JP4108516B2 - 現像装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタおよびファクシミリなどの電子写真装置に用いられる現像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、複写機、プリンタおよびファクシミリなどの電子写真装置においては、静電潜像を担持搬送する感光体に対して現像手段にトナーが供給され、感光体の表面上の静電潜像がトナーによって現像(可視化)される。このような現像装置では、トナーは現像ローラ表面に供給ローラにより周方向から順次供給され、現像ローラの回転により感光体へ向けて担持搬送される。
【0003】
また、上記現像ローラ上に形成されるトナー層は、供給ローラよりも現像ローラの回転方向下流側に設けられたブレードによって、現像ローラ上でその層厚が規制される。このとき同時に、トナーは、ブレードとの摩擦により電荷を帯びる(摩擦帯電)。帯電されたトナーは、現像ローラにより、さらに回転方向下流側に位置する感光体との対向部まで担持搬送されて、感光体表面上の静電潜像に対して静電的に供給され、静電潜像をトナー像として現像(可視化)する。可視化されたトナー像は、転写手段によって記録紙に転写された後、定着手段によって加熱および加圧され、記録紙上に定着される。
【0004】
また、上述の摩擦帯電方式の問題を克服するために、特許文献1、特許文献2、および、特許文献3には、トナーに特殊な波長の光に反応するホトクロミック化合物などを含有させ、現像装置内部でトナーに直接光を照射することによりトナーを帯電させる手法が開示されている。
【0005】
また、ホトクロミック反応を利用した光照射によるトナーの帯電については、特許文献4および特許文献5に開示されている。
【0006】
また、現像剤のクリーニング技術については、従来静電気によって付着した現像剤を除去する手法として、一般的に、▲1▼メカクリーニング方法、▲2▼磁気クリーニング方法、▲3▼電界クリーニング方法が用いられている。
【0007】
メカクリーニングには、付着した現像剤を取り除くために、ゴムブレード等の弾性部材を押し付け、付着した現像剤をメカ的に取り除く手法が用いられている。また、磁界クリーニングには、付着した現像剤を吸着クリーニングする手法として磁力を用いている。さらに、電界クリーニングには、付着する現像剤を吸着クリーニングする手法として電界を用いている。
【0008】
これらの、磁力、電界を用いる手法では、付着した現像剤の極性を基に磁力の極性(+極、−極)が決定されている(例えば、特許文献6および特許文献7参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平7−281473号公報
(公開日:平成7年(1995)10月27日)
【0010】
【特許文献2】
特開平7−295327号公報
(公開日:平成7年(1995)11月10日)
【0011】
【特許文献3】
特開平9−6132号公報
(公開日:平成9年(1997)1月10日)
【0012】
【特許文献4】
特開平4−220657号公報
(公開日:平成4年(1992)8月11日)
【0013】
【特許文献5】
特開平7−234536号公報
(公開日:平成7年(1995)9月5日)
【0014】
【特許文献6】
特開平8−320640号公報
(公開日:平成8年(1996)12月3日)
【0015】
【特許文献7】
特開2000−29364号公報
(公開日:平成12年(2000)1月28日)
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の構成では、層厚規制部材であるブレードはトナーの層厚を規制すると同時に、トナーを摩擦帯電させるためにも使用されている。すなわち、上記従来の構成では、トナーをブレードとの摩擦により帯電させているため、トナーにおいて所望の帯電量を得るために、ブレードを現像ローラに対して比較的大きな加圧力(F)をもって圧接させている。このように、ブレードによってトナーに対して大きな加圧力が作用する構成では、この加圧力によってトナーの破壊が生じる恐れがある。
【0017】
また、上記摩擦帯電方式におけるエネルギー収支では、以下のことがいえる。すなわち、現像ローラの駆動エネルギー(Ek)は、ブレードの作用によってトナー層厚規制エネルギー(Es)とトナー帯電エネルギー(Et)とに変換されるが、一部は熱ロスエネルギー(El)として消費される。このときに発生する熱ロスエネルギー(El)によっては、トナーが軟化することでトナーの破壊が促進される、あるいは、軟化したトナーがブレード表面に融着してトナーの摩擦帯電特性が劣化するといった問題が生じる。
【0018】
また、特殊なホトクロミック化合物を含有させたトナーに光を照射させることによりトナーを帯電させるような上記公報に記載された技術を用いると、トナーにホトクロミック材料を含有させる際のトナー成分調整が困難となる。従って、できればこのような成分調整の困難さがないトナーを用いるのが望ましい。
【0019】
特に、近年では、省エネルギー技術として、トナーの軟化点を低減させて定着エネルギーを削減する、あるいは、トナーの顔料部数を増加させて着色力を高める(トナーの耐破壊性が低下する)といったトナーの改良が進んでいる。しかしながら、上記従来の摩擦帯電方式は、上述の如くトナーに対する加圧力や熱的負荷が大きいため、このようなトナーには適合できていない。
【0020】
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、トナーの劣化防止、即ちトナーの破壊やブレードヘの融着防止を可能とし、現像の信頼性を向上させることができる現像装置、特に、定着エネルギーを削減するために軟化点を低減したトナーや、着色力を高めるために顔料部数を増加させたトナーにも適合できる現像装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明の現像装置は、上記課題を解決するために、現像剤を帯電させる帯電手段を備え、帯電した上記現像剤を静電潜像に供給して上記静電潜像を現像する現像装置において、上記帯電手段は、光を照射する光照射手段と、上記光照射手段から光が照射されると光電子を放出する光電子放出手段とを備え、上記光電子を発生源とする電子を上記現像剤に付与することにより上記現像剤を帯電させ、自身が搭載される画像形成装置の印字可能なスタンバイ状態で、上記光電子放出手段に付着した上記現像剤を除去するためのクリーニングを行うことを特徴としている。
【0022】
上記の発明によれば、光照射手段から光電子放出手段に光が照射されると光電子放出手段は光電子を放出し、この光電子を発生源とする電子、すなわち光電子そのものや、光電子による衝突電離などで発生した電子が現像剤に付与され、現像剤が効率よく帯電する。これにより、安定した現像剤の帯電が可能となり良好な画像が得られる。
【0023】
従って、現像剤の1つであるトナーに対して従来のように摩擦帯電という機械的な帯電を行う必要がなく、熱的負荷などのストレスを与えることなく帯電を行うことが可能となる。また、トナーとしてホトクロミック化合物などの特殊な構成を用いない従来のトナーに対して光照射によって十分な帯電を行うことができる。
【0024】
この結果、トナーの劣化防止、即ちトナーの破壊やブレードヘの融着防止を可能とし、現像の信頼性を向上させることができる現像装置、特に、定着エネルギーを削減するために軟化点を低減したトナーや、着色力を高めるために顔料部数を増加させたトナーにも適合できる現像装置を提供することができる。
【0025】
そしてさらに、現像装置は、画像形成装置の印字可能なスタンバイ状態で、光電子放出手段に付着した現像剤を除去するためのクリーニングを行うので、現像工程と重ならないように、光電子放出手段からの光電子放出を妨げる付着現像剤のクリーニングを行うこととなる。従って、記録用紙や感光体にトナーの付着や画像の乱れを与えるといった、現像への悪影響を回避しながら、トナーなどの現像剤をより一層効率よく帯電させることができる。
【0026】
さらに本発明の現像装置は、上記課題を解決するために、上記光電子放出手段に付着した上記現像剤が所定箇所に向かって飛翔するように上記所定箇所にバイアス電圧を印加することにより、上記クリーニングを行うことを特徴としている。
【0027】
上記の発明によれば、所定箇所にバイアス電圧を印加し、光電子放出手段に付着した現像剤をその所定箇所に向かって飛翔するようにしてクリーニングを行うので、クリーニングにより現像剤を効率よく回収することができる。
【0028】
さらに本発明の現像装置は、上記課題を解決するために、上記バイアス電圧は矩形波であることを特徴としている。
【0029】
上記の発明によれば、バイアス電圧を矩形波とすることにより、光電子放出手段に付着した現像剤の所定箇所への回収効率が向上し、それだけ光電子の放出量を低下させなくてすみ、現像剤のより安定した帯電が可能になる。
【0030】
さらに本発明の現像装置は、上記課題を解決するために、上記バイアス電圧の印加中は、上記光照射手段から上記光電子放出手段に光を照射することを特徴としている。
【0031】
上記の発明によれば、所定箇所へのバイアス電圧の印加中に光照射手段から光電子放出手段に光を照射するので、光電子放出手段からは光電子が発生する。この光電子を発生源とする電子が、光電子放出手段に付着している現像剤に付着すれば、電位関係を利用して、所定箇所に印加したバイアス電圧によって現像剤を所定箇所に吸引することができ、それだけ光電子放出手段のクリーニング効率が向上する。
【0032】
さらに本発明の現像装置は、上記課題を解決するために、上記静電潜像の担持体に上記現像剤を供給する現像ローラを備え、上記所定箇所は上記現像ローラであることを特徴としている。
【0033】
上記の発明によれば、バイアス電圧を印加する所定箇所を、静電潜像の担持体に現像剤を供給する現像ローラとするので、静電潜像の現像を行う部材をクリーニングによる現像剤の回収にも用いることとなり、現像剤の回収用部材を別途設ける必要がない。また、現像ローラで現像剤を回収するので、回収した現像剤をそのまま画像形成に用いることができ、回収した現像剤のリサイクル用部材を別途設ける必要がない。
【0034】
さらに本発明の現像装置は、上記課題を解決するために、上記静電潜像の担持体は感光体であり、上記クリーニング時に、上記感光体の帯電電位を、上記現像ローラから飛翔しようとする上記現像剤を上記現像ローラ側へ押し戻す電位とすることを特徴としている。
【0035】
上記の発明によれば、静電潜像の担持体として感光体を備える画像形成装置においては感光体を所定の電位に帯電させるが、クリーニング時に、感光体の帯電電位を、現像ローラから飛翔しようとする現像剤を現像ローラ側へ押し戻す電位とするので、現像ローラへのクリーニング用のバイアス電圧の印加時に、現像ローラから感光体に向かって現像剤が飛翔して感光体に付着するのを防止することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1ないし図5に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0037】
まず、本発明の現像装置を適用する電子写真装置(画像形成装置)のプロセス部の概略構成を図1を参照しながら説明する。
【0038】
図1に示す電子写真装置は、感光体ドラム2、帯電ローラ3、露光手段(図示せず)、本発明の実施形態である現像装置10(詳細は後述する)、転写用放電ローラ4、クリーニング手段(図示せず)、除電手段(図示せず)、および、定着装置5などを備えている。なお、図1において、Lは上記露光手段からの光ビームを示しており、この光ビームが感光体ドラム2の表面に照射されることによって感光体ドラム2表面に静電潜像が書き込まれる。また、Pは記録用紙を示している。
【0039】
感光体ドラム2は、所定方向(図1に示す矢印A方向)に回転しており、その外周表面が帯電ローラ3によって均一帯電される。均一帯電された感光体ドラム2の感光体表面には、露光手段により画像データに応じて制御される光ビームLが照射され静電潜像が形成される。感光体ドラム2の感光体はこの静電潜像を担持する担持体である。
【0040】
感光体ドラム2上に形成された静電潜像は、感光体ドラム2の回転によって、現像装置10と対向する位置まで移動し、現像装置10によって現像剤であるトナーが供給されて可視化される(感光体ドラム2上にトナー像が形成される)。このとき、現像装置10の現像ローラ13は、感光体ドラム2に供給するトナーを担持搬送するために所定方向(図1に示す矢印B方向)に回転している。
【0041】
なお、感光体ドラム2は有機光半導体で構成されており、−700V(帯電ローラ3による帯電量)に帯電して、周速度が50mm/sでA方向に回転している。現像ローラ13は、円筒状の導電性ゴム弾性材料で構成されており、−400Vの現像バイアスがバイアス印加部20にて印加され、感光体ドラム2と等しい周速度でB方向に回転している。供給ローラ12は、円筒状の発泡性ゴム弾性材料で構成されており、感光体ドラム2と等しい周速度でB方向に回転している。
【0042】
転写用放電ローラ4は、感光体ドラム2上に現像によって形成されたトナー像を記録用紙Pに転写する。感光体ドラム2の回転方向における転写用放電ローラ4の下流側には、さらにクリーニング手段および除電手段(ともに図示せず)が配置されている。クリーニング手段は転写後の感光体ドラム2表面の残留トナーを除去し、また、除電手段は感光体ドラム2表面の除電を行う。
【0043】
そして、トナー像が転写された後の記録用紙Pは定着装置5に搬送され、その記録用紙Pが、上下一対の定着装置5の間を通過する際に加熱および加圧を受けてトナー像が記録用紙P上に定着される。
【0044】
次に、本発明の実施形態である現像装置10について説明する。
【0045】
現像装置10は、図1に示すように、感光体ドラム2と対向するように配置され、その感光体ドラム2の表面に形成される静電潜像を、例えば1成分系の非磁性よりなるトナーを現像剤として用いて現像する。
【0046】
現像装置10は、トナーを収容する容器状の現像槽11、供給ローラ12、現像ローラ13、およびトナー規制ブレード14などを備えている。
【0047】
供給ローラ12は、現像装置10内に配置されており、現像ローラ13と互いに外周面同士が対面するように回転可能に連設され、現像槽11内のトナーを現像ローラ13の外周面に供給する手段である。
【0048】
現像ローラ13は、現像装置10内に感光体ドラム2と対向する箇所にて回転可能に配置されており、供給ローラ12により供給されたトナーを感光体ドラム2に向けて担持搬送する担持体である。
【0049】
トナー規制ブレード14は、現像ローラ13の回転方向に対し、供給ローラ12の下流側で、かつ感光体ドラム2の上流側にて現像ローラ13と接触して配置され、現像ローラ13表面に形成されるトナー層を層厚規制するブレードである。
【0050】
さらに、現像装置10は、感光体ドラム2に供給されるトナーを所定の電荷量に帯電させるためのトナー帯電部材(帯電手段)として、トナー規制ブレード14の一部に形成された電子放出部(光電子放出手段)15と、電子放出部15に対して紫外線を照射する紫外線照射器(光照射手段)16とを備えている。なお、トナー帯電部材の詳細については後述する。
【0051】
次に、現像装置10の現像過程を説明する。
【0052】
現像装置10では、上述したように、供給ローラ12より現像ローラ13表面にトナーを順次供給して、現像ローラ13がトナーを保持した状態で回転運動する。これにより、現像ローラ13によって搬送されるトナーが、現像ローラ13とトナー規制ブレード14との接触領域Wsに送られ、現像ローラ13上のトナーの層厚が規制される。なお、接触領域Wsは、トナー規制ブレード14の先端に設けられている。
【0053】
トナー規制ブレード14にて現像ローラ13上に層厚規制されたトナーは、電子放出部15および紫外線照射器16によって電荷が与えられ、現像に必要な帯電量まで帯電される。すなわち、トナー規制ブレード14に形成された電子放出部15に対して紫外線照射器16から紫外線を照射することによって、光電効果によって電子放出部15から光電子が誘起される。この光電子は現像ローラ13上のトナーに向けて放出され、トナーが所定の帯電量に帯電する。なお、紫外線照射器16の発光を、現像ローラ13の回転と同期させるようにすれば、電力消費の増加につながる不必要な発光を抑制できて好ましい。また、図示はしないが、電子放出部15と紫外線照射器16との間は、トナーが入り込んで光照射の障害とならないようにシールされることが好ましい。
【0054】
電子放出部15は、トナー規制ブレード14上の接触領域Wsとは別の位置に形成されており、電子放出部15は現像ローラ13上のトナーとは非接触となっている。このため、トナーに対して無負荷の状態で帯電を行うことができる。従って、この実施形態の現像装置10においては、トナー規制ブレード14は、現像ローラ13に対して、少なくともトナーの層厚規制に必要な程度の力にて圧接されていればよく、トナー規制ブレード14によるトナーへの加圧力および熱的負荷を大幅に低減することができる。
【0055】
また、電子放出部15の形成領域は、現像ローラ13とは完全に非接触であるため、その表面粗さがトナーの層形成に影響を及ぼすことがなく、従って、電子放出部15の表面粗さが設計上の制約を受けることはない。
【0056】
そして、所定の帯電量まで帯電されたトナーは、さらに現像ローラ13の回転によって感光体ドラム2との対向部まで送られ、感光体ドラム2の表面上の静電潜像に対して静電的に供給され、その静電潜像をトナー像として現像(可視化)する。
【0057】
次に、この実施形態の特徴部分であるトナー規制ブレード14の具体的な構成を図2を参照しながら説明する。
【0058】
トナー規制ブレード14は、例えば、基材としてステンレス(すなわち、導電性基材)を使用しており、電子放出部15が形成される領域には、図2(a)および(b)に示すように、エッチング加工等により複数の開口部151が設けられている。さらに、電子放出部15が形成される領域には、光電面152として金や白金などの薄膜が蒸着法等によって積層されている。
【0059】
なお、図2(a)に示す構造では、開口部151の形状を円形としているが、これに限定されることなく、開口部の形状は四角形や三角形等の他の任意の形状であってもよい。さらに、開口部はスリット形状であってもよい。
【0060】
また、電子放出部15の光電面152を形成する材料は、金や白金に限定されるものではなく、光の照射を受けたときに光電効果が生じるものであればよく、例えば、Taなどの金属、Mg−Agなどの合金、半導体、導電ポリマーなどであってもよい。また、電子放出部15の光電面152は、図2(b)に示すように、トナー規制ブレード14の両面に形成されている必要はなく、少なくとも紫外線照射器16との対向面側(光照射面側)に形成されていればよい。
【0061】
さらに、電子放出部15に照射する光は、紫外線に限定されるものではなく、光電面152を構成する材料に対して光電効果を起こし得る波長を有するものであれば、可視光線やX線等であってもよい。
【0062】
そして、以上の構造のトナー規制ブレード14において、電子放出部15の光電面152に紫外線が照射されると、光電面152にて光電効果による光電子が誘起される。この光電子は、主に、紫外線の照射面側、すなわち、紫外線照射器16との対向面側において発生するものであるが、発生した光電子の一部は、電子放出部15の開口部151を通って現像ローラ13との対向面側からトナーに向けて放射され、トナーの帯電に寄与する。
【0063】
ここで、電子放出部15が電気的にフロートの状態であれば、電子放出部15の光電面152が光電子を放出しつづけることができないので、光電面152から放出した分の電子を外部から供給できる構成とするとよい。これを実現する手段としては、電子放出部15が、ステンレスからなるトナー規制ブレード14の導電性基材上に光電面152として金や白金の薄膜を蒸着した構成である点を利用して、トナー規制ブレード14の導電性基材を接地するという構成を採用すればよい。なお、この場合に、現像ローラ13とトナー規制ブレード14の接触領域Wsとの間にトナーが介在すれば、現像ローラ13とトナー規制ブレード14との間の絶縁構造を特に設ける必要はなく、さらに現像ローラ13とトナー規制ブレード14との間に電位差(現像ローラ13側が電位が高い)が存在すれば、現像ローラ13上にトナー層を形成することができる。
【0064】
以上のように、この実施形態の現像装置10によれば、紫外線照射器16から電子放出部15に紫外線が照射されると電子放出部15は光電子を放出し、この光電子を発生源とする電子、すなわちここでは光電子そのもの(場合によっては光電子による衝突電離などで発生した電子が含まれていてもよい)がトナーに付与され、トナーが効率よく帯電する。これにより、安定したトナーの帯電が可能となり良好な画像が得られる。
【0065】
従って、トナーに対して従来のように摩擦帯電という機械的な帯電を行う必要がなく、熱的負荷などのストレスを与えることなく帯電を行うことが可能となる。また、トナーとしてホトクロミック化合物などの特殊な構成を用いない従来のトナーに対して光照射によって十分な帯電を行うことができる。
【0066】
また、トナー規制ブレード14の圧接力を、従来の摩擦帯電方式を用いた現像装置に比べて大幅に低くすることができる。これにより、トナー規制ブレード14によるトナーへの加圧力および熱的負荷が大幅に低減され、トナー破壊やトナー規制ブレード14へのトナー融着といった不具合を回避することができる。
【0067】
この結果、現像装置10は、トナーの劣化防止、即ちトナーの破壊やブレードヘの融着防止を可能とし、現像の信頼性を向上させることができる現像装置、特に、定着エネルギーを削減するために軟化点を低減したトナーや、着色力を高めるために顔料部数を増加させたトナーにも適合できる現像装置となる。
【0068】
なお、電子放出部15のクリーニングについては後述する。
【0069】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図3ないし図7に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、前記実施の形態1で述べた構成要素と同一の機能を有する構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0070】
実施の形態1に係る現像装置10では、光電効果によって光電面152から誘起された光電子は、電子放出部15の開口部151を通って現像ローラ13との対向面側からトナーに向けて放射される。上記構成において、トナー規制ブレード14の光照射面側で発生する光電子のうち、開口部151を通過しないものがある場合には、該開口部151を通過しない光電子はトナーの帯電には寄与しない。
【0071】
本実施の形態では、このような開口部151を通過しない光電子を極力減少させて、トナー帯電効率を向上させることのできる現像装置の好適例を説明する。その具体的な構成を以下に説明する。
【0072】
この実施形態の現像装置10’は、図3に示すように、前記した図1の現像装置10の構成において、トナー規制ブレード14をトナー規制ブレード14’に替えるとともに、トナー規制ブレード14’にバイアス印加部19を接続してトナー規制ブレード14’と現像ローラ13との間に電気的バイアス(グリッド電圧)を印加するように構成している。その他の構成は、図1に示す現像装置10と同じである。
【0073】
なお、この実施形態において、バイアス印加部19はトナー規制ブレード14’の基材に接続している。また、現像ローラ13側のバイアス印加手段は、感光体ドラム2と現像ローラ13との間に現像バイアスを印加するためのバイアス印加部20をそのまま兼用している。
【0074】
次に、この実施形態に用いるトナー規制ブレード14’の具体的な構成を図4を参照しながら説明する。
【0075】
トナー規制ブレード14’は、図2に示したトナー規制ブレード14とほぼ同様の構成であるが、図4(b)に示すように、現像ローラ13との接触領域Wsに絶縁層17および金属層18が設けられている点が異なる。それ以外の構成つまりトナー規制ブレード14’上に形成される電子放出部15の構成などは、図2のトナー規制ブレード14と同じである。
【0076】
このようにトナー規制ブレード14’に絶縁層17および金属層18を設けているのは次の理由による。
【0077】
まず、この実施形態の現像装置10’では、トナー規制ブレード14’と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加するので、トナー規制ブレード14’の導電性基材と現像ローラ13とが直接接触する構成であると、トナー規制ブレード14’と現像ローラ13との間が導通するので、電気的バイアスを印加することができなくなる。これを解消するために、この実施形態では、現像ローラ13とトナー規制ブレード14’の基材との間を絶縁する絶縁層17を設けている。絶縁層17としては、例えば上記基材の上にフッ素樹脂を厚さ80μmで積層したフッ素樹脂層が挙げられる。
【0078】
また、金属層18は、現像ローラ13の表面において均一なトナー層が形成されるように、現像ローラ13との接触面において適切な硬度や表面粗さを提供するものである。金属層18としては、例えば、厚さ20μmのステンレスを積層した金属層が挙げられる。
【0079】
なお、現像ローラとトナー規制ブレードとの間を絶縁する構成としては、トナー規制ブレード側に絶縁層を設ける構成に限定されるものではなく、導電性基材からなる現像ローラの外周層に、例えばゴム等の絶縁層を設ける構成であってもよい。
【0080】
そして、以上の構成の現像装置10’では、トナー規制ブレード14’と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加することにより、以下の2つの作用(1)および(2)によって帯電効果を向上させることができる。
【0081】
(1)上記電気的バイアス(グリッド電圧)を印加すると、トナー規制ブレード14’と現像ローラ13との間に電界が発生する。このとき、トナー規制ブレード14’の電子放出部15における開口部151付近においては、図5に示すような電気力線(図中、破線にて示す)が発生する。このため、電子放出部15の光電面152において、開口部151付近で発生した光電子は、上記電気力線に沿って移動し、開口部151を通過して現像ローラ13側に引き寄せられる。すなわち、電子放出部15から発生した光電子をトナーの帯電に効率的に使用することができる。
【0082】
(2)現像ローラ13側に引き寄せられた光電子は、上記電界の作用によって加速される。そして加速された電子が、気体分子に衝突すると、その気体分子が電子を放出してイオン化する。このとき、気体分子より放出された電子も同様の作用を生じるため、気体中の電子が急激に増加する、いわゆる電子なだれの現象が発生する。この電子なだれによって生じた電子もトナーの帯電に寄与するため、帯電効率が大幅に向上する。
【0083】
ここで、この実施形態において、現像ローラ13とトナー規制ブレード14’と間の電気的バイアスは、電界強度が1.0×106V/m〜6.0×106V/mとなる範囲で印加する。このような範囲の電界強度の電気的バイアスを印加した場合について、所望の帯電量(−2.0×10-2μC/kgとする)が得られるときの電界強度とプロセス速度の関係を図6に示す。
【0084】
この図6から明らかなように、上記電気的バイアスの電界強度を上げることによって所望の帯電量が得られるプロセス速度も向上しており、上記範囲の電気的バイアスを印加する場合、プロセス速度50mm/s〜200mm/sに相当する程度にまでトナー帯電が可能になることがわかる。
【0085】
次に、トナー規制ブレード14’による加圧力とトナーの帯電特性との関係を図7に示す。図7には、電子放出部15の開口部151のパターン条件を、開口率:40%、開口部151の内径:φ200μmとし、現像ローラ13とトナー規制ブレード14’との間に5×10-6V/mの電気的バイアスを印加した状態で、電子放出部15に紫外線照射器16から波長254nmの紫外光を照射したときのデータを示している。なお、上記開口率とは、電子放出部15の形成領域の面積に対する開口部151の面積(開口面積)の比率である。
【0086】
図7から明らかなように、従来の摩擦帯電方式では、トナーの所望の帯電量(−2.0×10-2μC/kg)を得るには、約196kPaの加圧力が必要であるのに対し、本発明の帯電方式では、従来の摩擦帯電方式に必要な加圧力の1/4、すなわち約49kPaの加圧力で所望の帯電量が得られることがわかる。
【0087】
以上のように、この実施形態の現像装置10’によれば、紫外線照射器16から電子放出部15に紫外線が照射されると電子放出部15は光電子を放出し、この光電子を発生源とする電子、すなわち光電子そのものや、光電子による衝突電離などで発生した電子がトナーに付与され、トナーが効率よく帯電する。これにより、安定したトナーの帯電が可能となり良好な画像が得られる。
【0088】
従って、トナーに対して従来のように摩擦帯電という機械的な帯電を行う必要がなく、熱的負荷などのストレスを与えることなく帯電を行うことが可能となる。また、トナーとしてホトクロミック化合物などの特殊な構成を用いない従来のトナーに対して光照射によって十分な帯電を行うことができる。
【0089】
また、トナー規制ブレード14’の圧接力を、従来の摩擦帯電方式を用いた現像装置に比べて大幅に低くすることができる。これにより、トナー規制ブレード14によるトナーへの加圧力および熱的負荷が大幅に低減され、トナー破壊やトナー規制ブレード14’へのトナー融着といった不具合を回避することができる。
【0090】
この結果、現像装置10’は、トナーの劣化防止、即ちトナーの破壊やブレードヘの融着防止を可能とし、現像の信頼性を向上させることができる現像装置、特に、定着エネルギーを削減するために軟化点を低減したトナーや、着色力を高めるために顔料部数を増加させたトナーにも適合できる現像装置となる。
【0091】
なお、電子放出部15のクリーニングについては後述する。
【0092】
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施の形態について、図8に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、前記実施の形態1および2で述べた構成要素と同一の機能を有する構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0093】
前記した実施の形態1および実施の形態2では、トナー規制ブレード14またはトナー規制ブレード14’の電子放出部15において、開口部151のブレード断面における形状が直方形状(図2(b)参照)となっている。すなわち、開口部151の光照射面側の開口面積と、現像ローラ13との対向面側の開口面積とが等しくなっている。
【0094】
これに対し、この実施形態では、トナー規制ブレードの電子放出部における開口部の形状を、光照射面側の開口面積が現像ローラ13との対向面側の開口面積よりも大きくなるような形状とすることで、電子放出部15における受光領域の面積を大きくして、光電子の発生量の増加をはかっている点に特徴がある。
【0095】
この実施形態に用いるトナー規制ブレード21の具体的な構成を図8を参照しながら説明する。
【0096】
図8(a)および(b)に示すトナー規制ブレード21は、例えば、基材としてステンレス(すなわち、導電性基材)を使用しており、その一部に電子放出部(光電子放出手段)22が形成されている。電子放出部22の形成領域には、複数の開口部221が設けられており、さらに、光電面222として金や白金の薄膜が蒸着法等によって積層されている。
【0097】
ここで、電子放出部22の開口部221は、光照射面側の開口直径φDと、現像ローラ13との対向面側の開口直径φdとがφD>φdであり、光照射面側からローラ対向面側に向かうに従って開口面積が小さくなるような、すり鉢形状(円すいテーパ形状)に成形されている。このような形状の開口部221をトナー規制ブレード21に形成することは、例えばブレード基材の片面エッチングによって可能である。なお、図2に示すようなストレートの開口部151は両面エッチングを行った場合に得られるものである。
【0098】
また、電子放出部22の光電面222は、電子放出部22において、少なくともトナー規制ブレード21の光照射面側と開口部221の内面(円すいテーパ面)とに形成されていればよい。
【0099】
そして、電子放出部22を以上のような形状とすることにより、電子放出部22に照射された光は、光電面222に加えて開口部221の内面で受光されるので、電子放出部22における受光領域の面積を拡大することができる。これにより光電子の発生量が増加する結果、トナー帯電の安定化をはかることができる。
【0100】
なお、電子放出部22の開口部221は、[光照射面側の開口面積]>[現像ローラ13との対向面側の開口面積]の関係を満足するのであれば、その形状は特に限定されるものではなく、前記した実施の形態1および実施の形態2における電子放出部15の場合と同ように任意の形状を採用することができる。
【0101】
また、この実施形態において、トナー規制ブレード21は、図1に示す現像装置10のように、トナー規制ブレード21と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加しない構成としてもよいが、図3に示す現像装置10’のように、現像ローラ13との接触領域Wsに絶縁層を設け、トナー規制ブレード21と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加する構成とするのが好ましい。
【0102】
以上のように、この実施形態の現像装置によれば、紫外線照射器16から電子放出部22に紫外線が照射されると電子放出部22は光電子を放出し、この光電子を発生源とする電子、すなわち光電子そのものや、光電子による衝突電離などで発生した電子がトナーに付与され、トナーが効率よく帯電する。これにより、安定したトナーの帯電が可能となり良好な画像が得られる。
【0103】
従って、トナーに対して従来のように摩擦帯電という機械的な帯電を行う必要がなく、熱的負荷などのストレスを与えることなく帯電を行うことが可能となる。また、トナーとしてホトクロミック化合物などの特殊な構成を用いない従来のトナーに対して光照射によって十分な帯電を行うことができる。
【0104】
また、トナー規制ブレード21の圧接力を、従来の摩擦帯電方式を用いた現像装置に比べて大幅に低くすることができる。これにより、トナー規制ブレード21によるトナーへの加圧力および熱的負荷が大幅に低減され、トナー破壊やトナー規制ブレード21へのトナー融着といった不具合を回避することができる。
【0105】
この結果、本実施の形態の現像装置は、トナーの劣化防止、即ちトナーの破壊やブレードヘの融着防止を可能とし、現像の信頼性を向上させることができる現像装置、特に、定着エネルギーを削減するために軟化点を低減したトナーや、着色力を高めるために顔料部数を増加させたトナーにも適合できる現像装置となる。
【0106】
なお、電子放出部22のクリーニングについては後述する。
【0107】
以上、各実施の形態について述べた。
【0108】
次に、実施の形態1の現像装置10および実施の形態2の現像装置10’が備える電子放出部15や、実施の形態3で述べた現像装置の電子放出部22に、トナーが付着した場合の電子放出部15・22のクリーニングについて説明する。
【0109】
上記現像装置では、上述したように、供給ローラ12より予備帯電が行われたトナーを現像ローラ13の表面にトナーを順次供給して、現像ローラ13がトナーを保持した状態で回転運動する。これにより、現像ローラ13によって搬送されるトナーが、現像ローラ13とトナー規制ブレード14との接触領域Wsに送られ、現像ローラ13上のトナーの層厚が規制される。
【0110】
しかし、現像装置の内部では各ローラの回転や、トナーの攪拌によりトナーがクラウド状態であるので、電子放出部15・22にトナーが付着することがある。また、ローラによるトナー攪拌時にトナーが逆帯電することによって、電子放出部15・22に付着しやすくなる。
【0111】
電子放出部15・22にトナーが付着すると電子放出部15・22からの光電子の放出量が低下するので、トナーに付与する光電子量が低下し、現像に必要な帯電量が得られなくなる可能性があるので、本発明の実施の形態では、電子放出部15・22からの光電子放出量を安定させるために電子放出部15・22のクリーニングを行うようにしている。
【0112】
電子放出部15・22のクリーニングには、図3で示す現像ローラ13に現像バイアスを印加するバイアス印加部20のような現像バイアス用電源、もしくはバイアス印加部19のようなトナー規制ブレード用電源を用いる。この現像バイアス用電源やトナー規制ブレード用電源から、DC電圧、AC電圧、もしくはDC電圧にAC電圧を重畳した電圧を印加することにより電気的に電子放出部15・22のクリーニングを行うことが可能である。電子放出部15・22に付着したトナーのクリーニングには、バイアス電圧による電界の作用を用いる。このように、現像ローラ13単独、トナー規制ブレード14・14’・21単独、またはそれらの組合せは、電子放出部15・22に付着したトナーのクリーニング手段として機能する。また、クリーニング手段としては上記以外にも電圧を印加することによる電界の作用で付着トナーを除去することにできるものであれば何でもよい。
【0113】
なお、本発明の実施の形態のようにクリーニング手段の全部あるいは一部に現像ローラ13を用いる場合には、現像時とクリーニング時とではバイアス電圧の設定が異なるので、例えば、画像形成の現像工程において、バイアス印加部20により現像ローラ13にクリーニング用のバイアス電圧を印加すると、感光体へのトナーの付着量が多くなり、カブリ現象となって良好な画像が得られない。
【0114】
そこで、電子放出部15・22のクリーニングを行う際には、画像形成の現像工程以外で電子放出部15・22のクリーニングを行って、現像に影響を与えないようにするのが最適である。なお、現像工程以外であっても、現像ローラ13へ印加するバイアス電圧や感光体ドラム2の表面電位によっては、現像ローラ13上のトナーが感光体ドラム2に付着する恐れがあるので注意する必要がある。具体的なクリーニング方法や感光体ドラム2の電位については後述する。
【0115】
以下に、クリーニングに用いる電圧の特性や電子放出部15・22のクリーニング手法について、本件出願人による感光体のクリーニングに対する洞察を参考にしながら詳細に説明する。
【0116】
▲1▼.印加する電圧の種類
クリーニングを行う場合には、クリーニングを必要とする残留トナーの極性とは逆極性の電圧を印加することによって、電界で残留トナーを吸引させる。
この方法を用いて、クリーニング部材に単純にDC電圧を印加すると、印加するスタート時には0Vと印加電圧との電位ギャップが生じるので、トナーが飛翔し、クリーニングを行うことが可能となる。しかし、継続して電圧印加を行ったときは、感光体ドラム2の表面電位(本実施例では概ね−700V)とトナーの飽和帯電量(20μC/g〜30μC/g)との関係で感光体ドラム2に吸着されている残留トナーを引き剥がすクリーニング電位が必要となる。
【0117】
そこで、感光体ドラム2の帯電極性と逆極性で強い電圧をクリーニング部に印加すると、感光体の(+)極性メモリ(印字では地肌カブリの発生)が招来し、印字品位の低下、もしくは感光体ドラム2の感光層の破壊を招来することとなる。
【0118】
従って、如何にして印加するクリーニング電圧を低くしながら効率よいクリーニング性能を得るかを以下に説明する。
【0119】
▲2▼.ACの重畳方法
通常上記のような問題が発生するときは、DC成分の印加に対しAC電圧を重畳する手法が現像方式のジャンピング現像等で多く採用されている。本発明の実施の形態においても、低電位で効率よくクリーニングする為にDC+ACの検討を行い以下の結果を得た。
【0120】
図9(a)〜(c)にはDCにACを重畳したときの電圧の極性を図示する。図9(a)は単純にAC電圧を印加した状態を示しており、印加時の極性は0Vを中心として(+)極性、(―)極性が同一レベルである。このとき、図10(a)に示すように、感光体ドラム2の感光体2a上のトナーは感光体2aとクリーニング部材51との間を往復飛翔するだけであって、感光体2aのクリーニングを行うことができず、次工程の帯電部に残留トナーが搬送され、帯電不良、印字不良を招来する。
【0121】
次に、図9(b)はAC電圧を印加した状態を示しており、印加時の極性は0Vを中心として(+)極性側にシフトし、図9(a)に比し、(―)極性での印加が少なくなっている。このとき、感光体2a上のトナーは図10(b)に示すように、感光体2aとクリーニング部材51との間を往復飛翔し、粒子径の大きいトナー(一般的に単位表面積当りの電荷量は小さい)は飛翔しつつクリーニング部材51に吸着されるが、粒子径の小さいトナー(一般的に単位表面積当りの電荷量は大きい)は感光体2aの表面に吸着されることとなり、感光体2aのクリーニングにムラが発生する。
【0122】
次に、図9(c)はAC電圧を印加した状態を示しており、印加時の極性は(+)極性だけが発生し、(―)極性の印加をなくした状態である。このとき、感光体2a上のトナーは図10(c)に示すように、トナーの粒子径の大小に関係なく、感光体2aとクリーニング部材51との間を往復飛翔しながらクリーニング部材51に吸着される。このとき、粒子径の小さいトナーの方がクリーニング部材51への到達時間が長くなることは上記説明から判断される。
【0123】
▲3▼.ACの波形
上記AC重畳における印加するACの波形について説明する。
通常AC重畳時はサイン波の印加を行うのが一般的であるが、本発明の実施の形態では図11(a)〜(c)に示すサイン波、三角波、矩形波を用いてクリーニングを検討した。
【0124】
図11(a)のサイン波は、瞬時の電位変化がなだらかで、感光体2a上に付着する残留トナーを感光体2aから剥離・飛翔させるには電位変化が少なくクリーニング不良が発生する。また、図11(b)の三角波はサイン波に比較すると若干良好であるが、上記サイン波と同様の理由から部分的なクリーニング不良を招来することが判明した。
【0125】
他方、図11(c)の矩形波については、前記両波形に比較し、数段良好なクリーニングが行われることが判明した。この理由は、矩形波の場合、電位の変移点で急激に電位変動が生じ、感光体2a上に吸着する残存トナーをクリーニング部材51側に剥離・飛翔させることとなるためと判断される。
【0126】
▲4▼.矩形波の印加周波数と印加サイクル
以下に矩形波の印加とその周波数について記載する。
【0127】
上記のジャンピング現像方式等では重畳するACの周波数を数100Hz〜数1000Hzとした現像方式を採用している。この理由は、ジャンピング現像では、現像スリーブ上のトナーを感光体2aの現像領域(現像ニップ部)でトナークラウド状態とするとともに、トナークラウドとなったトナーを感光体2aの表面電位(画像情報)に応じて感光体2aへ付着させることと、現像スリーブへの返還とを行っており、一定の現像濃度を得る為に高周波のACを重畳しトナーの動きを活発化させている。
【0128】
しかし、クリーニングを行う場合にACを重畳するときは、感光体2a上の残存トナーを一方的にクリーニング部材51に飛翔させればよく、上記ジャンピング現像のように高周波のACは不要である。すなわち、印加時間に対し、クリーニングされるトナーが吸着される周波数が必要であり、その周波数において、残存トナーがクリーニング部51に飛翔することが不可欠である。表1に、周波数によるクリーニング性能の相違を明確にするために用いた平行平板での検討結果を示す。
【0129】
表1の検討では、一方の平行平板に飽和帯電したトナーを0.5mg均一に散布し、平板に模擬電圧(―800V)を印加し、対向平板との空隙距離を0.5mmに設定し、対向平板には上記表の周波数の矩形波で印加電圧の最大電圧が+1500V、最小電圧が+250Vとなるものを2秒間印加した。
この結果より、低周波数では、同一電界を印加しても、残存トナーを対向平板まで飛翔させるにいたる電界は発生しないが、大凡、30Hzを超える位から残存トナーをクリーニング可能であることが判明した。また、周波数が150Hzを超えると残存トナーは平行平板からは剥離するが、矩形波のPeak−Peakの間で空隙の間を飛翔し続け、後述の矩形波のOFFタイミングで平行平板に戻るときと、対向電極にクリーニングされるときとが生じる。また、上記空間で反復飛翔を行っているときに、トナーは完全球体でない為、飛翔方向が変化し、両平行平板から離脱するトナーが発生する。
【0130】
さらに、最大電圧および最小電圧は、矩形波の印加中に印加極性が変化しないようにすることと、印加電圧が高すぎたときに発生する気中放電を未然に防ぐ最大電圧とすることとを考慮して設定した。
【0131】
【表1】
Figure 0004108516
【0132】
また、クリーニングの実施サイクルは、クリーニングするべき部材(感光体2a、電子放出部15・22、制御電極等々)が固定式である場合と、回転式である場合とでは異なる。感光体2a上の残留トナーのクリーニングを行うときは感光体ドラム2が回転を始めてから連続したクリーニングが必要であるが、光誘起帯電の電子放出部15・22やダイレクトトーニング方式の制御電極等の、移動しない部材のクリーニングは、前記矩形波を1回につき数サイクル〜10数サイクルだけ印加するクリーニングとすべきである。すなわち、大量のクリーニングするべきトナーを一度に飛翔させるとトナー同士が衝突することによってトナーの帯電極性、帯電量の変化が生じるのでこれを防止するために、また、衝突によってトナーの(クリーニング部材51へ向かうはずの)飛翔方向が変移して装置の機内飛散等の不具合が発生するのを解消するために、クリーニングにおいて電圧を所定サイクル数ずつに分割して印加する。この方がクリーニング効率の向上が図れる。
【0133】
▲5▼.矩形波のOFFタイミング
上記クリーニング対象部材が固定式である場合の、矩形波を印加する残存トナーの各クリーニングにおいては、各クリーニングの終了タイミング、すなわち印加した電圧をOFFにするタイミングが重要である。すなわち、矩形波のPeak−Peak間には立ち上がりおよび立ち下がりがあるので、トナーのクリーニング対象部材への付着を促進する電圧変化が生じるときと、クリーニング部材51への付着を促進する電圧変化が生じるときとの両方がある。従って、矩形波の印加OFFタイミングを、トナーのクリーニング部材51への付着促進タイミングの後であって、その次のクリーニング対象部材への付着促進タイミングよりも前とするのが好ましい。
【0134】
以上、感光体2a上に残存する残留トナーのクリーニング手法を参考にして、▲1▼〜▲5▼でクリーニング対象部材に付着したトナーのクリーニングに対する考え方を説明した。この考え方のように、クリーニング用の印加電圧(以下、クリーニング電圧と称する)を用いることによって残留トナーのクリーニングを容易に行うことができ、さらに、装置におけるトナーの機内飛散の解消、並びにクリーニング機構の簡素化が可能になることが理解できる。
【0135】
次に電子放出部15・22に付着するトナーのクリーニングサイクル(方法)について、以下に詳細に説明する。
【0136】
まず、クリーニング電圧としてDC電圧を印加することにより行う付着トナーのクリーニングサイクルの一例を図12(a)に示す。同図のクリーニングは、電子放出部15・22がトナーによって汚れた時点(光電面の汚れが図中のZとなるポイント)でクリーニングする手法である。初期状態のA1ポイントから現像装置10・10’の使用などによって光電面の汚れが角度θ1で増加するが、この汚れがZに達したB1ポイントでクリーニングを行う。その結果、光電面の汚れが低減されてA2ポイントとなり、そこからまた光電面の汚れが角度θ1で増加し、Zに達したB2ポイントでクリーニングを行うというサイクルを繰り返す。ここでは、各クリーニング間の時間を少しでも長くし、電子の放出によるトナーの帯電効率をよくすることを目的としてクリーニングサイクルの決定がなされる。
【0137】
図12(a)のサイクルでクリーニングを行う場合の、電子放出部15・22へのトナーの付着状況を図示したものが図13である。
【0138】
図13においては、初期状態(A1ポイント)の電子放出部15・22には汚れがなく、印字要求が開始することによる現像スリーブの回転、並びに現像スリーブの周辺に配置される層厚規制部材(ブレード)との摩擦によって飽和帯電に至らないトナーが現像スリーブから離脱して浮遊し、電子放出部15・22に付着する。この現象は、前記説明の光照射によって多量の電子を放出する電子放出面に初期からのトナー付着はないが、光照射のない現像ローラ13側に初期状態で付着し、電子放出部15・22の現像ローラ13側の付着が多くなると光照射面側にも浮遊トナーが付着する現象となっている。
【0139】
このように、電子放出部15・22の(現像ローラ13側)→(電子放出面側)と徐々に増加する付着トナーに対し、電子放出部15・22が汚れた後のクリーニングサイクルでクリーニング電圧を現像ローラ13にバイアス電圧として印加すると、電子放出部15・22に付着するトナーは現像ローラ13側のトナーのみが現像ローラ13に飛翔し、電子放出面側のトナーは電子放出面側に残留することとなる(B1ポイント)。このような状態を継続してクリーニングを行うと(B1ポイント〜A3ポイント)、電子放出面側に残留するトナーが電子放出部15・22を遮蔽し光照射を行っても電子の放出が得られない状態、すなわち現像ローラ13上のトナーに電子を振掛けることのできない状態が発生する。
【0140】
従って、本発明の実施の形態においては図12(b)に示すように電子放出部15・22が完全に汚れる状態以前に、例えば汚れがZとなるB1ポイントの前の、汚れがY(Y<Z)となるC1ポイントでクリーニングを行って、図14に示すように現像ローラ13側にトナーが付着する初期状態でクリーニングを実行することによって、それ以降に、電子放出が良好に保てるようなクリーニングが実施可能となる。C1ポイントでクリーニングを行うと、光電面の汚れが低減されてD1ポイントとなり、そこから角度θ2(θ2<θ1)で汚れが増加していく。そして汚れがYとなるC2ポイントでクリーニングを行うというサイクルを繰り返す。なお、図12(b)におけるD1ポイントやD2ポイントが示す汚れの程度は、図12(a)でA2ポイントやA3ポイントが示す汚れの程度と比較するものとして図示したのではない。両図はクリーニングタイミングの比較を行うための図である。
【0141】
図12(a)のようにB1ポイント、B2ポイント、…でクリーニングを行うクリーニングサイクルの場合、クリーニング間隔(例えばA1ポイントからB1ポイントまでの時間経過)は、現像ローラ13の周速度が100mm/sec、トナー層厚が20μm〜30μm、現像ローラ13と電子放出部15・22とのギャップが150μmのときは、約7min〜10minとなる。
【0142】
これに対し、図12(b)のようにC1ポイント、C2ポイント、…でクリーニングを行うクリーニングサイクルの場合、クリーニング間隔(例えばA1ポイントからC1ポイントまでの時間α1経過)は、約3min〜5minとする。この図12(b)における第1回目のクリーニングを行うと、電子放出部15・22の現像ローラ13側に残留する付着トナーは後述の図15(c)のように、クリーニング電界と光照射による電子放出とによって、現像スリーブから電子放出部15・22にトナーが付着した初期状態に比べ、付着トナーの帯電量が変化する。この変化する帯電量は次工程で電子放出部15・22に向かって飛散してくるトナーを弾き飛ばす効果を有するので、電子放出部15・22へのトナーの付着を阻止して現像ローラ13に再付着させる効果が発生する。従って、図12(b)に示すように、上記第1回目のクリーニングから第2回目のクリーニングまでの間隔(A1ポイントからC1ポイントまでの時間α1)と比較して、第2回目以降のクリーニングサイクル(例えばD1ポイントからC2ポイントまでの時間α2)が長くなる(約10min〜15min)とともに、電子放出部15・22の電子放出面側へのトナー付着がなくなり、長期間に渡り安定した電子放出を行う状態が維持可能となる。
【0143】
なお、図12(b)では、電子放出部15・22へのトナー付着を図12(a)の場合よりも少くするために、クリーニング電圧の印加時間を短縮した検討結果を示しているが、他に、図12(a)の場合と同一のサイクルでクリーニングを行い、クリーニング電圧を低減する手法もある。
【0144】
次に、上記説明における、クリーニング電圧印加による電子放出部15・22上のトナーの帯電量変化について以下に説明する。本検討に際しては、各部のトナーを採取後に、「トナー帯電量分布」の測定機として一般的に用いられる、「イースパート測定機」を用いて各サンプルのトナーの帯電量分布を測定した。
【0145】
まず、現像ローラ13上で正規に電子放出部15・22から電子がトナー上に降りかかったときには、トナーは図15(a)に示す帯電量分布を示す。この帯電量分布は、従来行われている摩擦帯電方式によって帯電されるトナーの帯電量分布と略近似した帯電量分布であった。
【0146】
この図15(a)のトナーに対し、現像ローラ13の周速度、並びにトナー規制ブレード14・14’・21の摩擦力によって現像ローラ13から離脱する飛散トナーの帯電量分布を図15(b)に示す。図15(b)においては、通常、現像スリーブにはトナーの帯電極性とは逆の電圧が印加され(現像バイアス)、帯電したトナーを現像ローラ13に吸着するシステムとなっているにも関わらず飛散するトナーの帯電量分布を示している。すなわち、図15(a)に較べ、図15(b)の帯電量分布はトナーの帯電特性と逆の極性のトナー分が多く、さらに図15(a)に較べ帯電量の低いトナーがある。
【0147】
このようなトナーが現像ローラ13と電子放出部15・22との間の空隙に飛散するわけであるが、飛散中のトナーは帯電工程で前述の光照射による電子の振掛けで、その一部は現像ローラ13に戻るが、戻りきれないトナーや逆極性のトナーが電子放出部15・22の現像ローラ側に付着する。そのトナーの帯電特性を示すのが図15(c)である。付着したトナーは、図15(a)に較べ、逆極性トナーの比率が高くなっているが、その理由は上述の通りである。また、正規帯電極性のトナーの帯電量が上昇している理由は、電子放出部15・22には帯電工程で電子放出を促進する電位が印加されているため、その電界で未帯電トナーが電荷注入され帯電量が上昇したことによるものである。
【0148】
このようにして、付着したトナーを所定のサイクルでクリーニングするとその大部分は現像ローラ13に戻るが、一部は電子放出部15・22に付着したままとなる。
【0149】
クリーニングサイクルでは、上述のように現像ローラ13にACを重畳した交番電界を印加するため、トナーに強力な電荷注入が発生し、正規帯電になったトナーが、交番電界の印加中に電子放出部15・22から離脱・飛翔し現像ローラ13に付着する。このときの現像ローラ13上に付着するトナーの帯電量分布を示すのが図15(d)である。図15(d)の帯電量分布は図15(a)とよく近似していて、前記浮遊したトナーが交番電界によって正規に帯電したことを示している。
【0150】
他方、電子放出部15・22に付着し続けるトナーは、図15(c)のトナーの大部分が図15(d)のトナーとなってなくなることから、図15(e)の帯電量分布を示す。このトナーは大部分が逆極性トナーである。
【0151】
ある見方をすれば、クリーニングサイクルでの交番電界、並びに電子の振掛けによって、変質したトナーのみが電子放出部15・22の現像スリーブ側に残留したと言える。
【0152】
本発明の実施の形態においては、この変質したトナーが重要なファクターとなる。すなわち、図12(b)における第1回目のクリーニング(C1ポイント)で変質したトナーが電子放出部15・22の現像ローラ13側に残存することによって、上記の浮遊トナーが電子放出部15・22に付着することを阻止される。図15(b)と図15(e)とを対比すると、図15(e)では図15(b)と比較して逆極性トナーが多いため、浮遊するトナーが電子放出部15・22にキャッチされることなく浮遊状態となり、振掛けられる電子によって帯電量が安定して現像スリーブに戻る現象が発生している。従って、クリーニングサイクルにおけるクリーニング間隔を第2回目以降延ばすことができる。
【0153】
このようなクリーニングサイクルにおけるクリーニング電圧の印加ならびに光照射のタイミングを図示したものが図16(a)・(b)である。図16(a)は図12(a)のクリーニングサイクルに対応しており、図16(b)は図12(b)のクリーニングサイクルに対応している。図16(a)では各クリーニングタイミングにおいて矩形波のクリーニング電圧を印加するクリーニング時間はT1であり、クリーニング間隔はT2である。また、クリーニング時には電子放出部15・22には光照射を行わない。図16(b)ではクリーニング時間はT3(T3<T1)であり、クリーニング間隔はT4(T4>T2)である。クリーニング間隔T4は図12(b)の時間α2に相当している。また、クリーニング時には電子放出部15・22に光照射を行う。
【0154】
さらに、このようなクリーニングサイクルを、実際の画像形成装置の印字サイクルに導入したときのフローを示すのが図17である。
【0155】
図17を用いて、印字サイクル中の電子放出部15・22のクリーニングを説明する。
【0156】
最初に、既に起動が完了して待機状態にある電子写真装置に印字要求がなされる(S1)。印字要求を受けると装置は待機状態から印字可能状態となるため、感光体ドラム2、光学ユニット(原稿読取り用、画像情報書込み用)の初期化動作、並びに定着装置5の待機状態からの昇温工程に移行する(S2)。この印字前処理工程で現像槽のトナーの帯電極性を正規の飽和帯電とするため現像ローラ13の回転、並びに電子発生部材の一部である紫外線照射器16からの光照射、および各部材への電圧印加がなされる。
【0157】
待機状態後の印字前処理が終了すると、通常の場合、印字処理に移行するが、現像ローラ13が待機状態後の印字前処理が開始してからの回転時間を図示しない制御部で積算している(S3)。その積算時間が、図12(b)における第1回目のクリーニングを行う時間α1に到達していないときには装置の印字工程を開始して印字処理を実行する(S4)。この印字処理実行中も図示しない制御部は、現像ローラ13の回転時間を積算し(S5)、所定時間Txに到達していないときは、次印字の有無(S6)によって待機状態、もしくはS4へ戻る。
【0158】
このような、印字処理において、S3で回転時間がα1に到達していると、装置は前述の印字処理に移行する前に、電子放出部15・22の第1サイクルのクリーニングを実施する(S7)。クリーニングが前述の所定時間(T3)行われると(S8)、装置は印字処理を実行する。
【0159】
また、S5において、すなわち、印字処理中に前記制御部の現像ローラ13の回転積算時間が所定時間Txに到達すると、そのときに印字されている用紙の印字が終了後にクリーニングに移行する(S9)。このとき、所定時間Txの算出は、前記S3で時間α1が経過していないときは、第1回目のクリーニングである。すなわち図12(b)におけるA1ポイントからC1ポイントに達するまでの時間経過を積算時間とする。S3で第1回目のクリーニングサイクルが終了しているときは、第2回目以降のクリーニングに適した積算時間とする。すなわち図12(b)におけるD1ポイントからC2ポイントに達するまでの時間経過を積算時間とする。クリーニングが前述の所定時間(T3)行われると(S10)、S6に移行する。
【0160】
上述のように電子放出部15・22のクリーニングを実施することによって、電子放出部15・22の汚れ状態は常に一定以下で、さらに電子発生の主要部分である電子放出部15・22の光照射される部分に浮遊トナーの付着が防止でき、安定した電子発生による現像ローラ13上のトナーの帯電が可能となる。また、クリーニング間隔の延長、クリーニング時間の短縮、もしくはクリーニング電圧の低下が可能であるため、電子放出部15・22が受ける電界疲労が少なくなり、電子放出部15・22の長寿命化が可能となり本現像システムのロングライフ化の効果を奏する。
【0161】
さらに、浮遊トナーを効率よく回収できることによって、電子写真装置全体として見たときの装置の汚れ、すなわちトナーに起因する機内飛散が減少し、各部材を構成する駆動源等々の消耗が少なく、装置の長寿命化ができる。
【0162】
また、上述の説明では、電子写真装置が印字要求を受け付けてから行うクリーニングについて述べたが、本発明の実施の形態では、電子写真装置が印字要求を受け付ける前の、印字可能なスタンバイ状態でクリーニングを行うようにしている。印字可能なスタンバイ状態は、図17で言えばS1の前やS6の後の待機状態を指す。この印字可能なスタンバイ状態では、電子写真装置がレディ状態となっていて外部からの印字要求を待っており、印字を行うためのデータの受信は行っていない。
【0163】
印字可能なスタンバイ状態でクリーニングを行うと、クリーニングタイミングが図17のS1〜S10のような印字に関する一連の処理と重ならないので、必然的に現像工程と重ならないようにクリーニングを行うこととなる。従って、記録用紙Pや感光体2aにトナーの付着や画像の乱れを与えずにクリーニングを行うことができる。この結果、電子放出部15・22による光電子放出を用いたトナーの帯電において、クリーニングを行ってトナーをより一層効率よく帯電させようとする上で、現像への悪影響を回避することができる。
【0164】
なお、以上は電子写真装置が既に起動を完了した後におけるクリーニングの説明であったが、電子写真装置が起動しているとき、すなわち、通電が開始されてから電子写真装置が印字要求を受け付け可能な状態(前述の印字可能なスタンバイ状態)となるまでのプロセス前処理期間に、電子放出部15・22のクリーニングを行うようにしてもよい。
【0165】
電源がONとなって電子写真装置の通電が開始されて始まるプロセス前処理期間に電子放出部15・22のクリーニングを行うのは、電子写真装置の電源OFF時に電子放出部15・22にトナーが付着したり、装置搬送時の振動で電子放出部15・22にトナーが付着することが考えられるからである。図18に示すように、電源がONになるとプロセス前処理期間となり、感光体ドラム2および現像ローラ13は回転を始める。定着装置5なども規定の温度とするための動作を行う。そして例えば、感光体ドラム2および現像ローラ13が回転を始めた直後である時刻R0に電子放出部15・22のクリーニングを行う。プロセス前処理期間は時刻R2まで続き、時刻R2で印字要求を受付可能な状態となる。時刻R2以降で印字要求がなされる前までは、前述の印字可能なスタンバイ状態に含まれ、図中Readyと記載されている時点以降の状態である。この印字要求を受付可能な状態になると、電子写真装置が印字を行うためのデータを受信して即座に印字工程へ移行することができるようになる。
【0166】
このようにプロセス前処理期間に電子放出部15・22のクリーニングを行うようにすれば、電子写真装置への通電が行われる度に、電子放出部15・22からの光電子放出を妨げる付着トナーのクリーニングを行うこととなる。この通電毎のクリーニングにより、電子放出部15・22を常に画像形成開始前にトナーの付着の少ない状態とすることができるようになる。従って、トナーをより一層効率よく帯電させることができる。
【0167】
この場合、感光体2aの表面電位が低下していると、現像ローラ13に印加されたクリーニング電圧により、トナーが感光体2aに付着する恐れがあるため、帯電ローラ3によって帯電された感光体2aの部分が現像ローラ13と対向するようになった後に電子放出部15・22のクリーニングを行う。
【0168】
つまり、プロセス前処理期間が開始されると感光体ドラム2は回転を始め、それと同時に帯電ローラ3が感光体2aの帯電を開始するが、図19に示すように、通電前に帯電ローラ3から感光体ドラム2の回転下流側に向かって現像ローラ13と対向する位置まで達する領域となっていた「NL」領域は、この初期過程ではまだ帯電ローラ13を通過していないので、現像ローラ13と対向する位置を最初に通過する際には未帯電のままである。従って、「NL」領域の感光体2aの表面電位は不安定であるので、この「NL」領域が現像ローラ13と対向する位置を通過し終えるまでは電子放出部15のクリーニングを行わずに待ち、帯電が完了した部分(本発明の実施の形態では感光体表面を−700Vに帯電させる)が現像ローラ13と対向する位置に達した後で電子放出部15・22のクリーニングを行う。これにより、現像ローラ13側のトナーが感光体2aに付着することを防止することができる。
【0169】
また、プロセス前処理期間のクリーニングは、過去に電子放出部15・22に付着したと思われるトナーを除去するために行うが、プロセス前処理期間には、約5分程度のトナー攪拌が行われる。従って、プロセス前処理期間中にも電子放出部15・22にトナーが付着する可能性がある。そこで、最適には、プロセス前処理期間終了の直前である時刻R1に再度電子放出部15・22のクリーニングを行い、電子放出部15・22のリフレッシュを行う。これにより、プロセス前処理期間の最終段階でクリーニングを行うことになり、印字を電子放出部15・22にトナーが極力付着していない状態で開始することができるとともに、前述した以降のクリーニングサイクルにおけるクリーニング間隔を長くすることができてそれだけ印字ジョブ効率が向上する。
これにより、プロセス前処理期間終了後のクリーニングサイクルにおけるクリーニング間隔を長くすることができ、最適な印刷が可能となる。
【0170】
また、操作者によっていつ電子写真装置の電源がOFFにされるかは予測できないので、装置内に記憶された最終印字ジョブの終了時に電子放出部15・22のクリーニングを行うとよい。
【0171】
また、上述した全てのタイミングでのクリーニングについて言えることであるが、現像ローラ13という所定箇所にバイアス電圧を印加し、電子放出部15・22に付着した現像剤を現像ローラ13に向かって飛翔するようにしてクリーニングを行うことにより、クリーニングにより現像剤を効率よく回収することができる。そして、そのバイアス電圧を矩形波とすることにより、電子放出部15・22に付着したトナーの現像ローラ13への回収効率が向上し、それだけ光電子の放出量を低下させなくてすみ、トナーのより安定した帯電が可能になる。
【0172】
また、上記バイアス電圧の印加中に紫外線照射器16から電子放出部15・22に紫外線を照射すれば、電子放出部15・22からは光電子が発生する。この光電子を発生源とする電子が、電子放出部15・22に付着しているトナーに付着すれば、電位関係を利用して、現像ローラ13に印加したバイアス電圧によってトナーを現像ローラ13に吸引することができ、それだけ電子放出部15・22のクリーニング効率が向上する。
【0173】
また、クリーニング電圧としての上記バイアス電圧を現像ローラ13に印加することにより、静電潜像の現像を行う部材をクリーニングによるトナーの回収にも用いることとなり、トナーの回収用部材を別途設ける必要がない。また、現像ローラ13でトナーを回収するので、回収したトナーをそのまま画像形成に用いることができ、回収したトナーのリサイクル用部材を別途設ける必要がない。
【0174】
また、クリーニング時には、前述したように、感光体2aの帯電電位を−700Vといったように、現像ローラ13から飛翔しようとするトナーを現像ローラ13側へ押し戻す電位とすると、現像ローラ13へのバイアス電圧の印加時に、現像ローラ13から感光体2aに向かってトナーが飛翔して感光体2aに付着するのを防止することができる。
【0175】
また、電子放出部15・22のクリーニングにおいては、現像ローラ13が回転している状態で行えばよい。現像ローラ13が回転状態にあるときは、現像工程と同様に、現像ローラ13上のトナーは、電子を付与される箇所から感光体2aと対向する箇所まで所定の帯電量で存在するので、感光体2aに対向する位置にあるトナーは、現像すべき静電潜像がないクリーニング時には現像ローラ13から感光体2aへは飛翔せず、トナー転移を防止することができる。
【0176】
以上で、電子写真装置の通電開始から通電終了までのクリーニングについて述べたことになるが、クリーニングタイミングと印字ジョブとの関係についての説明を付加しておく。
【0177】
印字中の電子放出部15・22のクリーニングにおいては、印刷枚数や時間経過により電子放出部15・22に付着するトナー量が予測されるので、印字に影響を与えない範囲内で定期的に電子放出部15・22のクリーニングが行われる。しかしながら、連続印字中にクリーニングを行うべきタイミングが到来した場合、一旦印字を中断してクリーニングを行うと印字ジョブ効率が低下するので、印字ジョブと印字ジョブとの間で電子放出部15・22のクリーニングを行うことが望ましい。図20(a)は、そのようなクリーニングサイクルの一例を示しており、ジョブ1〜5が含まれている期間W1〜W4の各期間内ではクリーニングを行わず、各期間の境目でクリーニングを行うようにしている。また、大量部数の印字中にクリーニングを行うべきタイミングが到来した場合は、印字中の紙間で電子放出部15・22のクリーニングを行うことができる。
【0178】
印字ジョブどうしの間のクリーニングは、複数の印字ジョブを既に受け付けている状態にあっては図17のS4〜S6(S9およびS10を含む)でのクリーニングに相当し、次の印字ジョブを受け付ける前の状態にあっては、前述の印字可能なスタンバイ状態でのクリーニングに相当する。また、印字中の紙間でのクリーニングは、図17のS4〜S6(S9およびS10を含む)でのクリーニングに相当している。
【0179】
また、クリーニングすべきタイミングが近くなったことが印字用紙枚数や時間から分かったときには、印字ジョブ間でクリーニングを行うことを優先するようにしてもよい。例えば、図20(b)で示すように、ジョブ6、ジョブ7、ジョブ8、…と続く期間W5・W6・…において、ジョブ7の終了後にまもなくクリーニングすべきタイミングが到来するならばそのタイミングを待つことなく、期間W6内におけるジョブ7の終了直後(ジョブ7とジョブ8との間)にタイミングを繰り上げて行うようにする。これにより、事前に定めたクリーニングのタイミングがジョブ8の最中に到来することになったとしても、クリーニングを行うために印字を中断することが防止でき、ジョブ効率が向上するとともに、電子放出部15・22を常に最適な状態に維持することができる。
【0180】
なお、最後に、従来の技術で述べた各種クリーニング方法を、電子放出部15・22に用いた場合と、本発明の実施の形態で述べたクリーニング方法を電子放出部15・22に用いた場合との比較について説明する。
【0181】
従来技術で述べた3種類の現像剤のクリーニング方法には、いずれも長所と欠点とがある。
【0182】
第▲1▼の手法のメカクリーニングは、設計の容易さでは、制御部に負担をかけず、簡単な機構設計で可能であるが、前記弾性部材と帯電した部材(例えば、感光体、光誘起帯電の光電面、ダイレクトトーニング方式の制御電極等々)との接触圧力の設定が困難であると共に、感光体、光電面では、圧力設定のための削れ現象が問題となる。例えば、感光体においては、クリーニングブレードによる感光体表面の表面保護層の削れ(膜ベリ現象と呼ぶ)が数μm〜10数μm/10000枚の印字であるため、感光体の設計から膜ベリ現象を考慮した感光体の開発が必要となるだけで無く、初期状態で設定した印字品質の経持変化が問題となっている。
【0183】
また、第▲2▼、第▲3▼の手法の磁界、電界(DC電圧)クリーニングは、一定の帯電量の現像剤で、尚且つ一定粒子径であれば、与える磁界、電界が決定できるが、通常付着する粒子径にはバラツキがあり、帯電した部材と現像剤の静電気的付着量が異なり、一定磁界、電界では小粒子径ほどクリーニング性能は低下する。また、第▲3▼の手法の時に、上記問題を解決するため、AC電圧を印加する手法も考えられるが、AC成分には(+)極性、(―)極性の両成分があり、クリーニング性能は上記DCの時に比べて低下する結果となる。
【0184】
本発明の実施の形態では、DCにACを重畳した電圧によりクリーニングを行っているので、上記問題を解決することができる。
【0185】
【発明の効果】
本発明の現像装置は、以上のように、上記帯電手段は、光を照射する光照射手段と、上記光照射手段から光が照射されると光電子を放出する光電子放出手段とを備え、上記光電子を発生源とする電子を上記現像剤に付与することにより上記現像剤を帯電させ、自身が搭載される画像形成装置の印字可能なスタンバイ状態で、上記光電子放出手段に付着した上記現像剤を除去するためのクリーニングを行う構成である。
【0186】
それゆえ、現像剤が効率よく帯電する。これにより、安定した現像剤の帯電が可能となり良好な画像が得られる。
【0187】
従って、現像剤の1つであるトナーに対して従来のように摩擦帯電という機械的な帯電を行う必要がなく、熱的負荷などのストレスを与えることなく帯電を行うことが可能となる。また、トナーとしてホトクロミック化合物などの特殊な構成を用いない従来のトナーに対して光照射によって十分な帯電を行うことができる。
【0188】
この結果、トナーの劣化防止、即ちトナーの破壊やブレードヘの融着防止を可能とし、現像の信頼性を向上させることができる現像装置、特に、定着エネルギーを削減するために軟化点を低減したトナーや、着色力を高めるために顔料部数を増加させたトナーにも適合できる現像装置を提供することができるという効果を奏する。
【0189】
そしてさらに、現像装置は、画像形成装置の印字可能なスタンバイ状態でクリーニングを行うので、記録用紙や感光体にトナーの付着や画像の乱れを与えるといった、現像への悪影響を回避しながら、トナーなどの現像剤をより一層効率よく帯電させることができるという効果を奏する。
【0190】
さらに本発明の現像装置は、以上のように、上記光電子放出手段に付着した上記現像剤が所定箇所に向かって飛翔するように上記所定箇所にバイアス電圧を印加することにより、上記クリーニングを行う構成である。
【0191】
それゆえ、クリーニングにより現像剤を効率よく回収することができるという効果を奏する。
【0192】
さらに本発明の現像装置は、以上のように、上記バイアス電圧は矩形波である構成である。
【0193】
それゆえ、光電子放出手段に付着した現像剤の所定箇所への回収効率が向上し、それだけ光電子の放出量を低下させなくてすみ、現像剤のより安定した帯電が可能になるという効果を奏する。
【0194】
さらに本発明の現像装置は、以上のように、上記バイアス電圧の印加中は、上記光照射手段から上記光電子放出手段に光を照射する構成である。
【0195】
それゆえ、所定箇所へのバイアス電圧の印加中に光電子放出手段からは光電子が発生する。この光電子を発生源とする電子が、光電子放出手段に付着している現像剤に付着すれば、電位関係を利用して、所定箇所に印加したバイアス電圧によって現像剤を所定箇所に吸引することができ、それだけ光電子放出手段のクリーニング効率が向上するという効果を奏する。
【0196】
さらに本発明の現像装置は、以上のように、上記静電潜像の担持体に上記現像剤を供給する現像ローラを備え、上記所定箇所は上記現像ローラである構成である。
【0197】
それゆえ、静電潜像の現像を行う部材をクリーニングによる現像剤の回収にも用いることとなり、現像剤の回収用部材を別途設ける必要がないという効果を奏する。また、現像ローラで現像剤を回収するので、回収した現像剤をそのまま画像形成に用いることができ、回収した現像剤のリサイクル用部材を別途設ける必要がないという効果を奏する。
【0198】
さらに本発明の現像装置は、以上のように、上記静電潜像の担持体は感光体であり、上記クリーニング時に、上記感光体の帯電電位を、上記現像ローラから飛翔しようとする上記現像剤を上記現像ローラ側へ押し戻す電位とする構成である。
【0199】
それゆえ、現像ローラへのクリーニング用のバイアス電圧の印加時に、現像ローラから感光体に向かって現像剤が飛翔して感光体に付着するのを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る現像装置を備えた画像形成装置の構成を示す断面図である。
【図2】図1の現像装置に使用されるトナー規制ブレードの構成を示すものであり、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る現像装置を備えた画像形成装置の構成を示す断面図である。
【図4】図3の現像装置に使用されるトナー規制ブレードの構成を示すものであり、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C断面図である。
【図5】トナー規制ブレードと現像ローラとの間に電気的バイアスを印加した時に、トナー規制ブレードの開口部付近に生じる電気力線を説明する図である。
【図6】トナー規制ブレードと現像ローラとの間に印加される電気的バイアスの電界強度と、画像形成可能なプロセス速度との関係を示すグラフである。
【図7】図3の現像装置におけるトナー帯電量とトナー規制ブレードの加圧力との関係を示すグラフである。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る現像装置に使用されるトナー規制ブレードの構成を示すものであり、(a)は平面図、(b)は(a)におけるC−C断面図である。
【図9】(a)ないし(c)は、DCにACを重畳した状態を説明する電圧波形図である。
【図10】(a)ないし(c)は、感光体とクリーニング部材との間のトナーの飛翔状態を説明する断面図である。
【図11】(a)ないし(c)は、クリーニングに用いる電圧波形の種類を説明する電圧波形図である。
【図12】(a)および(b)は、クリーニングサイクルの種類を説明するグラフである。
【図13】図12(a)のクリーニングサイクルを実施した場合の、電子放出部の付着トナーの状態を説明する断面図である。
【図14】図12(b)のクリーニングサイクルを実施した場合の、電子放出部の付着トナーの状態を説明する断面図である。
【図15】(a)ないし(e)は、各段階でのトナーの帯電極性、帯電量、および個数を示すグラフである。
【図16】(a)および(b)は、それぞれ図12(a)・(b)のクリーニングサイクルを実施した場合のクリーニング動作を説明するタイミングチャートである。
【図17】印字可能な待機状態からのクリーニングの処理を説明するフローチャートである。
【図18】プロセス前処理期間に行うクリーニングのタイミングを説明するタイミングチャートである。
【図19】プロセス前処理期間に行うクリーニングにおいてクリーニングを避けるべき期間を説明するための断面図である。
【図20】(a)および(b)は、印字ジョブとクリーニングサイクルとの関係を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
10、10’ 現像装置
2a 感光体
13 現像ローラ(所定箇所)
15・22 電子放出部(光電子放出手段)
16 紫外線照射器(光照射手段)

Claims (5)

  1. 現像剤を帯電させる帯電手段を備え、帯電した上記現像剤を静電潜像に供給して上記静電潜像を現像する現像装置において、
    上記帯電手段は、光を照射する光照射手段と、上記光照射手段から光が照射されると光電子を放出する光電子放出手段とを備え、上記光電子を発生源とする電子を上記現像剤に付与することにより上記現像剤を帯電させ、
    自身が搭載される画像形成装置の印字可能なスタンバイ状態で、上記光電子放出手段に付着した上記現像剤を除去するためのクリーニングを行い
    上記クリーニングは、上記光電子放出手段に付着した上記現像剤が所定箇所に向かって飛翔するように上記所定箇所にバイアス電圧を印加することにより行い、
    上記バイアス電圧の印加中は、上記光照射手段から上記光電子放出手段に光を照射することを特徴とする現像装置。
  2. 上記バイアス電圧は矩形波であることを特徴とする請求項に記載の現像装置。
  3. 上記静電潜像の担持体に上記現像剤を供給する現像ローラを備え、上記所定箇所は上記現像ローラであることを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
  4. 上記静電潜像の担持体は感光体であり、
    上記クリーニング時に、上記感光体の帯電電位を、上記現像ローラから飛翔しようとする上記現像剤を上記現像ローラ側へ押し戻す電位とすることを特徴とする請求項に記載の現像装置。
  5. 上記静電潜像の担持体に上記現像剤を供給する現像ローラと、この現像ローラ上のトナー層厚を規制するトナー規制ブレードと備え、このトナー規制ブレードには上記光電子放出手段が設けられ、
    上記光電子放出手段は、上記トナー規制ブレードの上記光照射手段からの光照射面側に形成された、光の照射を受けたときに光電効果が生じる光電面と、この光電面の領域に形成された、上記トナー規制ブレードを貫通する開口部とを備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の現像装置。
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