JP4108849B2 - ポリウレタンフォームの製造方法 - Google Patents

ポリウレタンフォームの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリウレタンフォームに関する。さらに詳しくは、機械的強度に優れ、脱型時のフォームの膨れが小さいポリウレタンフォームに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からポリウレタンフォームは、冷蔵庫、冷凍庫、建築用などの断熱材や、家具、自動車内装材などのクッション材、衝撃吸収材として広く使用されている。しかし、CFC−11などの特定フロンが、オゾン層保護のため、1995年12月末で使用できなくなったため、イソシアネート基と反応し炭酸ガスを発生する水が有力な発泡剤となった。しかし水を単独で発泡剤として使用した場合、フォーム物性が悪化したり脱型時にフォームが膨れるという問題が多い。これらを改良する方法として、糖を出発物質に使用したポリエーテルポリオールを使用する方法(特開平10−101762号公報など)、特定の水酸基価を有するポリエーテルポリオールからなるポリオール成分を用いる方法(特開平05−247166号公報など)などがあるが、膨れ防止の点ではまだ不十分であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ウレタンフォーム、特に発泡剤に水を使用するウレタンフォームの機械的強度の改良、脱型時のフォームの膨れ防止を目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような問題点を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、付加重合性官能基と活性水素含有基を有する化合物の活性水素含有基と、過剰の有機ポリイソシアネートのイソシアネート基とを反応させて得られる付加重合性官能基を有する変性有機イソシアネートと、活性水素化合物とを、ウレタン化反応と共に付加重合反応させることにより、上記の問題点を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0005】
すなわち本発明は、活性水素化合物(A)と有機イソシアネート(B)とを、水からなる発泡剤(C)、ウレタン化触媒(D)および必要により他の添加剤(E)の存在下で反応させてポリウレタンフォームを製造する方法において、有機イソシアネート(B)の少なくとも一部として、付加重合性官能基と活性水素含有基を有する化合物(a)の活性水素含有基と、過剰の有機ポリイソシアネート(b)のイソシアネート基とを反応させて得られる付加重合性官能基を有する変性有機イソシアネート(B1)を用い、付加重合性官能基の重合と共にポリウレタン形成反応を行うことを特徴とするポリウレタンフォームの製造方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明でポリウレタンフォームを製造するのに用いられる変性有機イソシアネート(B1)は、有機ポリイソシアネート(b)のイソシアネート基と、付加重合性官能基と活性水素含有基を有する化合物(a)の活性水素含有基とを、イソシアネート基が過剰となるような量比で反応させて得られる付加重合性官能基を有する変性有機イソシアネートである。
【0007】
本発明で用いられる変性有機イソシアネート(B1)の合成に必要な有機ポリイソシアネート(b)としては、従来からポリウレタンフォームに使用されているものが使用できる。このようなイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、これらの変性物(例えば、カルボジイミド変性、アロファネート変性、ウレア変性、ビューレット変性、イソシヌアレート変性、オキサゾリドン変性など)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0008】
芳香族ポリイソシアネートとしては、炭素数(NCO基中の炭素を除く;以下のイソシアネートも同様)6〜16の芳香族ジイソシアネート、炭素数6〜20の芳香族トリイソシアネートおよびこれらのイソシアネートの粗製物などが挙げられる。具体例としては、1,3−および1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(粗製MDI)、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数6〜10の脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0009】
脂環式ポリイソシアネートとしては、炭素数6〜16の脂環式ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数8〜12の芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
変性ポリイソシアネートの具体例としては、ウレタン変成MDI、カルボジイミド変性MDI、ショ糖変性TDI、ひまし油変性MDIなどが挙げられる。
これらのうちで好ましいものは、TDI、MDI、粗製TDI、粗製MDI、ショ糖変性TDI、ウレタン変成MDI、カルボジイミド変性MDIから選ばれる一種以上の有機ポリイソシアネートであるである。
【0010】
本発明において変性有機イソシアネート(B1)を得るのに用いられる、付加重合性官能基と活性水素含有基を有する化合物(a)の有する付加重合性官能基としては、ラジカル重合性官能基、カチオン重合性官能基(ビニルエーテル基、プロペニルエーテル基など)およびアニオン重合性官能基(ビニルカルボキシル基、シアノアクリロイル基など)が挙げられる。これらの中ではラジカル重合性官能基が好ましい。
【0011】
(a)としては、特に限定されないが、例えば、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、1級アミノ基、2級アミノ基などから選ばれる1種以上の活性水素含有基を有し、且つ下記一般式[1]で示される基を1種以上有する活性水素化合物が挙げられ、2種以上の化合物を併用して用いてもよい。
Figure 0004108849
(但し、式中Rは水素、炭素数1〜15のアルキル基または炭素数6〜21アリール基を表す。)
上記一般式[1]で示される基の具体的な例としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、ビニルベンジル基、ビニルフェニル基、アリルエーテル基などのラジカル重合性不飽和結合含有基が挙げられる。好ましい活性水素含有基は、ヒドロキシル基およびメルカプト基であり、好ましいラジカル重合性不飽和結合含有基は、アクリロイル基、メタクリロイル基およびアリルエーテル基である。
(a)中の活性水素含有基数は、通常1〜8個、好ましくは1〜5個である。また、(a)中のラジカル重合性不飽和結合含有基数は、通常1〜10個で、好ましくは1〜5個である。
【0012】
上記(a)の具体例としては、下記(a1)〜(a4)が挙げられる。
(a1)ポリオール類〔多価アルコール類;多価フェノール類;これらにアルキレンオキサイド(c)を付加したポリエーテルポリオール;アミン類に(c)を付加したポリエーテルポリオール;多価アルコール類とポリカルボン酸類とから誘導されるポリエステルポリオールなど〕の不飽和カルボン酸部分エステル
(a2)アミン類の不飽和カルボン酸部分アミド化物
(a3)ポリチオール類の不飽和カルボン酸部分チオエステル
(a4)ヒドロキシル基を有するビニル単量体類
【0013】
(a1)の製造に用いるポリオール類のうち多価アルコール類としては、例えば、
炭素数2〜18(好ましくは2〜12)の2価アルコール類[エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール等]、
炭素数3〜18(好ましくは3〜12)の3〜8価またはそれ以上のアルコール類[グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、α−メチルグルコシド、ソルビトール、キシリット、マンニット、グルコース、フラクトース、ショ糖等]およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
【0014】
(a1)の製造に用いるポリオール類のうち多価フェノール類としては、例えば、ハイドロキノン、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF等)、フェノール化合物のホルマリン低縮合物(ノボラック樹脂、レゾールの中間体)およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
【0015】
(a1)の製造に用いるポリオール類のうち、アミン類に(c)を付加したポリエーテルポリオールにおけるアミン類としては、例えば、アンモニア;アルカノールアミン類[モノ−、ジ−もしくはトリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、アミノエチルエタノールアミン等];炭素数1〜20のアルキルアミン類[メチルアミン、エチルアミン、n−ブチルアミン、オクチルアミン等];炭素数2〜6のアルキレンジアミン類[エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等];アルキレン基の炭素数が2〜6のポリアルキレンポリアミン類[ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等];炭素数6〜20の芳香族アミン類[アニリン、フェニレンジアミン、ジアミノトルエン、キシリレンジアミン、メチレンジアニリン、ジフェニルエーテルジアミン等];炭素数4〜15の脂環式アミン類[イソホロンジアミン、シクロヘキシレンジアミン等];炭素数4〜15の複素環式アミン類[ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン等]およびこれらの2種以上の併用などが挙げられる。
【0016】
多価アルコール類、多価フェノール類またはアミン類に付加させるアルキレンオキサイド(c)としては、エチレンオキサイド(以下、EOと略記)、プロピレンオキサイド(以下、POと略記)、1,2−、1,4−もしくは2,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイドなどおよびこれらの2種以上の併用(併用する場合には、ランダム付加、ブロック付加のいずれでもよい。)が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。これらのうち好ましいものは、POおよび/またはEOを主成分とし、20質量%以下の他のアルキレンオキサイドを含むものが好ましい。付加反応は、従来公知の通常の方法により行うことができる。
【0017】
(a1)の製造に用いるポリオール類のうちポリエステルポリオールに用いる多価アルコール類は前記と同様のものが挙げられ、ポリカルボン酸類としては、例えば、脂肪族ポリカルボン酸[コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸等]、芳香族ポリカルボン酸[フタル酸もしくはその異性体、トリメリット酸等]、これらのポリカルボン酸のエステル形成性誘導体[酸無水物、アルキル基の炭素数が1〜4の低級アルキルエステルなど]およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
【0018】
(a1)は、以上例示したポリオール類を不飽和カルボン酸類を用いて部分エステル化することにより得られる。
不飽和カルボン酸類としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、アニコット酸、桂皮酸、ビニル安息香酸など、およびこれらの2種以上の併用[ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸またはメタアクリル酸を意味し、以下同様の記載法を用いる。];これらの不飽和カルボン酸のエステル形成性誘導体、たとえばハライド[(メタ)アクリル酸クロライドなど]、酸無水物類[マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物など];ならびにこれらの2種以上の併用が挙げられる。
(a1)の具体的化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなど、およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
【0019】
(a2)は、前記のアミン類と前記の不飽和カルボン酸類、不飽和カルボン酸塩化物類、不飽和カルボン酸無水物類などを反応させることにより得られる。
具体的な化合物としては、(メタ)アクリルアミドエチルアミン、(メタ)アクリルアミドヘキシルアミンなど、およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
【0020】
(a3)の製造に用いるポリチオール類としては、例えば、エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−プロパンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィド、4−t−ブチル−1,2−ベンゼンジチオール、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)チオシアヌル酸、ジ(2−メルカプトエチル)スルフィド、ジ(2−メルカプトエチル)エーテルおよびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
(a3)は、これらポリチオール類に前記の不飽和カルボン酸類、不飽和カルボン酸塩化物類、不飽和カルボン酸無水物類などを反応させることにより得られる。
具体的な化合物としては、アクリロイルチオエチルメルカプタン、アクリロイルチオブチルメルカプタンなど、およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
【0021】
(a4)としては、p−ヒドロキシルスチレン、(メタ)アリルアルコール、シンナミルアルコール、クロトニルアルコール、前記多価アルコール類のアリルエーテル化物(ペンタエリスリトールトリアリルエーテルなど)、これらの化合物の前記のアルキレンオキサイド(c)付加物、およびこれらの2種以上の併用などが挙げられる。
【0022】
これらのうち好ましいものは、粘度が低く変性有機イソシアネートとした際の粘度も低くなることから、ポリオール類の不飽和カルボン酸部分エステル(a1)およびヒドロキシル基を有するビニル単量体類(a4)(特に多価アルコール類のアリルエーテル化物)であり、特に好ましくは多価アルコール類もしくはそのアルキレンオキサイド付加物の不飽和カルボン酸部分エステルであり、最も好ましくはジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートである。
(a)の活性水素含有基1個あたりの分子量は、変性有機イソシアネートとした際の粘度を考慮すると、好ましくは40〜500であり、特に好ましくは45〜400である。
【0023】
付加重合性官能基と活性水素含有基を有する化合物(a)と、有機ポリイソシアネート(b)との反応は、(b)のイソシアネート基の当量が(a)の活性水素含有基の当量に対して過剰になるような量比で通常のウレタン化反応を行う。上記反応で、(活性水素含有基の当量):(イソシアネート基の当量)は、好ましくは1:(1.2〜10)、さらに好ましくは1:(1.5〜4)である。
この反応で得られる、本発明の製法に用いる(B1)のイソシアネート当量は、好ましくは95〜800、さらに好ましくは100〜700、付加重合性官能基当量は好ましくは150〜5000、さらに好ましくは180〜3000である。イソシアネート当量および付加重合性官能基当量が上記範囲内であれば、ポリウレタンフォームを作製する際の、脱型時のフォームの膨れがより小さくなる。
また、(B1)中のイソシアネート基数は、好ましくは1〜6個、さらに好ましくは2〜3個であり、(B1)中の付加重合性官能基数は、好ましくは1〜6個、さらに好ましくは2〜4個である。
【0024】
本発明の製法において、有機イソシアネート(B)として、(B1)以外に、通常のポリウレタンフォームの製法に用いられる有機ポリイソシアネート(B2)を、本発明の効果を損なわない範囲で併用することもできる。(B2)としては、前記の有機ポリイソシアネート(b)と同様のものが挙げられる。(B2)を併用する場合の(B)のイソシアネート当量と付加重合性官能基当量の好ましい範囲も、上記(B1)単独の場合の範囲と同じである。
【0025】
本発明で用いられる活性水素化合物(A)は、通常2個以上、好ましくは(平均)2.5個以上、さらに好ましくは(平均)3〜8個の活性水素含有基を有し、付加重合性官能基を有しない少なくとも1種の化合物である。
(A)の有する活性水素含有基としては、ヒドロキシル基、メルカプト基及びアミノ基から選ばれる1種以上の活性水素含有基が挙げられる。
(A)の好適な例としては、ヒドロキシル基、メルカプト基及びアミノ基から選ばれる活性水素含有基、好ましくはヒドロキシル基を2〜8個(特に3〜8個)有する化合物が挙げられ、特に好適なものとしては、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリオールが挙げられる。
【0026】
ポリエーテルポリオールとしては、通常ポリウレタンフォームに使用される公知のもの、例えば、前記の多価アルコール類、多価フェノール類、ポリカルボン酸類、アミン類等に前記のアルキレンオキサイド(c)を付加したポリエーテルポリオールが挙げられる。(c)として好ましいものは、POおよび/またはEOを主成分とし、20質量%以下の他のアルキレンオキサイドを含むものであり、特に好ましくはPOおよび/またはEOである。
ポリエステルポリオールとしては、通常ポリウレタンフォームに使用される公知のもの、例えば、前記の多価アルコール類または多価フェノール類と前記のポリカルボン酸類から誘導されるポリエステルポリオールが挙げられる。これら(A)として特に好ましいものは、多価アルコール類にアルキレンオキサイド(c)を付加したポリエーテルポリオールである。
また、(A)の数平均分子量は50〜10000が好ましく、特に60〜8000が好ましい。
【0027】
本発明において、必要によりさらにビニル重合体(F)を(A)に分散せしめて用いることができる。(F)は重合を行った後に(A)に分散せしめてもよいが、好ましくは(A)中でビニル系モノマー(f)を重合させ、安定分散させて用いる。(f)としては、例えばアクリロニトリル、スチレン、塩化ビニリデン、アルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。好ましくは、アクリロニトリル、スチレンである。(F)の量は通常(A)の100質量部当たり5〜50質量部、好ましくは15〜45質量部である。
【0028】
本発明の製法では、有機イソシアネート(B)との反応成分として、活性水素化合物(A)とともに、前記の付加重合性官能基と活性水素含有基を有する化合物(a)も必要により併用することが可能である。
併用する場合の(A)と(a)の合計質量に基づく(a)の量は、好ましくは1〜99質量%、さらに好ましくは2〜95質量%である。
【0029】
本発明の方法では、活性水素含有基を持たない付加重合性官能基含有化合物(G)も必要により併用することが可能である。(G)として2種以上を用いてもよい。(G)の付加重合性官能基としては、例えばラジカル重合可能な、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、ビニルベンジル基、ビニルフェニル基、アリルエーテル基などから選ばれる1種以上のラジカル重合性不飽和結合含有基が挙げられる。好ましいラジカル重合性不飽和結合含有基は、アクリロイル基、メタクリロイル基およびアリルエーテル基である。
(G)中のラジカル重合性不飽和結合含有基数は、通常1〜10個であり、好ましくは1〜8個である。
(G)は、(A)と(B)の合計質量に基づいて、通常50質量%以下、好ましくは1〜30質量%またはそれ以下である。
【0030】
(G)としては、芳香族炭化水素単量体類[スチレン、α−メチルスチレンなど]、不飽和ニトリル類[(メタ)アクリロニトリルなど]なども用いることができるが、(G)の好適な具体例としては、下記(G1)〜(G3)が挙げられる。
(G1)ポリオール類〔多価アルコール類;多価フェノール類;これらにアルキレンオキサイド(c)を付加したポリエーテルポリオール;アミン類に(c)を付加したポリエーテルポリオール;多価アルコール類とポリカルボン酸類とから誘導されるポリエステルポリオールなど〕の不飽和カルボン酸エステル
(G2)アミン類の不飽和カルボン酸アミド化物
(G3)ポリチオール類の不飽和カルボン酸チオエステル
【0031】
(G1)は前記(a1)の製造に用いる、ポリオール類と不飽和カルボン酸類、不飽和カルボン酸塩化物類、不飽和カルボン酸無水物類などを反応させることにより得られる。
(G2)は前記(a2)の製造に用いる、アミン類と不飽和カルボン酸類、不飽和カルボン酸塩化物類、不飽和カルボン酸無水物類などを反応させることにより得られる。
(G3)は前記(a3)の製造に用いる、ポリチオール類と不飽和カルボン酸類、不飽和カルボン酸ハライド、不飽和カルボン酸無水物類などを反応させることにより得られる。
【0032】
通常のポリウレタンフォームを成形する方法としては、イソシアネート成分として(b)を用いるに対して、本発明の方法ではイソシアネート基と付加重合性官能基を併せ持つ変性有機イソシアネート(B1)からなる有機イソシアネート(B)を用いることで、従来の方法より機械的強度に優れるポリウレタンフォームを成形できる。
【0033】
本発明の方法ではNCO指数は、好ましくは40〜500、特に好ましくは60〜250である。NCO指数が40未満では発泡時の発熱量が小さいために発泡倍率が小さくなったり、フォームの機械的強度が小さくなったりすることがある。一方NCO指数が500を越えるとフォームが脆くなることがある。
なお、本発明で、付加重合性官能基の重合と共にポリウレタン形成反応を行わせるということは、同一の反応系内でウレタン化反応と付加重合反応を行うことを意味する。付加重合性官能基の重合とポリウレタン形成反応とを、少なくとも一部の期間並行して行わせることが好ましい。架橋密度を上げて、機械的特性を向上させるためには、一方の反応で硬化して樹脂が形成される前にもう一方の反応を開始させて、2つの反応を並行して行わせるのがさらに好ましい。
【0034】
本発明では、脱型時のフォームの膨れが小さいが、最終的に得られるウレタンフォーム中に存在するウレタン結合の一部を変性有機イソシアネート(B1)を合成する際に生成させているために、ウレタンフォーム発泡時に発生する熱量が極端に高くならず、フォーム内部温度が160℃以下に保たれることも、膨れが小さくなる要因の1つと考えられる。
【0035】
発泡剤(C)としては、水が必須である。(C)に水のみを単独で用いる場合、水の使用量は(A)〔(A)と(a)を併用する場合は、(A)と(a)の合計量、以下発泡剤(C)については同様〕100質量部当たり、通常0.1〜30質量部、好ましくは1〜20質量部である。
その他必要により水素原子含有ハロゲン化炭化水素、低沸点炭化水素、液化炭酸ガス等が用いられる。
【0036】
水素原子含有ハロゲン化炭化水素の具体例としては、
HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)タイプのもの(例えば、HCFC−123、HCFC−141b、HCFC−22およびHCFC−142b)HFC(ハイドロフルオロカーボン)タイプのもの(例えば、HFC−134a、HFC−152a、HFC−356mff、HFC−236ea、HFC−245ca、HFC−245faおよびHFC−365mcf)
などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、HCFC−141b、HFC−134a、HFC−356mff、HFC−236ea、HFC−245ca、HFC−245fa、HFC−365mcfおよびこれらの2種以上の併用である。
低沸点炭化水素は沸点が通常−5〜70℃の炭化水素であり、その具体例としてはブタン、ペンタン、シクロペンタンおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0037】
水素原子含有ハロゲン化炭化水素化合物と水とを併用する場合、水素原子含有ハロゲン化炭化水素化合物の使用量は、(A)100質量部当たり、通常45質量部を越えない量、好ましくは5〜40質量部であり、水の使用量は(A)100質量部当たり、通常10質量部を越えない量、好ましくは0.5〜8質量部である。
低沸点炭化水素と水とを併用する場合、低沸点炭化水素の使用量は(A)100質量部当たり、通常40質量部を越えない量、好ましくは2〜35質量部であり、水の使用量は(A)100質量部当たり、通常10質量部を越えない量、好ましくは0.5〜8質量部である。
液化炭酸ガスと水とを併用する場合、液化炭酸ガスの使用量は(A)100質量部当たり、通常25質量部を越えない量、好ましくは0.1〜20質量部であり、水の使用量は(A)100質量部当たり、通常10質量部を越えない量、好ましくは0.5〜8質量部である。
【0038】
本発明の製法において使用されるウレタン化触媒(D)は、ポリウレタン反応に通常使用される触媒、例えばアミン系触媒(トリエチレンジアミン、N−エチルモルホリン、ジエチルエタノールアミン、N、N、N’、N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−ウンデセン−7など)および/または金属触媒(オクチル酸第一スズ、ジラウリル酸ジブチル第二スズ、オクチル酸鉛など)を使用することができる。触媒の使用量は(A)および必要により用いられる(a)の合計100質量部当たり、好ましくは0.001〜6質量部である。
【0039】
本発明の製法においては、必要により、さらに以下に述べるような、他の添加剤(E)を用い、その存在下で反応させてもよい。
本発明の方法では、変性有機イソシアネート(B1)の付加重合性官能基がラジカル重合性不飽和結合含有基である場合、ラジカル重合開始剤の存在下または不存在下で反応させることができる。使用できるラジカル重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤、例えば、アゾ化合物〔2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス−(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)など〕、過酸化物〔ジベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなど〕、過酸化物とジメチルアニリンとの組合わせ(レドックス)などの油溶性ラジカル重合開始剤;アゾビスシアノ吉草酸、アゾビスアミジノプロパン塩、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムと重亞硫酸ナトリウムとの組合せ(レドックス)などの水溶性ラジカル重合開始剤が挙げられ、好ましくは油溶性ラジカル重合開始剤である。
ラジカル重合開始剤量は、(B1)と、必要により用いられる(G)および/または(a)の合計100質量部あたり、好ましくは0.0001〜10質量部、より好ましくは0.0005〜1質量部である。
【0040】
また、必要により連鎖移動剤、例えばアルキルメルカプタン類(ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノールなど)、特開昭55−31880号公報記載のエノールエーテル類などの存在下に反応を行うことができる。連鎖移動剤の量は、(B1)と、必要により用いられる(G)および/または(a)の合計100質量部あたり、好ましくは0.0001〜10質量部、より好ましくは0.0005〜1質量部である。
【0041】
本発明において、さらに無機充填剤の存在下で、ポリウレタン形成反応と付加重合反応とをさせて、難燃性のポリウレタンフォームを得ることができる。 無機充填剤の具体例としては、水酸化アルミニウム、シリカ、カオリン、タルク、雲母、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、亜鉛華、酸化チタン、砕石、アルミナ、フライアッシュ、ベントナイト、セラミック粉等の無機物粉粒体、アスベスト、ロックウール、ガラス繊維、セラミック繊維、炭素繊維などの粉末もしくはファイバーが挙げられる。これらのうち好ましいものは、水酸化アルミニウムまたはシリカである。
無機充填剤を使用する場合の使用量は、(A)と(B)と、任意成分である(G)および/または(a)との合計100質量部あたり、好ましくは10〜60質量部、特に好ましくは30〜50質量部である。10質量部以上であると難燃性が良好であり、60質量部以下であるとフォームの機械的強度が向上する。
【0042】
さらに必要により、整泡剤、重合禁止剤、着色剤(染料、顔料)、可塑剤、有機充填剤、難燃剤、老化防止剤、抗酸化剤などの公知の添加剤の存在下反応させることができる。
【0043】
本発明の方法によるポリウレタンフォームの製造法の一例を示せば、下記の通りである。まず、(A)、(C)、(D)および必要により、(a)、(F)、(G)、整泡剤、ラジカル重合開始剤、その他の添加剤を所定量混合する。次いでポリウレタン発泡機又は攪拌機を使用して、この混合物と有機イソシアネート(B)とを急速混合する。得られた混合液(発泡原液)をモールドに注入し、ウレタン化反応とともに付加重合反応を行わせ、所定時間硬化後、脱型してポリウレタンフォームを得る。また、スプレー発泡、連続発泡してもポリウレタンフォームを得ることができる。
【0044】
本発明の方法で得られるポリウレタンフォームは、機械的強度が高く、脱型時の膨れも小さいことから、冷蔵庫、冷凍庫、建築用などの断熱材や家具、自動車内装材のクッション材、衝撃吸収材として広く利用できる。また、本発明の方法で得られるポリウレタンフォームは、機械的強度が高いため低密度化に有利である。
【0045】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において「部」および「%」はそれぞれ質量基準である。
【0046】
【実施例】
製造例1
ミリオネートMR−100(b−1、日本ポリウレタン工業株式会社製、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート)80部とグリセリンジメタクリレート20部をコルベンに仕込み、70℃で5時間加熱撹拌しウレタン化反応を行い、変性有機イソシアネート(B1−1)を得た。イソシアネート当量200、付加重合性官能基当量570であった。
【0047】
製造例2
TDI(b−2)80部とトリエチレングリコールモノアクリレート20部をコルベンに仕込み、70℃で5時間加熱撹拌しウレタン化反応を行い、変性有機イソシアネート(B1−2)を得た。イソシアネート当量120、付加重合性官能基当量1020であった。
【0048】
実施例1
ペンタエリスリトールのPO8モル付加物(A−1)100部、「シリコーンSH−193」(トーレシリコーン社製、シリコーン系整泡剤)1.5部、水7部、ジt−ブチルパーオキサイド0.2部および「Ucat−1000」(サンアプロ社製、アミン触媒)2.0部を配合して25℃に温度調節し、この中に25℃に温度調節した(B1−1)289部を加えて、ホモディスパー(特殊機化社製攪拌機)4000rpmで10秒攪拌後、60℃に温度調節した1000mm(長さ)×100mm(幅)×100mm(高さ)の、アルミ製モールド内でウレタン化反応とともに付加重合反応を行わせ、10分後脱型し、硬質ポリウレタンフォームを得た。
【0049】
実施例2
ショ糖のPO15モル付加物(A−2)100部、「シリコーンSH−193」(トーレシリコーン社製、シリコーン系整泡剤)1.5部、水7部、ジt−ブチルパーオキサイド0.2部および「Ucat−1000」(サンアプロ社製、アミン触媒)2.0部を配合して25℃に温度調節し、この中に25℃に温度調節した(B1−1)287部を加えて、実施例1と同様の操作を行い、硬質ポリウレタンフォームを得た。
【0050】
比較例1
ペンタエリスリトールのPO8モル付加物(A−1)100部、「シリコーンSH−193」(トーレシリコーン社製、シリコーン系整泡剤)1.0部、水5部、および「Ucat−1000」(サンアプロ社製、アミン触媒)1.4部を配合して25℃に温度調節し、この中に25℃に温度調節した(b−1)165部を加えて、ホモディスパー(特殊機化社製攪拌機)4000rpmで10秒攪拌後、60℃に温度調節した1000mm(長さ)×100mm(幅)×100mm(高さ)の、アルミ製モールド内でウレタン化反応を行わせ、10分後脱型し、硬質ポリウレタンフォームを得た。
【0051】
比較例2
ショ糖のPO15モル付加物(A−2)100部、「シリコーンSH−193」(トーレシリコーン社製、シリコーン系整泡剤)1.0部、水5部、および「Ucat−1000」(サンアプロ社製、アミン触媒)1.4部を配合して25℃に温度調節し、この中に25℃に温度調節した(b−1)164部を加えて、比較例1と同様の操作を行い、硬質ポリウレタンフォームを得た。
【0052】
実施例3
グリセリンにPO73モル付加しついでEO16モル付加したポリオール(A−3)100部、トリエタノールアミン2部、「シリコーンL−5309」(日本ユニカー社製、シリコーン系整泡剤)1.5部、水3.5部、ジt−ブチルパーオキサイド0.2部および「TEDA L33」(トーソー社製、アミン触媒)0.5部を配合して25℃に温度調節し、この中に25℃に温度調節した(B1−2)58.7部を加えて、ホモディスパー(特殊機化社製攪拌機)4000rpmで10秒攪拌後、60℃に温度調節した300mm(長さ)×300mm(幅)×100mm(高さ)の、アルミ製モールド内でウレタン化反応とともに付加重合反応を行わせ、6分後脱型し、軟質ポリウレタンフォームを得た。
【0053】
比較例3
グリセリンにPO73モル付加しついでEO16モル付加したポリオール(A−3)100部、トリエタノールアミン2部、「シリコーンL−5309」(日本ユニカー社製、シリコーン系整泡剤)1.3部、水3.0部、および「DABCO 33LV」(トーソー社製、アミン触媒)0.4部を配合して25℃に温度調節し、この中に25℃に温度調節した(b−2)37.7部を加えて、ホモディスパー(特殊機化社製攪拌機)4000rpmで10秒攪拌後、60℃に温度調節した300mm(長さ)×300mm(幅)×100mm(高さ)の、アルミ製モールド内でウレタン化反応を行わせ、6分後脱型し、軟質ポリウレタンフォームを得た。
【0054】
試験例
硬質ウレタンフォームの試験:圧縮強さはフォームのコア部より一辺50mmの立法体のサンプルを切り出し、JIS A 9514に準拠して測定した。圧縮は高さ方向に行った。
膨れは発泡5分後に脱型し、厚み方向に測定した。実施例1〜2、比較例1〜2の各々における、得られたフォームの圧縮強さおよび膨れを表1に示す。
軟質ウレタンフォームの試験:硬さ、伸び、引裂強さは、それぞれJIS K6401およびJIS K 6301に準拠して測定した。
膨れは発泡6分後に脱型し、厚み方向に測定した。実施例3、比較例3各々における、得られたフォームの硬さ、伸び、引裂強さおよび膨れを表2に示す。
【0055】
【表1】
Figure 0004108849
【0056】
【表2】
Figure 0004108849
【0057】
【発明の効果】
本発明のポリウレタンフォームの製造法により、機械的強度が高く、脱型時のフォームの膨れが小さいポリウレタンフォームが得られる。
上記効果を奏することから、本発明の方法により得られる硬質ポリウレタンフォームは、冷蔵庫、冷凍庫、建築材用の断熱材として極めて有用であり、本発明の方法により得られる軟質ポリウレタンフォームは、家具用、自動車内装材用のクッション材、衝撃吸収材として極めて有用である。

Claims (5)

  1. 活性水素化合物(A)と有機イソシアネート(B)とを、水からなる発泡剤(C)、ウレタン化触媒(D)および必要により他の添加剤(E)の存在下で反応させてポリウレタンフォームを製造する方法において、有機イソシアネート(B)の少なくとも一部として、付加重合性官能基と活性水素含有基を有する化合物(a)の活性水素含有基と、過剰の有機ポリイソシアネート(b)のイソシアネート基とを反応させて得られる付加重合性官能基を有する変性有機イソシアネート(B1)を用い、付加重合性官能基の重合と共にポリウレタン形成反応を行うことを特徴とするポリウレタンフォームの製造方法。
  2. (B1)のイソシアネート当量が95〜800、付加重合性官能基当量が150〜5000である請求項1記載のポリウレタンフォームの製造方法。
  3. (a)が活性水素含有基と下記一般式[1]で示される末端オレフィン基を有する活性水素化合物である請求項1または2記載のポリウレタンフォームの製造方法。
    Figure 0004108849
    (但し、式中Rは水素、炭素数1〜15のアルキル基または炭素数6〜21のアリール基を表す。)
  4. (a)がアクリロイル基、メタクリロイル基、アリルエーテル基から選ばれる少なくとも1種以上の付加重合性官能基を有し、且つ(a)の活性水素含有基がヒドロキシル基および/またはメルカプト基である請求項1〜3のいずれか記載のポリウレタンフォームの製造方法。
  5. (A)がポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールである請求項1〜4のいずれか記載のポリウレタンフォームの製造方法。
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