JP4108826B2 - 透明バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材に関し、更に詳しくは、透明性、酸素ガスあるいは水蒸気等に対するバリア性等に優れ、更に、ラミネ−ト適性を有し、例えば、飲食品、医薬品、化粧品、化学品、その他等の種々の物品を充填包装するのに、特に、ボイルないしレトルト処理包装するのに有用な透明バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、飲食品、医薬品、化粧品、その他等の種々の物品をボイルないしレトルト充填包装するために、種々の包装用素材が開発され、提案されている。
それらの中で、近年、酸素ガスあるいは水蒸気等に対するバリア性素材として、ポリエステル系樹脂フィルムあるいはポリアミド系樹脂フィルム等のプラスチック基材の表面に、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、その他等の無機酸化物を使用し、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法等の物理気相成長法(PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(CVD法)等を利用して、その無機酸化物の蒸着膜を形成してなる透明ガスバリア性フィルムが注目されている。
而して、上記の透明ガスバリア性フィルムは、従来のアルミニウム箔あるいはポリ塩化ビニリデン系樹脂コ−ト膜等によるバリア性素材と比較して、焼却廃棄処理適正等に優れ、環境対応に適う素材として、今後、その需要が大いに期待されているものである。
なお、上記の透明ガスバリア性フィルムにおいては、更に、その酸素ガスあるいは水蒸気等に対するガスバリア性を向上させるために、例えば、プラスチック基材の表面に、予め、コロナ放電処理、グロ−放電処理等の前処理を施すことにより表面を粗面化したり、あるいは、予め、ウレタン系、エステル系等の蒸着用アンカ−コ−ト剤をコ−ティングしてアンカ−コ−ト剤層を形成して、プラスチック基材と蒸着膜との密着性を改善することによりガスバリア性を向上させる方法等も提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の透明ガスバリア性フィルムに他の樹脂フィルム等を積層して積層材を製造し、これを使用して包装用袋を製造し、更に、該包装用袋内に内容物を充填包装し、しかる後、包装体にボイルないしレトルト処理等を施して殺菌処理済の包装製品を製造しても、包装用袋を構成する積層材のラミネ−ト強度が得られず、例えば、破袋等の現象を生じ、また、酸素ガスあるいは水蒸気等に対するガスバリア性も低下し、十分に満足し得る包装製品を製造することが困難であるという問題点がある。
特に、基材フィルムとして、ポリアミド系樹脂フィルムを使用した透明ガスバリア性フィルムにおいては、基材フィルムとして、ポリエステル系樹脂フィルム等を使用した透明ガスバリア性フィルムと比較して、該ポリアミド系樹脂フィルムが吸水性が高いことから、ボイルあるいはレトルト処理時に、該ポリアミド系樹脂フィルムが水を吸収ないし吸着し、該ポリアミド系樹脂フィルムが、膨潤するという現象を起こし、而して、そのようなポリアミド系樹脂フィルムの膨潤に対し無機酸化物の蒸着膜が追従性に欠けることから、該無機酸化物の蒸着膜にクラック等が発生し、ガスバリア性等を著しく低下させるという問題点がある。
更に、場合によっては、基材フィルムとしてのポリアミド系樹脂フィルムが、ボイルあるいはレトルト処理時の高温、高圧、熱水等の作用により、収縮等を起こし、これにより、無機酸化物の蒸着膜が剥離し、もはや、その用をなさないという問題点もある。
このため、前述のように、上記の透明ガスバリア性フィルムにおいて、その密着性、ガスバリア性等を向上させるために、プラスチック基材の表面に、予め、前処理を行う方法、あるいは、上記のプラスチック基材の表面に、予め、アンカ−コ−ト剤層を形成する方法等も提案されているが、それによる効果は、それなりに期待し得るものであるが、未だ、ボイルあるいはレトルト処理適正を有し、十分に満足し得るハイバリア性を有するレトルト用バリア性包材を製造することは困難であるというのが実状であり、更に、付言すれば、そのような操作を行うこと自体、その製造工程が増えることからその製造コストを高めるという問題点がある。
例えば、ポリウレタン系の有機系アンカ−コ−ト剤を使用し、予め、これをポリアミド系樹脂フィルム等のプラスチック基材の表面にコ−ティングしてアンカ−コ−ト剤層を形成し、次いで、該アンカ−コ−ト剤層を介して、無機酸化物の蒸着膜を形成すると、ア−カ−コ−ト剤層中に含まれる残留溶剤等のために、蒸着中の真空度が低下し、更には、アンカ−コ−ト剤層自体が柔らかいために、アンカ−コ−ト剤層表面において、蒸着膜がうまく成長せず、所望どおりの蒸着膜を形成することが極めて困難であり、その結果、酸素ガスあるいは水蒸気等に対するガスバリア性に優れたレトルト用バリア性包材を製造し得ないというのが実状である。
そこで本発明は、酸素ガスあるいは水蒸気等に対するハイバリア性を有し、かつ、透明性に優れ、例えば、飲食品、医薬品、化粧品、化学品、その他等の種々の物品をボイルないしレトルト充填包装するに有用なバリア性包材を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記のような問題点を解決すべく種々研究の結果、ポリアミド系樹脂フィルム等のプラスチック基材の一方の面に、水遮断層を設けること、および、比較的に柔軟性、追従性等に富み、クラック等の発生を抑制することができ、バリア性の劣化が殆どないプラズマ化学成膜法による薄膜に着目し、まず、プラスチック基材の一方の面に水遮断層を設け、更に、該プラスチック基材の他方の面に、プラズマ化学成膜法により、酸化珪素等の無機酸化物の薄膜を設けて透明バリア性フィルムを製造し、更に、該透明バリア性フィルムの無機酸化物の薄膜面に、少なくとも、ヒ−トシ−ル性樹脂層を設けて積層材を製造し、次いで、該積層材を使用し、これを製袋して包装用袋を製造し、しかる後、該包装用袋内に内容物を充填包装し、更に、その開口部をヒ−トシ−ルして包装体を製造し、該包装体にボイルあるいはレトルト処理を施して殺菌処理して包装製品を製造したところ、水遮断層が、熱水等の進入を防止し、ポリアミド系樹脂フィルム等のプラスチック基材の吸水、膨潤、収縮等を抑制し、該ポリアミド系樹脂フィルム等のプラスチック基材の表面と無機酸化物の蒸着膜との密着性に優れ、その結果、酸素ガスあるいは水蒸気等に対する極めて高いバリア性を有し、かつ、透明性に優れ、更に、ラミネ−ト強度等にも優れ、例えば、飲食品、医薬品、化粧品、化学品、その他等の種々の物品をボイルあるいはレトルト充填包装するに有用な透明バリア製フィルムおよびそれを使用した積層材を製造し得ることを見出して本発明を完成したものである。
【0005】
すなわち、本発明は、一方の面に水遮断層を有するプラスチック基材の他方の面に、プラズマ化学成膜法による無機酸化物の薄膜を設けたことを特徴とする透明バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材に関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
上記の本発明について以下に更に詳しく説明する。
まず、本発明にかかる透明バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材の構成について、その一二例を例示して図面を用いて説明すると、図1は、本発明にかかる透明バリア性フィルムについてその一例の層構成を示す概略的断面図であり、図2は、本発明にかかる積層材についてその一例の層構成を示す概略的断面図である。
【0007】
まず、本発明にかかる透明バリア性フィルムAとしては、図1に示すように、ポリアミド系樹脂フィルム等のプラスチック基材1の一方の面に、水遮断層2を設け、他方、上記のポリアミド系樹脂フィルム等のプラスチック基材1の別の面に、プラズマ化学成膜法による無機酸化物の薄膜3を設けた構成からなるものである。
而して、本発明において、本発明にかかる透明バリア性フィルムを使用した積層材Bとしては、図2に示すように、上記のポリアミド系樹脂フィルム等のプラスチック基材1の一方の面に、水遮断層2を設け、他方、上記のポリアミド系樹脂フィルム等のプラスチック基材1の別の面に、プラズマ化学成膜法による無機酸化物の薄膜3を設けた構成からなる透明バリア性フィルムAの無機酸化物の薄膜3の面に、少なくとも、ヒ−トシ−ル性樹脂層4を設けた構成からなるものである。
上記の例示は、その一二例を例示したものであり、本発明はこれにより限定されるものではないものである。
【0008】
上記の本発明において、本発明にかかる透明バリア性フィルム、および、積層材等を構成するプラスチック基材としては、無色透明な各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができ、具体的には、例えば、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレ−トあるいはポリエチレンナフタレ−ト等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、ポリアクリロニトリル系樹脂、アセタ−ル系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
上記の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、単層、あるいは、2層以上の共押し出し法で製膜したもの、または、二軸方向に延伸されているもの等を使用することができ、更に、その厚さとしては、レトルト用バリア性包材の製造時の安定性等から、約5〜100μm位、好ましくは、9〜50μm位が望ましい。
なお、本発明において、用途に応じて、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、充填剤、その他等の所望の添加剤を、その透明性に影響しない範囲内で任意に添加し、それらを含有する樹脂のフィルムないしシ−ト等も使用することができる。
【0009】
ところで、上記の本発明において、上記に例示したプラスチック基材の中でも、ボイルあるいはレトルト用包材としての強度、耐熱性、特に、レトルトあるいはボイル処理適性等を充足するものとして、例えば、ナイロン46フィルム、ナイロン6フィルム、ナイロン66フィルム、ナイロン610フィルム、ナイロン612フィルム、ナイロン11フィルム、ナイロン12フィルム、その他等の各種のポリアミド系樹脂のフィルムないしシ−トを使用することが最も好ましいものである。
上記のポリアミド系樹脂フィルムとしては、単層、あるいは、2層以上の共押し出し法で製膜したもの、あるいは、例えば、テンタ−方式、あるいは、チュ−ブラ−方式等の通常の延伸加工方式で1軸ないし2軸方向に延伸加工されているもの等を使用することができ、更に、その厚さとしては、フィルムの製造時の安定性等から、約5〜100μm位、好ましくは、9〜50μm位が望ましい。
具体的には、例えば、2軸延伸ナイロンフィルム等を使用することが好ましいものである。
【0010】
次に、上記の本発明において、本発明にかかる透明バリア性フィルム、および、積層材を構成する水遮断層について説明すると、かかる水遮断層としては、例えば、樹脂をビヒクルの主成分とする樹脂組成物によるコ−ティング膜、あるいは、樹脂のフィルムないしシ−トを積層してなる樹脂のフィルムないしシ−ト膜等を使用することがてきる。
【0011】
上記の樹脂をビヒクルの主成分とする樹脂組成物によるコ−ティング膜について説明すると、まず、ビヒクルの主成分となる樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、フッ化ビニリデン系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、ポリビニルアセタ−ル系樹脂、ポリビニルブチラ−ル系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アルキッド系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、熱硬化型ポリ(メタ)アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノ−ル系樹脂、キシレン系樹脂、マレイン酸樹脂、ニトロセルロ−ス、エチルセルロ−ス、アセチルブチルセルロ−ス、エチルオキシエチルセルロ−ス等の繊維素系樹脂、塩化ゴム、環化ゴム等のゴム系樹脂、石油系樹脂、ロジン、カゼイン等の天然樹脂、その他等の樹脂の1種ないし2種以上の混合物を使用することができる。
而して、本発明において、樹脂組成物としては、上記のような樹脂の1種ないし2種以上をビヒクルの主成分とし、これに、例えば、充填剤、安定剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の光安定剤、分散剤、増粘剤、乾燥剤、着色剤、滑剤、帯電防止剤、架橋剤、その他等の添加剤を任意に添加し、溶剤、希釈剤等で充分に混練してなる樹脂組成物を使用することがてきる。
次に、本発明において、コ−ティング膜としては、上記のような樹脂組成物を、例えば、スプレイコ−ト、ディップコ−ト、キスロ−ルコ−ト、リバ−スロ−ルコ−ト、カ−テンフロ−コ−ト、スクイ−ズロ−ルコ−ト、グラビアロ−ルコ−ト、スピンナ−コ−ト、その他等の公知のコ−ティング法を用いてコ−ティングし、次いで、乾燥してコ−ティング膜を形成することができる。
上記において、コ−ティング膜の膜厚としては、乾燥状態において、0.5μm〜300μm位、好ましくは、5μm〜50μm位が望ましい。
【0012】
また、上記の樹脂のフィルムないしシ−トを積層してなる樹脂のフィルムないしシ−ト膜について説明すると、まず、樹脂のフィルムないしシ−トとしては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロ−ス等の繊維素系樹脂、、その他等の各種の樹脂のフィルムないしシ−トから任意に選択して使用することができる。
本発明において、上記のフィルムないしシ−トは、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。
また、その厚さは、任意であるが、数3μm〜300μm位、好ましくは、5μm〜100μm位のの範囲から選択して使用することができる。
次に、本発明において上記のような樹脂のフィルムないしシ−トを積層する方法としては、通常の包装材料をラミネ−トする方法、例えば、ウエットラミネ−ション法、ドライラミネ−ション法、無溶剤型ドライラミネ−ション法、押し出しラミネ−ション法、Tダイ押し出しラミネ−ション法、共押し出しラミネ−ション法、その他の積層法を用いて積層することができる。
而して、本発明においては、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン処理、フレ−ム処理、その他等の公知の前処理を任意に施すことができ、また、例えば、ポリエステル系、イソシアネ−ト系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカ−コ−ティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロ−ス系、その他等のラミネ−ト用接着剤等を任意に使用することができる。
【0013】
次にまた、本発明において、本発明にかかる透明バリア性フィルム、および、積層体等を構成するプラズマ化学成膜法による無機酸化物の薄膜について説明すると、かかるプラズマ化学成膜法による無機酸化物の薄膜としては、例えば、有機珪素化合物等の成膜用モノマ−ガスを原料とし、これと、更に、酸素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガス、その他等を含む成膜用混合ガス組成物を調整し、該成膜用混合ガス組成物を使用して、低温プラズマ発生装置等を利用するプラズマ化学成膜法(CVD法)を用いて酸化珪素等の無機酸化物の薄膜を形成する方法により製造することができる。
上記において、低温プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することがてき、而して、本発明においては、高活性の安定したプラズマを得るためには、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが望ましい。
【0014】
本発明において、具体的に、プラズマ化学成膜法による無機酸化物の薄膜の形成法についてその一例を例示して説明すると、図3は、本発明にかかるプラズマ化学成膜法による無機酸化物の薄膜の形成法についてその概要を示すプラズマ化学成膜装置の概略的構成図である。
本発明においては、図3に示すように、まず、プラズマ化学成膜装置21の真空チャンバ−22内に配置された巻き出しロ−ル23から、一方の面に水遮断層を有するプラスチック基材24を繰り出し、更に、該一方の面に水遮断層を有するプラスチック基材24を、補助ロ−ル25を介して所定の速度で冷却・電極ドラム26周面上に搬送する。
而して、本発明においては、ガス供給装置27、28、および、原料揮発供給装置29等から酸素ガス、不活性ガス、有機珪素化合物等の成膜用モノマ−ガス、その他等を供給し、それらからなる成膜用混合ガス組成物を調整しなから原料供給ノズル30を通して真空チャンバ−22内に該成膜用混合ガス組成物を導入し、そして、上記の冷却・電極ドラム26周面上に搬送された上記の一方の面に水遮断層を有するプラスチック基材24の他方の面に、グロ−放電プラズマ31によってプラズマを発生させて、これを照射して、酸化珪素等の無機酸化物の薄膜を形成し、製膜化する。
本発明においては、その際に、冷却・電極ドラム26は、真空チャンバ−22外に配置されている電源32から所定の電力が印加されており、また、冷却・電極ドラム26の近傍には、マグネット33を配置してプラズマの発生が促進されており、次いで、上記で酸化珪素等の無機酸化物の薄膜を形成したプラスチック基材24を補助ロ−ル34を介して巻き取りロ−ル35に巻き取って、本発明にかかる透明バリア性フィルムを製造することができるものである。
なお、図中、36は、真空ポンプを表す。
上記の例示は、本発明にかかる透明バリア性フィルムの製造法の一例を例示するものであり、これによって本発明は限定されるものではないことは言うまでもないことである。
【0015】
而して、本発明において、上記のプラズマ化学成膜法によって形成される酸化珪素の薄膜としては、式SiOX (ただし、Xは、1〜2の数を表す)で表される酸化珪素を主体とする連続状の薄膜であり、更に、透明性等の点から、式SiOX (ただし、Xは、1.3〜1.9の数を表す。)で表される酸化珪素を主体とする連続薄膜であることが好ましいものである。
また、上記の酸化珪素の薄膜は、珪素および酸素を構成元素とする酸化珪素化合物からなり、更に、炭素、水素、珪素、または、酸素からなる微量構成元素の1種ないし2種以上からなる化合物の少なくとも1種以上を含有する酸化珪素の連続薄膜からなるものである。
更に、上記の酸化珪素の薄膜は、珪素および酸素を構成元素とする酸化珪素化合物からなり、更に、炭素、水素、珪素、または、酸素の1種または2種以上の元素からなる化合物を少なくとも1種以上含有し、かつ、該化合物が、その膜表面から深さ方向に向かって、その含有量が減少している酸化珪素の連続薄膜からなるものである。
更にまた、上記の酸化珪素の薄膜は、炭素からなる化合物を含有する場合には、その膜厚の深さ方向において炭素の含有量が減少していることを特徴とするものである。
而して、上記のような薄膜の膜構造は、上記のプラズマ化学成膜法による酸化珪素の薄膜について、例えば、X線光電子分光装置(Xray Photoelectron Spectroscopy、XPS)、二次イオン質量分析装置(Secondary Ion Mass Spectroscopy、SIMS)等の表面分析装置を用い、深さ方向にイオンエッチングする等して分析する方法を利用して、酸化珪素の薄膜面の元素分析を行うことより確認することができるものである。
また、本発明において、酸化珪素等の無機酸化物の薄膜の膜厚としては、50〜2000Å位の範囲の膜厚のものを形成することができるものである。
しかし、本発明において、酸化珪素等の無機酸化物の薄膜は、薄膜で、屈曲性等に富む膜質であることが望ましいものであることから、薄膜の膜厚としては、好ましくは、50〜300Å位、更には、100〜250Å位であることが望ましいものである。
上記において、膜厚が、250Å、300Å、更に、2000Å等を越えると、薄膜の屈曲性等が劣る傾向にあって、クラック等が発生し易くなるという傾向にあることから好ましくなく、また、膜厚が、50Å、更に、100Å未満になると、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等に劣る傾向にあることから好ましくないものである。
【0016】
上記の本発明にかかるプラズマ化学成膜法による無機酸化物の薄膜の形成法において、成膜用混合ガス組成物を構成する成膜用モノマ−ガスとしての有機珪素化合物等としては、例えば、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、その他等を使用することができる。
本発明において、上記のような有機珪素化合物の中でも、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、または、ヘキサメチルジシロキサンを原料として使用することが、その取り扱い性、形成された薄膜の特性等から、特に、好ましい原料である。
また、上記において、不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス等を使用することができる。
【0017】
次に、本発明において、本発明にかかる透明バリア性フィルムを使用した積層材を構成するヒ−トシ−ル性樹脂層を形成するヒ−トシ−ル性樹脂としては、熱によって溶融し相互に融着し得る樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテンポリマ−、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマ−ル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他等の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
而して、上記のフィルムないしシ−トは、その樹脂を含む組成物によるコ−ティング膜の状態でも使用することができる。
その膜もしくはフィルムないしシ−トの厚さとしては、5μmないし300μm位が好ましくは、更には、10μmないし100μm位が望ましい。
【0018】
ところで、本発明において、本発明にかかる積層材としては、上記のようなヒ−トシ−ル性樹脂層の他に、例えば、各種の樹脂のフィルム、紙基材、金属素材、合成紙、セロハン、その他等の包装用容器を構成する包装用素材等と任意に組み合わせて、種々の積層材を製造し、ボイルあるいはレトルト処理可能な種々の物品を充填包装するに適した包装材料を製造可能とするものである。
上記の樹脂のフィルムとしては、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、酸変性ポリオレフィン系樹脂、メチルペンテンポリマ−、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロ−ス、その他等の公知の樹脂のフィルムないしシ−トから任意に選択して使用することができる。
本発明において、上記のフィルムないしシ−トは、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。
また、その厚さは、任意であるが、数μmから300μm位の範囲から選択して使用することができる。
更に、本発明においては、フィルムないしシ−トとしては、押し出し成膜、インフレ−ション成膜、コ−ティング膜等のいずれの性状の膜でもよい。
また、上記において、紙基材としては、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは純白ロ−ル紙、クラフト紙、板紙、加工紙等の紙基材、その他等を使用することができる。
上記において、紙層を構成する紙基材としては、坪量約80〜600g/m2 位のもの、好ましくは、坪量約100〜450g/m2 位のものを使用することが望ましい。
また、上記にといて、金属素材としては、例えば、アルミニウム箔、あるいは、アルミニウム蒸着膜を有する樹脂のフィルム等を使用することができる。
【0019】
次に、上記の本発明において、上記のような材料を使用して積層材を製造する方法について説明すると、かかる方法としては、通常の包装材料をラミネ−トする方法、例えば、ウエットラミネ−ション法、ドライラミネ−ション法、無溶剤型ドライラミネ−ション法、押し出しラミネ−ション法、Tダイ押し出し成形法、共押し出しラミネ−ション法、インフレ−ション法、共押し出しインフレ−ション法、その他等で行うことができる。
而して、本発明においては、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン処理、フレ−ム処理、その他等の前処理をフィルムに施すことができ、また、例えば、ポリエステル系、イソシアネ−ト系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカ−コ−ティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロ−ス系、その他等のラミネ−ト用接着剤等の公知のアンカ−コ−ト剤、接着剤等を使用することができる。
【0020】
次に、本発明において、上記のような積層材を使用して製袋ないし製函する方法について説明すると、例えば、包装用容器がプラスチックフィルム等からなる軟包装袋の場合、上記のような方法で製造した積層材を使用し、その内層のヒ−トシ−ル性樹脂層の面を対向させて、それを折り重ねるか、或いはその二枚を重ね合わせ、更にその周辺端部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部を設けて袋体を構成することができる。
而して、その製袋方法としては、上記の複合フィルムを、その内層の面を対向させて折り曲げるか、あるいはその二枚を重ね合わせ、更にその外周の周辺端部を、例えば、側面シ−ル型、二方シ−ル型、三方シ−ル型、四方シ−ル型、封筒貼りシ−ル型、合掌貼りシ−ル型(ピロ−シ−ル型)、ひだ付シ−ル型、平底シ−ル型、角底シ−ル型、その他等のヒ−トシ−ル形態によりヒ−トシ−ルして、本発明にかかる種々の形態の包装用容器を製造することができる。
その他、例えば、自立性包装袋(スタンディングパウチ)等も製造することが可能であり、更に、本発明においては、上記の複合フィルムを使用してチュ−ブ容器等も製造することができる。
上記において、ヒ−トシ−ルの方法としては、例えば、バ−シ−ル、回転ロ−ルシ−ル、ベルトシ−ル、インパルスシ−ル、高周波シ−ル、超音波シ−ル等の公知の方法で行うことができる。
なお、本発明においては、上記のような包装用容器には、例えば、ワンピ−スタイプ、ツウ−ピ−スタイプ、その他等の注出口、あるいは開閉用ジッパ−等を任意に取り付けることができる。
【0021】
次にまた、包装用容器として、紙基材を含む液体充填用紙容器の場合、例えば、積層材として、紙基材を積層した積層体を製造し、これから所望の紙容器を製造するブランク板を製造し、しかる後該ブランク板を使用して胴部、底部、頭部等を製函して、例えば、ブリックタイプ、フラットタイプあるいはゲ−ベルトップタイプの液体用紙容器等を製造することができる。
また、その形状は、角形容器、丸形等の円筒状の紙缶等のいずれのものでも製造することができる。
【0022】
本発明において、上記のようにして製造した包装用容器は、透明性、酸素、水蒸気等に対するガスバリア性、耐衝撃性等に優れ、更に、ラミネ−ト加工、印刷加工、製袋ないし製函加工等の後加工適性を有し、また、バリア性膜としての無機酸化物の薄膜の剥離を防止し、かつ、その熱的クラックの発生を阻止し、その劣化を防止して、バリア性膜として優れた耐性を発揮し、例えば、飲食品、医薬品、洗剤、シャンプ−、オイル、歯磨き、接着剤、粘着剤等の化学品ないし化粧品、その他等の種々の物品の充填包装適性、保存適性、その他等に優れているものである。
特に、本発明にかかる積層材は、それを使用して製袋してなる包装用袋は、その開口部から、内容物を充填し、しかる後その開口部をヒ−トシ−ル等により密閉して包装体を製造し、次いで、該包装体を、例えば、レトルト釜に入れ、120℃、30分間レトルト処理して、レトルト処理した(殺菌処理した)包装製品を製造することができるものである。
また、本発明にかかる積層材を使用し、製袋してなる包装用袋内に、上記と同様に内容物を充填包装して包装体を製造し、これを、例えば、90℃の熱水で30分間の条件でボイル処理して、熱殺菌処理した包装製品を製造することができるものである。
【0023】
【実施例】
次に、上記の本発明について実施例を挙げて更に詳しく本発明を説明する。
実施例1
(1).基材として、厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルム(東洋紡株式会社製、商品面、N−1102)を使用し、その一方の面に、熱硬化型アクリル系樹脂をビヒクルの主成分とする樹脂組成物をキスロ−ルコ−ト法でコ−ティングし、次いで、乾燥して、膜厚1μmのコ−ティング膜を形成した。
次に、上記でコ−ティング膜を形成した2軸延伸ナイロンフィルムを、プラズマ化学成膜装置の送り出しロ−ルに装着し、該2軸延伸ナイロンフィルムのコ−ティング膜のない他方の面に、下記のプラズマ化学成膜条件で厚さ140Åの酸化珪素の薄膜を形成して、本発明にかかる透明バリア性フィルムを製造した。
(プラズマ化学蒸着条件)
反応ガス混合比:ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=3:1:3(単位:slm、スタンダ−ド リッタ− ミニット、standard litter minute、以下同じ)
真空チャンバ−内の真空度:7.0×10-6mbar
蒸着チャンバ−内の真空度:6.0×10-3mbar
冷却・電極ドラム供給電力:10kW
(2).次に、上記で製造した透明バリア性フィルムの酸化珪素の薄膜の面を、下記の条件でプラズマ処理した。
その結果、酸化珪素の薄膜表面の表面張力は、35dynから62dynになり、濡れ性が向上した。
プラズマ供給電力:3kw
プラズマガス:ヘリウム(He)と酸素(O2 )との混合ガス
(3).次に、上記でプラズマ処理した透明バリア性フィルムを使用し、これをドライラミネ−トコ−タ−機の一方の送り出しロ−ルに装着し、その酸化珪素の薄膜面に接着剤層を形成し、他方、シ−ラントフィルムである厚さ40μmの無延伸ポリプロピレンフィルムを使用し、これを他方の送り出しロ−ルに装着し、しかる後その両者を下記の条件でドライラミネ−トして、積層材を製造した。
接着剤層:ウレタン系接着剤を使用
(主剤)ウレタン系(武田薬品工業株式会社製、商品名、タケネ−トA−515)
(硬化剤)イソシアネ−ト系(武田薬品工業株式会社製、商品名、A−50)
(混合比)主剤:硬化剤=10:1
(溶剤)酢酸エチル
(塗布量)4.0g/m2 (ドライ)
【0024】
比較例1
(1).基材として、厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルム(東洋紡株式会社製、商品面、N−1102)を使用し、これをプラズマ化学成膜装置の送り出しロ−ルに装着し、該2軸延伸ナイロンフィルムの面に、下記のプラズマ化学成膜条件で厚さ140Åの酸化珪素の薄膜を形成して、透明バリア性フィルムを製造した。
(プラズマ化学蒸着条件)
反応ガス混合比:ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=3:1:3(単位:slm)
真空チャンバ−内の真空度:7.0×10-6mbar
蒸着チャンバ−内の真空度:6.0×10-3mbar
冷却・電極ドラム供給電力:10kW
(2).次に、上記で製造した透明バリア性フィルムの酸化珪素の薄膜の面を、下記の条件でプラズマ処理した。
その結果、酸化珪素の薄膜表面の表面張力は、35dynから62dynになり、濡れ性が向上した。
プラズマ供給電力:3kw
プラズマガス:ヘリウム(He)と酸素(O2 )との混合ガス
(3).次に、上記でプラズマ処理した透明バリア性フィルムを使用し、これをドライラミネ−トコ−タ−機の一方の送り出しロ−ルに装着し、その酸化珪素の薄膜面に接着剤層を形成し、他方、シ−ラントフィルムである厚さ40μmの無延伸ポリプロピレンフィルムを使用し、これを他方の送り出しロ−ルに装着し、しかる後その両者を下記の条件でドライラミネ−トして、積層材を製造した。
接着剤層:ウレタン系接着剤を使用
(主剤)ウレタン系(武田薬品工業株式会社製、商品名、タケネ−トA−515)
(硬化剤)イソシアネ−ト系(武田薬品工業株式会社製、商品名、A−50)
(混合比)主剤:硬化剤=10:1
(溶剤)酢酸エチル
(塗布量)4.0g/m2 (ドライ)
【0025】
比較例2
巻き取り式の真空蒸着装置を使用し、かつ、基材として、厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルム(東洋紡株式会社製、商品面、N−1102)を使用し、その片面に、酸化珪素を蒸着源に用いてエレクトロンビ−ム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、膜厚140Åの酸化珪素の蒸着膜を形成して、透明バリア性フィルムを製造した。
(2).次に、上記で製造した透明バリア性フィルムの酸化珪素の蒸着薄膜の面を、下記の条件でプラズマ処理した。
その結果、酸化珪素の蒸着薄膜表面の表面張力は、35dynから62dynになり、濡れ性が向上した。
プラズマ供給電力:3kw
プラズマガス:ヘリウム(He)と酸素(O2 )との混合ガス
(3).次に、上記でプラズマ処理した透明バリア性フィルムを使用し、これをドライラミネ−トコ−タ−機の一方の送り出しロ−ルに装着し、その酸化珪素の蒸着薄膜面に接着剤層を形成し、他方、シ−ラントフィルムである厚さ40μmの無延伸ポリプロピレンフィルムを使用し、これを他方の送り出しロ−ルに装着し、しかる後その両者を下記の条件でドライラミネ−トして、積層材を製造した。
接着剤層:ウレタン系接着剤を使用
(主剤)ウレタン系(武田薬品工業株式会社製、商品名、タケネ−トA−515)
(硬化剤)イソシアネ−ト系(武田薬品工業株式会社製、商品名、A−50)
(混合比)主剤:硬化剤=10:1
(溶剤)酢酸エチル
(塗布量)4.0g/m2 (ドライ)
【0026】
比較例3
(1).基材として、厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルム(東洋紡株式会社製、商品面、N−1102)を使用し、その一方の面に、熱硬化型アクリル系樹脂をビヒクルの主成分とする樹脂組成物をキスロ−ルコ−ト法でコ−ティングし、次いで、乾燥して、膜厚1μmのコ−ティング膜を形成した。
次に、上記でコ−ティング膜を形成した厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルムを使用し、これを、巻き取り式の真空蒸着装置を使用してその送り出しロ−ルに装着し、これを繰り出しながら、上記の2軸延伸ナイロンフィルムのコ−ティング膜の形成していない他方の面に、酸化珪素を蒸着源に用いてエレクトロンビ−ム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、膜厚140Åの酸化珪素の蒸着膜を形成して、透明バリア性フィルムを製造した。
(2).次に、上記で製造した透明バリア性フィルムの酸化珪素の蒸着薄膜の面を、下記の条件でプラズマ処理した。
その結果、酸化珪素の蒸着薄膜表面の表面張力は、35dynから62dynになり、濡れ性が向上した。
プラズマ供給電力:3kw
プラズマガス:ヘリウム(He)と酸素(O2 )との混合ガス
(3).次に、上記でプラズマ処理した透明バリア性フィルムを使用し、これをドライラミネ−トコ−タ−機の一方の送り出しロ−ルに装着し、その酸化珪素の蒸着薄膜面に接着剤層を形成し、他方、シ−ラントフィルムである厚さ40μmの無延伸ポリプロピレンフィルムを使用し、これを他方の送り出しロ−ルに装着し、しかる後その両者を下記の条件でドライラミネ−トして、積層材を製造した。
接着剤層:ウレタン系接着剤を使用
(主剤)ウレタン系(武田薬品工業株式会社製、商品名、タケネ−トA−515)
(硬化剤)イソシアネ−ト系(武田薬品工業株式会社製、商品名、A−50)
(混合比)主剤:硬化剤=10:1
(溶剤)酢酸エチル
(塗布量)4.0g/m2 (ドライ)
【0027】
実験例1
上記の実施例1〜2、および、比較例1〜3で製造した各透明バリア性フィルム、および、積層材について、下記のデ−タを測定した。
(1).酸素透過度の測定
これは、透明バリア性フィルム、および、積層材について、温度23℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、オクストラン(OXTRAN)〕にて測定した。
(2).水蒸気透過度の測定
これは、透明バリア性フィルム、および、積層材について、温度40℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パ−マトラン(PERMATRAN)〕にて測定した。
(3).ボイル適性評価
これは、積層材を使用し、その無延伸ポリプロピレンフィルム面を対向させ、その外周端部をヒ−トシ−ルして包装用袋を製造し、該包装用袋内にその開口部から内容物を充填し、しかる後その開口部を密閉して包装体を製造し、該包装体について、ボイル条件である90℃の水中に30分間浸漬してボイル処理した後、積層材について、上記の酸素透過度、および、水蒸気透過度を測定して評価した。
(4).レトルト適性評価
上記と同様に、積層材を使用し、その無延伸ポリプロピレンフィルム面を対向させ、その外周端部をヒ−トシ−ルして包装用袋を製造し、該包装用袋内にその開口部から内容物を充填し、しかる後その開口部を密閉して包装体を製造し、該包装体について、これをレトルト釜に入れ、120℃、30分間レトルト処理した後、積層材について、上記の酸素透過度、および、水蒸気透過度を測定して評価した。
上記の測定結果について、下記の表1、表2、および、表3に示す。
【0028】
【表1】
透明バリア性フィルムおよび積層材の酸素透過度および水蒸気透過
上記の表1において、酸素透過度は、cc/m2 /day・23℃・90%RHの単位であり、また、水蒸気透過度は、g/m2 /day・40℃・100%RHの単位である。
また、(積層後)は、積層材についての酸素透過度および水蒸気透過度を示すものである。
【0029】
【表2】
ボイル適性評価の結果
上記の表2において、酸素透過度は、cc/m2 /day・23℃・90%RHの単位であり、また、水蒸気透過度は、g/m2 /day・40℃・100%RHの単位である。
【0030】
【表3】
レトルト適性評価の結果
上記の表3において、酸素透過度は、cc/m2 /day・23℃・90%RHの単位であり、また、水蒸気透過度は、g/m2 /day・40℃・100%RHの単位である。
【0031】
(1).上記の表1〜3に示す結果より明らかなように、実施例1〜2のものは、酸素透過度、および、水蒸気透過度について、ボイル前、および、レトルト前においては、比較例1〜3のものと比較して、同等位ないしそれ以上に優れていた。
(2).次に、実施例1〜2のものは、酸素透過度、および、水蒸気透過度について、ボイル後、および、レトルト後においては、比較例1〜3のものと比較して、いずれも、はるかに優れていた。
【0032】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明は、ポリアミド系樹脂フィルム等のプラスチック基材の一方の面に、水遮断層を設けること、および、比較的に柔軟性、追従性等に富み、クラック等の発生を抑制することができ、バリア性の劣化が殆どないプラズマ化学成膜法による薄膜に着目し、まず、プラスチック基材の一方の面に水遮断層を設け、更に、該プラスチック基材の他方の面に、プラズマ化学成膜法により、酸化珪素等の無機酸化物の薄膜を設けて透明バリア性フィルムを製造し、更に、該透明バリア性フィルムの無機酸化物の薄膜面に、少なくとも、ヒ−トシ−ル性樹脂層を設けて積層材を製造し、次いで、該積層材を使用し、これを製袋して包装用袋を製造し、しかる後、該包装用袋内に内容物を充填包装し、更に、その開口部をヒ−トシ−ルして包装体を製造し、該包装体にボイルあるいはレトルト処理を施して殺菌処理して包装製品を製造して、水遮断層が、熱水等の進入を防止し、ポリアミド系樹脂フィルム等のプラスチック基材の吸水、膨潤、収縮等を抑制し、該ポリアミド系樹脂フィルム等のプラスチック基材の表面と無機酸化物の蒸着膜との密着性に優れ、その結果、酸素ガスあるいは水蒸気等に対する極めて高いバリア性を有し、かつ、透明性に優れ、更に、ラミネ−ト強度等にも優れ、例えば、飲食品、医薬品、化粧品、化学品、その他等の種々の物品をボイルあるいはレトルト充填包装するに有用な透明バリア製フィルムおよびそれを使用した積層材を製造し得ることができるというものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる透明バリア性フィルムについてその一例の層構成を示す概略的断面図である。
【図2】本発明にかかる透明バリア性フィルムを使用した積層材についてその一例の層構成を示す概略的断面図である。
【図3】本発明にかかる透明バリア性フィルムの製造法についてその一例を例示するプラズマ化学成膜装置の概略的構成図である。
【符号の説明】
A 透明バリア性フィルム材
B 積層材
1 プラスチック基材
2 水遮断層
3 無機酸化物の薄膜
4 ヒ−トシ−ル性樹脂層
21 プラズマ化学成膜装置
22 真空チャンバ−
23 巻き出しロ−ル
24 プラスチック基材
25 補助ロ−ル
26 冷却・電極ドラム
27、28、29 原料揮発供給装置
30 原料供給ノズル
31 グロ−放電プラズマ
32 電源
33 マグネット
34 補助ロ−ル
35 巻き取りロ−ル
36 真空ポンプ
Claims (1)
- ポリアミド系樹脂フィルムの一方の面に、熱硬化型アクリル系樹脂をビヒクルの主成分とする樹脂組成物によるコ−ティング膜を形成し、
次に、上記でコ−ティング膜を形成したポリアミド系樹脂フィルムの他方の面に、プラズマ化学成膜法を用いて酸化珪素の薄膜を形成し、
次いで、上記で形成した酸化珪素の薄膜の面に、プラズマ処理を施してプラズマ処理面を形成し、
しかる後、上記で形成したプラズマ処理面の面に、ウレタン系接着剤によるドライラミネ−ト用接着剤層を形成し、
次いで、上記で形成したドライラミネ−ト用接着剤層の面に、無延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネ−ト積層することを特徴とするボイルないしレトルト処理包装用積層材の製造法。
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