JP3665621B2 - 硬質ポリウレタンフォームの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリウレタンフォームの製造方法に関する。さらに詳しくは、発泡剤として水を使用する際に好適に用いることのできる硬質ポリウレタンフォームの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
硬質ポリウレタンフォームは、その優れた断熱性能、低温寸法安定性、施工性等の故に、冷蔵庫、冷凍庫、建築材料等の断熱材、あるいは軽量構造材または現場建築施工用スプレー用途として広範囲に利用されている。
硬質ポリウレタンフォームの発泡剤として、クロロフルオロカーボン類の規制に対応するため、水発泡が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、水を発泡剤に使用した場合、従来のクロロフルオロカーボン発泡剤を使用した場合と比較して、寸法安定性が悪化し、また得られた硬質ウレタンフォームの脆性、スキン形成性も悪化するという問題が発生する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、寸法安定性および脆性、スキン形成に優れたポリウレタンフォームを得るべく鋭意検討を重ねた結果、不飽和二重結合と活性水素含有基を有する化合物を使用することで、上記の問題点を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0005】
すなわち本発明は、下記(III)および(IV)である。〔(I)と(II)は参考発明である。〕
(I) 活性水素成分(A)と有機ポリイソシアネート(B)を、水からなる発泡剤の存在下に反応させてポリウレタンフォームを製造する方法において、(A)中に、不飽和二重結合と活性水素含有基を有し、不飽和二重結合が(メタ)アクリロイル基、アリル基、プロペニル基、1−ブテニル基、および2−ブテニル基から選ばれる1種以上の基である化合物(a)、アミン類のアルキレンオキサイド付加物(b)、および必要によりポリオールのアルキレンオキサイド付加物(c)を含有し、得られるフォームのスキン剥がれ率が5%以下であることを特徴とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
(II) 活性水素成分(A)と有機ポリイソシアネート(B)を、水からなる発泡剤の存在下に反応させてポリウレタンフォームを製造する方法において、(A)中に、不飽和二重結合と活性水素含有基を有し、不飽和二重結合が(メタ)アクリロイル基、アリル基、プロペニル基、1−ブテニル基、および2−ブテニル基から選ばれる1種以上の基である化合物(a)、芳香族アミンのアルキレンオキサイド付加物(b1)、アルカノールアミンのアルキレンオキサイド付加物(b2)、および必要によりポリオールのアルキレンオキサイド付加物(c)を含有することを特徴とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
(III) 活性水素成分(A)と有機ポリイソシアネート(B)を、水からなる発泡剤の存在下に反応させてポリウレタンフォームを製造する方法において、(A)中に、不飽和二重結合と活性水素含有基を有し、不飽和二重結合が(メタ)アクリロイル基、アリル基、プロペニル基、1−ブテニル基、および2−ブテニル基から選ばれる1種以上の基である化合物(a)、3〜5価のポリオールのアルキレンオキサイド付加物(c1)、6価以上のポリオールのアルキレンオキサイド付加物(c2)、および必要によりアミン類のアルキレンオキサイド付加物(b)を含有することを特徴とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
(IV) 上記いずれかの製造方法により得られたポリウレタンフォーム。
【0006】
【発明の実施の形態】
製造方法(I)においては、スキン剥がれ率が5%以下の硬質ポリウレタンフォームを得ることができる。5%以下であると、モールド成形時にスキンがモールドにほとんど付着せず、フォーム外観や成形性が良好である。
ここでスキン剥がれ率は、以下の方法で求めたものである。
(A)、および必要により発泡剤、整泡剤、その他の補助成分を所定量混合する。この混合液と(B)を予め25℃に温調後、合計量200gを500ミリリットルの容器に取り、攪拌機〔ホモディスパー:特殊機化(株)製、攪拌条件:5000rpm×7秒〕を用いて攪拌し、混合液を、温度40℃に温調した1000×100×50mmの前面開閉式モールドの右端部(5〜10cmの間)から流し込む。混合開始10分後、モールド前面を脱型し、モールドに付着したフォームスキンの面積の和の、脱型したモールド前面の表面積(1000mm×100mm)に対する面積比を下式により求める。
スキン剥がれ率(%)=〔モールドに付着したフォームスキンの面積の和(mm2 )/100000mm2 〕×100
【0007】
製法(I)〜(III) において、必須成分として活性水素成分(A)中に含有する(a)は、不飽和二重結合1個以上と活性水素含有基を1個以上有する化合物である。
不飽和二重結合は、通常付加重合性基であり、末端オレフィン型でも、内部オレフィン型でもよく、例としては、(メタ)アクリロイル基、アリル基、プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基等から選ばれる1種以上が挙げられる。これらの中で好ましくは(メタ)アクリロイル基、アリル基およびプロペニル基であり、さらに好ましくは(メタ)アクリロイル基およびアリル基である。
(a)中の不飽和二重結合の数は、通常1個以上、好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個である。
【0008】
(a)の活性水素含有基としては、例えば、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、1級アミノ基、2級アミノ基などから選ばれる1種以上が挙げられる。好ましくはヒドロキシル基、メルカプト基およびカルボキシル基であり、さらに好ましくはヒドロキシル基およびメルカプト基である。
(a)中の活性水素含有基数は、通常1個以上、好ましくは1〜8個、さらに好ましくは1〜5個である。
【0009】
上記(a)の具体例としては、下記(a1)〜(a3)が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
(a1)ポリオール類〔多価アルコール類、多価フェノール類、多価アルコール類もしくは多価フェノール類のアルキレンオキサイド(以下AOと略記)付加物、アミン類のAO付加物、多価アルコール類とポリカルボン酸類もしくはラクトン類とから誘導されるポリエステルポリオールなど〕の不飽和カルボン酸部分エステルまたは部分不飽和アルキルエーテル〔とくに部分(メタ)アクリル酸エステルまたはアリルエーテル〕
(a2)アミン類の不飽和カルボン酸部分アミド化物または部分不飽和アルキル化物〔とくに部分(メタ)アクリルアミド化物またはアリル化物〕
(a3)ポリチオール類の不飽和カルボン酸部分チオエステルまたは部分不飽和アルキルチオエーテル〔とくに部分(メタ)アクリルチオエステルまたはアリル化物〕
【0010】
(a1)の製造に用いる多価アルコール類としては、例えば、炭素数2〜18(好ましくは2〜12)の2価アルコール類[エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−および1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等]、炭素数3〜18(好ましくは3〜12)の3価〜5価のアルコール類[グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、α−メチルグルコシド、キシリトール、グルコース、フルクトース等]、および炭素数5〜18(好ましくは5〜12)の6価〜10価またはそれ以上のアルコール類[ソルビトール、マンニール、ショ糖等]およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
【0011】
(a1)の製造に用いる多価フェノール類としては、2価フェノール類〔単環2価フェノール類(ハイドロキノン等)、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF等)など〕、3〜5価フェノール類〔単環多価フェノール類(ピロガロール、フロログルシン等)、3〜5価のフェノール化合物のホルマリン低縮合物(数平均分子量1000以下)(ノボラック樹脂、レゾールの中間体)など〕、6〜10価またはそれ以上のフェノール類〔6価以上のフェノール化合物のホルマリン低縮合物(数平均分子量1000以下)(ノボラック樹脂、レゾールの中間体)等〕およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
【0012】
(a1)の製造に用いるポリオール類のうち、アミン類のAO付加物におけるアミン類としては、例えば、アンモニア;アルカノールアミン[モノ−、ジ−もしくはトリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、アミノエチルエタノールアミン等];炭素数1〜20のアルキルアミン類[メチルアミン、エチルアミン、n−ブチルアミン、オクチルアミン等];炭素数2〜6のアルキレンジアミン類[エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等];アルキレン基の炭素数が2〜6のポリアルキレンポリアミン類(重合度2〜8)[ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等];炭素数6〜20の芳香族アミン類[アニリン、フェニレンジアミン、ジアミノトルエン、キシリレンジアミン、メチレンジアニリン、ジフェニルエーテルジアミン、ナフタレンジアミン、アントラセンジアミン等];炭素数4〜15の脂環式アミン類[イソホロンジアミン、シクロヘキシレンジアミン等];炭素数4〜15の複素環式アミン類[ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン等]およびこれらの2種以上の併用などが挙げられる。
【0013】
多価アルコール類、多価フェノール類、またはアミン類に付加させるAOとしては、エチレンオキサイド(以下、EOと略記)、プロピレンオキサイド(以下、POと略記)、1,2−、1,3−、1,4−もしくは2,3−ブチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイド(炭素数5〜30またはそれ以上)、スチレンオキサイドなどおよびこれらの2種以上の併用(併用する場合には、ランダム付加、ブロック付加のいずれでもよい。)が挙げられる。これらのAOのうち、POおよび/またはEOを主成分とし、20質量%以下の他のAOを含むものが好ましい。付加反応は、従来公知の通常の方法により行うことができる。1分子当たりのAOの付加モル数は、好ましくは1〜70、さらに好ましくは1〜50である。
【0014】
(a1)の製造に用いるポリオール類のうちポリエステルポリオールに用いる多価アルコール類は、前記と同様のものが挙げられ、ポリカルボン酸類としては、例えば、炭素数4〜18の脂肪族ポリカルボン酸[コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸等]、炭素数8〜18の芳香族ポリカルボン酸[フタル酸もしくはその異性体、トリメリット酸等]、これらのポリカルボン酸のエステル形成性誘導体[酸無水物、アルキル基の炭素数が1〜4の低級アルキルエステルなど]およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。ラクトン類としては、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンおよびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
【0015】
(a1)の製造に用いるポリオール類としては、ヒドロキシル基を2〜8個(特に2〜6個)有し、OH当量が30〜1200、下限は好ましくは31以上、上限は好ましくは300以下である。
【0016】
(a1)は、例えば、以上例示したポリオール類を、1分子中に少なくとも1個のヒドロキシル基が未反応で残るような当量比で、ハロゲン化(メタ)アクリルまたはハロゲン化アリル類を用いて部分(メタ)アクリロイル化またはアリル化することにより得られる。ハロゲン化(メタ)アクリル類としては、塩化(メタ)アクリロイル、臭化(メタ)アクリロイル、ヨウ化(メタ)アクリロイル、ハロゲン化アリル類としては、塩化アリル、臭化アリル、ヨウ化アリルおよびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
また(a1)は、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸、アリルアルコールに前記のAOを付加しても得ることができる。この場合、AOの中では、POおよび/またはEOを主成分とし、20質量%以下の他のAOを含むものが好ましい。付加反応は、従来公知の通常の方法により行うことができる。AOの付加モル数は、好ましくは1〜70、さらに好ましくは1〜50である。
【0017】
(a2)は、前記のアミン類のうち、ポリアミンまたはアルカノールアミンと、前記のハロゲン化(メタ)アクリル類またはハロゲン化アリル類を、1分子中に少なくとも1個のアミノ基または水酸基(アルカノールアミンの場合)が未反応で残るような当量比で、反応させることにより得られる。
【0018】
(a3)の製造に用いるポリチオール類としては、チオール基を2〜4個有し、炭素数2〜18のものが好ましく、例えば、エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−プロパンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィド、4−t−ブチル−1,2−ベンゼンジチオール、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)チオシアヌル酸、ジ(2−メルカプトエチル)スルフィド、ジ(2−メルカプトエチル)エーテルおよびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
(a3)は、これらポリチオール類に、前記のハロゲン化(メタ)アクリル類またはハロゲン化アリル類を、1分子中に少なくとも1個のチオール基が未反応で残るような当量比で、反応させることにより得られる。
【0019】
これら(a)の中では、好ましくは(a1)であり、さらに好ましくはポリオール類の部分アリルエーテルであり、とくに好ましくは、多価アルコール類の部分アリルエーテル、および多価アルコール類のAO付加物の部分アリルエーテルである。
【0020】
製法(I)〜(III) のいずれにおいても、(a)の使用量は、(A)100質量部に対して、好ましくは0.1〜40質量部である。下限は好ましくは0.2質量部、とくに好ましくは1質量部であり、上限はさらに好ましくは40質量部、とくに好ましくは30質量部である。上記範囲内であると、スキン形成性と寸法安定性が共に良好である。
【0021】
製法(I)においては、活性水素成分(A)中に、(a)以外に、さらにアミン類のAO付加物(b)を必須成分として含有する。
(b)としては、通常ポリウレタンフォームの原料として使用される、前記(a1)の項で述べたアミン類のAO付加物が挙げられる。
付加するAOとして好ましいものは、POおよび/またはEOを主成分とし、20質量%以下の他のAOを含むものであり、特に好ましくはPO、およびPOとEOの併用である
(b)としては、例えば、前記炭素数6〜20の芳香族アミン類などの芳香族アミンのAO付加物(b1)、前記アルカノールアミンのAO付加物(b2)、前記アミン類のうちこれら以外のポリアミンのAO付加物(b3)などが挙げられる。(b1)の水酸基価は、好ましくは30〜1100である。下限はさらに好ましくは31であり、上限はさらに好ましくは800である。(b2)の水酸基価は、好ましくは30〜1800である。下限はさらに好ましくは31であり、上限はさらに好ましくは800である。
これら(b)の中で好ましいものは、(b1)および(b2)であり、中でもさらに好ましくは、アニリン、フェニレンジアミンもしくはジアミノトルエンのAO付加物、およびモノ−、ジ−もしくはトリエタノールアミンアミンのAO付加物である。
【0022】
製法(I)において、(A)中に、必要により、さらにポリオールのAO付加物(c)を含有させてもよい。(c)を含有させることにより、得られるフォームの寸法安定性がさらに改善される。
(c)としては、3〜5価のポリオールのAO付加物(c1)、6価以上(とくに6〜10価)のポリオールのAO付加物(c2)、および2価のポリオールのAO付加物(c3)が挙げられる。
(c1)としては、前記(a1)の項で述べた、3〜5価の多価アルコール類のAO付加物、および3〜5価のフェノール類のAO付加物が挙げられる。
(c2)としては、前記6〜10価またはそれ以上の多価アルコール類のAO付加物、および6〜10価またはそれ以上のフェノール類のAO付加物が挙げられる。
(c3)としては、前記2価アルコールのAO付加物、および2価フェノール類のAO付加物が挙げられる。
これらの中では、(c1)および(c2)が好ましく、中でも、多価アルコール類のAO付加物が好ましい。
また、付加するAOとして好ましいものは、POおよび/またはEOを主成分とし、20質量%以下の他のAOを含むものであり、特に好ましくは、PO、およびPOとEOの併用である。
(c)の水酸基価は好ましくは30〜1800である。下限はさらに好ましくは31であり、上限はさらに好ましくは800である。
【0023】
製法(I)において、活性水素成分(A)中に、これら(a)、(b)および(c)以外に、他のポリオール(d)を含有させてもよい。
(d)としては、通常ポリウレタンフォームに使用される公知のもの、例えば、前記のポリカルボン酸類に前記のAOを付加したポリエーテルポリオール、前記ポリエステルポリオールおよびそのAO付加物、低分子量ポリオール(例えば前記多価アルコール)、前記アルカノールアミン、(c)中でビニルモノマー(アクリロニトリル、スチレンなど)を重合して得られる重合体ポリオール(d1)、並びにこれらの混合物が挙げられる。上記AOとして好ましいものは、POおよび/またはEOを主成分とし、20質量%以下の他のAOを含むものであり、特に好ましくはPOおよび/またはEOである。
上記(d1)の製造方法は、従来の重合体ポリオールにおける重合と同様に行うことができる。例えば、分散剤を含むポリオール(c)中で、ビニルモノマーを重合開始剤の存在下に重合させる方法(米国特許第3383351号明細書、特公昭39−24737号公報、特公昭47−47999号公報又は特開昭50−15894号公報に記載の方法)が挙げられる。また、重合は、バッチ式でも連続式でも行うことができ、常圧下、加圧下又は減圧下において重合することができる。必要に応じて、溶剤、連鎖移動剤を使用することができる。(d1)の重合体の体積平均粒子径は0.5〜15μmが好ましい。
また、(d)の水酸基価は30〜1810が好ましい。下限はさらに好ましくは31であり、上限はさらに好ましくは1500である。
【0024】
製法(I)において、(A)中の(b)の含有量は、好ましくは5〜99質量%である。下限はさらに好ましくは30質量%であり、上限はさらに好ましくは95質量%である。(c)の含有量は好ましくは、94質量%以下である。下限はさらに好ましくは1質量%であり、上限はさらに好ましくは60質量%である。(d)の含有量は、好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。ただし(d1)の含有量は、とくに好ましくは1〜10質量%である。
製法(I)において、(A)の数平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフによる)は、好ましくは60〜10000である。下限はさらに好ましくは70であり、上限はさらに好ましくは8000である。また、(A)の水酸基価は、好ましくは30〜1800である。下限はさらに好ましくは31であり、上限はさらに好ましくは800である。後述の製法(II)および(III) における(A)の数平均分子量、水酸基価も同様である。
【0025】
製法(II)においては、(a)以外に、前記(b1)および(b2)を必須成分として含有する。
(b1)と(b2)を併用することにより、スキン形成性がさらに向上する。
(b1)および(b2)として好ましいものは前記と同様である。
製法(II)の(b1)/(b2)の質量比はとくに限定されないが、好ましくは1/99〜99/1の間であり、さらに好ましくは90/10〜40/60、とくに好ましくは80/20〜50/50である。
製法(II)において、必要により前記(c)を含有させてもよい。
(c)を含有させることにより、得られるフォームの寸法安定性がさらに改善される。
(c)として好ましいものも前記と同様である。
また、必要によりさらに前記の(b3)および(d)を含有させてもよい。
【0026】
製法(II)において、(A)中の(b1)と(b2)の合計含有量は、好ましくは5〜99質量%である。下限はさらに好ましくは30質量%であり、上限はさらに好ましくは95質量%である。(c)の含有量は、好ましくは94質量%以下である。下限はさらに好ましくは1質量%であり、上限はさらに好ましくは60質量%である。(b3)および(d)の合計含有量は、好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。ただし(d1)の含有量は、とくに好ましくは1〜10質量%である。
【0027】
本発明の製法(III) においては、(a)以外に前記の(c1)および(c2)を必須成分として含有する。(c1)と(c2)を併用することにより、寸法安定性と脆性が共に良好なポリウレタンフォームが得られる。(c1)、(c2)として好ましいものも前記と同様である。
製法(III) における(c1)/(c2)の質量比はとくに限定されないが、好ましくは1/99〜99/1、さらに好ましくは10/90〜60/40、とくに好ましくは20/80〜50/50である。
本発明の製法(III) において、必要により前記(b)を含有させてもよい。(b)を含有させることにより、得られるフォームのスキン形成性がさらに改善される。
また、必要によりさらに前記の(c3)および(d)を含有させてもよい。
【0028】
本発明の製法(III) において、(A)中の(c1)と(c2)の合計含有量は、好ましくは5〜99質量%である。下限はさらに好ましくは40質量%であり、上限はさらに好ましくは95質量%である。(b)の含有量は好ましくは、94質量%以下である。下限はさらに好ましくは1質量%、上限はさらに好ましくは50質量%である。(c3)および(d)の合計含有量は、好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。ただし(d1)の含有量は、とくに好ましくは1〜10質量%である。
【0029】
製法(I)〜(III) のいずれかで使用される有機ポリイソシアネート(B)としては、従来からポリウレタンフォームに使用されているものが使用できる。このようなイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、これらの変性物(例えば、ウレタン変性、カルボジイミド変性、アロファネート変性、ウレア変性、ビューレット変性、イソシヌアレート変性、オキサゾリドン変性など)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0030】
芳香族ポリイソシアネートとしては、炭素数(NCO基中の炭素を除く;以下のイソシアネートも同様)6〜16の芳香族ジイソシアネート、炭素数6〜20の芳香族トリイソシアネートおよびこれらのイソシアネートの粗製物などが挙げられる。具体例としては、1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(粗製MDI)、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数6〜10の脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0031】
脂環式ポリイソシアネートとしては、炭素数6〜16の脂環式ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数8〜12の芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
変性ポリイソシアネートの具体例としては、ウレタン変成MDI、カルボジイミド変性MDI、ショ糖変性TDI、ひまし油変性MDIなどが挙げられる。
これらのうちで好ましいものは、TDI、MDI、粗製TDI、粗製MDI、ショ糖変性TDI、ウレタン変成MDI、カルボジイミド変性MDIから選ばれる1種以上の有機ポリイソシアネートである。
【0032】
製法(I)〜(III) で使用される発泡剤は水であるが、必要により水以外の発泡剤のを一部使用しても良い。
発泡剤としては、水素原子含有ハロゲン化炭化水素、低沸点炭化水素、液化炭酸ガスなどから選ばれる少なくとも1種以上が用いられる。
水素原子含有ハロゲン化炭化水素の具体例としては、 HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)タイプのもの(例えば、HCFC−123、HCFC−141b、HCFC−22およびHCFC−142b)
HFC(ハイドロフルオロカーボン)タイプのもの(例えば、HFC−134a、HFC−152a、HFC−356mff、HFC−236ea、HFC−245ca、HFC−245faおよびHFC−365mfc)
などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、HCFC−141b、HFC−134a、HFC−356mff、HFC−236ea、HFC−245ca、HFC−245fa、HFC−365mfcおよびこれらの2種以上の併用である。
低沸点炭化水素は、沸点が通常−5〜70℃の炭化水素であり、その具体例としてはブタン、ペンタン、シクロペンタンおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0033】
水素原子含有ハロゲン化炭化水素と水とを併用する場合、水素原子含有ハロゲン化炭化水素の使用量は、(A)100質量部当たり、通常15質量部を越えない量、好ましくは5〜10質量部であり、水の使用量は(A)100質量部当たり、通常15質量部を越えない量、好ましくは0.5〜10質量部である。
低沸点炭化水素と水とを併用する場合、低沸点炭化水素の使用量は、(A)100質量部当たり、通常15質量部を越えない量、好ましくは2〜10質量部であり、水の使用量は(A)100質量部当たり、通常10質量部を越えない量、好ましくは0.5〜10質量部である。
液化炭酸ガスと水とを併用する場合、液化炭酸ガスの使用量は、(A)100質量部当たり、通常8質量部を越えない量、好ましくは0.1〜5質量部であり、水の使用量は(A)100質量部当たり、通常15質量部を越えない量、好ましくは0.5〜10質量部である。
発泡剤に水のみを単独で用いる場合、水の使用量は、(A)100質量部当たり、通常0.1〜30質量部、好ましくは1〜20質量部である。
【0034】
製法(I)〜(III) において、必要により、さらに以下に述べるような、他の補助成分を用い、その存在下で反応させてもよい。
例えば、整泡剤(ジメチルシロキサン系、ポリエーテル変性ジメチルシロキサン系など)、ウレタン化触媒(アミン系触媒、例えばトリエチレンジアミン、N−エチルモルホリン、ジエチルエタノールアミン、N、N、N’、N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジメチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−ウンデセン−7などおよび/または金属触媒、例えばオクチル酸第一スズ、ジラウリル酸ジブチル第二スズ、オクチル酸など)着色剤(染料、顔料)、可塑剤(フタル酸エステル、アジピン酸エステルなど)、有機充填剤(合成短繊維、熱可塑性もしくは熱硬化性樹脂からなる中空微小球など)、難燃剤(リン酸エステル類、ハロゲン化リン酸エステル類など)、老化防止剤(トリアゾール系、ベンゾフェノン系など)、抗酸化剤(ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系など)などの公知の補助成分の存在下で反応させることができる。また、前記(A)における(a)を希釈剤として用いた補助成分〔例えば、アミン系触媒の(a)溶液〕を用いてもよい。
【0035】
(A)100質量部に対するこれらの補助成分の使用量に関しては、整泡剤は、好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは0.5〜5質量部である。ウレタン化触媒は好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは0.2〜5質量部である。着色剤は、好ましくは1質量部以下である。可塑剤は、好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。有機充填剤は、好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。難燃剤は、好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは5〜15質量部である。老化防止剤は、好ましくは1質量部以下、さらに好ましくは0.01〜0.5質量部である。抗酸化剤は、好ましくは1質量部以下、さらに好ましくは0.01〜0.5質量部である。
【0036】
本発明の方法によるポリウレタンフォームの製造法の一例を示せば、以下の通りである。
まず、活性水素成分(A)、および必要により発泡剤、整泡剤、その他の補助成分を所定量混合する。次いでポリウレタン発泡機又は撹拌機を使用して、この混合物と有機ポリイソシアネート(B)とを急速混合する。得られた混合液(発泡原液)をモールドに注入し、所定時間硬化後、脱型してポリウレタンフォームを得る。モールドは開放モールド、密閉モールドのいずれでもよい。また、スプレー発泡、連続発泡してもポリウレタンフォームを得ることができる。なお、ウレタン化反応はプレポリマー法では各成分を混合した原液の粘度が高くなるため、ワン・ショット法が好ましい。
本発明の方法は、スラブフォームの製造にも、RIM(反応射出成形)法による成形にも適用できる。また、発泡剤を用いずにメカニカルフロス法でポリウレタンを得るのに用いることもできる。
【0037】
成形品は、製法(I)〜(III) のいずれかにより、上記の方法で作成することができる。得られるポリウレタンフォーム成形品の密度は、好ましくは0.02〜0.5g/cm3 である。下限はさらに好ましくは0.025g/cm3 であり、上限はさらに好ましくは0.1g/cm3 である。
【0038】
製法(I)〜(III) のいずれかで得られるポリウレタンフォーム、並びにポリウレタンフォーム成形品は、スキン形成性が良く、強度が高く、断熱性が良く、難燃性が良く、特に寸法安定性に優れているため、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、建築用などの断熱材として広く利用できる。
【0039】
【実施例】
以下に本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、以下において部、%及び比とあるのは、それぞれ質量部、質量%及び質量比を示す。また、実施例1および2は参考例である。
【0040】
実施例及び比較例に使用した原料の組成、記号等は次の通りである。
(1)活性水素成分(b)
b1:トルエンジアミン(ジアミノトルエン)1モルにEO2モル、PO5モルをブロック付加させた水酸基価450のポリオール。
b2:トリエタノールアミンにPOを付加させた水酸基価の360のポリオール
(2)活性水素成分(c)
c1:ペンタエリスリトールにPOを付加させた水酸基価400のポリオール
c2:ショ糖にPOを付加させた水酸基価420のポリオール
(3)活性水素成分(d)
d1:グリセリンにPOを付加させた水酸基価500のポリオール中で、スチレン/アクリロニトリルを2/8の比で重合させた重合体ポリオール(重合体含量20%)
(4)活性水素成分(e)
e1:n−ブタノールにPOを付加させた水酸基価165のポリオール
(5)イソシアネート化合物
MDI:粗製MDI、MR−200〔日本ポリウレタン工業(株)製〕
(6)触媒
触媒A :U−cat430A(アミン触媒)〔サンアプロ(株)製〕
触媒B :DABCO 33LV(ジアミノビシクロオクタン)〔三共エアプロダクト(株)製〕
(7)整泡剤
F−388:ポリエーテルシロキサン重合体〔信越シリコーン(株)製〕
(8)難燃剤
TCPP:有機燐系難燃剤(アクゾジャパン社製)
【0041】
製造例1(ポリオールのジアリル化物の製造例)
ペンタエリスリトール1モルにPOを2モル付加した化合物252g(1モル)に、NaOH80g(2モル)を触媒として、アリルクロライド153g(2モル)を反応させ、ジアリル化合物(a11)を得た。
【0042】
製造例2(アリルアルコールのPO付加物の製造例)
アリルアルコール58g(1モル)に水酸化カリウム0.56g(0.001モル)を触媒として、PO174g(3モル)を反応させ、リン酸にて中和し、アリルアルコールのPO付加物(a12)を得た。
【0043】
<実施例1〜5及び比較例1〜3>ポリウレタンフォームの製造
製造例1、2から得られたポリオール(a11、a12)および上記の原料を使用し、表1に記載のポリウレタンフォームの配合比で、以下に示す発泡処方によりポリウレタンフォームを製造した。これらのフォーム物性評価結果を表1に示す。
【0044】
<発泡処方>
▲1▼ポリオールとイソシアネート含有化合物とをそれぞれ25±2℃に 温度調整する。
▲2▼ポリオール、整泡剤、水、触媒の順で容量500ミリリットルのプラスチック製ビーカーに入れて、室温(25±2℃)で撹拌混合し、直ちにイソシアネート含有化合物を加え、攪拌機〔ホモディスパー:特殊機化(株)製、攪拌条件:5000rpm×7秒〕を用いて、攪拌して発泡を行った。
▲3▼攪拌停止後、40℃に温調された1000×100×50mmのアルミ製モールドに混合液を注入し、10分後脱型し、硬質ポリウレタンフォームを得た。
【0045】
表1におけるフォーム物性の評価方法は以下の通りである。
試験例
硬質ポリウレタンフォームの試験は、通常の硬質ポリウレタンフォームの試験法に準じて実施した。寸法安定性の評価は、100mm×100mm×50mmのフォームを切り出し、成形1日後と、温度70℃、相対湿度95%にて放置2日後の寸法を測定し、体積変化率を算出した。圧縮強度はJIS A 9511(1995年版)の圧縮強さの試験法に基づいて行った。脆性はJIS A 9511(1995年版)の脆性試験に基づいて行った。成形性は成形型端部のフォームのセル状態およびフォームの充填度合いによって判定した。
成形性 ○:端部まで充填、セル状態良好△:端部まで充填、セル荒れあり×:端部未充填スキン剥がれ率は前記方法により次式で求めた。
スキン剥がれ率(%)=〔モールドに付着したフォームスキンの面積の和(mm2 )/100000mm2 〕×100
【0046】
【表1】
【0047】
【発明の効果】
本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造方法によれば、成形性良好で、脱型時のスキンの剥がれも少なく、外観良好で、また、脆性、寸法安定性に優れ、機械的強度が高いポリウレタンフォームが得られる。また、本発明のポリウレタンフォームの成形品は、寸法安定性に優れ、機械的強度が高い。
上記効果を奏することから、本発明の方法により得られる硬質ポリウレタンフォームは、冷蔵庫、冷凍庫、建築材用の断熱材として極めて有用であり、その他に、軟質ポリウレタンフォーム、ウレタンエラストマーなどへの適用も、極めて有用である。
Claims (3)
- 活性水素成分(A)と有機ポリイソシアネート(B)を、水からなる発泡剤の存在下に反応させてポリウレタンフォームを製造する方法において、(A)中に、不飽和二重結合と活性水素含有基を有し、不飽和二重結合が(メタ)アクリロイル基、アリル基、プロペニル基、1−ブテニル基、および2−ブテニル基から選ばれる1種以上の基である化合物(a)、3〜5価のポリオールのアルキレンオキサイド付加物(c1)、6価以上のポリオールのアルキレンオキサイド付加物(c2)、および必要によりアミン類のアルキレンオキサイド付加物(b)を含有することを特徴とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
- (a)の不飽和二重結合がアクリロイル基および/またはアリル基であり、活性水素含有基がヒドロキシル基および/またはメルカプト基である請求項1記載の硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
- 請求項1または2記載の製造方法により得られたポリウレタンフォーム。
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