JP2004144952A - 現像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光照射による光電効果によって電子誘起部に電子を誘起し、その電子によって未帯電現像剤の帯電を行う光誘起方式の現像剤帯電方法を用いる現像装置について、現像槽を構成する部材の回転、振動等によって飛散する未帯電現像剤を、電子誘起部の光電面や光照射部の光源に付着させない手法を提案し、現像剤の帯電特性の安定化を実現する。
【解決手段】電子放出部15に多孔質部材を用いることによって、現像層から飛散するトナーが電子誘起部15aの光電面152や光照射部の周辺に侵入することを防止する。
【選択図】 図1
【解決手段】電子放出部15に多孔質部材を用いることによって、現像層から飛散するトナーが電子誘起部15aの光電面152や光照射部の周辺に侵入することを防止する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタおよびファクシミリなどの電子写真装置に用いられる現像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、複写機、プリンタおよびファクシミリなどの電子写真装置においては、静電潜像を担持搬送する感光体に対して現像手段に現像剤(トナー)が供給され、感光体の表面上の静電潜像がトナーによって現像(可視化)される。このような現像装置では、トナーは現像剤担持体(現像ローラ)表面に供給ローラにより周方向から順次供給され、現像ローラの回転により感光体へ向けて担持搬送される。
【0003】
また、上記現像ローラ上に形成されるトナー層は、供給ローラよりも現像ローラの回転方向下流側に設けられたブレードによって、現像ローラ上でその層厚が規制される。このとき同時に、トナーは、ブレードとの摩擦により電荷を帯びる。このように、トナーをブレードとの摩擦により帯電させる方法を摩擦帯電方式という。帯電されたトナーは、現像ローラにより、さらに回転方向下流側に位置する感光体との対向部まで担持搬送されて、感光体表面上の静電潜像に対して静電的に供給され、静電潜像をトナー像として現像(可視化)する。可視化されたトナー像は、転写手段によって記録紙に転写された後、定着手段によって加熱および加圧され、記録紙上に定着される。
【0004】
また、上記摩擦帯電方式以外の方法を用いた現像装置には、例えば特許文献1に記載されたものが挙げられる。
【0005】
特許文献1に記載された現像装置は、フォトクロミック化合物を含有する現像剤(トナー)に光を照射することによってトナーを帯電させ、この帯電された該トナーを用いて静電荷像を現像するものである。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−281473号公報(平成7年10月27日公開)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、摩擦帯電方式を用いた構成では、層厚規制部材であるブレードはトナーの層厚を規制すると同時に、トナーを摩擦帯電させるためにも使用されている。すなわち、上記従来の構成では、トナーをブレードとの摩擦により帯電させているため、トナーにおいて所望の帯電量を得るために、ブレードを現像ローラに対して比較的大きな加圧力(F)をもって圧接させている。
【0008】
このように、ブレードによってトナーに対して大きな加圧力が作用する構成では、この加圧力によってトナーの破壊が生じる恐れがある。
【0009】
この点につき、上記摩擦帯電方式におけるエネルギー収支では、以下のことがいえる。
【0010】
すなわち、現像ローラの駆動エネルギー(Ek)は、ブレードの作用によってトナー層厚規制エネルギー(Es)とトナー帯電エネルギー(Et)とに変換されるが、一部は熱ロスエネルギー(El)として消費される。このときに発生する熱ロスエネルギー(E1)によっては、トナーが軟化することでトナーの破壊が促進される、あるいは、軟化したトナーがブレード表面に融着してトナーの摩擦帯電特性が劣化するといった問題が生じる。
【0011】
特に、近年では、省エネ技術として、トナーの軟化点を低減させて定着エネルギーを削減する、あるいは、トナーの顔料部数を増加させて着色力を高めるといったトナーの改良が進んでいるが、これは同時にトナーの耐破壊性の低下をもたらすものである。
【0012】
しかしながら、上記従来の摩擦帯電方式は、上述の如くトナーに対する加圧力や熱的負荷が大きいため、このように耐破壊性の低いトナーには適合できていない。
【0013】
さらに、現像剤の帯電手段につき、摩擦帯電方式ではなく、特許文献1に示さるような構成を用いた場合にも、現像槽内に飛散したトナーが光照射面に付着してしまうという問題がある。
【0014】
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、光照射によって電子誘起部から電子を誘起し、その電子によって未帯電現像剤の帯電を行う光誘起方式の現像剤帯電方法について、現像槽を構成する部材の回転、振動等によって飛散する未帯電現像剤を、電子誘起部の光電面や光照射部の光源に付着させないようにし、現像剤の帯電特性の安定化を実現する現像装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る現像装置は、上記課題を解決するために、電子誘起部を備えた電子放出部と、該電子放出部に光を照射する光照射部とを有し、上記電子誘起部の光電効果によって放出された光電子を利用して、現像剤担持体の表面に保持された現像剤を帯電させ、帯電された該現像剤によって感光体上の静電潜像を可視像化する現像装置であって、上記光照射部と上記現像剤担持体との間に設けられた電子放出部に多孔質部材が備えられ、該多孔質部材には、該多孔質部材の光照射部側と現像剤担持体側とを連通する、複数の孔が形成されていることを特徴としている。
【0016】
まず、本現像装置は、複写機、プリンター、ファクシミリ装置などの電子写真方式の印刷装置に用いられる現像装置であり、トナーやインク等の現像剤を用いて静電潜像、すなわち、感光体やシート(記録用紙)上に、電位分布により形成される像を現像するものである。
【0017】
また、光電効果とは、電子誘起部の電子(主に光電面の表面電子)が、その仕事関数以上のエネルギーを有する光(誘起光)の照射によって誘起される現象であり、該現象によって誘起、放出された電子は電子誘起部から独立した状態で外部の場(電場、磁場等)、あるいは外部の物質と反応することができる。
【0018】
以上を前提に、上記構成の作用効果を説明する。
【0019】
第1に、上記構成においては、光照射部によって誘起光を電子放出部に照射し、電子誘起部に誘起された光電子を用いて現像剤を帯電させるように設定されている。
【0020】
これにより、本現像装置においては、現像剤をブレードとの摩擦により帯電させる摩擦帯電方式とは異なり、現像剤に摩擦力を与えることなく、現像剤を帯電させることができる。
【0021】
したがって、摩擦熱による現像剤の劣化、および、摩擦熱により軟化した現像剤による装置の汚染等を回避することが可能となっている。
【0022】
特に、本現像装置の現像剤として、軟化点を低減させたトナー、あるいは、顔料部数を増加させて着色力を高めた改良トナーを用いた場合、その溶融による画質劣化・装置故障を極めて効果的に防止できる。
【0023】
第2に、上記構成においては、電子放出部に多孔質部材が備えられ、該多孔質部材には、該多孔質部材の光照射部側と現像剤担持体側とを連通する、複数の孔が形成されている。
【0024】
これにより、トナー層厚規制ブレードによって発生する逆帯電トナーや、マシン非動作時に外的振動により飛散するトナーは、電子放出部に用いられた多孔質部材によって阻止されるため、電子誘起部の光電面や光照射部の光源への現像剤の付着を回避することができる。
【0025】
これにより、電子誘起部の光電効果の劣化減少が防止され、安定した光電子の誘起、放出が可能となり、現像剤比電荷量の安定化、ひいては印字画像の劣化を防ぐことができる。
【0026】
また、本発明に係る現像装置は、上記電子放出部において、電子誘起部の現像剤担持体側または光照射部側の少なくとも一方の側に、上記多孔質部材で形成された現像剤阻止部を備えたことを特徴としている。
【0027】
この場合、トナー層厚規制ブレードによって発生する逆帯電トナーや、マシン非動作時に外的振動により飛散するトナーは、電子誘起部の光照射側または現像剤担持体側に備えられた多孔質部材によって阻止されるため、電子誘起部の光電面や光照射部の光源への現像剤の付着が回避できる。
【0028】
この点、電子誘起部及び光照射部の光源への現像剤の飛散を未然に防ぐことができるという観点から、電子誘起部の照射部側よりは現像剤担持体側に多孔質部材を配置する方がなお望ましい。
【0029】
さらに、電子放出部の照射部側及び現像剤担持体側双方に多孔質部材を配置することにより、電子放出部及び光照射部の光源への現像剤の飛散をほぼ完全に防ぐことができる。
【0030】
また、本発明に係る現像装置は、上記電子誘起部が、その表面の少なくとも一部の領域が光電子誘起材料で被覆された上記多孔質部材であることを特徴としている。
【0031】
この場合、上記光電子誘起材料に誘起された光電子は電子誘起部に無数に形成された孔を通って電子誘起部の現像剤担持体側の面から現像剤に向けて放射され、現像剤の帯電に寄与することになる。このとき、トナー層厚規制ブレードによって発生する逆帯電トナーや、マシン非動作時に外的振動により飛散するトナーは、多孔質部材によって阻止あるいは吸着されるため、電子誘起部の光電面や光照射部の光源への現像剤の付着を防止することができる。
【0032】
これにより、電子誘起部に発生する光電効果の劣化減少が防止され、安定した光電子の誘起、放出が可能となり、現像剤比電荷量の安定化、ひいては印字画像の劣化を防ぐことができる。
【0033】
また、本発明に係る現像装置においては、上記の構成に加えて、上記多孔質部材の複数の孔は、照射される光の方向に対して、略平行な方向に貫通するように形成されていることが望ましい。
【0034】
上記構成は、多孔質部材の孔の開口面が光照射部および現像ローラの方向を向き、該多孔質部材の孔が照射される光の方向および光電子が放出される現像ローラの方向に対し、略平行な方向に貫通している構成である。(以下、照射方向に孔性を有すると表現することがある)。
【0035】
これにより、電子放出部から放出された光電子が効率よく多孔質部材の孔を通過して現像剤担持体上の現像剤へ有効的に降り注ぐことができることから、現像剤比電荷量の安定化、ひいては印字画像の劣化を防ぐことができる。
【0036】
また、本発明の現像装置は、上記の構成に加えて、上記多孔質部材の孔径は現像剤を阻止しうるような大きさであることが望ましい。
【0037】
上記構成によれば、トナー層厚規制ブレードによって発生する逆帯電トナーや、マシン非動作時に外的振動により飛散するトナーは、これらトナーの粒径(例えば、球状トナー粒子の場合は直径、円錐状トナー粒子の場合は底面の直径)の最小値より小さな孔径を有する多孔質部材によってほぼ完全に阻止され、電子誘起部の光電面や光照射部の光源への現像剤の付着がほぼ完全に回避できる。
【0038】
これにより、電子誘起部の光電効果の劣化減少が防止され、安定した光電子の誘起、放出が可能となり、現像剤比電荷量の安定化、ひいては印字画像の劣化を防ぐことができる。
【0039】
また、本発明の現像装置においては、電子誘起部の光照射側または現像剤担持体側の少なくとも一方の側に上記多孔質部材で形成された現像剤阻止部を備えた場合に、該現像剤阻止部を形成する多孔質部材の表面の少なくとも一部の領域を光電子誘起材料で被覆することが望ましい。
【0040】
上記構成のように、現像剤阻止部を形成する多孔質部材に光電子誘起材料を被覆することによって、電子誘起部から放出された光電子により該現像剤阻止部が帯電することを防止できる。また、多孔質表面を被覆する光電子誘起材料からも光電子の放出を行うことができるようになるため、現像剤への電子放出量が多くなり、現像剤比電荷量を向上させることができる。
【0041】
また、本発明の現像装置では、光電子誘起材料で被覆された多孔質部材を用いる構成において、該多孔質部材が特定波長の光を透過させる性質を有することが望ましい。
【0042】
上記構成のように特定波長の光が多孔質部材を透過することで、多孔質部材内部や光照射部と反対側の多孔質部材表面の光電子誘起材料からも光電子が誘起、放出され、現像剤比電荷量を向上させることができる。
【0043】
また、本発明の現像装置においては、上記特定波長が紫外線であることが望ましい。
【0044】
上記構成のように紫外線の透過可能な多孔質部材を用いることで、光電子誘起材料で被覆された多孔質部材を用いる構成において、光電子の誘起、放出を促進させることができる。
【0045】
また、本発明の現像装置においては、上記多孔質部材はポリテトラフルオロエチレン系樹脂からなるものであって、その厚さが、10μm〜500μmの範囲であることが望ましい。
【0046】
上記構成によれば、光電子を効率よく通過させることができるとともに飛散するトナーも効率よく阻止することができる。また、上記のような厚さであれば、紫外線等の特定波長の光を通過させうることから、光電子誘起材料で被覆された多孔質部材を用いる構成において、光電子の誘起、放出を促進させることもできる。
【0047】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の現像装置の概略構成について、図4に基づいて説明する。
【0048】
現像装置10は、図4に示すように、感光体ドラム2と対向するように配置され、該感光体ドラム2の表面に形成される静電潜像を、現像剤(トナー)として、例えば1成分系の非磁性よりなるトナーを用いて現像する。現像装置10は、トナーを収容する容器状の現像槽11、供給ローラ(現像剤供給手段)12、現像ローラ(現像剤担持体)13、およびトナー規制ブレード(層厚規制ブレード)14を備えた構成となっている。
【0049】
供給ローラ12は、現像装置10内に配置されており、現像ローラ13と互いの外周面同士が対面するように回転可能に連設され、現像槽11内のトナーを現像ローラ13の外周面に供給する。
【0050】
現像ローラ13は、現像装置10内に感光体ドラム(潜像保持体)2と対向する箇所にて回転可能に配置されており、供給ローラ12により供給されたトナーを感光体ドラム2に向けて担持搬送する。
【0051】
トナー規制ブレード14は、現像ローラ13の回転方向に対し、供給ローラ12の下流側、かつ感光体ドラム2の上流側にて現像ローラ13と接触して配置され、現像ローラ13表面に形成されるトナー層を層厚規制する。
【0052】
さらに、現像装置10は、感光体ドラム2に供給されるトナーを所定の電荷量に帯電させるためのトナー帯電手段(現像剤帯電手段)として、トナー規制ブレード14の一部に具備された電子放出部15と、該電子放出部15に対して紫外線を照射する紫外線照射器(光照射部)16とを備えている。このトナー帯電手段の詳細については後述する。
【0053】
ここで、上記現像装置10を備えた電子写真装置におけるプロセス部を簡単に説明する。
【0054】
上記プロセス部は、図4に示すように、主に感光体ドラム2、帯電ローラ3、露光手段(図示せず)、現像装置10、転写用放電ローラ4、クリーニング手段(図示せず)、除電手段(図示せず)、定着ローラ5からなる。また、図4中において、Pは記録用紙、Lは上記露光手段から照射されて感光体ドラム2表面に静電潜像を書き込む光ビームを示している。
【0055】
感光体ドラム2は、所定方向(図4に示す矢印A方向)に回転しており、まず、その外周表面が帯電ローラ3によって均一帯電される。均一帯電された感光体ドラム2の表面には、露光手段により画像データに応じて制御される光ビームLが照射され、静電潜像が形成される。
【0056】
感光体ドラム2上に形成された上記静電潜像は、感光体ドラム2の回転によって、現像装置10と対向する位置まで移動し、該現像装置10によってトナーを供給されて可視化される(感光体ドラム2上にトナー像が形成される)。このとき、現像装置10の現像ローラ13は、感光体ドラム2に供給するトナーを担持搬送するために所定方向(図4に示す矢印B方向)に回転している。
【0057】
また、感光体ドラム2は、有機光半導体で構成されており、本実施の形態では、−700V(帯電ローラ3による帯電量)に帯電して、周速度が50mm/secでA方向に回転している。現像ローラ13は、円筒状の導電性ゴム弾性材料で構成されており、−400Vの現像バイアスが印加されて感光体ドラム2と等しい周速度でB方向に回転している。供給ローラ12は、円筒状の発泡性ゴム弾性材料で構成されており、感光体ドラム2と等しい周速度でB方向に回転している。
転写用放電ローラ4は、感光体ドラム2上に現像によって形成されたトナー像を用紙Pに転写する。感光体ドラム2の回転方向における転写用放電ローラ4の下流側には、さらにクリーニング手段および除電手段が配置され、該クリーニング手段は転写後の感光体ドラム2表面の残留トナーを除去し、該除電手段は感光体ドラム2表面を除電する。
【0058】
トナー像が転写された後の用紙Pは定着ローラ5に搬送され、該用紙Pが上下一対の定着ローラ5の間を通過する際に加熱および加圧を受け、トナー像が用紙P上に定着される。
【0059】
次に、現像装置10における現像の詳細過程を説明する。
現像装置10では、上述したように、供給ローラ12より現像ローラ13表面にトナーを順次供給して、現像ローラ13がトナーを保持した状態で回転運動する。これにより、現像ローラ13によって搬送されるトナーが現像ローラ13とトナー規制ブレード14の接触領域Wsとの間に案内され、現像ローラ13上のトナーの層厚が規制される。尚、接触領域Wsは、トナー規制ブレード14の先端に設けられている。
【0060】
トナー規制ブレード14によって現像ローラ13上に層厚規制されたトナーは、トナー帯電手段を構成する電子放出部15および紫外線照射器(光照射部)16によって、電荷を与えられ、現像に必要な帯電量まで帯電される。すなわち、トナー規制ブレード14によって形成されたトナー層に電子放出部15に対して紫外線照射器(光照射部)16から紫外線を照射することによって、光電効果によって電子放出部15から光電子が誘起される。この光電子は現像ローラ13上のトナーに向けて放出され、トナーが所望の帯電量に帯電する。尚、上記紫外線照射器16の発光は、現像ローラ13の回転と同期させれば、電力消費の増加につながる不必要な発光を抑制でき好ましい。
【0061】
上記構成のトナー帯電手段において、電子放出部15は、トナー規制ブレード14上の接触領域Wsとは別の位置に形成されており、電子放出部15は現像ローラ13上のトナーとは非接触となっているため、トナーに対して無負荷の状態で帯電を行うことができる。このため、現像装置10では、トナー規制ブレード14は、現像ローラ13に対して少なくともトナーの層厚規制に必要な程度の力にて圧接されていればよく、トナー規制ブレード14によるトナーへの加圧力および熱的負荷を大幅に低減することができる。
【0062】
また、電子放出部15の形成領域は、現像ローラ13とは完全に非接触であるため、その表面粗さがトナーの層形成に及ぼすことはなく、該電子放出部15の表面粗さが設計上の制約を受けることはない。
【0063】
上記トナー帯電手段によって所定の帯電量まで帯電されたトナーは、さらに現像ローラ13の回転によって感光体ドラム2との対向部まで送られ、感光体ドラム2の表面上の静電潜像に対して、静電的に供給され、該静電潜像をトナー像として現像(可視化)する。
【0064】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の形態1として、上記電子放出部15の電子誘起部15aの光照射部16側または現像ローラ13側に多孔質部材で形成された現像剤阻止部15bを備えた本発明の構成を、図1、図3及び図4から図11を参照して説明する。
【0065】
まず、トナー規制ブレード14(図4)は、例えば、基材としてSUSの金属(すなわち、導電性基材)を使用しており、電子放出部15において、電子誘起部15aが形成される領域では、図5(a)および(b)に示すように、エッチング加工等により複数の開口部151が設けられ、光電面152として、例えば、薄膜のアルミニウムが蒸着等によって積層されている。
【0066】
電子誘起部15aにおいて、該電子誘起部15aが電気的にフロートの状態であれば、電子誘起部15aの光電面152が光電子を放出しつづけることができない。このため、電子誘起部15aは、光電面152から放出した分の電子を外部から供給可能な構成とするのが好ましい。この点、上記電子誘起部15aは、SUSからなるトナー規制ブレード14の基材上に光電面152としてアルミニウム薄膜を蒸着した構成であるため、トナー規制ブレード14の基材を接地することにより上記構成は容易に実現できる。
【0067】
図1(a)は電子誘起部15aの開口部151と多孔質部材で形成された現像剤阻止部15bの関係を示した図面であり、現像剤阻止部15bを現像ローラ側に配置した図面である。
【0068】
上記構成のトナー規制ブレード14において、電子誘起部15aの光電面152に紫外線が照射されると、該光電面152に光電効果による光電子が誘起される。この光電子は、主に、紫外線の照射面側、すなわち、光照射部16(紫外線照射器)との対向面側において発生するものであるが、発生した光電子は、電子誘起部15aの開口部151を通って多孔質部材の孔161を通過し、現像ローラ13側に照射されることにより、現像ローラ13のトナーを帯電する。
【0069】
以上のように、実施の形態に係る現像装置10は、トナー規制ブレード14の圧接力を従来の摩擦帯電方式を用いた現像装置に比べ大幅に低減することができる。これにより、トナー規制ブレード14によるトナーへの加圧力および熱的負荷が大幅に低減され、トナー破壊やトナー規制ブレード14へのトナー融着といった不具合を回避できる。特に、本現像装置の現像剤として、軟化点を低減させたトナー、あるいは、顔料部数を増加させて着色力を高めた改良トナーを用いた場合、その溶融による画質劣化・装置故障を極めて効果的に防止できる。
【0070】
また、電子放出部15に多孔質部材で形成された現像剤阻止部15bが用いられていることによって、トナー層厚規制ブレード14によって発生する逆帯電トナーや、マシン非動作時に外的振動により飛散するトナーは、現像剤阻止部15bとして用いられた多孔質部材によって阻止されるため電子誘起部15aの光電面152や光照射部16への現像剤の付着を回避することができる。よって、電子誘起部15aに発生する光電効果の劣化減少が防止され、安定した光電子の誘起、放出が可能となり、現像剤比電荷量の安定化、ひいては印字画像の劣化を防ぐことができる。
【0071】
この点、電子誘起部15aや光照射部16へのトナーの飛散を未然に防ぐことができるという観点から、電子誘起部15aの光照射部16側よりは現像ローラ13側に現像剤阻止部15bを配置するのが望ましい。
【0072】
さらに、電子誘起部15aの光照射部16側と現像ローラ13側双方に現像剤阻止部15bを配置すれば、電子誘起部15aの光電面152や光照射部16へのトナーの飛散をほぼ完全に防ぐことができ、なお望ましい。
【0073】
また、現像剤阻止部15bに用いられる多孔質部材においては、多孔質部材の孔161の開口面162が光照射部16や現像ローラ13の方向を向いていることが望ましい。
【0074】
これにより、光電効果によって電子誘起部15aの光電面152から発生した光電子が効率よく現像剤阻止部15bの多孔質部材の孔161を通過して現像ローラ13上の現像剤へ有効的に降り注ぐことができることから、現像剤比電荷量の安定化、ひいては印字画像の劣化を防ぐことができる。
【0075】
また、現像剤阻止部15bに用いられる多孔質部材においては、該多孔質部材の孔161の孔径(ほぼ円形の開口面162の直径)がトナーの通過を阻止しうるような大きさであることが望ましい。
【0076】
これにより、電子誘起部15aの光電面152や光照射部16へ飛散するトナーは、該トナーの孔径より小さな孔径を有する多孔質部材によってほぼ完全に阻止され、電子誘起部や光照射部への現像剤の付着がほぼ完全に回避できる。
【0077】
また、現像剤阻止部15bに用いられる多孔質部材の表面は、図3に示されるように、光電子誘起材料372で被覆されていることが望ましい。
【0078】
これにより、電子誘起部15aから放出された光電子によって現像剤阻止部15bが帯電することを防止できる。また、現像剤阻止部15bの表面を被覆する光電子誘起材料372からも光電子の放出を行うことができるようになるため、現像ローラ13上のトナーへの電子放出量が多くなり、現像剤比電荷量を向上させることができる。
【0079】
また、上記のように現像剤阻止部15bを構成する多孔質部材の表面を光電子誘起材料372で被覆する場合においては、該多孔質部材に、特定波長の光を透過させる性質を有するものを用いることが望ましい。
【0080】
これにより、特定波長の光が現像剤阻止部15bを構成する多孔質部材を透過し、多孔質部材内部の孔361の表面の光電子誘起材料372や光照射部16とは反対側の多孔質表面の光電子誘起材料372からも光電子が誘起、放出され、現像剤比電荷量を向上させることができる。
【0081】
なお、この場合に、上記特定波長の光は紫外線であることが望ましい。
【0082】
このように紫外線の透過可能な多孔質部材を用いることで、現像剤阻止部15bに光電子誘起材料372で被覆された多孔質部材を用いる構成において、光電子の誘起、放出を促進させることができる。
【0083】
また、上記多孔質部材には厚さ10μm〜500μmのポリテトラフルオロエチレン系樹脂の多孔質部材を用いることが望ましい。
【0084】
これにより、光電子を効率よく通過させることができるとともに飛散するトナーも効率よく阻止することができる。また、上記のような厚さであれば、紫外線等の特定波長の光を通過させうることから、光電子誘起材料372で被覆された多孔質部材を用いる構成において、光電子の誘起、放出を促進させることもできる。
【0085】
次に、電子放出部15から放出された光電子を効率よく現像ローラ13上のトナーへの帯電させるための電子誘起部15aの工夫について説明する。
【0086】
図5(a)の記載では、上記開口部151は、円形状の小径穴が多数形成された構成となっているが、本発明においては開口部151の形状は特に限定されるものではなく、四角や三角の形状であってもよく、また、スリット形状の開口部であってもよい。
【0087】
また、光電面152を形成する材料は、上述のようなアルミニウムに限定されるものではなく、光の照射を受けたときに光電効果が生じるものであれば、この他にTa等の金属、Mg−Ag等の合金、半導体、導電ポリマーなどであってもよい。
【0088】
また、上記光電面152は、トナー規制ブレード14において、必ずしも図5(b)に示すように両面に形成されている必要はなく、少なくとも紫外線照射器16との対向面側に形成されていればよい。
【0089】
また、上記電子誘起部15aに照射される光は、上述のような紫外線に限定されるものではなく、光電面152を形成する材料に対して光電効果を起こしうる波長を有するものであれば、可視光線やX線等であってもよい。
【0090】
また、以下のようにして、電子放出部15から放出された光電子を効率よく現像ローラ13上のトナーへの帯電させることができる。
【0091】
すなわち、上記の実施形態では、トナー規制ブレード14の電子誘起部15aにおいて、開口部151のブレード断面における形状(図5(b)参照)が直方形状であり、電子誘起部15aの開口部151では、光照射面側の開口面積と、現像ローラ13との対向面側の開口面積とが等しくなっている。ここで、図7のように、電子誘起部15aにおける開口部151の形状につき、光照射面側の開口面積を、現像ローラ13との対向面側の開口面積より大きくすることで、電子誘起部15aにおける受光領域の面積を拡大し、光電子の発生量の増加を図ることもできる。具体的には、図7(b)のように、光照射面側の開口直径φ1と、現像ローラ13との対向面側の開口直径φ2とがφ1>φ2となるようなすり鉢形状とする。この点、上記形状の開口部151をトナー規制ブレード14に形成することは、例えば片面エッチングによって容易に形成可能である。(なお、図5に示すようなストレート穴は両面エッチングを行った場合に得られる)。ただし、上記光電面152は、電子誘起部15aにおいて、少なくとも光照射部16側と開口部151の内面とに形成されていればよい。
【0092】
電子誘起部15aの開口部151をこのような形状とした場合、電子誘起部15aへ照射された光は、光電面152と開口部151の内面とによって受光される。このため、電子誘起部15aにおける受光領域の面積を拡大でき、光電子の発生量を増加させてトナー帯電の安定化を図ることができる。
【0093】
さらに、上記開口部151は、(光照射面側の開口面積)>(現像ローラ13との対向面側の開口面積)の関係を満たしていれば、その形状は特に限定されるものではない。
【0094】
次に、電子放出部15から放出された光電子を効率よく現像ローラ13上のトナーへの帯電させるためのトナー規制ブレード14および電子放出部15の工夫について説明する。ただし、以下の説明においては、電子放出部15に現像剤阻止部15bを設けないで、電子誘起部材15aのみで電子放出部15を構成した場合を考えている。
【0095】
現像装置10(図4)では、光電効果によって光電面152(図5)から誘起された光電子は、電子誘起部15aの開口部151を通って現像ローラ13との対向面側からトナーに向けて放射される。しかしながら、この構成において、トナー規制ブレード14の光照射面側で発生する光電子は、開口部151を通過するとは限らず、該開口部151を通過しない光電子はトナーの帯電には寄与しない。
【0096】
ここで、図8に示される構成をとれば、トナー帯電効率を向上させることができる。
【0097】
図8における現像装置10’は、現像装置10の構成においてトナー規制ブレード14をトナー規制ブレード14’に代えると共に、該トナー規制ブレード14’と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加する構成となっている。このため、トナー規制ブレード14’はバイアス印加手段19と接続されている。このバイアス印加手段19は、トナー規制ブレード14’の基材に接続する構成とすることができる。また、現像ローラ13側のバイアス印加手段20は、感光体ドラム2と現像ローラ13との間で現像バイアスを印加するためのバイアス印加手段をそのまま兼用することができる。現像装置10’においてその他の構成は現像装置10と同じである。
【0098】
トナー規制ブレード14’の具体的構成を、図6(a)および(b)を参照して説明する。
【0099】
トナー規制ブレード14’は、トナー規制ブレード14とほぼ同様の構成であるが、図6(b)に示すように、現像ローラ13との接触領域Wsにおいて絶縁層17および金属層18が設けられている点が異なっている。尚、トナー規制ブレード14’上に形成される電子誘起部15aの構成は、トナー規制ブレード14と同様の構成である。
【0100】
現像装置10’では、トナー規制ブレード14’と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加するため、現像装置10のようにトナー規制ブレード14の導電性基材と現像ローラ13とが直接接触する構成であれば、トナー規制ブレード14と現像ローラ13との間が導通してしまい上述のような電気的バイアスを印加することができない。そこで、絶縁層17は、現像ローラ13とトナー規制ブレード14’の基材との間を絶縁するために設けられるものであり、例えば、上記基材の上に厚さ80μmのフッ素樹脂層として形成される。
【0101】
また、金属層18は、現像ローラ13の表面において均一なトナー層が形成されるように、現像ローラ13との接触面において適切な硬度や表面粗さを提供するものである。金属層18としては、例えば、厚さ20μmのSUSの金属層が積層される。なお、現像ローラとトナー規制ブレードとの間を絶縁する構成としては、上述のようにトナー規制ブレード側に絶縁層を設ける構成に限定されるものではなく、導電性基材からなる現像ローラの外周層に、例えばゴム等の絶縁層を設ける構成であってもよい。
【0102】
上記構成の現像装置10’では、トナー規制ブレード14’と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加することにより、以下の2つの作用によって帯電効果を向上させることができる。
【0103】
まず、第1の作用として、上記電気的バイアスを印加することで、トナー規制ブレード14’と現像ローラ13との間に電界が発生する。このとき、トナー規制ブレード14’の電子誘起部15aにおける開口部151付近では図9に示すような電気力線(図中、破線にて示す)が発生する。このため、電子誘起部15aの光電面152において、開口部151付近で発生した光電子は、上記電気力線に沿って移動し、開口部151を通過して現像ローラ13側に引き寄せられる。すなわち、発生した光電子をトナーの帯電に効率的に使用できる。
【0104】
次に、第2の作用として、現像ローラ13側に引き寄せられた光電子は、上記電界の作用によって加速される。そして加速された電子が、気体分子に衝突すると、該気体分子が電子を放出してイオン化する。このとき、気体分子より放出された電子も同様の作用を生じるため、気体中の電子が急激に増加する、いわゆる電子なだれの現象が発生する。この電子なだれによって生じた電子もトナーの帯電に寄与するため、帯電効率が大幅に向上する。ここで、現像ローラ13とトナー規制ブレード14’間の電気的バイアスは、電界強度が0.5〜2.5×106(V/m)となる範囲で印加されている。
【0105】
この場合において、所望の帯電量(−2.0×10−2μC/kgとする)が得られるときの電界強度とプロセス速度の関係を図10に示す。図10から明らかなように、上記電気的バイアスの電界強度を上げることによって所望の帯電量が得られるプロセス速度も向上しており、上記範囲の電気的バイアスを印加する場合、プロセス速度50〜200mm/s相当までトナー帯電が可能となる。
【0106】
本現像装置10’の構成において、トナー規制ブレード14’による加圧力と、トナーの帯電特性との関係を図11に示す。このとき、電子誘起部15aにおける開口部151のパターン条件は、開口率が40%、開口部151の穴形がφ200μmとなっている。紫外線照射器16は、波長254nmの紫外光を照射している。尚、上記開口率とは、電子放出部15の形成領域の面積に対する開口部151の面積の比率を示す。さらに、現像ローラ13とトナー規制ブレード14’間には5×10−6V/mの電気的バイアスが印加されている。
【0107】
図11より、従来の摩擦帯電方式では、トナーの所望の帯電量を得るためには、約196kPaの加圧力が必要であることが分かる。これに対し、本発明の帯電方式では、従来の摩擦帯電方式に必要な加圧力の1/4、すなわち約49kPaの加圧力で所望の帯電量が得られている。
【0108】
〔実施の形態2〕
本発明の実施の形態2として、電子放出部15において、電子誘起部15aに、表面を光電子誘起材料272で被覆した多孔質部材を用いた構成を、図2、図4を参照して説明する。
【0109】
電子誘起部15aに用いられる多孔質部材はトナー規制ブレード14の電子放出部15に形成される。該多孔質部材は光電子誘起材料272で無電解メッキ、若しくは、蒸着されている。これにより、多孔質部材の孔内部(例えば、多孔質部材の孔261の表面)も光電面として機能し、光照射部16からの紫外線照射により光電面252が光電効果により、矢印で示す光電子を放出する。
【0110】
光電面から照射された光電子は開口面262から多孔質部材の孔261を通過し、現像ローラ13側に照射されることにより、現像ローラ13上のトナーを帯電する。
【0111】
以上の実施形態によれば、現像剤をブレードとの摩擦により帯電させる摩擦帯電方式とは異なり、現像剤に摩擦力を与えることなく、現像剤を帯電させることができる。したがって、摩擦熱による現像剤の劣化、および、摩擦熱により軟化した現像剤による装置の汚染等を回避することが可能となっている。特に、本現像装置の現像剤として、軟化点を低減させたトナー、あるいは、顔料部数を増加させて着色力を高めた改良トナーを用いた場合、その溶融による画質劣化・装置故障を極めて効果的に防止できる。
【0112】
また、電子誘起部15aに、表面を光電子誘起材料で被覆した多孔質部材を用いられていることによって、トナー層厚規制ブレード14によって発生する逆帯電トナーや、マシン非動作時に外的振動により飛散するトナーは、電子誘起部15aを構成する多孔質部材によって阻止されるため電子誘起部15aの光電面252や光照射部16へのトナーの付着を回避することができる。よって、電子誘起部に発生する光電効果の劣化減少が防止され、安定した光電子の誘起、放出が可能となり、現像剤比電荷量の安定化、ひいては印字画像の劣化を防ぐことができる。
【0113】
また、電子誘起部15aに用いられる多孔質部材においては、多孔質部材の孔の261の開口面262が光照射部16及び現像ローラ13の方向を向いていることが望ましい。
【0114】
これにより、光電効果によって電子誘起部15aに用いられた多孔質部材の光電面252から発生した光電子が効率よく多孔質部材の孔261を通過して現像ローラ13上の現像剤へ有効的に降り注ぐことができることから、現像剤比電荷量の安定化、ひいては印字画像の劣化を防ぐことができる。
【0115】
また、電子励起部15aに用いられる多孔質部材においては、該多孔質部材の孔261の孔径(ほぼ円形の開口面262の直径)がトナーの通過を阻止しうるような大きさであることが望ましい。
【0116】
これにより、電子誘起部15aや光照射部16へ飛散するトナーは、該トナーの孔径より小さな孔径を有する多孔質部材によってほぼ完全に阻止され、電子誘起部や光照射部への現像剤の付着がほぼ完全に回避できる。
【0117】
また、このように、電子誘起部15aに、表面を光電子誘起材料で被覆した多孔質部材を用いた場合においては、該多孔質部材に、特定波長の光を透過させる性質を有するものを用いることが望ましい。
【0118】
これにより、特定波長の光が電子誘起部15aを構成する多孔質部材を透過し、多孔質部材内部や光照射部16とは反対側の多孔質表面からも光電子が誘起、放出され、現像剤比電荷量を向上させることができる。
【0119】
なお、この場合に、上記特定波長の光は紫外線であることが望ましい。
【0120】
このように紫外線の透過可能な多孔質部材を用いることで、電子誘起部15aに光電子誘起材料で被覆された多孔質部材を用いる構成において、光電子の誘起、放出を促進させることができる。
【0121】
また、上記多孔質部材には厚さ10μm〜500μmのポリテトラフルオロエチレン系樹脂の多孔質部材を用いることが望ましい。
【0122】
これにより、光電子を効率よく通過させることができるとともに飛散するトナーも効率よく阻止することができる。また、上記のような厚さであれば、紫外線等の特定波長の光を通過させうることから、光電子誘起材料で被覆された多孔質部材を用いる構成において、光電子の誘起、放出を促進させることもできる。
【0123】
なお、上記電子誘起部15aに照射される光は、上記のような紫外線に限定されるものではなく、光電面152を形成する材料に対して光電効果を起こしうる波長を有するものであれば、可視光線やX線等であってもよい。
【0124】
なお、上記実施の形態2において、トナー規制ブレード14については、トナー規制ブレード14と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加しない構成であってもよい。しかしながら、実施の形態1に述べたように、現像ローラ13との接触領域Wsに絶縁層を設け、トナー規制ブレード14と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加する構成に対応させることが好適である。
【0125】
【実施例】
[実施例1]
以下、上記実施の形態1に対応する実施例1を図3および図12を参照しながら詳細に説明する。
【0126】
図12は、本発明に用いる現像槽の実施形態を示す断面図である。
【0127】
図12において、現像装置Xは、被帯電部材として1成分系の非磁性よりなるトナーTを用いたものであって、このトナーTを収容する容器状の現像槽31と、感光体ドラムDと対向した位置に回転可能に収容された現像ローラ43と、感光体ドラムDと反対向した位置において、現像ローラ43と互いの外周面同士が対面するように回転可能に連設され、現像槽1内のトナーTを現像ローラ43の外周面に供給する供給ローラ42と、上記感光体ドラムDと上記現像ローラ43が接する位置に対し下流側に位置し、上記供給ローラ42と上記現像ローラ43が接する位置に対して上流側において互いの外周面同士が対面するように回転可能に連設されている。トナー規制ブレード44は、現像ローラ43の回転方向に対し、供給ローラ42の下流側、かつ感光体ドラムDの上流側にて現像ローラ43と接触して配置され、現像ローラ43表面に形成されるトナー層を層厚規制する。
【0128】
さらに、現像装置30は、感光体ドラムDに供給されるトナーを所定の電荷量に帯電させるためのトナー帯電手段(現像剤帯電手段)として、トナー規制ブレード44の一部に具備された電子放出部45に対して紫外線等の光を照射する光照射部46とを備えている。
【0129】
現像の過程は、静電潜像を担持搬送する感光体ドラムDに対し、現像装置Xの現像ローラ43表面に、トナーTを供給ローラ42より周方向から予め順次供給して、トナーを保持し、等速度回転運動している現像ローラ43とトナー規制ブレード44との間にトナーTを搬送し、現像ローラ43上のトナーの層厚が規制されると同時に、光照射部46内部に配設された紫外線発光器からの光を電子放出部45に照射することにより、電子放出部45から光電子が誘起されトナーTは所望の帯電量に帯電する。この状態でさらに回転方向下流側に位置する感光体ドラムDとの対向部まで送られ、感光体ドラムDの表面上の静電潜像に対して、静電的に供給され、トナー像として現像(可視化)される。現像ローラ43は、円筒状の導電性ゴム弾性材料で構成されており、50〜150mm/sで駆動回転している。供給ローラ42は、円筒状の発泡性ゴム弾性材料で構成されており、現像ローラ43と等速度で駆動回転している。また帯電効率を上げるために、現像ローラ43とトナー規制ブレード44には、ローラ間の微小空隙の電界強度が0.5〜2.5×10−7(V/m)となるような電気的バイアスが印加されている。
【0130】
なお、図12中において、Pは用紙、Eは感光体ドラムDを帯電させて感光体ドラムDの外周面上に静電潜像を形成する帯電ローラ、Fは感光体ドラムDの外周面上に現像されたトナー像を用紙Pに転写する転写用放電ローラ、Gは転写形成されたトナー像を用紙Pに定着させる上下一対の定着ローラである。また、図12中の破線矢印は、図示しないレーザビームスキャナーユニットから発せられたレーザビームLであって、感光体ドラムDの外周面上に静電潜像を結像させるようになされている。電子放出部45は、図3に示される通り、電子誘起部15a(図3)として、金属材料(例えばSUS304)よりなる平板状のトナー規制ブレード44(図12)に紫外線の照射によって光電子を放出する半導体(金属含む)が塗布された構成を有し、現像ローラ43に対向している側には、多孔質部材(多孔質膜)で形成された現像剤阻止部15b(図3)を備えている。上記電子誘起部15aからは、紫外線照射部より300nm以下の紫外線線を照射されることにより光電子が放出される。このように放出された光電子は、電子誘起部15a(図3)に設けられた、光電子を通過させるための開口部を通過して、現像ローラ上のトナーに降り注ぐことになる。この点、現像剤であるトナーなどが光電面352(図3)や光照射部46(図12)に付着すると、光電面352(図3)や光照射部46(図12)の紫外線照射に障害が発生し、光電子放出量の低下が発生することによってトナーなどの現像剤比電荷量の低下になり、画像劣化などが発生する。このトナーよる汚染は、様々なケースがある。トナーの層厚規制によって発生した逆帯電トナーがトナー層厚規制ブレード44に印加されている電圧に引っ張られて孔を通過してくる場合、もしくは、マシン非動作時に外的振動により現像ローラ上のトナーが飛散して、電子誘起部15a(図3)の光電面352に付着する場合等である。
【0131】
そこで、本実施例では、電子誘起部15aの光電面352にトナー等が付着してトナー比電荷量が減少することを防ぐ方法として電子放出部45の電子誘起部15a(図3)と現像ローラ43(図12)との間に多孔質膜で構成された現像剤阻止部15b(図3)を備えることによりトナー等の現像剤の侵入を未然に防ぎトナー帯電の劣化を防いでいる。
【0132】
この多孔質膜には、複数の微小孔361が開いているが、光照射部46の照射方向に孔性を有することにより光電面352(図3)から放出された光電子が、効率よく多孔質膜の孔361を通過できるようになっている。また、多孔質膜で構成された現像剤阻止部15b表面を光電子誘起材料で被覆した本実施例では、多孔質膜内部の光電子誘起材料372からも光電子放出が期待できる。
【0133】
また、飛散するトナーを完全に阻止するため、本実施例に用いた多孔質膜の孔径は、現像剤であるトナー粒径より小さい構成をとる。
【0134】
また、上記多孔質膜は特定波長、例えば300nm以下の紫外線の光を透過させる性質を有する。本実施例では、300nm以下の紫外線好ましくは254nmの紫外線を透過できる材質、及びその厚さを選択し、かつ、多孔質膜で構成された現像剤阻止部15b表面を光電子誘起材料で被覆した、図3のような構成をとることで、トナー層厚規制ブレード44(図12)に構成された光電面353(図3)のみならず、この多孔質膜の孔361からも光電子を放出できるようになっている。
【0135】
これにより、現像剤であるトナーの比電荷量の向上になり印字画像の安定供給が可能になる。
【0136】
多孔質膜としてポリテトラフルオロエチレン系樹脂の材質が最適であり、本実施例では日東電工社製ミクロテックス(登録商標)を使用している。この材質は図1(b)で示すように一定方向に貫通する孔を複数備える構成であり、紫外線を通過させる特性を備えているので、紫外線や電子を通過させ、トナーの通過を阻止することが可能となる。
【0137】
ここで、多孔質膜の厚みと光透過性およびトナー帯電性能については、表1に示す結果となった。ここで、光透過性については、紫外線可視分光光度計(島津製作所UV−1600PC)にて紫外線の透過率を測定して評価を行い、トナー帯電性能については、吸引式帯電量測定器によって現像ローラ上のトナーの帯電量を測定して評価を行った。
【0138】
【表1】
【0139】
上記の結果よりわかるように、500μm以下の厚みの多孔質は、紫外線の光を透過させるものの、帯電性能の点から考えると300μm以下の多孔質膜が有効であり特に100μm以下の厚みが帯電性能に有効である。ただし、紫外線の透過性を重視した20μm未満の場合は、多孔質膜の機械的強度が弱く破損などの問題が発生した。
【0140】
紫外線の透過性が帯電性能と深く関係することから、光電面352だけでなく多孔質膜に被覆されている光電子誘起材料からも、光電子が放出され、トナー帯電への効率が向上しているといえる。言い換えれば、多孔質膜の表面を光電子誘起材料などで被覆させることによって、光電子放出量のさらなる向上、ひいては安定した画像供給が可能となる。
【0141】
次に、以上のような実施例1の構成における、孔径と帯電性能およびトナーのグリッド光電膜への侵入具合の関係を表2に示す。ここで、トナー帯電性能については、吸引式帯電量測定器によって現像ローラ上のトナーの帯電量を測定して評価を行った。
【0142】
【表2】
【0143】
前記の実験は孔径が7μmのトナーを使用して検討した結果である。
【0144】
前記表の結果より、トナーの侵入を防ぐには、出来るだけ小さな孔径が望ましいことがいえる。10μm以上の孔径は、トナーの侵入もしくは目詰まりなどにより光電子放出量の低下が発生した。また、多孔質膜の孔径を小さくするにしたがって帯電性能が上がることから、放出された光電子の通過効率も増加させることがわかる。
【0145】
[実施例2]
以下、上記実施の形態2に対応する実施例2を図2および図12を参照しながら詳細に説明する。
【0146】
実施例2は、実施例1における電子放出部45(図12)の構成だけを変えたものであり、その他現像装置全体の構成や現像原理は同様である。
【0147】
本発明では、金属材料(例えばSUS304)よりなる平板状のトナー規制ブレード44(図12)の電子放出部45に、電子誘起部15a(図2)として、表面を光電子誘起材料272で被覆した多孔質膜を用いることにより、トナー等の現像剤の侵入を未然に防ぎ、電子誘起部15aの光電面252にトナー等が付着してトナー比電荷量が減少することを防止している。
【0148】
この多孔質膜には、無数の微小孔261が開いているが、光照射部46の照射方向に孔性を有することにより光電面252(図2)から放出された光電子が、効率よく多孔質膜の孔261を通過できるようになっている。また、多孔質膜内部の光電子誘起材料272からも光電子放出が期待できる。
【0149】
また、飛散するトナーを完全に阻止するため、多孔質膜の孔径は、現像剤であるトナー粒径より小さい構成である。
【0150】
また、上記多孔質膜は特定波長、例えば300nm以下の紫外線の光を透過させる性質を有する。ここで、300nm以下の紫外線好ましくは254nmの紫外線を透過できる厚みもしくは材質を選択すれば、光照射部16側の光電面252のみならず、現像ローラ43側の光電面252からも光電子を放出できることになる。右構成を利用できれば、現像剤であるトナーの比電荷量の向上になり印字画像の安定供給が可能になる。
【0151】
多孔質膜としてポリテトラフルオロエチレン系樹脂の材質が最適であり、本実施例では日東電工社製ミクロテックス(登録商標)を使用している。この材質は図1(b)で示すように一定方向に貫通する孔を複数備える構成であり、紫外線を通過させる特性を備えているので、紫外線や電子を通過させ、トナーの通過を阻止することが可能となる。
【0152】
ここで、以上のような実施例2の構成における、多孔質膜の厚みと光透過性およびトナー帯電性能については、表3に示す結果となった。ここで、光透過性については、紫外線可視分光光度計(島津製作所UV−1600PC)にて紫外線の透過率を測定して評価を行い、トナー帯電性能については、吸引式帯電量測定器によって現像ローラ上のトナーの帯電量を測定して評価を行った。
【0153】
【表3】
【0154】
上記の結果よりわかるように、500μm以下の厚みの多孔質は、紫外線の光を透過させるものの、帯電性能の点から考えると300μm以下の多孔質膜が有効であり特に100μm以下の厚みが帯電性能に有効である。ただし、紫外線の透過性を重視した20μm未満の場合は、多孔質膜の機械的強度が弱く破損などの問題が発生した。
【0155】
紫外線の透過性が帯電性能と深く関係することから、光照射部46側の光電面252のみならず、現像ローラ43側の光電面252からも光電子が放出され、トナー帯電への効率が向上しているといえる。
【0156】
次に、以上のような構成における、孔径と帯電性能およびトナーのグリッド光電膜への侵入具合の関係を表4に示す。ここで、トナー帯電性能については、吸引式帯電量測定器によって現像ローラ上のトナーの帯電量を測定して評価を行った。
【0157】
【表4】
【0158】
前記の実験は孔径7μmのトナーを使用して検討した結果である。
【0159】
前記表の結果より、トナーの侵入を防ぐには、出来るだけ小さな孔径が望ましいことがいえる。ただし、10μm以上の孔径は、トナーの侵入もしくは目詰まりなどにより光電子放出量の低下が発生した。
【0160】
また、多孔質膜の孔径を小さくするにしたがって帯電性能が向上することから、多孔質膜の孔径を小さくすることにより放出された光電子の通過効率も向上することがわかる。
【0161】
【発明の効果】
本発明に係る現像装置は、以上のように、電子誘起部を備えた電子放出部と、該電子放出部に光を照射する光照射部とを有し、上記電子誘起部の光電効果によって放出された光電子を利用して、現像剤担持体の表面に保持された現像剤を帯電させ、帯電された該現像剤によって感光体上の静電潜像を可視像化する現像装置であって、上記光照射部と上記現像剤担持体との間に設けられた電子放出部に多孔質部材が備えられ、該多孔質部材には、該多孔質部材の光照射部側と現像剤担持体側とを連通する、複数の孔が形成されている構成である。
【0162】
それゆえ、本現像装置においては、現像剤をブレードとの摩擦により帯電させる摩擦帯電方式とは異なり、現像剤に摩擦力を与えることなく、現像剤を帯電させることができる。したがって、摩擦熱による現像剤の劣化、および、摩擦熱により軟化した現像剤による装置の汚染等を回避することが可能となっている。
【0163】
特に、本現像装置の現像剤として、軟化点を低減させたトナー、あるいは、顔料部数を増加させて着色力を高めた改良トナーを用いた場合、その溶融による画質劣化・装置故障を極めて効果的に防止できるという効果を奏する。
【0164】
また、トナー層厚規制ブレードによって発生する逆帯電トナーや、マシン非動作時に外的振動により飛散するトナーは、電子放出部に用いられた多孔質部材によって阻止されるため電子放出部の光電面や光照射部の光源への現像剤の付着を回避することができる。これにより、電子誘起部に発生する光電効果の劣化減少が防止され、安定した光電子の誘起、放出が可能となり、現像剤比電荷量の安定化、ひいては印字画像の劣化を防ぐことができるという効果を併せて奏する。
【0165】
また、本発明に係る現像装置は、以上のように、上記電子放出部において、電子誘起部の現像剤担持体側または光照射部側の少なくとも一方の側に、上記多孔質部材で形成された現像剤阻止部を備えた構成である。
【0166】
それゆえ、トナー層厚規制ブレードによって発生する逆帯電トナーや、マシン非動作時に外的振動により飛散するトナーは、電子誘起部の光照射側または現像現像剤担持体側に備えられた多孔質部材によって阻止されるため、電子誘起部の光電面や光照射部の光源への現像剤の付着が回避できるという効果を奏する。
【0167】
また、本発明に係る現像装置は、上記電子誘起部が、その表面の少なくとも一部の領域が光電子誘起材料で被覆された上記多孔質部材であるという構成である。
【0168】
それゆえ、上記光電子誘起材料に誘起された光電子は電子誘起部に形成された孔を通って電子誘起部の現像剤担持体側の面から現像剤に向けて放射され、現像剤の帯電に寄与する効果を奏する。さらに、トナー層厚規制ブレードによって発生する逆帯電トナーや、マシン非動作時に外的振動により飛散するトナーは、多孔質部材によって阻止あるいは吸着されるため、電子誘起部や光照射部への現像剤の付着を防止する効果も併せて奏する。
【0169】
また、本発明に係る現像装置は、以上のように、上記多孔質部材の複数の孔は、照射される光の方向に対して、略平行な方向に貫通するように形成されている構成である。
【0170】
それゆえ、光電効果によって発生した光電子が効率よく多孔質部材を通過して現像ローラ上の現像剤へ有効的に降り注ぐことができることから、現像剤比電荷量の安定化、ひいては印字画像の劣化を防ぐことができるという効果を奏する。
【0171】
また、本発明の現像装置は、以上のように、上記多孔質部材の孔径が現像剤の通過を阻止しうるような大きさである。
【0172】
それゆえ、トナー層厚規制ブレードによって発生する逆帯電トナーや、マシン非動作時に外的振動により飛散するトナーは、これらトナーの孔径より小さな孔径を有する多孔質部材によってほぼ完全に阻止され、電子誘起部や光照射部への現像剤の付着がほぼ完全に回避できるという効果を奏する。
【0173】
また、本発明の現像装置は、以上のように、電子誘起部の光照射部側または現像剤担持体側の少なくとも一方の側に多孔質部材で形成された現像剤阻止部を備えた場合に、上記現像剤阻止部を形成する多孔質部材の表面の少なくとも一部の領域が光電子誘起材料で被覆されている構成である。
【0174】
それゆえ、電子誘起部から放出された光電子により前記現像剤阻止部が帯電することを防止できる。また、前記多孔質部材を被覆する光電子誘起材料からも光電子の放出を行うことができるようになるため、現像剤への電子放出量が多くなり、現像剤比電荷量を向上させることができるという効果を併せて奏する。
【0175】
また、本発明に係る現像装置は、以上のように、光電子誘起材料で被覆された多孔質部材を用いる構成において、該多孔質部材が特定波長の光を透過させる性質を有する構成である。
【0176】
それゆえ、特定波長の光が多孔質部材を透過することで、多孔質部材内部や光照射部とは反対側の多孔質表面からも光電子が誘起、放出され、現像剤比電荷量を向上させることができるという効果を奏する。
【0177】
また、本発明の現像装置は、以上のように、上記特定波長が紫外線であるという構成である。
【0178】
それゆえ、上記構成のように紫外線の透過可能な多孔質部材を用いることで、光電子誘起材料で被覆された多孔質部材を用いる構成において、光電子の誘起、放出を促進させることができるという効果を奏する。
【0179】
また、本発明の現像装置は、以上のように、上記多孔質部材がポリテトラフルオロエチレン系樹脂からなるものであって、その厚さが、10μm〜500μmの範囲であるという構成である。
【0180】
それゆえ、光電子を効率よく通過させることができるとともに飛散するトナーも効率よく阻止することができるという効果を奏する。また、上記のような厚さであれば、紫外線等の特定波長の光を通過させうることから、光電子誘起材料で被覆された多孔質部材を用いる構成において、光電子の誘起、放出を促進させるという効果を併せて奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子放出部の概略構成を示す断面図である。
【図2】本発明の電子放出部の概略構成を示す断面図である。
【図3】本発明の電子放出部の概略構成を示す断面図である。
【図4】上記本発明の実施の形態に係る現像装置の概略構成を示す断面図である。
【図5】上記現像装置に使用されるトナー規制ブレードの概略構成を示すものであり、図5(a)は平面図、図5(b)は図5(a)におけるC−C断面図である。
【図6】上記現像装置に使用されるトナー規制ブレードの概略構成を示すものであり、図6(a)は平面図、図6(b)は図6(a)におけるC−C断面図である。
【図7】上記現像装置に使用されるトナー規制ブレードの概略構成を示すものであり、図7(a)は平面図、図7(b)は図7(a)におけるC−C断面図である。
【図8】上記本発明の実施の形態に係る現像装置の概略構成を示す断面図である。
【図9】上記トナー規制ブレードと現像ローラとの間に電気的バイアスを印加した時に、トナー規制ブレードの開口部付近に生じる電気力線を説明する図である。
【図10】上記トナー規制ブレードと現像ローラとの間に印加される電気的バイアスの電界強度と、画像形成可能なプロセス速度との関係を示すグラフである。
【図11】上記現像装置におけるトナー帯電量とトナー規制ブレードの加圧力との関係を示すグラフである。
【図12】本発明の実施の形態に係る現像装置の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
15、45 電子放出部
15a 電子誘起部(導電性基材、多孔質部材)
15b 現像剤阻止部(多孔質部材)
16、46 光照射部
13、43 現像剤担持体
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタおよびファクシミリなどの電子写真装置に用いられる現像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、複写機、プリンタおよびファクシミリなどの電子写真装置においては、静電潜像を担持搬送する感光体に対して現像手段に現像剤(トナー)が供給され、感光体の表面上の静電潜像がトナーによって現像(可視化)される。このような現像装置では、トナーは現像剤担持体(現像ローラ)表面に供給ローラにより周方向から順次供給され、現像ローラの回転により感光体へ向けて担持搬送される。
【0003】
また、上記現像ローラ上に形成されるトナー層は、供給ローラよりも現像ローラの回転方向下流側に設けられたブレードによって、現像ローラ上でその層厚が規制される。このとき同時に、トナーは、ブレードとの摩擦により電荷を帯びる。このように、トナーをブレードとの摩擦により帯電させる方法を摩擦帯電方式という。帯電されたトナーは、現像ローラにより、さらに回転方向下流側に位置する感光体との対向部まで担持搬送されて、感光体表面上の静電潜像に対して静電的に供給され、静電潜像をトナー像として現像(可視化)する。可視化されたトナー像は、転写手段によって記録紙に転写された後、定着手段によって加熱および加圧され、記録紙上に定着される。
【0004】
また、上記摩擦帯電方式以外の方法を用いた現像装置には、例えば特許文献1に記載されたものが挙げられる。
【0005】
特許文献1に記載された現像装置は、フォトクロミック化合物を含有する現像剤(トナー)に光を照射することによってトナーを帯電させ、この帯電された該トナーを用いて静電荷像を現像するものである。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−281473号公報(平成7年10月27日公開)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、摩擦帯電方式を用いた構成では、層厚規制部材であるブレードはトナーの層厚を規制すると同時に、トナーを摩擦帯電させるためにも使用されている。すなわち、上記従来の構成では、トナーをブレードとの摩擦により帯電させているため、トナーにおいて所望の帯電量を得るために、ブレードを現像ローラに対して比較的大きな加圧力(F)をもって圧接させている。
【0008】
このように、ブレードによってトナーに対して大きな加圧力が作用する構成では、この加圧力によってトナーの破壊が生じる恐れがある。
【0009】
この点につき、上記摩擦帯電方式におけるエネルギー収支では、以下のことがいえる。
【0010】
すなわち、現像ローラの駆動エネルギー(Ek)は、ブレードの作用によってトナー層厚規制エネルギー(Es)とトナー帯電エネルギー(Et)とに変換されるが、一部は熱ロスエネルギー(El)として消費される。このときに発生する熱ロスエネルギー(E1)によっては、トナーが軟化することでトナーの破壊が促進される、あるいは、軟化したトナーがブレード表面に融着してトナーの摩擦帯電特性が劣化するといった問題が生じる。
【0011】
特に、近年では、省エネ技術として、トナーの軟化点を低減させて定着エネルギーを削減する、あるいは、トナーの顔料部数を増加させて着色力を高めるといったトナーの改良が進んでいるが、これは同時にトナーの耐破壊性の低下をもたらすものである。
【0012】
しかしながら、上記従来の摩擦帯電方式は、上述の如くトナーに対する加圧力や熱的負荷が大きいため、このように耐破壊性の低いトナーには適合できていない。
【0013】
さらに、現像剤の帯電手段につき、摩擦帯電方式ではなく、特許文献1に示さるような構成を用いた場合にも、現像槽内に飛散したトナーが光照射面に付着してしまうという問題がある。
【0014】
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、光照射によって電子誘起部から電子を誘起し、その電子によって未帯電現像剤の帯電を行う光誘起方式の現像剤帯電方法について、現像槽を構成する部材の回転、振動等によって飛散する未帯電現像剤を、電子誘起部の光電面や光照射部の光源に付着させないようにし、現像剤の帯電特性の安定化を実現する現像装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る現像装置は、上記課題を解決するために、電子誘起部を備えた電子放出部と、該電子放出部に光を照射する光照射部とを有し、上記電子誘起部の光電効果によって放出された光電子を利用して、現像剤担持体の表面に保持された現像剤を帯電させ、帯電された該現像剤によって感光体上の静電潜像を可視像化する現像装置であって、上記光照射部と上記現像剤担持体との間に設けられた電子放出部に多孔質部材が備えられ、該多孔質部材には、該多孔質部材の光照射部側と現像剤担持体側とを連通する、複数の孔が形成されていることを特徴としている。
【0016】
まず、本現像装置は、複写機、プリンター、ファクシミリ装置などの電子写真方式の印刷装置に用いられる現像装置であり、トナーやインク等の現像剤を用いて静電潜像、すなわち、感光体やシート(記録用紙)上に、電位分布により形成される像を現像するものである。
【0017】
また、光電効果とは、電子誘起部の電子(主に光電面の表面電子)が、その仕事関数以上のエネルギーを有する光(誘起光)の照射によって誘起される現象であり、該現象によって誘起、放出された電子は電子誘起部から独立した状態で外部の場(電場、磁場等)、あるいは外部の物質と反応することができる。
【0018】
以上を前提に、上記構成の作用効果を説明する。
【0019】
第1に、上記構成においては、光照射部によって誘起光を電子放出部に照射し、電子誘起部に誘起された光電子を用いて現像剤を帯電させるように設定されている。
【0020】
これにより、本現像装置においては、現像剤をブレードとの摩擦により帯電させる摩擦帯電方式とは異なり、現像剤に摩擦力を与えることなく、現像剤を帯電させることができる。
【0021】
したがって、摩擦熱による現像剤の劣化、および、摩擦熱により軟化した現像剤による装置の汚染等を回避することが可能となっている。
【0022】
特に、本現像装置の現像剤として、軟化点を低減させたトナー、あるいは、顔料部数を増加させて着色力を高めた改良トナーを用いた場合、その溶融による画質劣化・装置故障を極めて効果的に防止できる。
【0023】
第2に、上記構成においては、電子放出部に多孔質部材が備えられ、該多孔質部材には、該多孔質部材の光照射部側と現像剤担持体側とを連通する、複数の孔が形成されている。
【0024】
これにより、トナー層厚規制ブレードによって発生する逆帯電トナーや、マシン非動作時に外的振動により飛散するトナーは、電子放出部に用いられた多孔質部材によって阻止されるため、電子誘起部の光電面や光照射部の光源への現像剤の付着を回避することができる。
【0025】
これにより、電子誘起部の光電効果の劣化減少が防止され、安定した光電子の誘起、放出が可能となり、現像剤比電荷量の安定化、ひいては印字画像の劣化を防ぐことができる。
【0026】
また、本発明に係る現像装置は、上記電子放出部において、電子誘起部の現像剤担持体側または光照射部側の少なくとも一方の側に、上記多孔質部材で形成された現像剤阻止部を備えたことを特徴としている。
【0027】
この場合、トナー層厚規制ブレードによって発生する逆帯電トナーや、マシン非動作時に外的振動により飛散するトナーは、電子誘起部の光照射側または現像剤担持体側に備えられた多孔質部材によって阻止されるため、電子誘起部の光電面や光照射部の光源への現像剤の付着が回避できる。
【0028】
この点、電子誘起部及び光照射部の光源への現像剤の飛散を未然に防ぐことができるという観点から、電子誘起部の照射部側よりは現像剤担持体側に多孔質部材を配置する方がなお望ましい。
【0029】
さらに、電子放出部の照射部側及び現像剤担持体側双方に多孔質部材を配置することにより、電子放出部及び光照射部の光源への現像剤の飛散をほぼ完全に防ぐことができる。
【0030】
また、本発明に係る現像装置は、上記電子誘起部が、その表面の少なくとも一部の領域が光電子誘起材料で被覆された上記多孔質部材であることを特徴としている。
【0031】
この場合、上記光電子誘起材料に誘起された光電子は電子誘起部に無数に形成された孔を通って電子誘起部の現像剤担持体側の面から現像剤に向けて放射され、現像剤の帯電に寄与することになる。このとき、トナー層厚規制ブレードによって発生する逆帯電トナーや、マシン非動作時に外的振動により飛散するトナーは、多孔質部材によって阻止あるいは吸着されるため、電子誘起部の光電面や光照射部の光源への現像剤の付着を防止することができる。
【0032】
これにより、電子誘起部に発生する光電効果の劣化減少が防止され、安定した光電子の誘起、放出が可能となり、現像剤比電荷量の安定化、ひいては印字画像の劣化を防ぐことができる。
【0033】
また、本発明に係る現像装置においては、上記の構成に加えて、上記多孔質部材の複数の孔は、照射される光の方向に対して、略平行な方向に貫通するように形成されていることが望ましい。
【0034】
上記構成は、多孔質部材の孔の開口面が光照射部および現像ローラの方向を向き、該多孔質部材の孔が照射される光の方向および光電子が放出される現像ローラの方向に対し、略平行な方向に貫通している構成である。(以下、照射方向に孔性を有すると表現することがある)。
【0035】
これにより、電子放出部から放出された光電子が効率よく多孔質部材の孔を通過して現像剤担持体上の現像剤へ有効的に降り注ぐことができることから、現像剤比電荷量の安定化、ひいては印字画像の劣化を防ぐことができる。
【0036】
また、本発明の現像装置は、上記の構成に加えて、上記多孔質部材の孔径は現像剤を阻止しうるような大きさであることが望ましい。
【0037】
上記構成によれば、トナー層厚規制ブレードによって発生する逆帯電トナーや、マシン非動作時に外的振動により飛散するトナーは、これらトナーの粒径(例えば、球状トナー粒子の場合は直径、円錐状トナー粒子の場合は底面の直径)の最小値より小さな孔径を有する多孔質部材によってほぼ完全に阻止され、電子誘起部の光電面や光照射部の光源への現像剤の付着がほぼ完全に回避できる。
【0038】
これにより、電子誘起部の光電効果の劣化減少が防止され、安定した光電子の誘起、放出が可能となり、現像剤比電荷量の安定化、ひいては印字画像の劣化を防ぐことができる。
【0039】
また、本発明の現像装置においては、電子誘起部の光照射側または現像剤担持体側の少なくとも一方の側に上記多孔質部材で形成された現像剤阻止部を備えた場合に、該現像剤阻止部を形成する多孔質部材の表面の少なくとも一部の領域を光電子誘起材料で被覆することが望ましい。
【0040】
上記構成のように、現像剤阻止部を形成する多孔質部材に光電子誘起材料を被覆することによって、電子誘起部から放出された光電子により該現像剤阻止部が帯電することを防止できる。また、多孔質表面を被覆する光電子誘起材料からも光電子の放出を行うことができるようになるため、現像剤への電子放出量が多くなり、現像剤比電荷量を向上させることができる。
【0041】
また、本発明の現像装置では、光電子誘起材料で被覆された多孔質部材を用いる構成において、該多孔質部材が特定波長の光を透過させる性質を有することが望ましい。
【0042】
上記構成のように特定波長の光が多孔質部材を透過することで、多孔質部材内部や光照射部と反対側の多孔質部材表面の光電子誘起材料からも光電子が誘起、放出され、現像剤比電荷量を向上させることができる。
【0043】
また、本発明の現像装置においては、上記特定波長が紫外線であることが望ましい。
【0044】
上記構成のように紫外線の透過可能な多孔質部材を用いることで、光電子誘起材料で被覆された多孔質部材を用いる構成において、光電子の誘起、放出を促進させることができる。
【0045】
また、本発明の現像装置においては、上記多孔質部材はポリテトラフルオロエチレン系樹脂からなるものであって、その厚さが、10μm〜500μmの範囲であることが望ましい。
【0046】
上記構成によれば、光電子を効率よく通過させることができるとともに飛散するトナーも効率よく阻止することができる。また、上記のような厚さであれば、紫外線等の特定波長の光を通過させうることから、光電子誘起材料で被覆された多孔質部材を用いる構成において、光電子の誘起、放出を促進させることもできる。
【0047】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の現像装置の概略構成について、図4に基づいて説明する。
【0048】
現像装置10は、図4に示すように、感光体ドラム2と対向するように配置され、該感光体ドラム2の表面に形成される静電潜像を、現像剤(トナー)として、例えば1成分系の非磁性よりなるトナーを用いて現像する。現像装置10は、トナーを収容する容器状の現像槽11、供給ローラ(現像剤供給手段)12、現像ローラ(現像剤担持体)13、およびトナー規制ブレード(層厚規制ブレード)14を備えた構成となっている。
【0049】
供給ローラ12は、現像装置10内に配置されており、現像ローラ13と互いの外周面同士が対面するように回転可能に連設され、現像槽11内のトナーを現像ローラ13の外周面に供給する。
【0050】
現像ローラ13は、現像装置10内に感光体ドラム(潜像保持体)2と対向する箇所にて回転可能に配置されており、供給ローラ12により供給されたトナーを感光体ドラム2に向けて担持搬送する。
【0051】
トナー規制ブレード14は、現像ローラ13の回転方向に対し、供給ローラ12の下流側、かつ感光体ドラム2の上流側にて現像ローラ13と接触して配置され、現像ローラ13表面に形成されるトナー層を層厚規制する。
【0052】
さらに、現像装置10は、感光体ドラム2に供給されるトナーを所定の電荷量に帯電させるためのトナー帯電手段(現像剤帯電手段)として、トナー規制ブレード14の一部に具備された電子放出部15と、該電子放出部15に対して紫外線を照射する紫外線照射器(光照射部)16とを備えている。このトナー帯電手段の詳細については後述する。
【0053】
ここで、上記現像装置10を備えた電子写真装置におけるプロセス部を簡単に説明する。
【0054】
上記プロセス部は、図4に示すように、主に感光体ドラム2、帯電ローラ3、露光手段(図示せず)、現像装置10、転写用放電ローラ4、クリーニング手段(図示せず)、除電手段(図示せず)、定着ローラ5からなる。また、図4中において、Pは記録用紙、Lは上記露光手段から照射されて感光体ドラム2表面に静電潜像を書き込む光ビームを示している。
【0055】
感光体ドラム2は、所定方向(図4に示す矢印A方向)に回転しており、まず、その外周表面が帯電ローラ3によって均一帯電される。均一帯電された感光体ドラム2の表面には、露光手段により画像データに応じて制御される光ビームLが照射され、静電潜像が形成される。
【0056】
感光体ドラム2上に形成された上記静電潜像は、感光体ドラム2の回転によって、現像装置10と対向する位置まで移動し、該現像装置10によってトナーを供給されて可視化される(感光体ドラム2上にトナー像が形成される)。このとき、現像装置10の現像ローラ13は、感光体ドラム2に供給するトナーを担持搬送するために所定方向(図4に示す矢印B方向)に回転している。
【0057】
また、感光体ドラム2は、有機光半導体で構成されており、本実施の形態では、−700V(帯電ローラ3による帯電量)に帯電して、周速度が50mm/secでA方向に回転している。現像ローラ13は、円筒状の導電性ゴム弾性材料で構成されており、−400Vの現像バイアスが印加されて感光体ドラム2と等しい周速度でB方向に回転している。供給ローラ12は、円筒状の発泡性ゴム弾性材料で構成されており、感光体ドラム2と等しい周速度でB方向に回転している。
転写用放電ローラ4は、感光体ドラム2上に現像によって形成されたトナー像を用紙Pに転写する。感光体ドラム2の回転方向における転写用放電ローラ4の下流側には、さらにクリーニング手段および除電手段が配置され、該クリーニング手段は転写後の感光体ドラム2表面の残留トナーを除去し、該除電手段は感光体ドラム2表面を除電する。
【0058】
トナー像が転写された後の用紙Pは定着ローラ5に搬送され、該用紙Pが上下一対の定着ローラ5の間を通過する際に加熱および加圧を受け、トナー像が用紙P上に定着される。
【0059】
次に、現像装置10における現像の詳細過程を説明する。
現像装置10では、上述したように、供給ローラ12より現像ローラ13表面にトナーを順次供給して、現像ローラ13がトナーを保持した状態で回転運動する。これにより、現像ローラ13によって搬送されるトナーが現像ローラ13とトナー規制ブレード14の接触領域Wsとの間に案内され、現像ローラ13上のトナーの層厚が規制される。尚、接触領域Wsは、トナー規制ブレード14の先端に設けられている。
【0060】
トナー規制ブレード14によって現像ローラ13上に層厚規制されたトナーは、トナー帯電手段を構成する電子放出部15および紫外線照射器(光照射部)16によって、電荷を与えられ、現像に必要な帯電量まで帯電される。すなわち、トナー規制ブレード14によって形成されたトナー層に電子放出部15に対して紫外線照射器(光照射部)16から紫外線を照射することによって、光電効果によって電子放出部15から光電子が誘起される。この光電子は現像ローラ13上のトナーに向けて放出され、トナーが所望の帯電量に帯電する。尚、上記紫外線照射器16の発光は、現像ローラ13の回転と同期させれば、電力消費の増加につながる不必要な発光を抑制でき好ましい。
【0061】
上記構成のトナー帯電手段において、電子放出部15は、トナー規制ブレード14上の接触領域Wsとは別の位置に形成されており、電子放出部15は現像ローラ13上のトナーとは非接触となっているため、トナーに対して無負荷の状態で帯電を行うことができる。このため、現像装置10では、トナー規制ブレード14は、現像ローラ13に対して少なくともトナーの層厚規制に必要な程度の力にて圧接されていればよく、トナー規制ブレード14によるトナーへの加圧力および熱的負荷を大幅に低減することができる。
【0062】
また、電子放出部15の形成領域は、現像ローラ13とは完全に非接触であるため、その表面粗さがトナーの層形成に及ぼすことはなく、該電子放出部15の表面粗さが設計上の制約を受けることはない。
【0063】
上記トナー帯電手段によって所定の帯電量まで帯電されたトナーは、さらに現像ローラ13の回転によって感光体ドラム2との対向部まで送られ、感光体ドラム2の表面上の静電潜像に対して、静電的に供給され、該静電潜像をトナー像として現像(可視化)する。
【0064】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の形態1として、上記電子放出部15の電子誘起部15aの光照射部16側または現像ローラ13側に多孔質部材で形成された現像剤阻止部15bを備えた本発明の構成を、図1、図3及び図4から図11を参照して説明する。
【0065】
まず、トナー規制ブレード14(図4)は、例えば、基材としてSUSの金属(すなわち、導電性基材)を使用しており、電子放出部15において、電子誘起部15aが形成される領域では、図5(a)および(b)に示すように、エッチング加工等により複数の開口部151が設けられ、光電面152として、例えば、薄膜のアルミニウムが蒸着等によって積層されている。
【0066】
電子誘起部15aにおいて、該電子誘起部15aが電気的にフロートの状態であれば、電子誘起部15aの光電面152が光電子を放出しつづけることができない。このため、電子誘起部15aは、光電面152から放出した分の電子を外部から供給可能な構成とするのが好ましい。この点、上記電子誘起部15aは、SUSからなるトナー規制ブレード14の基材上に光電面152としてアルミニウム薄膜を蒸着した構成であるため、トナー規制ブレード14の基材を接地することにより上記構成は容易に実現できる。
【0067】
図1(a)は電子誘起部15aの開口部151と多孔質部材で形成された現像剤阻止部15bの関係を示した図面であり、現像剤阻止部15bを現像ローラ側に配置した図面である。
【0068】
上記構成のトナー規制ブレード14において、電子誘起部15aの光電面152に紫外線が照射されると、該光電面152に光電効果による光電子が誘起される。この光電子は、主に、紫外線の照射面側、すなわち、光照射部16(紫外線照射器)との対向面側において発生するものであるが、発生した光電子は、電子誘起部15aの開口部151を通って多孔質部材の孔161を通過し、現像ローラ13側に照射されることにより、現像ローラ13のトナーを帯電する。
【0069】
以上のように、実施の形態に係る現像装置10は、トナー規制ブレード14の圧接力を従来の摩擦帯電方式を用いた現像装置に比べ大幅に低減することができる。これにより、トナー規制ブレード14によるトナーへの加圧力および熱的負荷が大幅に低減され、トナー破壊やトナー規制ブレード14へのトナー融着といった不具合を回避できる。特に、本現像装置の現像剤として、軟化点を低減させたトナー、あるいは、顔料部数を増加させて着色力を高めた改良トナーを用いた場合、その溶融による画質劣化・装置故障を極めて効果的に防止できる。
【0070】
また、電子放出部15に多孔質部材で形成された現像剤阻止部15bが用いられていることによって、トナー層厚規制ブレード14によって発生する逆帯電トナーや、マシン非動作時に外的振動により飛散するトナーは、現像剤阻止部15bとして用いられた多孔質部材によって阻止されるため電子誘起部15aの光電面152や光照射部16への現像剤の付着を回避することができる。よって、電子誘起部15aに発生する光電効果の劣化減少が防止され、安定した光電子の誘起、放出が可能となり、現像剤比電荷量の安定化、ひいては印字画像の劣化を防ぐことができる。
【0071】
この点、電子誘起部15aや光照射部16へのトナーの飛散を未然に防ぐことができるという観点から、電子誘起部15aの光照射部16側よりは現像ローラ13側に現像剤阻止部15bを配置するのが望ましい。
【0072】
さらに、電子誘起部15aの光照射部16側と現像ローラ13側双方に現像剤阻止部15bを配置すれば、電子誘起部15aの光電面152や光照射部16へのトナーの飛散をほぼ完全に防ぐことができ、なお望ましい。
【0073】
また、現像剤阻止部15bに用いられる多孔質部材においては、多孔質部材の孔161の開口面162が光照射部16や現像ローラ13の方向を向いていることが望ましい。
【0074】
これにより、光電効果によって電子誘起部15aの光電面152から発生した光電子が効率よく現像剤阻止部15bの多孔質部材の孔161を通過して現像ローラ13上の現像剤へ有効的に降り注ぐことができることから、現像剤比電荷量の安定化、ひいては印字画像の劣化を防ぐことができる。
【0075】
また、現像剤阻止部15bに用いられる多孔質部材においては、該多孔質部材の孔161の孔径(ほぼ円形の開口面162の直径)がトナーの通過を阻止しうるような大きさであることが望ましい。
【0076】
これにより、電子誘起部15aの光電面152や光照射部16へ飛散するトナーは、該トナーの孔径より小さな孔径を有する多孔質部材によってほぼ完全に阻止され、電子誘起部や光照射部への現像剤の付着がほぼ完全に回避できる。
【0077】
また、現像剤阻止部15bに用いられる多孔質部材の表面は、図3に示されるように、光電子誘起材料372で被覆されていることが望ましい。
【0078】
これにより、電子誘起部15aから放出された光電子によって現像剤阻止部15bが帯電することを防止できる。また、現像剤阻止部15bの表面を被覆する光電子誘起材料372からも光電子の放出を行うことができるようになるため、現像ローラ13上のトナーへの電子放出量が多くなり、現像剤比電荷量を向上させることができる。
【0079】
また、上記のように現像剤阻止部15bを構成する多孔質部材の表面を光電子誘起材料372で被覆する場合においては、該多孔質部材に、特定波長の光を透過させる性質を有するものを用いることが望ましい。
【0080】
これにより、特定波長の光が現像剤阻止部15bを構成する多孔質部材を透過し、多孔質部材内部の孔361の表面の光電子誘起材料372や光照射部16とは反対側の多孔質表面の光電子誘起材料372からも光電子が誘起、放出され、現像剤比電荷量を向上させることができる。
【0081】
なお、この場合に、上記特定波長の光は紫外線であることが望ましい。
【0082】
このように紫外線の透過可能な多孔質部材を用いることで、現像剤阻止部15bに光電子誘起材料372で被覆された多孔質部材を用いる構成において、光電子の誘起、放出を促進させることができる。
【0083】
また、上記多孔質部材には厚さ10μm〜500μmのポリテトラフルオロエチレン系樹脂の多孔質部材を用いることが望ましい。
【0084】
これにより、光電子を効率よく通過させることができるとともに飛散するトナーも効率よく阻止することができる。また、上記のような厚さであれば、紫外線等の特定波長の光を通過させうることから、光電子誘起材料372で被覆された多孔質部材を用いる構成において、光電子の誘起、放出を促進させることもできる。
【0085】
次に、電子放出部15から放出された光電子を効率よく現像ローラ13上のトナーへの帯電させるための電子誘起部15aの工夫について説明する。
【0086】
図5(a)の記載では、上記開口部151は、円形状の小径穴が多数形成された構成となっているが、本発明においては開口部151の形状は特に限定されるものではなく、四角や三角の形状であってもよく、また、スリット形状の開口部であってもよい。
【0087】
また、光電面152を形成する材料は、上述のようなアルミニウムに限定されるものではなく、光の照射を受けたときに光電効果が生じるものであれば、この他にTa等の金属、Mg−Ag等の合金、半導体、導電ポリマーなどであってもよい。
【0088】
また、上記光電面152は、トナー規制ブレード14において、必ずしも図5(b)に示すように両面に形成されている必要はなく、少なくとも紫外線照射器16との対向面側に形成されていればよい。
【0089】
また、上記電子誘起部15aに照射される光は、上述のような紫外線に限定されるものではなく、光電面152を形成する材料に対して光電効果を起こしうる波長を有するものであれば、可視光線やX線等であってもよい。
【0090】
また、以下のようにして、電子放出部15から放出された光電子を効率よく現像ローラ13上のトナーへの帯電させることができる。
【0091】
すなわち、上記の実施形態では、トナー規制ブレード14の電子誘起部15aにおいて、開口部151のブレード断面における形状(図5(b)参照)が直方形状であり、電子誘起部15aの開口部151では、光照射面側の開口面積と、現像ローラ13との対向面側の開口面積とが等しくなっている。ここで、図7のように、電子誘起部15aにおける開口部151の形状につき、光照射面側の開口面積を、現像ローラ13との対向面側の開口面積より大きくすることで、電子誘起部15aにおける受光領域の面積を拡大し、光電子の発生量の増加を図ることもできる。具体的には、図7(b)のように、光照射面側の開口直径φ1と、現像ローラ13との対向面側の開口直径φ2とがφ1>φ2となるようなすり鉢形状とする。この点、上記形状の開口部151をトナー規制ブレード14に形成することは、例えば片面エッチングによって容易に形成可能である。(なお、図5に示すようなストレート穴は両面エッチングを行った場合に得られる)。ただし、上記光電面152は、電子誘起部15aにおいて、少なくとも光照射部16側と開口部151の内面とに形成されていればよい。
【0092】
電子誘起部15aの開口部151をこのような形状とした場合、電子誘起部15aへ照射された光は、光電面152と開口部151の内面とによって受光される。このため、電子誘起部15aにおける受光領域の面積を拡大でき、光電子の発生量を増加させてトナー帯電の安定化を図ることができる。
【0093】
さらに、上記開口部151は、(光照射面側の開口面積)>(現像ローラ13との対向面側の開口面積)の関係を満たしていれば、その形状は特に限定されるものではない。
【0094】
次に、電子放出部15から放出された光電子を効率よく現像ローラ13上のトナーへの帯電させるためのトナー規制ブレード14および電子放出部15の工夫について説明する。ただし、以下の説明においては、電子放出部15に現像剤阻止部15bを設けないで、電子誘起部材15aのみで電子放出部15を構成した場合を考えている。
【0095】
現像装置10(図4)では、光電効果によって光電面152(図5)から誘起された光電子は、電子誘起部15aの開口部151を通って現像ローラ13との対向面側からトナーに向けて放射される。しかしながら、この構成において、トナー規制ブレード14の光照射面側で発生する光電子は、開口部151を通過するとは限らず、該開口部151を通過しない光電子はトナーの帯電には寄与しない。
【0096】
ここで、図8に示される構成をとれば、トナー帯電効率を向上させることができる。
【0097】
図8における現像装置10’は、現像装置10の構成においてトナー規制ブレード14をトナー規制ブレード14’に代えると共に、該トナー規制ブレード14’と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加する構成となっている。このため、トナー規制ブレード14’はバイアス印加手段19と接続されている。このバイアス印加手段19は、トナー規制ブレード14’の基材に接続する構成とすることができる。また、現像ローラ13側のバイアス印加手段20は、感光体ドラム2と現像ローラ13との間で現像バイアスを印加するためのバイアス印加手段をそのまま兼用することができる。現像装置10’においてその他の構成は現像装置10と同じである。
【0098】
トナー規制ブレード14’の具体的構成を、図6(a)および(b)を参照して説明する。
【0099】
トナー規制ブレード14’は、トナー規制ブレード14とほぼ同様の構成であるが、図6(b)に示すように、現像ローラ13との接触領域Wsにおいて絶縁層17および金属層18が設けられている点が異なっている。尚、トナー規制ブレード14’上に形成される電子誘起部15aの構成は、トナー規制ブレード14と同様の構成である。
【0100】
現像装置10’では、トナー規制ブレード14’と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加するため、現像装置10のようにトナー規制ブレード14の導電性基材と現像ローラ13とが直接接触する構成であれば、トナー規制ブレード14と現像ローラ13との間が導通してしまい上述のような電気的バイアスを印加することができない。そこで、絶縁層17は、現像ローラ13とトナー規制ブレード14’の基材との間を絶縁するために設けられるものであり、例えば、上記基材の上に厚さ80μmのフッ素樹脂層として形成される。
【0101】
また、金属層18は、現像ローラ13の表面において均一なトナー層が形成されるように、現像ローラ13との接触面において適切な硬度や表面粗さを提供するものである。金属層18としては、例えば、厚さ20μmのSUSの金属層が積層される。なお、現像ローラとトナー規制ブレードとの間を絶縁する構成としては、上述のようにトナー規制ブレード側に絶縁層を設ける構成に限定されるものではなく、導電性基材からなる現像ローラの外周層に、例えばゴム等の絶縁層を設ける構成であってもよい。
【0102】
上記構成の現像装置10’では、トナー規制ブレード14’と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加することにより、以下の2つの作用によって帯電効果を向上させることができる。
【0103】
まず、第1の作用として、上記電気的バイアスを印加することで、トナー規制ブレード14’と現像ローラ13との間に電界が発生する。このとき、トナー規制ブレード14’の電子誘起部15aにおける開口部151付近では図9に示すような電気力線(図中、破線にて示す)が発生する。このため、電子誘起部15aの光電面152において、開口部151付近で発生した光電子は、上記電気力線に沿って移動し、開口部151を通過して現像ローラ13側に引き寄せられる。すなわち、発生した光電子をトナーの帯電に効率的に使用できる。
【0104】
次に、第2の作用として、現像ローラ13側に引き寄せられた光電子は、上記電界の作用によって加速される。そして加速された電子が、気体分子に衝突すると、該気体分子が電子を放出してイオン化する。このとき、気体分子より放出された電子も同様の作用を生じるため、気体中の電子が急激に増加する、いわゆる電子なだれの現象が発生する。この電子なだれによって生じた電子もトナーの帯電に寄与するため、帯電効率が大幅に向上する。ここで、現像ローラ13とトナー規制ブレード14’間の電気的バイアスは、電界強度が0.5〜2.5×106(V/m)となる範囲で印加されている。
【0105】
この場合において、所望の帯電量(−2.0×10−2μC/kgとする)が得られるときの電界強度とプロセス速度の関係を図10に示す。図10から明らかなように、上記電気的バイアスの電界強度を上げることによって所望の帯電量が得られるプロセス速度も向上しており、上記範囲の電気的バイアスを印加する場合、プロセス速度50〜200mm/s相当までトナー帯電が可能となる。
【0106】
本現像装置10’の構成において、トナー規制ブレード14’による加圧力と、トナーの帯電特性との関係を図11に示す。このとき、電子誘起部15aにおける開口部151のパターン条件は、開口率が40%、開口部151の穴形がφ200μmとなっている。紫外線照射器16は、波長254nmの紫外光を照射している。尚、上記開口率とは、電子放出部15の形成領域の面積に対する開口部151の面積の比率を示す。さらに、現像ローラ13とトナー規制ブレード14’間には5×10−6V/mの電気的バイアスが印加されている。
【0107】
図11より、従来の摩擦帯電方式では、トナーの所望の帯電量を得るためには、約196kPaの加圧力が必要であることが分かる。これに対し、本発明の帯電方式では、従来の摩擦帯電方式に必要な加圧力の1/4、すなわち約49kPaの加圧力で所望の帯電量が得られている。
【0108】
〔実施の形態2〕
本発明の実施の形態2として、電子放出部15において、電子誘起部15aに、表面を光電子誘起材料272で被覆した多孔質部材を用いた構成を、図2、図4を参照して説明する。
【0109】
電子誘起部15aに用いられる多孔質部材はトナー規制ブレード14の電子放出部15に形成される。該多孔質部材は光電子誘起材料272で無電解メッキ、若しくは、蒸着されている。これにより、多孔質部材の孔内部(例えば、多孔質部材の孔261の表面)も光電面として機能し、光照射部16からの紫外線照射により光電面252が光電効果により、矢印で示す光電子を放出する。
【0110】
光電面から照射された光電子は開口面262から多孔質部材の孔261を通過し、現像ローラ13側に照射されることにより、現像ローラ13上のトナーを帯電する。
【0111】
以上の実施形態によれば、現像剤をブレードとの摩擦により帯電させる摩擦帯電方式とは異なり、現像剤に摩擦力を与えることなく、現像剤を帯電させることができる。したがって、摩擦熱による現像剤の劣化、および、摩擦熱により軟化した現像剤による装置の汚染等を回避することが可能となっている。特に、本現像装置の現像剤として、軟化点を低減させたトナー、あるいは、顔料部数を増加させて着色力を高めた改良トナーを用いた場合、その溶融による画質劣化・装置故障を極めて効果的に防止できる。
【0112】
また、電子誘起部15aに、表面を光電子誘起材料で被覆した多孔質部材を用いられていることによって、トナー層厚規制ブレード14によって発生する逆帯電トナーや、マシン非動作時に外的振動により飛散するトナーは、電子誘起部15aを構成する多孔質部材によって阻止されるため電子誘起部15aの光電面252や光照射部16へのトナーの付着を回避することができる。よって、電子誘起部に発生する光電効果の劣化減少が防止され、安定した光電子の誘起、放出が可能となり、現像剤比電荷量の安定化、ひいては印字画像の劣化を防ぐことができる。
【0113】
また、電子誘起部15aに用いられる多孔質部材においては、多孔質部材の孔の261の開口面262が光照射部16及び現像ローラ13の方向を向いていることが望ましい。
【0114】
これにより、光電効果によって電子誘起部15aに用いられた多孔質部材の光電面252から発生した光電子が効率よく多孔質部材の孔261を通過して現像ローラ13上の現像剤へ有効的に降り注ぐことができることから、現像剤比電荷量の安定化、ひいては印字画像の劣化を防ぐことができる。
【0115】
また、電子励起部15aに用いられる多孔質部材においては、該多孔質部材の孔261の孔径(ほぼ円形の開口面262の直径)がトナーの通過を阻止しうるような大きさであることが望ましい。
【0116】
これにより、電子誘起部15aや光照射部16へ飛散するトナーは、該トナーの孔径より小さな孔径を有する多孔質部材によってほぼ完全に阻止され、電子誘起部や光照射部への現像剤の付着がほぼ完全に回避できる。
【0117】
また、このように、電子誘起部15aに、表面を光電子誘起材料で被覆した多孔質部材を用いた場合においては、該多孔質部材に、特定波長の光を透過させる性質を有するものを用いることが望ましい。
【0118】
これにより、特定波長の光が電子誘起部15aを構成する多孔質部材を透過し、多孔質部材内部や光照射部16とは反対側の多孔質表面からも光電子が誘起、放出され、現像剤比電荷量を向上させることができる。
【0119】
なお、この場合に、上記特定波長の光は紫外線であることが望ましい。
【0120】
このように紫外線の透過可能な多孔質部材を用いることで、電子誘起部15aに光電子誘起材料で被覆された多孔質部材を用いる構成において、光電子の誘起、放出を促進させることができる。
【0121】
また、上記多孔質部材には厚さ10μm〜500μmのポリテトラフルオロエチレン系樹脂の多孔質部材を用いることが望ましい。
【0122】
これにより、光電子を効率よく通過させることができるとともに飛散するトナーも効率よく阻止することができる。また、上記のような厚さであれば、紫外線等の特定波長の光を通過させうることから、光電子誘起材料で被覆された多孔質部材を用いる構成において、光電子の誘起、放出を促進させることもできる。
【0123】
なお、上記電子誘起部15aに照射される光は、上記のような紫外線に限定されるものではなく、光電面152を形成する材料に対して光電効果を起こしうる波長を有するものであれば、可視光線やX線等であってもよい。
【0124】
なお、上記実施の形態2において、トナー規制ブレード14については、トナー規制ブレード14と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加しない構成であってもよい。しかしながら、実施の形態1に述べたように、現像ローラ13との接触領域Wsに絶縁層を設け、トナー規制ブレード14と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加する構成に対応させることが好適である。
【0125】
【実施例】
[実施例1]
以下、上記実施の形態1に対応する実施例1を図3および図12を参照しながら詳細に説明する。
【0126】
図12は、本発明に用いる現像槽の実施形態を示す断面図である。
【0127】
図12において、現像装置Xは、被帯電部材として1成分系の非磁性よりなるトナーTを用いたものであって、このトナーTを収容する容器状の現像槽31と、感光体ドラムDと対向した位置に回転可能に収容された現像ローラ43と、感光体ドラムDと反対向した位置において、現像ローラ43と互いの外周面同士が対面するように回転可能に連設され、現像槽1内のトナーTを現像ローラ43の外周面に供給する供給ローラ42と、上記感光体ドラムDと上記現像ローラ43が接する位置に対し下流側に位置し、上記供給ローラ42と上記現像ローラ43が接する位置に対して上流側において互いの外周面同士が対面するように回転可能に連設されている。トナー規制ブレード44は、現像ローラ43の回転方向に対し、供給ローラ42の下流側、かつ感光体ドラムDの上流側にて現像ローラ43と接触して配置され、現像ローラ43表面に形成されるトナー層を層厚規制する。
【0128】
さらに、現像装置30は、感光体ドラムDに供給されるトナーを所定の電荷量に帯電させるためのトナー帯電手段(現像剤帯電手段)として、トナー規制ブレード44の一部に具備された電子放出部45に対して紫外線等の光を照射する光照射部46とを備えている。
【0129】
現像の過程は、静電潜像を担持搬送する感光体ドラムDに対し、現像装置Xの現像ローラ43表面に、トナーTを供給ローラ42より周方向から予め順次供給して、トナーを保持し、等速度回転運動している現像ローラ43とトナー規制ブレード44との間にトナーTを搬送し、現像ローラ43上のトナーの層厚が規制されると同時に、光照射部46内部に配設された紫外線発光器からの光を電子放出部45に照射することにより、電子放出部45から光電子が誘起されトナーTは所望の帯電量に帯電する。この状態でさらに回転方向下流側に位置する感光体ドラムDとの対向部まで送られ、感光体ドラムDの表面上の静電潜像に対して、静電的に供給され、トナー像として現像(可視化)される。現像ローラ43は、円筒状の導電性ゴム弾性材料で構成されており、50〜150mm/sで駆動回転している。供給ローラ42は、円筒状の発泡性ゴム弾性材料で構成されており、現像ローラ43と等速度で駆動回転している。また帯電効率を上げるために、現像ローラ43とトナー規制ブレード44には、ローラ間の微小空隙の電界強度が0.5〜2.5×10−7(V/m)となるような電気的バイアスが印加されている。
【0130】
なお、図12中において、Pは用紙、Eは感光体ドラムDを帯電させて感光体ドラムDの外周面上に静電潜像を形成する帯電ローラ、Fは感光体ドラムDの外周面上に現像されたトナー像を用紙Pに転写する転写用放電ローラ、Gは転写形成されたトナー像を用紙Pに定着させる上下一対の定着ローラである。また、図12中の破線矢印は、図示しないレーザビームスキャナーユニットから発せられたレーザビームLであって、感光体ドラムDの外周面上に静電潜像を結像させるようになされている。電子放出部45は、図3に示される通り、電子誘起部15a(図3)として、金属材料(例えばSUS304)よりなる平板状のトナー規制ブレード44(図12)に紫外線の照射によって光電子を放出する半導体(金属含む)が塗布された構成を有し、現像ローラ43に対向している側には、多孔質部材(多孔質膜)で形成された現像剤阻止部15b(図3)を備えている。上記電子誘起部15aからは、紫外線照射部より300nm以下の紫外線線を照射されることにより光電子が放出される。このように放出された光電子は、電子誘起部15a(図3)に設けられた、光電子を通過させるための開口部を通過して、現像ローラ上のトナーに降り注ぐことになる。この点、現像剤であるトナーなどが光電面352(図3)や光照射部46(図12)に付着すると、光電面352(図3)や光照射部46(図12)の紫外線照射に障害が発生し、光電子放出量の低下が発生することによってトナーなどの現像剤比電荷量の低下になり、画像劣化などが発生する。このトナーよる汚染は、様々なケースがある。トナーの層厚規制によって発生した逆帯電トナーがトナー層厚規制ブレード44に印加されている電圧に引っ張られて孔を通過してくる場合、もしくは、マシン非動作時に外的振動により現像ローラ上のトナーが飛散して、電子誘起部15a(図3)の光電面352に付着する場合等である。
【0131】
そこで、本実施例では、電子誘起部15aの光電面352にトナー等が付着してトナー比電荷量が減少することを防ぐ方法として電子放出部45の電子誘起部15a(図3)と現像ローラ43(図12)との間に多孔質膜で構成された現像剤阻止部15b(図3)を備えることによりトナー等の現像剤の侵入を未然に防ぎトナー帯電の劣化を防いでいる。
【0132】
この多孔質膜には、複数の微小孔361が開いているが、光照射部46の照射方向に孔性を有することにより光電面352(図3)から放出された光電子が、効率よく多孔質膜の孔361を通過できるようになっている。また、多孔質膜で構成された現像剤阻止部15b表面を光電子誘起材料で被覆した本実施例では、多孔質膜内部の光電子誘起材料372からも光電子放出が期待できる。
【0133】
また、飛散するトナーを完全に阻止するため、本実施例に用いた多孔質膜の孔径は、現像剤であるトナー粒径より小さい構成をとる。
【0134】
また、上記多孔質膜は特定波長、例えば300nm以下の紫外線の光を透過させる性質を有する。本実施例では、300nm以下の紫外線好ましくは254nmの紫外線を透過できる材質、及びその厚さを選択し、かつ、多孔質膜で構成された現像剤阻止部15b表面を光電子誘起材料で被覆した、図3のような構成をとることで、トナー層厚規制ブレード44(図12)に構成された光電面353(図3)のみならず、この多孔質膜の孔361からも光電子を放出できるようになっている。
【0135】
これにより、現像剤であるトナーの比電荷量の向上になり印字画像の安定供給が可能になる。
【0136】
多孔質膜としてポリテトラフルオロエチレン系樹脂の材質が最適であり、本実施例では日東電工社製ミクロテックス(登録商標)を使用している。この材質は図1(b)で示すように一定方向に貫通する孔を複数備える構成であり、紫外線を通過させる特性を備えているので、紫外線や電子を通過させ、トナーの通過を阻止することが可能となる。
【0137】
ここで、多孔質膜の厚みと光透過性およびトナー帯電性能については、表1に示す結果となった。ここで、光透過性については、紫外線可視分光光度計(島津製作所UV−1600PC)にて紫外線の透過率を測定して評価を行い、トナー帯電性能については、吸引式帯電量測定器によって現像ローラ上のトナーの帯電量を測定して評価を行った。
【0138】
【表1】
【0139】
上記の結果よりわかるように、500μm以下の厚みの多孔質は、紫外線の光を透過させるものの、帯電性能の点から考えると300μm以下の多孔質膜が有効であり特に100μm以下の厚みが帯電性能に有効である。ただし、紫外線の透過性を重視した20μm未満の場合は、多孔質膜の機械的強度が弱く破損などの問題が発生した。
【0140】
紫外線の透過性が帯電性能と深く関係することから、光電面352だけでなく多孔質膜に被覆されている光電子誘起材料からも、光電子が放出され、トナー帯電への効率が向上しているといえる。言い換えれば、多孔質膜の表面を光電子誘起材料などで被覆させることによって、光電子放出量のさらなる向上、ひいては安定した画像供給が可能となる。
【0141】
次に、以上のような実施例1の構成における、孔径と帯電性能およびトナーのグリッド光電膜への侵入具合の関係を表2に示す。ここで、トナー帯電性能については、吸引式帯電量測定器によって現像ローラ上のトナーの帯電量を測定して評価を行った。
【0142】
【表2】
【0143】
前記の実験は孔径が7μmのトナーを使用して検討した結果である。
【0144】
前記表の結果より、トナーの侵入を防ぐには、出来るだけ小さな孔径が望ましいことがいえる。10μm以上の孔径は、トナーの侵入もしくは目詰まりなどにより光電子放出量の低下が発生した。また、多孔質膜の孔径を小さくするにしたがって帯電性能が上がることから、放出された光電子の通過効率も増加させることがわかる。
【0145】
[実施例2]
以下、上記実施の形態2に対応する実施例2を図2および図12を参照しながら詳細に説明する。
【0146】
実施例2は、実施例1における電子放出部45(図12)の構成だけを変えたものであり、その他現像装置全体の構成や現像原理は同様である。
【0147】
本発明では、金属材料(例えばSUS304)よりなる平板状のトナー規制ブレード44(図12)の電子放出部45に、電子誘起部15a(図2)として、表面を光電子誘起材料272で被覆した多孔質膜を用いることにより、トナー等の現像剤の侵入を未然に防ぎ、電子誘起部15aの光電面252にトナー等が付着してトナー比電荷量が減少することを防止している。
【0148】
この多孔質膜には、無数の微小孔261が開いているが、光照射部46の照射方向に孔性を有することにより光電面252(図2)から放出された光電子が、効率よく多孔質膜の孔261を通過できるようになっている。また、多孔質膜内部の光電子誘起材料272からも光電子放出が期待できる。
【0149】
また、飛散するトナーを完全に阻止するため、多孔質膜の孔径は、現像剤であるトナー粒径より小さい構成である。
【0150】
また、上記多孔質膜は特定波長、例えば300nm以下の紫外線の光を透過させる性質を有する。ここで、300nm以下の紫外線好ましくは254nmの紫外線を透過できる厚みもしくは材質を選択すれば、光照射部16側の光電面252のみならず、現像ローラ43側の光電面252からも光電子を放出できることになる。右構成を利用できれば、現像剤であるトナーの比電荷量の向上になり印字画像の安定供給が可能になる。
【0151】
多孔質膜としてポリテトラフルオロエチレン系樹脂の材質が最適であり、本実施例では日東電工社製ミクロテックス(登録商標)を使用している。この材質は図1(b)で示すように一定方向に貫通する孔を複数備える構成であり、紫外線を通過させる特性を備えているので、紫外線や電子を通過させ、トナーの通過を阻止することが可能となる。
【0152】
ここで、以上のような実施例2の構成における、多孔質膜の厚みと光透過性およびトナー帯電性能については、表3に示す結果となった。ここで、光透過性については、紫外線可視分光光度計(島津製作所UV−1600PC)にて紫外線の透過率を測定して評価を行い、トナー帯電性能については、吸引式帯電量測定器によって現像ローラ上のトナーの帯電量を測定して評価を行った。
【0153】
【表3】
【0154】
上記の結果よりわかるように、500μm以下の厚みの多孔質は、紫外線の光を透過させるものの、帯電性能の点から考えると300μm以下の多孔質膜が有効であり特に100μm以下の厚みが帯電性能に有効である。ただし、紫外線の透過性を重視した20μm未満の場合は、多孔質膜の機械的強度が弱く破損などの問題が発生した。
【0155】
紫外線の透過性が帯電性能と深く関係することから、光照射部46側の光電面252のみならず、現像ローラ43側の光電面252からも光電子が放出され、トナー帯電への効率が向上しているといえる。
【0156】
次に、以上のような構成における、孔径と帯電性能およびトナーのグリッド光電膜への侵入具合の関係を表4に示す。ここで、トナー帯電性能については、吸引式帯電量測定器によって現像ローラ上のトナーの帯電量を測定して評価を行った。
【0157】
【表4】
【0158】
前記の実験は孔径7μmのトナーを使用して検討した結果である。
【0159】
前記表の結果より、トナーの侵入を防ぐには、出来るだけ小さな孔径が望ましいことがいえる。ただし、10μm以上の孔径は、トナーの侵入もしくは目詰まりなどにより光電子放出量の低下が発生した。
【0160】
また、多孔質膜の孔径を小さくするにしたがって帯電性能が向上することから、多孔質膜の孔径を小さくすることにより放出された光電子の通過効率も向上することがわかる。
【0161】
【発明の効果】
本発明に係る現像装置は、以上のように、電子誘起部を備えた電子放出部と、該電子放出部に光を照射する光照射部とを有し、上記電子誘起部の光電効果によって放出された光電子を利用して、現像剤担持体の表面に保持された現像剤を帯電させ、帯電された該現像剤によって感光体上の静電潜像を可視像化する現像装置であって、上記光照射部と上記現像剤担持体との間に設けられた電子放出部に多孔質部材が備えられ、該多孔質部材には、該多孔質部材の光照射部側と現像剤担持体側とを連通する、複数の孔が形成されている構成である。
【0162】
それゆえ、本現像装置においては、現像剤をブレードとの摩擦により帯電させる摩擦帯電方式とは異なり、現像剤に摩擦力を与えることなく、現像剤を帯電させることができる。したがって、摩擦熱による現像剤の劣化、および、摩擦熱により軟化した現像剤による装置の汚染等を回避することが可能となっている。
【0163】
特に、本現像装置の現像剤として、軟化点を低減させたトナー、あるいは、顔料部数を増加させて着色力を高めた改良トナーを用いた場合、その溶融による画質劣化・装置故障を極めて効果的に防止できるという効果を奏する。
【0164】
また、トナー層厚規制ブレードによって発生する逆帯電トナーや、マシン非動作時に外的振動により飛散するトナーは、電子放出部に用いられた多孔質部材によって阻止されるため電子放出部の光電面や光照射部の光源への現像剤の付着を回避することができる。これにより、電子誘起部に発生する光電効果の劣化減少が防止され、安定した光電子の誘起、放出が可能となり、現像剤比電荷量の安定化、ひいては印字画像の劣化を防ぐことができるという効果を併せて奏する。
【0165】
また、本発明に係る現像装置は、以上のように、上記電子放出部において、電子誘起部の現像剤担持体側または光照射部側の少なくとも一方の側に、上記多孔質部材で形成された現像剤阻止部を備えた構成である。
【0166】
それゆえ、トナー層厚規制ブレードによって発生する逆帯電トナーや、マシン非動作時に外的振動により飛散するトナーは、電子誘起部の光照射側または現像現像剤担持体側に備えられた多孔質部材によって阻止されるため、電子誘起部の光電面や光照射部の光源への現像剤の付着が回避できるという効果を奏する。
【0167】
また、本発明に係る現像装置は、上記電子誘起部が、その表面の少なくとも一部の領域が光電子誘起材料で被覆された上記多孔質部材であるという構成である。
【0168】
それゆえ、上記光電子誘起材料に誘起された光電子は電子誘起部に形成された孔を通って電子誘起部の現像剤担持体側の面から現像剤に向けて放射され、現像剤の帯電に寄与する効果を奏する。さらに、トナー層厚規制ブレードによって発生する逆帯電トナーや、マシン非動作時に外的振動により飛散するトナーは、多孔質部材によって阻止あるいは吸着されるため、電子誘起部や光照射部への現像剤の付着を防止する効果も併せて奏する。
【0169】
また、本発明に係る現像装置は、以上のように、上記多孔質部材の複数の孔は、照射される光の方向に対して、略平行な方向に貫通するように形成されている構成である。
【0170】
それゆえ、光電効果によって発生した光電子が効率よく多孔質部材を通過して現像ローラ上の現像剤へ有効的に降り注ぐことができることから、現像剤比電荷量の安定化、ひいては印字画像の劣化を防ぐことができるという効果を奏する。
【0171】
また、本発明の現像装置は、以上のように、上記多孔質部材の孔径が現像剤の通過を阻止しうるような大きさである。
【0172】
それゆえ、トナー層厚規制ブレードによって発生する逆帯電トナーや、マシン非動作時に外的振動により飛散するトナーは、これらトナーの孔径より小さな孔径を有する多孔質部材によってほぼ完全に阻止され、電子誘起部や光照射部への現像剤の付着がほぼ完全に回避できるという効果を奏する。
【0173】
また、本発明の現像装置は、以上のように、電子誘起部の光照射部側または現像剤担持体側の少なくとも一方の側に多孔質部材で形成された現像剤阻止部を備えた場合に、上記現像剤阻止部を形成する多孔質部材の表面の少なくとも一部の領域が光電子誘起材料で被覆されている構成である。
【0174】
それゆえ、電子誘起部から放出された光電子により前記現像剤阻止部が帯電することを防止できる。また、前記多孔質部材を被覆する光電子誘起材料からも光電子の放出を行うことができるようになるため、現像剤への電子放出量が多くなり、現像剤比電荷量を向上させることができるという効果を併せて奏する。
【0175】
また、本発明に係る現像装置は、以上のように、光電子誘起材料で被覆された多孔質部材を用いる構成において、該多孔質部材が特定波長の光を透過させる性質を有する構成である。
【0176】
それゆえ、特定波長の光が多孔質部材を透過することで、多孔質部材内部や光照射部とは反対側の多孔質表面からも光電子が誘起、放出され、現像剤比電荷量を向上させることができるという効果を奏する。
【0177】
また、本発明の現像装置は、以上のように、上記特定波長が紫外線であるという構成である。
【0178】
それゆえ、上記構成のように紫外線の透過可能な多孔質部材を用いることで、光電子誘起材料で被覆された多孔質部材を用いる構成において、光電子の誘起、放出を促進させることができるという効果を奏する。
【0179】
また、本発明の現像装置は、以上のように、上記多孔質部材がポリテトラフルオロエチレン系樹脂からなるものであって、その厚さが、10μm〜500μmの範囲であるという構成である。
【0180】
それゆえ、光電子を効率よく通過させることができるとともに飛散するトナーも効率よく阻止することができるという効果を奏する。また、上記のような厚さであれば、紫外線等の特定波長の光を通過させうることから、光電子誘起材料で被覆された多孔質部材を用いる構成において、光電子の誘起、放出を促進させるという効果を併せて奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子放出部の概略構成を示す断面図である。
【図2】本発明の電子放出部の概略構成を示す断面図である。
【図3】本発明の電子放出部の概略構成を示す断面図である。
【図4】上記本発明の実施の形態に係る現像装置の概略構成を示す断面図である。
【図5】上記現像装置に使用されるトナー規制ブレードの概略構成を示すものであり、図5(a)は平面図、図5(b)は図5(a)におけるC−C断面図である。
【図6】上記現像装置に使用されるトナー規制ブレードの概略構成を示すものであり、図6(a)は平面図、図6(b)は図6(a)におけるC−C断面図である。
【図7】上記現像装置に使用されるトナー規制ブレードの概略構成を示すものであり、図7(a)は平面図、図7(b)は図7(a)におけるC−C断面図である。
【図8】上記本発明の実施の形態に係る現像装置の概略構成を示す断面図である。
【図9】上記トナー規制ブレードと現像ローラとの間に電気的バイアスを印加した時に、トナー規制ブレードの開口部付近に生じる電気力線を説明する図である。
【図10】上記トナー規制ブレードと現像ローラとの間に印加される電気的バイアスの電界強度と、画像形成可能なプロセス速度との関係を示すグラフである。
【図11】上記現像装置におけるトナー帯電量とトナー規制ブレードの加圧力との関係を示すグラフである。
【図12】本発明の実施の形態に係る現像装置の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
15、45 電子放出部
15a 電子誘起部(導電性基材、多孔質部材)
15b 現像剤阻止部(多孔質部材)
16、46 光照射部
13、43 現像剤担持体
Claims (9)
- 電子誘起部を備えた電子放出部と、該電子放出部に光を照射する光照射部とを有し、上記電子誘起部の光電効果によって放出された光電子を利用して、現像剤担持体の表面に保持された現像剤を帯電させ、帯電された該現像剤によって感光体上の静電潜像を可視像化する現像装置であって、
上記光照射部と上記現像剤担持体との間に設けられた電子放出部に多孔質部材が備えられ、該多孔質部材には、該多孔質部材の光照射部側と現像剤担持体側とを連通する、複数の孔が形成されていることを特徴とする現像装置。 - 上記電子放出部において、電子誘起部の現像剤担持体側または光照射部側の少なくとも一方の側に、上記多孔質部材で形成された現像剤阻止部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
- 上記電子誘起部が、その表面の少なくとも一部の領域が光電子誘起材料によって被覆された上記多孔質部材であることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
- 上記多孔質部材の複数の孔は、照射される光の方向に対して、略平行な方向に貫通するように形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の現像装置。
- 上記多孔質部材の孔径は現像剤を阻止しうるような大きさであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の現像装置。
- 上記現像剤阻止部を形成する多孔質部材の表面の少なくとも一部の領域が光電子誘起材料で被覆されていることを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
- 上記多孔質部材は特定波長の光を透過させることを特徴とする請求項3または6に記載の現像装置。
- 上記特定波長の光は紫外線であることを特徴とする請求項7に記載の現像装置。
- 上記多孔質部材がポリテトラフルオロエチレン系樹脂からなるものであって、その厚さが、10μm〜500μmの範囲であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の現像装置。
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- 2002-10-23 JP JP2002308944A patent/JP2004144952A/ja not_active Withdrawn
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