JP3566227B2 - 現像装置,印刷装置および接触帯電方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機,プリンター,ファクシミリ装置などの電子写真方式の印刷装置に用いられる現像装置、この現像装置を備えた印刷装置、および、この現像装置に用いられる接触帯電方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、複写機やプリンター,ファクシミリなどの電子写真方式の画像形成装置(電子写真装置)は、LSU,感光体ドラムおよび現像装置を有している。ここで、LSUは、回転する感光体ドラムにレーザー光を照射することで、感光体ドラムの表面に静電潜像を形成するものである。また、現像装置は、感光体ドラムにトナーを供給することで、静電潜像を現像(可視化)するものである。
【0003】
また、現像装置は、感光体ドラムと隣接対向するように設けられた現像ローラを有している。そして、現像ローラの表面にトナーを供給するとともに、感光体ドラムと逆方向に現像ローラを回転させることで、感光体ドラム上の静電潜像の全体に、順次的にトナーを供給できるように設定されている。
【0004】
ところで、このような現像装置では、感光体ドラム上の静電潜像にトナーを静電的に吸着させることで、現像を行うようになっている。従って、何らかの方法でトナーを帯電させる必要がある。
【0005】
例えば、非磁性1成分系のトナーを用いる現像装置では、図29に示すように、現像ローラに対向配置された供給ローラと、供給ローラより下流側(現像ローラの回転方向に沿って下流側)に設けられた層厚規制ブレード(ブレード)とを備えている。
【0006】
そして、供給ローラによって、回転する現像ローラの表面に順次的にトナーを供給するとともに、ブレードによって、現像ローラにおいて穂立ちしているトナー層の厚さを規制する。さらに、このブレードは、現像ローラ上のトナーと擦れ合うことによって、トナーを摩擦帯電させるように設定されており、これにより、現像にかかるトナーを帯電できるようになっている。
【0007】
このような帯電方法は、非磁性1成分系トナーを用いる現像装置だけでなく、磁性1成分系のトナー(磁性粉を含有させたトナー)を用いる現像装置においても用いられている。
【0008】
また、トナーにキャリアを混ぜた2成分系の現像剤を用いる現像装置では、図30に示すように、現像ローラに供給する前に、トナー槽内で、トナーとキャリアとを攪拌・混合し、これらの間に働く摩擦によって、上記と同様にトナーを摩擦帯電させるようになっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ブレードとの摩擦(機械的な摺擦)によりトナーを帯電させる構成では、十分な帯電量を得るために、トナーとブレードとの速度差を大きくする必要がある。一方、トナーおよびブレードには、これらの速度差に比例した、機械的/熱的な負荷が加わる。
【0010】
従って、十分な帯電量を得るために上記の速度差を大きくすると、トナーとブレードとにかかる機械的/熱的負荷も大きくなり、トナーの帯電特性を劣化させたり、トナーを破壊劣化させたりするという問題が発生する。さらに、摩擦熱(摺擦熱)により軟化したトナーがブレードや現像ローラに融着して、現像装置の故障を招来するという欠点もある。
【0011】
また、キャリアとの摩擦によりトナーを帯電させる構成においても、ブレードを用いる構成と同様に、十分な帯電量を得るために、トナーとブレードとを高速に攪拌し、これらの速度差を大きくする必要がある。従って、トナーおよびキャリアに過大な機械的/熱的負荷をかけてしまうため、トナーの帯電特性を劣化させたり、トナー・キャリアを破壊劣化させたりするという問題が発生する。また、摩擦熱により軟化したトナーがキャリアに融着して、トナーの品質劣化および画質劣化を招来するという問題もある。
【0012】
このように、トナーとブレード・キャリアとの摩擦によりトナーを帯電させる方法の現像装置では、トナー,ブレード・キャリアおよび現像装置本体を傷めてしまうという短所があるといえる。
【0013】
本発明は、上記のような従来の問題点を解決するために成されたものである。そして、その目的は、トナーや装置の劣化を抑制することの可能な現像装置、この現像装置を備えた印刷装置、および、この現像装置において用いられている接触帯電方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明では、潜像担持体上を担持搬送される静電潜像を可視化する現像装置およびそれに用いられる接触帯電方法として、静電潜像を可視像に現像する被帯電部材を帯電手段と接触させ、この帯電手段に対し照射手段からの光を照射することによって、被帯電部材の帯電を誘起させている。
【0015】
この場合、帯電手段に対し照射された照射手段の光によって被帯電部材の帯電が誘起されるので、被帯電部材を現像ローラおよび層厚規制ブレードの摺擦により帯電させる必要がない。このため、機械的な摺擦による被帯電部材のストレスを抑制して被帯電部材の劣化を防止することが可能となる上、帯電手段(現像ローラおよび層厚規制ブレードなど)に対する被帯電部材の摺擦熱による融着も防止することが可能となる。これにより、現像装置の信頼性を向上させることが可能となる。
【0016】
特に、被帯電部材の帯電を積極的に誘起させるものとして、以下の構成が掲げられる。
【0017】
つまり、照射手段の光の照射によって被帯電部材の帯電を誘起させるように分子構造が変化する物質(例えば、フォトクロミズム化合物、光重合化合物および光酸化物など)を帯電手段に含んでいる場合には、帯電手段の分子構造が変化することによって被帯電部材の帯電が積極的に誘起され、現像装置の信頼性をより向上させることが可能となる。
【0018】
特に、被帯電部材の帯電を満遍なく誘起させるものとして、以下の構成が掲げられる。
【0019】
つまり、被帯電部材と帯電手段とを互いに接触させ、その帯電手段の接触面に対し被帯電部材を少なくとも接触後に離反させるようにした場合には、帯電手段の接触面に対する被帯電部材の接触量(帯電量)が制限され、被帯電部材のストレスをより抑制して被帯電部材の劣化を効果的に防止することが可能となる。
【0020】
特に、照射手段の光量を確保するものとして、以下の構成が掲げられる。
【0021】
つまり、帯電手段に対しその反被帯電部材側から光を照射するように照射手段を設けている場合には、被帯電部材によって照射手段の光量が減衰することが防止される上、照射手段が被帯電部材によって汚染されることが防止される。
【0022】
特に、照射手段のコストを低廉化するものとして、以下の構成が掲げられる。つまり、帯電手段に対し照射手段から照射される光の波長を変更する波長変更手段を帯電手段と照射手段との間に設けている場合には、帯電手段に対し最適な波長の光を照射する照射手段を用意する必要がなく、既存の照射手段を用いて光の波長を変更することで、照射手段のコストの低廉化を図ることが可能となる。
【0023】
特に、被帯電部材の帯電を満遍なく誘起させるものとして、以下の構成が掲げられる。
【0024】
つまり、被帯電部材に対する帯電手段の接触面を移動可能としている場合には、被帯電部材に対する帯電手段の接触面が更新され、被帯電部材の帯電特性および信頼性を向上させることが可能となる。
【0025】
しかも、帯電手段の接触面に対し被帯電部材が満遍なく接触し、被帯電部材のストレスを満遍なく抑制して被帯電部材の劣化をより効果的に防止することが可能となる。
【0026】
特に、被帯電部材としてトナーを適用した場合には、トナーダメージが低減され、トナー固有の課題に対処することが可能となる。
【0027】
また、帯電手段に対面するように現像ローラを配置し、この現像ローラと帯電手段との間にトナーを搬送するようにしている場合には、現像ローラと帯電手段との間においてトナーの層厚が規制され、この層圧(層厚)が規制されたトナーに対し帯電手段によるトナーの帯電が確実に行え、トナーの帯電性能を向上させることが可能となる。
【0028】
しかも、現像ローラと帯電手段との間に搬送されるトナーの層厚を帯電手段の層厚規制手段などによって規制している場合には、層厚が規制されたトナーの帯電量を最適化および安定化することが可能となる。さらに、静電潜像に付着するトナーの量を最適化および安定化させることも可能となる。
【0029】
そして、帯電手段の兼用によってトナーの層厚を規制している場合には、部品の兼用によりコストの低廉化を図ることが可能となる。
【0030】
これに対し、帯電手段に対するトナーの搬送方向上流側においてトナーの層厚を層厚規制手段などによって規制している場合には、層厚規制手段などによってトナーを摺擦して正規に帯電させる必要がなく、トナーの層厚のみを規制する擦過圧に層厚規制手段を設定することで、トナーダメージを大幅に低減することが可能となる。
【0031】
さらに、光透過性を有する円筒形状の帯電手段を適用している場合には、帯電手段の外周面全域にトナーが満遍なく接触し、トナーの帯電性能をさらに向上させることが可能となる。
【0032】
また、上記の目的を達成するために、本発明の現像装置(本現像装置)は、電子写真装置に用いられ、帯電された現像材によって、潜像保持体上の静電潜像を現像する現像装置であって、光の照射を受けることによってラジカル化する帯電物質を備えた帯電部と、この帯電部に光を照射する光照射部とを有しており、ラジカル化した帯電物質を現像材に接触させることで、現像材を帯電させるように設定されていることを特徴としている。
【0033】
本現像装置は、複写機,プリンター,ファクシミリ装置などの電子写真方式の印刷装置に用いられる現像装置であり、トナーやインク等の現像材を用いて静電潜像を現像するものである。ここで、静電潜像とは、感光体やシート(記録用紙)上に、電位分布により形成される像のことである。
【0034】
また、本現像装置では、静電潜像を良好に現像するために、現像にかかる現像材を帯電させるようになっている。
そして、特に、本現像装置では、光の照射を受けることによってラジカル化する帯電物質を備えた帯電部と、この帯電部に光を照射する光照射部とを有している。そして、ラジカル化した帯電物質を現像材に接触させることで、現像材を帯電させるように設定されている。
【0035】
ここで、帯電物質をラジカル化するとは、帯電物質を励起させてラジカル(反応性活性種)に構造変化させることである。すなわち、帯電物質を、分子レベルで活性化して異性体であるラジカルに変化させることである。
このようなラジカルは、強力な酸化作用を示すものであり、接触した物質から電子を引き抜く機能を有している。そして、ラジカル化した帯電物質は、接触した現像材から電子を奪い、現像材を所望の帯電量に帯電させるように設定されている。
【0036】
このように、本現像装置では、光照射によって帯電物質をラジカル化し、これを用いて現像材を帯電させるように設定されている。
これにより、本現像装置では、現像材に摩擦力を与えることなく、現像材を帯電させられる。従って、摩擦熱による現像材の劣化、および、摩擦熱により軟化した現像材による装置の汚染等を回避することが可能となっている。
特に、本現像装置の現像材としてトナーを用いた場合、その溶融による画質劣化・装置故障を効果的に防止できる。
【0037】
また、本現像装置は、現像材を保持して潜像保持体に搬送する搬送部を備えていることが好ましい。そして、帯電部は、搬送部に保持された状態の現像材に、ラジカル化した帯電物質を接触させるように設定されていることが好ましい。
【0038】
この構成では、搬送部に保持された現像材、すなわち、現像に使用される直前の現像材だけを帯電するようになる。これにより、本現像装置内に貯蔵してある他の現像材(すぐには使用されない現像材)を帯電してしまうことを回避できるため、帯電効率を向上できる。また、貯蔵してある現像材の電位を一定に保つことが可能となる。
【0039】
また、本現像装置では、搬送部が、表面で現像材を搬送するローラ形状を有していることが好ましい。これにより、搬送部を容易に形成できる。
さらに、帯電部を、基体ローラ上に帯電物質を含む帯電層が形成されてなるローラ形状を有する部材から構成し、これら搬送部と帯電部とが互いに接触するように設けられていることが好ましい。
また、この構成では、基体ローラとして剛体を用いることが好ましい。これにより、帯電部と搬送部とを安定した状態で接触させられる。
【0040】
また、この構成において、帯電部として、基体フィルム上に帯電物質を含む帯電層が形成されてなるベルト形状の部材を用いてもよい。この構成では、帯電部の形状の自由度を高められる。従って、本現像装置のサイズを小型化することが可能となる。
【0041】
また、帯電部をローラあるいはベルト形状とする場合、光照射部は、帯電部の外部および内部の何れに設置してもよい。光照射部を帯電部の内部に設置すれば、現像装置全体のサイズを小型化できる。
【0042】
また、光照射部を帯電部の外部に設置する構成では、光照射部の光を帯電部に対して直接的に照射できる。従って、基体による吸収・散乱を回避できるため、光を非常に有効に利用できる。このため、光照射部における消費電力の低減を図ることが可能となる。
【0043】
また、基体として透光材料を用いる必要がなく、高強度で廉価な材料(金属等)を用いることができる。従って、帯電部の耐久性を向上できるとともに、製造コストを低減できる。
さらに、帯電部内の温度上昇を招来しないため、ファンモーター等の冷却装置を設ける必要がない。従って、部品点数・製造コストの増大を回避できるとともに、本現像装置の小型化を図ることが可能となる。
【0044】
また、この構成では、帯電部が、現像材を帯電させている間、搬送部に対して所定方向に回転するように設定されていることが好ましい。帯電部を停止させておくと、搬送部との接触部が入れ替わらないので、常に同一の帯電物質で現像材を帯電させることとなる。従って、帯電部を回転させることで、帯電にかかる帯電物質を入れ替えることが好ましい。
【0045】
また、光照射部を帯電部の外部に設置する構成では、帯電部と搬送部との接触部よりも上流側(帯電部の回転方向の上流側)において、帯電部に光を照射するように設定されていることが好ましい。
【0046】
また、光照射を受けてラジカル化された帯電物質は、時間経過に従って、基底状態に戻ってしまう。従って、光照射部が、搬送部と帯電部との接触部の近傍において、帯電部に光を照射するように設定されていることが好ましい。このように構成すれば、光照射部と帯電部との接触部に、非常に密度の高いラジカルを送り込むことが可能となる。
【0047】
また、上記の基体フィルムおよび基体ローラは、光照射部の光を反射および透過しない材料で形成されていることが好ましい(例えば、表面にツヤ消し処理を施した金属等)。これにより、紫外線が基体を透過・反射して、光照射範囲以外の帯電部をラジカル化させてしまうことを防止でき、さらに、帯電物質における寿命の長期化を図れる。
【0048】
また、帯電部は、搬送部と同方向に回転する(カウンター回転する)ように設定されていても、また、搬送部と逆方向に回転する(ウイズ回転する)ように設定されていてもよい。
【0049】
帯電部と搬送部とが逆方向に回転する場合には、搬送部と電子誘起部とが、接触部において、互いに同一の方向に移動することとなる。従って、搬送部上の現像材と帯電部との摩擦を抑制できる。
【0050】
一方、帯電部と搬送部とが同方向に回転する場合には、搬送部と電子誘起部とが、接触部において、互いにすれ違うように回転することとなる。すなわち、帯電部が搬送部上の現像材を現像装置の内部に戻すように回転する。このため、搬送部上に残留している不要の現像材を装置内に戻して再利用できるとともに、現像材の機内飛散を抑制しやすくなる。
また、搬送部の現像材を、帯電部における異なる領域において帯電させるようになる。これにより、帯電部の一部に不良箇所のあった場合でも、現像材が帯電不足となることを防止できる。これにより、現像材飛散を良好に抑制できる。
【0051】
また、帯電部の回転速度は、搬送部の回転速度以上の速度で回転するように設定されていても、また、搬送部の回転速度以下の速度で回転するように設定されていてもよい。
【0052】
帯電部の回転速度を搬送部の回転速度以下とする場合、接触部において、帯電部のラジカルに接触する現像材の量を増やせる。従って、ラジカルを有効に利用できる。
一方、帯電部の回転速度を搬送部の回転速度以上とする場合、接触部において、現像材の接触するラジカルの量を増やせるので、トナーの帯電効率を向上させられる。
【0053】
また、帯電部(ローラあるいはベルト形状)の内部に光照射部を設置する場合、光照射部は、搬送部と帯電部との接触部に向けて光を照射するように設定されていることが好ましい。この構成では、光照射範囲(光照射部による光の照射を受ける範囲)が帯電部と搬送部との接触部内となる。そして、帯電部では、この範囲内にある帯電物質によって、現像材を帯電させるようになる。
また、この場合、帯電部は、現像材を帯電させている間、搬送部に対して所定方向に回転するように設定されていることが好ましい。
【0054】
これにより、帯電部を回転させることで、帯電部における搬送部との接触部を順次的に変更できる。すなわち、帯電部における帯電に寄与させる部位を変更できるので、帯電部における一部の帯電物質だけを劣化させてしまうことを防止できる。
従って、搬送部上の現像材を効率よく帯電させられるため、帯電後における帯電量の不足による現像材の機内飛散(搬送部からの欠落)を回避できる。
【0055】
また、この構成では、帯電部と搬送部との接触部の幅が、光照射部による光照射範囲よりも広くなっていることが好ましい。
この構成では、現像材が光照射範囲に到達する前に、接触部において現像材層厚を規制できる。従って、層厚の規制された現像材層に対して帯電を行える。これにより、余分な現像材に対する帯電を防止できるため、現像材を効率よく帯電させられる。
【0056】
また、この構成では、光照射部と帯電部との接触部における光照射範囲から外れた2つの領域(接触部における、光照射部の両端からはみ出した領域)では、搬送部の回転方向における上流側の領域の方が、下流側の領域よりも広くなっていることが好ましい。
【0057】
下流側の領域を広くしてしまうと、上流側の領域による帯電前の現像材厚規制を充分に行えない。
また、帯電後では、現像材内の現像材は全て同極性に帯電されているため、下流側の領域において現像材を圧接すると、現像材間の電気的な反発を招来して現像材飛散を発生させてしまうことがある。
従って、上流側の領域の方を広くすることで、現像材厚規制を充分に行えるとともに、現像材飛散を抑制することが可能となる。
【0058】
また、この構成においても、帯電部は、搬送部と同方向に回転する(カウンター回転する)ように設定されていても、また、搬送部と逆方向に回転する(ウイズ回転する)ように設定されていてもよい。
【0059】
なお、カウンター回転する場合には、帯電部は、搬送部の回転速度に対して等速から3倍の速度で回転するように設定されていることも好ましい。帯電部の回転速度を上記の範囲に設定することで、帯電効率を良好な状態にできる。
【0060】
また、この構成において、搬送部に現像材を供給する供給ローラを備える場合、帯電部は、搬送部の直上から供給ローラまでの間に配置されていることが好ましい。
【0061】
すなわち、搬送部上の現像材は、帯電を受ける際、帯電部との接触によって層厚を規制されるため、その一部が搬送部から欠落する。このとき、帯電部が搬送部の真上よりも下流側(搬送部の回転方向に沿って下流側)に設置されている場合、欠落した現像材が潜像保持体側に落下して、電子写真装置を汚染してしまう。
そこで、帯電部を上記の範囲に設置することで、欠落した現像材を現像装置内に戻すように設定することが好ましいといえる。
【0062】
また、この構成では、帯電部と光照射部との接触部から欠落した現像材が供給ローラに直接的に付着することを回避できる程度に、帯電部と供給ローラとが離れて配置されていることが好ましい。
【0063】
帯電部と供給ローラとが隣接配置されている場合、層厚規制によって欠落した現像材が供給ローラに直接付着し、連続して帯電されることとなるため、帯電量のバランスが悪くなる。従って、これらを離して設置することで、欠落した現像材を現像材槽に戻し、他の現像材と混合してその帯電量を減少させられる。これにより、現像材の帯電量を均一化できる。
【0064】
また、帯電部(ローラあるいはベルト形状)の内部に設置した光照射部から、搬送部と帯電部との接触部に向けて光を照射する構成では、帯電部が、現像材を帯電させている間、搬送部に対して停止するように設定されていてもよい。
この構成では、搬送部と同期させて帯電部を回転させる必要がない。従って、帯電プロセスを簡略化できる。
【0065】
また、帯電時に帯電部を停止させたままとすると、常に同一の帯電物質で現像材を帯電させることとなるため、帯電にかかる帯電物質を、局所的に劣化させてしまう。そこで、上記の構成では、所定回数の帯電を経た後、搬送部が所定回数だけ回転した後、あるいは、電子写真装置において所定枚数のシートを印刷した後、帯電部を所定角度だけ回転させ、帯電にかかる帯電物質を入れ替えるように設定されていることが好ましい。
【0066】
これにより、帯電物質における局所的な劣化を防止できる。なお、帯電部の回転の目安となる上記の『所定回数』『所定枚数』は、照射される光の質・量、帯電物質の量(混合比率)や種類等に応じて設定される。
【0067】
また、帯電の停止時おいて帯電部を回転させる方向は、搬送部と同方向であっても、また、搬送部と逆方向に回転であっても、いずれでもよい。ただし、上記したように、搬送部と逆方向に回転させれば、搬送部上に残留している不要の現像材を装置内に戻して再利用できるとともに、現像材の機内飛散を防止できることとなる。
【0068】
また、この構成において、帯電部を回転させる角度を、光照射部の光照射範囲内にある帯電物質を入れ替えるような角度とすれば、帯電物質を入れ替えられるため、帯電物質の局所的な劣化を良好に防止できる。
【0069】
また、帯電部を回転させる角度を、搬送部との接触部を入れ替えるような角度とすることも好ましい。すなわち、帯電時に帯電部を停止させている場合、帯電部における接触部に応じた部位は、搬送部および現像材との摩擦によって磨耗する。このため、磨耗部分を入れ替えることで、現像材を良好に帯電させられる。また、帯電部による現像材厚の規制を良好に行える。
【0070】
また、光照射部を、帯電部(ローラあるいはベルト形状)の内部あるいは外部のいずれに設置する構成でも、現像材を帯電させている間、帯電部が、搬送部に対して所定方向に回転するように設定されている場合には、帯電部における帯電物質が、光照射部による光照射範囲を抜けた後、この範囲内に再度入るときに、基底状態に戻っているように設定されていることが好ましい。
【0071】
この構成では、光照射範囲内においてラジカル状態(励起状態)となっている帯電物質の量を、常に一定に保つことが可能となっている。これにより、現像材の帯電量を、常に所定電位に維持できる。
【0072】
また、上記の帯電物質は、光重合開始剤および連鎖移動剤から構成できる。そして、この場合には、これらの混合比に応じて、励起状態となる確率が決定される。
従って、上記の構成では、光照射範囲に再突入する帯電物質が基底状態となるように、光重合開始剤および連鎖移動剤の混合比率に応じて、『帯電部の回転速度』,『光照射部の照射光量』,『接触部に搬送される搬送部上の現像材量(帯電にかかる現像材の量)』のいずれかを調整するように設定されていることが好ましい。これにより、光照射範囲に再突入する帯電物質を、容易に基底状態とできる。
【0073】
また、帯電部がベルト形状を有している場合、光照射部として、帯電部の内部に設置され、帯電ベルト(ベルト形状の帯電部)における搬送部との接触部に光を照射する密着型発光器を用いることが好ましい。
【0074】
また、密着型発光器として、250nm〜350nmの波長を有する有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)を用いることができる。このような有機ELを用いる場合、帯電ベルトに密着させても、発熱によって帯電ベルトを傷めることがない。これにより、本現像装置のさらなるコンパクト化を図れる。
【0075】
また、この有機ELは、帯電部に内側から密着するとともに、搬送部と帯電ベルトとの接触部(接触部)の全体に光を照射するように設定されていることが好ましい。このように、光照射範囲の幅を接触部と同等程度に広げることで、光照射部の光における光量密度を下げられる。
【0076】
すなわち、照射時間は、
照射時間=(接触部の幅(mm))/(搬送部の周速(回転速度)(mm/sec))
なる式で表され、接触部の幅(光照射範囲の幅)を広くすることで、現像材に対する照射時間を長期化できるので、光量密度(w/cm2 )を下げられる。
【0077】
また、有機ELの設置位置を帯電ベルトの内側とすることで、現像装置をより小さくできる。さらに、搬送部から欠落した現像材によって有機ELを汚してしまうことを防止できる。
【0078】
また、帯電ベルトは、無端形状(環状)であり、搬送部に接触しながら所定方向に回転するように設定されていることが好ましい。
【0079】
帯電ベルトを回転させることで、帯電ベルトにおける搬送部との接触部位を順次的に変更できる。
すなわち、帯電ベルトにおける帯電に寄与させる部位を変更できるので、帯電ベルトにおける一部の帯電物質だけを劣化させてしまうことを防止できる。従って、搬送部上の現像材を効率よく帯電させられるため、帯電後における帯電量の不足による現像材の機内飛散(搬送部からの欠落)を防止できる。
【0080】
また、帯電ベルトを回転させる場合には、帯電ベルトの内側に密着している有機ELを回転軸の1つとして利用することが好ましい。これにより、有機ELに回転軸としての機能を持たせられるので、装置の簡略化を図れる。
【0081】
また、帯電ベルトは、搬送部との摩擦力によって回転するように設定されていてもよい。
この構成では、帯電ベルトは、駆動装置(モーター等)によって駆動される搬送部に対して、従動的に回転することとなる。これにより、帯電ベルトの駆動機構を設ける必要がないので、現像装置の構成をさらに簡略化できる
また、本現像装置では、帯電部の帯電物質が、以下に示す化学式からなるB−CIMおよびMBTを、光重合開始剤および連鎖移動剤として含んでいることが好ましい。
【0082】
【化3】
【0083】
【化4】
【0084】
この構成では、帯電物質として、B−CIMおよびMBTを含むものを用いているため、搬送部上の現像材を良好に帯電させられる。
また、帯電物質におけるB−CIMとMBTとの混合比率は、搬送部上の現像材を十分に帯電できるような比率に設定されていることが好ましい。ここで、十分に帯電された現像材とは、静電潜像を確実に現像できるような帯電量(5〜25μC/g )を有する現像材のことである。
また、このような帯電量を得るためには、B−CIMとMBTとの混合比率を、モル比で(1:0.25)〜(1:2.25)の範囲に設定することが好ましい。
【0085】
また、この構成では、本現像装置に、搬送部上の現像材における帯電量を調整するために、光照射部の照射光量または帯電部の回転数を制御する制御部を備えることが好ましい。
【0086】
すなわち、この制御部は、所定の(適切な)混合比に設定された帯電物質を用いても帯電量が足らなかった場合、光照射部における光量を増加させる、あるいは、帯電部の回転速度を低下させて、現像材の帯電量を増加させるものである。さらに、この制御部は、搬送部上の現像材の帯電量が大きすぎる場合、光照射部における光量を減少させる、あるいは、帯電部の回転速度を増加させて、現像材の帯電量を減少させるものである。
【0087】
また、本現像装置には、帯電部に付着した現像材を除去する除去部を備えることが好ましい。この除去部は、帯電部に吸着した余分な現像材を掻き落とし、本現像装置内に戻すためのものである。なお、この除去部は、帯電部の表面を傷付けることのないように、帯電部よりも低い(あるいは同等の)硬度を有する材料から構成することが好ましい。
また、帯電部の一部を本現像装置の外部に突出させている構成では、電子写真装置内への現像材の飛散を抑制できるため、上記のような除去部を備えることが非常に好ましいといえる。
【0088】
また、本発明の印刷装置は、潜像保持体と、この潜像保持体上に、画像データに応じた静電潜像を形成する潜像形成部と、本現像装置とを備えている構成である。この印刷装置は、本現像装置を備えているので、摩擦力による現像材の劣化、現像材の軟化による装置の汚染を回避できる。
【0089】
また、本発明の接触帯電方法(本帯電方法)は、電子写真装置において生成される潜像保持体上の静電潜像を現像する現像材を帯電させる接触帯電方法であって、光の照射を受けることによってラジカル化する帯電物質に光を照射し、ラジカル化した帯電物質を現像材に接触させることで現像材を帯電させる帯電工程を含んでいる方法である。
【0090】
本帯電方法は、本現像装置において用いられている帯電方法である。すなわち、本帯電方法では、帯電部に光を照射してラジカルを生成し、このラジカルを用いて現像材を帯電させるように設定されている。これにより、本帯電方法では、現像材に摩擦力を与えることなく、現像材を帯電させられる。従って、摩擦熱による現像材の劣化、および、摩擦熱により軟化した現像材による装置の汚染等を回避することが可能となっている。
【0091】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0092】
〔実施の形態1〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる現像装置の一例を示す断面図である。
【0093】
図1において、現像装置Xは、被帯電部材としての一成分系の現像剤よりなるトナーTを用いたものであって、このトナーTを収容する容器状の現像槽1と、この現像槽1内の下部に回転可能に収容された現像ローラ2と、この現像ローラ2の一側(図1では右側)における下部位置において互いの外周面同士が対面するように回転可能に連設され、現像槽1内のトナーTを現像ローラ2の外周面に供給する供給ローラ3と、上記現像ローラ2の一側における上部位置において互いの外周面同士が対面するように回転可能に連設され、現像槽1内のトナーTを接触により帯電させる帯電手段としてのトナー帯電ローラ4と、このトナー帯電ローラ4に対し紫外線(光)を照射し、その照射される紫外線によってトナーTの帯電を誘起する照射手段としての紫外線発光器5とを備えている。
【0094】
現像ローラ2は、非磁性体よりなる円筒状のスリーブ21と、このスリーブ21内に設けられ、中心から延びる放射線によって回転方向(図に示す矢印方向)で複数の磁極(図示せず)ごとに区画されたマグネットローラ22とを備えている。この場合、現像ローラ2は、固定状態にあるマグネットローラ22に対しスリーブ21が回転することによって回転可能となされている。
【0095】
マグネットローラ22の各磁極としては、供給ローラ3の表面と対面し、供給ローラ3により供給されるトナーTを現像ローラ2に付着させる磁極と、この磁極に対しスリーブ21の回転方向で隣接し、現像ローラ2に付着させたトナーTをブラシ状に穂立ちさせてスリーブ21の表面(現像ローラ2上)に現像ブラシを形成する磁極と、この磁極に対しスリーブ21の回転方向で隣接し、現像ブラシを現像ローラ2上に付着させたまま搬送する磁極と、この磁極に対しスリーブ21の回転方向で隣接し、静電潜像を担持搬送する潜像担持体としての感光体ドラムDの表面と対面する現像位置に配置された磁極と、この磁極に対しスリーブ21の回転方向で隣接し、現像に寄与しないトナーT(現像ブラシ)を上記供給ローラ3の表面と対面する磁極との間の磁力関係によって現像ローラ2の表面から分離させる磁極とを備えている。この場合、現像位置の磁極では、現像ブラシを感光体ドラムDの表面に擦摺(作用)させ、感光体ドラムD表面の静電画像に対しトナーを付着させることによってトナー像として現像(可視化)する。
【0096】
トナー帯電ローラ4は、紫外線の照射により分子構造が変更される物質、例えばフォトクロミズム化合物、光重合化合物および光酸化物など)を含有し、かつ光透過性を有してなる円筒状のスリーブ41と、このスリーブ41内に設けられた光透過性を有する円筒状のローラ42とを備えている。そして、トナー帯電ローラ4は、固定状態にあるローラ42に対しスリーブ41が回転することによって回転し、トナーTに対するスリーブ41の接触面を回転方向に移動させる移動手段40をスリーブ41とローラ42とで構成している。この場合、トナーTとトナー帯電ローラ4とは互いに接触し、そのトナー帯電ローラ4の接触面に対しトナーTが接触後に離反するようになっている。
【0097】
また、トナー帯電ローラ4のスリーブ41の外周面と、現像ローラ2の外周面との間には、互いの外周面間にトナーTを搬送可能とする隙間(図示せず)が形成されている。そして、トナー帯電ローラ4は、現像ローラ2の外周面に対する対面位置を設定することで、現像ローラ2の外周面との間の隙間に搬送されるトナーTの層厚(隙間の間隔)を規制する層厚規制手段としての機能を兼ね備えている。
【0098】
紫外線発光器5は、トナー帯電ローラ4のローラ42内に設けられている。この紫外線発光器5から照射される紫外線(光)は、トナー帯電ローラ4のスリーブ41の外周面と、現像ローラ2の外周面との問の隙間に向かってトナー帯電ローラ4に対しその反トナー丁側から照射され、この隙間に搬送されるトナーTを帯電させるようになされている。
【0099】
なお、図1中において、Pは用紙、Eは感光体ドラムDを帯電させて感光体ドラムDの外周面上に静電潜像を形成する帯電ローラ、Fは感光体ドラムDの外周面上に現像されたトナー像(可視像)を用紙Pに転写する転写用放電ローラ、G,Gは転写形成されたトナー像を用紙P上に定着させる上下一対の定着ローラである。また、図1中の破線矢印は、図示しないレーザビームスキャナユニットから発せられたレーザビームLであって、感光体ドラムDの外周面上に静電潜像を結像させるようになされている。
【0100】
ここで、現像装置Xに用いられる接触帯電方法の一例、具体的には、紫外線発光器5による紫外線の照射によりトナー帯電ローラ4のスリーブ41の分子構造を変更することによってトナーTの帯電を誘起させる接触帯電実験の一例を図2に基づいて説明する。
【0101】
先ず、トナー帯電ローラ4のローラ42の代わりに光透過性のある厚さk(=3mm)のアクリル板Aを用意する。そして、このアクリル板Aの表面(図2では上面)に、イミダゾール誘導体(B−CIM)とトルエン(C6HsCH3)との混合物に若干のアルコールを加えて希釈した溶液をガラス棒で塗り、これを自然乾燥させて、トナー帯電ローラ4のスリーブ41の代わりに帯電手段としての膜厚m(=60μm)の帯電膜Bを形成する。
【0102】
次いで、帯電膜Bの上に、トナーTの代わりに被帯電部材としての厚さn(=100μm)のポリエチレンテレフタレートPETを載置する。
【0103】
それから、帯電膜Bに対しアクリル板Aの裏側(図2では下側)から波長λ(=350nm)の紫外線を紫外線発光器5で照射する。このとき、紫外線の照射量は、30〜40mW/cm2とし、このまま1分間照射を行う。
【0104】
この結果、+30Vに帯電しているポリエチレンテレフタレートPETを得ることができた。
【0105】
このことから、感光体ドラムD上の静電潜像に対し接触するトナーTをトナー帯電ローラ4のスリーブ41の外周面と接触させ、このスリーブ41(トナー帯電ローラ4)に対し紫外線発光器5からの紫外線を照射することによって、トナーTの帯電を誘起させることができることが判明する。
【0106】
これにより、トナーTを現像ローラおよび層厚規制ブレードの摺擦により帯電させる必要がない。このため、機械的な摺擦によるトナーTのストレス(トナーダメージ)を抑制してトナーの劣化を防止することができる上、トナー帯電ローラ4(現像ローラおよび層厚規制ブレードなど)に対するトナーTの摺擦熱による融着も防止することができることになる。また、紫外線発光器5からの紫外線の照射によってトナーTの帯電を誘起させるように分子構造が変化する物質(例えば、フォトクロミズム化合物、光重合化合物および光酸化物など)をトナー帯電ローラ4のスリーブ41に含んでいることにより、トナー帯電ローラ4の分子構造が変化することによってトナーTの帯電を積極的に誘起させることができる。その結果、現像装置Xの信頼性を向上させることができる。
【0107】
しかも、トナーTに対するトナー帯電ローラ4のスリーブ41の外周面が回転方向に移動するので、トナーTに対するトナー帯電ローラ4のスリーブ41の外周面が随時更新され、トナーTの帯電特性および信頼性を向上させることができる。さらに、トナー帯電ローラ4のスリーブ41の外周面に対しトナーTが接触後に離反するためにトナー帯電ローラ4のスリーブ41の外周面に対するトナーTの接触量(帯電量)が制限される上、回転方向に移動するトナー帯電ローラ4のスリーブ41の外周面に対しトナーTが満遍なく接触し、トナーTのストレスをより抑制してトナーTの劣化を効果的に防止できる。
【0108】
また、紫外線発光器5から照射される紫外線は、トナー帯電ローラ4のスリーブ41の外周面と、現像ローラ2の外周面との間の隙間に向かって、トナー帯電ローラ4に対しその反トナー丁側から照射されるので、紫外線発光器5からの光量がトナーTによって減衰することが防止できる上、トナーTによる紫外線発光器5の汚染を防止することができる。しかも、現像ローラ2とトナー帯電ローラ4との間においてトナーTの層厚が規制され、この層圧(層厚)が規制されたトナーTに対しトナー帯電ローラ4によるトナーTの帯電が確実に行え、トナーTの帯電性能を向上させることができる。さらに、現像ローラ2とトナー帯電ローラ4との間に搬送されるトナーTの層厚が現像ローラ2とトナー帯電ローラ4との間の隙間によって規制され、層厚が規制されたトナーの帯電量を最適化および安定化することができる。加えて、静電潜像に付着するトナーTの量を最適化および安定化させることもできる。また、現像ローラ2の外周面に対するトナー帯電ローラ4の対面位置を設定することで、現像ローラ2の外周面との間の隙間に搬送されるトナーTの層厚を規制する層厚規制手段としての機能が兼ね備えられるので、別途層厚規制手段を設ける必要がなく、部品の兼用によるコストの低廉化を図ることができる。
【0109】
さらに、光透過性を有する円筒形状のトナー帯電ローラ4(スリーブ41)を適用しているので、トナー帯電ローラ4の外周面全域にトナーTが満遍なく接触し、トナーTの帯電性能を図る(測る)上で非常に有利なものとなる。
【0110】
〔実施の形態2〕
次に、本発明の第2の実施形態を図3に基づいて説明する。
【0111】
この実施形態では、帯電ローラに層厚規制手段としての機能を兼用させることなく層厚規制手段を別個に設けている。なお、層厚規制手段を除くその他の構成は第1の実施形態の場合と同じであり、同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0112】
すなわち、本実施形態では、図3に示すように、トナー帯電ローラ4は、現像槽1内の上部位置に設けられている。このトナー帯電ローラ4には、供給ローラ3の表面と対面するマグネットローラ22の磁極によって現像ローラ2に付着するトナーTが供給されるようになされている。
【0113】
そして、帯電ローラ4に対するトナーTの搬送方向上流側には、供給ローラ3と帯電ローラ4との間に位置する現像ローラ2(スリーブ21)の外周面に対して先端が軟接触する層厚規制手段としての層厚規制ブレード6が設けられている。
【0114】
この場合、層厚規制ブレード6の先端は、この層厚規制ブレード6によってトナーTを摺擦して正規に帯電させる必要がないので、トナーTの層厚のみを規制する擦過圧に設定すればよく、トナーダメージを大幅に低減することができることになる。
【0115】
〔実施の形態3〕
上記各実施形態では、帯電手段Bに対しアクリル板Aの裏側から波長λ(=350nm)の紫外線を紫外線発光器5で照射し、ポリエチレンテレフタレートPETを+30Vに帯電させたが、波長λ(=350nm)の紫外線を発する紫外線発光器5が価格的な理由などによって入手困難であるときには、図4に示すように、帯電手段Bと紫外線発光器5’との間に、帯電手段Bに対し紫外線発光器5’から照射される紫外線の波長を変更する波長変更手段としての非線形光学材料よりなる波長変換素子7が設けられていてもよい。この場合、紫外線発光器5から発する波長λ(=700nm)の紫外線が波長変換素子7によって波長350nmの紫外線に変換されて帯電手段Bに照射されることになり、帯電手段Bに対し最適な波長λ(=350nm)の紫外線を照射する紫外線発光器5を用意する必要がなく、既存の紫外線発光器5’を用いて紫外線の波長λを半分の波長λ/2に変更することで、紫外線発光器5’のコストの低廉化を図ることができる。
【0116】
さらに、上記各実施形態では、潜像担持体として感光体ドラムDを用いたが、潜像担持体として感光体ベルトが適用されていてもよいのはもちろんである。
【0117】
〔実施の形態4〕
本発明における第4の実施形態について説明する。
図5は、本実施の形態にかかる印刷装置(本印刷装置)の構成を示す説明図である。本印刷装置は、現像材として1成分系の磁性トナーを用いる構成である。そして、図5に示すように、現像部111,感光体ドラム112,帯電ローラ113,転写ローラ114,定着ローラ対115,LSU116を有している。
【0118】
感光体ドラム(潜像保持体)112は、表面に感光体を備えたドラム(ローラ)形状の感光体であり、G方向に回転駆動されるようになっている。帯電ローラ113は、感光体ドラム112の表面を、所定の電位に均一に帯電させるものである。
【0119】
LSU(レーザービームスキャナーユニット)116は、帯電された感光体ドラム112の表面をレーザー光(図5中の破線)によって露光するものである。そして、LSU116の表面に、外部から入力された画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有している。
【0120】
現像部(現像装置)111は、LSU116によって形成された静電潜像を現像することによって、感光体ドラム112上にトナー像を形成するものである。転写ローラ(転写用放電ローラ)114は、感光体ドラム112上のトナー像をシートPに転写するものである。定着ローラ対115は、トナー像の転写されたシートPを加熱圧着することで、トナー像をシートPに熱定着させるものである。
【0121】
次に、本印刷装置における特徴的な構成である、現像部111について説明する。図6に示すように、現像部111は、現像槽120,現像ローラ121,トナー供給ローラ122,トナー帯電ローラ123,攪拌ローラ124を備えている。
【0122】
現像槽120は、トナーTを収容するための収容槽(トナー槽)である。
攪拌ローラ124は、現像槽120内のトナーを攪拌することで、トナーを微小に帯電させるものである。
【0123】
トナー供給ローラ(供給ローラ)122は、現像槽120内において現像ローラ121に対向配置された、円筒状の発泡性ゴム弾性材料からなる回転ローラである。
このトナー供給ローラ122には、所定のバイアス電圧が印加されており、現像槽120内のトナーを吸着・保持できるようになっている。そして、トナーを保持した状態で、現像ローラ121の回転方向(H方向)と反対方向(G方向)に、現像ローラ121と等速度で回転しながら、現像ローラ121と接触するようになっている。
【0124】
また、トナー供給ローラ122の表面粗度は、現像ローラ121よりも粗く設定されている。ローラは、その表面粗度が大きいほどトナーを付着させやすい。このため、上記の設定により、トナー供給ローラ122は、現像ローラ121の表面(外周面)に、トナー層を形成できるようになっている。
【0125】
トナー帯電ローラ(帯電部)123は、トナー供給ローラ122よりもH方向に沿って下流側において、現像ローラ121に対向配置された回転ローラである。そして、現像ローラ121と接触しながら、現像ローラ121と等速度〜3倍の速度でH方向に回転し、後述する接触帯電によって、現像ローラ121上のトナー層を所定の電圧値に帯電させるようになっている。
また、トナー帯電ローラ123は、現像ローラ121上のトナー層を所定の厚さ(10〜40μm)に規制する機能も有している。なお、トナー帯電ローラ123の詳細な構成については後述する。
【0126】
現像ローラ(搬送部)121は、感光体ドラム112と対向するように設けられた、円筒状の導電性ゴム弾性材料からなる回転ローラである。
【0127】
そして、ローラ122・123によって形成されたトナー層を保持した状態で、H方向に回転(50〜150mm/s)しながら感光体ドラム112に接触するように設定されている。これにより、感光体ドラム112の静電潜像にトナーを付着させ、この静電潜像を現像してトナー像を形成するようになっている。
【0128】
ここで、現像ローラ121の構成について説明する。
図6に示すように、現像ローラ121は、非磁性体よりなる円筒状のスリーブ131と、このスリーブ131内に設けられたマグネットローラ132とを備えている。このマグネットローラ132は、本印刷装置に対して固定状態となっている。そして、現像ローラ121では、このマグネットローラ132の周囲に沿って、スリーブ131だけが回転するように設定されている。
【0129】
また、マグネットローラ132は、その中心から放射状に延びる線で区画された、複数の磁区(磁極;図示せず)を有している(各磁区は、回転方向(H方向)に沿って隣接配置されている)。
【0130】
マグネットローラ132は、それぞれ機能の異なる5種類の磁極(第1〜5磁極)を有している。
すなわち、第1磁極は、トナー供給ローラ122と対面し、このトナー供給ローラ122により供給されるトナーTをスリーブ131に付着させるためのものである。
【0131】
また、第2磁極は、第1磁極における下流側(H方向での下流側)に隣接しており、スリーブ131に付着させたトナーTをブラシ状に穂立ちさせて、スリーブ131の表面にトナーブラシ(現像ブラシ)を形成するためのものである。
また、第3磁極は、第2磁極の下流側に隣接し、トナーブラシをスリーブ131上に付着させたまま搬送するためのものである。
【0132】
また、第4磁極は、第3磁極の下流側に隣接し、感光体ドラム112の表面と対面する現像位置に配置された磁極である。すなわち、第4磁極は、トナーブラシを感光体ドラム112の表面に擦摺(作用)させることで、静電潜像を、トナーを付着させることで現像(可視化)するものである。
【0133】
第5磁極は、第4磁極の下流側に隣接し、現像に寄与しなかったトナーTを、第1磁極との間の磁力関係によってスリーブ131の表面から分離させるためのものである。
【0134】
次に、現像部111における特徴的な構成である、トナー帯電ローラ123について説明する。
図6に示すように、トナー帯電ローラ123は、スリーブ141,基体ローラ142および紫外線照射器143を備えている。
【0135】
基体ローラ142は、光透過性を有する円筒状のガラスまたは樹脂からなる部材であり、トナー帯電ローラ123の基体となるものである。
この基体ローラ142は、本印刷装置に対して固定状態となっている。そして、トナー帯電ローラ123では、基体ローラ142の周囲に沿って、スリーブ141だけがH方向に回転するように設定されている。
【0136】
スリーブ(帯電部,帯電層)141は、基体ローラ142の外側に回転可能に形成された、光透過性を有する円筒形状の部材である。また、このスリーブ141は、紫外線の照射により分子構造が変更され、接触しているトナーを帯電させられる物質(例えば、フォトクロミック化合物(フォトクロミック材料),光重合化合物,光酸化物等;以下、帯電物質とする)を含有している。
【0137】
図7は、トナー帯電ローラ123(スリーブ141)による接触帯電の様子を示す説明図である。この図に示すように、スリーブ141は、紫外線透過性を有する基体(基体ローラ)141aと、帯電層141bとを有している。
【0138】
帯電層141bは、基体141a上に塗布形成されてなる層であり、結合材(無機バインダ)に、帯電物質を分散させた構成を有している。そして、紫外線の照射を受けることで、帯電物質を励起させてラジカル(反応性活性種)Rに構造変化させるようになっている。すなわち、帯電物質が、分子レベルで活性化されて異性体であるラジカルRに変化する。
このようなラジカルRは、強力な酸化作用を示すものであり、接触した物質から電子を引き抜く機能を有している。そして、このラジカルRは、現像部111のトナーTを酸化させてトナーTから電子を奪い、トナーTを所望の帯電量に帯電(プラス帯電)させるように設定されている。
【0139】
なお、この帯電物質については、日本化学学会誌,1992,No2,P215〜220の「光重合性感光層と絶縁体の接触界面における光誘起帯電」に詳細に説明されている。この文献においては、モノマーの光重合反応を媒介することによって重合層表面に帯電を誘起することが可能になると記載されている。
【0140】
紫外線照射器(光照射部)143は、基体ローラ142の内部に設けられており、基体ローラ142を介して、スリーブ141に対して紫外線(光)を照射するランプである。
【0141】
次に、現像部111の動作について説明する。
現像が開始されると、攪拌ローラ124が、現像槽120内のトナーを攪拌して、トナーを微小に帯電させる。その後、トナー供給ローラ122が、十分に攪拌されたトナーを用いて、H方向に回転する現像ローラ121におけるスリーブ131上に、周方向に沿って順次的にトナー層を形成する。
【0142】
次に、スリーブ131のトナー層は、トナー帯電ローラ123におけるスリーブ141との接触部分(ニップ部)に搬送される。そして、H方向に回転するスリーブ141が、ニップ部においてスリーブ131におけるトナー層の厚さを規制するとともに、このトナー層を接触帯電させる。
【0143】
すなわち、トナー帯電ローラ123では、紫外線照射器143による紫外線の照射により、スリーブ141の帯電物質を励起させて構造変化させ、スリーブ131上のトナーを帯電させるようになっている(接触帯電プロセス)。
【0144】
その後、帯電されたトナー層は、感光体ドラム112との対向部位に送られ、感光体ドラム112上の静電潜像に対して静電的に吸着(供給)される。これにより、静電潜像をトナー像として現像(可視化)するようになっている。
【0145】
なお、スリーブ141に接触して帯電されたスリーブ131上のトナーは、ニップ部を抜けた後、スリーブ141に付着せず、スリーブ131に残留するようになっている。これは、スリーブ141の表面粗度が、スリーブ131よりも大きくなっているからである。
【0146】
次に、上記した接触帯電の効果を検証する実験について説明する。図8は、この実験に用いたサンプルを示す説明図である。このサンプルは、現像部111におけるトナー帯電ローラ123の構成を模した平板であり、図8に示すように、透明アクリル板151の表面に帯電膜152を形成し、さらに、PET146を載置してなるものである。
【0147】
透明アクリル板151(厚さK11=3mm)は、基体ローラ142や、スリーブ141の基体141aと同様に、紫外線透過性を有する透明アクリル樹脂から構成されている。
【0148】
また、帯電膜152(厚さK12=60nm)は、フォトクロミック化合物であるイミダゾール誘導体(B−CIM)とトルエン(C6 H5 CH3 )との混合物に若干のアルコールを加えて希釈した溶液を、透明アクリル板151上にガラス棒で塗り、これを自然乾燥させてなるものである。
さらにPET146(厚さK13=100μm)は、本印刷装置において用いられているトナーの材料であるポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート)を板状に成形したものである。
【0149】
そして、この実験では、紫外線照射器143を用いて、透明アクリル板151の裏側(図8の下側;PET146のない側)から、波長λ(=350nm)の紫外線を照射した。なお、このときの照射エネルギーは30〜40mW/cm2 であり、照射時間は1分であった。
その後、PET146における帯電膜152との接触面の帯電量を測定した。
【0150】
この結果、PET146は、+30Vに帯電された。
この実験結果より、本印刷装置の現像部111において、現像ローラ121におけるスリーブ131上のトナー層を、トナー帯電ローラ123によって帯電させられることがわかった。
【0151】
以上のように、現像部111における帯電プロセスでは、トナーTを、帯電物質を備えたトナー帯電ローラ123によって帯電させるようになっている。従って、摩擦によってトナーを帯電させる必要がないので、トナーの劣化・融着を防止できる。
【0152】
また、従来では、トナーを帯電させるためのブレードにバイアス電圧を印加し、ブレードと現像ローラとの間に電位差を設けることでトナーの帯電を補助するようになっていた。このため、トナーに流れる電流のジュール熱により、トナーの状態を悪化させていた。
【0153】
これに対し、現像部111では、トナー帯電ローラ123および現像ローラ121にバイアス電圧を印加していない。このため、上記のジュール熱によるトナーの劣化を回避できている。
【0154】
さらに、トナー帯電ローラ123では、固定状態にある基体ローラ142に対しスリーブ141をH方向に回転させることによって、トナーTに対するスリーブ141の接触面を回転方向に移動させるようになっている。
【0155】
これにより、トナーTを帯電させるスリーブ141の表面を随時更新できる。従って、現像ローラ121(スリーブ131)上のトナー層を効率よく帯電させられるため、帯電後における帯電量の不足によるトナーの機内飛散(現像ローラからの欠落)を防止できる。
【0156】
さらに、現像部111では、トナー帯電ローラ123は、現像ローラ121と同方向であるH方向に回転する(カウンター回転する)ように設定されている。すなわち、トナー帯電ローラ123が、ニップ部において現像ローラ121とすれ違うように回転するようになっている。これにより、トナー帯電ローラ123が現像ローラ121上のトナーを現像部111の内部(現像槽120)に戻すように回転するため、トナーの機内飛散を抑制しやすくなっている。
【0157】
また、トナー帯電ローラ123と現像ローラ121とが連れ添って回転する場合と異なり、現像ローラ121のトナーを、トナー帯電ローラ123における異なる領域において帯電させるようになる。これにより、トナー帯電ローラ123の一部に不良箇所のあった場合でも、トナーが帯電不足となることを防止できる。
これにより、トナーを均一に帯電できるとともに、トナー飛散をより良好に抑制できる。
【0158】
また、紫外線照射器143が基体ローラ142の内部にあるため、その光量をトナーTによって減衰できる。さらに、トナーTによる紫外線照射器143の汚染を防止できる。
【0159】
また、現像部111では、ニップ部の隙間を適切に設定することで、トナー帯電ローラ123によって、スリーブ141上のトナーTの層厚を規制できるようになっている。
また、現像部111では、スリーブ141によってトナーの層厚を規制しながら、スリーブ141に光照射するようになっている。従って、余分なトナーまでも帯電させてしまうことを抑制できる。
【0160】
なお、図9に示すように、現像部111内におけるトナー供給ローラ122とトナー帯電ローラ123との間に、層厚規制ブレード161を設けるようにしてもよい。現像部111では、層厚規制ブレード161に、トナーを帯電させるためのバイアスを印加する必要がないので、従来構成に比して、トナーのダメージを大幅に低減できる。
【0161】
また、本実施の形態では、トナー帯電ローラ123のスリーブ141に波長350nmの紫外線を照射するために、紫外線照射器143を用いている。しかしながら、これに限らず、より長い波長の光(低エネルギーの光)を発生させる光源を用いて、スリーブ141に上記の紫外線を照射することもできる。
【0162】
図10は、上記のような光源を用いたトナー帯電ローラ123の構成を示す説明図である。この図に示すトナー帯電ローラ123は、紫外線照射器143に代えて、波長700nmの可視光線を発生する可視光線照射器(光照射部)145を備えているとともに、基体ローラ142の内壁に、波長変換素子147を備えている。
【0163】
この波長変換素子(波長変更部)147は、円筒形状を有する非線型光学材料(非線形光学結晶)からなるものである。また、この非線型光学材料は、所定エネルギーを有する2つのフォトン(光子)から、2倍のエネルギーを有する1つのフォトンを生成する機能(第2高調波発生)を有するものである。
【0164】
このような波長変換素子147を設けることにより、可視光線照射器145から発生する波長700nmの可視光線を、波長350nmの紫外線に変換し、スリーブ141に照射することが可能となる。
これにより、紫外線照射器143よりも低コストの可視光線照射器145を用いてトナーの帯電を行えるため、現像部111の製造コストを低減できる。
【0165】
また、本実施の形態では、潜像保持体として感光体ドラム112を用いたが、これに限らず、感光体ドラム112に代えて感光体ベルト(図示せず)を採用することもできる。
【0166】
また、現像部111では、図11に示すように、現像ローラ121(スリーブ131)とトナー帯電ローラ123(スリーブ141)との接触部位であるニップ部の幅が、紫外線照射器143による光照射範囲(スリーブ141の帯電領域)よりも広くなっていることが好ましい。
これにより、ニップ部の上流側(領域X2)においてトナー層厚を規制した後、光照射範囲において、層厚の規制されたトナー層に対して帯電を行える。これにより、余分なトナーに対する帯電を防止できるため、トナー層を効率よく帯電させられる。
【0167】
また、図10において、ニップ部における光照射範囲からはずれた2つの領域X1・X2では、領域X2の方が広くなっていることが好ましい。
【0168】
これは、領域X1を広くしてしまうと、領域X2における帯電前のトナー層厚規制を充分に行えないからである。また、帯電後では、トナー層内のトナーは全て同極性に帯電されているため、領域X1においてトナー層を圧接すると、トナー間の電気的な反発を招来し、トナー飛散を発生させてしまうことがある。従って、領域X2の方を広くすることで、トナー層厚規制を充分に行えるとともに、トナー飛散を抑制できる。
【0169】
また、現像部111では、トナー帯電ローラ123によるトナー層厚規制によって欠落したトナーを、装置内部の現像槽120に戻せる程度に、トナー帯電ローラ123とトナー供給ローラ122とを離して配置することが好ましい。
【0170】
トナー帯電ローラ123とトナー供給ローラ122とが隣接配置されている場合、層厚規制によって欠落したトナーがトナー供給ローラ122に直接付着し、連続して帯電されることとなるため、帯電量のバランスが悪くなる。従って、両ローラを離して設置することで、欠落したトナーを現像槽120に戻し、他のトナーと混合してその帯電量を減少させられる。これにより、現像ローラ121におけるトナー層の帯電量を均一化できる。
【0171】
また、上記したように、現像部111では、紫外線照射器143の光照射範囲内において、スリーブ141の帯電物質を励起状態とすることで、現像ローラ121上のトナーを帯電させるようになっている。
また、スリーブ141はH方向に回転するため、光照射内の帯電物質は、順次的に入れ替えられるように設定されている。
【0172】
そこで、現像部111では、光照射範囲において励起状態となっている帯電物質が、スリーブ141の回転によって光照射範囲から外れ、さらに、1回転後に光照射範囲に再突入するまでに、基底状態に戻るように設定されていることが好ましい。
【0173】
このように構成すれば、光照射範囲内において励起状態となっている帯電物質の量を、常に一定に保つことが可能となっている。これにより、トナーの帯電量を、常に所定値(一定値)に維持できる。
【0174】
ここで、上記の帯電物質は、光重合開始剤および連鎖移動剤を含んでいる。そして、これらの混合比に応じて、励起状態となる確率が決定される。従って、この場合には、光照射範囲に再突入する帯電物質が基底状態となるように、光重合開始剤および連鎖移動剤の混合比率を適切に設定することが好ましい。
【0175】
また、帯電物質の混合比率に応じて、スリーブ141の回転速度,紫外線照射器143の照射光量,ニップ部に搬送される現像ローラ121のトナー量(帯電にかかるトナー量)のいずれかを調整する制御部を、現像部111に備えることが好ましい。
【0176】
図12は、上記のような制御部172の構成を示す説明図である。この図に示すように、制御部172は、スリーブ141を回転させる駆動部(モーター等)173,紫外線照射器143,トナー供給ローラ122にバイアス電圧を印加するバイアス印加部174に接続されている。そして、これらを制御することによって、スリーブ141の回転速度,紫外線照射器143の照射光量,ニップ部に搬送される現像ローラ121のトナー量を調整する機能を有している。
このような制御部172を用いることにより、光照射範囲に再突入する帯電物質を、容易に基底状態とすることが可能となる。
なお、光重合開始剤と連鎖移動剤との混合比率については、後述する実施の形態5において説明する。
【0177】
また、本実施の形態では、帯電プロセスの際、トナー帯電ローラ123のスリーブ141が、現像ローラ121のスリーブ131に接触しながらH方向に回転するとしている。しかしながら、スリーブ141の回転方向・回転速度は、制御部172の制御により、自由に設定できるものである。
例えば、制御部172の制御により、トナー帯電ローラ123のスリーブ141を、G方向に回転させるようにしてもよい(with回転)。
【0178】
この構成では、スリーブ141とスリーブ131とが、ニップ部において同方向に移動するようになる。これにより、スリーブ131上のトナーとスリーブ141の表面とが擦れ合うことを回避できる。このため、スリーブ141との摩擦によってトナーを劣化させてしまうことを防止できる。
【0179】
また、これに限らず、制御部172が、帯電プロセスの際、トナー帯電ローラ123のスリーブ141を停止させておくように設定してもよい。この構成では、スリーブ131と同期させてスリーブ141を回転させる必要がない。従って、帯電プロセスを簡略化できる。
【0180】
また、この場合、制御部172は、トナー帯電ローラ123のスリーブ141を、現像ローラ121の停止時において、所定の時期に、所定角度だけ回転させるように設定されていることが好ましい。
ここで、上記した所定の時期としては、例えば、
・現像ローラ121上のトナーに対する帯電プロセスを所定回数実行した後、
・現像ローラ121の回転数が所定数に達した場合、
・本印刷装置における印刷枚数が所定枚数に達した後
を挙げられる。
【0181】
すなわち、スリーブ141を停止させておく場合、常に同一の帯電物質でトナーを帯電させることとなる。このため、帯電にかかる帯電物質を、局所的に劣化させてしまう。そこで、所定の時期において帯電ローラを所定角度だけ回転させ、帯電にかかる帯電物質を入れ替えることが好ましい。
【0182】
これにより、帯電物質における局所的な劣化を防止できる。なお、帯電ローラの回転の目安となる上記の『所定回数』『所定枚数』は、照射される光の質・量、帯電物質の量(混合比率)や種類等に応じて設定される。
【0183】
なお、帯電物質に照射される光の質・量、帯電物質の量(混合比率)や種類によって多少の相違はあるが、上記の『所定回数』として10000回、『所定枚数』として1000枚を採用できる。
【0184】
また、この構成において、スリーブ141を所定角度だけ回転させる際には、スリーブ141を、現像ローラ121と同じくH方向に回転させることが好ましい。これにより、現像ローラ121上に残留している不要のトナーを装置内に戻して再利用できるとともに、トナーの機内飛散を防止できる。
【0185】
また、この構成において、スリーブ141を回転させる際には、帯電にかかる帯電物質を入れ替える程度に回転させる(光照射範囲における帯電物質を入れ替えられる角度だけ回転させる)ことが好ましい。
これにより、帯電物質を確実に入れ替えられるため、帯電物質の局所的な劣化を良好に防止できる。
【0186】
また、現像ローラ121との接触部(ニップ部)を入れ替える程度に回転させるようにしてもよい。すなわち、スリーブ141を停止させている場合、スリーブ141におけるニップ部に応じた部位は、現像ローラ121およびトナーとの摩擦によって磨耗する。このため、磨耗部分を入れ替えることで、トナーを良好に帯電させられる。また、スリーブ141によるトナー層厚の規制も良好に行える。
【0187】
また、本実施の形態では、現像槽120内のトナーを、攪拌ローラ124において攪拌するとしている。しかしながら、攪拌ローラ124に代えてミキシングパドルを備え、これを用いてトナーを攪拌するようにしてもよい。
【0188】
〔実施の形態5〕
本発明における第5の実施形態について説明する。なお、本実施の形態では、上記した第1〜4の実施形態に示した部材と同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その説明を省略している。
【0189】
本実施の形態では、トナー帯電ローラ123のスリーブ141に含まれている帯電物質について説明する。
上記したように、現像部111では、紫外線照射器143の光照射範囲内において、スリーブ141の帯電物質を励起状態とすることで、現像ローラ121上のトナーを帯電させるようになっている。
【0190】
また、この帯電物質は、光重合開始剤および連鎖移動剤を含んでいる。以下に示す化学式は、現像部111においてスリーブ141の光重合開始剤および連鎖移動剤として用いることの可能な、B−CIMおよびMBTの構造式である。これらの材料を用いることで、現像ローラ121上のトナーを良好に帯電させられる。
【0191】
【化5】
【0192】
【化6】
【0193】
なお、上記したように、現像部111では、帯電物質における光重合開始剤および連鎖移動剤(B−CIMおよびMBT)の混合比に応じて、帯電物質の励起状態となる確率が決定される。
【0194】
また、帯電物質におけるB−CIMとMBTとの混合比率は、現像ローラ121上のトナーを十分に帯電できるような比率に設定されていることが好ましい。ここで、十分に帯電されたトナーとは、感光体ドラム112上の静電潜像を確実に現像できるような帯電量(比電荷量;5〜25μC/g )を有するトナーのことである。
【0195】
図13は、スリーブ141の帯電物質におけるB−CIMに対するMBTの混合比率と、現像ローラ121におけるスリーブ131上のトナーの帯電量との関係を示すグラフである。なお、このグラフに示した帯電量の測定は、スリーブ141を、H方向に、スリーブ131の2倍の速度で回転させて行った。
【0196】
このグラフから、5〜25μC/g の帯電量を得るためには、B−CIMとMBTとの混合比率を、モル比で(1:0.25)〜(1:2.25)の範囲に設定することが好ましいといえる。
【0197】
また、現像部111には、スリーブ131上のトナーにおける帯電量を調整するために、上記した制御部172によって、紫外線照射器143の照射光量,スリーブ141の回転数を制御することが好ましい。
【0198】
すなわち、制御部172は、所定の混合比に設定された帯電物質を用いても帯電量が足らなかった場合、紫外線照射器143における光量を増加させる、あるいは、スリーブ141の回転速度を低下させて、トナーの帯電量を増加させるように設定される。
さらに、この制御部172は、スリーブ131上のトナーの帯電量が大きすぎる場合、紫外線照射器143における光量を減少させる、あるいは、スリーブ141の回転速度を増加させて、トナーの帯電量を減少させることとなる。
【0199】
〔実施の形態6〕
本発明における第6の実施形態について説明する。なお、本実施の形態では、上記した第1〜5の実施形態に示した部材と同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その説明を省略している。
【0200】
本実施の形態にかかる現像部111は、図6に示したトナー帯電ローラ123に代えて、図14に示すようなトナー帯電部180を備えた構成である。
この図に示すように、トナー帯電部(帯電部)180は、トナー帯電ベルト181,有機EL182,駆動ローラ183,従動ローラ184を備えている。
【0201】
図15は、トナー帯電ベルト(帯電部)181の構造を示す説明図(図14のA−A’断面図)である。トナー帯電ベルト181は、透明フィルム185および帯電層186から構成された無端形状(環状)のベルトであり、現像ローラ121に接触しながら、現像ローラ121と同方向(H方向)に回転する(カウンター回転する)ように設定されている。
【0202】
透明フィルム(基体フィルム)185は、可撓性および光透過性を有するフィルムからなる部材であり、トナー帯電ローラ123の基体となるものである。また、帯電層186は、透明フィルム185の外側に形成された膜であり、スリーブ141に含まれているものと同様の帯電物質(実施の形態5参照)を含有している。
【0203】
有機EL182は、透明フィルム185を介して、帯電層186に対して紫外線(光)を照射するものであり、透明フィルム185に密着した状態で、透明フィルム185の内側に設けられている密着型の光源である。
【0204】
また、有機EL182は、その下部が、現像ローラ121の外形に応じて湾曲した形状となっている。そして、トナー帯電ベルト181は、有機EL182の湾曲部において現像ローラ121と接触するようになっている。すなわち、このトナー帯電部180では、有機EL182の湾曲部がニップ部となっている。そして、この有機EL182は、ニップ部の全体に光を照射するように設定されている。
【0205】
駆動ローラ183は、トナー帯電ベルト181をH方向に回転させる駆動装置である。また、従動ローラ184は、トナー帯電ベルト181の回転を支える回転軸の1つとなるものである。また、トナー帯電部180では、上記した有機EL182も、トナー帯電ベルト181の回転を支持する機能を有するようになっている。
【0206】
そして、図14に示すように、トナー帯電ベルト181は、有機EL182,駆動ローラ183,従動ローラ184の3つの部材によって支持され、有機EL182によって頂点を潰された逆三角形状(台形状)を有している。
【0207】
ここで、現像部111の動作について説明する。
現像が開始されると、トナー供給ローラ122が、H方向に回転する現像ローラ121におけるスリーブ131上に、周方向に沿って順次的にトナー層を形成する。その後、スリーブ131のトナー層は、トナー帯電部180におけるトナー帯電ベルト181との接触部分(ニップ部)に搬送される。そして、H方向に回転するトナー帯電ベルト181が、ニップ部においてスリーブ131におけるトナー層の厚さを規制するとともに、このトナー層を接触帯電させる。
【0208】
すなわち、トナー帯電部180では、有機EL182による紫外線の照射により、トナー帯電ベルト181の帯電物質を励起させて構造を変化させ、スリーブ131上のトナーを帯電させるようになっている(接触帯電プロセス)。
【0209】
その後、帯電されたトナー層は、感光体ドラム112との対向部位に送られ、感光体ドラム112上の静電潜像に対して静電的に吸着される。これにより、静電潜像をトナー像として現像するようになっている。
【0210】
なお、トナー帯電ベルト181に接触して帯電されたスリーブ131上のトナーは、ニップ部を抜けた後、トナー帯電ベルト181に付着せず、スリーブ131に残留するようになっている。これは、トナー帯電ベルト181の表面粗度が、スリーブ131よりも大きくなっているからである。
【0211】
以上のように、本実施の形態にかかる現像部111では、トナーを帯電させるために摩擦力を用いないため、トナーの劣化を防止できる。
また、帯電ローラではなく、可撓性を有する透明フィルム185を基体としたトナー帯電ベルト181を用いているため、トナー帯電部180の形状の自由度を高められる。従って、現像部111のサイズを小型化できる。すなわち、図14に示すように、本実施形態では、トナー帯電ベルト181を、頂点を潰した逆三角形状(台形状)としている。これにより、ロール形状とする場合に比して、トナー帯電ベルト181の高さを減少させることが可能となっている。
【0212】
また、トナー帯電部180では、250nm〜350nmの波長を有する有機EL182からなる密着型発光器を用いている。このように有機EL182を用いる場合、トナー帯電ベルト181に密着させても、発熱によってトナー帯電ベルト181を傷めることがない。これにより、現像部111のさらなるコンパクト化を図ることが可能となる。
【0213】
また、この有機EL182は、トナー帯電ベルト181に内側から密着するとともに、ニップ部の全体に光を照射するように設定されている。このように、有機EL182の設置位置をベルトの内側とすることで、現像部111をより小さくできる。さらに、現像ローラ121から欠落したトナーによって有機EL182を汚してしまうことを防止できる。
【0214】
また、トナー帯電ベルト181の各部分に対する有機EL182の光照射時間は、
光照射時間=ニップ幅〔mm〕/(現像ローラ121の周速〔mm/sec〕)
なる式で表され、ニップ幅(光照射範囲の幅)を広くすることで、トナーに対する照射時間を長期化できるので、有機EL182の光量密度(w/cm2 )を下げられる。
【0215】
また、トナー帯電ベルト181は、無端形状(環状)であり、現像ローラに接触しながらH方向に回転するように設定されている。このように、トナー帯電ベルト181を回転させることで、トナー帯電ベルト181における現像ローラ121との接触部位を順次的に変更できる。
【0216】
すなわち、トナー帯電ベルト181における帯電に寄与させる部位を変更できるので、トナー帯電ベルト181における一部の帯電物質だけを劣化させてしまうことを防止できる。従って、現像ローラ121上のトナー層を効率よく帯電させられるため、帯電後における帯電量の不足によるトナーの機内飛散を防止できる。
【0217】
また、本実施の形態では、有機EL182を、トナー帯電ベルト181における回転軸の1つとして利用している。このように、有機EL182に回転軸としての機能を持たせることで、装置(装置構造)の簡略化を図れる。
【0218】
なお、本実施の形態では、トナー帯電ベルト181がH方向に回転するとしている。しかしながら、これに限らず、トナー帯電ベルト181を、G方向に回転させるようにしてもよい。
【0219】
また、G方向に回転させる場合、トナー帯電ベルト181を、現像ローラ121との摩擦力によって回転するように設定してもよい。この構成では、トナー帯電ベルト181は、現像ローラ121に対して従動的に回転することとなる。これにより、トナー帯電ベルト181を駆動させるための構成を設ける必要がないので、現像部111の構成をさらに簡略化できる。
【0220】
〔実施の形態7〕
本発明の第7の実施形態について説明する。なお、本実施の形態では、上記した第1〜6の実施形態に示した部材と同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その説明を省略している。
【0221】
本実施の形態にかかる印刷装置(本印刷装置)は、図5に示した印刷装置の構成において、現像部111(図6参照)に代えて、図16に示すような現像部111aを備えており、さらに、現像材として、1成分系の非磁性トナーを用いる構成である。
【0222】
また、現像部(現像装置)111aは、現像部111の構成において、トナー帯電ローラ123および現像ローラ121に代えて、図16に示すようなトナー帯電ローラ191および現像ローラ121aを備えた構成である。
【0223】
現像ローラ(搬送部)121aは、感光体ドラム112(図5参照)と対向するように設けられた回転ローラである。そして、図16に示すように、Al(アルミニウム)製の素菅132aに、導電性のゴム弾性材料からなるゴム層131aが設けられている円筒形状を有している。さらに、現像ローラ121aの素菅132aには、所定の現像バイアスが印加されている。
【0224】
そして、この現像ローラ121aは、ローラ122・123によって形成されたトナー層を保持した状態で、感光体ドラム112と等速でH方向に回転しながら、感光体ドラム112に接触するように設定されている。これにより、感光体ドラム112の静電潜像にトナーを付着させ、この静電潜像を現像してトナー像を形成するようになっている。
【0225】
トナー帯電ローラ(帯電部)191は、トナー帯電ローラ123と同様に、トナー供給ローラ122よりもH方向に沿って下流側において、現像ローラ121aに対向配置された回転ローラである。そして、現像ローラ121aと接触しながら、現像ローラ121aと等速度〜3倍の速度でH方向に回転し、上記した接触帯電によって、現像ローラ121a上のトナー層を所定の電圧値に帯電させるものである。
また、トナー帯電ローラ191は、現像ローラ121a上のトナー層を所定の厚さ(10〜40μm)に規制する機能も有している。
【0226】
そして、図16に示すように、トナー帯電ローラ191は、基体ローラ192,導電性ITO193,帯電層194を備えている。
【0227】
基体ローラ192は、紫外線透過性を有する透明アクリル樹脂よりなる部材であり、トナー帯電ローラ191の基体となるものである。帯電層194は、導電性ITO193上に塗布されてなる層であり、結合材(無機バインダ)に、上記した帯電物質(フォトクロミック化合物等)を分散させた構成を有している。すなわち、帯電層194は、導電性ITO193上に、帯電物質が塗布されてなる層である。
【0228】
ここで、トナー帯電ローラ191による接触帯電の効果を検証する実験について説明する。図17は、この実験に用いたサンプルを示す説明図である。このサンプルは、現像部111aにおけるトナー帯電ローラ191の構成を模した平板であり、図17に示すように、透明アクリル板201の表面に、ITO膜202とフォトクロミック膜203とを塗布形成し、さらに、PET204を載置してなるものである。
【0229】
透明アクリル板201(厚さK21=1〜5mm)は、基体ローラ192と同様に、紫外線透過性を有する透明アクリル樹脂から構成されている。
また、ITO膜202(厚さK22=数10nm)およびフォトクロミック膜203(厚さK23=数10μm)は、それぞれ導電性ITO193,帯電層194と同様の材料(ITO,B−CIM)から構成されている。
さらに、PET(PES)204(厚さk4=10〜100μm)は、本印刷装置において用いられているトナーの材料であるポリエステル樹脂からなるものである。
【0230】
このようなサンプルに対し、透明アクリル板201側(裏側;図17では下側)から、上記した紫外線照射器143によって、350nmの波長を有する紫外線を照射した。なお、紫外線の照射エネルギーは0.1〜10mW/cm2 であり、照射時間は数秒である。
その後、PET204におけるフォトクロミック膜203との接触面の帯電量を測定した。その結果、PET204における上記の接触面の電位は、+30V〜+150Vであった。
この実験結果より、本印刷装置の現像部111aにおいて、トナー帯電ローラ191と現像ローラ121aとに速度差のない場合、トナー帯電ローラ191によって現像ローラ121a上のトナーを良好に帯電させられることがわかった。
【0231】
なお、図18に示すように、現像ローラ121aとトナー帯電ローラ191の導電性ITO193との間にバイアス電圧を印加し、ニップ部のローラ間(微小空隙)に、0.5〜2.5×10−7(V/m)の強度を有する電界をかけるようにしてもよい。これにより、トナー帯電ローラ191の帯電効率を向上させることが可能となる。
【0232】
また、現像部111aでは、トナー帯電ローラ123における帯電層194の表面粗度は、現像ローラ121aにおけるゴム層131aの表面粗度より小さくなっていることが好ましい。例えば、帯電層194の表面粗度(Ra;中心線平均粗さ)を0.3μm以下とする一方、ゴム層131aの表面粗度(Ra)を0.5〜2μmとすることが好ましい。
これにより、トナーの帯電時に、帯電層194とゴム層131aとが接触する際、スリーブ上のトナーが帯電層194に付着することを防止できる。
【0233】
また、図19に示すように、基体ローラ192の内側に上記した波長変換素子147を設け、紫外線照射器143に代えて可視光線照射器145を備えるようにしてもよい。これにより、紫外線照射器143よりも低コストの可視光線照射器145を用いてトナーの帯電を行えるため、現像部111aの製造コストを低減できる。
【0234】
〔実施の形態8〕
本発明の第8の実施形態について説明する。なお、本実施の形態では、上記した第1〜7の実施形態に示した部材と同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その説明を省略している。
【0235】
本実施の形態にかかる印刷装置(本印刷装置)は、図5に示した印刷装置の構成において、現像部111に代えて、図20に示すような現像部210を備えた構成である。
この図に示すように、現像部(現像装置)210は、図5に示した現像部111の構成において、クリーニングブレード211,トナー補給口213を新たに備えているとともに、トナー帯電ローラ123に代えて、トナー帯電ローラ212を備えた構成である。
さらに、この現像部210は、現像部111ではトナー帯電ローラ123の内部にあった紫外線照射器143を、現像槽120の外部に備えている。
【0236】
トナー帯電ローラ(帯電部)212は、トナー帯電ローラ123と同様に、トナー供給ローラ122よりもH方向に沿って下流側において、現像ローラ121aに対向配置された回転ローラである。また、トナー帯電ローラ212は、トナー帯電ローラ123と異なり、その一部を現像槽120の外部に突出させるように、現像ローラ121aの真上に配置されている。
【0237】
そして、このトナー帯電ローラ212は、現像ローラ121aと接触しながら、現像ローラ121aと等速度〜3倍の速度でH方向に回転し、上記した接触帯電によって、現像ローラ121a上のトナー層を所定の電圧値に帯電させるものである。
また、トナー帯電ローラ212は、現像ローラ121a上のトナー層を所定の厚さ(10〜40μm)に規制する機能も有している。
【0238】
図21は、トナー帯電ローラ212の外観を示す説明図である。また、図22は、トナー帯電ローラ212の断面を示す説明図であり、さらに、図23は、図22に示したA−A’線断面図である。
これらの図に示すように、トナー帯電ローラ212は、アルミニウムからなる芯金層(基体ローラ)221(厚さ;0.8mm)上に、上記した帯電層194(厚さ;60μm)が塗布形成されてなるものである。
【0239】
クリーニングブレード(除去部)211は、トナー帯電ローラ212に吸着した余分なトナーを掻き落とし、現像槽120内に戻すためのものである。なお、このクリーニングブレード211は、帯電層194の表面を傷付けることのないように、帯電層194よりも低い(あるいは同等の)硬度を有する材料から構成されている。
【0240】
また、現像部210では、紫外線照射器143が、現像槽120の外部であって、H方向におけるニップ部の上流側に位置している。
従って、現像部210では、図24に示すように、トナー帯電ローラ212の帯電層194は、紫外線照射器143の光照射範囲(トナー帯電ローラ212(帯電層194)における、紫外線照射器143に対向する部分)でラジカル化された後、ニップ部に搬送され、トナーを帯電させることとなる。
【0241】
ここで、現像部210の動作について説明する。
現像が開始されると、攪拌ローラ124が、現像槽120内のトナーを攪拌して、トナーを微小に帯電させる。その後、トナー供給ローラ122が、十分に攪拌されたトナーを用いて、H方向に回転する現像ローラ121aにおけるゴム層131a上に、周方向に沿って順次的にトナー層を形成する。
【0242】
一方、トナー帯電ローラ212は、H方向に回転しながら、現像槽120の外部に設置された紫外線照射器143の光照射範囲において、紫外線の照射を受ける。これにより、光照射範囲内の帯電層194がラジカル化する。そして、ラジカル化された部分が、現像ローラ121aとトナー帯電ローラ212との接触部分(ニップ部)に搬送され、現像ローラ121aにおけるトナー層の厚さを規制するとともに、このトナー層を接触帯電させる。
【0243】
その後、帯電されたトナー層は、感光体ドラム112との対向部位に送られ、感光体ドラム112上の静電潜像に対して静電的に吸着(供給)される。これにより、静電潜像をトナー像として現像(可視化)するようになっている。
【0244】
以上のように、現像部210では、紫外線照射器143が、トナー帯電ローラ212の外部から、帯電層194に対して紫外線を照射するように設定されている。
従って、帯電層194における帯電物質(フォトクロミック化合物)をラジカルに活性化させるための、紫外線照射エネルギーを有効利用できるようになっている。
【0245】
すなわち、図6に示した現像部111のように、トナー帯電ローラの内部から紫外線を照射する構成では、紫外線を、帯電物質の塗布される基体を介して(通して)、帯電物質に照射する必要がある。
このため、紫外線の一部が基体に吸収・散乱されてしまい、紫外線の利用効率(ラジカル化のための効率)を向上できず、紫外線照射器143におけるエネルギー(電力)消費の増大を招来していた。
【0246】
また、トナー帯電ローラ内の温度上昇を回避するために、冷却のためのファンモーターを設置する等の対策を図ることが好ましいが、このような構成では、部品点数の増大、および、現像部の大型化を招くという問題も生じる。
さらに、帯電物質の基体として、光透過性の高い材料(例えばガラス・透明樹脂等)を使用することが好ましいが、このような材料は、振動・落下等に対する耐久性の改善や、低コスト化を図ることが困難であった。
【0247】
一方、現像部210では、紫外線照射器143の紫外線を帯電層194に対して直接的に照射できる。従って、基体による吸収・散乱を回避できるため、紫外線を非常に有効に利用できるようになっている。従って、紫外線照射器143における消費電力の低減を図ることが可能となっている。
また、基体として透光材料を用いる必要がなく、高強度で廉価な材料(金属等)を用いることができる。従って、トナー帯電ローラ212の耐久性を向上できるとともに、製造コストを低減できる。
さらに、トナー帯電ローラ212内の温度上昇を招来しないため、ファンモーター等の冷却装置を設ける必要がない。従って、部品点数・製造コストの増大を回避できるとともに、現像部210の小型化を図ることが可能となる。
【0248】
また、現像部210では、クリーニングブレードの硬度を帯電層194よりも小さく(あるいは同等に)しているため、帯電層194の表面を傷つける(削る)ことを回避できている。
これにより、長時間の安定したトナー帯電を行える。
【0249】
また、トナー帯電ローラ212は、現像ローラ121aと同方向であるH方向に回転する(カウンター回転する)ように設定されている。すなわち、トナー帯電ローラ212が、ニップ部において、現像ローラ121aとすれ違うように回転するようになっている。これにより、トナー帯電ローラ212が現像ローラ121a上のトナーを現像部111の内部(現像槽120)に戻すように回転するため、トナーの機内飛散を抑制しやすくなっている。
【0250】
また、トナー帯電ローラ212と現像ローラ121aとが連れ添って回転する場合と異なり、現像ローラ121aのトナーを、トナー帯電ローラ212(帯電層194)における異なる領域において帯電させるようになる。
これにより、トナー帯電ローラ212の一部に不良箇所のあった場合でも、トナーが帯電不足となることを防止できる。従って、トナーを均一に帯電できるとともに、トナー飛散をより良好に抑制できる。
【0251】
なお、本実施の形態では、芯金層221として、アルミニウムを用いるとしている。しかしながら、芯金層221の材料としては、これに限らず、どのような材料を用いてもよい。
また、この芯金層221の材料としては、紫外線を透過(および反射)しないものを用いることが好ましい(例えば、表面にツヤ消し処理を施した金属等)。これにより、紫外線が芯金層221を透過・反射して、光照射範囲以外の帯電層194をラジカル化させてしまうことを防止でき、さらに、帯電層194における寿命(帯電物質の寿命)の長期化を図れる。
【0252】
また、紫外線の照射を受けてラジカル化された帯電物質は、時間経過に従って、基底状態に戻ってしまう。このため、紫外線照射器143からの紫外線は、トナー帯電ローラ212と現像ローラ121aとのニップ部にできるだけ近い位置に照射されることが好ましい。すなわち、紫外線照射器143の光照射範囲が、ニップ部に近い位置に設定されていることが好ましい。
このように構成すれば、ニップ部に、非常に密度の高いラジカルを送り込むことが可能となる。
【0253】
また、紫外線照射器143の光照射範囲に、完全に基底状態に戻っていない状態の帯電物資を再投入するように設定した場合には、トナーの帯電効率を低下させてしまうことがわかっている。また、この場合には、帯電物質を常にラジカル化させておくこととなるため、帯電物質の寿命を縮めてしまう。
【0254】
そこで、現像部210では、紫外線照射器143の光照射範囲でラジカル化された帯電物質が、トナー帯電ローラ212の回転によって光照射範囲から外れ、さらに、1回転後に光照射範囲に再突入するまでに、基底状態(不活性状態)に戻るように設定されていることが好ましい。このような設定は、図12に示した制御部172によって、トナー帯電ローラ212の回転速度を調整することで可能となる。
【0255】
このように構成すれば、帯電効率の低下、および、帯電物質の寿命の短縮化を防止できる。さらに、光照射範囲内において励起状態となっている帯電物質の量を、常に一定に保つことが可能となる。これにより、トナーの帯電量を、常に所定値(一定値)に維持できる。
【0256】
また、現像部210を、トナー帯電ローラ212に代えて、図25に示すようなトナー帯電部222を備えた構成としてもよい。
この図に示すように、トナー帯電部(帯電部)222は、図14および図15に示したトナー帯電ベルト181,駆動ローラ183,従動ローラ184を備えており、トナー帯電ベルト181を、現像ローラ121aと同方向であるH方向に回転させるように設定されている。
【0257】
この構成では、トナー帯電ベルト181と現像ローラ121aのニップ幅を、任意の値に設計できる。このため、トナー帯電ベルト181のラジカルと現像ローラ121a上のトナーとの接触時間を容易に長くできる。従って、ラジカルとトナーとの間における電子の授受機会を増加させられる(ラジカル反応利用効率を向上できる)ため、トナーの帯電性を向上できる。
【0258】
また、本実施の形態では、トナー帯電ローラ212およびトナー帯電ベルト181が、現像ローラ121aと同方向であるH方向に回転する(カウンター回転する)としている。しかしながら、これに限らず、図26に示すように、トナー帯電ローラ212(トナー帯電ベルト181)を、現像ローラ121aとは反対方向(G方向)に回転させるようにしてもよい。
【0259】
また、この場合、図27,図28に示すように、紫外線照射器143を、現像槽120の内部に備えることが好ましい。
【0260】
この構成では、現像ローラ121aとトナー帯電ローラ212(トナー帯電ベルト181)とが、ニップ部において同方向に移動するようになる。
これにより、現像ローラ121aの表面とトナー帯電ローラ212(トナー帯電ベルト181)の表面とが擦れ合うことを回避できる。このため、トナー帯電ローラ212(トナー帯電ベルト181)との摩擦によってトナーを劣化させてしまうことを防止できる。
【0261】
また、この構成では、現像槽120内の空気流は、ニップ部に向かって流れることとなる。このため、現像槽120内に浮遊する未帯電トナーが、上記の空気流にのってニップ部近傍の光照射範囲に運ばれ、トナー帯電ローラ212(トナー帯電ベルト181)に付着して帯電(プレチャージ)される。このため、トナーの対電性を向上できる。
【0262】
また、現像ローラ121aには、感光体ドラム112上の静電潜像を現像するために、現像バイアス電圧が印加されているが、このバイアス電圧は、ニップ部を通過したトナーがトナー帯電ローラ212に付着しない程度の値(現像ローラ121aに付着させられるような値)であることが好ましい。
これにより、図20に示したようなクリーニングブレード211を設ける必要がなくなるので、現像部210の製造コストの低下、および、サイズの小型化を図ることが可能となる。
【0263】
また、現像部210では、トナー帯電ローラ212の回転速度を、現像ローラ121aの回転速度以上に設定することが好ましい。これにより、ニップ部において、各トナーの接触する帯電層194の量(ラジカルの量)を増やせるので、トナーの帯電効率を向上させられる。
【0264】
また、現像部210では、トナー帯電ローラ212の回転速度を、現像ローラ121aの回転速度以下に設定するようにしてもよい。これにより、ニップ部において、帯電層194のラジカルに接触するトナーの量を増やせるので、ラジカルを有効に利用できる。
【0265】
また、実施の形態4〜8では、紫外線照射器143によって、スリーブ141や帯電層194に350nmの波長の紫外線を照射するとしている。しかしながら、紫外線照射器143から発生する紫外線の波長は、350nmに限らず、400nm以下であればよい。また、紫外線照射器143から照射する紫外線の波長は、スリーブ141・帯電層194における帯電物質を効率よくラジカル化させる波長であることがさらに好ましい。
【0266】
また、トナー帯電ローラ123・191の基体である基体ローラ142・192(透明アクリル)に対する透過率の高い波長を選択し、選択した波長の光によって帯電物質を効率よくラジカル化できるように、スリーブ141・帯電層194の帯電物質を選択するようにしてもよい。
なお、波長350nmの紫外線であれば、基体ローラ142・192に対する透過率を非常に高くできる。
【0267】
また、実施の形態4〜8では、トナー帯電ローラ123・191によって帯電させる現像材として、非導電性のトナーを示している。しかしながら、これに限らず、トナー帯電ローラ123・191によって、導電性のトナーや、導電性インク,インクミスト等を帯電させることも可能である。
【0268】
また、実施の形態1・2では、トナー帯電ローラ123・191によって帯電させたトナーを用いて、感光体ドラム112上の静電潜像を現像するとしている。しかしながら、これに限らず、感光体ドラム112を用いず、DTP(Direct Toning Process )によって印刷を行うタイプの印刷装置においても、トナー帯電ローラ123・191によってトナーを帯電させることは可能である。
【0269】
なお、この印刷装置としては、例えば、現像ローラ、ゲート群および対向電極を備え、現像ローラ上のトナーを、開放状態のゲートからシートに飛翔させる構成を挙げられる。この構成では、画像データに応じて開放するゲートを適切に選択することで、所望の画像を印刷できるようになっている。
【0270】
また、実施の形態4〜8では、接触帯電によって現像ローラ121・121a上のトナー層を帯電させる例を挙げている。しかしながら、上記の帯電方法を、印刷装置における他の帯電工程、すなわち、帯電ローラ113による感光体ドラム112の帯電、転写ローラ114による転写の際の放電、画像転写後における感光体ドラム112の除電等にも応用することも可能である。
【0271】
また、実施の形態1〜8では、フォトクロミック化合物(P化合物)を用いた帯電ローラを用いてトナーを帯電させているが、P化合物を含有したトナーを用いる方法も考えられる。この方法では、現像槽内でトナーに光を照射することで、P化合物の化学的な構造を変化させ、これをフリーラジカル状態とする。そして、フリーラジカル状態のP化合物によってトナーの電子を引き抜くことで、トナーを帯電(+帯電)させることとなる。
【0272】
しかしながら、この方法では、トナーにP化合物を含有させる必要があるため、通常のトナーを使用できず、運転コストが高くなるという問題がある。また、この方法では、素早く、かつ十分にトナーを帯電させるためには、P化合物の量を増加させる必要があるが、結晶物質であるP化合物の増加は、現像によって得られるトナー像の濃度(隠蔽率)を下げてしまうとともに、トナーをもろくして、トナーのクラッシュを招来してしまう。
【0273】
また、本発明の現像装置を、電子写真装置に用いられ、帯電されたトナーによって、潜像保持体上の静電潜像を現像する現像装置であって、潜像保持体にトナーを付着させる現像ローラと、現像ローラにトナーを供給する供給ローラと、現像ローラ上のトナーを帯電させる帯電部とを備え、この帯電部が、現像ローラと接触している帯電ローラであって、光の照射を受けることで、接触しているトナーを帯電させる帯電物質を備えた帯電ローラと、この帯電ローラの内部に設置され、帯電ローラにおける現像ローラとの接触部位に光を照射する光照射部とを有しており、さらに、上記の帯電ローラが、トナーを帯電させている間、現像ローラに対して所定方向に回転するように設定されていることを特徴とする現像装置、と表現することもできる。
【0274】
この構成では、トナーを帯電させるために摩擦力を用いないため、トナーの劣化を防止できる。さらに、帯電ローラを回転させることで、帯電ローラにおける現像ローラとの接触部位を順次的に変更できる。すなわち、帯電ローラにおける帯電に寄与させる部位を変更できるので、帯電ローラにおける一部の帯電物質だけを劣化させてしまうことを防止できる。従って、現像ローラ上のトナー層を効率よく帯電させられるため、帯電後における帯電量の不足によるトナーの機内飛散(現像ローラからの欠落)を回避できる。
【0275】
また、本発明の現像装置を、電子写真装置に用いられ、帯電されたトナーによって、潜像保持体上の静電潜像を現像する現像装置であって、潜像保持体にトナーを付着させる現像ローラと、現像ローラにトナーを供給する供給ローラと、現像ローラ上のトナーを帯電させる帯電部とを備え、この帯電部が、現像ローラと接触している帯電ローラであって、光の照射を受けることで、接触しているトナーを帯電させる帯電物質を備えた帯電ローラと、この帯電ローラの内部に設置され、帯電ローラにおける現像ローラとの接触部位に光を照射する光照射部とを有しており、さらに、上記の帯電ローラが、トナーを帯電させている間(帯電プロセスの間)、現像ローラに対して停止するように設定されていることを特徴とする現像装置、と表現するともできる。
【0276】
この構成では、トナーを帯電させるために摩擦力を用いないため、トナーの劣化を防止できる。さらに、現像ローラと同期させて帯電ローラを回転させる必要がない。従って、帯電プロセスを簡略化できる。
【0277】
また、本発明の現像装置を、電子写真装置に用いられ、帯電されたトナーによって、潜像保持体上の静電潜像を現像する現像装置であって、潜像保持体にトナーを付着させる現像ローラと、現像ローラにトナーを供給する供給ローラと、現像ローラ上のトナーを帯電させる帯電部とを備え、この帯電部が、現像ローラと接触しながら所定方向に回転している帯電ローラであって、光の照射を受けることで励起状態となり、接触しているトナーを帯電させる帯電物質を備えた帯電ローラと、この帯電ローラの内部に設置され、帯電ローラにおける現像ローラとの接触部(ニップ部)に光を照射する光照射部とを有しており、さらに、上記の帯電物質が、光照射部による光照射範囲を抜けた後、この範囲内に再度入るときに、基底状態に戻るように設定されていることを特徴とする現像装置、と表現できる。
【0278】
この構成では、トナーを帯電させるために摩擦力を用いないため、トナーの劣化を防止できる。さらに、帯電ローラを回転させることで、帯電ローラにおける現像ローラとの接触部位を順次的に変更できる。すなわち、帯電ローラにおける帯電に寄与させる部位を変更できるので、帯電ローラにおける一部の帯電物質だけを劣化させてしまうことを防止できる。従って、現像ローラ上のトナー層を効率よく帯電させられるため、帯電後における帯電量の不足によるトナーの機内飛散(現像ローラからの欠落)を回避できる。
【0279】
また、上記の光照射範囲とは、帯電ローラと現像ローラとの接触部位内における、光照射部による光の照射を受ける範囲である。そして、帯電ローラでは、この範囲内にある帯電物質によって、トナーを帯電させるようになっている。また、この帯電物質は、帯電ローラの回転によって、順次的に入れ替えられるように設定されている。
【0280】
そして、上記の構成では、光照射範囲において励起状態となっている帯電物質が、帯電ローラの回転によって光照射範囲から外れ、さらに、1回転後にこの範囲に再突入するまでに、基底状態に戻るようになっている。従って、この構成では、光照射範囲内において励起状態となっている帯電物質の量を、常に一定に保つことが可能となっている。これにより、トナーの帯電量を、常に所定電位に維持できる。
【0281】
また、本発明の現像装置を、電子写真装置に用いられ、帯電されたトナーによって、潜像保持体上の静電潜像を現像する現像装置であって、潜像保持体にトナーを付着させる現像ローラと、現像ローラにトナーを供給する供給ローラと、現像ローラ上のトナーを帯電させる帯電部とを備え、この帯電部が、現像ローラと接触しながら所定方向に回転している帯電ローラであって、光の照射を受けることで励起状態となり、接触しているトナーを帯電させる帯電物質を備えた帯電ローラと、この帯電ローラの内部に設置され、帯電ローラにおける現像ローラとの接触部(ニップ部)に光を照射する光照射部とを有しており、さらに、上記の帯電物質が、上記した化学式からなるB−CIMおよびMBTを、光重合開始剤および連鎖移動剤として含んでいることを特徴とする現像装置、と表現することもできる。
【0282】
この構成では、現像材を帯電させるために摩擦力を用いないため、現像材の劣化を防止できる。さらに、帯電部を回転させることで、帯電部における搬送部との接触部位を順次的に変更できる。すなわち、帯電部における帯電に寄与させる部位を変更できるので、帯電部における一部の帯電物質だけを劣化させてしまうことを防止できる。従って、搬送部上の現像材を効率よく帯電させられるため、帯電後における帯電量の不足による現像材の機内飛散(搬送部からの欠落)を防止できる。
また、上記の構成では、帯電物質として、B−CIMおよびMBTを含むものを用いている。これにより、搬送部上の現像材を良好に帯電させられる。
【0283】
また、本発明の現像装置を、電子写真装置に用いられ、帯電された現像材によって、潜像保持体上の静電潜像を現像する現像装置であって、潜像保持体に現像材を付着させる搬送部と、搬送部に現像材を供給する供給ローラと、搬送部上の現像材を帯電させる帯電部とを備え、この帯電部が、搬送部と接触している帯電ベルトであって、光の照射を受けることで、接触している現像材を帯電させる帯電物質を備えた帯電ベルトと、この帯電ベルトの内側に設置され、帯電ベルトにおける搬送部との接触部位に光を照射する光照射部とを有していることを特徴とする現像装置、と表現することもできる。
【0284】
この構成では、現像材を帯電させるために摩擦力を用いないため、現像材の劣化を防止できる。また、帯電部ではなく、帯電ベルトを用いているため、帯電部の形状の自由度を高められる。従って、現像装置のサイズを小型化することが可能となる。
【0285】
また、本発明の接触帯電方法を、電子写真装置において生成される潜像保持体上の静電潜像に現像材(トナー)を付着させる現像ローラ上のトナーを帯電させる接触帯電方法において、光の照射を受けることで励起状態となり、接触しているトナーを帯電させる帯電物質を備えた帯電ローラとトナーを有する現像ローラとの接触部位に、帯電ローラの内部から光を照射してトナーを帯電させる帯電工程を含み、この帯電工程が、帯電ローラを、現像ローラに対して所定方向に回転させる回転工程を含んでいることを特徴とする接触帯電方法、と表現することもできる。
【0286】
また、本発明の接触帯電方法を、電子写真装置において生成される潜像保持体上の静電潜像に現像材(トナー)を付着させる現像ローラ上のトナーを帯電させる接触帯電方法において、光の照射を受けることで励起状態となり、接触しているトナーを帯電させる帯電物質を備えた帯電ローラとトナーを有する現像ローラとの接触部位に、帯電ローラの内部から光を照射してトナーを帯電させる帯電工程を含み、この帯電工程が、帯電ローラを、現像ローラに対して停止(固定)させる停止工程(固定工程)を含んでいることを特徴とする接触帯電方法、と表現することもできる。
【0287】
また、本発明の接触帯電方法を、電子写真装置において生成される潜像保持体上の静電潜像に現像材(トナー)を付着させる現像ローラ上のトナーを帯電させる接触帯電方法において、光の照射を受けることで励起状態となり、接触しているトナーを帯電させる帯電物質を備え、所定方向に回転している帯電ローラとトナーを有する現像ローラとの接触部位に、帯電ローラの内部から光を照射してトナーを帯電させる帯電工程を含み、さらに、この帯電工程が、上記の帯電物質が光照射範囲を抜けた後、この範囲内に再度入るときに、基底状態に戻るように設定されていることを特徴とする接触帯電方法、と表現することもできる。
【0288】
また、本発明の接触帯電方法を、電子写真装置において生成される潜像保持体上の静電潜像に現像材(トナー)を付着させる現像ローラ上のトナーを帯電させる接触帯電方法において、光の照射を受けることで励起状態となり、接触しているトナーを帯電させる帯電物質を備え、所定方向に回転している帯電ローラとトナーを有する現像ローラとの接触部位に、帯電ローラの内部から光を照射してトナーを帯電させる帯電工程を含み、さらに、上記の帯電物質が、上記した化学式からなるB−CIMおよびMBTを、光重合開始剤および連鎖移動剤として含んでいることを特徴とする接触帯電方法、と表現することもできる。
【0289】
また、本発明の接触帯電方法を、電子写真装置において生成される潜像保持体上の静電潜像に現像材(トナー)を付着させる現像ローラ上のトナーを帯電させる接触帯電方法において、光の照射を受けることで励起状態となり、接触しているトナーを帯電させる帯電物質を備えた帯電ベルトとトナーを有する現像ローラとの接触部位に、帯電ベルトの内部から光を照射してトナーを帯電させる帯電工程を含んでいることを特徴とする接触帯電方法、と表現することもできる。
【0290】
また、本発明は、複写機、プリンターおよびファクシミリなどの電子写真方式の画像形成装置における現像装置およびそれに用いられる接触帯電方法に関し、詳しくは、現像の信頼性を向上させる対策に係わるといえる。
【0291】
また、一般に、複写機、プリンターおよびファクシミリなどの電子写真方式の画像形成装置においては、静電潜像を担持搬送する感光体に対し、表面にトナーを保持する現像装置の現像ローラの回転によりその表面上のトナーを周方向から順次供給(作用)し、これによって、感光体の表面上(静電潜像)に画像を現像するようになされている。そして、現像ローラ上のトナーは、感光体と対向する対向部よりも現像ローラの回転方向上流側に設けられた層厚規制ブレードによって、現像ローラ上において穂立ちしている現像ブラシ(トナー)の層厚が規制され、この状態で、現像剤流路を通って感光体との対向部まで送られて、感光体の表面の静電潜像に対し供給されることになる。
【0292】
この場合、トナーは、現像ローラおよび層厚規制ブレードにより摺擦されることによって帯電し、現像ローラおよび層厚規制ブレードなどに付着するようになされている。また、トナーにキャリアを混ぜた二成分系の現像剤を用いたものもある。ところが、上述の如き、トナーなどの被帯電部材を、現像ローラおよび層厚規制ブレードといった帯電手段との摺擦により帯電させるものでは、被帯電部材に機械的な摺擦によるストレスが発生して被帯電部材が著しく劣化する上、被帯電部材が帯電手段(現像ローラおよび層厚規制ブレード)に対し摺擦熱によって融着することになる。また、二成分系の現像剤を用いたものでは、機械的な摺擦によるストレスが被帯電部材のみならずキャリアにも発生し、キャリアも著しく劣化することになる。
【0293】
また、本発明の目的は、上述の「光重合性感光層と絶縁体の接触界面における光誘起帯電」に記載された、光によって被帯電部材の帯電を誘起することに着目し、被帯電部材の劣化防止、および帯電手段に対する被帯電部材の融着防止を可能とし、現像の信頼性を向上させられる現像装置およびそれに用いられる接触帯電方法を提供することにあるともいえる。また、紫外線照射器143は、紫外線発光器および紫外線投光機と表現することもできる。
【0294】
また、図14に示した有機EL182は、帯電ベルトに内側から密着するとともに、現像ローラと帯電ベルトとの接触部(ニップ部)の全体に光を照射するように設定されていることが好ましい。すなわち、照射時間は、以下の式で表される。照射時間=(ニップ幅〔mm〕)/(現像ローラ周速〔mm/sec〕)。これにより、ニップ幅が広いと照射時間が長くなり、光量密度〔w/cm2 〕を下げられることがわかる。
【0295】
また、1成分系の非磁性よりなるトナーを現像する従来の現像装置の場合、トナーは現像ローラ表面に、供給ローラにより周方向から順次供給して、現像ローラの回転により担持搬送される。そして、トナーは供給ローラよりも現像ローラの回転方向下流側に設けられた層厚規制ブレードによって、層厚が規制されると同時に、層厚規制ブレードとの摩擦により電荷を帯び(摩擦帯電)る。この状態でさらに回転方向下流側に位置する感光体との対向部まで担持搬送されて、感光体の表面上の静電潜像に対して、静電的に供給され、トナー像として現像(可視化)される。また、トナーに磁性粉を含有した、磁性の1成分トナーを用いる現像剤を用いたものもある。
【0296】
ところが、トナーなどの被帯電部材を、層厚規制ブレードなどの帯電手段との摩擦により帯電させるような従来技術では、被帯電部材は、帯電手段と大きな速度差を持った状態で接触して機械的な摺擦を受けるような構造となっている。即ち、摩擦は被帯電部材と帯電手段が接触して、大きな速度差が発生したときに起こるものである。このとき、被帯電部材と帯電手段の速度差に比例して、機械的/熱的負荷が被帯電部材や帯電手段に加わることになる。従い、上記のように被帯電部材と帯電手段が大きな速度差を持った状態で接触して機械的な摺擦を受けるような構成では、機械的/熱的負荷が大きいために、被帯電部材が破壊劣化したり、摺擦熱により軟化した被帯電部材が、帯電手段や現像ローラに融着して被帯電部材の帯電特性が劣化する。
【0297】
また、2成分系の現像剤を用いたものにおいては、キャリアを帯電手段とし、被帯電部材をキャリアと撹拌させて摩擦帯電させている。帯電のメカニズムは1成分系の帯電のメカニズムと同じく、攪拌のときに被帯電部材とキャリアの接触面では大きな速度差が発生しており、機械的/熱的負荷が被帯電部材やキャリアに加わり、被帯電部材とキャリアが破壊したり、摺擦熱により軟化した被帯電部材が、キャリアに融着して被帯電部材の帯電特性が劣化する。
【0298】
このように、被帯電部材と帯電手段が大きな速度差を持った状態で接触して、機械的な摺擦によりトナーの帯電量を制御しようとする摩擦帯電方式は、被帯電部材や帯電手段に対して、機械的/熱的負荷が大きい方式である。
【0299】
したがって、本発明の目的は、光誘起帯電に着目し、被帯電部材の劣化防止、および帯電手段の融着防止を可能として、現像の信頼性を向上できるように、被帯電部材や帯電手段に対して、機械的/熱的負荷を低減できる現像装置およびそれに用いる接触帯電方法を提供することにあるともいえる。
【0300】
さらに、図20に示した現像部210は、帯電手段を現像ローラに対し、カウンター回転にする事により被帯電部材の機内飛散を抑制して帯電効率を向上を図るものであるともいえる。また、光照射手段を現像装置外部に配設することにより、光照射手段を容易にすることを特徴とするといえる。
【0301】
また、図27に示した現像部210は、光照射を行う照射手段が現像装置の内部に配置されると共に現像ローラの回転方向に対しウイズで回転することによって、現像剤の帯電性の安定と照射手段の交換時の容易さ、ならびに照射光源の光量の低減を図る事を目的とするといえる。
【0302】
また、図16に示した現像部111aは、被帯電部材として1成分系の非磁性よりなるトナーTを用いたものであって、このトナーTを収容する容器状の現像槽120と、感光体ドラム112と対向した位置に回転可能に収容された現像ローラ121aと、感光体ドラム112と反対向した位置において、現像ローラ121aと互いの外周面同士が対面するように回転可能に連設され、現像槽120内のトナーTを現像ローラ121aの外周面に供給するトナー供給ローラ122と、感光体ドラム112と現像ローラ121aが接する位置に対し上流側に位置し、上記トナー供給ローラ122と上記現像ローラ121aが接する位置に対して下流側において互いの外周面同士が対面するように回転可能に連設され、現像槽120内のトナーTを接触により帯電させる帯電手段としてのトナー帯電ローラ191と、このトナー帯電ローラ191に対して、紫外線を照射し、その照射される紫外線によってトナーTの帯電を誘起する照射手段としての紫外線照射器143とを内部に備えているものであるといえる。
【0303】
また、現像部111aによる現像の過程は、静電潜像を担持搬送する感光体ドラム112に対し、現像部111aの現像ローラ121a表面に、トナーTをトナー供給ローラ122より周方向からあらかじめ順次供給して、トナーを保持し、等速度回転運動している現像ローラ121aとトナー帯電ローラ191との間にトナーTを搬送し、現像ローラ121a上のトナーの層厚が規制されると同時に、トナー帯電ローラ191内部に配設された紫外線照射器143からの光をトナー帯電ローラ191に照射することにより、トナー帯電ローラ191から光電子が誘起されトナーTは所望の帯電量に帯電するといえる。この状態で、さらに回転方向下流側に位置する感光体ドラム112との対向部まで送られ、感光体ドラム112の表面上の静電潜像に対して、静電的に供給され、トナー像として現像(可視化)される。
【0304】
現像ローラ121aは、円筒状の導電性ゴム弾性材料で構成されて、50〜150mm/sで駆動回転していてもよい。また、トナー供給ローラ122は、円筒状の発泡性ゴム弾性材料で構成されており、現像ローラ121aと等速度で駆動回転していてもよい。
【0305】
また、トナー帯電ローラ191は、紫外線透過性を有する透明アクリル樹脂よりなる円筒状の基体ローラ192に導電性ITO193と紫外線の照射によってラジカル活性状態になる帯電層194が塗布されて構成されており、現像ローラ121aと等速度で駆動回転していてもよい。
【0306】
また、帯電ローラ113は感光体ドラム112を帯電させて感光体ドラム112の外周面上に静電潜像を形成するものであり、転写ローラ114は感光体ドラム112の外周面上に現像されたトナー像をシートに転写するものであり、定着ローラ対115は転写形成されたトナー像をシートに定着させる上下一対のローラであるといえる。また、LSU116は、レーザービームLによって、感光体ドラム112の外周面上に静電潜像を結像させるようになされていてもよい。
【0307】
また、現像ローラと帯電手段の接触面にトナーが進入し、接触面から離反する際、現像ローラから転移して、帯電手段に付着することが防止できるように、表面粗度は現像ローラ121aが0.5〜2μm、トナー帯電ローラ191表面は0.3μm以下となっていることが好ましい。
【0308】
また、図19に示した構成では、可視光線照射器145から発する波長700nmの光線が波長変換素子147によって波長350nmの紫外線に変換されて帯電手段(帯電層194)に照射されることになり、帯電手段に対し最適な波長350nmの紫外線を照射する紫外線発光器を用意する必要がなく、既存の可視光線照射器145を用いて波長を1/2に変更することができるので照射手段の低廉化を図れるといえる。
【0309】
また、図20に示した現像部210では、以下のように現像を行ってもよい。すなわち、現像層内部に蓄えられたトナーをミキシングパドルにて撹拌する。十二分に撹拌されたトナーは、発泡性ゴム弾性材の供給ローラによって現像ローラ上に薄層形成される。現像ローラ上にトナー層が薄層に形成されたトナーは、帯電部材(帯電層194)との接触ポイントまで搬送される。その結果トナーは、帯電部材と接触する。帯電部材は、光照射手段によって光照射されてフォトクロミック層(帯電層)の内部にあるB−CIMがラジカル反応を誘起される。つまり、光照射によってB−CIMは、トナーを帯電させる状態になる。
【0310】
帯電部材と現像ローラとの接触ニップ間内でラジカル反応を誘起されている帯電部材は、現像ローラ上に薄層形成されているトナーから電子を引き抜いてトナーを帯電させる。帯電させられたトナーは、現像ローラと帯電部材の接触ニップポイントを通過して、像担持体となる感光体に現像される。このトナー帯電時に、現像ローラによって現像ポイントまで搬送されずに帯電部材に吸着されたトナーは、帯電部材に当接されたクリーニングブレードによって現像層内部に掻き落とされるのでマシン内部の機内飛散等の発生が抑制される。
【0311】
また、現像部210における帯電部材の回転方向は、現像ローラの回転方向に対してカウンター方向に回転するので余剰なトナーは、現像層内部に掻き落とされるのでトナー溜まり等の発生および機内トナー飛散はない。
【0312】
また、帯電部材をベルト形状にて構成する場合は、帯電部材と現像ローラの接触ニップ幅を任意の幅に設計できるので、ラジカル反応を誘起されたフォトクロミック層を有する帯電部材との電子のやり取りを行える機会が多くなるので、ラジカル反応利用効率の向上を図れる。つまり、トナー帯電の向上につながる。
【0313】
さらに、図20に示した現像部210における最大の特徴は、帯電部材のフォトクロミック材料をラジカル反応させる光照射手段(紫外線照射器143)が、帯電部材の外側から光照射を行うことである。フォトクロミック材料をラジカルに活性化させるための光照射手段からの光照射エネルギーを有効的に利用できるのでラジカル反応効率が向上できた。つまり、光照射手段のそのもの消費エネルギーの低減が可能になった。
【0314】
消費電力の増大につながるばかりか、帯電部材内部の温度上昇という問題も発生した。温度上昇回避のためにファンモーターの設置などが必要となり部品点数の増大およびマシンの大型化という問題も発生した。また、帯電部材の裏面側から光照射を行う構成にすると、フォトクロミック材料を担持する帯電部材の基材には、光透過性の高い材料例えばガラス・透明樹脂等を使用しなければならなかった。このような材料は、振動落下などによる耐久性問題、もしくはコスト面での問題を克服するのが困難であった。
【0315】
しかし、現像部210のように帯電部材の表層側から光照射を行う方式では、帯電部材の基材については、材料の選択の幅が増え振動落下による耐久性の問題や低コスト化等が解決できた。
【0316】
現像部210のように帯電部材の表層からの光照射手段から光照射を行うことで、消費電力の低減・部品点数削減による低コスト化・基材材料の選択性の自由・現像槽ユニットそのもの小型化等が改善できる。また、現像部210に使用されている円筒状の帯電部材は、図20に記載されている構成になっている。しかし、この構成はあくまでも実施例の1例に過ぎない。
【0317】
現像部210では、光照射部材より照射される光照射方向は、帯電部材の表層部より照射されるので芯金層は、フォトクロミック層を透過してきた光を照射領域以外に反射もしくは透過しない部材を使用することによりフォトクロミック層のラジカル反応が有効に利用できたのでフォトクロミックの材料の寿命を長期化できた。
【0318】
また、フォトクロミック材料B−CIMと連鎖移動剤MBTを含んだ現像部210の帯電部材は、光照射手段によって光照射を行われることによりラジカル反応が誘起されてB−CIMがラジカル状態に活性化する。光照射によって誘起されたラジカル反応は、帯電部材の表層でトナーと接触した時のみ電子の引き抜き作用が行われて、その結果トナーが帯電する。
【0319】
このフォトクロミック材料のB−CIMが光により誘起されたラジカル反応は、時間の経過と共に減衰していく。そのために、できるだけ帯電部材と現像ローラの接触ポイントの近傍に照射されることが望ましい。その結果、フォトクロミック層のラジカル反応は、帯電部材と現像ローラとの接触ニップポイント通過までは、非常に密になっている。帯電部材と現像ローラとの接触ニップポイントを通過後は、徐々にラジカル活性状態が減衰していく。そして、再び光照射手段によって光照射される場合は、帯電部材に含有されているフォトクロミック材料のラジカル活性状態は完全になくなっており不活性状態に戻っている。
【0320】
また、帯電部材の回転スピードも光照射手段によって光照射された後ラジカル活性状態から不活性状態に戻ってから、再び光照射される回転スピードに設定されている。完全にラジカル不活性状態に戻っていない状態で光照射を行うとトナー帯電効率の低下が発生した。
【0321】
また、フォトクロミック材料自身を常に活性化状態にさせてしまうので、フォトクロミック材料のライフを短くしてしまう恐れが発生する。帯電部材の回転スピードは、光照射手段にからの光照射によってフォトクロミック材料がラジカル活性させてから不活性状態に戻してから次の光照射を行うように設定されないと前記問題点が発生する。
【0322】
また、現像部210では、帯電部材が、現像ローラの回転方向に対してカウンター方向に回転している。従って、帯電させられるトナーは、帯電部材の表面層と積極的に均一に接触できる。帯電部材に帯電させられるトナーは、均一に帯電するのみならず、トナー帯電の向上が図られた。
【0323】
また、図24および図26は、トナー帯電ローラ212の帯電層(フォトクロミック層)194と現像ローラ121aとが接触する位置における現像剤(トナー)の帯電状況と、帯電層194の電荷の誘起状態と電荷の授受状態との模式図であるともいえる。
【0324】
また、図27,図28に示した現像部210は、トナー補給ローラ、撹拌ローラ、供給ローラ、現像ローラ、帯電部材、紫外光照射を行う照射部からなっているといえる。また、感光体ドラム112は、導電性弾性部材で構成されていてもよい。
【0325】
さらに、図27に示した現像部210の最大の特徴は、帯電部材のフォトクロミック材料をラジカル反応させる光照射手段が、帯電部材の外側から光照射を行う事と、帯電部材の芯金層として前記照射光を透過しない材質のものを用いたことである。フォトクロミック材料をラジカルに活性化させるための光照射手段からの光照射エネルギーを有効的に利用できるのでラジカル反応効率が向上できた。また、芯金層としては、表面をツヤ消し処理を施した金属を用いることが好ましい。フォトクロミック材料をラジカルに活性化させるための光照射手段からの光照射エネルギーを有効的に利用できるのでラジカル反応効率が向上できた。つまり、光照射手段のそのもの消費エネルギーの低減が可能になった。
【0326】
また、帯電部材の回転速度を現像ローラの回転速度に対し等速かそれ以上に設定することにより、現像ローラによって運ばれる現像剤に加えて、照射手段によって電荷が誘起されたフォトクロミック層が搬送される現像剤に接触する機会が増加し、現像剤の帯電効率が増加する。
【0327】
また、帯電部材の回転速度を現像ローラの回転速度に対してそれ以下に設定すると、現像ローラによって運ばれる現像剤に照射手段によって電荷が誘起されたフォトクロミック層が搬送される時に、誘起された電荷が有効に現像剤に接触し、現像剤の帯電量上昇に不必要なフォトクロミック層の照射がなくなる。すなわち、照射光量を低減することが可能となる。
【0328】
また、帯電部材の回転方向は、現像ローラの回転方向に対してウイズ回転である。このことにより、現像ローラ上を順次送られている未帯電トナーおよび現像槽内に浮遊している未帯電トナーも帯電部材に付着しプレチャージされるため、トナー帯電の向上が図られる。
【0329】
また、帯電部材と接触し、帯電されたトナーは全て帯電部材と現像ローラとの接触部分で現像ローラ側に移動する。移動する理由は、現像ローラには感光体上の静電潜像を可視化像とする時に必要な現像Biasが印加されている。このような状態で帯電部材によって電荷の授受が行われたトナーは現像ローラに吸引された状態となり現像ローラによって搬送される。したがって、帯電部材にはクリーニングブレードを設置する必要がない。
【0330】
また、本発明を、以下の第1〜第20の現像装置として表現することもできる。すなわち、第1の現像装置は、潜像担持体上を担持搬送される静電潜像を可視化する現像装置であって、静電潜像を可視像に現像する被帯電部材と、この被帯電部材に光電子を付与して帯電させる帯電手段と、この帯電手段に対し光を照射するための照射手段とを備えていることを特徴とする現像装置において、前記帯電手段に光照射を行う前期照射手段が、前記現像装置の外部に配置されるとともに現像装置内部に配置される帯電手段の外周部に常時当接するクリーニング手段を有することを特徴とする光誘起帯電を用いる現像装置である。
【0331】
この構成では、帯電手段に光照射を行う前期照射手段を装置の外部に配置することにより、帯電部材の内側から照射する方法に比べて光照射手段の発光エネルギーを低減できる。また、照射手段の光源からの放射熱が現像装置内部にこもることを防止できるので、安定した現像が可能となる。また、現像装置内部に配置される帯電手段の外周部に常時当接するクリーニング手段を有することにより、帯電されたトナーが現像装置の外部に漏れることを防止できる。
【0332】
また、第2の現像装置は、第1の現像装置において、前記帯電手段は、円筒形もしくはベルト形状を有し、その構成は前記照射手段側よりフォトクロミック層・芯金層によって構成されるものである。この構成では、帯電手段の表層部にフォトクロミック層を配置しているので、安定したトナー帯電供給を行える。
【0333】
また、第3の現像装置は、第2の現像装置において、帯電手段が前記円筒形状のときは、前記芯金層は剛体である構成である。この構成では、帯電部材と現像ローラとが安定して接触できるので、トナー帯電を安定して供給できる。また、現像装置の構成を、簡素化・小型化できる。
【0334】
また、第4の現像装置は、第2の現像装置において、帯電手段が前記ベルト状のときは、前記新金はフィルム状である構成である。帯電手段を任意の形状に設計できるので、マシン内部における現像装置の配置などの選択の自由度が増える。また、現像ローラと該帯電手段との接触ニップ幅を任意に設定できる。
【0335】
また、第5の現像装置は、第2の現像装置において、前記フォトクロミック層は、B−CIMとMBTを主材料として混合され、その層厚が1〜100μmの範囲である構成である。
【0336】
帯電部材のフォトクロミック層は、フォトクロミック材料単体だけでは、安定したトナー帯電供給を行えないが、連鎖移動材としてのMBTを混合することにより、安定したトナー帯電を供給できる。また、その層厚を前記範囲内とすることにより、より安定したトナー帯電供給を行える。
【0337】
また、第6の現像装置は、第2の現像装置において、前記芯金層が、前記照射手段による照射光を照射部以外に反射あるいは透過しない材料からなる構成である。この構成では、帯電領域以外でのトナー帯電が行われないため、および、帯電領域以外で帯電されないため、帯電手段であるフォトクロミック層の寿命を長期化できる。
【0338】
また、第7の現像装置は、第1の現像装置において、前記照射手段は、前記現像手段を構成する現像ローラを前記帯電手段の接触を行う直前に照射光を照射する構成である。この構成では、帯電領域以外でのトナー帯電が行われないため、および、帯電領域以外で帯電されないため、帯電手段であるフォトクロミック層の寿命を長期化できる。
【0339】
また、第8の現像装置は、第1の現像装置において、前記帯電手段の回転は、前記現像ローラの回転方向に対してカウンター回転である構成である。この構成では、現像槽の内部にあるトナーを、マシン(現像装置を備える印刷装置)の内部に飛散させることを防止できる。
【0340】
また、第9の現像装置は、前記帯電手段の回転速度が、光照射手段によって照射されることによりフォトクロミック材料B−CIMのラジカル反応が誘起してラジカル活性されたのち、次の光照射までに再び基の状態に戻っている周期に設定されている構成である。これにより、帯電部材の除電機構などが不要となり、現像装置の小型化を図れる。
【0341】
また、第10の現像装置は、前記クリーニング手段が、その材料を弾性部材としその硬度が前記帯電部材のフォトクロミック層に較べ同等もしくはそれ以下である構成である。この抗し得では、帯電部材のフォトクロミック層を削ることなく、安定したトナー帯電を供給できる。
【0342】
また、第11の現像装置は、潜像担持体上を担持搬送される静電潜像を可視化する現像装置であって、静電潜像を可視像に現像する被帯電部材と、この被帯電部材に光電子を付与して帯電させる帯電手段と、この帯電手段に対し光を照射するための照射手段とを備えている現像装置において、前記帯電手段に光照射を行う前記照射手段が、前記現像装置の内部に配置されるとともに、前記現像装置の現像ローラによって搬送される現像剤および装置内に浮遊する現像剤の内の前記帯電手段によって搬送される現像剤を前記照射手段と帯電手段を用いることによって帯電することを特徴とする光誘起帯電方法を用いる現像装置である。
【0343】
この構成では、光源を帯電ローラ外に配置するため、フォトクロミック部材の蓄熱が少なくなる。また、前記帯電手段の内側から照射する際には光を透過する透明な素管が必要であったが、その必要がなくなり、素管の材質選択の範囲が広がる。
【0344】
また、第12の現像装置は、第11の現像装置において、前記帯電手段の回転が、前記現像ローラの回転方向に対してウイズ回転であることを特徴とする。この構成では、現像ローラによって運ばれる現像剤に加えて、装置内に浮遊する未帯電現像剤にもプレチャージを与えられる。このため、現像剤を効率よく帯電させられる。
【0345】
また、第13の現像装置は、第11の現像装置において、前記照射手段は、前記現像装置を構成する現像ローラを前記帯電手段の接触を行う直前に照射光を照射する構成である。光により誘起されたラジカル反応は、時間の経過とともに減衰していくため、できるだけ帯電させる直前に照射した方が有効である。
【0346】
また、第14の現像装置は、第11の現像装置において、前記帯電手段は、筒形状もしくはベルト形状をし、その構成は前記照射手段側よりフォトクロミック層、芯金層によって構成されるものである。この構成では、帯電手段の表層部にフォトクロミック層を配置しているため、安定したトナー帯電供給を行える。
【0347】
また、第15の現像装置は、第14の現像装置において、帯電手段が前記筒形状のときには、前記芯金層は剛体である構成である。帯電部材と現像ローラとが安定して接触できるので、トナー帯電を安定して供給できる。また、現像装置の構成を簡素化・小型化できる。
【0348】
また、第16の現像装置は、第14の現像装置において、帯電手段がベルト形状のときには、前記芯金層はフィルム状である構成である。この構成では、帯電手段を任意の形状に設計できるので、マシン内部での現像装置の配置などの選択の自由度が増える。さらにフィルム状態のため、前記ローラとの接触幅を任意に設定でき、現像剤と誘起された電荷の授受を効率良く行え、現像剤の帯電特性が増す。
【0349】
また、第17の現像装置は、第14の現像装置において、前記フォトクロミック層が、B−CIMとMIBを主材料として混合され、その層厚が1〜100μmの範囲である構成である。帯電部材のフォトクロミック層は、フォトクロミック材料単体だけでは、安定したトナー帯電供給を行えないが、連鎖移動材としてのMBTを混合することにより、安定したトナー帯電を供給できる。また、その層厚を前記範囲内で行うことにより、安定したトナー帯電を供給できる。
【0350】
また、第18の現像装置は、第14の現像装置において、前記芯金層は、前記照射手段による照射光を照射部以外に反射あるいは透過しない材料である構成である。この構成では、帯電領域以外でのトナー帯電が行われないため、および、帯電領域以外で帯電されないため、帯電手段であるフォトクロミック層の寿命の長期化を図れる。
【0351】
また、第19の現像装置は、第11の現像装置において、前記帯電手段の回転速度は、前記現像ローラの回転速度に対し等速かそれ以上である構成である。この構成では、現像ローラによって運ばれる現像剤に加えて、照射手段によって電荷の誘起されたフォトクロミック層が搬送される現像剤に接触する機会が増加し、現像剤の帯電量上昇(電荷の授受チャンス)を増やせる。
【0352】
また、第20の現像装置は、第11の現像装置において、前記帯電手段の回転速度は、前記現像ローラの回転速度に対しそれ以下である構成である。この構成では、現像ローラによって運ばれる現像剤に、照射手段によって電荷が誘起されたフォトクロミック層が搬送される時に、誘起された電荷が有効に現像剤に接触し、現像剤の帯電量上昇に不必要なフォトクロミック層の照射がなくなる。すなわち、照射光量を低減することが可能となる。
【0353】
【発明の効果】
以上のように、帯電手段に対し照射した照射手段の光によって被帯電部材の帯電を誘起することで、機械的な摺擦による被帯電部材のストレスを抑制して被帯電部材の劣化を防止することができる上、帯電手段に対する被帯電部材の摺擦熱による融着も防止することができ、よって現像装置の信頼性を向上させることができる。
【0354】
特に、照射手段の光の照射によって分子構造が変化する物質を帯電手段に含むことで、被帯電部材の帯電を積極的に誘起し、現像装置の信頼性をより向上させることができる。
【0355】
特に、帯電手段の接触面に対し被帯電部材を少なくとも接触後に離反させることで、帯電手段の接触面に対する被帯電部材の接触量を制限し、被帯電部材のストレスをより抑制して被帯電部材の劣化を効果的に防止することができる。
【0356】
特に、帯電手段に対しその反被帯電部材側から光を照射することで、被帯電部材による照射手段の光量の減衰を防止することができる上、被帯電部材による照射手段の汚染を防止することができる。
【0357】
特に、照射手段の光の波長を変更する波長変更手段を設けることで、既存の照射手段を用いて光の波長を変更でき、照射手段のコストの低廉化を図ることができる。
【0358】
特に、被帯電部材に対する帯電手段の接触面を移動可能とすることで、被帯電部材に対する帯電手段の接触面を更新し、被帯電部材の帯電特性および信頼性を向上させることができる。しかも、帯電手段の接触面に対し被帯電部材を満遍なく接触させて被帯電部材のストレスを満遍なく抑制し、被帯電部材の劣化をより効果的に防止することができる。
【0359】
特に、被帯電部材としてトナーを適用することで、トナーダメージを低減し、トナー固有の課題に対処することができる。
【0360】
また、帯電手段に体面するように現像ローラとの間にトナーを搬送することで、現像ローラと帯電手段との間のトナーの層厚を規制し、トナーの帯電を確実に行えてトナーの帯電性能を向上させることができる。
【0361】
しかも、現像ローラと帯電手段との間におけるトナーの層厚を帯電手段の層厚規制手段などによって規制することで、トナーの帯電量を最適化および安定化することができる上、静電潜像に付着するトナーの量を最適化および安定化させることもできる。
【0362】
そして、帯電手段の兼用によってトナーの層厚を規制することで、コストの低廉化を図ることができる。
【0363】
これに対し、帯電手段に対するトナーの搬送方向上流側においてトナーの層厚を層厚規制手段などによって規制することで、トナーの層厚のみを規制する擦過圧に層厚規制手段を設定して、トナーダメージを大幅に低減することができる。
【0364】
さらに、光透過性を有する円筒形状の帯電手段を適用することで、帯電手段の外周面全域にトナーを満遍なく接触させて、トナーの帯電性能をさらに向上させることができる。
【0365】
また、以上のように、本発明の現像装置(本現像装置)は、電子写真装置に用いられ、帯電された現像材によって、潜像保持体上の静電潜像を現像する現像装置であって、光の照射を受けることによってラジカル化する帯電物質を備えた帯電部と、この帯電部に光を照射する光照射部とを有しており、ラジカル化した帯電物質を現像材に接触させることで、現像材を帯電させるように設定されている構成である。
【0366】
本現像装置では、光の照射を受けることによってラジカル化する帯電物質を備えた帯電部と、この帯電部に光を照射する光照射部とを有している。そして、ラジカル化した帯電物質を現像材に接触させることで、現像材を帯電させるように設定されている。
【0367】
これにより、本現像装置では、現像材に摩擦力を与えることなく、現像材を帯電させられる。従って、摩擦熱による現像材の劣化、および、摩擦熱により軟化した現像材による装置の汚染等を回避することが可能となっている。
特に、本現像装置の現像材としてトナーを用いた場合、その溶融による画質劣化・装置故障を効果的に防止できる。
【0368】
また、本現像装置は、現像材を保持して潜像保持体に搬送する搬送部を備えていることが好ましい。そして、帯電部は、搬送部に保持された状態の現像材に、ラジカル化した帯電物質を接触させるように設定されていることが好ましい。
【0369】
この構成では、搬送部に保持された現像材、すなわち、現像に使用される直前の現像材だけを帯電するようになる。これにより、本現像装置内に貯蔵してある他の現像材(すぐには使用されない現像材)を帯電してしまうことを回避できるため、帯電効率を向上できる。また、貯蔵してある現像材の電位を一定に保つことが可能となる。
【0370】
また、本現像装置では、搬送部が、表面で現像材を搬送するローラ形状を有していることが好ましい。これにより、搬送部を容易に形成できる。
さらに、帯電部を、基体ローラ上に帯電物質を含む帯電層が形成されてなるローラ形状を有する部材から構成し、これら搬送部と帯電部とが互いに接触するように設けられていることが好ましい。
また、この構成では、基体ローラとして剛体を用いることが好ましい。これにより、帯電部と搬送部とを安定した状態で接触させられる。
【0371】
また、この構成において、帯電部として、基体フィルム上に帯電物質を含む帯電層が形成されてなるベルト形状の部材を用いてもよい。この構成では、帯電部の形状の自由度を高められる。従って、本現像装置のサイズを小型化することが可能となる。
【0372】
また、帯電部をローラあるいはベルト形状とする場合、光照射部は、帯電部の外部および内部の何れに設置してもよい。光照射部を帯電部の内部に設置すれば、現像装置全体のサイズを小型化できる。
【0373】
また、光照射部を帯電部の外部に設置する構成では、光照射部の光を帯電部に対して直接的に照射できる。従って、基体による吸収・散乱を回避できるため、光を非常に有効に利用できる。このため、光照射部における消費電力の低減を図ることが可能となる。
【0374】
また、基体として透光材料を用いる必要がなく、高強度で廉価な材料(金属等)を用いることができる。従って、帯電部の耐久性を向上できるとともに、製造コストを低減できる。
さらに、帯電部内の温度上昇を招来しないため、ファンモーター等の冷却装置を設ける必要がない。従って、部品点数・製造コストの増大を回避できるとともに、本現像装置の小型化を図ることが可能となる。
【0375】
また、この構成では、帯電部が、現像材を帯電させている間、搬送部に対して所定方向に回転するように設定されていることが好ましい。帯電部を停止させておくと、搬送部との接触部が入れ替わらないので、常に同一の帯電物質で現像材を帯電させることとなる。従って、帯電部を回転させることで、帯電にかかる帯電物質を入れ替えることが好ましい。
【0376】
また、光照射部を帯電部の外部に設置する構成では、帯電部と搬送部との接触部よりも上流側(帯電部の回転方向の上流側)において、帯電部に光を照射するように設定されていることが好ましい。
【0377】
また、光照射を受けてラジカル化された帯電物質は、時間経過に従って、基底状態に戻ってしまう。従って、光照射部が、搬送部と帯電部との接触部の近傍において、帯電部に光を照射するように設定されていることが好ましい。このように構成すれば、光照射部と帯電部との接触部に、非常に密度の高いラジカルを送り込むことが可能となる。
【0378】
また、上記の基体フィルムおよび基体ローラは、光照射部の光を反射および透過しない材料で形成されていることが好ましい(例えば、表面にツヤ消し処理を施した金属等)。これにより、紫外線が基体を透過・反射して、光照射範囲以外の帯電部をラジカル化させてしまうことを防止でき、さらに、帯電物質における寿命の長期化を図れる。
【0379】
また、帯電部は、搬送部と同方向に回転する(カウンター回転する)ように設定されていても、また、搬送部と逆方向に回転する(ウイズ回転する)ように設定されていてもよい。
【0380】
帯電部と搬送部とが逆方向に回転する場合には、搬送部と電子誘起部とが、接触部において、互いに同一の方向に移動することとなる。従って、搬送部上の現像材と帯電部との摩擦を抑制できる。
【0381】
一方、帯電部と搬送部とが同方向に回転する場合には、搬送部と電子誘起部とが、接触部において、互いにすれ違うように回転することとなる。すなわち、帯電部が搬送部上の現像材を現像装置の内部に戻すように回転する。このため、搬送部上に残留している不要の現像材を装置内に戻して再利用できるとともに、現像材の機内飛散を抑制しやすくなる。
また、搬送部の現像材を、帯電部における異なる領域において帯電させるようになる。これにより、帯電部の一部に不良箇所のあった場合でも、現像材が帯電不足となることを防止できる。これにより、現像材飛散を良好に抑制できる。
【0382】
また、帯電部の回転速度は、搬送部の回転速度以上の速度で回転するように設定されていても、また、搬送部の回転速度以下の速度で回転するように設定されていてもよい。
【0383】
帯電部の回転速度を搬送部の回転速度以下とする場合、接触部において、帯電部のラジカルに接触する現像材の量を増やせる。従って、ラジカルを有効に利用できる。
一方、帯電部の回転速度を搬送部の回転速度以上とする場合、接触部において、現像材の接触するラジカルの量を増やせるので、トナーの帯電効率を向上させられる。
【0384】
また、帯電部(ローラあるいはベルト形状)の内部に光照射部を設置する場合、光照射部は、搬送部と帯電部との接触部に向けて光を照射するように設定されていることが好ましい。この構成では、光照射範囲(光照射部による光の照射を受ける範囲)が帯電部と搬送部との接触部内となる。そして、帯電部では、この範囲内にある帯電物質によって、現像材を帯電させるようになる。
また、この場合、帯電部は、現像材を帯電させている間、搬送部に対して所定方向に回転するように設定されていることが好ましい。
【0385】
これにより、帯電部を回転させることで、帯電部における搬送部との接触部を順次的に変更できる。すなわち、帯電部における帯電に寄与させる部位を変更できるので、帯電部における一部の帯電物質だけを劣化させてしまうことを防止できる。
従って、搬送部上の現像材を効率よく帯電させられるため、帯電後における帯電量の不足による現像材の機内飛散(搬送部からの欠落)を回避できる。
【0386】
また、この構成では、帯電部と搬送部との接触部の幅が、光照射部による光照射範囲よりも広くなっていることが好ましい。
この構成では、現像材が光照射範囲に到達する前に、接触部において現像材層厚を規制できる。従って、層厚の規制された現像材層に対して帯電を行える。これにより、余分な現像材に対する帯電を防止できるため、現像材を効率よく帯電させられる。
【0387】
また、この構成では、光照射部と帯電部との接触部における光照射範囲から外れた2つの領域(接触部における、光照射部の両端からはみ出した領域)では、搬送部の回転方向における上流側の領域の方が、下流側の領域よりも広くなっていることが好ましい。
【0388】
下流側の領域を広くしてしまうと、上流側の領域による帯電前の現像材厚規制を充分に行えない。
また、帯電後では、現像材内の現像材は全て同極性に帯電されているため、下流側の領域において現像材を圧接すると、現像材間の電気的な反発を招来して現像材飛散を発生させてしまうことがある。
従って、上流側の領域の方を広くすることで、現像材厚規制を充分に行えるとともに、現像材飛散を抑制することが可能となる。
【0389】
また、この構成においても、帯電部は、搬送部と同方向に回転する(カウンター回転する)ように設定されていても、また、搬送部と逆方向に回転する(ウイズ回転する)ように設定されていてもよい。
【0390】
なお、カウンター回転する場合には、帯電部は、搬送部の回転速度に対して等速から3倍の速度で回転するように設定されていることも好ましい。帯電部の回転速度を上記の範囲に設定することで、帯電効率を良好な状態にできる。
【0391】
また、この構成において、搬送部に現像材を供給する供給ローラを備える場合、帯電部は、搬送部の直上から供給ローラまでの間に配置されていることが好ましい。
【0392】
すなわち、搬送部上の現像材は、帯電を受ける際、帯電部との接触によって層厚を規制されるため、その一部が搬送部から欠落する。このとき、帯電部が搬送部の真上よりも下流側(搬送部の回転方向に沿って下流側)に設置されている場合、欠落した現像材が潜像保持体側に落下して、電子写真装置を汚染してしまう。
そこで、帯電部を上記の範囲に設置することで、欠落した現像材を現像装置内に戻すように設定することが好ましいといえる。
【0393】
また、この構成では、帯電部と光照射部との接触部から欠落した現像材が供給ローラに直接的に付着することを回避できる程度に、帯電部と供給ローラとが離れて配置されていることが好ましい。
【0394】
帯電部と供給ローラとが隣接配置されている場合、層厚規制によって欠落した現像材が供給ローラに直接付着し、連続して帯電されることとなるため、帯電量のバランスが悪くなる。従って、これらを離して設置することで、欠落した現像材を現像材槽に戻し、他の現像材と混合してその帯電量を減少させられる。これにより、現像材の帯電量を均一化できる。
【0395】
また、帯電部(ローラあるいはベルト形状)の内部に設置した光照射部から、搬送部と帯電部との接触部に向けて光を照射する構成では、帯電部が、現像材を帯電させている間、搬送部に対して停止するように設定されていてもよい。
この構成では、搬送部と同期させて帯電部を回転させる必要がない。従って、帯電プロセスを簡略化できる。
【0396】
また、帯電時に帯電部を停止させたままとすると、常に同一の帯電物質で現像材を帯電させることとなるため、帯電にかかる帯電物質を、局所的に劣化させてしまう。そこで、上記の構成では、所定回数の帯電を経た後、搬送部が所定回数だけ回転した後、あるいは、電子写真装置において所定枚数のシートを印刷した後、帯電部を所定角度だけ回転させ、帯電にかかる帯電物質を入れ替えるように設定されていることが好ましい。
【0397】
これにより、帯電物質における局所的な劣化を防止できる。なお、帯電部の回転の目安となる上記の『所定回数』『所定枚数』は、照射される光の質・量、帯電物質の量(混合比率)や種類等に応じて設定される。
【0398】
また、帯電の停止時おいて帯電部を回転させる方向は、搬送部と同方向であっても、また、搬送部と逆方向に回転であっても、いずれでもよい。ただし、上記したように、搬送部と逆方向に回転させれば、搬送部上に残留している不要の現像材を装置内に戻して再利用できるとともに、現像材の機内飛散を防止できることとなる。
【0399】
また、この構成において、帯電部を回転させる角度を、光照射部の光照射範囲内にある帯電物質を入れ替えるような角度とすれば、帯電物質を入れ替えられるため、帯電物質の局所的な劣化を良好に防止できる。
【0400】
また、帯電部を回転させる角度を、搬送部との接触部を入れ替えるような角度とすることも好ましい。すなわち、帯電時に帯電部を停止させている場合、帯電部における接触部に応じた部位は、搬送部および現像材との摩擦によって磨耗する。このため、磨耗部分を入れ替えることで、現像材を良好に帯電させられる。また、帯電部による現像材厚の規制を良好に行える。
【0401】
また、光照射部を、帯電部(ローラあるいはベルト形状)の内部あるいは外部のいずれに設置する構成でも、現像材を帯電させている間、帯電部が、搬送部に対して所定方向に回転するように設定されている場合には、帯電部における帯電物質が、光照射部による光照射範囲を抜けた後、この範囲内に再度入るときに、基底状態に戻っているように設定されていることが好ましい。
【0402】
この構成では、光照射範囲内においてラジカル状態(励起状態)となっている帯電物質の量を、常に一定に保つことが可能となっている。これにより、現像材の帯電量を、常に所定電位に維持できる。
【0403】
また、上記の帯電物質は、光重合開始剤および連鎖移動剤から構成できる。そして、この場合には、これらの混合比に応じて、励起状態となる確率が決定される。
従って、上記の構成では、光照射範囲に再突入する帯電物質が基底状態となるように、光重合開始剤および連鎖移動剤の混合比率に応じて、『帯電部の回転速度』,『光照射部の照射光量』,『接触部に搬送される搬送部上の現像材量(帯電にかかる現像材の量)』のいずれかを調整するように設定されていることが好ましい。これにより、光照射範囲に再突入する帯電物質を、容易に基底状態とできる。
【0404】
また、帯電部がベルト形状を有している場合、光照射部として、帯電部の内部に設置され、帯電ベルト(ベルト形状の帯電部)における搬送部との接触部に光を照射する密着型発光器を用いることが好ましい。
【0405】
また、密着型発光器として、250nm〜350nmの波長を有する有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)を用いることができる。このような有機ELを用いる場合、帯電ベルトに密着させても、発熱によって帯電ベルトを傷めることがない。これにより、本現像装置のさらなるコンパクト化を図れる。
【0406】
また、この有機ELは、帯電部に内側から密着するとともに、搬送部と帯電ベルトとの接触部(接触部)の全体に光を照射するように設定されていることが好ましい。このように、光照射範囲の幅を接触部と同等程度に広げることで、光照射部の光における光量密度を下げられる。
【0407】
すなわち、照射時間は、
照射時間=(接触部の幅(mm))/(搬送部の周速(回転速度)(mm/sec))
なる式で表され、接触部の幅(光照射範囲の幅)を広くすることで、現像材に対する照射時間を長期化できるので、光量密度(w/cm2 )を下げられる。
【0408】
また、有機ELの設置位置を帯電ベルトの内側とすることで、現像装置をより小さくできる。さらに、搬送部から欠落した現像材によって有機ELを汚してしまうことを防止できる。
【0409】
また、帯電ベルトは、無端形状(環状)であり、搬送部に接触しながら所定方向に回転するように設定されていることが好ましい。
【0410】
帯電ベルトを回転させることで、帯電ベルトにおける搬送部との接触部位を順次的に変更できる。
すなわち、帯電ベルトにおける帯電に寄与させる部位を変更できるので、帯電ベルトにおける一部の帯電物質だけを劣化させてしまうことを防止できる。従って、搬送部上の現像材を効率よく帯電させられるため、帯電後における帯電量の不足による現像材の機内飛散(搬送部からの欠落)を防止できる。
【0411】
また、帯電ベルトを回転させる場合には、帯電ベルトの内側に密着している有機ELを回転軸の1つとして利用することが好ましい。これにより、有機ELに回転軸としての機能を持たせられるので、装置の簡略化を図れる。
【0412】
また、帯電ベルトは、搬送部との摩擦力によって回転するように設定されていてもよい。
この構成では、帯電ベルトは、駆動装置(モーター等)によって駆動される搬送部に対して、従動的に回転することとなる。これにより、帯電ベルトの駆動機構を設ける必要がないので、現像装置の構成をさらに簡略化できる
また、本現像装置では、帯電部の帯電物質が、以下に示す化学式からなるB−CIMおよびMBTを、光重合開始剤および連鎖移動剤として含んでいることが好ましい。
【0413】
【化7】
【0414】
【化8】
【0415】
この構成では、帯電物質として、B−CIMおよびMBTを含むものを用いているため、搬送部上の現像材を良好に帯電させられる。
また、帯電物質におけるB−CIMとMBTとの混合比率は、搬送部上の現像材を十分に帯電できるような比率に設定されていることが好ましい。ここで、十分に帯電された現像材とは、静電潜像を確実に現像できるような帯電量(5〜25μC/g )を有する現像材のことである。
また、このような帯電量を得るためには、B−CIMとMBTとの混合比率を、モル比で(1:0.25)〜(1:2.25)の範囲に設定することが好ましい。
【0416】
また、この構成では、本現像装置に、搬送部上の現像材における帯電量を調整するために、光照射部の照射光量または帯電部の回転数を制御する制御部を備えることが好ましい。
【0417】
すなわち、この制御部は、所定の(適切な)混合比に設定された帯電物質を用いても帯電量が足らなかった場合、光照射部における光量を増加させる、あるいは、帯電部の回転速度を低下させて、現像材の帯電量を増加させるものである。さらに、この制御部は、搬送部上の現像材の帯電量が大きすぎる場合、光照射部における光量を減少させる、あるいは、帯電部の回転速度を増加させて、現像材の帯電量を減少させるものである。
【0418】
また、本現像装置には、帯電部に付着した現像材を除去する除去部を備えることが好ましい。この除去部は、帯電部に吸着した余分な現像材を掻き落とし、本現像装置内に戻すためのものである。なお、この除去部は、帯電部の表面を傷付けることのないように、帯電部よりも低い(あるいは同等の)硬度を有する材料から構成することが好ましい。
また、帯電部の一部を本現像装置の外部に突出させている構成では、電子写真装置内への現像材の飛散を抑制できるため、上記のような除去部を備えることが非常に好ましいといえる。
【0419】
また、本発明の印刷装置は、潜像保持体と、この潜像保持体上に、画像データに応じた静電潜像を形成する潜像形成部と、本現像装置とを備えている構成である。この印刷装置は、本現像装置を備えているので、摩擦力による現像材の劣化、現像材の軟化による装置の汚染を回避できる。
【0420】
また、本発明の接触帯電方法(本帯電方法)は、電子写真装置において生成される潜像保持体上の静電潜像を現像する現像材を帯電させる接触帯電方法であって、光の照射を受けることによってラジカル化する帯電物質に光を照射し、ラジカル化した帯電物質を現像材に接触させることで現像材を帯電させる帯電工程を含んでいる方法である。
【0421】
本帯電方法は、本現像装置において用いられている帯電方法である。すなわち、本帯電方法では、帯電部に光を照射してラジカルを生成し、このラジカルを用いて現像材を帯電させるように設定されている。これにより、本帯電方法では、現像材に摩擦力を与えることなく、現像材を帯電させられる。従って、摩擦熱による現像材の劣化、および、摩擦熱により軟化した現像材による装置の汚染等を回避することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る現像装置付近の縦断面図である。
【図2】同じく現像装置に用いられる接触帯電方法の一例を示す説明図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る現像装置付近の縦断面図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係わる、現像装置に用いられる接触帯電方法の一例を示す説明図である。
【図5】本発明の第4の実施形態にかかる印刷装置の構成を示す説明図である。
【図6】図5に示した印刷装置における現像部の構成を示す説明図である。
【図7】図6に示した現像部におけるトナー帯電ローラによる接触帯電の様子を示す説明図である。
【図8】図7に示した接触帯電の効果を検証する実験に用いたサンプルを示す説明図である。
【図9】層厚規制ブレードを備えた現像部の構成を示す説明図である。
【図10】可視光線照射器を備えたトナー帯電ローラの構成を示す説明図である。
【図11】図6に示した現像部におけるニップ部と光照射範囲とを示す説明図である。
【図12】図6に示した現像部に備えられた制御部を示す説明図である。
【図13】トナー帯電ローラの帯電物質における、B−CIMに対するMBTの混合比率と、現像ローラ上のトナーの帯電量との関係を示すグラフである。
【図14】本発明の第6の実施形態にかかる印刷装置における現像部に備えられた、トナー帯電部の構成を示す説明図である。
【図15】図14に示したトナー帯電部におけるトナー帯電ベルトの構成を示す説明図である。
【図16】本発明の第7の実施形態にかかる印刷装置における現像部の構成を示す説明図である。
【図17】図16に示した現像部による接触帯電の効果を検証する実験に用いたサンプルを示す説明図である。
【図18】図16に示した現像部の構成であって、現像ローラとトナー帯電ローラとの間にバイアス電圧を印加する構成を示す説明図である。
【図19】図16に示した現像部におけるトナー帯電ローラに可視光線照射器を備えた構成を示す説明図である。
【図20】本発明の第8の実施形態にかかる印刷装置における現像部の構成を示す説明図である。
【図21】図20に示した現像部における、トナー帯電ローラの外観を示す説明図である。
【図22】図21に示したトナー帯電ローラの断面を示す説明図である。
【図23】図21に示したトナー帯電ローラにおける他の断面を示す説明図である。
【図24】図20に示した現像部における接触帯電の様子を示す説明図である。
【図25】本発明の第8の実施形態にかかる印刷装置に備えられる、トナー帯電ベルトを有する現像部の構成を示す説明図である。
【図26】図20に示した現像部における接触帯電の他の様子を示す説明図である。
【図27】図20に示した現像部の構成において、紫外線照射器を現像槽の内部に備えた現像部を示す説明図である。
【図28】図25に示した現像部の構成において、紫外線照射器を現像槽の内部に備えた現像部を示す説明図である。
【図29】従来における、非磁性1成分系のトナーを用いる現像装置の構成を示す説明図である。
【図30】従来における、非磁性1成分系のトナーを用いる現像装置の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
2 現像ローラ
4 帯電ローラ(帯電手段)
40 移動手段
5,5’ 紫外線発光器(照射手段)
6 層厚規制ブレード(層厚規制手段)
7 波長変換素子(波長変更手段)
B 帯電手段
D 感光体ドラム(潜像担持体)
PET ポリエチレンテレフタレート(被帯電部材)
T トナー(被帯電部材)
X 現像装置
111 現像部(現像装置)
111a 現像部(現像装置)
112 感光体ドラム(潜像保持体)
120 現像槽
121 現像ローラ(搬送部)
121a 現像ローラ(搬送部)
122 トナー供給ローラ(供給ローラ)
123 トナー帯電ローラ(帯電部)
141 スリーブ(帯電部,帯電層)
141a 基体(基体ローラ)
141b 帯電層
142 基体ローラ
143 紫外線照射器(光照射部)
145 可視光線照射器(光照射部)
147 波長変換素子
161 層厚規制ブレード
172 制御部
180 トナー帯電部(帯電部)
181 トナー帯電ベルト(帯電部)
182 有機EL
185 透明フィルム(基体フィルム)
186 帯電層
191 トナー帯電ローラ(帯電部)
192 基体ローラ
193 導電性ITO
194 帯電層
210 現像部(現像装置)
211 クリーニングブレード(除去部)
212 トナー帯電ローラ(帯電部)
221 芯金層(基体ローラ)
222 トナー帯電部(帯電部)
Claims (71)
- 潜像担持体上を担持搬送される静電潜像を可視化する現像装置であって、静電潜像を可視像に現像する被帯電部材と、この被帯電部材を接触により帯電させる帯電手段と、この帯電手段に対し光を照射し、この照射される光によって被帯電部材の帯電を誘起する照射手段とを備えていることを特徴とする現像装置。
- 上記請求項1に記載の現像装置において、
帯電手段は、照射手段の光の照射によって被帯電部材の帯電を誘起させるように分子構造が変化する物質を含んでいることを特徴とする現像装置。 - 上記請求項1に記載の現像装置において、
被帯電部材と帯電手段とは互いに接触し、その帯電手段の接触面に対し被帯電部材が少なくとも接触後に離反するようになされていることを特徴とする現像装置。 - 上記請求項1に記載の現像装置において、
照射手段は、帯電手段に対しその反被帯電部材側から光を照射するように設けられていることを特徴とする現像装置。 - 上記請求項1に記載の現像装置において、
帯電手段と照射手段との間には、帯電手段に対し照射手段から照射される光の波長を変更する波長変更手段が設けられていることを特徴とする現像装置。 - 上記請求項1に記載の現像装置において、
帯電手段は、被帯電部材に対する接触面を移動可能とする移動手段を備えていることを特徴とする現像装置。 - 上記請求項1に記載の現像装置において、被帯電部材としては、トナーが適用されていることを特徴とする現像装置。
- 上記請求項7に記載の現像装置において、帯電手段に対面するように現像ローラが配置され、この現像ローラと帯電手段との間にトナーが搬送されるようになされていることを特徴とする現像装置。
- 上記請求項8に記載の現像装置において、
帯電手段は、現像ローラと帯電手段との間に搬送されるトナーの層厚を規制する層厚規制手段を備えていることを特徴とする現像装置。 - 上記請求項9に記載の現像装置において、帯電手段は、層厚規制手段を兼用していることを特徴とする現像装置。
- 上記請求項9に記載の現像装置において、層厚規制手段は、帯電手段に対するトナーの搬送方向上流側に設けられていることを特徴とする現像装置。
- 上記請求項8に記載の現像装置において、
帯電手段は、光透過性を有する円筒状に形成されてなるものであることを特徴とする現像装置。 - 潜像担持体上を担持搬送される静電潜像を可視化する現像装置に用いられる接触帯電方法であって、
静電潜像を可視像に現像する被帯電部材を帯電手段と接触させ、この帯電手段に対し照射手段からの光を照射することによって、被帯電部材の帯電を誘起させていることを特徴とする現像装置に用いられる接触帯電方法。 - 上記請求項13に記載の現像装置に用いられる接触帯電方法において、
照射手段の光の照射によって被帯電部材の帯電を誘起させるように分子構造が変化する物質を帯電手段に含んでいることを特徴とする現像装置に用いられる接触帯電方法。 - 上記請求項13に記載の現像装置に用いられる接触帯電方法において、
被帯電部材と帯電手段とを互いに接触させ、その帯電手段の接触面に対し被帯電部材を少なくとも接触後に離反させるようにしていることを特徴とする現像装置に用いられる接触帯電方法。 - 上記請求項13に記載の現像装置に用いられる接触帯電方法において、
帯電手段に対しその反被帯電部材側から照射手段の光を照射するようにしていることを特徴とする現像装置に用いられる接触帯電方法。 - 上記請求項13に記載の現像装置に用いられる接触帯電方法において、
帯電手段に対し照射手段から照射される光の波長を変更していることを特徴とする現像装置に用いられる接触帯電方法。 - 上記請求項13に記載の現像装置に用いられる接触帯電方法において、
帯電手段の接触面を被帯電部材に対し移動可能としていることを特徴とする現像装置に用いられる接触帯電方法。 - 上記請求項13に記載の現像装置に用いられる接触帯電方法において、
被帯電部材としてトナーを適用していることを特徴とする現像装置に用いられる接触帯電方法。 - 上記請求項19に記載の現像装置に用いられる接触帯電方法において、
帯電手段と、この帯電手段に対面する現像ローラとの間にトナーを搬送していることを特徴とする現像装置に用いられる接触帯電方法。 - 上記請求項20に記載の現像装置に用いられる接触帯電方法において、
現像ローラと帯電手段との間に搬送されるトナーの層厚を規制していることを特徴とする現像装置に用いられる接触帯電方法。 - 上記請求項21に記載の現像装置に用いられる接触帯電方法において、
帯電手段によってトナーの層厚を規制していることを特徴とする現像装置に用いられる接触帯電方法。 - 上記請求項21に記載の現像装置に用いられる接触帯電方法において、
帯電手段に対するトナーの搬送方向上流側においてトナーの層厚を規制していることを特徴とする現像装置に用いられる接触帯電方法。 - 上記請求項20に記載の現像装置に用いられる接触帯電方法において、
光透過性を有する円筒形状の帯電手段を適用していることを特徴とする現像装置に用いられる接触帯電方法。 - 電子写真装置に用いられ、帯電された現像材によって、潜像保持体上の静電潜像を現像する現像装置であって、
光の照射を受けることによってラジカル化する帯電物質を備えた帯電部と、
この帯電部に光を照射する光照射部とを有しており、
ラジカル化した帯電物質を現像材に接触させることで、現像材を帯電させるように設定されていることを特徴とする現像装置。 - 現像材を保持して潜像保持体に搬送する搬送部を備えており、
上記帯電部は、搬送部に保持された状態の現像材に、ラジカル化した帯電物質を接触させるように設定されていることを特徴とする請求項25に記載の現像装置。 - 上記搬送部が、表面で現像材を搬送するローラ形状を有しているとともに、
上記帯電部が、基体ローラ上に帯電物質を含む帯電層が形成されてなるローラ形状を有しており、
さらに、これら搬送部と帯電部とが互いに接触するように設けられていることを特徴とする請求項26に記載の現像装置。 - 上記搬送部が、表面で現像材を搬送するローラ形状を有している一方、
上記帯電部が、基体フィルム上に帯電物質を含む帯電層が形成されてなるベルト形状を有しており、
さらに、これら搬送部と帯電部とが互いに接触するように設けられていることを特徴とする請求項26に記載の現像装置。 - 上記光照射部が、上記帯電部の外部に設置されていることを特徴とする請求項27あるいは28に記載の現像装置。
- 上記の帯電部が、現像材を帯電させている間、搬送部に対して所定方向に回転するように設定されていることを特徴とする請求項29に記載の現像装置。
- 上記光照射部が、搬送部と帯電部との接触部の近傍であって、帯電部における回転方向の上流側に光を照射するように設定されていることを特徴とする請求項30に記載の現像装置。
- 上記基体フィルムおよび基体ローラは、光照射部の光を反射および透過しない材料で形成されていることを特徴とする請求項30に記載の現像装置。
- 上記帯電部は、搬送部と同方向に回転するように設定されていることを特徴とする請求項30に記載の現像装置。
- 上記帯電部は、搬送部と逆方向に回転するように設定されていることを特徴とする請求項30に記載の現像装置。
- 上記帯電部は、搬送部の回転速度以上の速度で回転するように設定されていることを特徴とする請求項30に記載の現像装置。
- 上記帯電部は、搬送部の回転速度以下の速度で回転するように設定されていることを特徴とする請求項30に記載の現像装置。
- 上記光照射部が、帯電部の内部に設置されていることを特徴とする請求項27あるいは28に記載の現像装置。
- 上記光照射部が、搬送部と帯電部との接触部に向けて光を照射するように設定されていることを特徴とする請求項37に記載の現像装置。
- 上記の帯電部が、現像材を帯電させている間、搬送部に対して所定方向に回転するように設定されていることを特徴とする請求項38に記載の現像装置。
- 上記帯電部と搬送部との接触部の幅が、光照射部による光照射範囲よりも広くなっていることを特徴とする請求項39に記載の現像装置。
- 上記接触部における光照射範囲から外れた2つの領域では、搬送部の回転方向における上流側の領域の方が、下流側の領域よりも広くなっていることを特徴とする請求項40に記載の現像装置。
- 上記帯電部は、搬送部と同方向に回転するように設定されていることを特徴とする請求項39に記載の現像装置。
- 上記帯電部は、搬送部の回転速度に対して等速から3倍の速度で回転するように設定されていることを特徴とする請求項42に記載の現像装置。
- 上記帯電部は、搬送部と逆方向に回転するように設定されていることを特徴とする請求項39に記載の現像装置。
- 上記搬送部に現像材を供給する供給ローラを備え、
上記帯電部が、搬送部の直上から供給ローラまでの間に配置されていることを特徴とする請求項39に記載の現像装置。 - 上記接触部から欠落した現像材が供給ローラに直接的に付着することを回避できる程度に、帯電部と供給ローラとが離れて配置されていることを特徴とする請求項45に記載の現像装置。
- 上記の帯電部が、現像材を帯電させている間、搬送部に対して停止するように設定されていることを特徴とする請求項38に記載の現像装置。
- 上記帯電部は、搬送部上の現像材に対する帯電を所定回数実行した後、所定角度だけ回転するように設定されていることを特徴とする請求項47に記載の現像装置。
- 上記帯電部は、搬送部の回転数が所定回数に達した場合に、所定角度だけ回転するようになっていることを特徴とする請求項47に記載の現像装置。
- 上記帯電部は、上記電子写真装置における印刷枚数が所定数に達した後、所定角度だけ回転するように設定されていることを特徴とする請求項47に記載の現像装置。
- 上記帯電部は、搬送部の停止中に、搬送部の回転方向と同方向に回転するように設定されていることを特徴とする請求項48〜50のいずれかに記載の現像装置。
- 上記帯電部は、上記光照射部の光照射範囲内にある帯電物質を入れ替えるような角度だけ回転するように設定されていることを特徴とする請求項48〜50のいずれかに記載の現像装置。
- 上記帯電部は、搬送部との接触部を入れ替えるような角度だけ回転するように設定されていることを特徴とする請求項48〜50のいずれかに記載の現像装置。
- 上記の帯電部が、現像材を帯電させている間、搬送部に対して所定方向に回転するように設定されているとともに、
上記の帯電部における帯電物質が、光照射部による光照射範囲を抜けた後、この範囲内に再度入るときに、基底状態に戻っているように設定されていることを特徴とする請求項27あるいは28に記載の現像装置。 - 上記帯電物質は光重合開始剤および連鎖移動剤を含んでおり、
光照射範囲へ再突入する帯電物質が基底状態となるように、上記光重合開始剤および連鎖移動剤の混合比率に応じて帯電部の回転速度を調整する制御部を備えていることを特徴とする請求項54に記載の現像装置。 - 上記帯電物質は光重合開始剤および連鎖移動剤を含んでおり、
光照射範囲に再突入する帯電物質が基底状態となるように、上記光重合開始剤および連鎖移動剤の混合比率に応じて光照射部の照射光量を調整する制御部を備えていることを特徴とする請求項54に記載の現像装置。 - 上記帯電物質は光重合開始剤および連鎖移動剤を含んでおり、
光照射範囲に再突入する帯電物質が基底状態となるように、上記光重合開始剤および連鎖移動剤の混合比率に応じて、帯電部と搬送部との接触部に搬送される搬送部上の現像材量を調整する制御部を備えていることを特徴とする請求項54に記載の現像装置。 - 上記光照射部が、帯電部の内部に設置され、帯電部における搬送部との接触部に光を照射する密着型発光器であることを特徴とする請求項28に記載の現像装置。
- 上記密着型発光器が有機ELからなることを特徴とする請求項58に記載の現像装置。
- 上記有機ELは、250nm〜350nmの波長を有する光を照射するように設定されていることを特徴とする請求項59に記載の現像装置。
- 上記有機ELは、帯電部に内側から密着するとともに、搬送部と帯電部との接触部の全体に光を照射するように設定されていることを特徴とする請求項59に記載の現像装置。
- 上記の帯電部が無端形状であり、搬送部に接触しながら所定方向に回転するように設定されていることを特徴とする請求項61に記載の現像装置。
- 上記帯電部は、上記有機ELを回転軸の1つとして利用するように設定されていることを特徴とする請求項62に記載の現像装置。
- 上記帯電部は、搬送部との摩擦力を利用して、搬送部の回転力を受けて回転するように設定されていることを特徴とする請求項63に記載の現像装置。
- 上記帯電物質におけるB−CIMとMBTとの混合比率が、現像材の帯電量を、5〜25μC/g の範囲に設定できるような比率となっていることを特徴とする請求項65に記載の現像装置。
- 上記帯電物質におけるB−CIMとMBTとの混合比率が、モル比で(1:0.25)〜(1:2.25)の範囲に設定されていることを特徴とする請求項65に記載の現像装置。
- 上記の帯電部が、現像材を帯電させている間、搬送部に対して所定方向に回転するように設定されており、
さらに、搬送部上の現像材における帯電量を調整するために、上記光照射の照射光量または帯電部の回転数を制御する制御部を備えていることを特徴とする請求項27あるいは28に記載の現像装置。 - 上記帯電部に付着した現像材を除去する除去部を有していることを特徴とする請求項25〜68のいずれかに記載の現像装置。
- 潜像保持体と、
この潜像保持体上に、画像データに応じた静電潜像を形成する潜像形成部と、請求項25〜68のいずれかに記載の現像装置とを備えていることを特徴とする印刷装置。 - 電子写真装置において生成される潜像保持体上の静電潜像を現像する現像材を帯電させる接触帯電方法であって、
光の照射を受けることによってラジカル化する帯電物質に光を照射し、ラジカル化した帯電物質を現像材に接触させることで現像材を帯電させる帯電工程を含んでいることを特徴とする接触帯電方法。
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