JP6652189B2 - コンバイン - Google Patents

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Description

本発明は、コンバインに関するものである。
従来、コンバインのフィードチェンと挟扼杆との間に異物が挟まったり穀稈が詰ったりしたことを検出するセンサを備え、このセンサの検出結果に基づいて、脱穀装置の上部カバーを半開き状態にする構成(特許文献1)が提案されている。
特開2009−195169号公報
しかし、特許文献1の構成では、エンジンが不意に再始動された場合の、手扱ぎ作業を行っている作業者の安全性の確保が不十分であるという問題があった。また、センサの誤検知等によって刈取収穫作業中に上部カバーの開放されることがあるという問題があった。
そこで、本発明の主たる課題は、かかる問題点を解消することにある。
上記課題を解決するために、本発明は次の技術的手段を講じる。
請求項1に記載の発明は、エンジン(62)を搭載する機体フレーム(1)の下方に走行装置(2)を設け、前記機体フレーム(1)の前方には刈取装置(4)を設け、該刈取装置(4)の後方に脱穀装置(3)を設けたコンバインにおいて、前記脱穀装置(3)の側部に刈取穀稈を搬送する脱穀部搬送装置(12)を設け、この脱穀部搬送装置(12)には、フィードチェン(12B)と該フィードチェン(12B)の上側に対向する位置で穀稈を挟持する挟持杆(12A)を備え、該挟持杆(12A)を前記フィードチェン(12B)の上側に対向する位置にロックするロック機構を設け、該ロック機構によるロック状態を解除するアクチュエータ(54)を設け、前記脱穀部搬送装置(12)の周辺部に配置された操作具(6D)が操作された場合に、前記エンジン(62)を停止させると共に前記アクチュエータ(54)を駆動し、前記ロック機構のロック状態を解除して挟持杆(12A)を上方に移動させ、該挟持杆(12A)とフィードチェン(12B)の間に異物を除去可能な隙間を形成する制御装置(85)を設けたことを特徴とするコンバインとしたものである。
請求項2に記載の発明は、前記挟持杆(12A)が上方に移動した状態を検出する第1検出手段(120)を設け、前記第1検出手段(120)によって挟持杆(12A)が上方に移動した状態が検出されている場合に、エンジン(62)の駆動が牽制される構成とした請求項1に記載のコンバインとしたものである。
請求項1に記載の発明によれば、挟持杆(12A)をフィードチェン(12B)の上側に対向する位置にロックするロック機構を設け、このロック機構によるロック状態を解除するアクチュエータ(54)を設け、脱穀部搬送装置(12)の周辺部に配置された操作具(6D)が操作された場合に、エンジン(62)を停止させると共にアクチュエータ(54)を駆動し、ロック機構のロック状態を解除して挟持杆(12A)を上方に移動させ、この挟持杆(12A)とフィードチェン(12B)の間に異物を除去可能な隙間を形成する制御装置(85)を設けたので、操作具(6D)の操作によってエンジン(62)を停止させて挟持杆(12A)とフィードチェン(12B)の間の隙間から異物を容易に取除くことができ、作業能率を高めることができる。
請求項2に記載の発明によれば、上記請求項1に記載の発明の効果を奏するうえに、挟持杆(12A)が上方に移動した状態を検出する第1検出手段(120)を設け、この第1検出手段(120)によって挟持杆(12A)が上方に移動した状態が検出されている場合に、エンジン(62)の駆動が牽制される構成としたので、挟持杆(12A)が上方に移動した状態のままでエンジン(62)が駆動することを防止でき、脱穀装置(3)に詰った穀桿等を除去する補助作業者の安全性を高めることができる。
コンバインの左側面図である。 コンバインの平面図である。 脱穀装置の要部左側面図である。 脱穀装置の要部断面図である。 コンバインの要部正面図である。 コンバインの要部正面図である。 フィードチェン用油圧式無段変速装置の取付け説明図である。 フィードチェン用油圧式無段変速装置の(a)は拡大断面図、(b)は拡大側面図である。 コンバインの要部伝動機構図である。 制御装置の接続図である。 フィードチェンの第1駆動方法の説明図である。 フィードチェンの第2駆動方法の説明図である。 搬送装置の要部左側面図である。 他のフィードチェン用油圧式無段変速装置の取付け説明図である。 脱穀装置の部分断面平面図である。 脱穀装置の要部断面図である。 図16のE部拡大図である。 閉鎖状態の上部カバーの説明図である。 図18のF部拡大図である。 第1モータを駆動し第1フックを解除して上部カバーを半開き状態にする駆動方法の説明図である。 開閉レバーを操作し第1,2フックを解除して上部カバーを全開き状態にする駆動方法の説明図である。 上部カバーを閉じた状態における半開き検出センサと接触体の位置関係の説明図である。 第1モータを駆動し第1フックを解除した状態における半開き検出センサと接触体の位置関係の説明図である。 第1モータを駆動し第1フックを解除して上部カバーを半開きにした状態における半開き検出センサと接触体の位置関係の説明図である。 開閉レバーを操作し第1,2フックを解除して上部カバーを全開きにした状態における半開き検出センサと接触体の位置関係の説明図である。 脱穀装置の部分断面平面図であり半開き検出センサと接触体の位置関係の説明図である。 第2フックの係合状態の説明図である。 エンジンを減速し、フィードチェンを停止し、上部カバーを半開き状態にする方法の説明図である。 エンジンを再始動する方法の説明図である。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ詳説する。なお、理解を容易にするために、操縦者から見て、前方を前側、後方を後側、右手側を右側、左手側を左側として便宜的に方向を示して説明しているが、これらにより構成が限定されるものではない。
コンバインは、図1,2に示すように、機体フレーム1の下方には土壌面を走行するための左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の上方左側には脱穀・選別を行う脱穀装置3が設けられ、脱穀装置3の前方には圃場の穀桿を収穫する刈取装置4が設けられている。脱穀装置3で脱穀・選別された穀粒は脱穀装置3の右側に設けられたグレンタンク5に貯留され、貯留された穀粒は排出筒7により外部へ排出される。また、機体フレーム1の上方右側には操作者が搭乗する操縦席6が設けられ、操縦席6の下側にはエンジン62を搭載するエンジンルーム8が設けられている。
<刈取装置>
刈取装置4は、刈取後フレーム28と、刈取後フレーム28の先端部に左右方向に横設された刈取伝動ケース29とによって形成された主枠となる刈取フレーム30に取付けられている。刈取後フレーム28の基部は、機体フレーム1の立設された左右一対の懸架台35,35の上部に回動可能に軸支された横伝動筒36の右側に偏倚した部位に取付けられている。
刈取装置4は、前側下部に設けられた植立穀稈を分草する分草杆31と、分草杆31の後方に設けられた倒伏した植立穀稈を引き起こす引起装置32と、引起装置32の後方の下部に設けられた植立穀稈の株元を切断する刈刃装置33と、引起装置32と刈刃装置33の後方に設けられた刈取穀稈を脱穀装置3の一側に設けられた脱穀部搬送装置12へ向けて搬送する搬送装置34とを備えている。搬送装置34は、刈取穀稈の株元側を搬送する株元搬送装置34Aと、穂先側を搬送する穂先搬送装置34Bから構成されており、また、この搬送装置34から脱穀部搬送装置12へ引継ぐ際の穀桿の落下を防止するために、脱穀部搬送装置12の前端部の内側部には、搬送装置34の後端部から扱室50の前端部に亘って、支持体37が設けられている。
穀粒の回収率を高めるために、刈取られた穀桿が合流する刈取装置4の搬送装置34の前後部や、フィードチェン12Bの前側等に搬送される穀桿の量を検知する穀桿センサ34Cを設けて、穀桿センサ34Cの出力値に応じてフィードチェン12Bの搬送速度を切り換えるのが好適である。
搬送装置34の終端部には、図13に示すように、搬送装置34の終端部からフィードチェン12Bの始端部に引継がれる穀桿の姿勢の乱れを防止するために、搬送装置34の終端部の左右方向に延設された軸38Bを中心として上下方向に揺動する手扱ぎレバー(請求項における「手扱ぎ規制部材」)38が設けられ、手扱ぎレバー38の下側には搬送装置34の終端部にボルト等の締結部材によって取付けられたバネ板等からなる補助挾扼杆38Aが設けられている。
手扱ぎレバー38は、挾扼杆12Aの左右方向の幅に形成され、手扱ぎレバー38の後端部は、振動等によって手扱ぎレバー38の誤作動を防止するために、挾扼杆12Aの前部の下側に延設している。また、補助挾扼杆38Aは、フィードチェン12Bの左右方向の幅に形成され、補助挾扼杆38Aの前端部は、手扱ぎレバー38の前端部の前側に延設し、後端部は、挾扼杆12Aの後部まで延設している。
通常の刈取脱穀作業時には、穀桿が補助挾扼杆38A及びフィードチェン12B上に上載されることを規制するために、手扱ぎレバー38を軸38Bを中心として下側に揺動させる(規制状態)。一方、手扱ぎ作業時には、穀桿を補助挾扼杆38A及びフィードチェン12Bに上載するために、挾扼杆12Aの前部を上側に持ち上げた後に、手扱ぎレバー38を軸38Bを中心として上側に揺動させる(非規制状態)。
なお、手扱ぎレバー38の操作性を向上させるために、手扱ぎレバー38を、左右方向において挾扼杆12Aとずらして配置したり、手扱ぎレバー38の前後方向の長さを短くして、手扱ぎレバー38の後端部が挾扼杆12Aの下側に延設しないようにすることもできる。
また、搬送装置34から脱穀部搬送装置12に引継がれる穀桿の姿勢を良好に維持するために、穂先搬送装置34Bに対向する支持体37の上面又は下面の右側に偏倚した部位に、補助搬送装置を配置することもできる。
補助搬送装置には、穂先搬送装置34Bから引継がれた穀桿の穂先をフィードチェン12Bに搬送するために、前側から後側に移動するラグ付きベルト、突付きベルトが備えられている。また、補助搬送装置には、後述するカウンタ軸71の回転を、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の出力軸Bを介して伝動することによって、ラグ付きベルト等の移動速度をフィードチェン12Bの移動速度と同一速度にすることが好適である。なお、フィードチェン用油圧式無段変速装置10に代えて、静油圧式無段変速機と遊星歯車とを組み合わせて構成した油圧機械式無段変速機を用いてもよい。
図3〜5に示すように、左側の懸架台35は、機体フレーム1に立設したベース35Aの上側に取付けられている。懸架台35の左側の前部には、横伝動筒36の左側部を軸支する横伝動フレーム35Cの基部を回転可能に支持する上下方向に延設したフィードチェン回動軸35Bが設けられている。また、横伝動筒36をフィードチェン回動軸35Bを中心として回動して刈取装置4の分草杆31、引起装置32等の装置の保守・点検作業を容易に行なうために、横伝動フレーム35Cは、正面視において基部から先端部に下方向に凸部を有する円弧状に形成されている。なお、後述するように、穀桿を搬送する脱穀部搬送装置12もフィードチェン回動軸35Bを中心として回動する。
右側の懸架台35は、機体フレーム1に立設したベース35Aの上側に取付けられている。該懸架台35の上端部には、横伝動筒36の右側部を軸支する支持部材35Dが取付けられている。支持部材35Dは、略半円弧状に分割された前側支持部材と、後側支持部材とで構成されている。横伝動筒36の右側部を軸支する場合には、前後側支持部材を係合し、刈取装置4又はトランスミッション65のメンテナンスを行うために、横伝動筒36をフィードチェン回動軸35Bを中心として回動させて、刈取装置4を左側方へ移動させる場合には、前後側支持部材の係合を外して横伝動筒36を前方に引き出す。また、左右の懸架台35,35の変形等に対する剛性を高めるために、左右の懸架台35,35の上下方向の中間部には連結フレーム35Eが架設されている。
エンジン62の回転は、走行用油圧式無段変速装置66の入力軸に支持されたプーリ66Bを介して走行用油圧式無段変速装置66に伝動され、走行用油圧式無段変速装置66に伝動された回転は、走行用油圧式無段変速装置66の出力軸に支持されたプーリ(図示省略)を介して、横伝動筒36に内装された横伝動軸36Aの右端部に支持されたプーリ36Aに伝動され、横伝動筒36と、横伝動軸36Aを回転させる。なお、横伝動軸36Aに伝動された回転は、フレーム27,28に内装された伝動軸(図示省略)を介して、刈取装置4の引起装置32、刈刃装置33、搬送装置34等に伝動される。
また、エンジン62の回転は、走行用油圧式無段変速装置66の入力軸に支持されたプーリ66Bを介して走行用油圧式無段変速装置66に伝動され、走行用油圧式無段変速装置66に伝動された回転は、トランスミッション65を介して、走行装置2の左右のクローラに伝動される。
<脱穀装置>
脱穀装置3は、図4に示すように、前側の上部に穀稈の脱穀を行う扱室50を備え、扱室50の下側に脱穀された穀粒の選別を行なう選別室51を備えている。
扱室50には、複数の扱歯を有する扱胴55が前後壁50A,50Cに軸支された扱胴軸55Aに支持されている。そして、扱室50の前壁50Aの左側下部には穀稈供給口26Aが開口され、左壁50Bの下部には扱胴55に沿って扱ぎ口26Bが開口され、後壁50Cの左側下部には排藁口26Cが開口されている。また、扱室50の左側には扱ぎ口26Bに沿って穀桿の株元を挟持して後方に搬送する脱穀部搬送装置12が並設され、脱穀部搬送装置12によって搬送された脱穀が完了した排藁穀桿は、脱穀部搬送装置12の後方に設けられた排藁搬送装置58に引き継がれてさらに後方に搬送された後、一対の排藁カッタ59によって裁断され外部に排出される。
選別室51の上部には、揺動選別装置52が設けられ、選別室51の下部には揺動選別装置52の前部のシーブに空気を送風する第一唐箕53Aと、揺動選別装置から漏下する穀粒を回収する一番受樋53Bと、揺動選別装置の後部のシーブに空気を送風する第二唐箕53Cと、揺動選別装置から漏下する枝梗等が付着した穀粒、すなわち二番物を回収する二番受樋53Dとが前側から順に設置されている。一番受樋53Bで回収された穀粒は、一番受樋53Bに内装された一番移送螺旋53bによってグレンタンク5に移送され、二番受樋53Dで回収された穀粒等は、二番受樋53Dに内装された二番移送螺旋53dによって二番処理室に移送される。
扱室50の右側の後部は、排塵処理室に連通し、排塵処理室の内部には、外周面にスクリュー羽根体を備える排塵処理胴57が前後方向に軸支され、排塵処理室の前側には、二番物を処理して還元するための二番処理室が設けられている。二番処理室の内部には外周面に間欠螺旋羽根を備える二番処理胴56が軸支されている。また、揺動選別棚の後方上側には、脱穀・選別時に発生する藁屑等を吸引し機外に排出する排塵ファン48が配置されている。
<脱穀部搬送装置>
脱穀部搬送装置12は、図3,6等に示すように、上側に位置する挟持杆12Aと、下側に位置するフィードチェン12Bを備えている。挟持杆12Aは、扱室50の上部カバー50Dに対してスプリング等の付勢手段14によってフィードチェン12B側に付勢されている。フィードチェン12Bは、上側チェンレール18Aの前後端部にそれぞれ回転自在に支持された張設輪17B,17Bと、張設輪17B,17Bの間に設けられた駆動スプロケット17Aに巻回されて駆動される無端のチェンである。上側チェンレール18Aに上載された作用側のフィードチェン12Bは、前側から後方に向かって移動する過程で挟持杆12Aと穀稈の株元を挟持する。なお、搬送される穀桿のフィードチェン12Bの終端部等への巻付きを防止するために、後側の張設輪17Bは両側部に巻付防止プレート17Dが設けられたアイドルスプロケットを使用するのが好適である。
上部カバー50Dの側面には、手扱ぎ作業を行なっている補助作業者が手扱ぎ作業中のフィードチェン12Bの速度VF1の速度調整を容易に行って作業性を高めるために、調速ダイヤル6Aが設けられている。また、手扱ぎ穀桿量に応じてフィードチェン12Bの速度VFの速度調整を効率的に行なうために、調速ダイヤル6Aを手扱ぎ穀桿を上載する補助挾扼杆38Aの周辺に配置したり、操縦席6に着座する操作者が不慣れな補助作業者を効率的に補助するためには、調速ダイヤル6Aを操縦席6のサイドパネルに配置することもできる。
なお、調速ダイヤル6Aと共に、あるいは調速ダイヤル6Aに替えて、脱穀装置3の前方の機体フレーム1に手扱ぎ作業中のフィードチェン12Bの速度VFの速度調整を行なう調速ペダル45を設けることもできる。
側面視において、挟持杆12Aは、扱室50の穀稈供給口26Aから排藁口26Cまで扱ぎ口26Bに沿って後上がり傾斜に設けられている。作用側のフィードチェン12Bを上載する上側チェンレール18Aは、横軸伝動筒36の前方の前端から後上がり傾斜した後、緩やかに後上がり傾斜して扱室50の穀稈供給口26Aの前方に至った後、挟持杆12Aと対向して扱室50の穀稈供給口26Aから排藁口26Cまで扱ぎ口26Bに沿って後上がり傾斜する。その後、排藁口26Cから後方に水平に延在した後、後下がり傾斜して穂先搬送装置34Aの前端部の後方の後端に至る。なお、刈取装置4の刈取り条数の変更に伴う脱穀部搬送装置12の前後方向長さの変更を容易に行なうために、上側チェンレール18Aは前後方向に分割できる分割構造にするのが好適である。
非作用側のフィードチェン12Bを上載する下側チェンレール18Bは、駆動スプロケット17Aにエンジン62の回転を伝動するカウンタ軸71の上方の前端から後上がり傾斜して後端に至っている。なお、下側チェンレール18Bの後端は、後側の張設輪17Bの前方であって排藁口26Cの下方に設けられている。
下側チェンレール18Bの前端部には、非作用側のフィードチェン12Bを下側チェンレール18Bの前端部よりも下方に設けられた駆動スプロケット17Aに誘導するガイド18Dが着脱自在に取付けられている。ガイド18Dは、カウンタ軸71の上方に設けられ、略1/4円形状に形成されている。なお、ガイド18Dの上方に油等の落下によってカウンタ軸71等の汚れを防止するためにカバー(図示省略)を設けることが好適である。
下側チェンレール18Bの下側には、レール連結プレート18Cによって上側チェンレール18Aと、下側チェンレール18Bを支持する支持フレーム19が設けられている。すなわち、フィードチェン12Bは支持フレーム19によって支持されている。また、上側チェンレール18Aと、下側チェンレール18Bに連結される連結プレート18Eには、穀稈搬送中のフィードチェン12Bから落下する藁屑が前記選別室51の駆動部に落下することを防止するための藁屑ガイド板(図示省略)が取り付けられている。
支持フレーム19の前端部は、図3,5に示すように、ブラケット19Bにボルト等によって取付けられたプレート19Aに取付けられ、ブラケット19Bは、左側の懸架台35に設けられたフィードチェン回動軸35Bの上下端部に回転自在に取付けられている。なお、フィードチェン回動軸35Bを中心としてフィードチェン12Bの回動時に、フィードチェン12Bの先端部の機体内側への入り込みを低減するために、フィードチェン回動軸35Bをフィードチェン12Bを巻回する前側の張設輪17Bの後側近傍に立設されている。
支持フレーム19は、フィードチェン用油圧式無段変速装置10等との干渉を防止するために、側面視において、前端部からフィードチェン用油圧式無段変速装置10の入力軸10Aとギヤボックス68の出力軸68Bの間を後方に向かって延在した後、第1変速モータ10Cの前方で略90度湾曲して上方に向かって延在する。そして、カウンタ軸71の前方を上方に向かって延在した後、ガイド18Dの下側から下側チェンレール18Bの下側に沿って後上がり傾斜して、略下側チェンレール18Bの前後方向の中央部に至っている。
これによって、フィードチェン12B、フィードチェン用油圧式無段変速装置10等の保守・点検を行なう場合には、支持フレーム19をフィードチェン回動軸35Bを中心にして回動させて、フィードチェン12Bの後部を脱穀装置3の本体から離間させることにより容易に行なうことができる。なお、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の保守・点検を容易に行なうために、フィードチェン回動軸35Bをフィードチェン用油圧式無段変速装置10の前部よりも前側に立設されている。
側面視において、前側の張設輪17Bは、図3に示すように、刈取装置4にエンジン62の回転を伝動する横軸伝動筒36の前方近傍に設けられ、後側の張設輪17Bは穂先搬送装置34Aの前端部の後方近傍に設けられている。駆動スプロケット17Aは、前後方向にあっては前後側の張設輪17B,17Bの間であって前側の張設輪17B側に偏倚して配置されており、横軸伝動筒36とフィードチェン12Bにエンジン62の回転を伝動するカウンタ軸71の略中央に位置する。また、上下方向にあってはカウンタ軸71と下側チェンレール18B等を支持する後方に向かって延在する支持フレーム19の略中央に位置する。また、前側の張設輪17Bと駆動スプロケット17Aの間には、後述する駆動軸68Dに基部が支持されたテンションスプロケット17Cに設けられている。
これにより、フィードチェン12Bは、駆動スプロケット17Aから上方に向かって移動した後、テンションスプロケット17Cに沿って移動して前側の張設輪17Bに至り、前側の張設輪17Bから上側チェンレール18Aの上側を後側の張設輪17Bに向かって移動する。その後、フィードチェン12Bは、後側の張設輪17Bから前方の下側チェンレール18Bに向かって移動した後、下側チェンレール18Bの後端から下側チェンレール18Bの上側を前側のガイド18Dに移動した後、ガイド18Dに沿って移動して駆動スプロケット17Aに至っている。
エンジン62の回転は、図6に示すように、カウンタ軸71を介してフィードチェン用油圧式無段変速装置10に伝動され、キヤボックス68で増減速された後に、脱穀部搬送装置12の駆動スプロケット17Aと接続される出力軸68Bに伝動される。
カウンタ軸71の両側部は、脱穀装置3の前壁50Aの上下方向の中央部に前方に向かって立設した一対の支持部材80に軸支されている。エンジン62の回転は、カウンタ軸71の右端部に支持されたプーリ71Aを介してカウンタ軸71に伝動される。
カウンタ軸71に伝動された回転は、プーリ71Aの左側に支持されたプーリ71C、ベルト92を介して扱胴55に伝動されると共に、カウンタ軸71の左端部に支持されたプーリ71Eの右側に支持されたプーリ71D、ベルト93等を介してフィードチェン用油圧式無段変速装置10の入力軸10Aに伝動される。フィードチェン用油圧式無段変速装置10の入力軸10Aに伝動された回転は、図8に示すように、出力軸10Bを介してギヤボックス68に伝動されて、ギヤボックス68のギヤによって増減速されて出力軸68Bに伝動される。出力軸68Bに伝動された回転は、カップリング68Cを介してフィードチェン12Aの駆動スプロケット17Aに伝動される。なお、駆動スプロケット17Aは駆動軸68Dに回転自在に支持されている。
駆動軸68Dは、支持フレーム19の右側に取付けられたプレート19Cに支持され、支持フレーム19をフィードチェン回動軸35Bに対して回動させた場合、カップリング68Cによる出力軸68Bと駆動スプロケット17Aの連結が解除され、エンジン62の回転は駆動スプロケット17Aに伝動されずフィードチェン12B、ガイド18D等の交換を安全に行なうことができる。なお、出力軸68Bと駆動軸68Dを連結するカップリング68Cに替えて、対向する出力軸68Bと駆動軸68Dの端部にかみ合いクラッチ、爪クラッチを設けることもできる。
キヤボックス68は、図7に示すように、脱穀装置3の前壁50Aの上下方向の下側に偏倚した部位に前方に向かって立設した後側プレート11Bの右側面に取付けられている。また、脱穀装置3の前側の空間を有効に活用するために、キヤボックス68の左側面には、フィードチェン用油圧式無段変速装置10が取り付けれ、さらに、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の後側には、フィードチェン用油圧式無段変速装置10のトラニオン軸10Fを回転させる第1変速モータ10Cが取付けられている。
また、図14に示すように、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の後側に、フィードチェン用油圧式無段変速装置10のトラニオン軸10Fを回転させる第1変速モータ10Cと、第1変速モータ10Cよりも出力等が大きくトラニオン軸10Fを高速で回転させる第2変速モータ10Eが並設して取付けることもできる。
トラニオン軸10Fに基端部が支持されている扇形ギヤ10Gの先端部に、機体フレーム1に取付けられた第1変速モータ10Cのギヤ10cと、第2変速モータ10Eのギヤ10eが係合している。後述する制御装置85によって、通常の刈取りモード時には第1変速モータ10Cを駆動させトラニオン軸10Fを回転させ、手扱ぎモード時には第2変速モータ10Eを駆動させトラニオン軸10Fを回転させる。なお、刈取りモード時には第2変速モータ10Eは自由回転し、手扱ぎモード時には第1変速モータ10Cが自由回転する。
フィードチェン用油圧式無段変速装置10、キヤボックス68を機体フレーム1に取付けることもでき、キヤボックス68に第1変速モータ10C、第2変速モータ10Eを取付けることもでき、入力軸10Aを備えるポンプ部と出力軸10Bを備えるモータ部が一体構造とされたフィードチェン用油圧式無段変速装置10に替えてポンプ部とモータ部が分割構造とされたフィードチェン用油圧式無段変速装置を使用することもできる。
また、第1変速モータ10Cは、刈取装置4の駆動速度に連動してフィードチェン用油圧式無段変速装置10を変速する。具体的には、走行用油圧式無段変速装置66から出力され、刈取装置4へ伝達される回転の速度を検出し、この回転速度に応じて第1変速モータ10Cを作動させるのが好適である。
後側プレート11Bの前端部と、左右の懸架台35,35の連結フレーム35Eに備えられた前側プレート11Aの後端部は、振動を低減するために、緩挿されたピンによって接続されている。なお、後側プレート11Bの後部は、カウンタ軸71側のブラケットとボルト等の締結手段により連結されている。また、横伝動軸36Aの下側には、刈取後フレーム28の上下方向の回転位置を検知する刈取位置センサ36Sが設けられている。
右側のベース35Aの左側には、図6に示すように、油圧系路を短くするために、フィードチェン用油圧式無段変速装置10、走行用油圧式無段変速装置66等の油圧系路の開閉を制御するコントロールバルブ9Aが設けられ、コントロールバルブ9Aの右側には、フィードチェン用油圧式無段変速装置10、走行用油圧式無段変速装置66等に油を供給するオイルタンク9Bが設けられている。
脱穀装置3の前方下側の空間を有効活用し、フィードチェン12の回動時にフィードチェン12B、ベルト93等の干渉を防止するために、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の入力軸10Aと出力軸10B及びギヤボックス68の出力軸68Bが上下に垂直になるように設けられている。
油圧の圧力損失を防止するために、フィードチェン用油圧式無段変速装置10のポンプ部の入力軸10を出力軸10Bよりも下側に設け、フィードチェン用油圧式無段変速装置10とコントロールバルブ9Aと油圧経路を短くしている。
フィードチェン12Bの巻回を容易にするために、ギヤボックス68の出力軸68Bをフィードチェン用油圧式無段変速装置10の出力軸10Bよりも上側に設け、フィードチェン12Bの長さを短くしている。
<上部カバー>
上部カバー50Dは、前後3箇所に設けられた蝶番100により、脱穀装置3の機枠に対してピン101回りに回動自在に設けられており、上部カバー50Dと脱穀装置3の機枠の間には、上部カバー50Dを上方(正面視において、上部カバー50Dを反時計方向側に移動させるガススプリング等の付勢手段103が設けられている。上部カバー50Dは、刈取作業時には、上部カバー50Dが扱胴55の上方を覆い、かつ、挟持杆12Aがフィードチェン12Bに接触する閉鎖状態となる。また、上部カバー50Dを閉鎖状態に維持するために、第1,2フック50G,50H、ピン50K,50N等から成るロック機構を備えている。
フィードチェン12Bと、挟持杆12A又は挟扼杆12Cとの間に詰まった異物を容易に除去するために、図15〜19に示すように、上部カバー50Dの前面には、停止スイッチ(請求項における「操作具」)6Dの操作に連動して駆動する第1モータ(請求項における「アクチュエータ」)54が設けられている。なお、図18には、理解を容易にするために、上部カバー50Dの半開き状態と、全開き状態を併せて図示している。
第1モータ54は、横断面形状が略逆コの字に形成されたブラケット54Fを介して上部カバー50Dの前面に取付けられて、ブラケット54Fは、付勢手段103を迂回して上部カバー50Dの前面から前方に向かって延在している。また、第1モータ54を駆動して上部カバー50Dを迅速に半開き状態にするために、第1モータ54は、カウンタ軸72の左側部に設けられたギヤボックス73の上方に配置され、平面視おいてギヤボックス73の周囲を覆うギヤボックスケース73Aの後側上面に設けられた切欠部73Bに対向する位置に配置されている。なお、第1モータ54の上側は、上部カバー50Dから前方向に延出した前部カバー50Uで覆われている。
上部カバー50Dの挟持杆12A側部を半開放、すなわち半開き状態にするには、第1フック(請求項における「フック」)50Gと、扱室50に前後方向に延設するピン50Kとのロックを解除して、第1フック50Gよりも全長が長い第2フック50Hと、ピン50Nをロック状態にすることにより行なわれる。また、上部カバー50Dを開放、すなわち全開き状態にするには、第1フック50Gとピン50Kとのロック状態を解除して、第2フック50Hと扱室50に前後方向に延設するピン50Nとのロック状態も解除することにより行なわれる。
なお、第1,2フック50G,50Hの上端部は、上部カバー50Dに前後方向に延設された軸50Fにそれぞれ回転自在に支持されている。
また、半開き状態とは、上部カバー50Dの挟持杆12A側部を略50〜100mm上方側に移動させてフィードチェン12B上に詰まった異物を除去する状態をいい、全開き状態とは、上部カバー50Dの挟持杆12A側部を略300〜450mm上方側に移動させてフィードチェン12Bの保守・点検作業をする状態をいう。
第1モータ54は、図20に示すように、連結アーム86を介して第1フック50Gに接続されている。なお、図20には、理解を容易にするために、上部カバー50Dの半開き状態と、全開き状態を併せて図示している。
連結アーム86は、第1モータ54に右側部が接続された第1連結アーム87と、軸50Fに回転自在に支持され、且つ、第1フック50Gの後面に接続された第3連結アーム89と、第1連結アーム87の左側部と第3連結アーム89の上側部を接続する第2連結アーム88から構成されている。
第1モータ54の回転軸54Aには、アーム54Bの一側部が装着されており、アーム54Bの他側部には、前後方向に延設するピン54Cが設けられている。
第1連結アーム87は、正面視おいて略横L字形状に形成されており、第1連結アーム87の左側下部は、上部カバー50Dの前面に設けられた前後方向に延設する支軸50Mを中心として左右方向に揺動可能に支持されている。
第1連結アーム87の右側部には、左右方向に長径を有する長孔87Aが形成されており、長孔87Aには、ピン54Cが嵌入されている。また、第1連結アーム87の上側部には、前後方向に延設する支軸87Bが設けられている。
第2連結アーム88は、左右方向に長径を有する長孔88Aが形成されたプレート部88Bと、プレート部88Bの右側部から第1連結アーム87の支軸87Bに向かって延設する棒状部88Cから形成されている。また、棒状部88Cの右端部は、第1連結アーム87の支軸87Bに連結されている。
第3連結アーム89は、正面視おいて略半楕円形状に形成されており、第3連結アーム89の上端部には、前後方向に延設する支軸89Aが設けられ、支軸89Aは、プレート部88Bの長孔88Aに嵌入されている。また、第3連結アーム89の下端部は、第1フック50Gの上端部に固着されている。
正面視において第1連結アーム87を、支軸50Mを中心として時計方向に回転させるスプリングバネ等からなる付勢手段87Cの両端部が、ブラケット54Fの下部と第2フック50Hの前面に装着されている。
これにより、図27に示すように、第1フック50Gとピン50Kの係合が外れて上部カバー50Dが閉鎖状態から半開き状態に移動する場合には、付勢手段87Cの圧縮力により第2フック50Hの右側面がピン50Nに摺接しながら上方に移動した後に、第2フック50Hの先端部がピン50Nに係合される。次に、開閉レバー50Eを操作して上部カバー50Dを半開き状態から全開状態に移動する場合には、第2フック50Hが軸50Fの中心に反時計方向に回転した後に、第2フック50Hの基端部が上部カバー50Dの前面に前後方向に設けられたピン50Sに係合する。
一方、手動により上部カバー50Dを全開状態から閉鎖状態に移動する場合には、付勢手段87Cの圧縮力によりギヤボックスケース73Aの左側に設けられたフィードチェン12Bで搬送される穀桿に付着した藁屑等の扱室50内への侵入を防止する隔離壁50Tと干渉することなく第2フック50Hの右側面がピン50Nに摺接しながら下方に移動する。
停止スイッチ6Dの操作に連動して第1モータ54が、正面視において反時計方向に回転すると、第1モータ54に装着されたアーム54Bのピン54Cが第1連結アーム87の長孔87Aの右側端部と係合し、支軸50Mを中心として第1連結アーム87を反時計方向に回転させる。
支軸50Mを中心として第1連結アーム87が反時計方向に回転すると、第1連結アーム87の支軸87Bに連結されている棒状部88Cが右側に移動して第2連結アーム88を右側に移動させる。
第2連結アーム88が右側に移動すると、第2連結アーム88のプレート部88Bの長孔88Aに嵌入された支軸89Aが右側に移動し、軸50Fを中心として第3連結アーム89の上端部を反時計方向に回転させる。
第3連結アーム89の上端部が反時計方向に回転すると、第3連結アーム89の下端部が連結されている第1フック50Gの上端部が軸50Fを中心として反時計方向に回転し、第1フック50Gと軸50Fの下方に設けられているピン50Kとのロック状態が解除され、付勢手段103により上部カバー50Dがピン101を中心として上方側に移動して半開き状態になる。
これにより、フィードチェン12Bと、挟持杆12A又は挟扼杆12Cとの間に詰まった異物を容易に除去できると共に、扱室50内の多量の穀粒、籾等の機体外部への離散を防止することができる。
第1フック50Gとピン50Kとのロック状態が解除された後は、軸50Fに上端部が支持されている第1フック50Gよりも全長が長い第2フック50Hがピン50Nと係合してロック状態となるまで付勢手段103によって上部カバー50Dは上方側に移動して、フィードチェン12Bと挟扼杆12Cの間に約50〜100mmの隙間を形成する。
断線等によって第1モータ54が駆動できない場合に、上部カバー50Dの開放操作を行うために、図21に示すように、開閉レバー50Eが設けられている。
上部カバー50Dの前面に装着される第1モータ54を小型にするために、開閉レバー50Eの基部は、第1フック50Gと第2フック50Hの間の軸50Fに回転自在に嵌装された円筒軸50Qに支持されている。
開閉レバー50Eの基部には、第1,2フック50K,50Hに向かって延出し、第1,2フック50K,50Hの基端部に係合する片50Lが設けられている。また、円筒軸50Qには、第1フック50Kをロック状態に維持するトルク・スプリング等からなる付勢手段50Pが嵌装されており、付勢手段50Pの一端側は、第1フック50Kに係合し、他端側は、上部カバー50Dに係合している。
開閉レバー50Eを、円筒軸50Qを中心として上方(正面視において、開閉レバー50Eを反時計方向)側に移動させると、開閉レバー50Eの基部に設けた片50Lが、第1フック50Kの基部に係合する。
片50Lが第1フック50Kの基部に係合した状態で開閉レバー50Eを円筒軸50Qを中心としてさらに上方側に移動すると、第1フック50Kは、軸50Fを中心として上方(正面視において、第1フック50Kを反時計方向)側に移動してピン50Kとのロック状態が解除され、付勢手段103により上部カバー50Dがピン101を中心として上方側に移動して半開き状態になる。
開閉レバー50Eを円筒軸50Qを中心として上方側に移動させると、開閉レバー50Eの基部に設けた片50Lが、第2フック50Hの基部に係合する。片50Lを第2フック50Hの基部に係合した状態で開閉レバー50Eを円筒軸50Qを中心としてさらに上方側に移動すると、第2フック50Hは、軸50Fを中心として上方(正面視において、第2フック50Hを反時計方向)側に移動してピン50Nとのロック状態が解除され、付勢手段103により上部カバー50Dがピン101を中心としてさらに上方側に移動して全開き状態になる。これにより、断線等により第1モータ54が駆動できない場合にあっても開閉レバー50Eを操作することによって、上部カバー50Dを半開き状態又は全開き状態にすることができる。
開閉レバー50Eにより第1フック50Gを軸50Fを中心として上方側に移動させた場合、第1フック50Gに連結されている第3連結アーム89は、軸50Fを中心として左側方向に移動する。しかし、第2連結アーム88に長孔88Aが形成されていることから第3連結アーム89の支軸89Aは、第2連結アーム88の長孔88A内を左側方向に移動することができ、上部カバー50Dを半開き状態又は全開き状態にすることができる。
また、同様に、開閉レバー50Eにより第1フック50Gを軸50Fを中心として上方側に移動させた場合、第2,3連結アーム88,89を介して第1フック50Gに連結されている第1連結アーム87は、左側方向に移動する。しかし、第1連結アーム87に長孔87Aが形成されていることから、第1連結アーム87は、長孔87Aに第1モータ54に装着されたアーム54Bに設けられたピン54Cを嵌入した状態で左方に移動することができ、上部カバー50Dを半開き状態又は全開き状態にすることができる。
なお、開閉レバー50Eによる第1,2フック50G,50Hの移動をより容易に行なうために、停止スイッチ6Dの操作に連動して第1モータ54を駆動して第1フック50Gのロック状態を解除した後には、第1モータ54を逆回転させて初期位置に戻し、第1連結アーム87に形成された長孔87Aの右端部とピン54Cとの距離を大きく維持するようにするのが好適である。
上部カバー50Dの外部から第1フック50Gの回動状態を視認可能とするために、図18,20等に示すように、第1フック50Gの後面には、第1フック50Gと共に回動するマーカ部50Rが装着されている。マーカ部50Rは、軸50Fの近傍の第1フック50Gの後面から機体の外側方向に延出され上部カバー50Gの外側に突出する部材であり開閉レバー50Eの上方に設けられている。
第1フック50Gとピン50Kとのロック状態時においては、図18に示すように、マーカ部50Rと開閉レバー50Eは上下方向に接近し略接触する状態となる。
一方、第1フック50Gとピン50Kとのロック状態が解除され、第1フック50Gが軸50Fを中心として反時計方向に回動した場合には、マーカ部50Rは、図20に示すように、開閉レバー50Eよりも上方に位置する。すなわち、第1モータ54を駆動して、第1フック50Gとピン50Kとのロック状態が解除された状態であって、且つ、開閉レバー50Eが操作されていない状態においては、マーカ部50Rと開閉レバー50Eは上下方向に離間した状態になる。
<上部カバーの半開き状態検出機構>
次に、上部カバー50Dの半開き状態を検出する半開き検出センサ(請求項における「第1検出手段」)120と接触体125について説明する。半開き検出センサ120は、挟持杆12とフィードチェン12B等の間に絡み付いた穀桿を取り除くために、手扱ぎ作業を行っている補助作業者が停止スイッチ6Dを操作して、フィードチェン12Bを停止し、第1モータ54が駆動して第1フック50Gとピン50Kの係合を解除して上部カバー50Dの半開き状態を検出するセンサである。
ギヤボックスケース73Aの内部空間を利用して検出センサ120と接触体125をコンパクトに配置するために、図22〜図26に示すように、半開き検出センサ120は、脱穀装置3の前壁50Aに設けられたフレーム121に取付けられ、半開き検出センサ120で検出される接触体125は、上部カバー50Dに設けられたブラケット54Fに取付けられている。なお、上部カバー50Dの閉鎖状態においては、接触体125は、ギヤボックスケース73Aの切欠部73Bからギヤボックスケース73Aの内部に移動し、上部カバー50Dの全開状態においては、接触体125は、切欠部73Bを通過してギヤボックスケース73Aの上方へ移動する。
図22は、第1フック50Gがピン50Kに係合し上部カバー50Dが閉鎖状態時における半開き検出センサ120と半開き検出センサ120で検出される接触体125の位置を示している。上部カバー50Dの閉鎖状態時においては、接触体125は半開き検出センサ120の下方に位置し、半開き検出センサ120はOFF状態となる。
図23は、第1フック50Gとピン50Kとの係合が外れ付勢手段50Pによって上部カバー50Dが反時計方向に移動開始時における半開き検出センサ120と接触体125の位置を示している。上部カバー50Dの移動開始時においては、接触体125は半開き検出センサ120の下方に位置し、半開き検出センサ120はOFF状態となる。
図24は、第1フック50Gとピン50Kとの係合が外れ、付勢手段50Pによって上部カバー50Dが反時計方向に移動して上部カバー50Dが半開き状態時における半開き検出センサ120と接触体125の位置を示している。上部カバー50Dの半開き状態時においては、接触体125は半開き検出センサ120と接触し、半開き検出センサ120はON状態となる。
図25は、第1フック50Gとピン50Kとの係合が外れ、付勢手段50Pによって上部カバー50Dが反時計方向にさらに移動して上部カバー50Dが全開き状態時における半開き検出センサ120と接触体125の位置を示している。上部カバー50Dの全開き状態時においては、接触体125は半開き検出センサ120の上方に位置し、半開き検出センサ120はOFF状態となる。
<伝動機構>
次に、本実施形態の伝動機構について説明する。エンジン62の回転は、図9に示すように、フィードチェン用油圧式無段変速装置10に伝動される第1経路Aと、走行用油圧式無段変速装置66に伝動される第2経路Bと、グレンタンク5の前方のギヤボックス39に伝動される第3経路Cに分岐して伝動される。
フィードチェン用油圧式無段変速装置10に伝動される第1経路Aでは、エンジン62の回転は、クランク軸70に支持されたプーリ70Aと、ベルト90と、カウンタ軸71に支持されたプーリ71Aを介してカウンタ軸71に伝動される。なお、第1経路Aには、ベルト90よりも伝動下流側への伝動を接続及び遮断する脱穀クラッチ90Aが設けられている。
カウンタ軸71の回転は、プーリ71Bと、ベルト91等を介して二番処理胴56と排塵処理胴57に伝動され、プーリ71Cと、ベルト92と、プーリ72Aを介してカウンタ軸72に伝動され、カウンタ軸72の回転は、ギヤボックス73、扱胴軸55Aを介して扱胴55と排藁搬送装置58に伝動される。
ギヤボックス73の保守・点検作業を容易にするために、扱室50の前側に設けられたギヤボックス73の前側に、ギヤボックス73と、扱胴軸55Aとの断接を操作するかみ合いクラッチ、爪クラッチ等の扱胴クラッチ74を設けることもできる。なお、クラッチを構成する部品点数を低減するために、扱胴クラッチ74を扱胴軸55Aと同一軸心上に設けるのが好適である。
また、扱胴クラッチ74の伝動下流側には、扱胴55の駆動を緊急停止するために、扱胴軸55Aの回転を停止させる湿式多板ブレーキ等の扱胴ブレーキ75をさらに設けることもできる。なお、扱胴ブレーキ75の保守・点検作業を容易にするために、扱胴ブレーキ75をギヤボックス73の下側の扱胴軸55Aと並設された軸75Bに支持するのが好適である。この軸75Bは、扱胴軸55Aに固着されたスパーギアと連動されており、扱胴ブレーキ75が軸75Bを制動することにより、扱胴軸55Aの回転が停止される。
カウンタ軸71の回転は、図9に示すように、プーリ71Dと、ベルト93と、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の入力軸10Aに支持されたプーリ10Dを介して入力軸10Aに伝動される。さらに、カウンタ軸71の回転は、プーリ71Dの左側に支持されたプーリ71E、ベルト94を介して、第一唐箕53A、一番移送螺旋53b、第二唐箕53C、二番移送螺旋53d、排塵ファン48、揺動選別装置52、排藁カッタ59に伝動される。
入力軸10Aの回転は、出力軸10Bを介してギヤボックス68に伝動され、ギヤボックス68に内装された複数のギヤ68Aによって増減速された後に、ギヤボックス68に軸支された出力軸68Bに伝動される。
なお、ギヤボックス68には、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の出力軸10Bに備えるギヤ68Aの回転速度を測定するフィードチェン速度センサ10Sが設けられている。
出力軸68Bの回転は、カップリング68Cを介して駆動軸68Dに伝動され、駆動軸68Dの左端に軸支された駆動スプロケット17Aを介してフィードチェン12Bに伝動される。なお、フィードチェン12Bを左側の懸架台35に立設されたフィードチェン回動軸35Bを中心として容易に回動するために、図5に示すように、フィードチェン12Bの中心よりも機体内側にフィードチェン回動軸35Bの中心を設け、フィードチェン回動軸35Bを上下方向に垂直に延設し、図6に示すように、出力軸68Bの左端は、カウンタ軸71の左端よりも左側に延設し、駆動スプロケット17Aもプーリ71Eよりも左側に支持されている。
操縦席6の左側には、走行用油圧式無段変速装置66を遠隔操作する主変速レバー16が設けられ、主変速レバー16の後側には植立穀桿の倒伏状態に応じてトランスミッション65内の伝動機構に備えた有段式の副変速装置を切換操作する副変速レバー15が設けられている。主変速レバー16には、フィードチェン用油圧式無段変速装置10を遠隔操作する増速スイッチ16Aと、減速スイッチ16Bが設けられている。増速スイッチ16Aを約2秒以上長押しすると、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の出力軸10Bの回転を最高回転速度に変更することができ、増速スイッチ16Aを約1秒短押しすると、出力軸10Bの回転を段階的に高速にすることができる。同様に、減速スイッチ16Bを約2秒以上長押しすると、フィードチェン用油圧式無段変速装置10の出力軸10Bの回転を最低回転速度に変更することができ、減速スイッチ16Bを約1秒短押しすると、出力軸10Bの回転を段階的に低速にすることができる。上記増速スイッチ16Aおよび減速スイッチ16Bを、変速スイッチSと総称する。また、主変速レバー16の下部には、主変速レバー16の変移位置を測定する主変速レバー位置センサ16S設けられ、副変速レバー15の下部には、副変速レバー15の変移位置を測定する副変速レバー位置センサ15S設けられている。
走行用油圧式無段変速装置66に伝動される第2経路Bでは、エンジン62の回転は、クランク軸70に支持されたプーリ70Bと、ベルト96と、走行用油圧式無段変速装置66の入力軸に支持されたプーリ66Bを介してこの走行用油圧式無段変速装置66に入力される。
走行用油圧式無段変速装置66の入力軸の回転は、走行用油圧式無段変速装置66の出力軸を介してトランスミッション65に伝動され、トランスミッション65に内装された複数のギヤによって増減速された後に、トランスミッション65に軸支された左右の車軸65Aおよびこの車軸65Aの先端部に固定した駆動輪65Bを介して走行装置2に伝動される。また、走行用油圧式無段変速装置66の出力軸の回転は、トランスミッション65内の伝動経路における上記副変速装置よりも上手側の部位から出力する出力軸65Cから、この出力軸65Cの先端部に取り付けた出力プーリ65Dと伝動ベルト65Eを介して横伝動軸36Aの右端に支持されたプーリ36Bに伝動される。上記伝動ベルト65Eにはテンションローラを付勢する構成として、刈取クラッチ65Fを構成する。
すなわち、走行用油圧式無段変速装置66の入力軸に伝動されたエンジン62の回転を走行用油圧式無段変速装置66で増減速した後に分岐して、一方をトランスミッション65に軸支された左右の車軸65Aを介して走行装置2のクローラに伝動し、他方を横伝動軸36Aを介して刈取装置4の引起装置32、搬送装置34等に伝動しているので、走行装置2の走行速度Vと、刈取装置4の引起装置32の引起し速度及び搬送装置34の搬送速度VHは一定の関係を持って決定される。例えば、走行装置2の走行速度Vを高速にした場合には刈取装置4の引起装置32の引起し速度及び搬送装置34の搬送速度VHも高速となり、走行装置2の走行速度Vを低速にした場合には刈取装置4の引起装置32の引起し速度及び搬送装置34の搬送速度VHも低速となる。なお、車軸65A、横伝動軸36Aには、回転速度を測定する走行速度センサ66S、搬送速度センサ34Sがそれぞれ設けられている。
また、トランスミッション65内の伝動経路において、副変速装置よりも下手側の部位に設けたセンターギヤ65Gの左右両側部には、左右のサイドクラッチギヤ65Hを係合および離脱自在に軸支している。このセンターギヤ65Gと左右のサイドクラッチギヤ65Hの間には、爪クラッチ式の左右のサイドクラッチ65Iをそれぞれ形成している。この左右のサイドクラッチ65Iには、左右の車軸65Aの基部に取り付けた左右の車軸ギヤを噛み合わせている。
上記の左右のサイドクラッチ65Iは、操縦席6の前方に配置した操向レバーの左右傾動操作によって作動するシフタ(図示省略)によってサイドクラッチギヤ65Hを左右方向に摺動して、センターギヤ65Gから離脱させることで伝動遮断状態となる。
また、左右のサイドクラッチ65Iは、操縦席6の前下方のステップ上に配置した掻込ペダル22の踏込み操作に連動しており、掻込ペダル22が踏み込まれた場合には、左右のサイドクラッチ65Iを介してセンターギヤ65Gとサイドクラッチギヤ65Hが離脱してエンジン62の回転は車軸65Aに伝動されない。一方、掻込ペダル22の踏み込みが解除された場合には、左右のサイドクラッチ65Iを介してセンターギヤ65Gとサイドクラッチギヤ65Hが係合してエンジン62の回転が車軸65Aに伝動される。
圃場の一辺を畦際まで刈り進んだ場合には、主変速レバー16を中立位置へ操作して停車し、掻込ペダル22を踏み込んでサイドクラッチ65Iを介してセンターギヤ65Gとサイドクラッチギヤ65Hの係合を解除して車軸65Aの回転を停止する。
コンバインを停止させた状態で、主変速レバー16を再度前進側へ操作すると、走行用油圧式無段変速装置66の出力によって出力軸65Cが駆動し、刈取クラッチ65Fを介して刈取装置4が駆動される。この際、左右のサイドクラッチ65Iが遮断されているために、走行装置2は前進駆動されず、停車状態を維持する。この構成によって、畦際まで刈り進んで停車した状態で、刈取装置4に入ったままの植立穀稈を、掻込ペダル22と主変速レバー16の操作によって刈り取ることができる。
なお、掻込ペダル22の踏込み操作に刈取クラッチ65Fを連動させることもできる。
すなわち、掻込ペダル22が踏込み込まれた場合には、刈取クラッチ65Fを介してトランスミッション65の出力軸65Cと刈取装置4の横伝動軸36Aが接続されて刈取装置4が駆動する。一方、掻込ペダル22の踏込みが解除された場合には、刈取クラッチ65Fを介してトランスミッション65の出力軸65Cと刈取装置4の横伝動軸36Aの接続を解除して刈取装置4の駆動を停止する。
圃場の一辺を畦際まで刈り進んだ場合には、主変速レバー16を中立位置へ操作して車体を停車させる。コンバインを停止させた状態で、掻込ペダル22が踏込み込むと刈取装置4が駆動する。この際、主変速レバー16が中立位置に移動しているために、走行装置2は前進駆動されず、停車状態を維持する。
グレンタンク5の排出螺旋39Aに伝動される第3経路Cでは、エンジン62の回転は、クランク軸70に支持されたプーリ70Cと、ベルト97、ギヤボックス39等を介して、グレンタンク5の下部に設けられた排出螺旋39Aに伝動される。また、排出螺旋39Aの回転は、グレンタンク5の後方に設けられた排出筒7に内装されたオーガー螺旋39Bに伝動される。なお、第3経路Cには、ベルト97よりも伝動下流側への伝動を接続及び遮断する排出クラッチ97Aが設けられている。
<制御装置>
操縦席6に設けられた制御装置85の入力側には、図10に示すように、走行装置2の速度Vを検出するする走行速度センサ66Sと、刈取装置4の搬送装置34の速度VHを検出するする搬送速度センサ34Sと、脱穀部搬送装置12のフィードチェン12Bの速度VFを検出するするフィードチェン速度センサ10Sと、副変速レバー15のレバー位置を検出する副変速レバー位置センサ15Sと、主変速レバー16に設けられたフィードチェン12Bの速度VFの増減速を行なう増減速スイッチ16A,16Bと、上部カバー50Dの側面に設けられているフィードチェン12Bの速度VFの増減を行なう調速ダイヤル6Aと、手扱モードへの切り換えを行なうモードスイッチ(請求項における「第2検出手段」)6Bと、フィードチェン12Bを後側から前側に向かって逆回転させる逆転スイッチ6Cと、フィードチェン12B上の搬送される穀桿の有無を検知する穀桿センサ34Cと、上部カバー50Dの側面に設けられているフィードチェン12Bの駆動を緊急停止する停止スイッチ6Dと、エンジン62を始動する始動スイッチ6Eと、エンジン62の回転を刈取装置4に伝動する刈取クラッチ65Fと、エンジン62の回転を脱穀装置3に伝動する脱穀クラッチ90Aと、エンジン62の回転をグレンタンク5に伝動する排出クラッチ97Aと、上部カバー50Dの半開き状態を検出する半開き検出センサ120が所定の入力インターフェース回路を介して接続されている。
一方、出力側には、通常の刈取りモード時にフィードチェン用油圧式無段変速装置10のトラニオン軸10Fを駆動する第1変速モータ10Cと、手扱ぎモード時にフィードチェン用油圧式無段変速装置10のトラニオン軸10Fを駆動する第2変速モータ10Eと、制御装置85の出力側には、扱室50の上部カバー50Dをロック状態に維持する第1フック50Gを駆動する第1モータ54と、エンジン62と扱胴55の伝動の断続を行なう扱胴クラッチ74を駆動する第2モータ74Aと、扱胴55を緊急停止させる扱胴ブレーキ75の断続を行なう第3モータ75Aが所定の出力インターフェース回路を介して接続されている。
なお、モードスイッチ6Bは、作業者が手動で操作するスイッチに限定されるものではない。すなわち、刈取装置4の搬送装置34の終端部からフィードチェン12Bの始端部に引継がれる穀桿の姿勢の乱れを防止するために、搬送装置34の終端部には、上下方向に揺動する手扱ぎレバー38と、手扱ぎレバー38の下側に補助挾扼杆38Aが設けられている。手扱モードへの切り換え時には、手扱ぎ穀桿を補助挾扼杆38A及びフィードチェン12B上に上載するために、手扱ぎレバー38を軸38Bを中心として上側に揺動させることで、規制状態から非規制状態へ切替える。手扱ぎレバー38を揺動させる操作に連動して、ON/OFFするスイッチ(モードスイッチ)38Cを設け、該スイッチ38Cをモードスイッチ6Bとして利用することもできる。
<フィードチェンの駆動・停止方法>
次に、本実施形態のフィードチェン12Bの駆動・停止方法について説明する。
(フィードチェンの第1駆動方法)
図11には、フィードチェン12Bの速度VFの第1駆動方法が図示されている。横軸は走行速度センサ66Sで検出された走行装置2の走行速度Vを示し、V1,2は走行速度Vの第1,2設定値である。左側の縦軸はフィードチェン速度センサ10Sで検出されたフィードチェン12Bの速度VFを示し、VF1,2はフィードチェン12Bの速度VFの第1,2設定値であり、右側の縦軸は搬送速度センサ34Sで検出された搬送装置34の速度VHを示し、VH1,2は搬送速度VHの第1,2設定値であり、VH1,2は走行装置2の走行速度Vが第1,2設定値V1,2時の速度に対応する。
また、実線はフィードチェン12Bの速度VFを示し、破線は搬送装置34の速度VHを示している。
先ず、制御装置85は、モードスイッチ6Bの入力があったか否か判断し、モードスイッチ6Bの入力が無いと判断された場合には、制御装置85は、搬送装置34の速度VH(搬送速度センサ34Sからの入力値)が第1設定値VH1よりも低速か否か判断する。
搬送装置34の速度VHが第1設定値VH1よりも低速と判断された場合には、第1状態に示すように、フィードチェン12Bの速度VFを下式1で演算される速度に制御する。なお、副変速レバー15により設定される変速段位により、走行装置2の走行速度Vに対する搬送装置34の搬送速度VHは変化する。
式1 VF=K×V
但し K=VH1/V1
一方、搬送装置34の速度VHが第1設定値VF1よりも等速以上と判断された場合には、第2状態に示すように、フィードチェン12Bの速度VFを下式2で演算される速度に制御する。
式2 VF=VF1+1.5〜2.5×K×(V―V1)
但し K=(VH2―VH1)/(V2―V1)
次に、制御装置85は、フィードチェン12Bの速度VF(フィードチェン速度センサ10Sの入力値)が搬送装置34の第2設定値VH2よりも低速か否か判断する。
フィードチェン12Bの速度VFが搬送装置34の第2設定値VH2よりも低速と判断された場合には、第2状態に示すように、フィードチェン12Bの速度VFを式2で演算される速度に制御する。
一方、フィードチェン12Bの速度VFが搬送装置34の第2設定値VH2と等速以上と判断された場合には、第3状態に示すように、フィードチェン12Bの速度VFを第2設定値VF2に維持する。
(フィードチェンの第2駆動方法)
図12には、フィードチェン12Bの速度VFの第2駆動方法が図示されている。実線はフィードチェン12Bの速度VFを示し、破線は搬送装置34の速度VHを示し、第1駆動方法と同一部材には同一符号を付して重複した記載を省略する。
先ず、制御装置85は、モードスイッチ6Bの入力があったか否か判断し、モードスイッチ6Bの入力が無いと判断された場合には、前述した第1〜3状態のフィードチェン12Bの速度VFを維持する。
一方、モードスイッチ6Bの入力があったと判断された場合、フィードチェン12Bの速度VFを下式3で演算される速度に制御する。なお、フィードチェン12Bの速度VFは調速ダイヤル6Aによって10〜20%の範囲で増減速することができる。
式3 VF=0.25〜0.5×VH1
<上部カバーの半開き方法>
次に、上部カバー50Dを半開き状態にする方法について、図28に基づいて説明する。
コンバインの手扱ぎ作業においては、脱穀部搬送装置12に穀稈が詰ることがある。穀稈の詰りを解消するために、手扱ぎ作業を中断し、エンジン62を停止して詰った穀稈を脱穀部搬送装置12から引抜く除去作業を行う必要がある。除去作業において、上部カバー50Dを全開状態とすると、脱穀部搬送装置12で挟持されている引抜き対象でない穀稈が脱穀部搬送装置12から落下してしまったり、扱室50の内部へ入り込んでしまう虞があるため、上部カバー50Dを半開き状態として、詰った穀稈のみを引抜くのが好適である。そのため、本実施形態においては、上部カバー50Dを半開き状態で保持可能として、詰った穀稈を脱穀部搬送装置12から引抜く除去作業を容易化している。
なお、以下の記載において、第1フック50Gのロック状態とは、第1フック50Gがピン50Kに係合した状態をいい、第1フック50Gの解除状態とは、上部カバー50Dが回動してもピン50Kに係合しない状態をいう。第2フック50Hのロック状態とは、第2フック50Hがピン50Nに係合可能な状態をいい、第2フック50Hの解除状態とは、上部カバー50Dが回動してもピン50Nに係合しない状態をいう。
ステップS1において、制御装置85は、停止スイッチ6Dの入力があったか否か判断し、停止スイッチ6Dの入力が無いと判断した場合は、エンジン62の駆動を継続し、上部カバー50Dを閉鎖状態に維持する。
一方、停止スイッチ6Dの入力があると判断した場合には、ステップS2に進む。
ステップS2において、制御装置85は、エンジン62と刈取装置4の間に設けられた刈取クラッチ65Fと、エンジン62と脱穀装置3の間に設けられた脱穀クラッチ90Aと、エンジン62とグレンタンク5の間に設けられた排出クラッチ97Aの入力があったか否か判断し、刈取クラッチ65Fと、脱穀クラッチ90Aと、排出クラッチ97Aの全てのクラッチの入力が無い、すなわち刈取クラッチ65Fと、脱穀クラッチ90Aと、排出クラッチ97Aの全てのクラッチの接続が解除されている状態と判断した場合は、エンジン62の駆動を継続し、上部カバー50Dを閉鎖状態に維持する。
一方、刈取クラッチ65Fと、脱穀クラッチ90Aと、排出クラッチ97Aのいずれが1つのクラッチの入力がある、すなわち刈取クラッチ65Fと、脱穀クラッチ90Aと、排出クラッチ97Aのいずれが1つのクラッチが接続されている状態と判断した場合は、ステップS3に進みエンジン62の駆動を停止する。
ステップS4において、通常の刈取作業と手扱ぎ作業の切替えを行うモードスイッチ6Bの入力があったか否か判断し、モードスイッチ6Bの入力が無い、すなわち通常の刈取作業と判断した場合は、上部カバー50Dを閉鎖状態に維持する。
一方、モードスイッチ6Bの入力がある、すなわち手扱ぎ作業状態と判断した場合には、ステップS5に進み、第1変速モータ10Cを駆動して無圧式無断変速装置10のトラニオン軸10Fを中立位置に移動させてフィードチェン12Bの駆動を停止し、且つ、第1モータ54を駆動して第1フック50Gとピン50Kのロック状態を解除して上部カバー50Dを半開き状態にする。また、手扱ぎ作業を行っている補助作業者が、上部カバー50Dを半開き状態にして脱穀部搬送装置12に絡み付いた穀稈を作業していることを操縦席6に搭乗した操縦者に告知するために、上部カバー50Dを半開き状態時には、ブザーを鳴らすのが好適である。
なお、図20には、第1モータ54が、時計方向に回転して、第1モータ54と第1フック50Gを接続する連結アーム86が、第1モータ54の上方から下方に移動した形態を示している。
<上部カバー半開き後の閉鎖方法>
次に、上部カバー50Dの半開き状態の後に、上部カバー50Dを閉鎖状態にする方法について、図20、21に基づいて説明する。
第1モータ54の駆動により第1フック50Gとピン50Kのロック状態が解除された状態では、第1モータ54のアーム54Bに立設された54Cが、第1モータ54と第1フック50Gを接続する第1連結アーム87に開孔された長孔87Aの端部に係合しているために、上部カバー50Dを下方に引下げる引下げ操作によって第1フック50Gを移動させてピン50Kとロック状態に戻すことができない。なお、この状態では、図20に示すように、マーカ部50Rは、開閉レバー50Eの上方に離間して位置している。
そのために、上部カバー50Dを下方に引下げる引下げ操作によって第1フック50Gを移動させてピン50Kとロック状態に戻すためには、停止スイッチ6Dを再び操作して、図21に示すように、第1モータ54を反時計方向に回転して、第1モータ54と第1フック50Gを接続する連結アーム86を第1モータ54の下方から上方に移動して、第1モータ54のピン54Cと第1連結アーム87の長孔87Aの端部との係合を解除した後に、上部カバー50Dを下方に引下げる引下げ操作によって、第1フック50Gとピン50Kをロック状態にして上部カバー50Dを閉鎖状態にすることができる。
なお、この状態では、図21に示すように、マーカ部50Rは、開閉レバー50Eの上方に近接して位置し、停止スイッチ6Dの操作性を向上させるために、停止スイッチ6Dには、オルタネート動作を行うスイッチを採用するのが好適である。
また、上述の形態では、停止スイッチ6Dを再び操作して、第1モータ54を反時計方向に回転して、連結アーム86を第1モータ54の下方から上方に移動して、第1モータ54のピン54Cと第1連結アーム87の長孔87Aの端部との係合を解除しているが、停止スイッチ6Dを操作した後に、所定の時間が経過すると自動的に第1モータ54を反時計方向に回転させて、連結アーム86を第1モータ54の下方から上方に移動して、第1モータ54のピン54Cと第1連結アーム87の長孔87Aの端部との係合を解除させることもできる。
<エンジンの再始動方法>
次に、エンジン62の再始動方法について、図29に基づいて説明する。
ステップS6において、制御装置85は、始動スイッチ6Eの入力があったか否か判断し、始動スイッチ6Eの入力が無いと判断した場合は、エンジン62の始動を行わない。
一方、始動スイッチ6Eの入力があったと判断した場合には、ステップS7に進む。
ステップS7において、制御装置85は、エンジン62と脱穀装置3の間に設けられた脱穀クラッチ90Aの入力があったか否か判断し、脱穀クラッチ90Aの入力がある、すなわち脱穀クラッチ90Aの接続されている状態と判断した場合は、エンジン62の始動を行わない。
一方、脱穀クラッチ90Aの入力が無い、すなわち脱穀クラッチ90Aの接続が解除されている状態と判断した場合には、ステップS8に進む。
ステップS8において、制御装置85は、脱穀装置3に設けられた半開き検出センサ120の入力があったか否か判断し、半開き検出センサ120の入力がある、すなわち上部カバー50Dが半開き状態と判断した場合は、エンジン62の始動を行わない。
一方、半開き検出センサ120の入力が無い、すなわち上部カバー50Dが閉鎖状態又は全開状態と判断した場合には、ステップS9に進みエンジン62を始動する。なお、エンジン62の始動、停止は、エンジン62に燃料を供給する供給弁(図示省略)の開閉によって行うのが好適である。
1 機体フレーム
2 走行装置
3 脱穀装置
4 刈取装置
6D 操作具
12 脱穀部搬送装置
12A 挟持杆
12B フィードチェン
54 第1モータ(アクチュエータ)
62 エンジン
85 制御装置
120 第1検出手段

Claims (2)

  1. エンジン(62)を搭載する機体フレーム(1)の下方に走行装置(2)を設け、前記機体フレーム(1)の前方には刈取装置(4)を設け、該刈取装置(4)の後方に脱穀装置(3)を設けたコンバインにおいて、前記脱穀装置(3)の側部に刈取穀稈を搬送する脱穀部搬送装置(12)を設け、この脱穀部搬送装置(12)には、フィードチェン(12B)と該フィードチェン(12B)の上側に対向する位置で穀稈を挟持する挟持杆(12A)を備え、該挟持杆(12A)を前記フィードチェン(12B)の上側に対向する位置にロックするロック機構を設け、該ロック機構によるロック状態を解除するアクチュエータ(54)を設け、前記脱穀部搬送装置(12)の周辺部に配置された操作具(6D)が操作された場合に、前記エンジン(62)を停止させると共に前記アクチュエータ(54)を駆動し、前記ロック機構のロック状態を解除して挟持杆(12A)を上方に移動させ、該挟持杆(12A)とフィードチェン(12B)の間に異物を除去可能な隙間を形成する制御装置(85)を設けたことを特徴とするコンバイン。
  2. 前記挟持杆(12A)が上方に移動した状態を検出する第1検出手段(120)を設け、前記第1検出手段(120)によって挟持杆(12A)が上方に移動した状態が検出されている場合に、エンジン(62)の駆動が牽制される構成とした請求項1に記載のコンバイン。
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