JP2002244435A - 現像装置,印刷装置および帯電方法 - Google Patents

現像装置,印刷装置および帯電方法

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JP2002244435A
JP2002244435A JP2001044270A JP2001044270A JP2002244435A JP 2002244435 A JP2002244435 A JP 2002244435A JP 2001044270 A JP2001044270 A JP 2001044270A JP 2001044270 A JP2001044270 A JP 2001044270A JP 2002244435 A JP2002244435 A JP 2002244435A
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JP
Japan
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charging
developing
toner
roller
section
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JP2001044270A
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English (en)
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Tasuke Kamimura
太介 上村
Kiyoshi Toizumi
潔 戸泉
Toshimitsu Goto
利充 後藤
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Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 現像材(トナー)や印刷装置の劣化を防止す
ることの可能な現像装置を提供する。 【解決手段】 本印刷装置における現像部では、現像部
11上のトナーを帯電させるトナー帯電ローラが、紫外
光の照射を受けることで、光電効果によって電子をトナ
ーに放出する金属層43と、金属層43に紫外光を照射
する紫外線照射器44とを備えている。トナー帯電ロー
ラでは、紫外光の照射によって電子を発生させ、これを
トナーに放出することで、トナーを帯電させるようにな
っている。これにより、摩擦によってトナーを帯電させ
る装置に比して、トナーや装置の劣化を防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機,プリンタ
ー,ファクシミリ装置などの電子写真方式の印刷装置に
用いられる現像装置、この現像装置を備えた印刷装置、
および、この現像装置に用いられる帯電方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】一般に、複写機やプリンター,ファクシ
ミリなどの電子写真方式の画像形成装置(電子写真装
置)は、LSU,感光体ドラムおよび現像装置を有して
いる。ここで、LSUは、回転する感光体ドラムにレー
ザー光を照射することで、感光体ドラムの表面に静電潜
像を形成するものである。また、現像装置は、感光体ド
ラムにトナーを供給することで、静電潜像を現像(可視
化)するものである。
【0003】また、現像装置は、感光体ドラムと隣接対
向するように設けられた現像ローラを有している。そし
て、現像ローラの表面にトナーを供給するとともに、感
光体ドラムと逆方向に現像ローラを回転させることで、
感光体ドラム上の静電潜像の全体に、順次的にトナーを
供給できるように設定されている。
【0004】ところで、このような現像装置では、感光
体ドラム上の静電潜像にトナーを静電的に吸着させるこ
とで、現像を行うようになっている。従って、何らかの
方法でトナーを帯電させる必要がある。
【0005】例えば、非磁性1成分系のトナーを用いる
現像装置では、現像ローラに対向配置された供給ローラ
と、供給ローラより下流側(現像ローラの回転方向に沿
って下流側)に設けられた層厚規制ブレード(ブレー
ド)とを備えている。
【0006】そして、供給ローラによって、回転する現
像ローラの表面に順次的にトナーを供給するとともに、
ブレードによって、現像ローラにおけるトナー層の厚さ
を規制する。さらに、図12に示すように、このブレー
ドは、現像ローラ上のトナーと擦れ合うことによって、
トナーを摩擦帯電させるように設定されており、これに
より、現像にかかるトナーを帯電できるようになってい
る。
【0007】このような帯電方法は、非磁性1成分系ト
ナーを用いる現像装置だけでなく、磁性1成分系のトナ
ー(磁性粉を含有させたトナー)を用いる現像装置にお
いても用いられている。
【0008】また、トナーにキャリアを混ぜた2成分系
の現像剤を用いる現像装置では、現像ローラに供給する
前に、トナーとキャリアとを攪拌・混合し、これらの間
に働く摩擦によって、上記と同様にトナーを摩擦帯電さ
せるようになっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ブレー
ドとの摩擦(機械的な摺擦)によりトナーを帯電させる
構成では、十分な帯電量を得るために、トナーとブレー
ドとの速度差を大きくする必要がある。一方、トナーお
よびブレードには、これらの速度差に比例した、機械的
/熱的な負荷が加わる。
【0010】従って、十分な帯電量を得るために上記の
速度差を大きくすると、トナーとブレードとにかかる機
械的/熱的負荷も大きくなり、トナーの帯電特性を劣化
させたり、トナーを破壊劣化させたりするという問題が
発生する。さらに、摩擦熱(摺擦熱)により軟化したト
ナーがブレードや現像ローラに融着して、現像装置の故
障を招来するという欠点もある。
【0011】また、キャリアとの摩擦によりトナーを帯
電させる構成においても、ブレードを用いる構成と同様
に、十分な帯電量を得るために、トナーとキャリアとを
高速に攪拌し、これらの速度差を大きくする必要があ
る。従って、トナーおよびキャリアに過大な機械的/熱
的負荷をかけてしまうため、トナーの帯電特性を劣化さ
せたり、トナー・キャリアを破壊劣化させたりするとい
う問題が発生する。また、摩擦熱により軟化したトナー
がキャリアに融着して、トナーの品質劣化および画質劣
化を招来するという問題もある。
【0012】このように、トナーとブレード・キャリア
との摩擦によりトナーを帯電させる方法の現像装置で
は、トナー,ブレード・キャリアおよび現像装置本体を
傷めてしまうという短所があるといえる。
【0013】本発明は、上記のような従来の問題点を解
決するために成されたものである。そして、その目的
は、トナーや装置の劣化を抑制することの可能な現像装
置、この現像装置を備えた印刷装置、および、この現像
装置において用いられている帯電方法を提供することに
ある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の現像装置(本現像装置)は、電子写真装
置に用いられ、帯電された現像材によって、潜像保持体
上の静電潜像を現像する現像装置であって、現像材を帯
電させる帯電部を備え、この帯電部が、光の照射を受け
ることによって自らの電子を誘起させる電子誘起部と、
この電子誘起部に光を照射する光照射部とを有してお
り、電子誘起部に誘起された電子を用いて現像材を帯電
させるように設定されていることを特徴としている。
【0015】本現像装置は、複写機,プリンター,ファ
クシミリ装置などの電子写真方式の印刷装置に用いられ
る現像装置であり、トナーやインク等の現像材を用いて
静電潜像を現像するものである。ここで、静電潜像と
は、感光体やシート(記録用紙)上に、電位分布により
形成される像のことである。
【0016】また、本現像装置では、静電潜像を良好に
現像するために、帯電部によって、現像にかかる現像材
を帯電させるようになっている。そして、特に、本現像
装置では、この帯電部が、光の照射を受けることによっ
て自らの電子を誘起させる電子誘起部と、電子誘起部に
光を照射する光照射部とを有しており、電子誘起部に誘
起された電子を用いて現像材を帯電させるように設定さ
れている。
【0017】ここで、電子誘起部の電子を誘起させると
は、電子誘起部の電子を取り出し、電子誘起部から独立
した状態で外部の場(電場、磁場等)に反応できる、あ
るいは、外部の物質と反応できるような状態(励起状
態)とすることである。また、光の照射を受けることに
よって自らの電子を誘起させるとは、すなわち、光電効
果による電子誘起のことである。また、光電効果とは、
電子誘起部の電子(主に表面電子)が、その仕事関数以
上のエネルギーを有する光(誘起光)の照射によって誘
起される現象のことである。
【0018】すなわち、本現像装置では、光照射部によ
って誘起光を電位誘起部に照射し、電子誘起部に誘起さ
れた電子を用いて現像材を帯電させるように設定されて
いる。これにより、本現像装置では、現像材に摩擦力を
与えることなく、現像材を帯電させられる。従って、摩
擦熱による現像材の劣化、および、摩擦熱により軟化し
た現像材による装置の汚染等を回避することが可能とな
っている。特に、本現像装置の現像材としてトナーを用
いた場合、その溶融による画質劣化・装置故障を効果的
に防止できる。
【0019】また、本現像装置は、上記の帯電部におけ
る電子誘起部を金属あるいは半導体から構成し、光照射
によって誘起された電子を、現像材に対して放出するよ
うに設定されていてもよい。この構成では、現像材に対
して直接的に電子を付与できるので、現像材を容易に帯
電できる。
【0020】また、この構成では、現像材を保持して潜
像保持体に搬送する搬送部を備えていることが好まし
い。そして、電子誘起部は、搬送部に保持された状態の
現像材に対して、電子を放出するように設定されている
ことが好ましい。
【0021】この構成では、搬送部に保持された現像
材、すなわち、現像に使用される直前の現像材だけを帯
電するようになる。これにより、本現像装置内に貯蔵し
てある他の現像材(すぐには使用されない現像材)を帯
電してしまうことを回避できるため、帯電効率を向上で
きる。また、貯蔵してある現像材の電位を一定に保つこ
とが可能となる。
【0022】また、この構成では、電子誘起部と搬送部
との間に、バイアス電圧が印加されていることが好まし
い。これにより、電子誘起部に誘起された電子を、搬送
部のある方向に加速できる。さらに、電子誘起部と搬送
部との間で電子なだれ現象を生じさせられるため、帯電
効率を劇的に向上できる。
【0023】また、本現像装置の帯電部における電子誘
起部を、光照射によって誘起された電子によってラジカ
ルを生成し、生成したラジカルを現像材に付与する光触
媒から構成するようにしてもよい。
【0024】この光触媒は、誘起された電子によって、
周囲(空気中)の分子(気体・液体)を還元して酸素ア
ニオンラジカル(O2-)や水酸基ラジカル(OH- )等
のラジカルを生成し、現像材に付与するものである。こ
のようなラジカルは、強力な酸化作用を示すものであ
り、現像材を酸化させて電子を奪う作用を有している。
これにより、摩擦力等を利用することなく、現像材を容
易に帯電させられる。
【0025】また、このような光触媒は、金属酸化物半
導体を利用することで、容易に作成できる。特に、酸化
チタンを用いれば、ラジカル発生効率の高い光触媒を得
ることが可能となる。
【0026】また、この構成においても、現像材を保持
して潜像保持体に搬送する搬送部を備えていることが好
ましい。そして、電子誘起部は、搬送部に保持された状
態の現像材に対して、電子を放出するように設定されて
いることが好ましい。これにより、本現像装置内に貯蔵
してある他の現像材を帯電してしまうことを回避できる
ため、帯電効率を向上できる。また、貯蔵してある現像
材の電位を一定に保つことが可能となる。
【0027】また、本現像装置では、電子誘起部が、現
像にかかる現像材と光照射部との間に設けられているこ
とが好ましい。これにより、電子誘起部と現像材との間
に光照射部が入らないので、現像材に向かう電子やラジ
カルを電子誘起部によって遮断してしまうことを防止で
きる。
【0028】さらに、本現像装置には、光照射部から電
子誘起部に照射された光の波長を変更する波長変更部を
備えることが好ましい。これにより、光照射部を変更す
ることなく、電子誘起部に照射する光の波長を容易に変
更できる。従って、電子誘起部の材料に応じて波長を調
整できるので、帯電効率を向上できる。
【0029】また、本現像装置では、現像の際に上記し
た搬送部を用いる場合、この搬送部がローラ形状を有し
ており、電子誘起部がローラ形状を有しているととも
に、その内部に光照射部が備えられており、これら搬送
部と電子誘起部とが、搬送部上の現像材がこれらの間を
通過するように、互いに対向するように設けられている
ことが好ましい。
【0030】この構成では、ローラ形状の電子誘起部内
に光照射部を備えているので、光照射部の光を有効に利
用できる。また、電子誘起部と搬送部との距離を適切に
設定することで、電子誘起部によって、搬送部上の現像
材の厚さを調整(規制)できる。
【0031】また、この構成では、搬送部と電子誘起部
とは、互いに逆方向に回転するようになっており、さら
に、互いの最近接部における相対速度がほぼ0となって
いることが好ましい。この構成では、搬送部と電子誘起
部との最近接部は、互いに同一の方向に、ほぼ同一の速
度で移動することとなる。従って、搬送部上の現像材と
電子誘起部との摩擦を防止できる。
【0032】また、この構成では、電子誘起部の表面粗
度が、搬送部の表面粗度より大きく設定されていること
が好ましい。これにより、搬送部の現像材が電子誘起部
に付着することを抑制できる。
【0033】また、本発明の印刷装置は、潜像保持体
と、この潜像保持体上に、画像データに応じた静電潜像
を形成する潜像形成部と、本現像装置とを備えているこ
とを特徴としている。この印刷装置は、本現像装置を備
えているので、摩擦力による現像材の劣化、現像材の軟
化による装置の汚染を回避できる。
【0034】また、本発明の帯電方法(本帯電方法)
は、電子写真装置において生成される潜像保持体上の静
電潜像を現像する現像材を帯電させる帯電方法であっ
て、光の照射を受けることによって自らの電子を誘起さ
せる電子誘起材料に光を照射し、誘起された電子を用い
て現像材を帯電させる帯電工程を含むことを特徴とする
方法である。
【0035】本帯電方法は、本現像装置において用いら
れている帯電方法である。すなわち、本帯電方法では、
誘起光を電位誘起材料に照射し、電子誘起材料に誘起さ
れた電子を用いて現像材を帯電させるように設定されて
いる。これにより、本帯電方法では、現像材に摩擦力を
与えることなく、現像材を帯電させられる。従って、摩
擦熱による現像材の劣化、および、摩擦熱により軟化し
た現像材による装置の汚染等を回避することが可能とな
っている。
【0036】また、本帯電方法の帯電工程は、電子誘起
材料としての金属あるいは半導体に光を照射し、光照射
によって誘起された電子を現像材に放出する放電工程を
含んでいてもよい。この方法では、現像材に対して直接
的に電子を付与できるので、現像材を容易に帯電でき
る。
【0037】また、本帯電方法の帯電工程は、電子誘起
材料としての光触媒に光を照射し、光照射によって誘起
された電子によってラジカルを生成し、このラジカルを
現像材に付与するラジカル付与工程を含んでいてもよ
い。このようなラジカルは、強力な酸化作用を示すもの
であり、現像材を酸化させて電子を奪う作用を有してい
る。これにより、摩擦力等を利用することなく、現像材
を容易に帯電させることが可能となる。
【0038】
【発明の実施の形態】〔実施の形態1〕本発明における
第1の実施形態について説明する。
【0039】図2は、本実施の形態にかかる印刷装置
(本印刷装置)の構成を示す説明図である。本印刷装置
は、現像材として、1成分系の非磁性トナーを用いる構
成である。そして、図2に示すように、本印刷装置は、
現像部11,感光体ドラム12,帯電ローラ13,転写
ローラ14,定着ローラ対15,LSU16を有してい
る。
【0040】感光体ドラム(潜像保持体)12は、表面
に感光体を備えたドラム(ローラ;直径50mm)形状
の感光体であり、矢印A方向に、50〜150mm/s
の速度で回転駆動されるようになっている。帯電ローラ
13は、感光体ドラム12の表面を、所定の電位(−7
00V)に均一に帯電させるものである。
【0041】LSU(レーザービームスキャナーユニッ
ト)16は、帯電された感光体ドラム12の表面をレー
ザー光(図2中の破線)によって露光するものである。
そして、LSU16の表面に、外部から入力された画像
データに応じた静電潜像を形成する機能を有している。
【0042】現像部(現像装置)11は、LSU16に
よって形成された静電潜像を現像することによって、感
光体ドラム12上にトナー像を形成するものである。転
写ローラ(転写用放電ローラ)14は、感光体ドラム1
2上のトナー像を、放電によってシートPに転写するも
のである。定着ローラ対15は、トナー像の転写された
シートPを加熱圧着することで、トナー像をシートPに
熱定着させるものである。
【0043】次に、本印刷装置における特徴的な構成で
ある、現像部11について説明する。図2に示すよう
に、現像部11は、現像槽20,現像ローラ21,トナ
ー供給ローラ22,トナー帯電ローラ23を備えてい
る。
【0044】現像槽20は、トナーTを収容するための
収容槽(トナー槽)である。攪拌ローラ24は、現像槽
20内のトナーを攪拌することで、トナーを微小に帯電
させるものである。
【0045】トナー供給ローラ22は、現像槽20内に
おいて現像ローラ21に対向配置された、円筒状(直径
20mm)の発泡性ゴム弾性材料からなる回転ローラで
ある。このトナー供給ローラ22には、所定のバイアス
電圧が印加されており、現像槽20内のトナーを吸着・
保持できるようになっている。そして、トナーを保持し
た状態で、現像ローラ21の回転方向(B方向)と反対
方向(A方向)に、現像ローラ21と等速度で回転しな
がら、現像ローラ21と接触するようになっている。
【0046】また、トナー供給ローラ22の表面粗度
は、現像ローラ21よりも小さく設定されている。ロー
ラは、その表面粗度が大きいほどトナーを付着させやす
い。このため、上記の設定により、トナー供給ローラ2
2は、現像ローラ21の表面(外周面)に、トナー層を
形成できるようになっている。
【0047】トナー帯電ローラ23は、トナー供給ロー
ラ22よりもB方向に沿って下流側において、現像ロー
ラ21に対向配置された回転ローラである。そして、現
像ローラ21と接触しながら、現像ローラ21と等速度
でA方向に回転し、後述する放電帯電によって、現像ロ
ーラ21上のトナー層を所定の電圧値に帯電させるよう
になっている。また、トナー帯電ローラ23は、現像ロ
ーラ21上のトナー層を所定の厚さに規制する機能も有
している。なお、トナー帯電ローラ23の詳細な構成に
ついては後述する。
【0048】現像ローラ(搬送部)21は、感光体ドラ
ム12と対向するように設けられた回転ローラである。
そして、図2に示すように、直径21mmのAl(アル
ミニウム)製の素菅32に、厚さ2mmの高抵抗(10
8 〜109 Ωcm)のゴム弾性材料からなるゴム層31
が設けられている円筒形状(直径25mm)を有してい
る。さらに、現像ローラ21の素菅32には、−500
Vの現像バイアスが印加されている。
【0049】そして、この現像ローラ21は、ローラ2
2・23によって形成されたトナー層を保持した状態
で、感光体ドラム12と等速でB方向に回転しながら、
感光体ドラム12に接触するように設定されている。こ
れにより、感光体ドラム12の静電潜像にトナーを付着
させ、この静電潜像を現像してトナー像を形成するよう
になっている。
【0050】次に、現像部11の特徴的な構成である、
トナー帯電ローラ23について説明する。図3は、トナ
ー帯電ローラ23の近傍の構成を示す説明図である。こ
の図に示すように、トナー帯電ローラ23は、基体ロー
ラ41上に、ITO層42,金属層43を有しており、
さらに、基体ローラ41内に、紫外線照射器44を備え
ている構成である。
【0051】基体ローラ41は、紫外線透過性を有する
石英ガラス(あるいは透明アクリル樹脂)よりなる、直
径20mmの円筒状のローラである。ITO層42は、
紫外線を透過可能な導電性のITO(インジウム/錫の
酸化物)からなる電極であり、基体ローラ41上に塗布
形成されているものである。また、ITO層42と現像
ローラ21との間には、感光体ドラム12の回転速度に
応じて、−1100V〜−1300Vのバイアス電圧が
印加されている。
【0052】金属層(電子誘起部)43は、ITO層4
2上にアルミニウムを蒸着(あるいはスパッタリング)
させてなる層である。そして、紫外線の照射を受けるこ
とで、光電効果によって光電子を誘起させる機能を有し
ている。紫外線照射器(光照射部)44は、直径10m
mの紫外線ランプ(低圧の水銀ランプ)であり、基体ロ
ーラ41の内部から外部に向けて紫外線(波長254n
m)を照射する光源である。また、紫外線照射器44
は、金属層43に対して、10mW/cm2 の光強度を
与えるように設定されている。
【0053】図4に、トナー帯電ローラ23の断面を示
す。この図に示すように、トナー帯電ローラ23では、
基体ローラ41の厚み(K1)は2mm、ITO層42
の厚み(K2)は数nm、金属層43の厚み(K3)は
数nmとなっている。
【0054】次に、現像部11の動作について説明す
る。現像が開始されると、トナー供給ローラ22が、現
像ローラ21の表面に、周方向に沿って順次的にトナー
層を形成する。その後、現像ローラ21のトナー層は、
現像ローラ21とトナー帯電ローラ23との間に搬送さ
れる。そして、トナー帯電ローラ23が、このトナー層
の厚さを規制するとともに、トナー層を放電帯電させ
る。
【0055】その後、帯電されたトナー層は、感光体ド
ラム12との対向部位に送られ、感光体ドラム12上の
静電潜像に対して静電的に吸着(供給)される。これに
より、静電潜像をトナー像として現像(可視化)するよ
うになっている。
【0056】次に、トナー帯電ローラ23による放電帯
電について説明する。図1は、この放電帯電の様子を示
す説明図である。すなわち、トナー帯電ローラ23で
は、紫外線照射器44による紫外線の照射により、光電
効果によって、金属層43から外部に向けて光電子eが
誘起・放出される。
【0057】ここで、金属層43における表面電子を誘
起させるとは、金属層43の表面電子を金属層43から
取り出し、金属層43から独立した状態で外部の場(電
場、磁場等)に反応できる、あるいは、外部の物質と反
応できるような状態(励起状態)とすることである。
【0058】また、上記したように、ITO層42と現
像ローラ21との間には、−1100V〜−1300V
のバイアス電圧が印加されている。従って、金属層43
から誘起された電子eは、バイアス電圧によって、現像
ローラ21に向かって加速される。そして、ローラ21
・23間で電子なだれ現象による電子増殖を引き起しな
がら、現像ローラ21のトナー層に到達し、トナー層を
所望の帯電量(−20μC/g)に帯電するようになっ
ている。
【0059】ここで、光電効果について説明する。金属
や半導体の表面にある電子(表面電子)は、外部から所
定値(仕事関数)以上のエネルギーを受けることで、外
部に誘起・放出されるようになっている。そして、光電
効果とは、光の照射によって上記のようなエネルギーが
表面電子に付与され、光電子として放出される現象のこ
とである。
【0060】なお、放出された電子のエネルギーKは、
仕事関数Wf および光エネルギーhν(プランク定数と
光の周波数との積)によって、以下の式(1)によって
表される。また、波長254nmの光のエネルギーは、
以下の(2)式によって計算される。 K=hν−Wf … (1) hν=hc/λ=7.95×10-19 〔J〕=4.963〔eV〕 …(2) なお、これら(1)(2)式において使用される物理定
数を、以下の表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】また、電子なだれ現象とは、以下のような
ものである。すなわち、金属層43から誘起され、バイ
アス電圧によって加速された電子は、トナー帯電ローラ
23と現像ローラ21との間にある空気中の気体分子
(O2 ,N2 等)と衝突してこれらを電離させて電子を
放出させる。そして、この電離によって生じた新たな電
子がバイアス電圧によって加速されてさらに他の分子を
電離させ、さらに新たな電子を放出させる。このような
電子の増加が、電子なだれ現象である。
【0063】なお、以下の式(3)に、気体分子Mの電
離によって電子eが放出される仮定(電子なだれによる
増殖α効果)を示す。 M+e→M+ +e+e … (3) このように、電子なだれ現象を用いれば、光電効果で発
生した電子(光電子)がバイアス電圧によって加速され
て空気中の気体分子と衝突し、これらを電離することで
新たな電子を発生させて次々と電離作業に参加させてゆ
くことが可能となる。従って、現像ローラ21のゴム層
31におけるトナー層に到達する電子の量を激増させる
ことが可能となる。
【0064】以上のように、本印刷装置における現像部
11では、現像ローラ21上のトナーを帯電させるトナ
ー帯電ローラ23が、光の照射を受けることによって電
子をトナーに放出する金属層43と、金属層43に光を
照射する紫外線照射器44とを備えている。
【0065】すなわち、トナー帯電ローラ23は、光の
照射によって電子を発生させ、これをトナーに放出する
ことで、トナーを帯電させるように設定されている。こ
れにより、摩擦によってトナーを帯電させる装置に比し
て、トナーや装置の劣化を防止できるようになってい
る。また、トナー帯電ローラ23では、金属層43が、
光電効果によって電子を放出するようになっている。こ
れにより、電子の放出を容易に行える。
【0066】なお、現像部11では、トナー帯電ローラ
23における金属層43の表面粗度は、現像ローラ21
におけるゴム層31の表面粗度より小さくなっているこ
とが好ましい。例えば、金属層43の表面粗度(Ra;
中心線平均粗さ)を0.3μm以下とする一方、ゴム層
31の表面粗度(Ra)を0.5〜2μmとすることが
好ましい。これにより、トナーの帯電時に金属層43と
ゴム層31とが接触する際、ゴム層31上のトナーが金
属層43に付着することを防止できる。
【0067】また、本実施の形態では、金属層43がア
ルミニウムからなるとしている。しかしながら、これに
限らず、金属層43の材料としては、紫外線照射器44
から発生される紫外線の照射を受けることで、光電効果
によって光電子を放出するものであれば、どのようなも
のでも採用できる。例えば、金属層43の材料として、
金(Au),銅(Cu),鉄(Fe),亜鉛(Zn)等
の金属を用いることが可能である。
【0068】また、金属層43に代えて、光電効果の生
じるような半導体からなる半導体層を設けるようにして
もよい。このような半導体層としては、例えば、ガリウ
ム砒素(GaAs),シリコン(Si),酸化亜鉛(Z
nO)等を用いることが可能である。
【0069】また、本実施の形態では、紫外線照射器4
4から照射される紫外線の波長を254nmとしている
が、この波長は、金属層43の材料における仕事関数に
応じて、適宜変更することが好ましい。
【0070】また、基体ローラ41(石英ガラス)に対
する透過率の高い波長を選択し、選択した波長の光によ
って光電効果を効率よく発生できるように、金属層43
(あるいは半導体層)の材料を選択するようにしてもよ
い。
【0071】なお、波長254nmの紫外線であれば、
基体ローラ41に対する透過率を90%以上とできる。
また、金属層43の材料にアルミニウムを用いる場合、
254nmの光による光電効果を、非常に効率よく発生
させられる。
【0072】また、本実施の形態では、トナー帯電ロー
ラ23の金属層43に波長254nmの紫外線を照射す
るために、紫外線照射器44を用いている。しかしなが
ら、これに限らず、より長い波長の光(低エネルギーの
光)を発生させる光源を用いて、金属層43に上記の紫
外線を照射することもできる。
【0073】図5は、上記のような光源を用いたトナー
帯電ローラ23の構成を示す説明図である。この図に示
すトナー帯電ローラ23は、紫外線照射器44に代え
て、波長508nmの可視光線を発生する可視光線照射
器(光照射部)45を備えているとともに、基体ローラ
41の内壁に、波長変換素子46を備えている。
【0074】この波長変換素子(波長変更部)46は、
直径15mmの円筒形状を有しており、非線型光学材料
(非線形光学結晶)からなるものである。また、この非
線型光学材料は、所定エネルギーを有する2つのフォト
ン(光子)から、2倍のエネルギーを有する1つのフォ
トンを生成する機能(第2高調波発生)を有するもので
ある。
【0075】このような波長変換素子46を設けること
により、可視光線照射器45から発生する波長504n
mの可視光線を、波長254nmの紫外線に変換し、金
属層43に照射することが可能となる。これにより、紫
外線照射器44よりも低コストの波長変換素子46を用
いてトナーの帯電を行えるため、現像部11の製造コス
トを低減できる。
【0076】図6に、図5に示したトナー帯電ローラ2
3の断面を示す。この図に示すように、トナー帯電ロー
ラ23では、波長変換素子46の厚み(K4)は1m
m、基体ローラ41の厚み(K1)は2mm、ITO層
42の厚み(K2)は数nm、金属層43厚み(K3)
は数nmとなっている。
【0077】〔実施の形態2〕本発明の第2の実施形態
について説明する。なお、本実施の形態では、実施の形
態1に示した部材と同一の機能を有する部材には同一の
符号を付し、その説明を省略している。
【0078】本実施の形態にかか印刷装置(本印刷装
置)は、実施の形態1に示した印刷装置の構成におい
て、現像部11における現像ローラ21およびトナー帯
電ローラ23に代えて、現像ローラ51およびトナー帯
電ローラ52を備えた構成である。
【0079】ただし、本印刷装置では、プラスに帯電し
たトナーを用いて印刷を行うように設定されている。こ
のため、帯電ローラ13による感光体ドラム12の帯電
極性・帯電量、トナー供給ローラ22に印加されている
バイアス電圧値等は、実施の形態1の印刷装置とは異な
っている。また、各ローラの回転速度(プロセス速度)
やサイズも、上記の帯電量やバイアス電圧値、および、
後述するトナー帯電ローラ52の帯電特性によって決定
されるものであり、実施の形態1の印刷装置とは異なっ
ている。
【0080】図7は、トナー帯電ローラ52および現像
ローラ51の構成を示す説明図である。現像ローラ(搬
送部)51は、現像ローラ21と同様に、感光体ドラム
12と対向するように設けられた回転ローラである。そ
して、導電性ゴム弾性材料を表面とする円筒形状を有し
ている。
【0081】また、この現像ローラ51は、トナー供給
ローラ22およびトナー帯電ローラ52によって形成さ
れたトナー層を保持した状態で、感光体ドラム12と等
速でB方向に回転しながら、感光体ドラム12に接触す
るように設定されている。これにより、感光体ドラム1
の静電潜像にトナーを付着させ、この静電潜像を現像し
てトナー像を形成するようになっている。
【0082】トナー帯電ローラ(帯電部)52は、トナ
ー供給ローラ22よりもB方向に沿って下流側におい
て、現像ローラ51に対向配置された回転ローラであ
る。そして、現像ローラ51と接触しながら、現像ロー
ラ51と等速度でA方向に回転し、後述するラジカル酸
化帯電によって、現像ローラ51上のトナー層を所定の
電圧値に帯電させるようになっている。また、トナー帯
電ローラ52は、現像ローラ51上のトナー層を所定の
厚さに規制する機能も有している。
【0083】ここで、トナー帯電ローラ52の詳細な構
成については後述する。図7に示すように、トナー帯電
ローラ23は、基体ローラ61上に、光触媒層62を有
しており、さらに、基体ローラ61内に、紫外線照射器
63を備えている構成である。
【0084】基体ローラ61は、紫外線透過性を有する
透明アクリル樹脂よりなる、直径20mmの円筒状のロ
ーラである。
【0085】光触媒層62(電子誘起部)は、基体ロー
ラ61上に塗布形成されてなる層であり、結合材(無機
バインダ)に酸化チタン(TiO2 )を分散させた構成
を有している。そして、紫外線の照射を受けることで、
光電効果によって、表面電子を誘起させる機能を有して
いる。ここで、光触媒層62における表面電子を誘起さ
せるとは、表面電子を光触媒層62から取り出し、光触
媒層62から独立した状態で外部の場(電場、磁場等)
に反応できる、あるいは、外部の物質と反応できるよう
な状態(励起状態)とすることである。また、表面電子
が誘起したときには、光触媒層62の内部に正孔(ホー
ル)が生じることとなる。
【0086】紫外線照射器(光照射部)63は、直径1
0mmの紫外線ランプ(低圧の水銀ランプ)であり、基
体ローラ61の内部から外部に向けて紫外線(波長35
0nm)を照射する光源である。
【0087】次に、現像部11の動作について説明す
る。現像が開始されると、トナー供給ローラ22が、現
像ローラ51の表面に、周方向に沿って順次的にトナー
層を形成する。その後、現像ローラ51のトナー層は、
現像ローラ51とトナー帯電ローラ52との間に搬送さ
れる。そして、トナー帯電ローラ52が、このトナー層
の厚さを規制するとともに、トナー層をラジカル酸化帯
電させる。
【0088】その後、帯電されたトナー層は、感光体ド
ラム12との対向部位に送られ、感光体ドラム12上の
静電潜像に対して静電的に吸着(供給)される。これに
より、静電潜像をトナー像として現像(可視化)するよ
うになっている。
【0089】次に、トナー帯電ローラ52によるラジカ
ル酸化帯電について説明する。図8は、このラジカル酸
化帯電の様子を示す説明図である。すなわち、トナー帯
電ローラ52では、紫外線照射器63による紫外線の照
射により、光電効果によって、光触媒層62の表面に光
電子が誘起される。そして、誘起された光電子が、光触
媒層62と現像ローラ51との間にある空気中の酸素分
子(O2 )や水分子(H2 O)を還元して、酸素アニオ
ンラジカル(スーパーオキサイドイオン;O2-)や水酸
基ラジカル(OH- )等のラジカルRを発生させる。
【0090】このようなラジカル(反応性活性種)R
は、強力な酸化作用を示すものであり、現像部11のト
ナーTを酸化させて、トナーTから電子を奪う。これに
より、トナーTは、所望の帯電量に帯電(プラス帯電)
するように設定されている。
【0091】次に、上記したラジカル酸化帯電の効果を
検証する実験について説明する。図9は、この実験に用
いたサンプルを示す説明図である。このサンプルは、現
像部11におけるトナー帯電ローラ52の構成を模した
平板であり、図9に示すように、透明アクリル板71の
表面に酸化チタン膜72を塗布し、さらに、PES73
を載置してなるものである。
【0092】透明アクリル板71(厚さk11=0.1
〜5mm)は、基体ローラ61と同様に、紫外線透過性
を有する透明アクリル樹脂から構成されている。また、
酸化チタン膜72(厚さk12=数μm)は、光触媒層
62と同様に、結合材(無機バインダ)中に、酸化チタ
ンを分散してなるものである。さらにPES73(厚さ
K3=10〜100μm)は、本印刷装置において用い
られているトナーの材料であるポリエステル樹脂からな
るものである。
【0093】このようなサンプルに対し、透明アクリル
板71側(裏側;図9では下側)から、上記した紫外線
照射器63によって、350nmの波長を有する紫外線
を照射した。なお、紫外線の照射エネルギーは0.1〜
10mW/cm2 であり、照射時間は数秒である。その
後、PES73における酸化チタン膜72との接触面の
帯電量を測定した。その結果、PES73における上記
の接触面の電位は、+30V〜+150Vであった。こ
れにより、トナー帯電ローラ52と現像ローラ51とに
速度差のない場合、トナー帯電ローラ52によって、現
像ローラ51上のトナーを良好に帯電させられることが
わかる。
【0094】以上のように、本印刷装置における現像部
11では、現像ローラ51上のトナーを帯電させるトナ
ー帯電ローラ52が、光の照射を受けることによってラ
ジカル(遊離基)をトナーに付与する光触媒層62と、
光触媒層62に光を照射する紫外線照射器63とを備え
ている。
【0095】すなわち、トナー帯電ローラ52は、光の
照射によってラジカルを発生させ、これをトナーに付与
することで、トナーを帯電させるように設定されてい
る。これにより、摩擦によってトナーを帯電させる装置
に比して、トナーや装置の劣化を防止できる。
【0096】なお、上記した実験結果から、現像部11
において現像ローラ51のトナーを良好に帯電できる理
由について説明する。通常の印刷装置(本印刷装置を含
む)では、現像ローラ51のトナーを、約20μc/g
に帯電させることが好ましいとされている。また、以下
の表2から、PES73の厚みを50μmとする場合、
PES73の表面電位を76Vにできれば、このPES
73を20μc/gに帯電させたことと同等となること
がわかる。
【0097】また、上記の実験結果より、トナー帯電ロ
ーラ52では、現像ローラ51上のトナーの表面電位
を、30V〜150Vとできることがわかっている。従
って、トナー帯電ローラ52によれば、現像ローラ51
上のトナーを、20μc/gに帯電させることが可能で
あるといえる。
【0098】
【表2】
【0099】また、現像部11では、トナー帯電ローラ
52における光触媒層62の表面粗度は、現像ローラ5
1の表面粗度より小さくなっていることが好ましい。例
えば、光触媒層62の表面粗度(Ra;中心線平均粗
さ)を0.3μm以下とする一方、現像ローラ51の表
面粗度(Ra)を0.5〜2μmとすることが好まし
い。これにより、トナーの帯電時に、トナー帯電ローラ
52の光触媒層62と現像ローラ21とが接触する際、
現像ローラ51上のトナーが光触媒層62に付着するこ
とを防止できる。
【0100】また、実施の形態2では、トナー帯電ロー
ラ52における基体ローラ61の材料として、紫外線透
過性を有する透明アクリル樹脂を挙げているが、基体ロ
ーラ61を、紫外線透過性を有する石英ガラスから構成
してもよい。
【0101】また、光触媒層62の材料として酸化チタ
ンを挙げているが、これに限らず、光電効果によって、
表面電子を誘起させるような材料(いわゆる光触媒)で
あれば、光触媒層62としてどのような材料を用いても
よい。なお、酸化チタンのような金属酸化物半導体は、
光触媒層62の材料として特に好ましいものである。
【0102】また、実施の形態2では、紫外線照射器6
3によって、光触媒層62に350nmの波長の紫外線
を照射するとしている。しかしながら、紫外線照射器6
3から発生する紫外線の波長は、350nmに限らず、
400nm以下であればよい。また、紫外線照射器63
から照射する紫外線の波長は、光触媒層62における表
面電子を効率よく誘起させる波長であることがさらに好
ましい。
【0103】また、基体ローラ61(透明アクリル)に
対する透過率の高い波長を選択し、選択した波長の光に
よって表面電子を効率よく誘起できるように、光触媒層
62の材料を選択するようにしてもよい。
【0104】なお、波長350nmの紫外線であれば、
基体ローラ61に対する透過率を非常に高くできる。ま
た、光触媒層62の材料に酸化チタンを用いる場合、3
50nmの光により、表面電子を非常に効率よく誘起さ
せられる。
【0105】また、本実施の形態では、トナー帯電ロー
ラ52の光触媒層62に波長350nmの紫外線を照射
するために、紫外線照射器63を用いている。しかしな
がら、これに限らず、より長い波長の光(低エネルギー
の光)を発生させる光源を用いて、光触媒層62に上記
の紫外線を照射することもできる。
【0106】図10は、上記のような光源を用いたトナ
ー帯電ローラ52の構成を示す説明図である。この図に
示すトナー帯電ローラ52は、紫外線照射器63に代え
て、波長700nmの可視光線を発生する可視光線照射
器(光照射部)64を備えているとともに、基体ローラ
61の内壁に、波長変換素子65を備えている。
【0107】この波長変換素子(波長変更部)65は、
実施の形態1に示した波長変換素子46(図7参照)と
同様の材料からなるものであり、入射光の周波数(エネ
ルギー)を倍増させて出力するものである。このような
波長変換素子65を設けることにより、可視光線照射器
64から発生する波長700nmの可視光線を、波長3
50nmの紫外線に変換し、光触媒層62に照射するこ
とが可能となる。これにより、紫外線照射器63よりも
低コストの波長変換素子65を用いてトナーの帯電を行
えるため、現像部11の製造コストを低減できる。
【0108】また、実施の形態2では、トナー帯電ロー
ラ52が、基体ローラ61上に光触媒層62が塗布され
て構成されているとしている。しかしながら、これに限
らず、図11に示すように、基体ローラ61と光触媒層
62との間に、接地層66を設けるようにしてもよい。
【0109】この接地層66は、ITOにプラチナ(P
t)を添加してなる材料から構成された円筒形状(厚さ
数10μm)を有しており、図11に示すように、一部
を接地した状態となっている。これにより、ラジカル酸
化帯電によって電子を失った光触媒層62の酸化チタン
に、接地層66を介して電子を還元することが可能とな
る。
【0110】また、実施の形態1・2では、トナー帯電
ローラ23・52が、現像ローラ21・51と接触しな
がら、現像ローラ21・51と等速度でA方向に回転す
る(ウイズ回転する)としている。この構成では、トナ
ー帯電ローラ23・52と、現像ローラ21・51との
接触部(最近接部)において、両者が同一方向に同一速
度で移動するようになるため、両者の間の摩擦を防止で
きる。
【0111】また、トナー帯電ローラ23・52の回転
速度は、現像ローラ21・51と等速度である必要はな
く、上記の最近接部における現像ローラ21・51との
相対速度がほぼ0となるような速度であればよい。この
速度とは、すなわち、トナー帯電ローラ23・52と現
像ローラ21・51との間における摩擦を抑制できる程
度の速度のことである。
【0112】また、実施の形態1・2では、トナー帯電
ローラ23・52によって帯電させる現像材として、非
導電性のトナーを示している。しかしながら、これに限
らず、トナー帯電ローラ23・52によって、導電性の
トナーや、導電性インク,インクミスト等を帯電させる
ことも可能である。
【0113】また、実施の形態1・2では、トナー帯電
ローラ23・52によって帯電させたトナーを用いて、
感光体ドラム12上の静電潜像を現像するとしている。
しかしながら、これに限らず、感光体ドラム12を用い
ず、DTP(Direct ToningProcess )によって印刷を
行うタイプの印刷装置においても、トナー帯電ローラ2
3によってトナーを帯電させることは可能である。
【0114】なお、この印刷装置としては、例えば、現
像ローラ、ゲート群および対向電極を備え、現像ローラ
上のトナーを、開放状態のゲートからシートに飛翔させ
る構成を挙げられる。この構成では、画像データに応じ
て開放するゲートを適切に選択することで、所望の画像
を印刷できるようになっている。
【0115】また、実施の形態1・2では、光電効果を
用いた帯電方法である放電帯電およびラジカル酸化帯電
によって、現像ローラ21・51上のトナー層を帯電さ
せる例を挙げている。しかしながら、上記の帯電方法
を、印刷装置における他の帯電工程、すなわち、帯電ロ
ーラ13による感光体ドラム12の帯電、転写ローラ1
4による転写の際の放電、画像転写後における感光体ド
ラム12の除電等にも応用することも可能である。
【0116】また、実施の形態2では、光触媒層62と
して、無機バインダからなる結合材に酸化チタンを分散
させたものを示している。しかしながら、これに限ら
ず、光触媒層62を、有機バインダからなる結合材に酸
化チタン等の半導体を分散させて構成してもよい。
【0117】また、実施の形態2では、フォトクロミッ
ク化合物(P化合物)を用いた帯電ローラ(トナー帯電
ローラ52)を用いてトナーを帯電させているが、P化
合物を含有したトナーを用いる方法も考えられる。この
方法では、現像槽内でトナーに光を照射することで、P
化合物の化学的な構造を変化させ、これをフリーラジカ
ル状態とする。そして、フリーラジカル状態のP化合物
によってトナーの電子を引き抜くことで、トナーを帯電
(+帯電)させることとなる。
【0118】しかしながら、この方法では、トナーにP
化合物を含有させる必要があるため、通常のトナーを使
用できず、運転コストが高くなるという問題がある。ま
た、この方法では、素早く、かつ十分にトナーを帯電さ
せるためには、P化合物の量を増加させる必要がある
が、結晶物質であるP化合物の増加は、現像によって得
られるトナー像の濃度(隠蔽率)を下げてしまうととも
に、トナーをもろくして、トナーのクラッシュを招来し
てしまう。
【0119】また、本発明の現像装置を、電子写真装置
に用いられ、帯電された現像材によって、潜像保持体上
の静電潜像を現像する現像装置であって、現像材を帯電
させる帯電部を備え、この帯電部が、光電効果によって
電子を誘起させる電子誘起部と、この電子誘起部に光を
照射する光照射部とを有しており、電子誘起部に誘起さ
れた電子を用いて現像材を帯電させるように設定されて
いる構成である、と表現することもできる。
【0120】また、本発明の現像装置を、電子写真装置
に用いられ、帯電された現像材によって、潜像保持体上
の静電潜像を現像する現像装置であって、現像材を帯電
させる帯電部を備え、この帯電部が、光の照射を受ける
ことによって電子を現像材に放出する光電子放出部と、
光電子放出部に光を照射する光照射部とを備えている構
成である、と表現することもできる。
【0121】さらに、本発明の現像装置を、電子写真装
置に用いられ、帯電された現像材によって、潜像保持体
上の静電潜像を現像する現像装置であって、現像材を帯
電させる帯電部を備え、この帯電部が、光の照射を受け
ることによってラジカル(遊離基)を現像材に付与する
ラジカル発生部と、ラジカル発生部に光を照射する光照
射部とを備えている構成である、と表現することもでき
る。
【0122】また、本発明の現像装置を、電子写真装置
に用いられ、帯電された現像材によって、潜像保持体上
の静電潜像を現像する現像装置であって、現像材を帯電
させる帯電部を備え、この帯電部が、光の照射を受ける
ことによって自らの電子を誘起させる電子誘起部と、こ
の電子誘起部に光を照射する光照射部とを有しており、
電子誘起部に誘起された電子を用いて現像材を帯電させ
るように設定されており、上記電子誘起部が、光照射に
よって誘起された電子によってラジカルを生成し、生成
したラジカルを現像材に付与する光触媒からなり、さら
に、この光触媒に電子を補給(還元)する接地部(接地
層)を備えている構成である、と表現することもでき
る。
【0123】また、本発明の帯電方法を、電子写真装置
において生成される潜像保持体上の静電潜像を現像する
現像材を帯電させる帯電方法であって、現像にかかる現
像材に向けて光電子が放出されるように、光電子材料
(光電効果により電子を放出可能な材料)に光を照射す
る工程を含んでいる方法である、と表現することもでき
る。
【0124】さらに、本発明の帯電方法を、電子写真装
置において生成される潜像保持体上の静電潜像を現像す
る現像材を帯電させる帯電方法であって、現像にかかる
現像材にラジカルが付与されるように、ラジカル発生材
料(光の照射によってラジカルを発生する材料)に光を
照射する工程を含んでいる方法である、と表現すること
もできる。
【0125】また、本発明の帯電方法を、電子写真装置
において生成される潜像保持体上の静電潜像を現像する
現像材を帯電させる帯電方法において、光の照射を受け
ることによって自らの電子を誘起させる電子誘起材料に
光を照射し、誘起された電子を用いて現像材を帯電させ
る帯電方法であって、上記電子誘起材料として、光照射
によって誘起された電子を現像材に放出する金属あるい
は半導体を用いる方法である、と表現することもでき
る。
【0126】また、本発明の帯電方法を、電子写真装置
において生成される潜像保持体上の静電潜像を現像する
現像材を帯電させる帯電方法において、光の照射を受け
ることによって自らの電子を誘起させる電子誘起材料に
光を照射し、誘起された電子を用いて現像材を帯電させ
る帯電方法であって、上記電子誘起材料として、光照射
によって誘起された電子によってラジカルを生成し、こ
のラジカルを現像材に付与する光触媒を用いている方法
であると表現することもできる。
【0127】また、本発明の帯電方法を、電子写真装置
において生成される潜像保持体上の静電潜像を現像する
現像材を帯電させる帯電方法において、光の照射を受け
ることによって自らの電子を誘起させる電子誘起材料に
光を照射し、誘起された電子を用いて現像材を帯電させ
る帯電方法であって、電子誘起材料としての光触媒に光
を照射し、光照射によって誘起された電子によってラジ
カルを生成し、このラジカルによって現像材を酸化させ
て電子を奪うラジカル酸化工程を含んでいる方法であ
る、と表現することもできる。
【0128】また、本発明の印刷装置を、潜像保持体
と、この潜像保持体上に、画像データに応じた静電潜像
を形成する潜像形成部と、実施の形態1・2に示した現
像部11と、現像後の画像をシートに転写する転写部と
を備えている構成である、と表現することもできる。
【0129】また、本発明は、複写機、プリンターおよ
びファクシミリなどの電子写真方式の画像形成装置にお
ける現像装置、および、この現像装置に用いられる接触
帯電方法に関し、詳しくは、現像の信頼性を向上させる
対策に係るといえる。
【0130】また、一般に、電子写真装置においては、
静電潜像を担持搬送する感光体に対し、現像装置の現像
ローラ表面に順次供給されたトナーを、現像ローラの回
転により担持搬送して、感光体の表面上の静電潜像に現
像(可視化)するようになされているといえる。また、
1成分系の非磁性よりなるトナーを現像する現像装置の
場合、トナーは現像ローラ表面に、供給ローラにより周
方向から順次供給して、現像ローラの回転により担持搬
送される。そして、トナーは供給ローラよりも現像ロー
ラの回転方向下流側に設けられた層厚規制ブレードによ
って、層厚が規制されると同時に、層厚規制ブレードと
の摩擦により電荷を帯び(摩擦帯電)る。この状態でさ
らに回転方向下流側に位置する感光体との対向部まで担
持搬送されて、感光体の表面上の静電潜像に対して、静
電的に供給され、トナー像として現像(可視化)され
る。また、トナーに磁性粉を含有した、磁性の1成分ト
ナーを用いる現像剤を用いたものや、トナーにキャリア
を混ぜた2成分系の現像剤を用いたものもある。
【0131】ところが、上述の如き、トナーなどの被帯
電部材を、層厚規制ブレードなどの帯電手段との摩擦に
より帯電させるような従来技術では、被帯電部材は、帯
電手段と大きな速度差を持った状態で接触して機械的な
摺擦を受けるような構造となっている。すなわち、摩擦
は被帯電部材と帯電手段が接触して、大きな速度差が発
生したときに起こるものである。このとき、被帯電部材
と帯電手段の速度差に比例して機械的/熱的負荷が被帯
電部材や帯電手段に加わることになる。従い、上記のよ
うに被帯電部材と帯電手段とが大きな速度差を持った状
態で接触して機械的な摺擦を受けるような構成では、機
械的/熱的負荷が大きいために、被帯電部材が破壊劣化
したり、摺擦熱により軟化した被帯電部材が、帯電手段
や現像ローラに融着して被帯電部材の帯電特性が劣化す
る。
【0132】また、2成分系の現像剤を用いたものにお
いては、キャリアを帯電手段とし、被帯電部材をキャリ
アと撹拌させて摩擦帯電させている。帯電のメカニズム
は1成分系の帯電のメカニズムと同じく、撹拌のときに
被帯電部材とキャリアの接触面では大きな速度差が発生
しており、機械的/熱的負荷が被帯電部材やキャリアに
加わり、被帯電部材とキャリアが破壊したり、摺擦熱に
より軟化した被帯電部材が、キャリアに融着して被帯電
部材の帯電特性が劣化する。このように、被帯電部材と
帯電手段とが大きな速度差を持った状態で接触して、機
械的な摺擦によりトナーの帯電量を制御しようとする摩
擦帯電方式は、被帯電部材や帯電手段に対して、機械的
/熱的負荷の大きい方式であるといえる。
【0133】また、本発明の目的は、光誘起帯電に着目
し、被帯電部材の劣化防止、および帯電手段の融着防止
を可能として、現像の信頼性を向上できるように、被帯
電部材や帯電手段に対して、機械的/熱的負荷を低減で
きる現像装置およびそれに用いる接触帯電方法を提供す
ることであるともいえる。
【0134】また、図2に示した現像部11は、被帯電
部材として1成分系の非磁性よりなるトナーTを用いた
ものであって、このトナーTを収容する容器状の現像槽
20と、感光体ドラム12と対向した位置に回転可能に
収容された現像ローラ21と、感光体ドラム12と反対
向した位置において、現像ローラ21と互いの外周面同
士が対面するように回転可能に連設され、現像槽20内
のトナーTを現像ローラ21の外周面に供給するトナー
供給ローラ22と、感光体ドラム12と現像ローラ21
が接する位置に対し上流側に位置し、上記トナー供給ロ
ーラ22と上記現像ローラ21が接する位置に対して下
流側において互いの外周面同士が対面するように回転可
能に連設され、現像槽20内のトナーTを接触により帯
電させる帯電手段としてのトナー帯電ローラ23と、こ
のトナー帯電ローラ23に対して、紫外線を照射し、そ
の照射される紫外線によってトナーTの帯電を誘起する
照射手段としての紫外線照射器44とを内部に備えてい
るものであるといえる。
【0135】また、現像部11による現像の過程は、静
電潜像を担持搬送する感光体ドラム12に対し、現像部
11の現像ローラ21表面に、トナーTをトナー供給ロ
ーラ22より周方向からあらかじめ順次供給して、トナ
ーを保持し、等速度回転運動している現像ローラ21と
トナー帯電ローラ23との間にトナーTを搬送し、現像
ローラ21上のトナーの層厚が規制されると同時に、ト
ナー帯電ローラ23内部に配設された紫外線照射器44
からの光をトナー帯電ローラ23に照射することによ
り、トナー帯電ローラ23から光電子が誘起されトナー
Tは所望の帯電量に帯電するといえる。この状態で、さ
らに回転方向下流側に位置する感光体ドラム12との対
向部まで送られ、感光体ドラム12の表面上の静電潜像
に対して、静電的に供給され、トナー像として現像(可
視化)される。
【0136】また、感光体ドラム12は、φ50で50
〜150mm/sで回転し、−700Vの潜像電位に帯
電していてもよい。現像ローラ21は、φ25円筒状の
高抵抗(108 〜109 Ωcm)ゴム弾性材料(Al素
菅φ21にt2mmのゴム層)で構成されており、感光
体ドラム12と等速度で駆動回転していてもよい。さら
に、トナー供給ローラ22は、φ20円筒状の発泡性ゴ
ム弾性材料で構成されていてもよい。
【0137】トナー帯電ローラ23は、紫外線透過性を
有する石英ガラス(あるいは透明アクリル樹脂)よりな
るφ20円筒状の基体ローラ41にITO層42(導電
性ITO;ITOガラス)42と紫外線の照射によって
光電子を放出する金属層(Al薄着等;半導体含む)4
3が塗布されて構成されており、現像ローラ21と等速
度で駆動回転していてもよい。また、照射手段としての
紫外線照射器44は、φ10紫外線ランプ(波長254
nm)が配置され、10mW/cm2 の光強度を与えて
いる。
【0138】また、帯電ローラ13は感光体ドラム12
を帯電させて感光体ドラム12の外周面上に静電潜像を
形成するものであり、転写ローラ14は感光体ドラム1
2の外周面上に現像されたトナー像をシートに転写する
ものであり、定着ローラ対15は転写形成されたトナー
像をシートに定着させる上下一対のローラであるといえ
る。また、LSU16は、レーザービームLによって、
感光体ドラム12の外周面上に静電潜像を結像させるよ
うになされていてもよい。
【0139】また、現像ローラ21と帯電手段(トナー
帯電ローラ23)の接触面にトナーが進入し、接触面か
ら離反する際、現像ローラ21から転移して、帯電手段
に付着することを防止できるように、表面粗度は現像ロ
ーラ21がRa0.5〜2μm、トナー帯電ローラ23
の金属層(半導体含む)43表面はRa0.3μm以下
となっていることが好ましい。
【0140】また、図5に示すように、紫外線透過性を
有する石英ガラス(あるいは透明アクリル樹脂)よりな
るφ15円筒状の基体ローラ41内面に非線型光学材料
よりなる波長変換素子46を設けてもよい。この場合、
可視光線照射器45から発する波長508nmの光線が
波長変換素子46によって波長254nmの紫外線に変
換されることができるため、既存の可視光線照射器45
を用いることが可能となり、照射手段の低廉化を図れ
る。
【0141】また、実施の形態2に示した印刷装置にお
ける現像の過程では、静電潜像を担持搬送する感光体ド
ラム12に対し、現像部11の現像ローラ51表面に、
トナーTをトナー供給ローラ22より周方向からあらか
じめ順次供給して、トナーを保持し、等速度回転運動し
ている現像ローラ51とトナー帯電ローラ52との間に
トナーTを搬送し、現像ローラ51上のトナーの層厚が
規制されると同時に、トナー帯電ローラ52内部に配設
された紫外線照射器63からの光をトナー帯電ローラ5
2に照射することにより、トナーTはトナー帯電ローラ
52により酸化され、所望の帯電量に帯電する。この状
態でさらに回転方向下流側に位置する感光体ドラム12
との対向部まで送られ、感光体ドラム12の表面上の静
電潜像に対して、静電的に供給され、トナー像として現
像(可視化)されるといえる。
【0142】また、トナー帯電ローラ52は、紫外線透
過性を有する透明アクリル樹脂よりなる円筒状のローラ
41に紫外線の照射によって励起状態になり、そのエネ
ルギーを他に与えることができる酸化チタンのような金
属酸化物半導体からなる金属層43(光触媒)が塗布さ
れて構成されており、現像ローラ51と等速度で駆動回
転している。
【0143】また、図9に示した平板は、厚さK1(=
0.1〜5mm)の透明アクリル板71の表面に、無機
バインダ中に金属酸化物(=Ti02)を分散した厚さ
K2(=数μm)の酸化チタン膜72が塗布させたもの
であるといえる。
【0144】また、図9に示した実験では、上記の平板
の上に、被帯電部材としてのトナーの変わりに擬似的に
厚さK3(=10〜100μm)のトナーの材料である
ポリエステル樹脂のPES73を載置しているといえ
る。そして、平板の裏側(図9では下側)から波長λ
(=350nm)の紫外線を紫外線照射器63で照射
(照射エネルギーは0.1〜10mW/cm2 、照射時
間は数秒)している。
【0145】また、この実験の結果、PES73の表面
は、30V〜150Vに帯電させられたが、このこと
は、被帯電部材であるトナーを帯電部材であるトナー帯
電ローラ52に速度差がない状態で帯電できることを示
しているといえる。
【0146】また、現像ローラ51とトナー帯電ローラ
(帯電手段)52の接触面にトナーが進入し、接触面か
ら離反する際、現像ローラ51から転移して、トナー帯
電ローラ52に付着することが防止できるように、表面
粗度は現像ローラ51が0.5〜2μm、トナー帯電ロ
ーラ52の光触媒層62は0.3μm以下となっている
ことが好ましい。
【0147】また、図10に示すように、光触媒層62
と可視光線照射器64との間に、非線型光学材料よりな
る波長変換素子65を設ける場合、可視光線照射器64
から発する波長700nmの光線が波長変換素子65に
よって波長350nmの紫外線に変換されて光触媒層6
2に照射されることになり、光触媒層62に対し最適な
波長350nmの紫外線を照射する紫外線発光器を用意
する必要がなく、既存の波長変換素子65を用いて波長
を1/2に変更することができるので照射手段の低廉化
を図れる。
【0148】また、本発明を、光照射される対象物の仕
事関数よりも大きな光エネルギーを該対象物に照射し、
この対象物から電子を取り出してトナーを帯電すること
を特徴とする現像装置、と表現することもできる。
【0149】また、本発明を、以下に示す第1〜第6の
現像装置として表現することもできる。すなわち、第1
の現像装置は、潜像担持体上を担持搬送される静電潜像
を可視化する現像装置であって、静電潜像を可視像に現
像する被帯電部材と、この被帯電部材に光電子を付与し
て帯電させる帯電手段と、この帯電手段に対し光を照射
するための照射手段とを備えている構成である。
【0150】また、第2の現像装置は、第1の現像装置
において、帯電手段は、照射手段の光の照射によって光
電子を放出する金属あるいは半導体を含み、帯電手段と
現像ローラには電気的バイアスが印加されている構成で
ある。
【0151】また、第3の現像装置は、第1の現像装置
において、照射手段は帯電手段に対し、その反被帯電部
材側から光を照射するように設けられている構成であ
る。
【0152】また、第4の現像装置は、第1の現像装置
において、帯電手段と照射手段との間には、帯電部材に
対し照射手段から照射される光の波長を変更する波長変
更手段が設けられている構成である。
【0153】また、第5の現像装置は、第1の現像装置
において、帯電手段に対面するように現像ローラが配置
され、帯電手段と現像ローラは速度差0となるように移
動して、この現像ローラと帯電手段との間に被帯電部材
が搬送されるようになっている構成である。また、第6
の現像装置は、第5の現像装置において、帯電手段の表
面粗度<現像ローラの表面粗度である構成である。
【0154】これら第1〜第6の現像装置では、従来の
ような摩擦エネルギーに代わり光エネルギーを利用して
帯電させようとするものであり、潜像担持体上を担持搬
送される静電潜像を可視化する現像装置およびそれに用
いられる接触帯電方法として、被帯電部材と帯電手段に
大きな速度差が生じないように被帯電部材と帯電手段と
接触させ、この帯電部材に対し照射手段からの光を照射
することによって、帯電部材を誘起させて被帯電部材を
帯電させている。
【0155】この場合、帯電手段に対して照射された照
射手段の光によって帯電部材が誘起させ、被帯電部が帯
電するので、従来のように、被帯電部材と帯電手段が大
きな速度差を持った状態で接触して、機械的な摺擦によ
りトナーの帯電量を制御させる必要がないために、被帯
電部材や帯電手段に加わる機械的/熱的負荷が抑制さ
れ、被帯電部材が破壊したり、摺擦熱により軟化した被
帯電部材が帯電手段や現像ローラに融着して被帯電部材
の帯電特性が劣化するといったことを防止することが可
能となる。これにより、現像装置の信頼性を向上させる
ことが可能となる。
【0156】特に、積極的に帯電部材を誘起させて被帯
電部材を誘起させるものとして、以下の構成が掲げられ
る。つまり、照射手段の光の照射によって帯電部材を誘
起させるように、帯電手段は光電子を放出するような金
属あるいは半導体で構成し(いわゆる光電効果を有する
材料であればよい)、帯電手段と現像ローラ間に電気的
バイアスを印加することにより、電子なだれを起こして
放出された光電子数を増殖させて被帯電部材を帯電させ
ている。
【0157】特に、照射手段の光量を確保するものとし
て、以下の構成が掲げられる。つまり、帯電手段に対し
その反被帯電部材側から光を照射するように照射手段を
設けている場合には、被帯電部材によって照射手段の光
量が減衰することが防止される上、照射手段が被帯電部
材によって汚染されることが防止される。
【0158】特に、照射手段のコストを低廉化するもの
として、以下の構成が掲げられる。つまり、光電効果を
得るためには、帯電手段に対し照射手段から照射される
光の波長として、紫外線領域の短波長光が必要である。
この紫外線発光器は高価なものであるが、波長変更手段
を帯電手段と照射手段の間に設ければ、既存の低廉な長
波長光源を用いることが可能となる。
【0159】特に、帯電手段に対面するように現像ロー
ラを配置し、帯電手段と現像ローラは速度差0となるよ
うに移動して、この現像ローラと帯電手段との間に被帯
電部材を搬送するようにしている場合には、被帯電部材
と帯電手段に大きな速度差が生じず、現像ローラと帯電
手段との間において被帯電部材の層厚が規制され、この
層厚が規制された被帯電部材に対し帯電手段による被帯
電部材の帯電が確実に行え、被帯電部材の帯電性能を向
上させることが可能となる。
【0160】特に、帯電手段の表面粗度<現像ローラの
表面粗度である場合には、現像ローラと帯電手段の接触
面に被帯電部材が進入し、接触面から離反する際、被帯
電部材と現像ローラの付着力>被帯電部材と帯電部材の
付着力の関係となり、被帯電部材が帯電手段に付着する
ことを防止できる。
【0161】また、本発明を、以下の第7〜14の現像
装置,第1〜8の接触帯電方法として表現することもで
きる。すなわち、第7の現像装置は、潜像担持体上を担
持搬送される静電潜像を可視化する現像装置であって、
静電潜像を可視像に現像する被帯電部材と、この被帯電
部材を酸化させて帯電させる帯電手段と、この帯電手段
に対し光を照射するための照射手段とを備えている構成
である。
【0162】また、第8の現像装置は、第1の現像装置
において、帯電手段は、光によって励起状態になり、そ
のエネルギーを他に与えることができる酸化チタンのよ
うな金属酸化物半導体(光触媒)を含んでいる構成であ
る。
【0163】また、第9の現像装置は、第7の現像装置
において、照射手段は帯電手段に対し、その反被帯電部
材側から光を照射するように設けられている構成であ
る。
【0164】また、第10の現像装置は、第7の現像装
置において、帯電手段と照射手段との間には、帯電部材
に対し照射手段から照射される光の波長を変更する波長
変更手段が設けられている構成である。
【0165】また、第11の現像装置は、第7の現像装
置において、被帯電部材としては、トナーが適用されて
いる構成である。
【0166】また、第12の現像装置は、第7の現像装
置において、帯電手段に対面するように現像ローラが配
置され、帯電手段と現像ローラは速度差0となるように
移動して、この現像ローラと帯電手段との間にトナーが
搬送されるようになっている構成である。
【0167】また、第13の現像装置は、第7の現像装
置において、帯電手段の表面粗度<現像ローラの表面粗
度である構成である。
【0168】また、第14の現像装置は、第7の現像装
置において、帯電手段は、円筒状に形成されてなるもの
である構成である。
【0169】また、第1の接触帯電方法は、潜像担持体
上を担持搬送される静電潜像を可視化する現像装置に用
いられる接触帯電方法であって、静電潜像を可視像に現
像する被帯電部材を帯電手段と接触させ、この帯電手段
に対し照射手段からの光を照射することによって、被帯
電部材を酸化させて帯電させる現像装置に用いられてい
る方法である。
【0170】また、第2の接触帯電方法は、第1の接触
帯電方法において、照射手段の光の照射によって励起状
態になり、そのエネルギーを他に与えることができる酸
化チタンのような金属酸化物半導体(光触媒)を含んで
いる現像装置に用いられる方法である。
【0171】また、第3の接触帯電方法は、第1の接触
帯電方法において、帯電手段に対しその反被帯電部材側
から照射手段の光を照射するようにしている現像装置に
用いられる方法である。
【0172】また、第4の接触帯電方法は、第1の接触
帯電方法において、帯電手段に対し照射手段から照射さ
れる光の波長を変更している現像装置に用いられる方法
である。
【0173】また、第5の接触帯電方法は、第1の接触
帯電方法において、被帯電部材としてトナーを適用して
いる現像装置に用いられる方法である。
【0174】また、第6の接触帯電方法は、第5の接触
帯電方法において、速度差0となるように移動している
帯電手段と現像ローラとの間にトナーを搬送している現
像装置に用いられる方法である。
【0175】また、第7の接触帯電方法は、第6の接触
帯電方法において、帯電手段の表面粗度<現像ローラの
表面粗度である現像装置に用いられる方法である。
【0176】また、第8の接触帯電方法は、第5の接触
帯電方法において、円筒形状の帯電手段を適用している
現像装置に用いられる方法である。
【0177】これら第7〜14の現像装置および第1〜
8の接触帯電方法では、潜像担持体上を担持搬送される
静電潜像を可視化する現像装置およびそれに用いられる
接触帯電方法として、被帯電部材と帯電手段に大きな速
度差が生じないように被帯電部材と帯電手段と接触さ
せ、この帯電部材に対し照射手段からの光を照射するこ
とによって、裸帯電部材を酸化させて帯電させている。
【0178】着目した原理は次のメカニズムである。す
なわち、光触媒として用いられる酸化チタンは400n
m以下の紫外線を当てると、励起状態になり電子と正孔
が発生し、酸化,チタン表面に移動する。電子は空気中
の酸素を還元してスーパーオキサイドイオンO2-に変え
る。このスーパーオキサイドイオンO2-は反応活性種と
呼ばれ、強力な酸化作用を示すことが知られている。こ
の酸化作用を利用して被帯電部材を帯電させるものであ
る。
【0179】すなわち、帯電手段として酸化チタンのよ
うな金属酸化物半導体(いわゆる光触媒)を使用し、被
帯電部材と帯電手段を接触させ、帯電手段に対して紫外
線光を照射させると、接触面の微小な空隙に介在する空
気中の酸素が還元され強力な酸化作用のあるスーパーオ
キサイドイオンO2-が発生し、被帯電部材を酸化して帯
電させるものである。
【0180】この場合、帯電手段に対して照射された照
射手段の光によって被帯電部材を酸化させて帯電させて
いるので、従来のように、被帯電部材と帯電手段が大き
な速度差を持った状態で接触して、機械的な摺擦により
トナーの帯電量を制御させる必要がないために、被帯電
部材や帯電手段に加わる機械的/熱的負荷が抑制され、
被帯電部材が破壊したり、摺擦熱により軟化した被帯電
部材が帯電手段や現像ローラに融着して被帯電部材の帯
電特性が劣化するといったことを防止することが可能と
なる。これにより、現像装置の信頼性を向上できる。
【0181】特に、被帯電部材を積極的に酸化させて帯
電させるものとして、以下の構成が掲げられる。つま
り、照射手段の光の照射によって高い励起状態にさせる
ために、帯電手段は酸化チタンのような金属酸化物半導
体(光触媒)で構成されている。また、特に、照射手段
の光量を確保するものとして、以下の構成が掲げられ
る。つまり、帯電手段に対しその反被帯電部材側から光
を照射するように照射手段を設けている場合には、被帯
電部材によって照射手段の光量が減衰することが防止さ
れる上、照射手段が被帯電部材によって汚染されること
が防止される。
【0182】また、特に、照射手段の光量を確保するも
のとして、以下の構成が掲げられる。つまり、帯電手段
に対しその反被帯電部材側から光を照射するように照射
手段を設けている場合には、被帯電部材によって照射手
段の光量が減衰することが防止される上、照射手段が被
帯電部材によって汚染されることが防止される。
【0183】また、特に、照射手段のコストを低廉化す
るものとして、以下の構成が掲げられる。つまり、帯電
手段に対し照射手段から照射される光の波長を変更する
波長変更手段を帯電手段と照射手段の間に設けている場
合には、帯電手段に対し最適な波長の光を照射する照射
手段を用意する必要がなく、既存の照射手段を用いて光
の波長を変更することで、照射手段のコストの低廉化を
図れる。
【0184】また、被帯電部材としてトナーを適用した
場合には、トナーへの機械的/熱的負荷が低減され、ト
ナー固有の課題に対処することが可能となる。また、特
に、帯電手段に対面するように現像ローラを配置し、帯
電手段と現像ローラは速度差0となるように移動して、
この現像ローラと帯電手段との間にトナーを搬送するよ
うにしている場合には、トナーと帯電手段に大きな速度
差が生じず、現像ローラと帯電手段との間においてトナ
ーの層厚が規制され、この層厚が規制されたトナーに対
し帯電手段によるトナーの帯電が確実に行え、トナーの
帯電性能を向上できる。
【0185】特に、帯電手段の表面粗度<現像ローラの
表面粗度である場合には、現像ローラと帯電手段の接触
面にトナーが進入し、接触面から離反する際、現像ロー
ラから転移して、帯電手段に付着することを防止でき
る。特に、光誘起性を有する円筒形状の帯電手段を適用
している場合には、帯電手段の外周面全域にトナーが均
一に接触し、トナーの帯電性能をさらに向上できる。
【0186】
【発明の効果】以上のように、本発明の現像装置(本現
像装置)は、電子写真装置に用いられ、帯電された現像
材によって、潜像保持体上の静電潜像を現像する現像装
置であって、現像材を帯電させる帯電部を備え、この帯
電部が、光の照射を受けることによって自らの電子を誘
起させる電子誘起部と、この電子誘起部に光を照射する
光照射部とを有しており、電子誘起部に誘起された電子
を用いて現像材を帯電させるように設定されている構成
である。
【0187】本現像装置では、本現像装置では、光照射
部によって誘起光(仕事関数以上のエネルギーを有する
光)を電位誘起部に照射し、電子誘起部に誘起された電
子を用いて現像材を帯電させるように設定されている。
【0188】これにより、本現像装置では、現像材に摩
擦力を与えることなく、現像材を帯電させられる。従っ
て、摩擦熱による現像材の劣化、および、摩擦熱により
軟化した現像材による装置の汚染等を回避することが可
能となっている。特に、本現像装置の現像材としてトナ
ーを用いた場合、その溶融による画質劣化・装置故障を
効果的に防止できる。
【0189】また、本現像装置は、上記の帯電部におけ
る電子誘起部を金属あるいは半導体から構成し、光照射
によって誘起された電子を、現像材に対して放出するよ
うに設定されていてもよい。この構成では、現像材に対
して直接的に電子を付与できるので、現像材を容易に帯
電できる。
【0190】また、この構成では、現像材を保持して潜
像保持体に搬送する搬送部を備えていることが好まし
い。そして、電子誘起部は、搬送部に保持された状態の
現像材に対して、電子を放出するように設定されている
ことが好ましい。
【0191】この構成では、搬送部に保持された現像
材、すなわち、現像に使用される直前の現像材だけを帯
電するようになる。これにより、本現像装置内に貯蔵し
てある他の現像材(すぐには使用されない現像材)を帯
電してしまうことを回避できるため、帯電効率を向上で
きる。また、貯蔵してある現像材の電位を一定に保つこ
とが可能となる。
【0192】また、この構成では、電子誘起部と搬送部
との間に、バイアス電圧が印加されていることが好まし
い。これにより、電子誘起部に誘起された電子を、搬送
部のある方向に加速できる。さらに、電子誘起部と搬送
部との間で電子なだれ現象を生じさせられるため、帯電
効率を劇的に向上できる。
【0193】また、本現像装置の帯電部における電子誘
起部を、光照射によって誘起された電子によってラジカ
ルを生成し、生成したラジカルを現像材に付与する光触
媒から構成するようにしてもよい。このようなラジカル
は、強力な酸化作用を示すものであり、現像材を酸化さ
せて電子を奪う作用を有している。これにより、摩擦力
等を利用することなく、現像材を容易に帯電させられ
る。
【0194】また、このような光触媒は、金属酸化物半
導体を利用することで、容易に作成できる。特に、酸化
チタンを用いれば、ラジカル発生効率の高い光触媒を得
ることが可能となる。
【0195】また、この構成においても、現像材を保持
して潜像保持体に搬送する搬送部を備えていることが好
ましい。そして、電子誘起部は、搬送部に保持された状
態の現像材に対して、電子を放出するように設定されて
いることが好ましい。これにより、本現像装置内に貯蔵
してある他の現像材を帯電してしまうことを回避できる
ため、帯電効率を向上できる。また、貯蔵してある現像
材の電位を一定に保つことが可能となる。
【0196】また、本現像装置では、電子誘起部が、現
像にかかる現像材と光照射部との間に設けられているこ
とが好ましい。これにより、電子誘起部と現像材との間
に光照射部が入らないので、現像材に向かう電子やラジ
カルを電子誘起部によって遮断してしまうことを防止で
きる。
【0197】さらに、本現像装置には、光照射部から電
子誘起部に照射された光の波長を変更する波長変更部を
備えることが好ましい。これにより、光照射部を変更す
ることなく、電子誘起部に照射する光の波長を容易に変
更できる。従って、電子誘起部の材料に応じて波長を調
整できるので、帯電効率を向上できる。
【0198】また、本現像装置では、現像の際に上記し
た搬送部を用いる場合、この搬送部がローラ形状を有し
ており、電子誘起部がローラ形状を有しているととも
に、その内部に光照射部が備えられており、これら搬送
部と電子誘起部とが、搬送部上の現像材がこれらの間を
通過するように、互いに対向するように設けられている
ことが好ましい。
【0199】この構成では、ローラ形状の電子誘起部内
に光照射部を備えているので、光照射部の光を有効に利
用できる。また、電子誘起部と搬送部との距離を適切に
設定することで、電子誘起部によって、搬送部上の現像
材の厚さを調整(規制)できる。
【0200】また、この構成では、搬送部と電子誘起部
とは、互いに逆方向に回転するようになっており、さら
に、互いの最近接部における相対速度がほぼ0となって
いることが好ましい。この構成では、搬送部と電子誘起
部との最近接部は、互いに同一の方向に、ほぼ同一の速
度で移動することとなる。従って、搬送部上の現像材と
電子誘起部との摩擦を防止できる。
【0201】また、この構成では、電子誘起部の表面粗
度が、搬送部の表面粗度より大きく設定されていること
が好ましい。これにより、搬送部の現像材が電子誘起部
に付着することを抑制できる。
【0202】また、本発明の印刷装置は、潜像保持体
と、この潜像保持体上に、画像データに応じた静電潜像
を形成する潜像形成部と、本現像装置とを備えているこ
とを特徴としている。この印刷装置は、本現像装置を備
えているので、摩擦力による現像材の劣化、現像材の軟
化による装置の汚染を回避できる。
【0203】また、本発明の帯電方法(本帯電方法)
は、電子写真装置において生成される潜像保持体上の静
電潜像を現像する現像材を帯電させる帯電方法であっ
て、光の照射を受けることによって自らの電子を誘起さ
せる電子誘起材料に光を照射し、誘起された電子を用い
て現像材を帯電させる帯電工程を含むことを特徴とする
方法である。
【0204】本帯電方法は、本現像装置において用いら
れている帯電方法である。すなわち、本帯電方法では、
誘起光を電位誘起材料に照射し、電子誘起材料に誘起さ
れた電子を用いて現像材を帯電させるように設定されて
いる。これにより、本帯電方法では、現像材に摩擦力を
与えることなく、現像材を帯電させられる。従って、摩
擦熱による現像材の劣化、および、摩擦熱により軟化し
た現像材による装置の汚染等を回避することが可能とな
っている。
【0205】また、本帯電方法の帯電工程は、電子誘起
材料としての金属あるいは半導体に光を照射し、光照射
によって誘起された電子を現像材に放出する放電工程を
含んでいてもよい。この方法では、現像材に対して直接
的に電子を付与できるので、現像材を容易に帯電でき
る。
【0206】また、本帯電方法の帯電工程は、電子誘起
材料としての光触媒に光を照射し、光照射によって誘起
された電子によってラジカルを生成し、このラジカルを
現像材に付与するラジカル付与工程を含んでいてもよ
い。このようなラジカルは、強力な酸化作用を示すもの
であり、現像材を酸化させて電子を奪う作用を有してい
る。これにより、摩擦力等を利用することなく、現像材
を容易に帯電させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる印刷装置の現
像装置に備えられたトナー帯電ローラによる放電帯電を
示す説明図である。
【図2】上記の印刷装置の構成を示す説明図である。
【図3】上記したトナー帯電ローラの近傍の構成を示す
説明図である。
【図4】図3に示したトナー帯電ローラの断面を示す説
明図である。
【図5】可視光線照射器を備えたトナー帯電ローラの構
成を示す説明図である。
【図6】図5に示したトナー帯電ローラの断面を示す説
明図である。
【図7】本発明の第2の実施形態にかかる印刷装置の現
像装置に備えられたトナー帯電ローラおよび現像ローラ
の構成を示す説明図である。
【図8】図7に示したトナー帯電ローラによって行われ
るラジカル酸化帯電を示す説明図である。
【図9】図7に示したラジカル酸化帯電の効果を検証す
る実験に用いたサンプルを示す説明図である。
【図10】可視光線照射器を備えたトナー帯電ローラの
構成を示す説明図である。
【図11】接地層を備えたトナー帯電ローラの構成を示
す説明図である。
【図12】従来の摩擦帯電を示す説明図である。
【符号の説明】
11 現像部(現像装置) 12 感光体ドラム(潜像保持体) 21 現像ローラ(搬送部) 22 トナー供給ローラ 23 トナー帯電ローラ(帯電部) 31 ゴム層(搬送部) 32 素菅 41 基体ローラ 42 ITO層 43 金属層(電子誘起部) 44 紫外線照射器(光照射部) 45 可視光線照射器(光照射部) 46 波長変換素子(波長変更部) 51 現像ローラ(搬送部) 52 トナー帯電ローラ(帯電部) 61 基体ローラ 62 光触媒層(電子誘起部) 63 紫外線照射器(光照射部) 64 可視光線照射器(光照射部) 65 波長変換素子(波長変更部) 66 接地層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 後藤 利充 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 2H077 AC04 AD02 AD06 AE00 AE08 FA01 FA12 FA22

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電子写真装置に用いられ、帯電された現像
    材によって、潜像保持体上の静電潜像を現像する現像装
    置であって、 現像材を帯電させる帯電部を備え、 この帯電部が、光の照射を受けることによって自らの電
    子を誘起させる電子誘起部と、この電子誘起部に光を照
    射する光照射部とを有しており、 電子誘起部に誘起された電子を用いて現像材を帯電させ
    るように設定されていることを特徴とする現像装置。
  2. 【請求項2】上記の帯電部における電子誘起部が、光照
    射によって誘起された電子を現像材に放出する金属ある
    いは半導体からなることを特徴とする請求項1に記載の
    現像装置。
  3. 【請求項3】現像材を保持して潜像保持体に搬送する搬
    送部を備えており、 上記電子誘起部は、搬送部に保持された状態の現像材に
    対して電子を放出するように設定されていることを特徴
    とする請求項2に記載の現像装置。
  4. 【請求項4】上記電子誘起部と搬送部との間に、バイア
    ス電圧が印加されていることを特徴とする請求項3に記
    載の現像装置。
  5. 【請求項5】上記の帯電部における電子誘起部が、光照
    射によって誘起された電子によってラジカルを生成し、
    生成したラジカルを現像材に付与する光触媒からなるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
  6. 【請求項6】上記光触媒が、金属酸化物半導体を含むこ
    とを特徴とする請求項5に記載の現像装置。
  7. 【請求項7】上記金属酸化物半導体が、酸化チタンであ
    ることを特徴とする請求項6に記載の現像装置。
  8. 【請求項8】現像材を保持して潜像保持体に搬送する搬
    送部を備えており、 上記電子誘起部は、搬送部に保持された状態の現像材に
    対してラジカルを付与するように設定されていることを
    特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の現像装置。
  9. 【請求項9】上記電子誘起部が、現像にかかる現像材と
    光照射部との間に設けられていることを特徴とする請求
    項1〜8のいずれかに記載の現像装置。
  10. 【請求項10】上記光照射部から電子誘起部に照射され
    た光の波長を変更する波長変更部を備えていることを特
    徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の現像装置。
  11. 【請求項11】上記現像材がトナーであることを特徴と
    する請求項1〜10のいずれかに記載の現像装置。
  12. 【請求項12】上記搬送部がローラ形状を有しており、 上記電子誘起部がローラ形状を有しているとともに、そ
    の内部に光照射部が備えられており、 これら搬送部と電子誘起部とが、搬送部上の現像材がこ
    れらの間を通過するように、互いに対向するように設け
    られていることを特徴とする請求項3,4および8のい
    ずれかに記載の現像装置。
  13. 【請求項13】上記搬送部と電子誘起部とは、互いに逆
    方向に回転するようになっており、さらに、互いの最近
    接部における相対速度がほぼ0となっていることを特徴
    とする請求項12に記載の現像装置。
  14. 【請求項14】上記電子誘起部(ラジカル発生部)の表
    面粗度が、搬送部の表面粗度より大きく設定されている
    ことを特徴とする請求項10あるいは11に記載の現像
    装置。
  15. 【請求項15】潜像保持体と、この潜像保持体上に、画
    像データに応じた静電潜像を形成する潜像形成部と、請
    求項1〜14のいずれかに記載の現像装置とを備えてい
    ることを特徴とする印刷装置。
  16. 【請求項16】電子写真装置において生成される潜像保
    持体上の静電潜像を現像する現像材を帯電させる帯電方
    法であって、光の照射を受けることによって自らの電子
    を誘起させる電子誘起材料に光を照射し、誘起された電
    子を用いて現像材を帯電させる帯電工程を含んでいるこ
    とを特徴とする帯電方法。
  17. 【請求項17】上記帯電工程は、電子誘起材料としての
    金属あるいは半導体に光を照射し、光照射によって誘起
    された電子を現像材に放出する放電工程を含んでいるこ
    とを特徴とする請求項16に記載の帯電方法。
  18. 【請求項18】上記帯電工程は、電子誘起材料としての
    光触媒に光を照射し、光照射によって誘起された電子に
    よってラジカルを生成し、このラジカルを現像材に付与
    するラジカル付与工程を含んでいることを特徴とする請
    求項16に記載の帯電方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN100378590C (zh) * 2002-11-27 2008-04-02 夏普株式会社 显影装置和具备它的图像形成装置
JP2008134424A (ja) * 2006-11-28 2008-06-12 Ricoh Co Ltd 絶縁性トナーの光バイアス制御方法及び画像形成装置

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