ87又は刈取クラッチ入側スイッチ89に接触した場合に、脱穀クラッチ60又は刈取クラッチ63が誤って作動することがなくなるという効果を奏する。
【0065】
ところで、本実施形態の汎用コンバイン1では、刈取り・脱穀作業時に、刈取前処理装置4を所定の刈高さ(圃場に植立した穀稈を刈取るときの刈取前処理装置4の高さ、以下同じ)まで下降させると、自動的に刈取クラッチ63を動力接続状態にし、刈取前処理装置4を前記刈高さ以上に上昇させると、自動的に刈取クラッチ63を動力遮断状態にするというオートクラッチ制御を実行して、圃場での刈取り・脱穀作業を迅速に実行するようにしている。以下、オートクラッチ制御の実施形態について説明する。
【0066】
図4及び図11に示すように、エンジン5からの動力を変速させるミッションの主変速レバー91は、操縦室16における運転席17の左方に配置され、当該主変速レバー91の握り部の側面には、刈取前処理装置4を例えば畦際等で畦等に接触しない程度に高い所定高さまで強制的に上昇させるオートリフトスイッチ92と、刈取前処理装置4を所定の刈高さに位置するように下降させるオートセットスイッチ93とが設けられている。
【0067】
図12は、オートクラッチ制御を実行するマイクロコンピュータ等の電子式コントローラ94における機能ブロック図を示しており、図示しないが各種演算処理や制御を実行するための中央処理装置(CPU)、制御プログラムを記憶させた読み出し専用メモリ(ROM)、各種の検出値やデータ等を一次的に記憶させる随時読み書き可能メモリ(RAM)、制御装置の電源を切っても記憶データを保持する不揮発性メモリ、タイマ機能としてのクロック、インターフェイス及びバス等を備えている。
【0068】
電子式コントローラ94の入力側には、前記した脱穀入側リミットスイッチ72からの入力信号と、前記オートリフトスイッチ92と、前記オートセットスイッチ93と、刈取前処理装置4の高さ位置を検知する刈高さセンサ96からの入力信号とをそれぞれ接続している。ここで、刈高さセンサ96は、圃場面に対する刈取前処理装置4の高さを検知するものでもよいし、走行機体3の基準高さに対する刈取前処理装置4の相対高さを検知するものでもよい。さらに、これら両者を併用してもよい。
【0069】
また、前記電子式コントローラ94の出力側には、油圧シリンダ95を作動させて刈取前処理装置4を上昇させるための電磁油圧切換え弁における上昇側電磁ソレノイド97と、同じく下降させるための下降側電磁ソレノイド98と、前記刈取クラッチモータ74への出力信号とをそれぞれ接続している。ここで、オートリフトスイッチ92及びオートセットスイッチ93は、各スイッチの一回の押下により一つのONパルス信号が出るいわゆるプッシュスイッチであり、ノンロック式のものである。
【0070】
次に、電子式コントローラ94によるオートクラッチ制御の態様について、図13のフローチャートを参照して説明する。
【0071】
まず、スタートに続き、脱穀入側リミットスイッチ72がON状態か否かを判別する(R1)。脱穀入側リミットスイッチ72がOFF状態のときには(R1:NO)、脱穀クラッチ60が動力遮断位置にある非農作業状態だから、リターンする。脱穀入側リミットスイッチ72がON状態のときには(R1:YES)、脱穀クラッチ60が動力接続位置にあるから、次いで、オートリフトスイッチ92がON状態か否かを判別する(R2)。オートリフトスイッチ92がON状態のときには(R2:YES)、刈取前処理装置4が所定の刈高さに位置していると、当該刈取前処理装置4を油圧シリンダ95の駆動にて所定の刈高さ以上に上昇させる(R3)。そして、所定時間T3が経過したのち刈取クラッチモータ74への出力を停止して刈取クラッチ63を動力遮断状態にし(R4)、刈取クラッチ60における回動ディスク75のピン75aにて刈取切側リミットスイッチ83をON作動させ(R5)、その後リターンする。ここで、刈取前処理装置4が所定の刈高さに位置しているか否かについては、前記刈高さセンサ96の検出情報に基づいて判断される。
【0072】
このように制御すると、刈取り・脱穀作業時に、作業者がオートリフトスイッチ92を押下すると、刈取前処理装置4を所定の刈高さ以上に上昇させたのち、刈取クラッチモータ74への出力を停止して刈取クラッチ63を動力遮断状態にすることができるから、刈取り作業の操作が至極簡単になるのである。
【0073】
また、刈取前処理装置4を油圧シリンダ95の駆動にて所定の刈高さ以上に上昇させて所定時間T3が経過した後、刈取クラッチ63を動力遮断状態にすることによって、所定の刈高さ以上に上昇させた刈取前処理装置4内に刈取った穀稈が残っていても、所定時間T3の間は刈取クラッチ63が動力接続状態にあるから、その間に前記穀稈を脱穀部6へ搬送して、刈取前処理装置4内に前記穀稈を残すことがないのである。
【0074】
一方、ステップR2において、オートリフトスイッチ92がOFF状態のときには(R2:NO)、次いで、オートセットスイッチ93を押下している時間Vが所定時間T4よりも大きいか否かを判別する(R6)。押下時間Vが所定時間T3以下のときには(R6:NO)、オートセットスイッチ93が押下されていないか、又は、押下されても所定時間T4を経過していないのであるから、リターンする。
【0075】
押下時間Vが所定時間T4より大きいときには(R6:YES)、オートセットスイッチ93を押下した状態で所定時間T4が経過しており、作業者が刈取前処理装置を所定高さに下降させて、刈取り・脱穀作業をしようとしているのであるから、刈取前処理装置4が所定の刈高さ以上の高さ位置にあれば、当該刈取前処理装置4を油圧シリンダ95の駆動にて所定の刈高さまで下降させる(R7)。そして、刈取クラッチモータ74を駆動させて刈取クラッチ63を動力接続状態にし(R8)、刈取クラッチ60における回動ディスク75のピン75aにて刈取入側リミットスイッチ84をON作動させ(R9)、その後リターンするのである。尚、ここでも、刈取前処理装置4が所定の刈高さに位置しているか否かについては、前記刈高さセンサ96の検出情報に基づいて判断される。
【0076】
このように制御すると、刈取り・脱穀作業時に、作業者がオートセットスイッチ93を所定時間T4だけ押下すると、刈取前処理装置4を所定の刈高さまで下降させたのち、刈取クラッチモータ74を駆動させて刈取クラッチ63を動力接続状態にすることができるから、この場合も、刈取り作業の操作が至極簡単になるのである。
【0077】
また、オートセットスイッチ93を所定時間T4だけ押下したときのみ、刈取前処理装置4を所定の刈高さまで下降させたのち、刈取クラッチ63を動力接続状態に保持することができるから、作業者が不用意にオートセットスイッチ93に接触した場合に、刈取前処理装置4や刈取クラッチ63が誤って作動することがなくなるのである。尚、電子式コントローラ94と前記した電子式コントローラ85とは、一体としても良い。
【0078】
本発明は、実施形態に示す稲、麦、大豆等を走行機体における前方の全幅にわたって刈取りした後脱穀できる汎用コンバインばかりでなく、自走自脱型のコンバインにも適用できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】汎用コンバインの側面図である。
【図2】汎用コンバインの平面図である。
【図3】脱穀部及び選別部の側断面図である。
【図4】操縦部の概略平面図である。
【図5】汎用コンバインの動力伝達経路を示す図である。
【図6】脱穀クラッチの作動状態を示す側面図である。
【図7】脱穀クラッチの作動状態を示す平面図である。
【図8】刈取クラッチの作動状態を示す側面図である。
【図9】作業クラッチの継断制御を実行するための電子式コントローラにおける機能ブロック図である。
【図10】作業クラッチの継断制御についてのフローチャートである。
【図11】操縦部における主変速レバーの概略斜視図である。
【図12】オートクラッチ制御を実行するための電子式コントローラにおける機能ブロック図である。
【図13】オートクラッチ制御についてのフローチャートである。
【符号の説明】
1 汎用コンバイン
3 走行機体
4 刈取前処理装置
5 エンジン
6 脱穀部
7 選別部
16 操縦部
19 操作盤
49 回動軸
54 脱穀入力軸
56 駆動軸
60 脱穀クラッチ
63 刈取クラッチ
65,79 テンションアーム
66,80 テンションプーリ
67 脱穀クラッチモータ
71 脱穀切側リミットスイッチ
72 脱穀入側リミットスイッチ
74 刈取クラッチモータ
75 回動ディスク
81 クラッチばね
82 クラッチワイヤ
83 刈取切側リミットスイッチ
84 刈取入側リミットスイッチ
85 電子式コントローラ
86 脱穀クラッチ切側スイッチ
87 脱穀クラッチ入側スイッチ
88 刈取クラッチ切側スイッチ
89 刈取クラッチ入側スイッチ
90 警報装置
91 主変速レバー
92 オートリフトスイッチ
93 オートセットスイッチ

Claims (4)

  1. エンジンを搭載した走行機体の前方に、刈取前処理装置を昇降調節可能に装着し、前記走行機体には、前記刈取前処理装置から送られた穀稈を脱穀するための扱胴を有する脱穀部を備え、前記刈取前処理装置や前記脱穀部等の作業部に対する前記エンジンからの動力継断用の各作業クラッチを備えて成るコンバインにおいて、
    前記各作業クラッチを作動させる継断用アクチュエータと、当該各継断用アクチュエータのON・OFF状態を設定するための作業クラッチスイッチとを、前記各作業クラッチに対応させて設け、前記各作業クラッチスイッチのON操作又はOFF操作により、それぞれ対応した作業クラッチを前記継断用アクチュエータにて作動させて動力継断状態となるように制御するコントローラを設け、
    前記コントローラは、前記各継断用アクチュエータの負荷が所定値より大きくなれば、前記各継断用アクチュエータへの出力を停止して、それぞれ対応した作業クラッチを動力遮断状態とするとともに、警報を発する警報装置を作動させるように制御したことを特徴とするコンバインにおける作業クラッチの継断制御装置。
  2. 前記各作業クラッチが動力遮断位置にあることを検知する切側検知センサと、前記各作業クラッチが動力接続位置にあることを検知する入側検知センサとを、前記各作業クラッチに対応させて設け、前記コントローラは、前記コンバインの電源が入力されたときに前記入側検知センサからの検出信号によって少なくとも一つの作業クラッチが動力接続位置にあると判断した場合には、それぞれ対応した作業クラッチを前記継断用アクチュエータにて作動させて動力遮断状態となるように制御するか、又は、前記コンバインの電源が入力されたときに前記切側検知センサからの検出信号によって全ての作業クラッチが動力遮断位置にあると判断した場合のみ、前記エンジンを始動できるように制御したことを特徴とする請求項1に記載のコンバインにおける作業クラッチの継断制御装置。
  3. 前記コントローラは、前記各作業クラッチのうち前記脱穀部に対する脱穀クラッチが動力接続状態のときのみ、前記各作業クラッチのうち前記刈取前処理装置に対する刈取クラッチを、それと対応する継断用アクチュエータにて作動させて動力接続可能となるように制御したことを特徴とする請求項1又は2に記載のコンバインにおける作業クラッチの継断制御装置。
  4. 前記作業クラッチスイッチとして、前記各継断用アクチュエータを作動させるための作業クラッチ入側スイッチを設け、前記コントローラは、前記各作業クラッチ入側スイッチを所定時間だけON作動させたときのみ、それぞれ対応した継断用アクチュエータを作動可能となるように制御したことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のコンバインにおける作業クラッチの継断制御装置。
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